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2016.3 金属資源レポート 109 2016年 世界の探鉱動向 PDAC(Prospectors & Developers Association of Canada)国際会議でのSNL Metals & Miningによる特別 報告― SNL Metals & Mining (809)

2016 - JOGMEC金属資源情報mric.jogmec.go.jp/.../2016-03/vol45_No6_04.pdf · 2016-03-30 · 110 2016.3 金属資源レポート 本資料は、SNL Metals & Mining社が、2016年3月

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2016年

世界の探鉱動向

2016.3 金属資源レポート 109

2016年 世界の探鉱動向―�PDAC(Prospectors�&�Developers�Association�of�Canada)国際会議でのSNL�Metals�&�Miningによる特別報告―

SNL Metals & Mining

(809)

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2016年

世界の探鉱動向

2016.3 金属資源レポート110

本資料は、SNL Metals & Mining社が、2016年3月にカナダのトロント市において開催されたPDACにおいて発表した「WORLD EXPLORATION TRENDS 2016 - A Special Report from SNL Metals & Mining for the PDAC International Convention-」を、同社の許可を得てJOGMECバンクーバー事務所において翻訳したものです。著作権は全てSNL Metals & Mining社に属します。

世界の探鉱動向2015年を通して、世界経済への深まる懸念が資源

セクターを直撃した。2016年は、1月最初の丸一週間で2兆3,000億US$以上の世界的な株価暴落が起こり、同じく手痛い幕開けとなった。米国の堅調な雇用統計をよそに、投資家は中国経済の低迷、人民元の下落、原油価格の値崩れに恐れをなし、鉱業界の総合時価総額は2009年以降見られることのなかった水準にまで低下した。

SNL Metals & Mining発行のCorporate Exploration Strategies(CES)報告書第26版は、2015年の鉱業界の非鉄金属探鉱総予算額が19%減少して92億US$となり、世界の探鉱部門の苦境が改善されていないことを

明確に示している1。金属価格の低迷と中国の需要の衰退、それに堅強な金属生産と高レベルの政治的混乱等の要因が組み合わさったことが原因で、投資家が鉱業界を避けるようになったために、ほとんどの探鉱企業はさらなる支出削減を余儀なくされている。

不安定な世界経済ウォール街には「1月の市場がその年の市場を占う」

という格言があるが、不運にも、この1月は世界市場にとって、そして特に鉱業にとっては極めて厳しい月となった。12月中、米国での予想を上回る29.2万件の追加雇用の発表を受けて、2016年のS&P500指数は当初上昇していたのにもかかわらず、最初の1週間で5%下降した。FTSE全世界指数は5.6%下降し、1994年の同指数創設以来最悪な年明け5日間であり、2011年以降、全体的に最悪な1週間となった。

それにもかかわらず、モルガン・スタンレーは「小休止の年」になるとして、年初来の価格の動きが示唆するような屈服ではなく、中国が牽引するコモディティ需要の拡大がわずかに減少するに過ぎないと予測した。しかしながら、モルガン・スタンレーのエコノミストは、「リスクが下落傾向に傾いた」として、2016年および2017年の中国のGDP成長見通しをそれぞれ6.7%および6.6%に下方修正した。

ハーバード大学ケネス・ロゴフ(Kenneth Rogoff)教授は、1月にダボスで開催された世界経済フォーラムで、世界経済は継続的な回復と世界的な金融危機との間で不安定に均衡した状態であると警告した。また、国際通貨基金(IMF)のモーリス・オブストフェルド(Maurice Obstfeld)チーフエコノミストも「新興市場における厳しい調整が待ち構えている」とコメントし、この見解に同意した。

石油価格が2003年以降初めて27US$/bblを下回り、1月20日にFTSE全世界指数が「弱気相場」領域に落ち込んだことで、市場はこれに注目し、世界の株式市場は総崩れとなった。投資家は安全な国債、そして英国では普通株へと逃れ、フランスと日本は2015年の両国の高値を20%以上も下回った(弱気相場の一般的な定義)。

ダボスでの会議終了までに、ムーディーズはエネルギー企業120社と鉱山企業55社を正式に「見直し

(under review)」とした。中国経済の失速によるコモディティ価格の下落を決定要因として挙げ、石油価格は2014年半ばに115US$/bblのピークに達して以降75%も下落したことからエネルギー企業に焦点を合わせた。

国際株式価格は、欧州中央銀行(ECB)が新たな一連の金融刺激策を発表した後に回復した。ECBのマ

1 �SNL�Metals�&�MiningのCES調査で使用されたデータは、調査対象各社の多大な協力によって得られたものである。同調査で取り上げられた個別の非鉄金属探鉱予算には、金、ベースメタル、白金族金属、ダイヤモンド、ウラン、銀、レアアース、カリ/リン酸塩、およびその他多くの硬岩金属が含まれる。しかし、鉄鉱石、石炭、アルミニウム、石油・ガス、および多種の工業鉱物に関する探鉱予算は意図的に除外されている(本報告書全体を通じて、過去の探鉱に関連する数値はすべて当時の金額をそのまま使用しており、インフレを考慮した調整は行っていない)。

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2016.3 金属資源レポート 111

リオ・ドラギ(Mario Draghi)総裁は、より大幅な量的緩和を「検討中」であることを認めた。

より安定した石油価格と日本銀行による突然のマイナス金利導入により、市場は1月末にさらに上昇したものの、2月にはFTSE全世界指数が年初から7%減となった。

近年、鉱業界は投資家から低い評価を受けていただけに、1月下旬の回復は歓迎された。図8が示すように、業界の合計時価総額は12月末までに8,740億US$まで下落した(上場企業約2,600社に基づく)。その後さらに業界の価値は1月末までに8,000億US$を下回った。1929年以降のほぼ4分の3の年では、1月の不振の後、その年末までS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが下降していることから、この1月の出来高は憂慮すべきである。

弱気相場ソシエテ・ジェネラル(Société Générale)銀行の

アナリストで悲観論者として有名なアルバート・エドワーズ(Albert Edwards)氏は、1月に「世界的なデフレと不況」について警告した。彼は、「連邦政府の量的緩和の失敗」の間接的な結果として、米国の株式価値が4分の3近く喪失する恐れがあると予測している。また、中央銀行が不適切な金融政策で経済活動を支えようとしたことによって、投資家が「ひどい報いを受ける(reap the whirlwind)」とも論じている。

ソシエテ・ジェネラル銀行の別のアナリスト、ロビン・バー(Robin Bhar)氏は、1月中旬に、金融市場における悲観的な展開は地政学的な緊張によって悪化したとコメントした。バー氏は、中国と新興市場に対する懸念によって2016年第1四半期のベースメタル価格に厳しい圧力がかかると予測している。さらなる価格低下が一層深刻な供給反応を引き起こし、最終的には緩やかな回復へ向かうはずだとも述べた。バー氏は、需要動向が前向きであることや、埋蔵量の枯渇によりいずれは需給が供給不足状態に戻ることから、価

格はこの先2年間で徐々に回復すると予測している。現行プロジェクトの供給パイプラインを考えると、

鉱山でのベースメタルの生産量(ボーキサイトを除く)は、2018年頃にピークに達すると見られる。バー氏は、

「その後、価格の上昇によって投資を刺激し、高コストプロジェクトからの生産にインセンティブを与えない限り、生産量は加速度的に減少する」と予測している。

世界銀行の見解世界銀行は、1月末に公表した『Commodity Markets

Outlook』の最新版の中で、今年の金属価格は、「頑なに高い水準が維持されている」金属供給によってさらに10%減少すると予測している。

世界銀行のこの予測の前には、2015年第4四半期における金属価格が8%減少したが、世界銀行はこれを中国経済の成長鈍化や採掘鉱物の全体的な増加が主な原因とした。2015年に世界銀行のコモディティ価格指数は21%低下し、同年末には2011年2月のピークを55%下回る結果となった。

世界銀行は鉄鉱石が最も大きな打撃を受けると予測している。2016年には価格がさらに25%下落し、予想以上に中国経済の減速が進んだ場合、または生産量が予想以上に増加した場合は、さらに落ち込むと見込まれる。

中国の建設の低迷と新たな供給開始により、銅もまた下落すると見込まれる。世界銀行は、2016年に銅価格が上昇するには、より大きな鉱山が閉山する必要があるとコメントした。

2015年を振り返って2015年は7種類の主要な鉱物コモディティにとって

厳しい年であった。強いUS$での評価にもかかわらず、鉄鉱石とニッケルの価格は年間で約40%、亜鉛、銅、石炭は20%以上、またアルミニウムは17%超、そして(従来資金の避難先である)金までも10%近く下落した。

左軸:   ニッケル(US$/t)右軸:   アルミニウム(US$/t)   金(US$/oz)   亜鉛(US$/t)

左軸:   石炭*(US$/t)   鉄鉱石(62%Fe、微粉鉄鉱石, 天津港CFR価格; US$/t)右軸:   銅(US$/t)

図1.2011〜2015年までの5年間の価格変動*�一般炭:6,000kcal/kg、50mm、南アフリカ・リチャーズベイ港出しFOB価格

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しかしながら、2015年末はほとんどの鉱物コモディティの価格が上昇し、特に鉄鉱石は年末最後の10取引日で11%近く上昇した。鉄鉱石は12月11日の安値38.3US$/tと比べて43.6US$/tまで上昇して2015年を締めくくった。最終週での例外は、0.7%減の1,060US$/oz(2015年平均は1,161US$/oz)となった金と、1.8%減の1,513US$/tとなったアルミニウムだけであった。

2015年には他企業と比べて石炭企業が特に痛手を被り、ダウ・ジョーンズ石炭指数(235社)は年始から79%減少し、総計時価総額1,904億US$で一年を締めくくった。

フィナンシャル・タイムズのサトヤジット・ダス(Satyajit Das)氏による記事は、2015年の価格低下は取引可能なコモディティ等価物への変換が増加したことで悪化したと論じた。ダス氏は著書『A Banquet of Consequences』(米国ではタイトル『The Age of Stagnation』で出版)の中で、将来の金属売上から得られるキャッシュフローが収益化され、資金調達の拡大のための負債が増加していると述べている。この債務返済の必要性が、生産レベルを人為的に高く維持させている。

2015年におけるロンドン金属取引所(LME)での取引は4.3%減の1億6,960万ロットで、3,800Mtに相当し、その価値は11兆9,000億US$であった。LMEを所有する香港証券取引所は、2015年のアルミニウム取引は9.1%減の6,250万ロット、Aグレードの銅取引は前年とほぼ同様の4,100万ロットと報告した。2014年と比べて、取引量は錫が30.7%減、亜鉛が5.7%減、鉛が0.9%減となった。これに対して、ニッケル取引は6.9%増で2,070万ロットを記録した。

2015年は鉱業にとって最悪な一年となったが、M&Aでは記録的な年となった。同年の取引は4兆6,000億US$を超え、2007年のM&Aのピーク4兆3,000億US$を上回った。アナリストは、この急上昇は成長に対する渇望と資金調達不足が相まって引き起こされたと説明している。

ギャビン・デービーズ氏(Gavyn Davies)はフィナンシャル・タイムズで2015年を振り返り、思い返せば昨年のいくつかの主要な動向ははっきりしていたが

(石油価格の低迷、ユーロの下落、ドルの高騰、新興国の通貨の暴落)、多くの大規模投資家は急激な破綻をタイムリーに乗り切ることができなかったと評した。

デービーズ氏は、現地通貨が約2%回復していることから、2015年の世界的な株式の相対的な強さを指摘した。しかし、米ドル条件では収益がゼロにも満たなかったことから、2015年5月のピークに再び到達することはなかった。

コモディティ価格は全体的に3分の1近くまで急落し、最終的には金融市場も道連れとなった。この価格下落は、概して先進国市場の資産を下回っていた新興

市場にも影響を与えた(大型市場の優良株である中国の株式は複雑な例外)。

探鉱予算は緩やかなペースで減少鉱山会社は、探鉱活動の削減を継続することで市

場の逆風に対応した。その結果として、2015年の世界の非鉄金属探鉱予算は前年と比べて19%減少した。SNL Metals & Miningが入手できなかった予算推定額を加算すると、2015年の鉱業の非鉄金属探鉱予算総額は92億US$で、2012年の記録的な予算額である215億US$の半分にも満たなかった。

過去数年にわたる急激な探鉱予算の落ち込みは、鉱山部門全体に対する投資家の慎重な姿勢の高まりを反映しており、これによって、ほとんどのジュニア企業が資金調達に苦戦し、生産企業は集中的な設備投資計画や探鉱支出計画を正当化し難くなった。2015年を通して、悲観的な価格見通しが多くの生産企業を資産売却、操業停止、会社全体の経費削減に追い込んだ。

SNLによる2015年の世界探鉱予算の算定は、世界3,500社以上の鉱山会社および探鉱会社から収集したデータを基にしており、このうち1,800社近くがCES調査に探鉱予算を報告した。これらの企業(各社、最低10万US$の予算編成)だけでも、合わせて87億7,000万US$を非鉄金属の探鉱に割り当てており、SNLはこれが商業化を目指す世界の非鉄探鉱支出の95%を占めるものと推定している。

鉄鉱石探鉱は依然としてCESの調査範囲外であり、本報告書の分析でも触れていないが、SNLは2011年に鉄鉱石探鉱者についての情報収集を開始している

(CESの中核的対象鉱種に加えて、鉄関連の総予算についても企業を調査している)。

本来は同調査の範囲外である多くの鉄鉱石専業の生産者および探鉱者による割り当て分を含めて、SNLは2015年の鉄鉱石探鉱の総予算を9億3,900万US$と算出した。これは2014年の14億4,000万US$、2013年の17億4,000万US$、2012年の28億9,000万US$と比較すると減少している。鉄鉱石の予算とCESが扱うその他のコモディティ予算を合算すると、2015年の探鉱予算総額は97億1,000万US$に増加し、そのうち約10%が鉄鉱石関連である。

世界での探鉱の動向図2は、年間の加重平均金属価格指数と比較した、

1990年代初頭以降にSNLが推定してきた非鉄金属探鉱への年間計上予算額を示している。このグラフは、探鉱投資の周期性と、概して1年のタイムラグが見られる金属価格と探鉱支出の相関関係を示している。

1990年代初頭を通して、調査対象企業によって報告された総非鉄金属探鉱予算は着実に増加し、1997年には46億7,000万US$の最高額に達した。その後、金属価格が下落し、メジャー企業による大幅な支出削

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2016.3 金属資源レポート 113

減と合併、そして多くのジュニア企業の資金不足が相まって、探鉱予算は5年連続で減少し、2002年には12年間で最低の17億7,000万US$まで下がり、全体で62%を超える落ち込みとなった。

2002年の底入れ以降の初期の世界探鉱予算の上昇は、金価格の高騰やジュニア企業部門を復活させた投資家の関心の高まり、供給パイプラインに加えられる新規プロジェクトの不足を認識したメジャー企業による支出の増加、業界トップの統合が大幅に減少したこと等が組み合わさったことによるものであった。中国の資源需要増大の出現がもたらした数年間にわたる強気市場によって、2008年には世界探鉱予算総額が史上最高の137億5,000万US$に達し、6年前の最低水準時と比べて8倍近くの増加となった。

世界が過去数十年間で最悪の不況に陥った2008年9月、鉱業の好況期にも突然終止符が打たれた。結果として、2009年の探鉱支出は2008年の最高額から57億7,000万US$(42%)も減少し、1989年にSNLがCES調査を開始して以来、ドル金額と割合のいずれも対前年比で最大の減少となった。

ほとんどの金属価格は2009年初期に底入れし、業界は予想以上に急速に回復した。グローバル経済は2009年と2010年にわたって著しく改善し、2011年を通して金属価格はそのほとんどが長期平均をはるかに上回る高値で取引された。それに応じてほとんどの企業が積極的に探鉱予算を増額したことから、2010年の 業 界 の 予 算 総 額 は44%増 の115億1,000万US$、2011年にはさらに50%増の172億5,000万US$まで増

加した。変革の年となった2012年は、ほとんどが近年の最

高値またはそれに近い値となった金属価格や投資家の鉱業部門への比較的高い関心、業界が2007~2008年の好況期への回帰に盛り上がる兆候と共に幕を開けた。2012年の探鉱予算は19%増加し、史上最高の205億3,000万US$に達した。同年4月からは、投資家がジュニア企業部門に対して徐々に慎重になり始めたことで、多くの企業は現行プログラムのための資金調達に苦難し、当年度予算を下回る水準にまで実支出の切り詰めを強いられた。

2013年と2014年を通して、ジュニア企業への支援を敬遠する市場傾向がますます強まり、生産者は利益力強化のために設備投資や探鉱支出を削減した。その結果、2013年の探鉱予算総額は144億3,000万US$、2014年には107億4,000万US$となり、2012年の最高値と比較して48%近く急減した。

残念ながら、2015年初めには、多くが期待していたような本格的な回復の兆しは見られなかった。2014年以降、中国では5回にわたる金利引き下げや、国内市場の安定または成長の刺激を図る追加措置が実施されたものの、中国経済の失速は続き、資源をベースとする経済の多くがその道連れとなった。不確定な需要を考えると、2015年を通して実質的に全ての金属価格が落ち込み、探鉱の低迷が続くことは確実となった。2015年に、企業は予算をさらに18%減となる87億7,000万US$まで削減し、総予算額は2008~2009年の暴落以降初めて100億US$を下回ることになった。

SNL金属価格年次指数非鉄金属探鉱総額

非鉄金属探鉱(10億US$)

金属価格年次指数(1993年

=1)

図2.世界における推定非鉄金属探鉱予算総額の推移(1993〜2015年)

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カナダカナダ

米国米国

メキシコメキシコ

その他中南米諸国その他中南米諸国

ブラジルブラジルペルーペルー

その他地域その他地域

チリチリ

ヨーロッパヨーロッパ

ロシアロシア

中国中国旧ソ連諸国旧ソ連諸国

西アフリカ西アフリカ東アフリカ東アフリカ

DRコンゴDRコンゴ

南アフリカ南アフリカ

太平洋太平洋

大西洋大西洋

インド洋インド洋

オーストラリアオーストラリア

太平洋/東南アジア太平洋/東南アジア

図3.非鉄金属探鉱先の上位地域(2015年)

地域別の探鉱2015年の探鉱予算額は全地域で減少し、アフリカ

と中南米の予算額が最も減少した。それでもなお、中南米は引き続き最も人気の高い探鉱地域であり、2015年の全世界の探鉱支出の28%を呼び込んだ。チリ、ペルー、メキシコ、ブラジル、コロンビア、アルゼンチンの6ヵ国が、同地域の支出総額の大部分を占めている。

金が中南米のトップの探鉱対象鉱種に返り咲き、予算総額に占める割合は2014年の41%から42%に増加した。ベースメタルが占める予算総額の割合は42%から40%に減少した。

中国やロシアへの予算配分に加えて、2015年にそれぞれ7,000万US$以上の探鉱予算を呼び込んだトルコとカザフスタンの2ヶ国にも牽引されて、SNLの

「その他地域」グループ(ヨーロッパとアジアのほぼ全体)の総予算額は第2位となった。中国は同地域予算総額の32%を占め、過去5年間のうち4度目となる首位の座を獲得した。中国とロシアに大規模な予算配分が行われたことで、ベースメタルに代わって金が同地域のトップ探鉱対象鉱種となった。

アフリカは3年連続で第3位の座を維持し、世界の探鉱予算の約14%を集めたが、2015年の全地域のうち最大の落ち込み(30%減)を見せ、「その他地域」カテゴリーとの予算総額の差が、2014年の3億3,600万US$から4億8,000万US$まで拡大した。アフリカ

の主要探鉱地域には、DRコンゴ、南アフリカ、ブルキナファソ、ザンビア、ガーナが含まれる。金への予算配分は27%減少したが、アフリカ全体の予算総額に占める割合は41%から43%に上昇した。DRコンゴへの予算配分の減少が原因となって、ベースメタルの予算は39%減少した。

カナダは世界予算総額の約14%を集めて引き続き第4位となった。ON州はカナダの探鉱予算の4分の1を占め、QC州が17%でそれに続いた。金の探鉱予算は8,700万US$減にとどまり、カナダの予算総額に占める割合は46%から50%超に増加した。ベースメタルへの支出予定額は26%減少し、カナダの予算総額に占める割合は約19%から17%に低下した。

豪州は、2004年以降第5位を保持しており、2015年の予算総額は10億7,000万US$で、世界全体の12%を占めた。予算配分は2014年から15%減少(全地域中3番目に大きな減少)したが、第4位のカナダとの差は2億3,300万US$か ら1億1,700万US$に 縮 まった。 ただし、鉄鉱石の予算を考慮すると、豪州は引き続き国別で最大の探鉱対象国である。

WA州は、再び同国内で最も人気の高い探鉱先となり、同国予算総額の60%を占めた。探鉱対象鉱種のトップは依然として金で、実際予算総額は40万US$増加し、支出総額に占める割合は2014年の41%から48%へと上昇した。

米国は、金と銅の探鉱によって地域としては第6位

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2016.3 金属資源レポート 115

金資金調達

SNL社金属価格月次指数(2008年

5月=100)

資金調達額(100万US$)

ベースメタル/その他金属資金調達 SNL社金属価格月次指数

図4.ジュニア企業による大規模探鉱関連資金調達(2008〜2015年)

注:�探鉱関連資金調達額は、ジュニア企業がその全額または大半を探鉱に使用するとして調達した200万US$以上の資金が含まれている、主に買収、開発、あるいは債務返済に使用した資金は除く。資金調達データに含まれるのは貴金属とベースメタル/その他*の金属のみで、これはCES報告書でカバーしている探鉱支出の大部分を占めている。�

* �本報告書およびIndustry�Monitorの出版物では、金探鉱独特の動向の全容を明らかにするために、銀とPGMをベースメタル/その他金属カテゴリーに含めている。

重要な金の成果重要なベースメタル/その他金属の成果 探鉱向け資金調達総額

発表回数

資金調達額(100万

US$)

図5.金およびベースメタル/その他金属の有意義なボーリング結果 (2008〜2015年)

注:�SNL�Metals�&�Miningの月刊Industry�Monitorレポートは、同社のオンライン・データベースで報告されているように、2008年以降毎月重要な貴金属およびベースメタル/その他金属のボーリング調査結果を追跡している。有意義なボーリングには、新規発見や新鉱床ゾーン、周辺鉱床のほか、既存鉱化帯の拡大等、特定のプロジェクトや鉱床の資源ポテンシャルを増大させるすべてのボーリングが含まれる。

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2016.3 金属資源レポート116

を保持し、太平洋諸島を上回った。米国は全地域の中で2015年の減少率が最小(6%)で、太平洋/東南アジア地域との差は2014年の1億6,200万US$から2憶8,800万US$に拡大した。NV州が同国の2015年予算総 額 の 最 大 割 合(約42%)を 占 め、NV州、AZ州、AK州の3州合計では67%を占めた。金は探鉱対象鉱種として依然として人気を集めたが、それでも予算額は9%減少し、米国の予算総額に占める割合も58%で2014年の60%からわずかに減少した。ベースメタルの予算額は対前年比5%増となり、予算総額に占める割合を28%から31%に上昇させた。

ジュニア企業の苦闘が市場の現実を反映従来の鉱業の好不況の循環の影響を免れられない

ジュニア企業は、無視できない目先の不確実性に直面し続け、過去10年の歴史でも同部門の盛衰が記録されている。10年前、ジュニア企業は拡大する中国需要によって恩恵を受ける有利な立場にあり、上昇する金属価格から利益を得ようと必死の投資者によって支えられていた。世界探鉱予算に占めるジュニア企業の割合は、2007年に最高となる55%に達したが、その後、2008~2009年の金融危機によって2009年には同グループの割合は40%にまで減少した。市況はほと

んどのアナリストの予測をはるかに上回る速さで回復し、多くのジュニア企業は2010~2011年において投資家から強力な支援を確保することができた。

しかしながら、2012年中期にかけて次第に鉱業への投資が乏しくなり、多くのジュニア企業は同年後半に探鉱プログラムの縮小を余儀なくされた。もはや上昇する金の価格に支えらえることはなく、2013年にはジュニア企業の資本へのアクセスは減少し続け、同部門が調達した探鉱資金額はこの10年間で最低水準となった。2014年の初めの3四半期を通して調達された資金はわずかに増加したが、最悪の第4四半期は2016年へと続く長期的な探鉱融資不足の始まりとなった。

ジュニア企業部門の崩壊を回避しようとする確固たる努力が続けられおり、さまざまな業界団体が政府や投資家の支援を強く推進している。カナダのPDACは引き続き、同国の有望な北方地域におけるインフラ不足を補うに一役買う、新たな税制上の優遇措置やNorthern Infrastructure Bankの創設等、数々の財政政策ツールを実施するよう陳情している。2014年 に 探 鉱 開 発 刺 激 策(Exploration Development Incentive)が採用されるも、多くの豪州ジュニア企業は株式市場からの支援不足に対して脆弱なままであ

金の新規資源量の総価額

ベースメタル/その他金属の新規資源量の総価額 新規資源量の発表数資源の価額(10億US$)

発表数

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図6.新規資源量の価額(2008〜2015年)

注:�SNL�Metals�&�Miningの月刊Industry�Monitorレポートは、2008年以降毎月重要な貴金属およびベースメタル/その他金属の新規資源量を追っている。データベースには新規鉱床と新鉱床ゾーン両方の新規の推定が含まれる。この図、およびIndustry�Monitorサービスには、金探鉱独特の動向の全容を明らかにするために、ベースメタル/その他金属と共に銀およびPGMの成果が含まれている。

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2016年

世界の探鉱動向

2016.3 金属資源レポート 117

り、 採 鉱 探 鉱 会 社 協 会(AMEC: Association of Mining and Exploration Companies)は、探鉱の機会や資金へのアクセスを強化することを目的とした州および連邦政府によるイニシアチブを改善するよう提唱している。

多くのジュニア企業が最低限の資金で生き残ってきた中、既存産業または鉱業以外の新興産業での機会を利用することで探鉱部門から撤退する企業が増えつつある。市場感情における今後の上方移行は緩やかで起伏がある可能性が高く、ジュニア企業が実利を生むまでには時間がかかると見られる。したがって、SNLはジュニア探鉱企業の予算総額が2016年にさらに減少すると予測している。

安定したボーリングジュニア企業部門が困難に直面する中、ボーリン

グ調査を伴う進行中の案件数は過去2年間にわたり思いのほか安定しており、これは、ボーリング費用の低下に乗じて最も有望な資産で小規模なプログラムを継続している企業もあることを意味している。さらに、図5が示す通り、エクイティファイナンス不足にもか

かわらず、この活動による有意義なボーリング結果の報告数も2008~2009年の報告レベルを優に上回った状態を保っている。この安定にかかわらず、SNL Metals & Miningは、資金調達不足が続くことで2016年の探鉱活動は低下すると見ている。

SNL Metals & Miningの四半期報告書『State of the Market』に記す通り、2012年以降、探鉱ボーリングはプロジェクトの主要鉱種毎に変化しており、2015年の銅および金の活動中のプロジェクト数は2012年の水準と比較してそれぞれ23%および31%減少し、プロジェクト総数が25%減少した一因となった。この傾向に反して、亜鉛・鉛プロジェクトの進行中のボーリングプログラム数は27%増加し、ニッケルのプロジェクト数は過去4年間で2倍以上となった。

近年、探鉱企業は地理的焦点もシフトさせている。カナダと米国は、4年前の景気循環のピーク時には数々のプロジェクトが活動していたが、その活動中のプロジェクト数は2015年までに3分の1以下に減少した。中南米とアフリカでは、2015年にはそれぞれボーリングを実施したプロジェクト数が半減し、さらに厳しい状況となった。逆に、豪州のプロジェクトで

図7.重要なボーリング成果が得られた金およびベースメタル/その他金属のプロジェクトの位置(2015年)

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世界の探鉱動向

2016.3 金属資源レポート118

のボーリングプログラム数は、ボーリング総掘進長が減少したとの指摘をよそに、2012年から2015年にかけて1.5倍以上となった。

CESで記されている通り、1990年代以降、探鉱予算はグラスルーツ探鉱から転換しつつあり、現在の低迷はこの傾向をますます増幅させている。リスク回避が最優先とされる今、十分なレベルの埋蔵量を確保するために、企業は既存または新規の操業におけるボーリング活動に再び焦点を当てている。初期段階の探鉱に対する投資家の資金提供の継続的な減少は、業界の中長期的な供給パイプラインに影響を与えており、需要が高まり始めたときに業界として対応することが難しくなるであろう。

急減する新規資源量初期探鉱段階の資産における探鉱ボーリングが減

少を続ける中、新規資源量の発表数が思わしくなかったのも無理はない。図6が示す通り、新規資源量の発表数と価額は2008年と2012年にピークに達し、過去3年間に発表された新規鉱床数の少なさは、2008~2009年の金融危機後の激減レベルを越えた。

根強い不確実性、資金調達の問題、および新たな鉱化を標的としたボーリングプログラムの削減によって、2015年における新規資源量の発表は44件にとどまり、2014年の50件、2012年の168件から著しく減少した。SNLの方法論に照らすと、2015年に発表された新規資源量の価額は1,032億US$で、2012年に記録した3,665億US$を大幅に下回った2014年の1,306億

US$からさらに21%減少した。図10は、2015年に新しく発表された27件の金の新規資源量と17件のベースメタルおよびその他金属の新規資源量のその時点での原位置評価額(in situ value)および世界的分布を示しており、カナダの金プロジェクトとロシアの銅プロジェクト(Malmyzhプロジェクト)で、原位置評価額合計の3分の2近くを占めている。

重要なプロジェクトのマイルストーンSNLはまた、プロジェクトの「マイルストーン(転

換点となる出来事)」をモニターしている。楽観的な動きには、開山、期待できるプロジェクト判断、フィージビリティ・スタディ(FS)の開始が含まれる。一方、悲観的なマイルストーンにはFSの行き詰まりや拡張の中止、閉山が含まれる。

2015年の楽観的なマイルストーンは計54件で、2014年の96件および2010年の389件と比べて減少した。2015年は進展したプロジェクトが減少したにもかかわらず、こうした楽観的なマイルストーンから生まれた価額は1兆3,340億US$で2014年の1兆2,450億US$からわずかに増加したものの、2010年の8兆5,330億US$と比べると激減している。 一方で、2015年の悲観的なマイルストーンは計44件、評価額にして1兆2,780億US$相当だった。因みに、2014年の悲観的なマイルストーンは27件、評価額は7,520億US$だった。

図9に示す通り、業界全体での探鉱支出の削減が、多くのプロジェクトの進展を大幅に失速または延期させてきた。2016年にはさらなる生産量の削減が予測

鉱業時価総額総合時価総額(10億US$)

SNL社パイプライン活動指標および金属価格月次指数

パイプライン活動指標(PAI) SNL社金属価格月次指数

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図8.パイプライン活動指標(PAI)および業界時価総額(2008〜2015年)

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2016.3 金属資源レポート 119

され、その結果、埋蔵量補充に対するプレッシャーも減少することから、SNLは2017年までにプロジェクトを前進させる取り組みに際立った改善は見られないものと予測している。

供給パイプラインの動向国際的な鉱業界における探鉱および開発活動状況

の評価基準として役立つのが、SNLのパイプライン活動指標(PAI)である。PAIは、著しいボーリングの成果を発表したプロジェクト、新規資源量の報告、探鉱資金調達、プロジェクトの画期的成果等の数をデータとして取り入れている。PAIは2015年中期に急落し、4月には同年最低となる41となったが、2014年4月に記録した史上最低の40よりはわずかに高かった。PAIは2015年11月には69まで回復したが、12月に入ると急降下して年末には49となった(図8参照)。

図8では、PAIをSNL社金属価格月次指数やSNL社データベース上の企業の時価総額と対比させている。12月末時点で要件を満たす企業数は2,594社に減り、2015年最後の3か月間においては、毎月、産業の合計時価総額が減少した。

2015年末までには、鉱業界の合計時価総額は8,740億US$となり、2014年末より3分の1少なく、2011年4月の2兆4,150億US$からは64%の減少となった。最新の評価では、合計時価総額のうち86%は上位100社の大企業が占めている。前述のとおり、業界の市場での地位は1月にさらに後退を余儀なくされ、8,000億

US$を下回った。

今後の見通し3年連続の業界不振は終わりを迎えたが、初期兆候

は2016年中には回復の兆しが見出だせないことを暗示している。金属価格の低迷、ほとんどの金属での需要を上回る生産、高いレベルの国際的な政治的混乱、および中国経済の失速によって、無理もないことだが投資家は鉱業界、そしてまさに市場一般に対して慎重になっている。その結果として、SNLは探鉱投資に関してやや悲観的な見通しを維持し、2017年より前に探鉱予算が回復し始めることはないと見込んでいる。

過去3年間で、企業は大規模な事業の構造改革を行い、投資家を安心させられるように厳しい経済見通しに合わせて戦略を練り直してきた。初めのうちは支出の低減と利益幅の増加に取り組んでいたメジャー企業も、最近ではバランスシートの問題を解決するために事業の縮小(探鉱部門を含む)を余儀なくされている。必然的に本業の成長は鈍化し、グリーンフィールドプロジェクトの売却や保留につながった。

ほとんどのジュニア探鉱企業に対する長期に渡る資金調達機会の不足によって、支出の削減、契約の再交渉または不利な条件の受け入れ、一時的休業もしくは業界からの完全撤退を強いられている。市場感情がいずれ回復に向かい始めたとしても、回復はおそらく一時的なもので、ジュニア企業の資産の急速な再建を約束するものにはならないと見られる。したがって、

生産減少

ステ

ータ

ス変

更の

現地

資源

評価

額(10

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S$)

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図9.プロジェクトの段階別成果発表(2008〜2015年)

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2016年

世界の探鉱動向

2016.3 金属資源レポート120

SNLはジュニア探鉱企業の2016年の予算総額はさらに減少するものと予測している。

メジャー企業は、よりリスクの低いブラウンフィールドに相当集中させた探鉱プログラムを継続すると見られるが、SNLは、中には2016年に探鉱予算を削減し続ける高レバレッジ生産者もおり、それによって同カ

テゴリーでの総合的な探鉱への取り組みを低下させると考えている。それらの予測シナリオおよび現在の一般的な経済停滞を考慮して、SNLは2016年の企業探鉱予算総額は正味約15%減となると予測している。

(2016.3.10)

図10.主要な金およびベースメタル/その他金属の新規資源の位置(2015年)

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