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ナポリ歴史地区 Centro storico di Napoli(文化遺産・1995 年登録) 紀元前470年にギリシャ植民地として誕生してから 今日まで、ナポリは次々にこの地を支配したヨーロッ パ・地中海地域の様々な文化を吸収してきました。 その素晴らしい歴史の跡は古代ローマ時代、中世、 そして18世紀と続き、ヌオーヴォ城や、卵城、サンタ・ キアラ教会、王宮、プレビシート広場などナポリの中心部に多く残っています。 ナポリ市内(カンパニア州) ローマの南219km。 ポンペイ、エルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの遺跡地域 Aree archeologiche di Pompei, Ercolano e Torre Annunziata(文化遺産・1997 年登録) 79年8月24日のヴェスヴィオ火山噴火により、豊かな古代ローマ都市ポ ンペイやエルコラーノ、その他山麓の街々が灰と溶岩の下に埋没しました。 18世紀になって発掘が進められ、裕福な商業都市ポンペイの広大な遺 跡や、小規模ながら保存状態も良いリゾート地 エルコラーノ遺跡、そしてトッレ・ アヌンツィアー タのオプロンティス荘遺跡の見事な壁画等から は、古代ローマ時代の人々の贅沢で充実した 市民生活の様子がはっきりとみてとれます。 ポンペイ (ナポリの南東29km)  エルコラーノ (ナポリの南東11km)  トッレ・アヌンツィアータ (ナポリの南東27km) (カンパニア州) アマルフィ海岸 Costiera Amalfitana(文化遺産・1997 年登録) 海沿いに断崖絶壁が続くこの一帯は、海岸線が変化に富み素晴らし い美しさをみせています。中世初期から人々が定住を始め、中世の 海洋共和国として栄えたアマルフィやラヴェッロなどの街では秀逸な 建築物や芸術作品も創りだされました。険しい岩壁の続く地形を、人々 はブドウやレモンの段々畑、果樹園、放牧地など様々に活用し、紺碧 の海とあいまって、地中海的でドラマチックな独自の美しい自然景観 を楽しむことができます。 アマルフィ (ナポリの南東70km)の町を含む海岸一帯 (カンパニア州) パエストゥムとヴェリア古代遺跡群を含むチレント、 ディアノ渓谷国立公園とパドゥーラのカルトジオ修道院 Parco Nazionale del Cilento e del Vallo di Diano con i siti archeologici di Paestum e Velia e la Certosa di Padula(文化遺産・1998 年登録) チレント・ディアノ渓谷国立公園とその周囲一帯は、先史時代から中世に かけて通商・政治 ・ 文化面で歴史的な変遷を経てきた地域です。 古代ギリシャ殖民地とイタリア原住民族の境界地でもあり、紀元前5世紀 頃栄えたパエストゥムやヴェリアには古代ギリシャの神殿や遺跡が残って います。緑の渓谷に広がるパドゥーラには14世紀に創立された南イタリ ア最大の規模を誇るサン・ロレンツォ・カルトゥジオ修道院があります。 パエストゥム(カンパニア州) ナポリの南100km。ディアノ渓谷国立公園は パエストゥムを囲むように位置している。 パドゥーラ(カンパニア州) サレルノの南東105km。 アルベロベッロのトゥルッリ I Trulli di Alberobello(文化遺産・1996 年登録) トゥルッリとは白い漆喰塗りの壁に円錐 形のとんがり屋根が特徴的な、この地方 のみでみられる一風変わった建物。モル タルなど接合剤を使わない先史時代か ら伝わる建築方法で造られた建物が現在 も生活に使用されています。アルベロベッ ロの旧市街にはトゥルッリの家々が密集し、 坂道が迷路のように続いており、おとぎ の国のような雰囲気に満ちています。 アルベロベッロ(プーリア州) バーリの南 東55km。 カステル・デルモンテ ( デルモンテ城 ) Castel del Monte(文化遺産・1996 年登録) 名君として知られ、当時南イタリ アも統治していた神聖ローマ帝国 皇帝フリードリヒ(伊語でフェデリコ) 2世がバーリ近くの高台に13世紀 に建てた城です。均衡のとれた八 角形構造で八角形の塔と庭があり、 中世の軍事建築として大変独創的 です。広野に佇む堂々とした孤高 な姿は壮観。またイスラムと北方 ヨーロッパゴシック的な建築様式が見事に調和をみせています。 アンドリア郊外(プーリア州) バーリの西55km。 マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園 I Sassi e il parco delle Chiese rupestri di Matera(文化遺産・1993 年登録) 地中海地域にみられる、谷の岩場の斜面を掘った洞窟住居サッシ群が広範囲にわたり完全な 形で現存している貴重な遺跡。洞窟に作られ た教会内部マテーラの洞窟に人々が住むよう になったのは旧石器時代に遡るともいわれて いますが、その後時代とともに家としての形 が整えられ、通路や教会も築かれて人々が 生活を営む街が形成されていきました。小さ な洞窟住居が谷の斜面の崖にへばりつくよう に上下左右に並んでいる様は圧巻です。 マテーラ( バジリカータ州 ) ナポリの南東 255km。バーリの南67km。 アグリジェントの遺跡地域 Area archeologica di Agrigento(文化遺産・1997 年登録) 紀元前6世紀からギリシャ植民地としてアグリジェ ントは古代地中海世界の重要都市のひとつでした。 威厳あるドーリア式神殿がいくつも街に建てられ、 アグリジェントの覇権を誇示していました。それら の20近くの神殿遺跡群が、アーモンドの木や果 樹の広がる丘に、今も「神殿の谷」とよばれ残っ ています。保存状態のよいコンコルディア神殿を はじめとする古代ギリシャ神殿群の他、この一帯 からはヘレニズム、ローマ時代の都市遺跡や前キ リスト教時代の埋葬跡等も出土されました。 アグリジェント(シチリア州) パレルモの南128km。 ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ ( カサーレ荘 ) Piazza Armerina, villa romana del Casale(文化遺産・1997 年登録) ローマ帝政時代の3〜4世紀に、大土地所有貴族が田 園に建てた豪奢な別荘跡。大変贅をつくした建物で、 特にほぼ全室の床を埋め尽くすモザイク画の質の高さ と規模は古代ローマ時代最大ともいわれています。モ ザイクにはアフリカの影響を受けた動物やビキニの女 性など斬新な図像も描かれ芸術的価値も高く、当時こ の地まで経済力を及ぼした古代ローマ文明の跡もうか がい知れる貴重な遺跡です。 ピアッツァ・アルメリーナ(シチリア州) カターニアの南西約90km。 ヴァル・ディ・ノートの 後期バロック様式の町々 (シチリア島南東部) Le città barocche della Val di Noto (文化遺産・2002 年登録) シチリア島南東 部にある、ヴァ ル・ディ・ノート (ノート渓谷) とよばれるエリ ア周辺の8つの 街々は、1693 年にエトナ山周 辺地域をおそっ た大地震による 街の全壊から、 都市計画による 驚異的復興再 建を実現し、見事な後期バロック様式の建築・ 芸術を街に花咲かせました。今もそれぞれ の街には美しい装飾を施したバロック様式の 建物が多く残り、大聖堂、階段他、街のあ ちこちにその美しい景観を見せています。 ノート ラグーサ カターニア カル タジローネ ミリテッロ・イン・ヴァル・ディ・カ ターニア、★モディカ パラッツォ・アクレイ シクリ(シチリア州) シラクーサとパンタリカ岩壁墓地遺跡 Siracusa e le necropoli rupestri di Pantalica(文化遺産・2005 年登録) 紀元前8世紀にギリシャ人植民地が建設されたシ ラクーサは、当時キケロが「最も偉大で美しいギ リシャ都市」と賞賛したように繁栄をみせました。 今もこの街にはギリシャ劇場、ローマ劇場など当 時の遺跡や、後に教会に改修されたアテネ神殿跡 が建物の一部となっているドゥオーモなど、その後 次々とシチリア島を支配した文明と歴史の跡が数 多く残っています。 パンタリカは原始時代のシチリアの重要地のひとつであり、周辺一帯の地域の中心と して栄えました。ネクロポリとよばれる古墳には、岩肌に洞窟のように掘られた500 以上の墓があり、そのほとんどは紀元前13〜7世紀のもの。また周辺にはビザンティ ン時代のものとみられる遺跡が、アナクトロンとよばれる王宮跡地のそばに残っています。 シラクーサ/カターニアの南59km。★パンタリカ/シラクーサの西50km (シチリア州) エオリエ諸島 Isole Eolie(自然遺産・2000 年登録) エオリエ諸島は7つの火山島からなります。ヴルカーノ 島とストロンボリ島の噴火活動は18世紀から研究調査 が行われており、200年間にわたり地質学研究にも大 きく貢献しています。噴火による溶岩石、温泉、火口 など火山活動による自然現象や造形美、海や海岸線の 美しさも魅力的です。 リパリ島 ストロンボリ島 サリーナ島 ヴルカー ノ島 パナレア島 アリクーディ島 フィリクーディ (シチリア州) シチリア本島の北方沖約30km~。 スー・ヌラージ・ディ・バルーミニ Su Nuraxi di Barumini (文化遺産・1997 年登録) サルデーニャ島では紀元前2000年前から青銅器時代の 頃にヌラーゲとよばれる巨石を円筒・円錐状に積み上げた この島独特の要塞構造の建物が、先住民族により造られ ていました。バルーミニ村にあるスー ・ヌラージ遺跡は紀 元前15世紀前後から建てられたヌラーゲの巨大な城塞、 塔、集落、防壁などの大集合体で、先史時代の建築例と して大変重要です。 バルーミニ(サルデーニャ州) カリアリの北61km。 アラブ・ノルマン様式のパレルモと、 チェファル、モンレアーレの大聖堂 Palermo Arabo-Normanna e le Cattedrali di Cefalu’ e Monreale (文化遺産・2015 年登録) ノルマン王国のシチリア統治時代(1130年〜1194年)は、アラブ・ ノルマン時代として栄華を誇りました。登録されたパレルモ大聖堂、ノ ルマン王宮、サン・ジョヴァンニ・デリ・エ レミティ教会、マルトラーナ教会、サン・ カタルド教会、ジーザ宮殿、アンミラリオ橋、 そしてパレルモ県内のチェファル大聖堂、 モンレアーレ大聖堂の9か所は、シチリア において西洋とイスラム・ビザンチン文化 圏という異なる社会・文化要素が重なり合 い見事に融合した見本で、それまでにない 空間、構造、装飾様式が誕生し発達しました。 これらの建造物は当時、宗教の違う異民族 (イスラム、ビザンチン、ラテン、ユダヤ、 ロンゴバルド、フランス)が共存し繁栄し たことも証明しています。 ★パレルモ(シチリア州北西部)  ★モンレアーレ(パレルモの南西8km)、 ★チェファル(パレルモの東68km)。 エトナ山 Monte Etna(自然遺産・2013 年登録) エトナ山はシチ リア島東海岸の ランドマーク的 場所であり、そ の広さは頂上の 周囲1万9237 ヘクタールの非 居住地帯に及 びます。エトナ 山は地中海の島のなかでは最も高く、世界 で最も活発な成層火山です。その火山噴火 の歴史は50万年前までに遡り、少なくとも 2700年前の噴火活動が記録されています。 エトナ山の噴火活動はほぼ継続的で、火山学、 地球物理学、その他の地球科学の分野にも 大きく影響し続けています。火山はまた、特 有の植物相、動物相を含む、重要な地球の 生態系を支えており、その活動は生態学的、 生物学的推移の調査にとって、自然の研究所 ともいえるものです。頂上地帯の数々のクレー ター、噴石丘、溶岩流、ヴァッレ・デ・ボヴェ 爆裂火口など、火山性特徴は多様で接近も 可能なため、研究、教育においても最適の 場所といえます。 ★シチリア島カターニア近郊。 イタリアのロンゴバルド族:権勢の足跡(568-774 年) 北イタリアで紹介している同登録の7か所の文化財のうち、下記2カ所は南部イタ リアにあります。( 詳細は北イタリアの頁参照 ) ★『サンタ・ソフィア教会』 ロンゴバルド建築の中でも最も多面的な構造を持ち、保存状態の良い建物のひとつ。 所在地: ベネヴェント(カンパニア州) ナポリ北東71km。 ★『サン・ミケーレ聖所記念堂』 ロンゴバルド族統治の7世紀から、大天使ミカエル崇拝の重要拠点として深く影響を及 ぼし、ヨーロッパ各地に建設された有名なモン・サン・ミッシェルを初めとする何百もの聖ミ カエル聖堂のモデルともなりました。 所在地: モンテ・サンタンジェロ(プーリア州) フォッジアの北東59km、バーリの北西 135km。 カルパティア山脈と欧州各地のブナ原生林 中部イタリアの頁でも紹介している自然遺産でイタリアにも2017年拡張登録さ れた、ブナ原生林(イタリア語でブナ林はFaggeta/eといいます)は、南部イ タリアにある下記の国立公園内のブナ林も含んでいます。 フォレスタ・ウンブラ山林のブナ林:ガルガーノ国立公園 (プーリア州) コッツォ・フェッリエーロの古木ブナ林: ポッリーノ国立公園内 (バジリカータ州・カラブ リア州) カゼルタの 18 世紀の王宮と公園、 ヴァンヴィテッリの水道橋とサン・レウチョ邸宅群 Il Palazzo Reale del XVIII secolo di Caserta con il Parco, l'Acquedotto Vanvitelliano ed il Complesso di San Leucio(文化遺産・1997 年登録) 18世紀当時のナポリ王、ブルボン家のカルロ3世がベルサイユを凌 ぐ宮殿をめざしてカゼルタに建設した王宮は、劇場、礼拝堂、博物館、 1200もの部屋がある巨大で壮麗な建物。また120ヘクタールの庭 園は、中央をまっすぐに走る3km の道、滝、ギリシャ神話の彫刻噴 水群を配し、周囲の森林とあいまって華麗で洗練された芸術作品の ようです。建築家ヴァンヴィテッリは庭園の水を供給するため、古代ロー マ風の美しい水道橋も建設しました。また高級絹生産の地サン・レウ チョには王の離宮が建設されました。 カゼルタ(カンパニア州) ナポリの北東31km。 ヌオーヴォ城 リパリ島 Napoli Bari Potenza Catanzaro Palermo Cagliari Campobasso 42 56 55 54 52 52 52 52 52 52 52 51 51 50 49 53 47 48 46 42 42 44 43 45 45 45 52 41 45 55 55 26 26 11 11 各世界遺産へのアクセス・関連情報・詳細は、当局ホームページ www.visitaly.jp の「世界遺産を巡る」をご覧ください。 南イタリア

2018 omote block - ai-l.jp · いますが、その後時代とともに家としての形 が整えられ、通路や教会も築かれて人々が 生活を営む街が形成されていきました。小さ

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Page 1: 2018 omote block - ai-l.jp · いますが、その後時代とともに家としての形 が整えられ、通路や教会も築かれて人々が 生活を営む街が形成されていきました。小さ

�ナポリ歴史地区Centro storico di Napoli(文化遺産・1995 年登録)

紀元前470年にギリシャ植民地として誕生してから今日まで、ナポリは次々にこの地を支配したヨーロッパ・地中海地域の様々な文化を吸収してきました。その素晴らしい歴史の跡は古代ローマ時代、中世、そして18世紀と続き、ヌオーヴォ城や、卵城、サンタ・キアラ教会、王宮、プレビシート広場などナポリの中心部に多く残っています。★ナポリ市内(カンパニア州)ローマの南219km。

�ポンペイ、エルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの遺跡地域Aree archeologiche di Pompei, Ercolano e Torre Annunziata(文化遺産・1997 年登録)

79年8月24日のヴェスヴィオ火山噴火により、豊かな古代ローマ都市ポンペイやエルコラーノ、その他山麓の街々が灰と溶岩の下に埋没しました。18世紀になって発掘が進められ、裕福な商業都市ポンペイの広大な遺跡や、小規模ながら保存状態も良いリゾート地エルコラーノ遺跡、そしてトッレ・アヌンツィアータのオプロンティス荘遺跡の見事な壁画等からは、古代ローマ時代の人々の贅沢で充実した市民生活の様子がはっきりとみてとれます。★ポンペイ(ナポリの南東29km) ★エルコラーノ(ナポリの南東11km) ★トッレ・アヌンツィアータ(ナポリの南東27km)(カンパニア州)

�アマルフィ海岸Costiera Amalfitana(文化遺産・1997 年登録)

海沿いに断崖絶壁が続くこの一帯は、海岸線が変化に富み素晴らしい美しさをみせています。中世初期から人々が定住を始め、中世の海洋共和国として栄えたアマルフィやラヴェッロなどの街では秀逸な建築物や芸術作品も創りだされました。険しい岩壁の続く地形を、人々はブドウやレモンの段々畑、果樹園、放牧地など様々に活用し、紺碧の海とあいまって、地中海的でドラマチックな独自の美しい自然景観を楽しむことができます。★アマルフィ(ナポリの南東70km)の町を含む海岸一帯(カンパニア州)。

�パエストゥムとヴェリア古代遺跡群を含むチレント、 ディアノ渓谷国立公園とパドゥーラのカルトジオ修道院

Parco Nazionale del Cilento e del Vallo di Diano con i siti archeologici di Paestum e Velia e la Certosa di Padula(文化遺産・1998 年登録)

チレント・ディアノ渓谷国立公園とその周囲一帯は、先史時代から中世にかけて通商・政治・文化面で歴史的な変遷を経てきた地域です。古代ギリシャ殖民地とイタリア原住民族の境界地でもあり、紀元前5世紀頃栄えたパエストゥムやヴェリアには古代ギリシャの神殿や遺跡が残っています。緑の渓谷に広がるパドゥーラには14世紀に創立された南イタリア最大の規模を誇るサン・ロレンツォ・カルトゥジオ修道院があります。★パエストゥム(カンパニア州)ナポリの南100km。ディアノ渓谷国立公園は

パエストゥムを囲むように位置している。★パドゥーラ(カンパニア州)サレルノの南東105km。

�アルベロベッロのトゥルッリI Trulli di Alberobello(文化遺産・1996 年登録)

トゥルッリとは白い漆喰塗りの壁に円錐形のとんがり屋根が特徴的な、この地方のみでみられる一風変わった建物。モルタルなど接合剤を使わない先史時代から伝わる建築方法で造られた建物が現在も生活に使用されています。アルベロベッロの旧市街にはトゥルッリの家々が密集し、坂道が迷路のように続いており、おとぎの国のような雰囲気に満ちています。★アルベロベッロ(プーリア州)バーリの南

東55km。

�カステル・デルモンテ (デルモンテ城 )Castel del Monte(文化遺産・1996 年登録)

名君として知られ、当時南イタリアも統治していた神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ(伊語でフェデリコ)2世がバーリ近くの高台に13世紀に建てた城です。均衡のとれた八角形構造で八角形の塔と庭があり、中世の軍事建築として大変独創的です。広野に佇む堂々とした孤高な姿は壮観。またイスラムと北方ヨーロッパゴシック的な建築様式が見事に調和をみせています。★アンドリア郊外(プーリア州)バーリの西55km。

�マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園I Sassi e il parco delle Chiese rupestri di Matera(文化遺産・1993 年登録)

地中海地域にみられる、谷の岩場の斜面を掘った洞窟住居サッシ群が広範囲にわたり完全な形で現存している貴重な遺跡。洞窟に作られた教会内部マテーラの洞窟に人々が住むようになったのは旧石器時代に遡るともいわれていますが、その後時代とともに家としての形が整えられ、通路や教会も築かれて人々が生活を営む街が形成されていきました。小さな洞窟住居が谷の斜面の崖にへばりつくように上下左右に並んでいる様は圧巻です。★マテーラ(バジリカータ州)ナポリの南東

255km。バーリの南67km。

�アグリジェントの遺跡地域Area archeologica di Agrigento(文化遺産・1997 年登録)

紀元前6世紀からギリシャ植民地としてアグリジェントは古代地中海世界の重要都市のひとつでした。威厳あるドーリア式神殿がいくつも街に建てられ、アグリジェントの覇権を誇示していました。それらの20近くの神殿遺跡群が、アーモンドの木や果樹の広がる丘に、今も「神殿の谷」とよばれ残っています。保存状態のよいコンコルディア神殿をはじめとする古代ギリシャ神殿群の他、この一帯からはヘレニズム、ローマ時代の都市遺跡や前キリスト教時代の埋葬跡等も出土されました。★アグリジェント(シチリア州)パレルモの南128km。

�ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ (カサーレ荘 )Piazza Armerina, villa romana del Casale(文化遺産・1997 年登録)

ローマ帝政時代の3〜4世紀に、大土地所有貴族が田園に建てた豪奢な別荘跡。大変贅をつくした建物で、特にほぼ全室の床を埋め尽くすモザイク画の質の高さと規模は古代ローマ時代最大ともいわれています。モザイクにはアフリカの影響を受けた動物やビキニの女性など斬新な図像も描かれ芸術的価値も高く、当時この地まで経済力を及ぼした古代ローマ文明の跡もうかがい知れる貴重な遺跡です。★ピアッツァ・アルメリーナ(シチリア州)カターニアの南西約90km。

�ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々(シチリア島南東部)

Le città barocche della Val di Noto(文化遺産・2002 年登録)

シチリア島南東部にある、ヴァル・ディ・ノート(ノート渓谷)とよばれるエリア周辺の8つの街々は、1693年にエトナ山周辺地域をおそった大地震による街の全壊から、都市計画による驚異的復興再建を実現し、見事な後期バロック様式の建築・芸術を街に花咲かせました。今もそれぞれの街には美しい装飾を施したバロック様式の建物が多く残り、大聖堂、階段他、街のあちこちにその美しい景観を見せています。★ノート ★ラグーサ ★カターニア ★カルタジローネ ★ミリテッロ・イン・ヴァル・ディ・カターニア、★モディカ ★パラッツォ・アクレイデ ★シクリ(シチリア州)。

�シラクーサとパンタリカ岩壁墓地遺跡Siracusa e le necropoli rupestri di Pantalica(文化遺産・2005 年登録)

紀元前8世紀にギリシャ人植民地が建設されたシラクーサは、当時キケロが「最も偉大で美しいギリシャ都市」と賞賛したように繁栄をみせました。今もこの街にはギリシャ劇場、ローマ劇場など当時の遺跡や、後に教会に改修されたアテネ神殿跡が建物の一部となっているドゥオーモなど、その後次々とシチリア島を支配した文明と歴史の跡が数多く残っています。

パンタリカは原始時代のシチリアの重要地のひとつであり、周辺一帯の地域の中心として栄えました。ネクロポリとよばれる古墳には、岩肌に洞窟のように掘られた500以上の墓があり、そのほとんどは紀元前13〜7世紀のもの。また周辺にはビザンティン時代のものとみられる遺跡が、アナクトロンとよばれる王宮跡地のそばに残っています。★シラクーサ/カターニアの南59km。★パンタリカ/シラクーサの西50km(シチリア州)。

�エオリエ諸島Isole Eolie(自然遺産・2000 年登録)

エオリエ諸島は7つの火山島からなります。ヴルカーノ島とストロンボリ島の噴火活動は18世紀から研究調査が行われており、200年間にわたり地質学研究にも大きく貢献しています。噴火による溶岩石、温泉、火口など火山活動による自然現象や造形美、海や海岸線の美しさも魅力的です。★リパリ島 ★ストロンボリ島 ★サリーナ島 ★ヴルカーノ島 ★パナレア島 ★アリクーディ島 ★フィリクーディ島 (シチリア州)シチリア本島の北方沖約30km~。

�スー・ヌラージ・ディ・バルーミニSu Nuraxi di Barumini

(文化遺産・1997 年登録)

サルデーニャ島では紀元前2000年前から青銅器時代の頃にヌラーゲとよばれる巨石を円筒・円錐状に積み上げたこの島独特の要塞構造の建物が、先住民族により造られていました。バルーミニ村にあるスー・ヌラージ遺跡は紀元前15世紀前後から建てられたヌラーゲの巨大な城塞、塔、集落、防壁などの大集合体で、先史時代の建築例として大変重要です。★バルーミニ(サルデーニャ州)カリアリの北61km。

�アラブ・ノルマン様式のパレルモと、 チェファル、モンレアーレの大聖堂

Palermo Arabo-Normanna e le Cattedrali di Cefalu’ e Monreale (文化遺産・2015 年登録)

ノルマン王国のシチリア統治時代(1130年〜1194年)は、アラブ・ノルマン時代として栄華を誇りました。登録されたパレルモ大聖堂、ノルマン王宮、サン・ジョヴァンニ・デリ・エレミティ教会、マルトラーナ教会、サン・カタルド教会、ジーザ宮殿、アンミラリオ橋、そしてパレルモ県内のチェファル大聖堂、モンレアーレ大聖堂の9か所は、シチリアにおいて西洋とイスラム・ビザンチン文化圏という異なる社会・文化要素が重なり合い見事に融合した見本で、それまでにない空間、構造、装飾様式が誕生し発達しました。これらの建造物は当時、宗教の違う異民族(イスラム、ビザンチン、ラテン、ユダヤ、ロンゴバルド、フランス)が共存し繁栄したことも証明しています。★パレルモ(シチリア州北西部) ★モンレアーレ(パレルモの南西8km)、★チェファル(パレルモの東68km)。

�エトナ山Monte Etna(自然遺産・2013 年登録)

エトナ山はシチリア島東海岸のランドマーク的場所であり、その広さは頂上の周囲1万9237ヘクタールの非居住地帯に及びます。エトナ山は地中海の島のなかでは最も高く、世界で最も活発な成層火山です。その火山噴火の歴史は50万年前までに遡り、少なくとも2700年前の噴火活動が記録されています。エトナ山の噴火活動はほぼ継続的で、火山学、地球物理学、その他の地球科学の分野にも大きく影響し続けています。火山はまた、特有の植物相、動物相を含む、重要な地球の生態系を支えており、その活動は生態学的、生物学的推移の調査にとって、自然の研究所ともいえるものです。頂上地帯の数々のクレーター、噴石丘、溶岩流、ヴァッレ・デ・ボヴェ爆裂火口など、火山性特徴は多様で接近も可能なため、研究、教育においても最適の場所といえます。★シチリア島カターニア近郊。

�イタリアのロンゴバルド族:権勢の足跡(568-774年)北イタリアで紹介している同登録の7か所の文化財のうち、下記2カ所は南部イタリアにあります。(詳細は北イタリアの頁参照)★『サンタ・ソフィア教会』 ロンゴバルド建築の中でも最も多面的な構造を持ち、保存状態の良い建物のひとつ。 所在地:ベネヴェント(カンパニア州)ナポリ北東71km。★『サン・ミケーレ聖所記念堂』 ロンゴバルド族統治の7世紀から、大天使ミカエル崇拝の重要拠点として深く影響を及

ぼし、ヨーロッパ各地に建設された有名なモン・サン・ミッシェルを初めとする何百もの聖ミカエル聖堂のモデルともなりました。

 所在地:モンテ・サンタンジェロ(プーリア州)フォッジアの北東59km、バーリの北西135km。

�カルパティア山脈と欧州各地のブナ原生林中部イタリアの頁でも紹介している自然遺産でイタリアにも2017年拡張登録された、ブナ原生林(イタリア語でブナ林はFaggeta/eといいます)は、南部イタリアにある下記の国立公園内のブナ林も含んでいます。★フォレスタ・ウンブラ山林のブナ林 :ガルガーノ国立公園(プーリア州)★コッツォ・フェッリエーロの古木ブナ林 :ポッリーノ国立公園内(バジリカータ州・カラブ

リア州)

�カゼルタの18世紀の王宮と公園、 ヴァンヴィテッリの水道橋とサン・レウチョ邸宅群

Il Palazzo Reale del XVIII secolo di Caserta con il Parco, l'Acquedotto Vanvitelliano ed il Complesso di San Leucio(文化遺産・1997 年登録)

18世紀当時のナポリ王、ブルボン家のカルロ3世がベルサイユを凌ぐ宮殿をめざしてカゼルタに建設した王宮は、劇場、礼拝堂、博物館、1200もの部屋がある巨大で壮麗な建物。また120ヘクタールの庭園は、中央をまっすぐに走る3kmの道、滝、ギリシャ神話の彫刻噴水群を配し、周囲の森林とあいまって華麗で洗練された芸術作品のようです。建築家ヴァンヴィテッリは庭園の水を供給するため、古代ローマ風の美しい水道橋も建設しました。また高級絹生産の地サン・レウチョには王の離宮が建設されました。★カゼルタ(カンパニア州)ナポリの北東31km。

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各世界遺産へのアクセス・関連情報・詳細は、当局ホームページ www.visitaly.jp の「世界遺産を巡る」をご覧ください。

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