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(漢字等) 研究代表者 所属研究機関 平成26年度 (2014年度) 若手研究(B) 研究計画調書 10 25 24 - 1 - 名古屋大学 (フリガナ) 助教 研究課題名 Ecl1 familyタンパク質の寿命延長メカニズムの解析 氏名 年度 設備備品費 消耗品費 研究経費 (千円) 旅費 その他 使用内訳(千円) 総計 研 究 経 費 千円未満の 端数は切り 捨てる 新規 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成 2,400 2,600 0 5,000 0 3,480 200 0 0 0 1,700 1,780 0 100 100 0 264 264 0 336 456 0 研究種目 若手研究(B) 農学 農芸化学 応用微生物学 開示希望の有無 審査結果の開示を希望する 1版 細目表 キーワード 細目表以外の キーワード 環境・細胞応答 年齢 (H26.4.1現在) 月生まれ) 現在の専門 博士(農学) 分子生物学 エフォート 50% 0001 13901 7102 13 整理番号 細目番号 分割番号 機関番号 研究種目番号 審査区分番号 平成29年度 0 0 0 0 人件費 謝金

平成26年度(2014年度)若手研究(B) 研究計画調書 · 平成29年度 0 0 0 0 0 0 人件費謝金・ 様式S‐1‐13 応募内容ファイル(添付ファイル項目)

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(漢字等)

研究代表者

所属研究機関

平成26年度 (2014年度)若手研究(B) 研究計画調書

1025 24年 日月

- 1 -

名古屋大学

部 局

(フリガナ)

助教

研究課題名Ecl1 familyタンパク質の寿命延長メカニズムの解析

氏名

年度 設備備品費 消耗品費研究経費 (千円) 旅費 その他

使用内訳(千円)

総計

研 究 経 費

千円未満の端数は切り

捨てる

新規

平成26年度

平成27年度

平成28年度

平成

2,400

2,600

0

5,000 0 3,480 200 528 792

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0

1,700

1,780

0

100

100

0

264

264

0

336

456

0

研究種目 若手研究(B)

分 野

分 科

細 目

農学

農芸化学

応用微生物学

開示希望の有無 審査結果の開示を希望する

1版

細目表キーワード

細目表以外のキーワード

環境・細胞応答

年齢(H26.4.1現在)

歳 ( 年 月生まれ)

現在の専門

学 位 博士(農学)

分子生物学 エフォート 50%

000113901 710213

整理番号細目番号 分割番号機関番号 研究種目番号 審査区分番号

平成29年度 0 0 0 0 0 0

人件費 謝金・

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様式S‐1‐13 応募内容ファイル(添付ファイル項目) 若手(B)‐1

研 究 目 的 本欄には、研究の全体構想及びその中での本研究の具体的な目的について、冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述した上で、適

宜文献を引用しつつ記述し、特に次の点については、焦点を絞り、具体的かつ明確に記述してください。(記述に当たっては、「科

学研究費助成事業における審査及び評価に関する規程」(公募要領66頁参照)を参考にしてください。) ① 研究の学術的背景(本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ、応募者のこれまでの研究成果を踏まえ着想に至っ

た経緯、これまでの研究成果を発展させる場合にはその内容等)

② 研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか ③ 当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義

研 究 目 的(概要)※ 当該研究計画の目的について、簡潔にまとめて記述してください。 この研究計画では、分裂酵母における Ecl1 family タンパク質群の高発現による寿命延長メカ

ニズムの解析を行う。Ecl1 family 遺伝子は近年、申請者らが発見した新規遺伝子であり、これら

遺伝子を高発現させた時、分裂酵母や出芽酵母の寿命が延長し、欠損により寿命が短くなる。こ

れまでの研究により、Ecl1 family タンパク質は環境中の金属量に応答して、分裂酵母の有性生

殖・減数分裂誘導や、寿命に影響を与えることがわかりつつある。この Ecl1 family タンパク質

群の寿命延長メカニズムの解析により、Ecl1 family タンパク質の基礎研究だけでなく、分裂酵母

の新たな生理応答や、新しい老化・寿命メカニズムの基盤確立が期待される。

①研究の学術的背景 老化という現象はあらゆる生物に共通して起こる。老化の分子生物学研究においては、モデル生物を用いた多くの研究により、老化に関わる因子や経路などがさまざまな生物種にわたり共通して保存されていることが証明されている(Fontana et al. Science 2010)。申請者らは分裂酵母を用い老化現象のメカニズム解明を目指した研究に取り組んできた。 酵母を用いた老化研究は、その遺伝子操作の容易さを活かし、さまざまな老化関連因子が同定され、細胞寿命・老化メカニズム解明に貢献している(Roux et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2010; 化学と生物 2012)。その酵母の寿命の概念として2つの寿命が定義されている。分裂寿命と経時寿命である。申請者らは分裂酵母を用い経時寿命の研究をしている。経時寿命とは、分裂しない状況下での細胞集団の生存期間を計測することで測定され、高等多細胞生物の分化した細胞の寿命モデルとして捉えられている。 酵母の老化研究においても、出芽酵母に比べ分裂酵母を用いた研究は比較的新しい。分裂酵母は細胞分裂の形態やエキソン/イントロンの割合などの観点から、出芽酵母より高等生物に近いと判断されうる。さまざまな生物に保存されている老化・寿命メカニズムの理解と、ヒトなどへの老化・寿命研究の応用の視点から、分裂酵母を用いて老化研究に取り組むことにはさまざまな利点がある。申請者らは分裂酵母の経時寿命解析を行う過程で、それまで non-coding RNA しか無いと認識されていた DNA 領域に新たにタンパク質をコードする遺伝子、ecl1+、ecl2+、ecl3+

を見いだした( . FEMS Yeast Res 2008; Biosci Biotechnol Biochem 2009)。また同様に、出芽酵母においてもそのホモログ遺伝子 ECL1を発見した( et al. Biosci Biotechnol Biochem 2009)。これら Ecl1 family遺伝子群は分裂酵母、出芽酵母のどちらにおいても高発現することにより寿命を延長させ、その遺伝子群の欠損により寿命が短くなる。現在までに、これら遺伝子の発現機構や( . Mol Genet Genomics 2011)、その寿命延長に関与する因子の特定( . Genes Cells 2012)に関して一定の知見を得られたが、その遺伝子産物の分子レベルでの機能は未だ不明のままである。本研究計画では、後述する表1や図1の予備的研究結果、つまり Ecl1 family タンパク質の機能と金属との関わりの知見が得られたことから、Ecl1 family タンパク質群が関わる現象・反応・制御などの分子機構および寿命延長メカニズムの解析を行い、同時にこれらと金属との関連を調べる。 ②研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか 上記の背景およびこれまでの研究成果をもとに、本研究は Ecl1 family タンパク質群が関わる現象・反応・制御などの分子機構および寿命延長メカニズムの解析を行い、同時にこれらと金属との関連を調べる。研究期間内には以下のことを明らかにする。 ⑴Ecl1 family タンパク質の金属結合の有無を調べる。Ecl1 family タンパク質は共通して保存されている4つのシステイン残基を持つ(研究計画・方法欄の図2参照)。過去にジスルフィド結合形成の有無を調べたが、これらシステイン残基のジスルフィド結合の形成は見られなかった。今回、これら4つのシステインが亜鉛などの金属との結合に関与しているかどうかを調べる。

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若手(B)‐3

研究計画・方法 本欄には、研究目的を達成するための具体的な研究計画・方法について、冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述した上で、平成

26年度の計画と平成27年度以降の計画に分けて、適宜文献を引用しつつ記述してください。ここでは、研究が当初計画どおり

に進まない時の対応など、多方面からの検討状況について述べるとともに、次の点についても、焦点を絞り、具体的かつ明確に記

述してください。 ① 本研究を遂行する上での具体的な工夫(効果的に研究を進める上でのアイディア、効率的に研究を進めるための研究協力者か

らの支援等)

② 研究計画を遂行するための研究体制について、研究代表者及び研究協力者(海外共同研究者、科研費への応募資格を有しない企業の研究者、その他技術者や知財専門家等の研究支援を行う者、大学院生等(氏名、員数を記入することも可))の具体的な

役割(図表を用いる等)

③ 研究代表者が、本研究とは別に職務として行う研究のために雇用されている者である場合、または職務ではないが別に行う研究がある場合には、その研究内容と本研究との関連性及び相違点

なお、研究期間の途中で異動や退職等により研究環境が大きく変わる場合は、研究実施場所の確保や研究実施方法等について

も記述してください。

研 究 計 画 ・ 方 法(概要)※ 研究目的を達成するための研究計画・方法について、簡潔にまとめて記述してください。

この研究計画では、分裂酵母における Ecl1 family タンパク質群が関わる現象・反応・制御な

どの分子機構および寿命延長メカニズムの解析を行い、同時にこれらと金属との関連を調べる。

研究の進め方として、

⑴Ecl1 family タンパク質が、金属因子の存在下または金属キレート剤の存在下で、その立体構造変化を起こすかどうか、CD スペクトル測定を用いて調べる。 ⑵Ecl1 family タンパク質の3次元構造を NMR を用いて決定する。

⑶Ecl1 family 遺伝子と遺伝学的相互作用する因子をスクリーニングにより探索する。

⑷分裂酵母野生株と Ecl1 family 遺伝子欠損株を用い、培地中のさまざまな金属量を変えた時の

寿命を測定する。

平成26年度 ①Ecl1 family タンパク質の金属結合の有無を判定する ( 、 が担当) 表1に示したように、Ecl1 family タンパク質は分裂酵母の金属応答に大きく関わり、図1に示したように、外部環境の金属量によってその表現型を大きく変化させる。Ecl1 family タンパク質には保存された4つのシステインがあり、この部位が金属因子との結合を起こしている可能性がある(図2)。 Ecl1 familyタンパク質が金属と結合するかどうかを確認するため、大腸菌から His-tag 付加 Ecl1 を精製し CD スペクトルを測定する。この時、金属キレート剤 EDTA の存在下でその CD スペクトルが変化するかどうかを判断し、金属キレートによる構造の変化の有無を調べる。 ②NMR を用いて Ecl1 family タンパク質の3次元構造を決定する ( 、 が担当) Ecl1 family タンパク質の一次構造からは、脊椎動物などの高等生物においてその類似因子は確認されていない。Ecl1 family タンパク質の3次元構造が明らかになることは、その分子機構解明の大きな前進になると考えている。また、同時に一次構造では類似しないが、三次構造は Ecl1 family タンパク質と類似するタンパク質が高等生物に存在するかどうかを判断できる。そこで、大腸菌から精製した His-Ecl1 の構造を核磁気共鳴 NMR にて決定する。 ③Ecl1 family 遺伝子との相互作用因子をスクリーニングする ( 、 が担当) 分裂酵母が表1に示したように、金属類、特に鉄や亜鉛の枯渇で減数分裂・有性生殖を誘導することは申請者らが初めて発見した。本計画ではこのメカニズムと Ecl1 family 遺伝子群の解析

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若手(B)‐4

研究計画・方法(つづき)

の足がかりを得るため、Ecl1 family 遺伝子欠損株の減数分裂・有性生殖誘導を起こさない表現型を回復させる遺伝子探索を目指し、分裂酵母の DNA ライブラリーを用いてスクリーニングを行う。 ④分裂酵母の寿命と生育環境中の金属量との関係を調べる ( 、 が担当) 図1に示したように、Ecl1 family 遺伝子による長生きは生育環境中の金属量により変化することがわかった。また、ここには示さないが、分裂酵母の寿命が生育環境中の金属量を減らすことで長生きする予備的研究結果も得られている。これより図3のような寿命と金属量に関する仮説を立てた。本研究計画では、分裂酵母野生株と Ecl1 family 遺伝子欠損株を用い、培地中のさまざまな金属量を変えた時の寿命を測定する。これにより、寿命と金属量との間に関係性を見いだすことができれば、少なくとも酵母においてはカロリー制限に代わる新たな寿命制御の手段の確立が期待される。 平成27年度以降 平成26年度計画のうち、「②NMR を用いて Ecl1 family タンパク質の3次元構造を決定する」および「③Ecl1 family 遺伝子との相互作用因子をスクリーニングする」を継続して解析する。 研究が当初計画どおりに進まない時の対応 CD スペクトル解析や NMR 解析については、対象となる His-Ecl1 タンパク質が十分量精製できない時に備え、GST-tag 付き Ecl1 タンパク質の設計を行っている。また、スクリーニングに関しては減数分裂・有性生殖誘導を用いた系で上手く行かなかった場合、Ecl1 family 遺伝子欠損株のその他の表現型、EDTA 感受性を回復させるスクリーニングを行う予定である。 ①本研究を遂行する上での具体的な工夫 申請者らは図2に示した Ecl1 family タンパク質のシステイン変異株を作製した解析も行っており、その別視点の解析からも、システインと Ecl1 family タンパク質の機能に関わる予備的研究結果も得られている。また、Ecl2 の C 末端側の切断変異タンパク質の寿命延長活性も測定しているため、計画通りに Ecl1 タンパク質が精製できない場合にもこの情報を活用し、対応できる。 ②研究計画を遂行するための研究体制について、研究代表者及び研究協力者 本研究は基本的には申請者本人が行う。申請者が所属する研究室は分裂酵母の経時寿命を長年研究している が在籍している。2008 年度からは分裂酵母研究の専門家である の

と共同研究を続けており、現在では毎月本研究室でのミーティングに参加して下さっており、技術面や菌株等の材料面のサポートはいつでも受けられる。そして、今年度から同じ研究科のタンパク質構造解析の専門家である 、 との共同研究も始まり、Ecl1 family タンパク質の構造解析を補佐していただける。また、本研究室に所属する大学院生、 、 らも本研究を補佐する。 ③別に行う研究内容と本研究との関連性及び相違点 申請者は現在、分裂酵母の新規寿命延長因子 Oga1 の解析も行っている( . Mol Genet Genomics 2013)。Ecl1 familyタンパク質と同様に Oga1 も分裂酵母の経時寿命を延長させる点で両研究は類似し、扱う因子とそれぞれの働くであろう経路に関しては異なる。