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60 64 THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2008. 12 様々な形式による地理空間情報の流通に対して,前号では,公的機関により公開されている, GIS データ間のコンバータを紹介した。今号では,その他の形式で表現されたデータとして,主 に,既存のGIS ソフトにおいて広く利用されているESRI 社のshape ファイルや,Google Earth およびGoogle Mapsにおいて使用されるKML(Keyhole Markup Language)ファイルなどを 対象としたコンバータを取り上げたい。KMLは,地理空間データの世界標準・相互運用を目指し た国際コンソーシアムOGC(Open Geospatial Consortium)においても,OGC 標準として承認 されたところである。 Zonum Solutions(http://www.zonums.com/)は,アリゾナ大学の一学生により運営されて おり,shape ファイルやKML ファイルのコンバータに関するフリーウェアが充実したサイトであ る。shp2kml 2.0(http://www.zonums.com/shp2kml.html)は,その名の通り,shape ファイ ルからKML ファイルへのコンバータである(図-1)。本フリーウェアでは,プレビュー画面によ りデータの確認ができ,さらには,GoogleMaps の対応する部分を表示することが可能である。逆 に,kmlファイルからshapeファイルへの変換をしたい場合には,kml2shp file conversion http://www.zonums.com/kml2shp.html )を用いる。shape ファイルへの変換のみならず, AutoCAD の形式であるDXF ファイルや,GPS データ形式であるGPX ファイルにも変換可能で ある。その他,shape・kml ファイルからCAD 形式ファ イルへのコンバータ,Excel で管理されたポイントファイ ルからKML ファイルへのコンバータも公開されている。 ESRI Support Center ArcScripts(http://arcscripts. esri.com/ )においても,多数のshape・kml ファイル間 のコンバータが,ArcGIS 用のスクリプトとして公開され ている。それらの中でも最もダウンロード数の多いもの が,Export to KML 2.5.3 である(図-2)。人気の高い理 由として,出力・ラベリング・3 D・時間・データベースス キーマといったオプション機能が充実していることが挙げ られる。 シェアウェア(29.99US$)ではあるが,shape ファイル からkml ファイルへのコンバータであるShape2Earth for MapWindow(http://shape2earth.com/shp2e.aspxの評価も高い。Shape2Earth for MapWindowは,オー プンソースGISであるMapWindow GIS(http://www. mapwindow.org/ )のプラグインとして開発されたもの である(図-3)。直接Google Earth による表示をするこ ともでき,操作も簡便なものである。 自ら作成したデータを公開する,あるいは,公開され ているデータを取り込み,独自の分析を行う機会が増加 しているなか,これらのツールは非常に有用である。デー タの相互利用可能性が高まり,さらなるコンテンツの充 実が期待される。 (国土技術政策総合研究所 布施 孝志) 図-3 Shape2Earth for MapWindow 図-2 Export to KML 2.5.3 図-1 shp2kml 2.0

08-12 01 · 地 理 空 間 情 報 コ ン バ ー タ ② 60 64 the journal of survey 測量2008. 12 様々な形式による地理空間情報の流通に対して,前号では,公的機関により公開されている,

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地理空間情報コンバータ●

地理空間情報コンバータ●

地理空間情報コンバータ②

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64 THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2008. 12

様々な形式による地理空間情報の流通に対して,前号では,公的機関により公開されている,

GISデータ間のコンバータを紹介した。今号では,その他の形式で表現されたデータとして,主

に,既存のGISソフトにおいて広く利用されているESRI社のshapeファイルや,Google Earth

およびGoogle Mapsにおいて使用されるKML(Keyhole Markup Language)ファイルなどを

対象としたコンバータを取り上げたい。KMLは,地理空間データの世界標準・相互運用を目指し

た国際コンソーシアムOGC(Open Geospatial Consortium)においても,OGC標準として承認

されたところである。

Zonum Solutions(http://www.zonums.com/)は,アリゾナ大学の一学生により運営されて

おり,shapeファイルやKMLファイルのコンバータに関するフリーウェアが充実したサイトであ

る。shp2kml 2.0(http://www.zonums.com/shp2kml.html)は,その名の通り,shapeファイ

ルからKMLファイルへのコンバータである(図-1)。本フリーウェアでは,プレビュー画面によ

りデータの確認ができ,さらには,GoogleMapsの対応する部分を表示することが可能である。逆

に,kmlファイルからshapeファイルへの変換をしたい場合には,kml2shp file conversion

(http://www.zonums.com/kml2shp.html)を用いる。shapeファイルへの変換のみならず,

AutoCADの形式であるDXFファイルや,GPSデータ形式であるGPXファイルにも変換可能で

ある。その他,shape・kmlファイルからCAD形式ファ

イルへのコンバータ,Excelで管理されたポイントファイ

ルからKMLファイルへのコンバータも公開されている。

ESRI Support Center ArcScripts(http://arcscripts.

esri.com/)においても,多数のshape・kmlファイル間

のコンバータが,ArcGIS用のスクリプトとして公開され

ている。それらの中でも最もダウンロード数の多いもの

が,Export to KML 2.5.3である(図-2)。人気の高い理

由として,出力・ラベリング・3D・時間・データベースス

キーマといったオプション機能が充実していることが挙げ

られる。

シェアウェア(29.99US$)ではあるが,shapeファイル

からkmlファイルへのコンバータであるShape2Earth for

MapWindow(http://shape2earth.com/shp2e.aspx)

の評価も高い。Shape2Earth for MapWindowは,オー

プンソースGISであるMapWindow GIS(http://www.

mapwindow.org/)のプラグインとして開発されたもの

である(図-3)。直接Google Earthによる表示をするこ

ともでき,操作も簡便なものである。

自ら作成したデータを公開する,あるいは,公開され

ているデータを取り込み,独自の分析を行う機会が増加

しているなか,これらのツールは非常に有用である。デー

タの相互利用可能性が高まり,さらなるコンテンツの充

実が期待される。

(国土技術政策総合研究所 布施孝志) 図-3 Shape2Earth for MapWindow

図-2 Export to KML 2.5.3

図-1 shp2kml 2.0