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中温化技術の高度化に関する取り組み 国内外事例今後展開国内外事例今後展開国内外事例今後展開 国内外事例今後展開 株式会社 NIPPO 岩間将彦 関西道路研究会 技術講演会 平成23年1月26日 本日の発表内容 国内と海外の動向 海外中温化技術 海外中温化技術 -ワックス系、発泡系、乳剤系 国内の状況 中温化技術関する今後の展開 なる製造温度低減のための室内検討 なる製造温度低減のための室内検討 -アスファルトの状態 -混合性 -品質確保

中温化技術の高度化に関する取り組み2013-11-19 · 1 中温化技術の高度化に関する取り組み -国内外事例と今後の展開- 株式会社NIPPO

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中温化技術の高度化に関する取り組み-国内外事例と今後の展開-国内外事例と今後の展開-国内外事例と今後の展開国内外事例と今後の展開

株式会社 NIPPO岩間将彦

関西道路研究会 技術講演会

平成23年1月26日

本日の発表内容国内と海外の動向

海外の中温化技術海外の中温化技術

-ワックス系、発泡系、乳剤系

国内の状況

中温化技術関する今後の展開

更なる製造温度低減のための室内検討更なる製造温度低減のための室内検討

-アスファルトの状態

-混合性

-品質確保

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国内と海外の動向国内と海外の動向国内と海外の動向国内と海外の動向

《《国内国内》》

・・舗装分野でも舗装分野でも環境負荷を軽減する技術開発の取り組み環境負荷を軽減する技術開発の取り組み

が進められており、その一つが中温化技術が進められており、その一つが中温化技術

・・国内で独自に開発した技術も国内で独自に開発した技術も・・国内で独自に開発した技術も国内で独自に開発した技術も

・・(社)日本道路協会は(社)日本道路協会は環境配慮型の舗装技術に関する環境配慮型の舗装技術に関する

ガイドブックガイドブックを発刊を発刊 ((2009.62009.6))

・・(社)日本道路建設業協会は海外の(社)日本道路建設業協会は海外の

動向を参考に、動向を参考に、中温化技術の採用を中温化技術の採用を

各方面に働きかけ各方面に働きかけ

・・グリーン購入法グリーン購入法に基づく特定調達品目に基づく特定調達品目

に追加(に追加(2010.22010.2))

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日刊建設工業新聞

平成21年5月20日

道建協パンフレット

《《海外海外 --11》》

・・欧米では欧米では WarmWarm--Mix AsphaltMix Asphalt と称して多くの実績と称して多くの実績

・・全米アスファルト舗装協会全米アスファルト舗装協会((NAPANAPA)の総会で利用促進)の総会で利用促進

を宣言(を宣言(2009 12009 1)) 5年以内に全米のアスコン製造量の5年以内に全米のアスコン製造量のを宣言(を宣言(2009.12009.1)) 。。5年以内に全米のアスコン製造量の5年以内に全米のアスコン製造量の

過半数への適用過半数への適用を目標設定を目標設定

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《《海外海外 --22》》

・・国際アスファルト舗装協会連合国際アスファルト舗装協会連合((GAPAGAPA)の代表者会議)の代表者会議

((2010.12010.1)で、中温化技術の普及促進を採択)で、中温化技術の普及促進を採択

・・中温化技術に関する国際会議中温化技術に関する国際会議がが・・中温化技術に関する国際会議中温化技術に関する国際会議がが

開催されるなど、世界的に関心の開催されるなど、世界的に関心の

高い技術分野となっている高い技術分野となっている

2011.10 開催予定

《《中温化技術の開発年次中温化技術の開発年次》》

・・日本と欧州は、ほぼ同時期に室内実験を開始。試験施日本と欧州は、ほぼ同時期に室内実験を開始。試験施

工は日本が先行。米国は日本より8年遅れて開始。工は日本が先行。米国は日本より8年遅れて開始。

日本 (NIPPO) ヨーロッパ※2 アメリカ※2 備 考

1995年 (平成7年) 室内実験開始

1996年 (平成8年) 初の試験施工

1997年 (平成9年) 本格施工開始※1 COP3京都会議

1998年

1999年 (平成11年)

室内実験開始

初の試験施工

※1:実道における本格施工として「常磐自動車道」で実施

※2:Warm Mix Asphalt Best Practices、NAPA2008による

2000年

2001年

2002年 (平成14年) NAPA欧州調査

2003年 -

2004年 (平成16年) 初の試験施工

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海外の中温化技術海外の中温化技術海外の中温化技術海外の中温化技術

欧米における中温化技術の分類

使用燃料量(t/l)

加熱

Heating

乾燥

蒸発

Vaporization

乾燥

Drying

30 50 100 150 200温度(℃)

6

• Sasol Wax GmbH(ドイツ)の製品• Fischer-Tropsch parrafin wax

ワックス系Sasobit

sc e opsc pa a a- 石油精製プロセス(石炭ガス化)から製造

- 高融点、低針入度、高粘度、高分子重量

• 世界中で1,000万トン以上製造

• フレーク状,粉末状で利用可能

供給- 2、5、20と600kgで供給

ワックス系Sasobit• 重量あたり約3%添加

- 4%以上添加の場合は注意4%以上添加の場合は注意

- 低温時における性状に影響を与える

• 推奨する使用方法

- 攪拌状態のアスファルトとブレンド

- アスファルト混合物へは,固体状のものを添加しない

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有機添加物の作用

発泡系Aspha-Min

• Eurovia社で開発を使• ゼオライトを使用

- 多孔質の構造発達したシリカ- 空隙部に水分を保有- 結晶構造を崩さず水分を吸収/放出- 保持している水分は熱により放出

8

• 混合物重量に対し0.3%添加

保持している水分を高温時に放出

発泡系Aspha-Min

• 保持している水分を高温時に放出

- 85-182℃の温度域でアスファルトを発砲

- 粘度を低減

• Eurovia社の報告

製造温度を約30℃低減- 製造温度を約30℃低減

- 30%の燃料抑制

- 改質アスファルトにも適用

発泡系Aspha-Min

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発泡系LEA(Low Energy Asphalt)

• LEOCO、Fairco、ELFFAGE社で開発

合材製造プロセスを活用し 製造温度低減• 合材製造プロセスを活用し、製造温度低減

• アスファルトバインダー:140~180℃• 粗骨材:145℃で加熱

• バインダー重量に対し、0.5%の添加剤を投入

被覆性および耐はく離性 向上-被覆性および耐はく離性の向上

• 非加熱細骨材を投入

• 最終的な混合温度:100℃以下

第一段階 第二段階

加熱アスファルト粗骨材を全

第三段階 第四段階 第五段階

加熱した粗骨材

粗骨材を全アスファルト量でコーティング

非加熱の細骨材を投入

細骨材の残留水分により、コーティングしているアスファルトが発泡

発泡したアスファルトが細骨材を被覆

全骨材が均一に混合される

Fairco社

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• 乳剤系中温化剤 ー アスファルト残留分70%• 化学添加物により混合性 被覆性 ワーカビ

乳剤系Evotherm

化学添加物により混合性、被覆性、ワ カビリティー、締固め性を改善

国内の状況国内の状況

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《中温化技術の種類》

混合性・締固め性は

アスファルト粘度(温度)に依存

中温化技術

中温化剤を使用

製造・施工温度条件を低減

① 発泡系

② 粘弾性調整系(A)

中温化技術

③ 粘弾性調整系(B)

④ 滑剤系

《《中温化技術の施工実績中温化技術の施工実績》》概ね300万m概ね300万m22

日本道路建設業協会調査

平成21年3月

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《《国内の状況国内の状況》》

1.日本道路建設業協会1.日本道路建設業協会

・・一般工法化に向けた対応一般工法化に向けた対応 (各社調査など)(各社調査など)

・・技術図書の作成技術図書の作成 (配合設計、管理・基準類)(配合設計、管理・基準類)技術図書の作成技術図書の作成 (配合設計、管理 基準類)(配合設計、管理 基準類)

・・各地整、各地整、NEXCONEXCOとの意見交換との意見交換

・・日本合材協会との意見交換日本合材協会との意見交換 (品質保証のスタンス)(品質保証のスタンス)

2.国土交通省2.国土交通省

東北地整 四国地整:試行工事終了東北地整 四国地整:試行工事終了・・東北地整、四国地整:試行工事終了東北地整、四国地整:試行工事終了

・・関東地整:試行工事2件予定関東地整:試行工事2件予定 (再生As、ポーラスAs)(再生As、ポーラスAs)

3.その他3.その他

・・官学民での「低炭素舗装技術検討会」の設立の動き官学民での「低炭素舗装技術検討会」の設立の動き

中温化技術に関する中温化技術に関する今後 展開今後 展開今後の展開今後の展開

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高度化に対する要望

地球温暖化問題

CO 排出削減- CO2 排出削減

中温化技術の開発 (国内施工実績:300万m2)

低炭素化への取り組み

- 更なる温度低減

改質アスファルトへの適用- 改質アスファルトへの適用

目的:中温化技術によるアスファルト混合物の更なる製造温

度低減の下限値引き下げ

(使用アスファルト:ストアス60/80、改質Ⅱ型、改質H型)

混合温度低減ための基本的考え方

中温化技術発泡系 粘度低減系(パラフィンなど)発泡系 粘度低減系(パラフィンなど)

ローラ転圧

アスファルト混合物

粗骨材細骨材+フィラービチュメン

微細泡 添加なし

添加あり

粘度

複合タイプの検討

微細泡中温化剤+粘度低減剤+反応硬化剤

混合物

温度

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検討のフロー

第1段階:粘度低減による状態確認

目視確認ー 目視確認

ー 針入度試験

ー タフネス・テナシティ試験

第2段階:混合性確認

ー アスファルト被覆率の評価

第3段階:混合物の品質確認

ー 空隙率

ー マーシャル安定度試験

温度低減とアスファルトの状態

混合温度まで溶かしたアスファルト(ストアス、改質Ⅱ型、改質H型)を金属容器に約50 g投入粘度低減剤(オイル系/パラフィン系)、発砲強化剤、中温化剤(30℃/50℃/複合タイプ)をアスファルトに添加化剤(30℃/50℃/複合タイプ)をアスファルトに添加

デジタル温度計の棒温度センサで温度を確認しながらアスファルトを攪拌・冷却し、アスファルトの状態を観察

例:ポリマー改質H型

粘性増 糸引き(太) ゴム状

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実験結果温度低減とアスファルトの状態

ストレートアスファルト 60/80温 度 (℃)

140 90 80 70100130 120

発泡強化剤

添加無し

粘度調整剤 (パラフィン系)

粘度低減剤 (オイル系)

中温化剤 (微細泡系30℃)

アスファルトの状態

60110粘性増 糸引き発生 糊状

中温化剤 (複合タイプ)

中温化剤 (微細泡系30℃)

中温化剤 (微細泡系50℃)

実験結果温度低減とアスファルトの状態

ポリマー改質Ⅱ型

80 70100温 度 (℃)

130 120140 90

粘度調整剤 (パラフィン系)

中 化剤 (微細泡系 ℃)

発泡強化剤

粘度低減剤 (オイル系)

添加無し

110 60

アスファルトの状態

粘性増 糸引き(太) ゴム状

中温化剤 (複合タイプ)

中温化剤 (微細泡系50℃)

中温化剤 (微細泡系30℃)

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実験結果温度低減とアスファルトの状態

ポリマー改質H型態

140 90 80 70100130 120温 度 (℃)

発泡強化剤

中温化剤 (微細泡系30℃)

粘度調整剤 (パラフィン系)

粘度低減剤 (オイル系)

添加無し

110

アスファルトの状態

60粘性増 糸引き(太) ゴム状

中温化剤 (複合タイプ)

中温化剤 (微細泡系30℃)

中温化剤 (微細泡系50℃)

160

180

ストアス60/80

改質

実験結果温度低減とアスファルトの状態

針入度試験

60

80

100

120

140

160

針入

度(1/10

mm

)

改質Ⅱ型

改質H型

0

20

40

60

添加無し 粘度低減剤(オイル系)

粘度低減剤(パラフィン系)

発砲強化剤 中温化剤(微細泡30℃)

中温化剤(微細泡50℃)

中温化剤(複合タイプ)

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温度低減とアスファルトの状態

タフネス・テナシティ試験

ストアス60/80 改質Ⅱ型 改質H型タフネス(N・m)

テナシティ(N・m)

タフネス(N・m)

テナシティ(N・m)

タフネス(N・m)

テナシティ(N・m)(N・m) (N・m) (N・m) (N・m) (N・m) (N・m)

添加無し 4.4 0.5 24.9 19.6 25.8 19.6粘度低減剤(オイル系) 2.4 0.2 13.2 12.4 16.4 14.3粘度調整剤

(パラフィン系) 5.6 0.5 18.8 12.6 21.5 13.0

発砲強化剤 2.3 0.3 12.8 12.0 15.0 12.3発砲強化剤 2.3 0.3 12.8 12.0 15.0 12.3中温化剤(30℃) 4.2 0.5 23.4 18.8 25.1 19.0

中温化剤(50℃) 4.0 0.5 23.7 19.9 23.0 17.7

中温化剤(複合タイプ)

4.3 0.5 24.5 19.2 24.8 19.6

温度低減と混合性

中温化剤添加の有無によるアスファルトの骨材被覆率をアスファルト種別に評価

混合時間時間を統一し、5名の研究員による目視評価を実施

添加無し 中温化剤(50℃タイプ)添加 中温化剤(複合タイプ)添加

被覆率 36% 被覆率 83% 被覆率 97%

18

120%

)複合タイプ

温度低減と混合性- ストレートアスファルト 60/80 -

60

80

100

ファ

ルト

被覆

率(%

微細泡系

30℃低減タイプ

微細泡系

中温化剤

添加無し

20

40

90110130150170190

アス

混合温度 (℃)

微細泡系

50℃低減タイプ

温度低減と混合性- ポリマー改質Ⅱ型 -

120

%)

複合タイプ

60

80

100

ファ

ルト

被覆

率(%

微細泡系

30℃低減タイプ

微細泡系

中温化剤

添加無し

20

40

90110130150170190

アス

混合温度 (℃)

微細泡系

50℃低減タイプ

19

120%

)複合タイプ

温度低減と混合性- ポリマー改質H型 -

60

80

100

ファ

ルト

被覆

率(%

中温化剤

微細泡系

微細泡系

30℃低減タイプ

20

40

90110130150170190

アス

混合温度 (℃)

添加無し

微細泡系

50℃低減タイプ

温度低減と混合物の品質 -空隙率-

22

24

反応硬化剤を

添加した場合

18

20

22

空隙

率(%

添加した場合

●標準値

(通常の温度条件)

ポーラスアスファルト混合物

(ポリマー改質H型)

合 度

中温化剤・複合タイプ

16

0 5 10 15 20 25粘度低減剤の添加量 (対As重量%)

混 合 温 度:110℃

締固め温度: 90℃(反応硬化剤無しの場合)

20

温度低減と混合物の品質 -マーシャル安定度-

8

10

(kN

ポーラスアスファルト混合物

(ポリマー改質H型)

混 合 温 度:110℃

締固め温度: 90℃

2

4

6

マー

シャ

ル安

定度

標準値 (通常の温度条件)

反応硬化剤を

添加した場合

中温化剤・複合タイプ

0

2

0 5 10 15 20 25

粘度低減剤の添加量 (対As重量%)

(反応硬化剤無しの場合)

まとめ

中温化剤(複合タイプ)の使用により、粘性の増加を90~100℃付近まで抑えられることを確認した90 100℃付近まで抑えられることを確認した

改質H型を使用し混合温度を50℃低下させた場合でも

中温化剤(複合タイプ)の使用により良好なアスファルト被覆状態を確保した

微細泡系をベースに性能向上を図った中温化剤(複合タイプ)は、アスファルト混合物の製造温度を110℃程度タイプ)は、アスファルト混合物の製造温度を110℃程度までに低減できる可能性がある

中温化技術には、まだ改善できる余地が残されている