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秋 田 県 6 次 産 業 化 推 進 戦 略 平成27年12月 秋田県農林水産部農業経済課

平成27年12月 秋田県農林水産部農業経済課...67件 20% 山形県 件 18% 福島県 42件 13% 総合化事業計画認定件数 秋田県 5,005 2,626 3,564 3,487 ... 県

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秋 田 県 6 次 産 業 化

推 進 戦 略

平成27年12月

秋田県農林水産部農業経済課

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<< 目 次 >>

第1章 本県の6次産業化の現状と課題

1 本県6次産業化の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

(1)6次産業化関連販売額と事業体数・・・・・・・・・・・・・・・・1

(2)六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定状況・・・・2

(3)農商工等連携促進法に基づく農商工等連携事業計画の認定状況・・・3

(4)農業法人の経営多角化の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

(5)食料品製造出荷額の状況及び本県の県際収支・・・・・・・・・・・4

2 6次産業化推進に向けた課題等の分析・・・・・・・・・・・・・・・6

(1)本県6次産業化の強みと弱みの分析・・・・・・・・・・・・・・・6

(2)本県6次産業化を取り巻く機会と脅威の分析・・・・・・・・・・・6

(3)6次産業化を図る農林漁業者等が抱える課題・・・・・・・・・・・7

(4)SWOT分析・課題分析による戦略の基本的な方向性・・・・・・・8

第2章 本県6次産業化推進のための戦略

1 秋田県6次産業化推進戦略の策定・・・・・・・・・・・・・・・・・9

2 目標とする6次産業化関連販売額及び実施期間・・・・・・・・・・・9

3 戦略推進により目指す姿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

4 本県6次産業化推進のための戦略・・・・・・・・・・・・・・・・12

5 戦略推進のために県が行う施策・・・・・・・・・・・・・・・・・13

○6次産業化に取り組む農林漁業者等へのサポート体制の強化

、実践のための人材育成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

○事業者間の連携促進や異業種との連携強化等による競争力の強化・ 15

○米を中心とした農業力や魅力ある地域素材などの本県の強みを

活かした付加価値化や商品力の強化、販路拡大・・・・・・・・・ 18

○農林漁業者等の経営力の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

○地域全体での6次産業化への取組促進・・・・・・・・・・・・・ 24

○加工原料等の安定供給に向けた供給力の強化・・・・・・・・・・ 26

6 国の支援施策の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

第3章 各施策の推進

1 推進体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

2 市町村との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

3 各施策の情報提供・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

参考資料 1 これまでの取組や主な成果・・・・・・・・・・・・・・・・・30

参考資料 2 企業の農業参入・6次産業化への取組状況等の調査結果・・・・37

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第1章 本県の6次産業化の現状と課題

1 本県6次産業化の現状

(1) 6次産業化関連販売額と事業体数

○平成25年度6次産業化総合調査結果によると、本県で6次産業化に取り組んでいる事業

体数は、1,410事業体(東北5位)で、農業生産関連事業の販売額は約123億2千

万(東北6位)となっている。

○そのうち、農産加工に取り組む事業体は、830事業体(東北3位)、販売額は約46億円

(東北6位)となっており、また、農産物直売所を経営する事業体は、430事業体(東

北5位)、販売額は約70億円(東北6位)となっている。

○農産加工、農産物直売所ともに、事業体数は比較的多いものの、販売額は東北他県の約1

/2にとどまっており、1事業体当たりの販売額が他県に比べ低い状況にある。

○中でも、農協等が行う6次産業化については、加工販売額については東北他県の1/10

~1/4以下、直売販売額については他県の1/2以下となっている。

資料:平成 25 年度農林水産省6次産業化総合調査

農業生産関連事業販売額と事業体数

単位:百万円

総  額 事業体数 総  額 事業体数 総  額 事業体数全国 1,817,468 66,680 840,670 30,590 902,555 23,710東北 142,660 9,780 52,311 5,020 84,175 3,120

秋田県 12,322 1,410 4,612 830 7,089 430青森県 25,070 1,540 10,709 850 13,675 340岩手県 22,391 1,480 7,214 810 14,051 490宮城県 20,873 1,180 6,643 560 13,284 470山形県 26,914 2,080 7,681 810 17,852 800福島県 35,090 2,090 15,452 1,150 18,223 600

農業生産関連事業計 うち農産物の加工 うち農産物直売所

8.74 5.56

16.49

27.26 27.48

38.07

14.59 10.42

26.98

全体 農産加工 直売

1事業体当たりの販売額(百万円)

秋田県 全国 東北

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(2) 六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定状況

○本県の総合化事業計画の認定件数は、27年9月末現在で52件と、東北で4位となって

いる。

○総合化事業計画の認定件数は、平成25年度までは東北最下位であったが、県の支援体制

の整備等により、認定件数は急速に増加している。

○本県では、認定された計画のうち、米の加工が25%、野菜が47%の割合となっており、

米加工の割合が全国に比べ高い割合となっている。

総合化事業計画認定状況

認定件数

全国 2,127

東北 336

秋田県 52

青森県 66

岩手県 49

宮城県 67

山形県 60

福島県 42

(H27,9末現在)秋田県

52件

15%

青森県

66件

20%

岩手県

49件

15%

宮城県

67件

20%

山形県

60件

18%

福島県

42件

13%

総合化事業計画認定件数

670

5,005

2,626 3,564 3,487

8,706

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

秋田県 青森県 岩手県 宮城県 山形県 福島県

百万 H25農産物加工販売額(農協等)

5,879

11,894 12,373 11,478 12,957

15,717

0

5,000

10,000

15,000

20,000

秋田県 青森県 岩手県 宮城県 山形県 福島県

百万 H25直売販売額(農協等)

資料:平成 25 年度農林水産省6次産業化総合調査

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(3) 農商工等連携促進法に基づく農商工等連携事業計画の認定状況

○本県の農商工等連携事業計画の認定件数は10件で 東北で3位となっており、東北管内の

他県も10件前後の認定件数となっている。

8

20

35 43

52

0

10

20

30

40

50

60

総合化事業計画認定件数(件)

秋田県

10件

16%

青森県

10件

16%

岩手県

6件

10% 宮城県

10件

16%

山形県

13件

21%

福島県

14件

22%

農商工等連携計画認定件数

25%

野菜

47%

大豆

8%

果樹

6%

畜産

4%

12%

作目別認定内訳

農商工等連携事業計画認定状況

(H27,7月現在)

認定件数全国 663東北 63

秋田県 10青森県 10岩手県 6宮城県 10山形県 13福島県 14

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(4) 農業法人の経営多角化の状況

○本県の農業法人は538法人で、うち277法人(51.5%)は、農産物の直売や農産

加工などによる経営の多角化に取り組んでいる。

○経営多角化への取組は急速に増加しており、平成25年は平成20年の2.3倍に増加し

ている。

○しかし、多角化の内訳を見ると直売活動の増加によるものが多く、加工の実施によりでき

るだけ多くの付加価値を経営に取り組む努力が十分とは言い難い状況となっている。

資料:農林政策課農業法人実態調査

(5) 食料品製造出荷額の状況及び本県の県際収支

○本県の平成25年の食料品製造出荷額は932億円で東北では最下位となっている。本県

の食品産業は、大規模な食品企業が少ないことや、首都圏等への物流コストが嵩むこと、

畜産、水産といった比較的規模の大きな分野の加工企業が少ないことなどがその主な要因

となっている。

○従業員規模については、従業員数が10人未満の事業所が約5割であり、従業員数が30

人を超える事業所は、約12%と、全国の半分程度となっている。

○本県の県際収支は、米の収支が大幅なプラスになっていることにより、生産部門でプラス

● 経営多角化の取組

直売 加工 レストラン 農家民宿

H20 399 100 81 33 3 2

H21 411 146 140 19 7 3

H22 444 167 167 51 7 3

H23 452 194 189 50 8 3

H24 487 235 228 55 8 4

H25 538 277 267 61 12 4

調査年多角化の内容

全法人数うち経営多角化

※農林政策課調べ。複数回答があるため、合計は一致しない。

25.1

35.5 37.6

42.9

48.3 51.5

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

H20 H21 H22 H23 H24 H25

経営多角化率

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762億円となっているが、製造部門では、ほどんどの製造物がマイナスであり、全体で

はマイナス1,372億円となっている。このことから本県は、安価な原料としての一次

産品を県外に販売し、付加価値の高い加工品を県外・海外から購入しており、消費はその

ほとんどが他県や海外からの移輸入等によりまかなわれている状態となっている。

従業員数別の食料品製造事業所数

4~9人 37.52% 185 47.93%

10~29人 37.04% 156 40.41%

30~99人 17.09% 37 9.59%

100人~ 8.35% 8 2.07%

計 386

従業者規模

平成24年

全国構成割合

秋田県の企業数

秋田県の構成割合

886

945

957

979

998

965

958

977

1,084

1,023 1,033 1,022

966

1,006

1,046

987

918

959

1,011

984

991

977

913

932

850

950

1,050

H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

秋田県の食料品製造出荷額 (億円)

資料:秋田県工業統計

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2 6次産業化推進に向けた課題等の分析

○本県6次産業化を推進するに当たっては、農業や他産業の特性、自然環境、食文化、地理的特

性など、本県の強みや弱みを把握・分析しながら、社会経済環境の変化に的確に対応するとと

もに、6次産業化を図る事業者が抱える個別の課題にも対応していく必要がある。

(1) 本県6次産業化の強みと弱みの分析

○6次産業化の推進に当たり、本県には下記のような「強み」があると考えられる。

○ 一方で、下記のような「弱み」もあると考えられる。

(2) 本県6次産業化を取り巻く機会と脅威の分析

○ 社会経済環境の変化として、下記のような「機会」があると考えられる。

【秋田の強み】

①米を中心とした高い農業力(自給力) ⑤豊かな自然環境・郷土文化・食文化

②品質が高く魅力ある農林水産物 ⑥米・発酵を基盤とした食品

③高い農業法人化率、農地集積の進展 ⑦美人イメージ など

④活発な農村女性による起業活動

【機会】

①消費者ニーズの多様化 ⑤海外の和食・日本食ブーム

②品質へのこだわりの増大 ⑥アジア人旅行者の増加

③消費者の安全志向・健康志向等の高まり ⑦経済活動のグローバル化・海外展開の拡大

④地域原料を用いた商品へのニーズ ⑧2020年東京五輪開催 など

【秋田の弱み】

①個々の資本力が小さい農業者、事業者が多い

②生鮮出荷が中心で付加価値化に乏しい

③農協が行う加工や直売の規模・販売額が小さい

④消費地に遠い(物流コストが嵩む)

⑤米や一部青果物を除きロットが小さい

⑥冬期の生産が少なく、加工向け原材料の安定供給が困難

⑦食品製造業の規模が小さく、また、加工の種類に乏しい

⑧営業力の不足・ビジネス経験の不足

⑨マーケティングリサーチの不足 など

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○ 反面、下記のような「脅威」もあると考えられる。

(3) 6次産業化を図る農林漁業者等が抱える課題

○6次産業化を図る農林漁業者については、農業生産については高い知識と技術を持つもの

の、「食品加工の知識や技術、ノウハウが不足すること」、「営業力が乏しく販路拡大が難し

い」など、以下のような特有の課題があると思われる。

【脅威】

①少子高齢化による国内マーケットの縮小 ⑤地域経済の停滞

②米価の下落 ⑥生産者や製造事業者の高齢化・担い手の不足

③消費者ニーズの変化への対応 ⑦原料価格の高騰 など

④企業間競争の激化 ⑧TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉大

筋合意による農産物の輸入拡大

【事業者が抱える主な課題】

①販売力・販売体制の不足

○商品開発はしたものの販売拡大ができず、経営の黒字化が困難となっている事業者が多

い。

・営業力や交渉力が不足しており、商談会等に出展しても、取引まで至らない事業者が

多い。

・営業担当の従業員がいない事業者が多い。

・生産量が少なく大きな需要には対応できない(資本力が乏しくニーズに対応した規模

拡大が難しい)。

・道の駅や直売所での委託販売がメインで売上は小さく不安定。

・人手が少なく、近隣地域以外の売り場では陳列商品の補充も難しい など

②情報発信力の不足

○販売の拡大のためには、商品や事業者の情報発信が重要であるが、それぞれの事業者単

位では、経営状況や体制などから情報発信が十分でない事業者が多い。

③加工技術や知識の不足と設備投資の負担

○食品加工や食品衛生の知識・技術が不足している場合が多く、また、加工設備等の設備

投資に多額の費用が必要となる。

○特に、農業者が加工に取り組むケースでは、食品衛生に関するノウハウの不足が課題と

なっている。

④マーケットニーズの把握と対応する商品開発・改良

○生産する農産物の品目などから、比較的容易に、加工可能な商品づくりを計画する場合

が多いが、商品開発の際に、マーケットニーズのくみ上げやその反映が不十分となって

しまう場合がある。

○商品の高付加価値化には、パッケージデザインなども重要だが、その重要性の認識が不

十分で、また、それぞれの事業者単位では、経営状況や体制からも商品改良が困難な事

業者も多い。

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(4) SWOT分析・課題分析による戦略の基本的な方向性

①米を中心とした高い農業力(自給力)

②品質が高く魅力ある農林水産物

③高い農業法人化率、農地集積の進展

④活発な農村女性による起業活動

⑤豊かな自然環境・郷土文化・食文化

⑥米・発酵を基盤とした食品

⑦美人イメージ など

①1次産業は資本力が2次・3次産業に比べ総じて弱い。

②生鮮出荷が中心で付加価値化に乏しい。

③農協が行う加工や直売の販売額や規模が小さい

④消費地に遠い(物流コストが嵩む)

⑤米や一部青果物を除きロットが小さい

⑥冬期の生産が少なく、加工向け原材料の安定供給がし難い。

⑦食品製造業の規模が小さく、また、加工の種類に乏しい

⑧営業力の不足・ビジネス経験の不足

⑨マーケティングリサーチの不足 など

強み(S) 弱み(W)

機会(O) 脅威(T)

①消費者ニーズの多様化

②品質へのこだわりの増大

③消費者の安全志向・健康志向等の高まり

④地域原料を用いた商品へのニーズの高まり

⑤海外の和食・日本食ブーム

⑥アジア人旅行者の増加

⑦経済活動のグローバル化・海外展開の拡大

⑧2020年東京五輪開催

①少子高齢化による国内マーケットの縮小

②米価の下落

③消費者ニーズの変化への対応

④企業間競争の激化

⑤地域経済の停滞

⑥生産者や製造事業者の高齢化・担い手の不足

⑦原料価格の高騰

⑧TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉大筋合意に

よる農産物の輸入拡大

【目指す方向性】

☆本県農林水産物とそれを活用した農産加工品の付加価値化や販売の向上

☆農林漁業者の経営体質の強化と多角化による経営向上

☆農山漁村の資源を活用した雇用を生み出す持続可能な新たな産業の創出

【推進の基本的な戦略】

○6次産業化に取り組む農林漁業者等へのサポート体制の強化、実践のための人材育

○事業者間の連携促進や異業種との連携強化等による競争力の強化

○米を中心とした農業力や魅力ある地域素材などの本県の強みを活かした付加価値化

や商品力の強化

○農林漁業者等の経営力の強化

○地域全体での6次産業化への取組促進

○加工原料等の安定供給に向けた供給力の強化

【6次産業化事業者の個別課題】

①販売力・販売体制の不足

②情報発信力の不足

③加工技術や知識の不足と設備投資の負担

④マーケットニーズの把握と対応する商品開発・改良

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第2章 本県6次産業化推進のための戦略

1 秋田県6次産業化推進戦略の策定 ○「第2期ふるさと秋田元気創造プラン(平成26年3月策定)」及び「秋田県農林水産業・農

山漁村振興基本計画 第2期ふるさと秋田農林水産ビジョン(平成26年7月策定)」に基づ

き、付加価値と雇用を生み出す6次産業化を推進するとともに、「秋田県6次産業化推進戦略」

の策定により、6次産業化推進のための方向性、及びその具体的な施策の方向性を定める。

2 目標とする6次産業化関連販売額及び実施期間

(1)目標とする6次産業化関連販売額

①6次産業化に取り組む事業体の農業生産関連事業の年間販売額

平成24年に11,761百万円だった販売額を、平成29年に14,110百万円に増

加する。

②6次産業化法等に基づく計画認定件数(累計)

平成24年に28件だった計画認定件数を、平成29年に90件に増加する。

③食関連ビジネスに取り組む農業法人数

平成24年に235件だった食関連ビジネスに取り組む農業法人数を、平成29年に37

0法人に増加する。

指標名 単位 基準値

(基準年)

平成29年度

6次産業化に取り組む事業体の農

業生産関連事業の販売額(年間)

百万円 11,761

(H24)

14,110

六次産業化・地産地消法に基づく

総合化事業計画認定件数(上段:

年間、下段:累計)

12

28

(H24)

15

90

食関連ビジネスに取り組む農業法

人数

法人 235

(H24)

370

(2)実施期間

○本戦略の実施期間は、「平成27年度から平成29年度までの3年間」とする。

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3 戦略推進により目指す姿

(1)目指す方向性

○異業種との連携促進や、商品開発力・販売力の強化等により、県産農林水産物等の付加価値向

上と農林漁業者の経営向上、地域の雇用拡大を目指す。

(2)本県の6次産業化事業体の将来像

○それぞれの経営規模や体制などに応じ、経営強化や異業種連携、地産地消などの視点から、雇

用を創出し、経営に優れる事業体を数多く創出・育成していく。

(3)活用を図るべき本県の農林水産物等

○本県は、品質が高く魅力ある農林水産物や豊かな食文化のほか、高い生産技術を持つ農林漁業

者など、多くの資源があり、こうした有形・無形の資源は全て6次産業化に活用できる可能性

を秘めている。

○そのため、6次産業化の推進にあたっては、農林水産物の品目や、それを原料として製造する

商品等は限定せず、県内で生産される全ての農林水産物を、6次産業化の推進に最大限活用し

ていく。

○また、県内には、乾燥や粉末化、ペースト化などの優れた加工技術を持つ食品事業者等も増え

ていることから、その技術を積極的に活用するとともに、県内外の2次・3次の異業種と連携

した6次産業化を推進し、国内外への販売拡大をめざす。

【目指す方向性】

☆本県農林水産物とそれを活用した農産加工品の付加価値化や販売の向上

☆農林漁業者の経営体質の強化と多角化による経営向上

☆農山漁村の資源を活用した雇用を生み出す持続可能な新たな産業の創出

【6次産業化事業体の将来像】

☆農業経営の安定化を図りながら、加工事業や販売事業など、新たな事業に積極的に取り組む

ことで、経営の強化を図る事業体

☆地域の食品製造業者や流通・販売業者等と連携しながら、農林水産物を始めとする本県の資

源の付加価値を向上しながら、その販売を拡大する事業体

☆地域の食品加工業者等に原材料を安定供給するなど、地域全体での6次産業化を中心的に推

進する役割を担う事業体

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(参考)

農林漁業者の経営規模別の推進イメージ

農業者の

経営規模

その他農業者

農業

法人

個人

個人

個人

個人

個人

個人

個人個人

個人

食品加工事業者等

2次・3次事業者

ゆるやかな

組織化

食品

製造

食品

製造

小売

流通

小売

連携

事業体

加工・販売

事業等の

導入

加工原料の

安定供給

地域における6次産業化のベクトル

個人

○ 農業経営の体質強化という視点 (経営体育成的視点)

・ 経営規模の大きな経営体については、新たに加工事業や販売事業に取り組むことで、経営体

質の強化を図る。

○ 農林漁業者と異業種の連携事業体の育成という視点 (農商工連携的視点)

・ 農林漁業者単独では、資本力、技術力、販売力が弱いことから、地域の食品製造業者や流

通・販売業者等と連携事業体を組み、農林水産物を始めとする資源の付加価値を向上。(6 次

産業化を展開)

○ 地域全体として 6 次産業化を推進する視点 (地産地消的視点)

・ 比較的規模の小さい農業者は、地域の食品加工業者に、原材料を安定供給するこで、地域と

して 6 次産業化を底上げ。 (これまで生鮮で県外市場出荷されていた青果物を、地域で加工

することで、付加価値は地域に残る)

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4 本県6次産業化推進のための戦略 ○本県の強みや弱み、環境変化に対応するとともに、6次産業化を図る事業者の課題に対応し、

商品等の付加価値化や事業者の競争力強化を図るために、以下のような取組を促進していく必

要がある。

(1)6次産業化に取り組む農林漁業者等へのサポート体制の強化、実践のための人材育成

【県の主な施策】 ○6次産業化推進協議会の設置や6次産業化サポートセンターの設置、各地域におけるサポート体制の整備

○6次産業化に関する知識や技術の向上のための人材の育成 など

(2)事業者間の連携促進や異業種との連携強化等による競争力の強化 【県の主な施策】

○異業種交流会の開催などによる異業種企業等との連携促進 ○県内加工事業者の加工技術等の情報収集及び提供 ○地域の事業者同士の連携促進 など

(3)米を中心とした農業力や魅力ある地域素材などの本県の強みを活かした付加価値化や商品力の強化、販路拡大 【県の主な施策】

○県がコーディネート機能を発揮したプロジェクト活動の展開 ・「健康づくり」・「食品の機能性」に着目した商品やサービスの提供 ・米の多様な活用・販売手法によるビジネス構築 ・産地立地型の一次、二次加工品の安定供給体制の構築 など

(4)農林漁業者等の経営力の強化 【県の主な施策】

○新商品開発を行うための設備投資等への支援 ○企業の農業参入及び6次産業化の取組促進 ○(再掲)6次産業化に関する知識や技術の向上のための人材育成

など (5)地域全体での6次産業化への取組促進

【県の主な施策】 ○地域における事業者への個別支援の強化とビジネスマッチング ○地域単位での異業種連携の促進や6次産業化の啓発 など

(6)加工原料等の安定供給に向けた供給力の強化 【県の主な施策】

○地域農業を牽引する農協等が行う6次産業化の取組促進 ○園芸メガ団地の育成 など

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5 戦略推進のために県が行う施策

(1)6次産業化推進体制の構築・強化

①「秋田県6次産業化推進協議会」の設置

○6次産業化の推進のためには、関係機関における情報の共有化と、人的ネットワークの

構築が重要となる。

○「秋田県6次産業化推進協議会」を設置し、6次産業化に関係する機関・団体間で6次

産業化に関する情報の共有化を図るとともに、支援の連携を図る。

②各地域におけるサポート体制の整備

○各地域振興局に6次産業化サポートチームを設置し、6次産業化サポートセンター(公

益社団法人秋田県農業公社)と連携しながら、個別相談への対応や六次産業化・地産地

消法に基づく総合化事業計画の策定支援、ニーズ・シーズのマッチング支援など、地域

における事業者のプラットフォーム構築や個別案件を集中的に支援する体制を整備する。

○6次産業化サポートチーム設置により、6次産業化にかかる相談のワンストップ化や案

件の掘り起こし、2次・3次事業者とのマッチングを支援する。

○市町村や地域の商工団体等と連携を強化するとともに、ブロック単位で異業種交流会を

開催し、地域における農業者と商工業者との連携を促進する。

○セミナー等の開催により、地域における6次産業化の意識を醸成する。

(2)6次産業化を実践する人材の育成、ワークショップ等の開催

○農業者等が6次産業化に取り組む際に必要となる知識の習得のため、マーケティングや

商品開発、食品衛生、食品表示などについての研修会やワークショップ等を開催し、6

次産業化に取り組む人材の実践力の向上を図る。

○食品事業者等との連携により、食品加工技術のノウハウや加工機械の知識など、6次産

業化に必要な技術・ノウハウの習得を支援する。

6次産業化に取り組む農林漁業者等へのサポート体制の強化、実践のための人材育成

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≪ 秋田県の6次産業化推進体制 ≫

○案件掘り起こし・相談等へのワンストップ

○地域におけるプロジェクトの推進

6次産業化サポートチーム(地域振興局)

推進体制

【構成】

農業団体・農業法人、中小企業支援団体、商工団体、 民間事業者、流通関係者、金融機関、大学、市町村、国、県 等

【検討事項】

○ 6次産業化に関する情報の共有化

○ 取組方策等の検討

○ 県域プロジェクトの推進 など

秋田県6次産業化推進協議会(県域)

6次産業化 サポートセンター (県農業公社)

産業横断的なオール秋田での6次産業化支援 ○ プランナー等による指導・相談活動 ○ ニーズ・シーズのマッチング ○ 人材育成研修、 異業種交流会 ○ 商品開発・販路開拓支援 ○ 施設・機械導入への支援 ○ 6次産業化ファンドの活用指導 等

農林漁業者、農業法人、食品加工事業者、流通・小売事業者 等

プランナー派遣

≪ 6次産業化人材育成研修の実施 ≫

6次産業化による魅力的な商品づ

くり・サービス提供に必要な、マー

ケティング、食品表示、価格設定、

コスト管理等に関する知識と手法

を習得するための研修を実施

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(1)異業種企業等との連携促進

○農林漁業者の6次産業化については、資本力が小さいことや営業力・ノウハウの不足等から、

商品開発力や販路開拓に課題がある。

○そのため、6次産業化の推進のためには、地域の製造業や流通・サービス業など、 2次・3

次産業とのネットワークを強化していくことが重要となる。

①「異業種交流会」の開催

○農業者と、製造業・小売業などの2次・3次産業とのネットワークを強化し、ビジネス

としての連携を促進するため、異業種交流会を開催する。

≪ 異業種連携のイメージ ≫

高い食料自給力、高品質な農産物

ニッチでも特色ある品目

豊かな自然・伝統文化・特色ある伝統産業

発酵食品などの食文化

美人イメージ、観光資源 など

1次産業・農山漁村

異業種(2次・3次産業)

発想・経営ノウハウ

技術力・資本力

営業力 など

農林水産業を基軸とした新たな産業の創出

農業経営の多角化

事業者間の連携促進や異業種との連携強化等による競争力の強化

≪ 「異業種交流会」の開催 ≫

異業種交流会を開催し、県内の食品加

工事業者の技術や、販路開拓支援事業

者等の情報、生産する農産物の情報な

どをそれぞれ共有することで、農林漁

業者と商工業者との連携した取組を

促進する。

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②県内事業者の加工技術等の情報収集及び農林漁業者等への情報提供

○試作品の開発や販路開拓を支援する、食品加工事業者や食料品のパッケージの製作事業

者、IT事業者など、関係事業者との連携を促進するため、県内事業者の加工技術等の情

報収集を行うとともに、異業種交流会での出展などを通して、農林漁業者等への情報提

供等を行う。

(2)地域の事業者同士の連携促進

①地域における商工団体との連携促進

○農林漁業者やJA等と、地域の商工団体との連携を促進し、地域における農林漁業者と

商工業者等とのネットワークの強化や、連携による新たな商品開発など、地域が一体と

なった6次産業化の取組を推進する。

②6次産業化地域ユニットの形成と異業種連携による販売力及び商品力の強化

○6次産業化事業者は営業力が低い場合が多く、単独の事業者では、大口需要への対応や

販路開拓、ブランドの構築が困難な場合が多い。

○地域において、6次産業化を図る事業者同士が連携し、県内外での販売拡大や情報発信

を強化し、かつ、売れる商品づくりのための商品改良を図るシステムを構築することで、

6次産業化を図る各事業者の販売力や商品力が強化されるとともに、観光や食品産業な

ど地域の異業種と連携することで地域の経済や産業への波及も期待できる。

○そのため、地域の複数の事業者が連携し、県内外への販路拡大や情報発信、商品開発な

どを役割分担しながら連携するシステムの構築に取り組む。

≪ 地域における商工団体との連携促進 ≫

地域の商工会議所・商工会とJA、農林漁

業者等との連携による新たな商品開発や、

地域で生産される農産物を活用した加工

品の消費拡大などの取組を促進する。

(写真は、JA新あきたと秋田商工会議所

が連携し、枝豆の消費拡大や新商品開発に

取り組むプロジェクト)

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販売拡大と商品改良の好循環

消費者や実需者ニーズの的確な把握

異業種と連携した効果的な商品改良

県内外での販売拡大へ

・地域ユニット構築による営業力の強化 ・異業種と連携した販路開拓、情報発信強化

「秋田オリジナルの6次産業化モデル」の構築(イメージ)

拡大可能な6次産業化ビジネスモデルの構築へ

・首都圏等の百貨店、スーパー等への販路開拓(営業力強化、取引口座の活用等)

・マーケットニーズの把握と事業者へのフィードバック

地元広報誌等での

PR、ホームページ

での情報発信、地域

小売との連携など

パッケージデザイン

等事業者 各種食品加工事業者 飲食店、ホテル等

地域の農業者

県内外の食品事業者、仲卸

事業者など

地域の印刷業者、IT業者、広告代理店、小売事業者など

商品開発の試作、委託加工等 観光との連携、

レシピ制作等

パッケージデザイン、充填、包装等

県外アドバイザー

商品改良、販路アドバイス等

県外への販路拡大 情報発信強化、地域

での販路拡大

6次産業化地域ユニット

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(1)県全域でのプロジェクトの推進

○市場規模が拡大している健康食品市場への新規参入や、米など本県に強みのある素材を活用

した商品開発・販路拡大を推進するとともに、農産物の1次加工など実需者のニーズにマッ

チした供給体制を構築する。

○従来の秋田にはなかったビジネス形態を創出・拡大していくため、3つの県域プロジェクト

を実施し、県内に新しい付加価値を生み出す芽出しの活動を行う。

①「「健康づくり」・「食品の機能性」に着目した商品やサービスの提供」プロジェク

○全国の健康食品市場規模は、2000年頃の7,000億から、2013年の1兆2,

000億円にまで急拡大している。

○県内では健康食品市場に参入している事業者は少ないが、プロジェクトの推進により、

「中間素材取扱事業者と1次加工事業者の創出・育成」、「大学や研究機関とのネットワ

ークの構築」を行うことで、県内事業者の同市場への参入が期待できる。

○山菜、薬草類、にんにく、じゅんさい、摘果スイカなど、機能性の高い農産物を活用し

た6次産業化商品・サービスの開発に向けて、県の総合食品研究センターや大学などの

研究機関、県内食品事業者、国内の大手健康食品等メーカー等と連携し、新たなビジネ

スモデルを構築する。

米を中心とした農業力や魅力ある地域素材などの本県の強みを活かした付加価値化や商品力の強化、販路拡大

≪ 食品の機能性をテーマとした異業種交流会の開催 ≫

今後の拡大が期待される健康食品などの市場へ

の参入に向けて、県内の機能性素材の認知度向

上や、事業者間の連携を促進するため、食品の

機能性をテーマとした異業種交流会を開催

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②「米の多様な活用・販売手法によるビジネス構築」プロジェクト

○本県農産物最大の資源・ブランドである「コメ」について、利用形態別(粒体、粉体、

液体)、原料部位別(籾、ぬか、主食部)、成分別(GABA、タンパク質、脂質等)、用

途別(味噌、米菓・パン、麺、化粧品等)など、多様な視点・組み合わせで活用可能性

を検討し、ニーズにマッチした多様なビジネスモデルを構築する。

○湯沢地域、大仙地域などで生産が急拡大している、機能性の高い玄米食専用品種「金の

いぶき」を活用した加工食品の開発や販路開拓に支援するとともに、各地域におけるブ

ランド化を推進する。

≪ 「金のいぶき」を活用した加工食品の開発等 ≫

株式会社ファンケル、一般社団法人高機能玄

米協会、株式会社金のいぶきと連携し、県内

での金のいぶきの生産拡大と、金のいぶきを

活用した加工品の開発を推進

≪産学官金が連携した支援体制の構築(イメージ)≫

○行政、研究機関、大学、金融機関などが相互に密接に連携しながら、県産農林水産物を活用した

食品開発を行う事業者を多面的に支援していくスキームを構築する。

原材料生産・供給

機能性食品の中間

素材として販売

国内大手健康食品製造・販売企業等

一般消費者等

乾燥・粉末化など

の食品加工

サプリメントなどの

最終製品の製造・販売

ネットワーク化 分析支援、共同研究、

商品開発支援、シーズ

発掘など

ネットワーク構築支援、マ

ッチング支援など

県総合食品研究センター

秋田大学 秋田県立大学

秋田県

県内金融機関等

研究・開発のため

の資金供給など

中間素材取扱・商品販売事業者

乾燥・粉末などの

1次加工事業者 農林漁業者

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③「産地立地型の一次、二次加工品の安定供給体制の構築」プロジェクト

○県内外の食品産業における分業化・外部化に対応し、食品製造業等が活用しやすいよう、

一次・二次加工(カット、半調理等)して素材化することで、新たな需要を創出する。

≪ 産地立地型の一次加工体制の構築 ≫

地域で生産される農産物を、カット、粉末化、

ペースト化などの加工を行うことにより、付

加価値化を図り、業務用や学校給食用など、

実需者ニーズにマッチした供給体制を構築

≪ 機能性、おいしさ、利便性を追求した金のいぶきの味噌の開発 ≫

有限会社石孫本店において、株式会社ファン

ケル、県(総合食品研究センター)と共同で、

金のいぶきを活用した健康志向の味噌の新た

な商品化に取り組んでいる。

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(2)県内各地域におけるプロジェクトの推進

○由利地域のイチジク、仙北地域のブルーベリー、平鹿地域のいぶり大根など、県内各地域独

自の農産物や、加工品の付加価値化、商品力の強化を図る。

(3)小ロットならではの付加価値を形成できる商品づくりや農村文化等を活かしたサ

ービスの提供

○品質・技術にこだわり付加価値化をめざす商品開発や、地域が連携した農山漁村の自然や食

を始めとする農村文化等を活かしたサービス提供などを推進する。

○県全域でのプロジェクトや県内各地域におけるプロジェクトにより、付加価値のある商品開

発を推進する。

(4)販路開拓等への支援

○マーケットインの視点による商品開発を促進するとともに、展示会・商談会の開催や企業開

拓員等による首都圏等のニーズの把握・マッチングなど、販路開拓を支援する。

○観光と連動したPRなど、6次産業化商品やサービスについての情報発信力を強化する。

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(1)新商品開発を行うための設備投資等への支援

○国の補助制度等を積極的に活用しながら、6次産業化による新たな商品づくりなどに挑戦す

る農林漁業者等を支援する。

※支援内容は平成27年度時点のもの

(2)企業の農業参入及び6次産業化の取組促進

○資本力や経営力、独自の販路等を持つ企業の力を農業の現場で積極的に活用するため、県内

企業が農業に参入し6次産業化を図る取組を促進する。

≪ 新商品開発等への支援(ハード)の概要 ≫

◎6次産業化ネットワーク活動交付金(国)

・事業内容 農林水産物等の加工・流通・販売等のために必要な施設の設

置など

・補助率等 3/10以内(ただしJA、銀行等の資金の貸付を受けて実

施する事業に限る) 上限1億円

◎次世代経営6次産業化チャレンジ事業(県)

・事業内容 農林水産物等の処理加工のために必要な施設の設置など

・補助率等 1/3以内 上限 1千万円

◎女性起業活動発展支援事業(県)

・事業内容 加工施設、直売施設、地域食材提供施設、機械設備の設置な

・補助率等 1/3以内 上限150万円

※支援内容は平成27年 月現在

農林漁業者等の経営力の強化

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(3)6次産業化を実践する人材の育成(再掲)

○農業者等が6次産業化に取り組む際に必要となる知識の習得のため、マーケティングや商品

開発、食品衛生、食品表示などについての研修会を開催し、6次産業化に取り組む人材の実

践力の向上を図る。

○食品事業者等との連携により、食品加工技術のノウハウや加工機械の知識など、6次産業化

に必要な技術の習得を支援する。

(4)販路開拓等への支援(再掲)

○マーケットインの視点による商品開発を促進するとともに、展示会・商談会の開催や企業開

拓員等による首都圏等のニーズの把握・マッチングなど、販路開拓を支援する。

○観光と連動したPRなど、6次産業化商品やサービスについての情報発信力を強化する。

≪ 企業の農業参入・6次産業化への取組状況等の調査(平成26年度実施) ≫

1 調査の概要

○製造業(食品製造業含む)、建設業、卸・小売業の県内企業約800社に対して農業

参入や6次産業化についての意向や課題等のアンケートを実施するとともに、既に農

業参入する企業に対しての個別ヒアリングを実施。

2 調査結果

○既参入企業については、設備投資、販路開拓、雇用の維持を課題と捉えており、今後

農業に参入したいと考えている企業については、農業生産の技術や知識がないこと、

設備投資、雇用維持などを課題と捉えている。

○特に参入初期については、農業技術の習得や人材育成、販路開拓、設備投資、資金の

確保などにリスクがあり、農業参入が進まない状況となっている。

○平成27年度から、企業の農業参入をソフト・ハードの両面から支援する制度を新た

に構築

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(1)地域における事業者への個別支援の強化

○各地域振興局に6次産業化サポートチームを設置し、6次産業化サポートセンター(公

益社団法人秋田県農業公社)と連携しながら、個別相談への対応や六次産業化・地産地

消法に基づく総合化事業計画の策定支援、ニーズ・シーズのマッチング支援など、地域

における事業者のプラットフォーム構築や個別案件を集中的に支援する体制を整備する。

○個別相談・訪問等により、6次産業化に向けた生産者ニーズを把握するとともに、6次

産業化サポートセンターや市町村、商工団体等と連携を強化し、6次産業化・地産地消

法に基づく総合化事業計画の認定や各種事業の活用など、個別支援を強化する。

○6次産業化サポートチーム設置により、6次産業化にかかる相談のワンストップ化や案

件の掘り起こし、2次3次事業者とのマッチングを支援する。

(2)地域単位での異業種連携の促進

○市町村や地域の商工団体等と連携を強化するとともに、ブロック単位で異業種交流会を

開催し、地域における農業者と商工業者との連携を促進する。

○セミナー等の開催により、地域における6次産業化の意識を醸成する。

≪ 地域におけるサポート体制 ≫

○相談窓口機能

○生産者等の6次産業化ニーズの把握

○個別・集中的支援

○計画策定支援

○異業種との連携促進

○6次産業化の啓発活動

6次産業化サポートチーム(地域振興局) 6次産業化

サポートセンター

(県農業公社)

農林漁業者

・ニーズの把握

・シーズの実現

・個別訪問

・個別相談

連携

・プランナーの派遣

による計画の具体化

・地域相談会開催

○6次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画申請・認定

○各種事業実施による支援

市町村

地域商工団体

連携

地域全体での6次産業化への取組促進

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(3)地域の事業者同士の連携促進(再掲)

①地域における商工団体との連携促進

○農林漁業者やJAと、地域の商工団体との連携を促進し、地域における農林漁業者と商工

業者等とのネットワークの強化や、連携による新たな商品開発など、地域が一体となった

6次産業化の取組を推進する。

②6次産業化地域ユニットの形成と異業種連携による販売力及び商品力の強化

○6次産業化事業者は営業力が低い場合が多く、単独の事業者では、大口需要への対応や販

路開拓、ブランドの構築が困難な場合が多い。

○地域において、6次産業化を図る事業者同士が連携し、県内外での販売拡大や情報発信を

強化し、かつ、売れる商品づくりのための商品改良を図るシステムを構築することで、6

次産業化を図る各事業者の販売力や商品力が強化されるとともに、観光や食品産業など地

域の異業種と連携することで地域の経済や産業への波及も期待できる。

○そのため、地域の複数の事業者が連携し、県内外への販路拡大や情報発信、商品開発など

を役割分担しながら連携するシステムの構築に取り組む。

(4)県内各地域におけるプロジェクトの推進(再掲)

○由利地域のイチジク、仙北地域のブルーベリー、平鹿地域のいぶり大根など、県内各地域独

自の農産物や加工品の付加価値化や商品力の強化を図る。

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(1)地域農業を牽引する農協等が行う6次産業化の取組促進

○農協等が行う6次産業化販売額については、加工・直売ともに、他県に比べ大幅に低い

状況にある。

○地域の農産物の集荷機能により量的な競争力を有し、一次加工等により実需者の大口需

要にも対応できる強みがあることから、地域農業をリードする立場である農協による6

次産業化の取組を促進する。

(2)園芸メガ団地の育成等

○園芸作物の産出額を増大させるため、秋田の園芸振興をリードする拠点として、大規模

な野菜や花きのメガ団地を整備する。

○周年農業の推進、長期出荷体制の確立、産地連携等により、原材料の安定供給に向けた

産地規模拡大を図る。

加工原料等の安定供給に向けた供給力の強化

≪ 農協等が行う6次産業化の取組促進 ≫

農産物の集荷力を有し、地域農業を牽

引する農協が行う一次加工や直売等の

6次産業化を促進

(写真はJAあきた北の規格外枝豆を

活用した加工品の製造・販売)

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≪ 園芸メガ団地の育成 ≫

伸び悩む園芸作物の産出額を増大させるため、秋田の園芸振興をリードする拠

点として、販売額1億円以上を実現する野菜や花きの大規模団地(メガ団地)

を県内数カ所に整備

大規模トマト団地イメージ(仙北地域)

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6 国の支援施策の活用

○国の支援施策を活用し、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の作成や人材育成、

販路開拓などを支援するとともに、補助金や農林漁業成長産業化ファンドなどについても積極

的な活用を推進する。

※支援内容は平成27年度時点のもの

≪ 国の支援制度の活用 ≫

◎6次産業化・地産地消推進協議会の開催、人材育成、ワークショップの開催、交流会の

開催、商談会の開催、農林漁業者等へのサポート活動への支援

◎農林漁業者と多様な事業者が連携して取り組む6次産業化へのソフト・ハード両面での

支援

◎農林漁業成長産業化ファンドの活用

など

≪ 農林漁業成長産業化ファンド(通称:6次産業化ファンド)の概要 ≫

産業投資

民間等

金融機関食品企業

貸付

出資

(株)農林漁業成長

産業化支援機構

<機構の業務>

① 出 資

② 融 資

③ マッチング

出資

民間等

地方自治体、農業団体、金融機関、

地元企業 等

・ 6次産業化事業体を

支援するファンドに

50%を上限に出資

・20年間の時限措置

サブファンド(秋田県関連)

■農林水産業投資事業有限責任

組合

■東北6次産業化サポート投資事

業有限責任組合

■とうほくの未来応援ファンド

出 資

間接出資

対象事業者

6次産業化

事業体

経営支援

出 資

(上限:50%)

一体的

農林漁業者

6次産業化

パートナー

企業(食品製造業・

小売業等)

出 資( 25%以上)

出 資( 25%未満)

技術・販売

ノウハウ

農林水産物等

直接出資

※出資期間は最長15年間

資本性劣後ローン(無担保・無保証人)

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第3章 各施策の推進

1 推進体制

○農業団体や農業法人、中小企業支援団体、商工団体、 民間事業者、流通関係者、金融機関、

大学、市町村、国、県等で構成する「秋田県6次産業化推進協議会」の開催により、6次産業

化に関係する機関・団体間で6次産業化に関する情報の共有化を図るとともに、支援の連携を

図りながら、各施策を推進する。

2 市町村との連携

○6次産業化の推進に向けては、市町村と情報共有しながら、6次産業化推進にかかる市町村の

戦略策定など、各地域の特徴を活かした積極的な取組を支援する。

3 各施策の情報提供

○県が行う6次産業化推進の各施策については、農林漁業者等にきめ細かい情報提供を行い、そ

の周知に努めるとともに、農林漁業者等が分かりやすい資料を提供する。

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参考資料1

6次産業化に関するこれまでの取組や主な成果

1 6次産業化に取り組む農林漁業者等へのサポート体制の強化、実践のための人材

育成

(1)6次産業化推進体制の構築・強化

①6次産業化推進会議の開催

○県内外の6次産業化に関する情報の共有

○6次産業化の推進上の課題と対応方策の検討 など

②各地域におけるサポート体制の整備

(ア)6次産業化サポートセンターを設置(H23~)

○農林漁業者等の個別相談活動、専門家(プランナー)の派遣

○認定事業者のフォローアップ

○6次産業化相談会(各地域振興局)の開催 など

(イ)地域振興局段階での地域サポートチームを設置(H25~)

○ニーズの掘り起こし

○6次産業化の構想策定から事業化までワンストップで総合的に支援

(2) 6次産業化を実践する人材の育成、ワークショップ等の開催

<平成25年度>

第1回:平成 25年 7月 24日(6次産業化推進方策、各機関の取組状況等)

第2回:平成 25年 11月 20日(産地立地型一次加工調査結果、推進方策に関する意見交換)

<平成26年度>

第1回:平成 26年 5月 21日(各機関の取組状況等、異業種交流に関する意見交換)

第2回:平成 26年 11月 28日(取組事例の視察調査、意見交換)

<平成27年度>

第1回:平成 27年 7月 28日(秋田県6次産業化推進戦略への意見交換)

<平成25年度>

・対象:支援者を対象

・委託先:株式会社あきた食彩プロデュース

・回 数:全4回

・内 容:市場分析、商品開発、事業診断・計画、指導方法等

・参加者:27名

・参集範囲:市町村、農業団体、県、その他関係機関

<平成26年度>

・対象:実践者を対象

・委託先:株式会社あきた食彩プロデュース

・回 数:全5回

・内 容:市場分析、商品開発、事業計画作成、事業診断、ケーススタディほか

・参加者:32名

・参集範囲:農林漁業者、食品製造事業者など

プランナー派遣回数

<平成25年度>

派遣回数:125回(個別相談: 92回、フォローアップ:33回)

<平成26年度>

派遣回数:143回(個別相談:132回、フォローアップ:11回)

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2 事業者間の連携促進や異業種との連携強化等による競争力の強化

(1)異業種企業等との連携促進

○「異業種交流会」の開催

○県内事業者の加工技術等の情報収集及び農林漁業者等への情報提供

(2)地域の事業者同士の連携促進

○地域における異業種交流会の実施

◎主な成果

○各機関間の情報の共有化、支援の連携が徐々に図られてきた。

○地域における6次産業化にかかる相談へのきめ細かなサポート体制を構築(地域ごとの個

別相談会の開催等)。

○ブロック別セミナーの開催や、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画作成の支

援等により、認定件数が大幅に増加、東北で最下位から4位になったほか、6次産業化に

取り組む意欲のある農業者は増加傾向にある。

○人材育成研修会の実施等により、6次産業化の意義やマーケットインの重要性の認識など

が着実に浸透しつつある。

<平成25年度>

①日 時 平成26年3月13日(木)15:00~18:30

②場 所 ホテルメトロポリタン秋田

③内 容 ・講演「6次産業化成功へのステップ」(コーソー経営研究所 後久 博)

・取組紹介 農事組合法人おばこ食品 代表 鈴木辰美

株式会社トースト 代表取締役 門脇博之

あきた湖東農業協同組合 農業振興課 課長補佐 小野義隆

・名刺交換会 参加者約80名

<平成26年度>

①日 時 平成27年2月4日(木)13:30~18:00

②場 所 ホテルメトロポリタン秋田

③内 容 ・講演「野菜のサブウエイの成長とバーティカルマーチャンダイジング戦略」

(日本サブウエイ(株) 商品購買部長 飯田 真弓)

・取組紹介 株式会社しらかみファーマーズ 代表 小林 郷司

合資会社エコニコ農園 専務・販売部長 大和田 しずえ

食農連携コーディネーター 渡邉 和寛

・加工技術・商品展示会、名刺交換会 参加者 約300名

※加工受託可能事業者展示18事業者、6次産業化・農商工連携商品等展示19事業者、加工

機械、販路開拓ツールその他展示10事業者

<平成26年度>

県北:平成 26年 12月 4日開催、参加人数 70名、主な内容(講演、事例発表、商品紹介)

中央:平成 27年 1月 27日開催、参加人数 38名、主な内容(講演、情報交換、マッチング)

県南:平成 26年 9月 2日開催、参加人数 82名、主な内容(制度説明、研修会、情報交換、展示)

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3 米を中心とした農業力や魅力ある地域素材などの本県の強みを活かした付加価値化

や商品力の強化、販路拡大

(1)県全域でのプロジェクトの推進

①「健康づくり」・「食品の機能性」に着目した商品やサービスの提供

②米の多様な活用・販売手法によるビジネス構築

③産地立地型の一次、二次加工品の安定供給体制の構築

◎主な成果

○異業種交流会に約300名の商工業者や農業者が参加するなど、6次産業化推進のた

めの異業種連携に関する各事業者の関心・意欲は高まっている。

○これまでは農業者側に受託加工事業者や販売支援事業者などの情報がなかったが、異

業種交流会では、新たな取組として、受託加工や販売受託、県内の加工関連機械製造

などの事業者の展示による情報提供を行った(47事業者が出展)。

○出展事業者においては、試作品の製造の依頼や取引が開始など、それぞれの連携が着

実に始まりつつある(乾燥・粉末化やドレッシング加工などの試作等)。

平成26年3月12日(水)に株式会社東洋新薬との食関連産業等の振興に関する連携協定締結

<平成26年度>

・機能性ビジネス異業種交流会開催(講演、商品展示会)

・個別の取組支援(県内事業者の機能性ビジネス参入の個別支援、東洋新薬への県産原料供給マ

ッチング(大麦種子の生産試験)、じゅんさいの再生産価格設定支援・一次加工効率化支援、等)

<平成27年度>

・産学官等が連携した事業者への支援体制を構築

・機能性ビジネス異業種交流会開催(県内大学研究者の講演、情報交換会)

・個別の取組支援(総合食品研究センターにおける基礎分析、県内事業者の機能性ビジネス参入

や事業者同士のマッチング支援)

<平成26年度>

・「金のいぶき戦略会議」の開催(湯沢市)

・金のいぶきを活用した試作品の第1期試作開始(湯沢市、横手市の3事業者)

・地域ブランド化に向けた推進組織の検討開始

<平成27年度>

・金のいぶきを活用した試作品の第2期試作開始(県内5事業者)

・株式会社ファンケルと連携し、金のいぶきの生産拡大とそれを活用した6次産業化を推進

<平成26年度>

・一次加工を行う農業者等への設備投資等への支援(農事組合法人たねっこ、株式会社ベジタブ

ルスタイル等)

・JAによる一次加工ビジネスモデルの検討(先進地視察、勉強会の開催)ほか

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(2)県内各地域におけるプロジェクトの推進

(3)小ロットならではの付加価値を形成できる商品づくりや農村文化等を活かしたサ

ービスの提供

(4)販路開拓等への支援

<平成26年度>

・由利地域プロジェクト九(いちじく)

にかほ市産いちじくの新たな販売先および販売方法(冷凍・乾燥いちじく、生食用完熟いちじ

く、葉っぱビジネス等)の検討。

・仙北地域「ブルーベリー」6次産業化プロジェクト

仙北地域で急増している「ブルーベリー」の産地化を進めるために、冷凍加工、冷凍果販売の

体制を構築。

・「山内いぶりがっこ」ブランド化プロジェクト

地域特産である「山内いぶりがっこ」のブランド化(新商品開発と販路開拓)を総合的に支援

することで、地域に雇用の場を確保し、新ビジネスを創出。

<平成26年度>

・県産食材等マッチング商談会2014(秋田うまいもの販売課)

平成 26年 7月 10日~7月 11日に秋田テルサで開催

・個別マッチング支援

◎主な成果

○機能性ビジネス異業種交流会の開催により、農産物等の機能性に関するビジネスに取り組む

県内事業者の情報を収集・発信。

○産学官等による支援体制を構築し事業者への支援を強化するとともに、機能性ビジネス異業

種交流会等の開催により、食品の機能性に関するビジネスに意欲を持つ県内事業者のネット

ワークが構築。

○金のいぶきを活用した試作品の開発を通して、新商品開発や、全国的な販売に向けた大きな

可能性が生まれ始めている(株式会社ファンケル、一般社団法人高機能玄米協会、株式会社

金のいぶきと連携開始)。

○一次加工を行う事業者の着実なステップアップが始まっている(食品事業者等の必要とする

規格に応じた加工機能の強化など)。

<平成26年度>

・各種支援制度により、新商品開発等に取り組む事業体を支援

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4 農林漁業者等の経営力の強化

(1) 新商品開発を行うための設備投資等への支援

<平成26年度>

○6次産業化ネットワーク活動交付金

○次世代経営6次産業化チャレンジ事業

1 秋田 株式会社ベジタブルスタイル 農業法人ネギ集出荷・加工施設1棟(394㎡)、

カット・洗浄加工機器等一式

2 秋田 Deco・Farm株式会社 農業法人乾燥機(トマト・しいいたけ・山菜)1台、

真空包装機、製粉機、金属探知機各1台

3 仙北 有限会社 北浦郷 農業法人漬物加工施設1棟(141㎡)、大根洗浄機、保管

冷蔵庫、枝豆冷凍加工施設1棟(58㎡)

4 仙北 神岡縄文農園株式会社 農業法人 加工設備(氷感庫150㍑)

5 平鹿 有限会社 モコ 農業法人冷蔵庫(原料用)1台、冷蔵庫(加工品用)1

台、ねぎスライサー1台、電解水生成機1台、

エアコン(加工室の冷却用)1台

6 平鹿 農事組合法人山楽里 農業法人作業場1棟(132.2㎡)、漬け樽(1,000㍑用20

個)等一式

7 雄勝 佐藤畜産 認定農業者

直売・加工施設1棟(130.5㎡)、プレハブ冷蔵

庫(3坪・1台)、プレハブ冷蔵庫(移設1.5坪・1

台、4坪・1台)、急速凍結庫1台、真空包装機

1台

8 仙北 農事組合法人たねっこ 農業法人 プレハブ冷蔵庫、電解次亜水生成装置

NO. 振興局名 事業実施主体名 経営形態 事業内容・事業量

(2)企業の農業参入及び6次産業化の取組促進

(3)6次産業化を実践する人材の育成(再掲)

(4)販路開拓等への支援(再掲)

<平成26年度>

・「企業の農業参入・6次産業化の取組への調査」を実施

・企業が農業参入し6次産業化に取り組む際の支援制度をH27年度から創設

「次世代経営6次産業化チャレンジ事業(異業種参入タイプ)」

農業参入しようとする企業をソフト・ハード両面から支援。

補助率1/3、補助上限1,000万円

NO. 事業実施主体名 市町村名 事業名 事業内容

1 秋田県 - 支援体制整備事業推進会議開催、人材育成研修開催交流会の開催、農林漁業者等へのサポート活動

2 公益社団法人秋田県農業公社 - 支援体制整備事業 農林漁業者等へのサポート活動

3 鶴形そば製造加工株式会社 能代市 推進事業 そばもろみ開発、市場評価、販路開拓

4 お菓子工房スフレ 三種町 推進事業 洋菓子開発、市場評価、販路開拓

5 株式会社ベジタブルスタイル 大潟村 推進事業 業務用ネギ及びカットネギの販路開拓

6 株式会社秋田鳥海夢農場 にかほ市 推進事業 米新商品開発、トマト乾燥粉粒末商品開発、販路開拓

7 日南工業株式会社 にかほ市 整備事業 タラしょっつる製造施設整備、機械導入

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5 地域全体での6次産業化への取組促進

(1)地域における事業者への個別支援の強化

○地域サポートチームの設置(再掲)

・ニーズの掘り起こし

・6次産業化の構想策定から事業化まで総合的に支援

・農林漁業者等の個別相談活動、専門家(プランナー)の派遣

・認定事業者のフォローアップ

・6次産業化相談会(各地域振興局)の開催 など

(2)地域単位での異業種連携の促進及び6次産業化の啓発

(3)地域の事業者同士の連携促進(再掲)

(4)県内各地域におけるプロジェクトの推進(再掲)

・6次産業化セミナーの開催

県北:平成 26年 8月 7日開催、参加人数 46名、主な内容(講演、事例発表、制度説明)

中央:平成 26年 8月 27日開催、参加人数 34名、主な内容(講演、ワークショップ)

県南:平成 26年 12月 3日開催、参加人数 47名、主な内容(講演、事例発表、パネルディスカッション)

・異業種交流会の開催(再掲)

県北:平成 26年 12月 4日開催、参加人数 70名、主な内容(講演、事例発表、商品紹介)

中央:平成 27年 1月 27日開催、参加人数 38名、主な内容(講演、情報交換、マッチング)

県南:平成 26年 9月 2日開催、参加人数 82名、主な内容(制度説明、研修会、情報交換、展示)

◎主な成果

○農業者等の6次産業化に伴う新商品開発の促進と設備投資の負担軽減(H26年度は13事

業体で新たな部門にチャレンジ)。

○企業の農業参入・6次産業化の取組を促進するための調査の実施により、農業参入の際の課

題や必要な支援を把握し、参入時の経営リスク軽減のため、新たな支援制度を創設。

◎主な成果

○地域ブロック単位の異業種交流会開催等により、地域における異業種交流、プラットフォ

ーム構築の足がかりとなりつつある。

○(再掲)ブロック別セミナーの開催や、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画

作成の支援等により、認定件数が大幅に増加、東北で最下位から4位になったほか、6次

産業化に取り組む意欲のある農業者は増加傾向にある。

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6 加工原料等の安定供給に向けた供給力の強化

(1)地域農業を牽引する農協等が行う6次産業化の取組促進

(2)園芸メガ団地の育成等

・H24年度に、国事業の活用により農産物流通加工センターを建設(JAあきた北)

・H27年度は、JAあきた北では加工機能を強化、JAあきた湖東では新たに漬物加工に取り

組む

・H27年度から、競争力の高い産地を早急に育成するため、地域農業の推進母体であるJAが、

マーケットイン視点で取り組む新規品目導入や販売チャネルの拡大等を総合的に支援する制度

(JA販売力強化オリジナルプラン支援事業)を新たに創設

・本県の園芸振興をリードする大規模団地を整備し、園芸産出額の飛躍的向上を図るため、JA

や市町村等と協働で県内5地域にプロジェクトチームを設置し、園芸メガ団地整備計画の策定

を推進

・5地域で7地区の計画策定を進め、計画が整った3地区(山本、秋田、仙北)では、26年度か

ら整備事業に着手

<26年度着手地区>

山本地域(能代市轟地区) ねぎ 露地11.5ha

秋田地域(男鹿・潟上地区) 輪ギク・小ギク 施設15棟、露地2ha

仙北地域(大仙市中仙中央地区)トマト 施設104棟

<27年度着手予定地区>

秋田地域(秋田市雄和地区) ダリア等

由利地域(にかほ市中三地地区) キク類

由利地域(由利本荘市鳥海平根地区) リンドウ等

平鹿地域(横手市十文字地区) ほうれんそう等

◎主な成果

○他県に比べ販売額が少ない農協等の6次産業化について、事業化が始動(JAあきた北、

JAあきた湖東など)。

○JAによる大規模な6次産業化拠点施設の整備が計画

○園芸メガ団地の整備による、加工原料の安定供給等に向けた供給力の強化を開始。

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参考資料 2

企業の農業参入・6次産業化への取組状況等の調査結果について(概要)

1.調査の概要

(1)目的

県内企業の農業参入や6次産業化の取組への意向や課題、並びに、食品製造企業の加工受託の可能

性等を調査・解析し、必要な支援方策を検討する。

(2)調査時期

①アンケート調査:平成26年7~8月

②ヒアリング調査:平成26年7月~10月

(3)調査対象

①アンケート調査

(ア)対象事業者:「製造業(食品製造業含む)」、「建設業」、「卸・小売業」を主たる対象業種とし

た(アンケート配布事業者約800社以上)。

【業種別内訳】

製造業(食品製造業含む) 493社(うち食品製造業370社)

建設業 250社

卸・小売業 143社

※上記の他各地域の商工会、商工会議所の協力によりアンケートを配布・回収

(イ)回答事業者:261社

【業種別内訳】

製造業(食品製造業含む) 149社(うち食品製造業123社)

建設業 16社

卸・小売業 43社

宿泊・飲食業 13社

運輸 2社

情報関連 3社

農業 19社

その他 16社

②ヒアリング調査:既に農業に参入している企業及び今後参入意向がある企業 約20社

(4)調査内容

①農業参入や農産加工にかかる各企業の現状、参入の意向、課題、必要な支援

②県内食品製造事業者が県内農産物を原材料として使用するにあたっての課題

③県内食品製造企業の保有する機械設備、加工受託が可能な事項 など

(5)調査結果概要

①農業への参入の現状等

・異業種から農業に参入している企業・事業者は52事業者で、食品製造事業者の農業参入のほ

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か、電子デバイス等の製造業や建設業からの参入も多く見られる。

・農地を賃借しての農業参入が最も多く、今後規模拡大を計画する事業者も多い。

・農業に参入している企業のほとんどは、併せて加工にも取り組んでいる。

・17事業者が新たに農業に参入する意向があり、その業種としては食品製造業が多い。中でも、

日本酒を製造する事業者においては、原料の不足等により酒米の生産に参入する意向が強い。

②農業参入・加工の課題や必要な支援

(ア)農業生産について

・既に農業に参入している事業者については、設備投資、販路開拓、雇用の維持を課題と捉えて

おり、今後農業に参入したいと考えている事業者については、農業生産の技術や知識がないこ

と、設備投資、雇用維持、法的規制などを課題と捉えている。

・既に農業に参入している事業者については、設備投資への支援や雇用維持、販路開拓への支援

が必要とされており、今後農業に参入したいと考えている事業者については、設備投資への支

援のほか、技術力向上への支援や専門家の活用、規制緩和など、ソフト・ハード両面からの支

援が必要とされている。

(イ)農産加工について

・既に農業に参入している事業者については、設備投資、販路開拓やマーケットニーズへの対応

を課題と捉えており、今後農業に参入したいと考えている事業者については、加工の技術力や

知識の不足や設備投資のほか、食品衛生の知識など、多くの項目で課題があると捉えている。

・既に農業に参入している事業者については、設備投資と販路開拓、新商品開発、ブランド化へ

の支援などが必要とされており、今後農業に参入したいと考えている事業者については、設備

投資や販路拡大への支援のほか、マーケットニーズの把握、相談支援体制の強化、資金供給な

ど、多様な支援が求められている。

③その他

・多くの食品製造事業者が受託による加工を可能としており、加工受託による食品製造事業者と

の連携が6次産業化のさらなる推進につながる。

・県内の食品製造事業者における県産農産物の活用については、「必要な農産物の供給量が少ない」、

「コストが合わない」、「安定供給が難しい」ほか、「生産者や農産物の情報がない」など、多く

の課題がある。

(6)支援制度の構築

・調査結果に基づき、農業参入事業者や企業経営の専門家、中小企業支援機関などの意見を聴き

ながら、平成27年度から新たな支援制度を創設した。

6次産業化総合支援事業

次世代経営6次産業化チャレンジ事業(異業種参入タイプ)

○ソフト・ハードの両面で企業の農業参入を支援(支援のオーダーメイド化が可能)

○農業参入から6次産業化までの一貫したサポート

○補助率1/3以内、補助金の各年度の上限1,000万円

○最長2カ年度まで活用可能