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超高齢化社会の要請を踏まえて地域包括ケアシステムの推進の中で、これからの医療 サービスは、疾患治療がゴールではなく、一定の疾患や障害を抱えた患者さんが如何に 地域の中で平穏に暮らしていけるように調整するかが課題となっております。 地域急性期病院として江東病院においても医療連携室、医療福祉相談室、PFM(入退 院支援センター)を統合し、入院から退院後の地域での療養を切れ目なくシームレスに 提供できるように「患者支援センター」が2020年度7月21日より本格的に発足しました。 多職種が協働で地域の医療機関の先生方と患者さんとの結び目になるよに対応してまい りたいと思います。また、患者支援センター発足に伴い長年ご愛顧いただいた「おおじまだより」の 名称を「患者支援センターだより」と改称し、今回より、リニューアル創刊しました。今後ともよろ しくお願いいたします。 医療連携室 医療福祉相談室 センター長 副センター長 PFM 外来診療受付時間 ただいま通常診療を再開しております。 ※ 当院では、安全かつ安心な医療を提供できるよう、引き続き以下のような感染防止 対策を講じておりますので、ご協力下さい。 当院の診療について ご来院に際しては、必ずマスクを着用していただくようお願いしています。 ・病院正面玄関入口での検温および問診チェックを行っています。 ・新型コロナウイルス感染症の疑いのある方が当院にお越しの際は、一般 患者さんとの動線を分離し専用区域にて診療を行っておりますので、 ご安心下さい。 ・院内感染防止のため、入院患者さんへの面会は禁止しております。 江東病院 患者支援センターだより 発行 社会医療法人社団 順江会 江東病院 患者支援センター 〒136-0072 東京都江東区大島6-8-5 電話:03-3685-2166(代表) http://www.Koto-hospital.or.jp 発行日:2020年8月31日 患者支援センター発足のご挨拶 センター長 加藤 博久 リニューアル創刊 Vol.1 2020 午前 午後 月~金 初診 8:00~11:00 11:35~15:00 再診 8:00~11:30 11:35~15:30 初診 8:00~11:00 休診 再診 8:00~11:00 診療時間 9:00~12:00 13:00~16:30 診療科または医師により、受付時間及び診療時間が異なる 場合があります。 ●休診日は日曜日、第2土曜日(但し、翌月曜日が祝日となら ない場合)、祝日、年末年始(12/30~1/3)となります。 紹介患者予約 転院受け入れ調整 病診連携、病病連携など 医療相談 福祉相談 退院支援など ベッドコントロール 入退院支援など

:2020 8 31 江東病院 患者支援センターだより【前立腺肥大症】 泌尿器科部長山下朱生、渡邊大祐、蓑輪忠明 前立腺肥大症とは 前立腺は膀胱に隣接し尿道を囲む男性の臓器で精液の一部を作

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Page 1: :2020 8 31 江東病院 患者支援センターだより【前立腺肥大症】 泌尿器科部長山下朱生、渡邊大祐、蓑輪忠明 前立腺肥大症とは 前立腺は膀胱に隣接し尿道を囲む男性の臓器で精液の一部を作

超高齢化社会の要請を踏まえて地域包括ケアシステムの推進の中で、これからの医療サービスは、疾患治療がゴールではなく、一定の疾患や障害を抱えた患者さんが如何に地域の中で平穏に暮らしていけるように調整するかが課題となっております。地域急性期病院として江東病院においても医療連携室、医療福祉相談室、PFM(入退

院支援センター)を統合し、入院から退院後の地域での療養を切れ目なくシームレスに提供できるように「患者支援センター」が2020年度7月21日より本格的に発足しました。多職種が協働で地域の医療機関の先生方と患者さんとの結び目になるよに対応してまいりたいと思います。また、患者支援センター発足に伴い長年ご愛顧いただいた「おおじまだより」の名称を「患者支援センターだより」と改称し、今回より、リニューアル創刊しました。今後ともよろしくお願いいたします。

医療連携室 医療福祉相談室

センター長

副センター長

PFM

外来診療受付時間

ただいま通常診療を再開しております。※ 当院では、安全かつ安心な医療を提供できるよう、引き続き以下のような感染防止

対策を講じておりますので、ご協力下さい。

当院の診療について

・ご来院に際しては、必ずマスクを着用していただくようお願いしています。

・病院正面玄関入口での検温および問診チェックを行っています。

・新型コロナウイルス感染症の疑いのある方が当院にお越しの際は、一般

患者さんとの動線を分離し専用区域にて診療を行っておりますので、

ご安心下さい。

・院内感染防止のため、入院患者さんへの面会は禁止しております。

江東病院

患者支援センターだより

発行 社会医療法人社団 順江会 江東病院患者支援センター

〒136-0072 東京都江東区大島6-8-5電話:03-3685-2166(代表)

http://www.Koto-hospital.or.jp

発行日:2020年8月31日

患者支援センター発足のご挨拶 センター長 加藤 博久

リニューアル創刊

Vol.12020

午前 午後

月~金初診 8:00~11:00 11:35~15:00

再診 8:00~11:30 11:35~15:30

土初診 8:00~11:00

休診再診 8:00~11:00

診療時間 9:00~12:00 13:00~16:30

●診療科または医師により、受付時間及び診療時間が異なる場合があります。●休診日は日曜日、第2土曜日(但し、翌月曜日が祝日とならない場合)、祝日、年末年始(12/30~1/3)となります。

紹介患者予約転院受け入れ調整病診連携、病病連携など

医療相談福祉相談退院支援など

ベッドコントロール入退院支援など

Page 2: :2020 8 31 江東病院 患者支援センターだより【前立腺肥大症】 泌尿器科部長山下朱生、渡邊大祐、蓑輪忠明 前立腺肥大症とは 前立腺は膀胱に隣接し尿道を囲む男性の臓器で精液の一部を作

【前立腺肥大症】 泌尿器科部長 山下 朱生、渡邊 大祐、蓑輪 忠明

前立腺肥大症とは前立腺は膀胱に隣接し尿道を囲む男性の臓器で精液の一部を作ります。50歳以降、年齢とともに大きくなり(元々はクルミ大サイズ)25%程度の方には治療を要します。症状は個人差があり、尿道が圧迫され排尿に関する色々な症状をきたします。原因は男性ホルモンの変化、肥満、高血圧、高脂血症といういわゆるメタボリック症候群との関連があるとされています。また、前立腺癌の共存を常に気を付けています。

前立腺肥大症の症状

通常は命に係わるものではないですが、日常生活で不便、ストレスを感じます。排尿症状(排尿困難、尿が出ない)、畜尿症状(頻回に尿意を催す頻尿、睡眠障害につながる夜間頻尿、突然の我慢できない尿意や尿漏れ)、排尿後症状(残尿感、排尿後尿滴下)などです。

前立腺肥大症の診断問診(排尿の困り具合のアンケート)、直腸診(大きさ、前立腺癌の有無)、超音波検査(大きさ)、尿流測定(尿の出方)、残尿測定(排尿後の残尿量)、血液検査(PSA=前立腺癌早期発見)

前立腺肥大症の治療まず、薬物療法、その困難な場合に手術療法です。

〇薬物療法α受容体遮断薬:前立腺尿道の筋肉にある畜尿をコントロールするα受容体は自律神経の命令により緊張します。薬剤により受容体が遮断されると前立腺や尿道の筋肉が緩み排尿を改善します。5α還元酵素阻害薬:血液中の男性ホルモンを減少することなく前立腺細胞の増殖を抑制し前立腺を縮小、長期間の内服で排尿困難を改善します。ホスホジエステラーゼ5阻害薬:前立腺や膀胱、尿道にあるホスホジエステラーゼ5を阻害することにより、血管が拡がり筋肉が緩まり、排尿障害が改善します。血管を拡げる作用はほてりや動悸、一過性に血圧低下を起こす副作用を生じえます。抗男性ホルモン薬:男性ホルモンの作用を抑え前立腺細胞の増殖を抑えますが性機能や前立腺癌に影響します。生薬・漢方薬:病態や個々人の体質により症状をやわらげ改善します。

〇手術:症状が重く薬物療法で改善がみられなかった場合に検討します。・経尿道的前立腺切除:内視鏡を挿入し肥大した前立腺の組織を切除します(当科で行っている手術手技です)

・ホルミウムレーザー前立腺核出術:内視鏡を挿入しレーザーを照射し肥大した部分をくり抜きます。

・光選択的レーザー前立腺蒸散術:内視鏡を挿入しレーザーを照射して肥大した部分を蒸散凝固壊死させます

生活上の留意点コーヒー、アルコールを飲みすぎない、刺激食物の制限、便通の調節、適度な運動、長時間の座位や下半身の冷えを避けるなどの環境管理が大切です。

当科での診療当科では地域の診療所、クリニック、病院との密な連携をしていただき、地域に根ざした診療を常に心がけております。3人の泌尿器科専門常勤医と2人の非常勤医により、前立腺肥大症に対する総合的な治療を行っております。

Page 3: :2020 8 31 江東病院 患者支援センターだより【前立腺肥大症】 泌尿器科部長山下朱生、渡邊大祐、蓑輪忠明 前立腺肥大症とは 前立腺は膀胱に隣接し尿道を囲む男性の臓器で精液の一部を作

【ヘルニアとは? 】

ラテン語を語源とし,「物が本来の場所から飛び出していること」

を指します。背骨(脊椎)からクッション(椎間板)が飛び出ること

を『脊椎椎間板ヘルニア』,横隔膜(食道裂孔)から胃が飛び出るこ

とを『食道裂孔ヘルニア』,足の付け根(鼠径)から腸や内臓脂肪が

飛び出ることを『鼠径ヘルニア』と医学的に名付けています。

【どうして起こるの?】

私たちは赤ちゃんの頃,お腹の中から足の方へと生殖器(精巣や子

宮円索)が移動します.この通り道は通常閉じるのですが,これが閉

じなかったり,閉じても組織が弱くまた開いたりすることがあります。ここを腸などが飛び出すのが鼠径ヘルニアです。それ以外にも,通り

道周囲の組織が弱くなって鼠径ヘルニアの原因となることもあります。いずれのタイプも腹圧(いきむこと)や糖尿病・コラーゲン異常・遺

伝などさまざまなものが関連している言われておりますが,なぜ起こ

るか解明はされていません。

【鼠径ヘルニア】 副院長 兼 外科部長 加藤 博久

【治療をしないといけないの?】

鼠径ヘルニアは形の異常であり,内服で治るものではありません。根本的な治療は手術です。鼠径ヘル

ニアは鼠径部に出たり引っ込んだりする出来物として自覚します。これだけでは絶対的な手術適応ではあ

りませんが,ヘルニアが引っ込まなくなる(嵌頓)と手術が必要になります。なぜかというと,嵌頓した

際に食事が通過しなくなったり(腸閉塞),腸の血流が悪くなったり(壊死)してしまうからです。

嵌頓は発症してから1年以内が比較的多いと言われていますが,いつ起こるのかは誰にもわかりません。

嵌頓だけでなく,ヘルニアに疼痛を伴い日常生活に支障をきたす場合も手術をおすすめしています。

【具体的な手術法は?】

手術方法は『鼠径部切開』と『腹腔鏡下』があります.鼠径部切開は鼠径部に数cmの傷をつけて皮膚の

側からヘルニアの穴へ到達し,補強のための人工シート(メッシュ)を固定します。腹腔鏡下では二酸

化炭素ガスでお腹を膨らまして腹腔側(お腹の中)からメッシュの固定を行います。腹腔鏡下の方が傷

が小さくすみますが,持病をお持ちの方は鼠径部切開の方が適していることがあります。

当院では患者さん一人一人に合わせた手術法を提案させていただいております。「これってヘルニア?

手術した方がいい?」と悩まれた際は,お気軽にご相談ください。

【整形外科】 【腎臓内科】桑原 宏朋 副部長 細谷 玲奈佐藤 博伸 医長 【循環器内科】小林 望 梶原 淳和田 知樹 【消化器内科】會澤 真緒 佐々木 仁 医長【外科】 【皮膚科】野垣 航二 副部長 加賀 麻弥 部長德永 良太 竹内 博美 医長【麻酔科】 【放射線科】小薗 祐紀 部長 松久 顕之 副部長【眼科】野地 悠太 (順不同)

就任(昇格)医師紹介(2020年4月~7月)

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2019年12月30日に中国武漢で、原因不明の肺炎の集団発生が報告され、2020年1月7日には新型コロナウイルスが分離されました。現在ではその病原体をSARSCoV-2と呼び、新型コロナウイルス感染症をCovid-19と呼んでいます。2020年2月14日の時点では感染者の99%が中国に限局していたのが、6月16日には世界216カ国に広がり、感染者数は800万人を超え、死者も40万人を超えており、感染者は増え続けています。

当院は2009年に新型インフルエンザが世界で流行した際に感染症診療協力病院として役割を果たしてきました。そうした経緯も踏まえCovid-19に対して当院としてどのような役割を果たすべきか議論を重ねてきました。最も重要な点は自分達が果たすことが出来る役割を果たすと言うことです。病院にはそれぞれ指定病院、災害拠点病院等々の役割があります。自身の病院の置かれた立ち位置を理解し、その役割を果たすことが医療機関としての責任であり、ひいては患者さんに安定した医療を供給することにつながると考えます。そこで当院の出した結論はCovid-19確定症例は受け入れず、疑似症例のみ受け入れるということです。しかも重症と思われる疑似症例は受け入れないということです。陽性例を受け入れないのは医療機関として責任放棄ではないかと思われるかもしれません。しかし当院には集中治療室がなく、人工呼吸器も限られているという事情があります。ご存知のようにCovid-19は数日で急速に容体が急変する事例があり、志村けんさんのように、ECMOを駆使しても救命できない事例があります。確定症例や重症と思われる疑い症例を受け入れ、重症化した場合を想定した時、当院として責任ある医療行為を果たせないという判断に基づく責任ある結論であるとご理解いただきたいと思います。

現在当院では「疑似症例外来」として軽症から中等症の疑い症例の診察を行っています。クリニックからの紹介も広く受け入れております。江東区の医師会報では毎週火曜日ということになっていますが、問い合わせは随時、また時間が許せば随時診察を行っています。先ほど当院では新型コロナ陽性と診断された患者さんは受け入れない書きましたが、当院で診察した新型コロナ疑いの患者さんが、陽性と診断された場合は当院にて入院加療も行っています。Covid-19はいまだ標準治療法が確立しておらず、ワクチンもまだ開発途上です。そうした中で我々医療従事者にとって重要なことは早期に患者さんを診断し、クラスターを発生させないこと、そのためには平素より標準予防策を徹底することです。今後、第2波が想定される中で、Covid-19との戦いは長期戦となることが予想されます。したがいまして地元の医療従事者の皆さんとも、これからも連携を強化していく必要があります。

ここで当院の「疑似症例外来」に、患者さんをご紹介いただく際のお願いがあります。ご紹介いただく前にまず必ず皆様ご自身で診察をしていただきたいということです。出来れば採血、胸部レントゲンと治療もお願いしたいと思います。その上で治療の反応性が乏しいとか、画像上肺炎像を認めた場合にご紹介いただけると、その後の診療がスムーズに進みます。

加えてお願いしたいことは、患者さんに紹介状を持たせて受診させるのではなく、まず当院の連携室に医療従事者の方から御連絡いただき、診察の調整をしていただきたいと思います。「疑似症例外来」の担当医は新型コロナ疑似症例だけではなく、一般外来や院内の術前検査も兼務しています。また疑似症例患者さんは一般の患者さんと導線を分けていますので、受診の際の細かい注意が必要となりますので、紹介患者さんが直接来院することのないようお願いします。

医療機関からの患者さんのご紹介・検査予約03-3685-2166(代表)江東病院 患者支援センター医療連携室 03-3685-2253(直通)

03-3685-2766(FAX)E-mail:[email protected]医療相談室 03-3685-3001(FAX)

当院の新型コロナウイルス対応について 感染制御室 星 作男

■都営新宿線大島下車(出口A2)1分■総武線亀戸駅より葛西橋行、東大島行、東陽行バスで大島駅江東病院前下車