36
オフィスで使える TeraStation 徹底活用 マニュアル ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスシーンで活躍するTeraStationを徹底紹介

ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

オフィスで使える

TeraStation徹底活用マニュアル

ネットワークマガジン2006年4月号特別付録

オフィスシーンで活躍するTeraStationを徹底紹介

Page 2: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

オフィスで使える

TeraStation徹底活用マニュアル

ネットワークマガジン2006年4月号特別付録

2代目TeraStationの実力を探るニューモデルTS-TGL/R5の機能と特徴

3 堅牢かつ大容量なストレージ空間を提供

4 より信頼性を増したパーツを採用

4 エアフローを重視した設計による熱対策

5 稼働状況がひと目でわかる液晶パネル

5 メンテナンス作業を効率化する工夫

6 セキュリティを高める盗難防止機構

6 UPSとの連携により電源異常時のリスクを回避

7 マルチOS環境に対応する柔軟なソリューション

8 Windowsサーバとの連携機能

9 バックアップ機能でデータを守る

Part 1

2

気になる機能をチェック&トライWindowsネットワークにおける実戦活用術

19 ユーザーとグループの作成

20 共有フォルダの作成と管理

22 Windowsサーバとの連携機能を活かす

24 FTPサーバとして利用する

25 データのバックアップに活用する

Part 3

18

専用ツールで簡単セットアップTeraNavigatorによる導入と初期設定

Part 2

12

C O N T E N T S

Page 3: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

「もしも」の時に備えるTeraStationメンテナンスマニュアル

27 障害発生時のシステム動作の設定

28 TeraStation間におけるバックアップ

29 ハードディスク交換の実際

Part 4

26

家庭向けからビジネス分野へ低価格NASとしてのTeraStation

Part 5

30

TeraStation TS-TGL/R5シリーズ仕様一覧 32

コラム:RAID ─データ損失を防ぐ技術 10

コラム:動作モードによるディスク性能の差 16

Page 4: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

2

3月号のネットワークマガジン本誌で既

報のとおり、バッファローのLAN接続ハ

ードディスク「TeraStation」シリーズの

ニューモデルが昨年12月に発売された。

本付録では1冊まるごと32ページにわた

って、その機能と特徴から、実際の導入

と運用時の作業手順にいたるまでを徹底

的に解説する。

まずは、新しいTeraStationの実像に迫

るため、機能的な概要について触れ、そ

のあと注目の機能をピックアップして詳

しく紹介していくことにしよう。

TeraStationは、その名の通りテラバイ

トクラスのディスク空間をLAN上で提供

する、コストパフォーマンスに優れたサ

ーバアプライアンス製品だ。

2004年12月に発売された初代にあたる

「HD-HTGL/R5」シリーズは、USBテレビ

キャプチャユニットを接続して録画デー

タを記録したり、記録された動画などの

データを同社のLAN接続メディアプレー

ヤ「LinkTheater」上で再生するためのメ

ディアサーバ機能など、ユニークな特徴

を備えていた。このことからわかるよう

に、当初、TeraStationはホームネットワ

ークで大容量のディスク空間を必要とす

るホームユーザーを主なターゲットとし

ていた。

ニューモデルの「TS-TGL/R5」シリー

ズでは、上記のようなメディアサーバ的

な機能とプリントサーバ機能が省かれて

いる。USBポートも4から2へ減少してお

り、拡張性も制限された。

これだけを見ると単に機能が低下した

だけに思えるだろうが、実はそうではな

い。TS-TGL/R5シリーズは、ディスクド

ライブや電源に代表されるパーツの信頼

性の向上や、フロントアクセスが可能な

筐体の採用によるメンテナンス性の改善

といった、ファイルサーバとしての本質

的な部分に的を絞った機能強化が図られ

ているのだ。

こういった仕様変更は、初代とのメイ

ンターゲット層の違いを示している。家

庭向けからビジネスの分野へと力点を移

していることは明らかだろう。一見それ

に反していそうなプリントサーバ機能の

省略も、ほとんどの企業ネットワークで

プリントサーバが導入済みであろうとい

うこと、また最近のオフィス向けのプリ

ンタのほとんどにネットワーク機能が搭

載されていることを考えれば、うなずけ

る選択である。

初代TeraStationは、RAID5とギガビッ

トEthernetをサポートしており、ネットワ

ーク接続ストレージ(NAS)としてオフ

ィス環境で使えるだけの高いポテンシャ

ルを持っていた。その優れたコストパフ

ォーマンスは企業にとっても魅力的だっ

たはずだ。

TeraStation TS-TGL/R5シリーズは、コ

アとなる部分の実力を十二分に活かすた

めに、より高い信頼性を身に付けソリッ

ドになった2代目なのである。

次ページからは、ニューモデルで強化

された信頼性やメンテナンス性に関する

機能を中心に紹介していき、そうした点

を検証していくことにする。また、この

パートの最後では、HD-HTGL/R5シリー

ズとTS-TGL/R5シリーズの機能比較一覧

を掲載しておくので、そちらも参考にし

てほしい。

TeraStation徹底活用マニュアル

2代目TeraStationの実力を探る

ニューモデルTS-TGL/R5の機能と特徴

写真1●TeraStation TS-TGL/R5

Part 1

新しいバッファローのTeraStationは、オフィス用途での利用を想定し

た堅牢なNASシステムとして生まれ変わった。従来の使いやすさやRAID

といった機能を継承しつつ、改良が加えられたのだ。ここでは、新機能と

特徴を俯瞰しながら、2代目TeraStationを見ていこう。

2代目誕生

写真2●初代TeraStation HD-HTGL/R5

Page 5: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

Part 1 ニューモデルTS-TGL/R5の機能と特徴

Part 1

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

TeraStation最大のセールスポイントは、

やはり「ディスク容量/価格」のコスト

パフォーマンスにあるといってよいだろ

う。初代HD-HTGL/R5シリーズが登場し

た当時ほどのインパクトはないものの、

低価格NASの市場が拡がった現在でも、

実勢価格で1テラバイトあたり10万円を

切るコストパフォーマンスは十分に魅力

的である。単純に計算すると、1Mバイト

あたりわずか0.01円となる。

さらにTS-TGL/R5シリーズでは、従来

のラインナップに0.3テラバイトと2.0テ

ラバイトの2つのモデルが加わり(表1)、

用途に応じた幅広い選択が可能となって

いる。特に2テラバイトモデルの投入は、

より規模の大きいネットワーク環境への

対応を可能とし、ビジネス分野へのユー

ザー層の広がりにつながるはずだ。

■耐障害性の確保も配慮

単に大容量で低価格というだけでは、

大量の共有データを記録するストレージ

デバイスとして不十分であることも確か

で、障害発生時にデータを速やかに復旧

できる耐障害性が不可欠な要素となる。

TeraStationでは、RAIDとジャーナリング

ファイルシステムによって高い耐障害性

を実現している。

RAIDに関しては、RAID1(ミラーリン

グ)とRAID5(パリティ付きストライピ

ング)の2つのレベルをサポートしており、

仮にディスクドライブの1つが故障して

も、障害発生直前の状態までデータを復

元することが可能だ。TS-TGL/R5では、

出荷時の状態でRAID5がすでに設定済み

で、RAID構築後の動作試験も実施され

ている。

ここで留意してもらいたいのは、RAID

によるデータの冗長性の確保と利用可能

なディスク容量がトレードオフの関係に

ある点だ。RAID1の場合は、ディスクア

レイを構成するディスクドライブの合計

サイズの1/2が利用可能な容量となる。ま

たRAID5では、TeraStationのように4台の

ディスクドライブでアレイを構築した場

合、合計ディスクサイズの3/4が利用可能

な容量となる。

搭載されている4台のハードディスクを

1つのボリュームとして認識し、全容量を

データ記録に利用できるスパニングモー

ドも用意されているが、この場合、耐障

害性はむしろ下がってしまう。

RAIDとそれに関連する技術について

は、10ページからのコラムでも解説して

いるので一読されたい。

一方のジャーナリングファイルシステ

ムは、ファイルシステムに加えられた更

新の履歴を「ジャーナル」と呼ばれるロ

グに記録しておき、障害発生後にその情

報を解析することでデータの整合性を回

復する仕組みだ。これにより、書き込み

途中に電源断などが発生してもファイル

システムが保護される。

TeraStationは、「XFS」と「Ext3」とい

う2つのジャーナリングファイルシステム

をサポートしている(Ext3はUSB接続の

増設ディスクでのみ選択可)。

3

図1●ジャーナリングファイルシステムの動作概要

更新の履歴を ジャーナルに記録

ジャーナル

ファイルシステム

データの 書き込み

データ

ジャーナル

ファイルシステム

データ データの 書き込み中に 障害発生

再起動時に ジャーナルを元に ファイルを復旧

堅牢かつ大容量なストレージ空間を提供

表1●TeraStation TS-TGL/R5シリーズのラインナップ

型番 メーカー希望小売価格 容量

TS-0.3TGL/R5 6万3600円 0.3テラバイト

TS-0.6TGL/R5 8万5000円 0.6テラバイト

TS-1.0TGL/R5 10万6300円 1.0テラバイト

TS-1.6TGL/R5 15万7500円 1.6テラバイト

TS-2.0TGL/R5 24万3500円 2.0テラバイト

表2●TeraStation TS-TGL/R5交換用ディスクドライブ

型番 メーカー希望小売価格 容量 対応するTeraStation

HD-HQ80FBS 1万6800円 80ギガバイト TS-0.3TGL/R5

HD-HQ160FBS 1万8900円 160ギガバイト TS-0.6TGL/R5

HD-HQ250FBS 2万3200円 250ギガバイト TS-1.0TGL/R5

HD-HQ400FBS 4万5500円 400ギガバイト TS-1.6TGL/R5

HD-HQ500FBS 6万3600円 500ギガバイト TS-2.0TGL/R5

Page 6: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

4

TS-TGL/R5シリーズは、RAIDとジャー

ナリングファイルシステムの採用により

障害時への対応も万全だ。

だが、さらに障害そのものの発生を抑

えるための対策も施されている。TS-TGL/

R5シリーズでは、ディスクドライブと電

源という主要パーツに厳選された専用品

を用いることで信頼性の向上が図られて

いるのだ。

ディスクドライブは、通常より厳しい

品質検査をパスした専用パーツ(写真3)

が搭載されている(交換用ドライブの価

格については前ページ表2を参照)。ドラ

イブの接続方式もHD-HTGL/R5の「汎用

ケーブルによるIDE接続」という仕様か

ら、「ロック付き汎用シリアルATAケーブ

ルによるカートリッジ式の着脱機構を備

えたシリアルATA接続」という仕様に変

更された。シリアルATAケーブルには振

動などによる「抜け落ち」を防止するロ

ック機構が採用されており、この点でも

信頼性が向上している。

電源についても、信頼性の高い国産コ

ンデンサを搭載した専用パーツを採用し

(写真4)、ディスクドライブと同じくケー

ブルのコネクタにロック機構を備えるな

ど細かな配慮がなされている。

そのほかのパーツでは、次の熱対策の

項でも取り上げているケースファンが、

HD-HTGL/R5で採用されていた流体軸受

け式のものから、ダブルボールベアリン

グ式のものに変更されている。これは、た

とえばホコリの多い環境などにおいては、

ボールベアリング式の方がより信頼性が

高いからである。

TeraStation徹底活用マニュアル

より信頼性を増したパーツを採用

写真5からわかるように、HD-HTGL/R5

とTS-TGL/R5ではケースのフロントまわ

りのデザインが大幅に異なっている。HD-

HTGL/R5がデザインを優先した金庫型の

外観であるのに対し、TS-TGL/R5には、

搭載されている4台のディスクドライブに

合わせて前面に4つの大型スリットが設け

られている。

ハードディスクの最大の敵は「熱」で

ある。この4つのスリットは、まさにその

熱対策のためのもの。TS-TGL/R5では、

ケースの両サイドの前方にも3つずつ小さ

なスリットが設けられており(写真6)、ま

た、筐体の背面パネルには大径の排気用

ファンが取り付けられている(写真7)。前

面と側面のスリットから外気を吸い込み、

筐体内を通って排気するという空気の流

れを生むことで、内部の温度上昇を抑え

る設計となっているわけだ。

さらに、筐体内には温度センサーが設

置されており、内部の状態に合わせて排

気ファンの回転数が自動的に4段階に切

り替わるという仕組みが用意されている。

こうした熱対策は長時間にわたる連続

稼動時の安定動作を目的としており、第

2世代のTeraStationがビジネス分野での利

用を志向していることがうかがえる。

エアフローを重視した設計による熱対策

写真3●ディスクドライブはシリアルATAコネクタを持つカートリッジタイプ

写真4●初代ではPC用の汎用品だった電源も、専用品に変更されている

写真6●ケースのサイドにも吸気用の小型スリットが設けられている

写真7●長時間の安定性を重視してボールベアリング式のファンが採用された

写真5●新旧TeraStationではフロントまわりの印象がまったく異なる

Page 7: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

Part 1 ニューモデルTS-TGL/R5の機能と特徴

Part 1

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

5

前述のとおり、TS-TGL/R5に搭載されて

いるディスクドライブでは、専用コネクタ

によるカートリッジ式の着脱機構を採用し

ている。加えて、TS-TGL/R5のケースフロ

ントは、ドライブベイにあたる部分が開閉

可能だ(写真9)。そのため、ドライバなど

の工具を使わずにディスクドライブの交換

作業を行なうことができる。

こういったメンテナンス作業の効率化に

配慮した機能が、ほかにも見られるのでま

とめて紹介しておこう。

・不良セクタチェックの定期的な実行

(RAIDモードのみ)

・不良セクタの自動リカバリ(RAIDモー

ドのみ)

・ブザーやメールによる障害の通知

・障害発生時の自動シャットダウン

・故障したドライブをひと目で判別できる

FAILランプ

もう1つ「I'm here」機能というユニーク

なものがある。これはクライアント上で動

作するツールからの指示により警告ブザー

を鳴らす機能(画面2)。複数台のTera

Stationが導入された環境においてメンテナ

ンス対象の個体を識別するために利用でき

るものだ。

メンテナンス作業を効率化する工夫

前掲の写真4に再度注目してほしい。

TS-TGL/R5のフロント部分に見られるも

う1つの顕著な変更点として挙げられるの

が、上部中央に設置された液晶パネルだ。

安定動作時には、この液晶パネルに以下

のような情報が順次切り替わりながら表

示される(写真8)。

・日付と時刻

・ハードディスクの動作モード

・各ドライブのディスク使用率

・ホスト名とIPアドレス

・ネットワークのリンク速度

表示の切り替えは、液晶パネルの右横

にある「DISPLAY」と書かれたボタンを

使って行なうこともできる。また、表示

される情報を制限したり、表示の自動切

り替えを抑制するといった設定も可能と

なっている(画面1)。

障害発生時には、このパネルに状況に

応じたエラーメッセージが表示されるの

で、トラブルシューティングの足掛かり

となるはずだ。

また液晶パネルの右側には、各ディス

クドライブのアクセス状況を示すLEDと、

ドライブに異常が発生した際に点灯する

LEDが搭載されている。

さらに液晶左下にもエラーを示すLED

が用意されており、異常時にいち早く状

態を知ることができるようになっている。

稼動状況がひと目でわかる液晶パネル

写真8●液晶パネルにはシステムの状態に関する情報が常時表示される

画面1●ディスプレイの表示は管理ツールで設定変更が可能だ

写真9●このようにフロントパネルの一部が開き、ディスク交換を行なえる

画面2●対象となる個体のブザーを鳴らす「I'm here」機能

Page 8: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

TeraStation徹底活用マニュアル6

TeraStationのような低価格帯のNAS製

品は、物理的なセキュリティを考える上

で、共通する1つの弱点を抱えている。そ

れは筐体が比較的小さく重量も軽いため、

設置場所によっては、本体をまるごと持

ち去られる危険性があるのだ。T S -

TGL/R5もケースサイズがW170×H235×

D310mmとコンパクトで、重量が約8kgと

大人一人で楽に持ち運べる。もちろんコ

ンパクトで軽いというのは、設置や移動

が楽という利点を生む特徴でもあるが、

盗難防止のための何らかの対策が必須と

もいえるだろう。

TS-TGL/R5は筐体背面にワイヤホール

とセキュリティスロットを備えており

(写真10)、同じバッファロー製のセキュ

リティロックなどと組み合わせることで、

盗難防止対策を施すことができる(写真

11)。

なお、先ほど紹介したケースフロント

の開閉部にもシリンダロックが装備され

ており、ディスクドライブへのイタズラ

を防ぐ対策が採られている(写真12)。

セキュリティを高める盗難防止機構

ファイルサーバの安定した動作を確保

するには、サーバマシン本体の堅牢性だ

けでなく、安定した電力供給にも配慮す

る必要がある。停電による不意の電源遮

断はもちろん、設置場所の環境要因によ

る不安定な電力供給は、サーバマシンに

ダメージを与え、データの損失に繋がり

かねない。

こうしたリスクを回避するために、フ

ァイルサーバを運用する際には、UPS(無

停電電源装置)の導入を考慮すべきだろ

う。特にビジネス用途で長時間の連続稼

動が必要なケースでは、UPSが必須とい

ってよい。

TearStationも電源障害によるリスクを

回避するために、UPSとの連携機能を備

えている。UPSが電源の異常を検知して

バックアップ電源での電力供給モードに

移行すると、専用の接続ケーブル(専用

ポートまたはUSBポート接続)を介して、

それを知らせる信号がTeraStationに送ら

れ、安全にシャットダウン処理が行なわ

れる。加えてTeraStationのシャットダウ

ン完了後に、UPSの電源供給をオフにす

る機能も用意されている。

TS-TGL/R5では、従来のAPC製に加え、

オムロン製のUPSが新たにサポートされ

るようになった。表3にサポートされてい

る主な機種を挙げておくので、参考にし

てほしい。なお、これ以外の対応UPSつ

いては、http://buffalo.melcoinc.co.jp/

products/catalog/item/t/ts-tgl_r5/を参照の

こと。

UPSとの連携により電源異常のリスクを回避

写真11●セキュリティスロットに盗難防止器具(バッファローのBSQ-06)を装着してみた

写真12●ケースの開閉部もシリンダロックとキーで施錠できるようになっている

写真10●背面の右下にワイヤーホール、左下にセキュリティスロットが設けられている

ベンダー 型番 電力供給方式 接続

オムロン BZ35T 常時商用 USB

BZ50T 常時商用 USB

BX35F 常時商用 USB

BX50F 常時商用 USB

BN50XS ラインインタラクティブ D-sub 9pin

BN75XS ラインインタラクティブ D-sub 9pin

BU50SW 常時インバータ D-sub 9pin

APC SU500J ラインインタラクティブ D-sub 9pin

SUA500JB ラインインタラクティブ D-sub 9pin

SUA750JB ラインインタラクティブ D-sub 9pin

SUA1000JB ラインインタラクティブ D-sub 9pin

SUA1500JB ラインインタラクティブ D-sub 9pin

SU2200J ラインインタラクティブ D-sub 9pin

表3●TS-TGL/R5でサポートされている主なUPS

Page 9: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

Part 1 ニューモデルTS-TGL/R5の機能と特徴

Part 1

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

7

ここまでは、主にTeraStationのハード

ウェアとしての機能と特徴について解説

してきた。以下では、ソフトウェア的な

側面、つまりファイルサーバとしての機

能に注目していくことにしよう。

■多様なファイル共有の方式

TeraStationは、ファイル共有のための

プロトコルとしてWindowsネットワーク

で使われている「SMB/CIFS」と、Apple

Talkネットワークで使われる「AFP」を

サポートしている。つまり、Windowsク

ライアントからも、Macintoshクライアン

トからもアクセス可能な共有フォルダを

提供できるわけだ(画面3)。

正式なサポートOSには含まれていない

が、Linuxを始めとするPC UNIXを搭載

したクライアントからも、TeraStationの

共有フォルダにアクセスできるはずだ。

というのも、PC UNIXの世界でもSMBに

よるファイル共有のサポートは標準化し

てきているからだ(Turbolinuxのように

Windowsとのファイル共有を正式にサポ

ートしているケースもある)。

さらに、TeraStationはFTPサーバ機能

も備わっているので、図1に示すように用

途に合わせたさまざまなファイル共有の

ソリューションを実現できる。

■共有フォルダへのアクセス制限

TeraStation上に作成した共有フォルダ

には、ユーザー/グループ単位でアクセ

ス制限を設けられる。ただし、共有方式

の違いによって、以下の制限がある。

WindowsクライアントからのSMBによ

るアクセスに対しては、グループ/ユー

ザーごとに「読取専用」または「読取/

書込可」の属性を設定できる。同一ユー

ザーに関して「読取専用」と「読取/書

込可」の属性が重複する場合、たとえば、

・ユーザーAはグループXとグループYに属

している

・共有フォルダ1では、グループXに「読取

専用」が、グループYに「読取/書込可」

が設定されている

といったケースでは、「読取専用」属性が

優先される(図2)。

MacintoshクライアントからのAFPによ

るアクセスに対しては、ユーザーごとに

「読取専用」または「読取/書込可」の属

性を設定できる。ただしグループ単位で

の設定はできない。

FTPクライアントからのアクセスに対

しては、ユーザーごとに「読取専用」ま

たは「読取/書込可」の属性を設定でき

る。グループ単位での設定はできない。

なお、共有フォルダ自体を「読取専用」に

設定した場合には、アクセス権のあるユー

ザーに対して読み取りのみが許可される。

また、その共有フォルダを他のTera

Stationのバックアップポイントとして利

用できるかどうかを設定することも可能

だ。バックアップ可能とした場合には、

処理の実行前にパスワードを要求するよ

う設定することもできる。

マルチOS環境に対応する柔軟なソリューション

図3●アクセス制限が重複する場合は「読取専用」が優先される

ユーザーA

データ

データ

グループX

グループY

読み取りはOK

書き込みはNG

共有フォルダ1

読み取りのみ許可

読み取り/書き込みを許可

図2●複数のOSが存在する環境にも対応 TeraStation

MAC LinuxWINWIN

共有フォルダごとに公開するOSの種類を設定できる。複数の公開先を指定することも可能

WIN

共有フォルダ1

WIN/MAC

共有フォルダ2

FTP

共有フォルダ3

WIN/MACWIN FTP

画面3●共有フォルダの「公開先」のタイプを指定する管理ツール画面

Page 10: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

8

デフォルトの設定では、TeraStationは

Windowsネットワークのワークグループ

に参加するよう構成される。ワークグル

ープ名やIPアドレスの値は、簡易設定ツ

ールを実行したクライアントマシンのも

のが参照され、自動的に設定される仕組

みになっている(導入時の設定手順は次

のパートで詳しく解説する)。このため、

ワークグループ以外の方法でWindowsネ

ットワークに参加するには、専用の管理

ツールを使った追加の設定が必要となる。

詳しい設定手順は後半のパートで紹介

することにして、ここではWindowsネッ

トワークとの連携機能についての概要を

見ていこう。

■Windowsドメインへの参加

TeraStationは、Windows NT 4.0サーバ

がプライマリドメインコントローラ

(PDC)として動作しているNTドメイン

との互換性があり、マシンアカウントを

追加することで、NT 4.0ベースのドメイ

ンのメンバになれる。また、Windows 2000

Server/Server 2003がドメインコントロ

ーラとして動作するドメインについても、

NT 4.0との互換モードが有効な場合に限

り(画面4)、そのドメインのメンバとな

ることが可能だ。

Windowsドメインのメンバサーバとし

て構成することで、TeraStationに作成し

た共有フォルダはそのドメインの共有リ

ソースとなる。つまり、ドメインに参加

しているクライアントから利用可能な状

態になるというわけだ。

■Windowsサーバへの認証の委任

通常、ワークグループで動作している

TeraStationは、独自にユーザーとパスワ

ードの情報を管理し、ユーザーアクセス

の制御を行なっている。このユーザーと

パスワードの設定はWindowsとの連動性

がなく、管理者が別途TeraStation上にユ

ーザーアカウントを作成しなければなら

ない。

一方、TeraStationを導入する環境にす

でにWindowsドメインが構築されていれ

ば、そのドメインのWindowsサーバ(ド

メインコントローラ)にユーザー認証を

委任することで、ユーザー管理の手間を

省くことができる。TeraStationでは、こ

れを「認証サーバとの簡易連携」と呼ん

でいる。オフィスにおけるユーザーやグ

ループ管理において強力な機能を提供し

くれるものだ。

図4は、簡易連携機能を有効にした場

合のアクセス制御の流れを示したものだ。

このようにユーザーからのアクセス要求

を受け取ったTeraStationは、自身ではユ

ーザー認証を行なわず、ドメインコント

ローラに処理を委任する。

パスワードはドメイン側で一元管理さ

れるので、TeraStationではパスワードを

管理する必要がなくなる。また、新規ユ

ーザーの登録も自動化できる(図5)とい

う利点もある。

ただし、共有フォルダに対するアクセ

ス制限の管理は、引き続きTeraStation側

で行なわなければならない。

TeraStation徹底活用マニュアル

Windowsサーバとの連携機能

図5●新規ユーザーの自動登録

新規ユーザー

認証テスト用フォルダにアクセス

認証を委任

TeraStation認証サーバ

管理者

認証テスト用フォルダを準備

認証サーバへの新規ユーザーの登録

・認証テスト用フォルダへのアクセスに成功すると、TeraStationに新規ユーザーが自動登録される

認証テスト用 共有フォルダ

テストを 依頼

図4●認証の委任によるWindowsサーバとの連携

ユーザーA

①共有フォルダにアクセス ②認証されたユーザーかどうかを確認

④アクセスOK! ③認証されたユーザーであると応答

・登録ユーザー名のみを保持 ・ユーザー名による共有へのアクセス制御

TeraStationクライアントPC

認証サーバ

ユーザーA

ユーザーB

ユーザーC

...

・ユーザーアカウント情報を管理 ・ログオン認証

ユーザーA

ユーザーB

ユーザーC

...

パスワード

パスワード

パスワード

...

画面4●Windows Server 2003のドメイン構築時に表示される互換性の設定画面

Page 11: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

信頼性の高いパーツやRAID、ジャーナ

リングファイルシステムによって、デー

タ消失の可能性を抑えているといっても、

万一に備えたデータのバックアップは、

やはり重要なポイントだ。

バックアップについて考えるとき、

TeraStationに保存された大量のユーザー

データのバックアップ先が悩みどころに

なってくる。テラバイトクラスの大容量

が逆にネックになるわけだ。この問題を

解消するには、「TeraStation-TeraStation」

間でのバックアップをサポートする機能

が有効だ。ネットワーク上に同サイズの

TeraStationを設置し、バックアップ先と

して指定するという解決策が挙げられる。

TeraStationのバックアップ機能は、差

分バックアップ、バックアップデータの

圧縮/暗号化、スケジューリングにも対

応しており、安全かつ効率的に作業が行

なえる。バックアップ先には、本体のUSB

ポートに接続したハードディスクドライ

ブを指定することも可能だ。

一方で、信頼性の高い大容量のストレ

ージという利点を活かすソリューション

として、クライアントPCのデータバック

アップにTeraStationを利用することも考

えられる。製品に同梱されているCD-

ROMには、そのためのバックアップツー

ル「簡単バックアップ to HD」が収録さ

れている(画面5)。さらに、別売のオプ

ションとして、より高機能なクライアン

ト用バックアップツール「SB-TI」も用意

されている(画面6)。

9

Part 1

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 1 ニューモデルTS-TGL/R5の機能と特徴

バックアップ機能でデータを守る

画面6●SB-TIはディスクイメージをまるごとバックアップできるなど、非常に多彩な機能を備えている

画面5●TeraStationに付属のバックアップツール「簡単バックアップ to HD」

表4●TS-TGL/R5シリーズとHD-HTGL/R5シリーズの機能比較

TS-TGL/R5シリーズ HD-HTGL/R5シリーズ

吸気スロット 前面4スリット・左右1スリット 前面上下2スリット

ケースファン 12cmボールベアリングファン 12cm流体軸受けファン

ファン制御 センサーで自動コントロール センサーで自動コントロール

状態インジゲータ 液晶ディスプレイ+LED LED

盗難防止機構 ワイヤホール/セキュリティスロット/ドライブベイロック機構 ワイヤホール

電源部 専用設計電源 汎用電源

ドライブコネクタ 専用ロック機能付きコネクタ 汎用IDEケーブル接続

ディスクドライブ

ディスク取替え機構 カートリッジ式着脱機構 なし

接続インターフェイス シリアルATA IDE

ドライブ選別 専用検査による品質チェック なし

出荷時エージング処理 あり あり

拡張機器

拡張USBポート 2ポート(背面2ポート) 4ポート(前面2、背面2)

外付けHD接続 対応(最大2台) 対応(最大4台)

USB TVキャプチャ接続 非対応 対応(合計最大4台)

USBプリンタ接続 非対応 1台

メディアサーバ機能 なし 搭載

その他

サポートUPS APC社製SmartUPS、オムロン社製UPS APC社製SmartUPS対応

ドメイン連携機能 NTドメイン連携、簡易連携 NTドメイン連携

ブザー あり(起動時、警告、I'm here機能) なし

Page 12: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

TeraStation徹底活用マニュアル10

本文中で紹介したように、TeraStation

には耐障害性を高めるためのさまざまな工

夫が施されている。中でもRAIDは、ハー

ドディスクの障害によるデータの損失を防

ぎ、それに伴うシステムのダウンタイムな

どのロスを抑えるための代表的な技術で、

NASのようなデータストレージ専用デバイ

スはもちろん、汎用的なサーバからクライ

アントPCに至るまで幅広く利用されてい

る技術だ。

RAIDは、複数のハードディスクを一体

のデバイス(アレイ)として扱う。これに

より、1つの大容量なデータストレージ空

間を確保し、かつそこに記録されるデータ

に冗長性を持たせて信頼性の向上を図るこ

とができる。またアレイに対するデータ処

理の負荷を各ディスクに分散することによ

り、全体としてのパフォーマンスの向上が

望めるのも利点の1つだ。

RAIDは 「 Redundant Arrays of

Inexpensive Disks」の頭文字を取った略

語で、そのまま訳すと「冗長性のある安価

なディスクのアレイ」となる。「安価な」と

いうのは、高速で大容量のハードディスク

が非常に高価だったRAIDの考案当時のな

ごりのようなものだ。安いハードディスク

を組み合わせて、何とか高性能な製品に近

いものを作ろうという工夫がRAIDという

技術を生む原動力となったのである。

RAIDには冗長性/処理速度/ディスク

の利用効率などの特徴がそれぞれ異なる0

~6のレベルがある。一般に広く普及して

いるのは、そのうちのRAID0、RAID1、

RAID5である。また、RAID0とRAID1を組

み合わせたRAID1+0も、よく使われる

RAIDの形式として挙げられる。これらの

各レベルにおける処理の概要とその効果に

ついて見ていこう。

■RAID0(ストライピング)

2台以上のディスクでアレイを構成し、

連続するデータブロックを各ディスクに分

散して記録する。図1からわかるように、

各ディスクで並列的に処理が行なえるの

で、データの読み出し/書き込みの両方で

パフォーマンスが向上する。

ただし、RAID0ではデータの冗長性につ

いては考慮されていないので、耐障害性の

向上には寄与しない。アレイを構成するデ

ィスクが1台でも故障するとアレイ全体が

利用できなくなるため、それぞれのディス

クを単独で使う場合よりも、むしろ耐障害

性は低下することになる。つまり、2台の

構成であれば単純に故障率は2倍となる。

このように、RAID0は重要なデータの記録

には向かないものだ。どうしてもデータの

読み書きが高速でなければならない用途

で、データを失ってもよい場合のみに限っ

て利用する。

図1●RAID0の動作概念図

a

e

...

ディスク1

b

f

...

ディスク2

c

g

...

ディスク3

d

h

...

ディスク4

RAID0アレイ

e f g h ...

連続したデータブロック

・各ディスクに分散してデータを記録

a b c d

図2●RAID1の動作概念図

a

b

...

ディスク1

a

b

...

ディスク2

RAID1アレイ

・各ディスクに同じデータを記録

a b ...

RAID ─データ損失を防ぐ技術

C o l u m n

Page 13: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

RAID ─データ損失を防ぐ技術

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

11

■RAID1(ミラーリング)

同一のデータを2台以上(通常は2台)の

ディスクに記録し、完全なコピーを保持す

る(図2)。正常なディスクが1台でも残っ

ていれば、完全なデータが復元できるため、

耐障害性は非常に高くなる。一方で、アレ

イ全体としてのディスク利用効率は、2台

によるミラーリングで50パーセントと低く

なってしまう。

パフォーマンスについては、単独のディ

スクと同等か、やや落ちる程度である場合

が多い(実装の仕方によって異なるよう

だ)。RAID0とは逆に、耐障害性をもっと

も重視しているのが特徴だといえる。

■RAID5(パリティ付きストライピング)

データをブロック単位で分散して複数の

ディスクに記録するという点ではRAID0に

似ているが、データの記録の際に「パリテ

ィ」と呼ばれるエラー検出コードを生成す

る点が異なっている。分割されたブロック

ごとに生成されるパリティは、データと同

様にアレイ上に分散して記録される(図3)。

このため、最低でも3台のディスクでアレ

イを構成する必要がある。パリティの記録

に必要な領域は、アレイのディスク台数に

関わらず、合計してディスク1台分となる。

したがって、アレイの全容量のうちデータ

記録に利用できるのは、全体のn-1/n(n

はディスク台数)となる。

RAID5では、アレイを構成するディスク

の1台が故障しても、残りのディスクに記

録されているデータとパリティから損失し

たデータを復元できる。2台以上のディス

クが1度に故障した場合にはデータを復元

できないが、その可能性を考慮しても、相

当の耐障害性の向上が期待できる。

パフォーマンスに関しては、データの更

新時に常にパリティの再計算が必要となる

ため、書き込み速度が低下するというマイ

ナス面がある。読み出し速度は、RAID0と

同等の高速化が望める。

■RAID0+1

RAID0によるディスクアクセスの高速化

とRAID1の耐障害性の高さを活かして、お

互いの弱点を補完することを狙ったRAID

の形態。最低でも4台のディスクが必要な

上、利用効率も低いため、コストが高くな

ることがマイナス面となる。

以上の解説でわかるように、TeraStation

の初期設定として採用されているRAID5

は、RAIDの中でもっともバランスのとれ

たレベルだといえる。

その他のRAIDに関連する技術にも簡単

に触れておこう。

■ソフトウェアRAIDとハードウェアRAID

文字通り、RAIDの仕組みをソフト的に

実装するか、ハード的に実装しているか、

というのが両者の違いだ。ソフトウェア

RAIDの場合はRAIDアレイの制御をCPU

が行ない、ハードウェアRAIDでは専用の

RAIDコントローラがそれを担当する。

■JBOD(Just Bunch Of Disks)

TeraStationのディスク動作モードの1

つである「スパニング」では、RAIDのよう

に複数のディスクを1つのディスクとして

扱えるが、これはJBODと呼ばれる別の技

術である。

JBODにはデータの冗長性やパフォーマ

ンス向上のための仕組みはなく、複数のデ

ィスクを組み合わせて1台の大容量ディス

クとして使うこと「だけ(Just)」を目的と

している。利点としては、RAIDと違い容

量の異なるディスクを組み合わせて効率よ

く使える点が挙げられる。

■ホットスワップ

システムの電源を落さずにディスクドラ

イブの交換を行なえることを意味する。障

害発生時にもシステムを連続稼動できると

いう利点があり、ハイエンドのサーバマシ

ンやストレージ専用のデバイスはホットス

ワップをサポートしていることが多い。

これに対し、予備のディスクを装置内に

待機させておき、故障を検出した際に瞬時

に予備ディスクに切り替える手法は「ホッ

トスペア」と呼ばれている。

図3●RAID5の動作概念図

a0

b1

b0

c1

c0

p2

p1

a1

RAID5アレイ

連続したデータブロック

・各ディスクに分散してデータを記録

a0 b0 c0パリティの生成 a1 b1 c1 an bn cn...

pn an bn cn

... ... ... ...

Page 14: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

12

TeraStationは、元々パーソナルユース

のユーザー層をターゲットにしていたた

め、非常に簡単に初期導入時の設定がで

きるようになっている。ビジネス分野で

の利用を睨んだ数多くの機能強化がなさ

れたニューモデルにおいても、この特徴

は引き継がれている。専用ツールを使っ

て簡単な設定作業を行なうだけで、使い

始められるというのは、プロの管理者に

とっても歓迎すべき利点だろう。

TeraStationの導入手順には、大きく分

けて以下に挙げる2つの選択肢がある。

①電源投入前にネットワークに接続してお

き、DHCPクライアント機能で自動的にIP

アドレスを取得して起動する。IPアドレス

以外の初期設定項目については、手作業で

セットアップを行なう。

②TeraStationの導入先ネットワークに接

続されたクライアントで、付属CD-ROMに

収録されている設定専用ツール「Tera

Navigator」を実行し、ガイダンスに従っ

て導入作業を行なう。

①の手順は、当然のことながら、導入

先のネットワークでDHCPサービスが有

効であることが前提だ。DHCPによって

設定されるIPアドレス以外の項目は、出

荷時のデフォルト値となる。

IPアドレスさえ設定されていれば、こ

のあと紹介するWebベースの管理ツール

を利用できるので、他の項目については、

このツールを使って設定していくという

作業の流れになる。

②の手順の場合、ツールを実行してい

るクライアントから情報を取得し、IPア

ドレスやワークグループ、日付/時刻な

どのTeraStationを利用するために最低限

必要な設定項目が自動的にセットアップ

される。IPアドレスに関しては、固定IP

アドレスが割り振られるので、DHCPが

有効か、無効かについては気にしなくて

よいことになる。

つまり、②の手順のほうが環境による

制限がなく、より汎用的なわけだ。いず

れにしろ、実際に運用していくためには、

ユーザーの作成やアクセス制限などの追

加の設定が必要となるので、ひと通り設

定が完了するまでの手間に大きな違いは

ない。

ここでは、製品に同梱されている導入

ガイド(『はじめにお読みください』)で推

奨されている、②のTeraNavigatorを使っ

た手順を詳しく紹介していく。読者の皆

さんには、導入の容易さを体感してもら

えるだろう。

次ページにTeraNavigatorを使ったセッ

トアップ手順を図で示してあるので、ま

ずは目を通してみてほしい。

おわかりのとおり、表示される画面数

はそこそこ多いものの、手順自体は簡単

で、設定項目も管理者パスワードとディ

スク構成の選択の2つだけである。唯一の

分岐点でもあるディスク構成については、

この段階ではそのままにしておくことを

お勧めしておく。とにかく、まずはきち

んとネットワークに接続することを優先

し、後回しにできるものはそうするのが、

ネットワーク機器のセットアップにおけ

る原則だ。

前述したように、それ以外の項目につ

いては、TeraNavigatorを実行しているク

ライアントマシンの値を参照して、自動

的に設定される。このとき、TeraStation

に設定されるのは以下の3項目だ。

・IPアドレス/サブネットマスク

・ワークグループ名

・システムの日付け/時刻

このほかのネットワークパラメータ

(デフォルトゲートウェイやDNSサーバの

アドレス)については、のちほど紹介す

る専用の管理ツールを使って別途設定が

必要になる。

また、ネットワークインターフェイス

のMACアドレスを元に、DHCP経由で静

的なIPアドレスを受け取っているケース

では、事前にMACアドレスをDHCPサー

バの管理者に知らせる必要がある。その

場合は、TeraNavigatorを使っていったん

接続してから、このあと紹介する管理ツ

ールでMACアドレスを確認するという手

TeraStation徹底活用マニュアル

専用ツールで簡単セットアップ

TeraNavigatorによる導入と初期設定

Part 2

ホームユースをメインターゲットして作られた初代TeraStationは、誰

でも簡単に設定できるのが特徴だった。オフィス向けに生まれ変わった2

代目TeraStationも、こうしたDNAが活かされている。ここでは、専

用ツールを使った簡単セットアップを紹介する。

2つの導入手順

TeraNavigatorの使い方

Page 15: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

設定内容を確認して「次へ」

順が必要だ。LANケーブル(ストレー

ト/クロスでも可)でTeraStationとクラ

イアント1台を接続して、MACアドレス

を確認するという手もある。いずれにせ

よ、既存ネットワークに接続する場合は

管理者と相談するようにしたい。

Windowsドメインにログオンした状態

でセットアップを実行すると、ワークグ

ループ名としてドメイン名が使われる。

環境によっては、そのまま使うことがで

きるが、セットアップが上手くいかない

場合は、初期値の「WORKGROUP」が適

用される。Windowsドメインでの設定に

関しては次のパートで取り上げているの

で、詳しくはそちらを参照してほしい。

13

Part 2

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 2 TeraNavigatorによる導入と初期設定

図1●TeraNavigatorによるセットアップ作業の流れ

「初回セットアップ」を選択して「次へ」

設定完了

「パスワードを変更する」をチェックし、適切なパスワードを入力して「次へ」

RAID5になっていることを確認して「次へ」

画面の説明を読んで以下の作業を行なう①LANケーブルを接続

②TeraStationの電源をオン

③LINK/ACTランプの点灯を確認

スタート

Page 16: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

14

セットアップが完了すると、作業を行

なったクライアントにTeraStationの共有

フォルダ「¥¥TS-TGLnnn¥share」へのネ

ットワークドライブが自動的に作成され

る(TS-TGLnnnはTeraStationのホスト名。

nnnはMACアドレスの下3桁)。

また、以下の3つのファイルがクライア

ントのデスクトップ上に作成される。

・設定内容を記録したテキストファイル

・TeraStationのマニュアル(PDF形式)

・『TeraStationの仕様・設定でお困りの

方へ』(Q&A。HTMLファイルへのショー

トカット)

『TeraStationの仕様・設定でお困りの

方へ』は、セットアップのQ&Aをまとめ

たHTML形式のドキュメントだ。このQ&

A集はかなり詳しいものなので、トラブル

時に参考になるはずだ。困った場合はま

ず参照して役立てよう。

TeraStationの状態のチェックと設定に

使う専用ツールも、併せてインストール

される。この「クライアントユーティリテ

ィ」については、このあとすぐ使い方を

説明する。

以上で、導入作業はすべて完了である。

こうして文字にして解説すると長くなっ

てしまうが、実際の所要時間は3、4分ほ

どだ。マニュアルをチェックする時間を

含めても、ほんの15~20分ほどで導入作

業を終えられるだろう。

TeraNavigatorでのセットアップ時にイ

ンストールされる管理用ツールは、「スタ

ート」→「プログラム(Windows XPでは

「すべてのプログラム」)」→「BUFFALO」

→「TeraStation」→「クライアントユー

ティリティ」に登録されている。

クライアントユーティリティは起動時

に、同一ネットワーク上にあるTeraStation

を自動的に検索し、見つかったものにつ

いて、その状態を示すパネルを表示する

(画面1)。複数のTeraStationが見つかった

場合、ホスト名が表示されたタブが付く

ので、それをクリックして表示を切り替

えられる。

パネルの右下にある「I'm here」ボタン

をクリックすると、管理者パスワードの

入力を求めるウィンドウが表示される

(画面2)。ここに正しいパスワードを入力

して「OK」ボタンをクリックすることで、

TeraStation本体のスピーカーから短いメ

ロディーが流れ、自身の「居場所」を知

らせてくれる。複数のTeraStationが導入

されていて、どれが管理作業の対象なの

かわからない場合は、この「I'm here」機

能を使うとよい。

このツールからは、「設定」メニューに

ある「IPアドレスの変更」しか(画面3)

実際の設定作業は行なえない。そのほか

の設定は、「設定」メニューの「WEB設定

画面を表示」で呼び出せるWebベースの

管理ツールから行なうことになる。クラ

イアントユーティリティは、簡単な状態

のチェックと管理ツールの呼び出しだけ

に使うことになりそうだ。

クライアントユーティリティから管理

ツールを呼び出すと、管理用アカウント

のユーザー認証ウィンドウが表示される。

認証にパスしたあと最初に表示されるト

ップページには、TeraStationのホスト名

(表示は「TeraStation名」)、IPアドレス、

システム日付/時刻、ハードディスク

(アレイ)の使用率が表示される。画面4

に示すように、システムの状態に関する

情報が表示されることもある。

■ネットワーク設定の確認と変更

導入後の初期設定として、まず行なう

必要があると思われるのは、ネットワー

ク関連の各種パラメータだ。ネットワー

ク設定の詳細な情報を得るには、ページ

TeraStation徹底活用マニュアル

画面1●クライアントユーティリティのメインウィンドウ

画面3●クライアントユーティリティで変更できるのはこの設定だけだ

画面2●この画面で「OK」を押すと本体からメロディーが流れる

クライアントユーティリティを使ってみる

管理ツールで行なう初期設定

Page 17: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

左側のメニューから「システム状態」→

「ネットワーク情報」とリンクをたどって

いけばよい。画面5のようにネットワーク

の設定一覧が表示される。設定の変更は、

メニューの「ネットワーク」で開くペー

ジで行なう。

■ディスクの使用モードの変更

出荷時のデフォルトであるRAID5以外

でディスクを使いたい場合は、この段階

でモードを変更しておく必要があるだろ

う。以下にRAID1に変更する手順を示す。

①管理ツールのメニューから「ディスク管

理」→「RAID設定」をクリックする。

②「RAIDアレイ1」のリンクをクリックし、

表示されるページで「RAIDアレイの削除」

ボタンをクリックする。

③画面6のメッセージが表示されるので

「OK」ボタンをクリックする。

④RAID設定のページに戻ったら、もう一

度「RAIDアレイ1」をクリックする。

⑤画面7のように「RAID1」のラジオボタ

ン、アレイを構成する2台のディスクドラ

イブのチェックボックスをオンにして

「RAIDアレイの設定」をクリックする。

⑥ここでも画面6のメッセージが表示され

るので「OK」ボタンをクリックする。

RAID1の場合、ディスク2台のアレイ

を2つ構築することになるので、残り2台

についても同様の手順を繰り返す必要が

ある(2つのアレイは並行して構築可能)。

設定の完了後、すぐにアレイ設定の変

更とアレイの構築が開始される。構築の

進行状況は、「ディスク管理」→「ディス

ク情報」でチェック可能だ(画面8)。ま

た、本体前面の液晶ディスプレイにも、

構築中であることを示す「RAID I17

ARRAY1 Resyncing」というメッセージ

が表示される。

アレイの構築には非常に長い時間がか

かるが(1テラバイトモデルでテストした

際には約6時間)、その間もTeraStationは

利用できる。ただし、パフォーマンスが

低下することに留意しておきたい。

なお、使用モードの変更時には、自動

的にXFSフォーマットでファイルシステ

ムが作成されるので、管理者がフォーマ

ットを行なう必要はない。

15

Part 2

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 2 TeraNavigatorによる導入と初期設定

画面4●管理ツールのトップページには基本的な情報のみが表示される

画面5●この「ネットワーク」情報のページでMACアドレスがチェックできる

画面8●システム管理領域として使われるためフォーマット直後でも使用量はゼロではない

画面7●RAID1の場合は2台で1つのアレイを構成するため、2回の操作が必要になる

画面6●RAIDの設定を行なうと全データが消去される

Page 18: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

TeraStation徹底活用マニュアル

C o l u m n

16

1 0ページからのコラムでは、T e r a

Stationで利用されているRAIDについて解

説した。そこでRAIDレベルによってパフ

ォーマンスに差異があると述べたが、実際

にどれくらいの違いがあるのかという点は

気になるところだろう。このコラムでは、

ネットワークマガジン編集部が実施したベ

ンチマークテストの結果を元に、T e r a

Stationのディスク動作モードによるファ

イル処理速度の違いを検証していく。

TeraStationで設定できるディスクのモ

ードは、RAID5(デフォルト設定)、RAID1、

スパニング、通常の4つとなる。理論上の

パフォーマンスは、ディスクへの書き込み

でRAID5がやや不利、ディスクからの読み

出しでRAID5とRAID1がやや有利という

予測になるのだが、果たして結果はどうだ

ったのだろうか。

実施したベンチマークテストは以下の2

項目だ。

・FDBENCHを使った計測

・3ギガバイトのISOイメージのエクスプ

ローラでのコピー時間

1つ目のFDBENCHは、シーケンシャル

とランダムの両方で読み/書きの速度を計

測できる、ハードディスクやフラッシュメ

モリドライブ用のベンチマークソフトだ

(配布元のURLはhttp://www.hdbench.

net/)。2つ目のISOイメージのテストでは、

ファイルコピーにエクスプローラを使用し

ている。

なお、それぞれギガビットEthernetのジ

ャンボフレームを有効/無効にした状態の

2パターンで計測を実施しているので、合

計して4パターンのテスト結果が出ている。

クライアント側のネットワークインター

フェイスには、バッファローのギガビット

ネットワークカード「LGY-PCI-GT」を用

いた。ちなみに、このカードに搭載されて

いるコントロールチップは、TeraStation

に搭載されているものと同じファミリーの

RealTekのRTL8110S-32である。

では、結果をグラフ化した図1~図4を見

ながら、内容を検討してみよう。

①FDBENCHのテスト結果(ジャンボフレ

ーム無効)

ジャンボフレームが無効な状態での

FDBENCHによるベンチマークでは、トー

タルでRAID1がトップとなった。図1のグ

ラフから、シーケンシャル/ランダム双方

の読み出しでRAID1が高い値を示したこと

がわかる。これは、2台のディスクに同じデ

ータがあるので、両方のディスクで並行し

てデータにアクセス可能というRAID1の特

性が現われたと見ることができるだろう。

ベンチマーク結果で意外だったのは、

RAID5の結果である。RAID5では連続する

データブロックをアレイの各ディスクに分

散して記録するため、理論上はシーケンシ

ャル読み出しの速度が向上するはずなのだ

が、スパニングと通常の両モードとほぼ同

10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000 100,000

図1●FDBENCHでのベンチマーク結果(ジャンボフレーム無効)

RAID5

RAID1

スパニング

通常

FastSlow

9,259

10,214

10,274 10,417 9,989 11,640 9,050

10,552 9,884 11,357 9,063

11,434 9,026 13,427 8,65614,626

10,418 8,120 10,976 7,523

KByte/Sec 0

Read/Write Read Write Random Read Random Write

図2●FDBENCHでのベンチマーク結果(ジャンボフレーム有効)

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000 100,000

13,707

16,418 16,505 17,335 17,109 14,723

16,423

14,639

19,315 17,661 14,33721,964 23,567

13,317 16,976 13,13115,132

11,396 11,25815,751

KByte/Sec

RAID5

RAID1

スパニング

通常

FastRead/Write Read Write Random Read Random Write

Slow

動作モードによるディスク性能の差

Page 19: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

動作モードによるディスク性能の差

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

17

等の数値となっている。

②FDBENCHのテスト結果(ジャンボフレ

ーム有効)

図2のグラフは、図1のグラフ(ジャンボ

フレ-ム無効)に比べて全体的に数値が大

幅に上昇している。ジャンボフレームによ

るデータ転送速度の向上が如実に結果に反

映されているといえる。つまり、①のテス

トではネットワークがボトルネックになっ

ていたと考えられるわけだ。

ここで最高のパフォーマンスを出したの

は、これまた意外なことにスパニングモー

ドだ。TeraStationのスパニングモードで

は、4台のディスクをまとめて1つのディス

クとして扱っているが、1度に1台のディス

クにしかアクセスしないため、通常モード

と同程度のディスクアクセス性能になるは

ずである。にも関わらず、読み出しの数値

が他と比べ明らかに高くなっている。

また、通常モードの数値もRAID5と

RAID1を上回っており、このテストの結果

を見る限り、RAIDのパフォーマンス面で

の優位性は見られない。原因として考えら

れるのは、ジャンボフレームを有効にした

状態でも、未だにネットワークがボトルネ

ックとなっているということだ。

③ISOイメージのコピー時間(ジャンボフ

レーム無効)

図3のグラフで目立つのは、RAID5の書

き込みが他よりもやや遅い点だ。書き込み

時にパリティを生成するというオーバーヘ

ッドがあることを考えると、妥当な結果で

あるとも思える。ただ、読み出しにおいて、

RAID5、RAID1、スパニングの3者に差が

なく、一方でスパニングと通常の間の数値

の開きが大きいなど、結果にバラツキがあ

るので、ディスク以外の要因が結果を左右

している可能性がある。

④ISOイメージのコピー時間(ジャンボフ

レーム有効)

①と②の比較と同じく、ジャンボフレー

ムの効果が現われる結果となった。RAID5

での書き込みが約2分、読み出しが1分20

秒ほど早くなっている。他のモードでも1

分以上の改善が見られる。この結果から見

て、やはり③の状態ではネットワークがボ

トルネックになっていたのだろう。

今回のベンチマークテストの結果から判

断する限り、動作モードの違いによる有意

な差は見られなかった。原因としては、ネ

ットワークの転送速度がボトルネックとな

った点が挙げられる。ちょっとスッキリし

ないが、「NASのデータ処理性能を充分に

引き出すには、ディスクとネットワークの

両方の要因を考慮しましょう」ということ

が再確認できたことで、納得していただき

たい。

0 100 200 300 400 500Sec

図3●3ギガバイトISOイメージの転送時間(ジャンボフレーム無効)

RAID5

RAID1

スパニング

通常

279

284

276

385

443

399

368

369

Read Write SlowFast

Read Write

0 100 200 300 400 500SlowFast

Sec

193

194

189

204

322

265

246

264

図4●3ギガバイトISOイメージの転送時間(ジャンボフレーム有効)

RAID5

RAID1

スパニング

通常

193

194

189

Page 20: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

18

前のパートで紹介した手順でのセット

アップが無事完了すれば、TeraStationは

すでに利用可能な状態にある。デフォル

トで「share」という名前の共有フォルダ

が作成済みなので、すぐにでもファイル

サーバとして使い始められる。

簡単な設定をするだけで、すぐに使え

るというのはTeraStationの特徴の1つだ

が、企業や学校などで利用する場合、組

織の形態に合わせてユーザーとグループ

を登録したり、共有フォルダごとにアク

セス制限を設けたりといった設定を行な

う必要があるだろう。

このパートでは、こうした実運用時に

必要となる設定について具体的な手順を

示しながら解説していく。

TeraStationの設定に話を進める前に、

クライアント側での操作について少し触

れておこう。

前のパートで述べたように、導入時の

セットアップ作業を行なったクライアン

トでは、自動的にTeraStationの共有フォ

ルダshareへのネットワークドライブ接続

が設定される。このとき使用したセット

アップツール「TeraNavigator」は、他の

クライアントでのネットワークドライブ

の設定にも利用できる。手順は以下の通

りとても簡単だ。

①ネットワークドライブを設定したいクラ

イアントマシンのCD/DVD-ROMドライブ

に付属CD-ROMをセットする。

②最初に表示される画面でメニューから

「TeraStationのセットアップ」を選択して

「開始」をクリックする(画面1)。

③次の画面の右隅にある「設定済み」をク

リックする(画面2)。

TeraStation上の共有フォルダは、通常

のWindowsマシン上で共有設定されてい

るフォルダと同様に扱える。エクスプロ

ーラの「ツール」メニューにある「ネット

ワークドライブの割り当て」を使っても

よいし、あるいは、「マイネットワーク」

でTeraStationを見つけてアクセスするこ

とも可能だ(画面3)。

なお、デフォルトで作成されるもう1つ

の共有フォルダ「info」には、付属CD-

ROMに収録されているクライアント用ツ

ールのインストールセットとPDF形式の

TeraStationのマニュアルが置かれており、

わざわざ付属CD-ROMを持ち歩かなくて

も、ネットワーク経由でこれらを利用で

きるようになっている。

TeraStation徹底活用マニュアル

気になる機能をチェック&トライ

Windowsネットワークにおける実戦活用術

Part 3

オフィスでの利用を想定すると、セキュリティ機能やバックアップ機能が

気になるところだ。2代目TeraStationでは、Windowsネットワーク

における認証機能が強化されている。また、TeraStationをクライアン

トPCやTeraStation自体のバックアップ用途に利用することも可能だ。

画面1●TeraNavigatorの初期画面

画面2●この画面で「設定済み」をクリックすると自動的に設定される

画面3●「マイネットワーク」からもTeraStationの共有フォルダにアクセスできる

クライアントでの基本的な設定

Page 21: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

デフォルトで作成される共有フォルダ

「share」にはアクセス制限が設けられてい

ない。そのため、同じネットワーク上の

Windowsクライアントからログオンすれ

ば、誰でもこの共有フォルダにアクセス

することができる。

この状態を解消し、特定のユーザー/

グループのみに共有フォルダへのアクセ

スを許可するには、まずはTeraStationに

ローカルアカウントを作成する必要があ

る。TeraStationのアクセス制御は、つね

にローカルなアカウント情報をベースに

行なわれるからだ。

アカウントの作成は、Webベースの専

用管理ツールで行なう。アカウントの作

成だけでなく、TeraStationの設定はすべ

てこの管理ツールから行なうので、起動

方法と基本操作について確認しておこう。

管理ツールは、前のパートで紹介した

クライアントユーティリティから呼び出

す方法のほか、Webブラウザのアドレス

バーに「http://192.168.1.150/」というよ

うに直接TeraStationのIPアドレスを指定

して起動することもできる。

起動時に管理者アカウントのユーザー

認証を求めるダイアログが表示されるの

で、「ユーザー名」に「admin」、「パスワー

ド」に導入時に設定したパスワードを入

力して「OK」ボタンをクリックする。こ

れで、管理ツールのトップページが表示

されるはずだ。

管理ツールが起動したら、ユーザー→

グループの順にアカウントを作成する。

メニューの「ユーザ管理」をクリックし、

右側のフレームにある「ローカルユーザ

の追加」ボタンをクリックして、表示さ

れるフォームにユーザー名とパスワード

(確認用も含め2カ所)を入力する。そし

て[設定]ボタンをクリックすれば作成

完了だ。

気をつけたいのは、ここで入力するユ

ーザー名とパスワードは、Windowsネッ

トワークにログオンする際に使用するも

のと同じでなければならない点だ。ユー

ザーアカウントの情報を間違ったままア

クセス制限を設定すると、そのユーザー

はTeraStationの共有フォルダにアクセス

できなくなってしまう。

そのため少し面倒かもしれないが、ユ

ーザーの使っているクライアントマシン

で作成画面を開いてユーザー名とパスワ

ードを自分で入力してもらうのが一番確

実な方法だ。なお、ユーザーが管理ツー

ル経由でTeraStationにアクセスして、自

身のパスワードを変更することも可能だ。

ひと通りユーザーの登録が完了したら、

次に「グループ管理」をクリックし、右

側のフレームの「グループの追加」をク

リックする。画面5に示すように、グルー

プ名とその説明を入力してページ下部の

一覧でグループに所属させたいユーザー

をチェックし、「設定」ボタンをクリック

しよう。これでグループの作成とユーザ

ーのグループへの登録も完了だ。

■アカウント情報の変更

作成済みのアカウントは、「ユーザ管理」

と「グループ管理」のページの一覧にリ

ンク可能な状態で表示される。アカウン

トの情報を変更したい場合、このリンク

をクリックすると作成時と同様のページ

が表示されるので、適宜修正を加えて

「設定」ボタンをクリックすればよい。

アカウントを削除するには、アカウン

ト名の左にあるチェックボックスをオン

にして「ユーザの削除」または「グルー

プの削除」ボタンをクリックする。

なお、デフォルトで作成されている

adminやhdusersなどのシステムユーザ

ー/グループは、変更も削除もできない

ようになっている。

19

Part 3

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 3 Windowsネットワークにおける実戦活用術

画面4 ユーザーの作成画面

ユーザーとグループの作成

画面5 グループの作成画面

アカウントを作成する

Page 22: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

20

ユーザーとグループの準備が整ったら、

続いて共有フォルダを作成し、アクセス

制限を設定していく。

共有フォルダの作成自体は簡単だが、

アクセス制限の設定方法など、いくつか

気をつけなければならない点がある。こ

こではこうした点を解説しよう。

共有フォルダの作成は、管理ツールの

メニューにある「共有フォルダ管理」で

行なう。デフォルトの状態では、shareフ

ォルダだけが右側のフレームの一覧に表

示されるはずだ。

右フレームの「共有フォルダの追加」

ボタンをクリックすると、共有フォルダ

の作成とアクセス制限の設定を同時に行

なえるページ(画面6)が表示される。設

定項目について1つずつ見ていこう。

共有フォルダ名

半角英数字で12文字まで。アンダース

コアとハイフンも使用できる。全角文字

でも(6文字まで)かまわないが、①、Ⅱ、

㈱などの機種依存文字が含まれると、共

有フォルダが表示されなかったり、アク

セスできないことがあるので、なるべく

半角の英数字と記号だけでネーミングし

たほうがよい。

共有フォルダの説明

半角英数字で50文字までのコメントを

入力できる。つまり全角だと25文字まで

だが、コメントなので、わかりやすく日本

語を使ったほうがよいかもしれない。

ディスク領域

共有フォルダを作成するディスクを指

定する。デフォルトのRAID5またはスパ

ニングモードの場合、ドロップダウンリ

ストに表示される項目は1つだけなので選

択の必要はない。RAID0または通常モー

ドの場合は、リストから作成先のディス

ク領域を選択できる。

公開先

どのクライアントでアクセスするユー

ザーに対して共有フォルダを公開するの

かを指定する。より正確には、アクセス

に使われるファイル共有プロトコルごと

に指定が必要だということだ。

「バックアップ」は、別のTeraStation

のデータのバックアップ先として共有フ

ォルダを利用可能にするための項目だ。

これについては、次のパートで解説する。

共有フォルダ属性

ここでの設定は、アクセス制限より優

先される。「読取専用」に設定すると、ア

クセス制限で書き込みが許可されている

ユーザーでも、この共有フォルダに書き

込めなくなる。

ゴミ箱機能

この機能を有効にすると、ユーザーが

ファイルの削除操作を行なっても、実際

にはファイルは削除されず、共有フォル

ダのtrushboxフォルダに移動されるよう

になる。

ただし、FTPサーバの機能を利用した

場合やAFPによるMacintoshからの接続時

には、ゴミ箱機能は有効にならないので

注意してほしい。

バックアップ公開用パスワード

前述のTeraStation-TeraStation間での

バックアップの際に使用するパスワード

を指定する。

以上は、共有フォルダ自体の属性に関

する項目だ。ここまでの各項目を指定し

て「設定」ボタンをクリックすれば、デ

フォルトのshareと同じく誰でも読み書き

が可能な共有フォルダを作成できる。

TeraStation徹底活用マニュアル

共有フォルダの作成と管理

画面6●共有フォルダに関する設定項目

画面7●アクセス制限の設定例

共有フォルダの作成手順

12

4

6

3

5

7

1

2

3

4

5

6

7

Page 23: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

TeraStationのアクセス制限は、ユーザ

ーまたはグループごとに「読み取りと書

き込みを許可する」か「読み取りのみを

許可するか」を指定するというシンプル

なものだ。

管理ツールでは、「アクセス制限」のエ

リアにある「全グループ/ユーザ」の一覧

でユーザー/グループを選択し、矢印の付

いたボタンを操作して「読取専用」また

は「読取/書込可能」の一覧に移動させる

という手順で設定していく。

ここで前ページの画面7のように設定し

た場合を考えてみよう。ユーザーtuser1と

tuser2は、グループTESTに属している。

TESTに対して「読取/書込可能」が設定

されているので、tuser1とtuser2はこの共

有に書き込む許可を得ている。しかし、

それと同時にtuser2に対して「読取専用」

が設定されている。

つまり、tuser2に関しては「読取 /書込

可能」と「読取専用」が設定されている

ことになる。この場合は「読取専用」が

優先される。したがって、tuser2は共有フ

ォルダにアクセスしてファイルを開くこ

とはできるが、内容を変更して書き込ん

だり、新たにファイルを作成することは

できない。

以下のようなケースでのアクセス制限

の設定時には、注意が必要だ。

■アクセス制限の重複に注意

とある企業のとある部でTeraStationを

導入し、1課と2課のそれぞれ専用の共有

フォルダと管理職向けの共有フォルダを

用意した。そして、次のようなグループ

を作成したとしよう。

・課長を含む1課と2課の課員で構成され

る2つのグループ

・部長と2人の課長で構成される管理職の

グループ

アクセス制限については、各課の共有

フォルダは管理職とそれぞれの課員が読

み書き可能に、管理職用の共有フォルダ

は管理職グループが読み書き可能で各課

の社員が読み取りだけ可能にしたい。そ

こで、素直に次のように設定したとしよ

う。

・各課用の共有フォルダには、その課のグ

ループと管理職グループに対して「読取 /

書込可能」を設定

・管理職用の共有フォルダには、管理職グ

ループに対して「読取 /書込可能」を、2つ

の課のグループには「読取専用」を設定

すでにお気づきかもしれないが、この

設定だと書き込み禁止が優先されるため、

管理職グループと各課のグループの両方

に所属している2人の課長は、管理職グル

ープの共有フォルダに対する書き込み操

作ができなくなってしまう(図1)。

この状態を避けるには、2人の課長を課

のグループのメンバーから外せばよい

(図2)。実際の組織とTeraStationのグルー

プは、一致している必要はないからだ。

この点は、Windowsドメインにおけるグ

ループの考え方と同じである。

21

Part 3

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 3 Windowsネットワークにおける実戦活用術

図1●アクセス制限の失敗例

1課の課長

管理職用 共有フォルダ

書き込みNG

書き込みOK

1課グループ

2課の課長

1課用 共有フォルダ

読取専用:管理者グループ、1課グループ

2課グループ

どちらにも 書き込みNG

部長 どちらにも 書き込みOK

管理職グループ

読取/書込可能:管理者グループ 読取専用:1課グループ、2課グループ

図2●改善後のグループ管理

管理職用 共有フォルダ

書き込みNG

2課グループ

1課用 共有フォルダ

読取/書込可能:管理者グループ、1課グループ

書き込みOK

どちらにも 書き込みNG

どちらにも 書き込みOK

管理職グループ

1課の課長

部長

2課の課長

1課グループ

読取/書込可能:管理者グループ 読取専用:1課グループ、2課グループ

アクセス制限の設定

Page 24: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

TeraStation徹底活用マニュアル

このパートの前半で紹介したユーザ

ー/グループのアカウント作成手順は、

ワークグループでTeraStationを利用する

際のものだ。管理者はWindowsネットワ

ークとTeraStationの両方でアカウント管

理を行なわなければならず、大きな組織

ではユーザーアカウントの登録だけでも

かなり大変な作業となるだろう。

導入先のネットワークにWindowsのド

メインが構築されていれば、このアカウ

ント管理の手間を軽減できるかもしれな

い。ただし、TeraStationがWindowsのド

メインに参加するには、互換性の要件を

満たしている必要がある。

TeraStationがメンバとして参加できる

のは、以下に挙げるドメインに限られる。

・Windows NT 4.0 Serverがプライマリ

ドメインコントローラであるドメイン

・Windows 2000 Server/Server 2003

がドメインコントローラで、かつ

Windows NT 4.0との互換性が有効なド

メイン(混在モード)

・ドメインユーザーが1000人以下

つまり、TeraStationはNT 4.0のドメイ

ンとの互換性があるわけだ。導入先のネ

ットワークでNT 4.0がサーバとして稼動

していれば、そのドメインにメンバとし

てTeraStationを登録できる可能性が高い。

確実だと言い切れないのは、場合によっ

てはNT 4.0でサービスパックとして提供

されたNTLMv2というユーザー認証方式

が使われているかもしれないためだ。Tera

Stationは、残念ながらNTLMv2をサポー

トしていない。

後者のWindows 2000/Server 2003が

ドメインコントローラの場合も同様で、

混在モードで構成されているドメインで

あっても、NTLMv2、Kerberos、SPNEGO

などのユーザー認証方式が使われている

環境では、TeraStationにアクセスする際

にユーザー認証でエラーが発生する。

■Windowsドメインへの参加

上記のような制限はあるものの、ドメ

インに参加できるようなら、そのメリッ

トは大きい。ドメインのメンバとして動

作するTeraStationは、ドメインコントロ

ーラからアカウント情報を受け取って、

それを自身のローカルユーザーとして自

動的に登録を行なう。管理者がアカウン

トを作成する必要がなくなるわけだ。

設定手順も簡単で、あらかじめドメイ

ンコントローラにTeraStationと同じ名前

のコンピュータアカウントを作成してお

き、管理ツールの「ネットワーク」→「ワ

ークグループ設定」で画面8のように設定

すればよい。

ドメインにメンバとして参加できない

場合でも、新しく採用された認証サーバ

との簡易連携機能を利用すれば、管理者

のアカウント管理の手間を軽減すること

が可能だ。

機能紹介のパートで掲載した簡易連携

機能によるユーザー認証の流れを示した

図を図4に再掲してあるので、確認してほ

しい。この図からわかるように簡易連携

とは、共有フォルダにアクセスしてきた

ユーザーの認証をドメインコントローラ

に「委任する」ための機能だ。認証は

Windowsサーバに任せ、TeraStationでは

ユーザー名のみを保持する。

この場合、ワークグループ環境でロー

22

Windowsサーバとの連携機能を活かす

画面8 ドメインに参加する場合の設定例

NT 4.0ドメインと互換性あり

ユーザー認証を委任する

図3●TeraStationのユーザー認証選択チャート

ローカル認証 ドメイン認証

簡易連携

No

Yes

Yes

ユーザー認証の連携を行なう

No

No

Yes

No

Windows 2000 Server、 Windows Server 2003が PDCで混在モード

ユーサー数が 1000人以下

NT 4.0がPDCで NTLMv2認証でない

Page 25: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

カルアカウントを作成するときのように、

管理者がユーザーのWindowsネットワー

クでのパスワードを知らなくてもよい。

また、このあと紹介するようにユーザー

の自動登録を設定しておけば、管理者が

手作業でTeraStationのローカルアカウン

トを登録する必要がなくなる。

簡易連携機能の設定も手順は簡単だ。

TeraStation管理ツールで「ネットワーク」

→「ワークグループ設定」をクリックし、

右側のフレームにある「ワークグルー

プ・ドメイン」のうち、以下に挙げる2項

目を設定すればよい(画面9)。

・ネットワーク参加方法

「ワークグループ」のラジオボタンを

オンにする。「ドメイン」ではないことに

注意しよう。

・ワークグループ名

認証サーバのドメイン名を入力する。

Active Directory環境の場合、「mydomain.

local」のようにドットで区切られた名前

になっているが、ここでは先頭の部分

(上記の例では「mydomain」)のみを入力

する。

フレーム下部にある「認証設定」につ

いては、以下の項目にチェックを入れ、

「認証サーバ名又はIPアドレス」にドメイ

ンコントローラのIPアドレスを、「テスト

用フォルダ名」に既存の共有フォルダと

重複しない適切な名前を入力する(画面

10)。

・「外部の認証サーバに委任する」

・「認証サーバとしてWindowsドメイン

コントローラを使用する」

・「ユーザの自動登録を有効にする」

・「認証テスト用共有フォルダを使用する」

すでにユーザーのローカルアカウント

を作成している場合は、設定の実行時に

画面11のような警告メッセージが表示さ

れることになるが、「OK」ボタンをクリッ

クして処理を進めてかまわない。このメ

ッセージからわかる通り、既存のアカウ

ントは自動的に外部認証ユーザーに変換

される。

上記のように簡易連携の設定でユーザ

ーアカウントを自動登録するようにして

おけば、いちいちユーザーを作成しなく

ても認証テスト用フォルダにユーザーが

アクセスした際に、自動的にそのユーザ

ーのローカルアカウントが作成される。

認証サーバ側に新規ユーザーを登録した

ら、そのユーザーに認証テスト用フォル

ダにアクセスしてもらうよう、メールな

どで依頼するとよいだろう。

ここまでで説明したWindowsサーバと

の簡易連携機能で他のサーバに認証を委

任する場合も、TeraStation上の共有フォ

ルダへのアクセス制限は、TeraStation上

のローカルアカウントを基に設定する必

要がある。

グループについても同様で、Windows

ドメインのグループ設定とは連動しない。

このため、独自に設定しなければならな

いので注意しよう。

23

Part 3

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 3 Windowsネットワークにおける実戦活用術

画面9●簡易連携に必要なワークグループの設定

画面10●忘れずにユーザーの自動作成を設定しておこう

図4●認証の委任によるWindowsサーバとの連携

ユーザーA

①共有フォルダにアクセス ②認証されたユーザーかどうかを確認

④アクセスOK! ③認証されたユーザーであると応答

・登録ユーザー名のみを保持 ・ユーザー名による共有へのアクセス制御

TeraStationクライアントPC 認証サーバ

ユーザーA

ユーザーB

ユーザーC

...

・ユーザーアカウント情報を管理 ・ログオン認証

ユーザーA

ユーザーB

ユーザーC

...

パスワード

パスワード

パスワード

...

画面11●アカウントの変換を通知するメッセージ

Page 26: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

24

Windowsでファイルを操作(コピー、

移動、削除)する場合、標準のエクスプ

ローラを使っている方が多いだろう。標

準のインターフェイスであるため使い慣

れているし、簡単なファイルのコピーな

どを行なうだけなら困ることもない。

しかし、たとえばサイズの大きなファ

イルを大量にネットワーク経由でコピー

する場合などには、転送中に表示される

アニメーションがうるさく感じられるこ

ともあるし、稀にエクスプローラが応答

しなくなることもある。また、ファイルの

転送に時間がかかるのも難点だ。

ファイルをやり取りする相手がFTPサ

ーバであれば、こういった大量のファイ

ルコピーを効率よく行なうことができる

だろう。

FTPは「File Transfer Protocol」という

名称の通り、ファイル転送に特化したプ

ロトコルで、高速にファイルを転送する

ことができる。さらに、クライアント側の

ソフトも操作性に優れたものが数多く開

発されている。それらのソフトをクライ

アント側に用意して、TeraStationをFTP

サーバとして設定すれば、FTPによるフ

ァイル転送をすぐにも実現できる。

TeraStationをFTPサーバとして動作さ

せるには、FTPサービス機能を有効にし、

共有フォルダの公開先としてFTPを指定

する。

まず、FTPサービスを有効にする。管

理ツールの「共有フォルダ管理」→「共

有サービス設定」をクリックし、右側の

フレームで「FTP機能」のラジオボタンで

「使用する」をオンにして「設定」ボタン

をクリックすれば完了だ(画面12)。

次に、メニューの「共有フォルダ設定」

をクリックし、右フレームの一覧から公

開したい共有フォルダを選んで、名前の

リンクをクリックする。続いて、「公開先」

の「FTP」チェックボックスをオンにして

「設定」をクリックしよう(画面13)。

以上の設定でTeraStationをFTPサーバ

として利用できる。通信の確立時に使わ

れるTCPポートは、FTPの標準である

「21」となる。

FTP用に設定した共有フォルダにアク

セス制限が設けられている場合は、FTP

クライアント側でユーザー名/パスワー

ドの設定が必要となる。アクセス制限が

設けられていなければ、匿名(Anonymous)

による接続が可能だ。

TeraStationにFTP接続すると、最初は

「/」で表わされるルートディレクトリが表

示される。ここから、共有フォルダに移

動するには「array1」→「share」のよう

にディレクトリ(フォルダ)を選択して

いく(画面14)。「array1」の数字の部分

は、TeraStationの管理ツールで確認でき

るRAIDアレイの番号となる。

ただ、TeraStationをFTPサーバとして

利用する際の注意点が2つある。まず、ク

ライアントソフトによっては、日本語の

ファイル/フォルダ名がうまく処理でき

ない可能性がある。もっとも、これはク

ライアントソフトの仕様だ。もう1つは、

FTP接続時の操作でファイルを削除した

場合には共有フォルダのゴミ箱機能が働

かないという点である。

TeraStation徹底活用マニュアル

FTPサーバとして利用する

画面12●共有サービス設定でFTPを有効にする

画面13●共有フォルダの公開先にFTPを指定する

画面14●FTPソフト(FFFTP)でTeraStationに接続

FTPサーバ機能を有効にする

クライアント側での設定

Page 27: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

PCの高性能化、特にハードディスクの

大容量/低価格化に伴い、近年クライア

ントマシン上でユーザーが扱うデータ量

が飛躍的に増加している。データのバッ

クアップ先に困っているというケースも

増えてきているはずだ。

そこで考えてみたいのが、大容量で信

頼性が高いというTeraStationの特徴を活

かし、ユーザーデータのバックアップ先

として利用することだ。

付属CD-ROMには、Windowsクライア

ントで動作するバックアップ用のユーテ

ィリティソフトが収録されている。さら

に、バッファローは別売のオプション製

品として「SB-TI」という、より高機能な

バックアップツールも用意している。

付属CD-ROMに収録されているのは、

「簡単バックアップ to HD」というバック

アップツール。このツールはその名の通

り、外付けのハードディスクなどにバッ

クアップを取るための機能を備えており、

当然のことながらバックアップ先として

ネットワークドライブに割り当てられた

共有フォルダを指定することもできる。

前述したように、付属CD-ROMに収録

されているソフトウェアは、TeraStation

のデフォルトの共有フォルダの1つである

infoにも置かれている。簡単バックアップ

to HDのインストールセットのパスは、

info¥Japanese¥HDBuckupだ。

インストールすると、バックアップの

指示を待つようにタスクトレイに常駐す

る(画面15)。アイコンを右ボタンクリッ

クして表示されるメニューで「設定画面

を開く」を選ぶと、設定画面が呼び出さ

れる。ここで、TeraStationの共有フォル

ダが割り当てられているドライブを「バ

ックアップ先」に指定すればよいわけだ

(画面16)。

バックアップ処理のスケジューリング

や圧縮バックアップもサポートしており、

シンプルながら充分に「使える」ツール

だといえる。

別売のオプション製品として提供され

るSB-TIは、多彩な機能を備えた本格派

のバックアップツールだ。5ライセンスパ

ックで販売されていて、価格はオープン

プライスとなっている(実勢価格は3万円

台前半)。

スケジュールや圧縮といった基本機能

はもちろんのこと、ユーザーが作業を中

断することなくバックアップを実行でき

る「スナップショット」と呼ばれる機能

を備えており、前回からの更新分だけを

対象とする増分バックアップにも対応し

ている。もっとも注目したいのが、ファ

イルやフォルダといった単位ではなく、

ディスクイメージをそのままバックアッ

プし、ハードディスク故障時はCD-ROM

から起動して復旧できる機能だ。バック

アップしたイメージをマウントして通常

のドライブと同様に使うことも可能で、

バックアップ中のファイルやフォルダを

簡単に復元することができる。

25

Part 3

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 3 Windowsネットワークにおける実戦活用術

データのバックアップに活用する

画面1 6●「バックアップ先」にTeraStationの共有フォルダを指定

画面15●右端にあるのが簡単バックアップ to HDのアイコン

画面17●バックアップの種類を選択するSB-TIのウィザード画面 画面18●ディスクイメージをそのままバックアッ

プ可能

付属のバックアップソフトを試す

ディスクイメージを丸ごとバックアップ

Page 28: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

26

信頼性を高めるためのさまざまな配慮

がなされているといっても、TeraStation

とて絶対に故障しないというわけではな

い。やはり、実際の運用時には、万一の

場合に備えてのメンテナンス作業が必要

となってくる。

ここでは、日々のメンテナンス作業や

障害発生時の迅速な復旧をサポートする

ためのTeraStationの機能を紹介する。

メンテナンス作業の基本として欠かせ

ないのがシステムの情報収集だ。定期的

に情報をチェックして記録し、システム

の状態の変化を把握しておくことが肝心

となってくる。こうした備えがあれば問

題が発生した際の発見も早く、トラブル

シューティングの糸口も見つかりやすい。

うまくすれば、障害の予兆を検知して未

然に防ぐことができるかもしれない。

TeraStationでは、管理ツールの「シス

テム状態」メニューにある項目ごとに、

それぞれのシステム情報を見ることがで

きる(画面1)。このメニューは、毎日の

情報集のベースとなるはずだ。

管理ツールはWebベースなので印刷も

簡単だ。定期的にシステムの状態をプリ

ントアウトして保管しておくとよいだろ

う。検索性を求めるなら、コピー&ペー

ストしてテキストファイルに保存すると

いう手も考えられる。

「システム状態」→「ログ」で表示さ

れるページでは、システムとファイル操

作に関するメッセージを記録したログを

参照することができる。ドロップダウン

リストでログの種類を選択し、「選択」ボ

タンをクリックするとログの内容が表示

される。

管理ツール上では内容を確認しづらい

ので、「保存」ボタンをクリックしてクラ

イアント側にダウンロードした方がよい

だろう。表示されているものだけでなく、

その時点でシステムに記録されているロ

グの内容がすべてテキストファイルに保

存される。

TeraStationは基本的にPCベースのハー

ドウェアなので、さほど正確なシステム

クロックは持っていない。このため、特

に長時間に渡って連続稼動している状態

では、徐々にシステムクロックがずれて

いってしまう。厳密な時刻の正確さにこ

だわる必要はなくても、ログなどの時刻

がずれるのは問題だ。メンテナンスの手

間を省く意味でも、ネットワーク経由で

自動的にシステム時刻を合わせるNTP

(Network Time Protocol)を使って調整を

行なうよう設定しておいた方がよいとい

える。

NTPの設定は、管理ツールのメニュー

にある「基本」をクリックして表示され

るページで行なえる(画面2)。LAN上に

NTPサーバが設置されている環境であれ

ば、「使用する」のラジオボタンをオンに

して「NTPサーバアドレス」にそのマシン

のホスト名またはIPアドレスを指定すれ

ばよい。

なお、デフォルトではインターネット

マルチフィードのNTPサービスを利用す

る設定が用意されている。

TeraStation徹底活用マニュアル

「もしも」の時に備える

TeraStationメンテナンスマニュアル

Part 4

日々システムの状態をチェックしてつねに円滑な運用を心がけ、万一の障

害発生時にはこれに機敏に対応する。システムの規模は違っても管理者

が担う役割に変わりはない。こうした管理者の負担を軽減してくれる

TeraStationのメンテナンス関連の機能について見ていこう。

画面1●システム情報に表示されるRAIDアレイの稼動状況

画面2●NTPによる時刻合わせはできれば有効にしておきたい

システム情報を収集・保管する

システム時刻を合わせる

Page 29: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

システムに障害が発生した際には、で

きるだけ安全に、そして速やかにシステ

ムを停止させる必要がある。その時に備

えて、でき得る限りの準備をしておこう。

TeraStationには、障害の発生を通知し、

自動的にシャットダウンする仕組みが用

意されているので、それを有効に活用し

たいところだ。

「メンテナンス」メニューでは、障害

通知の方法やUPSと連動したシャットダ

ウンといった障害発生時のシステムの動

作を設定できる。

デフォルトでは、以下の4つの異常を検

出すると、警告ブザーが鳴るように設定

されている。

・温度が超過したとき

・ディスクに異常が発生したとき

・ファンに異常が発生しとき

・UPSが電源異常を検知しとき

この設定は管理ツールの「メンテナン

ス」→「警告音設定」で変更できるが、デ

フォルトの設定を変える必要性はまった

くないと思われるので、そのままにして

おくべきだろう。

障害の発生をメールで通知する機能も

ある。設定は「メンテナンス」→「メール

通知設定」で行なう。最大5件のメールア

ドレスを指定でき、定期的にハードディ

スクの状態をメールで通知するよう設定

することも可能だ(画面3)。

RAIDアレイに故障が発生した場合、あ

るいはUPSが電源の異常を検出した際に、

システムを自動的にシャットダウンする

よう設定できる。RAIDについては「ディ

スク管理」→「RAID設定」、UPSは「メ

ンテナンス」→「UPS連動機能設定」で

設定する(画面4、画面5)。

画面4からわかるように、RAIDのメン

テナンスを定期的に実行する機能もここ

で設定できる。有効にすると、指定され

たスケジュールでRAIDアレイ(RAID5と

RAID1のどちらも対応)で読み込みチェ

ックを行ない、不良セクタが見つかった

場合、それを自動的に修復する処理が実

行される。

UPSとの連動については、接続されて

いる機種によって設定できる機能が異な

る。さらに、UPS側での設定が必要なケ

ースもあることにも留意しておきたい。

また、TeraStationとの接続に専用のケー

ブルが必要となることが多いので、UPS

の購入時に必ず確認するようにしたい。

■管理ツールでのシャットダウン操作

管理ツールからのリモート操作でシス

テムのシャットダウンを指示することも

可能だ。「メンテナンス」→「シャットダ

ウン」で表示されるページで「シャット

ダウンを実行」をクリックすると、即座

にシャットダウン処理が開始される。

27

Part 4

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 4 TeraStationメンテナンスマニュアル

障害発生時のシステム動作の設定

画面3●障害の発生をメールで通知するよう設定できる

画面5●UPS連動機能の設定例(機種ごとに設定できる項目が異なる)

画面4●RAIDアレイに故障が見つかった際に自動シャットダウンされる設定

障害の発生を知らせる機能

障害時にシステムを停止する

Page 30: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

TeraStation徹底活用マニュアル

前のパートでは、クライアントPCから

TeraStationへのバックアップについて触

れた。しかし、ファイルサーバとして動作

しているTeraStationについても、データ

のバックアップは必須である。こうして

TeraStationにバックアップされたデータ

をさらにバックアップすれば、いざとい

う時のデータの保全性をより高めること

ができる(図1)。

とはいえ、テラバイトクラスの容量と

なるデータのバックアップ先となるのは、

やはりTeraStationしかありえないだろう。

ここでは、TeraStation間でのバックアッ

プの設定方法を紹介することにしよう。

バックアップ先となるTeraStation上の

共有フォルダは、必ずそのための設定が

有効になっていなければならない。処理

を実行する前に、管理ツールの共有フォ

ルダ設定で「公開先」の「バックアップ」

にチェックが入っているか確認する必要

がある(画面6)。また、この設定画面で

「バックアップ公開用パスワード」を設定

しておけば、本来のバックアップ元では

ない別のTeraStationからの誤った処理要

求を防ぐことができる。

画面6のように「公開先」として「バッ

クアップ」のみがチェックされている場

合、クライアントからは見えない隠し共

有フォルダとなる。

バックアップ先の準備が整ったら、次

にバックアップ元でスケジュールなどの

処理オプションを指定する。

管理ツールのメニューで「バックアッ

プ」をクリックし、右のフレームの一覧

から任意のタスクを選んでクリックする。

画面7に示す「バックアップタスク編集」

ページがポップアップ表示されるので、

各項目を適宜設定していく。設定時に留

意が必要なのが「暗号化転送」と「圧縮

転送」だ。

・暗号化転送

バックアップ時にデータを暗号化して

転送する機能。暗号化の処理がオーバー

ヘッドとなるため、バックアップに要す

る時間が長くなる。

・圧縮転送

バックアップ時にデータを圧縮して転

送することでネットワークトラフィック

を軽減する機能。

タスクの編集が完了したら「設定」ボ

タンをクリックしてバックアップの設定

画面に戻る。設定したタスクの「スケジ

ュール」欄に指定した時刻などが反映さ

れていることを確認しよう。

28

TeraStation間におけるバックアップ

図1●バックアップの二重化

ユーザー

バックアップ

バックアップ

バックアップ

バックアップ

TeraStation

ユーザー ユーザー

TeraStation

クライアント クライアント クライアント

画面6●共有フォルダ管理でのバックアップの設定

画面7●この画面でスケジュールなどの処理条件を指定する

共有フォルダの設定が必要バックアップ処理の設定

Page 31: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

ここまでに紹介してきた障害対策のた

めの機能を適切に設定しておけば、運悪

く障害が発生したとしても、慌てること

なく、落ち着いて対処できるはずだ。

最後に残った障害対策の1つが「ディス

ク交換の容易さ」である。実際のところ、

どのくらい簡単なのか試してみたので、

感想なども交えながら作業手順を追って

レビューしていこう。

まず作業前にマニュアルを読む。実は、

今回の執筆にあたってマニュアルに目を

通さずに、2度ほどハードディスクを取り

外してみたのだが、意外にてこずったの

である。あとから、マニュアルを見てみ

ると、しっかりとディスク交換について

書かれていた。

さて、実際の作業である。フロントパ

ネルの開閉については、特に問題はなか

った。開閉部の動きもスムーズだし、閉

めるときもカチっとした「しっかり」感が

ある。運用時に注意が必要なのはパネル

のキーだ。事務デスクの引き出しのキー

くらいの大きさなので、管理が悪いと簡

単になくしてしまいそうだ。肝心なとき

にキーがない、といったことがないよう

にしたい。

パネルを開けると、黒いプラスチック

製のカートリッジ部分が全面を覆ってい

る。ここからカートリッジごとディスク

を引き抜くわけだが、ハードディスクに

触れる前に、念のため金属製の机や棚な

どに指を触れて静電気を飛ばしておこう。

カートリッジの突起部の両端にある

「つまみ」を親指と人差し指で押えながら、

上方にクイっと引っ張る(写真1)。これ

はスムーズで簡単に開く。次に引き上げ

た部分を持ってカートリッジごとディス

クを引き出す(写真2)。

問題はここからとなる。写真3は、すで

にコネクタを外した状態だが、注目はケ

ーブルの長さ。この写真で、ほぼ完全に

引き出した状態なのである。ケーブルが

短いので、ケースとの間の狭いスペース

でしか作業できないのが苦戦の第1の原因

である。

もう1つは、写真でも見えているカート

リッジから突き出した白い部品だ。これ

がコネクタとどういう具合に関係してい

るかわからなかったのだ。マニュアルに

よるとこれはレバーであるらしく、下に

押しながらケーブルを引けとある。実際

にその通りにやってみると、ずいぶん楽

に抜くことができた。

ディスクの装着はこれとは逆の手順を

踏むわけだが、こちらはとてもスムーズ

である。カートリッジの白いレバーも初

回のときからあまり気にしなかったし、

ケーブルが短いのは、むしろ邪魔になら

なくてよい。

以上で、ディスクの交換は完了だ。所

要時間は、少々手間取ったとしても5分

とかからない。マニュアルに書かれてい

るポイントを押えておけば、苦戦すると

ころもないだろう。

29

Part 4

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 4 TeraStationメンテナンスマニュアル

ハードディスク交換の実際

写真1●取っ手に当たる部分の両端を押えながら手前上方に引く 写真3●ケーブルが短いのは適切な張力を保つためであるらしい

写真2●取っ手を持って手前に引く。ほとんど力はいらない

ディスク交換の手順

Page 32: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

30

初代TeraStation HD-HTGL/R5シリーズ

(写真1)が登場したのが2004年12月のこ

と。巻頭でも触れたように、1テラバイト

の大容量とそれでいて実売価格10万円を

切るというコストパフォーマンスは、相

当のインパクトを持って迎えられた。

その頃といえば、インターネットの一

般家庭への爆発的な普及が一段落し、そ

れに伴うPCの需要も落ち着きを見せてい

たように記憶している。ストレージデバ

イスの分野では、個人・家庭向けの増設

用として、それまでのUSB接続タイプの

ものに加え、ネットワーク接続タイプの

製品が各ベンダーから出揃った時期だ。

一方、ビジネスの分野に目を向けると、

SANやNASなどのストレージ専用のネッ

トワークデバイスは低価格なモデルでも

割高感があり、大規模な環境はともかく、

中・小規模のオフィス環境で広く普及し

ているとはいえなかった。こういった環

境では、高性能なサーバモデルのPCを汎

用的なサーバとして利用し、データ共有

の面でも中心的な役割を担わせるという

ソリューションが、あいかわらず主流を

占めていたのだ。こういった状況で、

徐々に使われ始めた家庭向けのいわゆる

「LAN接続型ハードディスク」と、苦戦が

続いていたスモールオフィス向けのロー

エンドNASとの、ちょうど中間を埋める

形になったのがTeraStationだった。

もちろん、初代のHD-HTGL/R5シリー

ズは、同じバッファローのネットワーク

メディアプレーヤ「LinkTheater」と連動

するメディアサーバ機能だけを見ても、

あくまでターゲットはパーソナルPC市場

だったはずである。しかしながら、初代

の頃から安定動作と耐障害性の高さはセ

ールスポイントの1つとして挙げられてお

り、この点に注目したユーザーによって、

スモールオフィスにおけるデータ共有/

統合のソリューションとして導入される

ことも多かったのだ。

TeraStationは、家庭向けとスモールオ

フィス向けのNAS製品の中間に位置する

ユニークな存在として受け入れられたわ

けである。

HD-HTGL/R5シリーズの発売から1年

以上が経過し、2代目のTS-TGL/R5シリ

ーズとなった今でも、RAIDをサポートし

たTeraStationと同等の製品は他のベンダ

ーには見当たらない。唯一比較し得るの

は、アイ・オー・データ機器のGigaLAN

TeraStation徹底活用マニュアル

家庭向けからビジネス分野へ

低価格NASとしてのTeraStation

Part 5

家庭向けの多機能なサーバ製品として出発したTeraStationだが、今回

のモデルチェンジでは、一転してNASとしてのイメージを強く打ち出し

てきた。活躍の場をオフィスへと求めたTeraStationの可能性を探って

みよう。

画面1●バッファローのWebサイトでもビジネス分野での利用を提案しているhttp://buffalo.jp/b-solutions/

写真1●初代TeraStation HD-HTGL/R5

初代をめぐる事情

低価格NAS製品の現在

Page 33: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

DISKシリーズの上位モデルだが、こちら

は高速性を売りにしていてRAIDをサポー

トしていないなど方向性がかなり異なる。

GigaLANDISKは、プリントサーバやマ

ルチメディアサーバとしての機能を持っ

ている点でHD-HTGL/R5と仕様が似てお

り、家庭での利用を主眼に開発されてい

るのは明らかだ。ニューモデルのT S -

TGL/R5になって、ビジネス分野での利用

を強く意識したTeraStationとは、マーケ

ット的な面でも競合しないだろう。

では、今後TeraStationが目指していく

ことになる、オフィス向けのNAS製品の

動向はどうなのだろう。今回、執筆にあ

たって国内の主なハードウェアベンダー

のWebサイトをチェックしてみたのだが、

実は10~20万円という価格帯に製品はほ

とんど存在しない。

各ベンダーがローエンドモデルのNAS

として提供しているのは、PCアーキテク

チャのハードウェアにOSとしてマイクロ

ソフトのWindows Storage Server 2003を

搭載した製品だ。最低価格帯は25~30万

円といったところである。

ディスク容量と価格の比は、かなりま

ちまちだ。同じ1テラバイトクラスの製品

でも、30~60万円といった感じでベンダ

ーによる価格差が大きいし、いずれにし

ても割高感は否めない。そもそも、1~2

テラバイトクラスのモデル自体が案外少

ないのだ。

具体的な例がないとピンとこないかも

しれないので、1つ挙げておこう。調査し

た範囲で気になったのが、アイオメガの

NASシリーズだ。ローエンドモデルはコ

ンパクトな筐体の据え置きタイプで、

TeraStationに近いコンセプトが感じられ

る。ディスク容量750ギガバイトのNAS

200d/750GBがオンラインの直販価格で

42万7890円(税込)となっている。

ともかく、製品ラインナップと価格付

けから判断するに、大手ベンダーは、

中・小規模のオフィスについては汎用サ

ーバでカバーできると判断しているよう

だ。そこに、海外のストレージ専門のベ

ンダーがどう食い込んでいけるか、とい

った図式になっている。

こうして低価格NAS製品の市場を見て

みると、TeraStationの活躍の場はかなり

ありそうだ。競合相手となるのは、低価

格帯のNASよりは、むしろPCサーバだろ

う。最大のストロングポイントは、やは

りコストパフォーマンスということにな

りそうだが、この点でPCサーバと比較し

てみよう。

確認のため、あるベンダーのWebサイ

トで見積もりを取ってみたのだが、250ギ

ガバイトのディスク4台でRAID5、ギガビ

ットEthernetを搭載という構成だとOSな

しで約18万円となった。これにOSを加え

ると、Windows Small Business Server

2003のスタンダードエディションとの組

み合わせで約23万円。これは5クライア

ントライセンスなので、5人以上のオフィ

スでは、さらに追加のライセンス購入が

必要だ。

やはりPCサーバも、価格だけを比べれ

ばTeraStationに太刀打ちできない。では、

データ共有を提供するストレージデバイ

スとしての処理性能の点ではどうなのだ

ろうか。

実際にテストしてみないと確かなこと

はいえないが、ファイル転送などのベン

チマークの値を比較するなら、PCサーバ

や他のNASと比べるとTeraStationのほう

が少し分が悪いのではないだろうか。と

いうのも、パーツ構成などから見る限り、

ある程度性能面には目をつむって、低価

格というメリットを引き出しているとこ

ろがあるからだ。それでも、最新のPCサ

ーバはともかくとして、他のNASや一世

代前のPCサーバに比べて極端に性能が落

ちることはないといってよい。

処理速度以外で性能を評価するポイン

トとして挙げられる、信頼性、耐障害性、

可用性といった面でも、NASやPCサーバ

にはベンダー間の競争で揉まれてきたと

いう強みがある。一方でTeraStationにも、

他のパートで見てきたようなさまざまな

配慮がなされている。比較の難しい部分

であるし、実際に評価が下るのは「実戦

配備」が済んでしばらく時間が経ってか

らだろう。しかし、少なくともTeraStation

には同じ土俵で戦えるだけの素地はある

と見てよいのではないだろうか。

こうして見ると、初代が登場した頃と

状況は変わっていないことがわかる。ス

モールオフィスでの利用を志向するNAS

製品はコスト的に割高で、納得して低価

格NASと呼べるのは家庭向けのものしか

ないように感じる。そして、その間の大

きな隙間を埋める存在としてTeraStation

が位置しているのだ。

大容量・低価格という本来の武器に高

い信頼性で磨きをかけたTeraStationは、

ビジネスの分野でも大きな可能性を秘め

ていることがわかる。同一レンジにこれ

といった対抗馬のいない現在、中・小規

模のオフィス環境で共有ストレージを増

強する際のファーストチョイスとなる製

品に間違いない。

31

Part 5

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

オフィスで使えるTeraStation徹底活用マニュアル

Part 5 低価格NASとしてのTeraStation

画面2●ローエンド向けのNAS製品は意外に少ない

TeraStationの実力と可能性は?

Page 34: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

TeraStation徹底活用マニュアル32

TS-TGL/R5シリーズの製品仕様

製品仕様

本体対応OS Windows XP/2000/Me/98SE/98/95/NT4.0/Server 2003、Mac OS 8.6~9.2.2/10.0.4~

10.1.5/10.2~10.2.8/10.3以降

ユーティリティ対応OS Windows XP/2000/Me/98SE/98/95/NT4.0(簡単バックアップはWindows 95/NT4.0を除く)

対応USBハードディスク HD-HU2シリーズ、HD-HBU2シリーズ、HD-HBSU2シリーズ、HD-HBIU2シリーズ、HD-HBIBU2シリー

ズ、HD-PHGU2/UCシリーズ、HD-PHSU2/UCシリーズ、HD-PHU2/UCシリーズ

インターフェイス(LANポート)

インターフェイス IEEE802.3ab/IEEE802.3u/IEEE802.3準拠(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)

伝送速度 1000Mbps/100Mbps/10Mbps

ポート数 1ポート

コネクタ形状 RJ-45型 8極

伝送距離 100m

インターフェイス(USBポート)

インターフェイス USB規格Revision2.0

コネクタ USB Aコネクタ×2ポート

データ転送速度 最大480Mbps(理論値)

インターフェイス(UPSポート)

インターフェイス UPS専用ポート(D-SUB 9ピンオス)×1ポート ※USBポートでのUPS連携にも対応

内蔵インターフェイス

インターフェイス Serial ATA(1.0規格準拠)

ポート数 4ポート(HD接続済み)

その他

電源 AC100V 50/60Hz

消費電力 約57W

エネルギー消費効率 TS-0.3TGL/R5:H区分 0.111

TS-0.6TGL/R5:H区分 0.062

TS-1.0TGL/R5:H区分 0.044

TS-1.6TGL/R5:H区分 0.035

TS-2.0TGL/R5:H区分 0.026

UPS対応 APC社製:Smart UPS

オムロン社製:BZ、BX、BN、BU

外形寸法(本体) W170×H235×D310mm(足、突起物含まず)

重量 約8kg

動作環境 温度5~35℃、湿度20~80%(結露なきこと)

取得規格 VCCI Class A

Page 35: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

発行所 株式会社アスキー

発行人 福岡俊弘

編集人 土屋信明

編集長 大谷イビサ

デスク 田邊裕貴 臼田良寛

編集 中野克平 石山俊浩 金子拓郎

著者 池田啓

アートディレクター 菅野康一

イラストレーション 亀谷里美

デザイン・装丁 菅野康一

表紙撮影 篠原孝志

撮影 有限会社パシャ

広告担当 石川博康

営業担当 坂本洋史 佐々木直

印刷 大日本印刷株式会社

編集・著作 株式会社アスキー

〒102-8584 東京都千代田区九段北1-13-5 日本地所第一ビル

TEL 03(6888)5500(営業部)

Copyright © 2006 ASCII Corporation本書は、法律の定めのある場合または権利者の許諾のある場合を除

き、いかなる方法においても複製・複写することはできません。

本文中で紹介する製品名などは、各メーカーの登録商標または商標

です。

Printed in Japan

オフィスで使える

TeraStation徹底活用マニュアル

ネットワークマガジン2006年4月号特別付録

株式会社バッファローTeraStation製品お問い合わせ窓口http://buffalo.jp/

◆最新サポート情報 86886ハローバッファロー

.jp(http://www不要)

Page 36: ネットワークマガジン2006年4月号特別付録 オフィスで …buffalo.jp/products/catalog/storage/ts-tgl_r5/netmag_0604.pdf · オフィスで使える TeraStation 徹底活用マニュアル

オフィスで使える

TeraStation徹底活用マニュアル