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令和元年度 スポーツ庁委託事業 「子供の運動習慣アップ支援事業」 美津濃株式会社

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令和元年度

スポーツ庁委託事業

「子供の運動習慣アップ支援事業」

美津濃株式会社

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目次

Ⅰ)本事業の概要

①本事業の目的 ............................................................................ 2

②本事業の全体像 ......................................................................... 3

③本事業の実施体制 ...................................................................... 3

④本事業の年間計画 ...................................................................... 4

Ⅱ)事業実施計画

①事業実施に向けた環境整備 1)本事業で実施する計測について ...................................................... 5

2)本事業の実施対象園及び対象児について .......................................... 6

3)対象園および対象児の保護者への同意取得 ....................................... 7

②運動遊びプログラムに関する指導者の育成

1)プレイリーダーの育成 ................................................................... 8 ③モデル事業の展開

1)アドバイザー・プレイリーダーの派遣(活用)

1)-1 運動遊びの実践および運動遊び実践後の検討会 .......................... 9 1)-2 運動遊び本の作成 ............................................................. 9 1)-3 アンケート調査 .................................................................. 9

2)保護者への啓蒙活動 ............................................................... 10 3)活動量の調査 ....................................................................... 10

④講演会の提供 .......................................................................... 10

Ⅲ)事業実施結果 ①プレイリーダーの育成 .................................................................... 11 ②講演会の提供;「健やかな子どもを育むプレイリーダーのあり方」講演会 ........... 13

③運動遊びの実践および運動遊び実践後の検討会 .................................. 14 ④活動量の調査 .......................................................................... 14 ⑤運動遊び本の作成 ..................................................................... 46

⑥アンケート調査 .......................................................................... 47 ⑦保護者への啓蒙活動 .................................................................. 48

Ⅳ)まとめ ................................................................................... 50

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Ⅰ)本事業の概要 Ⅰ)-①本事業の目的

子どもの体力や運動能力については、体力の高かった昭和60年頃と比べると依然低い水準にあ

る。また、積極的にスポーツをする子どもとそうでない子どもとの二極化が顕著に認められている。運

動能力の低下によって、ちょっとした段差につまずいて骨折したり、転んでも手を前につくことができず

顔面を打撲したりする事故につながっていると言われている。そして今、より多くの子どもが十分に体を

動かして、スポーツの楽しさや意義・価値を実感することができる環境の整備が求められている。また、

子どもの運動習慣を向上させるためには子どもへの直接的な取組みに加えて、日常的に子どもの保

育に携わる幼稚園教諭、保育士あるいはスポーツスクール指導者などに対し、子どもの体力低下の

問題や子どもが運動習慣を身に付けることの重要性について理解を促し、意識の一層の喚起を行う

ことが必要である1)。

上記の環境整備が求められているなか、美津濃株式会社(以下、ミズノとする)は、2016年か

ら運動遊びを通じて多様な動きを子どもに経験させるプレイリーダーの育成を行っている。育成は、社

内だけではなく、幼稚園教諭や保育士、スポーツ指導者など社外の専門職に対しても行ってきた。こ

れらの活動を通じて以下の課題点があることがわかった。①幼児・児童の身体の発育発達への理解

不足や発育発達に応じた運動あそびが難しいこと、②運動遊びを実施しているときの幼児・児童に

かける言葉やそのタイミングがわからないこと、③運動遊びプログラムの組み立て方が難しいことの3点

であった。

本事業の目的は、運動・スポーツの習慣を身に付けるべき幼児に対し、運動遊びプログラムを通

じて、楽しみながら多様な動きを身に付けることができる環境を整えることである。具体的には、日常

的に子どもに接している幼稚園教諭、保育士、保育教諭に対し、上記3つの課題解決を目的とし

たプレイリーダーの育成を実践形式で行う。育成に際しては、センシング技術とビデオ映像を活用する。

データの計測およびデータ収集は、運動遊びを行っているときの子どもの身体活動量と身体活動の

質の評価を行うことを目的としている。計測結果とビデオ映像を用いてプレイリーダーの言動を振り返

り、プレイリードの質向上を目指す。また収集したデータは、保護者にも提供し、運動遊びの重要性

と家庭での運動遊びを普及するための意識啓発を図る。

1)スポーツ庁発行子供の運動習慣アップ支援事業委託要項(平成29年2月22日スポーツ庁次⾧決定 31年3月27

日改正)より引用

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Ⅰ)-②本事業の全体像

本事業は、図1に示す通り、まずは対象園へのヒアリング調査から始めた。 ヒアリング調査から各

園での運動遊びの様子や運動・体力に関する情報を得た。ヒアリング調査後、日常の運動遊びを

観察するために活動量計測(以下、身体活動量とする)を2日に分けて行った(以下、Pre 1・2

とする)。その後、ミズノが園の課題に合わせた運動遊びプログラムを作成し、プレイリーダー講習会

の演習でそれを体験してもらった。講習会終了後、各園の先生はプレイリーダー講習会で学んだこと

をもとに運動遊びプログラムを合計3回実践した。実践時は、身体活動量計測も行った(以下、

Post1・2・3とする)。運動遊びプログラムの実践後に先生を交えた検討会(フィードバック)を開

催し、プレイリードの課題抽出と解決案について議論した。課題解決案は、次の運動遊び実践で試

行してもらうこととした。

図1:事業の全体像

Ⅰ)-③本事業の実施体制

本事業は、ミズノが中心となり対象園の決定や対象園との調整だけでなく、プレイリーダー講習会

や検討会など運営全般の統括を行うとともに、センシング技術を用いた身体活動量計測および分

析も担当した。山梨大学中村和彦教授には、身体活動量の計測方法に関するアドバイスや「健や

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かな子どもを育むプレイリーダーのあり方」と題した講演会の講師をお願いした。対象園でのプレイリー

ダー講習会および運動遊び実践後の検討会は、再委託先であるミズノスポーツサービス株式会社の

ミズノプレイリーダー認定者が講師を務めた。実施体制については図2に示す。

図2:事業の実施体制

Ⅰ)-④本事業の年間計画

スポーツ庁との委託契約書締結後、表1に示すスケジュールに沿って事業を進め、予定通り令和

2年3月に完了した。

表1:年間計画表

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Ⅱ)事業実施計画 Ⅱ)-①事業実施に向けた環境整備

Ⅱ)-①-1)本事業で実施する計測について

子どもの身体活動量の計測準備として、各園から子どものID番号に対応した性別、身⾧、体重

をミズノに提出してもらった.子どもの氏名とID番号の紐づけは各園で行ってもらい、ミズノは園名と

ID番号で計測データを管理した。

子どもの身体活動量および身体活動の質は、2種類の計測機器を用いて計測した。身体活動

量は、オムロン社製(HJA-750C アクティブスタイルプロ、以下オムロン活動量計)を使用した。オ

ムロン活動量計は1時間単位で歩数を、10秒単位で活動強度(METs)を測定することができる。

着用方法は、取扱説明書の記載通り子どもの腰部に装着した。

写真左

オムロン活動量計装着の様子

写真右

オムロン活動量計装着時

計測終了後、オムロン活動量計からパソコンへのデータ転送を行った。データ転送は、パソコンに

USB通信トレイ(オムロンHHx-IT4)を接続し、オムロン専用管理ソフトを用いて行った。身体活

動の質は、ミズノキッズセンサ(特許第6478275号、以下キッズセンサ)を使用した。キッズセンサ

は、運動遊びを行っているときに出現する6種類の動作を2秒に1回の頻度で判別し、記録すること

ができる。6種類の動作とは、Stop、Walk、Jog、Run、Jump、Otherである。Otherは左記の5

種類以外の動作を指し、体幹や上半身の運動が出現したときはOtherと判別するようになっている。

キッズセンサは、写真の通り、子どもの足首に専用ゴムベルトを用いて装着した。

写真左:センサ装着後の様子

写真中央:装着時の様子

写真右:センサ本体

計測終了後、キッズセンサからタブレットへデータ転送を行った。データ転送は、Bluetooth通信に

てセンサとタブレットとを接続し、タブレット内の専用アプリ(平成28年度総務省IoTサービス創出支

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援事業「子どもの運動習慣データを基盤としたスマート運動教育モデル事業」で開発)を用いてテキ

ストファイルとして保存した。データ分析は、テキストファイルをパソコンに移行して行った。

上記の計測以外に、プレイリーダーと子どもの動きを観察するためにビデオカメラ(Panasonic社製

HC-V480MS)を用いて動画を撮影した。

Ⅱ)-①-2)本事業の実施対象園及び対象児について

本事業の対象園は、本事業の公募要領に従い、都市圏とそれ以外の地域において幼稚園と保

育所の各4箇所、合計8箇所を選定した。都市圏は、総務省統計局が定義している大都市圏と

大都市圏の中心市に隣接する市町村とした。本事業に参加した子どもは、年⾧組に在籍する5歳

~6歳児を対象とした。対象園の所在地域および子どもの人数を表2に記した。

表2:本事業の対象園および対象児数

エリア 区分 園名・所在地域 人数

都市圏 幼稚園 学校法人北恩加島学園 北恩加島幼稚園(以下K園、大阪府

大阪市)

39

幼稚園 社会福祉法人山善福祉会 しおさいこども園(以下S園、兵庫県芦屋市) *本園は、政令指定都市である神戸市に隣接している芦屋市に開設したこど

も園である。1号認定者が多く所属していることから幼稚園の区分とした。

19

保育園 社会福祉法人黎明会 南浦幼保連携型こども園 (以下M園、京都府宇治市) *本園は、昭和51年保育園として開設し、平成28年幼保連携型認定こども

園として認可された。2・3号認定の園児が多く所属していることから保育園の

区分とした。

40

保育園 社会福祉法人あけぼの会 幼保連携型認定こども園 登りこども園 (以下、N園、京都府宇治市) *本園は、昭和48年保育園として開設し、平成28年幼保連携型認定こども

園として認可された。保育園から認可されたことから保育園の区分とした。

40

それ以外

の地域

幼稚園 橿原市立 真菅北幼稚園(以下、MK園、奈良県橿原市) 36

幼稚園 橿原市立 耳成幼稚園(以下、MN園、奈良県橿原市) 20

保育園 社会福祉法人みみづく福祉会 みみづく保育園(以下、MM園、

京都府京田辺市)

23

保育園 社会福祉法人愛光福祉会幼保連携型認定こども園 愛光兜台こども園(以下、KD園、京都府木津川市) *本園は、平成8年保育園として開設し、令和元年幼保連携型認定こども園

として認可された。2・3号認定の子どもが多く所属していることから保育園の区

分とした。

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Ⅱ)-①-3)対象園および対象児の保護者への同意取得

対象園に対し、子供の運動習慣アップ支援事業実施内容確認書を作成した。本事業の運営

責任者が、確認書にそって本事業の趣旨、実施内容、データ収集・管理・利用方法等を各園の代

表者(園⾧、副園⾧)に説明を行った。各園の代表者は、実施内容に同意の上、確認書への署

名・捺印を行った。対象児の保護者に対しては、上記確認書と同等の内容を記述した子供の運動

習慣アップ支援事業実施内容説明書を作成した。同説明書は、各園の対象児の担任教諭・保

育士・保育教諭から保護者へ配布をしてもらい、同意を得た。

図3:園向け実施内容確認書

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図4:保護者向け実施内容説明書

Ⅱ)-②運動遊びプログラムに関する指導者の育成

Ⅱ)-②-1)プレイリーダーの育成

ミズノは、2016年に山梨大学教育学部中村和彦教授の監修のもと、プレイリーダー講習会プロ

グラムを開発した。同年から運用を開始し、2020年2月末に至るまで社内・社外で約600人の受

講実績がある。ミズノプレイリーダー講習会は通常6時間のプログラムであるが、本事業では一人でも

多くの先生に参加してもらうことを優先し、先生方が参加しやすいよう3時間プログラムに再編して実

施した。具体的な講習内容は、表3に示した通りである。講師は、再委託先のミズノスポーツサービ

ス株式会社から派遣されたミズノプレイリーダー認定者(以下、PL)が務めた。

表3:各園で実施したプレイリーダー講習会プログラム

時間配分 内容 備考

5分 講師紹介・講習会スケジュールの説明

85分 座学:幼児期における運動あそびの重要性 1) 子どもが抱えている問題 2)育ちのリテラシー 3)体力・運動能力調査より 4)二極化と二局化 5)なぜ、子どもたちはこの用になったのか?

座学:「プレイリーダーとは?」

筆記用具

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6)子どもを変える

7)運動遊びプログラムの構成

75分 演習:プレイリーダー実技演習 1)運動遊びプログラム体験 2) 遊びのコンテンツ,遊びの伝え方 3)遊びプログラムの解説

筆記用具

動ける服装

インシューズ

15分 質疑応答

Ⅱ)-③モデル事業の展開

Ⅱ)-③-1)アドバイザー・プレイリーダーの派遣(活用)

1)-1 運動遊びの実践および運動遊び実践後の検討会

運動遊びの実践を行う前に、各園で運動遊びに関するヒアリングを行った。本事業の従事者が、

各園の対象児の学級担任に人数、園庭の広さ、園が所有する遊具、園で実施している運動遊び

や日常保育で観られる子どもの課題等について聴いた。ヒアリング結果から各園の課題に対応した

運動遊びプログラムを作成し、プレイリーダー講習会の演習で体験してもらった。運動遊びの実践は、

プレイリーダー講習会の前後で合計5回行った。プレイリーダー講習会前の運動遊びの実践(Pre1・

2)では、園で行っている通常の運動遊びを30分間実施してもらった。プレイリーダー講習会後の運

動遊びの実践(Post1・2・3)では、対象児の学級担任に30分間の運動遊びプログラムを実施して

もらった。運動遊びプログラムは、講習会で体験したプログラムに限らず、学級担任が工夫を加えて

実施しても良いこととした。

運動遊び実践後の検討会は、実践を行った学級担任とPL、本事業従事者が参加して行った。

検討会では、計測データの一部とⅡ)-①-1)で述べた動画を検討会資料として活用した。動画から

子どもの動きや子どもの視線、プレイリーダーの動きや立ち位置などを確認し、次の実践に向けた課

題と解決案について話し合った。

1)-2運動遊び本の作成

各園向けにミズノが作成した運動遊びプログラムだけでなく、各園が独自で実践した運動遊びコン

テンツを集め運動遊び本として制作した。

1)-3アンケート調査

プレイリーダー育成プログラムを通じて学んだことが、引き続き各園で活用できるかどうかを確認する

ため学級担任に聴き取り調査を行った。

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Ⅱ)-③-2)保護者への啓蒙活動

本事業に参加した子どもの身体活動量や身体活動の質を保護者に知ってもらうため、各対象児

の計測記録と計測結果を簡単に解説した遊育通信簿を発行し、園を通じて保護者に配布した。

運動遊びの大切さや親子でできる運動遊びを紹介しているミズノ運動遊びBook(ミズノ発行)も

合わせて配布した。

Ⅱ)-③-3)活動量(身体活動量)の調査

身体活動量の調査は、本事業の実施対象園の5-6歳児に対して行った。計測に用いる計測機

器は、Ⅱ)-①-1)で述べた通りである。運動遊びを行っているときに計測を行い、Pre2回および

Post3回の合計5回実施した。計測結果については第Ⅲ章に記した。

Ⅱ)-④講演会の提供

「健やかな子どもを育むプレイリーダーのあり方」と題した講演会を開催した。一人でも多くの幼稚

園教諭や保育士等が、運動遊びの大切さやプレイリーダーの役割などを理解し、保育現場で実践

してもらうことを目的に開催した。山梨大学中村和彦先生が講義を、ミズノスポーツサービス株式会

社のPLが演習を担当した。講演会の募集要項は以下の通りである。

図5:講演会の募集要項

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Ⅲ)事業実施結果 Ⅲ)-①プレイリーダーの育成

プレイリーダーの育成は、各園でプレイリーダー講習会プログラム(表3参照)を行うことから始めた。

プレイリーダー講習会の参加者合計は、69人であった。各園の参加者数は表の通りである。

表4:各園のプレイリーダー講習会参加者数

K園 8人 MK園 5人

S園 5人 MN園 3人

M園 20人 MM園 5人

N園 8人 KD園 15人

写真:プレイリーダー講習会の様子

プレイリーダー講習会では、今の子どもが抱えている問題点を振り返ること、子どもの発育発達段

階を理解すること、動きの多様化や洗練化について学ぶことを講義の柱として進めた。また、演習で

は各園のヒアリング結果を活かし作成した運動遊びを体験してもらった。ヒアリングでは、日常保育で

観られる子どもの動作や身のこなしなどから課題と思われる動作を聴いた。その結果、いずれの園も

「同じ姿勢が保てない」、「立っている・座っているときの姿勢が悪い」、「立ったまま靴が履けない」など

体幹の力や身体のバランスをとる動きに課題があることがわかった。また、ほとんどの園で鉄棒、マット、

平均台を使った器械器具体操は実施していたが、ボールを使った投の運動遊びを行っている園が少

ないことがわかった。これらのことから演習には、姿勢維持に大事な体幹や身体のバランスをとる動き

と用具を使った運動遊びコンテンツを盛り込むこととした。表5にプレイリーダー講習会の演習で用いた

運動遊びプログラム例を記す。

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表5:プレイリーダー講習会で実施した運動遊びプログラム例

遊びの領域 運動遊びコンテンツ 備考欄

ウォーミングアップ ●みんなが知っているゲームから始める

・じゃんけん(じゃんけん)

・カラダじゃんけん(立位)後だしじゃんけんなど

カラダを移動する動き ●色々な歩きをする

・色々なスピードで歩く(ゆっくり、普通、早歩き)

・ロボットやお化けに変身して歩く

・好きな動物に変身して歩く

●その他

・5歩おに、じゃんけん列車

備品;コーン4

ロボット、お化け

や動物の動きは

子どもに表現さ

せる。

カラダのバランスをとる動き ●魔法の粉を練ってのりにして、カラダにぬる

・ツンツンゲーム(先生対子ども)

・ひっくり返しゲーム(おなか⇔背中)

・お芋引きゲーム

ひっくり返しゲー

ムは2人1組で

行う。

お芋引きは全員

で行う。

多様な動きを作る遊び ●忍者手裏剣遊び

・あし手裏剣、あたま手裏剣、忍者チョップ

・かわしの術(ボール転がし中当て)

備品;コーン4

つ、ボール

用具を操作する遊び ●陣地とりゲーム(ボール投げ合い)

・先生vs子ども

・先生+子どもvs子ども

・子どもvs子ども

備品;カラーボ

ールや玉入れの

クールダウン ●ハンバークを作ろう(2人1組)

・野菜をあらう

・野菜をきる

・ミンチをこね、形をととのえる

・フライパンでやく

・食べる

・食器を洗う

・ごちそうさまでした

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Ⅲ)-②講演会の提供;「健やかな子どもを育むプレイリーダーのあり方」講演会

本講演会には、60人が参加した。参加者は保育士や保育教諭のほか、リハビリテーション大学の

理学療法を専攻している学生およびその指導教官であった。

講演会は座学と演習の2部に分けて行った。第1部は、山梨大学中村和彦先生による座学から

始めた。先生は、1985年以前の子どもたちの遊びを写真で紹介することから始められ、子どもに観ら

れる二極化と二局化を含む現状の問題点や課題点について解説をされた。そして、子どもたちの自

主性を引き出すために、我々大人が我慢し、見守ることの重要性を熱く語られた。第2部は、ミズノ

プレイリーダーによる演習を行った。演習では、園ですぐに実践してもらえる運動遊びを体験してもらっ

た。演習開始時は、参加者の表情が硬かったが、運動遊びプログラムを進めるにしたがって場が和み、

笑い声が響いていた。講演会終了前に質問やご意見をうかがったところ、以下のコメントをいただい

た。

写真;山梨大学中村和彦先生による講義の様子

写真;ミズノプレイリーダーによる演習の様子

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Ⅲ)-③運動遊びの実践および運動遊び実践後の検討会

Ⅲ)-④活動量(身体活動量)の調査

運動遊びの実践および運動遊び実践後の検討会の結果は、身体活動量の計測結果と合わせ

て園ごとに報告する。

Ⅲ)-③④-1)都市圏の幼稚園、保育園、認定こども園での事業実施結果

1)-1 学校法人北恩加島学園 北恩加島幼稚園(K園)の結果

●K園の特色

K園は、大阪市南西部に位置している私立幼稚園で、「心と体を育てる」、「国際感覚を育てる」、

「礼儀作法を身につける」ことを方針としている園である。

●対象児について

K園は5-6歳児39人が在籍し、2クラスに分かれて保育を行っていた。子どもの身体特性を表6

に記す。

表6:K園の5-6歳児の身体特性

平均身⾧(cm) 平均体重(kg) カウプ指数

男児(22人) 111.6±4.0 19.3±2.8 15.5

女児(17人) 109.4±6.1 19.0±3.6 15.9

コメント:こども園 園長先生から

研修では大切なことを身をもって教えていただきました。中村先生のお話は、以前

に聴講させてもらったことがあり、よく理解したつもりでした。しかし、ラッキーさん(ミ

ズノプレイリーダー)の実践と合わせて参加すると、“運動遊びを届ける大人自身が

面白く・心地よく・自ら楽しむことができるプログラム“を提供しなければ人は育たな

いのだと痛感しました。楽しくて、時間の経つのを忘れてしまいました。

コメント:リハビリテーション大学指導教官から

中村先生の熱いご講演を拝聴させていただき、とても勉強になりました。実技につきまし

ても、発達障害を持つ児童にも応用できるものがありました。

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総務省統計局「日本の統計 2020」によると平成30年度の5歳児男児の平均身⾧および平均

体重は110cm、18.9kg、女児は109.4cm、18.5kgと報告されている2)。これらのことから、K園

の子どもは全国平均とほぼ同じ身体特性を有していると考えられる。また厚生労働省は、小児の体

型をカウプ指数(体重(g)÷(身⾧(cm)×身⾧(cm))×10)を用いて評価している。 14以

下を「やせ」、15~17を「ふつう」、18以上を「ふとりぎみ」という基準値を設けている3)。K園のカウプ

指数は、「ふつう」の範囲に入っていた。

2)総務省統計局「日本の統計 2020」-V部 社会 第24章-2

3)厚生労働省発表 第3回21世紀出生児縦断調査結果の概況

●運動遊びについて

K園での運動遊びについて述べる。プレイリーダー介入前の条件として通常行われている運動遊び

を2回観察した(Pre1・2)。運動遊びの時間は各回30分で、いずれの回も縄跳びや虫取り、三

輪車や砂遊びなどの自由遊びを2クラス合同で行っていた。一方のプレイリーダー介入時の運動遊

びは、各クラスで行っていた。各回の遊びの内容と遊びに要した時間(Post1・2・3)を表7に示し

た。

●Pre計測時の身体活動量計測結果について

PreとPostの運動遊び実施時の平均歩数をグラフ1に、Pre1、Pre2の動作判別計測結果をグ

ラフ2、3に示した。

平均歩数と動作判別結果からPre2は、Pre1に比べて歩数が少なく、Stopの割合(グラフ2・3

表 7:Post の運動遊びの内容

Post1 時間 時間

9分 2分

4分 ケンケンパーの準備(フープ)→ケンケンパー 11分 バナナ⿁ 1組31分 4分 ペアつくり→ケンパーじゃんけんの説明 10分 色⿁2組30分 13分 ケンパーじゃんけん→片付け→脱出ゲーム 8分 氷⿁

Post2 時間 時間3分 4分

8分 3分1組31分 6分 10分2組23分 6分 4分

Post3 時間 時間5分 6分

3分 3分 だるまさん1組26分 6分 なわ遊び・なわとび 7分 鍵おに2組25分 11分 10分 ボールを投げる、転がす→コロコロドッジ

ダンゴムシじゃんけん→ケンケンじゃんけん脱出ゲーム→宿替え⿁ごっこ休憩→だるまさんがころんだ鍵おに

運動遊びの内容手遊び→カラダじゃんけん→後だしじゃんけん色々歩き;ヘビ、ロボット、ゾンビ鍵おに;広いスペース→狭いスペース

1組 2組運動遊びの内容

⿁遊びをしたい園児が集まる.どんな⿁遊びをしたいかを聞く.

運動遊びの内容バナナ⿁

脱出ゲーム

運動遊びの内容

運動遊びの内容手遊び・色々じゃんけん

運動遊びの内容準備運動・ジョギング脱出ゲーム

ボール遊び→コロコロドジ

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グレーの表示;Pre1=47%,Pre2=59%)が多かった。これは、K園は屋外での運動遊びを実施

しており、Pre2の外気温がPre1に比べてやや高かったため身体活動量が減少したのではないかと推

察した(Pre1=29.7℃,Pre2=30.4℃)。

運動遊びの内容は、子どもが縄跳びや三輪車、氷⿁など動的な遊びを自ら選んで実施していた。

その一方で砂遊びのように静的な遊びが好きな子どもも複数人観察された。グラフ4は、Pre1から

Post3の運動遊びを行っているときのID番号別の平均歩数を表している。グラフからPre1、Pre2

(点線)で活発に運動遊びを実施する子とそうでない子との差が約1000歩あることがわかった。2

クラス全体では、子どもの歩数のばらつき(標準偏差)は約280歩であった。これらのことから、本

園での自由遊びは子どもの自主性を引き出すことができる一方で、身体活動量に個人差がみられ

ることがわかった。また動作の習得度も個人間で差が観られた。

グラフ1:1組および2組のPre・Post時の平均歩数

グラフ 2: Pre1 の動作判別計測結果 グラフ 3:Pre2 の動作判別結果

グラフ 4:1 組と 2 組の Pre・Post 時の個別平均歩数

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●K園で目指したプレイリードについて

●プレイリードの変化とPost計測時の身体活動量変化の関係について

上記の目標設定をもとにPostの運動遊びを行ってもらった.グラフ1の歩数は、2クラスともPreに

比べるとPostの方が増加していた。しかし、子どもの歩数のばらつきは、Post2で165歩と縮まったが、

Post1、Post3ではPreを上回ってしまった。一方、グラフ5の運動遊び実践中の平均運動強度は、

Preに比べてPostの方が増加していた。グラフ6は1組の、グラフ7は2組のPost3の動作判別結果を

示している。Preに比べてStopの割合が減少していた。また、出現した動作量は遊びの種類によって

増減していることがわかった。遊びの説明を簡潔にしたこと、子どもたちが遊びに夢中になっているとき

に次の遊びの準備を行ったことがStopの減少につながったと考えられる。

表8、9は、運動遊び実践後に行った検討会で議論した内容(プレイリードで良かった点や次回

に向けた課題、身体活動の変化など)を記している。

Pre計測では活動量の計測だけでなく先生方のプレイリードの様子も観察した。これらの

結果からK園で目指したいプレイリードを2点設定した。1点めは、まずは子どもが習得してい

る動作を運動遊びの中で展開し、少しずつ動作の難易度を高めていくこと、2点めは活発に

運動遊びを実施する子どもとそうでない子どもとの活動量の差を少なくすることであった。

グラフ 5: 1 組および 2 組の Pre・Post 時の平均運動強度

グラフ 6:1 組の Post3 の動作判別計測結果 グラフ 7:2 組の Post3 の動作判別計測結果

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表8:1組のプレイリードの変化と身体活動量の変化

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre 子どもの自主性を尊重し、子どもが遊びを選択して行っていた。

子どもが習得した動作から少しずつ難易度を変化させる。

Post1 園庭のスペースを上手に使ってバナナ⿁を実施していたのでPreより身体活動量が増えていた。 (Pre720歩・527歩→916歩)

主運動の⿁遊びの前にもう少し運動強度や動作が易しい運動遊びを選択する。 ケンケンで間延びしてしまいStopの割合がPre1より増えた(49→59%)。

Post2 手遊びから入ったので子どもたちもすんなりと遊びに参加してくれており目標は達成できていた。Stopの割合もPost1より減少していた(59→47%)。

⿁ごっこのときのスペースの取り方が狭かったので、次回以降の課題とした。

Post3 気温が低かったため、身体を温めるためにジョギングから始めた。終わるときに自然と円になって手をつなぎ、次の遊びの脱出ゲームへスムーズに移行できていた。身体活動量が一番多かった(1423歩)。

ボールを使った遊びは、ボールに慣れていない子どもがいたので、習得できている動作から始めて少しずつ難易度を高めることを今後の課題とした。

表 9:2 組のプレイリードの変化と身体活動量の変化

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre 子どもの自主性を尊重し、子どもが遊びを選択して行っていた。

子どもが習得した動作から少しずつ難易度を変化させる。

Post1 子どもの意見を尊重して、色々な⿁ごっこを実施した。歩数はPre1よりやや多かった(Pre720歩・527歩→780歩)

⿁ごっこのルールが曖昧だったため一部の子どもが参加していなかった。遊びのスペースの設け方に課題があった。

Post2 子どもと一緒に考えた新しい⿁ごっこ(鍵おに)を主運動として実施した。主運動の前に馴染みのある運動遊びを導入していたので最初から全員が参加できていた。 身体活動量がPost1よりかなり多くなっていた(816歩)。

⿁ごっこだけでなく、多様な動作を習得させるため用具を用いた運動遊びを取り入れる。

Post3 遊びの説明が簡潔で、準備も子どもたちが遊んでいる時間や話し合っている時間を使って進められていた。身体活動量がこれまでで一番多く(991歩)、Stopの割合も一番少なかった(40%)。

鍵おには、子どもたちがルールに慣れてきているので、⿁の人数を増やしたり、⿁ごっこの途中でスペースを狭くしたりすることで変化をつける。

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1)-2 社会福祉法人山善福祉会 しおさいこども園(S園)の結果

●S園の特色

2018年4月に兵庫県芦屋市に開園し、「人の心と人の和を大切に」を保育理念にしている幼保

連携型認定こども園である。

●対象児について

S園は5-6歳児19人が在籍していた。子どもの身体特性を表10に記す。

表10:S園の5-6歳児の身体特性

平均身⾧(cm) 平均体重(kg) カウプ指数

男児(11人) 112.6±3.1 18.5±2.1 14.6

女児(8人) 111.1±3.0 18.5±1.7 15.0

総務省統計局「日本の統計 2020」の平均身⾧および平均体重と比べて、S園は全国平均と

ほぼ同じ身体特性を有していると考えられる。また、小児の体型を評価するカウプ指数は、「ふつう」

の範囲に入っていた。

●運動遊びについて

S園でのプレイリーダー介入前の運動遊びは、表11のように器械器具体操やリトミックを中心に行

っていた。プレイリーダー介入時の運動遊びは、表12の内容で行っていた。

表 11:Pre(左表 Pre1、右表 Pre2)の運動遊びの内容 時間 時間

3分 8分 リトミック体操;つま先立ち歩き、はねる、色々歩き

8分 器械器具体操実施 鉄棒、マット、平均台(忍者跳び) 4分 リトミック体操;上半身のひねり、回る

2分 チャンピオンの発表とみんなの前で披露 2分 リトミック体操;転がり運動

2分 4分 リトミック体操;四足歩行→起き上がってスキップ・ギャロップ

9分 中当て開始.先生が外、子どもたちが中.2セット 4分 リトミック体操;うつ伏せ→そる、ケンケン

4分 10分 リトミック体操;トンボのめがね(走る、バランス)、おさかな(走る)

器械器具体操で実施する内容を説明.2つめ、3つめの鉄棒は好きな内容で

子どもたち同士で中当て中に入るかどうかを相談.マットの片付け&中当て準備

中当て.最初は先生が外、子どもたちは当たったらに出て当てる役割に変わる

運動遊びの内容運動遊びの内容

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●Pre計測時の身体活動量計測結果について

PreとPostの平均歩数をグラフ8に、Pre1、Pre2の動作判別計測結果をグラフ9,グラフ10に示し

た。

Pre2では、年中クラスと合同でリトミック体操

を行っていた。屋内遊戯室のスペースが狭かっ

たため、年中・年⾧クラス交互にリトミックを実

施していた。グラフ8に示す通り、歩数が減少

したのは、年中クラスと交互にリトミックを行い、

待ち時間が増えてしまったことが理由であると

考えられる。このことは、グラフ9,10に示した動

作判別計測結果のグラフをみてもわかる(グ

レーの面積)。計測結果は、Stopの割合がPre1で49%であったのに対し、Pre2では69%であっ

た。

Post3 時間24分 リズム運動:歩く→後ろ歩き→踵歩き

リズム運動:ジャンプ、回転リズム運動:よつんば歩き→お馬歩きリズム運動:うつ伏せ姿勢ではう→仰向け姿勢ではう

24分 リズム運動:お魚になって泳ぐ→ストレッチ→トンボのめがね、など

運動遊びの内容

Post1 時間2分 2歩⿁6分 ひっくり返し4分 コロコロドッジ

22分 10分 投げドッジ

Post2 時間

6分 W-up(鉄棒くぐり、2人ホッピング、一本橋、忍者跳び、忍者歩き)

7分

14分 ドッジボール(ボール1個→ボール2個)30分 3分 お話合い

鉄棒の色で動作を変える(逆上がり、逆立ち、まわる)、クマ歩き

運動遊びの内容

運動遊びの内容

表 12:Post の運動遊びの内容

グラフ 8: Pre・Post 時の平均歩数

グラフ 9:Pre1 の動作判別計測結果 グラフ 10:Pre2 の動作判別計測結果

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グラフ11は、Pre1からPost3の運動遊びを行っているときのID番号別の平均歩数を表している。

Pre1で行った器械器具体操はサーキット形式

で全員同じ動きをしていたが、活発な子とそうで

ない子との差が約1000歩あることがわかった。

サーキット形式で行う器械器具体操デメリットは、

動作が洗練していない児童ができたように見せて

しまうことである。習得度に個人差が出ないよう主

運動の前に主運動につながる動作を取り入れる

など工夫が必要と考える。

●S園で目指したプレイリードについて

●プレイリードの変化とPost計測時の身体活動量変化の関係について

上記の目標設定をもとにPostの運動遊びを行ってもらった。グラフ8の歩数は、Pre1に比べると

Post2は増加していたが、Post1や3は減少していた。Post1は運動遊びの時間が6分短かったこと、

Post3は、インフルエンザによる欠席者数が多く、Pre2のときと同じように年中クラスと合同でリトミッ

クを行ったため待ち時間が多かったことが原因である。グラフ12の運動遊び中の平均運動強度も平

均歩数のグラフと同様の推移を示していた。グラフ13は、Post2の動作判別結果を示している。

Stopの割合は、Pre1で49%、Pre2で69%であったのが、Post2では41%に減少していた。スペ

ースの使い方や用具の使い方を工夫したことがこの結果につながったと推察する。

グラフ 11:Pre・Post 時の個別の平均歩数

Pre計測では活動量の計測だけでなく先生方のプレイリードの様子も観察した。これらの

結果からS園で目指したいプレイリードは、運動遊びの流れを作ることとした。例えば①一人

でもできる遊び→②主運動に通じる遊び→③主運動(器械器具遊び)→④グループ集団

遊びのように次の運動遊びにつながる動作を取り入れて、遊びと遊びの“繋ぎ”を工夫すると

いうようなことである。

グラフ 12:Pre・Post 時の平均運動強度 グラフ 13:Post2 の動作判別計測結果

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表 13 は、運動遊び実践後に行った検討会で議論した内容(プレイリードで良かった点や次回に向

けた課題、身体活動量の変化など)を記している。

表 13: プレイリードの変化と身体活動量の変化

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre 子どもを整列させずに遊びの説明ができており時間短縮につながっている点は良かった。

器械器具体操の前に、一人でもできる運動遊びを入れてから器械器具体操に移行したり、難易度を少しずつ上げることを意識する。

Post1 子どもがルールを理解している“2歩⿁”遊びからスタートし、器械体操につながる体幹を使ったひっくり返し遊びにスムーズに移行できていた。結果的にStopの割合がPost1よりやや減少していた(49→47%)。

遊びの後半で実施したコロコロドッジ、投げドッジでスペースがやや狭かったので次回の課題とした。

Post2 前回課題であったドッジボール時のスペースの使い方が改善されていた。 Stopの割合がPre1に比べて減少していた(49%→41%)。

ドッジボールゲームを3回続けて行った際に一部の子どもの集中力が切れてしまった。投げ方や捕り方を子どもたちと話し合う時間を途中で設けて、遊びのテンポを変えるための工夫の仕方を課題とする。

Post3 年中クラスど合同でリトミック体操を行った。Pre2と同じ内容であった。

リトミック体操でも同じ方向に動くのではなく、必ず反対方向やランダムな方向に動くように誘導することを今後の課題とした。

1)-3 社会福祉法人黎明会 南浦幼保連携型こども園(M園)の結果

●M園の特色

M園は、京都府宇治市にある幼保連携型認定こども園で、「生き抜く力の基礎を持った子ども」を

教育・保育目標にしている。幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づき、五領域『健康・人

間関係・環境・言葉・表現』の保育に力を入れている。

●対象児について

M園は5-6歳児40人が在籍していた。子どもの身体特性を表14に記す。

表14:M園の5-6歳児の身体特性

平均身⾧(cm) 平均体重(kg) カウプ指数

男児(21人) 110.1±5.7 18.7±2.6 15.5

女児(19人) 110.2±4.5 18.4±2.0 15.1

総務省統計局「日本の統計 2020」の平均身⾧および平均体重と比べて、M園は全国平均と

ほぼ同じ身体特性を有していると考えられる。また、小児の体型を評価するカウプ指数は、「ふつう」

の範囲に入っていた。

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●運動遊びについて

M園でのプレイリーダー介入前(Pre1・2)の運動遊びは、表15のようにリトミック体操と器械器具

体操を中心に行っていた。プレイリーダー介入時の運動遊びと各回の遊びに要した時間を表16に示

した。

●Pre計測時の身体活動量計測結果について

PreとPostの運動遊び実施時の平均歩数をグラフ14に、Pre1、Pre2の動作判別計測結果を

グラフ15、グラフ16に示した。

Pre1は、運動遊びの時間が約15分しかなか

ったことが原因で歩数がかなり少なくなった。

Pre2は、終盤に行ったトランポリンを使ったジ

ャンプが歩数の結果に表れていると考えられる。

この結果は、グラフ16から運動遊びの終盤で

動作の出現が急に多くなっていることからもわ

かる。また、グラフ16から運動遊びの前半や中

表 16:Post の運動遊びの内容 Post1 時間

1分 はしる→止まる1分 じゃんけん→あとだしじゃんけん3分 忍者歩き→忍者走り→動物変身の術3分 ちょこちょこさん→脱出ゲーム5分 忍者手裏剣(あたま手裏剣、あし手裏剣・・)

19分 6分 コロコロドッジボール

Post2 時間5分 忍者歩き、スキップ、お兄さん歩き、お姉さん歩き2分 動物に変身(チーター、ウサギ、ライオン、ねこ)2分 赤ちゃんの部屋;はいはいじゃんけん8分

23分 6分 姫からの団子取り合戦

Post3 時間

21分

26分 5分 コロコロドッジボール

忍びの森;川を渡るために橋を作る→敵忍者を避ける

ピーターパンごっこ(ふわふわ歩き→隕石=避ける、流れ星=願い事をする、人魚=スキップ、ワニ=泳ぐ、フック船⾧・海賊=戦う、脱出ゲーム)

運動遊びの内容

運動遊びの内容

運動遊びの内容

グラフ 14:Pre・Post 時の平均歩数

表 15:Pre(左表 Pre1、右表 Pre2)の運動遊びの内容

時間 時間4分 先生のお手本⇒子どもたち全員で 8分 片足熊歩き→平均台を使ったクロスジャンプ4分 トンボのめがねの歌で走る・止まる⇒ブリッジ 13分 跳びウサギ→跳び箱4段、一部跳び箱5段2分 歌に合わせてスキップ⇒ツーステップジャンプ 5分 マット運動(でんぐり返し→じゃんけん、よつんば歩き)1分 その場ジャンプ 8分 トランポリンとマット運動を交互に実施

運動遊びの内容 運動遊びの内容

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盤で動作のstopが多く観察された。これは、屋内遊戯室が狭く、40人の子どもが同時に器械器具

体操を行えず、2班に分かれて交代で行っていたからである。Stopの割合がPre1で77%、Pre2で

62%であったことから40人の子どもが屋内遊戯室でどうすれば効率よく運動遊びを行うことができる

かが課題であった。

グラフ17は、Pre1からPost3で運動遊びを行

っているときのID番号別の平均歩数を表してい

る。Pre2で行った器械器具体操は、サーキット

形式で全員同じ動きをしていたが、活発な子と

そうでない子との差が約1000歩あることがわかっ

た。

●M園で目指したプレイリードについて

●プレイリードの変化とPost計測時の身体活動量変化の関係について

上記の目標設定をもとにPostの運動遊びを行ってもらった。グラフ14の歩数は、Pre2に比べると、

Postは3回とも減少していた.これはPre2の運動遊びは34分とPostよりも8分~15分⾧かったこ

とが原因と考えられる。一方のグラフ18の平均運動強度は、Post2、3は、Pre2とほぼ同等もしくは

やや高い値を示していた。グラフ19の動作判別計測結果からStopの割合がPreよりも減少し、運

動遊びの前半と後半で動きの頻度が高まっていることが観察された。

グラフ 15:Pre1 の動作判別計測結果 グラフ 16:Pre2 の動作判別計測結果

グラフ 17:Pre・Post 時の個別平均歩数

Pre計測では活動量の計測だけでなく先生方のプレイリードの様子も観察した。これらの結

果からM園で目指したいプレイリードは、①限られたスペースで40人の子どもの身体活動量を

確保すること、②そのための運動プログラムの構成を考えることとした。

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表 17 は、運動遊び実践後に行った検討会で議論した内容(プレイリードで良かった点や次回に

向けた課題、身体活動量の変化など)を記している。

表17:プレイリードの変化と身体活動量の変化

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre 子どもたちはプログラムに馴染んでいて、動作も安定していた。

多様な動作を引き出すため、1つのコンテンツだけでなく、そこからバリエーションを広げることを課題とし。ケガ予防のため、動作を止めるときは急に止まらない工夫を行う。

Post1 PL講習会の演習で体験した忍者遊びを取り入れてくれた。忍者の世界観を崩さないように忍び歩きの術での声の出し方、動きの表現の仕方は大変良かった。歩数は約400歩と少なかったが、stopの割合が45%とPreよりもかなり改善されていた。

コロコロドッジの説明時間が⾧かった.手裏剣でかがんだり、跳んだりと動作も機敏になり、気持ちも高まっている時間なのでここはできるだけ簡潔にわかりやすくルールを説明して進めたい。

Post2 動物変身の術や忍びの森での川の渡り方などは子どもたちの意見を取り入れていたので、先生と子どもが一体になって楽しむことができていた。一つのコンテンツから次のコンテンツへの移行もスムーズに行っていた。Stopの割合も37%に減少していた。

先生は、子どもたちのテンションが終始高かったことが課題と感じていた。今回ははじめから走る動作が多かったので、導入部分ではゆっくりとした動作を取り入れることを提案した。

Post3 ”ピーターパン”を運動遊びプログラムとして作ってくれていた.ネバーランドに向かう道中に身体を使って行う仕掛けがあり、子どもだけでなく観ている我々スタッフも楽しむことができた。

限られたスペースで40人の園児が運動を行うには難しい環境であったが、先生方の工夫で先生と子どもだけでなく、観ている私たちまでが楽しむことができた。とても良い環境を作ってくれた。動作判別計測結果はPost2回目,3回目ともにstopの割合が30%代をしめしており、動いている時間が60%以上確保できるようになっていた。

グラフ 18:Pre・Post 時の平均運動強度 グラフ 19:Post3 の動作判別計測結果

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1)-4 社会福祉法人あけぼの会 幼保連携型認定こども園 登りこども園(N園)の結果

●N園の特色

N園は、宇治市の北東に位置し京都市に隣接した場所にある。地元では、昔から”登り地区”と

呼ばれている木幡山の麓の浄妙寺跡地にある。「よろこべる子ども 悲しめる子ども、感謝できる子ど

も」を教育・保育目標にしている。

●対象児について

N園は5-6歳児約100人が在籍していた。園の先生に100人のうち40人を選抜してもらった。本

事業に参加した40人の子どもの身体特性を表18に記す。

表18:N園の5-6歳児の身体特性

平均身⾧(cm) 平均体重(kg) カウプ指数

男児(19人) 113.4±4.3 19.3±2.4 15.0

女児(21人) 113.6±4.1 20.2±2.2 15.6

総務省統計局「日本の統計 2020」の平均身⾧および平均体重と比べて、N園は全国平均と

比べてやや体格が大きいと思われる。小児の体型を評価するカウプ指数は、「ふつう」の範囲に入って

いた。

●運動遊びについて

N園でのプレイリーダー介入前(Pre1・2)の運動遊びは、表19のようにリトミック体操と器械器具

体操を中心に行っていた。プレイリーダー介入時の運動遊びと各回の遊びに要した時間を表20に示

した。

時間 時間4分 準備体操・ストレッチ→二人組 9分 体操・ブリッジ・バーピージャンプ・体幹トレーニングなど10分 リレー 7分 ダッシュ→ケンケン→グージャンプ→クマ歩き→ワニ歩き→走る4分 グージャンプリレー→クマ歩きリレー→スキップリレー 5分 手押し車10分 4人1組でリレー 2分 二人一組→おやまジャンプ(グージャンプ)4分 手つなぎリレー→電車ごっこリレー

運動遊びの内容運動遊びの内容

表 19:Pre(左表 Pre1、右表 Pre2)の運動遊びの内容

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●Pre計測時の身体活動量計測結果について

PreとPostの運動遊び実施時の平均歩数をグラフ20に、Pre1、Pre2の動作判別計測結果を

グラフ21、グラフ22に示した。

Pre1は屋外で実施した。走る動作を中心と

した移動系の動きが多かったが、平均歩数が

532歩と予想よりも少なかった。Pre2は、クマ歩

きやワニ歩き、手押し車など体幹を使った運動

遊びを体育館で行った。歩数が少なくなった理

由は、グラフ21,22のstopの割合が多いことから

考察できる。これは、先生が説明に時間を割い

てしまっていること、40人の子どもが2班に分かれて交代で運動遊びを実施していたことが原因と考え

られる。40人の子どもが同時に運動することは難しいが、どのようにすれば身体活動量だけでなく、多

様な運動動作が確保できるかが課題であった.

Post1 時間4分 準備体操(ストレッチ、ジャンプ)4分 色々歩き→グージャンプ→スキップ→2人組歩き→2人組スキップ10分 馬跳び(10回ずつで交代)→手押しぐるま→おしりすべり10分 色々歩き(ロボット、クマ歩き,etc)→やまくぐり4分 4人一組ムカデ歩き3分 忍者手裏剣

38分 3分 起き上がり(仰向けから、うつ伏せから)

Post2 時間4分 準備体操(ストレッチ、ジャンプ)3分 色々歩き→グージャンプ→スキップ→2人組歩き2分 かけっこ3分 ケンケン、クマ歩き、クマ走り8分 馬跳び;ペアで跳ぶ、他のお友だちの馬を跳ぶ、20秒で何回跳べるか11分 魔法の粉;ひっくり返しゲーム

37分 6分 ボール渡し&リレー

Post3 時間5分 準備体操、お尻ジャンプ6分 いろいろな方向に走る→スキップ→クマ歩き→2人組で5分 手押しぐるま→手押しぐるまのまま出会ってじゃんけん(2人で交代しながら)5分 お山くぐり→馬跳び→お山くぐり13分 馬跳び;他のお友だちの馬を跳ぶ、20秒で何回跳べるか

40分 6分 ボール当てゲーム

運動遊びの内容

運動遊びの内容

運動遊びの内容表 20:Post の運動遊びの内容

グラフ 20:Pre・Post 時の平均歩数

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28

グラフ23は、Pre1からPost3で運動遊び

を行っているときのID番号別の平均歩数

を表している。Pre1、Pre2ともに個人差は

少ないが全体的に歩数が少ないことがわか

る。

●N園で目指したプレイリードについて

●プレイリードの変化とPost計測時の身体活動量変化の関係について

上記の目標設定をもとにPostの運動遊びを行ってもらった。グラフ20の歩数は、Pre2比べると、

Postは3回ともかなり増加していた。これは、Post3の動作判別計測結果(グラフ25)でPreに比

べて前半と後半で動作量が増え、stopの割合が減少していたことからもわかる。グラフ24の平均運

動強度からPreで実施していた移動系の動作は、中強度を維持できていたことがわかった。Postは、

Preとほぼ同等の運動強度を維持し、かつ身体活動量を増加させることができていた。子どもへの説

明を簡潔にし、用具を使わずに多様な動きが体験できる運動遊びを取り入れたことがこの結果につ

ながったと推察する。

表 21 は、運動遊び実践後に行った検討会で議論した内容(プレイリードで良かった点や次回に向

けた課題、身体活動量の変化など)を記している。

Pre計測では活動量の計測だけでなく先生方のプレイリードの様子も観察した。これらの

結果からN園で目指したいプレイリードは、①効率よく身体活動量を確保すること、②移動

系の基本動作だけでなく多様な動作を楽しみながら体験できる運動遊びを実施することとし

た。

グラフ 23:Pre・Post 時の個別平均歩数

グラフ 21:Pre1 の動作判別計測結果 グラフ 22:Pre2 の動作判別計測結果

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表21:プレイリードの変化と身体活動量の変化

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre ジャンプやダッシュをリレー形式の遊びは子どもに勝ち負けがわかりやすく、盛り上がっていた。

子どもが主体となるような運動遊びの進め方を考える。身体活動量だけでなく、多様な運動動作を確保するためにどのようにプログラムを進行し、どのようなプログラムに編集すれば良いかを考える。

Post1 移動系だけでなく、手押し車やムカデ歩きなどのように操作系や平衡系の動作を入れた運動遊びが実施できていた。Post1と同じ屋内遊びを実施したPre2と比べるとStopの割合が減少していた(68%→54%)。

運動遊びのスペースの使い方を工夫すること、子どもが自ら考えて動く遊びを考えることとした。例えば、馬跳びは同じペアで交互に跳ぶのではなく、子どもが移動しながら跳びやすい馬を選んで跳ぶようにするなど。

Post2 馬跳びでは子ども一人ひとりが考えながら馬を選んで跳んだり、お互いにぶつからないように譲り合ったりする光景が観られ、大変良かった。Post2と同じ屋外遊びを実施したPre1と比べるとStopの割合が減少していた(66%→58%)。

子どもが真ん中に集まってくる傾向があるので、スペースの使い方をもう少し工夫することを課題とした。また、クマ歩きやカエル跳びなどを行う際は一方向だけでなくグリッド内でランダムな方向にも移動させる点を課題とした。

Post3 身体を使った運動遊び中心に展開した。動きは一方向ではなく色々な方向に動くことを意識して行うことができていた。色々走りやクマ歩き、手押し車などの遊びは色々な方向に動くように上手に誘導していた。途中馬跳びの回数を子ども一人ひとりに細かく聞いていたので、stopの割合が60%を示した。先生もその点はすでに気づいていた。

馬跳びは、遊びの中で繰り返し行っているので跳ぶ動作が洗練されてきた。一方、手押し車を手押し車じゃんけんに変えた際、片手で身体が支えられずバランスを崩していた。急に難易度を上げるのではなく、例えば両手で身体を支えたまま口じゃんけんを行うなどの工夫をする。

グラフ 24:Pre・Post 時の平均運動強度 グラフ 25:Post3 の動作判別計測結果

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Ⅲ)-③④-2)都市圏以外の幼稚園、保育園、認定こども園での事業実施結果

2)-1 橿原市立 真菅北幼稚園(MK園)の結果

●MK園の特色

MK園は、奈良県橿原市の北部にあり、橿原市の方針で、子供の心を揺り動かし豊かな体験が

得られるように併設されている小学校を含め、近隣地域の教育機関や高齢者との交流を重視して

いる園である。

●対象児について

MK園は5-6歳児36人が在籍し、2クラスに分かれて保育を行っていた。子どもの身体特性を

表22に記す。

表22:MK園の5-6歳児の身体特性

平均身⾧(cm) 平均体重(kg) カウプ指数

男児(20人) 112.2±4.7 19.1±3.1 15.2

女児(16人) 111.1±4.5 18.7±1.8 15.2

総務省統計局「日本の統計 2020」の平均身⾧および平均体重と比べた。MK園の女児は全

国平均と比べて、身⾧がやや大きかった。それ以外は全国平均とほぼ同じであった。小児の体型を

評価するカウプ指数は、「ふつう」の範囲に入っていた。

●運動遊びについて

MK園でのPreの運動遊びは、2クラス別々に行っていた。表23は1組の、表24は2組の運動遊び

の内容である。1組は、リトミック体操とゲームを2組はリトミック体操とサーキット運動を組み合わせて

行っていた。Postの運動遊びと各回の遊びに要した時間を表25に示した。

時間 時間1分 笛に合わせたジャンプあそび 5分 リトミック体操 歩く、はねる、ジャンプ、走る、後ろ歩き、後ろ走り2分 リトミック体操 歩く、はねる、ジャンプ、走る&止まる 3分 お茶タイム5分 お茶タイム&次のコンテンツ準備(先生) 3分 二人組で開脚ジャンプ遊び(開脚⇒閉脚高く⇒開脚高く)4分 二人で引っぱりレース 1分 中休み;足トントン4分 お茶タイム&オセロの準備(子ども) 2分 マットの準備(子どもたち)9分 オセロゲーム 4分 おみこし遊びの順番を相談(子どもたち)1分 お片付け(子ども) 8分 おみこし遊び6分 二人で丸太返し 4分 クールダウン;巻きずし1分 クールダウン;足トントン&ストレッチ

運動遊びの内容 運動遊びの内容

表 23:1 組の Pre(左表 Pre1、右表 Pre2)の運動遊びの内容

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●Pre計測時の身体活動量計測結果について

PreとPostの運動遊び実施時の平均歩数をグラフ26に、Pre1の動作判別計測結果をグラフ

27,28に示した。

Post1 時間1分 手遊び2分 リトミック体操 歩く、止まる、走る、ゆっくり歩く、まわる1分 色々すわり4分 陣地玉入れ準備、説明5分 陣地玉入れ;男の子vs女の子 1回戦-3回戦、お片付け2分 お茶タイム4分 二人組づくり

27分 8分 きゅうりもみ

Post2 時間 時間4分 準備体操→リトミック→お茶タイム 8分 子どもによる手遊び→リトミック5分 増えおに→お茶タイム 1分 色々座り2分 二人組 ジャンプ 13分 陣地玉入れ準備→陣地玉入れ→片づけ→お茶タイム4分 じゃんけんゲーム(負けたら壁タッチ)→お茶タイム 4分 ぞうきん縫い→クマ歩き8分 お芋ほり→やき芋にして食べる→お茶タイム

1組30分 4分 陣地玉入れ;男の子vs女の子 2組26分 3分 片付け→クールダウン

Post3 時間 時間6分 だるまさんが転んだ 1分 手遊び(じゃんけん)4分 リトミック体操 歩く、うしろ歩き、走る、だんだん速く走る 3分 リズム遊び(歩く、走る、ウルトラマン)3分 2人一組になってジャンプ、助走をつけてジャンプ 4分 お尻歩き⿁ごっこ7分 氷⿁→ふえ⿁→お茶タイム 16分 チーム分け→陣地とりゲーム→お茶タイム

1組32分 5分 2-3人一組になって棒をもって移動・ジャンプ(低い→高い) 6分 手遊び→カラダあそび→おわり2組30分 7分 ボール投げ+フープ通し、片付け

2組

1組 2組

運動遊びの内容

運動遊びの内容 運動遊びの内容

1組

運動遊びの内容

運動遊びの内容

表 25:Post の運動遊びの内容

時間 時間3分 リトミック体操 歩く、はねる、ジャンプ、走る、止まる 2分 リトミック体操 歩く、はねる、寝る、おきる、スキップ、ウルトラマン8分 オセロゲーム(準備は先生) 14分 ヒモを使った遊び(キャッチ、ジャンプ、散歩、引っ張り合い、しっぽとり)1分 お片付け(子どもたち) 13分 お茶タイム+サーキット運動の準備(子どもたち)3分 サーキット運動準備(子どもたち) 11分 サーキット運動10分 サーキット運動 4分 サーキット用具のお片付け・クールダウン2分 サーキット用具お片付け(子どもたち)5分 クールダウン;パプリカ

運動遊びの内容運動遊びの内容

表 24:2 組の Pre(左表 Pre1、右表 Pre2)の運動遊びの内容

グラフ 26:1 組および 2 組の Pre・Post 時の平均歩数

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動作判別計測結果からStopの割合が、1組が49%、2組が46%と少ないことがわかった。いず

れのクラスの先生方も子どもがお茶を飲んでいる間に次の遊びの準備を行い、遊びの説明も短くかつ

簡潔であった。その結果、子どもの集中力が途切れることがなく、遊びに夢中になっていた。Preで印

象的だったのは、遊びの空気感を崩さずに遊びの世界観を保っていたことである。例えば、リトミック体

操のときに”走りましょう”の号令ではなく、走ると止まる動作を”車”に例えて、走る&ブレーキという言

葉を使っていた。走っていたときに転んだ子どもに「痛かった?大丈夫?」の声掛けをすることが多い。

しかし本園の先生は、子どもの状態を観察しながら「”ブレーキが壊れている!●●先生、修理をお

願いします!」”とストーリーを崩すことなく声掛けをしていた。転んだ子どもだけでなく、それ以外の子ど

ももリトミック体操にのめりこんでいた。

グラフ29は、Pre1からPost3の運動遊

びを行っているときのID番号別の平均歩

数を表している。1組と2組のPre(点線)

の歩数をみると、活発な子とそうでない子

との差が500歩未満であった。身体活動

量のばらつきが少ないことがわかった。MK

園での運動遊びは、屋内遊戯室で行わ

れていた。屋外に比べてスペースが限られ

るが、音楽を使ったリズム運動やオセロゲ

ームなどクラス全員の子どもが参加できる

遊びで構成されていた。サーキット運動遊

びにおいては、平均台やマットを並べて行

うだけでなく、ベンチを使って「くぐる」、ボールを使って「あてる」「とる」といった動作が出現するように工

夫がされていた。くぐるでは、うつ伏せでくぐる子どもだけでなく、仰向けでくぐる子どもも観察でき、自然

と色々な動作が体験できていることが確認できた。

グラフ 27:Pre1 の動作判別計測結果(1 組) グラフ 28:Pre1 動作判別計測結果(2 組)

グラフ 29:Pre・Post 時の個別平均歩数

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●MK園で目指したプレイリードについて

●プレイリードの変化とPost計測時の身体活動量変化の関係について

グラフ30はPre・Postの平均運動強度を示している。2クラスともPost1で運動強度が低下して

いた。Pre1では、事情により2クラス合同で運動遊びを行っていた。屋内遊戯室で36人の子ども

が運動遊びを行うにはやや狭かったため、動きが少なく、強度も低下したと考えられる。

2組のPost3で身体活動量(グラフ28)、運動強度(グラフ30)ともに低下していた。また、

グラフ31の右のグラフをみると、運動遊びの後半で動作の出現が減少し、stopの割合が増えてい

た。運動遊び開始から陣取りゲームまではスムーズに実施できていたが、先生の勘違いで時間配

分に誤りがあり⾧いクールダウンとなったことが原因であった。

表 26・27 は、運動遊び実践後に行った検討会で議論した内容(プレイリードで良かった点や次

回に向けた課題、身体活動量の変化など)を記している。

Pre計測では活動量の計測だけでなく先生方のプレイリードの様子も観察した。MK園で

はすでに子どもを主体としたうんどう遊びができていたので、Postでも従来通りプレイリードを

行ってもらうことにした。

グラフ 31:Post3 の動作判別計測結果(グラフ左 1 組、グラフ右 2 組)

グラフ 30:Pre・Post 時の平均運動強度

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表26:プレイリードの変化と身体活動量の変化(1組)

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre 開脚ジャンプは園児にとっては恐怖もあり難易度が高い遊びだと思うが、難易度を調整しながら進めていた。また先生は上手に跳べる園児をきちんと観察し、「こんな面白いジャンプ発見!」と言って園児全員の前でお手本として披露させる場面があった。

担任の先生はプレイリードの意識が高いので、次回以降でボールを使った遊びや子どもたち同士がコミュニケーションをとって行う遊びの場面も観察したい。

Post1 2クラス合同で動動遊びを実施した.座位での手遊びから立位での手遊びへ、座るから立つ、ジャンプへと移行することにより運動強度も弱から中強度へと変化させていた。リトミックでも歩く→止まる、走る→止まるへと動作を変化させていた。またゆっくりふんわりと歩いたりまわったりといずれも体幹を意識した動きを取り入れていた。

リトミックの走るところでは、衝突のリスクを減らした動きを意識されていたが、もっとランダムな方向に走ることも検討してもらうことにした。また、投げる動作を意識したプログラムを発展させることとした。

Post2 前回の検討会で議論したランダムな方向に歩いたり、走ったりできないかということを実施してくれていた。⿁ごっこでは、最初は⿁がゆっくりと様々な方向に歩き、結果的に子どもたちの動きがランダムになるようコントロールされいたのが大変良かった。 Stopの割合も38%しかなく、身体活動量も確保できていた。

陣地玉入れは、ネット(ヒモ)の位置が子どもの目線とほぼ同じ高さになっていた。もう少し高い位置にすると自然と腕の振りが大きくなり、ボールリリースも斜め45度になってくるので次回の課題とした。また投げる位置をネットよりもう少し後ろからにしてもらうことにした。

Post3 すでに何度か実施している運動遊びを行ってた。子どもの動作も身についているため、お茶タイム以外は説明の時間もなく常に動いている状態であった。約30分で1600歩を超えていたのは素晴らしい.動作判別計測結果から64%は動作が出現していることがわかった。

投の運動遊びは、的の位置が高すぎて目線が真上(斜め45度より鋭角)になってしまった。その結果、ジャンプしながら投げたり、上半身だけで投げる子どもが多かった。的の位置や投げる位置を再確認してもらうことを今後の課題とした。

表27:プレイリードの変化と身体活動量の変化(2組)

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre 運動遊びを行う際に動作を止めて説明するシーンがほとんどなかった。このことはstopの割合が少なかった(46%)ことからもわかった。

細かい指摘になるが、サーキット運動のスタートは全員同じ場所からではなく、待ち時間を減らすための工夫をしてもらうことを課題にした。

Post1 2クラス合同で動動遊びを実施した.座位での手遊びから立位での手遊びへ、座るから立つ、ジャンプへと移行することにより運動強

リトミックの走るところでは、衝突のリスクを減らした動きを意識されていたが、もっとランダムな方向に走ることを検討してもらうことにし

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度も弱から中強度へと変化させていた。リトミックでも歩く→止まる、走る→止まるへと動作を変化させていた。またゆっくりふんわりと歩いたりまわったりといずれも体幹を意識した動きを取り入れていた。

た。また、投げる動作を意識したプログラムを発展させることとした。

Post2 前回クールダウン時に子どもが先生の話に耳を傾けていないという場面があった。今回は休憩から帰ってきた園児に対して歌遊びじゃんけんを行い気持ちを静めるようコントロールすることができていた。ぞうきんをぬいましょうでは開始直前に園児たちの気持ちが高まる場面が観られたが、先生が歌い出すと園児たちもマネをしてクールダウンができていた。

投げる動作を意識した陣地玉入れを実施したが、ネット(ヒモ)の位置が園児の目線とほぼ同じ高さになっていた.もう少し高い位置にすると自然と腕の振りが大きくなり、ボールリリースも斜め45度になってくるので次回の課題とした。また投げる位置をネットよりもう少し後ろからにしてもらうことにした。傘袋を使った遊具を提案した。

Post3 傘袋を使った陣地とりゲームを実施した。子どもの投げ方が以前に比べてダイナミックになっていた。遊びを通じて投の動作がここまで改善するとは予想していなかったので驚いた。先生のお話によると、傘袋を作ったときから子どもたちは楽しみながら繰り返し投げ、袋がボロボロになっても飽きずに投げていたとのことであった。私たちが目指している”遊びにのめりこみ、結果的に動作が洗練される”ということが実現できた。

クールダウンの時間がながかったためStopの割合が54%に増えてしまった。終盤前までとても良い流れであったので、あと一つ盛り上がるコンテンツがあれば、身体活動量(歩数)ももっと多くなっていたと感じた。

2)-2 橿原市立 耳成幼稚園(MN園)の結果

●MN園の特色

MN園は、奈良県橿原市の北部にあり、橿原市の方針で、子供の心を揺り動かし豊かな体験が

得られるように併設されている小学校との交流を重視している園である。

●対象児について

MN園は5-6歳児20人が在籍していた。子どもの身体特性を表28に記す。

表28:MN園の5-6歳児の身体特性

平均身⾧(cm) 平均体重(kg) カウプ指数

男児( 8人) 111.1±5.7 19.1±3.1 15.5

女児(12人) 110.0±5.3 17.6±2.4 14.6

総務省統計局「日本の統計 2020」の平均身⾧および平均体重と比べた。MN園は、男女とも

に全国平均とほぼ同じであった。小児の体型を評価するカウプ指数は、「ふつう」の範囲に入ってい

た。

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●運動遊びについて

MN園でのPreの運動遊びを表29に示したとおり、多様な動きが入った集団遊びを実施していた。

Postの運動遊びと各回の遊びに要した時間を表30に示した。

●Pre計測時の身体活動量計測について

PreとPostの運動遊び実施時の平均歩数をグラフ32に、Pre1、Pre2の動作判別計測結果を

グラフ33、34に示した。動作判別結果(グラフ33)をみると運動遊び中盤でStopの割合が多くな

っている時間帯があった(矢印の部分)。これは、その直前に実施していたしっぽとりの遊びで子ども

同士が衝突したり、誰が⿁なのかがわからなかったりしたことが起こったため、先生が一旦遊びを中断

時間1分 ストレッチ3分 クマ歩きで縄を取りに行く.しっぽとり遊びの準備.お困りごとからのルール確認2分 しっぽとりスタート;歩いて逃げる&追っかける.歩くスピードレベル17分 しっぽとりレベルアップ;歩くスピードをUp.よく見る&ぶつかりそうな時のルール確認2分 なわとびキャッチ;縄跳びを結んで、上に投げてキャッチ4分

17分

3分 縄とびのお片付け

運動遊びの内容

なわ遊び;手に通して振る、足に通して振る.なわを跳び越す、なわでカラダ通なわ遊び;なわでヘビを作る→ヘビの上をわたる、なわで橋を作って落ちないように

時間3分 火山の炎くぐり;1人でくぐる→2人組で→3人組で.難易度を上げていく7分 恐竜のしっぽとり;先生のしっぽとり→決まった縄の色の園児のしっぽとり3分 しっぽとりの結果と困ったことの話し合い;こけた時どうする?4分 先生のお家を縄で作る→園児もお家を作る→先生と電話でお話3分 恐竜から逃げろゲーム;走って→合図で素早く好きな色のお家に入る5分

5分

3分 縄を使ってできることを考えて発表→縄とびのお片付け

運動遊びの内容

困ったことの話し合い;同じ色の縄をつなげたいvs違う色でつなげたい恐竜から逃げろゲーム;色々な動作(ケンケン、カニ歩き、ダンゴムシ)

表 29:Pre(左表 Pre1、右表 Pre2)の運動遊びの内容

表 30:Post の運動遊びの内容 Post1 時間

4分 手遊び→じゃんけん→顔じゃんけん→カラダじゃんけん6分 動物歩き(パンダ、おさる、うさぎ、ライオン)→お茶タイム8分 だるまさんがころんだ→●●君のお困りごと話合い3分 脱出ゲーム準備6分 脱出ゲーム9分

44分 8分

Post2 時間8分 アイスブレイク;歩く⇔変身(ダンゴムシ、フラミンゴ、手裏剣)4分 投の運動遊び;わんぱく弾(新聞ボールを窓に向かって投げる)、発表4分 お困りごと話し合い;●●君の気持ち確認、お友だちからのお話3分 投の運動遊び;火の玉(赤い大ボール)を投げる・つく・とる4分 投の運動遊び;火の玉(赤い大ボール)を投げる、お友だちを観る

32分 9分 ゲーム;どくのみゲーム(中当て) 当たったら外野へ

Post3 時間2分 寝た状態でストレッチ、全身のリラックス(マラソン練習後のため)4分 マグマの爆発(ボールを持つ)→ボールで焼き芋じゃんけん→お芋とり3分 じゃんけんでグループ分け→毒の実あっちいけ対決ルール説明4分 毒の実あっちいけ対決!

32分 19分 ドッジボールルール確認→ドッジボール 2回実施

運動遊びの内容

運動遊びの内容

お芋引きイモ洗い→スイートポテトづくり

運動遊びの内容

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し、子どもにこれら困りごとを話し合う機会を設けた。動作は止まるが、子どものコミュニケーション力だ

けでなく、課題を解決するための考える力を身に付けられる貴重な機会であると感じた。Pre2の動作

判別計測結果は、Stopの割合が44%と少なかった。運動遊びの一つ一つの説明に時間をかけるこ

となく、子どもの様子をみながら強度を変えたり、遊びの種類を変えたりしていたのがこの結果につなが

っている。

Pre1の歩数が1000歩未満であったのは、上記

の対応をしていたためである。Pre2の歩数が突出

して多いが、しっぽとりや縄跳びなど運動強度や身

体活動量が多くなる遊びを実施していたこと、運動

遊びの時間が45分と⾧かったことが原因と考えられ

る。

グラフ35は、Pre1からPost3の運動遊びを行っているときのID番号別の平均歩数を表している。

Pre1は、活発な子とそうでない子の差が500歩未満であった。Pre2では、その差が約1000歩あっ

た。

MN園での運動遊びは、屋内遊戯室

で行われていた。屋外に比べてスペース

が限られるが、縄跳びで「とぶ」だけでなく、

縄をつなげて「わたる」、縄を「なげる」「と

る」など多様な動作が習得できるようプロ

グラムが工夫されていた。プログラムの進

め方も運動遊び開始時は、ゆっくりとしたスピードで動き、子どもの様子を確認しながら運動のスピー

ドを上げるなど、子どもを主体としたプログラムの運営ができていた。

グラフ 33:Pre1 の動作判別計測結果 グラフ 34:Pre2 の動作判別計測結果

グラフ 35:Pre・Post 時の個別平均歩数

グラフ 32:Pre・Post 時の平均歩数

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●MN園で目指したプレイリードについて

●プレイリードの変化とPost計測時の身体活動量変化の関係について

グラフ36はPre・Postの平均運動強度を、グラフ37は、Post3の動作判別結果を示している。

Pre・Postで運動強度に大きな変化はなく、中強度の運動が実施できていた。動作判別計測結果

は、Stopの割合はPost1で59%、Post2で50%、Post3で54%であった。PostもPreと同様に子

どもに何か困ったことがある場合は、みんなで集まって話し合う時間を取っていた。子どもの動作は止

まっているが、子どもが主体となって話合い行っている場面であることから身体活動量や運動強度、

Stopの割合ではなく、子どものコミュニケーション力や考える力、学ぶ力を評価するための指標が必

要であると感じた。

表31は、運動遊び実践後に行った検討会で議論した内容(プレイリードで良かった点や次回に

向けた課題、身体活動量の変化など)を記している。

表31:プレイリードの変化と身体活動量の変化

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre しっぽとりゲームで衝突したり、こけたり、⿁が誰かがわからないといったことが起こった。先生は、子どもが主体となってこれら困りごとを話し合える場を作っていた。

話し合いの際、子どもが「こけたら痛いのでゆっくり走ってやってみたら」という意見を出していたので、この意見を活かして再度しっぽとりを行っても良かったのではないか?

Post1 アイスブレイクは、動作の難易度が易しい色々すわりやじゃんけんからはじめていた。途中、顔じゃんけんを取り入れたときに先生の顔を観る子どもが多くなった。先生に注目を

用具を使わない遊びが多かったため、次回以降で投げる動作を遊びに入れてもらうことを課題とした。

グラフ 36:Pre・Post 時の平均運動強度 グラフ 37:Post3 の動作判別計測結果

Pre計測では活動量の計測だけでなく先生方のプレイリードの様子も観察した。MN園で

は、すでに子どもを主体とした運動遊びが行われていたので、Postでも従来通りプレイリード

を行ってもらうことにした。

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してもらうための良い取り組みである。

Post2 投の運動遊びで、遊びの最後におこなった毒の実(中当て)ゲームにつなげるために、忍者手裏剣で避ける動作や新聞紙を丸めてつくったわんぱく弾を投げる動作を行っていた。動作やゲームに慣れるための運動遊びの流れを作っていた。

アイスブレイクで運動の範囲がやや狭かったことで動作が小さくなってしまった。次回は、もう少し広くスペースをとってもらい、歩く⇔動物のマネ、Jog/Run→止まるなど運動強度をもう少し高めにしてもらうこととした。

Post3 マラソン大会の練習後の運動遊びであったため、疲労を回復させることを目的としたウォーミングアップからはじめていた。具体的には、寝転がったり、ストレッチングなどゆっくりとした動きをさせていた。

特に課題はなかった。子どもが楽しい!、もっとやりたい!と感じてくれる運動遊びを引き続き実践してほしい。

2)-3 社会福祉法人みみづく福祉会 みみづく保育園(MM園)の結果

●MM園の特色

MM園は、京都府京田辺市にある私立保育園である。 「いささかなりとも人のお役に立つことが

でき得れば」という理念を胸に、心身ともに健康で情緒豊かな子どもたちを育むことを目指している園

である。

●対象児について

MM園は5-6歳児23人が在籍していた。子どもの身体特性を表32に記す。

表32:MM園の5-6歳児の身体特性

平均身⾧(cm) 平均体重(kg) カウプ指数

男児(14人) 112.1±4.0 19.4±3.4 15.4

女児( 9人) 112.4±4.2 19.1±1.8 15.1

総務省統計局「日本の統計 2020」の平均身⾧および平均体重と比べた。MN園は、男女とも

に全国平均とほぼ同じであった。小児の体型を評価するカウプ指数は、「ふつう」の範囲に入ってい

た。

●運動遊びについて

MM園でのプレイリーダー介入前(Pre1・2)の運動遊びは、表33のようにリレーやサーキット運

動を集団で行っていた。プレイリーダー介入時の運動遊びと各回の遊びに要した時間を表34に示し

た。

時間 時間5分 パプリカに合わせたリズム体操 5分 ディズニーの歌に合わせたリズム体操8分 チーム対抗リレー準備→リレー実施 5分 サーキット運動の説明(園児がお手本になっていた)5分 リレーで獲得したボールの数をかぞえながらコーンに向かって投げる 10分 2グループに分かれてサーキット運動実施→5分で交代3分 ケンケンでボールを取りに行き、走って帰ってくるリレー 5分 かえるとびのところをスポンジ台を追加して跳び箱のシュミレーション8分 各チームで獲得したボールの数を数える.サブの先生がボールを申告数を確認1分 ボールの片づけ→おわり

運動遊びの内容 運動遊びの内容

表 33:Pre(左表 Pre1、右表 Pre2)の運動遊びの内容

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40

●Pre計測時の身体活動量計測について

PreとPostの運動遊び実施時の平均歩数をグラフ38に、Pre1、Pre2の動作判別計測結果を

グラフ39,グラフ40に示した。

全5回の運動遊びは、屋内遊戯室で実施した。

Pre1は、リレーを中心とした移動系の運動遊びが

多かった。Pre2は、器械器具体操をサーキット形

式で実施していた。

グラフ39をみると、30分の遊びの時間において動

作の出現に波があることがわかる。動作の出現が

多かった時間帯はリレーを行っていた。走っている子

どもだけでなく、応援している子どもも飛び跳ねてい

たので動作の出現が多かった。Pre1、Pre2ともStopの割合が多いことがグラフからわかる。

Pre2の運動遊び開始後5分あたり(矢印)は、先生が次の運動遊びの説明に時間を費やしてし

まったので子どもの動きが止まっていた。また、運動遊びで使う用具の準備も子どもに待たせた状態で

行っていたのでstopの割合が多くなっていたと考えられる。

Post1 時間5分 じゃんけん、カラダじゃんけん7分 色々歩き;歩く⇔止まる、動物歩き3分 ボールで遊ぼう;玉入れ用の玉を頭にのせる、鼻ののせるなど11分 ボールで遊ぼう;玉入れ用の玉を上に投げてキャッチ、壁に投げるなど5分 陣地とりゲーム;準備、男の子vs女の子1回戦

41分 10分 陣地とりゲーム;2回戦、片付け、おわり

Post2 時間8分 やきいもグーチーパー(カラダじゃんけん)→お芋ころがし(コア)10分 玉投げ(玉入れよう玉を使用)→キャッチ、壁投げ4分 遠投→走って取りに行く、遠投→玉を取ったらケンケンで元の場所に戻る

29分 7分 陣取りゲーム2回実施、計りを使って勝敗を決める

Post3 時間9分 電車じゃんけん→円になる4分 リズム運動;パプリカ6分 ボールキャッチ遊び5分 ボール投げ、的あて遊び8分 フープ通しゲーム準備、説明→フープ通しゲーム

40分 8分 陣地とりゲームルール説明→陣地とりゲーム

運動遊びの内容

運動遊びの内容

運動遊びの内容

表 34:Post の運動遊びの内容

グラフ 38:Pre・Post 時の平均歩数

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41

グラフ41は、Pre1からPost3で運

動遊びを行なっているときのID番号

別の平均歩数を表している。

Pre1、Pre2(点線)ともに個人差

は少ないが全体的に歩数が少ないこ

とがわかる。

●MM園で目指したプレイリードについて

●プレイリードの変化とPost計測時の身体活動量変化の関係について

上記の目標設定をもとにPostの運動遊びを行ってもらった。Post1は、MM園の希望もあり再委

託先のPLが運動遊びを行った。グラフ38からPost1の平均歩数が多くなったのは上記が影響してい

ることが考えられる。

グラフ 41:Pre・Post 時の個別平均歩数

グラフ 39:Pre1 の動作判別計測結果 グラフ 40:Pre2 の動作判別計測結果

グラフ 42:Pre・Post 時の平均運動強度 グラフ 43:Post2 の動作判別計測結果

Pre計測では活動量の計測だけでなく先生方のプレイリードの様子も観察した。これらの

結果からMM園で目指したいプレイリードは、①子どもの身体活動量を改善すること、②①を

実現するために運動遊びプログラムの構成を考えること、そして運動遊びの説明は短く、簡潔

にすることとした。

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42

Post2では、投の運動遊びが主運動であったためPre1より平均歩数が減少していた。しかし、グラ

フ42の平均運動強度は5回の中で一番高く、またグラフ43の動作判別計測結果からstopの割合

がかなり改善していることがわかる。運動遊びの進め方がかなりスムーズになり、子どもの待ち時間が

少なくなったことがこれらの結果に繋がったと考えている。

表35は、運動遊び実践後に行った検討会で議論した内容(プレイリードで良かった点や次回に向

けた課題、身体活動量の変化など)を記している。

表35:プレイリードの変化と身体活動量の変化

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre リレーは「はしる」だけの単調な動作になりがちである.しかし、バトンのかわりにリングやボールを使って「わたす」や「もつ」「はこぶ」などの動作も体験できるよう工夫されていた。

ボールやフープ、リングなど遊びで使う用具をあらかじめ準備して待ち時間を減らすことを課題とした。

Post1 Post1は、ミズノプレイリーダーによる運動遊びを行った。平均歩数が1493歩、Stopの割合が43%であった。

Post1の身体活動量を目標に、次回は先生が投げる運動遊びを中心にプログラムを構成することとした。また説明を簡潔に、遊びと遊びの繋ぎを工夫することを課題とした。

Post2 前回の陣取りゲームで終了の号令がかかってからも両チームで玉を相手陣地に入れる場面が観られた。今回は終わったと同時に籠に玉を入れるというルールが確認できていたので混乱することが無かった.また勝敗を決める際も一つ一つ数えるのではなく、計りで重さを計って判断することや2回戦では見た目で判断することで時間が短縮されていて良かった。Stopの割合が35%に低下し、かなり改善していることがわかった。

次回は、子どもへの声かけの機会を増やすこと、他のボールにも慣れるための遊びのコンテンツを考えてもらうこと、そしてボールを捕る動作を洗練させるための遊びコンテンツを考えてもらうことを課題とした。

Post3 投の運動遊びで子どもが提案した”回ってキャッチする”を取り入れて行うなど子ども主体の遊びに変化しつつある。マットに向かって投げる動作では、マットに〇、□、☆印があったので子どもたちも自然と的に向かって投げ始めていた。結果的に説明の時間が短縮でき自然に遊びの動作につながっていた。 平均歩数が1000歩を超え、Stopの割合も43%であった。

子どもがのめりこんでは遊んでいるときは、その遊びに時間を取ってほしい。飽きているときや盛り上がっていないときは、その遊びの時間を短縮しても良いので子どもの様子を観察して進めることを今後の課題とした。

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2)-4 社会福祉法人愛光福祉会 幼保連携型認定こども園愛光兜台こども園(KD園)の結果

●KD園の特色

KD園は、京都府木津川市にある幼保連携型認定こども園である。愛光福祉会の歴史は、およ

そ100年前の木津キリスト教会の設立に始まり、 「愛せよ 光の子となれ」という理念に持ち、

「友だちと楽しく遊び、助け合って生活する」ことを保育方針に掲げている園である。

●対象児について

KD園は5-6歳児27人が在籍していた。子どもの身体特性を表36に記す。

表36:KD園の5-6歳児の身体特性

平均身⾧(cm) 平均体重(kg) カウプ指数

男児(15人) 114.3±4.7 20.3±3.6 15.5

女児(12人) 113.4±5.4 19.9±4.5 15.4

総務省統計局「日本の統計 2020」の平均身⾧および平均体重と比べた。KD園は、男女とも

に全国平均より体格が大きかった。小児の体型を評価するカウプ指数は、「ふつう」の範囲に入ってい

た。

●運動遊びについて

KD園でのプレイリーダー介入前(Pre1・2)の運動遊びは、2回ともフラフープや縄跳びを使った

遊び、⿁ごっこ、砂遊びなどを行っていた。一方のプレイリーダー介入時の運動遊びおよび各回の遊

びに要した時間は表37に示した。

表 37:Post の運動遊びの内容

Post1 時間4分 だるまさんがころんだ、じゃんけん、足じゃんけん、カラダじゃんけん4分 ジャングル探検(動物歩き)4分 5歩⿁11分 魔法の粉

26分 3分 脱出ゲーム→ストレッチ

Post2 時間3分 だるまさんがころんだ、むすんでひらいて4分 ジャングル探検;色々歩き3分 色おに5分 ジャングル探検2;ボール運び、ボールキャッチ

29分 14分 陣取りゲーム、クールダウン

運動遊びの内容

運動遊びの内容

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●Pre計測時の身体活動量計測結果について

PreとPostの運動遊び実施時の平均歩数をグラフ44に、Pre1、Pre2の動作判別計測結果を

グラフ45,グラフ46に示した。

Pre1,Pre2では、年少・年中・年⾧の子どもが一

斉に自由遊びを行っていた。全学年で人気の遊

びは三輪車であった。数名の年⾧の子どもは、フラ

フープを上手にコントロールしながら回して遊んだり、

フラフープを転がして転がっているフープを通り抜け

たりする遊びを行っていた。Preの平均遊び時間は

約40分間で、平均歩数は約1000歩であった。

動作判別計測結果のグラフからStopの割合は少ない傾向であった。Stopの数値は、Pre1で

47%、Pre2で44%であった。

グラフ47は、Pre1からPost3で運動

遊びを行なっているときのID番号別

の平均歩数を表している。

Pre1、Pre2(点線)ともに活発に

運動遊びを実施する子とそうでない

子との差が約1000歩あることがわか

った。これらのことから、本園での自由遊びは、子どもの自主性を引き出すことができる一方で、身体

活動量に個人差がみられることがわかった。

グラフ 44:Pre・Post 時の平均歩数

グラフ 45:Pre1 の動作判別計測結果 グラフ 46:Pre2 の動作判別計測結果

グラフ 47:Pre・Post 時の個別平均歩数

Post3 時間4分 だるまさんがころんだ、じゃんけん、カラダじゃんけん8分 ボール遊び4分 ボールを使ったゲームの説明6分 コーン倒しゲーム1回戦→作戦会議3分 コーン倒しゲーム2回戦→作戦会議6分 コーン倒しゲーム3回戦→作戦会議→コーン倒しゲーム4回戦

33分 2分 クールダウン

運動遊びの内容

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●KD園で目指したプレイリードについて

●プレイリードの変化とPost計測時の身体活動量変化の関係について

上記の目標設定をもとにPostの運動遊びを行ってもらった。Postの運動遊びは、メインの先生1

名とサブの先生2名の計3名が行った。グラフ44からPost2は、Preのときよりも身体活動量が増加し

ていたが、Post1、Post3は、Preとほとんど変わらなかった。Post1では、先生が子どもの近くにいな

いといけないという意識が習慣化されていたことから、子どもと先生の距離が近すぎ、運動スペースが

狭くなってしまった。その結果、子どもの動きが小さくなった。Post3は、雷注意報発令のため屋外で

の遊びが実施できず、屋内遊戯室での遊びに変更となった。屋外よりもスペースが狭かったため身体

活動量が減少したと考えられる。

平均運動強度は、PostがPreよりやや低い結果を示した。また,Post2の動作判別計測結果も

Stopの数値はPreとほぼ同じであった。しかし、Post2で動作の出現に波ができていたことがPreと異

なる点であった。プレイリードを行う上で、常に一定の量で動作が出現するよりも、気持ちの高まりとと

もに動きが活発になったり、気持ちを鎮めるときには動きがすくなくなったりすることが大切ではないかと

考えている。

表38は、運動遊び実践後に行った検討会で議論した内容(プレイリードで良かった点や次回に

向けた課題、身体活動量の変化など)を記している。

Pre計測では活動量の計測だけでなく先生方のプレイリードの様子も観察した。これらの

結果からKD園で目指したいプレイリードは、①活発な子とそうでない子が一緒に参加できる

運動遊びプログラムの構成を考えること、②①を通じて身体活動量の個人差を少なくするこ

とであった。

グラフ 47:Pre・Post 時の平均運動強度 グラフ 48:Post2 の動作判別計測結果

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表38:プレイリードの変化と身体活動量の変化

プレイリードで良かった点・改善した点 プレイリードの課題点・改善点

Pre 自由遊び了後に年⾧組だけでドッジボールを行った。判定は先生が行い、外野も内野も子どもたちだけで役割分担をして行っていた。先生のドッジボールのスペースの作り方が上手かったので子どもたちは盛り上がっていた。

自由遊びでは、運動遊びが苦手そうな子どもが確認されたので、Post計測では運動が苦手な子どもも楽しんで参加できる環境づくりを課題とした。

Post1 メインとサブの先生方の連携が素晴らしかった。3人の先生が指示を出すと、子どもたちは、どの先生についていけば良いのかがわからず混乱することがある。しかしKD園は、先生同士のコミュニケーションがとれており、一人ひとりの役割や個性も異なり、子どもはそれぞれの先生の言動に注視することができていた。

先生と子どもの距離が近かったため、子どもの運動スペースが狭くなってしまった。その結果、動きが小さくなってしまった。 身体活動量は、1069歩で1000歩を超えていたが、Stopの割合が58%とPreより多くなった。 次回への課題は、動物歩きなどで全員が同じ方向に歩いているので、方向をばらけさせること、スペースの使い方を工夫することとした。

Post2 色々歩きではジャングル探検のストーリーに上手く組み込んでいた。歩く方向も前回は一方向になっていたが、今回はランダムになるよう誘導していた。先生方の連携も良く、遊びから次の遊びにスムーズに移行できていた。 身体活動量も1478歩と増加し、Stopの割合も前回より改善されて49%であった。

課題を挙げるとするとボールキャッチ時のスペースの設け方がやや狭かったことである。

Post3 運動遊びは、「だるまさんが転んだ」から始まった。「運動遊びを始めるよ~」という号令ではなく、自然に遊びが始まり子どもたちの表情にもワクワク感があふれていた。次にじゃんけんに移行すると、グループから離れていた子どもも集まってきてじゃんけんに参加していた。子どもたちの視線も先生に集中しており一体感があった.屋内での実施のため身体活動量は1100歩、Stopの割合も49%であった。

ボールを使った遊びのうちボールキャッチやボール通しでは、ストーリーを入れても良かった。例えば、大事な卵を落とさないようにキャッチしよう、大事な卵をトンネルに通してみようなど、一言つけるとワクワク感が出てくる。先生がお手本を見せるときに、子どもが見やすい場所に移動するなどの工夫をして欲しい。先生の立ち位置によって、子どもの周りに確保できていたスペースが狭くなってしまうことがあるので今後の課題にして欲しい。

Ⅲ)-⑤運動遊び本の作成

各園向けにミズノが作成した運動遊びプログラムだけでなく、各園が独自で実践した運動遊びコン

テンツを集め運動遊び本として制作した。運動遊び本は、別資料を参照されたい。

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Ⅲ)-⑥アンケート調査の結果

プレイリーダー育成プログラムを通じて学んだことが、今後の園での運動遊びに活かされるかどうかを

確認するため学級担任に聞き取り調査をした。聞き取り調査は、Post3終了後に本事業に参画し

て感じたことを話してもらった。各園の先生方からのコメントは、以下の通りである。

年⾧児に合った運動遊びコンテンツでプログラムを構成すると子どもの欲求が満たされることがわかっ

た。一人ひとりの得意・不得意なことや成⾧段階が観察できることも分かったので、みんな遊びといっ

た形で続けていけたらと考えられるようになりました。

これまでさまざまな研修を受講してきたので、学んできたことを今回の事業で試したり、運営したりした

かったが、残念ながら日々の保育業務で十分な時間が持てなかった。

先生から講習会の演習で行った 5 歩⿁は普段あまり運動をしない子どもも喜んで参加できている

が、⿁になりたい子が複数名いてわざとタッチされようとする.どうしたらよいか?という質問もあり、少

しでも子どもが楽しめる環境を作ろうとされていることがわかった。

子どもたちの様子をみるだけでなく、動線や動きの範囲、広さ、子どもがどう動くかなど、1つの活動を

するにも様々な意識をすることが身に付きました。

運動遊びの見方が一番変わったと思います。当園では、36 の基本動作を中心に、子どもたちが意

欲的に遊ぶことができる運動遊びをしています。遊具などの種類や設定の仕方についてはかなり意識

をしていますが、今回の研修のように雰囲気や空気感を意識した運動遊びができる職員は少ないと

思います。空気感のある運動遊びをするときとそうでないときを意図的に織り交ぜていけば、当園のう

んどう遊びをはじめとした職員のレベルアップになると感じました.個人的には最終回の振り返りでビデ

オ撮影を通した保育者の反省の仕方が非常に参考になりました。

年中クラスまでなら夢中になるストーリー性のある「ごっこ」遊びが、就学前の子になると少々飽きでき

やすい。 そのときに(子どもを)引き付けられる言葉や面白い動きなどは必要だが、自分には即座

に場を読んでできないなあとも感じたりしていた。身ひとつで子どもたちに様々なことを経験させることは

本当に難しいなあと思います。全体はみられるけれど、個々の動きになると記憶になかったりして、そこ

にプラン組み立てて、イメージをいくつもパターン化してもっておくことの大切さと柔軟な対応が大切だな

あと感じました。

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Ⅲ)-⑦保護者への啓蒙活動

本事業に参加した子どもの身体活動量や身体活動の質を保護者に知ってもらうため、各対象児

の計測記録と計測結果を簡単に解説した遊育通信簿を発行し、園を通じて保護者に配布した。

配布した遊育通信簿例は以下の通りである。また、運動遊びの大切さや親子でできる運動遊びを

紹介しているミズノ運動遊びBook(ミズノ発行)も合わせて配布した。ミズノ運動遊びBookでは、

子ども主体ではなく、子どもにさせている動作が多いことに気づいた。 子ども自らが考えて運動遊びが

できるようになるかを考えていきたい。また、運動遊びの範囲(グリッド)を設けることで子どもの様子

が観察しやすくなり、子ども同士でお互いの距離を理解する力などさまざまなことが養うことができると

感じた。

Pre 計測の前にプレイリーダー講習会を受講したため、従来の内容で運動遊びを実施するのか、ミズ

ノの講習会で実施したプログラムを実施するのか戸惑いがあった。日常の運動遊びの様子から子ども

の身体活動量は想像できていたが、数値データで確認できたことは良かった。

運動遊びについて考える機会につながり、とても参考になった。特に、普段は大人しい子が活発に動

く姿や投動作が上手になっていく姿がはっきり感じ取ることができたことが良かった。

数字では計れない力を育てている幼児教育だけど、データの見える化で自分の保育の傾向や子ども

たちの具体的な動きの差などがわかった。毎回の振り返りでデータをみることができ、自分では意識し

ていなかった当たり前にしていたことが子どもへのかかわりが意味づけされて、モチベーションや自信につ

ながった。

様々な変化を感じた。例えば、子どもの運動量が増加しただけでなく、自分自身の運動量も増え

た。また、以前は先生の話を聴いていない子どもがいたが、周りの子どもを観て話を聴くことができるよ

うになってきたし、集中して運動遊びができるようになってきた。更には、休み時間も子どもが色々な投

げ方を試すようになった。1 日の保育時間で運動遊びの時間は限られているが、その限られた時間で

たくさんカラダを動かすことができるようになった。

Post1 から「運動あそびを観られているやちゃんとやらなくてはいけない」というプレッシャーがあったが、3

回めで「細かいことを考えずに運営できるようになり楽しかった。大人の言葉を使ったり、声かけが多す

ぎたりしていたかもということに気づくことができた。卒園生(現小学校 1 年生)が行事で来園したと

きに、5 歩⿁や魔法の粉を試したら、卒園生たちも楽しんでくれたので学んだことが活かすことができ

た。

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全20ページの小冊子で、運動遊びの大切さや運動遊びの効果のほか、子どもの成⾧段階には合

わせた遊びを解説している。また、自宅で家族と一緒にできる運動遊びの紹介もしている(図4)。

図 3:動作判別計測結果帳票例

図 4:ミズノ運動遊び Book(一部抜粋)

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Ⅳ)まとめ Ⅳ-① プレイリーダーの育成について

本事業の目的は、運動・スポーツの習慣を身に付けるべき幼児に対し、運動遊びプログラムを通

じて、楽しみながら多様な動きを身に付けることができる環境を整えることであった。具体的には、幼

稚園教諭、保育士、保育教諭に対してプレイリーダーの育成を行い、次の3つの課題解決を図った。

①幼児・児童の身体の発育発達の理解した運動遊びを行うこと、②運動遊びを実施しているときの

幼児・児童にかける言葉やそのタイミングを身に付けること、③子どもの発育発達に応じた運動遊び

プログラムを組み立てることの3点である。これら3つの課題解決を通じて達成できたこと、課題として

残ったことを整理した。

達成できたことは、各園の先生が、園での運動遊びを再考する機会に繋がったこと、子どもを観察す

る大切さを再認識してもらったことの 2 点である。本事業に参画した先生方の中には、子どもの発育

発達に応じた運動遊びの進め方を勉強したが、記憶が薄れているとおっしゃった先生やもともと運動

遊びに対して苦手意識をもたれていた先生がおられた。しかし、Post の運動遊びの実践では、課題

を振り返り、運動遊びの組み立てや運動遊びの進め方をシミュレーションするなど万全の準備で臨ん

でくれていた。また、すでに園でプレイリードの実践されている MK 園、MN 園の先生方は、身体活動

量計測や動作判別計測により運動遊びをデータで見ることができたことが良かったとコメントをされた。

データから先生自身の保育の傾向や子ども同士の動きの差などを改めて知ることができたこと、自分

では意識せずに行っていたことが子どもの動作に意味づけされていて自信につながったことが理由であ

った。

一方で課題も残った。各園は、すでに自由遊びや器械器具体操などを行っており、運動遊びの型が

出来上がっていた。しかし今回は、我々から提案した運動遊びプログラムを用いて実践してもらった。

日常で行っている運動遊びとどのように融合すべきか、あるいはどのように使い分けるかといったことを

双方で整理する時間がなく、先生方に課題として残すことになった。これは、本事業で介入した回数

とも関係していると感じた。運動遊びの実践は、Pre と Post 合わせて 5 回行った。実践後の検討会

では、運動遊びの振り返りを行うことに集中していたため、上記の整理までできなかった。運動遊びの

実践とは別に総括としてあと 1 回先生方と話し合う機会を設けた方が良かったと感じた。

Ⅳ-② 活動量の調査について

運動遊びを実施しているときの身体活動量や動作判別計測で得られたデータをもとに、子どもの

活動量を観察することは意義がある。どの遊びコンテンツで運動量や運動強度が増加し、どのコンテ

ンツでそれらが減少するかを知ることは、プログラムを組み立てる上で重要な情報だからである。また、

動作判別の計測は、子どもの動作が止まっている時間帯やその量がわかるため、先生のプレイリード

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内容と合わせて振り返ると、遊びの説明が⾧かったことや準備に時間がかかっていたことなど原因がわ

かることが良かった。MK 園や MN 園の先生方が上記のようにコメントしてくれたことからも有用である

ことがわかる。

しかし、身体活動量計測や動作判別計測だけで子どもの運動遊びを評価しても良いのかと疑問

を感じたときがあった。それは、MN 園で子どもたちに困ったことが起こると、先生が運動遊びの途中で

も遊びを止めてクラス全体で話し合う機会を度々設けていたときである。話し合っている時間は、子ど

も動きが止まるため身体活動量は低下している。しかしそれでも先生は、子どもが自らで考え、それを

自分の言葉でみんなに伝えることを大事にされていた。運動遊びを通じて思考力・判断力やコミュニ

ケーション力を育んでいる瞬間を目にすることができた一方で、子どもの運動遊びの効果についてもっ

と多面的にかつ深く考えなければいけないと感じた。これらの課題は、引き続き検討を加えていく予定

である。

Ⅳ-③ 保護者への啓蒙活動について

運動遊びの機会を増やすには園だけにとどまらず、家庭での運動遊びも重要になってくる。身体活

動量や動作判別の計測結果シートを個別に発行し、ミズノ運動遊びBookと一緒に配布をすること

ができたが、保護者からのコメントや質問をもらうまでに至らなかった。保護者との交流が持てなかった

ことは課題として残った。ただ一部の年中クラスの保護者から次年度も同様の活動はされますかとい

った問い合わせは頂いたので、運動遊びに対する興味・関心はもっておられると感じた。保護者への

タッチポイントを増やすこと、そして運動遊びの重要性を理解してもらい、家庭でも積極的に運動遊

びを行う環境づくりができるよう情報発信やイベントの企画などを行っていきたい。

以上

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本報告書は、スポーツ庁の委託事業として美津濃株式会社が実施した令和元年度「子供の

運動習慣アップ支援事業」の成果を取りまとめたものです。

従って、本報告書の複製、転載、引用等にはスポーツ庁の承認手続きが必要です。