高感度トリプル四重極を用いたPCB分析アプリケーション

アジレント・テクノロジー株式会社GC＆GCMSアプリケーションGr.

June 2016

第11回PCB講演会 in 松山1

Agilentトリプル四重極GC/MS7010: 超高感度イオン源を搭載したハイグレードモデル7000C: 実績のあるグローバルスタンダード

7000Cから7010へのアップグレード可能

超高感度イオン源搭載

本日の内容1. 高感度トリプル四重極を用いたPCB分析2. 迅速PCBアプリケーションの紹介

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1. 高感度トリプル四重極を用いたPCB分析1.1. ダイオキシン類分析アプリケーション1.2. 少量のヒト血漿サンプルのPOPs分析

EUの食品および動物飼料に含まれるPCDD/PCDF/PCB分析におけるGC/MS/MSの採用European Market for Dioxin analysis in [Animal] Feed and Foodstuffs

Commission Regulation (EU) No 589/2014 (of 2 June 2014)laying down methods of sampling and analysis for the control of levels of dioxins, dioxin-like PCBsand non-dioxin-like PCBs in certain foodstuffs and repealing Regulation (EU) No 252/2012

Commission Regulation (EU) No 709/2014 (of 20 June 2014)amending Regulation (EC) No 152/2009 as regards the determination of the levels of dioxins andpolychlorinated biphenyls

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In force as of June 20th 2014

Except from EU No 589/2014

1.1. ダイオキシン類分析アプリケーション

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二重収束型のGC/HRMS トリプル四重極MS/MS

二重収束型

・高分解能分解能 10,000 以上 (10% 谷法 )

・高感度・操作 / メンテナンス難・高価

Electronmultiplier

ConversiondynodeQ1 Collision Cell Q2

IonIon source

スキャンもしくはイオンの選択コリジョンセル衝突誘起解離(CID)を起こす場所一般に衝突ガスと呼ばれるガスを導入

スキャンもしくはイオンの選択

PCB分析で使用される2つのMSの特徴

・高選択性・技術革新による感度向上・シングル四重極 MS と同様な操作 / メンテナンス

・比較的安価

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DL-PCBの総量(TEQ-pg)のMS/MSとHRMSとの比較1pg TEQ/g

1 TEQ pg / g では ± 10 %0.1~1 TEQ pg / g では ± 15 %

HRMSとの相対差良好な一致

Agilent 7010 トリプル四重極GC/MSによるダイオキシン類分析コンセプトはMore ions

◆新設計の超高感度イオン源によりリアルなイオン量を増加◆感度向上◆短いDwell timeでも分析可能◆選択性の増加◆メンテナンス頻度の低減

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分析条件GC Conditions

Column DB 5MSUI 60 m x 0.25 mmID x 0.25 µm Injection port liner 2mm id dimpled splitless liner, UIInjection mode Cold-splitless (compressed air/CO2 cooled MMI)Injection volume 1 µL

Inlet temperature program60 °C 0.31 min

600 °C/min 330 °C 5 minCarrier gas He, constant flow 0.700 mL/min

Oven program

60 °C 1 min30 °C/min 270 °C 1 min2 °C/min 310 °C 0 min5 °C/min 350 °C 0.5 min

MS transfer line temperature 350 °C

MS set pointsElectron Energy 70 eVTune eihs.tune.xmlEM gain 10MS1 resolution UnitMS2 resolution Unit

Collision Cell 1.5 mL/min N2

4 mL/min He Quant/Qual transitions Fraction SpecificDwell times Fraction SpecificCollision energies OptimizedSource temperature 350 °CQuad temperatures 150 °C

PCDD/ PCDF/ PCBs (DL-PCB 12+ 指標PCBおよび指標PCB6成分)で同じ条件

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数十ppbの標準液クロマトグラムPCB-123 2ppb, PCB-118 10 ppb

10回分析から算出したIDL(Instrument Detection Limit)

DL-PCBおよび指標PCBのクロマトグラムと感度

DL-PCBおよび指標PCBにおいて6.0-52.1 fgのIDL(数十pptの感度)が得られました。

検出限界に近い濃度の試料を複数回注入

統計的にある確率（例えば99%）で0の値と区別ができる最小の量を計算

この値を検出限界とする（一回分析ではなく、再現性を評価して統計的に検出限界を決定）

■計算式■t a,n × （測定面積値の相対標準偏差）× 試料の量/ 100%t a,n：Studentのt検定による値例えば注入回数を10回として（自由度n=9）、α=0.01（99%の確率で0より大きくなる）とするとt=2.821となります。

(参考)装置の評価法：IDL（Instrumental Detection Limit）

IDLの詳細は、以下の技術概要を参照してください。p/n 5990-9436JAJP, 5990-8341JAJP

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背景1.2. 少量のヒト血漿サンプルのPOPs分析

・環境曝露化学分析において多検体の生体試料(血液・尿・組織)を 網羅的に分析して、曝露の実態を把握するエクスポソミクスという手法が注目

・POPsは微量でも人の健康へ影響を及ぼすとされており、詳細な解明が求められています。

・血液サンプルでは、特に子供などには採取になるべく負荷をかけないよう少量で分析できることが求められます。目的・μLスケールの血漿サンプルのPOPsを定量できる分析メソッドの開発・POPsと疾病の関連についての解明

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1. 血漿を200 µLの分取2. 1mL 10M 尿素を1mL添加3. 1mL 10%プロパノール水溶液、

1mL メタノール, 6mL石油エーテル添加4. 遠心分離後、有機層を分取5. 1g フロリジルによるクリーンアップ6. MTBE / 石油エーテルで溶出7. エバポレータによる蒸発乾固8. 再溶解させて、GCへ注入

血漿サンプルの前処理操作

有機塩素系農薬 18種多環芳香族炭化水素(PAH) 15種ダイオキシン様ポリ塩素化ビフェニル(DL-PCB) 12種ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE) 11種類ダイオキシン PCDD 5種類, PBDF 5種類13C12-DDT 内部標準

POPs 66化合物対象化合物

100 pg/mL 標準液のMRMクロマトグラム

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153 注入 (51 サンプル x 3)による重ね書きMRMクロマトグラム

[7890B GC]カラム : HP-5MS UI (30 m x 250 μm x 0.25 μm)注入法 ：2μL,パルスドスプリットレス注入口温度 ： 290℃オーブン温度 : 80 °C (0.5 min)-40 °C/min- 240 °C (0 min) -5 °C/min

- 280 °C (3.75 min)-50 °C/min-325 °C (5 min)[7010A TQ]トランスファーライン 300℃イオン源温度 350℃取り込み MRMモード

サンプルにおける5.0 pg/mL クロマトグラム

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0.005 ng/mL – 1.0 ng/mLの検量線

PtP S/N＞25:1

PCB 118の分析結果

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200μLの血漿でpptレベルのPOPsを定量できる分析メソッドを開発できました。各POP化合物の検出下限値: 3.0 – 75 pg/mL

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Case, Population 1 Control, Population 2Control, Population 1 Case, Population 2

Compound 1

Compound 2

Compound 6

Compound 5

Compound 4

Compound 3

Case, Population 1 Control, Population 1 Case, Population 2

階層型クラスタリング一元配置 ANOVA p cut off =0.05, FC ≧ 2

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疾病と関連のある可能性のあるPOPs化合物を見つけることができました。

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高感度トリプル四重極を用いたPCB分析のまとめ

･MS/MS分析によってダイオキシン類の分析をHRMSと同様な感度と定量値を得ることができます。DL-PCB、指標PCBは数十pptの感度レベル。･ わずか200μLの血漿 で5.0 pg/mLのPCB-118を検出できました。

7010 トリプル四重極GC/MSによって

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2. 迅速PCBアプリケーションの紹介

・PCB特別措置法の処理期限 (2027年3月31日)が迫る中、低濃度PCB 廃棄物の 分析へ対応する必要がある。・環境曝露物質分析における多検体サンプルへの対応・DL-PCB以外についてもダイオキシン様毒性とは異なる内分泌撹乱作用があることを報告Giesy JP and Kannan K, Crit Rev Toxicol., 28(6), 511-569 (2001)

通常209異性体に使用するDB-5ms、HT-8PCB 60mカラムでは50分以上の分析時間が必要

背景

問題点

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VF Rapid-MS PCB screen columnPCB分析に特化した迅速分析用カラム

◆ 全PCB異性体を6分以内に溶出◆リテンションタイムロッキング(RTL)を利用した全PCB異性体の保持時間 情報あり◆ 絶縁油中の微量PCB分析の公定法の一つに採用

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VF Rapid-MS PCB screen columnの構成

MS (真空)

抵抗用の空カラム長さ: 0.6m内径: 0.1mm

注入口

分析カラム長さ: 10 m内径: 0.53mm膜厚: 0.25μm

特殊な接続部品･注入口圧を保つ･カラム流量抑える 抵抗が少ないカラムであるため、真空で引っ張られることにより、高速な線速度となる。

1/1000psiで圧力制御できるEPC

測定中も大気圧を計測リテンションタイムロッキングについて

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中古のカラム（流量 0.935ml/min）

新品のカラム（流量 1.245ml/min）

有効数字4桁でリテンションタイムがそろう

5点の注入口圧と保持時間のプロット

いつも同じクロマトグラムが得られます。

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分析条件装置：Agilent 7010トリプル四重極 GC/MS

GC条件カラム：Rapid-MS PCB Screening

注入口温度：300℃パルスドスプリットレス注入：25psi, 1min

カラムオーブン：85℃（1min）-（40℃/min）-305℃（3min）キャリアガス：ヘリウム（約1.5mL/min）

MS条件イオン源温度：350℃四重極温度：150℃コリジョンガス：窒素1.5mL/min

クエンチガス：ヘリウム2.25mL/min

測定モード：MRM

リテンションタイムロッキングによりPCB #209の保持時間を5.733minに調整この時の全異性体の保持時間情報あり

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KC-mix 5ppbのMRMクロマトグラムm/z 255.8→151.03塩素化PCB

m/z 291.8→220.04塩素化PCB

m/z 325.9→256.05塩素化PCB

m/z 359.8→290.06塩素化PCB

m/z 393.8→323.97塩素化PCB

6 min内に溶出トータルPCB 5ppbという極微量濃度において非常の良好なピーク強度

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迅速PCBアプリケーションのまとめ･ VF Rapid-MS PCB screen columnとAgilent 7010トリプル四重極GC/MS

を用いることで、極微量の全209異性体PCB分析を6分以内の溶出時間で高感度に行うことができます。･リテンションタイムロッキング(RTL)によりPCB #209の保持時間を

5.733minにした時の全成分の保持時間情報を提供可能･本アプリケーションは、絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法

において加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/GC/MS/MS法で使用できます。今後、低濃度PCB廃棄物や環境曝露物質分析などへの適用が期待されます。

EUのダイオキシン類分析について（アジレント・テクノロジー㈱ウェブサイト）http://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1003334

5990-6950JAJP

Agilent 7000 トリプル四重極 GC/MS システムによる食品と動物飼料中のダイオキシン様および非ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル同族体の測定

5991-3541JAJPターゲット・エクスポソミクス：尿有機酸プロファイリング

5991-3418ENUsing the Blood Exposome Discover Causes of Disease（血中エクスポソームを用いた疾患原因の探究）

5991-6595ENGC-MS/MS Analysis of Persistent Organic Pollutants in Small Volumes of Human PlasmaGC-MS/MSによる少量のヒト血漿からのPOPs分析）エクスポソミクス研究（アジレント・テクノロジー㈱ウェブサイト）

http://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1003300

Publication（Seahorse Biosciences)Systematic study of mitochondrial toxicity of environmental chemicals using quantitative high throughput screening.

Chem Res Toxicol. 2013 Sep 16;26(9):1323-32

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アプリケーションノート＆ウェブサイト

日本薬学会第136年会