17
1 2017 年労働時間等実態調査 集計結果 2017 7 18 (一社)日本経済団体連合会 Ⅰ 趣 旨 328日開催の働き方改革実現会議において、「働き方改革実行計画」が取りまとめら れ、現在、上限規制の導入を含む長時間労働の是正に向けた法改正に関する具体的な議 論が行われている。他方、経団連でも昨年7月に「経営トップによる働き方改革宣言」を 公表するなど、従業員一人ひとりの健康を確保し、生産性を高め、創造性の発揮を促す べく、諸外国に比し長い労働時間の是正や、年休取得の促進に取り組んでいる。 今般、経団連の今後の活動(働き方改革 CHALLENGE 2017) に反映させるべく、会 員企業を対象に標記実態調査を実施した。 Ⅱ 調査項目・回答状況等 1.調査項目 (1)パートタイム労働者を除く期間を定めずに雇用されている労働者の労働時間な らびに休暇取得状況に関する事項 (2)長時間労働につながる商慣行・職場慣行ならびにその対策 等 2.調査時期 2017410日~5193.調査対象 経団連会員企業ほか (各地方別経済団体を通じて非会員企業からも回答を得た) 4.回答状況 249(対象労働者1104389) 製造業 51% 非製造業 49% 回答企業の業種別内訳

2017 年労働時間等実態調査 集計結果 · 2017-07-18 · 1 2017 年労働時間等実態調査. 集計結果. 2017. 年. 7. 月18 日 (一社)日本経済団体連合会

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1

2017 年労働時間等実態調査

集計結果

2017 年 7 月 18 日

(一社)日本経済団体連合会

Ⅰ 趣 旨

3月28日開催の働き方改革実現会議において、「働き方改革実行計画」が取りまとめら

れ、現在、上限規制の導入を含む長時間労働の是正に向けた法改正に関する具体的な議

論が行われている。他方、経団連でも昨年7月に「経営トップによる働き方改革宣言」を

公表するなど、従業員一人ひとりの健康を確保し、生産性を高め、創造性の発揮を促す

べく、諸外国に比し長い労働時間の是正や、年休取得の促進に取り組んでいる。

今般、経団連の今後の活動(働き方改革 CHALLENGE 2017)に反映させるべく、会

員企業を対象に標記実態調査を実施した。

Ⅱ 調査項目・回答状況等

1.調査項目

(1)パートタイム労働者を除く期間を定めずに雇用されている労働者の労働時間な

らびに休暇取得状況に関する事項

(2)長時間労働につながる商慣行・職場慣行ならびにその対策 等

2.調査時期 2017年4月10日~5月19日

3.調査対象 経団連会員企業ほか

(各地方別経済団体を通じて非会員企業からも回答を得た)

4.回答状況 249社(対象労働者110万4389人)

製造業

51%

非製造業

49%

回答企業の業種別内訳

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2

500人以下

26%

500人~1000人以下

11%1000人~5000人以下

42%

5000人~10000人以下

11%

10000人超

10%

回答企業の規模別内訳

76%

24%

回答企業における労働組合の有無

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3

Ⅲ 集計結果

1.年間総労働時間

(1)年間所定労働時間(2016年)

年間所定労働時間については、回答企業の82%が1800時間超2000時間以下に

設定。1800時間以下に設定している企業も15%を占める。

(2)年間総労働時間の分布(2016年)

全体の約50%の労働者の年間平均総労働時間は2000時間以下であり、1800時

間以下も約20%を占める。製造業は全体の傾向と同じである。非製造業は1800

時間以下が最も多いものの、ばらつきが見られる。

15%

42%40%

3%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

1800時間以下 1800時間超~1900時間 1900時間超~2000時間 2000時間超

年間所定労働時間(2016年)

19%18%

22%

13% 13% 13%

17%15%

18%

15%16%

14%12%

14%

10%10%11%

8%7% 7%

6%7%

6%

9%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

全体 製造業 非製造業

年間総労働時間の分布(2016年)

1800時間以下 1800時間超~1900時間 1900時間超~2000時間

2000時間超~2100時間 2100時間超~2200時間 2200時間超~2300時間

2300時間超~2400時間 2400時間超

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4

(3)業種別平均年間総労働時間

平均年間総労働時間は漸減傾向にあり、2014年が2000時間、2015年が1993時間、

2016年が1991時間である1。2016年については、製造業が1979時間であるのに

対し、非製造業は2006時間である。

(4)規模別平均年間総労働時間

平均年間総労働時間は、企業規模が1000人超の企業で長い傾向がある。

1 政府資料によると、パートタイム労働者を除く一般労働者の年間総労働時間は 2021 時間(2014 年)、2026

時間(2015 年)。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/pdf/sankou_h290328.pdf

2000

1994

2008

1993

1987

1999

1991

1979

2006

1960

1965

1970

1975

1980

1985

1990

1995

2000

2005

2010

2015

全体 製造業 非製造業

業種別平均年間総労働時間

2014年 2015年 2016年

20

00

19

61

19

66

20

01

20

12

19

97

19

93

19

41 19

55

20

07

20

08

19

85

19

91

19

53

19

33

19

95

19

99

19

88

1880

1900

1920

1940

1960

1980

2000

2020

規模別平均年間総労働時間

2014年 2015年 2016年

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5

(5)労働組合の有無と年間平均総労働時間

労働組合を有する企業の方が、年間平均総労働時間が短い。

20001990

2137

19931983

2130

1991 1983

2076

1900

1950

2000

2050

2100

2150

全体 組合あり 組合なし

労働組合の有無と労働時間

2014年 2015年 2016年

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6

2.時間外労働時間(年間)

(1)36協定上の上限(2016年)

36協定上、「540時間~720時間」を時間外労働時間の上限と取り決めている企

業が最も多く、次いで、「720時間~960時間」が多い。

(2)時間外労働時間の分布(2016年)

年間時間外労働時間については、「360時間以下」の労働者が全体の70%を占め

ている。720時間を超える労働者が全体の2%程度、非製造業で4%程度存在して

いる2。

2 この項目については、時間外労働時間を 1 日 8 時間未満の所定労働時間を超える部分で回答している企業

を含む。したがって、現在、国会提出が準備されている労働基準法改正法案に盛り込まれている時間外労働の年間上限規制の水準である法定労働時間 720 時間を超えている労働者数は、これより少ないと推計。

23%

12%

31%

27%

7%

3 6 0時間以下 3 6 0 - 5 4 0時間 5 4 0 - 7 2 0時間 7 2 0 - 9 6 0時間 9 6 0時間以上

36協定上の上限

70%67%

73%

20%24%

16%

8% 8% 7%1.9% 0.9% 3%

0.1% 0.1% 1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

全体 製造業 非製造業

時間外労働時間の分布(2016年)

360時間以下 360時間超~540時間 540時間超~720時間

720時間超~960時間 960時間超

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7

(3)業種別平均時間外労働時間3

平均時間外労働時間については、2014年からの3年間、全体および製造業では

190時間台で推移している。非製造業の方が長時間であるが、2016年は190時間

台となっている。

3 この項目については、時間外労働時間を 1 日 8 時間未満の所定労働時間を超える部分で回答している企業

を含む。法定労働時間の場合、より短時間となるものと推計。

199197

201199

194

205

193191

196

180

185

190

195

200

205

210

全体 製造業 非製造業

業種別平均時間外労働時間

2014年 2015年 2016年

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8

3.時間外労働時間(1ヶ月)

(1)36協定上の上限(2016年)

36協定上、「60時間~80時間」を時間外労働時間の上限と取り決めている企業

が最も多い。

(2)時間外労働時間の分布(2016年) 4

月間時間外労働時間(最も時間外労働時間が長い1ヶ月)については、全体の83%

の労働者が45時間以下。

4 この項目については、時間外労働時間を 1 日 8 時間未満の所定労働時間を超える部分で回答している企業

を含む。法定労働時間の場合、45 時間以下の労働者の割合はより多くなるものと推計。

18%

7%

37%

23%

15%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45時間以下 45時間超~60時間 60時間超~80時間 80時間超~100時間 100時間超

36協定上の上限(2016年)

83% 83% 82%

10% 11% 9%6% 5% 7%

0.9% 0.9% 1.5%0.1% 0.1% 0.5%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

全体 製造業 非製造業

時間外労働時間の分布(2016年)

45時間以下 45時間超~60時間 60時間超~80時間

80時間超~100時間 100時間超

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9

(3) 業種別平均時間外労働時間5

最も時間外労働時間が長い1ヶ月の平均については、2014年からの3年間、22時

間程度で推移。全体、製造業、非製造業いずれもほぼ同じ。

5 この項目については、時間外労働時間を 1 日 8 時間未満の所定労働時間を超える部分で回答している企業

を含む。法定労働時間の場合、より短時間となるものと推計

22 22 2222 22 2222 22 22

0

5

10

15

20

25

全体 製造業 非製造業

業種別平均時間外労働時間

2014年 2015年 2016年

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10

4.年次有給休暇

(1)年次有給休暇取得率

年次有給休暇取得率は2014年からの3年間、64~67%で推移している。

(2)労働時間と有給休暇取得率の相関関係

平均年間総労働時間が2000時間以下の企業と2000時間超の企業を比較した場

合、2000時間超の企業の方が、有給休暇取得率が高い。

65% 65% 65%

67%66%

67%

64%

68%

60%

全体 製造業 非製造業

年次有給休暇取得率

2014年 2015年 2016年

65%59%

71%67%

61%

72%

64%60%

69%

全体 2000時間以下 2000時間超

労働時間と有給休暇取得率

2014年 2015年 2016年

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(3)年次有給休暇取得が5日未満の者

現在国会に提出されている労働基準法改正法案には、企業に5日以上の有給休

暇取得を義務付けることが盛り込まれている。この点に関し、年次有給休暇取得

が5日未満の者は、管理監督者において22%、一般労働者において11%程度で過

去3年間横這いである。

(4)年次有給休暇取得が5日未満の者の業種別割合(2016年)

製造業に比べ、非製造業は、一般労働者、管理監督者共に年次有給休暇取得5日

未満者の割合が多い。

11% 10.4% 10.8%

22.5% 22.6% 22.3%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

2014年 2015年 2016年

年次有給休暇取得が5日未満の者の推移

一般労働者 管理監督者

11%

5%

18%

22%

14%

33%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

全体 製造業 非製造業

年次有給休暇取得が5日未満の者の業種別割合(2016年)

一般労働者 管理監督者

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12

5.商慣行

(1)長時間労働につながりやすい商慣行

「客先からの短納期要求」が最も多く、次いで「顧客要望対応」「海外顧客、拠

点との時差による対応」と続き、顧客からの要望が多い。

(2)長時間労働の改善策

「顧客・外部(役所)の理解」が最も多く、次いで「適正なスケジュール・納期」

「人員配置の見直し」と続く。

4.0%

5.2%

5.2%

5.6%

6.4%

7.2%

8.0%

9.2%

15.7%

32.9%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0%

クレーム対応

天候不良・災害発生

仕様変更

納期厳守

得意先の稼働時間に合わせた対応

特定時期のオーダー集中

トラブル対応

海外顧客、拠点との時差による対応

顧客要望対応

客先からの短納期要求

商慣行の事例

2.4%

2.8%

3.2%

3.6%

4.4%

4.8%

8.0%

13.3%

18.9%

28.9%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0%

定期的な業務内容・分担の見直し

人材育成・スキルアップ

業務量の分散

ICTツール、システムの導入

業務効率・生産性向上

関係先との情報共有

フレックスタイム制、シフト勤務

人員配置の見直し

適正なスケジュール・納期

顧客・外部(役所)の理解

長時間労働の改善策

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6.職場慣行

(1)長時間労働につながりやすい職場慣行

「業務の属人化」が最多で、「時間管理意識の低さ」「業務効率の悪さ」が続く。

そのほか「残業が当たり前、美徳とする雰囲気」「過剰な品質追求」も長時間労

働の原因として挙げられている。

(2)職場慣行の改善策

「業務の効率化」が最多で、「定時退社日の設定」「会議の効率化」が続く。「業務の

効率化」の具体策には、特定の従業員に仕事が集中しないような取組みを含み、

「定時退社日の設定底」の具体策として、残業の事前届出制や、パソコンの利用時

間制限等を含む。

4.8%

7.6%

9.2%

11.2%

11.2%

12.9%

13.7%

18.5%

21.7%

27.3%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0%

人員不足

帰りにくい雰囲気

会議の多さ・長さ

資料作成

過剰な品質追及

残業が当たり前、美徳とする雰囲気

業務の標準化不足

業務効率の悪さ

時間管理意識の低さ

業務の属人化

職場慣行の事例

5.2%

6.8%

8.4%

9.6%

10.4%

10.4%

11.6%

13.7%

23.3%

28.5%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0%

時差勤務・フレックスタイム制

スキルアップ・研修

資料作成の効率化

時間管理の意識改革

適正な人員配置

業務の標準化

ICTツール導入

会議の効率化

定時退社日の設定

業務の効率化

職場慣行の改善策

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14

7.企業の取組施策

(1)長時間労働の是正に向けた数値目標(KPI)の設定

時間外勤務の制限に関する数値目標(KPI)を設定している企業は32.5%にのぼ

る。このほか、36協定で定められた数値の遵守徹底、あるいはその数値からの時

間削減等に取り組むことで、事実上のKPIとする例もある。

KPIを達成するための施策としては、「経営トップメッセージ発信」が最多で、

次いで「時間外勤務に上限値設定」「残業状況の管理・共有・フォロー」「残業

の事前申請制」が続く。

(2)休暇取得促進に向けた数値目標(KPI)の設定

休暇取得促進に関するKPIを設定している企業は41.4%にのぼる。KPIを達成

するための施策としては、「計画年休の設定」が最多で、「休暇取得状況の管理・

共有・フォロー」「休暇取得の呼びかけ」「連続休暇の推奨」と続く。

2%

3%

4%

4%

6%

6%

13%

15%

19%

20%

0% 5% 10% 15% 20% 25%

残業実績の公開

適切な人員配置

休暇取得の促進

業務の効率化

柔軟な勤務形態の検討

評価やインセンティブ

残業の事前申請制

残業状況の管理・共有・フォロー

時間外勤務に上限値設定

経営トップメッセージ発信

KPIを達成するための施策等

2.4%

2.4%

4.0%

9.2%

10.4%

17.3%

17.7%

20.5%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0%

啓発活動

有休取得状況の社内公表

半日・時間単位有給の導入と推奨

有給取得推進日の設定

連続休暇の推奨

休暇取得の呼びかけ

休暇取得状況の管理・共有・フォロー

計画休暇の設定

KPIを達成するための施策等

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15

(3)数値目標(KPI)以外の取組

数値目標(KPI)の設定の有無にかかわらず、長時間労働の是正に向けた取組み、

休暇取得促進に向けた取組みが行われている。「ノー残業デー・定時退社」が最

も多く、次いで「計画年休取得」「在宅勤務」が続く。

3.6%

4.4%

5.6%

8.8%

10.8%

12.4%

13.3%

15.7%

23.3%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0%

36協定特別条項の変更

労使で働き方を検討

夏季・飛び石連休時の年休取得奨励

業務改善活動

ICTツール導入

フレックス導入

在宅勤務

計画年休暇取得

ノー残業デー・定時退社

数値目標(KPI)以外の取組

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16

8.「働き方・休み方改革集中取り組み年」フォローアップ結果

(1)トップが主導「年休3!4!5!」

経団連では、2016年度を「働き方・休み方改革集中取り組み年」と位置づけ、年休

取得キャンペーン「トップが主導『年休 3!4!5!』」を展開した。本件は、

3!:年3日程度の追加的な年休の取得に取組む

4!:秋(9~11月頃)に年休と土日・祝日を組み合わせて4連休とする

5!:年休の取得日数が5日未満の従業員が生じないようにする

ことを目指している。

【フォローアップの結果】

① 本キャンペーンの存在を認知している 70.4%

② 本キャンペーンの存在を認知し、かつ、取組を行っている 54.9%

③ ②のうち、何らかの成果をあげている 76.9%

項目 取 組 成 果

3!

事業所ごとに年休奨励日と一斉年休を設定 非管理職の平均取得日数は17日を超える

新規付与分の50%を計画年休とする 平均取得日数の向上

計画年休5日を設定 年休取得率が2割程度改善

個人別連続休暇(5日)の取得100%を目指す 個人別連続休暇取得率85%程度

14日以上の年休取得を目指す「ミニマム14」、年

休の消滅をなくす「カットゼロ」運動を展開

「ミニマム14」、「カットゼロ」ともに100達成。

4! 9月のシルバーウィークを4連休 連休取得者が倍増

秋に創立記念日と併せる形で4連休を設定 年休取得率の向上(特に5日未満者は1%台にまで

削減)

飛び石連休に年休を活用して連休化すること

を奨励

年休取得率向上(特に5日未満者はゼロ)

5!

事業所ごとに年休取得5日未満者の人数を見え

る化

5日未満比率が30%台から4%程度まで大幅改善。

管理職に対する休暇取得奨励と部下の取得状

況の見える化

5日未満者が半減

5日未満者を8%未満とするKPI設定。5日未満者

個人に対して警告メールを発信

5日未満者は年々減少

10日未満者について個別の改善計画を立てて

フォロー

対象者の7割以上について取得率向上

休暇取得の少ない者へのアンケート実施 業務を理由に休暇をとらない者が減少

Page 17: 2017 年労働時間等実態調査 集計結果 · 2017-07-18 · 1 2017 年労働時間等実態調査. 集計結果. 2017. 年. 7. 月18 日 (一社)日本経済団体連合会

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(2)経営トップによる働き方改革宣言

経団連では、経済4団体主催による「働き方・休み方改革セミナー」を2年連続で

開催し、企業の好事例の共有を図ると共に、経営トップのリーダーシップの下、

経済界全体で働き方・休み方改革を積極的かつ継続的に推進することを宣言し

た「経営トップによる働き方改革宣言」を採択した。

本件は、経営トップの明確な意思表明とリーダーシップの発揮の下、管理職によ

るマネジメントの徹底と自らの意識改革を促し、具体的な取組を推進すること

を目指している。

【フォローアップの結果】

① 本宣言を認知している 80.3%

② 本宣言を認知し、かつ、措置を講じている 63.4%

③ ②のうち、何らかの成果をあげている 51.9%

取 組 成 果

21時以降の残業禁止、朝型勤務奨励 深夜残業が9割以上削減

3年連続で、36協定上の時間外労働時間の上限を見直し 総労働時間の削減

月間残業時間が30時間を超えた場合に警告メールを発信 2016年度に総時間外労働時間を前年度比で約

78%に抑制

社内基準を上回る過重労働を行った場合は賞与をカット 月間残業時間が80時間を超える者が6割以上削

各事業所の総労働時間の見える化を図り、ライン長会議

で報告

総労働時間の減少、年休取得率向上

業務効率化、会議の見直し、フレックスの導入、定時退社、

半日休暇の導入等、総合的に業務のあり方を見直し

年休取得が平均16日に達する

以 上