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236NRIメディアフォーラム 2030年の住宅市場 移動人口”の拡大が人口減少下における住宅市場活性化の鍵に~ 201667コンサルティング事業本部 上級コンサルタント 榊原 主任コンサルタント 大道 副主任コンサルタント 亀井 敬太 副主任コンサルタント 出口 コンサルタント 吉澤 友貴

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第236回NRIメディアフォーラム

2030年の住宅市場

~“移動人口”の拡大が人口減少下における住宅市場活性化の鍵に~

2016年6月7日

コンサルティング事業本部

上級コンサルタント 榊原 渉主任コンサルタント 大道 亮副主任コンサルタント 亀井 敬太副主任コンサルタント 出口 満コンサルタント 吉澤 友貴

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目次

1. 新設住宅着工戸数・リフォーム市場規模の予測(2016年度版)

2. 空き家数の予測(2016年度版)

3.既存住宅流通量の予測

4.まとめ

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1. 新設住宅着工戸数・リフォーム市場規模の予測(2016年度版)

2. 空き家数の予測(2016年度版)

3.既存住宅流通量の予測

目次

4.まとめ

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新設住宅着工戸数に影響を与える因子

新設住宅着工戸数に大きく影響を与えるのは、①移動人口、②名目GDP成長率、③住宅ストックの平均築年数の3点

新設住宅着工戸数に影響を与える因子①移動人口 ②名目GDP成長率 ③平均築年数

人口・世帯数 経済成長 住宅ストック

統計的に、新設住宅着工戸数に影響していると言えるか

新設住宅着工戸数に影響する因子として、論理的に適切か

• 総人口• 生産年齢人口• 総世帯数• 世帯主が生産年齢に

該当する世帯数• 移動人口• 移動世帯数

など

• 実質GDP• 実質GDP成長率• 前年度の実質GDP• 前年度の実質GDP成長率• 名目GDP• 名目GDP成長率• 前年度の名目GDP• 前年度の名目GDP成長率

など

• 住宅ストック総数• 平均築年数• 空家数• 空家率

など

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新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測(1)

移動人口は、2015年の1,010万人から2030年には800万人まで減少する見通し

移動人口※の推移と予測

(年)

出所)実績値:総務省「住民基本台帳人口移動報告」、「国勢調査」よりNRI推計予測値:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」よりNRI予測

14

10

8

6

4

2

0

12

(百万人)

2030

8.0

202520202015

10.1

2010200520001995

12.6

1988

実績値(推計)← → 予測値

※移動人口:当該年に住所を移動した人の数

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新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測(2)

名目GDP成長率は、日本経済研究センターの予測を採用(中長期的に成長力が低下し、2030年頃にはマイナス成長時代へ)

名目GDP成長率の推移と予測

出所)実績値:内閣府「国民経済計算」予測値:日本経済研究センター「中期経済予測(2016年3月23日発表)」

-0.7

2.1

1.5

-5-4-3-2-10123456789

203020252020201520102005200019951988

(%)

(年度)

実績値← → 予測値

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0

5

10

15

20

25

30

1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

1 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

~19601961~1970

1971~1981

1982~19881989~1993

1994~1998

1999~2003

新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測(3)

着工時期別に、住宅ストックが建築後にどれだけ減少していくかという「減衰曲線」を算出(右の図表)。

減衰曲線に基づき着工年別住宅ストックを算出することで、平均築年数を算出(左の図表) 。

住宅ストックの平均築年数は、2013年の「22年」から、2030年には「29年」近くに延びる見通し

平均築年数の推移と予測 減衰曲線 (住宅ストックの減少率、着工時期別)

着工時期

築後年数(年)

出所)国土交通省「住宅着工統計」、総務省「住宅土地統計」よりNRI推計・予測

(年) 実績値(推計)← → 予測値

(年度)

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新設住宅着工戸数の予測結果

新設住宅着工戸数は、人口・世帯数の減少や住宅の長寿命化等の要因により漸減し、2030年度には約54万戸となる見通し

消費税増税前駆け込み需要+

阪神淡路大震災復興需要

バブル崩壊

耐震偽装事件建築基準法改正

リーマンショック

消費増税前駆け込み需要

→ 予測値実績値 ←

新設住宅着工戸数の推移と予測

(年度)

出所)実績値:国土交通省「建築着工統計」 予測値:NRI

88 92 8883 83 81 79 77 74 72 69 67 65 62 60 57 54

166 167 167

134

142151

156

148

163

134

118

123 121

117115

117

119125 129

104

104

78 82 8489

9992

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

(万戸)

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リフォーム市場規模に影響を与える因子

リフォーム市場規模に大きく影響を与えるのは、①新設住宅着工戸数(8年前)、②名目GDP成長率、③平均築年数の3点

リフォーム市場規模に影響を与える因子①新設住宅着工戸数(8年前) ②名目GDP成長率 ③平均築年数

世帯数 経済成長 住宅ストックの質

統計的に、リフォーム市場規模に影響していると言えるか

リフォーム市場規模に影響する因子として、論理的に適切か

• 総世帯数• 世帯主が生産年齢に

該当する世帯数• 移動者数• 移動世帯数• 新設住宅着工戸数

など

• 実質GDP• 実質GDP成長率• 前年度の実質GDP• 前年度の実質GDP成長率• 名目GDP• 名目GDP成長率• 前年度の名目GDP• 前年度の名目GDP成長率

など

• 平均築年数• 空家数• 空家率

など

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リフォーム市場規模の予測結果

リフォーム市場規模は、成長が期待されているものの、成り行きでの拡大は困難市場活性化に向けては、政策的支援はもちろん、民間事業者の創意工夫も必要

→ 予測値

リフォーム市場規模の推移と予測

(兆円)

(年)

※ 狭義 : 「住宅着工統計上『新設住宅』に計上される増築・改築工事」及び「設備等の修繕維持費」※ 広義 : 狭義のリフォーム市場規模に「エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品等の

購入費を含めた金額」を加えたもの出所)実績値:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅リフォームの市場規模(2014年版)」 予測値:NRI

実績値 ←

5.8 6.1

6.8 7.1 6.9 7.5

8.1 9.1

8.1 7.3 7.5 7.5 7.2 7.3 7.0

6.6 6.8

6.2 6.0 6.1 5.6

6.4 6.5 6.7 7.5 7.4 7.4

6.7 6.6 5.9 6.2 6.3 6.5 6.7 6.5 6.6 6.6 6.5 6.5 6.5 6.5 6.5 6.5

3.4 3.6 4.1

4.4 4.2 4.5

5.3 5.7 5.4

5.0 5.1 5.3 5.2 5.6 5.4

5.1 5.3 4.8 4.7 4.8

4.4 5.0 5.3 5.4

6.1 6.1 6.1 5.5 5.5

4.9 5.2 5.3 5.4 5.7 5.5 5.6 5.6 5.5 5.6 5.6 5.6 5.6 5.6

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

1989 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

広義(実績値) 広義(予測値) 狭義(実績値) 狭義(予測値)

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目次

1. 新設住宅着工戸数・リフォーム市場規模の予測(2016年度版)

2. 空き家数の予測(2016年度版)

3.既存住宅流通量の予測

4.まとめ

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予測方法

以下の方法により、総住宅数・空き家数・空き家率を予測

総住宅数・空き家数・空き家率予測の考え方

5年前の総住宅数

その後5年間の新設住宅着工戸数

その後5年間の除却住宅戸数

=-+

NRI予測値新設住宅着工戸数

との相関からNRI予測

空き家数

居住世帯あり住宅数

居住世帯なし住宅数

一時現在者のみ住宅※数

建築中住宅数

総住宅数 - =

国立社会保障・人口問題研究所の将来予測と同水準で推移すると仮定

実績値:総務省「住宅・土地統計調査」予測値:NRI

総住宅数

過去の傾向を近似して按分

※ 昼間だけ使用している、何人かの人が交代で寝泊まりしているなど、そこにふだん居住している者が一人もいない住宅

空き家率

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総住宅数、空き家数及び空き家率の予測

世帯数の減少と総住宅数の増加に伴って、2033年の空き家数は約2,167万戸、空き家率は30.4%となる見通し

総住宅数、空き家数及び空き家率の推移と予測

総住宅数・空き家数

空き家率

→予測値

出所)実績値:総務省「住宅・土地統計調査」 予測値:NRI

実績値←

(年)

(万戸) (%)

268 330 394 448 576 659 757 820 1,078

1,404 1,773

2,167

3,545 3,861

4,201 4,588

5,025 5,389

5,759 6,063

6,367 6,646

6,900 7,126

7.6% 8.6% 9.4% 9.8%11.5% 12.2% 13.1% 13.5%

16.9%

21.1%

25.7%

30.4%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033空き家数(左目盛) 総住宅数(左目盛) 空き家率(右目盛)

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空き家の内訳及び総住宅数に対する割合の予測

除却・減築が進まないことによって、「その他の住宅」が引き続き増加するとともに、世帯数の減少によって「賃貸用・売却用の住宅」が増加すると考えられる。

空き家の内訳は、2033年に「賃貸用・売却用」が約1,270万戸(総住宅数の17.8%)、利活用の目途が立っていない「その他の住宅」が約790万戸(同11.0%)になる見通し

住宅数

総住宅数に対する割合

→予測値

空き家の内訳及び総住宅数に対する割合の推移と予測

実績値←

※別荘他

出所)実績値:総務省「住宅・土地統計調査」 予測値:NRI

(年)

(万戸) (%)

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目次

1. 新設住宅着工戸数・リフォーム市場規模の予測(2016年度版)

2. 空き家数の予測(2016年度版)

3.既存住宅流通量の予測

4.まとめ

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予測方法

外部データから「世帯数」と「持家率の変化」を、また、NRIの独自調査から「初めて住宅を購入する比率」と「既存住宅を購入する比率」を把握し、既存住宅流通量を推計・予測

(C=A×B)当該期間に初めて

住宅を購入する世帯数

(E=C÷D)住宅を購入する全世帯数

(F)住宅を購入する全世帯のうち、既存住宅(新築以外)

を購入する世帯の比率

(D)住宅を購入する全世帯のうち、初めて住宅を購入する世帯の比率

(G=E×F)既存住宅流通量

国勢調査(総務省)、日本の世帯数将来推計

(国立社会保障・人口問題研究所)

NRIアンケート調査注)

(住宅購入者対象)

住宅・土地統計調査(総務省)

(A)世帯主の年齢5歳区分別の

世帯数

(B)世帯主の年齢5歳区分別の持家率の変化

注)アンケート調査の概要は以下の通り。• インターネットアンケート「調査名:住宅取得に関するアンケート」• 対象:2000年以降の各年で住宅を購入した日本全国の25~59歳の男女(9,204名)

• 実施時期:2016年4月22日~28日

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既存住宅流通量の推計・予測方法(その1)

(C=A×B)当該期間に初めて

住宅を購入する世帯数

(E=C÷D)住宅を購入する全世帯数

(F)住宅を購入する全世帯のうち、既存住宅(新築以外)

を購入する世帯の比率

(D)住宅を購入する全世帯のうち、初めて住宅を購入する世帯の比率

(G=E×F)既存住宅流通量

国勢調査(総務省)、日本の世帯数将来推計

(国立社会保障・人口問題研究所)

NRIアンケート調査注)

(住宅購入者対象)

住宅・土地統計調査(総務省)

(A)世帯主の年齢5歳区分別の

世帯数

(B)世帯主の年齢5歳区分別の持家率の変化

注)アンケート調査の概要は以下の通り。• インターネットアンケート「調査名:住宅取得に関するアンケート」• 対象:2000年以降の各年で住宅を購入した日本全国の25~59歳の男女(9,204名)

• 実施時期:2016年4月22日~28日

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0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

2005 2010 2015 2020 2025 2030

75歳以上

70~74歳65~69歳60~64歳55~59歳50~54歳45~49歳40~44歳35~39歳30~34歳25~29歳25歳未満

(A)世帯主の年齢5歳区分別の世帯数

世帯数は2019年をピークに減少に転じ、2030年には約5,100万世帯となる見通し

世帯数の推移と予測(世帯主の年齢5歳区分別)

→予測値実績値←

<世帯主年齢>

(年)

出所)実績値:総務省「国勢調査」予測値:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数将来推計」

5,1235,307

(万世帯)

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2.7%25歳未満

11.5%25~29歳

28.5%30~34歳

45.8%35~39歳

40~44歳

45~49歳50~54歳55~59歳65~69歳

70~74歳

75歳以上

0%

20%

40%

60%

80%

100%

2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033

(B)世帯主の年齢5歳区分別の持家率の変化

2018年以降の持家率は2013年と同じと仮定2003年時点で「25歳未満」であった層の持家率は、2018年には約46%へ

出所)実績値:総務省「住宅・土地統計調査(2003年、2008年、2013年)」予測値:NRI

持家率の推移と予測(世帯主の年齢5歳区分別)

→予測値実績値←

8.8pt増

(年)

<世帯主年齢>

17.0pt増

17.3pt増

(%)

100

80

60

40

20

0

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0

50

100

150

200

250

300

350

2006-2010 2011-2015 2016-2020 2021-2025 2026-2030

(C)当該期間に初めて住宅を購入する世帯数

初めて住宅を購入する世帯数は、2026~2030年の5年間累積で約275万世帯(年平均55万世帯)となる見通し

出所)国勢調査、総務省「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数将来推計」、総務省「住宅・土地統計調査」

初めて住宅を購入する世帯数(5年間累積)の推移と予測

(年)

(5年間累積、万世帯)

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既存住宅流通量の推計・推計方法(その2)

(C=A×B)当該期間に初めて

住宅を購入する世帯数

(E=C÷D)住宅を購入する全世帯数

(F)住宅を購入する全世帯のうち、既存住宅(新築以外)

を購入する世帯の比率

(D)住宅を購入する全世帯のうち、初めて住宅を購入する世帯の比率

(G=E×F)既存住宅流通量

国勢調査(総務省)、日本の世帯数将来推計

(国立社会保障・人口問題研究所)

NRIアンケート調査注)

(住宅購入者対象)

住宅・土地統計調査(総務省)

(A)世帯主の年齢5歳区分別の

世帯数

(B)世帯主の年齢5歳区分別の持家率の変化

注)アンケート調査の概要は以下の通り。• インターネットアンケート「調査名:住宅取得に関するアンケート」• 対象:2000年以降の各年で住宅を購入した日本全国の25~59歳の男女(9,204名)

• 実施時期:2016年4月22日~28日

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0%

20%

40%

60%

80%

100%

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015住宅購入年

初めて購入 2回目以降の購入 平均値

(D)住宅を購入する全世帯のうち、初めて住宅を購入する世帯の比率

2016年以降に初めて住宅を購入する世帯の比率は、2000年以降に住宅を購入した者へのアンケート結果から、平均値である77%と設定

住宅を購入する全世帯のうち、初めて住宅を購入する世帯の比率

2000年~2015年の各年における住宅購入者に対するアンケート調査結果の平均値(76.7%)

(年)

出所)NRIアンケート調査

(%)

100

80

60

40

20

0

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250

300

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450

2006-2010 2011-2015 2016-2020 2021-2025 2026-2030

(E)住宅を購入する全世帯数

住宅を購入する全世帯数は、2026~2030年の5年間累積では約360万世帯(年平均72万世帯)となる見通し

住宅を購入する全世帯数(5年間累積)の推移と予測

出所)国勢調査、総務省「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数将来推計」、総務省「住宅・土地統計調査」、NRIアンケート調査

(年)

(5年間累積、万世帯)

(再掲)初めて住宅を購入する世帯数

住宅を購入する全世帯数

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既存住宅流通量の推計・予測方法(その3)

(C=A×B)当該期間に初めて

住宅を購入する世帯数

(E=C÷D)住宅を購入する全世帯数

(F)住宅を購入する全世帯のうち、既存住宅(新築以外)

を購入する世帯の比率

(D)住宅を購入する全世帯のうち、初めて住宅を購入する世帯の比率

(G=E×F)既存住宅流通量

国勢調査(総務省)、日本の世帯数将来推計

(国立社会保障・人口問題研究所)

NRIアンケート調査注)

(住宅購入者対象)

住宅・土地統計調査(総務省)

(A)世帯主の年齢5歳区分別の

世帯数

(B)世帯主の年齢5歳区分別の持家率の変化

注)アンケート調査の概要は以下の通り。• インターネットアンケート「調査名:住宅取得に関するアンケート」• 対象:2000年以降の各年で住宅を購入した日本全国の25~59歳の男女(9,204名)

• 実施時期:2016年4月22日~28日

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28.8%

47.8%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

(F)住宅を購入する全世帯のうち、既存住宅(新築以外)を購入する世帯の比率

新築以外の既存住宅を購入する世帯の比率は、2000年~2015年までの上昇傾向が2016年以降も継続すると仮定すると、2030年で約48%に

住宅を購入する全世帯のうち、既存住宅(新築以外)を購入する世帯の比率の推移と予測

2000年~2015年の各年における住宅購入者に対するアンケート調査

結果に基づく線形近似(決定係数R2=0.96)

※ただし、2010年と2012年については、突発的な変動であると想定し、近似式の対象から除外した

リーマンショックによる突発変動の可能性

東日本大震災による突発変動の可能性

近年の既存住宅の競争力向上(品質・立地等)、消費者の変化(価値観・所得等)により、既存住宅の選択率は今後も増加し続けるとみられる(それでも欧米とは大きな格差)。

<参考(国土交通省資料より)>アメリカ(2014年):83.1%イギリス(2012年):88.0%

(年)

→予測値実績値←(推計)

出所)NRIアンケート調査

(%)

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22.1 30.7 33.6

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30

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2005 2010 2015 2020 2025 2030

(G)既存住宅流通量

既存住宅流通量は、既存住宅の競争力向上や消費者の変化により今後も増加し、2030年には約34万戸となる見通し

既存住宅流通量の推移と予測

出所)国勢調査、総務省「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数将来推計」、総務省「住宅・土地統計調査」、NRIアンケート調査

NRIが予測するように、既存住宅流通が順調に拡大したとしても、住生活基本計画(平成28年3月閣議決定)における既存住宅流通の政策目標(2025年に2013年比で倍増)には、約13万戸が不足。

既存住宅流通量の政策目標(2013年比で倍増)

約13万戸

(年)

→予測値実績値←(推計)

(万戸)

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(参考)住替え頻度の推移と予測

人口・世帯数減少時代において、既存住宅流通の目標達成に必要な約13万戸を生み出すためには、移動人口の拡大(移住・住替え・買替え等)が重要

仮に、移動人口の拡大が既存住宅流通量のみに寄与すると仮定した場合でも、移動人口は20%(約872万人から約1,009万人にまで)拡大させる必要がある。

注)なお、本来であれば、移動人口の拡大は、既存住宅流通のみならず、新設住宅着工にも影響を及ぼすが、今回の推計では具体的な定量化を行っていない。

住宅流通量と移動人口の関係

住宅流通量(戸)

移動人口(人)

新築住宅(戸)

既存住宅(戸)

成り行きケース

98万 67万 31万 872万

既存住宅流通の

目標達成ケース

111万 67万 44万 1,009万

+13万戸

注)“移動人口”と“名目GDP”から“住宅流通量”の算定式を簡易的に設定し、“住宅流通量が111万戸”となる場合の“移動人口”を推計

1.2倍

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1.0

1.2

1.4

1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025

移動人口

総人口

総人口(左目盛)

移動人口(右目盛)

(参考)住替え頻度の推移と予測

既存住宅流通の約13万戸を移動人口の拡大(移住・住替え・買替え等)で生み出すと想定した場合、生涯7.1回の移住・住替え・買替え等(2009年水準程度)が必要

移動人口の推移と予測

出所)NRI

住替え頻度の推移と予測(平均寿命85歳を想定)

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025

→予測値実績値←(推計)

→予測値実績値←

出所)実績値:総務省「住民基本台帳人口移動報告」、「国勢調査」よりNRI推計予測値:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」よりNRI予測

成り行きでは、住替え頻度は減少し、2025年には生涯

6.1回(14年に1回)となる見通し

(回)(万人)(億人)

生涯7.1回(12年に1回)の移住・住替え・買替え等が必要

1,009万人の移動人口が必要

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目次

1. 新設住宅着工戸数・リフォーム市場規模の予測(2016年度版)

2. 空き家数の予測(2016年度版)

3.既存住宅流通量の予測

4.まとめ

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まとめ

2015年度に92万戸であった新設住宅着工戸数は、2030年度には約54万戸まで減少すると見込まれる。一方、成長が期待されるリフォーム市場規模も成り行きでの拡大は難しく、2030年まで約6兆円台(広義)で横ばいに推移すると予測される。

また、既存住宅の除却や、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、2033年の空き家数は約2,170万戸、空き家率は30.4%へといずれも上昇すると予測される。

本格的な人口・世帯数減少時代を目前に控え、住宅市場の長期的な低迷が懸念されるなか、既存住宅流通量は2013年の約22万戸から、2025年には31万戸、2030年には34万戸に増加すると予測され、明るい材料の一つである。

しかしながら、NRIが予測するように、既存住宅流通が順調に拡大したとしても、住生活基本計画(平成28年3月閣議決定)における政策目標(2025年に2013年比で倍増)には及ばない。

人口・世帯数減少時代において、既存住宅流通をさらに活性化させていくためには、“移動人口”の拡大(移住・住替え・買替え等)が重要であり、以下のような取組の推進が求められる。

既存住宅の価値評価システムの整備、既存住宅やリフォーム向けローンの充実

お試し移住や多地域居住等を促進する環境整備

民間事業者による新規ビジネスの創造(移住・住替え・買換えサポートビジネスなど)

高齢化社会で“移動人口”を拡大していくことは、ライフステージの変化に応じて、最適な住宅を選択できる環境を整備することでもあり、生活者の住生活環境の質的向上につながると考える。

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