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⾎液型検査 検査⽅法と注意点 イムノヘマトロジー事業部 事業部⻑ 古杉光明 © Ortho Clinical Diagnostics 2016 IHT1601

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⾎液型検査検査⽅法と注意点

イムノヘマトロジー事業部事業部⻑ 古杉光明

© Ortho Clinical Diagnostics 2016 IHT‐1601

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ABO⾎液型発⾒

Karl Landsteinerオーストリア医学者

1900年 ⾎液型をA・B・C(O)型に分類1930年 ノーベル⽣理学・医学賞 受賞

受賞理由「⼈間の⾎液型の発⾒」1943年 実験室でピペットを持ったまま⼼臓発作により死亡

or

他⼈同⼠の⾎清・⾎球を混和すると、凝集する場合としない場合があることに気付いた。突き詰めた結果、3つのグループに分類できることを発⾒。⇒Landsteinerの法則の発表へ

Karl Landsteiner Gesellschaftより参照(2016/02/10)http://www.karl-landsteiner.at/wissenswertes.html

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Landsteinerの法則

⾚⾎球にはA、B抗原が存在し、⾎清(漿)中には⾚⾎球に存在しない抗原に対する⾃然抗体 抗A、抗Bが存在する

A抗原 B抗原 抗A 抗B

A型 + 0 0 +B型 0 + + 0AB型 + + 0 0O型 0 0 + +

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H抗原・A抗原・B抗原

A型 B型

ガラクトース (Gal)

O型

:Nアセチルガラクトサミン(GalNAc)○:フコース (Fuc)■:ガラクトース (Gal)△:Nアセチルグルコサミン(GlcNAc)

C OCH2OH

H

COH

H

CHO

HCH

OHCH

OH

H抗原A抗原 B抗原

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A1抗原が作られるまで

A1H

Aトランスフェラーゼ(転移酵素)H抗原に :GalNacを結合しA抗原にする酵素(蛋⽩質)(B型はBトランスフェラーゼがありH抗原に■:Galを結合する)(O型はトランスフェラーゼが不完全のためH抗原のまま)

A

A

A

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A1型と亜型A1⾚⾎球 A 亜型⾚⾎球

A型 Normalトランスフェラーゼ

A型 亜型トランスフェラーゼ

遺伝⼦の突然変異により元気がなく不完全な活性

A抗原はあるが A1抗原はない抗Aとの反応性は弱くなり、抗A1レクチン陰性

H抗原が多いため抗Hレクチンが強めに反応する

H抗原

A抗原

A1抗原

H抗原

蛋⽩ 蛋⽩

AA亜型

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A亜型-種類別のA抗原の模式図

A1

A2

A3

Ax

Ael

Am(y)

表現型 A抗原数 Bio抗A 抗A1レクチン 不規則抗A1

A1 80〜120万 4+ 4+ なし

A2 24〜29万 4+ 0 ある場合あり

A3 0.7万 3+ 0 ある場合あり

Ax 0.1〜1万 1〜3+ 0 あり

Am(y) 0.02〜0.2万 0 なし※

Ael 0.01〜0.14万 0 あり

O - 0 規則抗A

Bombay - 0 抗H<

O Bombay(H抗原がない)

Mollison 1988(⼀部改変)

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規則抗体(抗A、抗B)

糖鎖抗原:

規則抗A・抗Bが存在する理由は明らかとなっていないが、「腸内常在菌の糖鎖構造に対する⾃然抗体が⾚⾎球上のA抗原やB抗原と交叉反応している」という説がある

⾃分の⾚⾎球抗原に対する抗体は原則作られないもし作ったら⾃分の⾚⾎球を攻撃して破壊してしまう

産⽣量には個⼈差や年齢による変動がある

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⽇本⼈における抗A・抗B抗体価の変動

0

10

20

30

40

50

60

70

×2 ×4 ×8 ×16 ×32 ×64 ×128 ×256 ×512 ×1024

IgM型 抗B抗体価

ラオス(2001) タイ(2005) 日本(1986) 日本(2001) 日本(2005)

0

10

20

30

40

50

60

70

×2 ×4 ×8 ×16 ×32 ×64 ×128 ×256 ×512 ×1024

IgM型 抗A抗体価

ラオス(2001) タイ(2005) 日本(1986) 日本(2001) 日本(2005)

Immunohematology(2007年 Vol.23)より

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⽇本⼈における抗A・抗B抗体価の変動

0

10

20

30

40

50

60

70

×8 ×16 ×32 ×64 ×128 ×256 ×512 ×1024 ×2048 ×4096

IgG型 抗B抗体価

ラオス(2001) タイ(2005) 日本(1986) 日本(2001) 日本(2005)

0

10

20

30

40

50

60

×2 ×4 ×8 ×16 ×32 ×64 ×128 ×256 ×512 ×1024

IgG型 抗A抗体価

ラオス(2001) タイ(2005) 日本(1986) 日本(2001) 日本(2005)

Immunohematology(2007年 Vol.23)より

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⾚⾎球抗体による溶⾎

⾎管外溶⾎(脾臓)

⾎管内溶⾎

補体

胎児新⽣児溶⾎性疾患HDFN: Hemolytic disease of thefetus and the newborn

溶⾎性輸⾎副作⽤溶⾎性輸⾎副作⽤

主に不規則抗体保有者への不適合輸⾎により⽣じる

主にABO不適合輸⾎により⽣じる

マクロファージ

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厚⽣労働省 輸⾎療法の実施に関する指針(抜粋)

【副作⽤予防対策】Ⅳ患者の⾎液型検査と不規則抗体スクリーニング検査

患者(受⾎者)については、不適合輸⾎を防ぐため、輸⾎を実施する医療機関で責任を持って以下の検査を⾏う。これらの検査については、原則患者の属する医療機関で実施するが、まれにしか輸⾎を⾏わない医療機関等⾃施設内で検査が適切に実施できる体制を整えることができない場合には、専⾨機関に委託して実施する。

1. ABO⾎液型の検査1)オモテ検査とウラ検査

ABO⾎液型の検査には,抗A及び抗B試薬を⽤いて患者⾎球のA及びB抗原の有無を調べる,いわゆるオモテ検査を⾏うとともに,既知のA及びB⾎球を⽤いて患者⾎清中の抗A及び抗B抗体の有無を調べる,いわゆるウラ検査を⾏わなければならない。オモテ検査とウラ検査の⼀致している場合に⾎液型を確定することができるが,⼀致しない場合にはその原因を精査する必要がある。

2)同⼀患者の⼆重チェック同⼀患者からの異なる時点での2検体で、⼆重チェックを⾏う必要がある。

3)同⼀検体の⼆重チェック同⼀検体について異なる2⼈の検査者がそれぞれ独⽴に検査し、⼆重チェックを⾏い、照合確認するように努める。

2. Rho(D)抗原の検査

必須

推奨

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ABO⾎液型の判定基準

オモテ検査 ウラ検査

抗抗 AA 抗抗 BB AA11 BB 判定

1 4+ 0 0 4+ AA

2 0 4+ 4+ 0 B

3 0 0 4+ 4+ O

4 4+ 4+ 0 0 AB

正常なABOのオモテ検査で⾒られる反応は4+(最強陽性)か0(完全陰性)である。それ以外の中途半端な反応が⾒られた場合は異常反応であることが疑われる。

通常オモテ検査とウラ検査の判定結果はオモテ:A型、ウラ:A型と必ず⼀致するはずであり、これをもってABO⾎液型判定とする。不⼀致の場合は原因を精査する必要がある。

ABOのウラ検査では4+(最強陽性)か0(完全陰性)が理想的であるが、しばしば抗A、抗Bの弱い患者が存在するため2+前後が妥当。

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ABO式⾎液型の異常反応の要因

試薬・器具

検体由来

⼿技

オモテ検査 ウラ検査A亜型

抗体試薬 ⽣理⾷塩液 ⾚⾎球試薬 試験管 遠⼼器ピペット 分注

亜型 年齢・疾患 異型輸⾎ 寒冷凝集素輸液

免疫抑制剤⾎清異常

(連銭形成)

冷式抗体寒冷凝集素

亜型の不規則抗A1・抗B

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異常反応(試薬・器具由来)と予防抗A試薬・抗B試薬 冷えたまま使⽤・変性

⽣理⾷塩液 時間経過によるpH低下・変性

⾎球試薬 冷えたまま使⽤・変性

試験管 ガラス以外のものを使⽤ コート試験管の使⽤

ピペット 1滴量が少ない(50µLが適切)

遠⼼器 遠⼼不⾜/過剰/機構

精度管理

試薬・検体を室温に

試薬・検体を室温に

再調製PBS-saline

適切な材質

適切なピペットを選択

適切な遠⼼⼒・時間

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試薬の精度管理⾚⾎球型検査(⾚⾎球系検査)ガイドライン(改定⼆版)

ABO ⾎液型およびRhD ⾎液型検査は、不適合輸⾎を防ぐために輸⾎前に⾏われる重要な検査であり、管理された試薬、⽅法および⼿順のもと正しい判定が⾏われなければならない。

⾎液型検査における陽性および陰性コントロールの使⽤例

3.3. 精度管理(D 抗原検査を含む)3.3.1. 実施する検査⽅法の管理に適したタイミング(試薬ロット変更時、業務開始前、検査

バッチ毎など)で各種コントロールを測定し、試薬の性能や検査プロセスの有効性を確認する。

3.3.2. 全⾃動輸⾎検査装置を使⽤する場合は、メーカー指定のコントロール試薬キットで装置の管理を⾏い、検査の有効性を確認する。

3.3.3. コントロールに期待される結果が得られなかった場合は原因を追究する。

3.2.1. 検査においては、オモテ検査とウラ検査を実施する。オモテ検査とウラ検査を実施することは、双⽅の検査のチェック機能を有するだけではなく、偽陽性や偽陰性反応の影響を検出できる重要な役割を果たしている。

4.2.1. 抗D 試薬と同時にRh コントロールを⽤いて検査を実施する。

試薬 陽性コントロール⾚⾎球 陰性コントロール⾚⾎球抗A A型 B型抗B B型 A型抗D D陽性 D陰性

⽇本輸⾎・細胞治療学会 「⾚⾎球型検査(⾚⾎球系検査)ガイドライン(改訂2版)」より⼀部抜粋

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⾎液型異常反応時のチェックリスト

抗体試薬の反応性 標準⾎清との反応性 抗体試薬の反応性

適正な濃度調製

適正条件での遠⼼

緩やかにほぐしながらの判定

患者情報の⼊⼿(疾患・3か⽉以内の輸⾎歴・妊娠中・⾎液/⽣化学データ)

⾚⾎球浮遊液の再調製 ウラ検査⽤⾚⾎球の調製 ⾚⾎球浮遊液の再調製

適正な抗体試薬/患者⾎球滴下 ⼗分な患者⾎清/⾎漿の滴下 適正な抗体試薬/患者⾎球滴下

⾚⾎球洗浄(⽣⾷) または

オモテ検査弱/異常反応 ウラ検査弱/異常反応 抗D弱/異常反応

当⽇のQC結果の確認遠⼼器(回転数・回転時間)

⽣理⾷塩液の確認(浮遊物・カビ等の繁殖・pHの低下)

⾚⾎球洗浄(温⽣⾷) O型(A2型)⾚⾎球の準備 A1・B⾚⾎球の洗浄/置換 (EDTA加⽣⾷浮遊)

⾎球洗浄(⽣⾷) または ⾚⾎球洗浄(温⽣⾷) 適正な濃度調製

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⾎液型検査の分注

滴下の順番は必ず

①抗体試薬 or ⾎清(着⾊が薄い)

↓②⾚⾎球

(着⾊が濃い)

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滴下後の確認

第⼀液滴下後は必ず滴下/量を確認

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52μL 58μL 68μL

120μL 144μL 168μL

⾎清は⾎球沈渣量の80倍以上

ピペットの形態と滴下量の変化

3%⾎球浮遊液50μL内の⾎球沈渣は約1.5μL

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試験管ラックと検体/試薬滴下

可能な限り試験管は垂直に!

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試薬滴下時における試験管⾓度の影響

垂直の試験管に滴下

斜めの試験管に滴下

○ ×管壁に試薬/検体が付き遠⼼前に⼗分混和されないことによる弱陽性化!

滴下は確実に管底へ⾏う

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遠⼼の状態と強さ

90度スイングタイプ 60度スイングタイプ

○×遠⼼は900xg以上1200xg以下が基本

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最も注意すべき事項は

オモテ検査弱反応 or 部分凝集の有無

ウラ検査微弱な反応が本当に観察されないか(オモテ試験の先⼊観でウラ試験を⾒ていないか?)

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オモテ/ウラ検査が不⼀致(反応不⾜)

⽋損反応(反応陽性予測)部位の原因を確認• オモテ検査

• 適切な⽅法による再検査• 抗A1、抗Hレクチンによる試験

• ウラ検査• ウラ検査の反応増強法実施• O型⾚⾎球/⾃⼰⾚⾎球による試験• ⾚⾎球抗体以外の反応の確認

• 型物質の確認• 患者情報の収集

• 新⽣児・妊産婦• 異型輸⾎・⾻髄移植• 重度熱傷

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オモテ/ウラ検査が不⼀致(余剰反応)

余剰反応の原因を確認• オモテ検査

• 適切な⽅法による再検査• 抗A1、抗Hレクチンによる試験

• ウラ検査• O型⾚⾎球/⾃⼰⾚⾎球による試験• A2⾚⾎球による試験• ⾚⾎球抗体以外の反応の確認

• 患者情報の収集• 妊産婦(寒冷凝集素保有)• 偽⾎⼩板減少症(カルボン酸抗体保有)• 重度感染症(寒冷凝集素上昇)

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オモテ/ウラ検査が⼀致(弱反応/mf)

弱反応の原因を確認• オモテ検査

• 適切な⽅法による再検査• 抗A・抗Bによる凝集価• 抗A1、抗Hレクチンによる試験

• ウラ検査• ウラ検査の反応増強法実施• O型⾚⾎球/⾃⼰⾚⾎球による試験• A2⾚⾎球による試験• ⾚⾎球抗体以外の反応の確認

• 患者情報の収集• 新⽣児・妊産婦(抗原性低下)• 異型輸⾎・⾻髄移植• 重度感染症(抗原変異T化)

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必要⼗分な検査項⽬

正しい使⽤法に基づいたオモテ検査 元検体からの浮遊液再調製(または再採⾎) ルチンで⾎球洗浄をしていない場合必ず洗浄を⾏う

抗体特性を把握した反応増強法・確認法を含むウラ検査不規則抗体の確認(O型⾚⾎球)

ウラ検査⽤⾎球・不規則抗体検査⽤⾎球・⾃⼰対照を同時に⾏い浮遊液を同⼀(⽣理⾷塩液)にする

抗H(抗A1)レクチンの使⽤唾液(⾎清)中の型物質(吸着解離試験)

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ウラ試験の異常反応解決に役⽴つテクニック

⾎清量(2滴→4滴) 室温放置(15分) 冷式パネル(10〜15℃・1〜2時間) 酵素処理⾎球の使⽤(酵素⼆段法を⽤いたウラ検査) 採⾎法の変更(プレーン⇔EDTA) 市販⾎球の⽣理⾷塩液置換

pH dependentな抗体の対応 薬剤関与の確認 解離抗原(型物質)による抑制

Fresh⾎球の使⽤(ドナー⾎球のプール) 抗原陰性⾎球の使⽤(不規則抗体保有時) 型物質を⽤いた抗体の中和(抗Lea, 抗Leb, 抗P1, 抗HI, 抗I 等)

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A1 A2 A3 Ax Am(y) Ael

直接凝集陽性 直接凝集陰性

不規則抗体を保有する

型物質を分泌する

抗Hレクチンとの反応が強い

抗Hとの反応性O > A2 > A2B > B > A1 > A1B4+〜3+ 2+ 〜 1+ 1+ 〜0

反応特性と分類

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⾚⾎球輸⾎検査における最終の⽬的

•患者体内において抗原抗体反応を起こさせないこと

•患者に新たなる免疫をさせないこと

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ABO変異形における⾎液の供給

Type 不規則抗体 対応血球 対応血漿/血小板

Anti-A1なし A AAnti-A1あり(saline reactive) O(又はA) AAnti-A1あり(30℃↑ reactive) O A

(Aint),Am,Ay Anti-A1なし O(A) AAnti-B なし B BAnti-B あり(saline reactive) O(又はB) BAnti-B あり(30℃↑ reactive) O B

(Bint),Bm,By Anti-B なし O(B) BAnti-A1なし A又はO ABAnti-A1あり(saline reactive) O(又はA) ABAnti-A1あり(30℃↑ reactive) O又はcisA2B3 AB

cisA2B Anti-A1あり(saline reactive) B(又はAB) ABcisA1B3 A又はcisA1B3 AB

RowⅠ Oh Oh OAh Ah ABh Bh BAh A又はAh A

Amh A又はAmh ABh B又はBh B

Bmh B又はBmh BOmh O又はOmh O

anti-HI あり(saline reactive)

anti-H あり(30℃↑ reactive)

亜型(variant)

Row Ⅱ

Row Ⅲ

A2,A3,Ax,Ael

B3,Bx,Bel

cisA2B3

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輸⾎療法の実施に関する指針

2. 緊急時の輸⾎緊急に⾚⾎球の輸⾎が必要な出⾎性ショック状態にある救急患者について,直ちに患者の検査⽤⾎液を採取することに努めるが,採⾎不可能な場合には出⾎した⾎液を検査に利⽤しても良い。輸⾎⽤⾎液製剤の選択は状況に応じて以下のように対処するが,⾎液型の確定前にはO型の⾚⾎球の使⽤(全⾎は不可),⾎液型確定後にはABO同型⾎の使⽤を原則とする。

1)ABO⾎液型確定時の同型の⾎液の使⽤患者の最新の⾎液を検体として、ABO⾎液型及びRho(D)抗原の判定を⾏い、直ちにABO同型⾎である⾚⾎球(⼜は全⾎)を輸⾎する。輸⾎と平⾏して、引き続き交差適合試験を実施する。

2)⾎液型が確定できない場合のO型⾚⾎球の使⽤出⾎性ショックのため,患者のABO⾎液型を判定する時間的余裕がない場合,同型⾎が不⾜した場合,緊急時に⾎液型判定⽤試薬がない場合,あるいは⾎液型判定が困難な場合は,例外的にO型⾚⾎球を使⽤する(全⾎は不可)。

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抗D判定における異常反応

患者⾎球の質的・量的な異常

後天的な変化(妊婦・⽩⾎病等)

DAT陽性患者

抗Dによるマスキング

寒冷凝集素の影響

抗D試薬の劣化・不適正な使⽤

D異型輸⾎(D+⇒D-)

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D抗原の分類

D (Normal)

Weak D (Du): 弱反応性D

Partial D

Partial weak D

Elevated D1996年 Dr.Daniels講演より

Unusual

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35000

30000

25000

20000

15000

10000

5000

2000

1000

500

250 0

S1

0

5

10

15

20

25

30

頻度

抗原sites 模式図

D

D

D

D

D

D

D

D D

D

sites(x104)R1r DCcee 0.99-1.46

R0r(R0R0) Dccee 0.2-2.0R2r DccEe 1.4-1.66R1R1 DCCee 1.45-1.93R1R2 DCcEe 2.3-3.1R2R2 DccEE 1.58-3.33D- - D- - 11-20.2

weak D Du 0.011-0.047

Phenotype

P.L. Mollison(1979)より

D抗原量の分布

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Weak D

⽩⼈における頻度は0.2%〜1%

遺伝⼦検査において脂質⼆重膜内の部位に点変異が⾒られる

遺伝⼦レベルでは76 Type・ 84種に分類(2010年)

抗原数は100から4000 sites/cells

Weak D Type2 (446-818 sites/cells)であっても免疫原性あり

WeakD Type 抗原数 頻度(Caucasian)

Type 1 533〜1283 70.3%

Type 2 446〜818 18.0%

Type 3 1333〜2650 5.2%

Type 4 1687〜2406 1.3%

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アジア各地におけるDEL に関する報告

報告 D陰性頻度 DEL頻度(D陰性に占める) DEL全体頻度

⽇本⼈ 0.58% 10.3% 0.060%中国 0.28% 25.5% 0.071%⾹港 0.29% 29.2% 0.085%韓国 0.15% 16.3% 0.024%台湾 0.33% 32.0% 0.106%⽩⼈(Caucasian) 15% 0.18% 0.027%⿊⼈(African) 3-7% NA NA

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DEL⾎液による抗体産⽣が疑われた症例

患者は67歳⼥性・B, ccdee20年前にD陽性⾎液の輸⾎により抗D産⽣の履歴あり2000年以降輸⾎された⾎液構成(ccdEE:1, ccdee:7, ccdEe:6, Ccdee:2, CcdEe:3)

0

2

4

6

8

10

12

050

100150200250300350400450

LDH(IU/L) Hb(g/dL)

輸⾎ 4U 6U 7U 2U不規則抗体 (-) (-) (-) (+:抗D)

JJTM Vol.51, No.6: 2005より(⼀部改変)

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「Weak D」 と 「Partial D」

Partial DもWeak Dも、Rh(D)抗原のアミノ酸配列が⼀部変化したもの(417aa)

わずかなアミノ酸の変化は⽴体構造を含む構造への影響を及ぼす主に⾚⾎球膜の外側もしくはその直近位置の変化: ●Partial D

⇒ エピトープが変化し、抗Dが結合出来なくなる部分ができる主に⾚⾎球膜内や内側の変化 : ●Weak D

⇒ Rh(D)抗原の膜外への表出状態が変化(減少)する

● Partial Dで⾒出された変化

● Weak Dで⾒出された変化

⾚⾎球膜

外側↑

↓内側

Clin. Lab. 2002;48:53-59より抜粋

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「Weak D」 と 「Partial D」

⾚⾎球D遺伝⼦

⾚⾎球D遺伝⼦

⾚⾎球D遺伝⼦

⾚⾎球D遺伝⼦

Normal D Weak D Partial D* Partial-Weak D*

* 明確な定義はなく、⼈により解釈が異なる⽤いる試薬により分類が異なる場合があり要注意

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抗D弱反応時の検査

検体の再調製の実施と再検査

異なるformulationの抗Dを⽤いた試験 直接凝集試験 D陰性確認試験(間接抗グロブリン法)

ポリクローナル抗Dを⽤いた被凝集価測定 凝集像の判定に注意が必要

×2 ×4 ×8 ×16 ×32 ×64 ×128 ×256 ×512 ×1024 ×2048

正常 D陽性 4+ 4+ 4+ 3+ 3+ 2+ 2+ 1+ 1+ w+ 0

Weak D 3+ 3+ 2+ 1+ w+ 0 0 0 0 0 0

異型輸⾎ 2+ 2+ 2+ 2+ 2+ 1+ 1+ w+ w+ 0 0

mf mf mf mf mf mf mf mf mf 0 0

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輸⾎検査の実際第三版より抜粋

D(+)

モノクローナル抗D(MoAb)+被検⾎球

(-)⼜は(±) (+)

Du因⼦確認試験モノクローナル抗D (MoAb) + 被検⾎球

ポリクローナル抗D(PoAb)

MoAb(+)PoAb(+)

MoAb(-)PoAb(+)

MoAb(-)PoAb(-)

D(-)Partial D

titration

Weak DD(+)

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IBGRLに依頼された検体

依頼数 抗体保有 依頼数 抗体保有 依頼数 抗体保有 依頼数 抗体保有 依頼数 抗体保有weak D 8 0 14 0 12 0 38 0 72 0

Ⅵ 10 2 22 1 11 2 10 0 53 5

HMi 1 0 7 1 7 0 11 0 26 1

HMii 1 0 4 0 4 0 2 0 11 0

Ⅴa 6 2 1 0 2 0 2 0 11 2

not identfy 3 2 3 1 3 1 8 2 17 6

DFR 1 0 7 0 1 0 0 0 9 0

Ⅶ 0 0 0 0 4 4 2 2 6 6Ⅲc 1 1 0 0 1 1 1 1 3 3Ⅱ 0 0 2 2 0 0 0 0 2 2Ⅲa 0 0 2 2 0 0 0 0 2 2Ⅳa 0 0 1 1 0 0 1 0 2 1Ⅳb 2 0 0 0 0 0 0 0 2 0

DBT 1 1 0 0 0 0 0 0 1 1

計 34 8 63 8 45 8 75 5 217 29

Transfusion Med. 1995より⼀部改変

1991 1992 1993 1994

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ANTI-D EPITOPENo SPECIFICITY

(1-9)

A LHM76/58 + + - + + + + - + (+) - + 1+B LHM76/59 + + + + + - + + + + - - 4+C LHM174/102 + + + + - - + - + + - - 3+w

D LHM50/B2 + + + + + + + - + + - + 4+E LHM169/81 + + + + - - - - + + - - 4+F ESD1 ? + ? ? - - + + + ? - ? 3+G LHM76/55 + + + + - - + + + + - - 4+H LHM77/64 - + + + - - + + + + - - 4+I LHM70/45 + + + + - - - - + - - - 0J LHM59/19 + + + + + + + - - - - + w+K LHM169/80 + + + + + + + - + + - - 4+L LHM57/17 + + + + + + + - + - + + 0

VARIANT

DFR TESTResults

DHAR DBTD II D IIIa DIIIb DIIIc DVIID IVa D IVb Dva DVI

IS 37℃ weak D

0 NT 3+3+ NT NT4+ NT NT3+ NT NT3+s NT NT1+ NT NTBioVue® ABR cassette

Polyclonal anti-D IgG

Gamma clone anti-D IgM/IgG

Monoclonal anti-D「三光」

Monoclonal anti-D「wako」

Bioclone® anti-D Blend

市販抗D試薬

DFRが疑われた症例

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Weak D表現型患者の管理

扱い⽅ 対応とリスク

供⾎者 Rh陽性扱い

Rh陰性患者にこの供⾎者を輸⾎すると、抗D産⽣の刺激となる可能性がある(これらの⾎球に免疫原性が無いことを⽰す⼗分な証拠に⽋ける)。但し陰性確認試験陰性群の中にも微弱なD抗原を持つ供⾎者がいることは報告されているが(約10%.⼤久保ら.1993)陰性⾎として供給されている。また、抗Dを保有するRh陰性者に輸⾎された場合、⽣体内で抗Dと反応するためAG法によるD陰性確認試験の確認が絶対必要。

D陰性確認試験実施後・陰性扱い

D陰性確認試験未実施・陰性扱い

陽性扱い患者の年齢・性別・D陰性⾎液の⼊⼿の可能性・緊急性を考慮して、Rh陽性⾎液を輸⾎することもある。Rh陰性⾎液の浪費は防げるが免疫の機会の否定はできない。Rh0(D)異型輸⾎実施時同様に本⼈・家族へのインフォームドコンセントが必要かどうか今のところ不明。

Rh陽性扱い(RhIgの観点より)

妊娠初期に検査を⾏いWeak DであればRhIgの投与対象者とはならない。妊娠初期にD陰性確認試験を実施することはその後の経胎盤出⾎をWeak Dと⾒誤らないためにも重要。仮に抗D抗体を産⽣した場合にはD陰性の妊婦の場合と同様の処置を要する。(検査で免疫は防げない)

Rh陰性扱い(RhIgの観点より)

本来妊娠初期に検査を⾏いWeak DであればRhIgの投与対象者とはならない。⼀⽅では⺟親にとってharmlessであり、児の⾎液への効果がないとはいえないといった説もありRhIg投与を⾏う医師も存在する。⺟親⾎球への感作により効果に関しては疑問⼤。また、RhIg投与基準に則していないことも問題(ローブリンテスト陽性は投与対象とならない)。

新⽣児Rh陽性扱い(RhIgの観点より)

⺟親が陰性且つ新⽣児がWeak Dの場合には⺟親を免疫する可能性があるため、⺟親にRhIgを投与する。

輸⾎予定者(受⾎者)

産婦⼈科患者

直後遠⼼で反応がみられないまたは微弱な反応を⽰す全ての患者にRh陰性⾎液を輸⾎する。受⾎者にとって最も好ましい(リスクのない)対応といえる。ただしこれはRh陰性⾎液の浪費につながりD陰性者の少ない⽇本⼈においては問題が残る可能性がある。また、試薬特性により正常D陽性者であっても弱反応を⽰す(⼿技上の問題)場合があり、この対応には検査環境(検査⼿技)の徹底が前提となる。

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輸⾎療法の実施に関する指針1. ABO⾎液型の検査

① オモテ検査とウラ検査ABO⾎液型の検査には,抗A及び抗B試薬を⽤いて患者⾎球のA及びB抗原の有無を調べる,いわゆるオモテ検査を⾏うとともに,既知のA及びB⾎球を⽤いて患者⾎清中の抗A及び抗B抗体の有無を調べる,いわゆるウラ検査を⾏わなければならない。オモテ検査とウラ検査の⼀致している場合に⾎液型を確定することができるが,⼀致しない場合にはその原因を精査する必要がある。

② 同⼀患者の⼆重チェック同⼀患者からの異なる時点での2検体で,⼆重チェックを⾏う必要がある。

③ 同⼀検体の⼆重チェック同⼀検体について異なる2⼈の検査者がそれぞれ独⽴に検査し,⼆重チェックを⾏い,照合確認するように努める。

2. Rho(D)抗原の検査抗D試薬を⽤いてRho(D)抗原の有無を検査する。この検査が陰性の患者の場合には,抗原陰性として取り扱い,D抗原確認試験は⾏わなくてもよい。

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抗D弱反応時の対応と留意供給⾎液の選択・D陽性?D陰性?

年齢・性別 必要な単位数と緊急度 他の不規則抗体の有無 新たなる免疫のリスク 近々の輸⾎の有無

⾎液型の異常反応における判断基準の明確化⾎液の選択基準の明確化

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諸外国の対応 供⾎者 間接抗グロブリン法を含む試験を実施し、D抗原の有無を確認

-DELを除く 受⾎者 間接抗グロブリン法未実施 Category Ⅵと反応しない抗体を少なくとも⼀つ以上使⽤して試験を

実施(UK, GE, Fr etc) 他のパーシャルDは、ルチン検査では原則考慮しない

When two different reagents are used it is helpful to use those of a similar reactivity with partial D and weak D red cells, in order to reduce the number of discrepancies. If a discrepancy occurs the patient should be treated as D negative until the D status is resolved. Patients should not be classified as D positive on the basis of a weak reaction with a single anti-D reagent. If clear positive results are not obtained with two monoclonal anti-D reagents it is safer to classify the patient as D negative. Reagents used for D grouping patients should not detect category DVI.

UKBTSガイドラインより抜粋

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D弱反応患者への対処BCSHガイドラインReview for 2014より

1種または多種の抗Dによって弱反応*が観察されるか?

D陽性として扱い報告患者は⼥性で且

つ50歳以下か?

患者はD陰性(または可能ならば保留)として扱い、D抗原の確認試験を依頼する**

患者は慢性的な輸⾎の要請がある可能性があるか?

D陽性として扱い報告

* : 弱反応の基準は各ラボ基準または添付⽂書に記載がある場合それに従います**: 専⾨の機関への委託

Yes No

Yes

Yes

No

No

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患者への対処(BCSHガイドラインReview for 2014より)

7.8 D Selection 7.8.1 Selection of D matched blood is the recommended best practice, and D positive blood

should be selected for D positive patients according to the definition in the flow chart (figure 2, section 4). However, in order to preserve supplies of D negative red cells for D negative women of child bearing potential, D positive red cells may be selected for D negative patients in the following situations: i. Female patients > 50 years. ii. Adult males who are D negative or whose D status is unknown; iii. Patients undergoing a large volume transfusion (> 8 units), excluding children, females of

childbearing potential and patients with immune anti-D.

7.8.2 The policy for use of D positive red cells to a D negative recipient should be documented and controlled by validated rules in the LIMS where applicable.

7.8.3 D negative red cells should always be selected for: i. D negative women of childbearing potential (<51 years). Guidelines for pre-transfusion

compatibility procedures in blood transfusion laboratories Page 30 of 60 ii. D negative patients <18 years old. iii. Patients who have formed immune anti-D, even if not currently detectable.iv. Transfusion-dependant D negative adults.

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総括 51

異常を異常として捕らえられる環境を整備する(精度管理・再検査⽅法の確⽴)

再検・精査・患者バックグラウンド等を俯瞰し、総合的に判断する

安易に⾎液型を決めつけない(多分〜型だろう、は危険)

必ずしも、詳細な分類(亜型検査)は必須ではない

⼿持ちの試薬が豊富でなくとも⼤まかな推測は可能

最⼩限の追加検査で最⼤限の情報を得る(事前計画が⼤切!)

緊急時の対応を明確にしておく

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ご清聴、ありがとうございました。

問題解決の参考としてオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス㈱

お客様サポートセンター

☎0120-03-6527

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異常反応の原因 53

検体 ⽣理⾷塩液法で検出される不規則抗体 寒冷⾃⼰抗体 温式の不規則抗体 亜型が保有する不規則抗A1

⾎清異常(連銭形成) 薬剤抗体

試薬・器具の異常 ウラ⾎球のダメージ 過剰遠⼼

その他 検体・試薬を冷えたまま試験実施

ウラ検査オモテ検査 検体

試薬・器具の異常

その他

亜型 新⽣児 抗原性減弱(⾎液疾患・妊婦 等) 異型輸⾎・⾻髄移植 Polyagglutination・Tn (Acquired A) 試薬成分に対する抗体 キメラ・モザイク

抗体試薬の劣化 遠⼼⼒不⾜

⾎球濃度異常