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-1- 1.錨と錨鎖 1.1 1.1.1 種類 (1)設備による分類 ①大錨、主錨・・・Bower ②予備大錨・・・・・Sheet Anchor ③中錨・・・・・・・・・Stream Anchor ④小錨・・・・・・・・・Kedge Anchor ⑤海錨・・・・・・・・・Sea Anchor (2)型式による分類〈JIS F 3301〉 ①ストック・レス・アンカー(Stockless Anchor) イ.JIS型( JIS TYPE Anchor ロ バルト型( . Baldt TYPE Anchor ハ AC14型 . Admiralty Cast Anchor TYPE14 ②ストック・アンカー( Stock Anchor イ コモン・アンカー( . Common Anchor アドミラルティ・アンカー or Admiralty Pattern Anchor ロ トロットマン・アンカー( . Trotman ' s TYPE Anchor ポーターズ・アンカー( or Porter's Anchor ハ クラウン・ストック・アンカー . Crown Stock Anchor ・・唐人型錨( -1 TOJIN-TYPE Anchor ・・ダンホース型( -2 Danforth TYPE Anchor (3)ストックレス・アンカーの優劣点 利点:①揚錨、投錨の作業が容易にできる。 ②海底で錨鎖のからむおそれが少ない。=Foul Anchorになりにくい。 欠点:①ストック・アンカーに比べて、Broght Upしにくい。 ②ストック・アンカーに比べて、把駐力が劣る。 1.1.2 各部の名称 ①リング(Ring) ⑤クラウン(Crown) ②シャンク(Shank) ⑥フリューク(Flukes) ③ストック(Stock) ⑦アーム(Arms) ④ビル(Bill)又はピー(Pea) 1.1.3 点検法 (1)シャンク、アーム、フリューク、ビル・・・・・屈曲、ねじれ、亀裂がないこと (2)クラウンピン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・変形、ゆるみ、摩耗がないこと (3)アンカーリング・・・・・・・・・・・・・・・・亀裂、変形、ゆるみ、摩耗がないこと

1.錨と錨鎖 1.1 錨 - 国際海事研究センターimerc.maritime.kobe-u.ac.jp/~str/GSNo1.pdf-4-(5)シャックル・マーク(Shackle Mark)の付け方 ① End linkはカウントしない。②

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1.錨と錨鎖

1.1 錨

1.1.1 種類

(1)設備による分類

①大錨、主錨・・・Bower

②予備大錨・・・・・Sheet Anchor

③中錨・・・・・・・・・Stream Anchor

④小錨・・・・・・・・・Kedge Anchor

⑤海錨・・・・・・・・・Sea Anchor

(2)型式による分類〈JIS F 3301〉

①ストック・レス・アンカー(Stockless Anchor)

イ.JIS型( )JIS TYPE Anchorロ バルト型( ). Baldt TYPE Anchorハ AC14型.( ・ )Admiralty Cast Anchor TYPE14

②ストック・アンカー( )Stock Anchorイ コモン・アンカー( ). Common Anchor

アドミラルティ・アンカーor( )Admiralty Pattern Anchor

ロ トロットマン・アンカー( ). Trotman's TYPE Anchorポーターズ・アンカー( )or Porter's Anchor

ハ クラウン・ストック・アンカー.( )Crown Stock Anchor

ハ ・・唐人型錨( )-1 TOJIN-TYPE Anchorハ ・・ダンホース型( )-2 DanforthTYPEAnchor

(3)ストックレス・アンカーの優劣点

利点:①揚錨、投錨の作業が容易にできる。②海底で錨鎖のからむおそれが少ない。=Foul Anchorになりにくい。

欠点:①ストック・アンカーに比べて、Broght Upしにくい。②ストック・アンカーに比べて、把駐力が劣る。

1.1.2 各部の名称

①リング(Ring) ⑤クラウン(Crown)②シャンク(Shank) ⑥フリューク(Flukes)③ストック(Stock) ⑦アーム(Arms)④ビル(Bill)又はピー(Pea)

1.1.3 点検法

(1)シャンク、アーム、フリューク、ビル・・・・・屈曲、ねじれ、亀裂がないこと(2)クラウンピン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・変形、ゆるみ、摩耗がないこと(3)アンカーリング・・・・・・・・・・・・・・・・亀裂、変形、ゆるみ、摩耗がないこと

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1.2 錨鎖1.2.1 種類

(1)材料による分類 (2)品質による分類①鍛接チェン 第1種②電気溶接チェン JIS F 3303 第2種

第3種③鋳鋼チェン JIS F 3302 第2種

第3種1.2.2 構成

Eye plateChain Locker orCable Locker

Joining shackle Senhouse slip錨

End link鎖

Enlarged link Common link庫

Common link

Common linkChain Cable

Enlarged link End link錨

Joining shackle鎖

End link Enlarged link

Common link Common link Common link錨と

Enlarged link End link Anchor shackleの接続部

AnchorShank Anchor ring錨

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1.2.3 諸元

(1)法規規定

船舶設備規程

第3編 航海用具等 第1章 錨、錨鎖及索

艤装数(Equipment Number)

【定義】

船舶係留時、船体に作用する風圧は船体喫水上の側面積に比例する。すなわち、船の長

さ、乾舷、船楼及び甲板室の長さと高さに関係する。また、潮流の影響は、喫水線下の船

体容積に比例する。従って、これらをもとに算定した一定の標準値をあらかじめ設定する

ことにより、係船に必要な艤装品の数量と寸法を選定する基準となる。この標準となる数

値を艤装数という。

◎船舶設備規程 錨・錨鎖関係

123条(錨)船舶には、告示で定める質量の錨を2個備える。

124条(備える錨の要件)

①告示で定める要件に適合する材料。

②砂質土における把駐力係数(錨が海底を掻く力の大きさを水中における錨の重量で

除して得た値)が、告示で定める値以上。

③告示で定める強度を有する。

125条(錨鎖)船舶には、告示で定める長さ及び径の錨鎖を備えること。

126条(備える錨鎖の要件)

①告示で定める要件に適合する材料。

②告示で定める強度を有する。

艤装数(船舶設備規程)の計算・・・・・(長さ、幅、深さ、高さの単位はメートル)

算定式 EN =L×(B+D)+H×lJG

L:船の長さ B:船の幅 D:船の深さ H:構造物の高さ l:構造物の長さ

部分は、船楼等の種類に応じて異なる。小数点以下は切り捨てる。

艤装数の計算例:〈例1〉L*(B+D) 125×(18+11.5)=3,687.5低船首楼 9.8×2.5= 24.5低船尾楼 17.5×2.5= 43.75甲板室 Boat D'k 10×2.5×1/2= 7.50甲板室 Bridge D'k 10×2.5×1/2= 7.50

3,770.75 → 3770(2)1節(One shackle)とは

錨鎖の一端にあるEnd linkの内側外端から他端のEnd linkの内側外端まで

の距離

(3)1節の長さ・・・・・・・・・25m or 27.5m

規定:国際船級協会(IACS)規則、JIS規則

(4)1節のリンク数・・・・・・・奇数個

理由:Joining shackleをWindlassのCable holderにうまく噛み合わせるため

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(5)シャックル・マーク(Shackle Mark)の付け方

① End linkはカウントしない。

② Joining shackleを目印としてStud linkの何番目かをカウントする。

③ 第11節目は第1節目と同じ要領となる。

(6)錨鎖の大きさ

スタッド(Stud) スタッド(Stud)

の有る鎖の鎖環 の無い鎖の鎖環

Common

link

普 通 鎖 環

Enlarged

link

拡 大 鎖 環

End link

端 末 鎖 環

(7)錨鎖の規格 (JIS G3105-1987-)

船舶設備規程 125条,126条

船舶の艤装数などを定める告示(平成10年7月1日)8条~12条

錨鎖の耐力試験(4連ごとに任意に抜き取った連続した3個以上の鎖環)

電気溶接 電気溶接

第3種錨鎖 > 第2種錨鎖 >電気溶接第1種錨鎖

鋳 鋼 鋳 鋼

↓ ↓ ↓ 単位9.81d (44-0.08d) 13.7d (44-0.08d) 19.6d (44-0.08d) ニュートン2 2 2

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1.2.4 錨作業付属用具

(1)Controller(コントローラ、制鎖器)・揚錨時、Windlass(揚錨機)のCable holderに錨鎖のLink(鎖環)が入りやすい

ように導く。・収錨後、Windlassの誤操作により錨鎖が走り出さないように止める。

(2)Slip stopper(スリップ ストッパー)・収錨状態を良くする。・Controller Stopperに異常な力をかけない。

(3)Chain hook(チェン フック)(4)Anchor buoy(アンカー ブイ)

錨泊時の錨位置を示す。捨錨時の探錨に使用する。

1.2.5 錨鎖取扱い要領

(1)通常①投錨時→水深に応じて徐々にSlack away②揚錨時→錨鎖洗浄、Chain繰り

点検個所 イ.Joining shackleのshackle pin脱落の有無ロ.shackle markの状態ハ.Link、Studの状態・・・・・・Test hammerの利用

(2)入渠時① 錆落し・・・・・・Sand blast(サンド ブラスト cf Sand sweep)

使用用具・Scraper スクレイパ・Chipping hammer チッピング ハンマー・Wire brush ワイヤー ブラシ

② Link及びStudの点検Test hammer使用・・・・・緩み-----鈍い音

ひび-----カラーチェック目視、触感・・・・・・・・・・曲がりノギス・・・・・・・・・・・・・・摩耗

『船舶の艤装数等を定める告示(運輸省告示第336号)』9条○使用開始時→別表第1 or 別表第2○使用開始時以降→別表第4に定める径より大であること

原径に対して1割強の減じた状態であれば×平均径=(A+B)/2◎Linkの計測要領・・・・・・

錨鎖計測記録表の作成:ドックサイド 船体検査資料

③Joining shackleのshackle pinの点検④錨鎖の振替

錨鎖の強度を長期間にわたり保つため、錨鎖の衰耗を均一にすることを目的として、錨鎖の振替を行う。

⑤shackle markの状態確認及び整備

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(※1)1.2.6 錨及び錨鎖の損傷

錨鎖(Anchor Chain)等の艤装品について、錨及び錨鎖の紛失事故が近年目立っている。

1996 年~2000 年の5年間に起こった紛失事故は204 件。これらについて、次の図にその

脱落起点箇所の内訳を示す。

図 錨及び錨鎖に関する脱落起点箇所

も多いのは、 部で脱落するもの(43%)で、これはほとんどの場合End connectionWindlass Chain Locker Cable clenchのブレーキ不具合によるアンカー走出の衝撃で、 内の

が破断したものである。

また、データとしてここに含めていないが、 のトラブルにより揚錨不能となりWindlassチェーンの切断を余儀なくされた例が19件あり、これを合わせると紛失事故の約半数は

の不具合によるものである。Windlassアンカー及びチューンそのものの損傷では、 と の破断が多Common link Joining shackle

いが、衰耗とは無関係と思われる破断事故が比較的多い。

【資料元】船舶通報(2002.09.18)資料N-307/2000年度の船体損傷統計(※1)

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2.運航設備(操舵・揚錨・係船設備)

2.1 操舵設備

2.1.1 舵

(1)種類

a.構造の違いによる分類

①単板舵:Single plate rudder

②複板舵:double plate rudder

複板舵の特徴

利点:イ.強度 大・・・・大型船

ロ.舵圧中心の移動が少ない/平衡舵の場合:操舵馬力 小

ハ.流線型→水抵抗 小→大舵角

b.釣合様式の違いによる分類

①不平衡舵:Unbalanced rudder

・回転軸となる舵心材の後方に舵面がある

②平 衡 舵:Balanced rudder

・舵心材の前方(船首方向)にも水圧を受ける舵面がある

・水圧中心と舵心との距離が小さく、操舵に必要なモーメントが減り、

操舵機の馬力が小さくてよい

・一般商船で採用されることが多く、つり舵(Hanging Rudder)は、

この平衡舵の一種である

③半平衡舵:Semibalanced rudder

・不平衡舵の下部を平衡舵構造にして、①と②の長所を取り入れた舵

(2)各部の名称

①舵板・ラダープレート(rudder plate)

②舵心材・メインピース(main piece)

③舵腕・ラダーアーム(rudder arm)

④舵頭材・ラダーヘッド(rudder head)

⑤カップリング(rudder coupling)

⑥舵つぼ・ガジョン(rudder gudgeon)

⑦舵針・ピントル(rudder pintle)

⑧ 下つぼ金・ヒールガジョン(heel gudgeon)

⑨舵柱・ラダーポスト(rudder post)

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(3)船体取付方法:

①舵板と船体との接合

ラダーアーム(舵腕)の前端に取り付けられるピントルは、ラダーポスト

(舵柱)の後方にあるガジョン(壷金)にはまり、船体と舵を連結する。

ロッキングピントル(locking pintle: 上段のピントル:止め舵針)

コモンピントル(common pintle:普通舵針)

ヒールピントル(heel pintle: 下舵針)・・・・ヒールガジョンのヒールディス

ク(壷金碁石・舵壷碁石)に支えられて舵の回転を円滑にするとともに、摩擦を

防ぐ。

②舵心材上方部

舵頭材との接合方法:操舵機の回転力を伝える。

<1>水平カップリング(horizontal coupling)

<2>垂直カップリング(vertical coupling)

<3>スカーフ(scarph)

③舵頭部

舵頭の船体貫通部にはラダートランクを設けて、その中に舵頭を収める。

外板開口部にはプレートカラー

(plate collar) 海水の浸入防止

甲板上にはパッキン箱

(stuffing box)

(4)舵面積と舵面積比(L:船の長さ d:平均喫水)

舵 面 積 (A)舵面積比=

計画満載喫水線下の船体縦断面積(L×d)

船の種類 舵面積比 (A/L×d)

一般商船 1/50:高速貨物船

〃 1/70:大型タンカー

キャッチャーボート 1/30~1/35

深 江 丸 1/37

帆 船 1/15

高速定期船 1/60~1/70

低速巨大船 1/50~1/60

沿岸航路小型船 1/40~1/50

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2.1.2 操舵装置

(1)操舵系統

1.手動操舵

船橋操舵 2.自動操舵 動力操舵装置

3.ノンフォローアップ操舵

1.直接制御機側操舵

2.人力操舵 人力操舵装置

(2)舵故障:チェックリスト

Have the following actions been carried out?

1. Engineroom informed and alternative/emergency steering engaged

2. Master informed

3. "Not under command" shapes or lights exhibited

運転不自由船 形象物:黒球2個 灯火:紅灯2個

4. Appropriate sound signal made

D旗掲揚:Keep clear off me ;I am manoeuvring with difficulty.

『私を避けよ;私は操縦が困難である。』

5. If necessary,way taken off ship

6. Warning broadcasted・・・・・・VHF使用

(3)関係法規

船員法第14条の3(非常配置表及び操練)

①命令の定める船舶の船長は、第12条乃至第14条に規定する場合そ

の他非常の場合における海員の作業に関し、命令の定めるところにより、

非常配置表を定め、これを船員室その他適当な場所に掲示しておかなけれ

ばならない。

②命令の定める船舶の船長は、命令の定めるところにより、海員及

び旅客について、防火操練、救命艇操練その他非常の場合のために必要な

操練を実施しなければならない。

船員法施行規則第3条の4(操練)・・・抜粋・・・

①(略) 非常の場合のために必要な海員に対する操練は、非常配置

表に定めるところにより海員をその配置につかせるほか、次に掲げるとこ

ろにより実施しなければならない。(略)

五.非常操だ操練:操だ機室からの操だ設備の直接の制御、船橋と操だ機

室との連絡その他操だ設備の非常の場合における操だを行うこと。

(略)

④(略) 海員に対する操練のうち、(略)救助艇操練及び非常操だ操

練は少なくとも3月に1回それぞれ実施しなければならない。

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2.2 揚錨設備

2.2.1 Windlass:ウインドラス(揚錨機)

船舶設備規程127条(揚錨機):船舶には、揚錨及び収錨を有効に行うこ

とができる装置を備えなければならない。ただし、当該船舶に備える錨の

質量が告示【※1】(13条)で定める値(重量150Kg)未満である場合に

は、この限りでない。

※1:船舶の艤装数等を定める告示(平成10年7月1日 運輸省告示第336号)

(1)種類-動力源の違いによる分類

①電動(Electric)ウインドラス②油圧(Hydraulic)ウインドラス③蒸気(Steam)ウインドラス

(2)一般的注意事項

①定格速度----平均速度 0.15m/sec.以上②注油厳禁→ブレーキバンド③使用前の試運転④各部名称 1.Warping end 2.Cable holder(Gypsy wheel,Sprocket wheel)

3.Clutch 4.Brake2.2.2 Capstan:キャプスタン

人力又は動力でロープを巻き取るための垂直軸の巻胴をもつ甲板機械

2.3 係船設備2.3.1 Mooring winch:ムアリングウインチ(係船ウインチ)

(1)種類-動力源の違いによる分類

①電動(Electric)ムアリングウインチ

②油圧(Hydraulic) 〃

③蒸気(Steam) 〃

(2)用語

①ドラム荷重(定格荷重)

②ワーピングエンド(綱巻胴)

③ドラム(巻胴)

④呼び巻き込み速度(定格巻き込み速度) 15m/min.

⑤ライトライン速度(無負荷 大巻き込み速度):④の2倍以上

⑥クリープ速度

ドラム上ロープ1層巻きでMooring winchにドラム荷重を加えた状態で制御

できる 小一様速度:④の50%以下

⑦保持荷重(ブレーキ力)

⑧リカバリー荷重Auto tension mooring winchのみ

⑨レンダリング荷重2.3.2 その他

(1)ボラード Bollard : 陸上の繋船柱及び船上の双繋船柱

(2)ビット Bitt←riding bitts:船上の双繋船柱

(3)フェアリーダ Fair leader:ロープ(ホーサ)を任意の方向に導く

ための、ローラ等をもつ金具

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3.船体保守整備

3.1船用品(articles for ship)

定義:船内作業、艤装品等に必要な備品・消耗品

『基本航海用語集』、海文堂、日本航海学会編より

(1)概説

船用品という語をひとことでしかも正確にその範囲までを含めて説明するのは

困難である。文字通りに船で使用するいろいろな品物であると言っても、はっき

り説明したことにはならない。船を、船体、機関、船体でも機関でもないもの、

の三つに分けた場合に、船体でも機関でもないものはみな船用品であるとも言え

ないし、一方では、ウインチやウインドラス等のように相当大きい船内の設備で

も船用品の中にいれる場合もある。これは、船に関する法律で船用品という語を

使う場合や、造船所あるいは船会社で船用品の範囲を考える場合などに、それぞ

れの基準が必ずしも一定していないからでもあるといえる。そこで、ここでは従

来からの船の慣用に従って、相当大規模な設備などを除いた狭い意味の範囲で船

用品を考え、しかも甲板部の諸作業に密接な関係のあるおもなものをとりあげて

説明する。

(2) 船用品の分類

船用品は、備品と消耗品とに大別できる。

備品とは、長期間にわたって何回も使用できるもの、船を安全に能率よく運航

するために重要と考えられるもので、比較的高価なものを多く含むといえる。備

品の中で特に法規によって船に備えなければならないものを法定船用品または法

定備品というが、法定船用品は船や人命の安全のための必要 小限度を示すもの

であるから、運航全般については更に多くの備品が必要である。また、備品の中

で属具と呼ばれるものがあるが、属具の意味も明確ではなく、法定船用品を属具

と言ったり、法定船用品及びその他の重要な備品を併せて属具という場合もあっ

ていろいろな使い方をされている。

消耗品とは一般に、一回で使いきってしまう材料や、比較的短時間で使用でき

なくなるものあるいは低価格で小型のものなどである。

なお、そのものの材質や価格から見ると消耗品の分類にはいるとしても、その

使用目的によって備品となるものもある。たとえば油船燈の予備ホヤは購入手続

上では消耗品として取り扱っても法定の備品であるし、消火器の消化剤も同様で

ある。したがって、購入手続上などの分類と重要性から見た分類とを混同しない

よう注意しなければならない。

(3) 備品の種類

備品には、コンパスなどの航海用具、国際信号旗などの信号用具、船燈及び形

象物、書籍類、錨などの係船用具、消火器などの消防用具、ジンブロックなどの

荷役用具、救命胴衣などの救命用具、各種のカバー類、作業用具などの多くの種

類がある。

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(4) 消耗品の種類

消耗品には、塗料類、キャンバス類、小径のロープ類、作業用具、貨物積付用

具、航海計器用品、雑品、などの多種多様の種類がある。

(5) 船用品の規格

船に備える法定船用品は、船の種類、大きさ、航行区域などによって規定され

るが、備え付ける数量だけ規定する場合と、船用品の性能及び数量を規定する場

合とがある。

海上における船舶及び人命の安全については、「海上における人命の安全のた

めの国際条約」によって国際的に共通の基準がある。従って法定船用品の基準も

条約に基づくことになるが、わが国は言うまでもなくこの条約を批准し、その内

容については船舶安全法を根本とする多くの規制や規定によって実施しているが、

船用品の性能や備え付ける数量に関しては次の規程を挙げることができる。

船舶救命設備規則--救命設備の要件及び備付数量などについて規定している。

船舶消防設備規則--消防設備の要件及び備付数量などについて規定している。

船舶設備規程------救命設備及び消防設備を除いた他の設備の備付数量などについて

規定している。

漁船特殊規程------漁船の設備及び構造などの基準について規定している。

船舶構造規則(平成10年3月31日運輸省令第16号)------船体各部の構造を規定してい

る。従前の鋼船構造規程(昭和15年逓信省令第24号)及び

木船構造規則(昭和33年運輸省令第14号)は廃止となった。

船燈試験規程(平成10年7月1日廃止)

マスト灯、舷灯、両色灯、白灯、紅灯、船尾灯等の灯火について、それらの性能など

を規定していた。

錨試験規程(平成10年7月1日廃止)

錨鎖及び操舵鎖の性能について規定していた。

索試験規程(平成10年7月1日廃止)

船で使用するワイヤーロープ及びマニラロープなどの繊維索の性能について規定して

いた。

そして性能基準の規定されている船用品については、それぞれの規程または規則

によって船舶艤装品研究所などの試験機関が検査を行い、合格したものに対して

は合格証明書を交付する。また性能基準の規定されていない船用品については、

船舶艤装品研究所などの試験機関が適当な試験・検査を行って成績書を交付する。

このようにして船舶艤装品研究所などの試験機関の試験検査を受け合格証明書ま

たは成績書を交付された船用品について、同一製品を引き続いて大量につくると

きには、型式承認を得て、製造所所在地の運輸省・運輸局長に試験検査の申請を

して、①管海官庁②日本小型船舶検査機構③日本舶用品検定協会のいわゆる検定

機関で検定を受けなければならない。

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このように、船用品の性能基準を維持することが考えられているが、性能基準を規程や

規則で定めている船用品は一部にすぎないから、他の船用品についても明確な基準を設け

ることが望ましく、技術の進歩や国際条約の改正によってこれらの性能基準が変遷してい

くことにもなる。

以上述べたことは、法規によって強制される船用品の性能基準であるが、わが国には国

内の工業技術水準を示すJIS(日本工業規格:Japanese Industrial Standard)がある。

JISはいろいろな工業製品の材質、形、寸法、性能などの規格を示し、その内容は 低

基準を示すものではなく、ある一定の技術基準を示すものであるから信頼度の高いもので

ある。JIS製品は非常に範囲が広く、船用品についても船用JISとして数多く制定さ

れており、試験規程のある船用品でも錨や救命艇などのようにJISを定めているものが

ある。試験規程など法定基準のない船用品でJISにあるものはできるだけJIS合格品

を使用することが望ましいと言える。

(6) 船用品の船内管理

船用品の中で、備える場所の定められているものはそれぞれの場所に正しく配置し、通

常は格納しておいて作業などの必要に応じて使用するものは使用後に整頓して格納し、ど

の船用品も丁寧に取り扱うことが大切である。

甲板部の船用品についての管理責任者は一般に一等航海士であるが、物品の直接保管を

二等航海士あるいは三等航海士に命じていることが多い。また雑多な備品や消耗品の取扱

いについては、甲板手などに担当させることもある。

近では近代化に伴って乗船人員が減ってきたため、船用品の管理については各部で共

用するものはできるだけ集中して管理できるようにセントラルストア方式を採用し、出庫

品のチェックを容易にするなど、業務の簡素化を図っているところもある。船を安全に能

率良く運航するためには、数多くの船用品を常に良好な状態に保つように心がけるととも

に、無駄な在庫をすることなく必要数量を確保しておく必要がある。備品については、備

品増減表を作成して、備品の増減があれば品名数量を訂正記入し常に原材料を明確にさせ

ておき、毎年1回又は2回というように船主の規定に従って船主に報告するのが普通であ

る。

消耗品については、1航海又は1月毎というように定期的に消耗量、補充量、現在量を

調べて消耗品消費報告所を作成し船主に報告するのが普通である。

なお外航船は入港したときに備品や消耗品の現在量を記入した船用品目録を税関に提出

する必要がある。

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○船用品の

証印及び型

式承認制度

の概略を右

図に示す。

○船用品の

証印等

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3.2 ロープ(Rope)

船では色々の目的のためにロープ(rope,索)を使用するが、そのロープは天

然の植物繊維や合成繊維を材質とするファイバロープ(fibre rope,繊維索)と、

鋼船を材質とするワイヤロープ(wire rope,鋼索)とに分類することができる。

3.2.1 分類

ファイバロープ(fiber rope:繊維索)

天然繊維索ロープ

合成(化学)繊維索

ワイヤーロープ(wire rope:鋼索)

3.2.2 ファイバーロープ( :繊維索)fiber rope(1)構成とサイズ

ファイバロープは一般に、繊維を数本から数十本集めて左により合わせてヤーン( )を作り、ヤーンを数本右によってストランド( ,子縄)としさらにスyarn strandトランド3本を左によってロープとする。このように、よりを逆にしたロープをオーディナリレイドロープ( ,普通より索)またはホーサーレイドordinary laid ropeロープ( )といい、船舶用として広く用いられる。hawser laid rope左よりの索をZよりまたはライトハンドレイ( )といい、right hand lay

右よりのものをSよりまたはレフトハンドレイ( )という。より方のleft hand lay右左については日本語と英語が反対で紛らわしいため、ZよりあるいはSよりというように区別するのが普通であり、これはワイヤロープについても同様である。

なお、ファイバロープには普通より索3本をSよりとしたケーブルレイドロープ( )やSよりのストランド4本を心索の回りにZよりしたシュラウcable laid ropeドレイドロープ( )などもある。shroud laid rope

また、Sよりのストランド4本とZよりのストランド4本の計8本のストランドを2本ずつまとめて編み合わせた編索( )は、より索にくらべて、キbraided ropeンク( )や型くずれが少なく、柔軟で取扱いが容易であるなどの利点があるたkinkめ係留索として用いられることが多く、二重編索もある。

ファイバロープの太さは、より索の場合外接円の直径をいい、編索は外周に沿ってまわしたテープの長さを円周に換算した直径をいう。それぞれミリメートル(㎜)単位で呼ぶが、船では慣習として円周の長さをインチ(inch)単位で呼ぶこともある。

直径(㎜)と周( )の関係は、 直径(㎜)÷8=周( )。inch inch長さはワイヤーロープとともに200mを1コイル( )としている。coil

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(2)種類

a.材質による分類fiber ropeA.天然繊維索

①マニラロープ( )manila ropeアバカ( :俗にマニラ麻)の植物繊維から作られ、上質品は黄色味がかったAbaca

色で艶があるが質の悪いものほど淡褐色を帯びて艶がなくなる。軽量(比重1.45)柔軟で強度も相当あり、湿気にも強いので古くから係留用などの用途が広い。

破断時の伸びはもとの長さの16 20%程度ある。~

②ヘンプロープ( )hemp rope大麻(hemp)の繊維から作られ、色は白色で乾燥状態では強度大であるが、湿気

に弱い欠点がある。そこで大麻繊維のヤーンにタールを染み込ませて乾燥させタールロープ( )として用い、ボルトロープ( )やジャコブスラダーtarred rope bolt rope

(なわばしご: )に利用される。強度はマニラロープの約1.1倍。Jacob's ladder③サイザルロープ( )sisal rope

サイザル麻(まんじゅしゃげ科植物)の葉の繊維から作ったもので、強度はマニラロープとほぼ同じ程度か多少小さい。 樟脳油を主成分とする植物油性防腐剤で防腐加工したものもある。

④カイヤーロープ<シュロロープ>( )coir rope軽量、弾力性大、硬質。強度はマニラロープの半分であるが小型船用の索具やマ

ットなど特殊用途には便利である。

⑤コットン(綿)ロープ( )cotton rope柔軟、吸水性大。手用測鉛(hand lead)のレッドラインに利用される。

synthetic fiber ropeB.合成繊維索人工的に合成した化学繊維ロープで、難燃性で吸湿が少なく、腐食しない。強度は

大きく軽量である特徴をもつが、摩擦に弱く過重に対してよく伸びる。強度はマニラロープに比べて大きいが、破断時の伸びがマニラロープに比べて約2倍となるので、係留索としては必ずしも適当ではない。しかし海水に浸しても柔軟性があるために取扱いが容易であり係留索として一般に使用されている。

エイトロープの編索にすると摩擦抵抗の増加によってあまりスリップしないようになる。

合成繊維索には次のような種類がある。①ナイロンロープ(ポリアミド索)

マニラロープと比較して軽量でしかも吸水性が少なく、マニラロープの約2倍以の強さをもつ。腐食せず摩擦に強いが紫外線に弱い欠点がある。また、鋭角衝撃に弱いとされている。破断時の伸びはマニラロープの約3倍で柔軟性が大きい反面滑り易いという欠点をもつ。水に濡れると約20%強度が減少する。

②テトロンロープ(ポリエステル索)マニラロープより少し軽量で、強度は1.4~2.1倍破断時の伸びは約2倍であ

る。吸水性は少なく腐食性小で摩擦に強い。水に濡れても強度は変わらない。ポリプロピレンロープに比べて滑りやすい。

③ハイゼックス、カネライト(ポリエチレン索)比重が0.95程度なので水に浮く特色がある。マニラロープと比べて強度は1.4~

1.7倍で破断時の伸びは2~3倍ある。水に濡れても強度に変化はなく吸水性なく、腐食性もほとんどなく摩擦に強い。しかし、非常に滑りやすいので特に注意。

④ (ポリプロピレン索)比重が0.9パイレン、ダンライン、リーレン、バルフレックス、チッソライン-小浜製網の商品名-前後で非常に軽く水面に浮く。マニラロープと比べ強度は約1.4~1.7倍で、破断時の伸びは約2倍ある。水に濡れても強度は変わらず、吸水性も少なく、腐食性はほとんどなく摩擦にも強い。他の合成繊維ロープに比べ滑りにくい。

⑤ビニロンロープ、クレモナ(ポリビニールアルコール索)1939年に日本で初めて合成繊維として開発されたもので、マニラロープに比べて

わずかに軽く、強度は1.3~2倍程度、破断時の伸びは約2倍である。水に濡れると強度が約20%減少する。吸水性少なく腐食性もほとんどなく、摩擦

に強い。ポリエステルロープに比べて滑りにくい。

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b.太さ及び用途による分類係留索のように比較的太いファイバロープをホーサ( )と呼んでいるが、hawser

直径10㎜以下の細いものを細索( )といい、次のような種類がある。small stuff①スパンヤーン( )spun yarn

2本また3本のヤーンで作った細いストランド2本をSよりにゆるやかによったもので、シージング( ※1)やサービング( ※2)に使用する。Seizing Serving

※1:①ロープの先端が撚りのため解れることのないようにマーリンあるいは細い針金で止めること。②ロープとロープのアイを結びつけること。③シャックルピンが脱落しないように、マーリンあるいは細い針金でピンを本体に止めること。

※2:ロープ類の表面を擦れから保護するために、マーリンを使用して隙間なく捲き包むこと。

②マーリン( ):繊維に植物性タールなどをしみこませたヤーン2本でつくっmarlineたストランド2本をS撚りにしたもので、スパンヤーンより良質品である。整然とシージングをする場合などに使用する。

③ハンブロライン( ):スパンヤーン3本をZ撚りに固く撚ったものである。hambro line④ラットラインスタッフ( ):マーリンより太いものをいい帆船のシュラウratline stuffドに使うラットラインとして使用する。

⑤センニット( ):古いロープのヤーンを手で編んだもので、三つ偏、四つ偏、sennit丸偏、角偏などの方法がある。雑用に使用する。

⑥編索( ):綿糸、麻糸、ナイロン糸、ビニロン糸などを中心のヤーンのbraided ropeまわりに丸く編み合わせたもの。もつれが少なくやわらかい。中心のヤーンがばらばらのものはフラグラインに、中心のヤーンも編んだものはログラインなどに使用する。

⑦ツワイン( )twine綿繊維でつくったコットンツワイン( )と麻繊維でつくったヘンプツcotton twine

ワイン( )などがあり、帆布縫糸である。hemp twine

standingロープの種類に関係なく索の使用される状態が止まっているものを静索()といい、カーゴフォール( )のように移動する状態で使用されるものをgears cargo fall

動索( )という。running gears

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(3)強度

(a)破断力(breaking stress):ロープが切断した瞬間の荷重をいう。

ファイバロープの破断力は、その材質と太さに応じて、製造者の資料、索試験

規程、JISなどによって知ることができるが、マニラロープの普通Zよりの場

合次式で略算できる。編索もほぼ同じとみてよい。

C (D/8) B:破断力(Ton)2 2

B = =3 3 D:ロープの外接円直径(㎜)

C:ロープの周(inch)

(b)試験力(proof stress):加えていた荷重をとると原形にかえる範囲の 大荷重

をいう。これはおよそ破断力の1/2である。

(c)安全使用力(working stress):安全に使用できる 大荷重をいう。

安全使用力=(破断力)÷(安全率)Safety factor

※衝撃荷重の場合の安全率は、 ワイヤロープ 5~6以上

10~12とする。 → ファイバロープ(動索)7以上

―〃― (静索)5以上

(d)同質ロープの強度比較

太いロープの代わりに細いロープを使用する場合、必要な細いロープの本数は

次式で与えられる。

太いロープの直径〔㎜〕2細いロープの必要本数=( )

細いロープの直径〔㎜〕

(4)取扱い注意事項

a)よりに対する注意

ロープをコイルからとくときは、よりが部分的に強くかかったキンク(kink)をお

こさないように解く必要がある。またロープのよりを戻したり、よりを更に強くかけ

たりしないように使うことも大切である。キンクはロープの強度を減少させる。

Zよりロープは右回りにコイルする。

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b)摩耗と曲げ

ロープが他のものと当たる摩擦のはげしいところには、古いキャンバス(canvas)

を巻き付けたり(着せ巻き)、当て木をしたりして摩耗を防ぐ必要がある。

ロープは曲げられると強度が減少するため、テークルなどのシーブ直径が余り小さ

いものを使用しないように気を付けなければならない。

c)荷重

安全使用力を守る必要があるが、やむを得ない場合でも破断力の1/2以上の荷重

を絶対にかけてはならない。

d)濡れと凍結

天然繊維索は濡れると縮んで硬くなるため、雨天の場合には緊張したロープをゆる

める。凍結したファイバロープを曲げると繊維が折れることがある。

e)巻止め天然繊維索(マニラロープ)→3回以上

ボラードやワーピングエンドへの巻止め回数合成繊維索→4~5回以上

f)伸び

合成繊維ロープは伸びが非常に大きいから、スリップや切断時の大きなはねかえり

によって人が跳ね飛ばされることのないように十分注意する。

g)乾燥

天然繊維索では特にロープ使用後の乾燥を十分にする。

h)格納

Zより索は右回りにコイルする。

3.2.3 ワイヤロープ

(1)構成とサイズ

ワイヤロープは数本から数十本の亜鉛メッキを施した鋼線(素線という)を、

Sよりにしてストランドをつくり、ストランド6本をZよりにしてロープとしたも

のが一般に船で用いられ、これを普通Zより(right-hand ordinary lay)索という。

ストランドをより合わすとき、上質の麻類に油をしみこませたものを心(heart

またはcore)としてその周りにストランドをより合わすが、中にはストランドの中

心にも麻心を入れたものもある。麻心はワイヤロープの形を保つとともに柔軟にし、

そして素線と素線あるいはストランドとストランドの摩擦を防ぎ、防食の役目もす

る大切なものである。 より方にはそのほか、次のようなものがある。

○普通Sより(left-hand ordinary lay):素線Zより ストランドSより

○ラングより(lang's lay):素線とストランドのよりが同じ方向のもの Z or S

ワイヤロープの太さ及び長さについてはファイバロープと同様である。

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(2)種類ファイバロープには、1本のストランドの素線数が7本、12本、19本、24本、30本、

37本などのものがある。

(3)強度:ファイバロープと同様に破断力と安全使用力を知らなければならない。a.破断力

破断力の大きさは、その種類及び太さに応じて索試験規程やJISまたは製造者の資料によって知ることが可能であるが、次式で略算できる。

B:破断力(Ton)B=(2~3)×C =(2~3)×(D/8) D:ロープの外接円直径(㎜)2 2

C:ロープの周(inch)b.安全使用力

安全使用力=(破断力)÷(安全率)

ワイヤロープの安全率は6程度と考えられるが、荷役装置に使用するワイヤロープについては5と規定されている。

c.同質ロープの強度比較ファイバロープ と同様である。

(4)柔軟性

ワイヤロープの柔軟性は次のような原因によって影響される。①同じ直径の場合、素線の本数が多いほどつまり素線が細いほど柔軟性がある。②ストランドに麻心のあるものは無いものに比べて柔軟性を増す。③ラングよりの方が普通よりに比べて柔軟性がある。

(5)取扱い注意事項

1)積込み作業ワイヤロープをコイルのまま高いところから落としてはならない。落としたために

コイルが変形して解きにくくなるばかりでなく、キンクができやすくなる。特に木枠に巻いたワイヤロープは枠が壊れて激しく荷崩れすることがあるので注意する。

2)コイルの解き方ファイバロープと同様、よりに無理な力をかけないように気を付ける。

3)摩耗と曲げ摩耗することによって強度が減少するため、摩耗部分にはグリスを塗ったり当て木

などを施す。また曲げをなるべく小さくするように適切な大きさのブロックやテークルを使用する。

4)荷重安全使用力の範囲内で荷重がかかるようにする。やむを得ない場合であっても破断

力の1/2を超えてはならない。

5)腐食ロープの使用される環境が、海水や雨水あるいは温度の変化などの影響を与えるた

め、亜鉛メッキをしたワイヤロープでも腐食を避けることはできない。しばしば塗油をし錆をできるだけ早く除去する必要がある。

6)巻止めボラードやワーピングエンドへの巻止め回数→少なくとも4~5回以上

7)格納Zより索は右回りにコイルするが、ワイヤロープはワイヤリール(ワイヤドラム)

に巻いておくのがよい。