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2019.04.1 p e 20 19 年度 入学試験問題 目彦士課程〕 専門科目 早稲田大学大学院文学研究科 3 ;見ィ〈五五 コース ※解答悶r J 紙(縦。強) I 共通問題 村上春樹は、小説家を目指す人間に次のような助言を与えている。 「それでド僕は思うのですが、小説家になろうという人にとって重要なのは、とりあえ ず本をたくさん読むことでしょう。実にありきたりな答えで申し訳ないのですが、こ れはやはり小説を書くための何より大事な、欠かせない訓練になると思います。小説 を書くためには、小説というのがどういう成り立ちのものなのか、それを基本から体 感として理解しなくてはなりません。「オムレツを作るためにはまず卵を割らなくては ならない」というのと同じくらい当たり前のことで h すね。」 村上春樹「職業としての小説家」 [設問}小説家に限らず、イ可かを書こうとする人間についても同様のことが言 える。 そとで\現代文芸コ ースで学びたいことを最初に明記し、次いで、その思いにいたる 過程で何らかの影響を受 けた本(文学作品には限定しない) 5 冊あげ、そこに書か れている何にどのような刺激をもらった のか、 具体的に論ぜよ。 /公ページ

2 0 1 9 早稲田大学大学院文学研究科 目彦士課程〕 3;見ィ ......2 0 1 9年度 早稲田大学大学院文学研究科 入学試験問題 修士課程】 専門科闘

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2019.04.1工pe

2 0 1 9年度 入学試験問題

目彦士課程〕 専門科目

早稲田大学大学院文学研究科

3;見ィ〈五五 コース ※解答悶rJ紙(縦。強)

I 共通問題

村上春樹は、小説家を目指す人間に次のような助言を与えている。

「それでド僕は思うのですが、小説家になろうという人にとって重要なのは、とりあえ

ず本をたくさん読むことでしょう。実にありきたりな答えで申し訳ないのですが、こ

れはやはり小説を書くための何より大事な、欠かせない訓練になると思います。小説

を書くためには、小説というのがどういう成り立ちのものなのか、それを基本から体

感として理解しなくてはなりません。「オムレツを作るためにはまず卵を割らなくては

ならない」というのと同じくらい当たり前のことでhすね。」

村上春樹「職業としての小説家」

[設問}小説家に限らず、イ可かを書こうとする人間についても同様のことが言える。

そとで\現代文芸コースで学びたいことを最初に明記し、次いで、その思いにいたる

過程で何らかの影響を受けた本(文学作品には限定しない) を5冊あげ、そこに書か

れている何にどのような刺激をもらったのか、 具体的に論ぜよ。

/公ページ

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2 0 1 9年度 阜稲田大学大学院文学研究科 入学試験問題

【修士課程} 専門科目 拶ィイd コース ※解答は男!J紙(縦・ 機 )

II.選択問題 次のII-1~II-4の中からl題選択し、解答せよ。

*解答文の冒頭には、設問番号(例 :II・2)を明記すること。

II -1:下の文章を読み、小説の言葉と写真や映画のまなざしが結ぶ関係について、た

とえば 「機械的なまなざしJのように、ブルースト以外の具体的作品を例に挙げながら

論じること。

〔…〕『映画の理論』 (1960)と『歴史一一一最後の前の最後のことども』では、クラカ

ウアーはそれぞれ映画と歴史叙述の特徴を分析するにあたって、『失われた時を求めて』

の第三篇『ゲ、ルマントのほう』のなかのブルーストが突然旅行から家に帰ってきて、祖

母をそれと気づかれることなく見て一瞬それが祖母だ、と見分けることができないでい

るくだりに一度ならず言及している。その忘れがたい くだ、りの一部を読み返してみよう。

わたしはといえば[-…]帽子をかぶり、旅行用のコートを着た証人、 目撃者、こ

の家の者でない外来の客、 二度と見られない場所を撮りにきた写真師でしかなかっ

た。わた しが祖母の姿を認めたとき、わたしの目が機械的に記録したのは、まさし

く一枚の写真であった。[…・・・] はじめて、ほんの一瞬のあいだ\ というのはそうい

う祖母の姿はすぐさま消えてしまったからだが、赤い顔をして、鈍重で、俗っぽくて、

病を患った、わたしの知らない一人の衰弱しきった老婆が、ランプの下の、長椅子

の上に鉢を横たえて、夢にふけりながら、すこしばかり呆けた目で本に目を通して

いるのを認めたのであった。

プル}ストが写真機の平然として動じるところのないレンズにたとえている、対象か

ら距離を置いた、機械的なまなきゃしをつうじて、物語作者はかれの意に反して、それま

で愛が見ることをさまたげてきたもの、すなわち、祖母が死にかけているということを

突然了解する。 1927年のクラカウアーにとっては「死を恐怖している ことのしるし」

であった写真は、ブルース トをつうじて、その恐怖を乗りこえ、死を面と向かつて見つ

めることを可能にしてくれる道具に転化しているのだ。〔…〕

カルロ ・ギンズプルグf糸と痕跡」(上村忠男訳)

九ベージ

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2 0 1 9年度 入学試験問題

{修士課程} 専門科目

早稲田大学大学院文学研究科

主見ィイ免i コ)ス ※解答は別紙(縦・<@J幸)

II-2:下記の文章を読み、「地球全体を内包するシステムのタYナミズム」とはどのよ

うなものであるかを示したうえで\そのような変化が生じた原因や経緯、さらにはそう

した変佑が私たちの社会や文学に与える影響について、具体的な例を挙げつつ論じよ。

2016年 11月 16日、オックスフォード英語辞書は 2016年の「Wordof the YearJ

を「post-truth(ポスト ・トウルース:脱真実)」に決定したと発表した。その意味は、

「世論形成において、客観的な事実よりも、感情や個人的信条に対する訴えが大きな影

響力を持つ状況」であるという。

この決定に際して、主催者たちの念頭に、 2016年に立て続けに起こった Brexit(イ

ギリスの国民投票における EU離脱賛成多数)や トランプ大統領誕生、そして押収ある

いは全世界的に顕著になったポピュ リズム政治家の台頭があったことはいうまでもな

いだろう。

ただし、多くの人びとが“postぺruth"という言葉から連想し たのは、単に「エモーシ

ョナルな訴え」というだ、けでなく、上記の動静において、頻繁に浮上する「プェイクニ

ュース (偽情報)」問題であった。

(中略)かつて新しい〈公共圏〉となることを期待されたソーシャルメディア空間には、

現在、極端な意見や、 差別的言辞があふれている。そしてそれらの多くは、アェイクニ

ュースあるいは誤・った、虚偽の事実報告にもとづいて発せられる。それらの虚偽は、し

ばしば 「表現の自由」という理念によって弁護される。もしくは、虚偽情報を発したも

のが、虚偽を批判するものに対して、 「そちらがフェイクだ!」との厳しい批判を行う。

反対に、現実批判として、あえてディアォルメされた事実を記述する「パロデイ J と

いう行為は危機に瀕している。「パロデイ」は、「アェイク」である と批判されるのであ

る。

このような混乱した状況のなかで、われわれは、〈公共圏〉どころか、われわれが長

い歴史のなかで築きあげてきた文明そのものを失うのではないかとさえ危慎される。

問題解決の分析として、コ ミュニケーション論的な分析ー とくにソーシヤルメデ

ィアに特有とされる性格が現在盛んに行われている。それはもちろん重要な分析である

ことは当然である。しかし同時に、現代の問題が、地球全体を内包する全体システムの

ダイナミズムから生じていることを忘れてはならない。

(遠藤薫編『ソーシヤルメディアと公共性)

弘ページ

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2 0 1 9年度 早稲田大学大学院文学研究科 入学試験問題

修士課程】 専門科闘 Z初予去 コ}久 ※解答悶!J紙(縦。鴎)

II-3:以下の四つの文章を読んで、問いにこたえなさい。

雄牛は乗り手の下でどうにか立ち上がろうとしていた。乗っているのは太ったぼさ

ぼさ頭のメキシコ人で\この状況にしびれを切らして苛立っているようだ、った。雄

牛もいらいらしているようで、いまは立ち上がってじっと動かずにいた。/向かい

の正面観覧席の弦楽楽団が、調子はずれの「グアダラハラ」を演奏しはじめた。グ

ァダラハーラ、グアダラハーラー、楽団の半分が歌っていた……

「グ、ア、ダ、ラ、ノ\ラ」ヒューが一つ一つの音を区切って発音した。

下、上、下、下、上、下、下、上、とギターがかき鳴らされた。

(マルカム・ラウリ- Ii'火山の下』)

※この問題は、著作権の関係により掲載ができません。

(ガプリエル ・ガルシア=マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』)

ケヴイ ンは遠慮がちに構わないかと尋ねてから、ラジオを庭に持ちこんだ。マリア

ンには最初その音が耳障りだ、った。せっかく牧歌的な気分で脳から α波が出ていた

のに、これではぶち壊しだ。しかし時間が経つにつれ、いくつかいいなと思える曲

が出てくるようになった。 女性歌手が、ドアの外に〈諸冨〉が立っている、 と

歌う曲もその一つだ、った。 Y皮女の手には花と炎が同時に燃える h とか、そんなよ

うな歌詞だった。マリアンは最初スコップでリズムを取り、やがて顎を上下に動か

しながら聴いた。二度目にこの曲がかかったとき、 マリアンは(同じように遠慮が

ちに) ケヴィンに訊いた。「これ、誰の曲? J

ケヴィンは顔を上げた。「スザンヌ・ヴェガ」

「ふうん」とマリアンは言った。「いいわねJ

(ニコルソン 。ベイカー『フェルマータ』)

キャンプをして過ごしたその夏の日々、ロベール、アリーヌと子供たちは山道を歩

きながら、スペイン共和国で親しまれていた歌を合唱するのに合わせて行進した。

ア E ラス パワカ ー ダス

一列になって進む、役立たずだが善良な兵士たちの軍団だ。 「バリケー ドへ、

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ノ寸リケードヘ、連合の勝利のために」。そうして気がつけば、あっ という 問

に頂上に着いているのだ、った。

(キルメン・ウ リベ 『ムシエ 小さな英雄の物語』)

これらはどれも 20世記半ばから 21世紀にかけて書かれた海外の小説からの引用で、

順番は発表された年代に添って、音楽がひびいている場が描かれている。タイ トルを引

きながら、 個々の特徴を指摘し、音楽と人とのかかわり について自由に述べなさい。

ヂ/tページ

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2 0 1 9年度 早稲田大学大学院文学研究科 入学試験問題

{修士課程] 専門科目 手見イイ t1- コース ※解答は別紙(縦 ・老舎)

H・4:以下は、ユージーン・ジョラスが 1929年に『 トランジション』誌上で、行った 「言

葉の革命マニアェスト」です。このなかの 2項目をとりあげて、あなた自身の見解を述

べなさい。

1 . 英語革命は既成事実である。

2. 夢想世界を探求する想像力は自治独立し、 何にも縛られない。

3 . 純粋詩とは叙情的絶対であり、われらの内部にのみ在るアプリオリな現実を探求

する。

4. 物語とは単なる逸話ではなく 、現実を変形したものの投影である。

5. 以上のような構想は、律動的な「言葉の幻覚」を通じてのみ、その表現が達成さ

れる。

6. 文学的創造者は、教科書や辞書によって課された言葉の第一の内実を分解する権

利を有する。

7. 文学的創造者は、自身の手で形成した言葉を用い、既存の文法や統語の規則を黙

殺する権利を有する。

8. 「言葉の連蒋」は、独立した単位として認められる。

9. われらは社会科学の観念が普及することに関心を持つ者ではない。ただし、現在

のイデオロギーから創造的要素を解放してくれる場合、その限りでない。

10. 時間とは打破すべき暴君である。

11. 作家は表現する。意思疎通するのではない。

12. 単純な読者は死すベし。

エミリー ・アプタ- II"翻訳地帯一新しい人文学の批評パラダイムにむけて』

(秋草俊一郎、今井亮一、坪野圭介、山辺弦訳)

※Web公開にあたり、著作権者の要問により出奥追記しております。

翻訳地裕一一新しい人文学の批評パラダイムにむけて

工ミリー ・アフター(蓄)

秋草俊一郎 ・今井亮ー .i平野圭介・ 山辺弦(翻訳)

2018年慶慮義塾大学出版会

九ページ

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2 0 1 9年度

目彦士課程〕 専門科目

早稲田大学大学院文学研究科

手記i℃it コ)ス

入学試験問題

※解答は別紙(縦 。託尋)

E :以下の 1~12の設問事項から 5項目を選び、それぞれについて 200字以内で説

明せよ。

*記入は順不同でもよいが、設問項目番号は、解答欄左上の空欄に明記すること。

アナーキズム

2. 日本文芸家協会

3. ノーベル文学賞

4. 風俗壊乱と安寧秩序素乱

5 自由間接話法

6. パスティーシュ

7. 「失われた時を求めて』

8. 『ボヴ、ァリ一夫人』

9. 『地の果て 至上の時」

10. 小島信夫

11. ウ、、アJレター・ベンヤミン

12. ロラン・ノ勺レト

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