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自動車は どうなっているのか 【導入編】 The chapter of introduction 第1章

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自動車はどうなっているのか

【導入編】

The chapter of introduction

第1章

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1.自動車メカニズムの基本中の基本

 クルマには「走る」「曲がる」「止まる」の3つの機能が凝縮されています。「エンジン」と、ここで生み出された力をタイヤに伝える「動力伝達機構(ドライブトレーン)」は「走る」ための働きを受け持ち、車体を支え、安定させる「サスペンション」とドライバーの意志に従ってクルマの進路を変更する「ステアリング機構」は、「走り、曲がる」ための役目を担っています。また、走行中のクルマの速度を制御し、停止させることができる「ブレーキ装置」は、安全な走行のために欠くことのできない「止まる」ための機能です。 これらの機能がバランスよく備わっていてこそ、優れた性能を持つクルマだといえるのです。エンジン&ドライブトレーングループ

 上図は、車体のフロント部分にエンジンを搭載し、リヤタイヤを駆動輪(エンジンの力を路面に伝えるタイヤ)とするクルマの例です。エンジンで生み出された力は回転力として出力され、「トランスミッション」のギヤの組み合わせを変えて、より大きな回転力や速さを生みます。「プロペラシャフト」は、その回転力を後ろのタイヤまで導き、「ディファレンシャル」では、プロペラシャフトの回転方向をタイヤの回転方向に変換すると同時に、より回転力を高めるように働きます。その後出力された回転力は、「ドライブシャフト」を経てタイヤまで伝わります。シャシーグループ

 下図に示すシャシーの役目は多岐にわたっています。ストラットやサスペンションアームは、「サスペンション」関連の部品で、クルマの走行姿勢や挙動を整え、乗り心地をよくするなど、安定した走りに欠かせません。ハンドルやステアリングギヤは「ステアリング機構」を構成し、ドライバーの操作に応じて、クルマの進む向きをコントロールします。マスターシリンダーやブレーキディスクは、「ブレーキ装置」に関わる部品で、重量があって高速で走るクルマを安全に停止させる重要な役目を担っています。 これらは、クルマに備わった基本的な機構のほんの一部ですが、数多くの部品が関わり合いながら安全で快適なクルマの性能を生み出しているのです。

メカニズムの全体像「走る」「曲がる」「止まる」は、言うまでもなくクルマが本来備えているべき機能ですが、これらを果たすために必要なメカニズムにはどのようなものがあるのですか?

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第1章 自動車はどうなっているのか【導入編】

◎‌‌エンジン&ドライブトレーンは力を生み出し、伝える働き、サスペンションは車体を支え、安定させる働き、ステアリングはクルマの進行方向を任意に変える働き、ブレーキはクルマを安全に停止させる働きをしている

POINT

エンジン&ドライブトレーングループ

エンジン

ディファレンシャル

ドライブシャフト

プロペラシャフト

トランスミッション

シャシーグループ

ストラット

サスペンションアーム

ブレーキ配管

ブレーキキャリパー

ブレーキディスクタイロッドステアリングギヤ

マスターシリンダー

マスターバック

ハンドル(ステアリングホイール)

※イラストは、各パーツの位置関係を大まかに示しています

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 前項でクルマのメカニズムの全体像について述べましたが、ここでは、それらが取り付けられている「ボディ(フレーム)」について説明します。進化し続けるボディ構造

 ボディの骨格に当たる部分を「フレーム」と呼びますが、現在の乗用車で上図のようなタイプのフレームを持つものは非常に少数派です。フレームにはタイヤ(ホイール)を支えるサスペンションアーム類やスプリングはもちろん、エンジン、動力伝達機構、ステアリング機構などが取り付けられ、その上にキャビン(人の乗る部分)が載せられています。フレームにシートをセットすれば、単独で走ることも可能で、トラック、バスなどの大型車は、主にこの方式を採用しています。また、4輪駆動車の一部にもフレームを持つ車種があります。 しかし、現在の乗用車は、「モノコックボディ」と呼ばれるフレームとキャビンが一体化した形式が一般的です(中図)。モノコックボディは、大型車のフレームのように角材を組み合わせたものではなく、鉄板をプレス加工し溶接することでキャビン形状を作り出すとともに、強度の必要なフレーム部分も同時に成型しています。そのため、クルマ全体をより軽量にすることができるのです。衝突安全性と燃費向上がボディを進化させる

 モノコックボディが乗用車の主流になったのは、ボディ全体を軽量化できることで、クルマの性能、特に運動性能と燃費に好影響を与えるからです。また、衝突安全性がクローズアップされるようになり、事故が起きた際にボディがうまく潰れて衝撃を吸収し、いかに乗員や歩行者に与えるダメージを減らすかといったことが考えられています。そのため、モノコックボディの各所には、事故による外力が加わった際、ボディが変形していく過程をコントロールできるように、あえて変形しやすい箇所(クラッシャブルゾーン)を設けています。 下図は、モノコックボディ方式を採用しつつ、より強度の高いフレーム構造を合体させたような形状を持っています。現在のクルマでは、この例のようにより強く、軽量で、必要に応じて乗員や歩行者などに与えるダメージを減らす工夫が盛り込まれているのです。

ボディ構造の概要乗用車は、ボディとフレームを一体にしたモノコックボディ構造を採用しているようですが、これにはどんな特徴があるのですか? また、乗用車以外のクルマではどうなっているのでしょうか?

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Page 5: 009-022 01章 訂 - pub.nikkan.co.jp · 009-022 01章_訂.indd 12 13/08/08 16:31. 013 第1章 自動車はどうなっているのか【導入編】 4輪駆動車のフレーム フレーム

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第1章 自動車はどうなっているのか【導入編】

4輪駆動車のフレーム

フレーム

強度の高いフレーム構造を合体させたモノコックボディの例(フロア部)

ストレートフレーム クロスメンバー

◎エンジンやサスペンションなどはボディのフレーム部に取り付けられている◎‌‌現在の乗用車の大半は、プレス加工された鉄板を溶接で組み合わせたモノコックボディを採用しており、軽量で強度も高く事故時の安全性も考えられている

POINT

モノコックボディの例

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