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群馬県介護予防サポーター育成の理念 1.「高齢者が自立して尊厳を保ちながら安心して暮らせる 地域社会」を創るには、元気高齢者が最大の人材 2.元気高齢者に「真の自立支援」「介護予防」「安心して 暮らせる地域づくり」を理解してもらい、そして元気高齢 者が活動の中心になって、それを行政が支えるような仕組 みを作る 3.市町村や事業者が全てを提供する構図ではなく、高齢者 が自ら介護予防や介護に取り組むという視点の変換が大切 2011 介護予防サポーター育成・活用事例 平成24年3月 群馬県地域リハビリテーション支援センター 協力 群馬リハビリテーションネットワーク

2011 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成

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Page 1: 2011 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成

群馬県介護予防サポーター育成の理念1.「高齢者が自立して尊厳を保ちながら安心して暮らせる地域社会」を創るには、元気高齢者が最大の人材

2.元気高齢者に「真の自立支援」「介護予防」「安心して暮らせる地域づくり」を理解してもらい、そして元気高齢者が活動の中心になって、それを行政が支えるような仕組みを作る

3.市町村や事業者が全てを提供する構図ではなく、高齢者が自ら介護予防や介護に取り組むという視点の変換が大切

2011介護予防サポーター育成・活用事例

平成24年3月群馬県地域リハビリテーション支援センター

協力群馬リハビリテーションネットワーク

Page 2: 2011 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成

は じ め に

 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成

ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

 平成18年度にスタートした介護予防サポーター育成事業は大きく発展しました。サ

ポーターの数は累計で初級6433名、中級4413名、上級1722名となっています。今やサ

ポーターは群馬の介護予防の担い手としてなくてはならない存在といえます。

 この間、平成19年度には「群馬県における介護予防サポーター育成による介護予防

意識の普及とその効果の研究」が老人保健健康増進等事業に採択され、平成20年3月

に介護予防サポーター育成調査検討委員会によって、『介護予防サポーター育成マ

ニュアル』が発刊されました。さらに、平成22年3月には、上級サポーターの育成・

活用に関する情報不足を補うために『2009介護予防サポーター育成・活用事例』がま

とめられ、その翌年(平成23年2月)には実際に“顔のみえる交流”を行うためのイ

ベントとして高崎イオンのホールを利用して『介護予防サポーター交流大会』が開催

されました。

 こうした流れを踏まえて、群馬県地域リハビリテーション支援センターでは『2009

介護予防サポーター育成・活用事例』に続く、『2011介護予防サポーター育成・活用

事例』を作成させていただきました。寄稿を依頼したのは『介護予防サポーター交流

大会』にご出展いただいた団体の皆様です。おかげさまで7団体よりご協力を賜り、

このたび発刊の運びとなりました。

 それぞれの地域にあった介護予防サポーターの育成・活用を進めていくために

『2011介護予防サポーター育成・活用事例』が活用されることを願っています。

� 群馬県地域リハビリテーション支援センター

� センター長 山崎 恒夫

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1

も  く  じ

はじめに

1.介護予防サポーター制度の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2.介護予防サポーター養成研修実施状況(平成23年度)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

3.介護予防サポーター育成・活用事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

(1)前橋市介護予防サポーターの育成と活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

(2)藤岡市介護予防サポーターの取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ �11

(3)沼田市における介護予防サポーターの育成と活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ �15

(4)高崎市における介護予防サポーター育成・活用について ・・・・・・・・・・・・・・・ �19

(5)渋川市における介護予防サポーターの養成と活動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ �23

(6)榛東村介護予防サポーター養成事業について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ �27

(7)介護予防サポーターで元気高齢者の町づくり(吉岡町) ・・・・・・・・・・・・・・・ �31

「1.介護予防サポーター制度の概要」は、「介護予防サポーター育成マニュアル」

(平成20年3月)の再掲です。

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1

� 「介護予防サポーター育成マニュアル」(平成20年3月)より再掲

1.介護予防サポーター制度の概要 介護予防サポーター制度は、群馬県独自の認定制度である。地域で自主的に介護予

防活動を行おうとする人や、市町村等の介護予防事業にボランティアとして活動した

い人など高齢者を主な対象者として、介護予防に関する知識や技術を身につけていた

だく研修を行い、認定する。

Ⅰ 背景

 平成18年度の介護保険制度改革により、予防重視型システムへの転換が重要施策の

柱の一つに掲げられ、特に介護予防を推進し、地域において誰もが自立した日常生活

を営むことができるよう支援することを目的として、地域支援事業が創設された。こ

れを受け、群馬県では、平成18年度より介護予防サポーターの育成に取り組んできた。

その背景は以下の点である。

 1)人口約200万人の群馬県では、年間約千億円の介護給付費が支払われており、

さらに毎年増え続けている。このままでは、介護保険の財政破綻が危惧される。

 2)高齢者が地域の中で自ら役割を演じて人の役に立つことが、その人への効果的

な介護予防になると考えられる。

 3)高齢者が自ら元気になる、そして周りの人を元気にする仕組みを地域に作る。

 4)その仕組みを行政が支える。つまり行政主導ではなく住民主導の介護予防が望

まれる。このことは鬼石町(現藤岡市)での住民主導型筋トレ・転倒予防教室の

実践から示されている。

 5)そしてこのような地域に根ざした介護予防活動が地域づくりにつながることを

確信した。

Ⅱ 理念

 以下の3点を介護予防サポーター育成の理念とした。

 1)「高齢者が自立して尊厳を保ちながら安心して暮らせる地域社会」を創るには、

元気高齢者が最大の人材

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� 「介護予防サポーター育成マニュアル」(平成20年3月)より再掲

 2)元気高齢者に「真の自立支援」、「介護予防」、「安心して暮らせる地域づく

り」を理解してもらい、そして元気高齢者が活動の中心になって、それを行政が

支えるような仕組みを作る

 3)市町村や事業者が全てを提供する構図ではなく、高齢者が自ら介護予防や介護

に取り組むという視点の変換が大切

Ⅲ 研修

 研修は、初・中・上級研修からなる。

初級研修は高齢者を中心に一般の方を対

象として、中級研修は初級研修修了後に

介護予防活動へのボランティア参加を志

願した方を対象として実施した。初級・

中級研修カリキュラムは県下一定とし、

中級研修修了者には県から認定証を交付

する。その後、市町村ごとに独自の上級

研修を行うものである。

 ボランティア等の人材育成については、

地域支援事業の中の介護予防一般高齢者

施策である地域介護予防活動支援事業に位置付けられており、本来は市町村が取り組む

べき役割である。しかし、群馬県では市町村の介護予防事業推進を支援するため、県か

ら地域リハビリテーション広域支援センター(広域支援センター)への委託事業として、

平成18年度から2年間の予定で、介護予防サポーター育成研修を実施している。なお、

平成20年度以降は、市町村が主体的に介護予防サポーターを育成する予定となっている。

 群馬県では平成15年から本格的に地域リハビリテーション支援体制整備推進事業を展

開し、群馬県地域リハビリテーション支援センター(県支援センター)1か所と、広域支援

センター12か所の指定を行い、平成18年から県単独事業(100%県費)として地域リハビリ

テーション(地域リハ)を推進してきた。介護予防サポーターの育成は、この地域リハ支援

介護予防サポーター初級研修の様子高齢者を中心にたくさんの方が集まり、会場は熱気にあふれた。この初級研修では、終了後に約半数の参加者が中級研修への参加を希望した。

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2 3

� 「介護予防サポーター育成マニュアル」(平成20年3月)より再掲

体制を活用して進めた。すなわち、県支援センターが、群馬大学医学部保健学科の地域貢献

事業および県栄養士会、県歯科衛生士会、日本健康運動指導士会県支部等の協力により、カ

リキュラムと教材(パワーポイント解説資料)を作成した。パイロット事業として前橋市芳賀

地区で介護予防サポーターを育成して教材をバージョンアップし、さらに研修内容及び実施

方法の伝達講習として、群馬会館で「介護予防サポーター養成準備研修会」を開催し(平成

18年6月13日)、213人の市町村介護予防担当者や広域支援センター担当者が参加した。

 平成18年秋より、県内12か所の広域支援センターが担当保健医療圏域内の市町村と

相談しながら初級・中級研修を始めた。原則として、市町村がどれだけ介護予防サ

ポーターを育成し、どのように介護予防事業の展開を図っていくかの計画に基づき、

広域支援センターが研修を計画実施した。例えば、研修の実施(日程、会場の確保、

講師の選定など)については、広域支援センターが担当し、実際に介護予防サポー

ターの活用を図るのは市町村であることから、市町村あるいは地域包括支援センター

が受講者を募集し、相互に連携して開催した。

Ⅳ 認定証

 中級修了認定証(右図)については、広域支

援センター又は市町村からの報告を受け、県介

護高齢課において作成し、広域支援センター又

は市町村から各修了者に交付している。上級研

修は各市町村が独自に実施・発行している。

Ⅴ サポーターの活躍場所

 育成された介護予防サポーターについては

 1)地域の公民館などで筋トレ中心の介護予防教室等の自主開催

 2)市町村が実施する介護予防事業へのボランティア参加

 3)特定高齢者のフォローなど地域包括支援センターの地域活動にボランティア参

加などの役割が期待される。

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2.

介護

予防

サポ

ータ

ー養

成研

修実

施状

況(

平成

23年

度)�

平成24年3月31日現在(予定)

市町村名

初級コース

中級コース

期   日

会   場

修了者数

期   日

会   場

修了者数

前橋市

6月9日

中央公民館(ホール)

907月28日、7月29日

中央公民館

64高崎市

5月10日

高崎市役所

975月20日、5月23日、5月24日

高崎市役所

75桐生市

9月27日/10月3日

菱公民館

2910月25日/11月1日/11月8日

菱公民館

22伊勢崎市

6月24日

殖蓮公民館

716月30日、7月8日、7月22日

殖蓮公民館

36太田市

沼田市

7月28日

利根沼田県民局

88月11日、18日

利根沼田県民局

3川場村

7月28日

利根沼田県民局

28月11日、18日

利根沼田県民局

2昭和村

7月28日

利根沼田県民局

398月11日、18日

利根沼田県民局

25みなかみ町

7月28日

利根沼田県民局

248月11日、18日

利根沼田県民局

16館林市

7月6日

館林市文化会館小ホール

277月13日、7月20日、7月27日

館林市文化会館小ホール

25板倉町

7月6日

館林市文化会館小ホール

67月13日、7月20日、7月27日

館林市文化会館小ホール

6明和町

7月6日

館林市文化会館

97月13日、7月20日、7月27日

館林市文化会館

9渋川市

10月6日

渋川市中央公民館

1510月13日、10月20日、10月27日渋川市中央公民館

12榛東村

11月15日

榛東村保健相談センター

1911月30日、12月7日、12月15日

榛東村保健相談センター

17藤岡市

上野村

神流町

安中市

10月4日

安中市役所松井田支所大会議室

4810月11日、10月19日、10月25日安中市役所松井田支所大会議室

37みどり市

9月1日

みどり市東保健センター

39月8日、9月15日、9月22日

みどり市大間々保健センター

3下仁田町

南牧村

1月23日

南牧村活性化センター

9平成24年2月23日、2月28日、

南牧村活性化センター

11長野原町

草津町

東吾妻町

中之条町

玉村町

千代田町

10月5日

大泉町保健福祉総合センター

510月12日、19日、26日

大泉町文化むら

5大泉町

10月5日

大泉町保健福祉総合センター

1410月12日、19日、26日

大泉町文化むら

13邑楽町

10月5日

大泉町文化むら

710月12日、19日、26日

大泉町文化むら

7計

522

388

平成18~23年度(見込含む)初級受講者計

6,430

平成18~23年度(見込含む)中級コース修了者計

4,413

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3.介護予防サポーター育成・活用事例

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7

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7

前橋市介護予防サポーターの育成と活用� 前橋市 介護高齢課

 本市での介護予防サポーター育成の取り組みは、平成23年度で7年目となる。サ

ポーター数の増加に伴って口コミによる研修受講者も増え、市の広報誌で周知するだ

けで100人の定員が埋まる人気の研修となっている。実際に活動を行なっている登録

者数は2月末現在で506名となっており、サポーターを中心に前橋市オリジナルの「ピ

ンシャン!元気体操」を実施している自主グループも100を超えている。この数字だ

けを捉えても、今の高齢者がいかに健康や介護予防について高い意識を持っているか、

地域活動に対しての意欲を持っているかがわかる。一方で、二次予防事業への参加が

伸び悩んでいることを考えると、「高齢者自身が介護予防の重要性を理解し、自主的

に取り組む」機会を持ってもらうことが、効果的に介護予防を進めていくためには重

要だと思われ、介護予防サポーターの取り組みはまさにその中核をなすものである。

 介護予防サポーターの自主的な活動は順調に広まりつつあるが、より地域での活動

を活発にするために自治会等にPRをすること、また大きくなった組織を活動しやす

い単位にまとめていくことが近年の課題となっている。

 まずひとつめの課題である「サポーター活動の周知」であるが、前橋市では市長お

よび部長が各地域に出向いて地域住民と意見交換をする市政懇談会を毎年実施してい

る。タイミングの良いことに平成23年度のテーマが高齢者施策についてだったため、

この機会を活用してパワーポイントでサポーターの活動を紹介するとともに、懇談会

の最後にサポーターが「ピンシャン!元気体操」を地域の役員と一緒に行う時間を設

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 計初級 116 69 86 294 242 242 90 1139中級 34 52 71 151 98 148 64 618上級(登録者) 11 23 57 122 87 109 97 506

表1.前橋市介護予防サポーター養成研修修了者数(人)

※H23年度登録者には、H22年度研修修了者34名を含む

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けた。この市政懇談会で、各地域の自治会役員・民生委員などにサポーターの存在を

広く周知することができ、「地域の活動を一緒にやっていきたいので、サポーターの

名簿がほしい」との地域からの要望に応えて名簿を渡すまでに至った。

また、今年度初めての試みとして、サポーターの中から編集委員を選出し、介護予防

サポーターの地域での活動の様子を掲載した「介護予防サポーターだより」を作成、

市内に全戸回覧した。同時に、サポーター自らが市の広報誌「広報まえばし」の市民

編集委員となってサポーターの特集を組んだこともあり、市民からサポーターになり

たい等の問い合わせが来るなどの反響があった。

図1.「前橋市 介護予防サポーターだより」

 もうひとつの課題は、前述のとおり地域毎の組織づくりである。これまでも前橋市

の介護予防サポーターは地域での自主的な活動を重視し、地域毎にグループ分けをし

て情報交換会を行なってきた。が、実際には個別での活動が多く、組織で動いている

地区は少ない状況であった。併せてサポーター登録数が500名を超えた今、一堂に会

することも難しくなってきており、地域単位での自主的な組織に移行させることが急

務となった。

 そこでその第一段階として、平成23年度は地域毎にリーダー・サブリーダーを選出

し、市主催ではなく、地域でスケジュールを組んで圏域別定例会を実施する形とした。

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本市では、活動を義務化しない代わりに、ボランティア保険の負担以外に金銭的な助

成は一切していない。そのため、圏域別定例会の義務化や、特定のサポーター(役

員)に負担をかけることについては葛藤があったが、同じ圏域内のサポーター同士の

交流を深め、自身の住んでいる地域を意識した活動に繋げるためには有意義なことと

考え、実施に踏み切った。これまでは一律に行っていたスキルアップ研修も、圏域毎

に興味のあるテーマ・学びたいテーマを決めてそれぞれ実施し、サポーター自身が講

師となった地域もあった。また、こういった形をとったことで、自主的に会則を設け、

サポーター会を発足する地域も出てきた。

 今年度で4回目となった「介護予防まつりinまえばし」でも、圏域のサポーターの

結束を強めるため、毎年圏域毎に役割分担し、運営している。こちらのイベントもか

なり定着してきており、過去最高の750名が来場し、大盛況であった。アンケート結

果を見ると、「毎年やってほしい」「楽しかった」などの感想に混じって介護予防サ

ポーターの活躍を称えるコメントが目に見えて増えてきており、サポーター活動への

認識と興味が高まってきていることを実感している。

写真:「第4回 介護予防まつりinまえばし」でのサポーターの活動の様子

 これまで夢中で走ってきた前橋市の介護予防サポーター事業だが、これからは少し

歩みを緩めて振り返りつつ、足場を固めていく時期に入ったのではないかと感じてい

る。開始当初から活動を支えてきた生え抜きのメンバーにいかに長く活動を継続して

もらえるか、また新たな若いメンバーが仲間になりたいと思うような魅力的なサポー

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ター像、高齢者像とは何か、考えつつ、新しい局面を乗り越えてさらに発展したサ

ポーター活動を作り上げていきたいと考えている。

写真:前橋市の介護予防サポーター(「介護予防まつり」後の集合写真)

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藤岡市介護予防サポーターの取り組み� 藤岡市役所 介護高齢課 元気高齢者係

 平成18年から養成が始まった介護予防サポーターは、現在5期生までが活動してい

る。藤岡市では介護予防事業の2本柱である、筋力トレーニング事業とミニデイサー

ビス事業に協力している。『参加者のためのみならず、自分自身のため』と積極的に

事業にかかわり、楽しみながら充実した時間を過ごしている。

1 介護予防サポーターの現状

 平成18年度から平成22年度までに養成されたサポーターは160名で、8割以上が女

性で、平均年齢は65歳である。

 藤岡市では、上級認定基準を『1年間介護予防事業の現場で経験を重ねた者』と定

め、該当者には上級認定証を交付している。平成23年度までに上級認定されたサポー

ターは91名になる。

2 筋力トレーニング事業

 活動者の8割は、筋力トレーニング教室の指導者として活躍している。1会場2~

3名で受け持ち、現在実施している69会場のうち7割以上の会場で活動している。

 定期的に実施している、合同筋力ト

レーニングや体力測定会にも協力して

いる。

 筋力トレーニングは自分の健康づく

りにもなり、参加者の元気な姿を見て、

やりがいを感じて取り組んでいる様子

がうかがえる。

 平成23年11月には各地区の筋トレの参加者や介護予防サポーター等関係者が一同に

つどい「筋トレ10周年記念講演会」を開催した。10年前に旧鬼石町で始まった筋トレ

が、市内8割以上の地区で実施され、現在も実施地区が拡大している背景には、日々

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の筋トレを支えている介護予防サポーターの果たしている役割は大きいと思われる。

 10周年記念として介護予防サポーターは揃いのTシャツを作成し、より一層団結力

が高まり、サポーターとしての自信にもつながったようである。

10周年記念の様子そろいのTシャツで筋トレ

3 ミニデイサービス事業

 藤岡市では、ミニデイサービス(高齢者サロン)を社会福祉協議会に委託し、61会

場で月1回実施している。内容は歌やダンベル体操・ゲーム等で、スタッフの補助と

して介護予防サポーターが活躍している。

 地域で馴染みのあるサポーターが協力することで参加者には親近感を与えることが

できている。また参加者が安全に楽しく過ごしていただけるように、心のこもったお

もてなしをしている。

4 フォローアップ研修

 サポーターに意向調査を行う中で研修希望を把握し、年数回の研修会を開催し、サ

ポーターとしての知識や技術の向上を図っている。

今回作成した記念Tシャツ

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12 13

実施日 内  容 参加者数H20 .2 . 7 健口体操講習 32名H20 .5 . 19・22 ダンベル体操講習 30名H21 .6 . 16 サポーター活動例紹介 59名H21 .10 . 6 レクリエーション・口腔ケア講習 37名H22 .7 . 1 高齢者の応急処置について研修 85名H22 .10 . 5 食事介助・認知症について研修 55名H23 .7 . 19・21 筋トレ時の準備体操・整理体操 81名H23 .11 . 9 軽体操と認知症について研修 38名H24 .2 . 21・22・23 消防署員による応急手当講習 68名

これまでの研修内容

応急手当講習時の様子

5 サポーターの地区支部活動

 平成23年度から市内を9地区に分け、地区ごとに支部活動を行うための試みを開始

した。支部活動はリーダーとサブリーダーを中心に、介護予防事業の協力体制を地区

ごとに築いていけるよう働きかけている。

 具体的には、①支部内の介護予防事業の様子を報告し、うまくいっている活動を参

考にしてもらう。②課題のある会場については、行政と地区で協力し課題解決を検討

する。③新たに筋トレ等介護予防事業が開始になる場合、支部内で協力体制を相談し、

支援体制を築いていく。

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14 15

6 今後の活動とサポーターに期待するもの

 平成23年度は新たな養成研修は実施しなかったが、支部活動で協力体制を相談するな

かで、サポーターが少ない地区があることや若いサポーターの養成が必要であることが明

らかとなる。今後も新たなサポーターの養成が必要な状況であり、活動中のサポーターが

身近な仲間を誘い、サポーターを充実させて地区活動が活発になる働きかけを行う。

 自分たちの地域の高齢者を、自分たちの手で元気にしていくことが実感できるサ

ポーター活動に、これからも多くの人に参加していただき、高齢者の身近にいるサ

ポーターの励ましや見守りにより、安心して暮らせる地域づくりを目指していきたい。

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沼田市における介護予防サポーターの育成と活用� 沼田市役所 高齢福祉課

1)介護予防サポーター養成研修

 本市では、平成18年度から介護予防サポーターの養成に取り組んでいる。初級及び

中級養成については、「利根沼田地域リハビリテーション広域支援センターうちだ」

が実施し、上級養成については本市独自のカリキュラムで実施している。

沼田市介護予防サポーター養成状況

 ア)上級養成課程

   中級修了者を対象に、市が主催する介護予防事業への参加(ボランティアス

タッフとして協力)を上級養成課程(上級コース)に位置づけて実施している。

   具体的には、合同筋トレへの参加、筋トレ体力測定会測定員として協力、介護予

防事業(各種教室・イベント)の運営補助(会場準備・後片付け、自動血圧測定器

の操作、資料及び用具の配付、参加者の介添え、休憩時の湯茶準備)などである。

年 度 初 級 中 級 上 級18年度 100名 81名19年度 34名 19名 49名20年度 11名 9名 22名21年度 7名 7名 18名22年度 4名 2名 5名23年度 8名 3名 ※4名合 計 164名 121名 98名

※23年度の上級については修了見込み人数

筋トレ体力測定会 介護予防イベントで認知症予防カレーの調理

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16 17

 イ)上級修了式

   各年度の上級コース対象事業終了後(おおむね3月)、上級認定基準を満たし

たサポーターを対象に修了式を開催している。実施に当たっては、事前に「私に

できる介護予防」と題したレポート(修了式受付時に提出)を依頼し、当日は、

5~7人のグループに分かれて「地域で実践できる介護予防」をテーマにワーク

ショップを実施している。

   ワークショップ終了後、ネームプレート型の上級認定証を全員に交付し、今後

の活動時に名札として活用できるようにしている。

2)「登録介護予防サポーター制度」の創設

 上級を修了したサポーターについては、今後の各地域における自主的な活動が期待

されるが、引き続き市主催事業への協力を依頼するとともに自主的な活動を支援して

いくため、「登録介護予防サポーター制度」(任意登録)を設けている。

 登録サポーターは全国社会福祉協議会のボランティア活動保険に加入(保険料は公

費負担)している。

3)今後の課題

 ア)新規初級受講者の減少

   介護予防サポーター養成研修の新規受講者は年々減少を続けており、広報紙等

による一般募集のほか、関係団体に参加を呼びかけるなど募集方法について検討

ワークショップの様子 ネームプレート型上級認定証

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が必要と思われる。

 イ)上級修了者のフォローアップ

   上級修了者については、登録介護予防サポーター制度の創設により、継続的に

市主催の介護予防事業への参加を呼びかけているが、更なるスキルアップを希望

する方を対象とした研修を実施するなどのフォローアップが必要と思われる。

   平成22年にはフォローアップ研修「回想法基礎講座」と題して認知症サポート

医を講師に迎え回想法の基礎に関する講義やワークショップを実施した。

   また、「利根沼田地域リハビリテーション広域支援センターうちだ」が実施す

る音楽療法や回想療法などの研修への参加を呼びかけている。

認知症サポート医による回想法基礎講座

 ウ)介護予防サポーターの自主的な活動

   介護予防サポーター制度の目的として、元気な高齢者がいつまでも元気にその

地域で暮らしていくために支えあえる地域づくりを進めることが挙げられるが、

市主催の介護予防事業に参加するだけでなく、サポーター自身がそれぞれの地域

で自主的な活動が展開できるような方策が必要と思われる。

   本市では、サポーター自身が「ふれあいいきいきサロン」を立ち上げて地域の

高齢者や子ども達との交流の場を設けたり、地域の高齢者に呼びかけて筋力向上

トレーニングを始めたり、運動教室において筋トレやレクリエーション等を指導

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サポーターによる筋トレ活動発表 運動教室で体操指導

するなどの具体例もあるため、このような動きを市全体に拡大できるよう、サ

ポーターと市が協働してまちづくりを進められるような関係づくりを目指してい

きたいと考えている。

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高崎市における介護予防サポーター育成・活用について(報告)� 高崎市 長寿社会課介護予防担当、支所(市民)福祉課

1.高崎市の介護予防サポーター養成実施状況

 平成23年に活動状況調査を実施し、研修参加も含めサポーターとしての活動を今後

も行うと回答した人を登録者とした。平成24年1月30日現在で登録者は470人である

(内、上級サポーターは102人。一時的な活動休止者は73人)。

 高崎市は、介護予防サポーター養成研修中級以上の人が認定証を交付され、介護予

防サポーターとして活動している。サポーターの活動を4つの項目に分け、『活動の

記録』に時間数を記入してもらい、自主的に管理をしている。一定の時間数の活動を

満たした人が上級研修を受講している。

 養成研修後も定期的にフォローアップ研修を実施し、スキルアップを図っている。

2.介護予防サポーター研修等実施状況(平成23年度)

・自主活動 (地域で開催されている「ふれあいいきいきサロン」へのボランティア参加) (地域の公民館等で、定期的に体操や茶話会等を実施)・事業参加(市が実施する介護予防事業へのボランティア参加)・研修参加(原則高崎市または県主催の研修参加)・その他(地域での見守り訪問等…民生委員としての活動は除く)

~20年度 21年度 22年度 23年度初級 682 128 64 97中級 512 110 60 75上級 146 14 39 47

内  容 人 数

5月 養成研修(初級)1回(150分×1回) 97養成研修(中級)1回(120分×3回) 75

6月 フォローアップ研修 鬼石の筋トレ講習会(2回) 177フォローアップ研修 さわやかのびのび体操(1回) 110

7月 フォローアップ研修 高齢者のレクリエーション(1回) 12810月 養成研修(上級)1回(300分×1回) 47

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3.介護予防サポーターの活動状況

1)自主活動

 平成23年度に実施した介護予防サポーターへのアンケートによると、自主活動を行ってい

る人は231人で、そのうち高齢者のふれあい・いきいきサロンに携わっている人は169人だっ

た。また、自主活動を行っている場所の数は131ヶ所で、そのうちふれあい・いきいきサロン

の数は87ヶ所、運動の会等の数は44ヶ所であった。(アンケート配布400人中回答者318人)

 サポーターの中には、市主催の介護予防事業にボランティア参加し、参加者もサポーター

も地域住民ということで顔なじみになり、教室終了後も継続したつどいの場を希望され、サ

ロンや教室を立ち上げる人が増えている。また、参加者を自分の地域のサロンに紹介する人

など、元気高齢者が地域の高齢者を支える仕組みが徐々に浸透してきていると考えられる。

2)事業参加

 前述のアンケートから、市主催の介護予防事業に参加したことがある人は延281人

であった。

 参加する教室は、「運動器の機能向上」「認知機能低下予防」「閉じこもり低下予防」

である。参加する目的は、介護予防の内容をさらに学び、地域の人に伝える自信をもって

もらう事と、教室運営や全体の見守りについて学んでもらう事である。事業を受託し運営

している在宅介護支援センターもボランティアの受け入れについて次第に理解を示して

くれるようになり、現在サポーターは教室運営に重要な役割を持つようになっている。

内  容 人 数10月 フォローアップ研修 地域づくりと拠点づくり(2回) 14911月 リーダー会議 拠点での活動について等 352月 リーダー会議 介護予防フェスティバルの準備 38

サポーターさん

サポーターさん

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3)研修参加

 研修には毎回多数参加しているが、参加者が固定してきている。そのため平成24年

度からは、より受講しやすいよう同じ内容を複数箇所の地域で実施することにより、

より多くのサポーターが受講機会をもてるよう計画している。

4.介護予防サポーターへの活動支援

1)拠点整備

 介護予防の活動をより地域に普及していくために、主に長寿センター(老人福祉セ

ンター)を使用し、市内15箇所の日常生活圏域に介護予防の拠点整備をすすめている。

拠点をつくるにあたり、まず、フォローアップ研修で「地域づくりと拠点づくり」―

介護予防サポーターがつなぐ人の輪・心の輪―と題して、高崎健康福祉大学社会福祉

学科教授の金井敏先生に講演会を行なっていただいた。その後、以前よりサポーター

から聞かれていた、「地域で情報交換する場が必要」「横のつながりがない」「活動

したいが活動する場所がない」等の声を紹介し、拠点づくりの必要性を説明した。

 この研修により地域で拠点を作るという意識をサポーターの中に作ることができた。

そして、拠点における活動を活発化して自主的な取り組みができるよう、圏域と市の

橋渡し役となる「連絡員」と、圏域内の小学校区のまとめ役になる「サポーターリー

ダー」を決めた。今後、地域の特色を活かした活動ができるよう、各リーダー及び連

絡員に働きかけ、支援していく予定である。

2)介護予防サポーターだよりの発行(年3回程度)

 サポーターへの研修等のお知らせや、地区の活動紹介・情報交換の場として、「介

護予防サポーターだより」を発行している。

3)介護予防フェスティバルの開催

 平成21年度から、年1回介護予防フェスティ

バルを開催し、市民に向けた介護予防の普及啓

発と、サポーターの活動発表の場としている。

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平成23年度は3月に群馬音楽センターで実施し、

圏域毎にサポーターの活動展示を行った。参加

団体として、地域リハビリテーション広域支援

センターの他、群馬大学や高崎健康福祉大学、

在宅介護支援センター等の協力を頂き、広く普

及啓発を行った。

4)介護予防サポーター名簿の作成

 名簿を作成しサポーター同士が連絡をとりやすいよう配布している。また、区長・

民生委員にはPRのためにサポーターの同意を得て、年1回名簿を紹介している。

4.今後の課題

 拠点整備により、活動しやすい体制が整えられ、今後は活動の仕方等について市で

フォローしながら支援を継続していきたい。

 また、サポーターの認知度が低く、地域での活動がスムーズに行えない事もあるた

め、民生委員や区長にサポーターの周知と理解を得ることが必要である。

 さらに、地域のふれあい・いきいきサロン等は増え続けているが、介護予防関連の

活動が少ない地域もあるため、今後もサポーター養成を継続し、地域により偏りがな

いよう活動できるサポーターを増やしていくことが必要である。

 最後に、介護予防に地域の人達が取組むことにより介護保険サービスを必要とする

期間を減らし、誰もが住み慣れた地域で生活を続けられるよう支援を続けていきたい。

紫のバンダナがサポーターさん、ピンクのバンダナが広域支援センター。

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渋川市における介護予防サポーターの養成と活動� 渋川市役所 高齢福祉課 介護保険係

 本市では、平成19年度から介護予防サポーター(以下、サポーターとする)の養成

に取り組んでいる。本市におけるサポーターの養成と活動状況、今後の方針について

報告する。

1.サポーター養成の流れ

 初級及び中級養成は、渋川地域リハビリテーション広域支援センターが実施し、上

級養成は本市独自のカリキュラムで実施。

 1)上級養成課程

  上級サポーターについて、本市では「中級研修を修了し、市の介護予防事業等の

ボランティアの実践経験があり、地域のリーダーとして自主的活動のできる人」と

位置づけている。

  具体的には、以下の市主催の会議や事業への協力が規定回数に達したものとする。

  ① サポーター研修会議参加(3回)

  ② 介護予防の講演会受講(2回)

  ③ 一般高齢者筋力向上教室(通称:シニア筋力ぐんぐん教室)におけるボラン

ティア活動(4回)

  ※ なお、前年度規定回数に達しなかったものについては、対象年度に不足時間

表1 ◇サポーター養成状況◇年 度 初 級 中 級 上 級19年度 45 26 ―20年度 26 21 ―21年度 33 28 1622年度 24 21 1623年度 15 12 未定合計(人) 143 108 32

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を加算することで研修終了とする。

  ※ 上級研修修了者には、市長名で修了証を交付する。

 2)サポーターの活動状況

  サポーターの活動は、大きく3つに分類される。

  ① 介護予防事業への協力 

  ② サポーター研修会議への参加

  ③ 自主活動の開催         

  当初は事業や会議への協力・参加が中心で補助的な役割が大きかったが、22年度

からは徐々に自主的な活動が拡大しつつある。

  自主活動を進めるにあたり、地域差やサポーター個々の意識の差を漠然と感じた

ため、サポーターの活動意識や行政への要望等を把握するために23年度にアンケー

ト調査を実施した。

  調査の結果(複数回答)、約8割が「積極的に楽しく活動し、やりがいを感じて

いる」と回答。一方で、4割は「負担にも感じる」と回答し、具体的には「専門的

な知識が無いのに教えることの不安」等、主体的に活動する場面での不安をあげて

いた。また、希望している研修内容は「レクリエーション」「筋トレ」が上位を占

め、シニア筋力ぐんぐん教室や自主活動に直接役立つ内容であった。

  今後の活動については、「講演会等を受講したい」「市で行う事業に協力した

い」が約8割と多く、「自主活動をしたい」は約2割と低率であった。また、行政

への要望として「サポーター活動を具体的に示して欲しい」等があり、市がある程

度の道筋をたてる必要性が明らかとなった。

  以上の結果から、自主活動を活性化するにあたり、サポーターの抱える不安を軽

減、解消するための研修の企画や、各種講演会へ参加を勧奨し、知識と技術の習得

を図る事が必要である。また、市が求めるサポーター像を明確にし、サポーターが

主体的に活動ができるよう支援する仕組みづくりが必要である事がわかった。

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 3)今後の方針

  ① 一般高齢者に対する市の介護予防施策の理解と協力に向け、介護予防普及啓

発事業の補助や実践を引き続き働きかける。

  ② サポーターの資質向上のため、アンケート結果をもとにフォローアップ研修

を企画する。

  ③ 高齢者同士が支え合う地域づくりを目指す理念に向け、「自主活動の取り決

め」で活動の例示をし、サポーターが自ら考えて実践できるよう支援する。

22年度 23年度介護予防事業への協力

○シニア筋力ぐんぐん教室補助 (偶数月)○各種講演会�受付補助○ふれあい健康まつり�補助○群馬大学理学療法学科 臨地実習�補助

○同左

○一人暮らし高齢者保養事業でレクリエーション実施

サポーター研修会議への参加

○奇数月に開催・シニア筋力ぐんぐん教室 前月の振り返りと翌月の予定確認・各種講演会等の周知・フォローアップ研修【内容】「筋力トレーニングの効果」 渋川地域リハビリテーション広域支援センター(PT、OT)

「運動器機能向上について」 講師 群馬大学大学院

○同左【内容】「筋力トレーニングの進め方」 渋川地域リハビリテーション広域支援センター(PT、OT)

「尿失禁予防・改善対策」 講師 県立県民健康科学大学「鬼石モデルの実技について」 講師 群馬大学大学院

表2 ☆ 平成22年度、23年度 活動内容 ☆

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※ 40歳以上の方が自らの介護予防に意欲的に取り組む動機付けとして、対象事業に

参加ごとに1~2ポイント付与し、3ポイント貯まると市有日帰り温泉施設入浴

券と交換できる。

22年度 23年度

自主活動の開催

○地区集会施設等で実施 (計5カ所)

○地区集会施設等で実施 (計5カ所)「サポーター自主活動の取決め」を作成し、活動中のサポーターや参加者の事故対応、市で実施している元気ポイントカード事業※の対象要件としての書類の提出等を決定

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榛東村介護予防サポーター養成事業について� 榛東村役場 健康・保険課

1.介護予防サポーターの養成状況

 当村では、平成20年度から介護予防サポーターの養成研修を行っています。渋川地

域リハビリテーション広域支援センターにご協力いただき、平成23年度までに初級・

中級研修2回、上級研修を1回開催しました。

介護予防サポーター養成研修 実施状況

 1)上級研修について

  平成22年度に、初めて上級研修を開催しました。研修受講者は21名でしたが、上

級の認定要件に該当した人は9名でした。

  ○上級サポーター認定要件

  ①介護予防サポーター初級・中級研修を受講し、中級の認定証の交付を受けた人。

  ②村が実施する介護予防サポーター上級研修を受講した人。

   ※上級研修の内容

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度初級 83 - - 20中級 70 - - 17上級 - - 9 -

    ・筋力トレーニングのポイントと進め方

    ・口腔機能と口腔の体操

    ・認知症予防

  ③村が実施する介護予防事業にボランティア

として参加した回数が5回以上ある。

  ④今後も継続して介護予防事業のボランティ

ア活動に参加できる人。

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介護予防サポーターによるストレッチ

2.介護予防サポーターの活動内容

 1)『月曜はつらつ教室』の開催

  平成22年2月より、介護予防サポーターが主体となって教室を開催しています。

  ○実施日時…毎週月曜日午前10時~11時30分

  ○実施場所…榛東村保健相談センター

  ○実施内容

  ・「高齢者の暮らしを拡げる10の筋力トレーニング」

  ・「おくちの体操」

  ・脳トレーニングクイズ(配布)

  ★月曜はつらつ教室 参加者の声

  ・ゆっくりの体操なので、はじめは物足りないと思ったけれど、続けているうち

に膝の痛みが和らいできた。

  ・ここに来ると、沢山の人に会えて楽しい。

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 2)村が主催する介護予防事業の協力

  介護予防教室において、受付、後片付け、体力測定補助を行っています。

3.活動会議の開催

 平成21年度より、介護予防サポーター相互の交流と、知識の向上を目的として開催

しました。

体力測定の記録

実施年度 内容 延人数21年度 ①榛東村地域包括支援センター、介護予防事業

②介護予防教室について、おくちの体操等③体力測定について、介護予防教室について④筋力トレーニングの実技⑤救命講習⑥介護予防教室実施の流れ、注意事項等⑦『介護予防サポーター』の活動を振り返って

94

22年度 ①今年度の介護予防事業等②高齢者虐待について③「月曜はつらつ教室」の実施状況等④介護予防サポーター交流大会について

24

23年度 ①介護保険制度と介護予防事業について②健康体操、脳トレーニング③日常圏域ニーズ調査について④お口の健康と認知症予防、交流会

32

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30 31

4.今後の活動について

 村の介護予防事業への協力が活動主体となっていますが、今後は介護予防サポー

ターとしての役割について共通理解を図り、地域に密着した主体的な活動ができる自

主グループとしての活動ができるよう、支援していきたいと考えています。

 また、介護予防サポーターの知名度が低いため、積極的に住民に周知していき、住

民の理解と協力が得られるようにしたいと思います。そのためには、関係機関等との

協力体制の強化を図り、活動を継続していける体制を整えていくことが、今後の課題

です。

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介護予防サポーターで元気高齢者の町づくり~吉岡町における介護予防サポーターの活用事例について~

『介護予防で元気高齢者の町づくり』を実現するために…

 吉岡町では、この目標の実現のために平成18年度から介護予防サポーターの養成に

取り組み、地域や町で行なう事業を介護予防サポーターとして活動するための組織の

育成や支援を実施しています。活動拠点としては、おもに地域の高齢者サロンや一次

予防各種事業への協力としています。

1.介護予防サポーターフォローアップ研修・吉岡音頭リズム体操の普及

平成22年度実施内容

実施月 研修内容8月 「介護予防の必要性や方法の理解」

「介護予防サポーターの役割と地域づくり」9月 「地域で活躍するための実践編~脳トレーニング~」10月 「地域で活躍するための実践編~運動~」実施月 事業名称・活動内容

10月 いきいき健康大学②「吉岡音頭リズム体操」

10月~随時 地域別「吉岡音頭リズム体操」の普及・指導

2.一次予防事業

1)介護予防普及啓発事業・地域介護予防活動支援事業

 本町では、年間を通じて介護予防に関する事業や制度の案内等を実施するなかで、

介護予防教室である「いきいき健康大学」や地域別に実施している合同筋力トレーニ

ング、体力測定会にも協力している。また、平成23年度においては、町内16ヶ所の筋

トレ会場にて実施された「出前体力測定会」にも協力し、自己の健康増進や意識向上

にもつながるよう関わりを広めている。

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平成23年度介護予防サポーター活動実績

合同筋力トレーニング 地域出前体力測定会

2)筋力トレーニング5周年記念式典

 介護予防事業の一環として平成18年度から地域で開始された筋力トレーニングが5

年を迎え、平成23年度には、始まりの場所である本町社会体育館で記念式典を開催し

た。5年以上継続して活動されている105名に激励と今後の発展・継続を願った表彰、

実施月 事業名称 活動内容

9月3月

合同体力測定会 測定員(年2回)

10月いきいき健康大学③「歩け歩け大会」

事業の運営ボランティア

11月いきいき健康大学④「ハッスルハッスル運動会」

     〃

11月~12月

地域出前体力測定会 町内16会場

随時

自主活動「高齢者筋力トレーニング」 ・地域別筋トレ参加支援「高齢者地域サロン」 ・地域別サロン参加支援、指導等

介護予防の地域サポート

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地域18会場の紹介映像や記念講演を実施し、介護予防サポーターは全面的に協力した。

将来的には、10周年記念式典の実施を予定としている。

3.まとめ

 介護予防サポーターの知名度は高くなりつつあるが、活動の場が限られている現状

もある。今後は、フォローアップ研修の継続的な実施と地域に密着した取り組みを実

施することで、介護予防サポーターの活動を町民に広く周知してもらい、地域で自主

的に活動できる環境を整えるととともに、介護予防サポーターの育成にも積極的に取

り組みたいと考えている。

開会式の様子 表彰式の様子(社協長より交付)

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「2011介護予防サポーター育成・活用事例」執筆者(あいうえお順)

渋川市役所高齢福祉課介護保険係

榛東村役場健康・保健課

高崎市長寿社会課介護予防担当、支所(市民)福祉課 

沼田市役所高齢福祉課

藤岡市役所介護高齢課元気高齢者係 

前橋市役所介護高齢課

吉岡町社会福祉協議会

謝辞

本資料への一部再掲をご了承いただいた「群馬県介護予防サポーター育成マニュアル」

(平成20年3月発行)ご執筆者の群馬県介護予防サポーター育成調査検討委員会

(事務局:群馬県健康福祉部介護高齢課)に深謝します。

2011介護予防サポーター育成・活用事例平成24年3月

群馬県地域リハビリテーション支援センター(事務局:群馬大学大学院保健学研究科内)

協力群馬リハビリテーションネットワーク