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大学に おける 安全 保障輸出管理 経済産業省 安全保障貿易自主管理促進アドバイザー 国立大学法人長崎大学研究開発推進機構 リスクマネジメント部門長 准教授 河合 孝尚 TEL:095-819-2950 E-mail:[email protected] 2019年8月28日( )14:00~16:00 琉球 大学

2019年8月28日(水)14:00~16:00 大学における 安全保 …...•輸出管理をやれ!」と言われても。。。 •大学や研究機関にとっての輸出管理とは何か?

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大学における安全保障輸出管理

経済産業省 安全保障貿易自主管理促進アドバイザー国立大学法人長崎大学研究開発推進機構 リスクマネジメント部門長 准教授

河合 孝尚

TEL:095-819-2950E-mail:[email protected]

2019年8月28日(水)14:00~16:00琉球大学

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専門分野:情報学(学位)、教育システム学、教育工学、学術安全保障

教育・研究活動など:

1.所属学会・・・日本教育工学会、教育システム情報学会、産学連携学会、日本安全保障貿易学会、日本分子生物学会

2.経済産業省:安全保障貿易管理調査員、安全保障貿易自主管理促進アドバイザー、ワシントン条約検討委員会委員

3.AMED 平成28年度「研究公正高度化モデル開発支援事業」(平成31年3月末まで)

研究開発課題名「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」(研究代表)

4.科学研究費助成事業 平成29年度 挑戦的研究(萌芽) (令和2年3月末まで)

研究課題名「研究活動における科学者の不正行為を抑制するための新たな倫理教育プログラムの開発」(研究代表)

5.論文執筆・・・教育システム情報学会誌「研究活動における科学者の不正行動を抑制するための倫理教育システムの提案」 など

6.「科学者倫理研究会(旧:科学者の不正行動に関する研究会)」 座長

7.「学術安全保障に関する研究会」 座長

8.輸出管理DAY for ACADEMIA実行委員会委員

9.「九州地域大学輸出管理実務担当者ネットワーク勉強会」・・・九州大学との共同企画

10.「長崎県内大学等安全保障貿易管理に係る勉強会」

11.e-learning教材の開発(安全保障輸出管理、ABS対応、研究倫理教育など)・・・公正研究推進協会、ABS学術対策チーム等と連携

12.長崎大学:教養教育自由選択科目「研究倫理とコンプライアンス」主担当(学部1、2年生・約70名受講)、国際環境法(大学院生)

13.その他、筑波大学特別講義、JAREC目利き人材育成研修講師、イベント等での講演など 2

最近の研究テーマ:「ズル(Lateral Thinking)」

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安全保障輸出管理って何?

長崎大学非公認マスコットキャラクター

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いま巷で話題の安全保障輸出管理※ 安全保障輸出管理は法律で定められている取組みです。

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• 日本の貿易法(外為法)

• 経済産業省、財務省が所管

• ココム(COCOM=対共産圏輸出統制委員会) ⇒ 外為法

• 安全保障輸出管理制度を規定・・・貨物の輸出、技術の提供(留学生の受入れ)

外為法 : 外国為替及び外国貿易法

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• 「輸出管理をやれ!」と言われても。。。

• 大学や研究機関にとっての輸出管理とは何か?

• 貨物(研究機器、サンプルなど)の輸出

• 技術(研究成果、プログラムなど)の提供

• 研究成果等について適確な管理が求められている

• 何が特殊(=今まで考えたことがなかった)なのか?

⇒目的が国際平和と安全の維持(世界平和)であること

※大量破壊兵器の開発や拡散、通常兵器の過剰蓄積の防止

「安全保障輸出管理」は国際安全保障のための重要な取組みの1つ!

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大学や研究機関にとっての輸出管理とは

• 研究室で使っている外国製の機械が壊れてしまったので、修理のために輸出した• 海外での学会発表のため、手荷物でサンプル品を携行した• 共同研究の成果物を提携先の海外研究機関に送った• 「友人から頼まれたから渡しておいて」と言われ、海外出張の際に荷物を託された

「貨物の輸出」にあたる例

「技術の提供」にあたる例

「貨物の輸出」及び「技術の提供」の両方にあたる例

• 授業、研究指導等で研究生・留学生に教授行為を行った• 共同研究相手から設計図の送付を頼まれたのでFAXで送信した• 共同論文執筆のため、自分の実験データファイルを添付したメールを送信した• 海外出張の際に技術データを格納したパソコンとUSBメモリーを携行した

• 海外の研究機関と共同研究を実施している場合- 現地で実験が必要だったので、試験機材を持ち込み、試験・分析を実施。

現地でのデータ分析のため、予め日本で行った試験データを試験機材とともに、携行した。持ち込んだデータは海外の研究機関と共有している。

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※外為法・・・外国為替及び外国貿易法:「貨物の輸出」「技術の提供」

メール送信

※「技術の提供(技術指導等)」は日本国内でも発生する可能性がある!

技術指導等

日本人研究者

非居住者の・留学生

USB等での持出し

・設計図・データ

技術指導等

日本人研究者

外国人研究者など

技術の提供

【規制対象技術の内容(種類)】・輸出貿易管理令別表第1に記載されている該当貨物に関連する技術が規制対象設計:一連の製造過程の前段階のすべての段階製造:すべての製造過程使用:設計、製造以外の段階必要な技術:規制の性能レベル、特性若しくは機能に到達し又はこれらを超えるために必要な技術

【提供の形態】技術データ・・・媒体若しくは装置に記録されたプログラム、青写真、図面、数式、マニュアルなど技術支援・・・・技術指導、技能訓練、作業知識の提供、コンサルティングサービスなど 8

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外為法の規制について

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危ない物を

危ない者に

渡さない

全ての貨物及び技術が規制されているわけではない。規制されているのは高性能の貨物・技術である。

全ての外国人に対しての提供を規制しているわけではない。貨物・技術の用途や、需要者について問題がなければ提供できる。

貨物の輸出,技術の提供

※ 輸出が禁止されるわけではない!規制対象技術を提供する前に許可を取得しなければならないということ。許可を取得した上で貨物の輸出・技術の提供を行うのであれば法令上問題ない。

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リスト規制キャッチオール規制

大量破壊兵器等(2002年4月~)

通常兵器(2008年11月~)

規制対象

政令で定める品目武器、機微な汎用品(原子力関連品目、生物・化学兵器関連品目、ミサイル関連品目、先端材料、工作機械など)

リスト規制品目以外の全品目(食品、木材等を除く)

対象地域 全地域 ホワイト国を除く全地域※1 国連武器禁輸国※2 ホワイト国・国連武器禁輸

国を除く全ての国※3

と許な可るが要必件要

大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれがある場合

1.経済産業大臣からの通知2. 輸出者の判断

①輸入先等の用途②輸入者・需要者の核開発等への関与

通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合

1.経済産業大臣からの通知2.輸出者の判断

①輸入先等の用途

通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合

1.経済産業大臣からの通知

※1 ホワイト国:各国際輸出管理レジームに参加し、輸出管理を厳格に実施している国【計27ヵ国】アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国

※2 国連武器禁輸国: 国連の安全保障理事会の決議により武器及びその関連品等の輸出が禁止されている国【計10ヵ国】アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、エリトリア、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン

※3 ホワイト国・国連武器禁輸国を除く全ての国:上記記載以外の全ての国(イラン、シリア、中国、ロシア、トルコ、パキスタン、ミャンマー等)

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(参考)リスト規制一覧①項番 項目 項番 項目 項番 項目 項番 項目

1 武器 (12)1 数値制御工作機械 (45) 放射線遮蔽窓・窓枠 (15) ロケット・UAV用構造材料

2 測定装置 (46) 放射線影響防止テレビカメラ・レンズ (16) ロケット・UAV用加速度計ジャイロスコープ等

(1) 銃砲・銃砲弾等 (13)誘導炉・アーク炉・溶解炉又はこれらの部分品等

(47) トリチウム (17) ロケット・UAV用飛行・姿勢制御装置他

(2) 爆発物・発射装置等 (14) アイソスタチックプレス等 (48) トリチウム製造・回収・貯蔵装置等 (18) アビオニクス装置等

(3) 火薬類・軍用燃料 (15) ロボット等 (49) 白金触媒 (18の2) ロケット・UAV用熱電池

(4) 火薬又は爆薬の安定剤 (16) 振動試験装置等 (50) ヘリウム3 (19) 航空機・船舶用重力計・重力勾配計

(5) 指向性エネルギー兵器等 (17) ガス遠心分離機ロータ用構造材料 (51) レニウム等の一次製品 (20) ロケット・UAV発射台・支援装置

(6) 運動エネルギー兵器等 (18) ベリリウム (52) 防爆構造の容器 (21) ロケット・UAV用無線遠隔測定装置他

(7) 軍用車両・軍用仮設橋等 (19) 核兵器起爆用アルファ線源用物質3 化学兵器

(22) ロケット搭載用電子計算機

(8) 軍用船舶等 (20) ほう素10 (23) ロケット・UAV用A/D変換器

(9) 軍用航空機等 (21) 核燃料物質製造用還元剤・酸化剤(1)

軍用化学製剤の原料、軍用化学製剤(24)

振動試験装置等、空気力学試験装置

(10) 防潜網・魚雷防御網他 (22) るつぼ と同等の毒性の物質・原料 ・燃焼試験装置他

(11) 装甲板・軍用ヘルメット・防弾衣等 (23) ハフニウム(2)(3)

化学製剤用製造機械装置等反応器又は貯蔵容器の修理用の組立品等

(24の2) ロケット設計用電子計算機

(12) 軍用探照灯・制御装置 (24) リチウム3の2 生物兵器

(25) 音波・電波・光の減少材料・装置

(13) 軍用細菌製剤・化学製剤等 (25) タングステン (26) ロケット・UAV用IC・探知装置・レードーム

(13の2)軍用細菌製剤・化学製剤などの浄化 (26) ジルコニウム (1) 軍用細菌製剤の原料

5 先端材料用化学物質混合物 (27) ふっ素製造用電解槽 (2) 細菌製剤用製造装置等

(14) 軍用化学製剤用細胞株他 (28) ガス遠心分離機ロータ製造装置等4 ミサイル

(1) ふっ素化合物製品

(15) 軍用火薬類の製造・試験装置等 (29) 遠心力式釣合試験機 (2) (削除)

(16) 兵器製造用機械装置等 (30) フィラメントワインディング装置等 (1) ロケット・製造装置等 (3) 芳香族ポリイミド製品

(17) 軍用人工衛星又はその部分品 (31) レーザー発振器 (1の2) 無人航空機(UAV)・製造装置等 (4) チタン・アルミニウム合金成形工具

2 原子力(32) 質量分析計・イオン源 (2) ロケット誘導装置・試験装置等 (5) チタン・ニッケル等の合金・粉、製造装置等

(33) 圧力計・ベローズ弁 (3) 推進装置等 (6) 金属性磁性材料

(1) 核燃料物質・核原料物質 (34) ソレイノイドコイル形超電導電磁石 (4) しごきスピニング加工機等 (7) ウランチタン合金・タングステン合金

(2) 原子炉・原子炉用発電装置等 (35) 真空ポンプ (5) サーボ弁、ポンプ、ガスタービン (8) 超電導材料

(3) 重水素・重水素化合物 (35の2) スクロール型圧縮機等 (5の2) ポンプに使用できる軸受 (9) (削除)

(4) 人造黒鉛 (36) 直流電源装置 (6) 推進薬・原料 (10) 潤滑剤

(5) 核燃料物質分離再生装置等 (37) 電子加速器・エックス線装置 (7) 推進薬の製造・試験装置等 (11) 振動防止用液体

(6) リチウム同位元素分離用装置等 (38) 衝撃試験機 (8) 粉粒体用混合機等 (12) 冷媒用液体

(7) ウラン・プルトニウム同位元素分離用装置等 (39) 高速度撮影が可能なカメラ等 (9) ジェットミル・粉末金属製造装置等 (13) セラミック粉末

(8) 周波数変換器等 (40) 干渉計・圧力測定器・圧力変換器 (10) 複合材料製造装置等 (14) セラミック複合材料

(9) ニッケル粉・ニッケル多孔質金属 (41) 核兵器起爆(試験)用貨物 (11) ノズル (15) ポリジオルガノシラン・ポリシラザン他

(10) 重水素・重水素化合物の製造装置等 (42) 光電子増倍管 (12) ノズル・再突入機先端部製造装置他 (16) ビスマレイミド・芳香族ポリアミドイミド他

(10の2) ウラン・プルトニウム製造用装置等 (43) 中性子発生装置 (13) アイソスタチックプレス・制御装置 (17) ふっ化ポリイミド等

(11) しごきスピニング加工機等 (44) 遠隔操作のマニピュレーター (14) 複合材用の炉・制御装置 (18) プリプレグ・プリフォーム・成型品等

(19) ほう素・ほう素合金・硝酸グアニジン他

2019年1月9日時点

*【変更】は2019年1月9日施行。

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*【変更】は2019年1月9日施行。

(参考)リスト規制一覧②項番 項目 項番 項目 項番 項目 項番 項目

6 材料加工 (20)アルミニウム・ガリウム他の有機金属化合物 (7) 光学器械又は光学部品の制御装置 (1) ガスタービンエンジン等

燐・砒素他の有機化合物 (7の2) 非球面光学素子 (2) 人工衛星・宇宙開発用飛しょう体等

(1) 軸受等 (21) 燐・砒素・アンチモンの水素化物 (8) レーザー発振器等 (2の2) 人工衛星等の制御装置等

(2) 数値制御工作機械(22)(23)

炭化けい素等多結晶の基板

(8の2) レーザーマイクロフォン (3) ロケット推進装置等

(3) 歯車製造用工作機械等8 電子計算機 (9)

磁力計・水中電場センサー・磁場勾配 (4) 無人航空機等

(4) アイソスタチックプレス等 計・校正装置他(5)

(1)から(4)、15の(10)の試験装置・測定

(5) コーティング装置等 (1) 電子計算機等 (9の2) 水中検知装置 装置・検査装置等

(6) 測定装置等9 通信

(10) 重力計・重力勾配計14 その他(7) ロボット等 (11) レーダー等

(8) フィードバック装置他 (1) 伝送通信装置等 (12) 光反射率測定装置他 (1) 粉末状の金属燃料

(9) 絞りスピニング加工機 (2) 電子交換装置 (13) 重力計製造装置・校正装置 (2) 火薬・爆薬成分、添加剤・前駆物質

7 エレクトロニクス(3) 通信用光ファイバー (14) 光検出器・光学部品材料物質他 (3) ディーゼルエンジン等

(4) 〈削除〉11 航法装置

(4) 〈削除〉

(1) 集積回路 (5) フェーズドアレーアンテナ (5) 自給式潜水用具等

(2) マイクロ波用機器・ミリ波用機器等 (5の2) 監視用方向探知器等 (1) 加速度計等 (6) 航空機輸送土木機械等

(3) 信号処理装置等 (5の3) 無線通信傍受装置等 (2) ジャイロスコープ等 (7) ロボット・制御装置等

(4) 超電導材料を用いた装置(5の4)

受信機能のみで電波等の干渉を観測 (3) 慣性航行装置 (8) 電気制動シャッター

(5) 超電導電磁石 する位置探知装置(4)

ジャイロ天測航法装置、衛星航法システム (9) 催涙剤・くしゃみ剤、これら散布装置等

(6) 一次・二次セル、太陽電池セル (5の5) インターネット通信監視装置等 電波受信機、航空機用高度計等 (10) 簡易爆発装置等

(7) 高電圧用コンデンサ(6)

(1)から(3)、(5)から(5の5)までの (4の2) 水中ソナー航法装置等 (11) 爆発物探知装置

(8) エンコーダ又はその部分品 設計・製造装置等 (5) (1)から(4の2)までの試験・製造装置他15 機微品目(8の2) サイリスターデバイス・サイリスターモジュール (7) 暗号装置等

12 海洋関連(8の3)(8の4)

電力制御用半導体素子光変調器

(8) 情報伝達信号漏洩防止装置等 (1) 無機繊維他を用いた成型品

(9) サンプリングオシロスコープ (9) (削除) (1) 潜水艇 (2) 電波の吸収材・導電性高分子

(10) アナログデジタル変換器 (10)盗聴検知機能通信ケーブルシステム等

(2) 船舶の部分品・附属装置 (3) 核熱源物質

(11) デジタル方式の記録装置(11)

(7)、(8)若しくは(10)の設計・製造・測定装置

(3) 水中回収装置 (4) デジタル伝送通信装置等

(12) 信号発生器 (4) 水中用の照明装置 (4の2) 簡易爆発装置の妨害装置

(13) 周波数分析器10 センサー等

(5) 水中ロボット (5) 水中探知装置等

(14) ネットワークアナライザー (6) 密閉動力装置 (6) 宇宙用光検出器

(15) 原子周波数標準器 (1) 水中探知装置等 (7) 回流水槽(7)

送信するパルス幅が100ナノ秒以下の

(15の2) スプレー冷却方式の熱制御装置 (2) 光検出器・冷却器等 (8) 浮力材 レーダー

(16) 半導体製造装置等 (3) センサー用の光ファイバー (9) 閉鎖・半閉鎖回路式自給式潜水用具 (8) 潜水艇

(17)(17の2)

マスク・レチクル等マスク製造基材

(4) 電子式のカメラ等 (10) 妨害用水中音響装置 (9) 船舶用防音装置

(18) 半導体基板 (5) 反射鏡

13 推進装置 (10)ラムジェットエンジン、スクラムジェットエンジン、

(19) レジスト (6) 宇宙用光学部品等 複合サイクルエンジン等

2019年1月9日時点

13

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輸出しようとする物が輸出令・別表第1の1~15項に該当する場合又は提供しようとする技術が外為令・別表の1~15項に該当する場合には、経済産業大臣の許可が必要となる制度

・国際的な合意を踏まえ、武器及び大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれの高いものを規制

・品名・仕様をリスト化しており、その仕様(スペック)(※)に該当するものは、必ず輸出等の許可が必要

・全地域向けが対象

(※)仕様(スペック)は“貨物等省令”に規定

(注)貨物等省令: リスト規制貨物・技術の詳細な仕様(スペック)を規定している法令(=輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令)

14

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http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.html

15

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1.Excelファイルを開き、「ホーム」から「検索と選択」→「検索」をクリックします。(または、[Ctrl]+[f]キーを押してください。)

2.下記の画面になります。(”検索場所”以下が表示されない場合、”オプション”ボタンを押し表示させてください。)

※検索例

16

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※検索例

17

リスト規制対象品目(軍事転用の可能性が高いもの)

リスト規制該当品目

or

リスト規制非該当品目

検索時は用語に注意!

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民生技術が技術革新を主導するようになり、機微性の高い民生技術(機微技術)が影響を及ぼす軍事分野の範囲が拡大。

現有装備品の性能向上や新たな装備品の開発において、機微技術が頻繁に活用されるようになっている。

懸念用途 民生用途

工作機械ウラン濃縮用遠心分離機の製造

自動車の製造や切削

シアン化ナトリウム化学兵器の原材料

金属めっき工程

ろ過器細菌兵器製造ための細菌抽出

海水の淡水化

炭素繊維ミサイルの構造材料

航空機の構造材料 18

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リスト規制(技術)の判定事例

•琉球大学のA教授は、来月、アメリカで開催される学会で

9の項に該当する最先端の暗号技術に関する講演をする

予定である。リスト規制該当技術は、口頭で提供する場合、

規制されていないので、事前に役務取引許可(経済産業

大臣の許可)を取得する必要はない。

○? ×?19

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リスト規制キャッチオール規制

大量破壊兵器等(2002年4月~)

通常兵器(2008年11月~)

規制対象

政令で定める品目武器、機微な汎用品(原子力関連品目、生物・化学兵器関連品目、ミサイル関連品目、先端材料、工作機械など)

リスト規制品目以外の全品目(食品、木材等を除く)

対象地域 全地域 ホワイト国を除く全地域※1 国連武器禁輸国※2 ホワイト国・国連武器禁輸

国を除く全ての国※3

と許な可るが要必件要

大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれがある場合

1.経済産業大臣からの通知2. 輸出者の判断

①輸入先等の用途②輸入者・需要者の核開発等への関与

通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合

1.経済産業大臣からの通知2.輸出者の判断

①輸入先等の用途

通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合

1.経済産業大臣からの通知

※1 ホワイト国:各国際輸出管理レジームに参加し、輸出管理を厳格に実施している国【計27ヵ国】アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国

※2 国連武器禁輸国: 国連の安全保障理事会の決議により武器及びその関連品等の輸出が禁止されている国【計10ヵ国】アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、エリトリア、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン

※3 ホワイト国・国連武器禁輸国を除く全ての国:上記記載以外の全ての国(イラン、シリア、中国、ロシア、トルコ、パキスタン、ミャンマー等)

20

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許可が必要となる要件

リスト規制品目以外のものであっても、大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれのある場合には、経済産業大臣の許可が必要となる制度

(1)輸出者による判断=客観要件

・輸入者等において、大量破壊兵器等の開発等に用いられるかどうか

・輸入者・需要者が大量破壊兵器等の開発等を行う(行っていた)かどうか

①用途要件(使用目的)

②需要者要件(顧客)

(2)経済産業省による判断=インフォーム要件・経済産業省から許可を取るよう通知を受けた場合

対象地域

対象となるもの

輸出管理を厳格に実施している27カ国(ホワイト国)を除く地域

リスト規制品目に該当しない全品目(ただし、食料品、木材等は除く。)

・外国ユーザーリスト 掲載の企業・組織かどうか

21

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No.

国名、地域名

Country or Region

企業名、組織名Company or Organization

別名Also Known As

懸念区分Type of WMD

1

アフガニスタン

Islamic Republic of Afghanistan

Al Qa'ida/Islamic Army

・Al Qaeda・Islamic Salvation Foundation・The Base・The Group for the Preservation of the Holy Sites・The Islamic Army for the Liberation of Holy Places・The World Islamic Front for Jihad against Jews and Crusaders・Usama Bin Laden Network・Usama Bin Laden Organisation

化学C

2

アフガニスタン

Islamic Republic of Afghanistan

パキスタンIslamic

Republic of Pakistan

Ummah Tameer E-Nau(UTN)

核N

経済産業省が、大量破壊兵器等の開発等への関与が懸念される企業・組織を掲載し公表しているリスト。

掲載企業などに輸出等を行う場合には、大量破壊兵器等の開発等に用いられないことが明らかな場合を除き、経済産業大臣の許可が必要!

国別の掲載企業・組織数

国 名 掲載数

アフガニスタン 2

アラブ首長国連邦 8

イスラエル 2

イラン 224

インド 4

エジプト 1

北朝鮮 143

シリア 20

台湾 1

中国 65

パキスタン 53

香港 3

レバノン 3

合 計 529

(参考)外国ユーザーリスト 2018年5月2日改正

528レバノン

Republic of Lebanon

Shadi for Cars Trading

生物、化学、ミサイ

ルB,C,M

529レバノン

Republic of Lebanon

Technolab ・Techno Lab

生物、化学、ミサイ

ルB,C,M

注)外国ユーザーリストは毎年改正されるので、最新版の入手が必要!

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平成31年4月26日

に改正

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●イラン

• Amir kabir University of Technology

• Baghyatollah Medical Sciences

University(BMSU)

• Imam Hossein University(IHU)

• Iran University of Science and

Technology (IUST)

• Isfahan University of Technology (IUT)

• Islamic Azad University (IAU)

• Khaje Nassir-Al-Deen Toosi(K. N. Toosi)

University of Technology

• Malek Ashtar University

• Sharif University of Technology(SHFT)

• Shiraz University

• Tarbiat Modarres University

• University of Tehran

●イスラエル

・ Ben-Gurion University (of the Negev)

●北朝鮮

• Academy of Health and Food Science(保健食品科学院)

• Academy of National Defense Science(国防科学院)

• Kim Chaek University of Technology

(金策工業総合大学)

• Kim Il Sung University(金日成総合大学)

• National Defense College(国防大学)

• Pyongyang Technical University(平壌技術大学)

• Second Academy of Natural Sciences(第二自然科学院)

• State Academy of Science of the DPRK Institute of Automation

• University of Chemical Industry(化学工業大学)

●シリア• Damascus University

• University of Aleppo

●中国(軍事四証取得大学には注意!)

• China Haiying Electromechanical Technology Academy

• Beijing University of Aeronautics and Astronautics (BUAA)(北京航空航天大学)

• China Academy of Launch Vehicle Technology(CALT)

(中国運載火箭技術研究院)

• China Academy of Space Technology(CAST)(中国空間技術研究院)

• Northwestern Polytechnical University(西北工業大学)

• Harbin Institute of Technology (HIT) (哈爾濱工業大学)

• National University of Defense Technology(NUDT)(国防科学技術大学)

• Shanghai Academy of Spaceflight Technology(SAST)(上海航天技術研究院)

• University of Electronic Science and Technology of China(UESTC)(電子科技大学)

※ リストには研究所も多数掲載されている。

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【技術提供を規制されるのは誰なのか?】

(注)

• 外為法で規制しているのは「貨物の輸出」と「技術の提供」

• 外為法では「人(留学生や研究者等)の受入れ」については規制していない

• 留学生の受入れ=留学生(非居住者)への技術の提供

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日本人の場合

①我が国に居住する者

②日本の在外公館に勤務する者

日本人の場合

①外国にある事務所に勤務する目的で出国し外国に滞在する者

②2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者

③出国後外国に2年以上滞在している者

④上記①~③迄に掲げる者で、一時帰国し、その滞在期間が

6ヶ月未満の者

外国人の場合

①我が国にある事務所に勤務する者

②我が国に入国後6ヶ月以上経過して

いる者

外国人の場合

①外国に居住する者

②外国政府または国際機関の公務を帯びる者

③外交官または領事官及びこれらの随員または使用人

(ただし、外国において任命または雇用された者に限る)

法人等の場合

①我が国にある日本法人等

②外国の法人等の我が国にある支店、

出張所その他の事務所

③日本の在外公館

法人等の場合

①外国にある外国法人等

②日本法人等の外国にある支店、出張所その他の事務所

③我が国にある外国政府の公館及び国際機関

その他、合衆国軍隊等及び

国際連合の軍隊等

-居住者- -非居住者-

※財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について(抄)」より

【外国人留学生】入国後6ヵ月未満は「非居住者」

【教職員や研究員】大学と雇用関係がある場合は「居住者」

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• 6ヶ月を1日でも過ぎたら教えてもいいの?

• 大勢の留学生をどうやって時限管理するの?

長崎大学では居住者要件で判断しない。⇒ 6ヶ月過ぎていても外国人の出身組織や履歴等で判断している。

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◆懸念のある外国籍の留学生又は研究者を受入れるかどうかは組織の方針次第

• 規制しているのは「貨物の輸出」と「技術の提供」

• 外為法では「人(留学生や研究者等)の受入れ」については規制していない

※受入れてから教えられない(技術提供できない)のでは後にトラブルになるかも。

◆輸出管理の確認が終わる前に回答しないこと

• 教授会等の学部審査時での情報共有が必要

• 審査は留学生の提出してきた書類を基に行う(通常の慣習の範囲)

※大量破壊兵器開発懸念国からの留学生だから「懸念あり」とはならない。

• 所属組織情報等をホームページ等で確認

• 書類が虚偽かどうかの特定は困難なので矛盾がないかを確認することが大切

◆受入れ時点で研究内容が決まっていない場合は?

• 研究内容が決まらなければ提供される技術が決まらず、該非判定は不可

• 受入れ後、研究内容が固まった時点で該非判定

• 研究室の研究内容等から該当の可能性はある程度把握できるはず

• 事前に相談しておくことも有効

留学生等受入れの際の留意点:入口管理

受入者(研究者など)との密な連携が重要! 27

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違反に対する罰則の強化

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刑事罰・個人:3000万円以下、法人10億円以下の罰金(対象貨物/役務価格の5倍がそれぞれの金額を超える場合は その価格の5倍以下の罰金)

・最大10年以下の懲役

行政制裁・3年以内の、貨物の輸出・技術の提供の禁止・輸出入を禁止された個人が、別法人で禁止された輸出入を行うことを禁止全教職員の海外活動禁止(最大3年間)

経済産業省からの違反した大学に対する警告

・大学イメージの悪化・社会的制裁等

【その他】・貨物の場合・・・関税法違反・未遂罪の適用(第69条の6第3項、第69条の7第2項、第70条第2項)・行為者を罰するほか、その法人又は人に対しての罰金刑(両罰規定)(第72条)・許可等の条件(第67条第1項)に違反した者への罰則(第73条)・輸出者等遵守基準による命令(第55条の12第2項)に違反した者への罰則(第71条第十号) 29

逮捕されるのは違反者+最高責任者(学長)

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違反の原因 違反事例

輸出許可証確認のミス

研究機関A:

輸出許可証の期限切れ

海外機関と共同で航空機に関する技術の研究を行っていたところ、当該技術が外為法規制の対象技術であったため、当初は適切に輸出許可を取得していた。しかし、企業体の合併があり、輸出管理の機能が一時的に落ちたことから、当該取引の管理が充分に行われず、輸出許可の期限切れに気付かず技術の提供を続けてしまった。

大学B:

輸出許可条件の不履行

海外での研究活動のため、赤外線カメラの輸出許可申請を行い、「積み戻し後、報告」の条件付きで許可されていたが、提出期限を過ぎても報告を怠り、許可条件違反となった。

輸出手続き上のミス

研究機関C及び大学D:

出荷確認の不備

研究機関Cは共同研究先である大学Dに対し、該当品は許可が必要であるため、輸出許可をとってから出荷するように指示をしていたものの、出荷の際の再確認を怠ったことにより、大学Dが誤って非該当品と一緒に該当品を梱包したため、無許可輸出となってしまった。

法令適用の判断ミス

大学E:

少額特例の利用に当たってのミス

海外での研究のため、フレーミングカメラを輸出しようとしたが、持ち帰る貨物であったため、輸出申告額を10万円と記入し、少額特例を適用させて輸出したところ、実際の貨物購入価格は800万円であったため特例には当たらず、無許可輸出となってしまった。

【安全保障貿易に関する無許可輸出等の審査(外国為替及び外国貿易法第25条第1項及び第48条第1項)】

1.当該無許可輸出等に関する事項(事案の概要、経緯、分析 等)

2.過去5年間の輸出/技術提供に関する事項

3.再発防止への取り組み(経済産業省への報告 等) 30

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最後に・・・

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• 「少額特例」を利用

• 5項~13項は100万円以下、15項は5万円以下

※1.告示貨物は5万円以下

※2.「少額特例」が適用できないケース• イラン、イラク、北朝鮮向けの輸出• キャッチオール規制該当• インフォーム通知がある場合• 大量破壊兵器や通常兵器の開発等のため

に用いられる恐れがある

【貨物の輸出】の場合 【技術の提供】の場合

• 「公知の技術」「基礎科学分野」の特例を利用

• 「公知の技術」の提供は許可不要• 不特定多数の者が入手可能な学会誌で公開されている場合

• 書籍・新聞・雑誌・カタログ・インターネット上で公開されている場合

• 「公知とするため」の提供も許可不要• 学会での発表

• 学会誌への寄稿

※「公知」にしてよいかどうかは別途判断する例)「高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスの論文公表問題」

• 基礎科学分野の研究活動とは、

「自然科学の分野における現象に関する原理の究明を主目的とした研究活動であって、理論的又は実験的方法により行うものであり、特定の製品の設計又は製造を目的としないもの」をいう。

• 基礎(的)研究ではない

• 極めて幅広い研究分野を網羅的に確認する基準がない

• 企業と違い、大学には多くの研究分野がある

問題がなければ、「問題は無い。」ということを報告することが重要。

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ハンドキャリーOK!

手続きが面倒だ!

自作だから関係ない!

非該当品だ!※古いリストで判断

プログラムのインストールは提供行為でない!

メールに図面添付はOK!

通関業者に何も言われなかった!

サンプルOK!

一番怖いのは「理解不足」と「誤解」

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• 学術 = 何でも許されるわけではない! 研究者は「科学を行う権利」と同時に「科学者としての責任」を負っていることを自覚すべき。 学術活動であっても、海外への技術の提供(技術の流出)であることには変わりない。

• 「事前確認シート」は大学用に作成してくれたもの! たいていの企業等では審査票の作成から行われている。 事前確認シートは審査票を簡略化したもの。⇒大学(学術)のため 問題がないのならば、その問題がないということを大学組織に報告すべき。⇒ 性善説にも限度はある 「時間がないから」「面倒くさい」等は行わない理由にはならない。

• “科学者の一般常識”は、一般人には理解し難いことを知るべき! 研究者が当たり前だと思っていても、一般人にはそれがわからない。 なぜ鳥インフルエンザに関する論文が一時公開差し止めになったのか? ⇒ “研究者の常識”と“一般人の常識”は違う

• 安全保障輸出管理は国際的な取組み。METIが勝手に決めたものではない!

• 「学術的な価値」「社会貢献」は重要だが、安全保障輸出管理への取組みも「国際貢献」であり、「世界平和」のための取組みであることは同じくらい重要!

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お願いしたいこと

1.早い段階でのコンプライアンス教育の実施

2.リスクマネジメントの認識

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学生時からのコンプライアンス教育の必要性※リクルート活動、個人旅行への予備知識の習得など、実務に入る前の学習は有効

2013.7.1, 2014.5.2必修科目 静岡大学工学部『技術者倫理』講義風景テーマ:研究者として知っていなければならない外為法

※その他、他大学や企業等でのセミナー講師や大学院生への特別講義等も実施

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研究に関わる各種法令の遵守・生命倫理(ヒト・実験動物)・個人情報保護・遺伝子組換え生物拡散防止・各種安全管理(毒劇物・RIなど)

・著作権・利益相反・安全保障貿易管理・生物多様性条約(ABS) 等

研究公正(研究倫理)Research Integrity

データの取扱いや手続き論的正確性に関する規範

研究倫理Research Ethics

研究における対象や他者との関わりに関する道義的規範を含む

(研究における)法令遵守Research Compliance

「研究公正」「研究倫理」「コンプライアンス関連」の統合化が必要 38

現在実施されている研究倫理教育はこの部分だけ。

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• 教養教育科目(自由選択科目)• 受講対象者は学部生(主に1,2年生)• 2019年度(第1Q)は約70名が受講

第 1回:「オリエンテーション」第 2回:「研究不正と統計学の関わり」第 3回:「研究不正にならないための研究データの取扱い」第 4回:「安全保障輸出管理に関する世界の動向」第 5回:「研究活動と安全保障輸出管理」第 6回:「生物多様性とは」第 7回:「研究活動と名古屋議定書対応」第 8回:「知っておいて欲しい知的財産のルール(著作権)」第 9回:「知っておいて欲しい知的財産のルール(特許権他)」第10回:「研究公正とは何か」第11回:「研究者の倫理と科学の信頼性」第12回:「テーマ別グループワーク①」第13回:「テーマ別グループワーク②」第14回:「グループワーク発表」第15回:「授業の総括」

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皆さまに質問です。

「リスク」はゼロにできますか?

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• ゼロにはできないかもしれないが、ゼロに近づけることはできる。人が行っている以上、ヒューマンエラーによる不具合がなくなることはない。

• ヒューマンエラーを起こしにくい仕組み作りが重要。(未然防止活動)事前確認シート、濃淡管理、ヒヤリハット事例集(METI公開済) etc.

研究者、大学組織等とのアサーション(より良い関係を構築するためのコミュニ

ケーションスキルの1つ)も重要。

• リスクマネジメントの目的にはBCP(事業継続計画)も含まれる。

“「安全」とは当たり前にあって守るものではなく、1つひとつの日常業務の積み重ねにより、作り出される尊いものであることを共有し、お客様の「安心」を生み出していきます。“

※ANAグループ機内誌7月号より抜粋。

「安全」 「安心」に研究活動を行うためには、一過性のものではなく日常業務での認識が重要

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部署名 業務内容

人事系部署・応募、採用時の確認(出身国・職歴等) ・渡航先の確認(国・業務内容等)

・用務内容の確認(携行物注意喚起等) ・離職時のチェック(国・業務内容等)

教務系部署・受験者の確認(出身国・職歴等) ・入学者の確認(出身国・職歴等)

・入学後の管理(授業内容等) ・就職先の確認(国・業務内容等)

国際系部署

・交流先の確認(国・業務内容等)

・会議等参加者の確認(参加者の国・職務、情報提供の注意喚起等)

・会議内容等の確認(非公開機微技術・情報の有無等)

財務系部署・輸出先の確認(国・事業内容等) ・使用目的、最終仕向地等の確認

・仕様性能の確認 ・戻り輸入品の確認、管理

産学連携部署・連携先の確認(国・事業内容等) ・連携研究者、受入研究者等の確認(国・業務等)

・移転技術等の内容確認 ・使用目的の確認

・研究者・研究室責任者

・相手方の確認(国・所属・業務、使用目的等)・携行するメモリ等に収録されている情報の確認・e-mail、添付ファイル等の内容確認・研究内容、成果、技術、情報等の捕捉・管理 43

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安全保障輸出管理(外為法)・・・個人:10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金、法人:10億円以下の罰金

(対象貨物/役務価格の5倍がそれぞれの金額を超える場合はその価格の5倍以下の罰金)

動物実験(動物の愛護及び管理に関する法律)・・・2年以下の懲役又は200万円以下の罰金

遺伝子組み換え実験(カルタヘナ法)・・・1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金

ABS対応(Access and Benefit Sharing)(名古屋議定書)・・・指針なので罰則は無し

化学実験(化審法)・・・3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金

研究情報管理(不競法:営業秘密管理)・・・個人:10年以下の懲役若しくは2,000万円以下の罰金、法人:10億円以下の罰金

個人情報(個人情報保護法)・・・2年以下の懲役又は100万円以下の罰金

毒物及び劇物取締法・・・3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金

化学物質排出把握管理促進法(化管法)・・・20万円以下の過料

ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律・・・10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律・・・無期若しくは2年以上の懲役又は1,000万円以下の罰金

放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律・・・3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金

労働安全衛生法・・・7年以下の懲役

著作権法・・・個人:10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、法人:3億円以下の罰金

種苗法・・・個人:10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、法人:3億円以下の罰金

半導体集積回路の回路配置に関する法律・・・3年以下の懲役又は100万円以下の罰金

特許法・・・個人:10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、法人:3億円以下の罰金

実用新案法・・・個人:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、法人:3億円以下の罰金

etc.

リスクマネジメントの観点からも輸出管理は率先して取り組むべき 44

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• 輸出違反は一大学の責任にとどまらず、我が国が世界に向けて陳謝しなければならない重要な案件

• 一個人の外為法違反は大学全体の責任(法人単位での罰則)

=違反していない教員の研究活動にも影響を及ぼしてしまう

• 切迫した経営を強いられる中で大学としてリスク管理にどこまで人材及び予算をかけられるのか?

=専門人材の確保・・・片手間では困難

=運用するための最低限の予算(旅費、書籍代、資格受験費用、CISTEC(外部機関)年会費など)

=BESTは“0”、数字での業務評価は意味がない。(調査や説明会等の取組みは別)

=教職員自らによる安全管理体制の構築と継続的な運用のためのモチベーションの確保、

継続的な人事制度の運用が必要

• 教育・研究活動の権利 + 社会的責任を守る義務

=研究者には教育・研究活動を行える権利があると同時に、それに関する社会的責任を守る義務がある。

=大学としての社会的責任(USR:University Social Responsibility)が試されている!45

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