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1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1 式と証明
1.1 3次式の展開・因数分解
1 (1) (x+ 1)3 + (x− 1)3 を展開せよ。 (広島国際学院大)
(2) (x2 + xy + y2)(x2 + y2)(x− y)2(x+ y) を展開せよ。 (山形大)
(3) x3 − 27y3 を因数分解せよ。 (京都産業大)
(4) (a+ b+ c)(a2 + b2 + c2 − ab− bc− ca)を展開すると
(a+ b+ c)(a2 + b2 + c2 − ab− bc− ca) =
となる。このことより,a3 − 6ab+8b3 +1 は 1次式と 2次式の積に因数分
解できて,その 1次式は である。 (関西学院大 改)
1 (1) 3次の展開公式
(A + B)3 = A3 + 3A2B + 3AB2 + B3
(A − B)3 = A3 − 3A2B + 3AB2 − B3
を使います。
(2) 3次の展開公式
(A − B)(A2 + AB + B2) = A3 − B3
が使えるように因数の組合せを工夫しましょう。
(3) 3次の因数分解の公式
A3 − B3 = (A − B)(A2 + AB + B2)
を使います。
(4) 3文字の展開式
(a + b + c)(a2 + b2 + c2 − ab − bc − ca) = a3 + b3 + c3 − 3abc
は公式として覚えておきましょう。a3 − 6ab+8b3 +1 を A3 +B3 +C3 − 3ABC の形にみることを考えます。
8
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1 (1) 展開公式を用いると
(x+ 1)3 + (x− 1)3 = (x3 + 3x2 + 3x+ 1) + (x3 − 3x2 + 3x− 1)= 2x3 + 6x
(2) (x2 + xy + y2)(x2 + y2)(x− y)2(x+ y)
= (x− y)(x2 + xy + y2)(x2 + y2)(x− y)(x+ y)
= (x3 − y3)(x2 + y2)(x2 − y2)
= (x3 − y3)(x4 − y4)
= x7 − x4y3 − x3y4 + y7
(3) 与式を変形して
x3 − 27y3 = x3 − (3y)3 = (x − 3y)(x2 + 3xy + 9y2)
(4) 左辺を展開すると
(a+ b+ c)(a2 + b2 + c2 − ab− bc− ca)
= a3 + ab2 + ac2 − a2b− abc− ca2 + (a2b+ b3 + bc2 − ab2 − b2c− abc)
+(ca2 + b2c+ c3 − abc− bc2 − c2a)
= a3 + b3 + c3 − 3abc
となる。このことより
a3 − 6ab+ 8b3 + 1 = a3 + (2b)3 + 13 − 3 · a · 2b · 1を因数分解すると
a3 − 6ab+ 8b3 + 1
= (a+ 2b+ 1){a2 + (2b)2 + 12 − a · 2b− 2b · 1− 1 · a}= (a+ 2b+ 1)(a2 + 4b2 + 1− 2ab− a− 2b)
となるから,求める 1次式は
a + 2b + 1
である。
9
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.2 3次式の値
2 (1) x+ y = 1,xy = −1のとき,x3 + y3 = である。(城西大)
(2) x+ 1x
= 3のとき,x3 + 1x3 = である。 (神奈川大)
3 a,b,cが,a+ b+ c = 1,a2 + b2 + c2 = 3, 1a
+ 1b+ 1
c= 1 をみ
たすとき
(1) abcの値を求めよ。
(2) a3 + b3 + c3 − 3abcの値を求めよ。
(3) 1a2
+ 1b2
+ 1c2の値を求めよ。 (鳥取大)
4 x1,x2,x3,a,b,cを x1 + x2 + x3 = a,x1x2 + x2x3 + x3x1 = b,
x1x2x3 = c なる実数とするとき
x13 + x2
3 + x33 = a3 − ab+ c
である。 (慶應義塾大)
2 (1) 対称式 x3 + y3 は基本対称式 x + y,xy で表すことができます。
(2) x3 + 1x3 を x+ 1
xで表すことを考えます。
3 (1) 3文字の基本対称式 a + b + c,ab + bc + ca,abc の値を準備してお
くための設問ですね。
(2) 3文字の因数分解
a3 + b3 + c3 − 3abc
= (a + b + c)(a2 + b2 + c2 − ab − bc − ca)
は公式として覚えておきましょう。左辺から右辺への変形は,少しキツイかもしれま
せんが, 1 の (4)のように右辺を展開すれば,左辺を導くことができます。
(3) 通分すると分子に b2c2 + c2a2 + a2b2 が現れます。対称式ですから,a + b + c,
ab+ bc+ ca,abcで表すことができます。
4 ここでも 1 (4)の公式を
A3 +B3 + C3 = (A+B + C)(A2 +B2 + C2 −AB −BC − CA) + 3ABC
として使います。
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1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
2 (1) (x+ y)3 = x3 + 3x2y + 3xy2 + y3 を変形して
x3 + y3 = (x+ y)3 − 3xy(x+ y)
x+ y = 1,xy = −1より
x3 + y3 = 13 − 3 · (−1) · 1 = 4
(2) x+ 1x
= 3 より
x3 + 1x3 =
(x+ 1
x
)3
− 3x · 1x
(x+ 1
x
)= 33 − 3 · 3 = 18
3 (1) 1a
+ 1b
+ 1c
= 1 より
bc+ ca+ ab = abc · · · · · · 1⃝また
(a+ b+ c)2 = a2 + b2 + c2 + 2(bc+ ca+ ab)
a+ b+ c = 1,a2 + b2 + c2 = 3より
1 = 3 + 2(bc+ ca+ ab) ∴ bc+ ca+ ab = −1
1⃝より abc = −1
(2) a3 + b3 + c3 − 3abc
= (a+ b+ c)(a2 + b2 + c2 − ab− bc− ca)= 1 · {3− (−1)} = 4
(3) 1a2 + 1
b2+ 1
c2= b2c2 + c2a2 + a2b2
a2b2c2· · · · · · 2⃝
ここで
(bc+ ca+ ab)2 = b2c2 + c2a2 + a2b2 + 2abc(a+ b+ c)
(−1)2 = b2c2 + c2a2 + a2b2 + 2 · (−1) · 1∴ b2c2 + c2a2 + a2b2 = 1 + 2 = 3
2⃝より 1a2 + 1
b2+ 1
c2= 3
(−1)2= 3
4 x13 + x2
3 + x33
= (x1 + x2 + x3)(x12 + x2
2 + x32 − x1x2 − x2x3 − x3x1) + 3x1x2x3
ここで
x12 + x2
2 + x32 = (x1 + x2 + x3)
2 − 2(x1x2 + x2x3 + x3x1)
= a2 − 2b
より
x13 + x2
3 + x33 = a{(a2 − 2b)− b}+ 3c = a(a2 − 3b) + 3c= a3 − 3ab + 3c
11
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.3 二項定理
5(2x2 + 1
x
)7
の展開式で x2 の係数は である。 (関西大)
6 (3x− 2y)5 の展開式で,x2y3 の項の係数は である。
(八戸工業大)
7 1201124 の百の位の数値を求めよ。 (自治医科大)
5 (x+ y)n の展開式は,二項定理
(x + y)n = nC0xn + nC1x
n−1y1 + nC2xn−2y2 + · · · + nCny
n
であり,一般項は
nCkxn−kyk
(または nCkxkyn−k)
です。本問においては,(2x2 + 1
x
)7
ですから,一般項は
7Ck(2x2)7−k ·
(1x
)k(または 7Ck(2x
2)k ·(1x
)7−k)
となります。
6 こちらの一般項は
5Ck(3x)5−k(−2y)k
(または 5Ck(3x)
k(−2y)5−k)
です。
7 (1201)124 = (1200 + 1)124 とみて,二項定理を使います。
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1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
5(2x2 + 1
x
)7
の一般項は
7Ck(2x2)7−k ·
(1x
)k
= 7Ck · 27−k · x14−3k
x2 の項が現れるのは,14− 3k = 2 より k = 4 のときであり,x2 の係数は
7C4 · 27−4 = 7C3 · 23 = 7 · 6 · 53 · 2 · 1 · 8 = 280
6 (3x− 2y)5 の一般項は
5Ck · (3x)5−k · (−2y)k = 5Ck · 35−k · (−2)k · x5−k · yk
x2y3 の項が現れるのは,k = 3のときで,係数は
5C3 · 35−3 · (−2)3 = −720
7 1201124 = (1200 + 1)124
= 124C0 · 1200124 · 10 + 124C1 · 1200123 · 11 + · · ·+124C123 · 12001 · 1123 + 124C124 · 12000 · 1124
1201124 の百の位は
124C123 · 12001 · 1123 + 124C124 · 12000 · 1124
= 124 · 1200 · 1 + 1 · 1 · 1 = 148801
の百の位に等しい。よって,百の位は 8
13
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.4 多項定理
8 (2x− y− 3z)6を展開して整理すると,項の数は全部で ,xy3z2
の係数は である。 (立教大)
9 (x2 − 2x+ 3)5 の展開式における x3 の係数は である。
(名城大 改)
8 (x+ y + z)n の展開式における一般項は
n!p! q! r!
xpyqzr (p + q + r = n, p = 0, q = 0, r = 0)
で与えられ,これを多項定理といいます。
9 一般項は
5!p!q !r!
· (x2)p · (−2x)q · 3r (p+ q + r = 5, p, q, r は 0以上の整数)
です。
14
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
8 (2x− y − 3z)6 の展開は,2x,−y,−3z の 3種類の項から重複を許して 6つ
の項を取り出してかけるので,項数は
3H6 = 3+6−1C6 = 8C2 = 8 · 72 · 1 = 28
xy3z2 の係数は,多項定理より6!
1! 3! 2!· 2 · (−1)3 · (−3)2 = −1080
9 (x2 − 2x+ 3)5 を x について展開したときの一般項は,多項定理より
5!p!q !r!
· (x2)p · (−2x)q · 3r = 5!p!q !r !
· (−2)q · 3r · x2p+q · · · · · · 1⃝
x3 の項が現れるのは2p+ q = 3
p+ q + r = 5
p, q, r は 0以上の整数
より
(p, q, r) = (0, 3, 2), (1, 1, 3)
のときである。したがって,x3 の係数は 1⃝より5!
0!3!2!· (−2)3 · 32 + 5!
1!1!3!· (−2)1 · 33 = −720− 1080 = −1800
15
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.5 二項定理の応用
10 一般に nC0 + nC1x+ nC2x2 + · · ·+ nCnx
n という和の結果を利用すれ
ば,nC0 + nC1 + nC2 + · · · + nCn = であることがわかる。また,前
式の各項に交互に正負をつけた次のような場合も簡単になる。
nC0 − nC1 + nC2 − nC3 + · · ·+ (−1)nnCn =
(武庫川女子大)
11 自然数 nに対して
an = nC0 + nC1 · 2 + nC2 · 22 + · · ·+ nCn · 2n (nCkは二項係数)
とする。このとき,an を nの式で表すと an = である。
(愛知工業大)
12 (1) 2nC0 + 2nC2 + · · ·+ 2nC2n = 2nC1 + 2nC3 + · · ·+ 2nC2n−1を証明
せよ。
(2) 2nC0 + 2nC2 + · · ·+ 2nC2n
4nを求めよ。 (広島大)
10 (1 + x)n の展開式において x = 1, −1を代入してみてください。
11 (1 + x)n の展開式において x = 2を代入するとよいでしょう。
12 10 の後半の等式において nを 2nに置き換えてみてください。
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1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
10 二項定理より
nC0 + nC1x+ nC2x2 + · · ·+ nCnx
n = (1 + x)n · · · · · · 1⃝が成り立つ。x = 1を代入して
nC0 + nC1 + nC2 + · · ·+ nCn = (1 + 1)n = 2n
また, 1⃝において,x = −1を代入すると
nC0 − nC1 + nC2 − nC3 + · · ·+ (−1)nnCn = (1− 1)n = 0
11 二項定理より
an = nC0 + nC1 · 2 + nC2 · 22 + · · ·+ nCn · 2n
= nC0 · 20 · 1n + nC1 · 21 · 1n−1 + nC2 · 22 · 1n−2 + · · ·+ nCn · 2n · 10= (1 + 2)n = 3n
12 (1) 二項定理より
(1 + x)2n = 2nC0 + 2nC1x+ 2nC2x2 + · · ·+ 2nC2nx
2n · · · · · · 1⃝であり,x = −1を代入して
2nC0 − 2nC1 + 2nC2 − 2nC3 + · · · − 2nC2n−1 + 2nC2n = 0 · · · · · · 2⃝∴ 2nC0 + 2nC2 + · · ·+ 2nC2n = 2nC1 + 2nC3 + · · ·+ 2nC2n−1 (証終)
(2) 1⃝において,x = 1を代入して
2nC0 + 2nC1 + 2nC2 + · · ·+ 2nC2n = 22n = 4n · · · · · · 3⃝2⃝+ 3⃝より
2 (2nC0 + 2nC2 + 2nC4 + · · ·+ 2nC2n) = 4n
∴ 2nC0 + 2nC2 + · · ·+ 2nC2n
4n= 1
2
17
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.6 恒等式
13(x+
)(x−
)(x2 − x+ 1)
= x4 − x3 − 4x2 + x− 6
が成り立つ。ただし,空欄は自然数とする。 (近畿大)
14 x3−4x2+9x−10 = (x−1)3+a(x−2)2+b(x−3)+cが xについての
恒等式であるとき,定数 a,b,cの和 a+b+cの値を求めよ。 (防衛医科大)
どんな xの値に対しても成り立つ等式を xについての恒等式といいます。恒等式において,未知の係数を定めるには
(1)係数比較
(2)数値代入
の 2つの方法があります。
13 係数比較をしてみます。
14 数値代入の方法がよいでしょう。代入する数値は右辺の計算がラクなものを選
びます。
18
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
13 与式を
(x+ a)(x− b)(x2 − x+ 1) = x4 − cx3 − 4x2 + dx− 6
とおく。左辺を展開すると
{x2 + (a− b)x− ab}(x2 − x+ 1)
= x4 + (a− b− 1)x3 + (b− a− ab+ 1)x2 + (ab+ a− b)x− ab
同じ次数の項の係数を比較するとa− b− 1 = −c · · · · · · 1⃝b− a− ab+ 1 = −4 · · · · · · 2⃝ab+ a− b = d · · · · · · 3⃝−ab = −6 · · · · · · 4⃝
4⃝, 2⃝より ab = 6 かつ b− a = 1b = a+ 1となるから
a(a+ 1) = 6 ∴ (a+ 3)(a− 2) = 0
aは自然数より a = 2 ∴ b = 31⃝, 3⃝に代入して c = 2,d = 5a,b,c,d が自然数であることをみたすから
(x+ 2)(x− 3)(x2 − x+ 1) = x4 − 2x3 − 4x2 + 5x− 6
14 x3 − 4x2 + 9x− 10 = (x− 1)3 + a(x− 2)2 + b(x− 3) + c
に x = 1, 2, 3を代入すると1− 4 + 9− 10 = a− 2b+ c
8− 16 + 18− 10 = 1− b+ c
27− 36 + 27− 10 = 8 + a+ c
すなわち
a− 2b+ c = −4
−b+ c = −1
a+ c = 0
∴ a = −1, b = 2, c = 1
したがって a + b + c = 2
係数比較で解くと
x3 − 4x2 + 9x− 10 = (x3 − 3x2 + 3x− 1) + a(x2 − 4x+ 4) + b(x− 3) + c
= x3 + (a− 3)x2 + (−4a+ b+ 3)x+ 4a− 3b+ c− 1
よって−4 = a− 3
9 = −4a+ b+ 3
−10 = 4a− 3b+ c− 1
∴ a = −1, b = 2, c = 1
よって a+ b+ c = 2
19
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.7 部分分数分解
15 次の左右両辺が等しくなるような A,B を求めよ。
1x2 − 5x+ 6
= Ax− 3
+ Bx− 2
(広島電機大)
16 次の等式が xについての恒等式となるように,a,b,cの値を定めよ。
x3 + 6x− 15(x− 1)(x− 2)(x+ 3)
= 1 + ax− 1
+ bx− 2
+ cx+ 3
(松山大)
分数式A(x)
B(x)(A(x)の次数 < B(x)の次数)は
c(ax+ b)k
, dx+ e
(ax2 + bx+ c)l
の形の分数式の和としてかくことができます。これを部分分数分解するといいます。
具体的には
px5 + qx4 + · · ·+ r
(x+ 1)2(x2 + 1)2
= ax + 1
+ b(x + 1)2
+cx + d
x2 + 1+
ex + f
(x2 + 1)2
という形をつくり,係数 a, b, · · · , f を決めていきます。数列の和や数学IIIの積分でこの変形が必要となります。
15 右辺を通分して,両辺の分子を比較する。あるいは,両辺に (x− 2)(x− 3)を
かけて分母をはらい,数値代入により A,B の値を求めることもできます。
16 右辺を通分して,分子を整理するのは少しオックウです。分母をはらって数値
代入をしてみましょう。
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1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
15 右辺を通分して計算すると
A(x− 2) +B(x− 3)
(x− 3)(x− 2)=
(A+B)x− 2A− 3B
x2 − 5x+ 6
左辺と右辺の分子を比較すると
1 = (A+B)x− 2A− 3B
であり,係数を比較して{A+B = 0
−2A− 3B = 1∴ A = 1, B = −1
両辺に (x− 2)(x− 3)をかけると
1 = A(x− 2) +B(x− 3)
x = 2, 3を代入すると{1 = −B
1 = A∴ A = 1, B = −1
16 両辺に (x− 1)(x− 2)(x+ 3)をかけると
x3 + 6x− 15
= (x− 1)(x− 2)(x+ 3) + a(x− 2)(x+ 3) + b(x− 1)(x+ 3) + c(x− 1)(x− 2)
x = 1, 2, −3を代入して1 + 6− 15 = −4a
8 + 12− 15 = 5b
−27− 18− 15 = 20c
∴ a = 2, b = 1, c = −3
21
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.8 比例式
17x+ y3
=y + z4
= z + x5
\= 0 のとき,x,y,z を最も簡単な整数比
で表すと x : y : z = である。 (日本工業大)
18 実数 a,b,cは ab
: bc: ca
= 1 : 4 : 2をみたしている。
(1) a : b : cを求めよ。
(2) a2
b+ c+ b2
c+ a+ c2
a+ b= 1が成り立つとき,a,b,cの値を求めよ。
(北海学園大)
a : b = c : dが成り立つとき,a,bと c,dは比例するといいます。
a : b = c : d ⇐⇒ ab
= cd( :は÷)
⇐⇒ ad = bc (外項の積 = 内項の積)
また,a : b : cのことを連比といい
a : b : c = x : y : z ⇐⇒ ax
= by
= cz
が成り立ちます(分母が 0のときは分子も 0となるものとします)。
いずれにせよ
a = kxb = kyc = kz
とおき直すことができます。
17x+ y3
=y + z4
= z + x5
= k ( \= 0) とおきましょう。
18 ab
: bc
: ca
= 1 : 4 : 2 より ab
= k, bc
= 4k, ca
= 2k (k \= 0) とおくこと
ができます。
22
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
17x+ y3
=y + z4
= z + x5
= k ( \= 0) とおくと
x+ y3
= k,y + z4
= k, z + x5
= k
∴
x+ y = 3k · · · · · · 1⃝
y + z = 4k · · · · · · 2⃝
z + x = 5k · · · · · · 3⃝1⃝, 2⃝, 3⃝の 3つの式の辺々を加えて
2(x+ y + z) = 12k ∴ x+ y + z = 6k · · · · · · 4⃝2⃝, 4⃝より x = 2k3⃝, 4⃝より y = k1⃝, 4⃝より z = 3kk \= 0より x : y : z = 2 : 1 : 3
18 (1) 条件より
ab
= k, bc
= 4k, ca
= 2k (k \= 0)
とおける。3式の辺々をかけてab
· bc· ca
= k · 4k · 2k ∴ 8k3 = 1
8k3 − 1 = 0であるから,左辺を因数分解すると
(2k − 1)(4k2 + 2k + 1) = 0
ここで,k は実数より 4k2 + 2k + 1 = 4(k + 1
4
)2
+ 34
> 0であるから
2k − 1 = 0 ∴ k = 12
よって, ab
= 12, b
c= 2, c
a= 1となるから
b = 2a, c = a (a \= 0) · · · · · · 1⃝
∴ a : b : c = a : 2a : a = 1 : 2 : 1
(2) 条件式の左辺に 1⃝を代入するとa2
b+ c+ b2
c+ a+ c2
a+ b= a2
2a+ a+
(2a)2
a+ a+ a2
a+ 2a
= a3
+ 2a+ a3
= 83a
a2
b+ c+ b2
c+ a+ c2
a+ b= 1 であるから
83a = 1 ∴ a = 3
8, b = 3
4, c = 3
8
23
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.9 分数式
19 次の式を簡単にせよ。
(1)
(1− 2x
x2 + x+ 1
)÷ x3 + 1
x3 − 1× 2x2 + x− 1
2x2 − x− 1(札幌大)
(2) ab(a− c)(c− b)
+ ac(b− a)(c− b)
+ bc(a− b)(c− a)
(近畿大)
19 (1) 与式をできる限り因数分解し,約分をしていきます。
x3 + y3 = (x + y)(x2 − xy + y2)
x3 − y3 = (x − y)(x2 + xy + y2)
(2) (a− b)(b− c)(c− a)で通分しましょう。その後,分子は 1つの文字について整
理して因数分解していきます。
24
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
19 (1)
(1− 2x
x2 + x+ 1
)÷ x3 + 1
x3 − 1× 2x2 + x− 1
2x2 − x− 1
= x2 − x+ 1x2 + x+ 1
× (x− 1)(x2 + x+ 1)
(x+ 1)(x2 − x+ 1)× (2x− 1)(x+ 1)
(2x+ 1)(x− 1)
=2x − 12x + 1
(2) ab(a− c)(c− b)
+ ac(b− a)(c− b)
+ bc(a− b)(c− a)
= 1(a− b)(b− c)(c− a)
{ab(a− b) + ca(c− a) + bc(b− c)}
= 1(a− b)(b− c)(c− a)
{(b− c)a2 − (b2 − c2)a+ bc(b− c)}
= 1(a− b)(b− c)(c− a)
(b− c){a2 − (b+ c)a+ bc}
= 1(a− b)(b− c)(c− a)
(b− c)(a− b)(a− c)
= −1
25
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.10 不等式の証明
20 a,b,cを実数とするとき,次の不等式を証明せよ。また,等号が成り
立つのはどのような場合か。
(1) a2 + b2 + c2 = ab+ bc+ ca
(2) a4 + b4 + c4 = abc(a+ b+ c) (東北学院大)
21 a,b,c,dを正の数とするとき,次の不等式を証明せよ。また,等号
はどのようなときに成立するか。
(1) a+ b2
=√ab
(2) a+ b+ c3
= 3√abc
(3) a+ b+ c+ d4
= 4√abcd (大阪体育大)
20 下の等式の変形は覚えておくべきでしょう。
a2 + b2 + c2 − ab − bc − ca
= 12{(a − b)2 + (b − c)2 + (c − a)2}
もちろん,(左辺)−(右辺)= 0を目指して,平方完成していく方法もあります。
21 (2)は経験していないとツライでしょうか。次の変形を使います。
A3 + B3 + C3 − 3ABC
= (A + B + C)(A2 + B2 + C2 − AB − BC − CA)
= 12(A+B + C){(A−B)2 + (B − C)2 + (C −A)2}
(3)を利用して (2)を導くうまい方法もあります。
3文字の相加・相乗平均の関係までは使えるようにしておきましょう。
26
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
20 (1)(左辺)−(右辺)= 0を示す。
a2 + b2 + c2 − ab− bc− ca = 12(2a2 + 2b2 + 2c2 − 2ab− 2bc− 2ca)
= 12{(a2 − 2ab+ b2) + (b2 − 2bc+ c2) + (c2 − 2ca+ a2)}
= 12{(a− b)2 + (b− c)2 + (c− a)2} = 0
等号成立は a = b = cのときである。 (証終)
(左辺)−(右辺)= a2 − (b+ c)a+ b2 + c2 − bc
=(a− b+ c
2
)2
+ 34b2 + 3
4c2 − 3
2bc =
(a− b+ c
2
)2
+ 34(b− c)2 = 0
等号成立は a = b+ c2
かつ b = c すなわち a = b = c のときである。
(2) (1)の不等式を利用すると
a4 + b4 + c4 = a2b2 + b2c2 + c2a2 = (ab)2 + (bc)2 + (ca)2
= (ab) · (bc) + (bc) · (ca) + (ca) · (ab) = abc(a+ b+ c)
等号成立は a2 = b2 = c2 かつ ab = bc = ca すなわち a = b = cのときである。(証終)
21 (1) a,bは正の数より
a+ b2
−√ab =
(√a−
√b)2
2= 0 ∴ a+ b
2=
√ab
ここで,等号成立は√a =
√bすなわち a = bのときである。 (証終)
(2) A = 3√a,B = 3
√b,C = 3
√cとおくと
a+ b+ c3
− 3√abc = A3 +B3 + C3 − 3ABC
3
= A+B + C3
(A2 +B2 + C2 −AB −BC − CA)
= A+B + C3
· 12{(A−B)2 + (B − C)2 + (C −A)2}
a,b,cは正の数より A,B,C は正であり,(上式)= 0。
ここで,等号成立は A = B = C すなわち a = b = cである。 (証終)
(3) (1)の不等式を使う。a+ b+ c+ d
4= 1
2
(a+ b2
+ c+ d2
)= 1
2(√ab+
√cd) =
√√ab√cd =
4√abcd
等号成立は a = bかつ c = dかつ√ab =
√cd より a = b = c = dのときである。(証終)
27
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
【参考】(3)の不等式から (2)の不等式を導くこともできる。
(3)において d =a + b + c
3(> 0)とおくと
a+ b+ c+ a+ b+ c3
4= 4
√abc · a+ b+ c
3
14
· 43(a+ b+ c) = 4
√abc · a+ b+ c
3
辺々4乗して(a+ b+ c
3
)4
= abc · a+ b+ c3(
a+ b+ c3
)3
= abc ∴ a+ b+ c3
= 3√abc
28
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.11 相加・相乗平均の関係の応用
22 a > 0,b > 0,c > 0,d > 0のとき (a+ b)(1c+ 1
d
)= 4
√abcdが成
り立つことを示せ。 (津田塾大)
23 すべての a > 0に対して,a+ 4a
= bをみたす最大の bは である。
(慶應義塾大)
24 xが正の数のとき,x+ 16xの最小値は であり,x+ 16
x+ 2の最
小値は である。 (九州産業大)
25 xが正の数のとき, xx2 + 16
の最大値は であり,このとき,xの
値は である。 (九州産業大)
22 a > 0, b > 0, c > 0, d > 0 のとき,2つの不等式
a+ b = 2√ab, 1
c+ 1
d= 2
√1c
· 1d
が成り立ち,これらを利用します。
23 k は正の定数で,x > 0のとき,相加・相乗平均の関係より
x+ kx
= 2
√x · k
x= 2
√k (一定)
なので,等号が成立することが確認できたら,2√kが最小値といえます。等号成立の
確認を忘れないでください。
24 x+ 16x+ 2
は x + 2 = tとおくと t > 2で
(t− 2) + 16t
= t+ 16t
− 2
と変形できます。
25 xx2 + 16
の分子・分母をそれぞれ xでわると 1
x+ 16x
と変形できます。
29
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
22 a > 0, b > 0, c > 0, d > 0 であるから,相加・相乗平均の関係より
a+ b = 2√ab · · · · · · 1⃝, 1
c+ 1
d= 2
√1cd
· · · · · · 2⃝
1⃝, 2⃝の辺々をかけると (a+ b)(1c
+ 1d
)= 2
√ab · 2
√1cd
= 4
√abcd
等号が成り立つのは,a = bかつ c = dのときである。 (証終)
23 a > 0, 4a
> 0より a+ 4a
= 2
√a · 4
a= 4(等号成立は a = 2のとき)
よって,a+ 4a
= bをみたす最大の bは 4
24 x > 0, 16x
> 0より x+ 16x
= 2
√x · 16
x= 8
等号成立は x = 16xより x = 4のときで,最小値は 8
また,x + 2 = tとおくと t > 2(> 0)より
x+ 16x+ 2
= t− 2 + 16t
=(t+ 16
t
)− 2 = 8− 2 = 6
等号成立は t = 4 より x = 2 のときで,最小値は 6
25 x > 0 より xx2 + 16
= 1
x+ 16x
であり,(分母)= x+ 16xは,
前の問題 24 より,x = 4のとき最小値 8をとる。
よって, xx2 + 16
は x = 4のとき,最大値 18をとる。
30
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.12 整式のわり算
26 2x2 − 5x+ 3を x− 3で割ると,商は x+ で,
余りは 。 (法政大)
27 3次式 2x3 + 7x2 + 10x+ 4を 2次式 2x2 + 3x+ 1で割ると,
商は であり,余りは である。 (足利工業大)
28 整式 x4 − x3 − ax2 + bx− 6が (x− 1)2で割り切れるとき,a,bの値
を求めよ。 (東北学院大)
29 2x3−3x2+9x+2をある整式 ax2+bx+cで割ったときの商が x−1で
あり,余りが 3x+7であった。このとき a = ,b = ,c =
である。 (八戸工業大)
26 余りだけなら,余りの定理(剰余の定理ともいう)を使い
2 · 32 − 5 · 3 + 3 = 6
として求めることができますが,商も求めなければならないので,わり算を実行するこ
とになります。1次式によるわり算なら組立除法を使ってもよいですね。
27 2次式によるわり算なので,タテのわり算を実行します。
28 わり算を実行し,(余り) = 0 の式を考えます。あるいは,与えられた整式は
(x− 1)2 でわり切れるから,x− 1 でわった商がまた x− 1 でわり切れることを利用
してもよいですね。
29 整式 f(x)を整式 g(x)でわったときの商がQ(x),余りがR(x)であるとは
f(x) = g(x)Q(x) + R(x) (R(x)の次数 < g(x)の次数)
が成り立つことです。これは,xについての恒等式です。
31
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
26 2x2 − 5x+ 3を x− 3でわると右のようになり 2x + 1x − 3
)2x2 − 5x + 32x2 − 6x
x + 3x − 3
6
商は 2x + 1,余りは 6
組立除法を使うと
3 2 −5 3
+) 6 3
× 2 1 6商 余り
27 2x3 + 7x2 + 10x+ 4を 2x2 + 3x+ 1でわると
x + 2
2x2 + 3x + 1)2x3 + 7x2 + 10x + 4
2x3 + 3x2 + x
4x2 + 9x + 4
4x2 + 6x + 2
3x + 2
商は x + 2,余りは 3x + 2
28 整式 x4 − x3 − ax2 + bx− 6を (x− 1)2 = x2 − 2x+ 1でわると
x2 + x + (1− a)
x2 − 2x + 1)x4 − x3 − ax2 + bx − 6
x4 − 2x3 + x2
x3 − (a+ 1)x2 + bx
x3 − 2x2 + x
(1− a)x2 + (b− 1)x − 6
(1− a)x2 + (2a− 2)x + 1− a
(−2a+ b+ 1)x + a− 7
わり切れるということは,余りが 0ということであるから{−2a+ b+ 1 = 0
a− 7 = 0
よって
a = 7, b = 13
32
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
f(x) = x4 − x3 − ax2 + bx − 6 とおくと,f(x) = (x − 1)2P (x) とおける。
f(1) = −a+ b− 6 = 0より
b = a+ 6
このとき
f(x) = x4 − x3 − ax2 + (a+ 6)x− 6
= (x− 1)(x3 − ax+ 6)
f(x) = (x− 1)2P (x) より
x3 − ax+ 6 = (x− 1)P (x)
両辺に x = 1を代入して
7− a = 0∴ a = 7, b = 7 + 6 = 13
組立除法を用いるなら
1 1 −1 −a b −6
1 0 −a b− a
1 1 0 −a b− a b− a− 6
1 1 1− a
1 1 1− a 1 + b− 2a
x4 − x3 − ax2 + bx− 6 が (x− 1)2 でわり切れるから{b− a− 6 = 0
1 + b− 2a = 0
これを解くと
a = 7, b = 13
29 題意より
2x3 − 3x2 + 9x+ 2 = (ax2 + bx+ c)(x− 1) + 3x+ 7
右辺を展開すると
(ax2 + bx+ c)(x− 1) + 3x+ 7
= ax3 + (b− a)x2 + (c− b+ 3)x− c+ 7
左辺と係数を比較して
a = 2, b = −1, c = 5
2x3 − 3x2 + 9x+ 2 = (ax2 + bx+ c)(x− 1) + 3x+ 7より
(ax2 + bx+ c)(x− 1) = 2x3 − 3x2 + 6x− 5
= (x− 1)(2x2 − x+ 5)
∴ ax2 + bx+ c = 2x2 − x+ 5したがって
a = 2, b = −1, c = 5
33
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
1.13 A=BQ+R,剰余の定理,因数定理
30 x10 を x2 − 1 で割った余りは である。 (神奈川大)
31 整式 P (x)を x− 3で割ると 3余り,x+ 5で割ると −13余る。
P (x)を (x− 3)(x+ 5)で割った余りは である。 (八戸工業大)
32 整式 F (x)を x − 1で割ると 5余り,x2 + x + 1で割ると −5x + 1余
る。F (x)を x3 − 1で割るとき,余りを求めよ。 (中部大)
33 整式 f(x)を x2 − 4x+ 3で割ると −x+ 10余り,x2 − 5x+ 6で割る
と 2x+ 1余るという。
(1) f(x)を x2 − 3x+ 2で割ったときの余りを求めよ。
(2) f(x)を (x − 1)(x − 2)(x − 3)で割ったときの余りを px2 + qx + r とお
き,p,q,rの値を求めよ。 (東北学院大)
30 x10 = (x2 − 1)Q(x) + ax+ b とおくことができます。余りは ax+ b なので,
2つの条件があれば 2つの未知数 a,b の値を求めることができます。
31 P (x) = (x− 3)(x+ 5)Q(x) + ax+ bとおき,a,bを求めることになります。
これは,xについての恒等式なので,xに好きな値を入れることができます。Q(x)に
影響されずに右辺の値を出すためには,x = 3, −5を代入することになりますね。
32 今度は 3次式でわりますから,余りは 2次以下の式であり
F (x) = (x3 − 1)Q(x) + ax2 + bx+ c
とおくことができます。
33 与えられた条件を式で表すと
f(x) = (x− 1)(x− 3)Q1(x)− x+ 10,
f(x) = (x− 2)(x− 3)Q2(x) + 2x+ 1 となります。
(1) x2 − 3x+ 2 = (x− 1)(x− 2)ですから,上の 2式に x = 1, 2をそれぞれ代入す
れば,f(1),f(2)の値が決まりますね。
(2) 親切な誘導つきです。
34
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
30 x10 を x2 − 1 でわった商を Q(x),余りを ax+ b とおくと
x10 = (x2 − 1)Q(x) + ax+ b
∴ x10 = (x− 1)(x+ 1)Q(x) + ax+ b
両辺に x = 1 を代入すると
1 = a+ b · · · · · · 1⃝であり,x = −1 を代入すると
1 = −a+ b · · · · · · 2⃝1⃝, 2⃝より a = 0,b = 1 だから,求める余りは 1 である。
31 P (x)を (x− 3)(x+ 5)でわった商を Q(x),余りを ax + bとおくと
P (x) = (x− 3)(x+ 5)Q(x) + ax+ b
P (x)を x− 3,x+ 5でわった余りはそれぞれ 3,−13より{P (3) = 3a+ b = 3
P (−5) = −5a+ b = −13∴ a = 2, b = −3
よって,求める余りは 2x − 3
32 F (x)を x3 − 1でわった商を Q(x),余りを ax2 + bx + cとおくと
F (x) = (x3 − 1)Q(x) + ax2 + bx+ c
= (x− 1)(x2 + x+ 1)Q(x) + ax2 + bx+ c
F (1) = 5より
F (1) = a+ b+ c = 5 · · · · · · 1⃝F (x)を x2 + x+ 1でわったときの余りが −5x+ 1より,ax2 + bx+ cを x2 + x+ 1
でわった余りは −5x+ 1であるから
ax2 + bx+ c = a(x2 + x+ 1) + (b− a)x+ c− a
∴{
b− a = −5 · · · · · · 2⃝
c− a = 1 · · · · · · 3⃝1⃝, 2⃝, 3⃝より a = 3,b = −2,c = 4 だから,求める余りは 3x2 − 2x + 4
x2 + x+ 1でわった余りに着目すると
F (x) = (x− 1)(x2 + x+ 1)Q(x) + a(x2 + x + 1) − 5x + 1
とおける。あとは F (1) = 5より F (1) = 3a− 4 = 5となり
a = 3
よって,求める余りは
3(x2 + x+ 1)− 5x+ 1 = 3x2 − 2x+ 4
35
1章:式と証明・高次方程式 1:式と証明
33 題意より
f(x) = (x− 1)(x− 3)Q1(x)− x+ 10 · · · · · · 1⃝f(x) = (x− 2)(x− 3)Q2(x) + 2x+ 1 · · · · · · 2⃝
(1) f(x) = (x− 1)(x− 2)Q3(x) + ax+ b · · · · · · 3⃝ とおく。
1⃝, 3⃝に x = 1を代入すると
9 = a+ b2⃝, 3⃝に x = 2を代入すると
5 = 2a+ b
これを解くと
a = −4, b = 13
よって,求める余りは
−4x + 13
(2) f(x) = (x− 1)(x− 2)(x− 3)Q4(x) + px2 + qx+ r · · · · · · 4⃝ とおく。
1⃝, 4⃝に x = 1 を代入すると
9 = p+ q + r
2⃝, 4⃝に x = 3 を代入すると
7 = 9p+ 3q + r
3⃝, 4⃝に x = 2 を代入すると
5 = 4p+ 2q + r
これを解くと
p = 3, q = −13, r = 19
(2)の余り 3x2 − 13x+ 19 を先に求めて (1)の余りを求めることもできる。
(x− 1)(x− 2) = x2 − 3x+ 2
より,(1)の余りは 3x2 − 13x+ 19を x2 − 3x+ 2で割った余りに一致する。
3x2 − 13x+ 19 = 3(x2 − 3x+ 2)− 4x+ 13
よって,(1)の余りは
−4x+ 13
36
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2 高次方程式
2.1 複素数の計算
34 (1) (√3+
√−4)(1−
√−3)を a+ bi(ただし,a, bは実数とする)の
形で表すと, + iとなる。 (帝京大)
(2) (1− i)2 を計算せよ。ただし,iは虚数単位とする。 (岩手大)
(3) (1 + i)3 + (1− i)3 = − (iは虚数単位) (東京工科大)
35 (1) x =−1 +
√7i
2のとき,x4−3x2−4x+2の値を求めると で
ある。 (東北学院大)
(2) z = −√5 + iのとき,z4 +
√5z3 + z2 + 4
√5zの値は, である。
(中部大)
平方すると −1となる数を iと表し,iを虚数単位といいます。すなわち i2 = −1です。複素数の計算では,iを 1つの文字とみて計算し,途中 i2が出てきたら i2 = −1と置き換えて計算していきます。
34 (1) a > 0のとき√−a =
√aiです。とくに,
√−1 = iです。
(2),(3) iを文字とみて,まずは式を展開していきます。
35 式の値を求める問題です。
(1) x =−1 +
√7i
2を f(x) = x4 − 3x2 − 4x+2に代入し,計算するのは大変です。
xは 2x+ 1 =√7iという関係をみたし
(2x+ 1)2 = 7i2 ∴ x2 + x+ 2 = 0
という関係をみたします。f(x)を x2 + x+ 2でわり
f(x) = (x2 + x + 2)g(x) + ax+ b
と変形しておけば
f
(−1 +
√7i
2
)= 0× g
(−1 +
√7i
2
)+ a× −1 +
√7i
2+ b
= a× −1 +√7i
2+ b
となります。これなら簡単に計算できますね。
(2) (z +√5)2 = i2 として,iを消去し,z の 2次について関係式をつくります。
37
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
34 (1) (√3 +
√−4)(1−
√−3) = (
√3 + 2i)(1−
√3i)
=√3− 3i+ 2i− 2
√3i2 = 3
√3 − i
(2) (1− i)2 = 1− 2i+ i2 = −2i
(3) (1 + i)3 + (1− i)3 = (1 + 3i+ 3i2 + i3) + (1− 3i+ 3i2 − i3)
= 2(1 + 3i2)
= −4
35 (1) x =−1 +
√7i
2より 2x+ 1 =
√7i
両辺を 2乗して
(2x+ 1)2 = 7i2
4x2 + 4x+ 1 = −7 ∴ x2 + x + 2 = 0
ここで,f(x) = x4 − 3x2 − 4x+ 2を x2 + x + 2でわると,商が x2 − x− 4,
余りが 2x+ 10なので
f(x) = (x2 − x− 4)(x2 + x+ 2) + 2x+ 10
∴ f
(−1 +
√7i
2
)= 2 · −1 +
√7i
2+ 10 = 9 +
√7i
(2) z = −√5 + i より z +
√5 = i
両辺を 2乗して
(z +√5)2 = i2 z2 + 2
√5z + 5 = −1 ∴ z2 + 2
√5z + 6 = 0
ここで,f(z) = z4 +√5z3 + z2 + 4
√5z を z2 + 2
√5z + 6でわると,
商は z2 −√5z + 5,余りは −30なので
f(z) = (z2 −√5z + 5)(z2 + 2
√5z + 6)− 30
f(−√5 + i) = −30
38
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.2 複素数の相等
36 z2 = 4 + 3iをみたす複素数 zは
z = ア + イ i または z = ウ + エ i
である。ただし, ア ~ エ は実数で,i2 = −1である。 (関西学院大)
37 a,bを実数 (a \= 0)とするとき,次の式が成立する。ただし,iは虚
数単位である。
(3 + 2i)(1− 5i) = (13 + ai)(1− bi)
このとき,a = である。 (八戸工業大 改)
38 等式 (1 + i)x2 − (2 − 3i)x − (3 − 2i) = 0をみたす実数 xの値を求め
よ。ただし,iは虚数単位とする。 (武蔵工業大)
a,b,c,dを実数,iを虚数単位とするとき
a + bi = c + di ⇐⇒{a = cb = d
とくに,a+ bi = 0 ⇐⇒ a = b = 0
36 z = x+ yi(x, y は実数)とおいて,z2 を計算します。
37 両辺をそれぞれ展開し,実部・虚部を比較します。
38 虚数を係数とする 2次方程式の問題です。xは実数なので iについて整理する
と f(x) + g(x)i = 0 ⇐⇒
{f(x) = 0
g(x) = 0となります。
39
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
36 z = x+ yi(x,y は実数)とおくと
z2 = (x+ yi)2 = x2 + 2xyi+ y2i2 = (x2 − y2) + 2xyi
z2 = 4 + 3i であるから(x2 − y2) + 2xyi = 4 + 3i
複素数の相等より{x2 − y2 = 4 · · · · · · 1⃝
2xy = 3 · · · · · · 2⃝
y \= 0より 2⃝から x = 32yである。これを 1⃝へ代入して
94y2 − y2 = 4
4y4 + 16y2 − 9 = 0 ∴ (2y2 + 9)(2y2 − 1) = 0
y2 > 0より y2 = 12
∴ y = ± 1√2
= ±√22
2⃝より x = ± 3√2
2(複号同順)
以上より z =3√2
2+
√22
i または − 3√2
2+
−√2
2i
37 (3 + 2i)(1− 5i) = (13 + ai)(1− bi)において
(左辺)= 3− 15i+ 2i− 10i2 = 13− 13i
(右辺)= 13− 13bi+ ai− abi2 = 13 + ab+ (a− 13b)i
a,b は実数であるから,複素数の相等より{13 = 13 + ab
−13 = a− 13bすなわち
{ab = 0 · · · · · · 1⃝
a = 13b− 13 · · · · · · 2⃝
a \= 0より, 1⃝から b = 02⃝より a = −13
40
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
38 x は実数であるから,与式を実部と虚部に分けると
(1 + i)x2 − (2− 3i)x− (3− 2i) = 0
∴ x2 − 2x− 3 + (x2 + 3x+ 2)i = 0
複素数の相等より{x2 − 2x− 3 = 0
x2 + 3x+ 2 = 0すなわち
{(x− 3)(x+ 1) = 0 · · · · · · 1⃝
(x+ 1)(x+ 2) = 0 · · · · · · 2⃝
よって, 1⃝, 2⃝をともにみたす実数 x は x = −1
【参考】本問は虚数を係数とする 2次方程式の実数解を求めたわけだが,解の範囲を複素数まで広げると,本問の 2次方程式の解は
(x− 3)(x+ 1) + (x+ 1)(x+ 2)i = 0(x+ 1){(1 + i)x− 3 + 2i} = 0
∴ x = −1, 3− 2i1 + i
(= 1− 5i
2
)
41
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.3 共役複素数
39 2つの複素数 z1 = a + bi,z2 = c + di(a, b, c, dは実数)に対して,
次の 2つの等式が成り立つことを示せ。
z1 + z2 = z1 + z2, z1 · z2 = z1 · z2 (山形大)
40 z =−1 +
√3i
2とするとき
z + z = − ,zz = ,1z
+ 1
z= −
である。ただし,iは虚数単位を表し,zは zと共役な複素数を表す。
(東京工科大)
41 複素数 zが (z − 1)(z − 2) = izをみたせば z = である。
ただし,iは虚数単位,zは zと共役な複素数とする。 (立教大)
a,bが実数のとき,複素数 z = a+ biに対して,虚部の符号を変えた複素数 a− bi
を z と共役な複素数といい,z で表します。
z = a+ bi = a− bi
39 共役についての基本的な性質です。共役の定義,複素数の和,積の定義にした
がって,両辺をそれぞれ計算します。
40 z = a+ bi(a,bは実数)のとき
z + z = 2a( = z の実部の 2倍)
zz = a2 + b2
( = z 2,√a2 + b2は z の絶対値といい,z で表します)
41 z = x+ yi(x,y は実数)とおいて両辺を計算し,実部,虚部を比較します。
42
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
39 z1 + z2 = (a+ c) + (b+ d)iより
z1 + z2 = (a+ c)− (b+ d)i
また
z1 + z2 = (a− bi) + (c− di) = (a+ c)− (b+ d)i
∴ z1 + z2 = z1 + z2
次に
z1 · z2 = (a+ bi)(c+ di) = ac+ (ad+ bc)i+ bdi2
= (ac− bd) + (ad+ bc)i
より
z1 · z2 = (ac− bd)− (ad+ bc)i
である。また
z1 · z2 = (a− bi)(c− di) = ac− (ad+ bc)i+ bdi2
= (ac− bd)− (ad+ bc)i
∴ z1 · z2 = z1 · z2 (証終)
40 z =−1 +
√3i
2より z =
−1−√3i
2であり
z + z =−1 +
√3i
2+
−1−√3i
2= −1
zz =−1 +
√3i
2× −1−
√3i
2=
(−1)2 − 3i2
4= 1 + 3
4= 1
1z
+ 1
z=
z + z
zz= −1
z + z = 2 × (z の実部) = 2×(− 1
2
)= −1
zz = (z の実部)2 + (z の虚部)2 =(− 1
2
)2
+
( √32
)2
= 1
としてもよい。
43
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
41 z = x+ yi(x,y は実数)とおくと,z = x− yiであり
(z − 1)(z − 2) = iz
zz − 2z − z + 2 = iz
(x2 + y2)− 2(x+ yi)− (x− yi) + 2 = i(x+ yi)
(x2 + y2 − 2x− x+ 2) + (−2y + y)i = xi+ yi2
∴ (x2 + y2 − 3x+ 2)− yi = −y + xi
複素数の相等より{x2 + y2 − 3x+ 2 = −y · · · · · · 1⃝
−y = x · · · · · · 2⃝2⃝を 1⃝へ代入して
y2 + y2 + 3y + 2 = −y
y2 + 2y + 1 = 0∴ y = −1
2⃝より x = 1 であるからz = 1 − i
44
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.4 分母の実数化
42 (3 + i)z − 5(1 + 5i) = 0(ただし,i2 = −1)をみたす zは
z = + i である。 (千葉工業大)
43 2 + 3i1 + 2i
+ 2i3− i
= 。ただし,iは虚数単位とする。
(東京工科大)
44 11
1 +√5 +
√2i
+ 11
1 +√5−
√2i
= である。 (日本工業大)
42 3 + i \= 0 より z =5(1 + 5i)
3 + iですが,これではまだ未整理の状態です。
z =(実数)+(実数)i の形に変形します。そのためには分母と共役な複素数を分母と分子にかけて分母を実数化します。すなわち,分母を抜き出すと
1a+ bi
= a− bi(a+ bi)(a− bi)
= a− bia2 + b2
(a, bは実数)
43 まずは第 1項,第 2項それぞれの分母を実数化して式を整理していきましょう。
44 分母を実数化するとき,1 +√5 = X とおくとよいでしょう。
45
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
42 z =5(1 + 5i)
3 + iより,分母が実数になるように右辺を変形すると
z =5(1 + 5i)(3− i)
(3 + i)(3− i)=
5(8 + 14i)
10= 4 + 7i
43 分母が実数となるように変形すると
2 + 3i1 + 2i
+ 2i3− i
=(2 + 3i)(1− 2i)
(1 + 2i)(1− 2i)+
2i(3 + i)
(3− i)(3 + i)
= 8− i5
+ −2 + 6i10
=7 + 2i
5
44 1 +√5 = X とおくと与式は
11
X +√2i
+ 11
X −√2i
=11(X −
√2i) + 11(X +
√2i)
(X +√2i)(X −
√2i)
= 22XX2 + 2
ここで,X2 = (1 +√5)2 = 6 + 2
√5より
(与式)=22(1 +
√5)
(6 + 2√5) + 2
=11(1 +
√5)
4 +√5
=11(1 +
√5)(4−
√5)
(4 +√5)(4−
√5)
=11(4−
√5 + 4
√5− 5)
16− 5
= −1 + 3√5
46
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.5 判別式
45 2次方程式 4x2 + kx+ 3 = 0が実数解をもつような定数 kの値の範囲
を求めよ。 (福井工業大)
46 xの方程式 4x2 − 2x+ 4 = a(2x− 1)が虚数解をもつのは,定数 aが
< a < の範囲の値をとるときである。 (東京薬科大)
45 , 46 2次方程式 ax2 + bx+ c = 0 (a \= 0)の解は
x =−b±
√b2 − 4ac2a
ですが,このとき現れる b2 − 4acを判別式(Discriminant)といい,Dとかきます。D > 0のとき,異なる 2実数解
D = 0のとき,重解
}実数解条件は D = 0
D < 0のとき,異なる 2虚数解
です。
また,重解も実数解ですから,実数解をもつ条件はD = 0 です。
47
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
45 4x2 + kx+ 3 = 0の判別式を D とすると実数解をもつ条件は
D = k2 − 4 · 4 · 3 = k2 − 48 = 0
∴ k 5 −4√3, k = 4
√3
46 4x2 − 2x+ 4 = a(2x− 1) より
4x2 − 2(1 + a)x+ 4 + a = 0
この 2次方程式の判別式を D とすると,虚数解をもつ条件は D < 0よりD4
= (1 + a)2 − 4(4 + a)
= (a2 + 2a+ 1)− 16− 4a
= a2 − 2a− 15= (a+ 3)(a− 5) < 0
∴ −3 < a < 5
48
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.6 2次方程式の解と係数の関係
47 2次方程式 x2 − 3x+ 4 = 0の相異なる 2つの解を α,β とするとき
α+ β = , αβ = , 11α2 + 1
β2
=
である。 (東京工科大)
48 2次方程式 x2 + px+ 4p = 0の 2つの解を α,β とするとき,
α2 + β2 = 20が成り立つという。このとき,定数 pの値と,そのときの 2つ
の解を求めよ。 (長崎総合科学大)
49 kは正の数とする。2次方程式 x2 + kx+ 12 = 0の 1つの解が他の解
の 3倍であるように kを定めると,k = である。 (八戸工業大)
47 ~ 49 次の条件は同値な関係にあります。
2次方程式 ax2 + bx + c = 0 (a \= 0)の解が α,β である
⇐⇒ ax2 + bx+ c = a(x− α)(x− β) = a{x2 − (α+ β)x+ αβ}
⇐⇒
α + β = − ba
αβ = ca
α+β,αβは基本対称式とよばれ,α,βの対称式は基本対称式で表すことができます。
49
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
47 x2 − 3x+ 4 = 0の 2つの解が α,β だから,解と係数の関係より
α+ β = 3, αβ = 4
11α2 + 1
β2
=α2β2
β2 + α2 =(αβ)2
(α+ β)2 − 2αβ= 16
9− 8= 16
48 x2 + px+ 4p = 0の 2つの解が α,β より,解と係数の関係から
α+ β = −p, αβ = 4p
∴ α2 + β2 = (α + β)2 − 2αβ = p2 − 8p
よって,α2 + β2 = 20 が成り立つとき
p2 − 8p = 20 (p− 10)(p+ 2) = 0 ∴ p = 10, −2
p = 10のとき
x2 + 10x+ 40 = 0 ∴ x = −5 ±√15i
p = −2のとき
x2 − 2x− 8 = 0(x− 4)(x+ 2) = 0 ∴ x = 4, −2
49 x2 + kx+ 12 = 0の解は α,3αとおける。解と係数の関係から{α+ 3α = −k
α · 3α = 12∴
{4α = −k
α2 = 4
第 2式から α = ±2,第 1式から k = −4αで,k > 0より α < 0 だから
α = −2
よって
k = −4× (−2) = 8
50
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.7 2数を解とする 2次方程式
50 和が76,積が − 10
3となる 2つの数を解とする 2次方程式は
6x2 − x− = 0 である。 (東京工芸大)
51 方程式 x2 − 2x− 1 = 0の 2つの解を α,β とするとき,βα,
αβを 2
つの解とする 2次方程式は x2 + x+ = 0である。 (東海大)
52 連立方程式
{xy + (x+ y) = 7
2xy − (x+ y) = 2を解け。 (東京工科大)
50 α,β を解とする 2次方程式で,x2 の係数が 1であるものは
(x− α)(x− β) = 0 すなわち x2 − (α+ β)x+ αβ = 0
51 α+ β = 2,αβ = −1よりβα
+ αβ,
βα
× αβの値が決まります。
52
{x+ y = pxy = q
⇐⇒ x,y は 2次方程式 t2 − pt+ q = 0の解
ですから,x,y の連立方程式を 2次方程式に言い換えることができます。
51
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
50 2解を α,β として
(x− α)(x− β) = 0
x2 − (α + β)x + αβ = 0
x2 − 76x− 10
3= 0
∴ 6x2 − 7x− 20 = 0
51 x2 − 2x− 1 = 0の 2つの解が α,β より,解と係数の関係から
α+ β = 2, αβ = −1
また,βα, α
βを解にもつ 2次方程式は(
x− βα
)(x− α
β
)= 0 ∴ x2 −
(βα
+ αβ
)x+ 1 = 0
と表される。ここで
βα
+ αβ
=β2 + α2
αβ=
(α+ β)2 − 2αβ
αβ= 4 + 2
−1= −6
よって
x2 + 6x+ 1 = 0
52
{xy + (x+ y) = 7 · · · · · · 1⃝2xy − (x+ y) = 2 · · · · · · 2⃝
1⃝+ 2⃝より 3xy = 9 ∴ xy = 3 · · · · · · 3⃝1⃝× 2− 2⃝より 3(x+ y) = 12 ∴ x + y = 4 · · · · · · 4⃝3⃝, 4⃝より,x,y は 2次方程式 t2 − 4t+ 3 = 0の 2解である。
(t− 1)(t− 3) = 0 ∴ t = 1, 3
よって
(x, y) = (1, 3), (3, 1)
52
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.8 高次方程式
53 次の方程式を解け。
(1) x3 + x+ 2 = 0 (武蔵大)
(2) (x2 − 2)2 − 2 = x (上智大)
(3) x2(x+ 1)2(x+ 2)2 = 4× 9× 16 (明治大)
(4) (x− 5)(x− 2)(x+ 3)(x+ 6) = −108 (日本工業大)
(5) x4 + 3x2 + 4 = 0 (愛知学院大)
54 xの関数
f(x) = ax4 − bx3 + 150x2 − bx+ a
は f(1) = 16,f(3) = −140をみたしている。このとき
(1) 定数 a,bの値を求めよ。
(2) x+ 1x
= tとおき
f(x)
x2 = at2 − bt+ c
とするとき,c = で,tの方程式 at2 − bt+ c = 0の解は小さい順に
t = , である。これより,方程式 f(x) = 0の解は,小さい順
に x = , , , である。 (九州産業大)
53
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
53 因数定理や公式などを利用して,因数分解を考えます。
(1),(2) 因数定理を利用します。
(3) A2 −B2 = (A+B)(A−B)が使えます。
(4) 展開の組み合わせを工夫します。
(5) 複 2次の方程式です。左辺が x2 = t とおいて因数分解できないときは
x4 + 3x2 + 4 = (x2 + 2)2 − x2
のように平方の差の形にしてみましょう。
54 ax4 + bx3 + cx2 + bx+ a = 0 (a \= 0)
のように,係数が左右対称になっているものを相反方程式(または逆数方程式)とい
います。
両辺を x2 でわって,t = x+ 1xとおけば,この方程式は tについての 2次方程式
となります。
54
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
53 (1) f(x) = x3 + x+ 2とおくと,f(−1) = 0となり,f(x)は x+ 1を因数
にもつ。わり算を実行して
(x+ 1)(x2 − x+ 2) = 0
よって,求める解は x = −1,1 ±
√7i
2
(2) (x2 − 2)2 − 2 = xを展開して整理すると
x4 − 4x2 − x+ 2 = 0
f(x) = x4 − 4x2 − x + 2とおくと,f(−1) = 0, f(2) = 0となり,f(x)は (x +
1)(x− 2)を因数にもつ。したがって
(x− 2)(x+ 1)(x2 + x− 1) = 0
よって,求める解は x = 2, −1,−1 ±
√5
2
(3) x2(x+ 1)2(x+ 2)2 = 4× 9× 16を変形すると
{x(x + 1)(x + 2)}2 − (2 · 3 · 4)2 = 0
{x(x+ 1)(x+ 2) + 24}{x(x+ 1)(x+ 2)− 24} = 0
(x3 + 3x2 + 2x+ 24)(x3 + 3x2 + 2x− 24) = 0
(x+ 4)(x2 − x+ 6) · (x− 2)(x2 + 5x+ 12) = 0
よって,求める解は x = −4, 2,1 ±
√23i
2,
−5 ±√23i
2
(4) (x − 5)(x + 6) × (x − 2)(x + 3) = −108
(x2 + x− 30)(x2 + x− 6) = −108
(x2 + x)2 − 36(x2 + x) + 288 = 0
(x2 + x− 12)(x2 + x− 24) = 0
(x+ 4)(x− 3)(x2 + x− 24) = 0
よって,求める解は x = −4, 3,−1 ±
√97
2
(5) x4 + 3x2 + 4 = 0 を変形すると
x4 + 4x2 + 4− x2 = 0
(x2 + 2)2 − x2 = 0
(x2 + x+ 2)(x2 − x+ 2) = 0
よって,求める解は x =−1 ±
√7i
2,
1 ±√7i
2
55
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
54 (1) f(x) = ax4 − bx3 + 150x2 − bx+ aにおいて
f(1) = a− b+ 150− b+ a = 16
∴ a− b = −67 · · · · · · 1⃝f(3) = 81a− 27b+ 150 · 9− 3b+ a = −140
∴ 41a− 15b = −745 · · · · · · 2⃝1⃝, 2⃝を解いて
a = 10, b = 77
(2)f(x)
x2 = ax2 − bx+ 150− bx
+ ax2
= a
(x2 + 1
x2
)− b
(x+ 1
x
)+ 150
= a(x+ 1
x
)2
− 2a− b(x+ 1
x
)+ 150
= at2 − bt+ 150− 2a
∴ c = 150− 2a = 150− 2 · 10 = 130
at2 − bt+ c = 0 すなわち 10t2 − 77t+ 130 = 0 の解は
(2t− 5)(5t− 26) = 0 ∴ t = 52, 26
5
( i ) x+ 1x
= 52のとき,2x2 − 5x+ 2 = 0より
(2x− 1)(x− 2) = 0 ∴ x = 12, 2
(ii) x+ 1x
= 265のとき,5x2 − 26x+ 5 = 0より
(5x− 1)(x− 5) = 0 ∴ x = 15, 5
方程式 f(x) = 0 の解を小さい順に並べると
x = 15, 1
2, 2, 5
56
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.9 3次方程式の解と係数の関係
55 3次方程式 x3 + 3x+ 5 = 0の 3つの解を α,β,γ とするとき,
α2 + β2 + γ2 = である。 (千葉工業大)
56 3次方程式 x3 + x+ = 0は 3つの解−2,1− i,1 + iを
もつ。ただし iは虚数単位とする。 (北海道工業大)
57 a+ b+ c = 1,bc+ ca+ ab = 2,abc = 3のとき,次の問いに答えよ。
(1) a2 + b2 + c2 の値を求めよ。
(2) a,b,cを 3つの解とする 3次方程式をつくれ。
(3) a3 + b3 + c3 の値を求めよ。 (産能大 改)
55 3次方程式 ax3 + bx2 + cx + d = 0 (a \= 0)の解がα, β, γである
⇐⇒ ax3 + bx2 + cx+ d = a(x− α)(x− β)(x− γ)
= a{x3 − (α+ β + γ)x2 + (αβ + βγ + γα)x− αβγ}
⇐⇒
α + β + γ = − b
a
αβ + βγ + γα = ca
αβγ = − da
α2 + β2 + γ2 は α,β,γ の対称式ですから,基本対称式の
α+ β + γ, αβ + βγ + γα, αβγ
で表すことができます。
56 α,β,γ を解とする 3次方程式で x3 の係数が 1のものは
(x− α)(x− β)(x− γ) = 0
です。
57 (2)
a+ b+ c = p
ab+ bc+ ca = q
abc = r
⇐⇒ a,b,c は 3次方程式 x3 − px2 + qx− r = 0 の解である
ということより,a,b,c の連立方程式を 3次方程式に言い換えることができます。
(3) a3 + b3 + c3 − 3abc = (a+ b+ c)(a2 + b2 + c2 − ab− bc− ca) は公式として覚
えておきましょう。
57
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
55 x3 + 3x + 5 = 0 の 3 つの解が α,β,γ だから,3 次方程式の解と係数の関
係よりα+ β + γ = 0
αβ + βγ + γα = 3
αβγ = −5
したがって
α2 + β2 + γ2 = (α+ β + γ)2 − 2(αβ + βγ + γα) = 0− 2 · 3 = −6
56 −2,1− i,1 + iを解にもつ 3次方程式は
(x+ 2){x− (1− i)}{x− (1 + i)} = 0
(x+ 2)(x2 − 2x+ 2) = 0
∴ x3 + (−2)x+ 4 = 0
3次方程式の解と係数の関係を用いると(−2) + (1− i) + (1 + i) = 0
(−2)(1− i) + (1− i)(1 + i) + (−2)(1 + i) = −2
(−2)(1− i)(1 + i) = −4
したがって,求める 3次方程式は
x3 − 2x+ 4 = 0
57 (1) a2 + b2 + c2 = (a+ b+ c)2 − 2(ab+ bc+ ca)
= 12 − 2 · 2 = −3
(2) 3次方程式の解と係数の関係より
x3 − x2 + 2x − 3 = 0
(3) a3 + b3 + c3 = (a + b + c)(a2 + b2 + c2 − bc − ca − ab) + 3abc
= 1× (−3− 2) + 3× 3 = 4
(3) (2)より x3 = x2 − 2x+ 3であり
a3 + b3 + c3 = (a2 − 2a+ 3) + (b2 − 2b+ 3) + (c2 − 2c+ 3)
= (a2 + b2 + c2)− 2(a+ b+ c) + 9= (−3)− 2 · 1 + 9 = 4
58
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.10 虚数解をもつ 3次方程式
58 xの方程式 x3 − 5x2 + ax+ b = 0 が 1− 2iを解にもつとき,実数 a,
bの値と,他の 2つの解を求めよ。 (岡山理科大)
59 3次方程式 x3 +7x2 + ax+4a+27 = 0(aは実数)が 1つの実数解と
2つの純虚数解をもつとき,その実数解は であり,純虚数解は と
である。ただし,純虚数とは実部が 0の虚数のことである。
(愛知工業大)
58 1− 2i が f(x) = 0 の解であることより f(1− 2i) = 0 が成り立ちます。また,
f(x) が実数を係数とする多項式のとき,虚数 α が解ならば共役複素数 α も解になり
ます。
59 3つの解は p,qi,−qi(p,q は実数,q \= 0)とおけます。3次方程式の解と
係数の関係を利用します。
59
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
58 x3 − 5x2 + ax+ b = 0 は 1− 2i を解にもつので
(1− 2i)3 − 5(1− 2i)2 + a(1− 2i) + b = 0− 11 + 2i− 5(−3− 4i) + (a+ b)− 2ai = 0
∴ (4 + a+ b) + (22− 2a)i = 0
a,b は実数なので{4 + a+ b = 0
22− 2a = 0∴ a = 11, b = −15
これを与式に代入して
x3 − 5x2 + 11x− 15 = 0 ∴ (x− 3)(x2 − 2x+ 5) = 0
よって,他の 2つの解は
x = 3, 1 + 2i
1 − 2i が解より 1 + 2i も解である。残りの解を α とおくと,解と係数の関係より
(1− 2i) + (1 + 2i) + α = 5
(1− 2i)(1 + 2i) + (1 + 2i)α+ α(1− 2i) = a
(1− 2i)(1 + 2i)α = −b
すなわち2 + α = 5
5 + 2α = a
5α = −b
∴ α = 3, a = 11, b = −15
59 実数を係数とする 3次方程式が純虚数解をもつので,3つの解は
p, qi, −qi(p,q は実数で q \= 0)
とおける。3次方程式の解と係数の関係よりp+ qi− qi = −7
p · qi+ qi(−qi)− qi · p = a
p · qi(−qi) = −4a− 27
∴
p = −7 · · · · · · 1⃝
q2 = a · · · · · · 2⃝
pq2 = −4a− 27 · · · · · · 3⃝1⃝, 2⃝を 3⃝に代入すると
−7a = −4a− 27 ∴ a = 92⃝より
q = ±3よって
実数解は−7,純虚数解は±3i
60
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
2.11 ± 1の虚数立方根
60 ω =−1 +
√3i
2に対して,ω8 は + iとなる。
ただし iは虚数単位とする。 (立教大)
61 x3 = 1の虚数解の 1つを ωとするとき,次の式の値を求めよ。
(1) 1 + ω + ω2 =
(2) (1 + ω − ω2)(1− ω + ω2) =
(3) (1− ω)(1− ω2)(1− ω4)(1− ω5) = (徳島文理大)
62 z3 = −1の虚数解の 1つを ωとするとき
(ω2 + ω + 1)6 + (ω2 + ω − 1)6 + (ω2 − ω + 1)6
+ (ω2 − ω − 1)6 + (−ω2 − ω + 1)6 =
となる。 (帝京大)
63 方程式 x2 + x+ 1 = 0の 2つの解を α,β とする。また,nを自然数
とする。このとき,nが 3の倍数であれば,αn + βn = である。nが
3の倍数でなければ,αn + βn = である。また,nが 3の倍数でない
とき,αn,βn を解にもつ 2次方程式は x2 + x+ = 0である。
(広島修道大)
61
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
60 ω8 =
(−1 +
√3i
2
)8
の計算は無謀です。
ω =−1 +
√3i
2より 2ω + 1 =
√3i であり,両辺を平方すると ω についての 2次の
等式
ω2 + ω + 1 = 0が得られます。さらに両辺に ω − 1 をかけると
ω3 = 1が得られます。まずは ω8 の次数下げを考えましょう。
61 z3 = 1の解は
(z − 1)(z2 + z + 1) = 0 ∴ z = 1,−1±
√3i
2
であり,z =−1±
√3i
2を 1の虚数立方根といいます。
一方を ω とおくと,他方は共役複素数 ω であり
( i ) ω3 = 1, ω2 + ω + 1 = 0
(ii) ω + ω = −1,ωω = 1
(iii) ω2 = −ω − 1 = ω
といった性質があります。
62 本問の ω は −1の虚数立方根です。
( i ) ω3 = −1,ω2 − ω + 1 = 0
(ii) ω + ω = 1,ωω = 1
(iii) ω2 = ω − 1 = −ω
といった性質があります。
63 α,β は x2 + x+ 1 = 0の解ですから
x3 − 1 = (x− 1)(x2 + x+ 1) = 0
であり,α3 = β3 = 1が成り立ちます。また,αn,βn を解にもつ 2次方程式で,
x2 の係数が 1であるものは
(x− αn)(x− βn) = 0 すなわち x2 − (αn + βn)x+ αnβn = 0
です。
62
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
60 ω =−1 +
√3i
2を変形すると
2ω + 1 =√3i
両辺 2乗して4ω2 + 4ω + 1 = −34ω2 + 4ω + 4 = 0 ∴ ω2 + ω + 1 = 0 · · · · · · 1⃝
この両辺に ω − 1 をかけると
ω3 − 1 = 0 ∴ ω3 = 1
よって
ω8 = ω2 · ω6 = ω2 · (ω3)2 = ω2 = −ω − 1 ( ∵ 1⃝より)
= − −1 +√3i
2− 1 =
−1−√3i
2= − 1
2+
−√3
2i
61 (1) x3 = 1の虚数解の 1つが ω より
ω3 = 1 · · · · · · 1⃝ω3 − 1 = 0
(ω − 1)(ω2 + ω + 1) = 0
ω \= 1 より ω2 + ω + 1 = 0 · · · · · · 2⃝
(2) (1)より ω2 = −ω − 1なので
(1 + ω − ω2)(1− ω + ω2) = (2 + 2ω)(−2ω) = −4(ω + ω2)= −4 · (−1) (∵ 2⃝より)= 4
(3) 1⃝より(1− ω)(1− ω2)(1− ω4)(1− ω5)
= (1− ω)(1− ω2)(1− ω · ω3)(1− ω2 · ω3)
= (1− ω)(1− ω2)(1− ω)(1− ω2)
= {(1− ω)(1− ω2)}2 = (1− ω2 − ω + ω3)2
= (2− ω − ω2)2
= (2 + 1)2 (∵ 2⃝より)= 9
63
1章:式と証明・高次方程式 2:高次方程式
62 z3 = −1の虚数解の 1つが ω より
ω3 = −1 · · · · · · 1⃝ω3 + 1 = 0 ∴ (ω + 1)(ω2 − ω + 1) = 0
ω は虚数より ω2 − ω + 1 = 0 · · · · · · 2⃝1⃝, 2⃝を用いると
(ω2 + ω + 1)6 + (ω2 + ω − 1)6 + (ω2 − ω + 1)6
+ (ω2 − ω − 1)6 + (−ω2 − ω + 1)6
= (ω + ω)6 + (ω2 + ω2)6 + 06 + (−1− 1)6 + (−ω2 − ω2)6 (∵ 2⃝より)= (2ω)6 + (2ω2)6 + 0 + (−2)6 + (−2ω2)6
= 26(ω6 + ω12 + 1 + ω12) = 26{(ω3)2 + 2(ω3)4 + 1}= 26{(−1)2 + 2 · (−1)4 + 1} (∵ 1⃝より)= 26 · 4 = 256
63 α,β は x2 + x+ 1 = 0の 2解なので,解と係数の関係より
α+ β = −1, αβ = 1 · · · · · · 1⃝である。また,x2 + x+ 1 = 0 の両辺に x− 1 をかけると
(x− 1)(x2 + x+ 1) = 0
∴ x3 − 1 = 0となるから
α3 = 1, β3 = 1 · · · · · · 2⃝が成り立つ。以上のことより
n = 3k のとき
αn + βn = (α3)k + (β3)k = 1k + 1k = 2 ( ∵ 2⃝より)n = 3k + 1のとき
αn + βn = (α3)k · α+ (β3)k · β = α+ β ( ∵ 2⃝より)= −1 ( ∵ 1⃝より)
n = 3k + 2のとき
αn + βn = (α3)k · α2 + (β3)k · β2 = α2 + β2( ∵ 2⃝より)
= (α+ β)2 − 2αβ = (−1)2 − 2 · 1 = −1 ( ∵ 1⃝より)つまり,nが 3の倍数でないとき,αn + βn = −1である。また, 1⃝より
αnβn = (αβ)n = 1n = 1
なので,nが 3の倍数でないとき,αn,βn を解にもつ 2次方程式は
x2 + x+ 1 = 0
である。
64