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Bank of Ayudhya PCL. 三菱UFJ銀行 経営企画部 経済調査室 MUFG Holding (Thailand) Co., Ltd. BANGKOK MUFG LIMITED MUFG Participation (Thailand) Co., Ltd. 20186月号【目次】 1. タイ経済指標推移 ------------------------------------------------ P 1 2. タイ経済・政治・社会ニュース--------------------------------------- P 3 3. 為替相場動向 ---------------------------------------------------- P 5 4. バーツ金利動向 -------------------------------------------------- P 6 5. 主要金融指標 ---------------------------------------------------- P 7 6. 今月のトピックス<ミャンマーについて>----------------------------- P 8 7. タイにおけるMUFGグループのサービス体制について ------------------- P12 (2018年6月12日作成)

2018年4月号 - 三菱東京UFJ銀行 3月の消費者物価上昇率は前年比+0.8%へ加速 3月の消費者物価は前年比+0.8%と依然低水準ながらも、4ヵ月ぶりに前月から加速し

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Page 1: 2018年4月号 - 三菱東京UFJ銀行 3月の消費者物価上昇率は前年比+0.8%へ加速 3月の消費者物価は前年比+0.8%と依然低水準ながらも、4ヵ月ぶりに前月から加速し

Bank of Ayudhya PCL.

三菱UFJ銀行 経営企画部 経済調査室 MUFG Holding (Thailand) Co., Ltd.

BANGKOK MUFG LIMITED MUFG Participation (Thailand) Co., Ltd.

(2018年6月号)

【目次】

1. タイ経済指標推移 ------------------------------------------------ P 1

2. タイ経済・政治・社会ニュース --------------------------------------- P 3

3. 為替相場動向 ---------------------------------------------------- P 5

4. バーツ金利動向 -------------------------------------------------- P 6

5. 主要金融指標 ---------------------------------------------------- P 7

6. 今月のトピックス<ミャンマーについて>----------------------------- P 8

7. タイにおけるMUFGグループのサービス体制について ------------------- P12

(2018年6月12日作成)

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1.タイ経済指標推移

タイの主要経済指標2015 2016 2017 17/4-6 7-9 10-12 18/1-3

名目GDP(10億ドル) 401 412 456

人口(100万人) 65.7 65.9 66.2

1人あたりGDP(ドル) 6,108 6,249 6,883

実質GDP成長率(前年比、%) ( 3.0) ( 3.3) ( 3.9) ( 3.9) ( 4.3) ( 4.0) ( 4.8)

製造業生産指数(前年比、%) ( 0.0) ( 1.4) ( 2.5) ( 0.8) ( 5.0) ( 4.4) ( 4.1)

民間消費指数(前年比、%)※ ( 1.4) ( 3.7) ( 2.7) ( 1.8) ( 2.9) ( 3.5) ( 3.5)

自動車販売台数(台) 799,632 768,788 871,647 199,490 210,732 250,935 237,093

       (前年比、%) (▲9.3) (▲3.9) ( 13.4) ( 6.6) ( 12.2) ( 18.2) ( 12.6)

消費者物価指数(前年比、%) (▲0.9) ( 0.2) ( 0.7) ( 0.1) ( 0.4) ( 0.9) ( 0.6)

失業率(%) 0.9 1.0 1.2 1.2 1.2 1.1 1.3

輸出(FOB)(100万ドル) 214,046 214,251 235,106 56,088 61,633 61,164 61,788

      (前年比、%) (▲5.6) ( 0.1) ( 9.7) ( 7.9) ( 12.5) ( 11.6) ( 9.9)

輸入(FOB)(100万ドル) 187,248 177,711 203,240 49,682 51,490 54,661 55,153

      (前年比、%) (▲10.6) (▲5.1) ( 14.4) ( 14.2) ( 13.0) ( 14.6) ( 16.3)

貿易収支(100万ドル) 26,798 36,539 31,866 6,405 10,143 6,503 6,635

経常収支(100万ドル) 32,111 48,237 48,127 7,822 13,946 12,677 12,677

資本収支(100万ドル) ▲ 16,799 ▲ 21,023 ▲ 18,228 ▲ 5,747 540 ▲ 6,152 ▲ 1,285

 直接投資(100万ドル) 3,937 ▲ 10,346 ▲ 11,648 ▲ 4,013 ▲ 1,990 ▲ 4,641 290

 証券投資(100万ドル) ▲ 16,508 ▲ 2,798 ▲ 2,478 ▲ 1,254 2,481 ▲ 2,274 ▲ 1,648

 その他投資(100万ドル) ▲ 5,131 ▲ 8,183 ▲ 4,219 ▲ 326 58 920 736

総合収支(100万ドル) 5,859 12,845 25,957 1,995 12,577 3,197 11,981

BOI外資申請金額(100万バーツ) 96,077 251,723 282,696 85,564 55,011 113,895 24,907

 うち日系 28,573 53,600 133,002 10,027 45,786 63,091 11,790

BOI外資承認金額(100万バーツ) 493,690 358,119 227,053 85,940 57,371 36,462 51,287

 うち日系 148,964 79,629 89,700 10,989 55,161 6,264 9,981

対外債務残高(100万ドル)◎ 131,078 132,194 148,995 140,278 148,096 148,995

外貨準備高(除く金)(100万㌦)◎ 151,266 166,157 196,121 179,413 192,977 196,121 209,062

翌日物レポ金利(%)◎ 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50

為替(バーツ/ドル)* 34.26 35.29 33.93 34.30 33.37 32.93 31.57

株価指数◎ 1,288.0 1,542.9 1,753.7 1,574.7 1,673.2 1,753.7 1,776.3

タイの主要経済指標17/8 9 10 11 12 18/1 2 3 4 5

名目GDP(10億ドル)

人口(100万人)

1人あたりGDP(ドル)

実質GDP成長率(前年比、%)

製造業生産指数(前年比、%) ( 5.6) ( 5.3) ( 1.0) ( 6.3) ( 5.8) ( 4.7) ( 4.6) ( 3.2) ( 4.0)

民間消費指数(前年比、%)※ ( 2.8) ( 3.5) ( 1.0) ( 3.0) ( 6.4) ( 5.3) ( 2.9) ( 2.2) ( 5.5)

自動車販売台数(台) 67,962 77,592 68,551 78,082 104,302 66,545 75,466 95,082 79,206

       (前年比、%) ( 6.8) ( 21.9) ( 13.1) ( 20.6) ( 20.1) ( 16.2) ( 10.3) ( 12.1) ( 25.2)

消費者物価指数(前年比、%) ( 0.3) ( 0.9) ( 0.9) ( 1.0) ( 0.8) ( 0.7) ( 0.4) ( 0.8) ( 1.1) ( 1.5)

失業率(%) 1.1 1.2 1.3 1.1 1.0 1.3 1.3 1.2 1.1

輸出(FOB)(100万ドル) 21,017 21,873 20,010 21,235 19,918 19,914 19,817 22,057 18,948

      (前年比、%) ( 15.8) ( 13.4) ( 13.4) ( 12.3) ( 9.3) ( 16.7) ( 7.7) ( 6.3) ( 14.6)

輸入(FOB)(100万ドル) 17,618 16,473 18,386 17,900 18,374 18,583 17,528 19,042 18,714

      (前年比、%) ( 14.3) ( 6.5) ( 16.6) ( 11.9) ( 15.4) ( 22.5) ( 21.8) ( 6.7) ( 22.7)

貿易収支(100万ドル) 3,399 5,400 1,624 3,335 1,544 1,331 2,289 3,015 234

経常収支(100万ドル) 4,783 6,341 3,087 4,837 3,407 5,211 6,157 5,751 1,364

資本収支(100万ドル) 1,962 ▲ 1,657 ▲ 86 ▲ 1,030 ▲ 4,895 5,012 ▲ 3,281 ▲ 2,406 ▲ 148

 直接投資(100万ドル) ▲ 1,280 ▲ 342 65 ▲ 756 ▲ 3,950 312 ▲ 98

 証券投資(100万ドル) 1,290 1,662 ▲ 766 ▲ 890 ▲ 618 1,967 ▲ 2,696

 その他投資(100万ドル) 1,953 ▲ 2,977 615 616 ▲ 327 2,733 ▲ 487

総合収支(100万ドル) 5,687 4,578 2,109 2,264 ▲ 1,176 8,969 40 2,971

BOI外資申請金額(100万バーツ)

 うち日系

BOI外資承認金額(100万バーツ)

 うち日系

対外債務残高(100万ドル)◎

外貨準備高(除く金)(100万㌦)◎ 190,376 192,977 194,237 196,769 196,121 208,013 206,217 209,062 208,647

翌日物レポ金利(%)◎ 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50

為替(バーツ/ドル)* 33.25 33.15 33.23 32.91 32.65 31.92 31.49 31.27 31.31 31.97

株価指数◎ 1,616.2 1,673.2 1,721.4 1,697.4 1,753.7 1,826.9 1,830.1 1,776.3 1,780.1 1,727.0

(注)*印:期中平均値、◎印:期末値。『民間消費指数』は季節調整値の前年比。

(資料)タイ中央銀行、国家経済社会開発委員会、CEIC等より三菱UFJ銀行経済調査室作成

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1-3月期の実質 GDP成長率は前年比+4.8%へ加速

1-3月期の実質GDP成長率は前年比+4.8%(前期:同+4.0%)と加速し、5年ぶりの高

さとなった。個人消費が堅調に推移したほか、住宅・インフラ投資の拡大に加え政府系企

業の設備投資(航空機購入等)も成長率の押し上げに寄与した。

産業別にみると、好天に伴い主要農水産物の生産が回復したほか、製造業も電子機器・

機械や自動車・二輪車などの資本・ハイテク産業や、石油精製、金属などの素材産業を中

心に伸びが加速した。サービス業では、卸・小売業のほか、観光客の増加を背景にホテル・

レストランなども高い伸びを維持した。

1-3月期の成長率実績を踏まえ、政府は今年の実質GDP成長率予測を前年比+4.2%~

同+4.7%と今年2月時点の予測(同+3.6%~同+4.6%)から上方修正した。

図表 1:実質 GDPの推移(需要項目別) 図表 2:実質 GDPの推移(産業別)

(経済調査室)

-12

-9

-6

-3

0

3

6

9

12

14 15 16 17 18

個人消費

政府消費

総固定資本形成

純輸出

誤差+在庫投資

実質GDP

(資料)タイ国家経済社会開発局統計より三菱UFJ銀行経済調査室作成

(前年比、%)

(年)

-2

-1

0

1

2

3

4

5

6

7

14 15 16 17 18

(前年比、%)

(年)

その他 金融・不動産運輸・通信 ホテル・レストラン卸・小売 建設業製造業 農林水産業実質GDP

(資料)タイ国家経済社会開発局統計より三菱UFJ銀行経済調査室作成

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2.タイ経済・政治・社会ニュース

Source

【政府関連】

5月1日

タイ政府

“TPP11参加意向で首相府が声明発表”

タイ首相府は1日、当地で行われたソムキット副首相と茂木敏充経済再生担当相との会談後に声

明を発表し、プラユット首相が環太平洋連携協定(TPP)の新協定「TPP11」に参加する

ことを約束したと表明した。

声明は、この日の会合で両国は経済協力について協議するとともに、タイが重視するTPP1

1について意見交換したと指摘。その上で「自由貿易は参加するすべての国に対し恩恵をもたら

すという重要な原則に基づいたTPPに参加することを首相は約束している。そして、タイがT

PP11のメンバーになる際に、有益な情報を交換するとともに日本がタイを支援することを期

待している」と強調した。

さらにタイは、TPP交渉を引き続き注意深く見守り、決定を下すのに必要な情報を収集、メ

リットとデメリットを調査するため商業省にすべての関係機関と協力していくよう指示したとし

ている。

5月8日

一般報道

“茂木経済再生相:タイのTPP参加、経済的意義は大きい”

日本の茂木敏充経済再生担当相は8日の閣議後記者会見で、連休中に訪問したタイでソムキッ

ト副首相が環太平洋連携協定(TPP)の新協定「TPP11」への参加意欲を表明したことに

ついて、「タイは日本のものづくりのサプライチェーンの中核的な拠点のひとつで、TPPに参加

することによる経済的意義は大きい」と述べた。

今後、TPP11参加国で新規加盟のための手続きなどを詰め、タイに情報提供などを行って

いく考えを示した。

8日午後には国内対策などを盛り込んだTPP関連法案が国会で審議入りする。茂木氏は、

「(TPP11協定の承認案と関連法案を)早期に承認、成立させることで、早期発効に向けた全

体の機運を高めていきたい」と話した。

5月14日

タイ中銀

“タイ商業銀行の融資、前年比4.7%増=不良債権はほぼ横ばい-3月末”

タイ中央銀行は14日、タイの商業銀行全体の第1四半期(1~3月)の業績を発表した。

3月末時点の融資残高は前年同月末比4.7%増加し、昨年末時点の4.4%増から加速し

た。融資全体の66.7%を占める企業向け融資は3.6%伸びた。うち、中小企業向けは

7.4%増加した一方で、大手企業向けは2.6%減少した。大手企業による債務返済が相

次いたほか、株式または社債の発行によって資金を調達した企業が増えたため。

また、個人向けローン(全体の33.3%)は前年同期比7.1%増。このうち自動車ロ

ーンは10.6%増と大きく拡大した。自動車の初回購入者向け優遇制度「ファーストカー・

プログラム」で義務付けていた5年の保有期間の終了に伴う買い替え需要で自動車販売が好

調に進んだ。

一方、融資残高に対する不良債権の比率は昨年末時点の2.91%から2.92%とほぼ

横ばいだった。

商業銀行全体の第1四半期の純利益は前四半期から減少。IT分野への投資やマーケティ

ング費用の増加、貸倒引当金の積み増しなどが要因。資産収益率(ROA)は前四半期の0.

9%から1.07%に上昇し、純金利マージン(NIM)は2.75%から2.66%に低

下した。

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5月22日

タイ商業省

“4月輸出額、前年比12%増の189億ドル超=14カ月連続プラス”

タイ商業省が22日発表した4月の輸出実績は前年同月比12.3%増の189億4600万

ドルとなり、前年同月比プラスは14カ月連続となった。輸入実績は前年同月比20.4% 増の

202億2900万ドル。貿易収支は12億8300万ドルの赤字となった。

世界の景気回復を背景に各市場、特にインド、CLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマ

ー、ベトナム)、欧州連合(EU)、日本、中国向けの輸出が好調に拡大した。品目別では工業製

品が14カ月連続のプラスとなり、農水産品・同加工品は前月のマイナスからプラスに転じた。

1~4月の累計では、輸出額が前年同期比11.5%増の817億7500万ドル、輸入額は前

年同期比17.2%増の811億0200万ドルで、貿易収支は6億7300万ドルの黒字だっ

た。

4月の主要品目の輸出動向を見ると、農水産品・同加工品の輸出額は前年同月比で9.8%上

昇した。野菜・果物が50.7%と大幅に増加したほか、コメやタピオカ製品、鶏肉も順調に伸

びた。天然ゴムは12.3%落ち込んだ。また、工業製品は12.2%増加し、自動車・同部品、

コンピューター・同部品、プラスチック原料、精製油が好調だった。

市場別では、日米欧が含まれる主要市場向けは前年同月比で13.9%増加した。このうち米

国向けは9.6%、日本向けは14.8%、欧州連合(EU)向けは18.5%それぞれ伸長。

また、CLMV向けは19.3%、南アジア向けは24.6%、中国向けは19.9%のプラス

だった。一方、CLMV以外の他の東南アジア諸国連合(ASEAN)への輸出は2.6%、中

東向けは4.9%それぞれ低下した。

5月30日

一般報道

“米国の豚肉生産者、タイの輸入禁止に抗議=特恵関税廃止をUSTRに要請”

タイが飼料添加物ラクトパミン使用の米国産豚肉の輸入を禁止していることに対し、米国の豚

肉生産者が抗議してタイに認めている一般特恵関税(GSP)の適用をやめるよう米通商代表部

(USTR)に申し立てている。28日のタイの閣議で報告があったという。

ラクトパミンは動物の筋肉の成長を促進するなどの効果がある飼料添加物で、その健康被害を理

由に多くの国で使用が禁止されている。一方、GSPは途上国の経済発展を促すために、米国が

約129カ国・地域からの4800品目に対して、輸入関税を免除している制度。ナタポン首相

府相顧問が29日明らかにしたところによると、この問題では、タイ側は前回の米タイ間におけ

る貿易・投資の枠組み合意の会合で、ラクトパミン残留量が消費者に全く安全だと科学的に証明

された場合のみ、コーデックス委員会が承認したラクトパミン残留限度量を受け入れると伝えた

という。

同氏はまた、タイと米国は豚肉におけるラクトパミン残留限度量をめぐる論争を解決するため

の共同計画の原案で合意しており、さらなる調査要請に対し、米国側が科学的証拠を提出する見

通しだとしている。

【中銀関連】

5月31日

タイ中央銀行 “タイ中銀、月例経済報告” タイ中央銀行は、4月月例経済報告(速報値)を発表した。主なデータは以下の通り。 ○ 民間消費指数 :前年比 +5.8%(前月実績改定値 +1.7%)

○ 民間投資指数 :前年比 +7.0%(前月実績改定値 -0.4%) ○ 輸出額伸び率 :前年比 +14.6%/輸出額 :18,948百万米ドル ○ 輸入額伸び率 :前年比 +22.7%/輸入額 :18,714百万米ドル ○ 貿易収支 :234百万米ドル(前月実績 3,015百万米ドル) ○ 経常収支 :1,364百万米ドル(前月実績 5,751百万米ドル)

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3.為替相場動向

【ドルバーツ】

■ 5月のレンジ :31.60 - 32.27

■ 6月の予想レンジ :31.00 - 32.50 5月:

ドルバーツは一

時4ヵ月ぶりと

なる水準まで上

○5月のバーツ相場(対ドル)は31.695でオープン後、2日に消費者信頼感指数(4月)が発表され40

ヵ月ぶりの高水準となったものの、楽観的・悲観的な見方の分かれ目とされる100は依然として大き

く下回っており、相場への影響は限定的となった。4日に月間バーツ高値となる31.60を示現したが、

その後は米金利上昇等を背景に米ドル買い優勢の中、10日に4カ月ぶりのバーツ安値水準となる

32.225を付けた。月央にかけて31.80近辺まで反落する局面も見られたが、16日の金融政策決定委員

会にて、政策金利引き上げに向けた目新しい材料がないことが確認されると、再び32の大台を回復

した。21日には米10年国債利回りが2011年以来の水準まで上昇すると、米ドル買い圧力が再度強ま

り、ドルバーツは月間バーツ安値となる32.27を付けた。23日に発表された米FOMC議事要旨(5月)

が市場でハト派だと判断されると、月末にかけてドルバーツは31.90近辺まで反落する局面も見られ

たものの、イタリアの政情不安等からリスク回避の流れとなり、ドルバーツはやや買い戻され、結

局31.98でクローズ。

○円バーツは月初100円=28.83でオープン後、米イラン核合意離脱等を受けてリスク回避地合いと

なり円バーツは8日に29.33付近まで上昇。その後は米金利上昇を背景にドル高円安が進むと、円バ

ーツは連れ安となり、22日に月間バーツ高値となる28.78を付けた。しかし23日にトランプ米大統領

が米朝首脳会談の延期を示唆し、安全通貨として円が買い戻される中、29日に月間バーツ安値とな

る29.69を付け、結局29.45でクローズ。

6月:

ドルバーツはバ

ーツ高基調への

回 帰 を 予 想

○ドルバーツ相場では、ドル高を主な背景に、5月も総じてドル高バーツ安が進んだ。その間、タイ

の外貨準備高は約1ヵ月で30億ドル強減少しており、当国貿易黒字およそ1ヵ月分に相当する規模と

なった。要因の一つとしては、足元の米金利上昇を受けて、外貨準備として保有している米国債価

格が下落し、外貨準備高の減少に反映されているためだと思われる。加えてタイ当局が急速なバー

ツ安に対して、ドル売りバーツ買いの為替介入を実施した可能性も想定される。背景としては4月に

公表された米財務省の『為替報告書』において、タイは定量要件を全て満たしたものの、貿易総額

の点で、個別制裁対象となる「為替操作国」認定を免れた。しかし前回の報告書において、今後の

対象国拡大が示唆されており、米国との交易関係を考えると、一定の配慮からタイ当局によってド

ル売りバーツ買い介入がなされていても不思議はないであろう。こうした動きが今後も続けば、目

先のバーツ下げ余地は限定的となろう。またタイのファンダメンタルズは引き続き堅調であり、足

元のドル買い圧力が一服すれば、昨年来からのドル安バーツ高トレンドに回帰する可能性が高いも

のと予想する。

○円バーツ相場では、5月は方向感の出づらい展開となったが、月末にかけリスク回避の動きが強ま

る局面では円買い主導で円高バーツ安方向への推移。6月は引続き欧州政治リスクが燻っており、且

つ米国中間選挙接近に伴いトランプ米政権が保護主義姿勢を強める公算が大きく、安全資産として

円買いが優勢となれば、円バーツ相場は円高バーツ安に推移する可能性が高いと思われる。

(出所:Reutersより弊行作成)

USD/THB 及び JPY/THB の推移

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4.バーツ金利動向

5月:

バーツ金利は

幅広い年限で

上昇

○タイ国債10年債利回りは2.56%、バーツスワップ5年金利は1.98%でオープン。4月2日に発表さ

れた3月のタイ消費者物価指数は前年同月比0.79%上昇し、市場予想の0.99%を下回ったものの、

前月の0.42%から改善を見せた事でタイの物価停滞に対する懸念がやや後退を示した。

○また5日にはトランプ米大統領が中国製品に対する関税引き上げを米通商代表部(USTR)に指

示した一方、6日には中国が対抗措置を取る構えを見せる等、緊迫が高まっていたものの、習近

平中国国家主席が10日の講演で自動車の関税引き下げによる輸入拡大や金融市場の開放などの

方針を表明、これに対しトランプ米大統領が同日「習氏の寛大な言葉にとても感謝している」と

応じた事等を受け、米中貿易摩擦に関する懸念が後退した。

○更に注目を集めていた6日に発表された米雇用統計においては非農業部門雇用者数が前月比

+10.3万人と市場予想を下回ったものの、失業率に関しては4.1%と約17年ぶりの低水準を示した

事や平均時給の伸び率が前年同月比+2.7%と堅調な結果を示した事、タカ派とされるクラリダ氏

が米FRB副議長に指名された事等を背景に米国の利上げ観測が高まりを見せた。25日に米10年債

利回りが2014年1月2日以来の水準となる3.03%を示現する等、米金利が高い水準で推移する中、

タイ国債利回りにも上昇圧力がかかり25日にバーツスワップ5年金利は2.11%を示現し、2.08%で

越月となった。またタイ国債市場においては海外投資家によるタイ国債売りのフローが強まった

事もあり、タイ10年債利回りは30日に2.62%を示現し、そのまま越月となった。

6月:

タイMPCの

投票内容・米

中貿易摩擦の

動向に注目

〇今月の主要なイベントとしては、12日に米消費者物価指数、12日から13日にかけて米FOMC、14

日にECB理事会、14日から15日にかけて日銀金融政策決定会合、 20日にタイMPC、21日に英中銀

金融政策決定会合などが予定されている。

○2018年第1四半期のタイGDPが市場予想を大きく上回る水準を示している事に加え、タイ消費者

物価指数等の経済指標も軒並み堅調な推移を示しており、タイにおける物価上昇停滞の懸念も後

退している事からバーツ金利市場においては上昇圧力がかかりやすい地合いとなる事が予想さ

れる。

○3月に実施されたタイMPCにおいては7人の委員の内、1名の委員が利上げを支持した一方、5月

に実施されたMPCにおいては参加者6名(1名は欠席)が全会一致で金融緩和の継続を支持してお

り、20日に開催される6月のタイMPCにおける投票結果に市場の関心が集まっている。経済指標が

堅調な結果を示す中、当局が年内の利上げ可能性も含めどの様な認識を示すか声明文の内容にも

注目しておきたい。

○一方、米中貿易摩擦を巡ってはトランプ米政権の通商政策における保護主義的な姿勢が再び強

まっている。5月19日に公表された米中共同声明においては中国による米国からの食品・エネル

ギー輸入等の拡大で合意しており、追加関税の導入はひとまず棚上げの形となっているものの、

対象品目に関しては今後の協議に委ねられており、引き続き予断を許さない状況が継続してい

る。米中間の貿易摩擦を巡る対立が更なる高まりを見せた場合、リスクオフの動きからタイ金利

市場においても市場金利低下材料として影響を及ぼす可能性が指摘でき、米中間の動向について

も引き続き注視しておきたい。

(出所:Reutersより弊行作成)

バーツ長短金利推移

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5.主要金融指標

2018/1 2018/2 2018/3 2018/4 2018/52018/6(予想)

タイ中銀   Reference Rate

31.360 31.464 31.215 31.510 32.007

弊行カウンターレート

USD/THB  TTM 31.34 31.46 31.25 31.49 32.02

TT-Buying 31.09 31.21 31.00 31.24 31.77

TT-Selling 31.59 31.71 31.50 31.74 32.27

SPOT

USD/THB 31.320 31.390 31.190 31.540 31.980 31.00-32.50

JPY/THB 28.680 29.310 29.320 28.850 29.450 28.50-30.50

政策金利(レポレート) 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50

THBFIX (6ヶ月) 1.10016 0.98028 1.23902 1.30143 1.24555 1.20-1.60

国債 (5年) 1.82 1.85 1.83 1.95 2.15 1.80-2.30

SET指数 1,826.86 1,830.13 1,776.26 1,780.11 1,726.97

為替

金利・株式

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6.今月のトピックス≪ミャンマーについて≫

1. はじめに

今月はタイの周辺国として、タイにある日系統括会社から出資・支店設立といった投資・事業を

行うケースの多いミャンマー連邦共和国を取り上げたい。ミャンマーは2012年に欧米による制裁

緩和以降、外国資本の参入を促すためのルール整備・見直しを進め投資環境を整備し、高い経済成

長を遂げている。来月以降、引き続きタイの周辺国であるラオス人民共和国・カンボジア王国につ

いて取り上げられればと考えている。

2. ミャンマー連邦共和国概要

ミャンマーはタイの西に位置する共和国であり、インド・バングラデシュ・中国・ラオスと国境

を接している。

[図表1:ミャンマー連邦共和国周辺地図]

出所:外務省ホームページ

地図からも分かる通り、東アジア・東南アジア・南アジアの結節点であり、地政学的に重要な場

所に位置している。日本の約1.8倍の国土面積を有し、人口は日本の半分弱の5,148万人、人口の約

70%をビルマ族が占め、シャン族・カレン族等100以上の少数民族が居住している。

[図表2:ミャンマー連邦共和国 基礎情報]

出所:外務省・JETROホームページを基に弊行編集

尚、独立以来長らく首都であったヤンゴンから、2006年に300km北に位置するネーピードーに

首都機能を移転したが、依然として経済の中心は旧首都のヤンゴンとなっている。

ミャンマーでは、1948年のイギリスからの独立以降、社会主義・軍事政権が長らく続いた。社

会主義政権下での閉鎖的な経済政策により、ミャンマー経済は停滞が続いていた。1988年に国軍

によるクーデターが勃発したことにより、社会主義政権から軍事政権に変わる。軍事政権による民

主化運動の弾圧に国際社会は大きな非難を浴びせ、米国やEUはミャンマーに対し、経済制裁・金

基礎情報面積 68万平方キロメートル(日本の約1.8倍)人口 5,148万人(2015年)首都 ネーピードー民族 ビルマ族(約70%)、その他少数民族言語 ミャンマー語宗教 仏教(89.4%)、キリスト教、イスラム教等実質GDP成長率 6.30%(2016年推定値)一人当たり名目GDP 1,269ドル(2016年推定値)

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融制裁措置を実施した。これにより海外からの投資はもちろんのこと、貿易に関しても不自由する

こととなり、ミャンマーの産業発展は再び大きく停滞することになった。然しながら軍事政権下で

続く貧困と圧制に対する国民の不満の高まりを受け民主化が進んでいく。2010年に新憲法に基づ

く総選挙実施、2011年にテイン・セイン元大統領が就任することになる。この中で、欧米の対ミャ

ンマー制裁も緩和され、外国資本誘致による経済改革を進めていく。

3. ミャンマー投資環境

民主化を進めていく中で、ミャンマー政府は経済成長を図るべくインフラ整備・外国資本誘致を

図っている。具体的には、外資進出を促すための経済特区法設立、公定レート・市場レートに分か

れていた為替レートを一本化し管理変動相場制の導入等を行ってきた。更には、輸出課税の廃止や

輸入課税の引き下げ、海外直接投資規則の緩和を実施することで外資を呼び込み、ミャンマー経済

の成長を図っている。

中でも経済特区は経済特区周辺に新規雇用機会を創出すべく、①5-7年の法人税免除、②その後5

年間は法人税額を50%減額、③土地貸借権は最長75年といった恩恵を受けることができる。

現在、ミャンマーではティラワ・チャオピュー・ダウェーの3か所の主要経済特区の開発が進ん

でいる。中でもヤンゴンから南東に25kmに位置するティラワ経済特区は、日本とミャンマーの官

民協同で開発が進められているプロジェクト(日本民間39%・日本政府10%、ミャンマー民間41%、

ミャンマー政府10%)であり、総面積は東京ドーム500個分に相当する2,400haとなっている。2015

年にティラワ経済特区の運営が開始して以降、91社が進出している。

[図表3:ティラワ経済特区進出状況]

出所:Myanmar Japan Thilawan Development 「ティラワ経済特区開発プロジェクト概要」より弊行編集

ティラワ経済特区に進出している企業を見ると、国内市場、内需をターゲットとする企業が50

社と、ミャンマー国外へ輸出を考えている企業数34社より多くなっている。輸出志向型の企業数が

国内市場型企業数よりも少ない理由として考えられるのが、インフラ設備が整っていない点が考え

られる。具体的には、港湾や道路等の物流インフラの整備が遅れていること、エレクトロニクス産

業や自動車産業等の輸出志向の産業が進出するには、電力供給能力が不足していることがあげられ

る。実際にジェトロが2016年度に行った調査によると「電力不足・停電」はミャンマーに進出し

ている企業の85%が経営上の課題として挙げており、企業を経営していくために必要な電力が十分

に供給されない状況になっている。もっとも、これらの問題は経済制裁が解除され、本格的に経済

発展を遂げようとしていく中では当然起こる問題ではあるものの、政府が積極的に解決に向けて取

り組んでいく必要のある問題となっている。

政府主導の施策によって外資を積極的に呼び込もうとしているが、ミャンマーの魅力として以下

が考えられる。

(1)国内マーケット

若年層が多い人口構造であり、現在約5,000万人の人口を有しているが、ミャンマーの労働・入国

管理・人口省によると2050年にはミャンマーの人口は6,831万人となると予測されており、ミャン

マー国内マーケットの拡大が期待されている。また、長らく経済開発が行われる環境下になかった

こともあり、輸出の約40%が天然ガスであり、その他の輸出品目も豆・翡翠といった1次産品とな

っている。このことからも分かる通り、経済成長の余地・伸びしろが大きく中間層の拡大に伴う消

費需要の拡大の余地も大きいと考えられる。

企業進出状況(2018年3月1日)

〈進捗〉

予約締結済 :91社(レンタル工場3社含む)本契約締結・投資認可取得済:89社工場着工済 :74社操業開始済 :42社(レンタル工場2社含む)

〈輸出/国内〉 輸出志向型:34社、国内市場型:50社、その他:1社(開発)

〈国籍〉日本:45社、タイ14社、韓国6社、台湾:5社、シンガポール3社、マレーシア:3社、ミャンマー4社、その他11社

〈出資形態〉 海外独資:76社、合弁13社、緬国独資:2社

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(2)海外マーケット

13.8億人の人口を擁する中国、13.2億人を擁するインド、またASEAN域内の人口6.2億人にもアク

セスしやすいという輸出志向型産業にとってのメリットがある。

(3)豊富且つ安価な労働力

若年層が多いことから、豊富な労働力の確保が容易である。他のASEAN諸国と比較すると労働力

が安価である。ミャンマーの最低賃金は1日あたり4,800チャット、日本円にして約380円(2018年

3月時点)となっている。2018年3月に33%もの引き上げが行われたものの、依然として周辺諸国

と比較してコスト競争力がある。また、イギリスの旧植民地であったこともあり英語を理解する割

合が高いといわれる。

(4)天然資源

ミャンマー最大の輸出産業である天然ガスを初め、銅などの金属鉱物や宝石等の天然資源が豊富で

あり、資源の獲得・資源加工ビジネスの拡大が見込める。

一方で電力不足について上述したようにミャンマーでビジネスを行っていく上での課題も多く、

以下では主要課題についてみていく。

(1)インフラの未整備

電力不足については上述した通りであるが、特に水力が不足しがちな乾季終盤での電力不足が深刻

となっている。また、これまで上下水道・道路に対して十分な投資がされてこなかったことから、

老朽化や十分な整備がなされていない状況にある。

(2)未整備の法律・規制

ミャンマーはイギリスの植民地であったことから、イギリスの判例法の強い影響を受けてきた。植

民地時代から社会主義・軍事政権時代を経て今に至っていることから、必要な改定も行われず、法

制度の順守自体もあまり重視されてこなかった。法制度の整備が十分になされてこなかったまま経

済改革を推進してきたことから、急速に整備・対応している状況ではあるものの、依然として未整

備・不明瞭な点が多く事業の認可を得るのに時間を要する。但し、2016年10月に新投資法が施行

済、2018年8月には新会社法(旧会社法は1914年制定)が施行予定であり、今後の改善にが期待さ

れる。

(3)裾野産業の未集積

裾野産業が未発達であることから、タイのように資材や部品等の現地調達が期待できない。つまり

取引先が進出していないことから、まだ進出しないケースがある。これは時間が掛かるものの、完

成品メーカーの進出が進めばそれに伴う部品メーカーが進出するというような形で徐々に解決さ

れると考えられる。

(4)政治リスク

軍事政権から民主化が進んできたとはいえ、軍部は内務省・国防省・国境省といった省庁の官僚ポ

ストを掌握し、また議会の25%を押さえており、依然として権力を持っている。今後の動向次第で

は、軍事政権に戻る等の政治体制の不安定化が起きる可能性は否定できない。

4. 日系企業動向

次に日系企業動向を見ていく。2011年の民政移管、2012年に米国が制裁を部分停止、EUが制裁

を1年間停止したことを受け、2011年までは50社程度で動きがなかったものの、2012年から2013

年にかけ大幅に増加している。現在では2011年の7倍以上の350社を超える企業がミャンマーに進

出しているが、ASEAN諸国で比較するとタイの5,000社を初め、ベトナムが2,500社、インドネシ

アが2,000社を超えていることを考えるとまだまだ少ない。

[図表4:ミャンマー日本商工会議所参加企業数推移]

出所:ミャンマー日本商工会議所ホームページを基に弊行編集

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図表5はミャンマーへの進出形態別のグラフである。子会社として43%が進出しており、40%が

支店・駐在員事務所形態で進出している。ミャンマーは支店ステータスでも一定の業種は事業可能

であるが、約4割の企業は情報収集目的の駐在員事務所として機会を伺っている状況といえる。

[図表5:ミャンマーへの進出形態割合(2016年)]

出所:日本貿易振興機構ホームページを基に弊行編集

図表6はASEAN内の各国における日系企業の業種別割合である。サービス業の割合に差がある

ものの、どの国も製造業の割合が高く約50%程度、続いて卸売業が約25%を占める構造となって

いる。日系企業にとってはミャンマーについても他のASEAN諸国と同様に、製造拠点・販売先

として位置づけられていることが分かる。中国や他のASEAN諸国と比較してより安価な労働力

が手に入ること、中国やインド・ASEANといった巨大市場に隣接していることから製造拠点と

して魅力的だと考えられる。

[図表6:ASEAN業種別進出企業割合(2016年)]

出所:帝国データバンク「ASEAN進出企業実態調査(2016)」を基に弊行編集

5. 最後に

本稿ではタイの隣国であるミャンマーについてみてきた。欧米の制裁解除に合わせて、安価な労

働力・販売市場として日系企業の進出が相次いだが、経済発展に向けて動き出したばかりである。

実際に駐在員事務所形態で進出している企業が多く、また日系企業による本格的な事業は、インフ

ラ等の問題からティラワ工業団地が中心となっており、引き続きミャンマーの動向を注視していき

たい。

以上

(参考文献)

・Myanmar Business Guide PWC

・外務省 海外在留邦人数調査統計

・日本貿易振興機構 ミャンマーのエネルギー分野に関する調査

・日本貿易振興機構 ティラワSEZ通信

・国際協力機構 ミャンマービジネス最新動向(本間徹、2017 年 7 月 3 日)

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7.タイにおけるMUFGグループのサービス体制について

BANGKOK MUFG Limited (旧名:Bangkok BTMU Limited)

住 所 : 898 Ploenchit Tower, 9th Floor, Zone B1, Ploenchit Road, Lumpini, Pathumwan,

Bangkok 10330 Thailand

電 話 : 電話:(代表)662(263)0856、FAX:662(263)0860

主 要 業 務 : 出資業務、進出アドバイザリー業務

MUFG HOLDING (THAILAND) CO., LTD. (旧名:BTMU Holding (Thailand) Limited)

住 所 : 同上、

電 話 : 電話:(代表)662(263)0856、FAX:662(263)0860

主 要 業 務 : 出資業務、進出アドバイザリー業務

MUFG PARTICIPATION (THAILAND) CO., LTD. (旧名:BTMU Participation (Thailand) Limited)

住 所 : 同上、

電 話 : 電話:(代表)662(263)0856、FAX:662(263)0860

主 要 業 務 : 出資業務

BOT LEASE (Thailand) Company Limited (旧名:BTMU LEASING (THAILAND) CO., LTD.)

住 所 : 54 Harindhorn Tower, 4th Floor, North Shathorn Road, Silom, Bangrak, Bangkok 10500

Thailand

電 話 : 電話:(代表)662(266) 3060 FAX662(266)3067

主 要 業 務 : リース、割賦金融業務

バンコック三菱UFJリース / BANGKOK MITSUBISHI UFJ LEASE CO., LTD.

住 所 : Asia Centre Tower 26th Floor, 173 South Sathorn Road,Thungmahamek, Sathorn,

Bangkok 10120, Thailand

電 話 : 電話:(代表)662(163) 6400、FAX662(163)6411、662(163)6422

主 要 業 務 : リース、割賦金融業務、メンテナンス付オートリース、固定資産管理

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客様ご自身でご判断下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されてますが、

当行はその正確性を保証するものではありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。