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1. はじめに 全ての家電に言えることだが、 はじめに説明書がないか聞く 、探してもらう。古い型番 の製品はネットにも情報がないので、紙媒体に頼るしかない。調べてみるとリコール対象 になっていたりするので、実はかなり危ない。できることなら買い替えをおすすめしよう。 直す努力も必要だが、諦める勇気も必要。自分では手に負えないと思ったら先輩や詳し い人に見てもらおう。 特にストーブなどは、下手に分解すると火災や一酸化炭素中毒など命に関わる重大な事 故に発展する恐れがある。修理に臆することはないが慎重に作業しよう。 必要なものがあれば早めに言おう。誰かが持っているかもしれない。 事前調査の人は写真をとって欲しい。せめて外観の写真一枚あるだけでもいい。 診断書の情報が少ない。単に動かない、ではなく電源が入らないのか、動いてからすぐ 消える、のかでは大きく変わってくる。電源が入らないなら断線など簡単に直せるものも ある。電源は入るが不調なのは複雑な要因があるかもしれない。 聞き取りでは"何をどうしたら、不良になる"ということを聞こう。動作テストしてみて同 様の症状ならば原因も追及しやすい。持ってきて実際にテストすると何 も問題なく動くと いうことがあった。使い方が間違っていたと考えられる。そのようなときは修理ではなく、 受け渡すときにきちんとした使い方を伝える必要がある。モノが直ったから仕事が終わり ではなく、アフターサービスまでが仕事であるという認識を持とう。 2. 修理手順 ストーブの修理を例に挙げ一般的な修理および原因特定方法を述べる。 修理に必要なもの プラスドライバー エアダスター ウエス テスター アルミテープ 懐中電灯 接点復活剤 リード線 症状 電源が入らない 原因として考えられること 電源コードの断線 ヒューズが切れている 制御回路のトラブル(断線、劣化など) 1.前面と側面のパネルをはずす。リセットスイッチがあるならとりあえず押してみる。これ は非常に重要な処置である。実際にこれだけで直ったものがある。

2011 飛島家電修理 マニュアル_スガノ

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1. はじめに

全ての家電に言えることだが、 はじめに説明書がないか聞く 、探してもらう。古い型番

の製品はネットにも情報がないので、紙媒体に頼るしかない。調べてみるとリコール対象

になっていたりするので、実はかなり危ない。できることなら買い替えをおすすめしよう。

直す努力も必要だが、諦める勇気も必要。自分では手に負えないと思ったら先輩や詳し

い人に見てもらおう。

特にストーブなどは、下手に分解すると火災や一酸化炭素中毒など命に関わる重大な事

故に発展する恐れがある。修理に臆することはないが慎重に作業しよう。

必要なものがあれば早めに言おう。誰かが持っているかもしれない。

事前調査の人は写真をとって欲しい。せめて外観の写真一枚あるだけでもいい。

診断書の情報が少ない。単に動かない、ではなく電源が入らないのか、動いてからすぐ

消える、のかでは大きく変わってくる。電源が入らないなら断線など簡単に直せるものも

ある。電源は入るが不調なのは複雑な要因があるかもしれない。

聞き取りでは"何をどうしたら、不良になる"ということを聞こう。動作テストしてみて同

様の症状ならば原因も追及しやすい。持ってきて実際にテストすると何 も問題なく動くと

いうことがあった。使い方が間違っていたと考えられる。そのようなときは修理ではなく、

受け渡すときにきちんとした使い方を伝える必要がある。モノが直ったから仕事が終わり

ではなく、アフターサービスまでが仕事であるという認識を持とう。

2. 修理手順

ストーブの修理を例に挙げ一般的な修理および原因特定方法を述べる。

修理に必要なもの

プラスドライバー

エアダスター

ウエス

テスター

アルミテープ

懐中電灯

接点復活剤

リード線

症状

電源が入らない

原因として考えられること

電源コードの断線

ヒューズが切れている

制御回路のトラブル(断線、劣化など)

1.前面と側面のパネルをはずす。リセットスイッチがあるならとりあえず押してみる。これ

は非常に重要な処置である。実際にこれだけで直ったものがある。

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図 1 パネルを外したところ

2.内部および回路周辺の埃をエアーダスター、ウエス、歯ブラシなどを用いて掃除する。非

常に重要な処置だ。海沿いの水分を多く含んだ埃はショートの大きな原因である。

3. コンセントコードが基板に接続されている部分を見つけ、 電源コードの断線をテスター

を用いて調べる。コンセントに差し基板側にてテスターの AC レンジで AC100V が測定で

きるかを確認するのもいいがショート すると危険なので、テスターの導通チェックレンジ

で、基板側とコンセント側の導通することを確認したほうが望ましい。確認出来なければ

コンセントの接触不良、もしくはコンセントコードの断線と判断できる。必要に応じて交

換を行う

図 2 回路基板

4.ヒューズを見つける。基板上にあることがほとんどだが、まれに本体にソケットを用いて

実装されている場合があるので注意。ヒューズが切れている(導通しない)場合は

、大きさと許容電流が適切なものと交換する。

ヒューズ

コネクタ類

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5. 基板のチェックを行う。基板と信号線の接続にコネクタが用いられているならば、経年

劣化か塩害(錆など)による接触不良、もしくは無理な分解によるコネクタの抜けが原因であ

る。特に乾電池を使用したラジオなどは、電池の残量と電池ボックスの接触を確認する。

外せるコネクタは外し、つけ直す。半田づけし直す など行う。信号線、電源線の断線はリ

ード線と熱収縮チューブを用いて修理する。

6.ここからの作業は専門的な知識を要する。ここまで異常がない機器はさらに複雑な原因が

考えられる。点検する部品はスイッチ、コンデンサである。スイッチは機械的な部品であ

るため接触不良が起こりやすい。スイッチ内部の接点が壊れている可能性がある。これは

テスターと回路の知識がないと判断が難しい。コンデンサの経年劣化による不良は判断し

づらい。電解コンデンサが爆発していることもある。これは目視で判断できる。

ストーブの吸排気口について

屋外に吸排気塔のある FF 式石油ストーブの排気口の扱いに注意する。取り付けが不十分

だと一酸化炭素中毒など命に関わる危険があるので十分に注意すること。

ストーブ点火時にエラー表示が出た場合、説明書や本体に記載されている説明を読み、

エラーの内容を確認すること

排気口エラーの場合は排気口が適切に取り付けられていない可能性がある。通常は排気

口に線が接続されており、これが外れているとこをストーブが認識することによりエラー

が起きる。ドライバーを用いて確実に固定すること。

図 3 排気口のリード線

排気口はゴム製のリング状のパッキンを用いて確実に接合すること。試運転時に埃が燃え

る異臭のほかに煙が確認できたら不十分である。今回、パッキンの破損が 見られたため交

換部品を持ち込んだほうがいい。

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図 4 壊れたパッキン

代用として"アルミテープ"で補修した、これは排気口と排気塔の接合部に巻き、排気の漏れ

を無くすものである。

図 5 アルミテープで補修後

燃料タンクの破損や燃料ホースの破れは今回見られなかったがそういった修理も今後ある

かもしれない。

余談ではあるが、ストーブの燃料は"灯油"である。ガソリンではない。常識ですが一応。

見分け方として、ガソリンはオレンジ色で指につけるとすぐ乾きます。ポリタンクではな

く、金属製の携行缶での保管が一般的です。

灯油は無色で指につけても蒸発しません。ポリタンクで保管できます。(危険物 乙種 第

4 類を持っている人に聞いてください)修理をしている横ではタバコを吸わないように。

また、コンセントの修理には第二種電気工事士の資格が必要です。

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ビデオデッキのヘッドクリーニング

必要物品

綿棒

アルコール

エアーダスター

ドライバー

症状

ビデオテープ再生時に“ヘッドをクリー

ニングしてください”の表示が出て、映像が

再生されない。

原因

ヘッドの汚れ

修理手順

本来であればクリーニングキットを使うところだが、持ち込んでいなかったため別の方

法で行った。

1. ドライバーを用いて蓋を開け、エアーダスターで掃除する。

2. アルコールの代わりにウェットティッシュで綿棒を濡らし丁寧に磁気ヘッドを掃除す

る。

図 6 ビデオデッキ内部

3. 再生できるか確認する

アルコールなどの薬品は身の回りにあるものに含まれているので、代用できるものがある。

磁気ヘッド