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‐1 ‐ 1-2:データ収集技術とウェアラブルデバイス 総務省 ICTスキル総合習得教材 1 2 3 4 5 [コース1]データ収集 [コース2]データ蓄積 [コース3]データ分析 [コース4]データ利活用 [コース1]データ収集 http://www.soumu.go.jp/ict_skill/pdf/ict_skill_1_2.pdf

1-2:データ収集技術とウェアラブルデバイス2017年11月、株式会社ファーストリテイリングはユニクロの全ての店舗の衣料品に、精算が瞬時に可能になる

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1-2:データ収集技術とウェアラブルデバイス

総務省 ICTスキル総合習得教材

1 2 3 4 5 [コース1]データ収集 [コース2]データ蓄積 [コース3]データ分析 [コース4]データ利活用

[コース1]データ収集

技 知

http://www.soumu.go.jp/ict_skill/pdf/ict_skill_1_2.pdf

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本講座の学習内容[1-2:データ収集技術とウェアラブルデバイス]

人工的な記録を読みとるリーディング技術と先端事例として、RFIDを説明します。 IoTに利用される無線通信を概観し、長距離通信ができるLPWAの利用例を紹介します。 自然の情報を読み取るセンシング技術とその利用例を紹介します。 センシング技術の応用例として、身につけるウェアラブルデバイスとその活用事例を紹介します。

座学

IoTに関わるリーディング技術として、普及しているRFIDの利活用を把握する。

長距離通信ができるLPWAの活用例を把握する。

様々なセンシング技術の種類と対象情報、利活用例を把握する。

ウェアラブルデバイスの活用事例を紹介できる。

[3] センシング技術とその利用例

[4] ウェアラブルデバイスの活用例

[2] IoTと無線通信

[1] リーディング技術とRFID

【講座概要】

【講座構成】 【学習のゴール】

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リーディングは人工的な記録を読み取る一方で、センシングは自然の情報を感知します。 リーディングとセンシング

この講座では、リーディングに関する内容を説明した後、センシングに関する内容を説明します。

1‐2[1] リーディング技術とRFID

メディアリーダー [SDカード等のリーディング]

MESH(メッシュ) [動き、温度・湿度、明るさのセンシング]

【出所】MESH[ソニー株式会社] http://meshprj.com/jp/

リーディング(Reading:読み取り)は人工的な記録情報を読み取ることを指し、読み取る機器はリーダーです。

• リーダーとセンサーは、情報を読み取る点や情報収集を担う点では共通しています。

IoT機器がセンサーになることで、人間の五感のように、光、音、臭い、味、温度、圧力などの情報収集をすることができます。

センシング(Sensing:感知)は自然の情報を読み取ることを指し、感知する機器はセンサーです。

バーコードリーダー [バーコードのリーディング]

• ソニー株式会社が発売しているMESH(メッシュ)は、動き、温度・湿度、明るさのセンサーとなっているものがあり、それらの変化を感知すると、無線でスマートフォン等に通知します。

• 具体的な機器としては、バーコードリーダーやSDカードリーダーが該当します。

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IoTで注目される通信技術としてのRFID

通信速度

通信距離

HF帯RFID (NFC)

1m以内 100m以内

RFID

Bluetooth

1km以内 1km以上

無線LAN (Wi‐Fi)

ZigBee

3G

LTE (3.9G、4G)

LPWA

UHF帯RFID

5G

IoTと親和性が高い通信技術として、RFID(アールエフアイディー:Radio Frequency Identifier)とLPWA(エルピーダブリューエー:Low Power, Wide Area)が挙げられます。 • RFIDおよびLPWAは通信速度は低速ですが、省電力性等から小規模かつ長期間の情報の送受信に適しています。 • RFID、LPWAのそれぞれ技術の総称であり、それぞれの技術の中には個別の規格があります。

NB‐IoT

Wi‐SUN LoRaWAN

SIGFOX

主な無線通信技術・規格における通信距離と通信速度の目安

IoTの普及に伴って、RFIDやLPWAと呼ばれる通信技術が注目されています。

RFIDは、人工的な情報を読みとるリーディング技術であるとともに、接触なく情報を読む無線通信技術でもあります。

【出所】第4次産業革命における産業構造分析とIoT・AI等の進展に係る現状及び課題に関する調査研究 [総務省(調査委託先:三菱総合研究所)]図表3‐8等に基づき作成

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h29_03_houkoku.pdf

Bluetooth Low Energy

※ 同一の技術・規格においても、 その中のクラスによって、通信距離や通信速度が異なるケースがあります。

1‐2[1] リーディング技術とRFID

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RFIDは、接続されたRFIDタグの情報を短距離無線通信(数cm~数十m)によって送受信するシステムで、電波を利用する認証技術の総称です。 • RFIDはデータが書き込まれるタグ(札)は、RFIDタグ、ICタグ、電子タグなどとも呼ばれますが、この講座ではRFIDタグと呼びます。

RFIDタグには電池が必要なアクティブ型、リーダーの電磁波を動力源とする紙状・電池不要のパッシブ型があります。

アクティブ型RFID

【出所】吉川工業株式会社http://www.ykc.co.jp/product_tech

nology/rfid/active_rfid.html

アクティブ型RFIDタグです。 私を見つけて、情報を 受け取ってください。

• アクティブ型RFIDは電池をとりつけ、相対的に高出力の通信が可能となるため、通信距離がパッシブ型RFIDに比べて長い傾向にあります。

RFIDリーダーです。 RFIDタグAを発見し、 情報を受信しました。

パッシブ型RFID

【出所】株式会社東北システムズ・サポートhttps://rfid.tss21.co.jp/product/swing‐u/

RFIDリーダーです。 タグは起動して、持っている情報をリーダーへ送信してください。

起動しました。 パッシブ型RFIDです。 情報を送信します。

IoTとの親和性が高いリーディング技術 RFID 1‐2[1] リーディング技術とRFID

電波を利用する認証技術のRFIDは、アクティブ型とパッシブ型に大別できます。

パッシブ型RFIDタグには、紙状・電池不要という特性があり、特にIoTとの広範な連携が期待されています。 • パッシブ型RFIDタグは、商品の値札に埋め込んでもほとんど厚みは増さず、光に透かしてようやく確認することができます。

商品の値札に埋め込まれた パッシブ型RFIDタグ

【出所】株式会社ファーストリテイリング

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RFIDにおけるNFCとFelica RFIDは、交通機関の乗車カード、電子マネーカードとして幅広く普及しています。

RFID:電波利用の認証の総称

NFC:約10cmの近距離通信技術

RFIDには、NFC(エヌエフシー:Near Field Communication)という通信距離が約10cmの技術があります。

NFCの規格の一つであるFelica(フェリカ)は、電車の乗車カード(例:Suica)や電子マネー(例:楽天Edy)などの形で広く利用されています。 • NFCには、Felica以外にも規格があり、マイナンバーカードや運転免許証に採用されている規格は、通称「Type B」と呼ばれています。

電車の乗車カード、電子マネーカードに利用されている

マイナンバーカード、運転免許証に利用されている

Felica Type B

RFID・NFC・Felicaの包含関係

FeliCa規格のRFIDタグを搭載することで、リーダーにかざすだけで電子マネーが利用できるスマートフォンもあります。 • 金属以外の物であれば、RFIDタグとリーダの間に存在しても、ほとんど影響を受けずにデータの読み書きができます。

(規格) (規格)

1‐2[1] リーディング技術とRFID

• NFCの通信距離が短いHF(High Frequency:短波)の通信技術ですが、数十mまで通信できるUHF(Ultra High Frequency:極超短波)の通信技術もあります。

NFCのRFIDタグ(シール)の例

【出所】東北システムズ・サポートhttps://www.tss21.co.jp/product/rfid/

NFCのロゴ

【出所】NFC FORUM https://nfc‐forum.org/

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パッシブ型RFIDの特徴と低価格化・普及の推進 パッシブ型RFIDは、価格低下と普及に関する官民の取り組みが実施されています。

大日本印刷株式会社は2017年3月において、単価10円台のRFIDを2020年までに5円以下、2025年に1円を目指す開発に着手することを発表しました。

○ 規格に応じて、最大数十mまで読みとれる ○ 複数のタグを一括して読みとることができる ○ 情報を読むだけではなく、書き込むこともできる ○ 箱の中等に入っていても読み取れる ○ 表面が汚れていても読み取れる

× 作成単価が相対的に高い 【長所】 【短所】

RFIDタグ バーコード QRコード

パッシブ型RFIDとバーコードやQRコードを比較すると、長所の方が数多くありますが、短所として相対的に作成単価が高いことが挙げられます。

パッシブ型RFIDタグをバーコード・QRコードと比較した場合の長所と短所

【出所】IoTの拡大に向けてコンビニ向けの低価格ICタグの開発に着手[大日本印刷株式会社] http://www.dnp.co.jp/news/10132735_2482.html

2017年4月、経済産業省では、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定し、5系列のコンビニエンスストアの全ての取扱商品に2025年までにRFIDタグを貼りつけ、商品の個品管理を実現する方針をとりまとめました。

【出所】「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定しました[経済産業省] http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170418005/20170418005.html

1‐2[1] リーディング技術とRFID

• RFIDタグは小さくとも電子部品ですが、バーコードとQRコードは、紙と印刷代だけで安価に作成することができます。

こうしたパッシブ型RFIDの短所を改善し、それによって更なる普及と活用を目指す取り組みも進められています。

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パッシブ型RFIDの実用化例 パッシブ型RFIDは、既に様々なサービスにおいて実用化されています。 2017年11月、株式会社ファーストリテイリングはユニクロの全ての店舗の衣料品に、精算が瞬時に可能になる

RFIDタグを1年以内に取り付ける方針を明らかにしました。

RFIDタグが使い捨てできるレベルにまで低価格化すれば、製品管理や会計処理が大きく変わると考えられます。

• セルフレジでは購入予定の商品をRFIDリーダーが読み取れる範囲に置くことで、複数の商品のタグをまとめて読みとって金額を算出します。 • 株式会社ファーストリテイリングによる実証結果では、セルフレジは有人レジと比較して、精算所要時間が最大で約3分の1となると示されました。

東京都港区図書館では、図書の貸出管理をRFIDで行っており、本を閉じたまま一括して認識することができます。

回転寿司店においては、皿にRFIDタグを取り付けることで、会計時の皿の分類や数え上げの手間を解消しています。

【出所】株式会社ファーストリテイリング 【出所】東京都港区図書館 【出所】北一食品株式会社

RFIDを利用した衣料品店のセルフレジ RFIDを利用した図書貸出機 RFIDを利用した回転寿司店の会計処理

1‐2[1] リーディング技術とRFID

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IoTに利用される距離100m以内の通信技術

一般に100m以下の通信距離となる無線通信として、無線LANの代表的な規格であるWi-Fi(ワイファイ)に加えて、Bluetooth(ブルートゥース)、Zigbee(ジグビー)が挙げられます。

Wi-FiやBluetoothといった距離100m以内の無線通信もIoTに活用されています。

1‐2[2] IoTと無線通信

無線LANを利用できる端末は単体でインターネットに接続することができますが、Bluetooth、Zigbeeは利用する端末は、一般に直接インターネットに接続することはできません。 • LANが利用できる端末には、ルーターと呼ばれる機器からインターネット通信における住所に相当するIPアドレスが与えられます。

小型IoT端末は、Bluetoothやその低消費電力の規格のBLE(Bluetooth Low Energy)等の無線通信で別のインターネット接続機器(スマートフォンやPC)を経由して、インターネットとつながることが一般的です。

• Bluetoothは、PC用の無線キーボード・マウスやスマートフォン等で利用できる無線ヘッドフォンとして、幅広く利用されています。 • Zigbeeは最大65,536台の同時接続が可能であり、多数のセンサーから同時に情報収集することに適しています。

• BLEは、その正式名称の通り、従来のBluetoothに比べて低消費電力であることが長所であり、使い方によってはボタン電池一つで1年以上継続稼働するとされています。

【出所】Wi‐Fi Alliance https://www.wi‐fi.org/ja

【出所】Bluetooth SIG https://www.bluetooth.com/ja‐jp

【出所】Zigbee Alliance http://www.zigbee.org/

Wi‐Fiの認定製品のロゴ Bluetoothのロゴ Zigbeeのロゴ

IoT(インターネットオブシングス)とは言っても、端末とインターネットとの接続は間接的であるケースもあります。

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LPWAは「Low Power, Wide Area」に由来する電力消費が小さく100m以上の通信ができる技術です。

LPWAは消費電力が小さく、距離100mを超える通信が可能な技術です。

1‐2[2] IoTと無線通信

Wi‐SUNは「Wireless Smart Utility Network」に由来し、LPWAでは相対的に速い通信速度を持ちます。

NB‐IoT、LoRaWAN、Sigfoxのそれぞれの通信速度は、Wi‐SUNよりも低速(100kbps以下)ですが、最大通信距離は1km以上となっています。

• NB‐IoTのNBは、「Narrow Band」の略で、モバイル通信の国際標準化を推進する3GPP(3rd Generation Partnership Project)の仕様です。 • LoRaWANのLoRaは、「Long Range」に由来し、アメリカを中心とする非営利団体のLoRaアライアンスが推進しています。 • Sigfoxはフランスの通信事業者「SIGFOX」が国際的に展開しており、通信速度は100bpsと低速ですが、通信距離は最大50kmとより広範囲です。

【出所】Wi‐SUN Alliance https://www.wi‐sun.org/

【出所】GSMA https://www.gsma.com/iot/nb‐

iot‐logo‐download‐pack/

【出所】Zigbee Alliance https://www.sigfox.com/en

Wi‐SUNのロゴ NB‐IoTのロゴ Sigfoxのロゴ

LPWAの代表的な規格としてWi-SUN(ワイサン)、NB-IoT(エヌビーアイオーティー)、LoRaWAN(ローラワン)、Sigfox(シグフォックス)が挙げられます。

IoTに利用される距離100m以上の通信技術(LPWA)

【出所】LoRa Alliance https://www.lora‐

alliance.org/

LoRaWANのロゴ

• Wi‐SUNの通信速度は200kbpsとLPWAの中では高速ですが、最大通信距離はLPWAの中では相対的に短く1km未満となっています。最大通信距離が相対的に短いことからWi‐SUNをLPWAに含めて分類しないケースもあります。

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LPWAの実証事例(小1児童登下校お知らせサービス)

静岡県藤枝市とソフトバンク株式会社は、ソフトバンクが市内に敷設したLPWAネットワークを活用した「藤枝市小1児童登下校お知らせサービス実証実験」を、2017年10月から藤枝市内にある一部の小学校で開始しました。

登下校のタイミングを昇降口におけるBLE(Bluetooth Low Energy)で把握し、登下校途中の位置情報はLoRaWANにて送信しています。

「藤枝市小1児童登下校お知らせサービス実証実験」のイメージ図

1‐2[2] IoTと無線通信

【出所】「藤枝市小1児童登下校お知らせサービス実証実験」を開始[ソフトバンク株式会社] https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2017/20171016_01/

複数の通信技術の特性を活かす形での実証実験が行われています。

• 昇降口への立ち寄りを正確に把握できるBLE、校区全体において位置情報を送信できるLoRaWANを組み合わせた実証実験となっています。

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LPWAの実用化例(離島における水道検針)

【出所】水道向けSigfox自動検針ソリューション[第一環境株式会社]http://www.daiichikankyo.co.jp/news/2517/

「Sigfox 自動検針コンソーシアム」は、2017年11月に兵庫県姫路市の家島諸島内の水道検針をIoTで行う自動検針システムを本稼働させ、請求データとしての利用を開始しました。

自動検針に関する4社の協力体制 Sigfox無線発信機付き水道メーター

家島諸島内28ヵ所で収集された検針データは、Sigfox基地局を通じてデータセンターに集約され、Webサイトから確認できます。

1‐2[2] IoTと無線通信

LPWAの長距離通信は、離島における水道検針で実用化されています。

• 「Sigfox 自動検針コンソーシアム」は、第一環境株式会社・アズビル金門株式会社・KDDI株式会社・京セラコミュニケーションシステム株式会社の4 社で構成されています。

• SigfoxはLPWAの中でも通信距離が最大50kmと相対的に長く、離れた小島や山間部での通信に活用できます。

リーディング・無線通信に関するパートは以上となり、続いてセンシングに関するパートに入ります。

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センシングの対象となる情報 センシング対象となる自然の情報には様々なケースが考えられます。

日射量や風のような自然環境に関する情報

機械の温度、圧力、電圧といった人工物やその動作状況に関する情報

動物の体温、心拍数、血圧といった意識的なコントロールができない身体に関する情報

人間の体の動き、発声、押したボタンなどの意識的な行動に関する情報

風量計 工場内のセンサー・計器 血中酸素濃度計

1‐2[3] センシング技術とその利用例

自然環境の状況記録と自然に関する分析・予報

異常検知と機械の効率的な稼働に関する分析

健康状態のデータとしての把握、医学における分析

電子機器への入力・操作

キーボードのタイピング

活用例

センシングの対象となる情報は大別して下の4種が挙げられ、それぞれのセンシングから得た情報が活用されています。

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五感で感知可能な情報のセンシング 人間の五感で感知可能な情報は、センシングによって収集可能です。 センサーを利用すると、光や音の強さなど、人間の感覚では定量化が難しい情報でも定量的に測定できます。

感覚 センサー 用途 視覚 照度センサー、カメラ 農場の日射量管理、小売店における顧客数の把握 聴覚 マイクロフォン 防犯、音声入力 嗅覚 臭気センサー アルコールや危険物質の検知 味覚 味覚センサー 食品開発、医薬品開発 触覚 圧力センサー、温度センサー スイッチ、自動的な温湿度の調整

株式会社インテリジェントセンサーテクノロジーでは、「世界で初めて味認識装置の実用化に成功した」ことをウェブサイトにて説明しています。

• カメラやマイクは、画像、音声の詳細な情報を把握できるセンサーとして考えることができます。

味認識装置TS‐5000Z

【出所】株式会社インテリジェントセンサーテクノロジーの資料に基づき作成 http://www.insent.co.jp/products/taste_sensor_index.html

1‐2[3] センシング技術とその利用例

人間の五感で感知できる情報とセンサー

• 精度の高低はあっても、人間の五感で感知できる情報は、センサーでの情報収集が可能です。

測定例(ビール、醤油のレーダーチャート)

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五感を代替するセンシング事例と人工知能 視覚情報や聴覚情報のセンシングと人工知能の技術を組み合わせた製品もあります。

• 「NETATMO WELCOME」は、顔認識機能を搭載しており、事前に登録していない人が写った場合のみ利用者に通知することが可能です。

Amazon社が発売した「Amazon Echo」 およびGoogle社が発売した「Google Home」は、マイクでのセンシングに加えて、人工知能による音声認識によって声による操作が可能です。

【出所】NETATMO WELCOME[NETATMO] https://www.netatmo.com/ja‐JP/product/security/welcome

視覚情報を代替するNETATMO WELCOME 聴覚情報を代替するAmazon EchoとGoogle Home

【出所】Amazon Echo[Amazon.com] https://www.amazon.com/Amazon‐Echo‐And‐Alexa‐Devices/b?node=9818047011

1‐2[3] センシング技術とその利用例

フランスのNETATMO社が発売した「NETATMO WELCOME」は、カメラで撮影した写真・動画の情報を人工知能が判別し、必要に応じてインターネットを通じてスマートフォン等へ情報を発信します。

カメラやマイクは古くからあるセンサーですが、人工知能と組み合わせることで新たな用途が広がっています。

• 利用者の話し方や声の特徴をあらかじめ、登録しておくことが可能です。

カメラやマイクといったセンサーと人工知能を組み合わせることで、新たな製品・サービスが生まれています。

【出所】Google Home[Google] https://store.google.com/jp/product/google_home

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五感で感知不可能な情報のセンシング 電波に基づく位置情報など、五感では感知不可能な情報もセンシングから得ることできます。

電波による位置の把握は、GPSや携帯電話の基地局との通信状況に基づく位置情報の把握に加えて、Bluetoothをはじめとするビーコンによるものがあります。

情報 センサー 用途

電波 電波受信機(GPS・モバイル通信用電波) 位置の把握

地磁気 磁気センサー(電子コンパス) 方角の把握

粒子・花粉 パーティクルカウンター(微粒子計) 空気環境の測定

二酸化炭素 CO2センサー 二酸化炭素濃度の測定、農作物の成長促進

放射能 ガイガーカウンター(放射線量計測器) 放射線環境の測定

• GPS(Global Positioning System)は衛星測位システムを用いて、衛星から受信した電波に基づく位置情報の把握を指しています。 • ビーコンとは狼煙(のろし)を原義とし、無線通信においては「電波を利用として、位置情報などを取得する仕組み」を指しており、通信の有無や信号強度に基づいて位置を特定します。

測定した電波の情報を変換することで位置情報を得るなど、収集した情報と用途が異なるケースもあります。

1‐2[3] センシング技術とその利用例

Bluetoothは通信距離が最大数十メートルであるため、GPSや携帯電話の基地局との通信状況に基づく位置情報に比べて高精度の把握が可能です。

通信事業者による位置情報の把握と活用は、講座1‐3においても説明します。

人間の五感で感知不可能な情報とセンサー 地磁気や電波など、人間の五感では感知できない情報も、センシングによって得ることができます。

• 本講座のリーディング技術において紹介したRFIDも、高精度の位置情報の把握に利用することができます。

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高精度の位置情報のセンシング事例(店舗内の位置把握) センシング技術を活用することで屋内における詳細な位置・移動情報を把握できます。

センサーによって移動や位置情報も正確に測り、可視化することでビジネスでの利活用につながりました。

がんこフードサービスは、(独)産業技術総合研究所と共同で外食サービスにおけるデータ収集、分析を行いました。

従業員の衣服へのセンサーの取り付け

分析の一環として、飲食店の従業員にセンサーを取り付け、店舗内の位置、移動を可視化しました。

収集したデータのシミュレーションに基づいて改善策を実施することで、飲食店の経営改善をもたらしました。

【出所】産総研LINK2017年4月[(独)産業技術総合研究所] http://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_link/no_12/no_12_full.pdf

1‐2[3] センシング技術とその利用例

• 磁気センサーで方向、加速度センサーで移動の動きを捕捉し、アクティブ型RFIDで位置情報を補正することで移動情報を収集しました。

• 月商3000万円の店舗で、月間経常利益が300万円の増加があったことが示されています。

センサーのデータに基づく移動経路の可視化

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スマートフォンが持つセンシング機能 スマートフォンにおいては、様々なセンシング機能が搭載されています。

スマートフォンは「持ち歩くIoT」ですが、続いて「身につけるIoT」としてのウェアラブルデバイスを紹介します。

情報 センサー 用途 光、画像 照度センサー、カメラ 画面の明るさ調節、撮影用カメラ 音声 マイクロフォン 通話、音声入力 圧力 圧力センサー 物理ボタン 生体電流 静電容量式タッチセンサ タッチパネル、指紋認証 地磁気 磁気センサー(電子コンパス) 地図表示等における方角の把握 電波 電波センサー(GPS電波等の受信) 地図表示等における位置の把握 速度変化(重力加速度) 加速度センサー 機器の向きによる画面方向の変更 角加速度(回転) ジャイロセンサー カメラの手ぶれ補正、AR(拡張現実)の表示補正

1‐2[3] センシング技術とその利用例

スマートフォンに搭載されているセンサー 普及しているスマートフォンには、カメラやマイクをはじめとして、様々なセンサーが搭載されています。

スマートフォンは様々なセンシング機能を持ち、インターネットにつながる端末として広く一般に普及していることで、様々な活用が期待されています。

スマートフォンが仲介役となり、Bluetooth接続などのIoT機器が収集した情報をインターネットに送受信するケースもあります。

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身につけるIoT(ウェアラブルデバイス) 身につけるIoTはウェアラブルデバイスと呼ばれ、腕時計型やメガネ型が代表的です。 腕時計型やメガネ型など、身につけるIoT機器をウェアラブルデバイスと呼びます。

1‐2[4] ウェアラブルデバイスの機器と事例

腕時計型のウェアラブルデバイスの「Apple Watch」は、利用者の心拍数のセンシングができ、音楽再生などのコントローラーとしても利用できます。

メガネ型のウェアラブルデバイスの「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」は、利用者の眼球の動きや体の動きのセンシングができます。

心拍数の計測ができるApple Watch (腕時計型ウェアラブルデバイス)

【出所】Apple Watch[Apple Inc.] https://support.apple.com/ja‐jp/HT204666

【出所】JINS MEME ES[株式会社ジンズ] https://jins‐meme.com/ja/products/es/

眼球・体の動きが感知できるJINS MEME (メガネ型ウェアラブルデバイス)

• JINS MEMEでは、センシングで得られた情報から、集中力や眠気を測定することができます。

• Apple Watchは、血管における緑色光の吸収量を光センサーでセンシングすることによって脈拍を測定しています。

ウェアラブルデバイスは、手に持つ必要がないセンシング機器やコントローラーの役割を果たします。

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ウェアラブルデバイスにおけるセンシング 心身に関する情報の感知など、ウェアラブルデバイスには特徴的なセンシングがあります。

情報 主なセンサー 用途の大分類 代表的な用途 血流・心拍数 光センサー

心身に関する 情報収集

健康管理、ストレス、病気の予兆検知 体温 赤外線センサー 健康管理、病気の予兆検知 脳波 頭部電位センサー ストレス、睡眠深度の測定 眼球の運動 アイトラッカー 集中力の測定、注目対象の把握 位置情報 電波センサー(電波発信もあり得る) 位置や速度に関

する情報収集 位置の測定

移動情報 加速度・ジャイロセンサー 速度の測定 体の動き 加速度・圧力センサー

入力・運動支援 身振りやクリックによる操作

筋肉の動き 生体電位センサー 動作検知、ロボットスーツ

ウェアラブルデバイスの用途は「心身に関する情報収集」「位置や速度に関する情報収集」「入力・運動支援」に大別できます。

1‐2[4] ウェアラブルデバイスの機器と事例

ウェアラブルデバイスにおけるセンシング例

メガネ型のウェアラブルデバイス上の情報表示は、講座1‐3のMR(Mixed Reality:複合現実)、VR(Virtual Reality:仮想現実)においても、紹介します。

センシング以外のウェアラブルデバイスの機能として、腕時計型のデバイスが振動して情報を通知するケース、メガネ型のデバイス上に情報を表示するケースもあります。 • ウェアラブルデバイスが得た情報を人間に感知(センシング)させるための作動や表示をしています。

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ウェアラブルデバイスによる「心身に関する情報収集」 ウェアラブルデバイスの用途として「心身に関する情報収集」が挙げられます。

Fitbit社が発売しているリストバンド型ウェアラブルデバイスのAlta HR(アルタ・エイチアール)では、心拍センサー・加速度センサーによって睡眠の深さ、睡眠時間をはじめとした情報を収集できます。

1‐2[4] ウェアラブルデバイスの利用例

【出所】Alta HR[Fitbit] https://www.fitbit.com/jp/altahr

【出所】hamon[ミツフジ株式会社] https://www.mitsufuji.co.jp/product/hamon/

リストバンド型ウェアラブルデバイスAlta HR

ミツフジ株式会社が開発している衣服型ウェアラブルデバイスのhamon(ハモン)は、導電性の高い銀繊維を利用して、心電、筋電、呼吸数などの情報を収集できます。

衣服型ウェアラブルデバイスのhamon

「心身に関する情報収集」を行うウェアラブルデバイスでは、睡眠時の動きや呼吸数の情報等を収集できます。

Page 22: 1-2:データ収集技術とウェアラブルデバイス2017年11月、株式会社ファーストリテイリングはユニクロの全ての店舗の衣料品に、精算が瞬時に可能になる

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ウェアラブルデバイスによる「位置や速度に関する情報収集」 ウェアラブルデバイスの用途として「位置や速度に関する情報収集」が挙げられます。

セイコーエプソン株式会社が発売している「Wristable GPS for Trek」は、GPS、地磁気、加速度、温度、気圧のセンサーを備えており、登山において、緯度経度・高度の情報を把握できます。

Wristable GPS for Trek ウェアラブルデバイスによる走行速度の把握

アメリカのプロフットボールリーグのNFLでは、選手の肩パッドにRFIDを埋め込み、選手の位置や速度をリアルタイムに収集し、視聴者の画面上に表示することができます。

【出所】National Football League http://www.nfl.com/videos/next‐gen‐stats/0ap3000000895165

1‐2[4] ウェアラブルデバイスの機器と事例

• 下側の画像では、タッチダウンをした選手のトップスピードが時速21.19マイル(→時速34.1km)であったことを示しています。

【出所】セイコーエプソン株式会社 https://www.epson.jp/products/wgps/trek/

「位置や速度に関する情報収集」を行うウェアラブルデバイスでは、利用者自身やスポーツ選手の位置や移動速度を計測することができます。

Page 23: 1-2:データ収集技術とウェアラブルデバイス2017年11月、株式会社ファーストリテイリングはユニクロの全ての店舗の衣料品に、精算が瞬時に可能になる

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ウェアラブルデバイスによる「入力・運動支援」

「入力・運動支援」を行うウェアラブルデバイスとして、指輪型のコントローラーやパワードスーツが挙げられます。

コクヨ株式会社が発売しているフィンガープレゼンター黒曜石は、指にはめてプレゼンテーションを操作できる指輪型のコントローラーです。

運動支援を行うロボットスーツは、ロボットに分類されることもあり、講座1‐4でも紹介します。

フィンガープレゼンター黒曜石 生体電位を読み取って運動支援を行うHAL

サイバーダイン株式会社のロボットスーツのHAL(Hybrid Assistive Limb:ハル)は、運動を支援するウェアラブルデバイスであり、生体電位を感知し、筋組織の動きを予測することで人間の動作を支援します。

【出所】HAL(CYBERDYNE株式会社) https://www.cyberdyne.jp/products/HAL/index.html

1‐2[4] ウェアラブルデバイスの機器と事例

【出所】フィンガープレゼンター黒曜石(コクヨ株式会社) http://www.kokuyo‐st.co.jp/stationery/fp/

ウェアラブルデバイスの用途として「入力・運動支援」が挙げられます。