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ネギシ 岸 知 トモヨ ハセガワ 谷川 雅 マサコ クロダ 田 かをり 略 歴 1999 年 「日米コモンアジェンダ( 地 球 的 展 望に 立った協力のための共通課題)」の枠組 みのもと、地球規模課題の解決に取り組 む企業、政府、市民社会組織(CSO) の連携を推進するため、当法人の母体と なるCSO 連絡会が誕生。 2004 年 CSO ネットワークと改名。貧困をなくすた めのグローバルキャンペーンへの参加、 市民社会に関する調査・研究をおこなうと ともに、企業の社会的責任( CSR )の推 進、民間による開発支援の調査、企業と NPO・NGO 等異なるセクター間の連携 の促進にも積極的に取り組んできた。 2011 年 法人格を取得し、一般財団法人 CSOネッ トワークとなる。 ( 一般財団法人 CSO ネットワーク ) グローバル企業は途上国の社会課題にどう取り組んでいるか? ~ 企業の社会貢献活動や BOPビジネス等に関する調査より~ The research of corporate philanthropy and BOP business for the social issues in developing countries. Private flows to developing countries from OECD DAC countries have been growing since the first half of the 1990s, which significantly exceed public flows including Official Development Assistance. Various private actors have given impacts on developing countries when addressing social issues. Based on our interviews, this paper discusses how private companies try to address social issues in developing countries in terms of philanthropic activities and BOP/inclusive business. We conducted interviews with nine companies which were selected based on top 50s of ‘CSR Corporate Guide’ by sector by Toyo Keizai Inc, and corporates’ annual reports and sustainable reports. The result shows that the amount of money they spent in philanthropic activities in developing countries was much more than we expected. The companies understand social issues in various ways and address the issues using their technology and management know-how. They also cooperate with other sectors including local, international and Japanese NGO/NPO. Projects implemented included education, advocacy and empowerment, and also aimed at achieving sustainable development. Some companies try to evaluate social aspects of their activities. This 1

1999年 「日米コモンアジェンダ(地球的展望に ハセガワ マサコ ... · 2015-07-09 · of the social aspects of philanthropic activities and BOP/inclusive business

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根ネ ギ シ

岸 知ト モ ヨ

長ハ セ ガ ワ

谷川 雅マ サ コ

黒ク ロ ダ

田 かをり

略 歴1999年 「日米コモンアジェンダ(地球的展望に

立った協力のための共通課題)」の枠組みのもと、地球規模課題の解決に取り組む企業、政府、市民社会組織(CSO)の連携を推進するため、当法人の母体となるCSO連絡会が誕生。

2004年 CSOネットワークと改名。貧困をなくすためのグローバルキャンペーンへの参加、市民社会に関する調査・研究をおこなうとともに、企業の社会的責任(CSR)の推進、民間による開発支援の調査、企業とNPO・NGO 等異なるセクター間の連携の促進にも積極的に取り組んできた。

2011年 法人格を取得し、一般財団法人CSOネットワークとなる。

(一般財団法人CSOネットワーク)

グローバル企業は途上国の社会課題にどう取り組んでいるか?~企業の社会貢献活動やBOPビジネス等に関する調査より~

The research of corporate philanthropy and BOP business for the social issues in developing countries.

Private flows to developing countries from OECD DAC countries have been growing since the

first half of the 1990s, which significantly exceed public flows including Official Development

Assistance. Various private actors have given impacts on developing countries when addressing

social issues. Based on our interviews, this paper discusses how private companies try to address

social issues in developing countries in terms of philanthropic activities and BOP/inclusive

business.

We conducted interviews with nine companies which were selected based on top 50s of ‘CSR

Corporate Guide’ by sector by Toyo Keizai Inc, and corporates’ annual reports and sustainable

reports. The result shows that the amount of money they spent in philanthropic activities in

developing countries was much more than we expected. The companies understand social issues

in various ways and address the issues using their technology and management know-how. They

also cooperate with other sectors including local, international and Japanese NGO/NPO. Projects

implemented included education, advocacy and empowerment, and also aimed at achieving

sustainable development. Some companies try to evaluate social aspects of their activities. This

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enables the companies to understand their achievements and points to be improved. Evaluation

of the social aspects of philanthropic activities and BOP/inclusive business might create a new indicator or rules which contribute to development assistance.

1. はじめに

 1990年代以降、経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)諸国から途上国へ流れる民間資金 1の規模が増加した。経済危機の影響を受けてその額が減少した年はあるものの、2000年代には顕著な増加を見せ、現在はおよそ5,000億ドルと、政府開発援助(ODA)等の公的資金を大きく上回っている。この民間資金の増大は、途上国の社会課題への取り組みに大きな影響を及ぼし、新たなアクターの出現は開発支援に質的な変化を生じさせている。本稿では、この新たな開発アクターの中でも中心的な役割を期待されている民間企業に焦点をあて、インタビュー調査をもとにその規模や質的特徴について論じる。 民間資金に含まれる「企業および NGO 等の資金供与」、つまり民間の開発援助資金は、民間資金全体に占める割合は小さいものの、2000 年代に入ってから著しく増加している。DAC 諸国全体では、2000 年には101 億ドルだったが、2010 年には321 億ドルと3 倍にまで増加した(図 1)。このうち大部分を占めるのは米国で、2010 年の資金規模は全体の約 7 割の236 億ドルであった。日本も2000 年の2 億6,600万ドルから2010年には7億4,000万ドルにまで増加した(図2)。その後、東日本大震災が発生した2011年は4億9,200万ドルに減少している。 これらOECD の数値データは各国政府からの報告をもとに作成されているが、特に財団等の資金規模の大きい米国では、実際より過小評価されているのではないかとかねてから指摘されてきた。途上国に流れる民間資金のデータ整備において先駆的な役割を果たしている米国ハドソン研究所グローバル・プロスパリティ・センターでは、The Index of Global Philanthropy and Remittancesを発行し、民間による開発援助資金の資金規模を発表している。調査はDAC 諸国の民間組織に協力を仰いでおこなわれ、CSOネットワークは2011年度、2012年度と調査に参加2、日本の民間セクター(財団、NGO、民間企業)から途上国に流れる開発援助資金の規模推計を試みた 3 。企業の社会貢献活動費については、日本経済団体連合会(以下、経団連)社会貢献推進委員会と1%(ワンパーセント)クラブが 1991 年から毎年度、会員企業を対象に「社会貢献活動実績調査」をおこない、企業の社会貢献活動の動向を分析している。しかし、活動の対象地域に関する設問は設けられておらず、既存の調査からは途上国向けの社会貢献活動費の資金規模把握は難しい。  CSOネットワークでは、このような状況に鑑み、2013 年から2014 年にかけて企業の社会貢献活動および事業を通じた社会課題解決の取り組みについてインタビュー調査をおこなった。本稿では企業 9 社へのインタビューで明らかになった企業の社会貢献活動費に占める途上国向け支出の規模を示すと 

   

1 この民間資金には、直接投資、証券貸付、民間輸出信用、企業およびNGO等の資金供与が含まれる。

2 2013年度のデータをまとめた2014年版は発行されず、次回は2015年発行予定。

3 助成財団とNGO については既存のデータをもとに集計をおこなった。このほかに、ボランティア時間を経済価値に換算した数値も参考データとしている。

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ともに、企業の社会貢献活動および事業を通じた社会課題解決の取り組みの質的な側面に迫ることを試みる。資金規模については、現状把握と推計値の算出に向けたひとつの道筋を示すにとどまるが、各社の事例を深く掘り下げることで、企業による社会課題解決の取り組みがどのように進められ、また現地社会にどのようなインパクトを及ぼしているかを明らかにする。これをもって途上国の社会課題解決において企業が果たしうる役割、そしてプロジェクトの実施および社会性評価における企業とNGO/NPOとの連携の可能性を示すことを試みる。

2. 調査手法

 調査ではまず、東洋経済「社会貢献支出額ランキング」(2011 年度)上位 50 社 4 について、各社の年次報告書や CSRレポート、さらに東洋経済新報社『CSR 企業総覧』を用いて途上国における活動を調べ、業種の多様性に考慮した上で、途上国での社会貢献活動を活発におこなっている企業、また

図1 途上国に流れる民間の開発援助資金

 

図2 日本から途上国に流れる民間の開発援助資金

 

 

   

4 東洋経済オンライン http://toyokeizai.net/articles/-/12599

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ユニークな取り組みをおこなっている企業を抽出した。さらに近年は、事業を通じて途上国の社会課題解決に取り組んでいる企業も数多く見られることから、これらの事例も注視しながら、インタビュー対象計9社5を絞り込んだ。

3. 途上国における企業の社会貢献活動費の規模推計

 調査対象企業9社の途上国における社会貢献活動支出額合計は、67.49億円であった6。各企業の社会貢献活動支出総額の合計は353.7 億円であり、途上国向け支出の合計額が総額合計に占める割合は19.1%となった。この途上国向け支出額は、上記経団連「社会貢献活動実績調査」を利用して推計できる支出規模、2011年度36.9億円、2012年度35.42億円、2013年度31.23億円に比べると、予想以上に大きな数字であった(表1参照)。

表1経団連 社会貢献推進委員会・1%クラブ

「社会貢献活動実績調査」を用いた途上国における社会貢献活動費推定額

調査対象企業数 社会貢献活動費総額 国際交流分野の割合 推計金額

2011年度 431社 2460億円(うち震災関連 860億円) 1.5% 36.9億円

2012年度 397社 1771億円(うち震災関連 143億円) 2.0% 35.42億円

2013年度 360社 1735億円(うち震災関連 127億円) 1.8% 31.23億円

経団連「社会貢献活動実績調査結果2011年度~2013年度」をもとに著者推計。

 上記推計金額は、調査回答企業の社会貢献活動費総額に、国際交流分野の割合を単純にかけ合わせたものである。これは、国際交流分野に、途上国向け社会貢献活動の多くが分類されているとの前提に立った推計であるが、今回の調査対象企業 9 社の総額だけでもこの推計額の 2 倍前後の金額に達していることから、他の活動分野にも多くの途上国向け資金が含まれていることが実証されたと言える。実際、事例報告を含む「2012年社会貢献活動実績調査」では、328社による1006の事例中、73ケース(約 7.3%)が途上国支援の活動であり、そのうち国際交流分野に位置づけられていたのは34 ケースと半分以下にすぎなかった。他の分類分野として多かったのは、教育(35 ケース)、環境

(20ケース)、社会福祉(19ケース)等であった7。 各社の社会貢献活動費総額に占める途上国向け支出の割合は、0.11%~ 100%と広く分かれた

(平均 29.3 、標準偏差 39.9)。途上国での操業が多い資源系企業、世界各地に拠点を抱える商社、

 

   

5 トヨタ自動車株式会社、国際石油開発帝石株式会社、三菱商事株式会社、損害保険ジャパン日本興亜株式会社、東レ株式会社、株式会社リコー、キリン株式会社、武田薬品工業株式会社、イオン株式会社(インタビュー実施順)。このうち東レ株式会社は文書による回答。

6 企業によりデータの年度が異なり、2011年度〜2013年度とばらつきがある。

7 事例調査の分野分類は複数回答。活動報告書ではひとつの分野に分類されるので、国際交流分野に位置づけられる事業はより少なくなることが予想される。

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新興国に多くの工場や市場を持つ企業は、途上国向け支出の割合が高くなる傾向が見られた。また、社会課題に社会貢献活動としてではなく本業で取り組んでいる企業では、支出割合が低くなる傾向も見られた。途上国における企業の社会貢献活動費は、その業種、事業内容、事業展開の場所等によって大きく異なってくるものと考えられる。 上記「2012 年社会貢献活動実績調査」事例調査では、四分の三以上の企業が途上国での社会貢献活動を事例に掲げておらず、途上国向け社会貢献は一部のグローバル企業だけのものとも考えられる。一方、東洋経済新報社の社会貢献支出額ランキングにおける上位 50 社の支出額総計は、上記

「実績調査」による397 社の総額の四分の三を上回っており、社会貢献支出の多くがグローバル展開を果たしているような一部の大企業によって担われていることが読み取れる。すなわち、途上国向け社会貢献支出の大半はこれらのグローバル企業によって担われていると考えることができるだろう。 今回の調査結果を踏まえて、仮に途上国における企業の社会貢献活動費を推計するとするならば、グローバル企業がその多くを占める社会貢献支出額上位 50 社の総額 1340 億円に、今回明らかになった途上国向け支出割合 19.1%を掛け合わせた額 255.94 億円を推定可能な数字として挙げる。この推計額は、データの絶対的少なさゆえあくまで参考としての数字であり、より広範な調査による正確な推計を今後の課題としたい。

4. 途上国における企業の社会課題解決の取り組み事例

 インタビュー対象 9 社は、それぞれ社会課題解決に寄与するプロジェクトを多数おこなっているが、その中から途上国の事例についてインタビューを実施した。各社の取り組み事例は次の通り。

表2 途上国における社会課題解決の取り組み事例

企業 課題 国 実施内容 実施主体/パートナー 実施方法

トヨタ自動車 地域の環境改善 マレーシア高校での環境改善プロジェクトの企画・推進

UMWトヨタ自動車

ワークショップの実施、プロジェクトへのアドバイス、プロジェクト費用の提供、優秀校への賞金授与

マレーシア環境省、教育省、各州の教育部局

ワークショップおよびプレゼンテーション参加費用の負担

国際石油開発帝石

地域の持続的発展 インドネシア 有機農法の教育

訓練

国際石油開発帝石

資金提供、プロジェクト全体の運営

現地NGO トレーニングの実施

インドネシア政府 農地の選定

三菱商事 農村部の生活改善 インド

外灯の寄贈、能力開発センターの建設、能力開発プログラムの支援

本社、現地事務所 資金提供

現地財団外灯の設置、能力開発センターの運営、プログラムの実施

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企業 課題 国 実施内容 実施主体/パートナー 実施方法

損保ジャパン日本興亜

気候変動による被害の軽減 タイ 天候インデックス

保険

損保ジャパン日本興亜タイランド

商品開発・販売、説明会の実施

タイ農業協同組合銀行、タイ気象庁

販売、説明会の実施

生活基盤が脆弱な農業従事者のリスク軽減

インド マイクロインシュアランス

ユニバーサルソンポ

家畜保険、医療保険等の販売

マイクロファイナンス機関、NGO

販売

東レ 安全な飲料水の確保

インド、インドネシア 飲料水供給

東レ・トレビーノ基金

井戸・雨水タンクの設置、パイプラインの敷設(資金、技術の提供)

日本水フォーラム プログラムの運営

現地NGO維持管理のためのトレーニング、教育・啓発活動、フォローアップ

リコー

教育環境および質の改善 インド 印刷機を活かし

た教育支援

リコー印刷機の寄贈、使い方のトレーニング、教材・テスト作成指導、情報共有

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

学校の運営基盤の強化、コミュニティを巻き込んだ教育支援の仕組みづくり

農村部の持続的発展 インド 起業家の育成、

支援

リコー 起業家の発掘・事業化に向けた支援

現地の社会企業候補者に対する研修、店舗オーナーへの定期的なトレーニング

キリン

教育環境の改善 スリランカ 図書の寄贈キリン 資金提供現地財団 図書の選定

生物多様性保護、農園の持続可能性確保

スリランカレインフォレスト・アライアンス認証取得支援

キリン トレーニング費用の提供レインフォレスト・アライアンス 農園に対するトレーニング

武田薬品工業 保健医療アクセス改善

4カ国 武田薬品工業 資金提供

インドネシア 屋外排泄ゼロの村 プラン・ジャパン

住民ファシリテーターの育成トレーニング、ワークショップ、モニタリングフォローアップ

中国 栄養改善プロジェクト プラン・ジャパン

栄養に関する小冊子の支給、食材・調理機材の支給、栄養ト健康に関するトレーニング

フィリピン 子どもの医療支援 プラン・ジャパン

診察、治療、入院、手術の支援、医療補助器具の支援

タイ HIV/AIDS 感染拡大予防 プラン・ジャパン 正規授業、課外授業での

包括的性教育

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企業 課題 国 実施内容 実施主体/パートナー 実施方法

武田薬品工業 三大感染症対策 アフリカ3カ国 保健医療人材の育成支援

武田薬品工業 資金提供

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)

資金調達、供与

各国の実施主体 プログラムの実施

イオン 地域の持続的な発展

カカオ豆、コーヒー豆生産地

フェアトレードイオン フェアトレード商品の

開発・販売

国際フェアトレードラベル機構

認証・監査・ビジネスサポート

トヨタ自動車株式会社 トヨタ自動車の「トヨタエコユース」は、マレーシアの UMWトヨタ自動車の環境衛生部と品質管理部の社員が高校生を対象とするワークショップで環境問題の発見および問題解決手法を教授し、各校での環境改善プロジェクトの企画・実施を支援するプログラムである。プロジェクトの実施過程では視察やアドバイスもおこない、終了後は成果の審査、優秀校への表彰もおこなっている。同プログラムは、マレーシア教育省がその教育的価値に注目して協賛しており、マレーシア各州の教育部局を通じて参加候補校が選抜されている8 。同プログラムは 2001 年に開始し、学校内の環境問題に焦点を当てていたが、2011 年からは学校に限らず周辺のコミュニティの環境問題も対象とし、コミュニティを巻き込んだ環境改善プロジェクトが実施されている。コミュニティの課題解決は住民にとっても有益であり、住民は生徒が企画したプロジェクトを支援しているという。またプロジェクト終了後は住民が活動を継続しているということである。成果として、若い世代の環境保全に対する関心が高まっていることが挙げられた他、2011 年から開始した認知度調査で、競合他社の活動よりも高い認知度を獲得しているということであった。

国際石油開発帝石株式会社(INPEX) INPEXはインドネシアで、オペレーターとして手がけるアバディLNGプロジェクトの周辺島嶼地域の農村を対象に有機農法の教育訓練を実施している。同地域では農作物の生産が十分におこなわれていないこと、農業に関する知識や技術の欠如により肥料や農薬の過度の使用が問題となっていることが事前調査で明らかになったことから、現地のバンドン工科大学の卒業生や学生で構成される起業家支援のNGO 、Ganesha Entrepreneur Club(GEC)をパートナーとして有機農法の教育訓練プロジェクトの実施が決定した9 。INPEXはスポンサーとしてプロジェクト全体の運営に関わる他、実施主体のGECから提出される報告書をもとに状況のモニタリングや評価をおこなっている10 。プロジェクトの結果として、生産性の向上、コスト削減、品質の向上に加え、焼畑農業などからより持続的な農法へのシフト、自然な

 

   

8 これまでに参加した高校は160校以上にのぼる。

9 有機農法を利用して育てているのは、ケール、コラード(ケールの一種)、トウモロコシ、ピーマン、トマトなど。

10 ジャカルタのINPEXスタッフはプロジェクト地域を定期的に訪問する

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食物連鎖の形成、農薬を使用しないことによる健康リスクの軽減といった環境面や健康面での成果も得られているということである。またトレーニングを受講した農民がその後メンターとして別の農民に有機農法を指導するなど自立支援にもつながっている。

三菱商事株式会社 三菱商事は、2006 年 3月にインド東部・オリッサ州の州都ブバネシュワールに事務所を開設したことを契機に、同国のスワミナタン財団 11を社会貢献活動のパートナーと位置づけ、プログラムを開始した。2006年度はオリッサ州コプラット地域の無電化村に外灯200基を寄贈、2007年度は少数民族能力開発センターを建設している。その後、スワミナタン財団が推進する農業および農業支援活動を支援し、農民の生活レベルの向上や農業発展に寄与することを目的に、2008 年度から複数年にわたり資金提供を実施することが決定した。2008 年度は少数民族トレーニング開発プログラム支援として、①土地の効果的利用、②水資源マネジメント、③生計向上、村のレベル向上促進、という3分野の能力開発をおこなうプログラムを支援した 12 。支援対象については、年度毎にスワミナタン財団からのプロポーザルを受け、現地での協議・審査、本店での承認という過程を経て決定している。これらのプログラムにより、地域住民の農業生産性および所得の向上が見られるという。

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 損保ジャパン日本興亜グループは、2010年からタイ東北部で稲作農家を対象とした「天候インデックス保険」を提供している。この保険は7月単月と8月・9月の2つの期間を対象に、タイ気象局が発表する累積降水量が一定値を下回った場合に一定の保険金が支払われるという商品である13 。販売は、タイ農業協同組合銀行(BAAC)のローン利用者向けにBAACを通じておこなっている。BAACは公的な金融機関で、農村部でのマーケットシェアは80%を超えており、農民からの信頼性、知名度、農民への影響力という点で販売パートナーとして最適の存在であるという。また、タイの農業従事者の間では保険に対する認識が乏しいため、損保ジャパン日本興亜タイランドは商品の販売にあたってBAACと共同で保険の説明会を開催している。「天候インデックス保険」は、干ばつによる経済的被害から農民の生活を守る商品として、その開発や販売の取り組みが評価され、2010年9月にタイ総理大臣賞を受賞している14。

 

   

11 スワミナタン財団は、インドの「緑の革命」の父とされるスワミナタン博士が1988年5月にニューデリーに設立した財団で、環境に優しい持続可能なかたちで生産性の向上を目指す農業を提唱し、農業分野の調査研究や少数民族向けのトレーニングなどをおこなっている。

12 ①は生産性の向上を目指した農業、天然資源、作物栽培に関する教育、②は各コミュニティベースでの水資源の管理と利用法の教育、③は苗木栽培、プランテーション、薬用植物などの栽培商業化についての教育や、農産物のバリューチェーン研修、識字教育で構成されている。

13 販売はKhon Kaen県からスタートし、現在は17県に拡大している。

14 東北部の一部の地域では、2012年に干ばつが発生し、多くの加入者に対して保険金が支払われた。

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 また、インドでは 2007 年 1 月にインド国営銀行 2 行を含む銀行団などと共同でユニバーサルソンポ(USGI)を設立し、2008 年 2月から同国でマイクロインシュアランス15 の提供を開始した 16 。USGI が提供するのは家畜保険、火災保険、傷害保険、医療保険などで、提携銀行がインド全土に持つ約 6,600の支店網を通じて販売がおこなわれている。生活基盤が脆弱な農業従事者にとっては保険が病気や家畜の死亡、火災などに対するリスクの軽減手段となり、銀行からの融資やそれに基づく農業への投資の後押し、収穫効率の向上などといった好循環を生み出し、結果的に融資の回収に役立つという面もあるということである。

東レ株式会社 東レ・トレビーノ®基金は、安全な飲料水の確保や住民の衛生に関する理解の促進を目的として、途上国の水と衛生問題に取り組む特定非営利活動法人日本水フォーラム(以下、日本水フォーラム)の支援を通じて、2010 ~ 2012 年度にかけてインドとインドネシアで飲料水供給プロジェクトを実施した。インドのプロジェクトでは井戸の設置、インドネシアのプロジェクトでは小学校への雨水利用タンクの設置がおこなわれた。両プロジェクトとも、井戸や雨水タンクの設置のみならず、維持管理のためのコミュニティへの働きかけや、教育・啓発活動を実施しており、コミュニティ開発の視点を含んだプロジェクトであった。プロジェクトの成果として、(女性や子供の)水の確保に費やす時間の短縮、教育機会の増加、安全な水の利用に関する認識の向上、疾病等の削減があげられる。

株式会社リコー リコーは公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下、SCJ)と協働でインドにて、地域の教育環境の改善を目指すプログラムを実施した。プログラムは、2011 年 5月からインド南部のアンドラ・プラデシュ州でおこなわれ、まず対象地域にある学校 60 校のうち、各地域の核となる20の学校・教育機関にリコーから印刷機が寄贈された。その後3年間かけて、リコーによる教員への印刷機の使い方のトレーニングの他、SCJによる学校運営委員会や教員、コミュニティへの啓発活動や能力強化、子どもクラブの活動支援や、教育関係者間のネットワークの構築支援といった活動が展開された。印刷機の導入と研修は授業の質の向上のみならず、学校・保護者・行政の間の情報共有の促進をもたらし、さらに学校運営委員会 17 の活動が活発になるなど学校の運営面でも成果も現れた。プログラムの成果に関するSCJによる評価報告では、対象地域の就学率は81%から88%に向上し、対象校の出席率(6年生)は84%から90%に上昇するなど数字上でも変化が表れたという。 さらに、北東部ビハール州の村では、現地の社会企業 Drishtee18をパートナーとして、起業家候補者 

   

15「マイクロインシュアランス」とは、一般に通常の保険への加入が困難な低所得者層向けに設計された低価格の保険のことを指す。

16 これはインドで国営銀行と民間保険会社が連携する初めての事例であった。インドでは政府が保険会社に対して農村部とソーシャルセクターへの保険の販売を義務づけており、これがマイクロインシュアランスに取り組むきっかけになったということである。

17 保護者、先生、地域住民、子どもたちで構成される。

18 Drishteeは、IT 企業として e-governance 事業(農村の行政窓口)を手がけている他、2005年からは農村の貧困削減につながる事業を実施し、サプライチェーンの改善、物流ネットワーク構築、起業家育成などに取り組んでいる。これまでに小売店などを営む16,000人の起業家を育成したということである。

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の育成およびビジネスの支援をおこなう「BOPプロジェクト」を実施している。プロジェクトでは、これらのショップを経営したいと考える起業家を発掘し、トレーニングをおこなった上で、店舗の開店を支援している。これまでに「写真プリントショップ」と「ウーマンショップ」が実現し、2014 年 8月までに22の店舗が開店した19。

キリン株式会社 キリンは、「キリンライブラリー設立」と「レインフォレスト・アライアンス認証取得支援」の 2 つから成る

「スリランカフレンドシッププロジェクト」を実施している。前者は、スリランカ紅茶農園付属の学校向けの図書寄贈活動で、第1期の2007~2011年にはのべ18校への寄贈がおこなわれた20 。第2期の2012年から5 年間では年間約 20 校、のべ 100 校への寄贈を計画中である。「レインフォレスト・アライアンス認証」は、環境、社会、経済の3つの側面の持続可能性をサステナブル・アグリカルチャー・ネットワーク21

の基準に照らし合わせ、レインフォレスト・アライアンス22が独立した立場で監査し保証する国際的な認証制度である。キリンがおこなっているのは、認証を得るためのトレーニング費用の支援で、資金はレインフォレスト・アライアンスを通じて認証取得に興味を持った農園に渡されトレーニングに使用される23 。レインフォレスト・アライアンス認証取得支援は、スリランカの農園にとっては持続可能な農園運営とそれによる付加価値の向上、さらに生活環境や教育環境の向上という点でメリットがある。一方、キリンにとっても原料の調達先である農園の持続性が向上することによって、良質の紅茶葉が安定的に供給されるというメリットがある。

武田薬品工業株式会社 タケダは、同社が事業を展開しているアジア4カ国において、公益財団法人プラン・ジャパン(以下、プラン・ジャパン)をパートナーに「タケダ- Plan 保健医療アクセス・プログラム」を実施した。2009 年に開始した4カ国でのプロジェクトは、現地が抱える課題に対応するかたちで進められた。同プログラムは、タケダが取り組む初めての戦略的な寄付プログラムであった。それゆえにパートナーとなるNGO/NPOを選ぶにあたり、アカウンタビリティ、そして、それを担保するガバナンス体制を重視したという。プラン・ジャパンは、プランのグローバルなグループ・ガバナンスの下、4カ国の現地事務所との円滑なコミュニケーションを通じて、随時、プログラムの実施状況や、活動報告書の作成状況を確認することができる。そこで、タケダは、必要な情報を必要なときに、しかも日本語と英語で、プラン・ジャパンから得ることができた。同プログラムについては、インプット(資金規模)、アウトプット(対象と事業内容)、アウトカム(成果)、インパクト 

   

19 リコーは、こうした店舗の運営をサポートしながら、彼らのビジネス発展に寄与するリコーとしての商品・サービスを検討しており、農村部におけるリコーとしての新たなビジネスモデルの構築を目指している。

20 寄贈の内容は、各校に本棚1台、図書を年100冊程度である。

21 サステナブル・アグリカルチャー・ネットワーク(Sustainable Agriculture Network:SAN)は、非営利の環境保全/地域開発団体の連合で、社会的・環境的な基準を作成することにより、効率的な農業、生物多様性の保全、持続可能な地域開発を推進している。

22 生物多様性の保護と人々の持続可能な生活の確保を使命として活動する国際的な非営利団体。

23 認証の取得にはレインフォレスト・アライアンスによる監査も必要となるが、監査費用については資金提供をおこなっていない。これにより監査費用を自ら負担してでも認証を取得したいという意欲のある農園のみがトレーニングを受ける。このことが農園の自立を促すことにもつながるということである。

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(波及効果)がアニュアルレポートで公開されている24。 また、タケダは世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)25を通じてアフリカ3 か国 26

の保健医療人材の育成を支援する寄付プログラム「タケダ・イニシアティブ」を2010 年 3月に立ち上げた。ここには、グローバル製薬企業としてミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた国際的なプラットフォームに参画するという意図があった。寄付額は10億円(年間1億円、2010年から10年間にわたって支援)で、民間企業としてはシェブロンに次いで2社目の寄付者である。

イオン株式会社 イオンは2004 年からコーヒーやチョコレートなどのフェアトレード 27 認証商品を開発・販売している。主にイオンのプライベートブランド「トップバリュ」の商品として進められており、2010 年には日本で初めて国内製造のフェアトレード認証チョコレートも発売している。商品には「FLO 28(国際フェアトレードラベル機構)」が発行する国際フェアトレード認証ラベルが付されており、国際的に信頼性の高い認証を得ていることが示されている。FLOの仕組みの中には、商品に対する適正価格の支払いに加えて、生産者の村やコミュニティの生活向上資金のための「プレミアム」金額の上乗せも盛り込まれており、生産者組合によって決められた用途に使用されることによって地域全体の支援にもつながっている。フェアトレード認証カカオの生産者であるドミニカ共和国の小規模カカオ農家の共同組合組織 CONACADO(コナカド)の場合は、山間地域における井戸の設置や学校施設の整備、カカオ豆運搬に必要な道路の整備などに

「プレミアム」資金が使われているということである。また、「トップバリュ フェアトレードコーヒー」についても複数の銘柄が開発・販売されており、2012 年には、フェアトレード基準が守られているかを確認するために、イオンスタッフがコーヒー豆生産者(グアテマラ、コロンビア、タンザニア)を訪問している29。

5. 考 察

 途上国における企業の社会貢献活動および事業を通じた社会課題解決の取り組みについておこなった9 社へのインタビューで明らかになったのは、第一に、企業が多様な側面から社会課題を把握し、それぞれの強みを活かしてその解決に取り組んでいることであった。社会課題の把握は、自社による調査

 

   

24 Takeda Annual Report 2014http://www.takeda.co.jp/investor-information/annual/files/ar2014_jp.pdf

25 世界の三大感染症といわれるエイズ、結核、マラリアに対処するため、途上国の感染症対策を支える資金を提供する基金。2002 年 1 月、スイスに設立された。各国政府や民間団体、企業などから資金を調達し、途上国における三疾病の予防、治療、感染者支援のための事業に資金を提供している。これまでに 140 か国以上での三大感染症対策事業に資金供与を承認している。

26 タンザニア(対象疾病:マラリア)、ナイジェリア(対象疾病:エイズ)、セネガル(対象疾患:結核)。2014年より結核プロジェクトはセネガルからケニアに変更。

27 途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」のこと。

28 Fairtrade Labelling Organizations International

29「フェアトレード・プレミアム」は、グアテマラでは、無料診療所や格安薬局、組合員のための銀行経営に、タンザニアではヘルスセンターの無料診察、中学校の修繕などに使用されていたとのことである。

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(現地政府や地域住民の要望の把握)や NGOとの連携などを通しておこなわれ、また各社とも国際的な開発目標へのコミットメントの重要性を認識し、原料の調達先の持続可能性なども視野に入れていた。プロジェクトの策定と実施においては、自社の技術、ノウハウ、資金力、ネットワークを駆使し、また日本および現地の NGO や社会企業など現地に精通したパートナーと連携していた。そして物品の供与や施設の建設のみならず、現地住民の能力強化やコミュニティを対象とした教育・啓発活動など、当該地域の持続的な発展を視野に入れたものが数多くおこなわれていた。これは、対象地域の持続的な発展こそがビジネスの持続的な発展の前提であるとの認識の表れだと思われる。社会課題解決と企業の成長の両方を目指すビジネスモデルは、今後の展開を含めて注目に値する。 第二に、企業は活動の社会性評価にも取り組んでいた。そこには社員の現地訪問や実施主体であるパートナーからの報告のみならず、計画の策定・実施の各段階でのパートナーとの連携も含まれていた。リコーは、プロジェクト開始前に評価項目を定め、プロジェクトのインパクトを客観的に把握できるよう努めており、インドの教育改善プロジェクトではパートナーのSCJとともに、就学率や出席率、教育関係者間のネットワーク構築などの目標を設定した上で取り組んだ。タケダは、アジア4 か国でのプロジェクトについてインプット、アウトプット、アウトカム、インパクトを公開している。 社会貢献活動の社会性評価は、プロジェクトの実施状況のみならず社会課題解決という観点から達成度や改善点を把握し、継続性や発展性を探る上で重要な取り組みである。また実施においては、NGO/NPOなどプロジェクトにおけるパートナーとも連携し、計画段階からその視点を盛り込むことが必要とされる。これは事業を通じた社会課題解決の取り組みにも当てはまる点であろう。今後は「ポスト2015」等国際的な開発目標を意識した評価により、個々のプログラムを全体の中で位置づけていくことも期待される。 途上国での社会貢献活動および事業を通じた社会課題解決の取り組みは、現地での企業の認知度や信頼性の向上につながるというメリットがあるほか、社員のモチベーションの向上にも役立っているということであった。グローバル企業にとっては、ビジネスを展開する地域で一定の社会貢献をすること、そして国際的な開発目標の達成にコミットすることは社会からの要請でもある。持続可能な社会こそがビジネスの基礎であり、その社会づくりの重要なアクターとしての責任を把握・認識し、社内へ浸透させることが社会貢献活動や事業を通じた社会課題解決の取り組みを促進する上で、重要な要素になるであろう。 社会性評価の導入は、様 な々アクターの連携による開発支援に、共通のルール・指標をもたらす効果も期待できる。社会性評価指標は、近年その必要性が企業や NGO/NPO の間で共有され国際的にも整備が進んでいるが、途上国の真のニーズを反映するかたちで作成・使用されることが求められる。  CSOネットワークでは、社会貢献活動および事業を通じた社会課題解決の取り組みの実施や社会性評価における企業とNGO/NPOとの連携について、今後も検討をおこなっていきたい。

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<参考文献>

(英文)Hudson Institute (2013) The Index of Global Philanthropy and Remittances

Hudson Institute (2012) The Index of Global Philanthropy and Remittances

OECD Stat Extracts  http://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=TABLE1

(邦文)

Takeda Annual Report 2014 http://www.takeda.co.jp/investor-information/annual/files/ar2014_jp.pdf

東洋経済CSRオンライン  http://www.toyokeizai.net/csr/, 2013.7.30

東洋経済新報社 (2012)『CSR企業総覧2013』

東洋経済新報社 (2011)『CSR企業総覧2012』

東洋経済新報社 (2010)『CSR企業総覧2011』

(一社)日本経済団体連合会 社会貢献推進委員会・1%(ワンパーセント)クラブ(2012) 2011年度社会貢献活動実績調査結果  http://www.keidanren.or.jp/policy/2012/070.html

(一社)日本経済団体連合会 社会貢献推進委員会・1%(ワンパーセント)クラブ(2013) 2012年度社会貢献活動実績調査結果  http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/084.html

(一社)日本経済団体連合会 社会貢献推進委員会・1%(ワンパーセント)クラブ(2014) 2013年度社会貢献活動実績調査結果  http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/082.html

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