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Ⅰ 調査の目的と実施要領 ---------------------------- 1
Ⅱ 調査結果
1 開業者の属性とキャリア ------------------------ 2
2 開業動機と事業の決定理由 ---------------------- 5
3 企業の属性 ------------------------------------ 7
4 開業費用と資金調達 ---------------------------- 9
5 開業後の状況と開業にかかる課題 ---------------- 11
6 現在の満足度と今後の方針 ---------------------- 14
Ⅲ まとめ ------------------------------------------ 15
2017 年 12 月 25 日
日本政策金融公庫
総 合 研 究 所
「2017年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~
<問い合わせ先>
日本政策金融公庫 総合研究所
小企業研究第一グループ
TEL 03-3270-1687
担当 藤原、井上
Ⅰ 調査の目的と実施要領
1 調査目的
日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業企業の実態を把握するため、1991年度から毎年「新規開業実態調査」を実施しており、
開業者の属性や開業費用など時系列で比較可能なデータを中心に蓄積してきた。
そこで、今年度実施した「2017年度新規開業実態調査」の結果とともに、過去のデータも用いながら、新規開業企業の実態がどの
ように変化してきたのか、その特徴を分析した。
2 実施要領
(1)調査時点 2017年8月
(2)調査対象 日本政策金融公庫国民生活事業が2016年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年
以内の企業6,706社
(3)調査方法 調査票の送付・回収ともに郵送、アンケートは無記名
(4)回 収 数 1,425社(回収率21.2%)
(5)経営形態 個人企業62.7% 法人企業37.3%(開業時)
3 アンケート回答企業の概要
2.1
29.4
51.1
13.3
4.1
平均14.6カ月
(n = 1,425)
0~6カ月
7~12カ月
13~18カ月
19~24カ月
25カ月
以上
開業からの経過月数(調査時点)
(単位:%)
38.9
21.8
12.2
7.4
17.0
2.6
1人
平均3.1人
(n = 1,397)
(単位:%)
開業時の従業者数
2人
3人
4人
5~9人
10人以上
資料:日本政策金融公庫総合研究所「新規開業実態調査」(以下同じ)
(注) 1 構成比は小数第2位を四捨五入して表記しているため、その合計が100%にならない場合がある(以下同じ)。
2 以下、調査年度を示していない図は2017年度調査による。
- 1 -
Ⅱ 調査結果
1 開業者の属性とキャリア
~開業時の平均年齢は上昇が続く~
○ 開業時の年齢は「30歳代」が34.2%と最も高く、次いで「40歳代」が34.1%を占めている(図-1)。開業の主要な担い手となって
いるのは「30歳代」「40歳代」である。
○ 開業時の平均年齢は42.6歳となった。2013年度以降、平均年齢は5年連続で上昇している。
図-1 開業時の年齢
14.5
14.1
14.7
13.4 13.2
13.0
15.0 15.2
12.1 12.1
11.0
13.4
11.8
10.3
9.9
8.3
11.3
9.5
9.1
8.7
8.2
9.8
8.1
7.6 7.4
7.1
8.1
39.8
38.5
37.8
39.0
36.9
37.9
37.0
35.6
36.1
32.2 34.4
35.4
36.5
33.4
31.9
34.2
39.5
38.9
38.5
35.6
39.2
39.4
40.2
38.6
35.8
35.3
34.2
34.1
36.7
34.3
34.3
36.0
34.9 32.6
31.7
30.4
31.9
29.2
28.3
26.4
27.3
27.7
29.1
24.3
28.4
26.5
29.2
28.4
28.3
29.8
30.5
34.2
34.5
34.1
9.3
9.0
11.8
11.1
11.5 12.3
12.8
14.6
18.8
21.1
21.5
19.1
21.1
23.2
24.1
23.1
20.5
18.4
19.4
18.9
17.7
16.9 15.5
17.4
15.4
16.9
16.9
2.2
1.7
1.4
2.1 2.3
1.7
2.6
2.9
2.6
2.7
3.9 3.8
4.2
5.8
6.4
5.3
4.3
4.8
6.5
7.7
6.6
5.6
6.5
5.9
7.1
6.2
6.6
0
20
40
60
80
100
1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
60歳以上
50歳代
40歳代
30歳代
29歳以下
(調査年度)
(%)
38.9 38.9
39.2 39.2
39.7
39.6 39.6
40.2
40.9
41.6
41.8
40.9
41.4
42.6
43.0
42.9
41.4
41.5
42.1
42.6
42.0
41.4
41.7
42.1
42.4
42.5
42.6
37
38
39
40
41
42
43
44
1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
0
(歳)
(平均年齢の推移)
(調査年度)
- 2 -
~女性の割合は調査開始以来最高~
○ 開業者に占める女性の割合は18.4%である(図-2)。女性の割合は増加傾向にあり、調査開始以来、最も高い割合となって
いる。
○ 最終学歴は、「大学・大学院」の割合が37.5%と最も高く、「高校」が27.5%、「専修・各種学校」が26.1%と続いている(図-3)。
図-2 性 別
図-3 最終学歴
87.6
87.1 87.1
85.3
86.7 86.8
85.1
86.4
87.5
85.6
84.7
86.0 86.2
83.983.5 83.5
84.5 84.5
85.5
84.5
85.0
84.3
84.9
84.0
83.0
81.881.6
12.4
12.9 12.9
14.7
13.3 13.2
14.9
13.6
12.5
14.4
15.3
14.0 13.8
16.1
16.5 16.5
15.5 15.5
14.5
15.5
15.0
15.7
15.1
16.0
17.0
18.2 18.4
0
20
40
60
80
100
1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
(%)
7.4
8.0
8.6
7.6 7.5
5.7
6.9
6.2
6.4
5.0
7.1
6.2
6.6
5.6
6.0
3.6
5.8
5.0
5.5
3.5
3.0 3.2
4.0
3.6
3.0
40.7
40.8 39.4
40.9 41.5
42.2
39.5
40.0
38.0
35.9
36.5
37.9 37.0
36.4
34.5
35.0
35.0
33.2 32.0
31.3
30.4
27.7
28.7
30.6
27.5
16.5
17.2
18.0
12.9
13.2 15.5
18.4
15.3
14.9
15.1
15.1
16.4 17.6
17.4
17.5
21.5
20.1
21.3
19.1
24.3
23.9
26.6
24.8
24.0
26.1
4.3
3.8 3.9
7.5
7.4
7.1
4.1
3.8
7.2
7.6
5.5
4.2
3.8
4.6
5.4
5.2
4.6
4.5
5.3
4.3
4.8
4.6
5.8 4.9
5.7
30.6
29.6 29.5
30.8 29.7
29.1
30.5
33.8
32.9
35.2
34.4
34.3
34.6
35.5
36.4
34.0
34.2
35.9
37.9
36.2
37.8 37.8
36.7
36.9
37.5
0.0 0.6 0.6
0.3
0.7
0.3
0.7 1.0
0.6
1.2
1.3 0.9
0.3
0.5 0.2
0.6
0.2 0.1
0.2 0.4
0.1 0.1 0.1 0.1 0.2
0
20
40
60
80
100
1992 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 12 13 14 15 16 17
短大・高専
その他
大学・
大学院
専修・
各種学校
中 学
高 校
(調査年度)
(%)
(調査年度)
男 性
女 性
(注) 1 1991年度の調査の選択肢には「短大」が含まれていないため、結果を掲載していない。また、2011年度調査では最終学歴を尋ねていない。
2 1992年度の調査の選択肢には「その他」がない。また、1999~2002年度調査の「その他」には「海外の学校」が含まれる。
- 3 -
~実務経験を有する分野で開業~
○ 開業直前の職業は、「正社員(管理職)」の割合が40.8%と最も高く、次いで「正社員(管理職以外)」が31.9%を占める
(図-4)。「正社員(管理職)」の割合はやや低下したものの、依然として占める割合は大きい。
○ 勤務キャリアは、「勤務経験」がある割合が98.7%、「斯業経験」がある割合が84.8%である(図-5)。経験年数の平均は「勤務経
験」が19.3年、「斯業経験」が14.1年であり、多くはビジネス経験をもって開業している。また、「管理職経験」がある割合は
69.9%で、経験年数の平均は9.8年である。
図-4 開業直前の職業
図-5 勤務キャリア
(単位:年)
勤務経験 斯業経験 管理職経験 経営経験
9.2
7.0
19.3
18.0
平均値
中央値
14.1
12.0
9.8
8.0
14.8 14.5
14.8
13.9
12.0
14.2
12.2
11.3
12.2
14.6 14.5
13.3
12.0 12.2
12.4
13.1
10.9
13.1
13.7
13.0 13.0
10.7 10.7
10.2
11.3
10.4
10.0
35.0
36.3
36.5
35.2
35.2
37.6
31.5
37.1
36.1
36.8
36.6
34.6
42.1
37.4
36.1
37.2
39.8
38.2
38.4
45.2
38.0
41.2
44.7
44.9
40.7
45.1
40.8
39.5
36.7
39.5
41.9
36.4
36.2
47.1
42.2
40.9
38.5
36.5
40.1
30.4
34.7
33.5
32.6
33.6
33.9
32.9
26.3
31.3
31.0
28.8 29.2
29.4
28.5
31.9
1.5
2.9
3.3
3.0
3.2
2.6
3.6
3.2
4.2
5.3
6.9
4.9
7.4
5.6
8.0
7.6
8.7
7.8
8.0
8.5
8.7
9.4
8.8
9.2
10.6
10.8
9.1
9.1
9.5
5.8 5.9
13.2
9.4
5.5
6.2 6.7
4.8
5.5
7.2
8.0
10.2 9.8
9.5
7.0 7.0 6.9 7.1
9.1
7.7
7.1
6.4
8.0
5.2
8.3
0
20
40
60
80
100
1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
会社や団体の
常勤役員
正社員
(管理職)
正社員
(管理職以外)
非正社員
その他
(調査年度)
(%)
(注)1 「非正社員」は「パートタイマー・アルバイト」と「派遣社員・契約社員」の合計である。ただし、1991~1994年度および2004年度調査では選択肢のなかに「派遣社員・契約社員」が
ない。また、1995~1999年度調査の選択肢は「派遣社員・契約社員」ではなく「派遣社員」である。
2「その他」には「専業主婦・主夫」「学生」が含まれる。
98.7
84.8
69.9
14.2
0
20
40
60
80
100
勤務経験あり 斯業経験あり 管理職経験あり 経営経験あり
(%)
【経験割合】
【経験年数】
(注)1 「斯業経験」は現在の事業に関連する仕事をした経験、「経営経験」は現在の事業を始める前に事業を経営した経験(すでにその事業をやめている場合を含む)。
2 経験年数の平均値・中央値は、経験がある人だけを集計。
- 4 -
2 開業動機と事業の決定理由
~最も多い開業動機は「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」~
○ 開業直前の勤務先を離職した理由は、「自らの意思による退職」が81.0%を占める(図-6)。「勤務先の倒産・廃業」「事
業部門の縮小・撤退」「解雇」を合わせた「勤務先都合」による離職は8.2%となった。
○ 開業動機は、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」(52.8%)、「自由に仕事がしたかった」(49.0%)、「収入を増やし
たかった」(44.4%)の順に多い(図-7)。
図-6 開業直前の勤務先からの離職理由
図-7 開業動機(三つまでの複数回答)
勤務先の
倒産・廃業
事業部門の
縮小・撤退
解雇その他
自らの意思による退職
(単位:%)
(調査年度)
(注) 「その他」は「定年退職」「退職していない」を含む。「勤務先都合」とは「勤務先の倒産・廃業」「事業部門の縮小・撤退」「解雇」の合計である。
45.0
46.5
49.8
37.6
33.1
30.4
15.0
11.7
6.5
5.6
7.5
47.6
50.6
47.4
37.6
29.8
26.7
14.0
12.9
8.9
6.0
8.1
52.8
49.0
44.4
37.6
30.3
28.9
14.9
10.6
8.3
5.4
9.6
0
10
20
30
40
50
60
そ
の
他
2017年度
2016年度2015年度
(%)
資
格
を
生
か
し
た
か
っ
た
仕
事
の
経
験
・
知
識
や
収
入
を
増
や
し
た
か
っ
た
し
た
か
っ
た
ア
イ
デ
ィ
ア
を
事
業
化
自
分
の
技
術
や
仕
事
が
し
た
か
っ
た
社
会
の
役
に
立
つ
ゆ
と
り
が
欲
し
か
っ
た
時
間
や
気
持
ち
に
仕
事
が
し
た
か
っ
た
年
齢
や
性
別
に
関
係
な
く
仕
事
に
興
味
が
あ
っ
た
事
業
経
営
と
い
う
自
由
に
仕
事
が
し
た
か
っ
た
82.7
82.6
81.0
4.4
4.1
4.1
3.2
3.8
3.0
1.5
1.1
1.2
8.2
8.4
10.7
2015
2016
2017
勤務先都合 8.2
生
か
し
た
か
っ
た
趣
味
や
特
技
を
適
当
な
勤
め
先
が
な
か
っ
た
- 5 -
~事業の決定理由で最も多いのは「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」~
○ 現在の事業に決めた理由は、「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」(43.6%)、「身につけた資格や知識を生かせる
から」(21.5%)、「地域や社会が必要とする事業だから」(14.1%)の順に多い(図-8)。
○ 開業者の性別ごとにみると、「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」は、男性、女性ともに最も多い(図-9)。
図-8 現在の事業に決めた理由
図-9 現在の事業に決めた理由(開業者の性別)
44.6
22.2
13.4
9.7
4.5
2.4
1.1
0.4
1.8
39.5
18.8
17.2
8.6
5.5
5.9
1.6
0.4
2.7
0
10
20
30
40
50
60
そ
の
他
女性
男性
生
か
せ
る
か
ら
経
験
や
技
能
を
こ
れ
ま
で
の
仕
事
の
知
識
を
生
か
せ
る
か
ら
身
に
つ
け
た
資
格
や
事
業
だ
か
ら
必
要
と
す
る
地
域
や
社
会
が
事
業
だ
か
ら
成
長
が
見
込
め
る
見
つ
け
た
か
ら
ア
イ
デ
ア
や
ヒ
ン
ト
を
新
し
い
事
業
の
生
か
せ
る
か
ら
趣
味
や
特
技
を
で
き
そ
う
だ
か
ら
経
験
が
な
く
て
も
活
用
で
き
る
か
ら
不
動
産
な
ど
を
(%)
(%)
47.2
21.0
14.4
7.2
3.2
3.7
1.4
0.6
1.3
43.6
21.5
14.1
9.5
4.6
3.0
1.2
0.4
1.9
0
10
20
30
40
50
60
そ
の
他
2017年度
2016年度
生
か
せ
る
か
ら
経
験
や
技
能
を
こ
れ
ま
で
の
仕
事
の
知
識
を
生
か
せ
る
か
ら
身
に
つ
け
た
資
格
や
事
業
だ
か
ら
必
要
と
す
る
地
域
や
社
会
が
事
業
だ
か
ら
成
長
が
見
込
め
る
見
つ
け
た
か
ら
ア
イ
デ
ア
や
ヒ
ン
ト
を
新
し
い
事
業
の
生
か
せ
る
か
ら
趣
味
や
特
技
を
で
き
そ
う
だ
か
ら
経
験
が
な
く
て
も
活
用
で
き
る
か
ら
不
動
産
な
ど
を
- 6 -
3 企業の属性
~地域に密着して事業を展開~
○ 開業業種は、「サービス業」(23.3%)、「医療、福祉」(19.6%)、「飲食店、宿泊業」(14.2%)の順に多い(図-10)。
○ フランチャイズ・チェーンに加盟している企業の割合は、6.7%である(図-11)。
○ 商圏の範囲は、「事務所や店舗の近隣」が13.9%、「同じ市区町村内」が36.4%を占める(図-12)。約半数の企業が地域に
密着して事業を展開している。
図-10 開業業種 図-11 フランチャイズ・チェーン加盟企業割合
図-12 商圏の範囲
(%)
7.2
6.3 6.4
8.6 8.5
8.9
3.2
4.5
3.5
4.1 4.4
4.2
2.7
2.6
2.5
2.6
1.6
2.22.2
2.5
1.8
2.0
1.9
2.7
7.2 6.1
5.5
5.1
5.6
4.6
14.6
10.6
13.2
11.9
9.4
11.9
4.2
4.8
3.7
3.7
4.5
4.1
12.9
15.1
14.9
15.9
15.8
14.2
19.8
19.6
21.9
19.5
18.0
19.6
2.6
3.4
3.2
2.6
2.9
3.6
22.0
23.6
22.2 23.2
26.2
23.3
1.5
0.9
1.2
0.7
1.1
0.7
0
20
40
60
80
100
2012 13 14 15 16 17
5.7
5.8
7.3
7.1 7.1
6.7
0
2
4
6
8
10
2012 13 14 15 16 17
(調査年度)
(調査年度)
(%)
卸売業
建設業
製造業
情報通信業
運輸業
小売業
不動産業
飲食店、
宿泊業
医療、福祉
教育、
学習支援業
サービス業
その他
13.9
36.4
21.1
12.0
15.7
0.9
0
10
20
30
40
同
じ
市
区
町
村
内
同
じ
都
道
府
県
内
近
隣
の
都
道
府
県
日
本
国
内
海
外
(%)
店
舗
の
近
隣
事
務
所
や
50.3
- 7 -
~開業時の平均従業者数は減少~
○ 開業時の平均従業者数は3.1人であった(図-13)。3年連続で減少し、調査開始以来、最も少なくなっている。
○ 調査時点の平均従業者数は4.5人で、開業時からの増加数は1.4人であった(図-14)。
○ 開業時と調査時点の平均従業者数の内訳をみると、「常勤役員・正社員」が0.7人から1.2人、「パートタイマー・アルバイト」が
1.0人から1.8人となっており、それぞれ0.5人、0.8人増えている。
図-13 開業時の平均従業者数
図-14 開業時と調査時点の平均従業者数
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
0.4
0.3
0.4
0.3
0.4
0.3
1.2
0.7
1.2
0.8
1.3
0.8
1.8
1.0
1.7
1.1
2.0
1.4
0.2
0.1
0.3
0.1
0.3
0.1
調査時点
開業時
調査時点
開業時
調査時点
開業時
(単位:人)
2016
(14.6カ月)
経営者本人
家族従業員
パートタイマー・
アルバイト
派遣社員・
契約社員
常勤役員・
正社員
<平均3.6人>
<平均4.5人>
<平均5.1人>
<平均3.4人>
<平均4.6人>
<平均3.1人>
増加数
1.4人
増加数
1.2人
(注)1 ( )内は調査時点における開業からの経過月数の平均である。
2 値は小数第2位を四捨五入して表記しているため、同じ値でもグラフの長さが異なったり、内訳の合計と平均および平均の差と増加数が一致しなかったりする場合がある。
2015
(14.7カ月)
増加数
1.4人
(調査年度)
2017
(14.6カ月)
3.8
4.0
3.6
3.7
3.9
4.0
4.2
3.8
4.1
3.9
4.2 4.2
4.3 4.3 4.3
4.4
3.9
4.1
3.8
4.4
3.9
4.0
3.7
4.0
3.6
3.4
3.1
0
1
2
3
4
5
1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
(調査年度)
(人)
- 8 -
4 開業費用と資金調達
~「500万円未満」で開業する割合が増加~
○ 開業費用の分布をみると、「500万円未満」の割合が37.4%と最も高く、次いで「500万~1,000万円未満」が29.3%を占める
(図-15)。「500万円未満」の割合は、3年連続で増加している。
○ 開業費用の平均値は1,143万円、中央値は639万円であった。開業費用の平均値は2016年度に比べて80万円減少し、調査開始以来、
最も少なくなった。
図-15 開業費用
23.8
22.4
21.0
19.6
20.3
22.1
21.5
24.3 24.3 24.4
22.6
24.9
29.6 29.8
31.8
30.1
31.7
35.4
34.3
38.1
39.8
35.4
34.7
32.5
32.8
35.3
37.4
26.7 29.3
28.3
28.1
28.0
30.3
29.8
27.5
30.8
29.2
32.2
28.8
30.2
28.9
29.0
27.1
28.6
29.1
28.3
28.5
26.6
31.1
31.0
31.8
31.6
30.9
29.3
28.7
26.8
27.8
27.0
27.5
25.2
28.6
28.8
23.6
25.2
24.5
25.2
23.0
21.7
19.8
23.9
21.4
21.6
21.6
17.9
19.2 19.2
21.1
20.5
21.8
20.5
20.8
20.8
21.5
22.9
25.3
24.2
22.4
20.1
19.3
21.3 21.1
20.8
21.1
17.1
19.6
19.4
18.9
18.3
13.9
15.8
15.5
14.5 14.3
13.2
15.2
13.8
13.3
12.6
0
20
40
60
80
100
1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
1,440
1,682
1,750
1,775
1,770
1,530
1,525
1,377
1,682
1,537
1,582
1,538
1,352
1,618
1,536
1,486
1,492
1,238
1,288 1,289
1,162
1,269
1,195
1,287
1,205
1,223
1,143
970
908
1,000 1,000 1,000
919 920
900
850
895
850
900
800
780
705
800
724
660
700
620 620
682
690
700
720
670
639
0
500
1,000
1,500
2,000
1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
平均値
中央値
(平均値・中央値の推移)
2,000万円以上
1,000万~
2,000万円未満
500万~
1,000万円未満
500万円未満
(調査年度)
(調査年度)
(%)
(万円)
- 9 -
~金融機関等からの借入と自己資金が主な資金調達先~
○ 開業時の資金調達額は平均で1、323万円であった(図-16)。調査開始以来、最も少なくなった。
○ 資金の調達先は、「金融機関等からの借入」が平均891万円(平均調達額に占める割合は67.3%)、「自己資金」が平均287万円
(同21.7%)であり、両者で全体の89.0%を占める。
図-16 資金調達額
287
320
311
350
327
369
356
364
398
374
422
443
448
439
405
413
440
428
445
435
412
424
453
445
426
441
360
75
84
110
100
95
112
97
141
124
100
137
161
165
146
152
151
159
131
177
149
150
151
136
149
154
151
124
44
56
53
45
50
47
51
70
65
72
77
91
89
110
91
113
88
110
132
68
83
53
65
81
77
129
119
891
931
866
928
833
855
840
827
798
793
935
882
932
954
748
865
939
895
969
723
881
897
1,067
1,062
972
917
748
27
42
25
40
32
95
69
46
62
66
60
70
95
102
67
86
78
82
108
67
70
73
92
91
120
111
101
17
16
15
14
13
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2000
99
98
97
96
95
94
93
92
1991
1,464
1,452
1,323
(調査年度)
平均調達額
(単位:万円)
1,365
1,750
1,749
1,828
1,813
1,598
1,596
1,442
1,832
1,645
1,704
1,628
1,461
1,750
1,729
1,645
1,631
1,405
1,448
1,449
1,413
1,478
1,337
(注) 1 「配偶者・親・兄弟・親戚」と「友人・知人等」は借入、出資の両方を含む。
2 「友人・知人等」には「取引先」(1992~1999年度調査)、「事業に賛同した個人または会社」(1992~2017年度調査)、「自社の役員・従業員」(2004~2017年度調査)、
「関連会社」(2016年度調査)を含む。
3 「金融機関等からの借入」には、日本政策金融公庫(1991~2017年度調査)、民間金融機関(1991~2017年度調査)、地方自治体(制度融資)(1992~2017年度調査)、
公庫・地方自治体以外の公的機関(1999~2017年度調査)が含まれる。
自己資金
配偶者・親・
兄弟・親戚
その他
金融機関等からの借入
友人・
知人等
1,433
- 10 -
5 開業後の状況と開業にかかる課題
~開業により労働時間は増加~
○ 1週間あたりの労働時間は、「34時間以下」が14.0%、「35~48時間」が22.3%、「49時間以上」が63.7%となっている
(図-17)。平均は53.5時間で、開業前の49.4時間から4.1時間増えている。
○ 主な事業所までの通勤時間(片道)は、「1分未満(自宅で仕事をしている)」が26.1%、「1分以上15分未満」が31.3%となって
いる(図-18)。両者を合わせた「15分未満」の割合は57.4%で、開業前の21.9%から35.6ポイント増加している。
図-17 1週間あたりの労働時間
図-18 主な事業所までの通勤時間(片道)
26.1
1.7
31.3
20.1
22.3
30.5
15.1
33.7
5.2
13.9
現在
(参考)開業前
1分未満
(自宅で仕事をしている)
1分以上
15分未満
15分以上
30分未満
30分以上
1時間未満
15分未満
57.4
1時間
以上
14.0
9.1
22.3
38.1
63.7
52.8
現在
(参考)開業前
34時間以下
35~48時間
49時間以上
<平均53.5時間>
<平均49.4時間>
(単位:%)
(単位:%)
(注) 開業前は、開業直前の職業が「会社や団体の常勤役員」「正社員(管理職)」「正社員(管理職以外)」「パートタイマー・アルバイト」「契約社員・ 派遣社員」
「家族従業員」の人だけを集計。
(注) 1 主な事業所が「自宅」と回答している人は、通勤時間は「1分未満(自宅で仕事している)」とした。
2 図-17の注に同じ。
15分未満
21.9
- 11 -
~約半数の企業が予想月商を達成~
○ 現在の月商が「100万円未満」である割合は40.9%で、2016年度と比べて増加している(図-19①)。予想月商達成率は、「100~
125%未満」が22.8%、「125%以上」が27.7%で、約半数(50.5%)の企業が予想を上回る月商を上げている(同②)。
○ 現在の売上状況が「増加傾向」である割合は59.4%となった(同③)。現在の採算状況が「黒字基調」である割合は61.8%となった
(同④)。いずれも2016年度から減少している。
図-19 売上・採算の状況
①現在の月商(1カ月あたりの売上高) ③現在の売上状況
②予想月商達成率 ④現在の採算状況
64.7
64.5
61.8
35.3
35.5
38.2
2015
2016
2017
赤字基調黒字基調
11.5
11.6
10.6
19.2
20.4
18.6
19.8
20.7
20.3
23.6
23.4
22.8
25.9
23.9
27.7
2015
2016
2017
50%
未満
50~
75%未満
75~
100%未満
125%以上
100~
125%未満
(注)予想月商達成率=(調査時点の平均月商÷開業前に予想していた月商)×100
(調査年度)
(調査年度)
35.3
39.3
40.9
47.5
44.0
43.9
9.3
9.1
8.9
7.8
7.5
6.3
2015
2016
2017
100万円未満
100万~
500万円未満
500万~
1,000万円未満
61.5
61.8
59.4
31.9
31.2
33.4
6.5
7.1
7.1
2015
2016
2017
減少傾向
横ばい
増加傾向
(単位:%)
(調査年度)
(調査年度)
1,000万円以上
(単位:%)
(単位:%)
(単位:%)
100%以上 50.5
- 12 -
~「顧客・販路の開拓」や「資金繰り、資金調達」などが課題~
○ 開業時に苦労したこととして、「顧客・販路の開拓」(50.5%)、「資金繰り、資金調達」(47.0%)を挙げる企業の割合が高い
(図-20)。この二つは、現在苦労していることをみても、割合が高い。
○ 開業時から現在にかけての変化をみると、「資金繰り、資金調達」「財務・税務・法務に関する知識の不足」などが減少している。
一方で、「従業員の確保」「従業員教育、人材育成」といった人材に関する課題を挙げる企業が増加している。
図-20 開業時に苦労したことおよび現在苦労していること(三つまでの複数回答)
50.5
47.0
28.0
17.8
13.2
13.1
12.9
12.6
9.9
6.0
4.3
1.5
6.9
45.1
39.4
21.2
27.9
7.4
20.9
14.6
11.7
5.4
3.0
5.1
2.1
9.0
0
10
20
30
40
50
60
顧
客
・
販
路
の
開
拓
資
金
繰
り
、
資
金
調
達
財
務
・
税
務
・
法
務
に
関
す
る
知
識
の
不
足
従
業
員
の
確
保
仕
入
先
・
外
注
先
の
確
保
従
業
員
教
育
、
人
材
育
成
商
品
・
サ
ー
ビ
ス
の
企
画
・
開
発
経
営
の
相
談
が
で
き
る
相
手
が
い
な
い
こ
と
業
界
に
関
す
る
知
識
の
不
足
商
品
・
サ
ー
ビ
ス
に
関
す
る
知
識
の
不
足
家
事
や
育
児
、
介
護
等
と
の
両
立
そ
の
他
特
に
な
い
(%)
開業時に
苦労したこと
現在苦労
していること
- 13 -
6 現在の満足度と今後の方針
~約7割が開業に満足している~
○ 開業の総合的な満足度をみると、「かなり満足」が25.0%、「やや満足」が44.3%となっており、約7割が開業に満足している
(図-21)。項目別に「かなり満足」と「やや満足」を合計した「満足」の割合をみると、「仕事のやりがい(自分の能力の発揮)」
は79.1%、「働く時間の長さ」は49.6%、「ワークライフバランス」は47.1%、「事業からの収入」は23.3%となっている。
○ 今後の方針については、売上高を「拡大したい」が91.8%、商圏を「拡大したい」が61.8%となっている(図-22)。
図-21 現在の満足度 図-22 今後の方針
35.5
19.0
17.6
4.4
43.6
30.6
29.5
18.9
13.7
33.4
29.3
30.0
6.0
11.8
16.5
23.4
1.2
5.2
7.1
23.3
仕事のやりがい
(自分の能力の発揮)
働く時間の長さ
ワークライフバランス
事業からの収入
25.0 44.3 21.4 7.2 2.2
開業の
総合的な満足度
かなり満足
やや満足
どちらとも
いえない
やや不満
かなり不満
(単位:%)
(単位:%)
61.8 37.7 0.6 商 圏
拡大したい
現状程度でよい
縮小したい
13.5 86.5株式公開
考えている
考えていない
91.8 8.1 0.1 売上高
拡大したい
現状程度でよい
縮小したい
満足 79.1
満足 69.2
満足 23.3
満足 47.1
満足 49.6
- 14 -
Ⅲ まとめ
○ 女性の割合が増加
開業者に占める女性の割合は18.4%である(図-2)。女性の割合は増加傾向にあり、調査開始以来、最も高い割合となっている。
○ 実務経験を生かせる分野で開業
現在の事業に関連する仕事をした経験がある開業者は84.8%(平均経験年数14.1年)、管理職の経験がある開業者は69.9%(同9.8年)
に上る(図-5)。また、現在の事業に決めた理由として「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」(43.6%)、「身につけた
資格や知識を生かせるから」(21.5%)を挙げる開業者が多い(図-8)。多くの開業者は、実務経験を生かせる分野で開業している。
○ 開業の規模は小型化の傾向
開業時の平均従業者数(3.1人)は3年連続で減少し、調査開始以来、最も少なくなっている(図-13)。現在の月商が「100万円未満」
である割合は40.9%で、2016年度と比べて増加している(図-19①)。開業の規模は、小型化の傾向がみられる。
○ 開業により労働時間は増加
1週間あたりの労働時間は、「34時間以下」が14.0%、「35~48時間」が22.3%、「49時間以上」が63.7%となっている(図-17)。
平均は53.5時間で、開業前の49.4時間から4.1時間増えている。一方で、主な事業所までの通勤時間(片道)が「15分未満」の割合は
57.4%で、開業前の21.9%から35.6ポイント増加している(図-18)。
○ 顧客・販路の開拓や資金繰り、資金調達が開業の課題
開業時には「顧客・販路の開拓」(50.5%)や「資金繰り、資金調達」(47.0%)に苦労する開業者が多く、これらの課題は開業
後も多くの開業者にとって課題となっている(図-20)。開業後は「従業員の確保」(開業時17.8%→現在27.9%)、「従業員教育、
人材育成」(同13.1%→20.9%)といった人材面の課題に苦労する開業者が増えている。
○ 約7割の開業者が開業に満足している
開業の総合的な満足度をみると、「かなり満足」が25.0%、「やや満足」が44.3%となっており、約7割が開業に満足している
(図-21)。項目別に「かなり満足」と「やや満足」を合計した「満足」の割合をみると、「仕事のやりがい(自分の能力の発揮)」
は79.1%、「働く時間の長さ」は49.6%、「ワークライフバランス」は47.1%、「事業からの収入」は23.3%となっている。
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