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1.調査の背景・目的 - METIアフリカのスタートアップによる分野別ビジネス事例 南米の農業大国とアフリカ主要国の輸出入に占める食品の割合の

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

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1.調査の背景・目的

東アフリカ地域における我が国企業の有望分野を調査すると共に、当該有望分野への進出に際しての課題の把握及び支援のあり方について提言を行う

事業の背景

– アフリカは、潜在性あふれる世界最後のフロンティアとして世界各国が注目しており、我が国としても戦略的に市場育成・獲得を考えるべき地域の一つである。

– しかしながら、現況では、アフリカ54カ国でインドと同等の経済規模及び人口であるのに対し、アフリカ全体の面積はインドの10倍であり、この広大な地域を単体で捉えることの限界も容易に推測される。

– アフリカは、市場規模の小さい国の集合体であり、市場規模の小さな各国に大規模な拠点を有することが難しいため、取引の規模と、事業展開をする経営の規模との兼ね合いが難しいという面も見られる。

– 我が国企業のアフリカ進出拠点数が、我が国企業の全世界拠点数の1%未満である事実は、未来を俯瞰して、その将来性に魅力を感じるものの、進出に対しては、二の足を踏んでいる現状を物語っている。

– アフリカへの進出を試みる我が国企業に対し、足がかりとなる拠点国への進出支援と事業環境整備が急務である。

事業の目的

― 日本から比較的アクセスしやすい東アフリカ地域を、我が国企業がアフリカ進出の拠点国になり得ると捉え、当該地域における事業環境を調査することで、我が国企業のアフリカ進出成功例となりうる有望分野を調査すると共に、当該有望分野への進出に際しての課題の把握及び当該課題に対する支援のあり方について提言を行う。

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

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2.調査手法及び概要 (1)有望分野の選定

国家計画での注力産業、主要輸出品、主要輸入品、我が国の代表的直接進出事例の各評価項目をもとに、我が国企業進出に係る有望分野を選定した

評価項目 評価項目の考え方

各国家計画での注力産業• 国家計画において注力産業とされている産業については、今後現地

政府からの支援により発展が期待される。

主要輸出品(対世界)• 世界に対する有力な輸出品は、当該国において入手・利用しやすい、

ないし競争力を持つことが想定され、こうした輸出品に関連した事業は、当該国を起点とする事業展開上、有望と考えられる。

主要輸出品(対日本)• 同様に、日本に対する有力な輸出品は、日本企業にとっては自らが

基盤を有する市場で展開がしやすいため、こうした輸出品に関連した事業は、当該国を起点とする事業展開上、有望と考えられる。

主要輸入品(対日本)• 日本からの代表的な輸入品は、現地において需要の高い日本製品と

考えられることから、こうした輸入品に関連した事業は、当該国を起点とする事業展開上、有望と考えられる。

我が国の代表的直接進出事例• 我が国企業が既に進出している事業に関する産業については、我が

国企業が現地において競争力を発揮しやすいと想定されることから、当該国を起点とする事業展開上、有望と考えられる。

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2.調査手法及び概要 (1)有望分野の選定

国家計画での注力産業、主要輸出品、主要輸入品、我が国の代表的直接進出事例の各評価項目をもとに、我が国企業進出に係る有望分野を選定した結果、ケニアにおいては車・二輪(部品含)、ICT、農業が我が国企業進出に係る有望分野として選定された。

選定された3つの分野ごとに、進出企業の課題に加えて、調査対象国が直面する社会課題に着目し、こうした課題の解決に資する日本の官民によるアプローチ方策について検討を行った。

車・二輪(部品含)

ケニアでの我が国の自動車等への需要は高いが、裨益は中古車業者に集中。従業員への生産性向上のためのカイゼン活動支援以前に、新車へのニーズが低いことから工場の稼働率向上自体が課題。

社会課題解決と新車ニーズの増加による日本企業裨益を狙って、EVやICTを活用した新交通サービス分野への支援が必要。

ICT

既にケニアでは、社会課題の解決に資するICT関連サービスが広く展開されている。日系起業家も進出しつつあり、進出支援による裨益効果は出やすい。

社会課題の解決に資するICTサービスの開発や、実証実験等を中心とした協力が、特にICT分野では有望と考えられる。

農業

農業生産性向上や加工産業育成が課題であるなか、農業ICTの活用が有望。ICT機能搭載農機の展開など、中国企業等との競争に巻き込まれにくく日本企業に裨益しやすい領域での支援が重要

進出有望分野で挙げた各分野とも、ICTの活用による高付加価値化により日本企業の差別化が発揮しやすい一方、中国の巨大ネット企業と将来的に競合しうる点は注意と対策が必要。

ケニアにおける有望分野を車・二輪(部品含)、ICT、農業として本調査を実施した

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2.調査手法及び概要 (1)有望分野の選定

ケニアと同様に、国家計画での注力産業、主要輸出品、主要輸入品、我が国の代表的直接進出事例の各評価項目をもとに、我が国企業進出に係る有望分野を選定した結果、ルワンダにおいてはICT、農業、エネルギーを我が国企業進出に係る有望分野として選定した。

ICT

ルワンダはジェノサイドからの復興手段の1つとして、ICT分野での投資を過去10年間に積極的に行っている。

今後についても、ICTを通じた企業及び雇用創出、輸出産業の育成、イノベーションの推進を目標としている。

農業

ルワンダ政府は、近代化農業の拡大、農薬の使用、土壌保護の促進など、農業分野の生産性向上につながる取り組みについて、Vision2020で数値目標を掲げ、生産性向上に民間企業からの投資の必要性を位置づけている。

原材料の輸出がメインであるところを、農業向けICTの活用により、生産性や付加価値の向上を図ることが日本企業にとっての有望領域と考えられる。

エネルギー

ルワンダの発電量は2017年で210MW。2023年を目処に512MWへの増強を目指している。また、電力源の多様化や、IPPの活用についても促進している

ルワンダ政府はエネルギー分野での投資機会として、太陽光や小水力を挙げているなか、日本企業による関与案件も既に生まれている。

ルワンダにおいては、有望分野をICT、農業、エネルギーとして本調査を実施した

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2.調査手法及び概要 (1)有望分野の選定

ケニア・ルワンダにおいて、日本企業にとって参入可能と考えられるICTサービスの開発が既に行われている。

ケニア、ルワンダともICT分野が有望であるが、両国では、社会課題の解決に資するICT関連サービスが既に展開されている。日系起業家も両国のICT分野に進出しつつある

国名 社会課題企業・

サービス名サービス内容

ケニア 財政難 「M-Akiba」

携帯電話による電子マネーでのみ購入可能な国債を政府が発行。銀行口座を持たずとも小口からの購入ができるため、幅広い国民から財政的支援を受けられる。得た資金はインフラプロジェクトに活用予定。

ケニア医療アクセスの向上

「Hello Doctor」

電子マネーでの医療費の融資や貯金機能とともに、遠隔医療サービスを提供。利用者はモバイルマネーを使って医療費を貯蓄したり、融資を受けることで、緊急時に遠隔医療サービスを受けることが可能。

ルワンダ 物流難 「Zipline」

米国スタートアップのZiplineが定期商用ドローン物流サービスを実施中。救急時医療品を運搬する。

山岳地帯であり、迅速なロジスティクスが難しいルワンダにおける救急医療品運搬の課題をドローンによって解決しようとしている。

図表2.1. ケニア・ルワンダにおける社会課題解決に寄与するICT関連企業・サービス事例

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2.調査手法及び概要 (1)有望分野の選定

中国3大ネット企業(いわゆるBAT)は、決済サービスを軸に、顔認証技術等を活用して小売・金融・流通・

マーケティングを統合するエコシステムを構築している。こうしたエコシステムは、中国政府による企業への関与が担保されている場合、中国政府の国民統制手段としても極めて有効である。

こうしたネット企業によるエコシステムを活用した国民統制は、最近では「デジタル・レーニン主義」という名前でも呼ばれるが、東部アフリカ諸国は治安対策等によりこの「デジタル・レーニン主義」輸入の潜在的ニーズが高いと考えられる。そのため、今後はインフラ分野だけでなく、ICT分野でも中国による官民連携によるアフリカ進出について注意と対策が今後必要と考えられる。

ICTの活用は、高付加価値化を伴いうる点で日本企業の差別化が発揮しやすい。一方、ICTの活用の際、中国の巨大ネット企業と将来的に競合しうる点は注意が必要

出所) Fung Business Intelligence

図表2.3. 中国アリババ社によるエコシステム

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2.調査手法及び概要 (1)有望分野の選定

ケニア及びルワンダのユーティリティコストを、インドと南アと比べた。非熟練及びブルーカラーの人件費については一定の競争力がある。一方で電力料金が著しく高い

Kenya Rwanda India South Africa 備考

• 管理職• コンサルタント• IT技術者

• 事務• 経理• 営業

• 農業従事者• 石工

非熟練

熟練

事務職営業職

管理職専門職

Type

電気料金(USD per

MWH)

ガソリン価格(USD per litre)

人件費

ユーティリティ

コスト

$40$400$175$50

$510$200

$500$250

$2,600$2,500$1,600$1,500

$152 $183

$69 $75

$1.01 $1.12 $1.07$1.21

• 住宅向け

• ガソリンスタンド• 価格

図表2.4. 人件費及びユーティリティコストの比較(ケニア、ルワンダ、インド、南ア)

出所) Avergae Salary survey, Payscale, Government data on minimum wages

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

2)ケニアの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

4)進出有望分野に対する成果報告・提言

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3.ケニア 1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

Vision2030では、Economic Pillarとして観光・農業・貿易・製造業・BPO/IT・金融・石油/鉱物といった7つの産業分野に注力することを掲げている

Vision2030における注力産業分野 2013年から2017年にかけたフラッグシッププロジェクト(Programmes and Projects for 2013 – 2017)

Tourism

• 次のターゲットの実現 観光客を180万人(2012年)から300万人に増加 観光による収入を960億ケニア・シリングから2000億シリングに増加 宿泊人日を280万から400万に増加 質の高い宿泊施設を3万ベッド増やす

• 次のフラッグシッププロジェクトの実施 Lamu, Isiolo and Lake Turkana Resort Citiesの開発、Coastal Beach Ecosystem Managementの

発展等

Agriculture, Livestock and Fisheries• 次のフラッグシッププログラム/プロジェクトの実施

Consolidated Agricultural Reform Legislationsの実現、Fertilizer Cost Reduction Strategy 等

Trade• 次のフラッグシッププロジェクトの実施

Wholesale hub marketsの建設、Producer Business Groupsの創設 等

Manufacturing• 次のフラッグシッププロジェクトの実施

経済特区(SEZ)の設置、「中小企業及び工業団地」の展開 等

Business Process Outsourcing (BPO),

and IT-Enabled Services (ITES)

• 次のフラッグシッププロジェクトの実施 Konza Technology Cityの設置

Financial Services• 次のフラッグシッププロジェクトの実施

Nairobi International Financial Centre (NIFC)の設置、資本市場の深化

Oil and Other Mineral Resources• 次のフラッグシッププロジェクトの実施

原油や他の鉱物資源の発掘と開発

出所)Vision 2030 Second Medium Term Plan 2013 - 2017

図表3.2. Vision 2030のEconomic Pillarにおける分野別フラッグシッププロジェクト

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3.ケニア 1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

Vision2030の注力産業分野ごとにマッチング度合いを検討すると、農業分野でのマッチング度合いは高く、次いで貿易・製造・ITが高いと考えられる

Vision2030における注力産業分野 日本企業とのマッチング度 日本企業とのマッチング

Tourism 低

• 地理的に日本から遠く、直行便も存在しないため、日本からの観光ツアーの組成には限界がある。

• 日本のホテルチェーンの海外展開は日本人渡航客の多い東アジアを中心に、ハワイ・グアムの太平洋地区、欧米地区に限定されており、アフリカへの日本からの渡航客が少ないアフリカへの展開は見込みが低い。

Agriculture, Livestock and Fisheries 高• 日本への主要輸出品が農産物(茶・コーヒー・花き)であることから、ケニアの農

業分野は貿易面で日本経済と結びつきが強いといえる。• ケニアに対して日本の農業生産技術の展開が可能。

Trade 中• 農産物(日本への輸出)と中古車(日本からの輸入)を中心に日本と一定規模の

貿易関係がある。• 日本企業が得意とする付加価値の高い製品での貿易関係は弱い。

Manufacturing 中• 日本車は現地で人気であり日本製品への信頼度は高い。• 一方、価格面から日本製品の競争力が弱く、品質の高さへの需要も弱い。

Business Process Outsourcing

(BPO), and IT-Enabled Services

(ITES)

中• ケニアはアフリカにおけるスタートアップの集積地であり、技術及び資金面で日

本企業の協力余地が高い。一方、サービス課金に限界がある。

Financial Services 低• 日本企業の集積度合いが低く邦銀の展開が期待できない。資本市場も小規模

のため証券会社の関与も限定的。フィンテックも現地に多数存在。

Oil and Other Mineral Resources 低• 資源採掘がこれからのケニアは、既に質・量ともに資源が確保できる他の

アフリカ諸国と比べて優先順位が下がる。

出所)Vision 2030 Second Medium Term Plan 2013 - 2017

図表3.3. Vision 2030のEconomic Pillarにおける分野別フラッグシッププロジェクト

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3.ケニア 1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

茶・コーヒー類が総輸出の太宗を占め、かつ年平均成長率も高いことから中長期でも有望産業と考えられる。

ケニアから対世界の主要輸出品を確認すると、紅茶、コーヒー、花きが多いこうした品目の付加価値向上につながる事業は有望と考えられる

2007 2010 2013

年平均成長率(2007年~2013

年)

Coffee, tea, mate and spices 870,301,321 1,380,588,854 1,421,943,629 8.5%

Live trees and other plants; bulbs, roots and the like; cut flowers and ornamental foliage

442,149,965 454,540,277 537,984,621 3.3%

Edible vegetables and certain roots and tubers

258,223,429 270,487,391 262,860,967 0.3%

Mineral fuels, mineral oils and products of their distillation; bituminous substances; mineral waxes

176,409,228 218,038,306 218,377,556 3.6%

Plastics and articles thereof 102,725,612 138,875,401 169,346,435 8.7%

Salt; sulphur; earths and stone; plastering materials, lime and cement

119,753,238 137,740,672 165,514,302 5.5%

Tobacco and manufactured tobacco substitutes

127,816,316 135,828,339 161,169,785 3.9%

Iron and steel 106,206,048 130,601,632 151,540,111 6.1%

Preparations of vegetables, fruit, nuts or other parts of plants

109,415,300 120,647,137 151,495,158 5.6%

Articles of apparel and clothing accessories, knitted or crocheted

164,321,754 117,033,313 141,376,437 -2.5%

出所)UN Comtradeより作成

図表3.4. 品目別のケニアから対世界の輸出実績(金額ベース:単位USドル)

注)プラスチック製品の伸びは高いが2017年にケニア国内で製造禁止を政府が発表

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3.ケニア 1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

対世界と同様に、対日本についても茶・コーヒー類が総輸出の太宗を占め、かつ年平均成長率も高いことから中長期でも有望産業と考えられる。

ケニアから対日本の主要輸出品を確認すると、同様に紅茶、コーヒー、花きが圧倒的に多い。日本市場向けにもこうした品目の付加価値向上につながる事業は有望と考えられる

2007 2010 2013

年平均成長率(2007年~2013

年)

Coffee, tea, mate and spices 9,804,629 16,450,435 15,406,876 7.8%

Live trees and other plants; bulbs, roots and the like; cut flowers and ornamental foliage

6,385,081 7,916,061 10,891,151 9.3%

Mineral fuels, mineral oils and products of their distillation; bituminous substances; mineral waxes

- 5 1,074,941 -

Edible fruit and nuts; peel of citrus fruit or melons

234,555 30,013 856,638 24.1%

Copper and articles thereof 81,038 126,217 706,646 43.5%

Manufactures of straw, of esparto or of other plaiting materials; basketware and wickerwork

91,678 180,872 430,580 29.4%

Oil seeds and oleaginous fruits; miscellaneous grains, seeds and fruit; industrial or medicinal plants; straw and fodder

412,953 - 342,554 -3.1%

Raw hides and skins(other than furskins) and leather

- 26,007 328,860 -

Fish and crustaceans, molluscs and other acquatic invertebrates

726,414 128,398 289,791 -14.2%

Aluminum and articles thereof 357,671 537,120 197,794 -9.4%

出所)UN Comtradeより作成

図表3.5. 品目別のケニアから対日本の輸出実績(金額ベース:単位USドル)

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3.ケニア 1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

日本からの代表的な輸入品は、現地において需要の高い日本製品と考えられることから、こうした輸入品に関連した事業は、当該国を起点とする事業展開上、有望と考えられる。

自動車(部品含む)が日本からの輸入の大半を占めることから、現地において競争力が高いといえる。

ケニアから対日本の主要輸入品を確認すると、車両、鉄鋼、工作機械、化学繊維、電気機器などがある。こうした品目は現地において需要の高い日本製品といえる

2007 2010 2013年平均成長率

(2007年~2013年)

Vehicles other than railway or tramway rolling-stock, and parts and accessories thereof

411,024,651 435,439,741 522,423,402 4.1%

Iron and steel 51,824,461 76,724,552 192,651,749 24.5%

Nuclear reactors, boilers, machinery and mechanical appliances; parts thereof

43,962,942 52,236,473 105,449,493 15.7%

Articles of iron or steel 4,784,166 6,468,574 38,690,171 41.7%

Man-made staple fibres 9,151,193 18,018,376 25,054,055 18.3%

Electrical machinery and equipment and parts thereof; sound recorders and reproducers, television image and sound recorders and reproducers, and parts and accessories of such articles

24,431,270 11,983,334 21,851,243 -1.8%

Miscellaneous chemical products 3,603,494 4,048,214 11,072,188 20.6%

Rubber and articles thereof 4,498,413 6,930,583 9,270,643 12.8%Optical, photographic, cinematographic, measuring, checking, precision, medical or surgical instruments and apparatus; parts and accessories thereof

4,188,056 5,685,373 7,770,379 10.9%

Plastics and articles thereof 9,504,069 12,148,528 7,671,014 -3.5%

出所)UN Comtradeより作成

図表3.6. 品目別のケニアから対日本の輸入実績(金額ベース:単位USドル)

注)鉄は伸びが高くVision2030でも掲げられているが現地に鉄資源はない

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

2)ケニアの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

4)進出有望分野に対する成果報告・提言

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3.ケニア 2)ケニアの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

有望分野への進出を希望する(あるいは既に進出している)我が国企業としては、各有望領域での市場の歪みや、市場の拡大に着目し、事業機会を捉えようとしている

出所)ビィ・フォーワード社ウェブサイト

出所)野村総合研究所「アフリカのスタートアップ」(日経産業新聞連載記事)

出所)野村総合研究所「最後の巨大市場アフリカにおける農業ビジネスを核とした新規事業戦略 ICT・金融イノベーションによるバリューチェーン改革」(知的資産創造)

図表3.7. アフリカ向け中古車輸出ビジネスを行うビィ・フォワード社の輸出販売台数・売上高推移

図表3.8. アフリカのスタートアップによる分野別ビジネス事例 図表3.9. 南米の農業大国とアフリカ主要国の

輸出入に占める食品の割合の比較

車・二輪(部品含)分野では、中古車販売会社が伸長の一方、新車の製造進出が足踏みしている。(歪み)

ICT分野では、アフリカで次々と新興企業が新しいICTサービスを生み出している。(拡大)

農業分野では、食品が輸出の基幹品目である一方、輸入の太宗も占めている。(歪み)

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3.ケニア 2)ケニアの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ケニアにおける有望分野ごとに我が国企業は諸課題と機会を認識している

日本企業が把握している原状での課題

車・二輪(部品含)

• 二輪・四輪ともに中古車が市場を席巻しており、新車の販売機会が限定的である。• 部品についても中古品が占有しており、正規のアフターサービスによる部品供給機会を奪っている。• 人件費水準が高い一方、機動的な解雇などの雇用調整は現地政府やコミュニティから反発が強い。• 上記にもかかわらず、現地政府は現地調達比率の向上を現地生産を行うメーカーに求めている。• 組立生産(CKD)を行う際の部品関税が高い水準にある。• 従業員への生産性向上のためのカイゼン活動支援以前に、新車へのニーズが低いことから工場の稼

働率向上が課題である。• 都市部を中心に燃費効率が悪い中古車の影響で大気汚染が深刻な課題であり、また故障による事故

も社会課題である。

ICT

• 通信速度や安定性などは先進国に比べると向上の余地が高い。• 高級なスマートフォンを購入できる層が限定的である。• モバイルマネーの利用率が高く、携帯を活用した新しいICTサービスが新興企業等から次々と誕生し

ている。• BtoBビジネスにおけるICT活用はBtoCに比べると限定的である。

農業• 生産性が低く、収穫量が一定せず、天候や労働力に依存している。• 加工産業が発展しておらず、原材料の輸出がメインである。• 農業セクターの購買力が低く日本の農機具が活用できない。

出所)各種ヒアリングをもとに作成

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3.ケニア 2)ケニアの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ケニアの社会課題の解決を糸口に、車・二輪(部品含)への進出が検討されうる具体的には、EVやICTを活用することで、中古製品と差別化した進出が可能と考えられる

都心部へのアクセス性の低さ

交通事故の急増

深刻な渋滞

深刻な大気汚染

ICT(携帯アプリ等)を活用した

新交通サービス

安全運転支援機能付車両

EV導入(バス、二輪車含む)

EVを活用したライドシェア

オンデマンドバス

自動運転無人運転

ビックデータ分析による渋滞・事故要因の可視化

ケニアの社会課題 課題に対応するアプローチ案

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3.ケニア 2)ケニアの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ケニアはスタートアップの集積地になりつつあり、政府もICT産業の振興を図っている。こうした点は日本企業にとってチャンスの可能性がある

スタートアップと投資家のマッチングサイト「AngelList」からケニアのスタートアップを検索すると683の企業が登場する。

多数のスタートアップが存在する一方、政府の貸出金利規制により現在資金調達に悩むスタートアップが多いとのこと。(African Business誌2017年5月3日報道)

Konza Technopolisは昨年11月に最初のビルの建設が始まった段階。

図表3.10. 「AggelList」でのケニアのスタートアップの検索結果 図表3.11. Konza Technopolisのイメージ図

出所)Konza Technopolis資料

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

2)ケニアの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

4)進出有望分野に対する成果報告・提言

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3.ケニア 3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

中古車規制は厳しくなっているものの政治的反発もある。また、現地での組立には部品の現地調達が困難との課題がある。EVに関しては道路状況が課題となる可能性

分野 調査項目 現地企業へのヒアリング結果

車・二輪(部品含)

ビジネスモデル • 日本車の中古車輸入が大半である。• 新車は、トラックが乗用車より売れている。組立工場はあるが大半の部品をインドやタイ等から輸入している。• トラック、バスともに基礎部分のみ製造して販売している。後部座席箇所等は業者自らが組み立てている• バイクに関してはシートなど簡易な部品は現地調達を行うが、多くの部品は海外工場から輸入している。完成品

を輸入しないのは25%の関税を回避できるためである。• 販売は現地ディーラーと専売契約を結んで実施している。

課題 • 需要が大きくないため、小規模生産をしなくてはならず、東南アジアなどの大市場と比較して生産ラインは、手作業が多くなっている。

• 現地調達制度は施行延期などがあり、政策施行に備えて準備をした企業が損をしてしまう。• 電気供給が不安定なこと、電気代が高いことが課題である。

中古車規制 • 中古車輸入に対して規制が厳しくなっているものの、中古車業界も政治的に影響力があるため、政府も気にしながら政策を策定していると思われる。

• 安全規制や環境規制は導入されていないため、安全性の観点から非常に危険なトラックやバスなども走行している。

他国企業の動向(EVを含む)

• VWなどが組立工場を設立して現地で完成車を組み立てているのは税制のインセンティブの要因が大きいと思われる。EVの開発や生産に関しては情報を得ていない。

• 減税などのインセンティブ措置によりVW以外にFotonが組立工場を設立している。• ナイロビ市内は舗装しているが、田舎にいけば赤土の箇所が多い。また、ナイロビ市内でも凸凹しており、EV車

の走行には適していないと思われる。

公共交通状況 • ナイロビ市内を走るバスを運営してるのは民間企業であり、公共セクターは関与していないと思われる。• モンバサ港からナイロビ市内への鉄道は中国が敷設した。現状は、人の輸送のみであるが、今後貨物運送を実

施する予定である。

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3.ケニア 3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

二輪自動車の現地調達ルールが二度延期されるなど、政策施行の度重なる変更は政策に備えた準備を行っていた企業にとっては、行い損になってしまう恐れがある点が課題

2013年6月末にケニア政府は輸入部品関税を25%から15%に下げる代わりに現地調達を義務づけた。

当時ホンダが2013年11月よりケニアで組立て生産を初めることもあり、日本政府は関税優遇を要請

2015年7月にも2016年12月に延期している。

再度延期され、2018年に延期となった。

メーカー側より現地調達が困難な旨が伝えられ延期と2016年12月および2017年での導入は延期に

2013年

東 ア フ リ カ 共 同 体(EAC)で輸入部品の関税を25%から15%に下げる代わりに一部部品の現地調達を義務付けた。

EACとして政策施行延期の決定

2015年 2017年

EACとして政策施行延期を再度決定

図表3.14. 二輪自動車にかかる関税政策の流れ

出所) The New Times 2015年7月3日記事EAC extends motorcycle tax waiver for a year

http://www.newtimes.co.rw/section/read/190262/

The EastAfrican

http://www.theeastafrican.co.ke/business/locally-assembled-motorcycles-timed-out/2560-3981248-rcu7m3z/index.html

Cheap, locally assembled motorcycles timed out again

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3.ケニア 3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

ケニアではiHubやMETTAなどハブとなるインキュベーション施設を中心に開発系企業が集積している。モバイルマネーの普及がインフラとなり起業を後押ししている

分野 調査項目 現地企業へのヒアリング結果

ICT ビジネスモデル • SafaricomのM-PESAを活用したビジネスが各分野に展開している。特に、Prepaid式で、サービスを受ける前に少額を支払うビジネスやマッチングビジネスが多い。ケニアでビジネスに成功したスタートアップ企業は東アフリカ諸国への展開を目指す事が多い。

課題 • スタートアップ企業は多く存在するが、資金調達で困難に直面している企業が多い。• マネタイズが難しく、南アフリカ発Hello Doctorはコスト面とFace to Faceを好む国民性から苦戦している。

集積状況 • iHubやMETTAなどハブとなるインキュベーション施設を中心に開発系企業が集積している。• 欧米からの起業家は多いが、インド、中国の起業家は少ない。• 開発系起業家への資金提供主体となるVenture Capitalは米国企業が多い。

集積要因 • 携帯電話/スマートフォンの普及に加え、M-PESAの普及が開発系企業のインフラになっている。M-

PESAにより従業員が売上金を盗むなどの不正がなくなったこと、代金回収が容易になっている点はビジネス環境を改善している。

• ケニアは英語が通じることに加え、人材能力の高いことが大きなメリットになっている。• ストラスモア大学にもインキュベーション施設があり、若い開発系分野の企業を支えている。

ケニア政府/

第3国による支援• ケニア政府も若者の企業を支援するためのファンドを設立している。• ICT大臣はiHubのメンバーである。• 世界銀行が現在もiHubを支援している他、USAIDなど援助機関がインキュベーションセンターを支援し

ていた例がある。

中国発ICTサービス • 現状、さほど多くの中国企業/起業家は進出していない。存在感は限定的である。• ICTインフラや携帯電話機器では中国企業の存在感は大きい

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3.ケニア 3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

iHubやMETTA、ストラスモア大学といったインキュベーションセンターがハブとなりケニアにおけるスタートアップ企業の集積を支えている

ケニアでは英語ができることに加えて、スタートアップ起業が集積するインキュベーションセンターが複数存在しており、ケニアだけでなく、サブサハラ諸国や欧米からも起業家が集積している。

MDGsとKenya Vision2030に貢献する目的で設立 コーワーキングスペース及びトレーニング等を実施 Safaricom、Oracleなど企業が支援

2010年ナイロビに設立 コーワーキングスペース及びトレーニング等を実施 世界銀行や企業が支援

香港、北京、バリ、ナイロビに拠点 コーワーキングスペース ピッチやハッカソン等のイベントを開催

iHub

@iLabAfrica

METTA

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3.ケニア 3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

iHubには世界銀行に加え、世界的大企業も支援を実施している

iHubは2010年に若者の失業を減少させるために設立されたインキュベーションセンターである。

現在はコーワーキングスペースとして起業家同士のコネクティングやその他ピッチ等のイベントを開催

2011年以降Microsoftなどの企業がパートナー企業となっていく。

企業はiHubのメンバーに対してトレーニング等を提供している。

2016年にはFacebookのザッカーバーグも訪問している。

世界銀行はEntrepreneurship Journey として“Incubation Acceleration”としてスタートアップのビルディングを2年間支援。

図表3.24 iHubのパートナー企業

サービス名 概要

Entrepreneurship

Journeyコーワーキングやトレーニング、イベントを実施してスタートアップのビルディングを支援している。

Innovation Journey スタートアップ企業がサービス構想前の市場分析やデザイン、アプリケーションの機能など各段階で直面する課題に対してコンサルティングサービスを提供している。

Investment

Instrument

iHubがAfrica Innovation Fundのパートナーとなり、アフリカでの起業家支援を実施

図表3.23. iHubが提供するサービス

出所)iHubのHPより作成

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3.ケニア 3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

食糧自給率を高めることは優先度の高い課題となっている。加えて、収穫後の消費者へ販売するまでにも物流面での損失も多くなっている

分野 調査項目 現地企業へのヒアリング結果

農業 ビジネスモデル • お茶、コーヒー、花を中心に輸出を実施している。現状は徐々に準加工・加工をして輸出するようになったが、多くの製品は英国など輸出先で加工されている。生産後は農業組合を通じて市場へ販売、あるいは貿易組合(FPEAK)を通じて輸出している。

• インドで製造した食品加工製品をケニアで販売をしている。現地で製造したほうが安価に済むかどうか、検討段階である。

課題 • 生産場所から市場へ輸送する間に製品が傷んでしまい、損失を被ることが多い。特に野菜や牛乳などの生鮮食品はコールドチェーンが発達しておらず損失が大きい。

• 他のアフリカ諸国と同様、食糧自給率は低く、貿易赤字となっている。この点はケニアでも課題であり、政府としてもVision 2030の内優先度の高いBig4の1つとして取り組んでいる。

• 機械化が進む中で、農家が機械を使用できないことが多々ある。

ICT×農業 • 市場価格をSMSで知らせるサービスが普及している。携帯電話の普及で農家が直接消費者に販売することが可能になった一方、在庫を抱えるリスクを追うこととなり、改めて仲介業者への販売を好む農家も出て来ている。

保険 • 衛星写真を活用して耕作面積および損害額を推計して保険を提供している会社が多々ある。

第三国連携 第三国連携 • インド人やインド企業は古くからケニアでビジネスをしており、存在感は高い。一方、家族的なビジネスを強いる閉鎖的な側面がある。

• インド企業との連携は、利益が明確である必要がある。

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3.ケニア 3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

「フェアトレード」「有機農法」を切り口とした付加価値の向上と販路の開拓

2017年に広島の水質検査会社はラボテック事業の多角化として、ケニアからフェアトレード紅茶を輸入・販売を開始。

物流効率化やEC活用による販路拡大

事例:東京の輸入商社グリーンパックスは、温度管理を徹底しながらドイツ経由でケニアから日本へのバラ輸送のルートを確立し、新鮮なバラの日本市場での提供を可能とした。日本のバラ輸入に占めるケニア産の比率は5割近くあり、うち3割を同社が輸入。また、2017年にECサイト「世界の花屋」を開設し、元アナウンサーによる花束デザインなどによるケニア産のバラを直接消費者に販売。

農業ICTや機械の活用による生産性向上

事例:2016年にJICAの支援により、茶摘機などを製造する静岡県のメーカー(落合刃物工業、静岡機械製作所、寺田製作所)がケニアを対象にFSを実施。3社の開発した茶摘機や多種類の茶が製造ラインの導入により、小規模農家(約56万人とのこと)が多いケニアの農業現場の生産性向上を検討。日通も2017年に切り花輸出のためケニアに進出。

最近ケニアの農業分野において、付加価値向上や生産性向上を切り口に事業を開始・拡大する日本企業が現れている

出所)JICAプレスリリース 出所)JICAプレスリリース

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

1)ケニアにおける我が国企業進出に係る有望分野

2)ケニアの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

3)ケニアの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

4)進出有望分野に対する成果報告・提言

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアが中古車を輸入しつづける限りは新車製造の機会は大きくない。そのため新車製造拡大に向けた制度改善の働きかけやEVに着目した新車市場の創造が提言されうる

ケニアにおける車・二輪(部品含)分野の市場の特徴、課題、機会

• 二輪・四輪ともに中古車が市場を席巻しており、新車の販売機会が限定的• 部品は大半を輸入に頼っている。また、中古品が占有しており、正規のアフターサービスによる部品供給機会を奪っている• 中古車輸入について政府の規制厳しくなってきているが、全面禁止は国民の反発が予想され、実施の見込みが低い• 人件費水準が高い一方、機動的な解雇などの雇用調整は現地政府やコミュニティから反発が強い• 組立生産(CKD)を行う際の部品関税は、一部の現地自動車メーカーが免除の恩恵を受けている模様であるが、自動車や二輪車の製造を行う

現地の日本企業は部品関税を課されており、コスト高につながっている• 現地政府は現地調達比率の向上を現地生産を行うメーカーに求めており、完成車両の品質維持がメーカー側にとって難しい状況にある• EVの製造はケニア内で行われていない模様であるが、道路状況がEVの走行に適していない恐れがある• 従業員への生産性向上のためのカイゼン活動支援以前に、新車へのニーズが低いことから工場の稼働率向上が課題• 都市部を中心に燃費効率が悪い中古車の影響で大気汚染が深刻な課題であり、また故障による事故も社会課題

短期(今後5年間)の支援策

• 新車普及に向けた下記の各種制度面での改善活動の実施

1. 中古車輸入に対する一定制限の導入2. 車検制度等の導入による品質の悪い中古車の

排除3. 組立生産(CKD)やアフターサービス向け部品

の関税引き下げ4. 現地調達比率の段階的向上

中長期(今後10年間)の支援策

• 公共交通等へのEV等導入に向けた実証実験の実施1. 電気自動車(EVに加え、PHV、HV含む)・電気

バス・電気バイクの導入に向けての実証実験に対する支援

2. 乗り合いタクシー等を対象に電気自動車(EVに加え、PHV、HV含む)を活用した自動運転に関する実証実験に対する支援

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおける車・二輪(部品含)分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「1.中古車輸入に対する一定制限の導入」

1. 中古車輸入に対する一定制限の導入

日本企業の強み▪ 現在日本の中古車がケニアの自動車市場で大きなシェアを占めていることから、日本車について消費者から耐久

性などのブランドが既に訴求していると考えられる。

日本企業の弱み▪ 日本製新車(二輪含む)の価格は中古車と比べて高い。日本製の場合、中古車であっても耐久性が高いため、消

費者にとっては、中古車であっても安全性等が担保されうる。そのため、新車との性能差が出にくい。

現地の消費行動等の改善方策▪ 中古車の輸入規制を現在の製造後8年を超えた車から、製造後5年を対象とするなど更に厳格にする。▪ 安全点検についても安全性を鑑みた、より厳格な内容を課す。▪ 中古車との価格差が小さい新車を現地(あるいはインド等市場の特徴が似ている第三国)で製造する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)▪ 経済産業省、JICAケニア事務所、JETROナイロビ事務所、在ケニア日本大使館が、現地進出の日本の車・二輪

メーカーとともに、ケニア基準局(Kenya Bureau of Standards)に対して、安全性を鑑みた中古車の輸入規制の厳格化について政策対話を行い、輸入規制の厳格化と中古車の流入の減少を図る。また、東アフリカ共同体(EAC)事務局に対しても、EAC大での同規制の実現への協力についての政策対話を行う。

▪ JICAケニア等が、ケニア基準局、現地警察、現地の港湾局等に対して、輸入時の安全点検、抜き打ちでの安全点検に対する技術的指導を実施し、安全性に問題がある中古車の流通を削減する。

▪ 経済産業省等が、日本企業による自動車(二輪含む)製造工場設立や工場拡張についての実現可能性調査に対して支援を行い、ケニアの消費者が購入可能な新車製造を後押しする。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおける車・二輪(部品含)分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「2.車検制度等の導入による品質の悪い中古車の排除」

2. 車検制度等の導入による品質の悪い中古車の排除

日本企業の強み

▪ 「1.中古車輸入に対する一定制限の導入」提言部分で述べたように、日本車について消費者から耐久性などのブランドが既に訴求していると考えられる。

日本企業の弱み

▪ 日本製新車(二輪含む)の価格は中古車と比べて高く、消費者が中古車を選択しがちである。

▪ JICA調査(『車検制度導入に向けた ケニア共和国政府との政策対話』)によれば、車検制度はケニアにおいて導入されているものの、乗用車は事実上対象になっていないこと、車検場の絶対数が足りないこと、車検マニュアルが客観的・明確な形で整備されていないことが指摘されており、消費者にとって、車検制度の実効性の低さを理由に、日本製の新車を選択するインセンティブが弱い。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 全ての乗用車を車検対象とすることが可能な数の車検場(民間車検場を含む)を整備する。

▪ 車検場において、客観的かつ明確な車検マニュアルに沿った車検が実施されるようにする。

▪ 車検を受けていない車に対してペナルティを課し、車検を受けていない車が走行できないようにする。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省、JICAケニア事務所等が、車検制度を管轄するケニア安全局(National Transport Safety Authority:NTSA)に対して、車検場の整備を働きかける。また、整備に係る財政支援についても協議を実施する。

▪ JICAが、国土交通省の協力も得たうえで、 NTSAに対して、車検マニュアルや車検機器の整備について技術協力を実施する。

▪ 同様に、NTSAやケニア警察(Kenya Police Service)に対して、車検違反車取締の技術協力を実施する。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおける車・二輪(部品含)分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「3.組立生産(CKD)やアフターサービス向け部品の関税引き下げ」

3. 組立生産(CKD)やアフターサービス向け部品の関税引き下げ

日本企業の強み

▪ 一部の日本の車・二輪メーカーは、既にケニアで組立生産(CKD)やアフターサービスを実施し、ケニアにおける質の高い車両の供給・維持に貢献している。

日本企業の弱み

▪ ケニアでCKDやアフターサービスを行う日本のメーカーが提供する車両やサービスの価格が高い。この理由の一つに、質の高い部品を調達する際の関税コストが挙げられる。

現地の消費行動等の改善方策

▪ CKD向けの関税免除スキームの適用や、アフターサービス向けに使用される部品について関税を下げることで、ケニアにおける日本のメーカー・アフターサービス実施拠点を持つ企業のコスト競争力を高める。これによって、現地消費者が質の高い新車を購入することができる。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省、JETROナイロビ事務所、進出済の日本の関連メーカー等が、ケニアの財務省、交通省、産業省等に対して、現地の日本メーカー向けのCKD向け部品関税免除や、アフターサービス向け部品に対する関税引き下げの実現について政策対話を行う。

▪ 経済産業省等が、関税免除や関税引き下げによる完成車の製造台数増加・部品の輸入量増加についてのシュミレーション等についての調査を支援し、上記の政策対話に活用する。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおける車・二輪(部品含)分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「4.現地調達比率の段階的向上」

4. 現地調達比率の段階的向上

日本企業の強み

▪ 「3.組立生産(CKD)やアフターサービス向け部品の関税引き下げ」で述べたように、一部の日本の車・二輪メーカーは既にケニアで質の高い車両の供給・維持に貢献している。

日本企業の弱み

▪ ケニアでCKDを行う日本のメーカーが提供する車両の価格が高い。この理由の一つに、質の高い部品を現地で入手することが難しく、輸入に頼る点が挙げられる。

現地の消費行動等の改善方策

▪ ケニア政府から要請のある現地調達比率について、段階的に向上させることで、質の高い輸入部品による組み立てを維持し、完成車両の品質を担保する。これによって、現地消費者が質の高い新車を購入することができる。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省、JETROナイロビ事務所、進出済の日本の関連メーカー等が、ケニアの交通省、産業省等に対して、車両の部品に対する現地調達比率の段階的向上の実現に向けた政策対話を行う。

▪ 政策対話を通じて、現地調達比率の段階的向上に関するロードマップを作成するとともに、現地に進出する日本の関連メーカーの現地調達比率向上に対する合意形成を促す。

▪ 経済産業省等が、日本の関連メーカーによる現地調達比率の段階的向上に向けた実現可能性調査を支援する。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおける車・二輪(部品含)分野に関する中長期の実現可能性のある支援のあり方「1.電気自動車(EVに加え、PHV、HV含む)等の導入に向けての実証実験に対する支援」

1. 電気自動車(EVに加え、PHV、HV含む)・電気バス・電気バイクの導入に向けての実証実験に対する支援

日本企業の強み

▪ 日本企業は、電気自動車(EV、PHV、HV)等で開発・販売実績を既に有している。

日本企業の弱み

▪ 途上国向けの安価なEV等の開発については途上段階にある。

現地の消費行動等の改善方策

▪ ケニアの官庁向けの車両や、一部の公共交通車両(バス)を対象に、電気自動車(EVに加え、PHV、HV含む)・電気バス・電気バイクを導入して、二酸化炭素の削減効果や、太陽光発電による充電ステーションの有効性などを検証する実証実験を行う。また、この取り組みを官庁や公共交通へEV等を導入する契機とする。官公庁や公共交通でEV等の導入は、一般企業や消費者へEV等の導入が促進される契機となりうる。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ JICAの無償援助により、ケニア交通省へ、ナイロビ中心部におけるEV等(PHVやHVを含む)を提供する。

▪ JICAの無償援助により、ナイロビやモンバサ等の交通渋滞や大気汚染が課題の都市の公共交通を対象に(走行に問題がないエリアで)EV等(PHVやHVを含む)のバス車両を提供する。

▪ 経済産業省やJICAが、EV等の導入による二酸化炭素の削減効果や、安全性向上効果などを検証する調査や実証実験を行う。

▪ 経済産業省やJICAが、(電力供給が不安定なため)太陽光発電を活用した充電ステーションの設置及び普及策について、調査や実証実験を行う。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおける車・二輪(部品含)分野に関する中長期の実現可能性のある支援のあり方「2.電気自動車等を活用した自動運転に関する実証実験に対する支援」

2. 乗り合いタクシー等を対象に電気自動車(EVに加え、PHV、HV含む)を活用した自動運転に関する実証実験に対する支援

日本企業の強み

▪ 日本企業は、電気自動車(EV)等で開発・販売実績を既に有している。自動運転についてもノウハウを有する。

日本企業の弱み

▪ 途上国向けの安価なEVや自動運転機能等の開発については途上段階にある。

現地の消費行動等の改善方策

▪ ケニアの主要都市の一部エリアにおいて、電気自動車(EVに加え、PHV、HV含む)を活用した自動運転による乗り合いタクシーの運行を実証実験として行い、二酸化炭素の削減効果や、自動運転の安全性等を検証する。この取り組みを、ケニアにおける自動運転機能付きのEV等を増やす契機とする。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省やJICAが、ケニア交通省や実施先となる自治体の協力のもと、日本の関連メーカーによる電気自動車(EVに加え、PHV、HV含む)を活用した自動運転に関する実証実験を実施する。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアのICT関連スタートアップ等への資金・人材面の支援を日本の投資家やスタートアップとのマッチング等を通じて行い、社会課題の解決に資するソリューション開発を促進する

ケニアにおけるICT分野の市場の特徴、課題、機会

• 通信速度や安定性などは先進国に比べると向上の余地が高い• 高級なスマートフォンを購入できる層が限定的である• モバイルマネーの利用率は高く、携帯を活用した社会課題の解決等に寄与する新しいICTサービスがケニアのスタートアップから次々と誕生して

いる• BtoBビジネスにおけるICT活用はBtoCに比べると限定的

短期(今後5年間)・中長期(今後10年間)の支援策

• オープンイノベーションを目指すマッチング支援(短期(今後5年間)の取り組み)1. 現地スタートアップへの日本の公的ファンドや日本の投資家による資金支援2. 現地スタートアップと日本人起業家とのマッチング支援

• 社会課題の解決に資するICT関連ソリューションの開発支援(中長期(今後10年間)の取り組み)1. 上記の日本企業の振興につながる各国の社会課題(信頼できる公共交通機関欠如、渋滞、大気汚染等)の解決に

資する、携帯を活用したICTサービスの開発(交通系アプリ開発等)や、実証実験(ライドシェア、オンデマンドバス、自動運転等)への協力

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおけるICT分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「1.現地スタートアップへの日本の公的ファンドや日本の投資家による資金支援」

1. 現地スタートアップへの日本の公的ファンドによる資金支援や日本の投資家とのマッチング支援

日本企業の強み

▪ 魅力的なビジネスモデルや技術を有する海外企業に対して、投資を実施する日本企業は多く、こうした強みを持つ現地スタートアップの目利きについて蓄積を持つ。

日本企業の弱み

▪ アフリカ市場が遠いことから、現地の市場や企業について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 日本の公的ファンド(JICAの海外投融資や各省庁が所管する海外向け投資が可能なファンド)が現地スタートアップを対象に資金支援を行い、スタートアップの成長を促す。

▪ 日本企業が、自社のアフリカにおけるビジネス展開に資するべく、アフリカで広く横展開が可能なビジネスモデルや技術を持つスタートアップを対象に投資を行う。

▪ 日本の公的ファンド及び投資家が資金源の一つとなりうることで、ケニアのスタートアップの活性化に貢献する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省、JETROナイロビ事務所、JICAケニア事務所などが、ケニアICT省、他の先進国の援助機関、iHub

やMettaなどのケニアで展開するインキュベーションセンターの協力を得て、日本の公的ファンドや日本企業の投資対象となりうる現地スタートアップについてリストアップを行う。

▪ 経済産業省等が、公的ファンドや日本企業から関心が示されたスタートアップについて、投資に向けたマッチング支援を行う。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおけるICT分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「2.現地スタートアップと日本人起業家とのマッチング支援」

2. 現地スタートアップと日本人起業家とのマッチング支援

日本企業の強み

▪ 日本人起業家は多く、アフリカに進出する日本人起業家も少なくない。途上国を対象とする起業のノウハウに日本企業は蓄積を持つ。

日本企業の弱み

▪ アフリカ市場が遠いことから、現地の市場や企業について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 現地スタートアップと日本人起業家とのマッチングを、現地や日本において実施する。

▪ マッチングにより、現地の社会課題の解決につながるビジネスモデルの構築が実現する。

▪ ビジネスモデル構築にあたって、日本のエンジニアからケニアのエンジニアに技術移転が実現する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省、JETROナイロビ事務所、JICAケニア事務所などが、ケニアICT省、他の先進国の援助機関、iHub

やMettaなどのケニアで展開するインキュベーションセンターから協力を得て、日本からケニア、あるいはケニアから日本への起業家の派遣、交流イベントの開催、共同による短期間のプログラム開発イベント(いわゆるハッカソン)等を実施する。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおけるICT分野に関する中長期の実現可能性のある支援のあり方「1.各国の社会課題の解決に資するICTサービスの開発や実証実験への協力」

1. 各国の社会課題の解決に資するICTサービスの開発や実証実験への協力

日本企業の強み

▪ 日本人起業家は多く、アフリカに進出する日本人起業家も少なくない。途上国を対象とする起業のノウハウに日本企業は蓄積を持つ。

日本企業の弱み

▪ アフリカ市場が遠いことから、現地の市場や企業について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 短期のマッチング支援の支援策の一つであるハッカソンを、アフリカの社会課題(信頼できる公共交通機関の欠如、渋滞、大気汚染、十分な医療体制の欠如等)の解決に資する、携帯を活用したICTサービスの開発(交通系アプリや、遠隔医療アプリ開発等)を題材として、定期的に開催する。

▪ これにより、アフリカの社会課題の解決に資するICTサービスが開発される。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省やJICAが、ハッカソンにより生まれた有望なビジネスモデルや技術について、本格的なビジネス展開に向けた実現可能性調査を実施する。

▪ 経済産業省やJICAが、有望なビジネスモデルや技術について、実証実験を支援し、実現に向けて現地政府と政策対話を実施する。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアの農業分野では原材料の輸出がメインであるところを、農業向けICTの活用により、生産性や付加価値の向上を図ることが日本企業にとっての有望領域と考えられる

ケニアにおける農業分野の市場の特徴、課題、機会

• 生産性が低く、収穫量が一定せず、天候や労働力に依存• 農業生産箇所から市場へまで輸送する間に製品が傷んでしまい、損失を被ることが多い• 加工産業が発展しておらず、原材料の輸出がメイン• 農業セクターの購買力が低く日本の農機具が活用できない

短期(今後5年間)・中長期(今後10年間)の支援策

• 日本で確立された農業生産性の向上や、加工産業の育成につながる技術協力(短期(今後5年間)の取り組み)1. 既に日本で確立・適用している農業技術の現地での適用検討

• 日本でも新規検討中のICT等を活用した新しい農業向け技術の活用検討(中長期(今後10年間)の取り組み)1. ドローンを活用した農薬散布、太陽光発電を活かした植物工場運営、ICT機能搭載農機導入等、日本でも実証中で

ある、農業技術の革新につながるソリューションの共同開発・実証

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおける農業分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「1.既に日本で確立・適用している農業技術の現地での適用検討」

1. 既に日本で確立・適用している農業技術の現地での適用検討

日本企業の強み

▪ 限定的な農地で生産性を高める必要性などから、日本は歴史的に農業技術の向上に取り組んでいる。

▪ ケニアの農業分野において、付加価値向上や生産性向上を切り口に事業を開始・拡大する日本企業が近年現れている。

▪ ケニアが輸出競争力を持つ茶・コーヒー類と花き類は、日本にも多く輸出されており、日本市場で受容されている。そのため日本企業は茶・コーヒー類と花き類を自国市場で展開しやすい立場にある。

日本企業の弱み

▪ アフリカは遠いことから、現地の農業や農産物関連市場について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 日本で確立された生産性の高い茶や花きの生産技術がケニアの農業にも移転され、生産の安定化(高性能の茶摘機の導入等)や高付加価値化(高品質の茶・花きの生産、フェアトレード等)が実現する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 日本で確立された生産性の高い茶や花きの生産技術について、JICAの技術協力プロジェクトで移転を進める。また、こうした生産技術を有する日本企業の進出を促すため、経済産業省やJICAが、実現可能性調査を実施する。

▪ 経済産業省やJICAが、同産品の日本市場における高付加価値化(高品質作物の生産、フェアトレードの実現等)の実現可能性調査を実施する。

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3.ケニア 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ケニアにおける農業分野に関する中長期の実現可能性のある支援のあり方「2.農業技術の革新につながるソリューションの共同開発・検討」

2. ドローンを活用した農薬散布、太陽光発電を活かした植物工場運営、ICT機能搭載農機導入等、日本でも実証中である、農業技術の革新につながるソリューションの共同開発・実証

日本企業の強み

▪ 限定的な農地で生産性を高める必要性などから、日本は歴史的に農業技術の向上に取り組んでいる。

▪ 加えて、ドローンを活用した農薬散布、太陽光発電を活かした植物工場運営、ICT機能搭載農機導入等、日本の農業にとっても先端的な農業技術の革新に取り組む日本企業が多数存在する。

日本企業の弱み

▪ アフリカは遠いことから、現地の農業や農産物関連市場について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

▪ 日本企業にとって最先端の農業技術は主に自国農業向けに展開し、海外への展開実績は比較的少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 日本でも実証中である、農業技術の革新につながるソリューションについて、ケニアの農業関連企業や農家と共同開発・共同実証を行うことで、ケニアにおける農業生産の飛躍的向上を図る。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ JICAの技術協力プロジェクトにより、ケニアの農業省の協力のもと、日本でも開発中・実証中の生産性の高い茶や花きの生産技術について、共同開発・実証を進める。また、経済産業省やJICAが、こうした共同開発・実証ニーズを有する日本企業の進出を促すため実現可能性調査を実施する。

▪ 共同開発・実証された農業技術については、経済産業省やJICAがTICADなどの場を通じて広く周知し、アフリカへの横展開をねらう。

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

3)ルワンダの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

4)進出有望分野に対する成果報告・提言

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4.ルワンダ 1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

「The Economic Development and Poverty Reduction Strategy (2013-2018)」 (以下、EDPRS2)は、以下の3つの優先セクターを掲げている。

① Existing export-oriented sectors(既存の輸出主導型セクター)

茶、コーヒー、鉱物など

② Emerging opportunities(新規の機会)

ICT、電機製品組立など

③ Future Areas of Opportunity(将来の機会)

「グリーン・エコノミー」など

「Rwanda Vision 2020」の中期計画として位置づく「The Economic Development and Poverty Reduction Strategy (2013-2018) 」は3つの優先セクターを提示している

図表4.3. 「EDPRS2」における3つの優先セクター

出所)The Economic Development and Poverty Reduction Strategy (2013-2018)

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4.ルワンダ 1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

(参考) 「The Economic Development and Poverty Reduction Strategy (2013-2018)」における「Priority Sectors」の記述部分の抜粋

出所)The Economic Development and Poverty Reduction Strategy (2013-2018)

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4.ルワンダ 1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

1つ目の優先分野は、ルワンダ経済の内部統合を進めるためのインフラ整備をうたったものである。

民間セクターのエネルギー需要を満たすことなどを目標に掲げている。

2つ目の優先分野では、ルワンダ経済と諸外国経済の統合を進め、輸出を促進することを提示している。

輸出促進は同計画の鍵であり、製造業と食品加工業を輸出促進の主体として位置づけるとしている。

3つ目の優先分野としては、前述の優先セクターへの投資を外国企業などから得ることなどとしている。

4つ目では都市化の推進、5つめでは「グリーン・エコノミー」による経済改革をうたっている。

また、EDPRS2は経済改革推進にあたっての5つの優先分野を設定している

出所)The Economic Development and Poverty Reduction Strategy (2013-2018)

図表4.4 「EDPRS2」における経済改革推進にあたっての5つの優先分野

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4.ルワンダ 1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

更にEDPRS2のもと、「Sector Strategic Plans」が位置づいている。同プランは、ICT、農業、エネルギー、交通、都市化、水・衛生などが対象となっている

分野 計画名 民間セクターに関する目標等

ICTSMART Rwanda Master Plan 2015

- 2020

Private Sector Development

• Grow Existing Indigenous ICT Businesses

• Cultivate New Local ICT Enterprises

• Export & FDI Expansion

• Improve Business & Industry Productivity and efficiency

農業Strategic Plan for the

Transformation of Agriculture in

Rwanda Phase III (2013-2017)

Private Sector

• Investing in high value traditional and emerging export crops

• Sharing costs with public sector

• Identifying profitable new opportunities and adding value

• Market pricing for inputs and outputs

エネルギーEnergy Sector Strategic Plan

(2013-2018)

Private sector engagement plan

• Private sector participation, a preferred procurement strategy

• Competitive and transparent projects procurement

• Formalized processes

• Promotion of Rwandese private sector

出所)SMART Rwanda Master Plan 2015 – 2020など上記各計画

図表4.5. 「Sector Strategic Plans」の例(ICT、農業、エネルギー)

「Sector Strategic Plans」 としてICT、農業、エネルギーの各分野で計画が策定されている。

各計画では、民間セクターに関する目標が設定されている。

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4.ルワンダ 1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

対世界と同様に、対日本についても茶・コーヒー類が総輸出の太宗を占め、かつ年平均成長率も高いことから中長期でも有望産業と考えられる。

ルワンダから対日本の主要輸出品を確認すると、紅茶、コーヒーが過去10年での安定した商材といえる。日本市場向けに付加価値向上につながる事業は有望と考えられる

出所)UN Comtradeより作成

図表4.7. 品目別のルワンダから対日本の輸出実績(金額ベース:単位USドル)

2007 2010 2013 2016年平均成長率(2007年~2016

年)

Coffee, tea, mate and spices 57,441 637,173 5,028 1,203,349 46.27%

Ores, slag and ash - - - 371,571 -

Works of art, collectors' pieces and antiques - 7,364 12,268 3,321 -

Miscellaneous manufactured articles - - 10,207 2,233 -

Edible fruit and nuts; peel of citrus fruit or melons - - - 517 -

Salt; sulphur; earths and stone; plastering materials, lime and cement - - - 21 -

Live trees and other plants; bulbs, roots and the like; cut flowers and ornamental foliage

- - - 9 -

Vehicles other than railway or tramway rolling-stock, and parts and accessories thereof

- - 36,508 - -

Tools, implements, cutlery, spoons and forks, of base metal; parts thereof of base metal

- - 1,150 - -

Paper and paperboard; articles of paper pulp, of paper or of paperboard - 1,531,364 -

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4.ルワンダ 1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

日本からの代表的な輸入品は、現地において需要の高い日本製品と考えられることから、こうした輸入品に関連した事業は、当該国を起点とする事業展開上、有望と考えられる。

特に車両が日本からの輸入の大半を占めることから、現地において競争力が高いといえる。

ルワンダから対日本の主要輸入品を確認すると、車両、工作機械、鉄鋼などがある。こうした品目は現地において需要の高い日本製品といえる

出所)UN Comtradeより作成

図表4.8. 品目別のルワンダから対日本の輸入実績(金額ベース:単位USドル)

2007 2010 2013 2016年平均成長率(2007年~2016

年)

Vehicles other than railway or tramway rolling-stock, and parts and accessories thereof

10,181,170 63,561,663 169,550,148 48,503,179 21.55%

Nuclear reactors, boilers, machinery and mechanical appliances; parts thereof

905,283 4,069,306 3,760,083 4,053,659 20.61%

Articles of iron or steel 33,877 1,423,864 1,006,133 52.79%

Miscellaneous chemical products - 837,302 - 871,727 -

Optical, photographic, cinematographic, measuring, checking, precision, medical or surgical instruments and apparatus; parts and accessories thereof

- 441,986 207,109 698,470 -

Fish and crustaceans, molluscs and other aquatic invertebrates - - - 689,475 -

Rubber and articles thereof 112,299 406,744 268,004 368,751 16.02%

Electrical machinery and equipment and parts thereof; sound recorders and reproducers, television image and sound recorders and reproducers, and parts and accessories of such articles

31,061 274,460 8,983,322 365,406 36.09%

Miscellaneous manufactured articles - - - 220,876 -

Other made up textile articles; sets; worn clothing and worn textile articles; rags

1,631,398 3,166,280 - 154,276 -25.53%

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

3)ルワンダの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

4)進出有望分野に対する成果報告・提言

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダにおける有望分野ごとに我が国企業は市場の特徴、課題、機会を認識している

日本企業が把握している市場の特徴、課題、機会

ICT

• ICTインフラはアフリカでも先端的な整備水準にあり、人材育成(カーネギーメロン大学等の存在)、スタートアップ支援(Klabなどの存在)、政府の姿勢(官民連携社会実験に協力的)からも、ICT関連企業の進出環境が整っているといえる。

• 加えて、治安がアフリカ内でも最も良い水準にあり、物価が安く、緑も多いことから生活環境もよく、駐在員が滞在しやすい。

• ルワンダ市場自体は小さく、スタートアップ企業や人材が量・質ともケニアや南アに比べると劣る。• 貧困、経済発展に伴う環境破壊といった社会課題、一次産業の高度化が必要などアフリカ諸国に共通

する社会課題にルワンダも直面している。

農業

• 農業従事者が多く、かつ農業がGDPに占める割合が高いため、農業はルワンダにとって最重要セクターの一つ。

• ルワンダ政府は生産性向上を課題とし、その解決のため民間企業からの投資を有力な手段としている。• 農業分野におけるICTの活用に積極的であり、インキュベーション施設のFablabで、ドローンを活用し

た農薬散布などが既に検討されている。

エネルギー

• ルワンダ政府は、2017年から2023年までに300MW程度の電力源の増強が必要としている。• 電源ニーズに対して、IPPやFITの活用など、民間企業による投資を期待している。• グリッドだけでなく、オフグリッドでの電気アクセスの向上を目指しており、太陽光発電や小水力のよう

なオフグリッド向けの電源ニーズは高いとみられる。

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダはジェノサイドからの復興手段の1つとして、ICT分野での投資を過去10年間に積極的に行っている

出所)UNIDO Newsなど各種プレスリリース、報道より作成

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダはこれまで積極的なICTへの投資を実現してきたが、今後についても、ICTを通じた企業及び雇用創出、輸出産業の育成、イノベーションの推進を目標としている

図表4.9. ICT分野におけるルワンダ政府のこれまでの取り組み成果

政府は、 これまで、光ファイバーや、4GLTEネットワークの整備等を進めることで、ICTの活用環境を充実させてきた。

現在、政府は「SMART Rwanda Master Plan 2015 – 2020」のもと、更なる投資の実現、企業や雇用の創出、イノベーションの推進を図ろうとしている。

出所)Invest in Rwanda

図表4.10. 「SMART Rwanda Master Plan 2015 – 2020」における主な目標

ルワンダ政府はサービス提供の向上のため、ICTのインフラ整備に投資してきた

• 国内の30地域と、隣国とつながる9つの地域リンクに接続する4500km以上に及ぶ光ファイバーブロードバンド網の整備を進めてきた。

• ブロードバンド容量は10GBPSを計上する。• これにより、国内は4GLTEネットワークに接続

されている。• 携帯電話の普及率も76.2%に上昇し、契約者

数は850万人を数える。• 国内のインターネット普及率は33%を占める。

政府は、インフラ整備への適切な投資による変革計画を支持するスマート・ルワンダ2020マスタープランを採用した

• 10兆ドルに及ぶICTへの投資• ICTを専門とした10万の職の創造• 時価総額が5千万ドルのローカル企業100社• 5千万ドルを超える政府の生産性向上• BPOや創造産業を通した輸出額の増加(1億5

千万ドルを目標)• 主要な経済セクターでのイノベーションやICT

の社会主流化

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダ政府はICT分野での投資促進に取り組んでいる。その柱となるキガリ・イノベーションシティのほか、BPO、スマートエネルギー等を有望投資分野として設定している

図表4.11. ルワンダ政府が推奨するICT分野での投資機会

キガリ・イノベーションシティは、大学及びICT関連のスタートアップ等の集積地として構想されている。日本政府・企業による支援をルワンダの関係主体(投資庁、商工会議所等)は望んでいる。

その他、ルワンダ政府は、電子廃棄物、データセンター、BPO、スマートシティー、スマートエネルギーといった分野を投資対象として挙げている。

出所)Invest in Rwanda

キガリ・イノベーションシティ• このプロジェクトはルワンダ政府の世界基準でのインフラ、製品、そしてサービス提供を実現するためのもっと

も重要なプロジェクトである。• 対象:大学、技術専門学校、ソリューションセンター、イノベーション開発センター、地元に本拠を持つイノベー

ション開発センター電子廃棄物設備• ルワンダでは電子廃棄物の急速な増加によって引き起こされる様々な課題を克服するための電子廃棄物管理

設備に対しての投資の機会を探している。インターネットデータセンター• データセンターや事業継続センターの更なる設立において投資機会があると見込まれている。これはルワンダ

一国のためになるだけでなく、近隣地域、更にはその先の地域にも利益をもたらすものとなる。ビジネス・プロセス・アウトソーシング• ルワンダではBPOサービスにおける需要を現在の約5千万ドルから、2020年までに2億7400万ドルへと成長さ

せることを目標としている。• ルワンダではBPOセクターにおいて先行者利益を提供している。その先行者利益の中には、労働力の提供、

上質のITインフラ設備やバイリンガルなビジネス環境の提供などが含まれている。その他、スマートシティー・ソリューションや、スマートエネルギー網の開発の分野にも投資の機会がある。

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダ政府はキガリ・イノベーションシティを「デジタルイノベーション特区」として官民連携での実現を検討している。実現にあたっての総工費は350~400百万ドル

図表4.12. キガリ・イノベーションシティの構想図

キガリ・イノベーションシティは、大学(カーネギーメロン大学ルワンダ校他)、ICT関連のスタートアップ、スタートアップ向けの投資ファンド、従業員向け住宅等の集積地として構想されている。

同構想への資金提供や企業誘致を図るため、ルワンダからのミッションが来日予定。

「Home in Africa for “Proof of Concept”」を理念としており、ルワンダ発の広いアフリカ市場向けソリューションの創出をねらっている。

出所)Kigali Innovation City(RDB提供資料)

図表4.13. キガリ・イノベーションシティのファイナンススキーム

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダにおけるスタートアップへの投資ファンドとして、ルワンダの投資庁(RDB)等は「Rwanda Innovation Fund」の設立を構想中。我が国への協力要請も検討中とのこと

図表4.14. ルワンダイノベーションファンドの概要

ルワンダイノベーションファンドは、ルワンダに立地するスタートアップを投資対象として、存続期間10~12

年、投資期間4年間、最低投資金額100万USドルとして構想されている。

従来型の産業に位置づく企業ではなく、「リープフロッグ産業」と呼べる、スマートグリッド、スマート農業、ロボティクス、シェアリング、モバイルマネーなどの分野で事業を行う企業への投資を予定している。

出所)Rwanda Innovation Fund(RDB提供資料)

図表4.15. ファンドが対象とする産業領域に関する説明資料

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

同ファンドが投資を予定している企業を確認すると、ICTを活用した農業、物流、エネルギーなど、それぞれが革新的技術による社会課題解決型事業を志向している模様

図表4.16. ルワンダイノベーションファンドが投資を予定している企業リスト(一部)

ルワンダイノベーションファンドは、投資予定の企業を「パイプライン」として、12社提示している。それぞれがICTを活用した革新的技術による社会課題解決型事業を志向している様子がうかがえる。

提示されている企業では、それぞれ、BOP向けのICTを活用した農業関連アプリの提供、地方部のディストリビューションネットワーク構築のためのソリューションの提供、ICTを活用した水やエネルギーの提供、医療診断情報の記録と提供などを事業として行っている模様である。

出所)Rwanda Innovation Fund(RDB提供資料)

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

日系を含め、ルワンダ進出のICT分野関連企業は、ケニアと比べると官民連携による社会実験を伴うICT分野でのビジネス展開に機会を見出していると考えられる

図表4.17. ICT分野の在ルワンダ企業による社会実験を伴う事業

ルワンダ進出のICT分野関連企業は、ケニアと比べると数が少ないものの、ドローン、ライドシェアリング、公共交通機関向け非接触型電子決済など、官民連携による社会実験を伴う事業を展開するものが目立つ。

出所)現地紙New Times記事、プレスリリース等

企業名 概要

Zipline(米国)

• 米国スタートアップのZiplineが定期商用ドローン物流サービスを実施中。救急時医療品を運搬する。

• 山岳地帯であり、迅速なロジスティクスが難しいルワンダにおける救急医療品運搬の課題をドローンによって解決しようとしている。

• ルワンダ政府は、ドローンの商用ライセンス取得を積極的にサポートしている。

フォルクスワーゲン(独国)

• フォルクスワーゲンは、2016年12月にルワンダ投資庁との間で、ルワンダにおいて自動車組み立て工場の設立及びライドシェアリングやカーシェアリング事業の実施についてのMOUを締結した。年間1000台の生産規模を想定している。

• 組立対象の車種については、EVを含む低炭素車を対象に調査中。

AC group(日本:DMM傘下)

• ルワンダの国家開発計画「VISION2020」で掲げるスマート・シティに呼応す

る形で、ルワンダ政府と連携し、キガリ市内を走るバスに非接触型電子決済システム「Tap & Go」を2015年から導入。

• 既にルワンダ国内で40万人を超えるユーザーを獲得し、国外でもカメルーン共和国で事業を開始。

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダ政府はVision2020において、農業分野の生産性向上を掲げている

図表4.18. Vision2020における農業関連の目標

政府は、農業分野のGDPの成長を目標とする一方で、農業がGDPに占める割合や、農業従事者人口の減少についても目標としている。

近代化農業の拡大、農薬の使用、土壌保護の促進など、農業分野の生産性向上につながる取り組みについて、Vision2020で数値目標を掲げている。

出所)Strategic Plan for the Transformation of Agriculture in Rwanda Phase III

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

農業が雇用やGDPに与える影響が大きいなか、政府は農業の生産性向上等に多額の予算を配分している。また、生産性向上に民間企業からの投資の必要性を位置づけている

図表4.19. ルワンダにおける農業の現状

ルワンダ政府は、作物加工・農機具の分野、あるいは灌漑用地の開発に民間企業からの投資を期待している。

農業分野の主要輸出品である茶・コーヒーは、ケニアが第一の輸出先であるが(再輸出となる茶・コーヒーが多く含まれると考えられる)、その他は欧米諸国を中心としており、日本も2016年では9番目の輸出先である。

出所)UN Comtradeより作成

図表4.20. 農業分野の主要輸出品である茶・コーヒーの主な輸出先(2016年実績 単位千USドル)

• ルワンダ国内の農業従事者は国民の80%を占める。

• 農業はGDPの33%を占める。• 農業セクターは従来の4.5%の年間成長率か

ら、近年では6%の成長を記録している。• 政府は国家予算の13%を農業生産の生産性

向上や食の安全対策に充てている。• 2007年に開始された「Crop Intensification

Program」(作物増大プログラム)により、種子の改良、肥料、作物加工、農機具などの分野において投資の機会が広がっている。

• 政府は近年、灌漑用地の開発にも取り組んでおり、それにより、民間投資家もそれらの灌漑用地を所有したり、貸し出したり、あるいは政府と契約して共に管理したりしている。

出所)Invest in Rwanda

74,459

20,584

9,052

6,303

4,427

4,416

2,072

1,837

1,203

1,118

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000

Kenya

Switzerland

USA

Belgium

United Kingdom

Singapore

Finland

Italy

Japan

Uganda

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダ政府は、付加価値付与、食品加工、機械化、コールドチェーン整備などに投資機会があるとしている

付加価値付与、食品加工、機械化、コールドチェーン整備などの投資機会のうち、日本への輸出が多い茶・コーヒー分野でこうした投資は日本企業にとっても有望である可能性がある。

現在、「フェアトレード」として、輸入商社のゼンショーがルワンダから紅茶・コーヒーを輸入している。

出所)Invest in Rwanda

図表4.21. ルワンダ政府が推奨する農業分野での投資機会

分野 内容

食品加工• 国内外のマーケットへ出荷する食品の加工。• 生産において大きな可能性を持つ穀物のなかには、豆類、米、とうもろこし、ジャガイモがある。

園芸• 輸出促進のため、サヤマメやえんどう豆、園芸作物、熱帯果樹、花の栽培などの競争力の高い農作物の生

産に機会がある。

付加価値 • プレミアムコーヒーの収穫量の増加に伴い、ウォッシング、ロースティングなどで大きな機会がある。

機械化による機会 • 灌漑設備や大規模農業のための農業設備への投資。

ディストリビューション及びコールドチェーン

• 製品の輸出の際のインフラ整備の必要性は高い。

鶏肉 • 大規模農家、食肉処理場、そして肉類の輸出や飼育工場などでの機会がある。

肉牛飼育 • 肉牛の輸出業

牛乳加工 • コールドチェーン、UHTミルク、ヨーグルト、チーズ、バターなどの加工

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダの発電量は2017年で210MW。2023年を目処に512MWへの増強を目指している。また、電力源の多様化や、IPPの活用についても促進している

図表4.22. ルワンダにおけるエネルギーの現状と目標

ルワンダ政府の設定した目標によれば、2017年から2023年までに300MW程度の電力源の増強が必要。

こうしたニーズに対して、ルワンダ側はIPPやFITの活用など、民間企業による投資を期待している。

グリッドだけでなく、オフグリッドでの電気アクセスの向上を目指しており、太陽光発電や小水力のようなオフグリッド向け電源ニーズは高いとみられる。

出所)Invest in Rwanda

図表4.23. ルワンダ政府のエネルギー分野での主な取り組み

• 2017年時点で発電量は210.9MW。2010年以降、グリッド接続の発電量は3倍に増加。

• 発電構成は次の通り;水力48%、火力32%、太陽光5.7%、メタンガス14.3%

• 2017年8月時点で電気への接続率は40.5%である。そのうち、グリッドへのアクセスが29.5%、オフグリッドが11%

• 2023年~2024年までに512MWの発電量の増加を目標としている。

• また、同時期に、グリッドへのアクセスを52%、オフグリッドを48%の割合で、電気への接続率を100%にすることを目標としている。

出所)Invest in Rwanda

• ルワンダ政府は、電力源の多様化、国産エネルギーの占める割合の増加、化石燃料発電の最小必要源(バックアップ電源として)までの削減などに取り組んでいる。

• エネルギー分野での官民パートナーシップを通した民間企業の参入の促進を図っている。25年間のコンセッション契約によるIPPの参入を可能にしている

• 固定価格買取制度については、交渉による決定としている。

• プロジェクトは競争入札ないしプロポーザルベースで付与される。

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4.ルワンダ 2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

ルワンダ政府は、エネルギー分野での投資機会として、太陽光や小水力を挙げている

ルワンダ政府は、オフグリッドでの電気アクセスの向上を目指しているが、こうしたニーズに沿う太陽光や小水力を投資機会として実際に挙げている。

太陽光や小水力のほかに、埋蔵量が多いメタンガスと泥炭を活用した発電についても投資機会に挙げている。

出所)Invest in Rwanda

図表4.24. ルワンダ政府が推奨するエネルギー分野での投資機会

分野 内容

メタンガス

• キヴ湖には600億立米におよぶメタンガスがあると言われている。これは、55年間、約700MWにおよぶ電力の創出が実現できる量である。

• ルワンダの取り分はこのうち約350MWであり、残りは隣国のDRCである。• ルワンダ政府はこのメタンガスを発電用に活用することを最優先としている。

小水力• ルワンダは未開発の巨大な水力があると考えられており、現在33のサイトが調査前の段階で特定されている。• ルワンダの小水力発電の可能性は、11~900KWと言われている。事業の大きさに応じて、グリッドへの接続は検討さ

れうる。

太陽光

• ルワンダでは高照射量が見込まれる。• オフグリッドの太陽光発電、水力発電と組み合わせたミニグリッドの太陽光発電、ストレージソリューションとしての太陽

光発電の活用が投資機会と考えられる。• 地方の農村地帯において、オフグリッドの太陽光発電への需要が高い。

泥炭• 乾燥泥炭は国内全土に広がっており、1億5500万トン以上と推測されている。• アセスメントにより、それぞれ150MWと117MWの発電の可能性があるという結果が出ている。

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

3)ルワンダの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

4)進出有望分野に対する成果報告・提言

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4.ルワンダ 3)ルワンダの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

ルワンダはICT立国を掲げて様々な政策を推進している。ただしICTの活用が国民生活に浸透していない点が課題。ICTの横展開を支援するため2カ国間協定の締結を進めている

分野 調査項目 現地企業へのヒアリング結果

ICT ビジネスモデル • 市内バスに導入した決済システム「Tap&Go」のような実証実験を通じて広まったビジネスやスタートアップ企業が開発している配送サービスなどが存在している。

• 現在はモバイルマネーも普及しつつある。加えて公共機関でのICT活用も促進されている。• スタートアップ企業がビジネスを拡大していくには、自らの資金で大きくなる、大企業による買収、資金

調達に成功するといった方法がある。IPOは株式市場が成熟しておらず、選択肢にはならない。

課題 • 3Gや4Gネットワークなどのインフラは整備されつつあるが、他国と比較して優れているわけではない。• ICTインフラは整備されているが、国民のリテラシーが低く、実際の生産活動や日常生活でICTが活用

されることは多くない。

集積状況/理由 • ICTに限らず汚職がないことや政治が安定していることで、外資企業が進出しやすくなっている。• FablabやKlabなどのインキュベーション施設がICT関連の起業家のハブとしての役割を果たしている。

第3国による支援 • ICT分野にはベルギーやドイツ(GIZ)、アメリカ(USAID)など様々な国が支援をしている。GIZはEco-

EmploiプロジェクトでもICTに焦点をあて起業家を支援している。• 韓国はKorea Telecomが4G整備を実施しており、ルワンダ政府とのつながりは強いかと思われる。

横展開可能ビジネス(全般)

• 東アフリカだけでなく、カメルーンなどの西アフリカやコンゴ民主共和国などとパートナーシップを結んでおり、それらの国への横展開を政府としても支援していきたいと考えている。

• 実証実験として、政府の支援を受けたビジネスは政府としても他国へアピールしやすい。政府は環境にも強い関心があり、ICTを活用したシェアリング×EVは政府に好まれるビジネスであると思われる。

政府のニーズ • 政府はICTの活用が生活にも浸透させる必要性を認識している。• その他、現在データセンターを設立しようとしている。Korea Telecomが既存の政府との関係からデー

タセンターの建設が有望かと思われるが、日本にも期待はしている。

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4.ルワンダ 3)ルワンダの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

ルワンダの農業では、生産、物流面ともに課題を抱えている段階。ICTを活用して短期間での成長を目指している

分野 調査項目 現地企業へのヒアリング結果

農業 ビジネスモデル • ルワンダでは農業組合が農家に対して、強い影響力を持っており、生産物の取りまとめを行っている。

• 主要産物はコーヒー、お茶、豆などの輸出財とコーン、ジャガイモ、お米など日用食品となっている。• 輸出は欧州を中心に米国、中東へキガリ国際空港からの空輸とケニア・モンバサ港から海輸で行

われている。西アフリカにも輸出することがある。空輸に対しては補助金が出ており、安い費用で輸送ができる。

課題 • 農業組合に農作業に関するノウハウが蓄積されておらず、例えば、作物の病気の発見等が十分にできない状況である。

• 農業組合からトラクターを農家に貸出しているが、絶対数が不足しており、農家がトラクターの使用を長期間待たなければいけない。

• 花などを作る企業・農家からの需要はあるが、冷蔵機能付きの倉庫がキガリ市内に1つ及び空港に1つしかなく不足している。

新しい農業向け技術の活用 • 農家は、携帯電話やスマホを活用した送金を嫌がる傾向にある。そのため、新たなICTの活用は、ほとんど行われていない。

• JICAプロジェクトで、農業で必要とされる課題を調査し、課題に対してICTの活用を検討している。なお、必要となるICTサービスはFablab及びKlabで開発してもらう予定である。

• 衛星活用プロジェクトを行っており、LEAP Research Labに所属するCompass Ventureが衛星データを活用した農業向けサービスの開発を検討している。

• 農業でのドローン活用は実現していない。ドローンの飛行は、救急時医療品を輸送するZipline以外認められていない。

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4.ルワンダ 3)ルワンダの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

ルワンダでは、電力需要が伸びないことが大きな課題であるが、今後オフグリッドやミニグリッドに関しては拡大する模様でビジネス機会の可能性がある

分野 調査項目 現地企業へのヒアリング結果

エネルギー ビジネスモデル • オフグリッドビジネスでは、太陽光発電を用いた家庭向け電力供給ビジネスが行われている。ビジネスの実施主体は、欧米企業が中心で、研究開発は本国で行っているケースが多い。

• 太陽光パネル等の機器は中国等アジアで製造されたものを輸入している。• 支払いはキャッシュによるプリペイド方式を導入しており、支払われた分のみ電力供給を行っている。

課題 • 電力需要が伸び悩んでおり、電力供給が増えていない。既に、開札されたPPPプロジェクトもキャンセルや延期になる可能性がある。

• 現在の政府目標は2023年を目処に512MWであるが、400MWが限界ではないか。現在の発電容量が200MWであり、ピーク時の平均需要が120MW、最大でも170MWである。

• 主要産業がないうえ、農村部では携帯の充電及び夜間の照明程度しか電気を使用しない現状である。• 電力にアクセスできない人に対して、政府が無償で家庭用太陽光発電システムを配給しており、民間企業

の潜在顧客を奪っていることにもなっている。• オフグリッドビジネスで電力を提供する顧客層では、支払いが滞ることもある。

政府のニーズ • 政府は太陽光発電及び小水力発電の促進を優先的に行っている。• 太陽光発電より、小水力発電へ多額の予算が配分されている。

日本への期待 • 日本の蓄電技術等は、オフグリッドビジネスを拡大していく際に活用されることが期待されている。

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4.ルワンダ 3)ルワンダの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

2015年にルワンダにおける8.5MWのメガソーラープロジェクトがPPPにより実現している

再エネ事業を行うGigawatt Global社が援助機関やインフラファンドからの融資や、民間企業から出資を受けて8.5MWのメガソーラープロジェクトを実現している。このプロジェクトでルワンダの電力供給が6%増加した。

プロジェクトサイトはAgahozo Shalom Youth Villageというジェノサイドで孤児となった若者が主に暮らすエリアである。売電収入の一部が同Villageに対して土地の利用代として提供されている。

出所)Gigawatt Global website

図表4.28. ルワンダのAgahozo Shalom Youth Villageにおける8.5MWメガソーラー

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

1)ルワンダにおける我が国企業進出に係る有望分野

2)ルワンダの有望分野への進出を希望する我が国企業調査と当該企業が把握している現状での課題

3)ルワンダの有望分野へ既に進出している我が国の企業等の調査と現地における課題

4)進出有望分野に対する成果報告・提言

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

短期ではルワンダ政府のICT振興策に協力、中長期では日本企業の進出支援を行い、アフリカ地域全般で共通の社会課題の解決に資するICT関連ソリューション創造に寄与する

ルワンダのICT分野の市場の特徴、課題、機会

• ICTインフラはアフリカでも先端的な整備水準にあり、人材育成(カーネギーメロン大学等の存在)、スタートアップ支援(Klabなどの存在)、政府の姿勢(官民連携社会実験に協力的)からも、ICT関連企業の進出環境が整っているといえる。

• 政府は東アフリカやその他のアフリカ各国へICTソリューションの横展開を支援する姿勢にある。• 治安がアフリカ内でも最も良い水準にあり、物価が安く、緑も多いことから生活環境も良く駐在員が滞在しやすい。• ルワンダ市場自体は小さく、スタートアップ企業や人材が量・質ともケニアや南アに比べると劣る。• 貧困、経済発展に伴う環境破壊といった社会課題、一次産業の高度化が必要などアフリカ諸国に共通する社会課題にルワンダも直面している。

短期(今後5年間)・中長期(今後10年間)の支援策

• キガリイノベーションシティ、ルワンダイノベーションファンドへの協力(短期(今後5年間)の取り組み)1. キガリイノベーションシティ実現に向けた資金、教育・研究、企業誘致等での協力の実施2. ルワンダイノベーションファンドの実現に向けた資金、投資対象企業の選定等の支援の実施

• 日本の大企業のR&D部門やスタートアップの進出促進を通じた、アフリカ地域全般で共通の社会課題の解決に資するICT

関連ソリューションの開発支援(中長期(今後10年間)の取り組み)1. アフリカ市場の「Proof of Concept」や「ショーケース」としてのルワンダの位置づけを日本の大企業の研究開発部

門(EV、家電等)やスタートアップ(携帯アプリ等)に提示し、こうした企業の進出を促進2. 進出企業による各国の社会課題(信頼できる公共交通機関欠如、渋滞、大気汚染等)の解決に資する、携帯を活用

したICTサービスの開発(交通系アプリ開発等)や、実証実験(ライドシェア、オンデマンドバス、自動運転等)への協力

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ルワンダにおけるICT分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「1.キガリイノベーションシティ実現に向けた資金、教育・研究、企業誘致等での協力」

1. キガリイノベーションシティ実現に向けた資金、教育・研究、企業誘致等での協力

日本企業の強み

▪ 日本企業は、ICT分野で多くの蓄積を持つほか、ICT分野での産学連携などキガリイノベーションのコンセプトに類似する取り組みを既に多数実施している。

日本企業の弱み

▪ アフリカ市場が遠いことから、現地の市場や企業について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ キガリイノベーションシティに日本企業が進出し、現地での人材育成、技術移転に貢献する。

▪ 日本企業が進出する大学や現地企業、第三国企業などと連携してアフリカに広く横展開するビジネスモデルを開発し、事業化を実現する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省やJICAが、キガリイノベーションシティ構想を推進するルワンダ開発委員会(RDB)と協力して、同シティへの進出候補企業の誘致支援を行う。

▪ 具体的には、JICAが、キガリイノベーションシティのコンセプトづくりに関する開発コンサルタントを支援し、RDBと協力して、日本企業が進出しやすい環境整備(日本企業が活用可能な各種インセンティブの設定、日本の大学や研究機関も合わせて誘致を行う等)を行う。

▪ コンセプト決定後は、経済産業省やJICAが、企業誘致に係る派遣やイベントを開催し、キガリイノベーションシティを広く周知する。

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ルワンダにおけるICT分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「2.ルワンダイノベーションファンドの実現に向けた資金、投資対象企業の選定等支援」

2. ルワンダイノベーションファンドの実現に向けた資金、投資対象企業の選定等の支援の実施

日本企業の強み

▪ 魅力的なビジネスモデルや技術を有する海外企業に対して、投資を実施する日本企業は多く、こうした強みを持つ現地スタートアップの目利きについて蓄積を持つ。そのため、スタートアップへの投資を行うルワンダイノベーションファンドの実現にノウハウ面・資金面で寄与することができる。

日本企業の弱み

▪ アフリカ市場が遠いことから、現地の市場や企業について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ ルワンダイノベーションファンドに日本企業が投資し、かつ投資対象企業の選定に貢献する。

▪ ルワンダイノベーションファンドにより資金を得て、ルワンダ発のビジネスの展開を行うスタートアップや企業(日本のスタートアップや企業含む)が増える。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ ルワンダイノベーションファンド構想を推進するルワンダ開発委員会(RDB)と協力して、経済産業省、JICAルワンダ事務所等が、同ファンドに投資しうる日本の公的ファンドや日本企業についてリストアップを行うとともに、同ファンドへの参画について個別面談を実施する。

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ルワンダにおけるICT分野に関する中長期の実現可能性のある支援のあり方「1.アフリカ市場の「ショーケース」としてのルワンダの位置づけを日本企業に提示」

1. アフリカ市場の「Proof of Concept」や「ショーケース」としてのルワンダの位置づけを日本の大企業の研究開発部門(EV、家電等)やスタートアップ(携帯アプリ等)に提示し、こうした企業の進出を促進

日本企業の強み

▪ 日本企業は、ICT分野で多くの蓄積を持つほか、ICTに関するビジネスモデルの他国への横展開を図る企業が少なくない。また、近年では新興国に開発拠点を設けて新興国向け製品やサービスの開発を行う企業も現れている。

日本企業の弱み

▪ アフリカ市場が遠いことから、現地の市場や企業について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 日本の大企業の研究開発部門や日本のスタートアップが、途上国向けのEVや家電といった新しい分野において、ルワンダを「Proof of Concept」や「ショーケース」 として、開発や実証実験の拠点として位置づける。

▪ これにより、日本企業に協力する技術者がルワンダへ集まるほか、ルワンダ政府等へは、アフリカに横展開可能な製品やサービスとなるよう、開発や実証実験に協力依頼を行う。

▪ 成功した製品やサービスについて、ルワンダの消費者等はいち早く活用が可能となる。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省、JICAルワンダ事務所などが、ルワンダICT省やRDB、他の先進国の援助機関、KlabやFablabなど、ルワンダで展開するインキュベーションセンターの協力を得て、大企業の研究開発部門やスタートアップの進出を働きかける。具体的には、関心を持つ日本企業のルワンダへの派遣、アフリカにおけるイノベーションを題材とし、ルワンダを「ショーケース」とするイベント等の情報提供が考えられる。

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

農業分野での官民連携の取り組みについては迅速な展開が実現できる可能性があるため、農業技術革新につながる官民でのソリューションの共同開発・検討が提言される

ルワンダにおける農業分野の市場の特徴、課題、機会

• 農業従事者が多く、かつ農業がGDPに占める割合が高いため、農業はルワンダにとっての最重要セクターの一つ。• 主要の輸出用作物はコーヒー、お茶。輸出は欧州を中心に米国、中東へキガリ国際空港からの空輸とケニア・モンバサ港から海輸で実施。• 生産性の高い農業についてのノウハウ不足、トラクター等の農機不足、コールドチェーンが未整備など諸課題に直面している。• ルワンダ政府は生産性向上を課題とし、その解決のため民間企業からの投資を有力な手段としている。• 農業分野におけるICTの活用に積極的であり、インキュベーション施設のFablabでドローンを活用した農薬散布などが検討されている。ただし、

農業従事者がICTの活用に不慣れな点が課題。

短期(今後5年間)・中長期(今後10年間)の支援策

• 日本で確立された農業生産性の向上や、加工産業の育成につながる技術協力(短期(今後5年間)の取り組み)1. 既に日本で確立・適用している農業技術の現地での適用検討。

• 日本でも新規検討中のICT等を活用した新しい農業向け技術の活用検討(中長期(今後10年間)の取り組み)1. ドローンを活用した農薬散布、太陽光発電を活かした植物工場運営、ICT機能搭載農機導入等、日本でも実証中の

新しい農業技術革新につながるソリューションの共同開発・検討。(官民連携の取り組みについては、ケニアよりも迅速な展開が実現できる可能性がある。)

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ルワンダにおける農業分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「1.既に日本で確立・適用している農業技術の現地での適用検討」

1. 既に日本で確立・適用している農業技術の現地での適用検討

日本企業の強み

▪ 限定的な農地で生産性を高める必要性などから、日本は歴史的に農業技術の向上に取り組んでいる。

▪ 最近ルワンダの農業分野において、付加価値向上や生産性向上を切り口に事業を開始・拡大する日本企業が現れている。

▪ ルワンダが輸出競争力を持つ茶・コーヒー類は、日本にも多く輸出されており、日本市場で受容されている。そのため日本企業は茶・コーヒー類を自国市場で展開しやすい立場にある。

日本企業の弱み

▪ アフリカは遠いことから、現地の農業や農産物関連市場について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 日本で確立された生産性の高い茶の生産技術がルワンダの農業にも移転され、生産の安定化(高性能の茶摘機の導入等)や高付加価値化(高品質の茶の生産、フェアトレード等)が実現する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 日本で確立された生産性の高い茶の生産技術について、JICAの技術協力プロジェクトで移転を進める。また、経済産業省やJICAが、こうした生産技術を有する日本企業の進出を促すため実現可能性調査を実施する。

▪ 経済産業省やJICAが、同産品の日本市場における高付加価値化(高品質作物の生産、フェアトレードの実現等)の実現可能性調査を実施する。

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ルワンダにおける農業分野に関する中長期の実現可能性のある支援のあり方「1.農業技術の革新につながるソリューションの共同開発・検討」

1. ドローンを活用した農薬散布、太陽光発電を活かした植物工場運営、ICT機能搭載農機導入等、日本でも実証中である、農業技術の革新につながるソリューションの共同開発・実証

日本企業の強み

▪ 限定的な農地で生産性を高める必要性などから、日本は歴史的に農業技術の向上に取り組んでいる。

▪ 加えて、ドローンを活用した農薬散布、太陽光発電を活かした植物工場運営、ICT機能搭載農機導入等、日本の農業にとっても先端的な農業技術の革新に取り組む日本企業が多数存在する。

日本企業の弱み

▪ アフリカは遠いことから、現地の農業や農産物関連市場について十分な情報やネットワークを有する日本企業は少ない。

▪ 日本企業にとって最先端の農業技術は主に自国農業向けに展開し、海外への展開実績は比較的少ない。

現地の消費行動等の改善方策

▪ 日本でも実証中である、農業技術の革新につながるソリューションについて、ルワンダの農業関連企業や農家と共同開発・共同実証を行うことで、ルワンダにおける農業生産の飛躍的向上を図る。

▪ 特に、官民連携による取組みは、ケニアよりも迅速な展開を目指し、生産性向上等を早期に実現する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ JICAの技術協力プロジェクトにより、ルワンダの農業省の協力のもと、日本でも開発中・実証中の生産性の高い茶の生産技術について、共同開発・実証を進める。また、経済産業省やJICAが、こうした共同開発・実証ニーズを有する日本企業の進出を促すため実現可能性調査を実施する。

▪ 共同開発・実証された農業技術については、経済産業省やJICAがTICADなどの場を通じて広くアフリカで知られるよう支援し、アフリカへの横展開をねらう。

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

エネルギー分野では、オフグリッド向け電源のニーズが高いため、太陽光や小水力分野での日本企業の参入促進を行うことが提言される

ルワンダにおけるエネルギー分野の市場の特徴、課題、機会

• ルワンダ政府の設定した目標によれば、2017年から2023年までに300MW程度の電力源の増強が必要。ただし、ルワンダでの電力需要は伸び悩んでいる点に留意が必要。

• 電力源の増強にあたっては、ルワンダ政府はIPPやFITの活用など、民間企業による投資を期待している。• グリッドだけでなく、オフグリッドでの電気アクセスの向上を目指しており、政府は太陽光発電や小水力のようなオフグリッド向け電源についても

積極的に整備を推進している。

短期(今後5年間)・中長期(今後10年間)の支援策

• 太陽光や小水力分野での技術協力の推進(短期(今後5年間)の取り組み)1. 太陽光や小水力分野での日本企業の参入促進(FSの実施支援、ファイナンススキーム構築支援等)を行う。

• メタンガス、泥炭といった埋蔵量が多い資源の電源としての活用に対する技術協力(中長期(今後10年間)の取り組み)1. ポテンシャルとして約350MWの発電能力を持つメタンガスの活用について、日本企業からの技術協力や事業化に

ついて支援を行う。同様の取り組みを泥炭についても行う。

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ルワンダにおけるエネルギー分野に関する短期の実現可能性のある支援のあり方「1.太陽光や小水力分野での日本企業の参入促進」

1. 太陽光や小水力分野での技術協力の推進

日本企業の強み

▪ 太陽光パネルについては価格面で国際的競争力を発揮しづらいものの、太陽光発電向けのインバーターや蓄電池で、日本企業は高い技術を有している。

▪ 小水力発電についても、日本企業は高低差が少ない箇所で効率的な発電のノウハウを有している。JICAによる途上国への技術協力では、小水力分野で日本企業の技術がたびたび活用されている。

日本企業の弱み

▪ オフグリッドの電力分野では、太陽光パネル、インバーター、蓄電池、水車などの機器について、途上国における展開上、価格競争力の弱さがしばしば問題になる。

現地の消費行動等の改善方策

▪ オフグリッドの太陽光発電や小水力発電に、発電効率や信頼性の高い日本製品が活用される。これにより、オフグリッド地域における安定的な電源供給が実現する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ 経済産業省が、オフグリッド地域における太陽光発電や小水力発電の実現可能性調査や、実証実験に対して支援を行い、日本企業の参入を促進する。

▪ JICAの無償・有償援助、技術協力プロジェクト等により、オフグリッド地域における日本企業の製品を活用した太陽光発電や小水力発電の展開を支援する。

▪ JICAが、日本企業、第三国企業及び第三国援助機関等と協力して、オフグリッド地域における太陽光発電のIPP

事業を組成し、海外投融資を活用した支援を行う。

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4.ルワンダ 4)進出有望分野に対する成果報告・提言

ルワンダにおけるエネルギー分野に関する中長期の実現可能性のある支援のあり方「1.メタンガス・泥炭の活用について、日本企業からの技術協力や事業化について支援」

1. メタンガス・泥炭の活用について、日本企業からの技術協力や事業化について支援

日本企業の強み

▪ メタンガスを活用したバイオガス発電を行う発電機を開発するなど、メタンガスの発電への活用についてノウハウを持つ日本企業が存在する。

▪ 泥炭については、北海道に豊富にあることから、泥炭を活用した発電に関心を持つ日本企業がありうる。

日本企業の弱み

▪ 日本から遠く、かつ、ルワンダで必要とされている発電量が小さいため、ルワンダで事業展開や実証に対する動機を持ちづらい。

現地の消費行動等の改善方策

▪ メタンガスや泥炭を活用した発電について、日本企業が、日本・ルワンダの両政府の支援のもと、ルワンダで実証実験を行う。また、事業の実現可能性が高い場合、メタンガスや泥炭を活用した発電事業を両政府の支援のもとで実施し、ルワンダのエネルギー安全保障と電力供給に貢献する。

実現方策(対象国の特性を鑑みた実施主体、支援方法、改善方法)

▪ JICAの技術協力プロジェクトで、ルワンダのインフラ省(エネルギー分野を所管)の協力のもと、メタンガスを活用したバイオガス発電の導入に向けた調査を実施する。

▪ 同様の調査を、泥炭を活用した発電についても実施する。

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1.調査の背景・目的

3.ケニア

4.ルワンダ

目次

2.調査手法及び概要

5.第三国連携

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5.第三国連携

ケニア ルワンダ ウガンダ タンザニア エチオピア

1位医薬品

3億1894万ドル医薬品

3038万ドル医薬品

1億5393万ドル医薬品

1億5637万ドル鉄・鉄鋼

1億3466万ドル

2位機械

1億7298万ドル車・二輪(部品含)

861万ドル車・二輪(部品含)

6099万ドル砂糖・砂糖菓子

9337万ドル医薬品

1億3296万ドル

3位車・二輪(部品含)

1億540万ドル電気機械851万ドル

機械5119万ドル

車・二輪(部品含)7563万ドル

車・二輪(部品含)8896万ドル

4位電気機械

9994万ドル鉄・鉄鋼

721万ドルプラスティック3520万ドル

機械6979万ドル

機械8783万ドル

5位プラスティック7664万ドル

機械546万ドル

紙2508万ドル

衣料・アクセサリー5382万ドル

プラスティック3593万ドル

注1)医薬品は赤字、車・二輪(部品含)は青字、機械は黄字で色分け。出所) UN Comtradeより作成

図表5.3. インドから東部アフリカ諸国への品目別輸出品(上位5位(ただし資源関連を除く))(2016年実績)

東部アフリカ諸国全般として、インドが輸出品として力を持っている品目は、医薬品、車・二輪(部品含)、機械。これら分野での連携が特に効果的と考えられる

東部アフリカ諸国の中では、特にケニアがインドによる医薬品、車・二輪(部品含)、機械分野における最大の輸出目的地として位置づいている。

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5.第三国連携

日本企業にとっても有望である車・二輪(部品含)において、インド企業が直面している課題に連携で対応することで両国企業が裨益する可能性がある

インド企業が調査対象候補国に進出する際に直面している主な課題

医薬品• ジェネリック薬に対する需要は極めて高い一方で、通関の際の遅れや関税審査にかかる時間が過大• 検査の結果、輸入が認められずインド本国に返送されるケースが多く、コスト増につながっている• 多くのアフリカ諸国において、新しいジェネリック薬の認証におよそ3年~6年を有する

車・二輪(部品含)

• 通関において必要とされる書類が多い• 港湾での貨物の到着遅れや関税審査にかかる時間がかかりすぎる• SUVなどの高級車を中心に車に対する関税が高い• 部品に対する関税も全般的に高い

機械• 通関のルールが頻繁に変更されるが、輸出業者に事前に知らされることがない• 戦略的に輸入を進めるその国にとっての重要製品に対する優遇措置がない• 通関での検査証明取得に時間がかかる

出所) 課題については「India‘s export opportunity in Africa 」( Rakesh Mohan Joshi他)及び野村総合研究所 経済産業省調査「アフリカ地域共同体経済連携・第三国企業等実態調査(平成28年度)」でのインド企業へのインタビューをもとに作成

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5.第三国連携

インド企業にとっての有望分野において、インド企業は通関の遅れ、通関ルールの変更、関税の高さなどの障害等の課題に直面している。こうした課題に日印の連携で対応する

インド企業が直面している主な課題インド企業・政府との連携による

日本の官民によるアプローチ方策

医薬品

• ジェネリック薬に対する需要は極めて高い一方で、通関の際の遅れや関税審査にかかる時間が過大

• 検査の結果、輸入が認められずインド本国に返送されるケースが多く、コスト増につながっている

• 多くのアフリカ諸国において、新しいジェネリック薬の認証におよそ3年~6年を有する

• 我が国の「国際医薬協力推進機構(仮称)」や「グローバルヘルス技術振興基金(GHIT)」、あるいは民間のアフリカ向け医療ファンド(AAIC)による日本企業・インド企業の連携によるアフリカ進出の資金面・情報提供面での支援

• 日・印政府による東部アフリカ諸国政府に対しての医療品輸入や認証に関する改善の働きかけ

車・二輪(部品含)

• 通関において必要とされる書類が多い• 港湾での貨物の到着遅れや関税審査にかかる時間

がかかりすぎる• SUVなどの高級車を中心に車に対する関税が高い• 部品に対する関税も全般的に高い

• 日本政府による東部アフリカ諸国の通関の電子化等の更なる効率化促進のための支援

• 自動車及び自動車部品に関する関税引き下げに対する日・印政府による改善働きかけ(マルチ・スズキなどのインドを拠点とする自動車メーカーの日印にとってWin-Winとなる輸出支援等)

• 東部アフリカ諸国でのEV普及のための日印政府・企業の連携(タタによるEV充電所整備のアフリカへの横展開の支援等)

機械

• 通関のルールが頻繁に変更されるが、輸出業者に事前に知らされることがない

• 戦略的に輸入を進めるその国にとっての重要製品に対する優遇措置がない

• 通関での検査証明取得に時間がかかる

• 日本政府による東部アフリカ諸国の通関の電子化等の更なる効率化促進のための支援

• 東部アフリカ諸国の産業発展のための戦略的な機械選択への協力と該当する品目を対象とする日印政府による輸出支援

• 日印機械メーカのアフターサービス等展開支援

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(様式2)

報告書の題名

委託事業名

頁 図表番号10 図表2.3

20 図表3.7

20 図表3.8

20 図表3.9

23 図表3.1023 図表3.1137 図表3.2337 図表3.24393957 図表4.25859 図表4.3

60

61 図表4.462 図表4.569 図表4.969 図表4.1070 図表4.1171 図表4.1271 図表4.1372 図表4.1472 図表4.15

73 図表4.16

75 図表4.1875 図表4.1978 図表4.2278 図表4.23

87 図表4.28

101 図表5.1

101 図表5.2

受注事業者名 株式会社野村総合研究所

ルワンダイノベーションファンドが投資を予定している企業リスト(一部

「SMART Rwanda Master Plan 2015 – 2020」 における主な目標

タイトル中国アリババ社によるエコシステム

アフリカ向け中古車輸出ビジネスを行うビィ・フォワード社の輸出販売台数・売上高推移

アフリカのスタートアップによる分野別ビジネス事例

南米の農業大国とアフリカ主要国の輸出入に占める食品の割合の比較

インドからアフリカへの輸出額の推移

東アフリカ共同体(EAC)加盟諸国と各主要国間の貿易実績過去10年合計(2006~2015年)

Vision2020における農業関連の目標

ルワンダにおける農業の現状

ルワンダにおけるエネルギーの現状と目標

ルワンダ政府のエネルギー分野での主な取り組み

ルワンダのAgahozo Shalom Youth Villageにおける8.5MWメガソーラー

ICT分野におけるルワンダ政府の これまでの取り組み成果

Konza Technopolisのイメージ図

iHubが提供するサービス

二次利用未承諾リスト

平成29年度アジア産業基盤強化等事業

平成29年度アジア産業基盤強化等事業(東アフリカへの我が国企業の事業展開有望分野に関する調査)最終報告書

キガリ・イノベーションシティのファイナンススキーム

ルワンダイノベーションファンドの概要

ファンドが対象とする産業領域に関する説明資料

茶畑にて使用中の様子

「Rwanda Vision 2020」の柱

「AggelList」でのケニアのスタートアップの検索結果

ルワンダ政府が推奨するICT分野での投資機会

キガリ・イノベーションシティの構想図

iHubのパートナー企業

茶摘みに使用される稼働型摘採機

「EDPRS2」における経済改革推進にあたっての5つの優先分野

「Sector Strategic Plans」の例(ICT、農業、エネルギー)

(参考) 「The Economic Development and Poverty ReductionStrategy (2013-2018)」における「Priority Sectors」の記述部分の抜粋

(参考)ルワンダの国家計画の構造

「EDPRS2」における3つの優先セクター