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平成27年度在宅医療の勉強会 2016年3月17日 池田医院 池田 認知症物忘れ外来の現状 2014年4月開設

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平成27年度在宅医療の勉強会

2016年3月17日 池田医院 池田 隆

認知症物忘れ外来の現状 2014年4月開設

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本日の流れ

1) 認知症に向き合うために必要と思われる 基本的なこと。 2) 当院の物忘れ外来の検査・診察で 実際に行っている病型診断法などを 具体的に説明 3) 地域での社会的役割援助

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種々の原因疾患により生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、 日常生活・社会生活を営めない状態を指します。(6か月以上継続している状態)

認知症の主な原因疾患 〇 アルツハイマー型認知症 〇 血管性認知症 〇 レビー小体型認知症 〇 前頭側頭型認知症(ピック病など)

認知症とは?

認知症は病名ではありません

[認知症サポート医等のあり方および研修体系・教材に関する研究事業 改変]

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基本概念

認知症について大切な基本概念 ・加齢に伴う疾患 ➡ 治らない・悪くなるのみ ・中枢の機能障害 ➡ 高次機能・身体機能低下 ・誰でもなれます(明日は我が身・他人事ではない) ・認知症の人を介護する側が大変

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認知症高齢者は 増加の一途

介護保険制度を利用している 認知症高齢者(日常生活自立度Ⅱ)

日常生活自立度Ⅰ又は 要介護認定を受けていない人

MCIの人 (正常と認知症の 中間の人)

65歳以上高齢者人口 3,079万人

○全国の65歳以上の高齢者について、認知症有病率推定15%、認知症有病者数462万人と 推計(平成24年)。また、全国のMCI(正常でもない、認知症でもない)状態の有病率推定値13%、 MCI有病者数約400万人と推計(平成24年) ○介護保険制度を利用している認知症高齢者は約305万人(平成24年)

[都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応(H25.3報告)及び 『認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の高齢者数について』(H24 .8公表)を引用を一部改変]

約280 万人 認知症有病者数推計

462万人

約305万人

約157万人

約400万人

健常者

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物忘れ外来の予約方法

現在は病診連携を行っております。(1日2枠) 当院受診中で、内科・各科からも予約が取れます。(1日3枠) 病型診断の受診日までに、済ませておく必要な検査があります。 ・頭部CT ・MRI(VSRADを含む) ・血液検査 (上記検査は一日ではできないため、1回受診することが必要。) 当日は、認知症の症状の把握のため、同居している家人の同伴が必要です。 当日は、本人への記名力検査、家人への問診など、診察前に1時間くらいかけて行います。

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物忘れ外来の予約枠 物忘れ外来 火曜日の14時から17時 13:30-13:45 予診・検査予約 1名 13:45-14:00 予診・検査予約 1名 14:00-14:30 初診 1名 14:30-14:45 再診 1名 14:45-15:00 再診 1名 15:00-15:30 初診 1名 15:30-15:45 再診 1名 15:45-16:00 再診 1名 16:00-16:30 初診 1名 16:30-16:45 再診 1名 16:45-17:00 再診 1名

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MMS

検査 ☆

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認知症を呈する疾患

原因疾患 診断名

変性疾患 アルツハイマー型認知症、前頭側頭葉変性症、レビー小体型認知症、皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺 など

脳血管障害 血管性認知症、ビンス湾が―病、脳アミロイドアンギオパシー、

CADASIL など

感染症 脳炎、進行麻痺、エイズ脳症、プリオン病 など

腫瘍 脳腫瘍

中枢免疫疾患 神経ベーチェット、多発性硬化症 など

外傷 慢性硬膜下血腫、外傷性脳出血

髄液循環障害 正常圧水頭症

内分泌障害 甲状腺機能低下症

中毒、栄養障害 アルコールに関連するもの、ビタミン欠乏 など

[日本医師会インターネット生涯教育協力講座「認知症診療と新しい治療戦略」より] MEM-0345

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介護負担尺度

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認知症セット(採血・CT・MR)

【CT】

【MRI】

【血液】

撮影区分 頭部部位 頭部体位 指定しない方法 単純臨床診断 アルツハイマー型認知症の疑い検査目的 認知症鑑別診断移動形態 独歩読影 撮影コメント

放射線科(遠隔)

撮影区分 頭部部位 頭部体位 指定しない方法 単純撮影コメント VSRAD追加臨床診断 アルツハイマー型認知症の疑い検査目的 認知症鑑別診断

血清 ・AST ・ALT ・LD ・ALP ・γ -GT・CHE ・CK ・T-CHO ・T-BiL ・TP・ALB ・Na ・K ・Cl ・BUN ・CRE・TG ・LDL-C ・TSH・Fr-T3 ・Fr-T4

全血抹消血

・HbA1c・血小板数確認用

・梅毒(定性)2種・ビタミンB12

・血糖(NaF)・血算+像

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年齢 計男 女 男 女

~60 1 1 3 561~65 1 2 2 566~70 2 2 2 3 1171~75 6 5 6 18 3576~80 10 8 14 17 4981~85 11 22 15 15 6386~90 2 4 6 7 19

91~ 1 2 1 4

(90~) 0 1 3 3 795 90,91,92 90,90,91

H26.4~H27.3 H27.4~H28.2

当院物忘れ外来 年齢別 受診者数

71 ~ 85 で 147名 約78%

32 44 47 66 189

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認知症診断フローチャート

出典:認知症ハンドブック p102

認知症の初期診断 ~初期からDLBを念頭に~

1)AD診断は最終的に他のどの認知症疾患も該当しないと考えられるときに診断が可能であり除外診断を基本としている。一方、DLB診断は特定の症状の確認により診断を行い先行し診断を行うとされる。

2)DLBは初期ではもの忘れが必ずしも顕著ではなく、初期からDLBの多彩な症状を念頭においた問診を行うことが重要である。

監修:東北大学大学院 高次機能障害学分野 准教授 松田実先生

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主な認知症の種類

認知症

種類

アルツハイマー型 認知症

血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭葉型

認知症

特徴

脳の中に異常な蛋白が溜まり、脳の神経が徐々に減っていく進行性の病気

脳の血管の一部が詰まったり(脳梗塞)

破れたり(脳出血) すると、その血管が保っていた部分の脳神経が障害を受け認知機能等が低下する

脳の広い範囲にレビー小体という異常な蛋白がたまり、脳の 神経細胞が徐々に 減っていく進行性の病気

脳のなかの前頭葉と側頭葉の神経細胞が少しずつ壊れて いくことによりいろ いろな症状がでる

症状

最も目立つ症状は もの忘れ。一方、 古い過去の記憶は 比較的保たれる。 病気の進行に伴い もの忘れが徐々に ひどくなり、一部の方では意欲がなくなる、抑うつ的に なったりする

脳のどの部分が障害されたかによって 症状は異なるが、 手足の麻痺、構音障害、飲み込みの障害、感覚障害などの 神経症状を伴う

以下の3つが特徴 ①認知機能の変動 ②繰り返し出現する 幻視(実際に存在しな

いものが見える等)

③パーキンソン症状 (体や表情が硬くなる等)

ルールを守ったり、 他人に配慮したり する事ができなくなり、周りの状況にかかわらず自分が思ったとおり行動してしまう

[著者:数井 裕光他 認知症 知って安心!症状別対応ガイドより改変]

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各種認知症疾患の診断で 重視すべき検査項目

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アルツハイマー型認知症の経過

[長寿科学振興財団 健康長寿ネットより一部改変]

知的機能障害

経過

軽度

高度

30

20

10

0

MMSE※

の点数

1年 3年 5年 7年 10年

第2期(中期)

第3期(末期)

精神症状および問題行動が顕在化 妄想、幻覚、徘徊、失行、失認

人格変化 無言・無動 失外套症候群

記憶・記銘力障害 失見当識(時間)

第1期(初期)

(発症前期)

不安 抑うつ もの忘れ (軽度認知症)

アルツハイマー型認知症の症状は初期は記憶障害等に留まるが、年次を経て、精神症状や、人格の変化が現れる

※認知症の進行度を示す指標

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軽度認知障害(MCI)

アルツハイマー病などの認知症とはいえないが、知的に正常ともいえない状態を指し、アルツハイマー型認知症の前駆状態と捉えられている。

2003年に提唱された診断基準では、1)本人や家族から認知機能低下の訴えがある、2)認知機能は正常ではないが認知症の診断基準を満たさない、3)複雑な日常生活活動に障害はあるが、基本的な日常生活機能は正常、の3点が示され、さらに、記憶とその他の認知機能(言語、遂行機能、視空間機能)の障害の有無により4つのサブタイプに分かれる。

19の縦断研究を用いたメタアナリシスの結果、MCIから認知症への進展率(平均値)は年間10%と報告されている。

MCIに代表される認知症の前駆状態ともいえる病態の診断では、一定のメモリースケールを用いて、同年代の平均値よりも一定の低下を示すことが、診断基準に含まれている

(ただし、用いるメモリースケールによって集団の定義は異なるため、日本ではコンセンサスが

得られていない)

[認知症テキストブック:日本認知症学会] MEM-0355

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血管性認知症(VaD)

[堀内 園子:認知症看護入門. ライフサポート社, 2008, p.42より一部改変]

血管性認知症の経過

VaDは、脳血管障害cerebrovascular disease(CVD)に関連 して出現した認知症を総称したものである。

[認知症疾患治療ガイドライン2010改変]

時間経過

認知機能

高 脳出血・脳梗塞の再発作

脳出血・脳梗塞の再発作

脳出血・脳梗塞の再発作

MEM-0350

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認知障害:認知機能低下は、記憶障害に始まり、アルツハイマー型認知症と比較して、記憶障害の程度は軽く、記銘力低下より記憶の再生障害が目立つ。進行するとアルツハイマー型認知症と区別が困難な記憶障害や失見当識、健忘失語を呈する。

認知機能の変動:認知機能の変動が大きく、日内変動あるいは数週間から数カ月に及ぶ変動がみられることがある。

幻視:反復して現れる幻視が特徴。人物や小動物、虫が多く、しばしば妄想性誤認が認められる。

パーキンソニズム:主に対称性の筋固縮や寡動がみられ、動作時振戦やミオクローヌがときどき認められる。進行すると姿勢反射障害や歩行障害が出現し、注意障害とあいまって転倒事故などの危険性が増す。

レム睡眠行動障害:レム睡眠時の異常行動

抗精神病薬に対する過敏性:抗精神病薬に対する過敏性がみられる。

自律神経障害:自律神経の障害も特徴で、便秘や神経因性膀胱、起立性低血圧など血圧の調節障害がみられる。

レビー小体型認知症

[認知症テキストブック:日本認知症学会] MEM-0352

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実際には見えないものが本人にはありありと見える症状です。見えるものの

多くは小動物や人で「ねずみが壁を這い回っている」「知らない人が部屋に

座っている」などと、具体的です。また、人形を女の子と見間違ったり、丸めて

ある洋服を動物と見間違うなどの「錯視」もよくみられます。 さく し

眠っている間に大声で叫んだり、怒鳴ったり、奇声をあげたり、暴れたり

することがあります。レム睡眠中に起こしやすいことから、レム睡眠行動

障害といいます。 ※レム睡眠は、身体は寝ているが脳は活動している状態なので、夢を見ていることが多くあります。

レビー小体型認知症

主な症状

注意力がなくなる、ものがゆがんで見えるなどの症状が現れます。 レビー小体型認知症では、最初は記憶障害が目立たない場合もあります。

認知機能障害

時間帯や日によって、頭がはっきりしていて物事をよく理解したり判断したりできる状態と、ボーとして極端に理解する力や判断する力が低下している状態が入れ替わり起こります。

認知機能の変動

BPSD(行動・心理症状) げん し

幻視

睡眠時の異常言動

監修: 横浜市立大学 名誉教授 小阪憲司 , 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 水上勝義

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レビー小体型認知症

主な症状

BPSD(行動・心理症状)

気分が沈み、悲しくなり、意欲が低下する症状です。抑うつ症状は、レビー小体型

認知症の人の約5割にみられるともいわれます。

抑うつ症状

身体面の症状

動作が遅くなったり、無表情、筋肉のこわばり、

前かがみで小刻みで歩く、倒れやすいなどの

症状が現れます。

パーキンソン症状

血圧や体温、内臓の働きを調整する自律神経がうまく働かず、

身体的にさまざまな不調をきたします。立ちくらみ、便秘、異常な

発汗・寝汗、頻尿、だるさなどがあります。場合によっては、めまい

を起こして倒れたり、気を失う危険もあります。

自律神経症状

監修: 横浜市立大学 名誉教授 小阪憲司 , 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 水上勝義

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Pick病(Pick球を伴う)やユビキノン陽性封入体を伴う前頭側頭葉変性症

(FTLD-U)などを主な原因疾患とする認知症。

大脳前半部に萎縮を示すFTD、意味(語義)性認知症(SD)および進行性

非流暢性失語(PA)の3つの疾患をあわせたカテゴリーを前頭側頭葉変性

症(FTLD)と呼ぶ。FTDとFLDは同義に用いられる場合がある。

アルツハイマー型認知症と異なり脳後方部が保たれるため、ある程度進行

するまでは基本的日常生活動作(ADL)に問題は生じないが、脳後方部、

辺縁系、基底核系への抑制がはずれ、これらの機能のもつ本来の行動パ

ターンがあらわとなり、前頭葉の機能そのものに由来する異常行動と併せ

て出現する。

アルツハイマー型認知症と比べ初発症状は非常に多彩であるが、特に「自

発性の低下」と「常同行動」が最も高頻度であることがShinagawaらにより

報告されている。

前頭側頭型認知症(FTD)

[認知症テキストブック:日本認知症学会] MEM-0353

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男 女 男 女

正常・年齢相応 7 9 12 17

MCI MMSE24点以上 11 14 4 16

AD        20~23 5 8 13 12

          15~19 1 2 7 7

14点以下 2 1 3 3

脳血管性 2 1 2 2

レビー小体型 0 3 3 4

前頭側頭型 0 0 0 0

精神疾患(せん妄、うつ等) 2 3 3 4

脳血管障害(急性期) 0 1 0 0

慢性硬膜下血腫 1 1 0 0

正常水頭症 0 0 0 0

Vit、B12欠乏症 1 0 0 0

ヘルペス脳炎後遺症 0 0 0 1

全身性疾患(急性増悪) 0 1 0 0

計 32 44 47 66

H26.4~H27.3 H24,4~H28.2

当院もの忘れ外来 病型別 症例数

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認知症の原因疾患の割合

[長谷川和夫:認知症の知りたいことガイドブック 2006;p.33, 中央法規より改変]

当院での 認知症と診断された 病型別割合 AD 86.5% VaD 5.5% LBD 8.0% FTD 0

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抗認知症薬の特徴

認知症薬として日本で保険適応が認められている薬剤は、 コリンエステラーゼ阻害薬3剤とNMDA受容体拮抗薬1剤である

薬剤名 ドネペジル ガランタミン リバスチグミン メマンチン

作用

機序

アセチルコリン

エステラーゼ阻害

アセチルコリン

エステラーゼ阻害

および

ニコチン受容体

増強作用

アセチルコリン

エステラーゼ阻害

および

ブチリルコリン

エステラーゼ阻害

NMDA受容体

拮抗作用

アルツ

ハイマー病の適応

軽度~高度 軽度および中等度 軽度および中等度 中等度~高度

剤形 錠剤、口腔内崩壊

錠 細粒剤、ゼリー剤

錠剤、口腔内崩壊錠 経口液剤 パッチ剤 錠剤

投与回数 1日1回 1日2回 1日1回 1日1回

[著者:数井 裕光他 認知症 知って安心!症状別対応ガイド]

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実際の抗認知症薬の処方

・1日1回服用 増量手順が簡便なドネペジルから試みる 3mgから5mgへ 原則5mgで維持 ・副作用などが出れば メマンチンを選択 ・副作用がなくてもドネペジルで認知症の進行または 精神症状があればメマンチン追加を考慮する ・服薬の自己管理ができているかのチェックは重要

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現在の外来再診状況

約90%が通院しやすいところに戻っている 認知症の重症度は軽い方がほとんど 薬剤の調整が比較的早期に安定する 問題行動 BPSD で困っているかたは いまいせ診療センターへ受診する

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診断

認知症の診断

認知症は、「症状の現れ方」と「脳の状態」を調べ、 総合的 に診断します。

症状の現れ方

脳の状態

問診 病気の原因や進み具合を見極め、ほかの病気とふるい分けるために、本人だけで なく家族など身近な人にも行います。

記憶や認知機能を調べる検査 MMSEや改訂長谷川式簡易知能評価 スケール(HDS-R)、など

脳の萎縮や出血を調べる画像検査 CT(コンピューター断層撮影)やMRI (磁気共鳴画像)、など

MRI VSRAD 脳萎縮の数値化での評価 参考になる

診断

いしゅく

[監修:日本医科大学武蔵小杉病院 内科 教授 北村 伸]

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現在しようしている有用な画像診断

1) MRIのVSRAD advance2 ( 早期AD診断支援システム) 2) MIBG心筋シンチグラフィー 3) DATスキャン 4) 脳血流シンチグラフィー SPECT

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VSRAD ブイエスラド

MRIによる萎縮の診断を短時間で簡便かつ正確に行うために開発されたフリーのソフトウェア voxel – based specific regional analysis system for Alzheimer’s disease T1強調画像 解剖学的標準化➡平滑化 健常者の標準脳のデータベースからの標準偏差の離れ度合いを画像上に表す 定量的評価のための関心領域(萎縮をみたいところ)を設定して、萎縮度、萎縮領域の割合など評価

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31 31

31 31

内側側頭部

VSRAD advance 2 追加指標で使用する関心領域について

背側脳幹

早期AD診断支援の参考にする関心領域です。内側側頭部(海馬・扁桃・嗅内野の大部分)に設定されています。 ※VSRAD advance の関心領域から変更ありません

ADとDLBの鑑別支援の参考とするために追加した関心領域です。 背側脳幹に設定されています。

パンフレット p.10,11

P-ART1599AKE#23

voxel-based specific regional analysis system for Alzheimer’s disease

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VSRAD advance 2 の関心領域(拡大図)

内側側頭部(海馬・扁桃・嗅内野の大部分) ※VSRAD advance の関心領域

advance の関心領域

扁桃

脳幹

海馬

海馬傍回 (嗅内野)

パンフレット p.10

P-ART1599AKE#24

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VSRAD advance 2 の関心領域(拡大図)

背側脳幹 ※advance 2 で新たに追加した関心領域

腹側 背側

中脳

橋 脳幹 advance 2 の

関心領域

パンフレット p.11

P-ART1599AKE#25

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VSRAD advance 2 関心領域の設定方法

advance の関心領域

内側側頭部(海馬・扁桃・嗅内野の大部分) 背側脳幹(中脳背側部・橋背側部)

advance 2 で追加された関心領域

【解析対象】 A D 群:国立精神・神経センター武蔵病院(現国立精神・神経医療研究センター病院)「もの忘れ外来」を受診し、2~6年間の経過観察にて、NINCDS-ADRDAで臨床的にprobable ADと診断された男性32名、女性29名、年齢48歳~87歳(70.6±8.4)、初診時のMMSEスコア26.0±1.6。 健常群:男性40名、女性40名、年齢54歳~86歳(70.2±7.3)、MMSE:正常(28.7±1.5)、HDS-R:正常、WechslerMemory Scale-Revised(WMS-R):正常、Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised(WAIS-R):正常、年齢相応の白質の高信号がT2強調像でみられるのみ、糖尿病などの脳血管障害の危険因子がない。

健常群80例、AD群61例について、SPMを用いたグループ解析を行い、ADで有意(T=7.0)に萎縮している部位を求めました。 その結果、この部位は海馬・扁桃・嗅内野の大部分を含む領域に位置することがわかりました。

DLB群30例について、解剖学的アトラスの中脳(midbrain)および橋(pons)において、DLB群で特異的に白質萎縮がみられた部位(全脳白質萎縮割合と有意な負の相関がある部位)を求めました。その結果、この部位は脳幹の背側部に位置することがわかりました。

【解析対象】 DLB群:DLB臨床診断基準改訂版(2005)でpossible または probable DLB と診断された男性32名、女性28名、年齢77.3±5.8、MMSE 20.8±4.1 のうち無作為に選択された30例。 (T2強調像にて無症候性脳梗塞がみられない。)

Nakatsuka T, et al. Neuroradiology 2013;55:559-566.

パンフレット p.10,11

P-ART1599AKE#26

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VSRAD advance 2 (1)[灰白質]内側側頭部のVOI内萎縮度について

VOI間萎縮比解析結果画面の「(1)[灰白質]内側側頭部VOI内萎縮度」は、 Zスコア解析結果画面の「(1)VOI内萎縮度」と同じものです。

パンフレット p.13

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VSRAD advance 2 解析結果レポート(見本)

VSRAD advance のレポート(見本) VSRAD advance 2 追加指標のレポート(見本)

※レポートの画像上で、Zスコア=2を閾値とし、Zスコア2以上のボクセルがカラー表示されます。

※レポートの画像上で、 Zスコア=1を閾値とし、 Zスコア1以上のボクセルがカラー表示されます。

パンフレット p.14,15

P-ART1599AKE#31

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VSRAD advance 2 ご使用方法

「(1)VOI内萎縮度」の値を確認

2未満 2以上

追加指標:VOI間萎縮比解析結果の 使用は推奨しない。

「VOI間萎縮比(a2)、(b2)」 の値を確認

両指標または一方の指標が 0.2未満

両指標が 0.2以上

内側側頭部の萎縮と比較して、 背側脳幹の萎縮が目立つ

MIBG、ダットスキャン®静注などの精密検査を実施

内側側頭部の萎縮と比較して、 背側脳幹の萎縮が目立たない

認知症、とくにADを疑う場合、VSRAD advance 2 の解析を行う。

パンフレット p.16

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レビー小体型認知症の精密検査

MIBG心筋シンチグラフィー: meta-iodobenzylguanidine;MIBG 心臓の交感神経終末の集積が特異的 α- シヌクレインの蓄積する疾患で集積低下 パーキンソン病 レビー小体型認知症 DATスキャン(シンチグラフィー): dopamine transporter 黒質線条体ドパミン神経の終末に高発現

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MIBG心筋シンチグラフィ

・MIBGは生体内でノルエピネフリンと同様の働きをする物質であり、交感神経終末に取り込ま

れ、貯蔵放出される。

・自律神経障害(糖尿病性ニューロパチーなど)では、MIBGの取り込みの低下がみられる。

・Parkinson病では、発症早期から(自律神経障害を認めていなくても)MIBGの取り込み低下

が高率にみられることが知られている。

・一方、健常人やParkinson症候群ではMIBGの取り込みの低下は殆んどみられない。

・このため、MIBG心筋シンチグラフィは、Parkinson病の補助診断として、またParkinson症

候群との鑑別のための検査として有用である。

MIBG心筋シンチグラフィ 正常

Pa

rkin

so

n

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DATイメージングの役割

SDD(黒質線条体ドパミン神経の脱落:Striatal Dopaminergic Deficit)の有無を確認する

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脳血流シンチグラフィー SPECT

脳血流SPECTでは、両側の後部帯状回に加えて、両側後頭葉の有意な血流低下を認めた。これは、DLBの支持的特徴に矛盾しない。

右外側 左外側 右内側 左内側

レビー小体型認知症 80代前半 女性 症例

SEPCT所見

パンフレット p.18

P-ART1599AKE#36

single photon emission computed tomography ガンマ線測定脳血流量を反映

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治療の意義

アルツハイマー型認知症では認知機能が徐々に低下していきますが 治療を行うことによってその進行を遅くすることができます。

認知機能の変化

治療した場合

時間の経過(年)

悪化

認知症の症状の進行

アルツハイマー 型認知症の 自然経過

[監修:日本医科大学武蔵小杉病院 内科 教授 北村 伸]

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認知症治療の選択肢

[認知症疾患治療ガイドライン 2010より改変]

薬物療法 リハビリテーション ケア

治療 の 目的

認知機能改善や 行動・心理症状

の低減

認知機能や 生活能力、 QOLの向上

生活障害を改善し、認知症者が その人らしく暮らせるように支援

する

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江南厚生病院での物忘れ外来の現状

☆ 運用の流れ ☆

主治医の診察

診察後:外来看護師が患者家族に案内

もの忘れ外来

診察後:外来看護師が患者家族に案内

「認知症が疑われる」「認知症の診断・サポートが必要」と判断 ●CT撮影、採血(もの忘れ外来用にセット化) *採血:セットカルテ展開→共通→「認知症セット」 CT、MRI読影は外部依頼

●「もの忘れ外来」の案内票を渡す(NSが予約を取る) ・MRI検査日 ・予約当日の案内:予約時間の1時間前に来院する ・家族がいれば「相談ノート」を渡し、当日までに記入

1時間前:外来看護師により以下を実施

●患者:「問診」「心理テスト(MMSなど)」 ※診察前の問診は本人と家族と別々で行う。 ●家族:「相談ノート」の内容確認 徘徊する人は処置室などで待機してもらう *介護問題などの支援が必要な場合は、医療福祉相談室へ連絡、医療福祉相談室は、介護支援について 相談し、地域の支援機関と連携し、記録に残す。

診察:鑑別診断 ●診察後のフォローについて患者と家族と相談 ・「主治医」へもどす ・「もの忘れ外来」にて次回もみる ・「専門医」へ紹介をする

●次回の「案内票」を渡す ・家族には「相談ノート」の継続を説明する。 ・必要時には医療福祉相談室(相談窓口)の案内をする。

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江南厚生病院 物忘れ外来 今後の課題

☆ 今後の取り組み課題 ☆

認知症療養計画書を今後作成していく予定。 ※いまいせ心療センターでは現在稼働中。 患者・家族の理解を深める

いまいせ診療センターを中心とした認知症地域ケアネットの構築・情報の共有化 かかりつけ医(開業医)・サポートチームが安心して認知症の診療・支援ができるように体制を整える

定期的なフォローアップの体制はどうするか?必要か?

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認知症疾患医療センター

保健医療・介護機関等と連携を図りながら、認知症疾患に関する鑑別診断、周辺症状と身体合併症に対する急性期治療、専門医療相談等を実施するとともに、地域保健医療・介護関係者への研修等を行うことにより、地域における認知症疾患の保健医療水準の向上を図ることを目的として、都道府県や指定都市が設置・運営する施設。 [厚生労働省『認知症疾患医療センター運営事業実施要綱』]

「かかりつけ医認知症対応力向上研修」修了医師

認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人や家族を支援することができる医師の養成を目的として、認知症サポート医が都道府県医師会等と連携し、地域のかかりつけ医を対象に実施する研修を修了した医師。 早期段階での発見・気づき、日常的な身体疾患対応および健康管理、家族の介護負担や不安への理解、専門医療機関への受診誘導のほか、地域の認知症介護サービス諸機関との連携などの役割が期待される。 [厚生労働省ホームページ]

認知症サポート医 (推進医師)

かかりつけ医への研修・助言をはじめ、地域の認知症に係る地域医療体制の中核的な役割を担う医師。都道府県・指定都市医師会を単位とした、かかりつけ医を対象とした認知症対応力の向上を図るための研修の企画立案を行うとともに、かかりつけ医の認知症診断等に関する相談役・アドバイザーとなるほか、他の認知症サポート医(推進医師)との連携体制を構築し、各地域医師会と地域包括支援センターとの連携づくりに協力するなど、地域における 「連携」の推進役としての役割が期待される。 [厚生労働省ホームページ]

精神保健福祉センター

精神保健および精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、調査研究、相談および指導を行うとともに、障害者自立支援法の支給認定などに関する事務のうち専門的な知識と技術を必要とするものを行う施設。 こころの健康の保持と向上を目的として、精神保健福祉相談を受けるとともに、こころの病を持つ方の自立と社会復帰を目指して、社会に適応していく力をつけるために指導と援助などを行う。指定都市を含む都道府県における精神保健および精神障害者の福祉に関する総合的技術センターとして、地域精神保健福祉活動推進の中核となる機能を備える。 [全国精神保健福祉センター長会ホームページ 東京都福祉保健局公式サイト]

認知症についての相談窓口①

相談機関とその特徴

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地域包括支援センター

地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域住民の保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援することを目的として、市町村が設置する機関。介護予防ケアマネジメントや総合相談・支援などの包括的支援事業等を地域において一体的に実施するために中核的な役割を担う。 [厚生労働省『地域包括支援センターの手引き』]

在宅介護支援センター

老人福祉法で規定された老人介護支援センター。高齢者とその家族、および地域住民の介護、生活支援、介護予防などに関する各種の相談・調整活動を通じ、高齢者などの自立と生活の質の向上を図ることを目的として設置された機関。都道府県・政令指定都市単位で組織される。 [全国地域包括・在宅介護支援センター協議会ホームページ]

高齢者総合相談センター (シルバー110番)

高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるように、社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーなどの資格を持つ職員がそれぞれの専門性を活かして生活の中での様々な相談に総合的に応じる。介護保険やその他の保健・福祉のサービスの紹介と利用手続きの援助のほか、高齢者を介護している家族への支援なども行う。 [新宿区高齢者総合相談センターホームページ]

認知症の人と家族の会

1980年結成。認知症の人を介護している家族のほか、医師、施設関係者等の専門職も含め、認知症に関心のある人など、約1万人の会員が「認知症があっても安心して暮らせる社会」を目指し、電話相談や各地のつどい、全国研究集会、会報の発行などの活動を行っている。全国46都道府県に支部がある。 [公益社団法人 認知症の人と家族の会ホームページ]

認知症についての相談窓口②

相談機関とその特徴(つづき)

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① 「認知症サポ―ター制度」 1時間ほどの講習で基礎知識を学ぶ 地域社会の住民の気づきで支える

② 「初期集中支援チーム制度」 各市町村に1か所設立 チームの方から困っている患者・家族の早期発見 初期支援をアプローチする 患者さんの治療・介護方針の橋渡しをする

国が進めている社会的制度