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週末にパスクワ(キリスト復活祭)を控えた 4月5日、フィレンツェの中心地、シニョーリア広場近くのチェルキ宮殿にイタリア初の「ゲンテン」ショップがオープンした。1965年創業の日本のハンドバッグメーカー、クイーポは、昨年12月、イタリア現地法人のクイーポ イタリアを設立。フィレンツェ店オープンを記念しスタートした、メイド・イン・イタリーの新ライン「ゲンテン チェルキ」は、この地を皮切りに世界に飛び出した。 「ゲンテン」は、“環境に配慮する”“限りある資源を大切にする”“長く愛着の持てるモノづくり”という 3つのテーマを掲げている。イタリア クイーポの社長も務める岡田國久クイーポ会長は、「デビュー以来貫いてきたテーマは、フィレンツェの生み出す美意識や価値観とも共通している。私は今まで、90回ぐらいフィレンツェを訪れており、この街にはそれぐらい思い入れがある。この地に『ゲンテン』ショッ
プをオープンできたことは、私の夢の実現でもあり、とても嬉しい。歴史ある建物における『ゲンテン』ショップから、イタリアと日本の文化や伝統を継承し、融合させて世界に発信していきたい」と話す。「なぜファッションの街ミラノではなく、フィレンツェにショップを?と言う人もいるが、ミラノはモード、フィレンツェはモノ作りの街。『ゲンテン』は、職人の息づく街から発信していきたかった。そして何よりもフィレンツェが大好きだから」と続ける。 ショップのコンセプトは、岡田社長の言葉を具現する“イタリアと日本の伝統文化の融合”だ。そのコンセプト通り、18世紀に修復された天井のフレスコ画を生かしたシンプルなデザインの店内に、和紙作家の堀木エリ子の什器型オ
ブジェや、紅葉や松の盆栽をディスプレー。トスカーナ・サン
タクローチェのタンナーで仕上げた植物タンニンなめし革という極上の素材を使った「ゲンテン チェルキ」を含む
「ゲンテン」の商品を整然と並べる。
オープン日にはレセプションパーティが盛大に開催された。オープニングに合わせ日本から運び込んだ、ハンドバッグの原点である、江戸から明治時代の筥迫(はこせこ)や喫煙具、髪飾りなど、貴重な古美術も展示した。イタリアの全国紙「コリエッレ・デラ・セーラ」などに執筆しているフリージャーナリストのラウラ・アントニーニは、「過剰なデザインがなく、シンプルなスタイルがとても良い」と話す。イタリア人ジャーナリストのショップや商品に対する評価はとても高かった。
WWD FOR JAPAN20 vol. 1687 昭和54年 4 月24日第三種郵便物認可 週 1 回月曜日発行 ウィメンズ・ウエア・デイリー・ジャパン 2012年(平成24年) 4月23日(月曜日)発行
ヴェッキオ橋
ドゥオモ
アルノ川
ウフィツィ美術館ベッキオ宮殿
シニョーリーア広場
レプブリカ広場
map
Vicolo dei Cerchi 1
50122 Firenze ITALIA
www.gentenfirenze.com
カルツァイウォリ通り
チェルキ通り
「ゲンテン」がフィレンツェの
チェルキ宮殿とは?13世紀、豪族ファミリーであったチェルキ家が邸宅としていたのがこの宮殿。建物の塔部の建築は 8世紀から始まり、ダンテのアトリエとして使われていたという史実が残る。重要文化財にも指定される由緒ある建物を、「ゲンテン」が現代に引き継いだ。
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天井のフレスコ画と和紙作家の堀木エリ子のオブジェが見事に融合する店内
フィレンツェ発メイド・イン・イタリーの新ラインが「ゲンテン チェルキ」だ。イタリアの伝統技の植物性タンニンなめしで丹念に仕上げたレザーを使っている。代表的コレクションは、自然のままの風合いを生かした一枚革を贅沢に用いた、シンプルなトート。フィレンツェ市の紋章から生まれた獅子のオリジナルエンブレムを刻印に用いている。さらに、ルネサンス期のオーナメントに着想を得た、アンティークな雰囲気のアイテムも揃える。どのバッグも、イタリアの卓越した技術を惜しみなく用い、独特の風合いを生かしながら作っている。もちろん、「ゲンテン」のバッグならではの経年変化を楽しむこともできる。日本国内の「ゲンテン」ショップ 65店舗でも販売する。
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自然のままの風合いを生かした美しい一枚革を用いたシンプルなレザートート(左)や型押しの上にハンドペインティングで古典美を落とし込んだ、アンティークな雰囲気を醸し出すバッグや小物など幅広いアイテムを揃える
新ライン「ゲンテン チェルキ」とは?
フィレンツェ市の紋章から生まれた獅子のオリジナルエンブレム
WWD FOR JAPAN 21vol. 1687 昭和54年 4 月24日第三種郵便物認可 週 1 回月曜日発行 ウィメンズ・ウエア・デイリー・ジャパン 2012年(平成24年) 4月23日(月曜日)発行
宮殿にショップオープン!
日本の主要店舗同様、フィレンツェ店の地下1階には工房を設け、職人が同店限定のアイテムなどを制作する。イタリアの素材会社とはオリジナルの皮革と布帛の開発に取り組み、素材にも徹底的にこだわる。今も受け継がれる多くの職人の技術を公開する。
地下には工房も
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topics 2
オープニングパーティには、フィレンツェ市長、在イタリア日本国大使ら、地元の財界人やジャーナリスト、関係者が集まり、日本とイタリアの文化交流的な雰囲気に包まれた。フィレンツェのマテオ・レンツィ市長は、「この地はヴェッキオ宮殿にも近く、フィレンツェの魂が残る場所。日本とイタリアは文化的な交流が盛んで非常に近いものを感じる。今後ますます日本人とイタリア人の友情が育まれることを期待している」と挨拶。また、河野雅治・在イタリア日本国大使館特命全権大使は、「遠いと思っていたイタリアに住めば住むほど日本との深いつながりを感じる。場所は違っても、モノ作りの原点は一緒。文化、芸術、音楽などの面でも深いつながりを感じる。フィレンツェのサンタクローチェ教会では、1年前に日本の篤志家が協力して修復したフレスコ画が完成した。モノ作りの街フィレンツェに日本のブランドショップができたのはすばらしいことだ」と話した。
問い合わせ先:クイーポ 03-3268-9199 www.kuipo.co.jp/企画・制作:WWDジャパン
1. パーティでは、お茶をたててゲストをもてなすというサービスも。茶道という日本の伝統で来場者を楽しませた 2.オープンを祝福するため、日本とイタリア両国から多くのゲストが訪れ、賑わった店内 3.「エル」や「ヴォーグ」などたくさんの伊モード誌の編集者も来場 4.マテオ・レンツィ=フィレンツェ市長 5.イタリア クイーポの社長も務める岡田國久クイーポ会長 6. 河野雅治・在イタリア日本国大使館特命全権大使
日伊文化交流が深まったオープニングパーティ
江戸から明治時代の日本の職人技術が生み出した貴重な古美術もディスプレーする
金唐革や銀、竹、象牙などの細工物が揃う
イタリア建築の伝統を感じる7メートルのアーチ型天井のショップはミュージアムのような雰囲気を醸し出す
手編みのメッシュやエキゾチックレザーのバッグなども揃う
長い歴史と感性が生み出した、渾身の作品が飾られるショーウインドー
漆喰の壁や天井には当時のフレスコ画が残っている
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