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放射能漏れによる被害のレベル 1.はじめに 3月11日に起こった東日本大震災により放射性物質が漏出し、国際評価尺度でチェル ノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に匹敵する被害をもたらしたと言われている。しか し、被害のレベルは様々な意見が出ているのが現状だ。チェルノブイリ原発事故と言え ど、その被害の大きさはよくわかっていない。このレポートでは、実際にどのくらいの規 模の事故なのか比較し、分析してみる。 2.福島原発とチェルノブイリ原発の放射能レベルの比較 下記の画像は、IAEAが定めた原発事故の大きさを表す3月17日現在の国際評価尺 度を表したものだ。 図1 国際原子力事象評価尺度(INES) レベル7:深刻な事故 レベル6:大事故(福島第一原発事故 海外見解 316日現在) レベル5:施設外へのリスクを伴う事故 レベル4:施設外への大きなリスクを伴わない事故(福島第一原発事故 国内見解 316日現在) レベル3:重要な異常事象 レベル2:異常事象 レベル1:逸脱 レベル0:安全上重要ではない事象 図1の「レベル6」と「レベル4」を見てほしい。大事故とされるレベル6は海外見解

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放射能漏れによる被害のレベル

1.はじめに  3月11日に起こった東日本大震災により放射性物質が漏出し、国際評価尺度でチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に匹敵する被害をもたらしたと言われている。しかし、被害のレベルは様々な意見が出ているのが現状だ。チェルノブイリ原発事故と言えど、その被害の大きさはよくわかっていない。このレポートでは、実際にどのくらいの規模の事故なのか比較し、分析してみる。 2.福島原発とチェルノブイリ原発の放射能レベルの比較  下記の画像は、IAEAが定めた原発事故の大きさを表す3月17日現在の国際評価尺度を表したものだ。

図1 国際原子力事象評価尺度(INES) レベル7:深刻な事故 レベル6:大事故(福島第一原発事故 海外見解 3月16日現在)レベル5:施設外へのリスクを伴う事故 レベル4:施設外への大きなリスクを伴わない事故(福島第一原発事故 国内見解 3月16日現在) レベル3:重要な異常事象 レベル2:異常事象 レベル1:逸脱 レベル0:安全上重要ではない事象   図1の「レベル6」と「レベル4」を見てほしい。大事故とされるレベル6は海外見解

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であり、施設外への大きなリスクを伴わない事故とされるレベル4は国内見解となっていることがわかる。ではなぜ、海外と国内で見解が違うのだろうか。 3.二つの原発事故の被害  1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所で大きな爆発事故が起った。原子炉内にあった大量の放射能が大気中へ放出され、その被害は広範囲にまで及び、風に乗った放射能は、世界各地に広がった。チェルノブイリから約8,000キロ離れたここ日本でも、野菜・水・母乳などから放射能が検出された。その被害は、人体へも影響を及ぼし、チェルノブイリ原発事故後、爆発により放出されたヨウ素131がこどもたちの甲状腺に取り込まれ、甲状腺ガンが急増した。  一方、福島原発事故の放射能は、食品の出荷自粛はあったものの、人体に大きな影響をもたらすほどの被害はなかった。このことから、今回の福島原子力発電所の事故は、チェルノブイリ原発事故よりレベルが低いことがわかった。また、海外では、放射能の被害の影響を恐れて、大げさに報道している面もあったという。 4.まとめ  今回チェルノブイリ原発事故を調べてみて、福島原発事故よりも多大な被害をもたらしたことがわかった。しかし、いくら政府が人体や食品に放射能の影響はないと言っても、国内・海外メディアが大げさに報道することで、普段浴びることのない放射能による人体への影響はどうしても心配になってしまうと思う。だからこそ、きちんと伝えるべき真実を報道するべきだと思う。 参考文献1)福島第一原発事故2011年4月13日(7月17日閲覧)http://dailynews.yahoo.co.jp/fc%2Fdomestic%2Ffukushima_nuclear_plant%2F#backToPagetop2)IAEAが定める評価尺度で「レベル6相当」との見解  その“レベル”の意味とチェルノブイリを振り返る2011年3月17日(7月17日閲覧)http://getnews.jp/archives/104912