62
193 / 255 8. 臨床試験の試験成績等 総括 本治験機器は、浅大腿動脈もしくは膝窩動脈の狭窄または閉塞病変を対象として本邦にて・・年・月 ・・日から・・年・月・日にかけて実施した「下肢末梢動脈治療用レーザカテーテルの治験」(DVX_TLCの結果を用いて承認申請を行うことの妥当性及び申請資料(臨床部分)の充足性について、・・年・月 ・日に医療機器評価相談(受付番号:・・・・・・)を行った。その結果、対照を用いない国内臨床試験 の結果のみでは、急性期手技成功が PTA 単独治療に優り慢性期成績が臨床的に許容できるとする説明は 不十分であり、当該臨床試験成績により有効性及び安全性を示すことは困難であるとの助言を独立行政法 人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA とする)から得た。 このため、本治験機器の諸外国における臨床評価状況について調査を行った結果、米国にて・・年・ 月・日から・ ・年・月・日にかけて大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄病変に対するエキシマレ ーザ+バルーン治療(レーザ+PTA)群の有効性と安全性について PTA 単独治療群を比較対照として評価 を行った EXCITE ISR 試験が行われ、2014 年に米国食品医薬品局(以下、FDA とする)により承認され ていることに鑑み、本試験の臨床評価データを用いて、今回、製造販売承認申請を行うこととした。 1) EXCITE ISR 試験の概要 本治験機器の有効性及び安全性を評価するために米国にて実施された試験の概要を以下の表 8 に示す。 8EXCITE ISR 試験の概要 項目 内容 試験の目的 大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄病変(血管径≧5mmRutherford 分類 1-4慢性の末梢動脈疾患)に対するレーザ+PTA 治療と PTA 単独治療を比較し、有効性 と安全性の評価を行う。 試験の種類 多施設共同前向き無作為化対照試験 対象 大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄病変を呈する患者 症例数 計画時目標症例数:318 例(レーザ+PTA 群:212 PTA 単独群:106登録症例数:252 例(レーザ+PTA 群:170 PTA 単独群:82有効性評価解析対象症例数(ITT):230 例(レーザ+PTA 群:157 PTA 単独群:73有効性評価解析対象症例数(PP):194 例(レーザ+PTA 群:133 PTA 単独群:61安全性評価解析対象症例数(ITT):244 例(レーザ+PTA 群:167 PTA 単独群:77安全性評価解析対象症例数(PP):203 例(レーザ+PTA 群:140 PTA 単独群:63使用方法・使用期 間・観察期間 【レーザ+PTA 群】 Turbo Elite もしくは Turbo Tandem を用いてステント内再狭窄病変に対するレーザ 照射を行う。その後、市販品のバルーンカテーテルを用いて拡張する。 検査及び調査はレーザ+PTA 治療施術日を起算日として、退院時、術後 1 か月、6 か月及び 12 か月に実施する。 PTA 単独群】 市販品のバルーンカテーテルを用いて拡張する。 検査及び調査は PTA 単独治療施術日を起算日として、退院時、術後 1 か月、6 月及び 12 か月に実施する。 検査・観察項目 診察、臨床検査、投薬状況、Rutherford 分類、足関節上腕血圧比(ABI)、Duplex 音波検査(DUS)、ステントの完全性、血管造影検査、治験手技、有害事象、歩行障 害質問票(WIQ スコア) 主要評価項目 【有効性】 レーザ+PTA 群及び PTA 単独群における術後 6 か月の TLR 回避率の比較し、レー +PTA 群の PTA 単独群に対する優越性を検証する。 【安全性】 レーザ+PTA 群及び PTA 単独群における術後 30 日の MAE 非発生率の比較し、レ ーザ+PTA 群の PTA 単独群に対する非劣性もしくは優越性を検証する。 治験期間 ・年・月・日 ・・年・月・日

193 / 255...193 / 255 8. 臨床試験の試験成績等 総括 本治験機器は、浅大腿動脈もしくは膝窩動脈の狭窄または閉塞病変を対象として本邦にて・・年・月

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  • 193 / 255

    8. 臨床試験の試験成績等

    総括

    本治験機器は、浅大腿動脈もしくは膝窩動脈の狭窄または閉塞病変を対象として本邦にて・・年・月 ・・日から・・年・月・日にかけて実施した「下肢末梢動脈治療用レーザカテーテルの治験」(DVX_TLC)の結果を用いて承認申請を行うことの妥当性及び申請資料(臨床部分)の充足性について、・・年・月 ・日に医療機器評価相談(受付番号:・・・・・・)を行った。その結果、対照を用いない国内臨床試験

    の結果のみでは、急性期手技成功が PTA 単独治療に優り慢性期成績が臨床的に許容できるとする説明は不十分であり、当該臨床試験成績により有効性及び安全性を示すことは困難であるとの助言を独立行政法

    人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA とする)から得た。 このため、本治験機器の諸外国における臨床評価状況について調査を行った結果、米国にて・・年・

    月・日から・ ・年・月・日にかけて大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄病変に対するエキシマレーザ+バルーン治療(レーザ+PTA)群の有効性と安全性について PTA 単独治療群を比較対照として評価を行った EXCITE ISR 試験が行われ、2014 年に米国食品医薬品局(以下、FDA とする)により承認されていることに鑑み、本試験の臨床評価データを用いて、今回、製造販売承認申請を行うこととした。

    1) EXCITE ISR 試験の概要 本治験機器の有効性及び安全性を評価するために米国にて実施された試験の概要を以下の表 8 に示す。

    表 8: EXCITE ISR 試験の概要

    項目 内容 試験の目的 大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄病変(血管径≧5mm、Rutherford 分類 1-4、

    慢性の末梢動脈疾患)に対するレーザ+PTA 治療と PTA 単独治療を比較し、有効性と安全性の評価を行う。

    試験の種類 多施設共同前向き無作為化対照試験 対象 大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄病変を呈する患者 症例数 計画時目標症例数:318 例(レーザ+PTA 群:212 PTA 単独群:106)

    登録症例数:252 例(レーザ+PTA 群:170 PTA 単独群:82) 有効性評価解析対象症例数(ITT):230 例(レーザ+PTA 群:157 PTA 単独群:73) 有効性評価解析対象症例数(PP):194 例(レーザ+PTA 群:133 PTA 単独群:61) 安全性評価解析対象症例数(ITT):244 例(レーザ+PTA 群:167 PTA 単独群:77) 安全性評価解析対象症例数(PP):203 例(レーザ+PTA 群:140 PTA 単独群:63)

    使用方法・使用期

    間・観察期間 【レーザ+PTA 群】

    Turbo Elite もしくは Turbo Tandem を用いてステント内再狭窄病変に対するレーザ照射を行う。その後、市販品のバルーンカテーテルを用いて拡張する。 検査及び調査はレーザ+PTA 治療施術日を起算日として、退院時、術後 1 か月、6か月及び 12 か月に実施する。

    【PTA 単独群】 市販品のバルーンカテーテルを用いて拡張する。 検査及び調査は PTA 単独治療施術日を起算日として、退院時、術後 1 か月、6 か月及び 12 か月に実施する。

    検査・観察項目 診察、臨床検査、投薬状況、Rutherford 分類、足関節上腕血圧比(ABI)、Duplex 超音波検査(DUS)、ステントの完全性、血管造影検査、治験手技、有害事象、歩行障害質問票(WIQ スコア)

    主要評価項目 【有効性】 レーザ+PTA 群及び PTA 単独群における術後 6 か月の TLR 回避率の比較し、レー

    ザ+PTA 群の PTA 単独群に対する優越性を検証する。 【安全性】

    レーザ+PTA 群及び PTA 単独群における術後 30 日の MAE 非発生率の比較し、レーザ+PTA 群の PTA 単独群に対する非劣性もしくは優越性を検証する。

    治験期間 ・ ・年・月・日 ~ ・・年・月・日

  • 194 / 255

    項目 内容

    代表施設名及び施

    設数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・他 40 施設

    有効性評価の結果 本試験の有効性主要評価項目である術後 6 か月の TLR 回避率については、レーザ+PTA 群 78.3%(123/157 例)、PTA 単独群 58.9%(43/73 例)の結果(P

  • 195 / 255

    8.1 臨床試験成績等

    米国においては、「大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄(ISR)病変に対するレーザ+PTA 治療」の有効性及び安全性を検証するために、2011 年から EXCITE ISR 試験を実施し、その結果に基づき 2014 年 FDAによる認可を取得している(K140775)。この試験からは、本品との併用により PTA 単独治療群と比較して、急性期手技成功率及び術後 12 か月までの TLR 回避率を有意に高めることが示された。

    本邦におけるステント内狭窄治療に対する血管内治療の実情は、PTA 治療あるいはステントの再留置である。ステント内再狭窄を発生する患者は、元来、再狭窄を発生させやすい体質であると推測でき、これらに

    よる再治療後も再々狭窄を発生する可能性は高い。また、ステント再留置を行う場合、先行留置されたステ

    ント分狭まるため、再留置ステントにより確保できる内径には限界がある。さらに、血管径が十分ではない

    病変でステント再留置後に再び狭窄が生じた場合、血管内治療による血流回復は極めて困難となり、患者へ

    の負担が大きい外科的バイパス術による血行再建を行うか、あるいは保存療法により病状の悪化を抑える以

    外に治療の選択肢が残されていない。このように、ステント再留置治療は、先行ステントの制約を受けるだ

    けでなく、将来の治療選択肢を著しく制限することが明白であることから、できるだけ回避されることが望

    ましい。 EXCITE ISR 試験では、ステント内再狭窄病変(ステント外延伸病変を含む)に対するレーザ+PTA 治療

    において、急性期手技成功率の向上とともに 12 か月までの TLR 回避率が優位に保たれていることが示されており、従前の PTA 単独治療に比べて長期にわたりステント再留置を含む再治療を回避し、さらには、薬剤溶出型バルーン等の新しい治療法との組み合わせ等、治療の選択肢を広げることが期待できる。

    8.1.1 臨床試験の概要

    項目 内容

    試験の目的 大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄病変(血管径≧5mm、Rutherford 分類 1-4、慢性の末梢動脈疾患)に対するレーザ+PTA 治療と PTA 単独治療を比較し、有効性と安全性の評価を行う。

    試験の種類 多施設共同前向き無作為化対照試験

    対象 大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄病変を呈する患者

    臨床的選択基

    準 (1) 18 歳~85 歳 (2) 治験への参加、追跡調査来院及び検査に関する要求事項の遵守に同意し、IRB によっ

    て承認された同意書に署名したもの。 (3) 登録 30 日以内に確認された Rutherford クラス 1~4 の末梢血管疾患 (4) 自力、あるいは非電動補助具を使用して歩行することができること。 (5) 安静時 ABI が 0.9 未満、あるいは安静時 ABI が正常な場合には運動負荷時の ABI が異

    常(0.9 未満)。足関節の動脈が圧迫不能の場合(ABI>1.2)は、標的肢の足趾上腕血圧比(TBI)が 0.7 未満であること。

    (6) ステント内再狭窄が疑われる過去の大腿膝窩動脈ニチノールステント留置歴

    血管造影的選

    択基準 (1) 7Fr 以上のシースを用いる大腿アプローチにより標的病変にアクセスできること。 (2) 過去に展開された大腿膝窩動脈ニチノールステント内における血管造影上の有意な

    再狭窄所見があること(目視推定で 50%以上)。 (3) ステント内再狭窄の合計治療対象病変長は、4.0 cm 以上であること。大腿膝窩動脈セ

    グメント内における単一病変またはびまん性病変を含めることができる(これには、

    近位、中間、及び/または遠位浅大腿動脈(SFA)及び膝窩動脈の P1、P2、及び/または P3 セグメントが含まれる)。ステント端部(近位及び/または遠位末端)から 3 cm以内の辺縁再狭窄病変も治療対象に含めることができる。

    (4) 大腿膝窩動脈基準血管径(術者の血管造影評価により、標的セグメントの近位及び遠位 10 mm 以内の最も正常な血管セグメントとして判定される)は、5.0 mm 以上 7.0 mm

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    以下でなければならない。 (5) SFA 入口部が血管造影的に特定可能であり、標準的なガイドワイヤで通過できなけれ

    ばならない。 (6) 大腿膝窩動脈に連続して少なくとも 1 本の脛骨動脈(または優位な腓骨動脈)が足部

    まで開存(全ての箇所において 50%以上)していること。 臨床的除外基

    準 (1) 妊婦または授乳婦(妊娠の可能性のある女性被験者の場合、治療の 7 日前の血清妊娠

    検査で陰性でなければならない。) (2) 過去 7 日以内に発症した急性下肢虚血。 (3) 余命 12 か月未満。 (4) スクリーニング前 60 日間における脳血管障害(CVA)発症、もしくは解消しない歩

    行障害を伴う CVA。 (5) 手技前 60 日以内の心筋梗塞。 (6) 手技/追跡調査で要求されるアスピリン、抗血小板薬/抗凝固療法が禁忌となっている。 (7) 造影剤に対するアレルギーが認められ、治験手技前に前投薬することができない。 (8) コントロール不良な凝固能亢進、あるいは、ヘパリン誘発性血小板減少症(HIT)ま

    たはヘパリン誘発性血小板減少血栓症候群(HITTS)の既往歴。 (9) 全身性感染または標的肢における骨髄炎、またはその疑い。 (10) 透析に依存していない場合には、血清クレアチニン 2.5 mg/dL 以上。 (11) 他の医療機器または薬剤の臨床試験への参加。 (12) 試験手技前 3 か月以内における標的血管の治療。 (13) 過去の薬剤溶出ステントまたはカバードステント(エンドグラフト)を使用した標的

    病変における大腿膝窩動脈ステント術の既往歴。

    血管造影的除

    外基準 (1) 同側及び/または対側の腸骨動脈(または総大腿動脈)における 50%DS 以上の狭窄で、

    指標手技前に治療できない(例:カバードステントを必要とする穿孔の発生)、ある

    いは、血管造影による最終的な残存狭窄が 30%以上と確認されるもの。 (2) 大腿膝窩動脈セグメントの標的ステント近位に狭窄>50%のネイティブ血管病変(ステ

    ント内再狭窄を除く)が認められ、指標手技前に治療できなかった(例:追加的治療

    を必要とする合併症)、あるいは血管造影により 30%以上の最終残存狭窄が確認された場合。なお、病変は単一ステントで治療可能な長さのもの(要求される場合)であ

    る必要がある。また、病変は標的病変と隣接していないこと。病変と標的病変/標的ステントの間、あるいは展開されたステント(要求される場合)と標的病変/標的ステントの間に、少なくとも 2 cm の正常な外観の血管があること。

    (3) 術後 30 日の追跡調査完了前に心臓血管外科または血管内インターベンション処置(大動脈、腎臓、心臓、頸動脈、対側大腿膝窩動脈、及び対側の膝下などが含まれる)が

    計画されている、または実施が見込まれるもの。 (4) 指標手技中もしくは術後 30 日以内において、事前に計画、または予測された治療を

    要する 50%を超える病変がステント遠位に確認されたもの。 (5) 標的ステントまたは標的ステント近位部に影響するグレード 4 または 5 のステントの

    破断、あるいは、血管造影の 2 つの直交図において内腔へのステントの突出所見が認められる(ステントの完全性評価の定義については図 8.1.1-1 を参照)。

    症例数 計画時目標症例数:318 例(レーザ+PTA 群:212 PTA 単独群:106) 登録症例数:252 例(レーザ+PTA 群:170 PTA 単独群:82) 有効性評価解析対象症例数(ITT):230 例(レーザ+PTA 群:157 PTA 単独群:73) 有効性評価解析対象症例数(PP):194 例(レーザ+PTA 群:133 PTA 単独群:61) 安全性評価解析対象症例数(ITT):244 例(レーザ+PTA 群:167 PTA 単独群:77) 安全性評価解析対象症例数(PP):203 例(レーザ+PTA 群:140 PTA 単独群:63)

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    使用方法・使

    用期間・観察

    期間

    【レーザ+PTA 群】 ガイドワイヤが標的治療部位の真腔にあることを確認した後、Turbo Elite または Turbo Tandem を用いてステント内再狭窄病変に対するレーザ照射を行う。 Turbo Tandem を使う場合で 2 mm 以上の内腔が得られていない場合、Turbo Elite を用いて2 mm 以上のパイロットチャネルを形成した後、使用する。 レーザ照射完了後、市販品のバルーンカテーテルを用いて拡張する。 検査及び調査はレーザ+PTA 治療施術日を起算日として、退院時、術後 1 か月、6 か月及び 12 か月に実施する。

    【PTA 単独群】 ガイドワイヤが標的治療部位の真腔にあることを確認した後、市販品のバルーンカテーテ

    ルを用いて標的治療部位内の拡張を行う。 検査及び調査は PTA 単独治療施術日を起算日として、退院時、術後 1 か月、6 か月及び 12か月に実施する。

    併用薬・併用

    療法 1. 併用薬

    1) 術前 アスピリン(81~325 mg/日)、他の抗血小板薬を投与

    2) 術後 (1) アスピリン(81~325 mg/日)、他の抗血小板薬を少なくとも 90 日間投与 (2) 追加の抗凝固剤治療(ワーファリン等)は、他の併存疾患で必要な場合は維持

    2. 併用禁止薬 設定しない。

    3. 併用禁止療法 アテローム切除術、冷凍形成バルーンまたはカッティング/スコアリングバルーン、小線源療法

    検査・観察項

    目及び実施時

    検査・観察項目及び実施時期について以下の表 8.1.1-1 に示す。

    表 8.1.1-1: 検査・観察項目及び実施時期

    項目 ベースライン 施術日 退院時

    1 1 か月±7 日 (23-37 日)

    6 か月±30 日 (152-212 日)

    12 か月±30 日 (335-395 日)

    同意文書 ● 臨床的選択基準及び

    除外基準評価 ●

    病歴及び診察 2 ● ● ● ● ● 臨床検査 ● 投薬状況 (併用薬)

    ● ● ● ● ● ●

    Rutherford 分類 ● ● ● ● ABI3 ● ● ● ● DUS 4 ● ● ● ステントの完全性 5 ● ● ● 血管造影検査 6 ● 治験手技 ● 有害事象 ● ● ● ● ● WIQ スコア 7 ● ● ●

    ●:検査・観察実施 1: 術後 24 時間または医療機関からの退院前のどちらか早い方とする。 2: 適用可能な評価法(すなわち、心臓、血管、有害事象評価)を含む。 3: 習熟した技師により血管検査室にて実施される。 4: 習熟したあるいは認定血管技師によりコアラボ試験計画に従って実施する。 5: 2 つの直交図による単純 X 線写真あるいは血管造影検査による。 6: あらゆる血管造影図及び TLR/TVR について録画及び報告する。 7: 習熟した健康管理/調査専門員が担当する。

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    評価方法及び

    評価基準 1. 有効性主要評価項目 レーザ+PTA 群及び PTA 単独群における術後 6 か月の TLR 回避率の比較

    [TLR の定義] 指標手技実施時から評価期間の間に、以下の少なくとも 1 つの理由により、標的病変(標的治療領域の両側 1cm 以内を含む)における血管造影的に確認された再狭窄(>50%)または再閉塞の治療のために行われた、経皮的もしくは外科的介入と定義する。また、手技

    中に、治験実施計画書に規定された緊急または救済的処置を追加的に実施した場合も、

    TLR として分類する。 (1) 手技後 ABI からの 0.15 を超える ABI の低下。ABI は、安静時または運動後に実施する

    ことができるが、試験全体を通じて同一方法で実施しなければならない。 (2) 手技前ベースラインからの虚血状態の再燃。 (3) 手技前から 1 クラス以上の Rutherford クラスの悪化。 (4) 標的病変内における DUS で検出され、PSVR≧2.5(約 50%の狭窄と推定される)によ

    って示される開存性の損失。 2. 安全性主要評価項目

    レーザ+PTA 群及び PTA 単独群における術後 30 日の MAE 非発生率。 [MAE の定義]

    MAE には、治験手技または機器との関連性にかかわらず全ての原因による死亡、予定外に実施され起立もしくは歩行のために義足等が必要となった標的肢の大切断及び再狭窄や

    再閉塞の追加的治療、緊急または救済的追加処置を含む TLR が含まれる。 3.副次評価項目 (1) 急性期手技成功 治験責任医師及び血管造影コアラボによる判断において、治療直後(緊急または救済処

    置なし)に標的病変に 30%以下の残存狭窄がない割合。 (2) 術後 12 か月における TLR 回避率 術後 12 か月の TLR 回避率を、1. 項の TLR の定義に従って評価する。 (3) 術後 12 か月における TVR 回避率 術者による血管造影評価で 50%を超える狭窄が認められる標的血管の再狭窄または再

    閉塞を治療するための全ての経皮的もしくは外科的介入。 (4) 術後 12 か月における MAE 非発生率 (5) 一次開存率 標的病変の治療を目的とする再インターベンション、標的病変の完全閉塞、標的病変の

    外科的バイパス、DUS による開存性の喪失(PSVR≧2.5 または>50%)、及び標的病変の再狭窄または閉塞による標的肢の切断がないこと。

    (6) ABI 足関節における最大血圧を腕の最大血圧で除した値。術後 30 日の ABI をベースラインとし、ベースライン ABI からの 0.15 を超える低下が認められた場合を臨床的変化有りと判断する。

    (7) 機能状態 WIQ スコアは、PAD 患者における歩行障害の重症度を評価するための質問票。術後 30日の WIQ スコアをベースラインとする。

    (8) Rutherford 分類 PAD 重症度分類(表 8.1.1-2)。ベースラインから 1 つ以上のカテゴリの変動は、臨床的

    に有意な変化として定義する。

  • 199 / 255

    表 8.1.1-2: Rutherford 分類カテゴリ

    分類 臨床基準 客観的基準

    0 無症状 – 循環動態的に有意な閉塞性病変や軽度跛行も認めない トレッドミル運動負荷試験または反応性充血試験正

    常 1 軽度跛行 2 中等度跛行 トレッドミル運動負荷試験終了;運動後の足関節圧

    >50 mm Hg、しかし安静時に比べて≧20 mm Hg 下降 3 高度跛行

    4 虚血性安静時痛 安静時足関節圧

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    治験実施 施設名

    以下の全 40 施設 施設数 施設名 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40

  • 201 / 255

    8.1.2 評価方法及び評価基準の設定理由

    当該臨床試験では、「レーザ+PTA 群と PTA 単独群に無作為に割り付ける比較対照試験」(以下、本試験と言う)と並行して、ガイドワイヤ不通過以外の組み入れ要件を満たす被験者候補(完全閉塞症例)

    について、レーザ+PTA 治療の症例登録を行う「TO レジストリ」が計画された。 8.1.2.1 有効性主要評価項目: 術後 6 か月 TLR 回避率

    従来、血管内治療の遠隔期有効性の評価として開存性評価が重視されてきたが、血管内閉塞の反復既

    往である ISR 病変に対する再疎通治療において、機械的血管内治療デバイスのみの効果により内膜過形成による狭窄進行を回避することは困難であり、治療法の効果に特化した遠隔期評価とはなり難いと考

    えられる。また、血管内流量は、管径、圧較差及び管長の関数(ハーゲン・ポアズイユの法則)であり、

    局所の狭窄が必ずしも標的肢の虚血症状を反映するものではないことから、開存性による一義的な評価

    では本品の治療効果を適切に評価できない懸念がある。 一方、ISR 病変治療の目的は患肢血流再疎通による血流障害症状の改善であり、治療後の長期的な症

    状改善が重要であることから、遠隔期に臨床的に治療が必要となる患者の割合を既存治療と比較するこ

    とは、臨床目的に沿った評価法であり、近年の下肢デバイスの試験においても一般的に用いられている

    指標である。 また、米国血管外科学会 2015 年発行の「下肢 ASO 疾患に対する診療ガイドライン」でも、間欠性跛

    行の程度と生理学的検査及び解剖学的所見の間にはあまり関連がなく、画像診断による疾患の程度は各

    個人の障害への適応及び側副血行の影響などがさまざまに関わっている可能性があるため日常生活での

    機能とほとんど相関しないことと、間欠性跛行に対して実施される動脈血行再建術の目標が、付加再建

    処置の必要性を最小限に抑えながら無痛歩行距離及び最大歩行距離を延長することにより患者の QOL を改善することであることを述べている。

    以上から、本試験では、DUS による一次開存は副次的評価に留め、臨床症状の再燃悪化を反映する術後 6 か月の TLR 回避率を有効性主要評価指標とし、レーザ+PTA 群の PTA 単独群に対する優越性を検証することとした。 なお、血管造影の確認は、血管造影コアラボで実施し、全ての事象はデータ安全モニタリング委員会

    (DSMB)によって判断することとした。

    8.1.2.2 安全性主要評価項目: 術後 30 日 MAE 非発生率

    一般的に、下肢血管内治療デバイスの安全性評価は、急性期の治療不成功に伴う重大な有害事象の発

    生率によって行われる。 本治験においては、全死因死亡、標的肢の大切断、TLR を MAE と規定し、術後 30 日の MAE 非発生

    率について、レーザ+PTA 群の PTA 単独群に対する非劣性又は優越性を検証することとした。

    8.1.2.3 副次評価項目

    ISR 病変において、レーザ+PTA 治療に最も期待される効果は、治療初期における、末梢血流維持に十分な内径の確保である。レーザ+PTA 治療により十分な内径が得られれば、遠隔期の開存性持続を意図する他の併用治療の効果を高めることが期待できることから、初期治療効果に関する評価指標として、

    急性期手技成功率を PTA 単独群と比較し評価することとした。 また、遠隔期の臨床的な有効性評価項目として術後 12 か月の TLR 回避率及び TVR 回避率、長期開存

    性評価として一次開存率、末梢血流及び臨床症状の長期改善指標として ABI、機能状態評価(WIQ スコア)及び Rutherford 分類の変動と虚血症状の再発状況、治療によるステントへの影響評価としてステント完全性、安全性の評価として術後 12 か月までの MAE 非発生率について、それぞれ PTA 単独群と比較

  • 202 / 255

    し評価することとした。

    8.1.2.4 データの品質保証

    8.1.2.4.1 共通の治験実施計画書及びトレーニング

    本治験において実施された全ての治験手技は、全ての治験責任医師及び IRB によって承認され事前に定義された共通の治験実施計画書を厳格に遵守して実施された。本臨床試験は、FDA の医薬品の臨床試験実施に関する基準(GCP)(FDA Title 21 Code of Federal Regulations (CFR) part 11, 50, 54, 56 及び 812)、ヘルシンキ宣言及び医薬品規制調和国際会議(ICH)の指針に従って実施された。本報告書に記載される臨床試験は、NCT01330628 として ClinicalTrials.gov において事前に登録された。 8.1.2.4.2 データ安全性モニタリング委員会

    議決権を有する 3 名の血管専門家(Interventionalist または血管外科医)、議決権のない治験依頼者の代理、議決権のない委員長及び議決権のない統計学者から構成されるデータ安全性モニタリング委員会

    (DSMB)が利用された。3 名の議決権を有する委員は、試験の実施に一切かかわらず、また、治験依頼者、治験依頼者の代理、コアラボまたは治験責任医師と一切の利害関係はなかった。

    DSMB は、臨床事象判定委員会(CEC)と DSMB の 2 つの機能と責任を担い、独立して、全ての SAE及び UADE を判定し、事象の分類及び手技/機器との関連性について最終的な決定を下した。 8.1.2.5 無作為化及び盲検化

    8.1.2.5.1 無作為化

    全ての選択/除外基準に適合した患者は、連続的に試験に登録され、レーザ+PTA 群または PTA 単独群に無作為化された。ガイドワイヤ通過不可能だが他の全ての条件を満たす患者については、単一群 TOレジストリに登録され、レーザ+PTA 治療が行われた。本試験または TO レジストリへの参加基準を満たさなかった患者は、調査を行った治験実施施設において不適合として記録され、以降の試験参加から除

    外された。 患者の無作為化は、2:1(レーザ+PTA 群:PTA 単独群)の割合で EDC システムによって実施された。

    治験責任医師による無作為化前の治療割り付けの推定を最小化するため、無作為化は、治験実施施設に

    おいて 3 及び 6 例の無作為化単位でブロック化された。 8.1.2.5.2 盲検化

    1) 一般事項

    治験責任医師及び治験担当者は、割り当てられた治療に関する全ての情報を被験者(家族、友人ま

    たは介護者)に知らせないように指示された。さらに、試験における潜在的バイアスを軽減するため、

    以下に述べる他手技及びプロセスが実施された。しかし、これらのステップにかかわらず、手技中に

    おけるレーザの使用及び担当者からの指示によって患者が割り当てられた治療に気付く可能性がある。 また、本試験において、追加的治療の実施は、非盲検の治療担当医師の判断により実施されたが、

    SAE に該当する介入処置及び造影画像は全て、盲検化された第三者評価機関である CEC がプロトコ

    ルに基づき TLR 該当性を判定していることから、TLR 回避率の評価は、第三者コアラボ評価に基づく

    一次開存率評価と同様に一定の客観性が担保されている。

  • 203 / 255

    2) Duplex 超音波検査法

    追跡調査中において試験関連 DUS を実施する技師には、EDC システムへのアクセス権を与えず、治療の割り付け及び実施手技について盲検化された。担当医及び血管コアラボに対しては DUS データが提供された。

    3) Duplex 超音波検査コアラボ

    血管造影所見の評価項目との関連については、血管超音波コアラボが独立して DUS の解析を実施した。血管超音波コアラボの読影者には、EDC システムへのアクセス権を与えず、治療の割り付け及び実施手技について盲検化された。

    4) 血管造影コアラボ

    血管造影コアラボが指標手技、予定外の血管造影及び TLR/TVR 処置について独立的に解析を実施し、主要及び副次評価項目に用いられるデータについて判定した。

    治療機器は、血管造影中、視野から外された(試験の各群において使用された PTA カテーテルを除く)。血管造影コアラボでは、最初の盲検化されていない読影者が各フィルムと関連する画像データの

    解析を実施した。その後、二番目の盲検化された読影者が割り当てられた治療及び実施された他の追

    加的治療の治療前後の画像のみの解析を実施した。盲検化された読影者には、EDC システムへのアクセス権を与えず、治療の割り付け及び実施手技について盲検化された。

    8.1.3 選択基準・除外基準及び症例数の設定根拠 8.1.3.1 選択基準・除外基準の設定根拠

    本試験の選択基準及び除外基準は、本治験機器の前世代に開発された Turbo Booster カテーテルを用いて行われた PATENT 試験 ⑧-1における同基準を参照し、患者の人権尊重、患者の安全性、妊婦または授乳婦への安全性、他の臨床試験の影響等を考慮した上で設定した。

    8.1.3.2 症例数の設定根拠

    本試験の安全性及び有効性主要評価解析に関する仮設検定及び統計学的手法は、前向き無作為化対象

    試験として IDE G11039 において事前に規定され、必要症例数は頻度論的アプローチにより決定された。 その後、510(k)申請の遅延を回避するため、早期に有効性が実証された場合に登録を中止して速やか

    に申請を行うことを意図して、主要な安全性及び有効性評価項目の評価をベイズ論的アプローチで行う

    中間補助解析計画が立案され、IDE 補遺(G110039/S013)として 2013 年 5 月 2 日に FDA に承認を受けた。 以下に、当初プロトコルで計画された症例数設定の根拠と、IDE 補遺として承認されたベイズ論的ア

    プローチによる中間補助解析における主要評価項目の早期の達成確認と登録終了の判定基準について示

    す。

    8.1.3.2.1 主要評価仮説と計画症例数の設定根拠

    1) 有効性主要評価

    術後 6 か月における TLR 回避率を有効性主要評価とし、レーザ+PTA 群(πE)の PTA 単独群(πS)に対する優越性を評価した。有効性の主要仮説は、以下の通りである。

    H0:πE-πS≦0 H1:πE-πS>0

    Laird⑧-2らによれば、大腿膝窩動脈の新規病変のために PTA による治療を受けた後、6 か月時点において TLR が実施されない被験者の割合は 53%であった。一方、先行して実施した PATENT 試験 ⑧-1の

  • 204 / 255

    結果から、レーザ+PTA 群における術後 6 か月の TLR 回避率は 70%であると予測した。 以上から、有意水準 0.025、検出力 80%、術後 6 か月の推定 TLR 回避率をレーザ+PTA 群 70%、PTA

    単独群 53%として片側優越性検定を行う場合、必要な被験者数は、評価可能なデータを有する症例として 285 例となった。

    2) 安全性主要評価項目 全死因死亡、標的肢の大切断または TLR を含む、術後 30 日における MAE 非発生率を安全性主要評

    価項目とし、レーザ+PTA 群(πE)の PTA 単独群(πS)に対する非劣性を評価した。安全性の主要仮説は、以下の通りである。

    H10:πE-πS≦-0.10 H1A:πE-πS>-0.10

    Schillinger ら ⑧-3及び Laird ら ⑧-2の報告において、大腿膝窩動脈領域の新規病変被験者における PTA単独治療群合計 125 例の術後 30 日の MAE 非発生率は 63%であった。本試験では PTA 単独群の TLR 実施率はより低くなるものと見積もり、PTA 単独群の術後 30 日の MAE 非発生率は 80%と仮定した。また、PATENT 試験 ⑧-1の結果から、レーザ+PTA 群の術後 30 日 MAE 非発生率は 90%と予測した。

    以上から、有意水準 5%、検出力 80%、非劣性マージン 10%として片側非劣性検定を行う場合、術後

    30 日の MAE 非発生率の評価に必要な被験者数は、評価可能なデータを有する症例数として 90 例となった。

    さらに、非劣性が達成された(H10が否定)場合における、両群間の片側優越性検定も計画された。安

    全性の優越性仮説は、以下の通りである。 H20:πE-πS≦0 H2A:πE-πS>0

    術後 30 日の MAE 非発生率をレーザ+PTA 群 91%、PTA 群 80%と想定し、有意水準 0.025 及び検出力70%で片側の優越性検定を行う場合、必要な被験者数は、評価可能なデータを有する症例数として 267例となった。

    3) 症例数及び登録上限数の決定 本試験の安全性及び有効性主要評価項目について臨床的に意義のある変化を検出するため、検出力

    80%(非劣性後の優越性に対しては 70%)、非劣性に対する片側有意水準 0.05、優越性に対する片側有意水準 0.025 として、比率計算の正規近似検定により検討した結果、各主要評価項目に対する必要症例数は表 8.1.3.2.1-1 に示す通りとなった。

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    表 8.1.3.2.1-1: 症例数パラメーター及び妥当性

    安全性評価項目 評価可能 症例数

    πE:レーザ+PTA 群の 達成割合

    πS:PTA 単独群の 達成割合

    非劣性:術後 30 日の MAE 非発生 96 90% 80%

    優越性:術後 30 日の MAE 非発生 267 91% 80%

    有効性評価項目 評価可能症例数 πE:レーザ+PTA 群の

    達成割合

    πS:PTA 単独群の 達成割合

    術後 6 か月の TLR 回避率 285 70% 53%

    本試験の登録上限は、最多数を必要とした有効性評価項目の 285 例に 10%の脱落を考慮して 318 例と決定した。(表 8.1.3.2.1-2)

    表 8.1.3.2.1-2: 決定された登録数上限

    試験種類 登録数 レーザ+PTA 群 PTA 単独群

    本試験 318 212 106

    8.1.3.2.2 ベイズ論的評価による中間補助解析計画(G110039/S013)

    本試験では、FDA のガイダンスに従い、・・・・・・・・・の協力を得て、先行実施した PATENT 試験の結果を本試験治療群(レーザ+PTA 群)の事前分布とする階層ベイズモデルによる中間補助解析計画(200 例、250 例、及び 300 例の患者登録完了時)が立案され、有効性及び安全性主要評価項目における早期達成確認・登録中止の判定基準の達成をもって登録を終了し 510(k)申請を行うことが IDE 補遺として認められた。 1) 有効性及び安全性主要評価仮説

    有効性の主要解析では、術後 6 か月の TLR 回避率について、レーザ+PTA 群(πT)の PTA 単独群(πC)に対する優越性を評価する。有効性評価項目の優越性仮説は、次式で示される。

    πT>πC 安全性の主要解析では、術後 30 日の MAE 非発生率について、レーザ+PTA 群(πT)の PTA 単独群(πC)

    に対する非劣性を評価する。安全性評価項目の非劣性仮説は、次式で示される。 πT >πC + 0.10

    2) 事前分布

    事前分布に用いた PATENT 試験は、レーザ+PTA 治療の安全性及び有効性を評価することを目的として、本試験と同様の患者群 90 例に対して実施された単腕評価試験である。 本試験の主要評価項目を PATENT 試験コホートに適用し、術後 212 日において評価可能な 80 例にお

    ける TLR 回避 63 例(78.75%)、登録症例 90 例における術後 37 日以内の MAE 発生 4 例(4.4%)を、レーザ+PTA 群の事前分布とした。PTA 単独群の事前分布は設定しなかった。

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    3) 早期評価項目達成確認・登録中止の判定基準 中間補助解析による早期の主要仮説達成確認と早期登録中止は、事前分布を用いて推定した本試験治

    療群(レーザ+PTA 群)における事象確率の事後分布を本試験対照群(PTA 単独群)の事象確率の事後分布と比較することにより、有効性及び安全性主要評価項目の優越性あるいは非劣性の確立を算出し、

    早期評価項目達成確認・登録中止に要求される確率の基準に照らして判定された。本試験治療群(レー

    ザ+PTA 群)の事前分布としての PATENT 試験情報の借り入れ程度については、本試験と PATENT 試験の観察データの同等性の程度に基づいて決定され、階層ベイズによるモデル化は有効性と安全性の主要

    評価項目毎に行われた。 各中間解析実施時点における早期評価項目達成確認・登録中止に要求される有効性評価項目の優越性

    及び安全性評価項目の非劣性の判定基準を表 8.1.3.2.2-1 に示す。

    表 8.1.3.2.2-1: 各中間解析段階における早期評価項目達成確認・登録中止に要求される確率の基準

    解析段階 有効性主要評価項目:優越性の確率 安全性主要評価項目:非劣性の確率

    症例登録 200 例 0.998 0.998

    症例登録 250 例 0.9975 0.9975

    症例登録 300 例 0.995 0.995

    最終解析 0.979 0.979

    8.1.3.3 副次的評価項目解析

    記述統計の連続変数は、平均、中央値、標準偏差及び範囲として表された。離散変数は、頻度及び割

    合として表された。連続変数の解析は、適宜、t 検定または分散分析(ANOVA)を使用して実施された。非正規の場合には、ノンパラメトリック法が利用された。離散変数の解析は、適切な χ2検定を使用して実施された。小セルサイズ(n

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    8.1.4 症例構成の内訳

    8.1.4.1 被験者の内訳 当該臨床試験では、・・年・月から・・年・月の症例登録終了までに、米国内の 40 施設で被験者が登

    録され、レーザ+PTA 群と PTA 単独群に 2:1 の割合で無作為に割り付けられた。プロトコルでは本試験被験者として 318 例の登録が計画されていたが、2013 年 5 月に承認された IDE 補遺に基づいて、200 例、250 例、300 例の患者登録が完了した時点における中間解析が計画された。250 例登録完了時点で実施した中間解析において有効性及び安全性主要評価項目の達成が確認されたことから、以後の患者登録は中

    止され、最終的な本試験被験者登録はレーザ+PTA 群 170 例、PTA 単独群 82 例、合計 252 例であった。被験者の追跡調査実施数及び評価対象症例数の内訳について図 8.1.4.1-1 に示す。

    図 8.1.4.1-1: 被験者の内訳

      

     ()内は250例登録完了時点の  中間解析時の例数

    臨床的スクリーニング

    1153例 (1132)

    血管造影的スクリーニング

    459例 (449)

    本試験被験者登録

    252例 (250)

    PTA単独群82例 (81)

    レーザ+PTA群170例 (169)

    30日追跡調査165例 (155)

    30日安全性主要評価ITT=167例 (155)PP=140例 (129)

    6ヵ月有効性主要評価ITT=157例 (117)PP=133例 (99)

    6ヵ月追跡調査135例 (102)

    12ヵ月追跡調査42例 (15)

    30日追跡調査73例 (71)

    30日安全性主要評価ITT=77例 (73)PP=63例 (61)

    6ヵ月追跡調査60例 (41)

    6ヵ月有効性主要評価ITT=73例 (56)PP=61例 (45)

    12ヵ月追跡調査100例 (52)

    除外 694例 (683)

    除外 198例 (192)

    TOレジストリ 9例 (7)

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    8.1.4.2 中止・脱落・治験実施計画書逸脱の内訳

    8.1.4.2.1 中止・脱落症例 本試験における中止・脱落症例を理由別に集計した結果について以下の表 8.1.4.2.1-1 に示す。中止理

    由としては両群ともに、TLR が最も多かった。

    表 8.1.4.2.1-1: 中止・脱落理由の集計

    中止・脱落理由 レーザ+PTA 群*

    N=170 PTA 単独群*

    N=82 全体 72/170(42.4%) 40/82(48.8%) 被験者による同意撤回 11/170(6.5%) 5/82(6.1%) 医師による被験者撤回 8/170(4.7%) 1/82(1.2%) TLR 46/170(27.1%) 24/82(29.3%) 標的肢の大切断 0/170(0.0%) 1/82(1.2%) 死亡 2/170(1.2%) 3/82(3.7%) 追跡不能 5/170(2.9%) 6/82(7.3%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)

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    8.1.4.2.2 治験実施計画書逸脱 本試験にて確認された治験実施計画書からの逸脱を理由別に集計した結果について以下の表

    8.1.4.2.2-1 に示す。 表 8.1.4.2.2-1: 治験実施計画書逸脱の集計

    逸脱理由 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* 患者同意文書の未入手あるいは不適切な入手 1/301(0.3%) 1/158(0.6%) 選択/除外基準の不適合 27/301(9.0%) 19/158(12.0%) 追跡調査日の規定日外来院 62/301(20.6%) 30/158(19.0%) 追跡調査の未実施 19/301(6.3%) 16/158(10.1%) 検査の未実施あるいは治験実施計画書通りに行っていない ・ステントの完全性 ・DUS/ABI ・追跡調査来院時の検査(WIQ スコア、Rutherford、バイタルサイ

    ン) ・臨床検査(ACT、PT/INR、PTT) ・施術時の各計測 ・クレアチニン ・メジャーによる計測

    104/301(34.6%) 50/158(31.6%)

    治験実施計画書における規定治療の未実施 ・投与薬の未服用(27) ・パイロットチャネル作成時に PTA 使用(1) ・手技時に Turbo Tandem の未使用(3) ・パイロットチャネルの作成不要(1) ・レーザ照射終了後に PTA の未実施(3) ・標的病変閉塞リスクに伴う治療の未実施(1)

    24/301(8.0%) 12/158(7.6%)

    追加手技の実施 ・術後 30 日までに他の介入手技(1) ・試験用でない PTA の使用(2) ・病変治療後の追加治療**(7) ・レーザカテーテル通過促進のため、レーザ手技中に PTA 使用(3) ・不必要な TBI 測定(1) ・治療セグメント外における PTA のオーバーラップ(2)

    10/301(3.3%) 6/158(3.8%)

    試験実施計画書以外での機器使用 ・治験実施計画書に従ったレーザ設定の未実施(10) ・市販機器の使用(2) ・使用期限切れ機器の使用(1) ・治験対象病変でない箇所の治療(1)

    14/301(4.7%) 0/158(0.0%)

    予期しない医療機器による副作用及び重篤な有害事象について 10 日以内に未報告

    32/301(10.6%) 21/158(13.3%)

    その他 ・被験者の同意文書署名前の記録入手及び話し合いの実施(1) ・コアラボ送付前の被験者情報マスキングが不完全(1) ・レーザ治療後のバルーン拡張時間不整合(1) ・試験担当者が同意文書日付を記入(1) ・レーザ設定を推奨値でなく最大値状態での使用(1) ・手技関連 SAE が 5 日期限内に IRB へ未報告(1) ・スクリーニング及び血管造影時のステント破断検査

    画像データの誤削除(1) ・コアラボへ DUS ディスクの未送付(1) ・跛行に伴う PTA 治療の報告遅延(1) ・ステントの完全性に関する X 線画像データ未保存(1) ・未訓練医師による手技実施(1)

    8/301(2.7%) 3/158(1.9%)

    *: 数値は 該当者数/被験者数(%) **:追加治療 7 例のうち、2 例は治験実施計画書に規定された緊急または救済的処置を追加的に実施した場合に相

    当し、TLR に該当。他の 5 例は対象病変以外で TLR 非該当。

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    8.1.5 試験の状況

    8.1.5.1 被験者背景

    本試験に登録された 252 例について、人口統計学的因子、既往歴及び危険因子を含む被験者背景を以下の表 8.1.5.1-1 に示す。被験者背景については、レーザ+PTA 群と PTA 単独群で統計学的な有意差は認められなかった。

    表 8.1.5.1-1: 登録された被験者背景

    項目 平均値+標準偏差(N)あるいは n/N(%)*

    P 値* レーザ+PTA 群 PTA 単独群

    性別(男性割合) 106/170(62.4%) 51/82(62.2%) 1.0000 年齢(歳) 68.6±9.8(n=170)

    (46.1、68.0、88.6) 67.9±10.3(n=82)

    (48.4、66.4、95.1) 0.6014

    体重(kg) 82.1±18.9(n=170) (40.4、81.6、132.0)

    79.8±16.8(n=82) (42.2、77.6、123.0)

    0.3320

    身長(cm) 170.0±10.4(n=170) (147.0、171.0、195.6)

    168.5±10.4(n=82) (137.0、167.6、185.4)

    0.2831

    高血圧歴 164/170(96.5%) 77/82(93.9%) 0.3440 高脂血症歴 164/170(96.5%) 78/82(95.1%) 0.7321 糖尿病歴 79/170(46.5%) 39/82(47.6%) 0.8935 内、インシュリン依存 34/79(43.0%) 18/39(46.2%) 0.8443

    冠動脈疾患歴 109/170(64.1%) 57/82(69.5%) 0.4785 脳血管発作歴 19/170(11.2%) 5/82(6.1%) 0.2547 対象肢のステント内再狭窄治療歴 55/170(32.4%) 24/82(29.3%) 0.6656 喫煙歴

    0.0608 喫煙歴なし 25/170(14.7%) 8/82(9.8%) 喫煙中 51/170(30.0%) 37/82(45.1%) 禁煙 94/170(55.3%) 37/82(45.1%)

    人種

    0.7860

    黒人あるいはアフリカ系アメリカ人 22/170(12.9%) 8/82(9.8%) 白人 144/170(84.7%) 74/82(90.2%) アジア人 1/170(0.6%) 0/82(0.0%) 先住ハワイ人あるいは他の太平洋諸島系

    の原住民 1/170(0.6%) 0/82(0.0%)

    その他 2/170(1.2%) 0/82(0.0%) 民族性

    0.6908 ヒスパニック系あるいはラテン系 21/170(12.4%) 12/82(14.6%) ヒスパニック系あるいはラテン系以外 149/170(87.6%) 70/82(85.4%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)、平均値+/-標準偏差(データ数)(最小値、中央値、最大値) 連続変数の P 値は t 検定または分散分析(ANOVA)、離散変数の P 値は χ2検定による。

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    8.1.5.2 病変特性

    8.1.5.2.1 治験実施施設評価による標的病変特性 本試験に登録された 252 例について治験実施施設が評価した標的病変特性を以下の表 8.1.5.2.1-1 に示

    す。病変部位について、膝窩動脈を含む割合が PTA 単独群 9/82(11.0%)に対しレーザ+PTA 群 33/170(19.4%)で、分布に統計学的な有意差が認められた(P=0.0165)。その他の病変特性項目については群間での偏りは認められなかった。

    表 8.1.5.2.1-1: 治験実施施設評価による標的病変特性の集計

    項目 平均値+標準偏差(N)あるいは n/N(%)*

    P 値* レーザ+PTA 群 PTA 単独群

    病変部位 0.5015 左側 82/170(48.2%) 44/82(53.7%)

    右側 88/170(51.8%) 38/82(46.3%) 病変部位(肢の範囲内)

    0.0165 浅大腿動脈に限定 137/170(80.6%) 73/82(89.0%)

    膝窩動脈に限定 3/170(1.8%) 4/82(4.9%) 浅大腿動脈及び膝窩動脈 30/170(17.6%) 5/82(6.1%) 径狭窄率(%) 87.5±12.7(n=170)

    (50.0、90.0、100.0) 87.6±13.7(n=82)

    (50.0、90.0、100.0) 0.9505

    病変長(mm) 172.4±118.1(n=170) (30.0、140.0、550.0)

    161.9±107.0(n=82) (5.0、140.0、430.0)

    0.4982

    対照血管径(mm) 5.6±0.6(n=170) (5.0、6.0、7.0)

    5.6±0.6(n=82) (4.0、5.8、7.0)

    0.7050

    ステント外延伸病変長(mm) 15.7±12.3(n=59) (1.0、10.0、70.0)

    18.9±14.8(n=28) (2.0、17.5、64.0)

    0.2963

    ステント外延伸病変を含まない被験者 111/170(65.3%) 54/82(65.9%) 1.0000 ステント完全性

    0.8342 グレード 0 147/170(86.5%) 73/82(89.0%) グレードⅠ 11/170(6.5%) 5/82(6.1%) グレードⅡ 6/170(3.5%) 3/82(3.7%) グレードⅢ 6/170(3.5%) 1/82(1.2%)

    標的病変血栓 11/170(6.5%) 4/82(4.9%) 0.7794 標的病変動脈瘤 0/170(0.0%) 0/82(0.0%) - 標的病変石灰化

    0.3885 無し 73/170(42.9%) 41/82(50.0%) 軽度 62/170(36.5%) 27/82(32.9%) 中等度 25/170(14.7%) 7/82(8.5%) 高度 10/170(5.9%) 7/82(8.5%)

    前脛骨動脈狭窄

    0.4185 50%(狭窄) 26/170(15.3%) 11/82(13.4%) 閉塞 42/170(24.7%) 15/82(18.3%)

    後脛骨動脈狭窄

    0.3977 50%(狭窄) 20/170(11.8%) 10/82(12.2%) 閉塞 49/170(28.8%) 17/82(20.7%)

    腓骨動脈狭窄

    0.6406 50%(狭窄) 21/170(12.4%) 8/82(9.8%) 閉塞 29/170(17.1%) 11/82(13.4%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)、平均値+/-標準偏差(データ数)(最小値、中央値、最大値) 連続変数の P 値は t 検定または分散分析(ANOVA)、離散変数の P 値は χ2検定による。

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    8.1.5.2.2 血管造影コアラボ評価による標的病変特性 本試験に登録された 252 例を血管造影コアラボにて評価した標的病変特性について、集計結果を以下

    の表 8.1.5.2.2-1 に示す。ステント内再狭窄部狭窄状態(P=0.0293)及び石灰化分類(P=0.0047)については、統計学的な有意差を認めたが、ステント内再狭窄の状態については PTA 単独群に比べレーザ+PTA群でクラスⅢの割合が多く、石灰化についても PTA 単独群に比べレーザ+PTA 群でグレード 2-3 の割合が多いことから、レーザ+PTA 群において重症病変がより多く割り付けられており、評価上の問題にはならない。また、PTA 単独群に比べレーザ+PTA 群でステント破断例が多い傾向が認められたが、評価において試験群に有利に働くとは考え難く、結果には影響しない。その他の病変特性項目については群

    間での偏りは認められなかった。

    表 8.1.5.2.2-1: 血管造影コアラボ評価による標的病変特性の集計

    項目 平均値+標準偏差(N)あるいは n/N(%)* P 値* レーザ+PTA 群 PTA 単独群

    狭窄長(mm) 193.4±120.5(n=165) (10.2、168.4、462.1)

    188.9±118.3(n=79) (15.6、167.8、450.0) 0.7827

    径狭窄率(%) 82.0±16.2(n=167) (42.0、83.0、100.0)

    83.5±16.5(n=80) (48.0、88.0、100.0) 0.4885

    病変部位(肢の範囲内)

    0.9653 浅大腿動脈に限定 131/167(78.4%) 62/80(77.5%) 膝窩動脈に限定 8/167(4.8%) 4/80(5.0%) 浅大腿動脈及び膝窩動脈 28/167(16.8%) 14/80(17.5%) 患肢末梢血管開存状況 前脛骨動脈 101/167(60.5%) 44/80(55.0%) 0.4901 後脛骨動脈 103/167(61.7%) 54/80(67.5%) 0.3995 腓骨動脈 111/167(66.5%) 57/80(71.3%) 0.4703 足背動脈(完全) 61/167(36.5%) 25/80(31.3%) 0.4763 足背動脈(不完全) 50/167(29.9%) 20/80(25.0%) 0.4539 足背動脈造影未実施 55/167(32.9%) 33/80(41.3%) 0.2053 血流確認未実施 7/167(4.2%) 3/80(3.8%) 1.0000 ステント内再狭窄部狭窄状態(Mehran 分類)

    0.0293

    1B 0/166(0.0%) 1/80(1.3%) 1C 4/166(2.4%) 6/80(7.5%) 1D 4/166(2.4%) 0/80(0.0%) Ⅱ 58/166(34.9%) 32/80(40.0%) Ⅲ 49/166(29.5%) 13/80(16.3%) Ⅳ 51/166(30.7%) 28/80(35.0%) 形態 完全閉塞 52/166(31.3%) 28/80(35.0%) 0.5648

    標的血管狭窄 115/166(69.3%) 52/80(65.0%) 0.5604 血栓有り 0/167(0.0%) 0/80(0.0%) - 偏心性病変 2/167(1.2%) 0/80(0.0%) 1.0000 動脈瘤有り 0/167(0.0%) 0/80(0.0%) - 潰瘍性プラーク有り 0/167(0.0%) 0/80(0.0%) - 石灰化分類

    0.0047 無し 73/167(43.7%) 36/80(45.0%) 1 48/167(28.7%) 36/80(45.0%) 2 39/167(23.4%) 6/80(7.5%) 3 7/167(4.2%) 2/80(2.5%) TASC 病変タイプ

    0.8345 TASC A 42/163(25.8%) 19/75(25.3%) TASC B 25/163(15.3%) 15/75(20.0%) TASC C 50/163(30.7%) 21/75(28.0%) TASC D 46/163(28.2%) 20/75(26.7%) ステント完全性

    0.1417

    グレード 0 142/167(85.0%) 78/81(96.3%) グレードⅠ 7/167(4.2%) 0/81(0.0%) グレードⅡ 11/167(6.6%) 3/81(3.7%) グレードⅢ 4/167(2.4%) 0/81(0.0%) グレードⅣ 2/167(1.2%) 0/81(0.0%) グレードⅤ 1/167(0.6%) 0/81(0.0%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)、平均値+/-標準偏差(データ数)(最小値、中央値、最大値) 連続変数の P 値は t 検定または分散分析(ANOVA)、離散変数の P 値は χ2検定による。

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    8.1.5.3 手技の状況

    8.1.5.3.1 Turbo Elite カテーテルの使用状況 Turbo Elite カテーテルの使用状況を表 8.1.5.3.1-1(被験者)及び表 8.1.5.3.1-2 に(モデル番号別)に示

    す。本試験では、レーザ+PTA 群 170 例の内、Turbo Elite カテーテルにより対象病変のパイロットチャネル作成及び内腔改善を行った 135 例の被験者に対して、合計 142 本が使用された。使用率が高かったモデル番号は、420-006-IDE(66.9%:95 本)及び 423-001-IDE(26.8%:38 本)であった。

    表 8.1.5.3.1-1: Turbo Elite カテーテルの使用状況(被験者)

    評価項目 n/N(%)*

    レーザ+PTA 群 Turbo Elite カテーテル使用 135/170(79.4%) レーザ処置前に内腔が 2.0mm 以上 59/170(34.7%) 内腔改善のため Turbo Elite カテーテル使用 27/59(45.8%)

    *数値は 該当者数/被験者数(%)

    表 8.1.5.3.1-2: Turbo Elite カテーテルの使用状況(モデル番号別)

    モデル番号 サイズ情報 n/N(%)*

    レーザ+PTA 群 410-152-IDE 0.9mm 1/142(0.7%) 414-151-IDE 1.4mm 1/142(0.7%) 417-152-IDE 1.7mm 5/142(3.5%) 420-006-IDE 2.0mm 95/142(66.9%) 423-001-IDE 2.3mm 38/142(26.8%) 425-011-IDE 2.5mm 2/142(1.4%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)

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    8.1.5.3.2 Turbo Elite カテーテルの手技特性 Turbo Elite カテーテルの手技特性を表 8.1.5.3.2-1 に示す。レーザパルス合計数の中央値は、4671.5(範

    囲:4.0~51527.0)、レーザ照射総時間の中央値は 137.0(範囲:1.0~847.0)であった。本手技後、2 例の被験者にて標的血管における軽度の解離が認められた。

    表 8.1.5.3.2-1: Turbo Elite カテーテルの手技特性

    評価項目 平均値+標準偏差(N)あるいは n/N(%)*

    レーザ+PTA 群 レーザ設定

    開始出力(mJ/mm2) 48.3±6.3(n=135) (40.0、45.0、60.0)

    最大出力(mJ/mm2) 52.8.±7.7(n=135) (45.0、50.0、80.0)

    開始パルスレート(Hz) 33.3±12.6(n=135) (25.0、25.0、80.0)

    最大パルスレート(Hz) 42.8±18.2(n=135) (25.0、40.0、90.0)

    レーザパルス合計数 7023.3±7773.3(n=130) (4.0、4671.5、51527.0)

    レーザ照射総時間(秒) 188.2±169.8(n=133) (1.0、137.0、847.0)

    Turbo Elite 手技後の標的病変残存狭窄率(%) 50.4.±25.5(n=99) (0.0、50.0、100.0)

    標的血管解離 発生 2/156(1.3%) グレード A 1/2(50.0%) グレード C 1/2(50.0%) 未発生 141/156(90.4%) 未評価 13/156(8.3%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)、平均値+/-標準偏差(データ数)(最小値、中央値、最大値)

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    8.1.5.3.3 Turbo Tandem カテーテルの手技特性 Turbo Tandem カテーテルの手技特性を表 8.1.5.3.3-1 に示す。レーザパルス合計数の中央値は、9957.0

    (範囲:11.0~66142.0)、レーザ照射総時間の中央値は 323.0 秒(範囲:3.0~1834.0)であった。本手技後、8 例の被験者にて標的血管における軽度の解離が認められた。

    表 8.1.5.3.3-1: Turbo Tandem カテーテルの手技特性

    評価項目 平均値+標準偏差(N)あるいは n/N(%)*

    レーザ+PTA 群 レーザ設定 開始出力(mJ/mm2) 53.3±7.8(n=159)

    (25.0、60.0、60.0) 最大出力(mJ/mm2) 55.7.±7.3(n=165)

    (25.0、60.0、80.0) 開始パルスレート(Hz) 37.1±9.3(n=159)

    (25.0、40.0、60.0) 最大パルスレート(Hz) 43.9±14.5(n=165)

    (25.0、40.0、80.0) レーザパルス合計数 13678.3±11148.1(n=163)

    (11.0、9957.0、66142.0) レーザ照射総時間(秒) 386.8±321.9(n=164)

    (3.0、323.0、1834.0) Turbo Tandem 手技後の標的病変残存狭窄率(%) 31.4.±18.3(n=157)

    (0.0、30.0、100.0) 標的血管解離 発生 8/170(4.7%) グレード A 5/8(62.5%) グレード B 3/8(37.5%) 未発生 158/170(92.9%) 未評価 4/170(2.4%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)、平均値+/-標準偏差(データ数)(最小値、中央値、最大値)

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    8.1.5.3.4 PTA 及び全手技終了までの手技特性

    PTA 及び全手技終了までの手技特性を表 8.1.5.3.4-1 に示す。 PTA 手技後及び全治療後の標的病変残存狭窄率は、PTA 単独群と比較して、レーザ+PTA 群で有意に

    低かった(P=0.0042 及び

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    8.1.5.3.5 治験機器の不具合 本試験及び TO レジストリにおいて報告された不具合の事象別発生率を以下の表 8.1.5.3.5-1 に示す。

    治験機器の不具合の発現件数は、Turbo Elite は 3 件(2.0%)、Turbo Tandem では 15 件(8.1%)であった。

    表 8.1.5.3.5-1: 治験機器の不具合事象別発生率

    項目 Turbo Elite N=151

    Turbo Tandem N=183

    病変部の通過不能 1/151(0.7%) エラーコード発生又は校正不可 2/151(1.3%) 6/183(3.3%) カテーテル先端部がステージに乗らない、あるいはス

    テージに乗った状態を保持出来ない

    6/183(3.3%)

    リリース機構が作動しない 1/183(0.5%) 先端部の脱落 1/183(0.5%) 使用前の機器故障 1/183(0.5%)

    *数値は 該当者数/被験者数(%) 8.1.5.4 併用薬の使用状況 本試験では、アスピリン(1 日 81~325 mg)を術前及び術後 12 か月まで、アスピリン以外の抗血小板

    薬については術前及び術後 90 日以上(観察期間終了の術後 12 か月まで投与することを推奨)、ワルファリンなどの追加的な抗凝固薬は、他依存症を考慮し必要に応じて投与することとした。 表 8.1.5.4-1 及び表 8.1.5.4-2 に示したとおり、両群ともに 70%以上の被験者については、アスピリン、

    クロピドグレル及びスタチンが投与された。それ以外の抗血小板薬及び抗凝固薬の投与割合は 10%以下であった。

    表 8.1.5.4-1: 抗血小板薬の投与状況

    投与時点 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* アスピリン スクリーニング時 155/170(91.2%) 73/82(89.0%) 退院時 163/170(95.9%) 81/82(98.8%) 30 日後 158/165(95.8%) 71/73(97.3%) 6 か月後 120/135(88.9%) 53/60(88.3%) 12 か月後 89/100(89.0%) 37/42(88.1%) クロピドグレル スクリーニング時 138/170(81.2%) 67/82(81.7%) 退院時 152/170(89.4%) 72/82(87.8%) 30 日後 145/165(87.9%) 62/73(84.9%) 6 か月後 108/135(80.0%) 48/60(80.0%) 12 か月後 80/100(80.0%) 31/42(73.8%) チクロピジン スクリーニング時 2/170(1.2%) 0/82(0.0%) 退院時 3/170(1.8%) 0/82(0.0%) 30 日後 2/165(1.2%) 0/73(0.0%) 6 か月後 1/135(0.7%) 0/60(0.0%) 12 か月後 1/100(1.0%) 0/42(0.0%) プラスグレル スクリーニング時 12/170(7.1%) 3/82(3.7%) 退院時 13/170(7.6%) 7/82(8.5%) 30 日後 14/165(8.5%) 7/73(9.6%) 6 か月後 8/135(5.9%) 4/60(6.7%) 12 か月後 5/100(5.0%) 4/42(9.5%) その他 スクリーニング時 5/170(2.9%) 3/82(3.7%) 退院時 7/169(4.1%) 2/82(2.4%) 30 日後 8/165(4.8%) 2/73(2.7%) 6 か月後 9/135(6.7%) 2/60(3.3%) 12 か月後 2/100(2.0%) 1/42(2.4%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)

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    表 8.1.5.4-2: 抗凝固薬の投与状況

    投与時点 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* ワルファリン(Coumadin) スクリーニング時 5/170(2.9%) 5/82(6.1%) 退院時 6/170(3.5%) 4/82(4.9%) 30 日後 7/165(4.2%) 2/73(2.7%) 6 か月後 4/135(3.0%) 3/60(5.0%) 12 か月後 4/100(4.0%) 2/42(4.8%) ワルファリン(Jantoven) スクリーニング時 1/170(0.6%) 1/82(1.2%) 退院時 1/170(0.6%) 0/82(0.0%) 30 日後 0/165(0.0%) 0/73(0.0%) 6 か月後 0/135(0.0%) 0/60(0.0%) 12 か月後 0/100(0.0%) 0/42(0.0%) スタチン スクリーニング時 139/170(81.8%) 71/82(86.6%) 退院時 139/170(81.8%) 74/82(90.2%) 30 日後 135/165(81.8%) 61/73(83.6%) 6 か月後 104/135(77.0%) 53/60(88.3%) 12 か月後 75/100(75.0%) 37/42(88.1%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)

    8.1.6 試験成績

    本試験では、510(k)申請に用いる解析として計画された 250 例登録完了時点での中間解析において、有効性及び安全性主要評価項目におけるレーザ+PTA 群の PTA 単独群に対する優越性の確立が早期評価項目達成確認・登録中止の判定基準を上回る結果が得られ、頻度論的アプローチにより設定されたプロ

    トコルの計画数よりも少ない症例数で有効性及び安全性主要評価項目の達成が確認された。2014 年 3 月に提出された 510(k)申請には 250 例登録完了時点で実施されたベイズ論的アプローチによる主要評価の中間補助解析結果と、プロトコルに従った頻度論的アプローチによる全評価項目の中間解析結果の両方

    を提出して審査を受け、2014 年 7 月に承認された。 本項目では、有効性及び安全性の主要評価について、登録された全症例 252 例に対するプロトコルに

    従った頻度論的アプローチによる最終評価結果の概要を先に述べ、続けて、510(k)申請に提出された 250例登録完了時点での中間解析結果の概要を示す。 なお、本試験では、解析対象集団として ITT、PP 及び AT の 3 つが定義されたが、原則として主たる

    解析対象である ITT データのみを記載し、一部項目では ITT 結果の頑健性の確認のために PP データも併記する。

  • 219 / 255

    8.1.6.1 有効性主要評価項目:術後 6 か月 TLR 回避率 有効性主要評価は、術後 6 か月 TLR 回避率の比較において、レーザ+PTA 群の PTA 単独群に対する優

    越性を示すことである。 1) 最終評価結果(252 例)

    本試験では最終的に 252 例が登録された。ITT 集団における 6 か月 TLR 回避率の結果は、レーザ+PTA群 123/157(78.3%)、PTA 単独群 43/73(58.9%)であり、有効性主要評価項目におけるレーザ+PTA 群のPTA単独群に対する優越性が確認された(P

  • 220 / 255

    表 8.1.6.1-3: 有効性主要評価項目のベイズ論的アプローチによる中間解析結果(250 例登録完了時点中間解析) 項目 レーザ+PTA 群 PTA 単独群

    登録例数 169 81 有効性 追跡調査完了例数 117 56 観察された達成数(%) 86(73.5%) 29(51.8%) モデル化達成率(標準偏差) 75.3%(3.3) 51.8%(6.6) 優越率の確率 0.9994 (早期評価項目達成確認・登録中止の判定基準) 0.9975

  • 221 / 255

    8.1.6.2 安全性主要評価項目 安全性主要評価項目は、術後 30 日 MAE 非発生率の比較において、レーザ+PTA 群の PTA 単独群に対

    する非劣性または優越性を示すことである。

    1) 最終評価結果(252 例) 本試験では最終的に 252 例が登録された。ITT 集団における術後 30 日 MAE 非発生率は、レーザ+PTA

    群 158/167(94.6%)、PTA 単独群 61/77(79.2%)であり、安全性主要評価項目におけるレーザ+PTA 群のPTA 単独群に対する優越性が確認された(P

  • 222 / 255

    表 8.1.6.2-3: 安全性主要評価項目のベイズ論的アプローチによる中間解析結果(250 例登録完了時点中間解析)

    項目 レーザ+PTA 群 PTA 単独群 登録例数 169 81 安全性 追跡調査完了例数 155 73 観察された事象数(%) 9(5.8%) 15(20.5%) モデル化事象発生率(標準偏差) 5.4%(1.5) 20.5%(4.7) 非劣性率の確率 1.0 優越率の確率 0.9999 (早期評価項目達成確認・登録中止の判定基準) 0.9975

    8.1.6.3 副次評価項目

    8.1.6.3.1 急性期手技成功

    ITT 集団における急性期手技成功(手技直後における標的病変の残存狭窄が 30%以下の患者)の割合は、レーザ+PTA 群 162/170(95.3%)、PTA 単独群 71/82(86.6%)で、統計学的な有意差をもってレーザ+PTA 群において PTA 単独群より高い値が示された(p=0.02)。結果を表 8.1.6.3.1-1 に示す。

    表 8.1.6.3.1-1: 急性期手技成功データ

    n/N(%)* P 値*

    レーザ+PTA 群 PTA 単独群

    162/170(95.3%) 71/82(86.6%) 0.0207

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)、離散変数の P 値は χ2検定による。

    手技中の TLR(CEC 判定)の発生率は、レーザ+PTA 群 9/170(5.3%)、PTA 単独群 14/82(17.1%)で、統計学的な有意差をもってレーザ+PTA 群で少ない結果であった(p=0.0042)。最も多い手技中の TLR の原因は、標的病変再狭窄及び動脈解離であった。結果を表 8.1.6.3.1-2 に示す。

    表 8.1.6.3.1-2: 手技中の TLR 原因

    事象名 レーザ+PTA 群*

    N=170 PTA 単独群*

    N=82 P 値*

    合計 9(5.3%) 14(17.1%) 0.0042 再狭窄 標的病変 1(0.6%) 5(6.1%) 0.0149 標的病変(完全閉塞) 4(2.4%) 0(0%) 0.3071 動脈解離

    >=グレード D 2(1.2%) 3(3.7%) 0.3333 グレード C 0(0%) 3(3.7%) 0.0336

    グレード B 0(0%) 2(2.4%) 0.1050 動脈血栓 1(0.6%) 1(1.2%) 0.5458 閉塞(臨床的に関連あり) 1(0.6%) 0(0%) 1.0000

    * 数値は 該当者数(%)、離散変数の P 値は Fisher の直接確率検定による。

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    8.1.6.3.2 術後 12 か月 TLR 回避率

    ITT 集団及び PP 集団における術後 12か月までの TLR の累積回避率について Kaplan-Meier 曲線を作成した。ITT 集団における術後 12 か月 TLR 回避率は、レーザ+PTA 群 49.0%、PTA 単独群 41.7%で、レーザ+PTA群がPTA単独群を上回ることが統計学的有意差をもって確認された(p=0.0427、Log-Rank検定)。PP 集団においても、レーザ+PTA 群 51.2%、PTA 単独群 40.2%で、同様にレーザ+PTA 群が PTA 単独群を上回ることが統計学的有意差をもって確認された(p=0.0182、Log-Rank 検定)。結果を図 8.1.6.3.2-1及び図 8.1.6.3.2-2 に示す。

    * 数値は 累積イベント数、アットリスク数(累積回避率)、離散変数の P 値は Log-Rank 検定による。 図 8.1.6.3.2-1: 術後 12 か月における TLR 累積回避率:ITT 集団

    * 数値は 累積イベント数、アットリスク数(累積回避率)、離散変数の P 値は Log-Rank 検定による。 図 8.1.6.3.2-2: 術後 12 か月における TLR 累積回避率:PP 集団

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* 71、5(49.0%) 42、3(41.7%) 0.0427

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* 58、5(51.2%) 36、3(40.2%) 0.0182

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    8.1.6.3.3 術後 12 か月 TVR 回避率 本試験において、TVR は術者による血管造影評価で 50%を超える狭窄が認められる標的血管の再狭窄

    または再閉塞を治療するための全ての経皮的もしくは外科的介入と定義される。 ITT 集団における術後 12 か月までの TVR の累積回避率について Kaplan-Meier 曲線を作成した。ITT

    集団における術後 12 か月 TVR 回避率は、レーザ+PTA 群 48.0%、PTA 単独群では 38.2%で、レーザ+PTA群が PTA 単独群を上回ることが統計学的有意差をもって確認された(p=0.0252、Log-Rank 検定)。結果を図 8.1.6.3.3-1 に示す。

    * 数値は 累積イベント数、アットリスク数(累積回避率)、離散変数の P 値は Log-Rank 検定による。 8.1.6.3.3-1: 術後 12 か月における TVR 累積回避率:ITT 集団

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* 73、4(48.0%) 45、3(38.2%) 0.0252

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    8.1.6.3.4 術後 12 か月 MAE 非発生率

    ITT 集団及び PP 集団における術後 12 か月までの累積 MAE 非発生率について Kaplan-Meier 曲線を作成した。ITT 集団における術後 12 か月 MAE 非発生率は、レーザ+PTA 群 48.3%、PTA 単独群 39.5%で、レーザ+PTA 群が PTA 単独群を上回ることが統計学的有意差をもって確認された(p=0.0184、Log-Rank検定)。PP 解析においても、レーザ+PTA 群 50.4%、PTA 単独群 39.4%で、同様にレーザ+PTA 群が PTA単独群を上回ることが統計学的有意差をもって確認された(p=0.0168、Log-Rank 検定)。従って、レーザ+PTA 治療における MAE 発生率に関する臨床的安全性は許容可能である。結果を図 8.1.6.3.4-1 及び図8.1.6.3.4-2 に示す。

    * 数値は 累積イベント数、アットリスク数(累積回避率)、離散変数の P 値は Log-Rank 検定による。 図 8.1.6.3.4-1: 術後 12 か月の MAE 非発生率(ITT 集団)

    * 数値は 累積イベント数、アットリスク数(累積回避率)、離散変数の P 値は Log-Rank 検定による。 図 8.1.6.3.4-2: 術後 12 か月の MAE 非発生率(PP 集団)

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* 73、5(48.3%) 45、3(39.5%) 0.0184

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* 60、5(50.4%) 37、3(39.4%) 0.0168

  • 226 / 255

    8.1.6.3.5 一次開存率 ITT集団及び PP 集団における術後 6か月及び 12か月の一次開存率及び二分化再狭窄率は表 8.1.6.3.5-1

    及び表 8.1.6.3.5-2 に示す通りであった。また、 ITT 集団及び PP 集団における術後 12 か月までの累積一次開存率について Kaplan-Meier 曲線を作成した結果、ITT 集団の術後 12 か月一次開存率は、レーザ+PTA群 20.0%、PTA 単独群 23.8%、PP 集団の術後 12 か月一次開存率は、レーザ+PTA 群 21.1%、PTA 単独群21.5%で、いずれも両群間に統計学的な有意差は認められなかった。それぞれの Kaplan-Meier 曲線を図8.1.6.3.5-1 及び図 8.1.6.3.5-2 に示す。

    表 8.1.6.3.5-1: 開存率(ITT 集団)

    評価項目 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* DUS による二分化再狭窄率 術後 6 か月 79/126(62.7%) 28/56(50.0%) 0.1417 術後 12 か月 52/92(56.5%) 16/37(43.2%) 0.1798 一次開存率 術後 6 か月 47/142(33.1%) 28/69(40.6%) 0.2887 術後 12 か月 40/139(28.8%) 21/70(30.0%) 0.8729

    * 数値は 該当者数(%)、離散変数の P 値は Fisher の直接確率検定による。

    表 8.1.6.3.5-2: 開存率(PP 集団)

    評価項目 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* DUS による二分化再狭窄率 術後 6 か月 67/109(61.5%) 24/47(51.1%) 0.2884 術後 12 か月 45/83(54.2%) 15/32(46.9%) 0.5356 開存率 術後 6 か月 42/122(34.4%) 23/57(40.4%) 0.5054 術後 12 か月 38/121(31.4%) 17/59(28.8%) 0.8633

    * 数値は 該当者数(%)、離散変数の P 値は Fisher の直接確率検定による。

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    * 数値は 累積イベント数、アットリスク数(累積回避率)、離散変数の P 値は Log-Rank 検定による。 図 8.1.6.3.5-1: 術後 12 か月の一次開存率(ITT 集団)

    * 数値は 累積イベント数、アットリスク数(累積回避率)、離散変数の P 値は Log-Rank 検定による。 図 8.1.6.3.5-2: 術後 12 か月の一次開存率(PP 集団)

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* 118、2(20.0%) 54、1(23.8%) 0.6584

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* 99、2(21.1%) 46、1(21.5%) 0.4442

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    8.1.6.3.6 ABI

    術後 12か月までのABI値については、レーザ+PTA群で 0.6±0.2から 0.8±0.2に、PTA単独群では 0.7±0.2から 0.8±0.3 に増加したが、両群間に統計学的有意差は認められなかった。結果を以下の表 8.1.6.3.6-1 に示す。

    表 8.1.6.3.6-1: ABI 値

    調査時点 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値*

    スクリーニング 0.6 +/- 0.2(N=168)

    (0.0, 0.7, 1.0) 0.7 +/- 0.2(N=81) (0.0, 0.7, 1.3)

    0.3071

    30 日 0.9 +/- 0.2(N=164)

    (0.0, 0.9, 1.3) 0.9 +/- 0.3(N=69) (0.0, 0.9, 1.6)

    0.8725

    6 か月 0.7 +/- 0.3(N=130)

    (0.0, 0.7, 1.2) 0.7 +/- 0.3(N=57) (0.0, 0.8, 1.4)

    0.1255

    12 か月 0.8 +/- 0.2(N=98) (0.0, 0.8, 1.3)

    0.8 +/- 0.3(N=40) (0.0, 0.8, 1.3)

    0.5824

    * 数値は平均値+/-標準偏差(データ数)(最小値、中央値、最大値)。連続変数の P 値は t 検定による。

    術後 12 か月までに ABI 値 0.1 以上の増加が認められた被験者の割合は、レーザ+PTA 群 55%、PTA 単

    独群 53%であった。結果を表 8.1.6.3.6-2 に示す。

    表 8.1.6.3.6-2: 術後 12 か月における ABI 値の変化

    ABI 値の変化分類 レーザ+PTA 群* PTA 単独群*

    0-6 か月 6-12 か月 0-12 か月 0-6 か月 6-12 か月 0-12 か月

    上昇(0.1≧) 53/128

    (41.4%) 32/89

    (36.0%) 54/98

    (55.1%) 28/57

    (49.1%) 7/37

    (18.9%) 21/40

    (52.5%)

    同等(±0.1 未満) 43/128

    (33.6%) 39/89

    (43.8%) 31/98

    (31.6%) 14/57

    (24.6%) 18/37

    (48.6%) 12/40

    (30.0%)

    低下(0.1≦) 32/128

    (25.0%) 18/89

    (20.2%) 13/98

    (13.3%) 15/57

    (26.3%) 12/37

    (32.4%) 7/40

    (17.5%) * 数値は 該当者数/被験者数(%)

  • 229 / 255

    8.1.6.3.7 機能状態 WIQ スコアについては術後 12 か月を通じて変化がなく、追跡調査期間ごとの両群の値に統計学的有

    意差は認められなかった。集計された全ての WIQ スコアは 43~70 の範囲内であったことから両群の被験者については、PAD 患者集団における通常の機能状態と見なすことが出来る ⑧-4。結果を表 8.1.6.3.7-1に示す。

    表 8.1.6.3.7-1: WIQ スコアの集計 調査時点 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値*

    30 日 63.2 +/- 34.7(N=106) (0.0, 69.5, 100.0)

    62.4 +/- 33.3(N=46) (0.1, 64.9, 100.0) 0.8954

    6 か月 55.4 +/- 31.2(N=81) (0.2, 60.1, 100.0)

    51.7 +/- 33.3(N=39) (0.0, 51.1, 100.0) 0.5472

    12 か月 59.8 +/- 30.8(N=60) (0.0, 64.5, 100.0)

    58.8 +/- 33.3(N=25) (1.8, 70.7, 100.0) 0.8921

    * 数値は平均値+/-標準偏差(データ数)(最小値、中央値、最大値)。 連続変数の P 値は t 検定による。

    8.1.6.3.8 Rutherford 分類 Rutherford 分類で評価された PAD の重症度については、追跡調査期間において両群とも改善を示した。

    術後 12 か月時の追跡調査来院において、クラス 0(無症候性)に分類された患者の割合は、レーザ+PTA群 41.4%、PTA 単独群 54.8%であった。結果を表 8.1.6.3.8-1 に示す。

    表 8.1.6.3.8-1: Rutherford 分類

    Rutherford クラス

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* スクリーニング 30 日 6 か月 12 か月 スクリーニング 30 日 6 か月 12 か月

    0 0/170 (0.0%)

    92/165 (55.8%)

    48/135 (35.6%)

    41/99 (41.4%)

    0/82 (0.0%)

    40/72 (55.6%)

    25/59 (42.4%)

    23/42 (54.8%)

    1 5/170 (2.9%)

    41/165 (24.8%)

    34/135 (25.2%)

    17/99 (17.2%)

    3/82 (3.7%)

    16/72 (22.2%)

    6/59 (10.2%)

    7/42 (16.7%)

    2 32/170 (18.8%)

    11/165 (6.7%)

    24/135 (17.8%)

    23/99 (23.2%)

    12/82 (14.6%)

    6/72 (8.3%)

    10/59 (16.9%)

    5/42 (11.9%)

    3 106/170 (62.4%)

    11/165 (6.7%)

    23/135 (17.0%)

    15/99 (15.2%)

    56/82 (68.3%)

    7/72 (9.7%)

    12/59 (20.3%)

    6/42 (14.3%)

    4 26/170 (15.3%)

    9/165 (5.5%)

    6/135 (4.4%)

    2/99 (2.0%)

    10/82 (12.2%)

    2/72 (2.8%)

    4/59 (6.8%)

    1/42 (2.4%)

    5 1/170 (0.6%)

    1/165 (0.6%)

    0/135 (0.0%)

    1/99 (1.0%)

    0/82 (0.0%)

    1/72 (1.4%)

    2/59 (3.4%)

    0/42 (0.0%)

    6 0/170 (0.0%)

    0/165 (0.0%)

    0/135 (0.0%)

    0/99 (0.0%)

    1/82 (1.2%)

    0/72 (0.0%)

    0/59 (0.0%)

    0/42 (0.0%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)

    12 か月間を通して 1 つ以上のクラスの改善が認められた被験者の割合は、レーザ+PTA 群 77.7%、PTA単独群 81.0%であった。結果を表 1.1.6.3.8-2 に示す。

    表 8.1.6.3.8-2: Rutherford クラスの変化

    Rutherford クラスの変化分類

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* 0-6 か月 6-12 か月 0-12 か月 0-6 か月 6-12 か月 0-12 か月

    悪化(2 クラス超) 0/135 (0.0%)

    6/92 (6.5%)

    0/99 (0.0%)

    0/59 (0.0%)

    1/40 (2.5%)

    0/42 (0.0%)

    悪化(2 クラス) 1/135 (0.7%)

    6/92 (6.5%)

    1/99 (1.0%)

    2/59 (3.4%)

    1/40 (2.5%)

    0/42 (0.0%)

    悪化(1 クラス) 2/135 (1.5%)

    19/92 (20.7%)

    3/99 (3.0%)

    7/59 (11.9%)

    4/40 (10.0%)

    2/42 (4.8%)

    変化なし 29/135 (21.5%)

    40/92 (43.5%)

    18/99 (18.2%)

    10/59 (16.9%)

    27/40 (67.5%)

    6/42 (14.3%)

    改善(1 クラス) 32/135 (23.7%)

    9/92 (9.8%)

    23/99 (23.2%)

    12/59 (20.3%)

    3/40 (7.5%)

    9/42 (21.4%)

    改善(2 クラス) 28/135 (20.7%)

    8/92 (8.7%)

    23/99 (23.2%)

    8/59 (13.6%)

    4/40 (10.0%)

    7/42 (16.7%)

    改善(2 クラス超) 43/135 (31.9%)

    4/92 (4.3%)

    31/99 (31.3%)

    20/59 (33.9%)

    0/40 (0.0%)

    18/42 (42.9%)

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)

  • 230 / 255

    8.1.6.3.9 虚血症状の再燃

    虚血症状の再発率は、レーザ+PTA 群と PTA 単独群の間に統計学的な有意差は認められなかった。結果を表 8.1.6.3.9-1 に示す。

    表 8.1.6.3.9-1: 虚血症状の再発率

    調査時点 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値* 30 日 5/165(3.0%) 3/73(4.1%) 0.7036

    6 か月 39/135(28.9%) 22/60(36.7%) 0.3166 12 か月 32/99(32.3%) 11/42(26.2%) 0.5510

    * 数値は 該当者数/被験者数(%)、離散変数の P 値は Fisher の直接確率検定による。

    8.1.6.3.10 ステントの完全性

    血管造影コアラボ評価によるスクリーニング時点でのステント破断(Ⅰ~Ⅴ)は、レーザ+PTA 群で15.0%、PTA 単独群で 3.7%に認められた。これには、術前の施設評価では特定されなかったものも含まれる。術後 12 か月におけるステント破断(Ⅰ~Ⅴ)の割合は、レーザ+PTA 群 27.2%、PTA 単独群 17.9%で、それぞれ 12.2%、14.2%の増加となった。結果を以下の表 8.1.6.3.10-1 に示す。

    表 8.1.6.3.10-1: ステントの完全性グレード

    ステントの 完全性グレード

    レーザ+PTA 群* PTA 単独群* スクリーニン

    グ 6 か月 12 か月

    スクリーニン

    グ 6 か月 12 か月

    0 142/167

    (85.0%) 82/107

    (76.6%) 59/81

    (72.8%) 78/81

    (96.3%) 46/50

    (92.0%) 32/39

    (82.1%)

    Ⅰ 7/167

    (4.2%) 6/107

    (5.6%) 5/81

    (6.2%) 0/81

    (0.0%) 0/50

    (0.0%) 0/39

    (0.0%)

    Ⅱ 11/167

    (6.6%) 13/107

    (12.1%) 9/81

    (11.1%) 3/81

    (3.7%) 4/50

    (8.0%) 6/39

    (15.4%)

    Ⅲ 4/167

    (2.4%) 3/107

    (2.8%) 5/81

    (6.2%) 0/81

    (0.0%) 0/50

    (0.0%) 1/39

    (2.6%)

    Ⅳ 2/167

    (1.2%) 1/107

    (0.9%) 1/81

    (1.2%) 0/81

    (0.0%) 0/50

    (0.0%) 0/39

    (0.0%)

    Ⅴ 1/167

    (0.6%) 2/107

    (1.9%) 2/81

    (2.5%) 0/81

    (0.0%) 0/50

    (0.0%) 0/39

    (0.0%) * 数値は 該当者数/被験者数(%)

    術後 6 か月及び 12 か月時点におけるステント破断のグレード変化については、両群間に統計学的有

    意差は認められなかった。結果を以下の表 8.1.6.3.10-2 及び表 8.1.6.3.10-3 に示す。

    表 8.1.6.3.10-2: 6 か月時点におけるステントの完全性の変化

    ステント破断の変化分類 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値*

    破断グレードの上昇 2/104(1.9%) 0/49(0.0%) 1.000

    同等の破断グレード 102/104(98.1%) 49/49(100.0%) * 数値は 該当者数(%)、離散変数の P 値は Fisher の直接確率検定による。

    表 8.1.6.3.10-3: 12 か月時点におけるステントの完全性の変化

    ステント破断の変化分類 レーザ+PTA 群* PTA 単独群* P 値*

    破断グレードの上昇 1/78(1.3%) 3/38(7.9%) 0.1022

    同等の破断グレード 77/78(98.7%) 35/38(92.1%) * 数値は 該当者数(%)、離散変数の P 値は Fisher の直接確率検定による。

  • 231 / 255

    8.1.6.4 治験期間における予測できない副作用 治験期間中に、両群において予測できない医療機器による副作用は報告されなかった。

    8.1.6.5 治験期間における重篤な有害事象 本試験にて術後 12 か月までに発生した重篤な有害事象(ITT 集団)については、事象別発生率を表

    8.1.6.5-1 に、重篤な有害事象(死亡のみ)の要約を表 8.1.6.5-2 に示す。 レーザ+PTA 群(170 例)において 1 件以上の重篤な有害事象が発現した例数は 117 例(68.6%)、発現

    件数は 235 件であった。主な内訳は、標的病変の再狭窄(46 例)、標的病変の完全閉塞(29 例)、非標的肢の跛行(21 例)、手技中の閉塞(15 例)であった。

    PTA 単独群(82 例)において 1 件以上の重篤な有害事象が発現した例数は 56 例(68.3%)、発現件数は 131 件であった。主な内訳は、標的病変の再狭窄(23 例)、標的病変の完全閉塞(13 例)、非標的肢の跛行(10 例)であった。

    重篤な有害事象の発生率に関して、いずれの事象においても両群間に統計学的な有意差は認められな

    かったことから、レーザ+PTA 治療において特有の事象発現傾向はないと考えられた。

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    表 8.1.6.5-1: 術後 12 か月までの重篤な有害事象の事象別発生率(ITT 集団)

    事象名 レーザ+PTA 群*

    N=170 PTA 単独群*

    N=