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58 FDI・2016・07 川上 一郎  デジタルシネマ Now ! さて、先月から映画興行市場を騒がしているのが大連万達集団 (Wanda)グループの暴走である。6 月に上海で開業となったデ ィズニーランドに対抗して江西省南昌に開業した万達文化旅遊城 (Wanda City)は AFP 通信の報道によると投資額 220 億元(日 本円換算 3700 億円)の規模であり、5 月 28 日に開業した。開 業直後にテーマパークに併設されている商店街に白雪姫やミッキー マウスのパクリキャラクターが登場して話題を呼んだ。Wanda 側 はテナントで入っている店舗が許諾を取って勝手にやったことだと 主張しているが、一目でパクリとわかる程度の低さで許諾にうるさ いディズニーキャラとはとても思えない代物である。問題なのは同 等規模のテーマパークを今後 20 カ所にまで拡大して“上海ディズ ニーランドが今後 10 ~ 20 年間は利益が出ないようにする”との 宣戦布告を行ったことである。この連載でも何度も取り上げている が全米第二位の映画興行チェーンである AMC を 2012 年に買収 し、最近ではゴジラやジュラシックワールド等の特撮映画制作に強 いレジェンダリースタジオを買収したことからハリウッドでは米国 流ビジネスマナーを守る相手であるとの楽観的な観測を根底から覆 された形である。今年 11 月の大統領選挙の動向次第では中国系投 資ファンドによるメディア関連産業への買収についての懸念が顕在 化するか注目されるところである。 今 月 号 で は、 米 国 映 画 制 作 者 連 盟(MPAA: Motion Picture Association of America(ディズニー、パラマウント、ソニーピク チャーズ、20 世紀フォックス、ユニバーサルピクチャーズ、ワーナ ーブラザーズ の六社で構成されるいわゆるハリウッドメジャースタ ジオによる団体 http://www.mpaa.org/)4 月に発表した 2015 年 度 米 国 映 画 興 行 統 計(Theatrical Market Statics 2015: 112 112 米国映画興行市場の現状 http://www.mpaa.org/wp-content/uploads/2016/04/MPAA- Theatrical-Market-Statistics-2015_Final.pdf)と米国映画館主 組合(NATO: National Association of Theatre Owners http:// www.natoonline.org/)の統計データを引用して映画興行市場の動 向について紹介していく。 図 1 と表 1 には地域別映画スクリーンの種別(フィルム、デジ タル:3D 非対応、デジタル:3D 対応)集計結果を、表 2 と図 2 には 2011 ~ 2015 年の米国内スクリーン種別の推移を示してい る。米国・カナダの北米地域ではわずかに 1,109 スクリーンのフ ィルムスクリーンが稼働しているが新作の配給は完全に終わってお りストックされた作品を補修しながら上映するのみである。ロシア を含む欧州と中東、そしてアフリカ(統計では EMEA と略記され る)地域でも 1,823 スクリーンのみとなり個人経営の映画館やフ ィルムライブラリー等の施設のみに集約されていく状況である。ア ジア・太平洋地域では 7,817 スクリーンのフィルムスクリーンが 残っていることになっているがインドでのデジタル移行が終了し たことから 1,000 スクリーン未満となるのも間近である。全世界 では 11,092 スクリーンが稼働している集計結果であるが来年は 2,000 ~ 3,000 スクリーンが残るかどうかである。 地域別にはアジア太平洋地域のスクリーン数が表 3 に示してい るように急増しているが、中国でのデジタルスクリーン急増とイン ドのデジタル移行が大きな要因である。冒頭でも紹介した中国の Wanda グループは共産党指導部との人脈頼みで中国都市部の再開 発に関与しショッピングモール併設型の映画館建設を行い、不動産 バブルの引き金とも言われているがバブルが崩壊すれば一挙に廃墟 と化してしまう危険性を秘めている。また、中国国内で上映される 作品には全面的に検閲が入ることとなり、昨年でおおよそ 20 作品 が中国国内で公開されたが、中国国内で公開を狙う場合には 3 年 以上前の企画段階から中国の有力プロダクションと合作を行うとの 触れ込みで感触を探りながら企画を進めて行く必要があり通常の映 画制作とは全くことなる枠組みとなる。また、興行側と配給側との 売上分配率も前述の Wanda グループの影響力によるものかは不明 地域 フィルム デジタル(非3D) デジタル3D 合計 北米 1,109 26,111 16,441 43,661 欧州中東 1,823 21,262 17,580 40,665 アジア太平洋 7,817 12,482 35,807 56,106 ラテンアメリカ 343 6,634 4,733 11,710 全世界合計 11,092 66,489 74,561 152,142 1 2015年スクリーン種別の地域別集計 source :IHS 図1 2015 年の地域別映画スクリーン種別構成 1,109 1,823 7,817 343 26,111 21,262 12,482 6,634 16,441 17,580 35,807 4,733 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 北米 EMEA アジア太平洋 中南米 デジタル3D デジタル(非3D) フィルム 43,661 40,665 56,106 * EMEA:ロシアを含む欧州、中東、アフリカ地域

10,000 米国映画興行市場の現状 川上 一郎 - UNIW今月号では、米国映画制作者連盟(MPAA: Motion Picture Association of America(ディズニー、パラマウント、ソニーピク

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FDI・2016・07

川上 一郎 

デジタルシネマ Now !

 さて、先月から映画興行市場を騒がしているのが大連万達集団(Wanda)グループの暴走である。6 月に上海で開業となったディズニーランドに対抗して江西省南昌に開業した万達文化旅遊城

(Wanda City) は AFP 通信の報道によると投資額 220 億元(日本円換算 3700 億円)の規模であり、5 月 28 日に開業した。開業直後にテーマパークに併設されている商店街に白雪姫やミッキーマウスのパクリキャラクターが登場して話題を呼んだ。Wanda 側はテナントで入っている店舗が許諾を取って勝手にやったことだと主張しているが、一目でパクリとわかる程度の低さで許諾にうるさいディズニーキャラとはとても思えない代物である。問題なのは同等規模のテーマパークを今後 20 カ所にまで拡大して“上海ディズニーランドが今後 10 ~ 20 年間は利益が出ないようにする”との宣戦布告を行ったことである。この連載でも何度も取り上げているが全米第二位の映画興行チェーンである AMC を 2012 年に買収し、最近ではゴジラやジュラシックワールド等の特撮映画制作に強いレジェンダリースタジオを買収したことからハリウッドでは米国流ビジネスマナーを守る相手であるとの楽観的な観測を根底から覆された形である。今年 11 月の大統領選挙の動向次第では中国系投資ファンドによるメディア関連産業への買収についての懸念が顕在化するか注目されるところである。

 今月号では、米国映画制作者連盟(MPAA: Motion Picture Association of America(ディズニー、パラマウント、ソニーピクチャーズ、20 世紀フォックス、ユニバーサルピクチャーズ、ワーナーブラザーズ の六社で構成されるいわゆるハリウッドメジャースタジオによる団体 http://www.mpaa.org/)4 月に発表した 2015年 度 米 国 映 画 興 行 統 計(Theatrical Market Statics 2015:

112112

米国映画興行市場の現状http://www.mpaa.org/wp-content/uploads/2016/04/MPAA-Theatrical-Market-Statistics-2015_Final.pdf)と米国映画館主組合(NATO: National Association of Theatre Owners http://www.natoonline.org/)の統計データを引用して映画興行市場の動向について紹介していく。

 図 1 と表 1 には地域別映画スクリーンの種別(フィルム、デジタル:3D 非対応、デジタル:3D 対応)集計結果を、表 2 と図 2には 2011 ~ 2015 年の米国内スクリーン種別の推移を示している。米国・カナダの北米地域ではわずかに 1,109 スクリーンのフィルムスクリーンが稼働しているが新作の配給は完全に終わっておりストックされた作品を補修しながら上映するのみである。ロシアを含む欧州と中東、そしてアフリカ(統計では EMEA と略記される)地域でも 1,823 スクリーンのみとなり個人経営の映画館やフィルムライブラリー等の施設のみに集約されていく状況である。アジア・太平洋地域では 7,817 スクリーンのフィルムスクリーンが残っていることになっているがインドでのデジタル移行が終了したことから 1,000 スクリーン未満となるのも間近である。全世界では 11,092 スクリーンが稼働している集計結果であるが来年は2,000 ~ 3,000 スクリーンが残るかどうかである。 地域別にはアジア太平洋地域のスクリーン数が表 3 に示しているように急増しているが、中国でのデジタルスクリーン急増とインドのデジタル移行が大きな要因である。冒頭でも紹介した中国のWanda グループは共産党指導部との人脈頼みで中国都市部の再開発に関与しショッピングモール併設型の映画館建設を行い、不動産バブルの引き金とも言われているがバブルが崩壊すれば一挙に廃墟と化してしまう危険性を秘めている。また、中国国内で上映される作品には全面的に検閲が入ることとなり、昨年でおおよそ 20 作品が中国国内で公開されたが、中国国内で公開を狙う場合には 3 年以上前の企画段階から中国の有力プロダクションと合作を行うとの触れ込みで感触を探りながら企画を進めて行く必要があり通常の映画制作とは全くことなる枠組みとなる。また、興行側と配給側との売上分配率も前述の Wanda グループの影響力によるものかは不明

地域 フィルム デジタル(非3D) デジタル3D 合計北米 1,109 26,111 16,441 43,661

欧州中東 1,823 21,262 17,580 40,665アジア太平洋 7,817 12,482 35,807 56,106ラテンアメリカ 343 6,634 4,733 11,710 全世界合計 11,092 66,489 74,561 152,142

表1 2015年スクリーン種別の地域別集計source :IHS

図1 2015 年の地域別映画スクリーン種別構成

11,710

1,109 1,8237,817 343

26,11121,262

12,482

6,634

16,441

17,580

35,807

4,733

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

北米 EMEA アジア太平洋 中南米

デジタル3Dデジタル(非3D)フィルム

43,66140,665

56,106

*EMEA:ロシアを含む欧州、中東、アフリカ地域

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であるが 6:4 と設定されており、いわゆる市場原理は全く通用しない。また、上海ディズニーランドのプレオープン時にも話題となった偽造チケットの流通もしばしば報道されており、日本映画の市場としては当面全く期待できない現状である。

 全世界で 152,142 スクリーンが稼働し、フィルムスクリーンが 11,092、デジタルスクリーンが実に 141,050 スクリーンである。このデジタルスクリーンの 53%が 3D 上映に対応していることは現在話題となっている VR(Virtual Reality:仮想現実)を含めた次世代映像メディアの商業上映環境が整備されている事に他ならない。双方向ネットワーク環境などの整備がより進んでいけば周囲全てが仮想現実空間となる商業上映施設が整備されるのも間近になっていると感じさせられる。また、表 3 に示しているように全世界のデジタルスクリーン数は 2011 年に 63,825 スクリーンであったが VPF 受付の締めきり等から 2015 年では 141,050スクリーンにまで到達している。今後は設置後 10 年を経過したデジタルプロジェクターとシネマサーバーの更新が順調に進むのか、キセノンランプからレーザー光源への転換がどの程度進んでいくのか、はたまたデジタルシネマの普及を促進した業界標準規格の新バージョンが策定されるのかどうか等が話題の中心となってくる。

 米国での映画スクリーン数は 4 万スクリーンで飽和状態となっており、2015 年でのデジタル化率も 97.3%にまで成っている。表 4 に示しているように、4 スクリーン未満の小規模映画館総スクリーン数もデジタル化の影響で激減するかと思われたが 2011年での 6,570 スクリーンから 2015 年での 6,449 スクリーンとのわずかな減少にとどまっており、地方都市でのドライブインシアターが閉鎖に追い込まれた影響のみと考えられている。5 スクリーン以上のいわゆるシネコン型映画館の総スクリーン数は 2011年の 33,010 スクリーンから 2015 年は 34,098 スクリーンへと増加している。今後の映画館観客動員数向上の切り札として期待されている PLF(Premium Large Format)は高額なライセンス料と配給作品が限定される IMAX に対抗して映画館チェーンが独自の大型スクリーンを展開しており、一般的には 300 席以上のスクリーンに 4K-DLP プロジェクターやデジタル 3D 音響システム等を組み併せて展開している。2014 年度では全世界で 1,650 スクリーンが展開されていたが 2015 年には2,087 スクリーンにまで増加している。アジア太平洋地域では 558 スクリーンが 763 スクリーンにまで増加しているが、中国で IMAX から権利侵害訴訟を起こされた映画館チェーンが中国の映画技術を統括する電影科学技術院の支援を受けて“巨幕電影”と称する大型スクリーン上映システムを展開したことが PLF スクリーンの増加となっている。 さて、映画大国である北米地域の映画興行チェーンは冒頭でも紹介した Wanda グループによる次の一手で大揺れとなっている。表 6 に示しているように長年 Regal Entertainment が 7,295 スクリーン、565 館を展開して首位の座を維持してきたが、2012 年に第二位の AMC

2011 2012 2013 2014 2015フィルム 13,959 6,533 3,222 1,873 1,109デジタル(非3D) 12,686 19,570 22,319 23,617 24,361デジタル3D 12,935 13,559 14,483 14,795 15,077合計 39,580 39,662 40,024 40,285 40,547

表2 2011~2015年米国映画スクリーン種別の推移

Year 北米地域 その他の地域 全世界2011 27,469 36,356 63,8252012 35,975 53,367 89,3422013 39,757 71,572 111,3292014 41,518 85,948 127,4662015 42,552 98,498 141,050

Source:IHS March 2016表 3  2011 ~ 2015 年デジタルスクリーン数の推移

2011 2012 2013 2014 20151-4スクリーン 6,570 6,386 6,487 6,461 6,4495スクリーン以上 33,010 33,276 33,537 33,824 34,098合計 39,580 39,662 40,024 40,285 40,547

表4 2011~2015年米国規模別スクリーン数推移

40,547

13,959

6,5333,222 1,873 1,109

12,686

19,57022,319 23,617 24,361

12,935 13,559 14,483 14,795 15,077

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

2011 2012 2013 2014 2015

デジタル3D

デジタル(非3D)

フィルム39,580 39,662 40,024 40,285

図2 2011 ~ 2015 年米国映画スクリーン種別の推移

地域 2014 2015 占有率[%]北米 763 888 2EMEA 176 230 1

アジア太平洋 558 763 1中南米 154 206 2合計 1,650 2,087 1

対前年度変化率[%] - 26

Source:IHS表 5 2014 ~ 2015 年 PLF スクリーンの地域別動向

名称 本社所在値 スクリーン 館数* 新生AMC??   7,852 6241 Regal Entertainment Group Knoxville, TN 7,295 5652 AMC Entertainment Inc. Leawood, KS 4,960 3443 Cinemark USA, Inc. Plano, TX 4,499 3354 Carmike Cinemas, Inc. Columbus, GA 2,892 2805 Cineplex Entertainment LP Toronto, ON 1,635 1616 Marcus Theatres Corp. Milwaukee, WI 681 537 Harkins Theatres Phoenix, AZ 446 318 Southern Theatres LLC New Orleans, LA 445 399 B & B Theatres Liberty, MO 409 5010 National Amusements, Inc. Norwood, MA 409 32

AMCは第四位のカーマイク買収を表明し実現するとスクリーン数7,852、映画館数624と北米地域最大の映画興行チェーンとなるが6月20日時点ではカーマイク株主側の買収価格に対する意義申し立てがあり買収交渉は妥結していない

表6 北米地域の映画興行チェーン上位10社As of July 1, 2015

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川上 一郎 

デジタルシネマ Now !

 さて、先月から映画興行市場を騒がしているのが大連万達集団(Wanda)グループの暴走である。6 月に上海で開業となったディズニーランドに対抗して江西省南昌に開業した万達文化旅遊城

(Wanda City) は AFP 通信の報道によると投資額 220 億元(日本円換算 3700 億円)の規模であり、5 月 28 日に開業した。開業直後にテーマパークに併設されている商店街に白雪姫やミッキーマウスのパクリキャラクターが登場して話題を呼んだ。Wanda 側はテナントで入っている店舗が許諾を取って勝手にやったことだと主張しているが、一目でパクリとわかる程度の低さで許諾にうるさいディズニーキャラとはとても思えない代物である。問題なのは同等規模のテーマパークを今後 20 カ所にまで拡大して“上海ディズニーランドが今後 10 ~ 20 年間は利益が出ないようにする”との宣戦布告を行ったことである。この連載でも何度も取り上げているが全米第二位の映画興行チェーンである AMC を 2012 年に買収し、最近ではゴジラやジュラシックワールド等の特撮映画制作に強いレジェンダリースタジオを買収したことからハリウッドでは米国流ビジネスマナーを守る相手であるとの楽観的な観測を根底から覆された形である。今年 11 月の大統領選挙の動向次第では中国系投資ファンドによるメディア関連産業への買収についての懸念が顕在化するか注目されるところである。

 今月号では、米国映画制作者連盟(MPAA: Motion Picture Association of America(ディズニー、パラマウント、ソニーピクチャーズ、20 世紀フォックス、ユニバーサルピクチャーズ、ワーナーブラザーズ の六社で構成されるいわゆるハリウッドメジャースタジオによる団体 http://www.mpaa.org/)4 月に発表した 2015年 度 米 国 映 画 興 行 統 計(Theatrical Market Statics 2015:

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米国映画興行市場の現状http://www.mpaa.org/wp-content/uploads/2016/04/MPAA-Theatrical-Market-Statistics-2015_Final.pdf)と米国映画館主組合(NATO: National Association of Theatre Owners http://www.natoonline.org/)の統計データを引用して映画興行市場の動向について紹介していく。

 図 1 と表 1 には地域別映画スクリーンの種別(フィルム、デジタル:3D 非対応、デジタル:3D 対応)集計結果を、表 2 と図 2には 2011 ~ 2015 年の米国内スクリーン種別の推移を示している。米国・カナダの北米地域ではわずかに 1,109 スクリーンのフィルムスクリーンが稼働しているが新作の配給は完全に終わっておりストックされた作品を補修しながら上映するのみである。ロシアを含む欧州と中東、そしてアフリカ(統計では EMEA と略記される)地域でも 1,823 スクリーンのみとなり個人経営の映画館やフィルムライブラリー等の施設のみに集約されていく状況である。アジア・太平洋地域では 7,817 スクリーンのフィルムスクリーンが残っていることになっているがインドでのデジタル移行が終了したことから 1,000 スクリーン未満となるのも間近である。全世界では 11,092 スクリーンが稼働している集計結果であるが来年は2,000 ~ 3,000 スクリーンが残るかどうかである。 地域別にはアジア太平洋地域のスクリーン数が表 3 に示しているように急増しているが、中国でのデジタルスクリーン急増とインドのデジタル移行が大きな要因である。冒頭でも紹介した中国のWanda グループは共産党指導部との人脈頼みで中国都市部の再開発に関与しショッピングモール併設型の映画館建設を行い、不動産バブルの引き金とも言われているがバブルが崩壊すれば一挙に廃墟と化してしまう危険性を秘めている。また、中国国内で上映される作品には全面的に検閲が入ることとなり、昨年でおおよそ 20 作品が中国国内で公開されたが、中国国内で公開を狙う場合には 3 年以上前の企画段階から中国の有力プロダクションと合作を行うとの触れ込みで感触を探りながら企画を進めて行く必要があり通常の映画制作とは全くことなる枠組みとなる。また、興行側と配給側との売上分配率も前述の Wanda グループの影響力によるものかは不明

地域 フィルム デジタル(非3D) デジタル3D 合計北米 1,109 26,111 16,441 43,661

欧州中東 1,823 21,262 17,580 40,665アジア太平洋 7,817 12,482 35,807 56,106ラテンアメリカ 343 6,634 4,733 11,710 全世界合計 11,092 66,489 74,561 152,142

表1 2015年スクリーン種別の地域別集計source :IHS

図1 2015 年の地域別映画スクリーン種別構成

11,710

1,109 1,8237,817 343

26,11121,262

12,482

6,634

16,441

17,580

35,807

4,733

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

北米 EMEA アジア太平洋 中南米

デジタル3Dデジタル(非3D)フィルム

43,66140,665

56,106

*EMEA:ロシアを含む欧州、中東、アフリカ地域

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であるが 6:4 と設定されており、いわゆる市場原理は全く通用しない。また、上海ディズニーランドのプレオープン時にも話題となった偽造チケットの流通もしばしば報道されており、日本映画の市場としては当面全く期待できない現状である。

 全世界で 152,142 スクリーンが稼働し、フィルムスクリーンが 11,092、デジタルスクリーンが実に 141,050 スクリーンである。このデジタルスクリーンの 53%が 3D 上映に対応していることは現在話題となっている VR(Virtual Reality:仮想現実)を含めた次世代映像メディアの商業上映環境が整備されている事に他ならない。双方向ネットワーク環境などの整備がより進んでいけば周囲全てが仮想現実空間となる商業上映施設が整備されるのも間近になっていると感じさせられる。また、表 3 に示しているように全世界のデジタルスクリーン数は 2011 年に 63,825 スクリーンであったが VPF 受付の締めきり等から 2015 年では 141,050スクリーンにまで到達している。今後は設置後 10 年を経過したデジタルプロジェクターとシネマサーバーの更新が順調に進むのか、キセノンランプからレーザー光源への転換がどの程度進んでいくのか、はたまたデジタルシネマの普及を促進した業界標準規格の新バージョンが策定されるのかどうか等が話題の中心となってくる。

 米国での映画スクリーン数は 4 万スクリーンで飽和状態となっており、2015 年でのデジタル化率も 97.3%にまで成っている。表 4 に示しているように、4 スクリーン未満の小規模映画館総スクリーン数もデジタル化の影響で激減するかと思われたが 2011年での 6,570 スクリーンから 2015 年での 6,449 スクリーンとのわずかな減少にとどまっており、地方都市でのドライブインシアターが閉鎖に追い込まれた影響のみと考えられている。5 スクリーン以上のいわゆるシネコン型映画館の総スクリーン数は 2011年の 33,010 スクリーンから 2015 年は 34,098 スクリーンへと増加している。今後の映画館観客動員数向上の切り札として期待されている PLF(Premium Large Format)は高額なライセンス料と配給作品が限定される IMAX に対抗して映画館チェーンが独自の大型スクリーンを展開しており、一般的には 300 席以上のスクリーンに 4K-DLP プロジェクターやデジタル 3D 音響システム等を組み併せて展開している。2014 年度では全世界で 1,650 スクリーンが展開されていたが 2015 年には2,087 スクリーンにまで増加している。アジア太平洋地域では 558 スクリーンが 763 スクリーンにまで増加しているが、中国で IMAX から権利侵害訴訟を起こされた映画館チェーンが中国の映画技術を統括する電影科学技術院の支援を受けて“巨幕電影”と称する大型スクリーン上映システムを展開したことが PLF スクリーンの増加となっている。 さて、映画大国である北米地域の映画興行チェーンは冒頭でも紹介した Wanda グループによる次の一手で大揺れとなっている。表 6 に示しているように長年 Regal Entertainment が 7,295 スクリーン、565 館を展開して首位の座を維持してきたが、2012 年に第二位の AMC

2011 2012 2013 2014 2015フィルム 13,959 6,533 3,222 1,873 1,109デジタル(非3D) 12,686 19,570 22,319 23,617 24,361デジタル3D 12,935 13,559 14,483 14,795 15,077合計 39,580 39,662 40,024 40,285 40,547

表2 2011~2015年米国映画スクリーン種別の推移

Year 北米地域 その他の地域 全世界2011 27,469 36,356 63,8252012 35,975 53,367 89,3422013 39,757 71,572 111,3292014 41,518 85,948 127,4662015 42,552 98,498 141,050

Source:IHS March 2016表 3  2011 ~ 2015 年デジタルスクリーン数の推移

2011 2012 2013 2014 20151-4スクリーン 6,570 6,386 6,487 6,461 6,4495スクリーン以上 33,010 33,276 33,537 33,824 34,098合計 39,580 39,662 40,024 40,285 40,547

表4 2011~2015年米国規模別スクリーン数推移

40,547

13,959

6,5333,222 1,873 1,109

12,686

19,57022,319 23,617 24,361

12,935 13,559 14,483 14,795 15,077

0

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15,000

20,000

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40,000

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2011 2012 2013 2014 2015

デジタル3D

デジタル(非3D)

フィルム39,580 39,662 40,024 40,285

図2 2011 ~ 2015 年米国映画スクリーン種別の推移

地域 2014 2015 占有率[%]北米 763 888 2EMEA 176 230 1

アジア太平洋 558 763 1中南米 154 206 2合計 1,650 2,087 1

対前年度変化率[%] - 26

Source:IHS表 5 2014 ~ 2015 年 PLF スクリーンの地域別動向

名称 本社所在値 スクリーン 館数* 新生AMC??   7,852 6241 Regal Entertainment Group Knoxville, TN 7,295 5652 AMC Entertainment Inc. Leawood, KS 4,960 3443 Cinemark USA, Inc. Plano, TX 4,499 3354 Carmike Cinemas, Inc. Columbus, GA 2,892 2805 Cineplex Entertainment LP Toronto, ON 1,635 1616 Marcus Theatres Corp. Milwaukee, WI 681 537 Harkins Theatres Phoenix, AZ 446 318 Southern Theatres LLC New Orleans, LA 445 399 B & B Theatres Liberty, MO 409 5010 National Amusements, Inc. Norwood, MA 409 32

AMCは第四位のカーマイク買収を表明し実現するとスクリーン数7,852、映画館数624と北米地域最大の映画興行チェーンとなるが6月20日時点ではカーマイク株主側の買収価格に対する意義申し立てがあり買収交渉は妥結していない

表6 北米地域の映画興行チェーン上位10社As of July 1, 2015

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FDI・2016・07

Entertainment を買収した Wanda がさらなる経営規模拡大を狙って第四位の Carmike Cinemas の買収を発表した。この買収が成立すると 7,892 スクリーン、624 館の巨大映画興行チェーンが誕生することになるが、6 月 20 日に Wanda 側からの買収提示額が低すぎるとして株主側への賛同を呼びかける文書が開示されており成立するか否かは不透明である。冒頭でも紹介したように 11月の大統領選挙で民主党政権から共和党に政権が移ると中国資本によるメディア関連企業の買収については黄色信号が点灯する可能性も強い。 さて、表 7、表 8 には映画興行売上の動向を示している。対前年度比では北米地域が 8%の増収、その他の地域では 4%の増収となっている。地域別の動向では政情不安や経済低迷から欧州中東地域が 9%の減収となり、アジア太平洋地域とラテンアメリカでは13%の増収となっており、全世界の映画興行売上は 38.3 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では 4 兆 2130 億円)である。米国・カナダで構成される北米地域は 11.1 ビリオンドル(1 ドル 110円換算では 1 兆 2210 億円), 欧州中東地域は 9.7 ビリオンドル

(1 ドル 110 円換算では 1 兆 670 億円)、アジア太平洋地域は14.1 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では 1 兆 5510 億円)、ラテンアメリカ地域は 3.4 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では3740 億円)である。 表 9 には北米以外での興行売上の上位 20 カ国を示しており、断トツの一位は中華人民共和国で 6.8 ビリオンドル(1 ドル 110円換算では 7480 億円)、第二位が英国で 1.9 ビリオンドル(1ドル 110 円換算では 2090 億円)、第三位が日本で 1.8 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では 1980 億円)、第四位がインドで1.6 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では 1760 億円)となっている。 さて、以前の連載でも紹介したことがあるがデジタル化の影響を顕著に受けたのが米国の青春映画で良く登場していたドライブインシアターである。この消えゆくドライブインシアターのデジタル機器購入支援運動を米国ホンダが行っており 50 スクリーンを越えるドライブインシアターのデジタル化移行を支援した。表 10 に示しているように屋内スクリーン数とドライブインシアタースクリーン数の推移を見てみると、1987 年には 2,084 スリーンが営業していたが 1990 年に 1,000 スクリーンを割り込み、デジタル化が進んだ 2000 年以降は 600 スクリーン台へと減少し昨年度は595 スクリーンにまでスクリーン数が減ってきている。最近の連載でも紹介したが固定型スクリーンでは無く空気圧による自立膨張型スクリーンによる屋外上映などの展開も今後は注目される。 屋内型映画館の平均スクリーン数は、1995 年が 26,995 スクリーン、7,151 館であることから平均 3.77 スクリーンであり、2015 年は 40,164 スクリーン、5,484 館であることから平均7.32 スクリーンと 2 倍以上に増加しておりシネコン型映画館が大半となっている。ドライブインシアターでは 1995 年が 2,084スクリーン、593 館で平均 3.51 スクリーン、2015 年は 595スクリーン、349 館で平均 1.70 スクリーンと大型ドライブインシアターが消失してしまっている。 表 12 には平均チケット価格と観客動員数、興行売上の推移を

2011 2012 2013 2014 2015 % Change15vs.14 %Change15vs.11

欧州中東 $10.80 $10.70 $10.90 $10.60 $9.70 -9% -10%アジア太平洋 $9.00 $10.40 $11.10 $12.40 $14.10 13% 56%ラテンアメリカ $2.60 $2.80 $3.00 $3.00 $3.40 13% 31%

合計 $22.40 $23.90 $25.00 $26.00 $27.20 4% 21%

表7 2011~2015年 北米以外での興行売上推移(10億ドル)

2011 2012 2013 2014 2015 前年度比 2011比北米 $10.20 $10.80 $10.90 $10.40 $11.10 8% 9%

その他の地域 $22.40 $23.90 $25.00 $26.00 $27.20 4% 21%合計 $32.60 $34.70 $35.90 $36.40 $38.30 5% 18%

表 8 2011 ~ 2015 年の全世界映画興行売上(10 億ドル)

1 中華人民共和国 $6.80 11 イタリア $0.702 英国 $1.90 12 ブラジル $0.703 日本 $1.80 13 スペイン $0.604 インド $1.60 14 アルゼンチン $0.305 大韓民国 $1.50 15 オランダ $0.306 フランス $1.40 16 インドネシア $0.307 ドイツ $1.30 17 中華民国 $0.308 オーストラリア $0.90 18 香港 $0.309 メキシコ $0.90 19 トルコ $0.20

10 ロシア $0.80 20 スイス $0.20

表9 2015年度 北米以外の興行売上上位20カ国(10億ドル)Source: IHS, local sources

年度 屋内 ドライブイン 合計 年度 屋内 ドライブイン 合計2015 40,164 595 40,759 1999 36,448 683 37,1312014 39,356 656 39,956 1998 33,418 750 34,1682013 39,368 656 40,024 1997 31,050 815 31,8652012 39,056 606 39,662 1996 28,905 826 29,7312011 38,974 606 39,580 1995 26,995 848 27,8432010 38,902 618 39,520 1994 25,830 859 26,6892009 38,605 628 39,233 1993 24,789 837 25,6262008 38,201 633 38,834 1992 24,344 870 25,2142007 38,159 635 38,794 1991 23,740 899 24,6392006 37,765 650 38,415 1990 22,904 910 23,8142005 37,040 648 37,688 1989 21,907 1,014 22,9212004 35,795 640 36,435 1988 21,632 1,497 23,1292003 35,016 634 35,650 1987 20,595 2,084 22,6792002 35,022 666 35,6882001 34,823 683 35,5062000 35,696 683 36,379

ドライブインシアターは冬季休業となるために夏期の集計値と年末での集計数が大きく異なる

資料出所: Encyclopedia of Exhibition(http://www.natoonline.org/2013/eoe)Theatrical Release Window(http://www.natoonline.org/data/windows/)

表10 米国映画スクリーン数の推移(2016年5月集計)

年度 屋内 ドライブイン 合計 年度 屋内 ドライブイン 合計2015 5,484 349 5,833 1999 7,031 446 7,4772014 5,463 393 5,856 1998 6,894 524 7,4182013 5,326 393 5,719 1997 6,903 577 7,4802012 5,317 366 5,683 1996 7,215 583 7,7982011 5,331 366 5,697 1995 7,151 593 7,7442010 5,399 374 5,7732009 5,561 381 5,9422008 5,403 383 5,7862007 5,545 383 5,9282006 5,543 396 5,9392005 5,713 401 6,1142004 5,629 402 6,0312003 5,700 400 6,1002002 5,712 432 6,1442001 5,813 440 6,2532000 6,550 442 6,992

ドライブインシアターは冬季休業となるために夏期の集計値と年末での集計数が大きく異なる

表11 米国映画館数の推移(2016年5月集計)

資料出所: Encyclopedia of Exhibition(http://www.natoonline.org/2013/eoe)Theatrical Release Window(http://www.natoonline.org/data/windows/)

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FDI・2016・07

示している。平均チケット価格は年々上昇しており 1984 年の3.36 ドルから昨年度は 8.43 ドルに上昇している。観客動員数は2002 年が最高であり 1.570 ビリオン人(15 億 7 千万人)を記録している。最近では 1.3 ビリオン人(13 億人)前後で推移しているが総売上げは昨年が 11.120 ビリオンドルと史上最高売上を記録している。 また、MPAA の年次統計でおなじみとなっているのが 4 人家族でのチケット価格比較である。表 13 と表 14 に主要プロスポーツ競技とテーマパークのチケット価格と観客数集計結果を示している。NFL: アメリカンフットボール、NHL:アイスホッケー、NBA:バスケットボール、テーマパク、MBA:大リーグ野球の平均チケット購入価格と映画鑑賞での総費用を比較しており、NFL 観戦ではチケット代金が 343 ドル(1 ドル 110 円換算では37,765 円)かかるのに対して、映画鑑賞ではわずかに 33.7 ドル(3,709 円)と十分の一の金額であることをいつもアピールしている。また上述の主要レジャーに対する観客動員数も比較しており映画が 1,321 ミリオン人(13 億 2100 万人)に対して、ディズニーランド等のテーマパークが 388 ミリオン人(3 億 8800万人)、プロスポーツ 4 競技の合計観客入場者数は 134 ミリオン人(1 億 3400 万人)となっており、米国において家族で楽しめる最大の娯楽産業であることを強調している。ちなみに、日本の映画観客数は平成 27 年度の集計で 1 億 6663 万人で、プロ野球の総入場者数は 2430 万人である。日米のプロ野球入場者数に対する映画観客の倍率は、米国が 73.8 ミリオン人と 1321 ミリオン人で 17.9 倍、日本が 24.3 ミリオン人と 166.63 ミリオン人で6.8 倍と 3 割にしか成らない。この集計結果からしても日本の映画鑑賞人口は単純に 2 ~ 3 倍には増加して良いと考えられ映画制作配給関係者と映画興行関係者の一層の努力をお願いしたい。

 この米国の平均チケット価格と消費者物価指数補正を行った前年度比比較結果が表 15 である。2006 年は前年度比 26%とチケット価格が急騰しているが消費者物価指数補正後では 3%の増加であり、おおむね消費者物価指数に連動して 5% 以内のチケット価格増加で抑制されていることがわかる。米国の映画館では午前中の上映割引きや、シニア割引き、さらには国防を担う軍人に対する割引きなどの多様な割引きに加えて映画館のロケーションによって競合映画館を意識したチケット価格政策をとっており、米国のビジネススクール講義資料ではメディアマーケティングの一例として映画館でのチケット価格政策が良く取り上げられている。 また、映画館来場者に対する出口調査で映画観客層の IT 機器保有台数と保有機器種別を調査した結果を表 16 と表 17 に示している。この集計で映画ファンと略記しているのは Frequent Moviegoers と称される月に 1 回以上継続して映画鑑賞を行っている映画ファンである。コンピューター、スマートフォン、DVDやブルーレイ等のディスクプレイヤー、NETFLIX 等のネット接続型ビデオ視聴端末、そしてプレイステーションや X-Box 等のビデオゲーム機の保有台数では米国の成年平均で 21%が 5 台を保有しており全く保有していないのが 6%である。これに対して映画観客平均では 25%が 5 台を保有しており、全く保有していないのは 2

年度 価格 観客 総売上 年度 価格 観客 総売上2015 $8.43 1.320 $11.120 1999 $5.06 1.440 $7.3302014 $8.17 1.270 $10.400 1998 $4.69 1.438 $6.8602013 $8.13 1.340 $10.920 1997 $4.59 1.354 $6.2162012 $7.96 1.360 $10.790 1996 $4.42 1.319 $5.8172011 $7.93 1.280 $10.180 1995 $4.35 1.211 $5.2692010 $7.89 1.339 $10.580 1994 $4.08 1.240 $5.1842009 $7.50 1.414 $10.600 1993 $4.14 1.182 $4.8972008 $7.18 1.341 $9.634 1992 $4.15 1.099 $4.5632007 $6.88 1.400 $9.632 1991 $4.21 1.140 $4.8002006 $6.55 1.401 $9.170 1990 $4.22 1.190 $5.0202005 $6.41 1.376 $8.820 1989 $3.99 1.260 $5.0302004 $6.21 1.484 $9.290 1988 $4.11 1.080 $4.4602003 $6.03 1.521 $9.150 1987 $3.91 1.090 $4.2502002 $5.80 1.570 $9.090 1986 $3.712001 $5.65 1.438 $8.110 1985 $3.552000 $5.39 1.383 $7.510 1984 $3.36

*1989 and la ter f igures b as ed o n NA TO s urv ey ; p rev ious y ears bas ed on CPI-W index

†Sourc e: 1992-1997, A C Nie ls en EDI.

†Sourc e: 1992-1997, A C Nie ls en EDI.

la ter , R entrak C orporation. A C Nie ls en u s es an indus try c a lendar beginning the f irs t Fr iday o f the y ear ; R entrak d ata employ s a Jan.

~Sourc e: 1998 and la ter , R entrak C orporation. A C Nie ls en u s es an indus try c a lendar beginning the f irs t Fr iday o f the y ear ;Rentrak data e mploy s a Jan. 1-Dec . 3 1 c a lendar .

表12 米国の平均チケット価格、観客数、総売上

US$ 1$:¥110NFL(アメリカンフットボール) 343 37,765

NHL(アイスホッケー) 249 27,359NBA(バスケット) 216 23,751

Theme Parks(テーマパーク) 209 23,038MLB(大リーグ野球) 116 12,734

Cinemas(映画) 33.7 3,709

表13 米国での主要レジャー家族4人チケット価格

2015 Average Ticket Price for a Family fo Fours(US$)

Sources: NATO, Sports Leagues, International Theme Park Services

Cinemas (映画)Theme Parks (テーマパーク)

Sports (NFL:17.3,NHL:21.5,NBA21.9、MLB:73.8)

*参考:日本のプロ野球観客数は24.3(百万人)

1,321388134

表14 主要レジャーの観客動員数:100万人(2015)

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015平均チケット価格(US$) 6.55 6.88 7.18 7.5 7.89 7.93 7.96 8.13 8.17 8.43対前年度比変化率 2 5 4 4 5 1 0 2 0 32015年との比較 29 22 17 12 7 6 6 4 3 n/a消費物価指数補正での前年度比 3 3 4 0 2 3 2 2 2 0

Sources: National Association of Theatre Owners (NATO) (Ticket price), Bureau of Labor Statistics (BLS) (Consumer Price Index)

表15 平均チケット価格の推移

無し 1 2 3 4 5 6成年平均 6 9 12 16 19 21 17映画観客 2 6 9 15 21 25 22映画ファン 2 5 5 13 20 31 24

表16 米国映画館客層のIT機器保有台数[%]

コンピュター スマートフォンディスクプレイタブレット ネットビデオ ビデオゲーム

成年平均 76 73 69 54 47 45映画観客 82 83 74 62 54 52映画ファン 86 85 75 66 62 55

表17 米国映画観客層のIT機器種別保有率[%]

2011 2012 2013 2014 2015 人口比率 ファン比率黒人 4.5 4.4 4.3 3.7 3.8 12 11白人 19.5 23.2 17.8 21.2 19.3 62 56ヒスパニック 8.4 10.9 11.6 9.6 7.9 17 23アジア人/その他 3.5 3.2 2.7 3.3 3.2 8 9

黒人:アフリカ系黒人を意味するAfrican American と表記される

白人:中央ヨーロッパのコーカサス系白人を意味するCaucasians と表記される

ヒスパニック:メキシコ人に代表されるスペイン語系中南米民族出身者Hispanicと表記される

アジア人その他はAsian/OtherもしくはNative American/Otherと表記される

表18 米国人種別映画ファン来場者数(100万人)と人口比率

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FDI・2016・07

Entertainment を買収した Wanda がさらなる経営規模拡大を狙って第四位の Carmike Cinemas の買収を発表した。この買収が成立すると 7,892 スクリーン、624 館の巨大映画興行チェーンが誕生することになるが、6 月 20 日に Wanda 側からの買収提示額が低すぎるとして株主側への賛同を呼びかける文書が開示されており成立するか否かは不透明である。冒頭でも紹介したように 11月の大統領選挙で民主党政権から共和党に政権が移ると中国資本によるメディア関連企業の買収については黄色信号が点灯する可能性も強い。 さて、表 7、表 8 には映画興行売上の動向を示している。対前年度比では北米地域が 8%の増収、その他の地域では 4%の増収となっている。地域別の動向では政情不安や経済低迷から欧州中東地域が 9%の減収となり、アジア太平洋地域とラテンアメリカでは13%の増収となっており、全世界の映画興行売上は 38.3 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では 4 兆 2130 億円)である。米国・カナダで構成される北米地域は 11.1 ビリオンドル(1 ドル 110円換算では 1 兆 2210 億円), 欧州中東地域は 9.7 ビリオンドル

(1 ドル 110 円換算では 1 兆 670 億円)、アジア太平洋地域は14.1 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では 1 兆 5510 億円)、ラテンアメリカ地域は 3.4 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では3740 億円)である。 表 9 には北米以外での興行売上の上位 20 カ国を示しており、断トツの一位は中華人民共和国で 6.8 ビリオンドル(1 ドル 110円換算では 7480 億円)、第二位が英国で 1.9 ビリオンドル(1ドル 110 円換算では 2090 億円)、第三位が日本で 1.8 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では 1980 億円)、第四位がインドで1.6 ビリオンドル(1 ドル 110 円換算では 1760 億円)となっている。 さて、以前の連載でも紹介したことがあるがデジタル化の影響を顕著に受けたのが米国の青春映画で良く登場していたドライブインシアターである。この消えゆくドライブインシアターのデジタル機器購入支援運動を米国ホンダが行っており 50 スクリーンを越えるドライブインシアターのデジタル化移行を支援した。表 10 に示しているように屋内スクリーン数とドライブインシアタースクリーン数の推移を見てみると、1987 年には 2,084 スリーンが営業していたが 1990 年に 1,000 スクリーンを割り込み、デジタル化が進んだ 2000 年以降は 600 スクリーン台へと減少し昨年度は595 スクリーンにまでスクリーン数が減ってきている。最近の連載でも紹介したが固定型スクリーンでは無く空気圧による自立膨張型スクリーンによる屋外上映などの展開も今後は注目される。 屋内型映画館の平均スクリーン数は、1995 年が 26,995 スクリーン、7,151 館であることから平均 3.77 スクリーンであり、2015 年は 40,164 スクリーン、5,484 館であることから平均7.32 スクリーンと 2 倍以上に増加しておりシネコン型映画館が大半となっている。ドライブインシアターでは 1995 年が 2,084スクリーン、593 館で平均 3.51 スクリーン、2015 年は 595スクリーン、349 館で平均 1.70 スクリーンと大型ドライブインシアターが消失してしまっている。 表 12 には平均チケット価格と観客動員数、興行売上の推移を

2011 2012 2013 2014 2015 % Change15vs.14 %Change15vs.11

欧州中東 $10.80 $10.70 $10.90 $10.60 $9.70 -9% -10%アジア太平洋 $9.00 $10.40 $11.10 $12.40 $14.10 13% 56%ラテンアメリカ $2.60 $2.80 $3.00 $3.00 $3.40 13% 31%

合計 $22.40 $23.90 $25.00 $26.00 $27.20 4% 21%

表7 2011~2015年 北米以外での興行売上推移(10億ドル)

2011 2012 2013 2014 2015 前年度比 2011比北米 $10.20 $10.80 $10.90 $10.40 $11.10 8% 9%

その他の地域 $22.40 $23.90 $25.00 $26.00 $27.20 4% 21%合計 $32.60 $34.70 $35.90 $36.40 $38.30 5% 18%

表 8 2011 ~ 2015 年の全世界映画興行売上(10 億ドル)

1 中華人民共和国 $6.80 11 イタリア $0.702 英国 $1.90 12 ブラジル $0.703 日本 $1.80 13 スペイン $0.604 インド $1.60 14 アルゼンチン $0.305 大韓民国 $1.50 15 オランダ $0.306 フランス $1.40 16 インドネシア $0.307 ドイツ $1.30 17 中華民国 $0.308 オーストラリア $0.90 18 香港 $0.309 メキシコ $0.90 19 トルコ $0.20

10 ロシア $0.80 20 スイス $0.20

表9 2015年度 北米以外の興行売上上位20カ国(10億ドル)Source: IHS, local sources

年度 屋内 ドライブイン 合計 年度 屋内 ドライブイン 合計2015 40,164 595 40,759 1999 36,448 683 37,1312014 39,356 656 39,956 1998 33,418 750 34,1682013 39,368 656 40,024 1997 31,050 815 31,8652012 39,056 606 39,662 1996 28,905 826 29,7312011 38,974 606 39,580 1995 26,995 848 27,8432010 38,902 618 39,520 1994 25,830 859 26,6892009 38,605 628 39,233 1993 24,789 837 25,6262008 38,201 633 38,834 1992 24,344 870 25,2142007 38,159 635 38,794 1991 23,740 899 24,6392006 37,765 650 38,415 1990 22,904 910 23,8142005 37,040 648 37,688 1989 21,907 1,014 22,9212004 35,795 640 36,435 1988 21,632 1,497 23,1292003 35,016 634 35,650 1987 20,595 2,084 22,6792002 35,022 666 35,6882001 34,823 683 35,5062000 35,696 683 36,379

ドライブインシアターは冬季休業となるために夏期の集計値と年末での集計数が大きく異なる

資料出所: Encyclopedia of Exhibition(http://www.natoonline.org/2013/eoe)Theatrical Release Window(http://www.natoonline.org/data/windows/)

表10 米国映画スクリーン数の推移(2016年5月集計)

年度 屋内 ドライブイン 合計 年度 屋内 ドライブイン 合計2015 5,484 349 5,833 1999 7,031 446 7,4772014 5,463 393 5,856 1998 6,894 524 7,4182013 5,326 393 5,719 1997 6,903 577 7,4802012 5,317 366 5,683 1996 7,215 583 7,7982011 5,331 366 5,697 1995 7,151 593 7,7442010 5,399 374 5,7732009 5,561 381 5,9422008 5,403 383 5,7862007 5,545 383 5,9282006 5,543 396 5,9392005 5,713 401 6,1142004 5,629 402 6,0312003 5,700 400 6,1002002 5,712 432 6,1442001 5,813 440 6,2532000 6,550 442 6,992

ドライブインシアターは冬季休業となるために夏期の集計値と年末での集計数が大きく異なる

表11 米国映画館数の推移(2016年5月集計)

資料出所: Encyclopedia of Exhibition(http://www.natoonline.org/2013/eoe)Theatrical Release Window(http://www.natoonline.org/data/windows/)

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FDI・2016・07

示している。平均チケット価格は年々上昇しており 1984 年の3.36 ドルから昨年度は 8.43 ドルに上昇している。観客動員数は2002 年が最高であり 1.570 ビリオン人(15 億 7 千万人)を記録している。最近では 1.3 ビリオン人(13 億人)前後で推移しているが総売上げは昨年が 11.120 ビリオンドルと史上最高売上を記録している。 また、MPAA の年次統計でおなじみとなっているのが 4 人家族でのチケット価格比較である。表 13 と表 14 に主要プロスポーツ競技とテーマパークのチケット価格と観客数集計結果を示している。NFL: アメリカンフットボール、NHL:アイスホッケー、NBA:バスケットボール、テーマパク、MBA:大リーグ野球の平均チケット購入価格と映画鑑賞での総費用を比較しており、NFL 観戦ではチケット代金が 343 ドル(1 ドル 110 円換算では37,765 円)かかるのに対して、映画鑑賞ではわずかに 33.7 ドル(3,709 円)と十分の一の金額であることをいつもアピールしている。また上述の主要レジャーに対する観客動員数も比較しており映画が 1,321 ミリオン人(13 億 2100 万人)に対して、ディズニーランド等のテーマパークが 388 ミリオン人(3 億 8800万人)、プロスポーツ 4 競技の合計観客入場者数は 134 ミリオン人(1 億 3400 万人)となっており、米国において家族で楽しめる最大の娯楽産業であることを強調している。ちなみに、日本の映画観客数は平成 27 年度の集計で 1 億 6663 万人で、プロ野球の総入場者数は 2430 万人である。日米のプロ野球入場者数に対する映画観客の倍率は、米国が 73.8 ミリオン人と 1321 ミリオン人で 17.9 倍、日本が 24.3 ミリオン人と 166.63 ミリオン人で6.8 倍と 3 割にしか成らない。この集計結果からしても日本の映画鑑賞人口は単純に 2 ~ 3 倍には増加して良いと考えられ映画制作配給関係者と映画興行関係者の一層の努力をお願いしたい。

 この米国の平均チケット価格と消費者物価指数補正を行った前年度比比較結果が表 15 である。2006 年は前年度比 26%とチケット価格が急騰しているが消費者物価指数補正後では 3%の増加であり、おおむね消費者物価指数に連動して 5% 以内のチケット価格増加で抑制されていることがわかる。米国の映画館では午前中の上映割引きや、シニア割引き、さらには国防を担う軍人に対する割引きなどの多様な割引きに加えて映画館のロケーションによって競合映画館を意識したチケット価格政策をとっており、米国のビジネススクール講義資料ではメディアマーケティングの一例として映画館でのチケット価格政策が良く取り上げられている。 また、映画館来場者に対する出口調査で映画観客層の IT 機器保有台数と保有機器種別を調査した結果を表 16 と表 17 に示している。この集計で映画ファンと略記しているのは Frequent Moviegoers と称される月に 1 回以上継続して映画鑑賞を行っている映画ファンである。コンピューター、スマートフォン、DVDやブルーレイ等のディスクプレイヤー、NETFLIX 等のネット接続型ビデオ視聴端末、そしてプレイステーションや X-Box 等のビデオゲーム機の保有台数では米国の成年平均で 21%が 5 台を保有しており全く保有していないのが 6%である。これに対して映画観客平均では 25%が 5 台を保有しており、全く保有していないのは 2

年度 価格 観客 総売上 年度 価格 観客 総売上2015 $8.43 1.320 $11.120 1999 $5.06 1.440 $7.3302014 $8.17 1.270 $10.400 1998 $4.69 1.438 $6.8602013 $8.13 1.340 $10.920 1997 $4.59 1.354 $6.2162012 $7.96 1.360 $10.790 1996 $4.42 1.319 $5.8172011 $7.93 1.280 $10.180 1995 $4.35 1.211 $5.2692010 $7.89 1.339 $10.580 1994 $4.08 1.240 $5.1842009 $7.50 1.414 $10.600 1993 $4.14 1.182 $4.8972008 $7.18 1.341 $9.634 1992 $4.15 1.099 $4.5632007 $6.88 1.400 $9.632 1991 $4.21 1.140 $4.8002006 $6.55 1.401 $9.170 1990 $4.22 1.190 $5.0202005 $6.41 1.376 $8.820 1989 $3.99 1.260 $5.0302004 $6.21 1.484 $9.290 1988 $4.11 1.080 $4.4602003 $6.03 1.521 $9.150 1987 $3.91 1.090 $4.2502002 $5.80 1.570 $9.090 1986 $3.712001 $5.65 1.438 $8.110 1985 $3.552000 $5.39 1.383 $7.510 1984 $3.36

*1989 and la ter f igures b as ed o n NA TO s urv ey ; p rev ious y ears bas ed on CPI-W index

†Sourc e: 1992-1997, A C Nie ls en EDI.

†Sourc e: 1992-1997, A C Nie ls en EDI.

la ter , R entrak C orporation. A C Nie ls en u s es an indus try c a lendar beginning the f irs t Fr iday o f the y ear ; R entrak d ata employ s a Jan.

~Sourc e: 1998 and la ter , R entrak C orporation. A C Nie ls en u s es an indus try c a lendar beginning the f irs t Fr iday o f the y ear ;Rentrak data e mploy s a Jan. 1-Dec . 3 1 c a lendar .

表12 米国の平均チケット価格、観客数、総売上

US$ 1$:¥110NFL(アメリカンフットボール) 343 37,765

NHL(アイスホッケー) 249 27,359NBA(バスケット) 216 23,751

Theme Parks(テーマパーク) 209 23,038MLB(大リーグ野球) 116 12,734

Cinemas(映画) 33.7 3,709

表13 米国での主要レジャー家族4人チケット価格

2015 Average Ticket Price for a Family fo Fours(US$)

Sources: NATO, Sports Leagues, International Theme Park Services

Cinemas (映画)Theme Parks (テーマパーク)

Sports (NFL:17.3,NHL:21.5,NBA21.9、MLB:73.8)

*参考:日本のプロ野球観客数は24.3(百万人)

1,321388134

表14 主要レジャーの観客動員数:100万人(2015)

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015平均チケット価格(US$) 6.55 6.88 7.18 7.5 7.89 7.93 7.96 8.13 8.17 8.43対前年度比変化率 2 5 4 4 5 1 0 2 0 32015年との比較 29 22 17 12 7 6 6 4 3 n/a消費物価指数補正での前年度比 3 3 4 0 2 3 2 2 2 0

Sources: National Association of Theatre Owners (NATO) (Ticket price), Bureau of Labor Statistics (BLS) (Consumer Price Index)

表15 平均チケット価格の推移

無し 1 2 3 4 5 6成年平均 6 9 12 16 19 21 17映画観客 2 6 9 15 21 25 22映画ファン 2 5 5 13 20 31 24

表16 米国映画館客層のIT機器保有台数[%]

コンピュター スマートフォンディスクプレイタブレット ネットビデオ ビデオゲーム

成年平均 76 73 69 54 47 45映画観客 82 83 74 62 54 52映画ファン 86 85 75 66 62 55

表17 米国映画観客層のIT機器種別保有率[%]

2011 2012 2013 2014 2015 人口比率 ファン比率黒人 4.5 4.4 4.3 3.7 3.8 12 11白人 19.5 23.2 17.8 21.2 19.3 62 56ヒスパニック 8.4 10.9 11.6 9.6 7.9 17 23アジア人/その他 3.5 3.2 2.7 3.3 3.2 8 9

黒人:アフリカ系黒人を意味するAfrican American と表記される

白人:中央ヨーロッパのコーカサス系白人を意味するCaucasians と表記される

ヒスパニック:メキシコ人に代表されるスペイン語系中南米民族出身者Hispanicと表記される

アジア人その他はAsian/OtherもしくはNative American/Otherと表記される

表18 米国人種別映画ファン来場者数(100万人)と人口比率

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FDI・2016・07

%と少なく、映画ファンでは 5 台保有しているとの回答率が 31%にまで増加している。機器別の保有率で興味深いのは米国での成年平均に比べて映画ファンは IT 機器保有率が全ての機器に於いて高い事である。逆に映画配給側としては映画ファンの心をつかむ宣伝媒体はメディア全ての手段で使わないと効果が無いのかと危惧することにもなってくる。

 表 18 ~ 21 は米国の人種別映画観客集計結果である。日本で通常表記されている白人は米国における統計では Caucasians(中央ヨーロッパのコーカサス地方を起源とする白色人種全体を示す)と表記され、黒人は African American( アフリカ系アメリカン)、メキシコ系に代表される中南米系は Hispanic、そして米国先住民等やアジア系は Asian/Other もしくは Native American/Others と表記される。本稿では白人・黒人・ヒスパニック・アジア人 / その他で略記させていただく。 米国での 2015 年人口比率は黒人 12%、白人 62%、ヒスパニック 17%、アジア人 / その他が 8%であり、黒人よりヒスパニック系が多くなっている。映画ファンの人種別集計では黒人が 11%、白人が 56%、ヒスパニックが 23%、アジア系 / その他が 9%となっており、ヒスパニックでの映画ファン比率が高い事に特徴がある。表 21 には人種別年間映画鑑賞回数の推移が示されているが白人が 3.4 回、黒人が 3.5 回、ヒスパニックが 5.2 回と高い数値を示しており、インディペンド系映画のマーケティングでもヒスパニ

ック系映画制作の話題は多く成ってきており、ヒスパニック映画専門の配給会社が好成績を上げていることもたびたび報じられている。 さて、映画大国の米国でも問題となってきているのが若年層の映画離れである。多感な思春期の総仕上げとして 6 年間を送ったハイスクールの卒業パーティーでパートナーがいない惨めさを避けるために映画に誘ってデートするパターンが徐々に崩壊してきていると言われてきており、表 22に示しているように年代別映画鑑賞回数の推移でも 18 ~24 の年代での映画鑑賞回数が2012 年の 7.8 回をピークにして 2015 年では 5.9 回にまで減少してきている。ハイスクールを舞台にしたヒット作品に恵まれなかったのは確かであるがハリウッドの制作側が想定しているティーンエイジャーの定義が現実とずれだ

2011 2012 2013 2014 2015 人口比率 映画ファン黒人 4.5 4.4 4.3 3.7 3.8 12 11白人 19.5 23.2 17.8 21.2 19.3 62 56ヒスパニック 8.4 10.9 11.6 9.6 7.9 17 23アジア他 3.5 3.2 2.7 3.3 3.2 8 9

表19 2011~2015年米国映画愛好者の人種別来場者数(100万人)、人口比率

白人 ヒスパニック 黒人 アジア他人口比率 62 17 12 8映画観客 60 19 12 9

チケット購入 55 23 11 11

2015 Moviegoers:235.3million 2015 Admissions:1.32billion

表20 2015年米国人種構成と映画観客

人種 2011 2012 2013 2014 2015白人 3.5 3.6 3.4 3.2 3.4黒人 3.7 3.8 4.2 3.6 3.5ヒスパニック 5.3 6.4 6 5.1 5.2アジア他 5 4 4.3 5.2 4.9

表21 人種別映画鑑賞回数の推移

年代 2011 2012 2013 2014 20152-11 3 3.3 3.8 3.3 3.311-17 6.2 6.2 6.5 6.4 7.318-24 6.8 7.8 6.9 6.2 5.925-39 4.7 5 4.6 3.7 4.240-49 3.2 3.7 3.4 3.6 3.650-59 2.7 2.6 3 3.1 2.960+ 2.7 2.4 2.4 2.4 2.5

表22 年代別映画鑑賞回数の推移 表23 3D/PLF年代別鑑賞比率年代 鑑賞比率2-11 2.511-17 5.218-24 3.125-39 340-49 3.650-59 2.660+ 2.4

順位 作品名 配給 興行売上(100万ドル) Rating 3D1 Jurassic World Universal $652.3 PG-13 ◎2 Star Wars: The Force Awakens* Disney $652.0 PG-13 ◎3 Avengers: Age Of Ultron Disney $459.0 PG-13 ◎4 Inside Out Disney $356.5 PG ◎5 Furious 7 Universal $353.0 PG-136 American Sniper** Warner Bros. $348.8 R7 Minions Universal $336.0 PG ◎8 Hunger Games: Mockingjay Part 2, The Lionsgate $269.6 PG-139 Martian, The 20th Century Fox $225.3 PG-13 ◎10 Cinderella Disney $201.2 PG11 Spectre Sony $197.1 PG-1312 Mission: Impossible Rogue Nation Paramount $195.0 PG-1313 Pitch Perfect 2 Universal $184.3 PG-1314 Ant-Man Disney $180.2 PG-13 ◎15 Home 20th Century Fox $177.4 PG ◎16 Hotel Transylvania 2 Sony $168.5 PG ◎17 Fifty Shades Of Grey Universal $166.2 R18 SpongeBob Movie: Sponge Out Of Water,The Paramount $163.0 PG ◎19 Straight Outta Compton Universal $161.2 R20 San Andreas Warner Bros. $155.2 PG-13 ◎21 Mad Max: Fury Road Warner Bros. $153.6 R ◎22 Divergent Series: Insurgent, The Lionsgate $130.2 PG-13 ◎23 Kingsman: The Secret Service 20th Century Fox $128.3 R24 Peanuts Movie, The 20th Century Fox $128.2 G ◎25 Spy 20th Century Fox $110.8 R

表24 2015年北米地域興行売上上位25作品

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している可能性もある。 そして、表23には今後の映画館収益拡大の切り札となることが期待されているPLFと作品次第では高収益につながる3Dの鑑賞比率を年代別で集計した結果が示されており、11才から17才のハイスクール世代が5.2%と最も鑑賞比率が高く、続いて40歳代が3.6%の鑑賞比率となっており、映画館側でのPLF上映や3D上映スクリーンの割り当てに参考となる興味深い集計結果が出ている。 さて、昨年度の興行売上上位25作品で3D上映が行われたのは14作品であり、上位4作品は3D上映対応となっている。MPAAメンバーでは無いが映画興行での統計ではメジャー扱いされているLionsgateも 2作品がランクインしており今後の健闘が期待されるところである。この上位20作品の中で6作品について性別と人種別集計を行った結果を表25と表26に示している。 作品毎に人種別観客数の分布は興味深い結果を示しており、スターウォーズ最新作では白人入場者数が6,100万人であったのに対してヒスパニック系入場者数は1,500万と4:1の比率であり、Furious7では白人が4,000万人、ヒスパニック系が2,500万人と1:0.6の比率となっており主要登場人物やストーリー展開で人種構成が大きく変動するところは興味深い現象である。 さて、MPAAの本業である映画制作配給の状況を表27~29に示している。MPAAメンバー各社(いわゆるハリウッドメジャースタジオ)による制作本数は2012年に100本を割り込んだが2015年は114作品の制作まで回復した。独立系映画プロダクションの制作本数も2013年には349本まで低下したが2015年は387作品にまで回復しているが公称制作費が1,500万ドル(1ドル:110円換算では16億5千万円であり日映連加盟各社の平均制作費並み)以上の作品は15%前後で推移しており、推定制作費100万ドル以上の作品数は501作品、100万ドル未満の作品数は290作品となっており、2015年の総制作本数は791作品である。 米国では入場者の年齢制限などのレイティング機関(CARA)があり、このレイティングを配給に先駆けて取得するのが一般的であり、2015年も613作品がレイティングを取得し、MPAAメンバー制作作品が167作品、MPAA以外の作品が446作品であったが、このMPAAメンバ以外のレイティング作品数は前年度比18%減となっており独立系プロダクションの今後が懸念される。 表29に示している配給作品数の推移でも独立系の作品は2006年の390作品からは増加傾向であったものの2015年は前年度比2%減となっておりレイティング取得作品数の減少とが続くと、MPAA子会社による配給作品数の半減と併せて平日のブラックスクリーン増加が心配となってくる。

作品名 男性 女性

Furious 7 56 44Inside Out 46 54Avengers: Age of Ultron 58 42Star Wars: The Force Awakens 58 42Jurassic World 55 45Survey Average 50 50

表25 上位20作品の性別観客数

作品名 白人 黒人 ヒスパニック アジア系 その他

Furious 7 40 22 25 8 5Inside Out 54 15 16 9 5Avengers: Age of Ultron 50 16 20 10 5Star Wars: The Force Awakens 61 12 15 7 5Jurassic World 49 16 19 11 6Survey Average 43 16 19 8 4

白人:コーカサシアン、黒人:アフリカ系米国人、ヒスパニック:スペイン語系民族、その他:ネイティブアメリカンその他

表26 上位20作品での人種別観客数

2011 2012 2013 2014 2015 前年度比 2011年比MPAAメンバー 100 99 106 110 114 4% 14%独立系(推定制作費100万ドル以上) 399 377 349 371 387 4% -3% -制作費1500万ドル以上の割合 14% 18% 15% 14% 15% -- --推定制作費100万ドル以上の作品合計 499 476 455 481 501 4% <1%独立系(推定制作費100万ドル未満) 319 252 283 226 290総制作映画作品数 818 728 738 707 791

表27 2011~2015年 米国の映画制作状況

2011 2012 2013 2014 2015 前年度比 2011年比MPAAメンバー 100 99 106 110 114 4% 14%独立系(推定制作費100万ドル以上) 399 377 349 371 387 4% -3% -制作費1500万ドル以上の割合 14% 18% 15% 14% 15% -- --推定制作費100万ドル以上の作品合計 499 476 455 481 501 4% <1%独立系(推定制作費100万ドル未満) 319 252 283 226 290総制作映画作品数 818 728 738 707 791

表27 2011~2015年 米国の映画制作状況

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 前年度比 2006年比配給作品数の推移 594 611 638 557 563 609 678 661 709 708 0% 19% -3D作品 8 6 8 20 26 45 40 45 47 40 -14% n/a -LF(IMAX等) 11 11 15 14 16 21 26 32 30 36 20% n/aMPAA合計 204 189 168 158 141 141 128 114 136 147 8% -28%-MPAAスタジオ 124 107 108 111 104 104 94 84 100 100 0% -19%ーMPAA子会社 80 82 60 47 37 37 34 30 36 47 31% -41%独立系 390 422 470 399 422 468 550 547 573 561 -2% 44%

表29 2006~2015 米国配給作品数の推移

Ichiro Kawakamiデジタル・ルック・ラボ

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%と少なく、映画ファンでは 5 台保有しているとの回答率が 31%にまで増加している。機器別の保有率で興味深いのは米国での成年平均に比べて映画ファンは IT 機器保有率が全ての機器に於いて高い事である。逆に映画配給側としては映画ファンの心をつかむ宣伝媒体はメディア全ての手段で使わないと効果が無いのかと危惧することにもなってくる。

 表 18 ~ 21 は米国の人種別映画観客集計結果である。日本で通常表記されている白人は米国における統計では Caucasians(中央ヨーロッパのコーカサス地方を起源とする白色人種全体を示す)と表記され、黒人は African American( アフリカ系アメリカン)、メキシコ系に代表される中南米系は Hispanic、そして米国先住民等やアジア系は Asian/Other もしくは Native American/Others と表記される。本稿では白人・黒人・ヒスパニック・アジア人 / その他で略記させていただく。 米国での 2015 年人口比率は黒人 12%、白人 62%、ヒスパニック 17%、アジア人 / その他が 8%であり、黒人よりヒスパニック系が多くなっている。映画ファンの人種別集計では黒人が 11%、白人が 56%、ヒスパニックが 23%、アジア系 / その他が 9%となっており、ヒスパニックでの映画ファン比率が高い事に特徴がある。表 21 には人種別年間映画鑑賞回数の推移が示されているが白人が 3.4 回、黒人が 3.5 回、ヒスパニックが 5.2 回と高い数値を示しており、インディペンド系映画のマーケティングでもヒスパニ

ック系映画制作の話題は多く成ってきており、ヒスパニック映画専門の配給会社が好成績を上げていることもたびたび報じられている。 さて、映画大国の米国でも問題となってきているのが若年層の映画離れである。多感な思春期の総仕上げとして 6 年間を送ったハイスクールの卒業パーティーでパートナーがいない惨めさを避けるために映画に誘ってデートするパターンが徐々に崩壊してきていると言われてきており、表 22に示しているように年代別映画鑑賞回数の推移でも 18 ~24 の年代での映画鑑賞回数が2012 年の 7.8 回をピークにして 2015 年では 5.9 回にまで減少してきている。ハイスクールを舞台にしたヒット作品に恵まれなかったのは確かであるがハリウッドの制作側が想定しているティーンエイジャーの定義が現実とずれだ

2011 2012 2013 2014 2015 人口比率 映画ファン黒人 4.5 4.4 4.3 3.7 3.8 12 11白人 19.5 23.2 17.8 21.2 19.3 62 56ヒスパニック 8.4 10.9 11.6 9.6 7.9 17 23アジア他 3.5 3.2 2.7 3.3 3.2 8 9

表19 2011~2015年米国映画愛好者の人種別来場者数(100万人)、人口比率

白人 ヒスパニック 黒人 アジア他人口比率 62 17 12 8映画観客 60 19 12 9

チケット購入 55 23 11 11

2015 Moviegoers:235.3million 2015 Admissions:1.32billion

表20 2015年米国人種構成と映画観客

人種 2011 2012 2013 2014 2015白人 3.5 3.6 3.4 3.2 3.4黒人 3.7 3.8 4.2 3.6 3.5ヒスパニック 5.3 6.4 6 5.1 5.2アジア他 5 4 4.3 5.2 4.9

表21 人種別映画鑑賞回数の推移

年代 2011 2012 2013 2014 20152-11 3 3.3 3.8 3.3 3.311-17 6.2 6.2 6.5 6.4 7.318-24 6.8 7.8 6.9 6.2 5.925-39 4.7 5 4.6 3.7 4.240-49 3.2 3.7 3.4 3.6 3.650-59 2.7 2.6 3 3.1 2.960+ 2.7 2.4 2.4 2.4 2.5

表22 年代別映画鑑賞回数の推移 表23 3D/PLF年代別鑑賞比率年代 鑑賞比率2-11 2.511-17 5.218-24 3.125-39 340-49 3.650-59 2.660+ 2.4

順位 作品名 配給 興行売上(100万ドル) Rating 3D1 Jurassic World Universal $652.3 PG-13 ◎2 Star Wars: The Force Awakens* Disney $652.0 PG-13 ◎3 Avengers: Age Of Ultron Disney $459.0 PG-13 ◎4 Inside Out Disney $356.5 PG ◎5 Furious 7 Universal $353.0 PG-136 American Sniper** Warner Bros. $348.8 R7 Minions Universal $336.0 PG ◎8 Hunger Games: Mockingjay Part 2, The Lionsgate $269.6 PG-139 Martian, The 20th Century Fox $225.3 PG-13 ◎10 Cinderella Disney $201.2 PG11 Spectre Sony $197.1 PG-1312 Mission: Impossible Rogue Nation Paramount $195.0 PG-1313 Pitch Perfect 2 Universal $184.3 PG-1314 Ant-Man Disney $180.2 PG-13 ◎15 Home 20th Century Fox $177.4 PG ◎16 Hotel Transylvania 2 Sony $168.5 PG ◎17 Fifty Shades Of Grey Universal $166.2 R18 SpongeBob Movie: Sponge Out Of Water,The Paramount $163.0 PG ◎19 Straight Outta Compton Universal $161.2 R20 San Andreas Warner Bros. $155.2 PG-13 ◎21 Mad Max: Fury Road Warner Bros. $153.6 R ◎22 Divergent Series: Insurgent, The Lionsgate $130.2 PG-13 ◎23 Kingsman: The Secret Service 20th Century Fox $128.3 R24 Peanuts Movie, The 20th Century Fox $128.2 G ◎25 Spy 20th Century Fox $110.8 R

表24 2015年北米地域興行売上上位25作品

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している可能性もある。 そして、表23には今後の映画館収益拡大の切り札となることが期待されているPLFと作品次第では高収益につながる3Dの鑑賞比率を年代別で集計した結果が示されており、11才から17才のハイスクール世代が5.2%と最も鑑賞比率が高く、続いて40歳代が3.6%の鑑賞比率となっており、映画館側でのPLF上映や3D上映スクリーンの割り当てに参考となる興味深い集計結果が出ている。 さて、昨年度の興行売上上位25作品で3D上映が行われたのは14作品であり、上位4作品は3D上映対応となっている。MPAAメンバーでは無いが映画興行での統計ではメジャー扱いされているLionsgateも 2作品がランクインしており今後の健闘が期待されるところである。この上位20作品の中で6作品について性別と人種別集計を行った結果を表25と表26に示している。 作品毎に人種別観客数の分布は興味深い結果を示しており、スターウォーズ最新作では白人入場者数が6,100万人であったのに対してヒスパニック系入場者数は1,500万と4:1の比率であり、Furious7では白人が4,000万人、ヒスパニック系が2,500万人と1:0.6の比率となっており主要登場人物やストーリー展開で人種構成が大きく変動するところは興味深い現象である。 さて、MPAAの本業である映画制作配給の状況を表27~29に示している。MPAAメンバー各社(いわゆるハリウッドメジャースタジオ)による制作本数は2012年に100本を割り込んだが2015年は114作品の制作まで回復した。独立系映画プロダクションの制作本数も2013年には349本まで低下したが2015年は387作品にまで回復しているが公称制作費が1,500万ドル(1ドル:110円換算では16億5千万円であり日映連加盟各社の平均制作費並み)以上の作品は15%前後で推移しており、推定制作費100万ドル以上の作品数は501作品、100万ドル未満の作品数は290作品となっており、2015年の総制作本数は791作品である。 米国では入場者の年齢制限などのレイティング機関(CARA)があり、このレイティングを配給に先駆けて取得するのが一般的であり、2015年も613作品がレイティングを取得し、MPAAメンバー制作作品が167作品、MPAA以外の作品が446作品であったが、このMPAAメンバ以外のレイティング作品数は前年度比18%減となっており独立系プロダクションの今後が懸念される。 表29に示している配給作品数の推移でも独立系の作品は2006年の390作品からは増加傾向であったものの2015年は前年度比2%減となっておりレイティング取得作品数の減少とが続くと、MPAA子会社による配給作品数の半減と併せて平日のブラックスクリーン増加が心配となってくる。

作品名 男性 女性

Furious 7 56 44Inside Out 46 54Avengers: Age of Ultron 58 42Star Wars: The Force Awakens 58 42Jurassic World 55 45Survey Average 50 50

表25 上位20作品の性別観客数

作品名 白人 黒人 ヒスパニック アジア系 その他

Furious 7 40 22 25 8 5Inside Out 54 15 16 9 5Avengers: Age of Ultron 50 16 20 10 5Star Wars: The Force Awakens 61 12 15 7 5Jurassic World 49 16 19 11 6Survey Average 43 16 19 8 4

白人:コーカサシアン、黒人:アフリカ系米国人、ヒスパニック:スペイン語系民族、その他:ネイティブアメリカンその他

表26 上位20作品での人種別観客数

2011 2012 2013 2014 2015 前年度比 2011年比MPAAメンバー 100 99 106 110 114 4% 14%独立系(推定制作費100万ドル以上) 399 377 349 371 387 4% -3% -制作費1500万ドル以上の割合 14% 18% 15% 14% 15% -- --推定制作費100万ドル以上の作品合計 499 476 455 481 501 4% <1%独立系(推定制作費100万ドル未満) 319 252 283 226 290総制作映画作品数 818 728 738 707 791

表27 2011~2015年 米国の映画制作状況

2011 2012 2013 2014 2015 前年度比 2011年比MPAAメンバー 100 99 106 110 114 4% 14%独立系(推定制作費100万ドル以上) 399 377 349 371 387 4% -3% -制作費1500万ドル以上の割合 14% 18% 15% 14% 15% -- --推定制作費100万ドル以上の作品合計 499 476 455 481 501 4% <1%独立系(推定制作費100万ドル未満) 319 252 283 226 290総制作映画作品数 818 728 738 707 791

表27 2011~2015年 米国の映画制作状況

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 前年度比 2006年比配給作品数の推移 594 611 638 557 563 609 678 661 709 708 0% 19% -3D作品 8 6 8 20 26 45 40 45 47 40 -14% n/a -LF(IMAX等) 11 11 15 14 16 21 26 32 30 36 20% n/aMPAA合計 204 189 168 158 141 141 128 114 136 147 8% -28%-MPAAスタジオ 124 107 108 111 104 104 94 84 100 100 0% -19%ーMPAA子会社 80 82 60 47 37 37 34 30 36 47 31% -41%独立系 390 422 470 399 422 468 550 547 573 561 -2% 44%

表29 2006~2015 米国配給作品数の推移

Ichiro Kawakamiデジタル・ルック・ラボ