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1 司会 それでは皆様、時間になりましたので始めたいと思います。皆様、サハリンⅡフェ ーズ2プロジェクトの環境関連フォーラムにようこそおいでいただきました。今日は国際 協力銀行のこのような環境関連フォーラムの 12 回目ということになります。今日は同時通 訳にて行わせていただきますので、必要に応じてお手元のレシーバーをお使いください。 チャンネル1が日本語、チャンネル2が英語という形になっております。何か問題があれ ば、私の方にお知らせ下さい。 私は今日の進行役を務めさせていただきます、環境コンサルティングなどを行っておりま す、株式会社イースクエアのピーダーセンと申します。どうぞよろしくお願いいたします。 あくまで中立的な立場から今日と明日、東京で開催されるフォーラムの進行役を務めさせ ていただきます。 今日のプログラムの流れをご紹介する前に出席者を紹介したいと思います。まず主催者の 国際協力銀行、このあと JBIC と呼ばせていただきますけれども、皆様から向かって右に 資源金融部の前田部長、その隣に同じく資源金融部の第2班の会田課長、お隣に環境審査 室第1班の越智課長、その隣に資源金融部第2班の根岸調査役他でございます。よろしく お願いします。 サハリン・エナジー社をご紹介いたします。皆様から向かって一番左側にデピュティ CEO のアンドレ・ガラエフさん、そのお隣にプロジェクトダイレクターのヤープ・ホイスケッ ツさん、お隣にパイプラインイシューズマネージャーのマリナ・マカロバさん、そしてそ のお隣にエクスターナルアフェアーズの松本英雄さんです。よろしくお願いします。 では、本日のプログラムを簡単にご紹介したいと思います。2時から5時までとたっぷり 時間がございます。最初に JBIC から冒頭の挨拶をいただき、その後サハリン・エナジー 社から本プロジェクトの現状についてプレゼンテーションをいただきます。次に JBIC らこれまでの環境フォーラムなどを通じていただいたステークホルダーからの意見に対す るサハリン・エナジー社の対応についてプレゼンテーションをいただきます。その後ステ ークホルダーから二つの短いプレゼンテーションを挟んで自由な討議、討論、Q&Aとい う形になります。十分な時間があると思いますし、途中で少し休憩を挟みたいと考えてお ります。 本日の進行のルールを2つほど確認したいと思います。1つ目は本日のフォーラムは日本 に越境する環境関連問題に関するフォーラムです。越境しない課題に関しても JBIC は個 別に対応しておりますけれども、本日のフォーラムは主に日本に越境する課題であるとい

122004/02/06  · 1 司会 それでは皆様、時間になりましたので始めたいと思います。皆様、サハリンⅡフェ ーズ2プロジェクトの環境関連フォーラムにようこそおいでいただきました。今日は国際

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Page 1: 122004/02/06  · 1 司会 それでは皆様、時間になりましたので始めたいと思います。皆様、サハリンⅡフェ ーズ2プロジェクトの環境関連フォーラムにようこそおいでいただきました。今日は国際

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司会 それでは皆様、時間になりましたので始めたいと思います。皆様、サハリンⅡフェ

ーズ2プロジェクトの環境関連フォーラムにようこそおいでいただきました。今日は国際

協力銀行のこのような環境関連フォーラムの 12回目ということになります。今日は同時通

訳にて行わせていただきますので、必要に応じてお手元のレシーバーをお使いください。

チャンネル1が日本語、チャンネル2が英語という形になっております。何か問題があれ

ば、私の方にお知らせ下さい。

私は今日の進行役を務めさせていただきます、環境コンサルティングなどを行っておりま

す、株式会社イースクエアのピーダーセンと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

あくまで中立的な立場から今日と明日、東京で開催されるフォーラムの進行役を務めさせ

ていただきます。

今日のプログラムの流れをご紹介する前に出席者を紹介したいと思います。まず主催者の

国際協力銀行、このあと JBIC と呼ばせていただきますけれども、皆様から向かって右に

資源金融部の前田部長、その隣に同じく資源金融部の第2班の会田課長、お隣に環境審査

室第1班の越智課長、その隣に資源金融部第2班の根岸調査役他でございます。よろしく

お願いします。

サハリン・エナジー社をご紹介いたします。皆様から向かって一番左側にデピュティ CEO

のアンドレ・ガラエフさん、そのお隣にプロジェクトダイレクターのヤープ・ホイスケッ

ツさん、お隣にパイプラインイシューズマネージャーのマリナ・マカロバさん、そしてそ

のお隣にエクスターナルアフェアーズの松本英雄さんです。よろしくお願いします。

では、本日のプログラムを簡単にご紹介したいと思います。2時から5時までとたっぷり

時間がございます。最初に JBIC から冒頭の挨拶をいただき、その後サハリン・エナジー

社から本プロジェクトの現状についてプレゼンテーションをいただきます。次に JBIC か

らこれまでの環境フォーラムなどを通じていただいたステークホルダーからの意見に対す

るサハリン・エナジー社の対応についてプレゼンテーションをいただきます。その後ステ

ークホルダーから二つの短いプレゼンテーションを挟んで自由な討議、討論、Q&Aとい

う形になります。十分な時間があると思いますし、途中で少し休憩を挟みたいと考えてお

ります。

本日の進行のルールを2つほど確認したいと思います。1つ目は本日のフォーラムは日本

に越境する環境関連問題に関するフォーラムです。越境しない課題に関しても JBIC は個

別に対応しておりますけれども、本日のフォーラムは主に日本に越境する課題であるとい

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うことが1つ目のルールとなります。

2つ目は皆さんにできるだけ平等に発言をいただくために、お1人の発言は5分以内とさ

せていただきたいと思います。あまり長きにわたってご発言をされると、私の方から指摘

をすることもあろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。

メディアの方にお願いですが、撮影などは冒頭の前田部長の挨拶が終わるまでというよう

にお願いしたいと思います。撮影は冒頭の挨拶までというようによろしくお願いいたしま

す。

それでは早速ですが、JBICの前田部長より挨拶を頂きたいと思います。

国際協力銀行・前田 ありがとうございます。ただ今ご紹介にあずかりました国際協力銀

行資源金融部長の前田でございます。よろしくお願いいたします。本日は JBIC を代表い

たしまして北海道の漁業関係者の皆様をはじめ多数のステークホルダーの皆様方にご参集

いただきましたことを、まず御礼申し上げたいと思います。

私ども JBICは 2004年(平成 16年)10月よりこれまで合計 11回の環境関連フォーラムを

開催させていただいておりまして、本プロジェクト、サハリンⅡフェーズ2のプロジェク

トの関係者、ステークホルダーの方々から広く環境関連のご意見ならびに、非常に有用な

情報等を頂戴して参ったわけです。当行は頂戴したご意見、情報等を事業実施主体である

サハリン・エナジー社に対して、これをお伝えし、本プロジェクトによるネガティブな環

境影響の回避、もしくはミティゲーション、極小化の実現に向けてサハリン・エナジー社

と協議を続けて参ったわけです。

昨年 2006年6月に 11回目の環境関連フォーラムを開催しまして、以降 2007年4月、本年

4月に本プロジェクトに対してサハリン・エナジー社の資本構成が変わりまして、ロシア

連邦のガスプロム社の参画が正式に決定したわけです。これまでほぼ足掛け4年にわたり

まして、いわゆるポテンシャルなクレディターとなり得る銀行等、あるいは輸出信用機関

等と合わせて、欧州復興開発銀行、EBRD も鋭意検討を続けて参ったわけですけれども、

この株主構成の変更等、この本プロジェクトのストラクチャーの変更に伴い、ガスプロム

社他のスポンサーおよびサハリン・エナジー社と非公式に欧州復興開発銀行は協議を続け

て参ったわけですけれども、欧州復興開発銀行の検討の想定しているスケジュールが、サ

ハリン・エナジー社の想定しているプロジェクトの実施のスケジュールと合致しないとい

うことが明らかになりまして、本年8月上旬ですが、欧州復興開発銀行は本プロジェクト

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からの撤退を正式に決定したわけです。

こういう事情の変化を踏まえまして JBIC としましては、それまで欧州復興開発銀行のル

ミエール総裁はじめ欧州復興開発銀行の幹部の方々が非公式ではありますが、ガスプロム

社の幹部その他、本プロジェクトのスポンサーおよびサハリン・エナジー社と協議して参

った状況について、つぶさに私どもも非常に大きな関心を持ってウォッチしてきたわけで

すけれども、実際、私自身も6月末にロンドンにてルミエール総裁ならびに欧州復興開発

銀行の幹部の皆さんと非常に長きにわたり協議をしたわけです。

そのルミエール総裁以下が果たしてこられた努力の成果を引き継ぎ、それをさらに発展さ

せるという観点から環境社会配慮の面にかかるコミットメントをガスプロム社ならびにサ

ハリン・エナジー社のスポンサー各社、それからサハリン・エナジー社に対して求めて参

りました。これに対してガスプロム社は同社の環境社会配慮基準を同じようなセクター、

石油・ガスの開発セクターという趣旨ですが、このセクターで一般的に受け入れられてい

る国際的な環境社会配慮の原則に調和させていくという旨のコミットメントをいただいて

おります。

こうした一連の動きを踏まえ、今回再度北海道ならびに東京で環境関連フォーラムを開催

させていただく運びとなりました。こうやって皆様方と実際にフェース・トゥー・フェー

スで議論、ご意見を伺いながら皆様の貴重なご意見、あるいは情報等をお伺いさせていた

だく貴重な機会にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

司会 ありがとうございます。それぞれのプレゼンテーション、発言に対する質問はまた

後程まとめてお願いしたいと思います。

続いてサハリン・エナジー社のプロジェクトダイレクターのヤープ・ホイスケッツからプ

ロジェクトの現状についてプレゼンテーションを頂きます。よろしくお願いいたします。

約 25分から 30分ほどのプレゼンテーションになるかと思います。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ まず皆様方にサハリン・エナジー社の方からサハ

リンⅡのプロジェクトについて最新の進捗状態について話ができることを大変うれしく思

っております。前田部長からまず冒頭にいくつか変化があったというお話をしていただき

ました。2007年度に私どもの方では非常に大きな変化がありました。ここに書いてある通

りです。新しい株主構成になりまして、2007 年4月 18 日にこの調印が行われました。ガ

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スプロム社がマジョリティ・シェアホルダーとして 50%プラスワンシェアという形です。

他の株主はシェル、三井物産、三菱商事というところになっております。そしてシェルの

場合には 27.5%で、マイナスワンシェアということになっております。

前田部長からガスプロム社が、企業が今一生懸命遵守しようとしているスタンダードをそ

のまま遵守するというコミットをいただいたという話がありました。ガスプロム社のディ

レクターが私どもの方にも来ておりますけれども、アンドレ・ガラエフ、彼は私の隣にお

りますデピュティ CEOですが、彼が2カ月前に私どもの会社に来て下さいました。

まずサハリンⅡプロジェクトがどんなものかということを簡単におさらいさせていただき

ましょう。今私たちが建築しているものは、左の上の方を見ていただくと分かるんですけ

れども、既存のプラットフォーム、これは 1998 年から始まり、99 年に最初のプロダクシ

ョンが始まったんですけれども、これまでのところは氷の張らない夏を迎えて、そして今

パイプラインシステムを拡充しております。

あと2つのプラットフォームが海上に設けられます。この右側の方にあるように、油田の

プラットフォームがあります。そしてガスのプラットフォームと、南のほうに行きますと、

ルンスコエとかそういったものが出てくるということになっております。海上のパイプラ

インは石油とガスと両方が沿岸の方に輸送されます。それが真ん中のところの写真ですけ

れども、ノグリキという小さな村がありまして、そこにこれらのものが運ばれます。そし

て 16キロメートルくらいの陸上のパイプラインがございまして、600キロくらいを伝わっ

てサハリンの南にありますサイトに LNG も一緒に運ばれることになります。これは全て

サハリンⅡのプロジェクトとして構築されているものです。現在 80%以上がもう既に完成

しております。

そのうちの1つとしては7月5日に左上にありますピルトゥンBのプラットフォームの完

成です。このプラットフォームは韓国から〔…音声不明瞭…〕、そして島の北でこれは終了

しております。キャパシティとしましては2万 8,500トンということになっております。

そして次の写真はこちらの方にありますピルトゥンBの海上のプラットフォームで、現在

フックアップのプラットフォームを準備しているところで、ここで冬の準備を今している

ところです。プラットフォームの横にサポートベッセルがありますけれども、これが冬用

に準備されているものです。

そして次の私たちの目標はこれをピルトゥンBのプラットフォームで 2008 年の初期に掘

削を始めるというものです。ルンスコエのプラットフォームの次に今度はピルトゥンBと

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いうことになりまして、インジェクション・ウェルを使っています。私たちがコミットし

ているのは、ここではまったく排出をしないプラットフォームを作るということで、これ

は一番最初の排出ゼロのプラットフォームになるもので、これ以降のものはすべてインジ

ェクション型のもので、全て排出なしで行くということです。この油田から採掘をします

ので、これに関してはカッティングス・インジェクション・ウェルということで、採掘に

おけるスラッジなどの泥は発生しないということになります。

2番目のプラットフォームですけれども、これはサハリンⅡの一部として昨年行われたも

のですけれども、1996年のものです。これがルンコスエですけれども、今年のはじめから

採掘を始めました。現在さらに建築をオフショアで行うということで、今年の後半には完

全にインジェクション・ウェルという形で、先程のコミットで言いました通り、コミッシ

ョニングを始める予定です。

次の写真ですけれども、その内容がこちらに行われております〔…音声不明瞭…〕である

とか、そういったベッセルが今ちょうどプラットフォームの横に来ているところです。

ここに示しているのは、私たちが海上のパイプラインで何をしているかということですが、

ほとんどの作業は 2006年のシーズンにもう完了しました。今はパイプラインのルーチンの

作業が行われています。これから数枚で見せる通りですけれども、ほとんどの作業は終わ

っております。ビーチ側にそのパイプラインを引っ張るという右の上の方にある写真にあ

るようなことも既に行われておりまして、今年はこれらのパイプラインを各々のプラット

フォームに接続する、ピルトゥンB、それからルンスコエといったようなところにも全て

接続して、そして海上との輸送を担うということになります。これはもう既に完了しまし

たので、これ以上はここでは作業はないということになります。

こちらの写真にあるのはかなり沿岸、ちょっと霧がありますけれども、沿岸のところにオ

フショアのガスプラントがあるんですけれども、ここで石油とガスがAのプラットフォー

ムのところから採掘されて、この時点ではほとんど原油と原ガスに近い形で出てきて、そ

してこれがここにありますガスの工場のところに来て、そして処理をします。それからコ

ンデンセートの状態にこの工場で行います。そしてコンデンセートされたガスが別個のパ

イプラインで南に送られます。このような活動が行われております。オンショアのガスプ

ラントで行われているもので、夏の半ばに撮った写真ですけれども、冬も仕事をしており

ます。こういったものは来年早くの段階で準備ができるのではないかと予測しているもの

です。

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さらに次の段階としてお示ししたいのがいろいろな写真なんですけれども、オンショアの

パイプラインについての写真です。特にこの写真では 2006 年、2007 年にかけての冬の活

動についてですが、全体として1,600キロのパイプラインをオンショアでやっております。

油、ガス両方のパイプラインで、チャイボの方からこれはピルトゥンBの方です。モリク

パックラインです。海岸のところまで来るところから OPFまで、そしてほとんどのパイプ

ラインについてはオンショアのガスプラントから LNG プラントのところにつながるため

のパイプラインであります。

ここに書いてありますように、かなり建設は終わっておりまして、2006年、2007年にかけ

ての冬の活動ですが、残りが大変重要な冬ということで、河川を横断しなくてはならない

ということであります。冬にやる、特に大変センシティブな川でありまして、170 プラス

55の支流がある河川の横断が必要となっております。全体としては 1,000くらい河川を横

断しなくてはいけないんですけれども、油、ガス両方のパイプラインでそれだけの河川の

横断が必要となっている、その一部となります。

歴史的なパフォーマンスとしましては、AEAのレポートですが、2、3枚のスライドでそ

れを示したいと思います。最初の冬が左の方ですけれども、このような望ましい状態で河

川の横断が行われております。以前にもお話しした内容に重なりますけれども、もっと最

近、かなりこの作業のあり方については大きな改善が 2006 年、2007 年の冬で達成されて

おります。例えば冬の段階でどのように河川を横断するかというやり方が改善されており

ます。

次にいきますと、例えばこれが河川横断が完了したところです。最終的な復元を行ってお

ります。例えば当面のところ、実際の河岸のところなどについての復元が行われておりま

して、大変よい例が左下ですが、復元が完全に終了したところであります。大体 50%くら

い重要な河川については横断が終わっております。それからまた河岸の復元も完了してお

ります。ですから前の現状回復が行われていて、前の写真と同じような状況に戻っており

ますが、90%以上の重要な河川についてはもう完全に、あるいは一時的に河岸の復元が行

われております。多くの場合においては河岸の一時的な復元が行われております。すなわ

ちサケの産卵シーズンであるということで、河川の中に入ることができないということで

す。夏の間はできないということで、サケの産卵シーズンが終わった冬になってから完全

な復元をやろうという計画になっております。

次ですが、河川横断についてはまた戻ってくるんですけれども、その前に地震の活断層を

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越えるということで、1,600キロメートルで大体 19くらいの活断層がありまして、例えば

南にも4つありますけれども、ちょうど島の真ん中くらいにあるものがほとんどです。上

の方がそのような活断層の断層の写真です。ナンバー3と呼ばれているもので、1から 21

まであるんですけれども、全部で 21あるということです。19のうち 11で、2つについて

はデザインからは除外されておりますけれども、そういった断層には名前が付いておりま

して、これが3番となっております。

この横断というのは、大変高度な技術的な設計となっておりまして、国際的な、あるいは

ロシアのデザイン、研究所がこのような断層についてのデザインを行っております。そし

てパイプを、厳密に土壌を管理しながら行っております。土壌条件をコントロールすると

いうことですけれども、土壌状態がちゃんと将来にわたってもコントロールされた形で維

持するということでありますと、これは技術的にもパイプラインが埋設され、そしてバッ

クフィル、トレンチの塹壕の部分についての裏ゴムの材料についても工学的に考慮された

ものを使っています。

何枚かお話ししたんですけれども、再生計画ということで、その後いろいろなものを紹介

しますけれども、皆さんいろいろな問題については AEA の環境報告書についての問題点

についてはご承知かと思います。AEA というのは独立したコンサルタントでありまして、

ポテンシャルのレンダー、銀行団の人たちでサハリンⅡのプロジェクトにかかわる人たち

からの報告としましては今週の月曜に公表されました。ですので、サハリン・エナジー社

のウェブサイトでも公表されておりますので、自由にアクセスしてご覧いただくことがで

きます。

そしてこのプロジェクトの〔…音声不明瞭…〕の問題であるとか、いろいろなたくさんの

問題などについて書かれております。この報告書の中に書いてあるんですけれども、この

ようなプランについては、大変高いレベルのコンプライアンスがあるということで、いろ

いろな資産や設備について、それだけの遵守が行われているということであります。1つ、

2つの問題がありますが、例えば掘削泥の問題ですが、ピルトゥンBとルンスコエについ

てはベスト・プラクティスであると表記されております。

さらにその報告書の中で少し乖離があるということがありました。パイプラインに関して

の乖離があるということで是正措置が必要であるということを書いております。オンショ

アのパイプラインのパフォーマンスで我々が会社として表明していることについて、それ

合致するためにこれは健康、安全、環境および社会面に関わる行動計画についての我々が

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表明しているものに対して合致するためのものであります。そのための是正のための行動

計画というのがあります。基本的には河川横断と恒久的な河岸の復元策についてです。よ

い例がこれですが、こういった例はまた後でお示ししたいと思います。

2番目に申し上げたいのが、特に河岸などの浸食管理と、浸食された部分の復元について

であります。いろいろな作業がこの行動計画の結果として行われておりまして、恒久的な

技術的な生物学的なものと、このシーズンに行われるものと、さらにはいくつかのシーズ

ンにわたって行われるものがあります。冬の前に行うものでありますが、すなわち必要で

あれば浸食、コントロールのためのものを春の前に行うということであります。雪が解け

ますとたくさんの流去水が流れるということで、特に山岳地帯では水が流れる春に備える

ための是正策です。

この流去水ですけれども、春に水が流れることで問題が起こりえます。これが、是正行動

計画がどのようにこのような問題に対策することができるのかという3つの例をここに書

いてあります。北の方から始まっております。春の後、実際に浸食が起こったところ、そ

れから粘土、土砂の流出というのがあります。上の方の写真では同じところで対策を取っ

たところであります。夏の写真です。完全な恒久的な復元をやっております。そして強化

しています。ジオマットという雑草が育たないようにするためのマットを使っています。

それからまた法面から流去水がいかないように、それからまた雨水を排出するためのチャ

ネルであるとか、暗渠であるとかそういったものをつくっています。

このスライドはデリケートなクリンカ川のものです。マカロフです。ちょうど島の真ん中

のところの河川横断の例を示しておりますが、左側の方の写真ですが、春が終わったとこ

ろの写真です。たくさんの水が流去しており、また泥も流れております。すべて法面、斜

面を流れておりまして、そのための復元が必要です。右の方ですが、夏の写真です。先週

撮ったばかりのものでありまして、よい作業が行われており、河川が清掃されており、ま

た河岸についてもこのように砕いた石を使って河岸を補強しております。南側の方の斜面

についてですが、完全に復元が行われておりますが、まだ更なる作業が続いているところ

です。特に排水路に関しての作業が続いております。法面の補強のための材料を乗せてい

るところです。雑草等々がはびこらないようにしています。

今度は南の方に行きます。よく言われておりますが、アイリバーという河川なんですけれ

ども、実はもっとこの南側にあるんですけれども、〔…音声不明瞭…〕と言われているとこ

ろであります。左の方の写真が土砂流です。このように重力で流れ落ちているところです。

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まだ作業が終わっておりませんで、まだ続いているところです。恒久的な技術的な復元を

することによって冬の準備を備えるということです。そしてその次の年、雪が解けて水が

流れる量が増えたときのための備えをします。このような是正行動計画にはたくさんの例

があるんですけれども、非常に積極的にいろいろなパイプラインに関しての作業をやって

いるという写真です。

それではプロジェクトの進捗状況についてお話しいたします。この写真は LNG のタンカ

ーです。7月5日ですが、同じ日付でピルトゥンBのプラットフォームですが、このよう

なカーゴを輸入しました。そしてこの重要性としては2つありまして、1つ重要な点とし

ては、これは我々にとってもマイルストーンとして、とても大事だということであります。

LNGのプラントの運転開始をすることができるということと、もう1つ重要なものが LNG

のプラントが炭化水素を受け取ることができ、また受け渡す準備ができているということ

で、それがより重要な点だと思います。これが1つの点です。

第2の LNGのカーゴが今出荷されるところです。基本的には LNGのプラントにガスが供

給されまして、そしてこの設備はガスがパイプラインから出すことができるようになる。

そして LNGのプラントにガスを供給することが可能になります。

後何枚か写真がありますが、これは空から撮った写真で、LNGのプラントの数カ月前の写

真です。実はこれは LNG が輸入される前なので、船は写っていません。後何枚か、大体

このように LNG のプラントが完成したということを見ていただきたい。それから右の下

のところですけれども、これが石油の積み出しターミナル、OETです。ほとんど完成して

いるところです。

それでは今度は1つ、2つ、LNGのキャリアが建造された。これは日本の南の方で、長崎

ですけれども、3つあるうちの2つの LNG タンカーについてはこのプロジェクトで建造

されています。名前もちなんで付けられています。

最後に簡単に環境社会面のパフォーマンスについて申し上げたいと思います。オンショア

のパイプラインについても少し触れた点ですけれども、まず地域社会に対する影響という

ことで、サハリン・エナジー社は2万 5,000人の島民を雇用しております。2万 5,000人の

70%以上がロシア人でありまして、ほとんどの人たち、ロシア人はサハリンの人たちです。

大変活発なプログラムをして、このようなスタッフの研修訓練をやっております。直接契

約者に対しての教育もやっています。昨年だけで 600万ドルの研修費をやっております。

これは徒弟制度のような研修なんですけれども、教育を提供しています。理論的にも実践

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的にもこのような徒弟の人たち、トレーニングに対して研修をしております。長期的にも

サハリン・エナジー社で仕事をすることができるようにということで、研修を積んでもら

っています。

次のスライドですが、ニシコククジラです。皆さんご存じかと思いますが、120 頭くらい

のニシコククジラが現存しております。いくつかのピルトゥンの開発の内部のところ、す

なわち北のところに採餌する、餌を取るところがあります。それからサハリンの北の方に

もあります。サハリン・エナジー社としましてはニシコククジラの保護を表明しています。

過去 10年間、私どもの方で私たちの操業がニシコククジラに代表されるような海洋生物に

悪影響を与えないような、そういった作業をやって参りました。この 10年間の間にノイズ

のモニタリングであるとか、観測であるとか、データの回収をした結果、このような海洋

生物に対して私どものオペレーションというのは全く影響を与えていないという結果が出

ております。

第三者機関と協力しております。インターナショナル・ユニオン・オブ・コンサベーショ

ン・アンド・ネーチャー・アンド・ナショナルユニオン、IUCN と協力しながら、このニ

シコククジラのアドバイザリーパネルというものを作りました。このニシコククジラのア

ドバイザリー・パネルでニシコククジラの生息の状況、それからまた私どものオペレーシ

ョンをニシコククジラの生息に与えているかということをモニタリングしています。これ

に関しても、資金調達をして、そして AEA レポートの方にもそのモニタリングの結果が

載っています。ベスト・プラクティスだと業界の中でも評価されているものです。

この結果として、元々の海上のパイプラインというのは右側の方で、元々赤で示されると

ころに計画されていたんですが、これが最終的にはブルーに変わりました。というのもこ

のニシコククジラが餌を食べる地域からパイプラインを離さなければならないということ

で、このブルーの部分に変わったわけです。これは私どもが2年間もこのオペレーション

が遅れるにもかかわらず行ったということで、非常に大きなベスト・プラクティスとして

評価されています。

さらに続けます。特に島の北の方には非常に多くの希少動物がいます。その希少動物の中

でも特にオオワシが特徴的なものです。サハリン・エナジー社は、マストロフ博士はモス

クワにいらっしゃる生物学者なんですが、先生と協力しながらもう何年にもわたって、私

どものオペレーションがこれらの鳥に対して悪影響を与えないようにというモニタリング

を行っております。これらの鳥は大体3月から4月くらいの間に巣をこの部分に作ってい

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くわけです。特に私たちが作ろうとしていた〔…音声不明瞭…〕のところにあるパイプラ

インのところ、それからまた OPFのガスプラントのところに相応するということが分かっ

ております。

マストロフ先生と一緒に私どもはこの現地調査を行い、どのような挙動があり、そしてど

の地域に巣を作り、そして繁殖をするのかということを研究しました。そして彼らの繁殖

に悪影響を与えないようにということで、私たちはセントラル・バッファーゾーンをつく

りました。このバッファーゾーンには私たちは一切立ち入らないということで、オペレー

ションをすべてこの部分から排除しております。

一般的に申し上げて、私どものオペレーションはクマの居住地区に影響を与えないように

ということで、クマが住んでいる場所、それからまた営巣の部分からはオペレーションを

離れるということで、あとクマの保護策も取っております。木とかそういったものにクマ

が上らないようにといった特別な保護策を、クマを避けるための対策として作っています。

それからオイルスピルの対策として OSRPを準備しております。7つのうちの5つについ

て既に OSRPは完成しています。このプランは皆さんご存じだと思いますけれども、海上

プランであれば全てもうお分かりになっていると思います。サハリン・エナジー社のウェ

ブサイトに詳細は全て掲示されておりますので、もしご興味がある場合にはそのウェブサ

イトの方に行っていただければと思います。

さらにこれらのプラントの準備をすると同時に材料の調達も行っています。様々な OSRP

の機能を陸上で準備するために 1,600 万ドルの予算を立てて、このような対策を行ってい

ます。ここに書いてある通りです。

さらに右側の方にある写真ですが、これは OSRPの機器を今実際に演習として使っている

ところです。これはロシア連邦の緊急対策省と協力しながらということなんですけれども、

実際のオイルスピルの場合の対策の演習などを行っています。そしてこれらの機器を私た

ちが恒久的に使うことができるような場所に置いております。左側にあるのがパイプライ

ンのメンテナンス用のデポですが、ここにはオイル・リスポンス、つまり OSRPに関連す

る様々な機器が既に準備されております。

そしてここが OSRP の基地になります。右の下のところに LNG のカーゴがプラントのと

ころに行く前に、その真横にこの OSRPの基地を作っております。いくつかのスロープと

かランプとかがありますけれども、これを見ていただければ、これが OSRPの油のコンテ

イメントブースとして使われる場所となっています。

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我々は積極的に日本の当局と協力しながら国境を越えたオイルスピル、油の流出があった

ような場合にはその保護をするということで覚書を全て行っております。MDPCに関して

の覚書です。そこでそのような事故が起こった場合には完全に情報を共有し、そして互い

に協力しながら OSRPの活動をやっていくということを、既に覚書でコミットしておりま

す。

そしてアニワベイのところにあるのは、私たちが行った演習なんですけれども、これが私

どもがもう既にコミットしておりますジョイントの OSRPの活動の一つです。日本の当局

もこの演習には参加していらっしゃいます。

最後のスライドです。これはこの地域の先住民の方たちとの活動です。約 3,500 人の先住

民がサハリンの北部にまだ居住していらっしゃいます。サハリン・エナジー社はこの先住

民の方々を代表する先住民カウンセルと協力しながらサハリン・インディジニアス・デベ

ロップメント・プランというプランを作っています。

これは、この先住民のカウンセルと、それから SEIC と共同で先住民の活動をみていくと

いうことで、私どもは5年間にわたって 150万ドルのグラントを提供いたします。この 150

万ドルのファンドというのは社会、経済的な、それからまた環境保護のための様々なプロ

ジェクトに使われますが、全て先住民の方々がそれは行うということで、先住民の開発プ

ランのベスト・プラクティスということで、AEAのレポート、今週の頭に出たものですけ

れども、そこでもベスト・プラクティスだということで評価されております。

以上で、私の進捗状態のプレゼンテーションは終わります。

司会 どうもありがとうございました。今度は JBICの会田課長より、これまでステーク

ホルダーも含めて指摘のあった課題に対するサハリン・エナジー社の対応についてのプレ

ゼンテーションとなります。会田さん、よろしくお願いします。ちょっと切り替えますの

で、少々お待ち下さい。

国際協力銀行・会田 国際協力銀行の会田でございます。これまでのフォーラムで皆様方

から貴重なご意見、情報を頂戴しておりまして、それらを総括する意味で本プロジェクト

の実施主体であるサハリン・エナジー社が主体的に取り組んできている対応について、ご

意見と取り組みを対比する形で主なポイントを整理しましたので、ご説明させていただき

たいと思います。

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まず1つ目に挙げさせていただいておりますのが情報開示の観点です。皆様方の中から日

本向けの情報開示の充実を求める声が多数ございました。サハリン・エナジー社は日本に

関係する部分の資料を邦訳しまして、それを日本語版ウェブサイドを立ち上げた上で開示

するということをしておりまして、その中には健康、安全、環境、社会、行動計画、HSESAP

と呼ばれる行動計画の日本に関係する部分についての訳も含まれております。

続きましてコンサルテーションについてですが、これについても日本、特に北海道でのパ

ブリック・ミーティングの開催というお声がございました。特にオホーツク沿岸での説明

会のご要請もあったわけですが、サハリン・エナジー社はその主体的な取り組みとしまし

て北海道オホーツク沿岸都市においてパブリック・ミーティングを開催してきております。

加えて道庁様や漁業関係者、海上保安当局との積極的な連絡、コミュニケーションを密に

行っているということが確認されております。

続きまして、油流出の関係ですが、この関連では事故を防止するという防止策に関するも

のと、万一の際の対応策という2つの観点がございます。まず第一に油流出事故の防止策

としましては、このフォーラムの場でシングルハルタンカーを使用した場合には事故の懸

念があるという強いご意見が表明されておりまして、それに対応するかたちで、サハリン・

エナジー社はダブルハルのタンカーを全面的に使用するということをコミットして実行に

移しておられます。

本来、MARPOL条約では 2010年まではシングルハルタンカーを使ってもいいということ

になっているわけですけれども、それをダブルハルタンカーへの切り替えを先行実施する

事例ということで、1つのベスト・プラクティスというふうに独立のコンサルタントも評

価していると承知しております。

またもう1つの大きな懸念事項として結氷期の運行ということがございました。こちらに

ついても結氷期に安全な航行を確保できるように、護送システムを充実するということで、

アイスパイロットの乗船、ならびに砕氷船による先導、耐氷タグボートの配備といったこ

とをサハリン・エナジー社は主体的にコミットしております。

次の資料は油流出が万一起こってしまった場合の対応ということですが、こちらについて

は、北海道北岸はサハリンの積み出し港から非常に近いということもございまして、油流

出が起こった場合に北海道北岸への懸念が大きいということを、このフォーラムの場でも

多数ご意見を頂戴してございます。サハリン・エナジー社は油流出対応専門家会合という

ものを立ち上げまして、専門家の皆様にご参加いただいて、それを積極的にサハリン・エ

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ナジー社もサポート、参画するという対応を取ってきているということで、北海道北岸に

ついて、その海岸毎に細かくその対応策を検討するといったことが現在進行形で行われて

いるということです。

また北海道のオホーツク沿岸都市におけるパブリック・ミーティングは先程のことと重な

りますけれども、こういったことも通じてどういった取り組みがなされるべきかというこ

とを予め検討しておくということがなされています。

またサハリン・エナジー社が作成しております OSRPと書いてありますのはオイル・スピ

ル・リスポンス・プラン、油流出対応計画のことですが、そのハンドブックをロシア当局

から承認を得次第、順次公開するというプロセスの最中にございまして、現在施設ごとに

この対応計画は作るわけですが、そのうち4つの OSRPハンドブックについては公開済み

ということになっております。その他のものについては承認を取れ次第、また開示してい

くというプロセスにあるということでございます。

続きまして油流出と共に非常に重要なポイントは生物関連でした。特に先程のスライドに

もございましたけれども、サハリン・エナジー社のプレゼンテーションの中にもありまし

たが、ニシコククジラへの影響を懸念する声を多数頂戴しました。サハリン・エナジー社

は、先程もご紹介がサハリン・エナジー社からありましたが、ニシコククジラ・アドバイ

ザリー・パネルというものの設立を既にしておりまして、その枠組みの中で保護対策とモ

ニタリングをしていくということを実行しております。1つの大きな事例がパイプライン

ルートの変更ということですし、その他についてもこの専門家、科学者のグループとの対

話を通じてニシコククジラを保護していくという取り組みを行っているところで、これも

今、正に動いている最中のものです。

続きましてオオワシについてです。オオワシについても、これは日本とサハリンを行き来

する貴重な鳥ということで、それへの影響を懸念する声も多数ございました。こちらは既

にサハリン・エナジー社が主体的にオオワシ保護モニタリング計画というものを作って進

めていたわけですが、それをさらに補強する形で、生物多様性行動計画というものを策定

せんとしておりまして、そのための専門家のグループを立ち上げております。その中には

日本人の専門家も含まれると聞いております。こういった枠組みが整えられておりまして、

プロジェクトからの影響を回避、または低減するための仕組みを作っていくということを

私ども銀行としても確認しております。

続きまして、生物関連でその他のイシューということで、2つほど記載させていただいて

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おります。1つは OPFという油処理施設、先程のスライドの中にもございましたが、パイ

プラインが上陸する地点に油を処理する設備があるわけですが、それを作る際の資機材の

荷揚げのための埠頭を建設すると、鳥類等への影響が懸念されるというご意見がありまし

たが、サハリン・エナジー社は既に承認済みであった取り組みではありましたが、それを

生物への影響を回避するという観点から浚渫がない形で固定できる仮埠頭というものを用

いて建設をするというように取り組みを改善したということです。

さらに2点目は掘削泥の投棄による水域への影響があるのではないかという懸念について

は、全ての掘削泥を海域に投棄することなく、地下に再圧入するという最先端の取り組み

を行うということで、排出が海域に起こらないような取り組みを、井戸の掘削の廃土につ

いては取り組みを行うということを表明されており、実行しているところだと確認してお

ります。

次は河川横断というテーマで、これについても多数のご意見を承っております。特に魚類

への影響が懸念されるということで、また工事に伴って土砂が浸食されて、それが流れ出

て川に入り込むというような事例についてのご指摘、情報の提供も多数いただいておりま

した。先週まで2週間ほど、私自身、サハリン島内を実査しまして、工事現場を見させて

いただいて、その工事を現在行っている場所から、植生が回復していく、それまでのプロ

セス、それは地点、地点によっていろいろな段階があるわけですが、それらを確認させて

いただいて参りました。

なかにはサハリン・エナジー社が表明していた健康、安全、環境、社会、行動計画、その

表明した事項の中に未達事項も確かにあったわけですが、それらを回復させるようなプラ

ンというものが表明されておりまして、その実行がなされている。その実行のプロセスの

確認ができたと認識しております。

もう1つは工法の問題です。工法はここにドライカット工法の採用と書いてございますが、

ロシア当局は当初、ドライカットを認めないということを言っていたタイミングがござい

まして、そういったタイミングではその工法は取れなかったわけですけれども、承認を得

られた後はドライカット工法を採用しまして、一番影響が魚類に出ないような対応をして

きているということで、それの現場も確認してきております。

これらを私どもだけでなく、ロシア当局もモニタリング、監視をしておりますし、サハリ

ン・エナジー社は外部の監視員を用いてモニタリングをする仕組みを導入しております。

それに加えて、我々レンダーとしましても、常駐のコンサルタントを現地に派遣しており

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まして、それらによるモニタリング、確認の作業を行っているところです。

続きまして同じ河川横断の中の1つのテーマで、サケの産卵場への影響という指摘がござ

いました。このサケの産卵場への影響が場所によっては出ているところも起こっておりま

して、そういった影響が起こった場合にはその後にサケが産卵しやすいような環境を作っ

ていくという回復のプロジェクトも実施しているということで、それも確認しておりまし

て、まずは影響が出ないようにするというのが第1ですが、その実行が場合によってでき

なかったようなものについては、回復プロジェクトというものが実行されているところで

ございました。

さらに、元々一番大切なのは河川横断の数を減らすということですが、サハリン・エナジ

ー社はそれの取り組みも行っているところで、そこら辺についても記載させていただきま

した。

以上、ポイントのみで皆様から出た個別の意見を全て網羅したわけではございませんが、

サハリン・エナジー社が一企業として社会的責任の観点も含めて対応できるものについて

は対応が実施されているということが確認されてきております。以上でございます。

司会 サハリン・エナジー社の松本様からフォーラムに関する追加情報がありますので、

少し説明させていただいてよろしいでしょうか。

サハリン・エナジー社・松本 サハリン・エナジー社日本広報担当、松本でございます。

今 JBICの会田課長からご説明がございました北海道における、中心が北海道なんですが、

油流出対応等についての専門家協議ということがございました。それの一環としまして、

北海道でのこういう JBIC さんのフォーラムだということで、告知というように位置付け

ていただければよろしいかと思いますが、今後北海道各地で、主にオホーツク海沿岸なん

ですが、その専門家会合の中で議論された内容、これまでの状況を、この会議そのものは

MDPCさん、海上災害防止センターさんが主催で、私どもが後援させていただいていろい

ろな作業を進めているんですが、その内容を地元の方々にもフィードバックをさせていた

だきたいということで、その枠組みとして今日ご出席の方々にもご存じの方がいらっしゃ

ると思うんですが、排出油防除協議会というのが各所海上保安部、保安所をベースにした

ところで行われております。

ちょうどこの秋のタイミングに、これは排防協と呼んでおりますが、排防協の総会がござ

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いまして、その中の時間を一部頂戴しまして、油防除対応計画、北海道におけるMDPCさ

んを中心として専門家会合で作っていただいている計画の内容の説明と、それから地元の

方々のご意見の聴取を含め、各排防協の主催をしておられる留萌、紋別、稚内の海上保安

部さんのご協力を得て、時間を一部割いていただいて、このような日程で専門家会合の内

容説明をさせていただきたいと考えております。

当然、もともと排防協自体は地域の海上保安部さんを中心として漁業関係者、行政の方々、

有識者というような格好で、メンバーが限定されている会合なんですが、この説明会につ

いては地域の、一般の方々という言葉使いが正しいかどうかは別にしまして、広く参加を

呼びかけたいと考えております。この場をお借りしまして、ちょうど北海道でのこういう

フォーラムであるということもありまして、ご案内申し上げる次第でございます。

ちょっと見にくいかもしれませんので、上から読み上げます。留萌海上保安部主催の排防

協において1時間、時間を取らせていただきます。10 月 19 日、ちょっと直近ですが、3

時、4時で、留萌産業会館で行います。2番、紋別の海上保安部さん主催の排防協の、こ

れも総会がございまして、その一部の時間、14時 30分から 15時 30分、紋別市立博物館

で、10 月 25 日に行わせていただきます。3番の稚内海上保安部主催の排防協、同じくで

すが、これは 12月2日、10時半から 11時半ということで、地域における説明会、排防協

さんサイドの位置付けとしては勉強会という格好にさせていただいております。留萌につ

いてはスケジュール的に、私は参加できないんですが、紋別、稚内については私自身、サ

ハリン・エナジー社の日本広報担当として参加させていただきまして、ご質問等あれば広

く承りたいと思っております。

ただ、これは実施主体が各海上保安部さんということもございまして、問い合わせ先を一

応独立行政法人海上災害防止センター、先程から何度か出ておりますMDPCさんのところ

にさせていただきたいと思います。ここの調査研究室長の木本さんという方に、ご参加希

望の方はぜひご連絡をいただきまして、元々人数をある程度限ってやっていた排防協とい

う組織ですので、事前に行くよ、もしくは何人だったらいいのという細かいお問い合わせ

等については、この木本さんの方に入れていただければと思います。電話番号が 045-224

-4322です。eメールが [email protected]です。

先程の JBIC さんのご説明に追加情報ということで付け加えさせていただきます。失礼い

たしました。

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司会 さてこの後の進め方ですが、このあと基本的には質疑応答になりますが、2つの団

体から冒頭に短いプレゼンテーションをしたいという要請があり、最初にサハリン・エン

バイロメント・ウォッチから、その後に北海道漁業環境保全対策本部の方から、それぞれ

短いプレゼンテーションをいただきます。時計を見ますと、多分この2つのプレゼンテー

ションが終わったところで、1回ちょっと休憩を挟んで、そのあと質問などにしたいと思

いますので、それぞれの質問などをメモっていただきながら休憩を挟んだ形で実際の質疑

応答に入りたいと思います。ではまずドミトリー・リシーチンさん、サハリン・エンバイ

ロメント・ウォッチのチェアマンの方ですが、手短にプレゼンテーションをお願いしたい

と思います。

サハリン・エンバイロメント・ウォッチ・リシーチン 今回はお話をさせていただくこと

を大変うれしく思います。どうもありがとうございます。私は時間があまりありませんの

で、早速内容に入っていきたいと思います。

まず冒頭にいくつかのスライドを使って話をさせていただきます。これはパイプラインの

ルートの建設場所を撮った写真です。ありがたいことに SEIC のプレゼンテーションの中

で私どもの写真を見せて下さいました。パブリック・モニタリングをやっている写真です。

ここにあるのは別のときに撮られたものですけれども、修復作業がどのようにうまくいっ

たかということを示しております。

これは典型的な場所です。このような感じの場所は今年の夏たくさんありました。大きな

穴が開いています。ちょうど真ん中のところに穴が開いているのは、6月3日なんですが、

土砂が流出している、土砂崩れが起きているところです。これが7月2日に撮った写真で

す。修復作業が行われたことによって、つまりこのようなフェンスを設けたことによって、

この土砂崩れを防ぐことができました。もっとこの下に入っていれば、流れが完全に止ま

っていたと思われます。特にこの川はクラスナヤリバーといいまして、魚の産卵にとても

重要な川なんですけれども、この土砂崩れによってだめになってしまう可能性があったわ

けです。このようなフェンスがあったということで大変良かったと思います。これによっ

て産卵が妨げられずにすみました。

同じ場所です。これは8月の末です。さらに悪い状況になってきましたので、さらにもう

一回対策を取って、そしてここに植生を設けております。そうすることによって土砂崩れ

を守ろうとしたわけです。木材でちょっとフェンスを作ったところもあるんですけれども、

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完全にそれでは防ぎきれませんでした。この土砂崩れによってかなりのところが埋まって

しまったという状況が8月に発生しました。

今度は9月の末です。同じ場所です。さらに悪化しているのが分かると思います。この土

地の浸食まで起こり始めています。

これは別の川の状況です。7月の頭に土砂崩れが起きました。そこでここに人工的な島み

たいなものができあがってしまっています。2カ月後ですが、さらに土砂崩れがひどくな

っています。泥がさらにその流れの中に入りこんでいます。これはまた別の場所ですが、

7月の頭、大量の土砂が流れ込んでいます。2カ月後、同じ場所です。状況は変わってい

ません。

SEIC のプレゼンテーションで示されていたクリンカ川の7月5日の写真がありましたが、

あそこで掘削機で掘削をしていました。でもこれは最悪のやり方で、7月5日というのは、

実はサケの産卵期の始まりなんです。ですから産卵期というのはこのような流れでは何も

やっていけないというような時期なんですけれども、掘削機を使ったことによって、小石

がいっぱい川の中に流れ込んでしまいました。これは川に大きな影響を与えます。そして

ロシアの法律にも大きく違反することになります。

サハリンの支部に私どもの方で問い合わせをしてみました。そしてその結果分かったのは、

多くの法律がパイプラインのルートの周辺で破られているということを彼らも言っていま

した。連邦庁の方に現場で検査をした結果、いくつもの違反が見られるという報告が来て

いるということです。

これはロシアの法律の違反ということと、その次にもう1つ重要なのは、これは日本に関

してです。油流出の危険性についてです。5つのリスポンス・プランがもう既にできあが

っているということなんですが、この地図を見て下さい。この地図は油が流出した場合の

モデルです。タンカーがアニワベイのところにあったとして、そしてそこから油が流出し

たとします。SEICの情報によりますと、彼らの評価によると、この油が北海道の沿岸に到

達するのは相当時間がかかるということでした。つまり相当の距離にわたるということな

んですが、ただこの情報は SEIC の方から取ってきたものです。これはウェブサイトには

載っていません。これはアニワベイにおけるリスクです。油流出のリスクの評価です。99%

のリスクがタンカー由来のものであるということが分かります。

そして最大の油流出の可能性としてはアニワベイが一番多いわけで、原油の流出の量とし

ては最大限になっています。4万4,000立方メートルという最大級のものになっています。

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これはエクソン・バルディーズが流出した最悪のケースと言われたときとほぼ同じ、また

はそれ以上の量になっています。ということは、このプロジェクトのどの施設よりももっ

と多くの量の油の流出が考えられるということです。

タンカーに対する油流出対応計画はどうなっているのかということです。サハリン・エナ

ジー社はタンカーからの油流出対応計画は作っていないと思うんです。ただ単にタンカ

ー・ローディング・ユニットとか、プラットフォームであるとか、それから海上のパイプ

ラインとかそういったものに対しての油流出対策は取っていると思うんですけれども、タ

ンカーには取っていない。タンカーの方が実は流出のリスクはもっと大きいということで

す。

そこで日本の国際協力銀行の方に申し上げたいのは、タンカーに対する油流出対応計画が

でき、そしてそれが承認を得るまでは融資しないでいただきたいということなんです。日

本における流出の危険性が非常に高いからです。

それから事故の評価ですが、SEIC が作ったものを見ますと、LNG のタンカーの流出が起

こる確率は 55年に1回ということになっております。そんなに頻繁に起こらないじゃない

かと思われるかもしれませんが、エクソン・バルディーズの油流出事故を思い出していた

だきますと、1回の事故は 240年に1回起こる可能性があるということなんですけれども、

しかしこのようなオイルタンカーの事故は実は 12年に1回という確率で起きています。こ

のバルディーズの起こった4年後にはもう1回事故が起きています。

それからもう1つ重要なものとして、LNGの事故があります。この写真にあるのは、アメ

リカの沿岸警備隊が行ったテストです。1万ガロンの LNGを水の上に流出させています。

そうすると、このような大爆発が起きたということです。これはものすごく大きな炎なん

ですけれども、このような爆発が起きています。LNGが流出しますと、火災と爆発が同時

に起きます。

実際の例を見てみると、LNG のタンカートラックがスペインで 2002 年6月に爆発した例

があります。トラックが爆発して、その影響は大変大きく、つまりこの事故が起こった周

りの 250メートルが非常に高熱な状況になったということが分かっています。ということ

で、この事故の起こる可能性ですが、LNGによる爆発、火災が起こる可能性というのは第

2番目の可能性となっております。従って、なぜサハリン・エナジー社が LNG の輸送に

関しての対策をやっていないのかということが問題になると思います。

ですから、これもぜひ JBIC の方々にお願いしたいのは、LNGの対策を完全に出さなけれ

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ばこれに融資していただかないようにして欲しいということです。

司会 これはサハリン・エナジー社の方からですか。それとも JBIC の方から何かコメン

トをいただきたいんですか。

サハリン・エンバイロメント・ウォッチ・リシーチン 〔音声不明瞭〕

司会 ではこれは休憩の後にコメントをいただくということにします。まず一番はじめに

サハリン・エナジー社の方からリスポンスをしていただきたいと思います。

もう一つ要請をいただいておりますが、北海道漁業環境保全対策本部の石川様です。よろ

しくお願いします。

北海道漁業環境保全対策本部・石川 ただ今ご紹介いただきました北海道漁業環境本部の

石川と申します。私の方から実は JBIC さんの方にぜひともこの機会に北海道の漁業者の

意見を伝えさせていただきたいということを無理やりお願いしまして、この機会を与えて

いただきまして、どうもありがとうございます。

なお、時間もございませんので、非常に早口で行いたいと思いますので、通訳の方、よろ

しくお願いいたします。サハリン・エナジー社の方は後で松本さんに聞いていただければ。

ドミトリーさん、申し訳ありませんが、どなたか通訳していただければありがたいです。

まず私どものスタンスをご紹介したいと思うんですが、北海道漁業者の環境保全活動とい

うことで、環境汚染の監視改善、保全活動を行っております。これは私どものパンフレッ

トの抜粋なんですが、食住から含めて行動を行っております。非常に様々な環境汚染が北

海道にはございまして、中には人間だけではないウシさんの汚濁についても我々は対応し

ております。

これに対して北海道の方では環境のパトロール、調査、また分析、要請活動についても実

施しております。私どもの活動の写真をここに載せてございます。この他にも漁協の女性

部も昔から植樹をして、山に木を植えてお魚を増やすという保全活動もしております。

私ども環境保全本部の方は漁協と一緒になりまして、キーワードがございますが、漁場環

境を守るために公害防止協定等を締結するという活動をしています。この中身は相互理解

が必要だということと、絶対反対ではなくて、そういうケースもあるんですが、協定によ

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る継続的な情報提供と要請活動を行っていく。直接の交渉ルートは絶対に手離さないとい

うことで活動しております。新幹線から高速道路、開発局、いろいろな方と協定なり、確

認書を結ばせていただいております。

ここから北海道の漁業なんですけれども、北海道は水産王国です。北海道の漁業の生産量

なんですが、全国に対して比率が 26%、額で言っても 17%ございます。ホタテ、コンブ、

サケ、その他いろいろな水産物を水揚げしています。この漁業生産なんですけれども、ち

ょっと比較のために国の歳出額と比較した場合に、例えば国全体で漁業は1%の比率です。

北海道の場合は北海道の歳出額に比べて8%、これが道北の留萌、宗谷、オホーツクの方

に行きますと、多いところでは行政の歳出額の 70%にまで漁業生産額が占めているという

ことで、北海道の北部沿岸は非常に漁業に依存しているということがございます。

ここで日本のエネルギー政策について、今更ながらということなんですが、ちょっとお話

ししたいんですが、エネルギー白書 2006年、この中に内容がございます。エネルギー資源

を確保するんだと国は言っております。供給源の多角化を図る。これが日本では非常に重

要だ。ところが、一方で例えば安全の確保ということになりますと、原子力政策が大半を

占めて、石油事業については製油所の火災事故、これは非常に大問題になったんですが、

それだけ考えればいいというような白書の中身になっています。

実は 2005年にロシアのプーチン大統領がみえたときに、日本と署名文書を締結しておりま

す。この中身はエネルギーの安定供給とエネルギー資源の安定化、要するに石油を下さい

というようなことを言っております。パイプラインシステムの加速化をするんだというよ

うなことも、国の方は言っています。これに関与したのが経済産業省と外務省と環境省で、

日本国政府のために、ロシア連邦政府のためにというように言っておりますが、じゃあ、

北海道漁業環境のために何かしてくれるのか。一切それは出てきておりません。

このときに細目もございますが、例えば油田の探鉱開発、協力、このような中身の中で文

書が交換されておりますが、私どもが言いたいのはお客がいれば商品は売れる、石油は売

れる。しかしながら、日本だけが今お客ではないということで、アジアの諸国がサハリン

原油に注目しているということです。では、今北海道の北方で行われている原油の開発は

どうなるか。これもサハリン・エナジー社からご説明をいただきました。北海道のすぐ北

で、サハリンⅠ、サハリンⅡの事業が進んでおります。この他にⅢ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵと、まだ

まだ事業はたくさんございます。

昨年ドミトリーさんが頑張って環境問題が非常に注目されました。ただそれが結局サハリ

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ン・エナジー社の中でかなりの混乱を招いたのではないかということを私どもは考えてお

ります。それで私どもの活動の一部が非常に停滞を余儀なくされたということがございま

す。ただ、原油の輸入は絶対止まらない。サハリンの輸出は止まらない。また漁業者の方

にしてみると、今燃油が高騰しています。非常に船の油が高いということで、燃油対策は

漁業者としても願いでありまして、安定供給ということは非常に漁業者の悲願でもありま

す。

これから起こるサハリンのタンカーが実際に出たときの話なんですが、これはサハリン・

エナジー社からいただいた写真なんですが、このアニワ湾の基地からタンカーが出る。今

サハリンⅡから出ておりますが、今後アニワ湾からいろいろなルートでタンカーが北海道

の周りを運行するだろう。大体こちらの方で概算してみると、Ⅱで 250隻程度ではないか。

Ⅰでもそのくらいか。かなり通るだろう。北海道、日本の食糧基地の周辺はタンカーだら

けだという不安がございます。

宗谷の岬から見ると、サハリンは非常に近い。この中をあれだけの数のタンカーが通ると

いうことは、漁業者にとって非常に危機感がございます。サハリン・エナジー社から、積

み出し基地から出た場合に、油が北海道沿岸に流出する可能性があるということが言われ

ております。またタンカーが宗谷海峡で事故を起こしたときにも、宗谷、オホーツクの方、

留萌もそうなんですが、被害を被るだろうということを予測されております。ただ国の対

応が非常に遅れがちになっているということはご存じのとおりです。

サハリンⅡだけではなくて、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲとある。各多くの油田がございます。サハリン・

エナジー社だけではない。サハリンの開発に漁業者は非常におびえておりますが、じゃあ、

国はどうなのか。エネルギー供給にかかる安全の確保と安心の醸成という、その白書の中

には製油所の火災事故の問題しか書いてないということで、非常に国のやり方が足りない

ものがあるのではないか。私どもは単にその事故だけではなくて、風評被害というような

ことにも対応しなければならない。これに対しては情報の収集と、先手必勝で情報を入手

するということが非常に重要だということが、これまでの経験から分かっております。

もう1つ国家緊急時計画、日本の計画について述べたいんですが、この中で例えば海上保

安庁は選定航空機の整備をする。通商産業省は防除資機材の整備をする。水産庁も整備を

するということをおっしゃっています。これに付随してサハリンの関係省庁連絡会議とい

うのがありますが、この中で外務省は外交ルートにより情報集約するんだと。ただこの情

報ルートが知床の油濁海鳥の件で役に立たなかったことは十分分かっています。財務省は

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どうか。財務省は国際協力銀行を通じて情報を入手する。ということは直接の交渉ルート

は JBIC だけだ。経済産業省はどうだということになれば、わが国、企業を通じてなんだ

ろうということです。

対応の整備なんですが、外務省については OPRC条約を結ぶようロシア働きかける。これ

をやっていない。海上保安庁は今ここにいらっしゃるので申し訳ないんですが、会議の内

容は今まだこうなっています。高粘度対応型の装置を配備する。これはサハリン原油でお

呼びではないんだということは皆さんご承知のはずなんです。

環境行政機関は流氷域において対応可能な資機材の整備に努めるとなっておりますが、第

1管区の船、砕氷船は釧路で耐氷型、古い、いろいろと問題があるということが今私ども

は懸念しております。

この中でサハリン・エナジー社との連絡に対して先程言いましたけれども、直接ルートを

持っているのは JBIC だけだ。後はみんな国、相手のロシア政府を通じてというような中

でしか情報が入手できないというのが我々は非常に不安だ。我々から何を要求したかとい

うことで、昨年、実は中央の方に要請に行って参りました。その中身というのは人工衛星

のデータを活用した海洋環境監視システムを作れないか。連絡体制、協議体制の整備、情

報収集をして下さい。漁業者にちゃんとそれを情報伝達して欲しいということも伝えてお

ります。また巡視船の北海道への配備、油回収資機材の配備もして下さいということをお

願いして参りました。

これがその時の写真ですが、国会議員の中川先生、武部先生のところに行って、武部先生

には海上保安庁の長官にまで電話をかけていただきました。また環境省にも行き、水産庁

にも行って参りましたが、なかなか財務省の壁、予算がないということで、その実現を見

ていないということがございます。

業を煮やして私どもはサハリン・エナジー社と書簡の交換を行いました。この中身は何回

も申しますが、情報交換の継続をして欲しい。我々は国内でいろいろな取り組みを行う。

それに対してサハリン・エナジー社は支援を行って欲しい。

4点目、これは非常に重要なところなんですが、自社施設のみならず、輸送タンカーから

の油流出事故を防ぐためにも努力するというような一文を載せていただきました。これは

漁業者がやったことではありますが、私どもだけで出来たとは思っていません。当然 JBIC

にも協力していただきましたし、その中で実現したと。

ただ、今日お見えになっていますけれども、道新の記者の方にこの件を取材していただき

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ました。サハリンに電話したんです。サハリン・エナジー社にも電話した。松本さんから

非常にいろいろと情報をいただいたんですが、サハリンⅠの方にも電話をした。ところが

サハリンⅠではそのようなことにはお答えできませんということで取材ができなかったと

いうことを聞いております。

我々はここまで JBIC のお力添えもあって、サハリンⅡの情報を取ることができるように

なりましたが、まだまだ全体としては不十分。では何が足りないのか。今油田の監視につ

いては国でやろうということで行っておりますが、ノルウェーでは航空機を毎日飛ばして、

衛星も使って監視もしている。日本でも海外の観測はやろうと思えばできるんですけれど

も、研究所だけが孤軍奮闘しているというような状況です。

私どもがたまたま入手した衛星の写真ですが、これが船舶、これはたぶん油ではなかった

かということで取り寄せました。非常にこの写真は高い。これは漁業者がやる仕事なんだ

ろうか。ノルウェーでは国の計画的業務としてやっている。うちの息子にこの写真を見せ

たときに、お父さん、いくらするんだ。20 万くらいする。買ってもらえばいいでしょう。

なかなか高くて買えないんだ。じゃあ、無駄な橋を1つ作らないで、国に買ってもらった

らどうですかというようなことを言ったので、今日、学校を休んでいいからこのフォーラ

ムに来ないかと頼みました。うちの奥さんにそれは国にやる仕事でしょう。子どもをだし

に使うんじゃないと怒られてしまいました。

海保さん、船舶が足りない中でも非常に困難な中で活動されております。ただ船舶が足り

ないがために非常に防除の関係で危機的というか、事故の対応が遅れるというケースもご

ざいます。いろいろ船舶の配備があるんですが、油回収については先程サハリン・エナジ

ー社が持っていたトランズレック、これは室蘭の石連さんのものしかございません。釧路

にある船しか積めない。この1隻しか積めないということがございます。稚内にはどうか。

稚内にある回収機材はサハリン・エナジー社の流出には対応できないということです。国

土交通省が持っている油回収船、これは北海道、オホーツク海側には 48時間、2日以降で

ないと到達しないということがございます。

また防除資材、石連さんは非常にたくさんお持ちです。中東の原油についても各ポイント

で機材を整備しておりますが、稚内の方、特に北部に対しては非常に備えが少ないという

ことで、今石油連盟さんにこの資材をこちらに持っていってもらえないかということをお

願いしました。資源エネルギー庁に言ってくれということで、資源エネルギー庁の方にも

行きました。ただ財務省がどうなんだろうかということで、これもなかなか実現をみてい

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ないということで、非常に苦慮しております。

この中で結局業界団体だけが頑張っております。例えば油濁基金、油防除の共同研究をス

タートさせていただきました。また先程話がありましたが、緊急時計画の説明会も実施し

ていただいております。漁業者の方にしてみると、業界だけが頑張っている。サハリン・

エナジー社が動いているのに、国はなぜ動いてくれないんだ。これまでの動きの中で助け

てくれたのは JBICと MDPCだけだ。海保の方も非常に予算のない中では頑張ってはいた

だけているんですが、なにせ財務省という壁がなかなか厚くてうまくいっていない。

司会 石川さん、そろそろまとめていただけますか。

北海道漁業環境対策本部・石川 もうすぐ終わります。緊急時対応計画ということで、サ

ハリン・エナジー社との共同の中で、今漁場の油防除のための計画作りをしております。

ただこれは本来であれば、関係省庁連絡会議で言えば、これは国の仕事だ。いろいろな中

身で検討を進めております。

これまで北海道では様々な油濁が起こるたびに漁業者が油防除に参加して参りました。そ

のたびに魚が売れないというような事態も起こって参りました。非常にたくさんの事故が

あります。北海道の油濁を防ぐために我々としては海上保安部に必要な船舶を配備して欲

しい。油防除に対して備えをして欲しい。流出事故に対して観測体制を整えて欲しい。情

報収集、提供体制の整備が必要だ。また石油開発事業者への環境配慮の促進。サハリン・

エナジー社の方に環境配慮の促進をして欲しい。

ただ、それを誰が鈴を付けるのか。またサハリンⅡ以外の他の工区はどうなるのか。お願

いしたのは、サハリン・エナジー社は他のサハリンの事業者の模範になるように行動して

欲しい。少なくとも北海道の漁業者はサハリン油田からは絶対逃げられません。それはこ

れからずっと油田がある限りは、私どもは活動していかなければならないということで、

北海道新聞で特集記事を取材していただきました。礼文島から稚内、北紋別、網走まで回

って取材をしていただきました。皆さん、非常に危機感を持っています。

その中で、この文書の最後に網走の組合長が言っている言葉が、非常に私どもは漁業者の

言葉を代弁しているなと思っておりますが、国策で原油を輸入する以上、国には備えを万

全にする責務があるはずだ。これは JBIC にもお願いしたいことですし、また海保なり、

国土交通省、経済産業省にもお願いしたい。もし予算がないということで、財務省がそう

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いう予算を出し渋るのであれば、財務省は私ども北海道漁業者を見放したんだというよう

に判断せざるを得ないのではないかと思っております。

ということで、ちょっと長くなりましたが、私の発表を終わらせていただきます。

司会 石川さんはどのように、休憩を挟んで JBIC さんの方からコメントを。それともた

だ発表ということでよろしいですか。

北海道漁業環境対策本部・石川 できましたら、JBICとサハリン・エナジー社の方からも

ご感想をいただければ。

司会 了解です。それでは既に1時間半が経過しておりますが、ここで 10分ほど休憩を取

りまして、質疑応答に入りたいと思います。飲み物はセルフサービスとなっておりますの

で、どうぞご自由にお取りください。40分からまたスタートしたいと思います。

【10分休憩】

司会 それでは今ご指摘のあったものに対して、まず共通していたものでタンカーからの

油流出の課題がありましたけれども、まずはこのタンカーからの流出への対応に関して、

JBICさんから、その後サハリン・エナジー社から答えていただきまして、その後河川横断

のエロージョンの問題に移りたいと思います。それぞれのテーマで皆様からも関連する質

問があれば、1回答えた後に、その質問をいただきたいと思いますので、よろしくお願い

いたします。

それではまずこのタンカーの流出問題への対応、越智さんからお願いします。

国際協力銀行・越智 環境審査室第1班の越智と申します。いつもお世話になっておりま

す。ドミトリーさんは特に貴重なご指摘ありがとうございました。いつも情報提供、感謝

しております。まず話題になりました油流出対応ということです。タンカーにおける油流

出というところは非常に難しい問題を含んでいるというのが実際のところでございます。

と言うのもサハリン・エナジー社の設備を離れたタンカーが事故になった場合、その責任

というのは基本的には船主に帰属するというのが仕組みです。従いましてサハリン・エナ

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ジー社がタンカーによる OSRPを作るということはあり得ないということで、それは、先

程石川さんのプレゼンにもありましたけれども、どちらかというと国の防災計画の範疇に

入るような話なのかもしれません。

ただ、私ども 11回環境フォーラムという形でステークホルダーの皆様のご意見をつぶさに

聞いて参りました。とりわけ北海道の皆様の油流出に対する恐怖、あるいは北海道経済に

与えるインパクトというようなものに関して非常に真摯に受け止め、かつこれに対して何

かできないかという形で、我々も考えてきたというのが実際でございます。

先程から話題になっておりますけれども、海上保安庁傘下の独立行政法人海上災害防止セ

ンターが中心となって、かつ漁業関係の皆様ならびに市民の皆様、そういった皆様を含む

形で協議会というのが立ち上がっておりまして、過去4回行われております。JBICとして

私自身、この会には必ず参加させていただいて議論の行方を見させていただいております。

その協議会ですけれども、皆様の声をこういう形で何とか実現できないかということで、

サハリン・エナジー社と協議した結果、確かに先程の話でいうと、タンカー事故というの

は直接サハリン・エナジー社の責任という話ではないんですけれども、一企業の責任範囲

を越えて、ある意味で企業の社会的責任という観点からご協力いただきまして、今この協

議会が立ち上がっているということです。

こちらを見ていただきますと分かる通り、留萌からずっと北海道北岸、稚内、離島、礼文

島、利尻島まで行きまして、オホーツク海沿岸、知床半島の突端まで、こちらを約 180枚

のサブマップを作りまして、それぞれの浜でもし油が来たらどうするのか。さらには油が

来たときの実際の対応をどうするのか。どういうふうな油防除の手法があって、どのよう

に対策していくのかということの知識の共有ということも行われております。

こちらは漁業関係の皆様でやや不安の多かった油分散剤の使用のガイドライン、1つの例

ですけれども、こちらは漁業資源に対する影響があるかもしれない。それは科学的にどの

くらいの影響があるのかということをつぶさに話をしまして、それぞれの漁場の実際の状

況に照らしまして、例えばこちらはゾーン1となっておりますけれども、こちらは事前合

意を経ずして油分散剤を使っていい。あるいはこの真ん中にホタテの漁場がありますけれ

ども、こちらの方は漁業資源への影響があるかもしれないので避けるというような形で、

それぞれの浜ごとにこちらの油分散剤の処理マップというものを作っております。

さらにこちらは先程ちょっと話題になりましたけれども、それぞれの浜ごとに例えば物理

的な回収方法ですが、右上の方から油が来た場合に、どういうふうにブームを張って、ど

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のポイントで回収するのかということを、これもまた個別に 180枚ですけれども、作って

いるということで、旗が立っているところは回収ポイントですね。こちらは作成のために

は少なからぬ費用がかかっておりまして、やっぱり航空撮影等をすべてやった上で、ある

いは漁場の情報を入れた上で作っております。

こちらに関しては、そうはいっても個別の浜の事情というのがありますので、それぞれの

浜に今この案が持ち帰られ議論されているという段階だと承知しておりまして、皆様のご

意見をこういう形で反映しながら、より良いものにしていくというプロセスが今進んでい

るところです。要するに漁場の状況は個々の浜の方々が一番よくご存じということですの

で、それぞれの浜にフィードバックを求めているという段階でございまして、先月、8月

の終わりに漁業組合の皆様にそれを説明する場が開催されておりまして、私どもはオブザ

ーバーとして参加させていただきました。従いまして、こういうような形で日本における

油防除の態勢というものが着々とできつつあるというのが今の現状で、私どもとしまして

は、こちらの動きをしっかりと見ていきたいと考えております。

こちらは冒頭に帰りますけれども、やはりそもそも法的責任ということがない世界で、他

国、隣国ではありますけれども、日本におけるこのような活動に対して支援をしているサ

ハリン・エナジー社の皆様には感謝したいと思いますし、逆に言うと、これはこういうこ

とが必要だというのをこのフォーラムの場で皆様から寄せていただいたものが形になって

いるということですので、1つのフォーラムの成果だと私どもは認識しております。

司会 続いてサハリン・エナジー社さんからタンカーからのオイル・スピル・レスポンス・

プランについて何かありますか。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ ありがとうございます。越智さんからサハリン・

エナジー社というのは、法的には責任はないんだけれども、しかしながら私どもの方でも

協力したいということで、私どもはアニワ湾の方でいろいろな対策を取っているわけです

が、タンカーというのは、タンカーのオペレーターが負うべき責任であって、私どもの責

任ではないけれども、しかしながら私どもの方ではこういったものに関しての協力を惜し

まないわけです。

アニワ湾の方で使っている様々な油回収船とかこういったもので、タンカーとかそういっ

たものに対応すべく努力をしております。私どもの方ではもうダブルハルタンカーしか使

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わないという決定を行いましたが、これは業界の基準としましては 2010年までは本当はシ

ングルハルは使ってもいいんだけれども、私どもの方で前倒しでダブルハルを使うことに

したといったようなこと。それからまた世界の中で最も水準の高いカーゴ用の船を使うと。

決して古い船を使うわけではありません。ということを私どもの方で要請しています。

そして海路に関しても、私どもの方で話をしております。ロシアの運輸省がサハリン・エ

ナジー社と協力しまして、このようなタンカーのトラッキングを行っています。これらの

タンカーのトラッキングをすることによって、海路をきちんとモニタリングすることがで

きる。そしてまた彼らの船の品質が非常に良いということを確認しながら、それからまた

今どういうように海路を取っているかといったようなモニタリングおよびその指導もして

いくということです。

サハリン・エナジー社はそれからまたアニワ湾の方でこのようなタンカーの質をきちんと

チェックしていくということです。アニワベイの中には〔ラインハンドリングベッセル〕

があります。4つのタグがあるんですけれども、この4つのタグを使いまして、先程のス

ライドにも出ておりましたように、接岸しているときの船に関しての対策、先程写真を見

せたものです。それからまたロシアのこの島にある緊急対策当局と協力しながら何らかの

緊急時には、こういった対策をできる契約を既に結んでおります。

もちろん北海道の方々はサハリンと北海道との間でタンカーが行き来するために非常に気

になさっているということはもうその通りで、北海道におけるオイルスピルの対策は私ど

もの方でもやぶさかではございません。

サハリン・エナジー社・松本 今私どものヤープ・ホイスケッツからありましたように、

特に北海道における油流出の問題については、過去 JBIC さんのフォーラムが開始されて

以降というか、その以前から問題点が各所あり、それに対してどういうように対応してい

くかということを、私自身が主たる担当でもございまして、北海道の皆様との対話という

ことで、いろいろやっていった中で、今もう4回になりますが、もう1年強動くようにな

りました、北海道における流出対応ということはどういうように考えるべきなのかという

ことをちゃんと協議する協議会がやっと立ち上がりまして、その結果がほぼできあがりつ

つあります。

ただ、全てのことが 100%できるのかというと、これはまた正直申し上げて、非常に難し

いところはあるんだと思います。言い方を変えますと、これは非常に皆さんからご批判を

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受けるときがあるんですが、サハリン・エナジー社はタンカーについて責任がないと言っ

ているという言い方があります。これはものの言い方なんですよね。サハリン・エナジー

社はタンカーについて、それは責任はないんです。僕たちはタンカーの所有者ではありま

せんし。

でも、その責任のない範囲で我々は何をすることが事故を未然に防いで、近隣の方々に対

する、ある意味ご迷惑をかけなくて済むのかということのベストをやると。加えて北海道

での対応策というものに対して、これは当然、なぜMDPCさんがここで出てくるかという

ことになりますと、どのような事故対応であっても、基本的には日本の沿岸で油流出事故

が起きた場合にはMDPCさん、海上災害防止センターさんが対応されます。これが1番で

す。

あの方々の仕事というのは2通りありまして、1号業務、2号業務というんですが、要は

原因者との契約関係に基づいて防除を行う。簡単に言いますと、タンカーが何らかの格好

で、残念ながら座礁した、事故を起こした、北海道沿岸で漏洩事故を起こしてしまった。

この場合タンカーの所有者、運行責任者がその対応について責任を持ちます。ただタンカ

ー会社1つがそれを全部持ちきれるかどうかというのがありますので、これをカバーする

ためにP&Iというシステムがありまして、保険でカバーされるということが行われます。

もう1つは、恐らくこれはナホトカの時はそうだったと思うんですが、だれがやったか分

からない、もしくはやった人の責任、当事者能力がないケース、この場合は国の命令で彼

らは動きます。なぜMDPCさんと我々がこういう関係になるかというと、我々は一番最初

に考えたことは、我々の施設から、例えばプリゴロドノエにあります石油ターミナルから

もし原油が漏れて、万が一これが北海道まで漂着するケースを考えたときには、当然これ

は我々の責任です。我々がそれをカバーします。もちろんそれは会社本体ということだけ

ではなくて、保険でカバーされていることが前提条件になります。そうじゃないと1つの

会社だけに頼るという考え方がおかしいですから。

そういうことを考えていくと、結局北海道で何かが起きたときに、事故対応をしていただ

く主体、お仕事をしていただくところはどこかというと、MDPCさんなんです。ですから、

今作っていただいている、ご協力していただいた北海道の漁業者の方々、行政の方々、そ

れから地域の有識者の方々のご意見をいただきながら作っている対応計画というのは、あ

る意味、海上災害防止センターさんの作業マニュアルなんです。作業マニュアルがあるこ

とによって初動動作が少なくとも早く進むということを一番大きな目的としてやっていま

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す。

ですから、事故は必ず起きる。残念ながらこれは事実だと思います。何らかの確率で起き

ます。事故が起きないとだれも断言できません。でも我々の責任というのは、その事故が

起きないようにするための最善の努力をすること。これがまず1番。2番目は万が一起き

てしまったときにどう対応するのか。それの、言葉は悪いですけれども、お助けをどうす

るのか。我々の責任範囲を越える可能性が出てきますけれども、でも事前にそこには布石

を打っておきましょうというのが、この考え方の根幹にあるものです。すいません、ちょ

っと付け加えさせていただきました。

司会 ありがとうございます。今のテーマに関連する質問、あるいは追加質問。リシーチ

ンさん。

サハリン・エンバイロメント・ウォッチ・リシーチン ありがとうございます。全てのこ

のような北海道の沿岸の活動というのは大変すばらしいものだと思いますし、また油流出

対応の機器であるとか、努力はすばらしいものだと思いますが、国際的な慣行としまして

は、もし油が水に混じってしまうと、クリーンアップは大変だということです。一旦油が

流出してしまったら、14%、20%くらいしか海から回収することができないわけです。で

すから予防の方に力を入れるべきです。タンカーから油が流出しないようにするというこ

とがまず第一です。

もちろんタンカーに責任はないとおっしゃいましたけれども、また一方で皆様が要求され

ているのは、ダブルハルのタンカー、それはどうなるのか。もしタンカーに責任がないの

であれば、なぜダブルハルのタンカーを使うのか。例えば廃棄物があったような場合には、

例えば OSRを強化することができる。ダブルハルというのはよい予防策になると思います。

しかしながら強化策としても他にもたくさんやるべきことはあると思います。リスクを最

低限にするためにやるべきことは他にもたくさんあります。サハリン・エナジー社の方が

おっしゃっていたのは、その船のトラッキングシステムというのが開発されていて、そし

てロシアの運輸省が開発したトラッキングシステムがあるということでありましたが、し

かしながら、それがカバーしているのはアニワ湾の一部でしかなくて、全体をカバーして

いるわけではないわけです。アニワベイの南側のところでありますが、その海峡のところ

が一番危険なんです。そこがカバーされていない。タンカーが通る海路として一番重要な

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海峡が含まれていません。

ですから、タンカーに責任がないと繰り返されますけれども、ではだれがお金を払うんで

しょうか。タンカーの建造費は誰が払っているのでしょうか。あなたが払っているんでし

ょうか。タンカーの建造費というのはサハリン・エナジー社がファイナンスは出している

のではないかと思うんです。ですから、タンカーに対して影響力を持たないのにお金を払

うということはないと思うんです。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ リシーチンさん、ありがとうございます。あまり

遠く離れているとは思いません。まずタンカーから油が流出しないようにするという予防

策が大事だというのは同意します。多分タンカーに対して影響がないと言ったのは、ちょ

っと言葉が足りなかったと思います。いろいろな影響があります。どのようなタンカーを

使うか、そしてアニワベイに入るのはどのようなタンカーかということについてはダブル

ハルで近代的なタンカーでなくてはならないということで、一旦私たちが資金を出すわけ

ですから、最も高い水準のタンカーを使うということを言うことによって、私たちはその

タンカーに対する影響力を行使しています。ですから、大変大きな影響力をアニワベイに

入るタンカーについて行使することができるということであります。

そしてアニワベイを航海するタンカーについて、そうです。ですから、ベッセル・トラッ

キング・マネジメント・システムというものを使って、アニワ湾を見ています。かなりの

LNGのタンカーが入ったり出たりする、石油のタンカーもローディングユニットに入って

くるし、出ていったりするということで、たくさんの混雑した状況にあるわけですから、

やはりこのような船舶のモニタリング・トラッキング・システムというのが必要になると

思っています。これが大変大きなリスクに対する影響力があると思っています。アニワ湾

に関しては言えると思います。ですから、タンカーに対して影響力がないというのは言葉

足らずで、タンカーに対しては影響力を行使することができます。しかし、その影響力は

注意深く使っています。

司会 今マイクをお持ちしますので、お名前と所属を最初にお願いできればと思います。

日本技術士会・能勢 私は技術士で、能勢と申します。最近、日本技術士会ではリスクは

必ず起きるというリスクマネジメントが重要です。それからもう1つは BCPとか BCMと

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かいいまして、事業継続計画、事業は継続せんといかんということが非常に重要視されて

いるんですが、このタンカーは将来ますます多くなりますし、必ず私は事故が起きるよう

に考えられるんです。実は私は、ここにおられる望月先生と同じ考えなんですが、パイプ

ラインを持ってきたらどうかと。天然ガスと石油と両方のパイプラインをサハリンから直

接、稚内まで持ってくる。

私は東京にあるエコ&エナジーという会社の技術スタッフなんですが、その社長は朝倉と

いいまして、三菱総研におりまして、パイプラインの勉強ばかりやっている。本も出して

おります。日本が世界で一番後進国よりも遅れているのはパイプラインなんです。だから

日本に縦貫的なパイプラインを引こうという考え方を、立派な本を出して、もう 10年くら

い前から発表しております。

どうして近いサハリンからパイプラインで持ってこないのか。それから LNG というもの

は CH4を液化する場合にマイナス 160度にしまして圧縮しないといけないわけです。莫大

なエネルギーがかかるんです。10%ないし 15%のエネルギーを消費するわけです。だから

非常に、エネルギーのエシックスから考えても、LNGというのは非常にもったいない。日

本は LNGは 750億立米輸入しておりますが、大変な金額ですよ。これを 10年に1回、何

兆円ですか、バーンしているのは。日本でないけれども、これはグローバルに考えるとい

かんわけです。

要するにパイプラインを日本に持ってくる。天然ガスと石油のパイプラインを、近いんで

すから、簡単にあそこはトンネルでも掘れるんですから。日本は青函トンネルを掘った。

私も掘った方ですが、簡単ですからパイプラインで持ってくれば、非常に北海道の経済も

よくなりますし、日本のエネルギーの多様化に非常にプラスになります。なぜこれをやら

んのか。これは先生と私の意見なんですが。

司会 質問ですか、それとも意見ですか。

日本技術士会・能勢 どう考えられますか。銀行もそうですが、現地の方もなぜパイプラ

インを考えられないのか。日本の方はどうですか、答えられますか。

司会 質問の趣旨はよく分かりました。どうしましょうか。JBICさんから、サハリン・エ

ナジー社から何か答えというか、意見はございますか。では、前田部長。

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国際協力銀行・前田 ありがとうございます。今おっしゃった点はずいぶん前から議論に

なっている点でございます。ヨーロッパはほとんど天然ガスのパイプラインがございます。

パイプラインで持ってくる方がいいのか、LNGの方がいいのか。こちらはどちらかという

と経済産業省、それから事業者の方々等がずっと議論してきた話で、それぞれプロコンと

いいますか、良いところ、悪いところがございますので、一概には言えませんけれども、

ただ申し上げられるのは、私の承知している限り、国の政策として LNG に替えてパイプ

ラインで天然ガスの供給を受けるということを決定しているという事実はございませんし、

それはそれぞれいろいろ事情があるからだと思います。

今回のこのプロジェクトはそういう議論とは別に、実際に LNG の需要者がいて、それに

対してサハリンⅡプロジェクトが重要な供給ソースになるということを前提に成り立って

いるわけですので、今おっしゃった議論については、より高次のといいますか、国のレベ

ルで議論されるべき話ではないかと考えております。

司会 ありがとうございます。サハリン・エナジー社は何か。では、それに関して。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ あまり他の方に追加することはないですが、大変

興味深い問題ですけれども、1990 年代の終わりに考えたことです。それから 2000 年に入

っても、サハリン・エナジー社としては LNG のプロジェクトとして開発するということ

を決定しました。アニワ湾についてはそうです。これを撤回するのには遅すぎます。LNG

のプラントがもうできつつある。完成に近いということでありますから、これをひっくり

返すことは大変難しい。日本へのパイプラインというのは難しいと思います。もちろんパ

イプラインか、LNGということについては、他の油や天然ガスの埋蔵に関しても同じ問題

は繰り返し出てくると思いますが。

司会 どうぞ。

北海道極東研究学会・望月 北海道極東研究学会の代表幹事の望月喜市と申します。質問

ですが、昨日の道新で今日の集会にマッチした非常にいい記事が出ておりました。石油の

通年生産が始まると宗谷海峡を通るタンカーがものすごく増えるであろうと。それとの関

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係でお聞きしたいのですが、今年の暮れに通年生産が始まるはずだったのが、来年の上期

に延期されたということが1つあります。それが事実ですかということと同時に、LNGの

最初のタンカーの出航はどういう期日として予定されていますかというのが1つの質問で

す。

次に天然ガスのパイプと石油のパイプとが並行して南の方に下りているんですか。その場

合にある程度の距離がないと、どこかが壊れたとき、ガス爆発があったときに石油の方に

移るのではないか。そういう意味でのリスクを考慮されて並行して走っているんでしょう

か。

第3点は、前にグリーン運動の方が、環境保全の方から地震とか何かの関係を見ると、地

上でパイプを設置した方がいいんじゃないかという提案があったんですが、その提案は受

け入れられないで、現在砂利を引いて、そのショックを緩和するという方向でプランが進

んでいるように今日拝聴したわけですが、その問題、つまり地上設置と地下の砂利道での

ショックを吸収するという工法との関係では、もう後者に決まっているんですか。そして

その地上設置のことについては了解が取れているんでしょうか。どちらがリスクとの関係

で妥当性があるんですか。

第4点ですが、知床に正体不明で大量の魚の死骸が流れ着いたという事件がありますが、

この原因の究明は今もってできていないんですか。

最後にタンカーからの油流出事故の際に責任者は船主にあるとおっしゃっているわけです

が、素人の考えではタンカーの所有者の責任も同時にあるのではないか。そうしないと、

例えばダブルハルのタンカーを使いますよとか、高速のモニタリングをするとか、そうい

うことは一定の関係で責任があるという関係があるから、所有者としてサハリン・エナジ

ー社はそういうことを考えていらっしゃるのではないかと思います。

そして、最も事故が起こりやすいのは宗谷海峡で、一番リスクが高い。アニワ湾よりも高

いと思うんですが、そこまでカバーして船主ならびに所有者としてのサハリン・エナジー

社が、責任があるのではないかと思うのですが、いかがですか。以上です。

司会 いくつかありますけれども、まず最初の通年のタンカーの運行および LNG タンカ

ーの出航の開始時期というのはどんな感じでしょうか。通年のタンカーとそれからいつか

ら始めるか、本当にたくさんの質問が出てきたので、どれからかと思っていたんですが。

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サハリン・エナジー社・ホイスケッツ 最初の1つか2つから答えていきましょう。最初

の LNG の出荷は来年の上半期です。これは簡単に答えられました。それからパイプライ

ンのセパレーションに関してはたくさんの努力が必要で、幅と重量とこういったものをす

べて計算しなければなりません。これは2つを完全に分けるということからやらなければ

ならないということで、設計の中で大変考慮されている部分です。

それからまたどういうふうに地下にパイプラインを埋設するかということなんですけれど

も、これはどういうふうに特に断層のところはするかという話ですが、陸上に敷設すると

いうことになりますと、パイプラインはマイナス 140度の環境温度でいくということにな

りますので、スチールのフレキシビリティをある程度もっていなければ、何らかの膨張と

かそういった問題が出てくるわけです。問題がここでは起こる可能性があるということか

ら、地下に埋設することにしました。もちろんこれに関しても問題はあります。

発言者不明 〔…音声不明瞭…〕

司会 ガスとオイルの話なのか、それともガスだけの話か。

北海道極東研究学会・望月 〔…音声不明瞭…〕つまり石油の出荷は来年の上期だという

ことを新聞で知っていますが、ガスの方も来年の上期ですか。ガスは来年の上期ですと最

初はおっしゃったわけですが、石油も、両方とも来年の上期で同時に出てくるんですか。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ オイルは 2008年の上半期、そして LNGの方は 2008

年の下半期ということです。

司会 パイプラインの、3つ目の点の地震対策の答えだったと思いますけれども。

北海道極東研究学会・望月 地上パイプの場合はマイナス 140度ということで、ですから

地下にしますとおっしゃったんだけれども、石油の場合はその必要はないわけですね。マ

イナス 140という。そうすると石油はどうなるんですか。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ オイルとガスのパイプライン両方とも埋設されま

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す。ガスラインの温度は中のガスではなくて外気温によって影響されるわけです。つまり

外気温がマイナス 140度になると言っているんです。外気温の話です。外気温がマイナス

140 度になるので、金属の膨張とかそういった延性というものが影響を与えて、特に地震

などが起きたときにもこの影響を受けるということから、上ではなくて下に入れるという

形にしました。

北海道極東研究学会・望月 サハリンの外気温が 140度になるんですか。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ マイナス 40度です。そこで地下に埋設することに

いたしました。そこにトレンチ、溝を掘って、そしてパイプラインを引きました。そこで

はパイプラインを埋設するための設計上の考慮が行われています。そして地上にするか、

地下にするかということに関しては第三者の環境コンサルタントが入って評価しまして、

そして私どもが地下に埋設するということに関して彼らが同意しております。下に入れた

方が外気温によっての影響を少なくすることができるということから決定しました。

司会 LNG のハザードの問題は何か JBIC でございますか。それともよろしいですか。あ

るいは先程パイプラインの併設も含めてですけれども。もしもなければ次の課題、まだい

くつかありますけれども。

国際協力銀行・会田 話がいくつか飛んでしまっている感じがありますので、まずは埋設

方式の話からですが、こちらについては専門家による評価に加えて、ロシアの当局からの

承認も得られているということを補足しておく必要があろうかと思います。それが1点で

す。

先程のご質問の観点では知床鳥の話があると思いますが、こちらについては油の性質の分

析が既に行われておりまして、サハリン・エナジー社の油の質とは違ったものであるとい

うことがはっきりと確認されておりまして、この場での質問にはちょっと当たらないので

はないかと思います。

次のポイントのタンカー事故に関する責任のお話、もう少し事実関係のところからご説明

した方が分かり易いと思うんですが、サハリン・エナジー社が所有することがもしあれば、

所有する船については所有者、船主ということになりますので、これは責任が生じる。買

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い主、品物を買いに来る方が船を持っていて、それを使ってサハリン・エナジー社の製品

を買いに来るという場合には、別の方が所有者、船主として責任を持つことになるという

ことです。それに加えてサハリン・エナジー社は先程来お話があるように、社会的な責任

という観点から様々な取り組みをなされているということです。ここまででご質問に対す

る私からの補足ということです。

それからちょっと戻りまして、ピーダーセンさんからの問いかけはタンカーの OSRP、そ

れから LNGの OSRPができることが JBICの承認条件になるのではないかというようなお

話につながるかと思いますけれども、これは先程越智の方からお話をさせていただいてい

る通り、輸送する手段に関する OSRPの作成は国際的な水準、基準と照らし合わせても事

業者が行うものではないということで、むしろ国の防災計画の中の一環として対応される

べきものであるということですので、これを私どもの融資条件とすることはないというこ

とを申し添えておきたいと思います。

司会 時間も少し気になっておりますので、1回、このテーマを置いて、次の大きなテー

マが河川横断のエロージョンがサハリン・エナジー社から説明があったよりも深刻ではな

いかというご指摘がリシーチンさんからありました。このテーマに移りまして、他にもい

ろいろ恐らく別のテーマでのご質問があると思いますので、それに移りたいと思いますが、

河川横断についてまず JBICさんの方からいかがでしょうか。

国際協力銀行・越智 越智でございます。河川横断に関して若干補足というか、ご説明を

させていただきます。やや馴染みのない言葉が出て参ったかと思うので、まずその言葉の

解説からさせていただきたいと思います。スロープ・ブレーカーという言葉が出ていたと

思います。こちらはこういった斜面を、何もしておかないとこういうふうに土壌の流出が

起こるということで、ここ、薄く矢印を引いておりますけれども、こちらにこういう形状

の小さな土手を作るということです。これがありますと、上から流れてきた水が横あるい

はこちらの森林の方等に流れていきまして、直接川に入ることはないということです。

先程会田が申しましたけれども、私自身も先週までサハリンに入っておりまして、非常に

豪雨の中でしたが、ちょっと実査をして参りました。こちらの右側ではスロープ・ブレー

カーが非常に機能しているところですが、こういう形で上から流れてきた水がここでキャ

ッチされて、こちらの方に排出されるということで、これが1つ大きな土壌侵食対策にな

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っております。

次にスロープ・ブレーカーは基本的には技術的な土壌流出防止ということで、最終的には

切り出したこちら、ライト・オブ・ウェイに関しては植生の回復が必要でございますけれ

ども、こちらは植生回復の1つの例です。アンカ・マットおよびココ・マットというもの

がございまして、この丘を小さなメッシュ素材でかぶせて、こちらの上に植生を入れると

いうことです。そうすることによって表土が下に流れて落ちて、せっかく植えた種が流れ

てしまうことを避けるということで、こういうものが進んでおります。

さらに、より斜度の大きい斜地に関してはより強力なココ・マットを敷くことによって、

実際ここに植生を回復させるということです。ご覧いただいたら分かりますように、木が

ありまして、ここをきちっとしないと、ここの土砂が流れ出すと共に、上に木が倒れてく

るというようなこともございますので、こういうところはきちっとこういうふうなマット

でしっかりと植生を回復していく必要があるということです。

あとシルト・フェンスと呼ばれるものですが、こちらはドミトリーさんのプレゼンテーシ

ョンにも紹介がありましたが、基本的に川の際に敷かれるこういった形状のフェンスで、

こちらは沈泥の防護壁ということです。こちらは膨らんでいるのがご確認いただけるかと

思いますが、上流から流れてきた土砂を頑張って押さえ込んでいるというような状況です。

ただ、こちらに書きましたけれども、これは浸食防止のある意味、最終ラインということ

ですので、上の方できちっとスロープ・ブレーカーが設置されていて、下に来る土砂をで

きるだけ少なくするというのがあってこそ持つということですし、さらにこちらは常時メ

ンテナンスが必要というたぐいのものですので、こちらの川を見ていただいたら分かると

思うんですが、こちらは二重です。実はこの内側にもう一重あるんですけれども、三重の

シルト・フェンスが張られている。さらに上部がスロープ・ブレーカーでカバーされてお

りますので、何とかこういった急斜面でも土砂の流入をできるだけ少なくしようというこ

とになってございます。こちらは私どもが行った段階では川の水は非常にきれいでした。

こちらはパイプライン埋設時につくるトレンチ・ブレーカーということですが、パイプラ

インを埋設すると、出水があることがありますので、こちらは特に斜度のきついところで

は、こういった土嚢で水をせき止めるものです。

さらにこちらはリップ・ラップと呼ばれるものですが、こちらは正に砂利の排水溝という

ことで、多くは握りこぶし大の小石を水路や河岸に敷き詰めます。泥が流れる水路では要

するに泥水に含まれる泥分が小石に付着しますので、河川に直接土壌が入ってくるという

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ことをできるだけ防ぐ仕組みになっています。ここで見ていただいたら分かります通り、

上から土砂を含んだ雨水が来たとして、まずシルト・フェンスでキャッチをするんですけ

れども、ある程度、泥分が少なくなった雨水も最終的には川まで入るところでリップ・ラ

ップの小石で泥が吸収されることによって川に入る水はきれいになるということで、こち

らの河川でも濁っておりませんでした。

さらにこちらはリノ・マットと呼ばれるものですけれども、先程のリップ・ラップとの組

み合わせで使用されるんですが、流れが激しいところは、要するに小石そのものが川に流

れてしまうということがございまして、それを防除するために網をかけるということです。

こちらの川にもこの上にちょっと見にくいですけれども、網がかかっておりますし、こち

らの川はこちら側にバンクの外側、遠心力がかかるところですけれども、ここにマットが

敷かれているのが確認いただけるかと思います。

これはギャビオン・ネットというものですけれども、先程のリノ・マットと同じ効果です

が、より急激な激流にも耐えうるような設計ということで、特にこういうふうなバンクの

厳しいところでは特に雪解け期等、強力な水圧がここに当たりますので、ここの護岸を守

るためにこういったギャビオン・ネットを張るというのが河川保護対策の1つのプラクテ

ィスということで、サハリン・エナジー社もそれぞれの川でこういった措置を取っていく

ということをやっております。

こちらは私どもが先週まで見てきたところですが、ハンドゥザリバー、こちらはかなり上

流の川です。こちらは5月の段階で斜面保護が甘かったところですが、こちらはスロープ・

ブレーカーの跡があります。土砂で押し流されて、下の方に行っておりますけれども、先

日見てきたところによりますと、こういう形で泥水がキャッチされていて、スロープ・ブ

レーカーはワークしていたということです。

植生の回復のところですが、こちらも5月の段階では雪解け直後ということで、雪も残っ

ており、植生回復は実現しておりませんが、こちらはアンカ・マットを敷いたことによっ

て植生の回復が進んでおりまして、緑がチョロチョロと出てきています。これは話により

ますと、種を蒔いてから一月ということですので、かなり食いつきがいいということで、

この辺の使用が極めて求められるということです。さらにこの下に排水溝が入っておりま

すので、泥水もこちらに流れるようになっております。

河岸保護ですが、こちらも6月の同じ川ですが、恐らくこちらのシルト・フェンスが崩れ

ている状況ですが、多分より上流の措置がうまくいっていなかったのかなということです。

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同じ川ですけれども、9月に見に行ったときによりますと、こちらは分かり難いですけれ

ども、スロープ・ブレーカー、植生回復ができておりまして、河岸に到着する土砂の量が

そもそも減っているということと、あとシルト・フェンスの負荷が限定的になっているの

で、こちらの川に泥が入っていないということです。この日は豪雨の日で、そもそも上流

から流れてくる川そのものに土砂が入っていたんですけれども、この地点で土砂が増えて

下に流れているということは観察されませんでした。

こちらも斜面保護です。7月の段階では非常に大きな穴が開いて流れていたんですけれど

も、今ではこういう形で整えられておりました。さらにこちらもシルト・フェンスが流れ

ていた。こちらは壊れていますけれども、流れたところですが、一応上部の方との組み合

わせで河岸に到達する土砂の量は減っておりまして、何度も決壊したという経験から二重、

三重に引いてあって、効果が発揮されているということです。

河川横断工事というのは技術的にも非常に難しい部分があるのは私どもも実際行ってみて、

痛感いたしました。例えば先程の斜面なども上がるのに息を切らせてしまうようなところ

が多かったですね。確かにサハリン・エナジー社が対外的に表明しておりますアクション・

プランに照らすと必ずしも十分ではない部分がなかったわけではないと思います。ただ回

復の措置が取られておりまして、私どもが行った限りにおいては、その措置はオントラッ

クになっているのかなというふうな感じがしております。

司会 会田さん、何かございますか。

国際協力銀行・会田 先程リシーチンさんから写真を見せていただいたクラスナヤ川です

けれども、こちらについても私たちが現場を確認しておりまして、現在の状況はこのよう

な状況になっておりまして、回復計画のプロセスにあるということです。こういう途上に

あるからといって安心してばかりいてはいけないと思いますが、継続的なモニタリングに

よってきちんとした回復がなされることを確認していくということだと思います。

リシーチンさんはクラスナヤに引き続いて、もう1つ川を見せていただきましたが、あち

らについてはたいへんひどい状況に今なっている様子を、そのときの時点での写真という

ことで、教えていただいたと思いますが、私どもの資料で確認しているところが正しけれ

ば、その川は全長 1.5キロメートル、川幅 1.3メートルの川で、名前が付けられていない支

流です。時期によってはほとんど水がなくなったりするような川ということです。ただ、

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こういった場所についても回復計画に基づいてきちんとした実行がなされるということを

サハリン・エナジー社は表明しておりますので、我々はそれをきちんと確認するというこ

とが重要ではないかと考えております。以上です。

司会 サハリン・エナジー社、何か追加がありますか。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ 一つだけ付言させてください。リシーチン氏が特

にサケの産卵期の頭のところでオペレーションしていたのではないかという指摘がありま

した。もちろんこれは法律で禁止されているわけですけれども、地域の漁業の当局と話を

して、どうしても必要なときには修理をするということになっています。ですから、非常

に限定的ではありますけれども、緊急措置として、漁民と合意の下に産卵期でも修復の作

業をするときがあるということです。これは水を保護するという意味でやるということで

す。

司会 何か他にございますか。よろしいですか。河川横断関連でしょうか。ではない、で

はちょっとお待ちください。次のテーマに参りたいと思います。

ロシア東欧経済調査研究所・長谷川 先程サハリン・エナジー社の方でロシアの先住民と

協力して、今から5年間で 150万ドルを使った。環境保護に対しても先住民と協力してや

っているというお話がありましたけれども、5年間に 150万ドルというのはいつからいつ

までのことか。それをお伺いしたいんですが。

司会 基本的には本フォーラムのテーマとは少し外れますけれども、もしも何かコメント

いただけるものであれば。

ロシア東欧経済研究所・長谷川 外れないので、実はオハとノグリキの間の先住民、先程

言いました 3,500 人というのは、これはニブヒのことだと思います。その先住民のところ

に私は毎年大体4回くらい行っているんです。その先住民の方たちの小さい小川なんです

けれども、そこで彼らはサケをたくさん取って食べているんです。そこに油がたくさん浮

遊しておりまして、食べるのに困っているんですね。ですから、その 150万ドルというの

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はそういうところの対策にも使っているのかと思って、ちょっとお伺いしたいと思ったん

です。

司会 はい、分かりました。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ 今の質問は2つあったと思います。1つはプログ

ラム、まず 150万ドルは 2006年から 2011年までの5年間です。そして、このプログラム

はその後も合意によっては5年間延びるということになっております。それが最初の質問

に対する答えです。

2番目のオイルに関してですが、このサハリン島の上では陸上では一切オイルは出ていな

いということですから、それはあり得ないと思います。

司会 それでは、その他の質問ということで、まだ発言されていなくて問題提起をしたい

という方がいらっしゃればお願いしたいと思います。所属と名前から、今マイクを持って

参ります。

FOE ジャパン・神崎 環境団体の FOE ジャパンという団体から来ました神崎と申します。

皆さんの手元に今日私どもが用意させていただいた国際協力銀行宛のレターをお届けして

いるかと思います。この中にはアジア、それからアメリカ、ヨーロッパから 21団体が署名

しまして、私たちはこういう懸念を持っていますというような、今現状こういうことがサ

ハリンで起きているので、私たちは懸念を持っているというような内容が記載されており

ます。いくつかは既にリシーチン氏からも述べられましたので、私はそのことを繰り返す

ことはしませんけれども、この中でいくつかのポイントについて問題提起をさせていただ

きたいと思います。

1つ目ですが、先程からアニワ湾の油流出の件はいくつか問題提起がされているんですが、

2001年から突堤といいますか、桟橋を作るために土砂浚渫が行われていまして、土砂をア

ニワ湾の中央部に投棄しているというようなことがありました。このことについてサハリ

ン・エナジー社側からは海生生態系には特に影響がないという話を受けているんですけれ

ども、今年の7月に裁判所の方から委託されてミティーナさんという方が、独立的な専門

家なんですけれども、書かれたレポートによりますと、土砂廃棄物は浮遊物といいますか、

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小さな粒子物になってアニワ湾自体がいろいろな海流が混じっておりますので、今もサハ

リン、アニワ湾を汚染し続けているというようなレポートが出されています。

皆さんのお手元の書簡の後ろにそのアニワ湾の土砂投棄がされる前の状況と、された後の

状況が写真として付いておりますので、ご参照下さればと思います。

さらに、そのレポートの中ではいろいろな海流があるために、浚渫は1回やったら終わり

ということではなく、今後も数年おきに浚渫を行って、土砂をアニワ湾に投棄するという

ようなことが書かれていまして、要はこれらの土砂廃棄物が継続的にアニワ湾の生態系に

影響を与えるのではないかということが懸念されるということも指摘されています。

2つ目はその浚渫のモニタリングといいますか、土砂投棄以前、それから土砂投棄中、そ

れからその後のアニワ湾の状態について、サハリン・エナジー社がサハリン・フィッシャ

リーズ・リサーチ・インスティチュートという外部の機関に委託しましてモニタリングを

実施したそうなんですが、このレポートが公開されていないということで、実際にどのよ

うな影響があったかということが外部の私たちには分からないわけです。これについては、

隣にいらっしゃるドミトリー・リシーチンさんが提訴、裁判所に訴えまして、今月の末に

再審査、レビューされることになっているということもお伝えしたいかと思います。

3つ目のポイントとしましては、ベスト・プラクティスとしまして IUCNに委託してニシ

コククジラへの影響を協議するためのアドバイザリー・パネルというものが作られていま

す。これ自体は非常に評価されるべきことではあるんですけれども、先程1つの例として

パイプラインのルートを変更されたということで、これ自体は私どもも歓迎するところで

はあるんですが、実はこのアドバイザリー・パネルのリコメンデーションというのはそれ

だけではなくて、例えば最大でニシコククジラ 100頭、あるいは 120頭くらいしかいませ

んので、この絶滅を回避するためには一旦事業を停止する。そしてもう一度、きちんとし

た調査をするとか、あるいはプラットフォームの設置位置をもうちょっと検討することが

必要ではないかというようなリコメンデーションも含まれていました。

こういうようなリコメンデーションについては従われていませんし、今年の夏も1つ問題

が起きていまして、ノイズ・クライテリア、掘削のノイズによって採餌海域、そこを餌場

としているニシコククジラへの影響が非常に大きくありまして、このノイズ・クライテリ

アについてアドバイザリー・パネルがこのくらいの基準にしたらどうかという提案を、サ

ハリン・エナジー社は拒否しまして、独自の基準を設けたという話を聞いております。そ

のために今年の夏に採餌海域からニシコククジラがいなくなってしまったというようなこ

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とを、WWFとか IFO、国際的な NGOたちがやっております独立モニタリングの調査で明

らかになっています。

先程のパイプラインの件ですが、いくつか改善が見られたという状況は分かったのですが、

ただサハリン州政府も7月当たりに確かまだ問題が続いていて、違反が多く見られるとい

うようなレポートを出されていると思います。もし問題がないのであれば、サハリン州政

府がそのような行動を取らないと思いますし、どちらもリシーチンさんが見せてくださっ

た状況も未だに続いていると考えます。

最後に油流出の予防対策についてですが、確かにこの予防対策自体はサハリン・エナジー

社がやること、それから国レベルでやる必要があることといろいろあるかと思いますが、

これまでのフォーラムの中でも、例えばエスコートタグでのタンカーの曳航とかモニタリ

ングシステムを構築して欲しいということは漁業関係者の方々からも出されていますし、

そういうようなことは JBIC の方も深刻にとらえて、いろいろ行動はして下さっていると

思うんですけれども、一層努力をしていただきたいと考えています。

私どもはこのような状況が未だに続いているということから、今この時点では公的機関と

してこのプロジェクトに関わるということには反対をさせていただきたいと考えておりま

す。以上です。

司会 特に質問というわけではなくて…。

FOE ジャパン・神崎 今挙げました土砂投棄の話とかそういったことに対してどういうご

認識かということをお伺いしたいと思います。

司会 土砂投棄ですね。分かりました。では、そこをお願いしたいと思いますが、まず JBIC

の方。

国際協力銀行・越智 環境室の越智です。いつもご指摘ありがとうございます。我々の環

境審査の非常に貢献いただいていると、私どもは常に認識しております。アニワ湾の土砂

投棄の話ですけれども、こちらに関して3年前ということであったんですけれども、状況

がこういうことだというお話を伺っておりましたので、私は先日の実査の際にサハリン州

の漁業局、サフニロの担当者の方と直接面談をさせていただきまして、実際どういうふう

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になっているのかということをお伺いしました。

毎年調査をしているということでしたけれども、過去3年間の結果を見て、基本的には回

復をしているということで、彼のコメントではあと2年くらい経てば大体元通りになるで

あろうというようなコメントを頂戴しております。こちらに関してちょっと紹介させてい

ただきたいと思います。

国際協力銀行・会田 会田でございます。次のご指摘のポイントはニシコククジラのアド

バイザリー・パネルからのリコメンデーション、勧告についてちゃんと対応していないの

ではないかというご指摘だと思います。まずプラットフォームの位置の問題については、

パネルの専門家とサハリン・エナジー社の専門家の間の協議によりまして、既に解決され

ているイシューというふうに我々は承知しております。

またその他の勧告の中で騒音基準に関するご指摘があったと思いますが、現在サハリン・

エナジー社が使用している騒音基準というのはクジラの専門家の方々から以前に推奨を受

けた水準のものを使っておりまして、その後パネルの専門家の方からそれを一層厳しくす

るべきではないのかというご意見、勧告が出されているというもので、これについては却

下したとか、無視したとか、そういうことではなく、科学的な見地からサハリン・エナジ

ー社は主張するべきことがあるというふうに言っておりますので、協議が継続されている

状況であり、クジラの専門家の方々とサハリン・エナジー社のご専門の方々との間での議

論を見守りたいと考えます。

それから続いて州政府の方からのレターの話が出たと思いますが、これは天然資源環境保

全委員会が RPNと RTNに対して出されたレターのことだと思いますけれども、私どもサ

ハリンに出張に行った際に、その委員会の委員長代行の方と面談をして参りまして、サハ

リン州政府としての取り組み姿勢について確認させていただきましたところ、いくつかの

問題点というのは、先程我々が写真で見ての通り問題点が、タイミングによっては発生し

ていたことがございますので、州政府としてもその問題点について指摘して、その改善策

というものを州政府の専門家の方とサハリン・エナジー社の専門家の方が協議をして対応

していくという方向で、州のきちんとした指導がなされていると承知しております。

国際協力銀行・越智 最後のオイルスピルの関係ですが、こちらも私どもも日本に直接影

響があるイシューとして非常に注目しております。エスコートタグの曳航システム等のリ

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クエストがあったことは、私どもは承知しておりますけれど、こちらは領海内での話と、

日本に入ってきてからの話というのは、これまたちょっと事情が違う話で、サハリン・エ

ナジー社の方ではロシアの領海内では最善のことを尽くすということですし、日本の領海

に入っては日ロの政府間の協議に基づいて手続きを行うということです。再三、サハリン・

エナジー社もいろいろな場で表明しておりますけれども、とにかく隣で火事が起こってい

るときに、消防車を持っていれば、それは駆けつけるというようなことは言ってくれてい

ますので、様々な制約の中で、企業と可能な範囲での対応をやっていただけるものだと思

っております。

また油防除関係ですが、この前、私どもが現場に入って状況を聞いてきたところによりま

すと、オイル・スピル・レスポンス関係の機材はもう既に 100%調達済みで、各地に配備

がなされ始めているという状況を確認しておりますし、それぞれの対応する人の訓練もイ

ンテンシブに行われていることは確認されております。

司会 追加ありますか。

国際協力銀行・会田 実は今の話とはちょっと話が変わりますが、海洋工学研究所の佐尾

様、それから立正大学の後藤様、それから星陵女子短期大学の沢野様から手紙、質問を頂

戴しておりまして、入り口のところで配らせていただいておりましたので、お持ちのこと

かと思いますけれども、それに対する回答をさせていただく時間をどこかでいただければ

と思います。

司会 その前に土砂のアニワ湾の問題だけちょっと、サハリン・エナジー社さんから。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ たくさんのことが話されましたけれども、基本的

には 2003年から 2005年までにやったことでありますが、だいたい 20万トンくらいです。

これは海底の浚渫したもので、ジェッティ(桟橋)を使いまして LNGタンカーが回るところ

のものでありますが、これはちゃんとロシア当局と環境影響調査を行った上で、そのある

円形で囲まれたところ、4メートルくらいのところに投棄しております。その後調査をし

まして、ちゃんとその結果がマッチしているかどうかということを見ております。岩もあ

りますし、大変粗いものもありますし、小さな粒子のものがあります。シルトのようなも

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のもあります。しかしながら全体としては割と少ないものでありまして、泥ばかりという

わけではありません。

それから底生動物なども元通りに回復していますし、餌なども取れるようになっていると

いうことで、そういった投棄されたものがちゃんとその場に留まっているということを確

認しております。それからまたそのターニングサイクルについても〔カンスイカンカク〕

についても回復しているということです。

サハリン・エナジー社・松本 アニワ湾の浚渫と土砂の投棄の問題については、確かに北

海道の漁業関係者の方々、それからいろいろな関心を持っておられる、いわゆるステーク

ホルダーの方々からその当時いろいろなお話、もしくは懸念をいただいた事象だと記憶し

ております。

これは1つの参考例としてお聞きいただければありがたいんですが、今ヤープの方からあ

ったように、2004 年から 2005 年にかけて浚渫および海洋投棄を行ったんですが、その直

後に、ちょっとお名前を出してしまうとあれだと思いますので、差し控えさせていただき

ますが、北海道の漁業関係者の方々にサハリンを訪問していただく機会がございました。

その際にちょうど浚渫土砂のサンプルがございまして見ていただきました。

今ヤープの方からも話がありましたように、結構あそこは礫層といいますか、岩層が多う

ございまして、これだとあまり影響を与えないよねというようなコメントもいただいて、

もちろん場所、場所によって泥のところもあるでしょうが、それが、変な言い方ですけれ

ども、舞い上がって浮遊物となっていくというパートもないことはないでしょうが、礫層

として出ているところもあるんだというご認識をいただいて日本に帰っていただいたとい

うようなこともございました。これは私自身がお客様というか、見学者の方をお招きした

ときにお話しさせていただいたこととして一度ご紹介だけ申し上げておきます。

ですから、その当時、北海道においてこれが起きることによって漁獲に対して大きな影響

が出るのではないかというお話がございましたが、逆にまた北海道の方からそういうよう

なお話がその後出てきたかというと、漁業関係者の方ともいろいろなお話をさせていただ

いておりますが、少なくとも私が知りうる限りでは、その影響が見られたというような報

告はないように記憶しております。

もちろん、漁獲高のことだけを話しているのではないということは十分承知しております。

ただそのプロセスの中で回復に向かいつつあるということも州の当局の方からのレポート

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として上がっておりますので、何らかのご心配をお掛けして懸念を与えたということにつ

いて誠に申し訳なく思いますが、それが回復基調にある。その当時に申し上げた3年から

5年くらいの間でほぼ回復するであろうという我々の見込みがほぼ当たってきているので

はないかというのが、この問題に関する総括でございます。

司会 ちょっと関連するものが。そのあと書簡への返答に行きたいと思います。神崎さん、

どうぞ。

FOE ジャパン・神崎 今後も土砂浚渫を定期的に行うんでしょうかというのが1つの質問

と、もう1つの質問はそういうことであれば、裁判所の方が委託して行われたミティーナ

さんという方のレポートというのは、これは信憑性がないということなんでしょうか。

サハリン・エナジー社・ホイスケッツ 現時点ではもう1度浚渫するという計画はありま

せん。シルトとか、また土壌の動きがどうなるかということによって、その浚渫は決まる

わけで、現時点ではありません。もし浚渫をもう1度しなければならないというのであれ

ば、当然ながら環境インパクトの評価を行ってロシア当局側の承認を受けて、それからや

るということになります。

司会 書簡で頂いた質問に対しては、最後になろうかと思いますけれども、会田さんの方

からお願いします。

国際協力銀行・会田 それでは先程ご紹介しました書面に対する質問のご回答ということ

で、会田から説明させていただきたいと思います。ご質問は、1つは JBIC はサハリン・

エナジー社に何を融資実行の条件として要求してきたか。これに対してサハリン・エナジ

ー社は何をどのように満たして、あるいは何を拒否したかということです。JBICはサハリ

ン・エナジー社との協議の中でロシア基準と共に適切な国際的な基準を達成するというこ

とを目指すべく交渉して参りました。もちろんこの他に融資面でのセキュリティパッケー

ジ等の交渉等もございます。もちろんこのフォーラムの場で出された意見についてはあま

ねく全てサハリン・エナジー社に伝えさせていただきまして、先程漁連の方からのお話も

頂戴しましたように、日本のステークホルダーの方に影響が出ないような対策が必要であ

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るということを協議して参ったわけでございます。

どんなものが満たされたかということについては、冒頭のプレゼンテーションで説明させ

ていただきましたし、過去のフィードバックでもご説明させていただいたので割愛させて

いただくとしまして、一方で対応をしなかったものについては、例えば日ロ両国間でコー

ストガードによるエスコートシステムの構築と、一企業の責任の範囲を、企業の社会的責

任ということまで勘案したとしても、その一企業の責任の範囲を越えるようなもの、そう

いったものはサハリン・エナジー社としても対応できないということが、国際的な基準か

ら見ても当然であろうと思われるものについては受け入れられていないということです。

次の質問は、JBICはこれに対して、現時点でどのように判断して融資するのか否かを決定

しつつあるのかという質問です。現在私どもの審査は最終段階にあるということですけれ

ども、当行としての最終的な判断はまだ行っていない状況です。この環境フォーラムの場

を通じて頂いた皆様からの意見については、サハリン・エナジー社はその企業の責任の範

囲内という観点から十分な対応をしてきていると認識しておりますし、また当行の環境ガ

イドラインにも遵守したものであると現時点では考えております。

4番目の質問としては、サハリン・エナジー社の株主が 50%超、ロシア企業になりまして、

シェルおよび日本企業のシェアが半分未満になったということで、JBICの発言力が減少し

たと見ている。もし減少したならば、環境配慮を実現するためにどのような方策が必要か

という問いです。これに対する私どもの認識としましては、株主構成が変更されたという

事実はありますが、私どもの発言力はそれによって増えたり減ったりするものではないと

いうことが第1点目です。当行としては引き続きサハリン・エナジー社に対して適切な環

境配慮、もう既にコミット済みのことを実行していくということを求めて参りたいと思い

ますし、もしも融資をしていくということになれば、その結果をモニターしていくという

ことであると考えております。

なお、最大株主となったガスプロム社は JBIC に対して国際的に認められた環境社会基準

を尊重していくということを、冒頭の前田の説明の通り表明しておりまして、その観点か

らも何の懸念もないと思っております。

次の5番目の質問としては、融資決定の遅れに関しての質問です。融資決定の遅れに関し

てサハリン・エナジー社に責任がある(ガイドラインに照らしてサハリン・エナジー社が

必要な配慮をしてこなかった)と考える部分はあるかということですが、本プロジェクト

は非常に大規模なプロジェクトで、そのため慎重な審査をすることが必要であると私ども

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は考えて参りました。皆様方からの様々な角度からのご指摘や懸念事項なども踏まえて慎

重に審査を進めるべきであると考えた次第です。

一方で、サハリン・エナジー社の株主構成の変更も時間がかかった要因の一つであるとも

考えられます。本日も話題になりましたが、サハリン・エナジー社は環境配慮のための対

策を取りながら、部分的に未達であったもの、例えば先程のパイプラインの工事の過程で

起こっている未達の事故などについては、これをきちんと回復する計画を立て実施に移し

ているという状況になっております。

というのが回答でございまして、この場にはいらっしゃっていないけれども、回答もして

欲しいということでしたので、その要望に応えさせていただいた次第です。

司会 ありがとうございます。3時間では議論し尽くせないところもあると思いますが、

この後に関してはまた個別にご指摘、質問などは国際協力銀行の方にお願いできればと思

います。時間が参りましたので、前田さんからその他に。

国際協力銀行・前田 私の方から最後になりますが、締めくくり的な意味を込めて申し上

げたい点がございます。FOE ジャパンの神崎様から国際協力銀行は政府機関の方だから、

このようなプロジェクトにむしろ関与すべきではないという話がございましたけれども、

私どもとしては先程北海道漁連の石川様からのお話がございましたように、これだけ大き

なプロジェクトであり、国の機関としての責任は十分考えて、肝に銘じておりますし、そ

の観点からむしろサハリン・エナジー社という一企業の責任の範囲がどこまでかというこ

とについても、ずいぶんケース毎に慎重な判断を加えて参りまして、国際的なこれまでの

先行事例から言えば、ここまでいただいたステークホルダーの皆様方のご意見をお伝えす

るとともに、むしろそれよりも超えた要求を私どもの方からサハリン・エナジー社にして

きた部分も多々あると思います。

例えば油の流出対策というのは当然行政が本来対応すべき部分もかなり多いわけですけれ

ども、これだけ財政状況が厳しい中でなかなか予算化も難しいという側面もあるものです

から、むしろこの場を通じていろいろなご意見が出て、それをサハリン・エナジー社に対

してお伝えし、一緒に考えていくというプロセスを通じて社会の注目も浴び、それからこ

れも一レンダーとして JBIC の責任範囲を越えている部分もあるわけですけれども、例え

ば関係省庁に対する働きかけを行う等々のことも実際行ってきております。

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石川様の方の話にありましたように、なかなか国境を越えた日ロの中で、全部政府間協議

で対応できるかというと、そうでもないわけでありまして、こういう個々の事例を通じて

1つ1つ改善していくプロセスというものが実際あるわけなんだろうと思います。

ということで、先程会田が申しましたけれども、本件については私どもの審査は最終段階

にございます。最終段階にございますが、実際に融資をするのかどうか、融資決定をする

かどうかについては、どうすれば私どものレバレッジが最大限、有効に活用できるかとい

うことを慎重に見極めたいと思います。つまり融資するぞと言って融資する前である今の

段階であるからレバレッジが大きいという面もございますし、実際コミットした後でモニ

タリング等を通じて、例えばこれは交渉事ですけれども、いろいろな条件を課すことによ

って、この条件を満たさない場合は貸し出しをここで止めるとか、そういったことによっ

てレバレッジが出てくる場合もございます。

ただ、1つ言えることは、例えば今欧州復興開発銀行がもう既に撤退を決定しましたけれ

ども、現在サハリン・エナジー社に対して何かレバレッジがあるかというと、ゼロでござ

います。何のレバレッジもございません。それはこの段階で融資をすることを止めてしま

ったからなんです。そういうことで、逃げるのは簡単でありますけれども、私どもはそう

するつもりはございません。またこういう機会が再度あるかどうかということですが、そ

れはイシューが今後どれほど残るかということで考えさせていただきたいと思いますし、

引き続き個別には常に窓口は開いておりますので、いつでもコンタクトいただければと思

っております。以上です。

司会 これをもってフォーラムを終了としたいと思います。もしも明日東京でのフォーラ

ムにご参加される方がいらっしゃれば、開始時間は2時ではなくて1時半の開始時間とな

っております。

最後にレシーバーを忘れずに机の上に置いていただくか、あるいは受付の方で返していた

だきたくお願いいたします。

どうも皆さん、お疲れさまでございました。ありがとうございます。