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- 1 - 2020年7月

1...1. 本ハンドブックについて 新型コロナウイルス感染症は、家庭内でも広がる恐れがあります。 わが国でも、 帰省してきた息子が発熱し、接触があった家族や親せきに相次いで感染が確認され、

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新新型型ココロロナナウウイイルルスス感感染染症症ハハンンドドブブッックク

――家家庭庭ににおおけけるる感感染染予予防防対対策策――

22002200年年77月月

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目 次

第1章 はじめに ................................................................ 3 1. 本ハンドブックについて ................................................... 3 2. 本マニュアルの対象 ....................................................... 3 3. 家庭内の感染を防止するための基本方針 ..................................... 3

(1) そもそも感染しないこと .............................................. 3 (2) 感染しても家庭内に拡げないこと ...................................... 4

第2章 日常の感染防止のために .................................................. 5 1. 感染源を排除する ......................................................... 5

(1) 清掃・消毒の考え方 .................................................. 5 (2) 清掃・消毒のポイント(チェックリスト) .............................. 6

2. 感染経路を遮断する ....................................................... 9 (1) 「接触感染」「飛沫感染」を防ぐ考え方 ................................. 9 (2) 「接触感染」「飛沫感染」予防のポイント(チェックリスト) ............ 10 (3) 「3つの密(密閉・密集・密接)」を避ける ............................ 11

3. 抵抗力(免疫力)を高める ................................................ 15 第3章 感染拡大防止のために ................................................... 18

1. 感染が疑われるとき ...................................................... 18 (1) 感染が疑われたときの考え方 ......................................... 18 (2) 感染が疑われたときの対応(チェックリスト) ......................... 18

2. 感染したとわかったとき .................................................. 20 (1) 感染したときの考え方 ............................................... 20 (2) 感染したときの留意点 ............................................... 20 (3) オンライン診療について ............................................. 21

3. 日常に戻るために ........................................................ 24 (1) 日常生活に戻るための考え方 ......................................... 24 (2) 日常生活に戻るための留意点 ......................................... 24

第4章 感染防止のための個別対応事例 ........................................... 29 (1) 妊婦 ............................................................... 29 (2) 子ども ............................................................. 30 (3) 身体障害者・知的障害者 ............................................. 31 (4) 高齢者、持病や基礎疾患がある方 ..................................... 32

参考文献 ...................................................................... 35

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第1章 ははじじめめにに

1. 本ハンドブックについて

新型コロナウイルス感染症は、家庭内でも広がる恐れがあります。わが国でも、

帰省してきた息子が発熱し、接触があった家族や親せきに相次いで感染が確認され、

「家庭内クラスター」が発生した事例がありました。また、2020 年 5 月 25 日に

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除されたものの、家庭内感染が増え

ているという報道発表も見られます。

本ハンドブックは、SOMPO リスクマネジメント株式会社が、家庭において新型

コロナウイルスへの感染を防止するために望まれる対応等を、一般に公開されてい

る情報等をもとに整理したものです。

まとめられた情報等は、2020 年6月末までの段階でわかっている新型コロナウ

イルス感染症に関するものであり、今後、新しい事実等が判明次第、修正されるこ

とがあります。

2. 本マニュアルの対象

新型コロナウイルス感染症が流行している中、独身の方から扶養家族がいらっしゃ

る方等、お一人おひとりが、それぞれの立場から感染予防等に取り組んでいます。

本マニュアルは、皆さまが取り組んでいらっしゃる感染予防等に係る考え方や対策

等が適切、的確なものかどうかを振り返ることができるように、基本的な事項を網羅

しています。

労働者に対して感染防止等を呼びかけたい事業主や総務・人事部門が、職場にて配

布していただくこともできます。

3. 家庭内の感染を防止するための基本方針

(1)そもそも感染しないこと

一人ひとりが、新型コロナウイルスに感染しないように、感染源となりうるモノや人、

感染するリスクの高い場所等に近づかないこと、また、清掃や消毒等を通じて、それら

を取り除いたり、清潔を保つことが必要です。

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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(2)感染しても家庭内に拡げないこと

どんなに感染予防に取り組んでも、新型コロナウイルスに感染してしまうことがあり

ます。たとえ自分や家族が感染したとしても、それ以上拡げないように治療に努めたり、

外出を避ける等、適切に行動することが必要です。

また、感染が疑われる方や、感染者がいるご家族は、心労が絶えないことと思います。

ご家族は、感染者等を責めず、いたわりながらも、家庭内に拡げないよう具体的に対処

しましょう。

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章 感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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第2章 日日常常のの感感染染防防止止ののたためめにに

新型コロナウイルス感染症は、症状が出現する 2 日前から他人へ感染させる力があ

ると言われています。感染が確定した時はもちろんのこと、感染が疑われる時や、何

も症状がない時でも、他人へ感染させている可能性があります。新型コロナウイルス

への感染防止のためには、一人ひとりが、日頃より、そもそも新型コロナウイルスに

感染しない・他人に感染させないように行動することが重要です。

2020(令和 2)年6月現在、新型コロナウイルスには、飛沫感染(咳やくしゃみ

から出たしぶきを吸い込む)または接触感染(ウイルスがついた手すり等を握り、そ

の手で口や鼻、目を触り体内に入る)によって感染すると言われています。

感染予防の三原則、「感染源を排除する」「感染経路を遮断する」「抵抗力を高める」

に則って、一人ひとりが適切に行動しましょう。それが、家庭でも、社会でも、感染

拡大防止(詳細は第 3 章参考)につながります。

1. 感染源を排除する

「感染源」とは、細菌やウイルス等をもったモノや人のことで、例えばウイルス等

が付着した衣類や家具や、ウイルス等に感染した患者等のことを指します。感染防止

のためには、そもそも感染源に近寄らない、近づかない、触らないためにどうするか

という考え方が重要です。

具体的な対策としては、感染者(感染が疑われる者を含む)の隔離(詳細は第 3 章

参考)や、感染源排除のための清掃や消毒等、衛生的な環境づくりをすることが求め

られます。その他、流行情報の把握、健康観察による早期発見も、感染源を増やさな

い(除去する)ための重要な行動です。

(1)清掃・消毒の考え方

・ 清掃として、手指がよく触れる箇所の消毒のみならず、汚染物(嘔吐物、糞便、

使用済みマスク等)の適切な処理(定期的な掃除等)が重要です。

・ 消毒は、衛生的な環境づくりの手段のひとつとして、非常に重要です。消毒とは、

「生存する微生物の数を減らすために用いられる処置法」です。感染リスクを減

らしますが、微生物をすべて殺したり、すべて除去したりするものではないこと

に留意が必要です。

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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・ 消毒する方法には、大きく2つあります。消毒剤を用いて病原微生物を殺滅する

方法と、熱湯等消毒剤を用いない方法があります。

(2)清掃・消毒のポイント(チェックリスト)

〇 家庭でできる新型コロナウイルスに対する消毒

<消毒の方法>1

・ 80℃10 分の熱湯消毒

新型コロナウイルスへの感染が疑われる方が利用した食器類や衣類、また、感染

リスクが高いと疑われる場所を訪れた際に着ていた衣類は、衣類表示等を確認の

上で、80℃10 分以上の熱湯消毒をしてから洗濯すること。

・ 消毒⽤エタノールによる清拭、0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液による清拭もし

くは 30 分間の浸漬

特に手等皮膚の消毒を行う場合には、消毒用エタノールが望ましい。物の表面の

消毒には、次亜塩素酸ナトリウムも有効であり、ペーパータオル等に十分に消毒

液(消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム水溶液)を含ませて拭くこと。濡

れている場合には水分を十分拭き取った後に消毒を行なうこと。なお、清掃・消

毒に使用する次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素

系漂白剤を希釈して作ることができるが、製品ごとに濃度が異なるので、表示を

確認すること(次頁参考表を参照)。

※ 少なくとも 30 分は 0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬すること。

※ 次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、作り置きができないことに留意する。

※ 次亜塩素酸ナトリウム水溶液を金属部位に使用した場合は、10 分程度立っ

たら水拭きする。なお、清拭・消毒のために次亜塩素酸ナトリウム水溶液の

スプレーボトルでの噴霧は、ウイルス飛散の恐れがあるので好ましくない。

1 滋賀県「家庭、学校、事業所等における新型コロナウイルスに対する環境および物品への消毒につい

て」2020 年 4 月 24 日 https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kenkouiryouhukushi/yakuzi/311496.html

(アクセス日:2020-6-2)、大田原市「新型コロナウイルス感染症予防に関する消毒方法」

https://www.city.ohtawara.tochigi.jp/docs/2020031700036/ (アクセス日:2020-6-10)を参考に当

社作成。

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章 感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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(参考)0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(塩素消毒液)の作り方 2

(出典)厚生労働省、経済産業省、消費者庁「新型コロナウイルス対策 身の回りを清潔にしましょう」

<環境消毒>

家族がよく触れる場所を消毒している

□部屋のドアノブ □スイッチ(照明等) □テーブル □手すり

□リモコン □トイレのレバー □PC・タブレット

□その他、家族がよく触れるところ

□ 上記 家族がよく触れる場所を 1 日1~2回消毒している

□ 消毒には、消毒剤を用いている

□漂白剤(0.05-0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液)

□消毒用アルコールを含んだティッシュ

※漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム水溶液)を使用した場合は,拭いた場所がさ

びるおそれがあるので、消毒後に水拭きをすることが望ましい。

2 静岡市「新型コロナウイルス対策(清浄化)(リネン取り扱い)Ver.2」

https://www.city.shizuoka.lg.jp/000847093.pdf (アクセス日:2020-6-30)

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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<換気>

□ 日中、2~3 時間ごとに窓や扉を開けている

<空間>

□ 症状がある(疑われる)家族とは、部屋を分けている

□ 症状がある(疑われる)家族の部屋を、窓のある換気ができる部屋にしている

<観察(新たな生活様式)>

□ 毎日、朝夕に検温し記録している

□ 1 日の行動、会った人を記録している

□ 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 接 触 確 認 ア プ リ ( COCOA ) COVID-19

Contact-Confirming Application を活用する

当該アプリは、利用者本人の同意を前提に、スマートフォンの近接通信機能(ブルート

ゥース)を利用して、お互いに分からないようプライバシーを確保して、新型コロナウ

イルス感染症の陽性者と接触した可能性について、通知を受けることができるものです。

詳細は、以下のアドレス

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章 感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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2. 感染経路を遮断する

「感染経路」とは、細菌やウイルス等を体内に運ぶ経路のことです。新型コロナウ

イルスは、人の手や口、目を経路として、体内に入ります。一人ひとりが、日頃から

の手洗い(「接触感染」を予防、人は無意識に顔を触っています)、咳エチケット(「飛

沫感染」を予防、感染者の咳やくしゃみ、つばと共に放出されたウイルスを吸い込ま

ないように)、換気等に努め、体内に感染源を入れないようにします。

感染源にさらされないことも重要です。現在のところ、一定条件を満たす場所にお

いて、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。 具体的には、ラ

イブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲ

ストハウス、密閉された仮設テント等です。このことから、屋内の閉鎖的な空間で、

人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)

が発生する可能性が示唆されます。

また、2020 年 5 月 25 日に新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除され

てから、企業内でクラスターが発生していることも確認されています。

クラスターが次のクラスターを生むことによって、感染の急速な拡大を招くと考え

られています 3。そのため、人と人との間が近い場面において、一人ひとりが意識し

て「3密(密閉、密集、密接)」状態を避けることで、多くの感染経路を遮断すること

につながります。

当面は、家庭においても、3密を避け、感染経路を遮断するためにも、家族が“時

間差”で食事をとったり、鍋や大皿に直に箸を入れるやり方から、定食風に小皿に取

り分けて用意する等、食卓の囲み方等にも配慮が求められます。

(1)「接触感染」「飛沫感染」を防ぐ考え方

・ 接触感染は、手にウイルスのついた状態で、口や鼻、目の粘膜部分を触ることで

発生します。人は無意識に顔を触っていると言われ、オーストラリア・ニューサ

ウスウェールズ大が2015年に発表した研究によると、被験者になった26人

の医学生は、1時間に平均23回も顔を触り、粘膜部分は口(4回)、鼻(3回)、

目(3回)の順に多く、粘膜以外では顎、頬、髪が多いとのことです 4。まず手の

清潔を保つことが感染症対策の基本です。そして、洗っていない手でどこでも触

らない、特に顔を触らないことが重要です。

3 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の見解」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html(アクセス日:2020-6-20) 4 福井新聞「新型コロナ感染予防、顔を触る癖に注意を 専門家指摘、ウイルスが粘膜から侵入恐れ」

2020 年 3 月 24 日 午前 6 時 00 分 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1049630 (アクセス日:

2020-6-2)

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

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感染拡大防止のために

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・ 飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみ、つばとともに放出されたウイルスを他者が

口や鼻から吸い込むことで発生します(飛沫は、1~2m飛ぶと言われています)。

口に何もせずに咳やくしゃみをしたり、咳やくしゃみを手でおさえたりせず(手

指にウイルスがついてしまいます)に、咳エチケット(①マスクを着用する(口・

鼻を覆う)。②マスクがないときは、ティッシュやハンカチで口・鼻を覆う)。③

マスクがなく、とっさの時は袖で口・鼻を覆う。)を実践し、他の人と十分な距離

をとることが重要です。

(2)「接触感染」「飛沫感染」予防のポイント(チェックリスト)

〇 接触感染予防

□ 手洗いをしている

□帰宅後 □咳やくしゃみを手でおさえた後 □鼻をかんだ後

□髪、顔を触った後 □調理前・食事前 □トイレ使用後

□その他 マスク等、感染源と接触した後

□ 手洗いは、石鹸と流水で、15 秒~30 秒以上行っている

□ 個人用タオルを使用している(共用タオルを使用しない)

□ 来訪者に手洗い、消毒を勧めている

□ゴミに直接ふれない

□ゴミに直接ふれないように、ゴミ箱にビニル袋をかぶせている

□ふたに⼿を触れずに廃棄できるゴミ箱を使っている

□ゴミでいっぱいになる前に、ビニル袋をしばって封をして捨てている

□ゴミ袋を捨てた後に、手を洗う

□ 手で顔に触れていない

〇 飛沫感染予防

□ マスクを正しく使用している

□マスクのひだが下向きになるよう装着している

□マスク上部と鼻にすきまがないよう装着している

□マスク下部を伸ばしあごの下まで覆っている

□マスクの着脱時には耳にかけた紐の部分に指をかけてつかんで外している

□ マスクがない場合

□咳やくしゃみをする時、他⼈から顔をそむけ1メートル以上離れている

□使⽤した紙・ティッシュは、すぐにゴミ箱に捨てて⼿を洗っている

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

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□ティッシュがないときは、洋服の袖や上着の内側、ひじの内側で⼝・⿐を

覆っている

(3)「3つの密(密閉・密集・密接)」を避ける

「3つの密」とは、新型コロナウイルスへの集団感染が発生した事例の共通点であ

る以下 3 つの条件を言います。

1)密閉空間(換気の悪い密閉空間である)

2)密集場所(多くの人が密集している)

3)密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)

これら3つの条件が同時に重なる場は、接触感染や飛沫感染が発生するリスク、感

染を拡大させるリスクが高いと考えられています。3つの条件が同時に重なることが

手で顔を触り、目・口・鼻から新型コロナウイルスに感染することが懸念さ

れています。顔に触れないために、工夫も必要です。

顔に触れないためのヒント

敏感になる

□顔に触りそうになったら周りの人に注意してもらう

□顔に触りそうになったら気づくようにブレスレットをする

他者を助ける

□あなたの大切な人のためにあなたの顔をさわらせないようにする

□他の人が顔をさわっていたらそっと教えてあげる

手を他のことに使う

□自分の手はポケットにいれておく

□手に何かを持っておく(小さなボールとかカード等)

□顔をさわりそうになったら 1 分間握りこぶしをつくる

姿勢をかえる

□テーブルに肘をつかない

□肘掛けのない椅子に座る、長椅子の真ん中あたりに座る

□自分の顔に触りそうになったら、手のひらをお尻の下に入れて座る

リラクゼーションの実践

□長くゆっくりと深い呼吸をし、緊張を感じる筋肉をリラックスさせる

□静かな場所に座って、(過去や未来ではなく)今この瞬間に集中する

□他の人から安全に距離をとった自然の中、例えば樹の下に座ったりし

て時間を過ごす

(出典)日本認知心理学会「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡散を防ぐための行動科

学者からのヒント」http://cogpsy.jp/archives/info/psrfti2020 (アクセス日:2020-6-3)

【コラム①】顔に触れないために

参考文献 第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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重要なのではなく、どれか 1 つでも当てはまれば、感染するリスク、集団感染が発生

するリスクが高まるため、これらのリスクを減らすことが必要です(下図参照)。

( 出 典 ) 厚 生 労 働 省 「「 3 つ の 密 を 避 け ま し ょ う 」 を 公 表 し ま し た 。( 3 月 28 日 )」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#kokumin

新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、新型コロナウイルスを

想定した「新しい生活様式」の実践例が提示されています。これらを参考に、ご自身

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章 感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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や、ご家族の生活に合った「新しい生活様式」を取り入れてみましょう。

(参考)新しい生活様式 5

5 厚生労働省「新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例を公表しました。」(6月 19

日に一部の記載を変更)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html (アクセス日:

2020-6-30)

参考文献

第1章

はじめに

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日常の感染防止のために

第4章

感染防止のための個別対応事例

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感染拡大防止のために

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(出典)SUUMO ジャーナル 「新型コロナウイルス感染、マンションの管理組合はどう備える」5/12(火)

7:00 配信 https://suumo.jp/journal/2020/05/12/172520/ (アクセス日:2020-6-24)、

一般社団法人マンション管理業協会「マンション管理会社の感染症等流行時対応ガイドライン」令和 2

年 2 月 27 日改訂

マンションの管理組合は、管理会社に、エレベーターの換気扇を稼働させる

こと、エントランス扉の取っ手やエレベーターの操作盤の消毒を依頼する必

要があります。エントランスなどに消毒液を用意したり、感染予防に関する

情報を掲示版などに掲示したりすることも必要です。

規模が大きいマンションの管理組合は、マンションがクラスターの発生にな

らないように、集会室などの共用施設を閉鎖することが望まれます。

万一、感染者の発生を知った場合、管理組合は、プライバシーの保護に留意

しましょう。マンション内で感染者探しやバッシングの発生につながらない

ように、うっかり部屋番号等を話さないよう注意することが必要です。

感染が判明した場合、当人は病院に入院したり、宿泊療養施設に移ったりし

てマンションにはいない時があります。また、感染を管理組合や管理会社に

報告する義務はないので、状況を把握することは難しいでしょう。保健所か

らの指導があれば、従いましょう。消毒を指示されたら、管理組合や管理会

社は、保健所の助言を得て消毒事業者を手配しましょう。

【コラム②】マンション等の集合住宅にお住いの方(管理組合の方)の留意点

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章 感染防止のための個別対応事例

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感染拡大防止のために

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3. 抵抗力(免疫力)を高める

抵抗力の低い人として、高齢者や子ども、持病や基礎疾患がある人が挙げられます

が、若者や、元気な人でも、疲労や睡眠不足等が重なると、抵抗力が下がります。

新型コロナウイルスのワクチンがない中では、抵抗力を高めるために、一人ひとり

がバランスのよい食事をとること、適度な運動をすること、規則正しい生活習慣に努

めることが重要です。

〇 免疫力を高める食事のポイントならびに日常生活で気を付けること 6

免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなるだけでなく、悪化するリスクも高

まります。免疫力の要となる免疫細胞の 60~70%は腸にあるといわれています。つ

まり、腸内環境を良好に保つことが、免疫力の低下を防ぐことがポイントの一つにな

ります。腸内環境を整えるだけでなく、免疫細胞自体に働きかける食品を摂ることも

必要です。

<食事のポイント>

・ タンパク質を含む食品を摂取する

筋肉・臓器・皮膚等、体を構成する成分であるほか、抗体等免疫に関わる構成成

分としての役割も持つため、丈夫な体をつくるためには、毎日しっかりとること

が重要です。

肉類、魚介類、卵、大豆製品 等

・ 腸内環境を整える食品を摂取する

人の腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌(善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方

する)と大きく分けて 3 つの菌群で構成されています。その一つである善玉菌は、

体に悪影響を及ぼす悪玉菌が増えるのを抑え、腸の運動を活発にし、食中毒菌や

病原菌による感染を予防する働きがあると言われています。

〇善玉菌を多く含む食品:ビフィズス菌や乳酸菌等善玉菌を含む食品をとること

で、腸内環境が整い、免疫細胞を活性化することができます。

ヨーグルト、乳酸菌飲料、発酵食品 等

〇善玉菌を増やす作用をする食品:食物繊維やオリゴ糖等、善玉菌のえさとなる

6 日本成人病予防協会「感染症を予防するためにできること《臨時》~感染症~2020 年 3 月【臨時】」2020

年 3 月 12 日更新 https://www.japa.org/tips/kkj_2003_ex/ (アクセス日:2020-6-2)

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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成分を含んだ食品をとることで、善玉菌を増やすことができます。

野菜、果物、ごぼう、玉ねぎ 等

・ バランスの良い食事をとる

エネルギー及び栄養バランスの取れた食事の基本は、主食・主菜・副菜が揃っ

ていることです。

【主食】ごはん・パン・麺等

【主菜】卵・肉・魚・大豆製品等を使ったおかず

【副菜】野菜・海藻・きのこ等を使ったおかず

【汁物】汁物は塩分を多く摂りがちなので、具を多めにし、汁を少なめにする

のがおすすめ

<日常生活で気を付けること>

・ 規則正しい生活をする

1 日 3 度のバランスのよい食事と十分な休息は、免疫力をアップさせます。

・ 体温を上げる

運動や入浴の習慣をつけることで、体温が上がり免疫細胞が活性化しやすくなり

ます。また、ウイルスや病原菌の多くは、体温が上がると増殖能力が低下すると

考えられています。

・ 適度な湿度を保つ

空気が乾燥していると、のどの防御機能が低下します。加湿器等を使用して、50

~60%の湿度に保ちましょう。

一人ぐらしは、病識を持ちにくく、「自分ひとりなら何とかなる」と思いが

ちです。一人ぐらしの部屋で急激に症状が悪化することもありえます。家族

や会社等に、健康状態等をこまめに連絡するようにしましょう。

もし、感染が疑われる症状が出た場合、外出を避ける必要があり、食事等日

常生活に困る恐れがあります。今回の流行で、「なくなったら困る」と思っ

たモノをリストアップし備蓄を心がけましょう。防災対策と同様に、長期保

存できる非常食を少しずつ用意しましょう。

そして、日頃より毎朝・晩の検温と、その日に誰と会ったかメモをすること

を習慣づけましょう。

【コラム③】一人ぐらしの備え(独身社員は要注意)

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章 感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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- 17 -

(出典)日本うつ病学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、ここ

ろの健康維持のコツ:先の見えない中であっても、日常の生活リズムには気をつけよう」2020 年 4 月

7 日 https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/2020-04-07-2-covid-19.pdf ( ア ク セ ス 日 :

2020-6-10)を参照。

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、感染による死を身近に感じます。

自分も感染するのではないかという不安を感じます。不安や恐れがふくらむ

と、正しい知識が持てなくなったり、悪い情報にばかり目が向き、流言(デ

マ)の影響を受けやすくなったりします。不安が抑うつ的な感情を生み、以

前よりうつ病を患っている人は、より悪化する恐れもあります。

いまの感情は、自分だけではなく、同僚や家族等誰にでも起こっているんだ

と理解しておくだけで、気持ちに余裕が生まれます。余裕があると、視野が

広がり、判断の偏り等を避けられます。

精神的な安定には、自己管理も必要です。

決まった時刻に起きる

外出できない場合は、2 時間は窓際で過ごす(日光を浴びる)

「3密」を避けられるなら、一定時間を屋外で過ごす

日課を設定する

毎日同じ時間に食事をする

電話等で人とコミュニケーションをとる

30 分を超える昼寝や、夜間にスマートフォン等の光を浴びるのを避け

る(質の良い睡眠をとるために)

【コラム④】抑うつ、うつ病を未然に防ぐ・悪化を防ぐ

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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第3章 感感染染拡拡大大防防止止ののたためめにに

1. 感染が疑われるとき

(1)感染が疑われたときの考え方

自分自身や、家族の中で風邪のような症状が数日続く方がいるときは、外出を控え

るのみならず、同居する家族と接触する機会も極力減らします。家庭の中では、感染

予防(第 2 章)の考え方等をふまえて、家族がよく触れる手すりやドアノブの消毒等

をこまめに行い、家族がウイルスに触れる機会を減らします。症状がみられる方は、

気になる体調の変化をメモしましょう。

熱が下がらなかったり、強いだるさ(倦怠感)が続いたりする場合、「帰国者・接触

者相談センター」や、かかりつけ医に電話をし、PCR 検査を受ける必要があるかどう

か判断を仰ぎます。

(2)感染が疑われたときの対応(チェックリスト)

〇 自宅で療養する/自宅で感染が疑われる家族を看病する際の注意点

□発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える。どうしても

外出するときは必ずマスクをする。

□発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録する。

□スーパーやコンビニへ行く代わりに、宅配サービスを利用する。

□出前は使い捨ての容器で提供してもらう。受け取るときは直接の接触を避ける。

□介助・介護ヘルパーや家事代行サービスを利用する際、体調不良は事前に説明し、

相手に感染予防を促す。

□感染が疑われる者が療養する部屋を分け(隔離)、看病する人を 1 人に限定する。

□感染が疑われる者が触ったドアノブや手すりは、アルコールを浸した紙でふき取る。

□1~2時間おきに窓を開けて換気する。

□基礎疾患(持病)があり症状に変化がある方、新型コロナウイルス感染症以外の病

気が心配な方は、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医に電話で相談する。

□オンライン診療が可能かどうか、かかりつけ医に連絡する。

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章 感染防止のための個別対応事例

第3章

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〇 帰国者・接触者相談センターに相談する目安 7

風邪やインフルエンザ、急性胃腸炎(ノロウイルス感染症等)では、発症から 3~4

日目までをピークに改善傾向に転じるのが一般的ですが、新型コロナウイルス感染症

では、それらよりも症状が長く経過するという点で異なります 8。

1.少なくとも以下のいずれかに該当する場合にはすぐに相談する。

□ 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかが

ある場合

□ 重症化しやすい方(※)で、発熱や咳等の比較的軽い風邪の症状がある場合

(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)等の基礎疾患がある

方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方

□ 上記以外の方で発熱や咳等比較的軽い風邪の症状が続く場合(症状が 4 日以

上続く場合は必ず相談する。症状には個人差があるので、強い症状と思う場合

にはすぐに相談する。解熱剤等を飲み続けなければならない方も同様。)

□ 帰国者・接触者相談センターの他、地域によっては、医師会や診療所等で相談

を受け付けている場合もある(例:地域外来・検査センター)ので、問い合わ

せてみる。

2.妊婦の方

□ 重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センター等に相談する。

3.お子様がいる方

□ 帰国者・接触者相談センターや、かかりつけ小児医療機関に電話等で相談する。

○ 帰国者・接触者相談センターより帰国者・接触者外来を担う医療機関を紹介された

方(かかりつけ医等から地域外来・検査センターを紹介された方)

□ 帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診する。

□ 複数の医療機関を受診することは控える。

□ 医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳

やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻

をおさえる)を徹底する。

7 (出典)神奈川県健康医療局保健医療部健康危機管理課「帰国者・接触者相談センターにご相談いた

だく目安」掲載日:2020年 5月 11日 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/indication.html#

(アクセス日:2020-6-10)をもとに当社作成。 8 (出典)一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会「新型コロナウイルス(COVID-19)診療所・病

院のプライマリ・ケア 初期診療の手引き」10-7 オンライン診療 p.10 を参照。

参考文献

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日常の感染防止のために

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2. 感染したとわかったとき

(1)感感染染ししたたととききのの考考ええ方方

帰国者・接触者外来を担う医療機関にて医師の診察を受け、医師の判断にもとづい

て PCR 検査を受けます。その結果、新型コロナウイルスに感染しているかどうかがわ

かります。

これまでにわかってきたデータでは、感染が確認された症状のある人の約80%が

軽症、14%が重症、6%が重篤となっています。しかし、重症化した人も、約半数は

回復しています。重症化する患者さんも、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳

等)から始まっており、その段階では重症化するかどうかの区別がつきにくいです。

重症化する患者さんは、普通の風邪症状が出てから約5~7日程度で、症状が急速に

悪化し、肺炎に至っています 9。

新型コロナウイルスに感染し、症状が重い場合は、入院することになります。風邪、

インフルエンザ、急性胃腸炎のいずれも、肺炎等の入院を要する状態に至ることは比

較的稀です。入院を要するような肺炎を約 2 割という高い確率で合併するのが、新型

コロナウイルス感染症の特徴です 10。

一方、感染していても軽症だったり、無症状だったりする場合は、宿泊施設または

自宅での療養になります。感染者の症状に係るこれまでの情報をふまえると、多くの

方が宿泊施設または自宅での療養が求められる可能性があります。

自宅療養になった場合、先述した「1.感染が疑われるとき」と同様に対処します

が、同居する家族の中には、子どもや介護が必要な高齢者や、基礎疾患がある方等、

一般的に抵抗力(免疫力)が弱いといわれる方がいるかもしれません。対応に困った

場合は、自治体や保健所、医療機関等の公的機関に相談しましょう。保護者が新型コ

ロナウイルスで入院し、子どもが取り残されるような事態を防ぐため、子どもを一時

保護する専用の児童福祉施設を設置する自治体もあります(例:神奈川県)。

(2)感染したときの留意点

□ 医療機関の指示に従う

重症度によって振り分けられるため、無症状・軽症の場合は入院ではなく、

宿泊施設もしくは自宅での療養を指示される場合がある。

□ 宿泊施設または自宅での療養

9 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の見解」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html(アクセス日:2020-6-20) 10 (出典)一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会「新型コロナウイルス(COVID-19)診療所・病

院のプライマリ・ケア 初期診療の手引き」10-7 オンライン診療 p.10 を参照。

参考文献

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宿泊施設もしくは自宅での療養が選択できる場合は、宿泊施設での療養を選

ぶことが望ましい。(宿泊施設を利用することで家族(同居者)への感染リス

クを回避すること、および容体急変への対応が円滑となる。)

□ 自宅療養を行う場合、家族(同居者)が、基本的には濃厚接触者に当たるた

め、患者の自宅療養解除日から、さらに 14 日間の健康観察期間が求められ

ることがある。

□ 自宅療養中は、医師より、電話等情報通信機器を用いて、遠隔で 定期的に 1

日2回を目安に、健康状態の把握や患者からの相談受付が行われる。

(出典)厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第 2.1 版 2020」図 1-2

新型コロナウイルス感染症の経過, p.6, 2020 年 6 月 17 日発行

(3)オンライン診療について

新型コロナウイルス感染症が蔓延することで、風邪の症状にみえる軽症の感染者が

診察を受けるために悪意なく来院したり、持病があって定期的に通院している患者が、

医療機関に出向いて診察を受けることを控えようとする状況が見受けられました。

厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症緊急対策」を踏まえ、定期通院患者の院

内感染防止及び風邪様症状の患者の受診機会を確保する目的で、初診からのオンライ

ン診療を特例的に認める方針としました。これにより、新型コロナウイルス感染症の

疑い例と確定例の一部でも、オンライン診療を行えるようになりました 11。

11 本項(3)は、一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会「新型コロナウイルス(COVID-19)診療

参考文献

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〇今回認可されたオンライン診療の要件や手続き等

□(手段)電話またはビデオ通話のいずれか

□(対象疾患)制限なし

□(要件)患者が電話等による診療等を求め、医師が電話等の診療・処方が可能と

判断した場合

□ 患者は、オンライン診療が可能かどうか、かかりつけ医等に確認する。

□ オンライン診療が可能な場合

□ 患者は、被保険者証の写しを FAX または電子メールで医療機関に送付する。

□ 送付できない場合は,被保険者証の券面記載事項を電話により口頭で伝える。

ビデオ通話の場合、患者は被保険者証を画面に提示する。

【参考図】オンライン診療の提供範囲 12

(注)黄色い破線で囲まれている患者は、オンライン診療が可能

※1 新型コロナウイルスの感染者との濃厚接触が疑われる患者、新型コロナウイルス疑似症を有し新

型コロナウイルスへの感染を疑う患者では、症例定義等を参考に、帰国者・接触者相談センター

に相談することを勧奨。

※2 診断医から、かかりつけ医(プライマリ・ケア医)への情報提供が必要

所・病院のプライマリ・ケア 初期診療の手引き」10-7 オンライン診療 pp.36-40 を参照。 12 一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会「新型コロナウイルス(COVID-19)診療所・病院のプラ

イマリ・ケア 初期診療の手引き」10-7 オンライン診療 図 4 p.36

参考文献

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(出典)環境省「新型コロナウイルス感染情報(ペットを飼っているみなさま、ペット関連事業事業者

のみなさまへ)https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/coronavirus.html(アクセ

ス日:2020-7-1)、公益社団法人東京都獣医師会「新型コロナウイルスに感染した人が飼っているペ

ットを預かるために知っておきたいこと(Ver.4)」

https://www.tvma.or.jp/public/items/1-Ver4.20200709.pdf (アクセス日:2020-7-10)を

もとに当社作成。

ペットを飼っている感染者の中には、以下のような事態に困っていた方が見

られます。ペットの中でも猫は、新型コロナウイルスに感染することは間違

いなく、犬も感染する可能性があると言われています。猫から人への感染は

確認されていませんが、濃厚接触で感染することはありうると考えられてい

ます。

飼っているペットを預けられず治療が遅れた、犬や猫以外のペットを預

かるペットホテルが少ない。ペットへの消毒や他のペットからの隔離等

から、ペットホテルに預けると高額になることがある。等

そのため、以下のような対応が望まれます。

家族以外は、ペットに触らない。触った後は、手を洗う。

ペットとキス等の濃厚接触を避ける。

まめにペットのシャワーをする。

屋外につながず室内で飼う。

散歩の際に、ペット同士を接触させない。

ペットの預け先を決める。ペット保険や、ペット預かりサービス等の特

約を結ぶ。等

【コラム⑤】ペットを飼っている方の注意点

参考文献

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はじめに

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日常の感染防止のために

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3. 日常に戻るために

(1)日常生活に戻るための考え方

国内外の知見によれば、新型コロナウイルスに感染し、発熱等の症状が出てから7

日~10 日程度経つと、感染者の感染性は急激に低下し、たとえ PCR でウイルスが検

出される場合でも、感染性は極めて低いとされています。

そのため感染者は、10 日~2 週間程度経過すると回復し、療養生活、入院生活から

日常の生活に戻りますが、その中でも、特に高齢者には、筋力の低下が顕著です。感

染前の体力に戻るように、少しずつ運動に励みましょう。

社会的にも、学校や職場等に復帰しますが、医療機関のみならず、学校関係者や事

業者等と相談しながら、徐々に社会生活を取り戻しましょう。

(2)日常生活に戻るための留意点

厚生労働省は、発症日及び症状軽快からの時間経過など退院等の基準を通知してい

ます。万一、自分や自分の家族が新型コロナウイルスに感染した場合に、いつ頃から

日常生活に戻るのかを理解する目安となります。

〇医療機関に入院した場合の退院基準ならびに宿泊療養等の解除基準 13

1.症状がみられる方(有症状者)の場合

①発症日(患者が症状を呈し始めた日)から 10 日間経過し、かつ、症状軽快(解

熱剤を使用せずに解熱しており、呼吸器症状が改善傾向である場合)後 72 時

間経過した場合、退院可能とする。

②症状軽快後 24 時間経過した後、24 時間以上間隔をあけ、2回のPCR検査で

陰性を確認できれば、退院可能とする。

2.症状がない方(無症状病原体保有者)の場合

①検体採取日(陽性確定に係る検体採取日)から 10 日間経過した場合、退院可

能とする。

②検体採取日から6日間経過後、24 時間以上間隔をあけ2回の PCR 検査陰性を

確認できれば、退院可能とする。

※ 自宅や宿泊施設の療養解除基準も、退院基準と同様である。

13 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者

の退院及び就業制限の取扱いについて」(一部改正)(健感発0612第1号令和2年6月12日号厚生

労働省健康局結核感染症課長通知)

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なお、退院する際には、病院側より以下のような留意事項が配布されます。

(出典)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部「「医療機関における「新型コロナウイルス

の陰性が確認され退院される患者の方々へ」の配布について」事務連絡 令和2年3月6日より抜粋。

〇職場復帰に際しての目安 14

厚生労働省の事務連絡により、感染症法第 18 条に基づく就業制限の解除は、前

述の宿泊療養および自宅療養の解除の基準を満たすこととして差し支えないとされ

ています。

具体的には、宿泊療養および自宅療養を開始した日から、14 日間経過したときに

就業制限を解除されていましたが、退院基準が 14 日から 10 日に変更(脚注 12

参照)になっていることから、職場復帰までの日数も短縮していくと予想されます。

<職場復帰にあたっての留意点>

原則として、事業者との協議や就業規則等をふまえて行動する。

14 一般社団法人 日本渡航医学会及び公益社団法人 日本産業衛生学会「職域のための新型コロナウイル

ス感染症対策ガイド 第 2 版」作成日:2020 年 6 月 3 日 p.13 より当社作成。

参考文献

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□ 職場復帰にあたり以下の 2 点の両方またはいずれかを満たしていること。

□ 発症後に少なくとも 14 日が経過している。

□ 薬剤*を服用していない状態で、解熱後および症状**消失後に少なくても3日が

経過している。

*解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤 **咳・咽頭痛・息切れ・全身倦怠感・下痢等

□ 入院していた場合は、退院時に主治医からの指示を参考にする。

□ 職場復帰に際し、1 週間程度の在宅勤務を行ってから出社することが求められる

ことがある。

□ 在宅勤務が困難な場合、復帰後1週間は、毎日の健康観察、マスクの着用、他人

との距離を 2m程度に保つ等の感染予防対策や、体調不良を認める際には出社は

しないことが求められることがある。

□ 職場復帰時、医療機関に「陰性証明書」や「治癒証明書」の発行を求めないこと

□ 勤務先から「陰性証明の取得」を指示されて検査を希望する問い合わせが増えて

いるが、医師や自治体に PCR 検査が必要と判断された方のみ、検査が行われると

理解すること。

□ PCR 検査の診断特性(感度・特異度)は確立されておらず、感度が低い(※)

ため、現時点では PCR 検査では医学的に陰性を証明できないと理解すること。

※ 「感度が低い」ということは、新型コロナウイルス感染症患者であるにもかかわらず、誤って

陰性となり見逃される患者が一定数出ます。したがって、新型コロナウイルス感染症が疑わ

れる場合に、最も重要なことは、検査結果のいかんに関わらず、外出を控えることです。

〇差別や偏見、誹謗中傷等を受けたとき

新型コロナウイルスには、未知の部分が多くあります。そのため、感染することへ

の不安や、「感染者は自粛のルールを守らない人」という誤った認識が一部で高まりま

した。その中には、「感染者」として特定されたり、感染者でなくとも間違って「感染

者」とみなされて、ネット掲示板や SNS 等に中傷を書き込まれた方もいます。

根拠のない虚偽の風聞で他人を貶める行為は名誉棄損にあたる恐れがあります。た

とえ実際に感染していたとしても、他人の病歴をさらす行為はプライバシーの侵害に

あたる恐れがあります。もし差別や偏見、誹謗中傷等を受けた場合は、一人で抱え込

まず、専門機関等(次頁参考)の窓口や電話、インターネットを通じて相談をしまし

ょう。

参考文献

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(例)全国各地の法務局による人権相談・救済制度

(出典)法務省人権擁護局、全国人権擁護委員連合会「法務局による相談・救済制度のご案内」(詳細

版リーフレット)

〇新型コロナウイルス感染症の治療に係る治療費ならびに仕事を休んだ場合の補償

(傷病手当金等)について

<治療費等>

結論から言いますと、新型コロナウイルス感染症が、その蔓延を防止するために

指定感染症 15となっていることから、罹患したかどうかを判断する PCR 検査費、

及び入院等にかかる治療費は、現在のところ全て公的負担となっており、本人の費

15 根拠法令は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)。

新型コロナウイルス感染症が流行している期間に、医療関係者や運送業等社

会機能維持関係者とその家族の来訪、登園、登校を禁止する差別や偏見等の

言動が問題視されました。

職場の中にも、同居する家族の中に、医療機関等で勤務している同僚がいる

と思われます。そうした同僚に対する差別や偏見のような言動が見られた場

合は、ハラスメントの恐れがあること、悪質ならば職場から厳重な注意や処

分を受けることもあると注意を促しましょう。そして、自らもハラスメント

の加害者にならないように、感染症を科学的に理解し、正しく恐れましょう。

【コラム⑥】感染した従業員へのハラスメントを防ぐ

参考文献

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用負担はありません 16。

感染症医療費助成制度がありますので、助成を受けようとする方は、お住まいの

地域にある保健所に、どのような関係書類を提出する必要があるのか等を確認しま

しょう 17。

<傷病手当金等> 18

新型コロナウイルスに感染した場合、入院等により 10 日間以上の休業になる恐

れがあります。そのような場合に備え、多くの正社員や、一定の要件を満たすアル

バイトやパートタイマーも受け取れる「傷病手当金」という仕組みがあります。業

務外の病気やケガで働けなくなった場合に、全国の健康保険組合や全国健康保険協

会(協会けんぼ)から支給されます。

業務内にて新型コロナウイルスに感染して仕事を休む場合は、労災保険(労働者

災害補償保険)の対象となり、「休業補償給付」を受けられます。新型コロナウイル

スの場合、感染経路が判明し、業務によると明らかに認められる場合は対象になり

ます。経路が判明しなくとも、接客の多い職場等、感染リスクが相対的に高い環境

で働いていた場合は、労働基準監督署が個別に判断します。

業務内であっても、業務外であっても、勤務先の総務人事や関係機関と相談して

対応をしましょう。

16 厚生労働省健康局結核感染症課「感染症法第 42 条の規定に基づく入院患者の療養費の支給について」

健感発 0526 第1号令和2年5月 26 日、厚生労働省健康局結核感染症課長「新型コロナウイルス核酸検

出の保険適用に伴う行政検査 の取扱いについて」健感発 0304 第5号令和2年3月4日 17 例えば東京都の「感染症医療費助成制度」ホームページでは、関係書類として医療費公費負担申請書、

入院勧告等の通知の写し、世帯員の各種所得証明書の提出が求められています。公費負担額は、認定期

間(勧告・措置による入院期間)中の医療に要する費用とあります。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/iryo/josei/joseiseido.html 18 厚生労働省保険局保険課「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について」事務連絡令

和2年3月6日、厚生労働省労働基準局補償課長「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱

いについて」基補発 0428 第1号令和2年4月 28 日、読売新聞「傷病手当金とは コロナで休業にも支

給 業務なら労災保険の対象」2020 年 6 月 18 日

参考文献

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第4章 感染防止のための個別対応事例

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第4章 感感染染防防止止ののたためめのの個個別別対対応応事事例例

家庭内の感染防止に係る対応の基本は、感染源に触れないこと、たとえ感染源が入

ってきても、迅速に取り除くことです。特に、家庭内に妊婦や高齢者、基礎疾患等、

感染した場合に重症化するリスクが高い方には、新型コロナウイルスに感染した家族、

または感染が疑われる家族の看病をさせないようにすることが肝心です。

新型コロナウイルス感染症が蔓延した時期に、特に重症化するリスクが高い方とそ

の周囲の家族等には、いろいろな留意点があります。こうした方々が直面した問題等

を振り返り、望まれる対応や配慮等を以下にまとめます。

(1)妊妊婦婦

現在のところ、感染によって流産や早産等のリスクが高まるとの報告はない。感

染した母親の妊娠・分娩で、母子ともに重症化の報告はなく、母子感染はまれであ

る。ただし、妊婦が肺炎になった場合は重症化する恐れがあり、妊娠中には投与で

きる薬等に制限があるため、感染予防に努めることが求められる。

〇事例

都市部の妊婦が里帰り出産を断られたケースが見受けられた。日本産科婦人科学

会は 4 月、感染拡大防止の観点から、里帰り出産を避けるように呼びかけた。

妊婦が、通勤中や仕事中に新型コロナウイルスに感染することを恐れている。

〇対応例

妊婦に、感染が疑われる家族や感染した家族の看病をさせない。

里帰り出産については、妊娠の早い段階から主治医と出産に係る対応を相談して

決定する。

妊婦が仕事中の感染を恐れてストレスを感じた場合、医師らの指導にそって、在

宅勤務や休業等を企業に相談する。

企業は、休業等を認めるように義務付けられた(2020 年 5 月 7 日から適用。

来年 1 月までの暫定措置。男女雇用機会均等法への追加規定。)。

※詳細は、日本産婦人科感染症学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について 妊娠中

ならびに妊娠を希望される方へ」令和 2 年 5 月 25 日第 10 版を参照。

参考文献

第1章

はじめに

第2章

日常の感染防止のために

第4章

感染防止のための個別対応事例

第3章

感染拡大防止のために

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(2)子ども

子どもの重症化リスクは低く、重症例や集団感染例はほとんど見受けられない。

日本川崎病学会(2020 年 5 月 7 日声明)によると、欧米各国から川崎病に類似し

た症状を示す小児患者の増加という報道が見受けられたが、日本では川崎病症例の

増加や類似症例は見られていない(2020 年 2 月~4 月)とのことである。

〇事例

仕事等で外出する親たちを介してうつる「家庭内感染」が見受けられた。

〇対応例

外出先から帰宅した家族が、感染源を家に持ち込まないように、手洗いや消毒を

する。

家のおもちゃや本等を介して接触感染するため、手洗いと消毒を徹底する。

子どもの重症化リスクは低いため、むしろ親が過敏になって、過度なストレスを

与えないようにすることが望まれる。

2 歳未満の乳幼児に、マスクをつけない。窒息や熱中症のリスクが高まりむしろ

危険である。

子どもが発熱した場合は、新型コロナの感染以外の、他の重い病気を発症してい

る恐れがあるので、かかりつけ医等に相談する。

子どもが発症しても、症状が軽い場合は、自宅や宿泊施設等で療養がのぞましい。

保護者が感染して入院する場合、児童福祉施設に子どもを一時的に保護してもら

えるかどうか自治体に相談する。

(出典)公益社団法人日本小児科学会、一般社団法人日本子ども虐待防止学会、一般社団法人日本子ど

も虐待医学会「お⼦様と暮らしている皆様へ」2020 年 4 月 6 日、日本小児科医会ホームページ、なら

びに「2 歳未満のマスクは不要で、むしろ危険である」2020 年 5 月 25 日、読売新聞神奈川県版「小

児受け入れ機関整備 県、30~40 か所想定」2020 年 5 月 13 日をもとに当社作成。

お⼦様の学校の休みも⻑くなり、親も⼦も不安が募り、気持ちが滅⼊ってし

まい、感情的に⼦どもに当たることが増えたり、親⼦で⼀緒にいることが⾟くなる恐れがあります。

心構え、心を落ち着かせる方法を知ることも大切です。

⾃⾝の苛⽴ちを⼼の中の感情温度計をイメージして⾃覚する

夫婦やご家族で不安や苛⽴ちについて話し合う

⼦どもの不安・ストレスを理解するように努⼒する

⼦どもに新型コロナウイルス感染症について説明する

⼦どもを怒るより褒めることを⼼がける

⼦どもが⾃分で決めたり、選んだりするのを助ける 等

【コラム⑦】親子で過ごす時間に気持ちを落ち着かせるために

参考文献

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日常の感染防止のために

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感染拡大防止のために

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(3)身体障害者・知的障害者

〇事例

肢体不自由な方

車いすのハンドリムを必ず触るため、消毒してもすぐに汚れる。

車いすの利用者は、健常者よりも低い位置にいるため、健常者の咳や会話の飛

沫が降ってくる。

手が不自由なため、マスクが外れた際に、自力で着用することができない。

様々なところで消毒薬が用意されているが、車いすでは届かない高さに置かれ

ていることが多い。

(在宅勤務に関して)パソコン越しのコミュニケーションでは障害を理解して

もらいづらい。また、できない仕事とできる仕事の理解も、関係者にしてもら

い難い。遠隔会議でも、タイピングが遅いためメモをとりづらい。

(時差出勤に関して)ノンステップのバスの時間が決められているため、時間

をずらせない。

視覚障害の方

日常生活では物を触って確認することが多いため、接触感染が心配された。

店頭にマスクの在庫等紙が張り出されていても確認ができなかった。

(在宅勤務に関して)どうしても視覚に頼らざるを得ない資料が必要なときに、

周囲のサポートを受けられにくい。

(遠隔会議に関して)会議に使用するソフトが画面読み上げに対応しておらず、

会議に出席するまでのパソコン操作が困難である。

聴覚障害の方

相手がマスクをしていると口の動きが分からないため、会話ができない。相手

にマスクを外してほしいとお願いすると、露骨に嫌な顔をされることを経験し

た。

問い合わせ先等が電話しかない場合、コミュニケーションがとりづらい。

(在宅勤務等に関して)電話会議が難しい。音声が粗くて聞こえない、画像が

荒くて、口元が見えない。

知的障害・発達障害の方

どの情報が正しく、そうでないのか分からずパニックになる。

ウイルスの流行という概念が分からず、マスクの着用を拒否する。介助者のマ

参考文献

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スクも取ってしまう。

外出自粛が困難である。外であちこち触った手で介助者の顔や体をいっぱい触

ってしまう。

飛び出し防止のため、介助者は、外出時は常に密着している必要がある

通所自粛のため家にいるが、なぜ家にいるのかわかっておらず、テンションが

高くなったり、落ち込んだりして目を離せない。

(在宅勤務に関して)平日の日中に 1 人で自宅に居ると集中がなかなかでき

ず、思うように仕事が進まない。

〇対応例

車いすを利用している方とのコミュニケーションでは、姿勢を低くして、相手と

目線を合わせて話をすることが望ましい。

視覚障害や聴覚障害のある方とのコミュニケーションでは、口の動きが見える透

明なフェイスシールドを着用したり、飛沫が飛ばないように、ゆっくりと、口を

大きく動かして話すことが望ましい。

運動等の機能を維持する訓練も兼ねて、1~2時間は介助者の手も借りて散歩を

する。介助者は、マスク着用等の感染予防を徹底して付き添う。

マスクを着用したり、手を洗ったりしたら褒めたり、ご褒美をあげたりして、行

動変容に努める。

(出典)株式会社ミライロ「新型コロナウイルスの影響実態調査」2020 年 4 月 3 日をもとに当社作成。

(4)高齢者、持病や基礎疾患がある方

高齢者は重症化リスクが高く、致死率も高い(次頁参照。60 歳代以上で急激に増え

て、致死率が高くなっている)。同様に、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)

等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている

方も、重症化リスクが高い。

〇事例

高齢者

施設に入居している方は、家族との面会が禁止された。

デイサービスの中断により、他者との交流が減り、抑うつ状態になった。要介

護状態の悪化につながった。

外出自粛要請の影響で、家に閉じこもりがちになり、運動不足で筋力の低下や

持病の悪化が見受けられた。

参考文献

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外出自粛中に人と会話ができないストレスから、不眠や食欲不振になった。

外出自粛中に民生委員や地域住民らの個別訪問や交流イベントが中止され、周

囲が体調の変化に気づかず、対処が遅れたケースがあった。

(図)年齢別に見た新型コロナウイルス感染症の致死率

(出典)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第2版」(2020 年 5 月 18 日), 図3,

p7

持病や基礎疾患がある方

自宅にいる時間が長くなると、生活リズムが崩れ、生活習慣病が悪化する恐れ

がある。

感染への恐れや医療機関の外来の停止等の影響で、通院できない、または通院

を躊躇する事例が見受けられた。

〇対応例

手洗いや消毒など、きめ細かく感染予防に努める。

毎朝、体重・血圧を測定する。いつも以上に野菜を多くとる。適度な運動(例:

毎食後に 15 分程度、スクワットや踏み台昇降等、家の中で体を動かすようにす

る)を続ける。

日頃、通所していた高齢者は、行政が通所施設職員による訪問サービスを認めた

ことで、訪問での機能訓練を受けることができた。

1 人暮らしの高齢者がいる家族や近隣住民は、メールや電話、手紙でこまめに連

絡を取ったり、インターホン越しに言葉を交わしたりして、接触を絶やさないよ

うにする。

高齢者が玄関先に小旗を掲げることで、対面せずに安否を知らせている地域もあ

る。

参考文献

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自宅でフレイル(※)予防に取り組む。

活動的に過ごす。

人混みを避け、散歩や買い物をする。

テレビ体操やインターネットの動画を参考に室内で体操する。

家事等で体を動かし、座っている時間を減らす。

会話を増やす。

友達や家族と電話でおしゃべりを楽しむ。

1 人の時は、鼻歌や早口言葉を言ってみる。

気持ちを明るくもつ。

しっかり入浴してリフレッシュする。

暗いニュースを気にしすぎない。

流行が収まったらやりたいことを思い浮かべる。

生活リズムを崩さない。

睡眠等の時間を守る。

3 食きちんと食べる。

(※)フレイルとは、「健康」と「要介護」の間にある心身の調子が崩れた状態。「虚弱」を意味する英

語「frailty」が語源で、65 歳以上の 1 割が該当し、75 歳以上で大きく増えるとされる。

(出典)読売新聞「高齢者の見守り コロナ禍での孤立防ぐ工夫を」2020 年 6 月 7 日、読売新聞「フ

レイル講座 外出自粛をどう過ごす しっかり運動 健康守る 筋力維持 体操のすすめ」2020 年 4 月 17

日、日本老年医学会パンフレット「新型コロナウイルス感染症 高齢者として気をつけたいポイント」

(2020 年 3 月)をもとに当社作成。

参考文献

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参参考考文文献献

厚生労働省令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策

推進研究事業一類感染症等の患者発生時に備えた臨床的対応に関する研究 「新型コロナウイル

ス感染症(COVID-19)診療の手引き・第2.1版」 2020 年 6 月 17 日 第2.1版発行

東京都福祉保健局「社会福祉施設等における感染症予防チェックリスト」

東北医科薬科⼤学病院感染制御部、東北⼤学⼤学院医学系研究科総合感染症学分野、仙台東部地

区感染対策チーム「新型コロナウイルス感染症 市⺠向け感染予防ハンドブック」改訂 2020 年

4⽉24⽇[第 2.2 版]

一般社団法人 日本渡航医学会、公益社団法人 日本産業衛生学会「職域のための新型コロナウイ

ルス感染症対策ガイド」第2版 作成日︓2020 年 6 月 3 日

一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療

所・病院のプライマリ・ケア 初期診療の手引き」Version 2.0 2020 年 4 月 30 日公開

文部科学省「感染症の予防~新型コロナウイルス感染症~」令和2年3月

文部科学省「新型コロナウイルス感染症の予防~子どもたちが正しく理解し、実践できることを

目指して~」令和2年4月

読売新聞「コロナを防ぐ 感染対策ガイド 2020」2020 年 4 月 18 日

参考文献 第1章

はじめに

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日常の感染防止のために

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