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平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (観光需要平準化に関する調査) 報告書 平成 29 3 株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ

平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 ... · 2020-04-23 · 年度に株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツが経済産業省

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平成28年度

我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

(観光需要平準化に関する調査)

報告書

平成 29 年 3 月

株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ

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この報告書は、平成 28 年度に株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツが経済産業省 商務情

報政策局 生活文化創造産業課から受託して実施した「平成28年度我が国におけるデータ駆動

型社会に係る基盤整備(観光需要平準化に関する調査)」の成果です。

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i

目 次

第1章 業務の概要 ...................................................................................................................... 1

1-1 業務の目的 ...................................................................................................................... 1 1-2 業務の内容 ...................................................................................................................... 1 1-3 本調査における有給休暇の定義と位置づけ .................................................................... 4 1-4 統計からみる休暇の状況 ................................................................................................. 5 1-5 先行調査 .......................................................................................................................... 8 1-6 実施スケジュール及び業務実施体制 ............................................................................... 9

第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組 ...................................................................... 11 2-1 業務の内容 ..................................................................................................................... 11 2-2 調査結果 企業等郵送アンケート調査 ......................................................................... 12 2-3 調査結果 従業員等ネットアンケート調査 .................................................................. 28 2-4 調査結果 企業等ヒアリング調査 ................................................................................. 47 2-5 本章の分析、考察 .......................................................................................................... 65

第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果 .................................................................. 68 3-1 調査の目的 .................................................................................................................... 68 3-2 調査の概要 .................................................................................................................... 68 3-3 調査結果 有給休暇の増加によって創出される国内宿泊旅行需要 ............................... 69 3-4 調査結果 国内宿泊旅行需要と宿泊業の運営・経営への影響 ...................................... 74 3-5 本章の分析、考察 .......................................................................................................... 91

第4章 交通機関の取組状況 ...................................................................................................... 93 4-1 業務の手順 .................................................................................................................... 93 4-2 高速道路会社の取組 ...................................................................................................... 93 4-3 鉄道会社の取組 ............................................................................................................. 95 4-4 航空会社の取組 ............................................................................................................. 97 4-5 本章の分析、考察 ........................................................................................................ 100

第5章 海外の観光需要平準化に関する事例 ........................................................................... 104 5-1 調査の目的 .................................................................................................................. 104 5-2 調査の概要 .................................................................................................................. 104 5-3 事例の概要(一覧) .................................................................................................... 106 5-4 事例詳細 ...................................................................................................................... 107 5-5 本章の分析、考察 ......................................................................................................... 143

第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察 ............................................................ 149 6-1 本調査からの知見 ........................................................................................................ 149 6-2 有給休暇取得促進と観光需要平準化の取組の関係 ...................................................... 150 6-3 企業等で有給休暇取得を促進する方策の考察 ............................................................. 152 6-4 観光需要を受け入れる供給者側(宿泊業、交通機関等)の対応に関する考察 ........... 155

第7章 参考資料 ..................................................................................................................... 159

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第1章 業務の概要

1

第1章 業務の概要

1-1 業務の目的

観光サービス産業は、宿泊業・飲食業・小売業をはじめとして、裾野の広い総合産業であり、地域への

波及効果の高い重要な基幹産業である。 平成 28 年 3 月に策定した『明日の日本を支える観光ビジョン』においても、2020 年訪日外国人 4,000

万人、2030 年同 6,000 万人という政府目標を掲げ、地方部を中心に、観光サービス産業を成長させるた

めの取組が不可欠である。 観光サービス産業の成長・規模拡大のためには、収益性を向上させ、国内外から民間投資を呼び込

むことが必要であるが、季節性や休暇制度の影響により、観光サービス産業への消費需要(以下「観光

需要」という)が一部の時期に偏在しており、その生産性を低下させていると指摘されている。 このような中、平日の家族旅行等を増加させ、観光需要の平準化を図るため、学校休業日の柔軟化と

併せて、経済界及び国家公務員の有給休暇の取得増を図る政府方針を決定したところである。 また、休暇の取得促進・分散化を進める政府方針を踏まえ、経済界からは、政府の学校休業日の柔軟

な設定等の取組と併せ、有給休暇の取得を年 3 日増加させる方針が表明された。 これまで、観光産業界では、観光需要の平準化に向けて様々な議論が行われてきたが、具体的な対

策としての実現化がなされていない。この現状を踏まえ、政府としては、季節性や休暇制度による需要の

変動に応じた、交通・宿泊料金の柔軟な価格設定等の対策が必要になると考えられる。 以上を踏まえ、本事業では、観光需要の平準化に向けた政策立案及び各地域の取組の参考資料とす

るための調査を実施する。 1-2 業務の内容

(1)調査のロジック

本業務の目的である、企業等の休暇に対する取組によって観光需要の平準化を目指すにあたっては、

複数の関係者が存在する。これらの関係者の観光需要平準化との関連性を示す。 ① 観光需要の偏在と企業等の休暇の状況

全体の課題である観光需要の平準化が図られない理由として、休暇が同じ時期に集中することが挙げ

られる。この要因のひとつとして、企業及び行政機関においては、土曜、日曜を週休としている従業員・

職員が多く、休暇のパターンが類似していることがある。また、有給休暇は、週休以外の時季にいつでも

取得できるため、観光需要平準化につながりやすいと期待されるものの、民間企業における平均有給休

暇取得率は、50%に達していない。 そこで、本業務においては、有給休暇取得の先進的な取組を実施している企業及び行政機関を対象

とし、有効な取組の内容について調査する。また、有給休暇取得促進の必要性を広く理解してもらう一助

とするために、企業等における業績等に与える影響を確認する。 ② 有給休暇取得の増加による観光需要の増加と宿泊業への経済効果

民間企業及び行政機関による有給休暇取得増加の取組により、国内宿泊旅行に行く人が増加した場

合、この新しく創出された需要こそが、観光需要平準化につながるものであると想定される。この新たな観

光需要の増加を算出し、それが宿泊業へ与える経済効果について調査する。

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第1章 業務の概要

2

③ 交通機関における観光需要創出

有給休暇の取得増加により休暇が増加したとしても、国内旅行の費用が高価であれば、休暇が旅行以

外に消費され、観光需要が創出されにくいと想定される。そのため、国内旅行の需要を喚起するために、

交通機関等による柔軟な価格設定の可能性について調査する。

④ 海外における観光需要平準化に関する事例

我が国では観光需要の平準化が図られていないことが問題になっているが、海外における状況を確認

し、観光需要平準化に関して我が国で参考に資する事例について調査する。

以上の、本業務の目的に対応する課題及びその対策の関係者について、次の図表にまとめた。

図表 1-2-1 業務の目的に関する関係者とその役割

(2)調査の内容

前節で言及したように、本業務では観光需要平準化を図るための関係者が複数あるため、そのそれぞ

れに対し個別に調査を行い、その結果をまとめて、考察を行うものとする。 まず、有給休暇取得を増加させる取組については、企業・行政機関及びその従業員・職員を対象に、

有効な取組の内容を調査し、結果を分析・考察する。(本報告書では、第 2 章で記述する。) そして、有給休暇取得促進の取組の結果、有給休暇が 3 日増加した場合に、国内宿泊業への経済効

果として、創出される新たな観光需要量を算出する。また、その新たな需要が宿泊業に与える経済効果

等について調査し、分析・考察する。(第 3 章)

ただし、日本では有給休暇の取得率が低いため、企業等では、取組を行うにあたって、何らかの対応が必要である

企業等にて有給休暇を取得を促進することで、観光地、宿泊施設への需要を分散させる

同じ時期に観光地、宿泊施設の需要が集中する

休日の取得パターンが類似する

観光地、宿泊施設では、 繁忙期に需要を取りこぼす 閑散期の稼働率が低く、固定費を賄えない

需要集中によるデメリット

旅行者は、 旅行先が混雑しており、十分に休息がとれない

宿泊費等が高く、費用が足かせとなり旅行しにくい

年末年始、お盆に休暇を取る従業員等が多い

有給休暇であれば、従来の繁忙期とは違う時期の休暇取得につながる

現状

対策

企業等で、有給休暇取得促進の取組として有効な手法を検討する

有給休暇の取得が多い企業等、従業員・職員の方が、業務の効率性が高いことを示し、企業等の取組への動機づ

けとする

有給休暇の取得増加によって、宿泊業における経済効果を算出する

調査の内容

宿泊業における、観光需要の平準化の重要性を確認し、対策を講じる

交通機関等での、平日や閑散期に柔軟な料金設定に関する取組について情報収集する

交通機関等で、平日や閑散期に柔軟な料金設定を行うことで、新たな需要を喚起する

海外の文献調査を行い、参考にできる事例を調査する

海外で、需要を分散するための地域の取組で、参考にできるものを取り入れる

企業・行政機関 宿泊業 交通機関 海外事例

土日休みの従業員等が多い

有給休暇の取得率が低い

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第1章 業務の概要

3

次に、交通機関においては、既に閑散期や平日に実施している割引などの柔軟な価格設定の状況を

確認し、観光需要の平準化につながる要因等について調査する。(第 4 章) その上で、海外での観光需要の平準化の取組で、我が国での参考になるものを調査する。(第 5 章) これらの調査内容について、以下のように関係性を図示した。

図表 1-2-2 調査対象者とその関係性

(3)調査の手法

本調査では、前節で挙げた内容を調査するために、その目的及び日程等の制約条件を鑑み、以下の

6 つの調査で実施する。6 つの調査とその手法等を次の図表にまとめた。

図表 1-2-3 調査の種類と手法

番号 調査目的 調査対象 調査手法 調査対象数 調査内容

1 企業等による有給休暇取得の増加の取組

有給休暇取得の先進的な取組の企業・行政機関

郵送アンケート調査

民間企業、行政機関等の合計でサンプル数 100 を目標に回収

取得が多い企業等の方が、業績等が良いことの検証及びその取組内容

2 有給休暇取得の先進的な取組の企業・行政機関

ヒアリング調査

民間企業、行政機関等の合計で 10 社・機関程度

有給休暇の取得促進に関する定性的、具体的な知見の発見

3 企業・行政機関の従業員・職員

ネットアンケート調査

合計で 1,000サンプル

取得が多い従業員等の方が、業務効率性が良いことの検証及び仕事、休暇の行動、考え方

有給休暇が増加した場合の宿泊業における雇用増加等の経済効果

有給休暇が 3 日増加した場合の、国内宿泊旅行の需要創出の算出

4 宿泊業の企業 郵送アンケート調査

サ ン プ ル 数100 を目標に回収

新しく創出された需要が宿泊業に与える影響、経済効果等

企業等による有給休暇取得の増加の取組

国内宿泊旅行に使う=

国内宿泊旅行の需要創出

宿泊業における需要増による

影響、雇用増加等の経済効果

交通機関等による需要喚起

海外での観光需要平準化の取組事例

どのようにすれば有給休暇の取得が増加するのか

有給休暇の増加によってどの程度、地域に経済効果が創出されるのか

海外で、有給休暇取得や観光需要創出、平準化の参考になる取組はどのようなものがあるのか

第3章第2章

第4章

第5章

有給休暇取得増加

国内宿泊旅行に使わない

有給休暇の使い道

交通機関等のどのような取組が、観光需要の平準化につながるのか

我が国の状況

海外の

状況

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第1章 業務の概要

4

5 交通機関等による需要喚起

交通機関の企業

ヒアリング調査

3 社程度 交通機関の閑散期、平日に実施している割引等、需要創出につながる施策の内容、状況

6 海外での観光需要平準化の取組事例

観光需要の分散化に向けた海外事例

文献調査 10 事例程度 海外における有給休暇取得、観光需要平準化に関する参考になる取組

なお、図表中 3 番の民間企業・行政機関の従業員・職員対象のネットアンケート調査は、1 つの調査の

中で、有給休暇取得の増加の取組に関する内容と、国内宿泊旅行の需要創出の算出の根拠に関する

内容の 2 つを兼ねた調査となり、それぞれの内容の質問を設ける。

1-3 本調査における有給休暇の定義と位置づけ

(1)本調査における有給休暇の定義

企業、行政機関がその従業員、職員に対して付与する休暇には、複数の種類がある。その主なものを

次の図表にまとめた。 この中で、本調査で主題とする有給休暇は、労働基準法第 39 条で規定される年次有給休暇を指し、

特に断りがない場合には、特別休暇のうち、有給によるものは含まない。本報告書では、この年次有給休

暇を、有給休暇と称する。

図表 1-3-1 主な休暇の種類の概説(民間企業を中心とした内容)

名称 説明 休暇を取得さ

せる必要

1 週休 労働基準法第 35 条で規定される休暇である。毎週 1 日以上、あるいは 4 週で4 日以上付与する必要がある。

必須

2 年次有給休暇 (年休、有休とも呼ぶ)

労働基準法第 39 条で規定される。心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇である。

休暇を取得した場合でも、給与は支払われる。 雇い入れから 6 か月を経過し、かつその期間の全労働日の8割以上出勤する

と、最低 10 日を付与する必要があり、勤続年数によって付与すべき最低日数が規定されている。(6 年 6 ヶ月以降で最大 20 日が法的な最低付与日数)

有給休暇の権利が発生すると2年間は使用が可能である。(労働基準法第 115条 請求権の時効は 2 年)

取得の理由は問わず、請求された時季に与えなければならない。 ただし、有給休暇の取得を促進する目的で「有給休暇の計画的付与制度」によ

り、労使協定によって自由に取得できる 5 日以上を留保すれば、それ以外の日を事業所全体で一斉に取る等の計画的付与ができる。

条件を満たした従業員には必須

3 特別休暇 週休や、有給休暇とは別に、企業等が任意に定める休暇制度である。 特別休暇による休暇は無給でも良い。(有給で休暇にする場合もある) 一般的に、年末年始休暇、夏季休暇などのように、時期を決めて条件を満たす

従業員が全員が取得するものと、介護休暇などのように目的に応じて取得するものがある。

任意

4 (法定休日を超える)休日

法定を超えて企業等が就業規則等により定める休日で、創立記念日、年末年始、国民の祝日等が該当する。

「休日」は労働の義務がない日であり、「休暇」は労働の義務がある日に休むものである。(一般的に休みの取得に申請が必要である)

任意

5 国民の祝日 企業等では、就業規則等で休日と定められる場合がある。 祝日法で定められる休日であり、1 年に 16 日規定されている。 そのうち、祝日を従来の固定日から特定週の月曜日に移動させた取組であるハ

任意

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第1章 業務の概要

5

ッピーマンデー制度により、「成人の日」、「海の日」、「敬老の日」、「体育の日」の 4 つの祝日は月曜になり、土日を合わせれば 3 連休となる。

出所:各種法律等を基にワールド・ビジネス・アソシエイツ作成

なお、公務員の休暇については、「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」、「職員の勤務

時間、休日及び休暇の運用について」等の規定により、別途定めがある。しかし、本事業で調査する範囲

では、有給休暇の定義は、おおむね民間企業と同様に考えて差し支えないと想定して調査を行う。 (2)本事業で有給休暇を調査する前提

前節でみたように、休暇には複数の種類があり、本調査の目的である観光需要平準化に対する課題で

ある需要の集中については、多くの企業、行政機関等の週休が、土曜日、日曜日に集中していることが

要因の一つと考えられる。これに対し、有給休暇は、「取得の理由は問わず、請求された時季に与えなけ

ればならない」とされ、いつでも取得できる。したがって、有給休暇が、これまでの休暇に加えて取得され

ることになれば、従来の需要が集中する曜日や繁忙期以外の時期に観光需要が創出され、観光需要平

準化につながると想定される。 本調査では、以上の理由から、観光需要平準化の目的に対し、有給休暇取得の促進が効果的である

と想定して、分析、考察を進めるものとする。 なお、本調査では週休の状況についても合わせて調査を行っており、一部分析に活用した項目がある。

1-4 統計からみる休暇の状況

(1)有給休暇の取得状況

本調査で、企業等に有給休暇の取組を調査する前提として、統計から現在の有給休暇の取得状況を、 確認する。 次の図表は、民間企業における労働者 1 人あたりの、平均の有給休暇取得状況を、企業規模、産業

別等に表したものである。

これによれば、2016 年(平成 28 年)調査の全産業における、有給休暇の平均取得率は 48.7%である。 また、この図表で読み取れるのは、平均取得率は業種ごとにばらつきがあり、企業規模が大きいほど取

得率が高いことである。 このことから、有給休暇は取得率の絶対値でのみ調査を行うと、結果に業種や規模の偏りが出て、企

業の取組から有効な知見が見いだせない可能性が想定される。そのため、今回のように幅広い業種にお

ける取組の先進性を調査する際には、取得率の絶対値以外の代替的な指標を設定する必要がある。

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第1章 業務の概要

6

図表 1-4-1 労働者1人平均有給休暇の取得状況

出所:厚生労働省「平成 28年就労条件総合調査」

時系列の有給休暇の取得状況を、以下の図表にまとめた。

図表 1-4-2 時系列による有給休暇の取得状況

注:平成 26 年調査以前は、調査対象を「常用労働者が 30 人以上である会社組織の民営企業」としており、

また、「複合サービス事業」を含まなかったが、平成 27 年調査から「常用労働者が 30 人以上である民営法人」とし、さらに「複合サービス事業」が含まれているため、数値の連続性は留意する必要がある。 また、平成 19 年以前は、調査対象を「本社の常用労働者が 30 人以上の民営企業」を調査対象としていたことから、記載を省略した。

出所:厚生労働省「就労条件総合調査」からワールド・ビジネス・アソシエイツ作成

46.747.4 47.1

48.149.3

47.148.8

47.648.7

454647484950

平成20年

調査

21 22 23 24 25 26 27 28

%

取得率

17.6 18.0 17.9 17.9 18.3 18.3 18.5 18.4 18.1

8.2 8.5 8.5 8.6 9.0 8.6 9.0 8.8 8.8

0

5

10

15

20

平成20年

調査

21 22 23 24 25 26 27 28

'08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 '16

労働者1人平均付与日数 労働者1人平均取得日数

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第1章 業務の概要

7

2014 年(平成 26 年)調査以前と 2015 年(平成 27 年)調査以降では、調査対象の定義が変更になっ

たため、連続した時系列の比較としては注意を要するが、おおむねの変化は確認できる。 この図表によれば、2007 年(平成 20 年)調査からの 9 年間、労働者 1 人平均の有給休暇の付与日数

は、若干上昇傾向にあるが、18 日前後で推移している。同様に取得日数も、若干上昇傾向にあるが、お

おむね 9 日弱の水準となっている。 本章の「業務の目的」で触れたように、経済界から有給休暇の取得を年 3 日増加させる方針が表明さ

れているものの、現状の取得の水準とその推移をみる限り、年 3 日の取得日数の増加は、挑戦的な目標

といえる。また、年 3 日の増加を有給休暇の取得率に換算すると、仮に平均付与日数が 2016 年(平成

28 年)調査と同じ 18.1 日とすれば、上昇分は 16.6%となる。すなわち、2016 年調査の 48.7%は 65.3%に上昇することを意味する。 以上のように、年 3 日の増加は、これまでの傾向から大きく上昇させることになるため、個別の企業の努

力だけでは、実現のハードルは高いと想定される。 次に、本調査では、企業と併せて行政機関についても取組を調査するため、公務員の有給休暇の取

得状況を確認する。公務員では、取得率ではなく、取得日数で公表されている。 まず国家公務員の平均 13.1 日は、民間では「電気・ガス・熱供給・水道業」と同程度となっている。

図表 1-4-3 国家公務員の有給休暇の取得状況

出所:人事院「国家公務員の年次休暇の使用実態(平成 27年)」

次に、地方公務員の平均 10.8 日は、民間では「鉱業、採石業、砂利採取業」、「製造業」、「情報通信

業」と同程度となっている。

図表 1-4-4 地方公務員の有給休暇の取得状況

出所:総務省「平成 27年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」

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第1章 業務の概要

8

(2)週休の状況

本調査では、週休については調査対象外であるものの、休暇取得に関して、週休制の状況を確認して

おく。 週休制度においては、何らかの週休 2 日制以上の企業が 88.6%でとなっている。また完全週休 2 日

制が 49.0%、完全週休 2 日制より多い制度の 5.8%を合計すると、54.8%の企業で週 2 日以上休日があ

ることになる。 ただし、週休も有給休暇と同様に、業種による状況は大きなばらつきがある。「週休 1 日制または週休

1 日半制」が他業種より多い業種、逆に「完全週休 2 日制」が多い業種などがある。休暇全体の増加のた

めには、週休制度にも関連する問題はあると想定されるが、本調査では対象としない。 また、この統計は、週休の曜日は判明しないことから、宿泊業で抱える土曜、日曜に需要が集中する基

礎資料としては使用しない。

図表 1-4-5 主な週休制の形態別企業割合

出所:厚生労働省「平成 28年就労条件総合調査」

1-5 先行調査

有給休暇と観光需要に関する調査、提言はこれまでも行われている。その主なものを以下に記す。

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第1章 業務の概要

9

図表 1-5-1 主な有給休暇と観光需要に関する調査、提言

調査・提言名 発表者 発表年 概要

「休暇シンポジウム 新たな成長戦略としての休暇改革」報告書

観光庁 2010 年 有給休暇取得について、職場での阻害要因などの調査。

「休暇取得の促進を通じた企業価値の向上と旅行しやすい環境づくりについて」報告書

休暇取得促進に関する有識者委員会(観光庁)

2007 年 休暇取得に影響を与える要因を企業形態、企業風土・文化、従業員の意識から分析。

休暇制度のあり方と社会経済への影響に関する調査研究委員会報告書

経済産業省、国土交通省、自由時間デザイン協会

2002 年 副題を「休暇改革は『コロンブスの卵』 ~12 兆円の経済波及効果と150 万人の雇用創出~」とし、付与された有給休暇がすべて使われた場合の経済効果を算出。

また、「労働時間管理と効率的な働き方に関する調査、労働時間や働き方のニーズに関する調査」独

立行政法人労働政策研究・研修機構(2016 年)では、有給休暇以外に、所定外労働等が含まれている

が、企業と従業員双方に対し取組や意識を調査した点、また調査が比較的最近である点で、本調査の参

考に資する点が多い。 本調査では、これらの先行調査の結果を踏まえ、新たに必要な項目について設問設計を行った。

1-6 実施スケジュール及び業務実施体制

(1)実施スケジュール

本業務の実施スケジュールを、次の図表に示す。

図表 1-6-1 実施スケジュール

(2)業務実施体制

本業務は株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ(以下「WBA」という)の取締役が総括責任者となり、

調査員 4 名で実施した。なお、本業務の調査員は全員が中小企業診断士の有資格者であり、今回調査

対象である多様な業種の企業の実務等に対する知見を保有している。また、観光分野を専門に活動して

いる調査員を配し、適切な内容で調査できる体制で実施した。 本業務の実施体制を、次の図表に示す。

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第1章 業務の概要

10

図表 1-6-2 業務実施体制

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

11

第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

2-1 業務の内容

(1)調査の手順

本章の調査においては、企業等における有給休暇取得を促進するにあたって、有効な取組を明らか

にする。 そのために、企業・行政機関(以下「企業等」という)と、従業員・職員(以下「従業員等」という)の双方を

調査対象とし、従業員等が実際に有給休暇を取得するために、職場環境の整備状況等について、多角

的に確認する。 その上で、企業等、従業員等の双方において、有給休暇の取得促進が図られている場合の利点を明

らかにし、取得促進の理解を図る一助にする。具体的には、有給休暇の取得促進が図られている企業等

での業績や、従業員の業務の効率性について調査する。

企業等を対象とした調査については、2 つの調査を実施し、主に定量的な情報を収集する郵送アンケ

ート調査と、定性的な情報を収集するヒアリング調査を行う。 従業員等を対象としては、ネットアンケート調査を実施し、定量的な情報を収集する。 これら 3 つの調査は独立して実施されるが、それぞれの結果において整合性があるかどうかを確認し、

分析、考察を行うものとする。 図表 2-1-1 企業等による有給休暇取得の増加の取組に関する調査(3種)と業務手順

(2)本章における組織等に関する表現の定義

本章では、調査対象を、民間企業と行政機関の両方とする。企業と行政機関では、組織の統治形式が

異なるため、本来それぞれの組織に対応する適切な表現があるが、同一内容における使い分けは、やや

煩雑になるきらいがあるため、理解しやすさを重視して以下のように表現する。

分析・考察

有給休暇の取得が多い企業等の方が業績がよく、従業員等では業務効率性が高いことの検証

取得促進にあたっての有効な取組内容

取得促進を進めるための対応策等の示唆

有給休暇の取得が多い企業等の方が業績等が良いことの検証有効な取組内容

郵送アンケート

調査

有給休暇の取得促進に関する定性的、具体的な知見

取得が多い従業員等の方が業務効率性が良いことの検証仕事、休暇の行動、考え方

有給休暇取得の先進的な取組の企業・行政機関

企業・行政機関の従業員・職員

企業等

従業員等

調査手法対象 調査内容

ヒアリング調査

ネットアンケート

調査

集計

集計結果

ヒアリング結果

集計結果

整合性の確認

調査

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

12

① 組織に関する表現

民間企業と行政機関の両方をまとめて言及する場合は、以下の表現を使用する。なお、本文中で、特

に民間企業、行政機関を区別して記述している場合はこの限りではない。

本報告書での表現 内容

企業等 民間企業と行政機関の総体 経営者等 組織の責任者

② 従業員・職員に関する表現

民間企業では従業員、行政機関では職員と呼ばれることが一般的であるが、本調査ではこれらを以下

のように称する。

本報告書での表現 内容

従業員等 民間企業の従業員と、行政機関の職員の総体 正規雇用者等 民間企業の従業員と、行政機関の職員のうち、正規の従業員・職員

③ 規模に関する表現

企業を規模の観点から、一般的に大企業、中小企業と呼称する場合は多いが、その区分は、厳密に

は、中小企業基本法や税制度によって異なる。また、本調査では、民間企業と行政機関の両方を対象と

していることから、便宜的に、従業員等の人数によって区分する。

本報告書での表現 内容

大企業等 従業員等 1,000 人以上の民間企業、行政機関 中小企業等 従業員等 1,000 人未満の民間企業、行政機関

2-2 調査結果 企業等郵送アンケート調査

(1)調査の概要

民間企業、行政機関を対象に、有給休暇の取得促進に関する取組を調査した。 民間企業の選定にあたっては、我が国の製造業、サービス業といった産業構造の大分類の比率に近

づけている。しかし、企業規模については、有給休暇等の取組について公表している企業から選定したこ

とから、大企業等が中心となっている。 行政機関は、地方公共団体(県、政令指定都市)、独立行政法人、国立研究開発法人を対象として取

組を調査した。 本郵送アンケート調査の概要を以下の図表にまとめた。 なお、サンプル数が約 100 と比較的少数であることから、調査結果は母集団を代表するものではなく、

傾向を把握するという位置づけである。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

13

図表 2-2-1 企業等郵送アンケート調査の概要

調査方法 郵送アンケート、無記名式

調査対象 民間企業:書誌にて有給休暇等の取組について公表している企業 行政機関:都道府県庁、政令指定都市市役所、独立行政法人・国立研究開発法人

調査期間 調査票発送:2016 年 12 月 9 日 回答締切:2016 年 12 月 22 日

発送 合計:500 (内訳 民間企業:470、行政機関:30)

回収数 合計:104 回収率 20.8% (内訳 民間企業:90 回収率 19.1%、行政機関:14 回収率

46.7%)

(2)回答者の属性

① 回答者の業種割合、組織規模

回答者の業種としては、おおむね多様な業種から回収できたものの、民間企業の実際の企業構成比と

は必ずしも一致していない。構成比として高いのは、建設業、製造業、卸売業・小売業であり、これらは実

際の企業構成比率よりやや高い。逆に、実際の企業数で多くを占める宿泊業、飲食サービス業について

は、選定の対象とした書誌の掲載件数が少なく送付自体が少なかった上、回答率も低かったため、回答

者の構成比率が低くなっている。 組織規模については、全体の約 3 分の 2 が従業員数 1,000 人以上と大規模な組織となっている。し

かし、中小規模の組織も約 3 分の 1 あり、結果は大規模な組織だけを代表するものではない。 なお、回答者における行政機関等の比率は、13.5%であった。

図表 2-2-2 回答者の業種、組織規模

「平成 26 年経済センサス‐基礎調査結果」(総務省統計局)

による業種別企業数の構成比率

本郵送アンケート調査で民間企業の回答者の構成比率

回答者の民間企業・行政機関

比率

回答者の業種構成 回答者の組織規模

(従業員・職員数)

民間

9086.5%

行政

1413.5%

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

14

次に回答者のうち、民間企業の売上高、営業利益の状況は以下の図表の通りであった。

図表 2-2-3 回答者の売上高、営業利益(民間企業のみ)

② 回答者の休暇の状況

回答者の有給休暇の平均取得率は、46.8%、中央値は 49.0%である。これは、厚生労働省の調査に

よる民間企業の平均取得率と近似であり、回答者全体としては平均的な取得状況ということになる。 ただし、個別企業の状態を反映し、70%以上と平均よりかなり高い取得率の企業等、逆に 20%未満の

かなり低い企業等がそれぞれ 1 割弱含まれる。 なお、本調査では、回答者に週休の状況を確認した。ほとんどすべての企業が何らかの週休 2 日制以

上の制度を採用している。その結果、全体の 60.6%が完全週休 2 日制、完全週休 2 日制より多い制度を

合わせると 86.6%となっており、大部分が週 2 日以上の週休制度を採用している。 この点で、回答者は

民間企業の全産業より週休が多い状態であることがわかる。 また、休日の曜日指定については、全体の 84.6%と大部分が土曜、日曜を指定している。

図表 2-2-4 回答者の休暇の状況

このうち、業種ごとの有給休暇の平均取得率について、業種別に確認したものが次の図表である。 取得率は、業種別に異なっており、その傾向はほぼ統計と同様である。すなわち、製造業が高く、建設

売上高 営業利益

回答者の週休制度

回答者の休日の曜日指定

回答者の有給休暇の平均取得率

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

15

業や卸売業、小売業等で低くなっている。 規模別には、従業員等がおおむね 300 人を境にして、組織規模が大きい方が取得率が高く、小さい

方が取得率は低い。その差は、平均取得率で約 10 ポイントある。

図表 2-2-5 有給休暇の平均取得率(業種別、規模別)

(3)有給休暇取得の増加の有無による比較

既述の通り、有給休暇の取得率は、業種、規模別に大きく異なる。そのため、取得率の絶対値を基準

に比較を行うと、業種の特性、景況等によって、取組の効果が見えにくい恐れがある。そのため、本調査

においては、「有給休暇取得促進の取組の結果、有給休暇の取得は増加したか」という設問を設定し、そ

の結果で回答者を 2 グループに分け、取組を比較することとした。 なお、有給休暇取得の増加の有無については、「増加した」が 38.5%、「変わらない」が 59.6%であり、

「増加した」の回答者の割合はやや低い。

図表 2-2-6 有給休暇取得の増加の有無

組織規模別 有給休暇の平均取得率 業種別 有給休暇の平均取得率

40

62

2

38.5%

59.6%

1.9%0

20

40

60

増加した 変わらない N/A

回答者数

回答数(n=104)

問 「年次有給休暇取得促進の取組の結果、年次有給休暇の取得数は実際に増えましたか」

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

16

① 取得の増加の有無グループ別の業種構成、組織規模

有給休暇取得の増加の有無をグループに分け、業種構成、組織規模を確認する。 業種構成においては、「増加した」グループ、「変わらない」グループともに全体的に分散している。参

考までに、有給取得率の高低で業種の分布をみると、ほとんどすべての製造業が平均より高く、ほとんど

すべての建設業で平均より低い結果となるなど、業種に偏りが出た。このことと比較すれば、今回の「増加

した」、「変わらない」でのグループ分けは幅広い業種にわたっていることから、業種の特性に限定されな

い取組について確認できると想定される。 なお、組織規模でみると、「増加した」グループは、その約 7 割が大規模な組織であった。このことは、

大規模な組織の方が、取組をしやすいことを示唆している。

図表 2-2-7 取得増加の有無による業種別割合、組織規模

② 取得の増加の有無グループ別の有給休暇取得率

次に、「増加した」グループ、「変わらない」グループそれぞれの、有給休暇取得率を比較する。それぞ

れのグループに複数の業種が含まれている等の要因により、平均取得率は双方ともに分散している。した

がって「増加した」グループにも全業種平均より低い企業等、「変わらない」グループにも平均より低い企

業等が含まれている。 しかし、平均取得率は、「増加した」グループで 52.4%、「変わらない」グループが 43.6%であり、「増加

した」グループの方が、取得率は全体的に高い傾向にあることがわかる。

取得増加の有無による業種構成 取得増加の有無による組織規模

(従業員・職員数)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

17

図表 2-2-8 取得増加の有無による有給休暇取得率

③ 取得の増加の有無グループ別の過去3年間の業績推移(民間企業のみ)

今回、有給休暇取得の取組が企業等にとって有益であることを理解してもらうため、取組と業績の関連

を調べた。 業績については、民間企業における代表的な財務指標である、売上高、営業利益について確認した。

なお、売上高、営業利益も業種や企業規模によって水準が異なるため、それぞれ 3 年前との変化を質問

し、「増加した」グループ、「変わらない」グループで比較した。 その結果、「増加した」グループは、「変わらない」グループより売上高、営業利益ともに、増加したとす

る回答が多く、逆に減少したとする回答が少なかった。 本郵送アンケート調査はサンプル数が 100 と少ないため、これらの数値は母集団全体を表すものでは

ないが、有給休暇が「増加した」グループの方が、おおむね業績も好調な傾向にあると想定される。

図表 2-2-9 取得増加の有無による過去3年間の業績推移(民間企業のみ)

売上高

営業利益

増加:大幅に増加(15%以上) 増加(5%以上 15%未満)

ほぼ横ばい (5%未満の増減)

減少:減少(5%以上 15%未満) 大幅に減少(15%以上)

回答数 構成比 回答数 構成比増加 16 42.1% 19 38.0%ほぼ横ばい 13 34.2% 16 32.0%減少 8 21.1% 14 28.0%N/A 1 2.6% 1 2.0%総計 38 50

有給休暇増加した(n=38)

変わらない(n=50)

回答数 構成比 回答数 構成比増加 22 57.9% 26 52.0%ほぼ横ばい 5 13.2% 8 16.0%減少 8 21.1% 15 30.0%N/A 3 7.9% 1 2.0%総計 38 50

有給休暇増加した(n=38)

変わらない(n=50)

42.1%

34.2%

21.1%

2.6%

38.0%32.0%

28.0%

2.0%0%

10%

20%

30%

40%

売上高増加 ほぼ横ばい 減少 N/A

有給休暇増加した(n=38) 変わらない(n=50)

57.9%

13.2%21.1%

7.9%

52.0%

16.0%

30.0%

2.0%0%

20%

40%

60%

営業利益増加 ほぼ横ばい 減少 N/A

有給休暇増加した(n=38) 変わらない(n=50)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

18

④ 取得の増加の有無グループ別の導入した休暇制度の数

有給休暇の取得促進のための基本的な環境整備として、休暇関連で導入した施策を「増加した」グル

ープ、「変わらない」グループ別に確認する。 なお、休暇制度については、先行調査での選択肢を参考に設定し、「2-2 調査結果 企業等郵送ア

ンケート調査」、「2-3 調査結果 従業員等ネットアンケート調査」にて、それぞれ企業等、従業員を対

象に質問している。これらの休暇制度についての説明を、次の図表にまとめた。また、それぞれで調査対

象としている休暇制度については、特別休暇について、従業員等への質問で設問を細分化してたずね

ている。そのため、それぞれの調査で質問した項目も比較できるようにした。 なお、企業等、従業員等対象の調査において、特別休暇について設問を変えている。これは、本調査

では、有給休暇が主題であったことから企業等対象郵送アンケート調査では、特別休暇については設問

を 1 つのみ設定していた。しかし、企業等によって、年末年始休暇、夏季休暇を特別休暇として設定する

場合と、有給休暇を使って取得させる場合があることから、従業員等対象ネットアンケート調査では、特に

年末年始休暇、夏季休暇とそれ以外の休暇の制度の整備状況について区別して確認をすることにした

ためである。

図表 2-2-10 アンケート調査で質問した休暇制度の説明

制度 説明

2-2

企業

アンケー

ト調査

2-3

従業員

アンケー

ト調査

半日単位や時間単位で

の年次有給休暇取得制

有給休暇は 1 日単位で付与されるものであるが、労働者が希望し、使用者が同意す

れば、労使協定が締結されていない場合でも、1 日単位取得の阻害とならない範囲

で、1 日単位の有給休暇を運用して半日単位で取得することができる。(労働省通達

(平成 7 年 7 月 27 日基監発第 33 号) 時間単位での取得は、労働基準法 2008 年(平成 20 年)改正、2010 年(平成 22 年)施行により、労使協定によって年間 5 日の範囲内で 1 時間を単位として取得できるこ

とになった。(労働基準法第 39 条第 4 項) まとまった日数の休暇を取得するという年次有給休暇制度本来の趣旨を踏まえつ つ、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにする

ことを目的とした。1

● ●

年次有給休暇の計画的

な付与制度

労働基準法 1987 年(昭和 62 年)改正、1988 年(昭和 63 年)施行において、年次有

給休暇のうち、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度

が作られた。(労働基準法第 39 条第 6 項) 年次有給休暇の日数のうち 5日は、個人が自由に取得できる日数として必ず残してお

かなければならず、労使協定による計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日

数のうち、5 日を超えた部分となる。(例えば、年次有給休暇の付与日数が 10 日の従

業員に対しては 5 日、20 日の従業員に対しては 15 日までを計画的付与の対象とす

ることができる) 職場において、労働者が自己の業務を調整しながら、気がねなく年次有給休暇を取

得できることとすることが有効であることから、労働者の個人的事由による取得のため

に一定の日数を留保しつつ、これを超える日数については、労使協定による計画的付

与を認めることを目的とした。2

● ●

1 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「改正労働基準法のあらまし」2009 年 2「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針)平成 20 年厚生労働省告示第 108 号(平成 22 年 12 月 9日一部改正)、独立行政法人労働政策研究・研修機構ホームページ「改正労働基準法の施行について」 http://www.jil.go.jp/rodoqa/hourei/rodokijun/KH0001-S63.html (調査:2017 年 3 月 20 日)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

19

不測の事態に備えた特

別休暇制度の拡充(病気

休暇、看護休暇、介護休

暇等)

育児・介護休業法では育児、介護を目的とする長期の休業制度が義務付けられてい

るが、この他に半日、1 日の単位で休暇を取得する子の看護休暇、介護休暇がある。

適用範囲は順次拡大され、2010 年(平成 22年)から常時雇用する従業員数が 100人

以下の事業主にも適用されることになった。法定では、労働者は休暇期間中に労務を

提供しないため、原則として無給であるが、会社によっては給与が支給される場合が

ある。3 休暇申出に係る事実を証明する書類(医療機関の領収書や保育所を欠席し

たことが明らかになる連絡帳等の写し)が求められる場合がある。先行調査では、急な

休暇取得のために、有給休暇を残しておく場合があることが指摘されていた。

● ●

年次有給休暇の連続取

得を奨励(一定日数以上

の休暇にネーミングし、

取得を奨励する等)

有給休暇であるが、企業が取得推進のために推奨する取得方法をネーミングするも

の。(連休との組み合わせ、日数等) ● ●

有給休暇以外に、年末

年始や夏季など、時期を

指定して休暇が取得でき

る制度

年末年始や夏季の休暇に有給休暇ではなく、企業等独自の休暇を設けたもの。 ●

長期休暇を可能とするよ

うな特別休暇(教育訓練

休暇、リフレッシュ休暇、

ボランティア休暇等)

企業が特定の目的での休暇を促すために独自に整備する休暇。(そのうち、教育訓練

など従業員等の資質向上、企業等の CSR 向上など、休暇の使用目的が明確なもの) ● ●

記念日や特定の目的で

取得できる特別休暇制度

(誕生日休暇、授業参観

休暇等)

企業が特定の目的での休暇を促すために独自に整備する休暇。(そのうち、自分や家

族の私的な用件での取得を促すもの)

取得できなかった年次有

給休暇の一部(あるいは

全部)を翌年に繰越でき

る制度

労働基準法第 115 条で、有給休暇の権利が発生すると2年間は使用が可能である

が、さらに、その失効分を、法定の有給休暇とは別に積み立てる制度。

質問の結果、企業等における休暇制度の導入に関する状況は以下の通りとなった。 その結果、双方のグループともに、半日や時間単位の「部分取得」の取組が最も高く、次いで、「特別

休暇の拡充」であった。注目すべきは、「増加した」グループの方が、各施策に取り組んでいる割合が高

いことである。取組の中で 2 つのグループ間で差が大きいのは、「計画的付与」と「連続取得の促進」であ

った。 また、「増加した」グループでは、導入している施策の数も多い。導入した休暇制度の選択肢を複数回

答としたが、選択肢の中で 3 個以上導入したと回答した回答者は、「増加した」グループで 87.5%と大部

分を占めたのに対し、「変わらない」グループでは、53.3%にとどまる結果となっている。 このことから、有給休暇の取得促進のためには、従業員等の状況によって活用しやすい、複数の施策

を導入することが有効であると推察される。

3 厚生労働省ホームページ「仕事と介護の両立~介護離職を防ぐために~よくあるお問い合わせ(労働者の方へ)」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/otoiawase_roudousya.html、「従業員数が 100 人以下の事業主の皆様 改正育児・介護休業法が全面施行されます」

http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2012/03/02.html (調査:2017 年 3 月 20 日)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

20

図表 2-2-11 取得増加の有無による導入した休暇制度の種類

⑤ 取得の増加の有無グループ別のトップコミットメントの状況

次に、有給休暇取得促進にあたって、トップコミットメントの有無について、「増加した」グループ、「変わ

らない」グループ別に確認する。 「トップコミットメントがあった」と回答したのは、「増加した」グループで 77.5%であり、「変わらない」グル

ープの 41.9%より大幅に大きい。また、それぞれ「トップコミットメントがあった」回答者に、具体的なトップコ

ミットメントの内容を選択肢で回答してもらった結果、「増加した」グループの方が、取り組んだ施策の数が

多い結果となった。 特に、トップコミットメントの内容で「有給休暇取得を促進するという方針の決定」と「有給休暇取得の数

値目標の設定」において、「増加した」グループは、「変わらない」グループに大きく差を開けた。 このことから、有給休暇取得の促進においてトップコミットメントが重要であり、中でも「方針の決定」と

「数値目標の設定」の比重が高いことがわかる。

休暇制度の種類(複数回答)

回答した休暇制度の数

95.0%

60.0%

82.5%65.0% 57.5%

2.5% 0.0%

71.0%

30.6%

71.0%50.0%

21.0%9.7% 11.3%

0%20%40%60%80%

100%

部分取得

(

半日、時間単位)

計画的付与

特別休暇拡充

長期休暇

連続取得促進

その他

導入なし

有給休暇増加した(n=40) 変わらない(n=62)

回答数 構成比 回答数 構成比部分取得(半日、時間単位) 38 95.0% 44 71.0%計画的付与 24 60.0% 19 30.6%特別休暇拡充 33 82.5% 44 71.0%長期休暇 26 65.0% 31 50.0%連続取得促進 23 57.5% 13 21.0%その他 1 2.5% 6 9.7%導入なし 0 0.0% 7 11.3%総計 40 62

有給休暇増加した(n=40)

変わらない(n=62)

回答数 構成比 回答数 構成比なし 0 0.0% 7 11.3%1個 2 5.0% 9 14.5%2個 3 7.5% 13 21.0%3個 13 32.5% 15 24.2%4個 12 30.0% 13 21.0%5個 10 25.0% 5 8.1%総計 40 62

有給休暇増加した(n=40)

変わらない(n=62)

0.0%5.0% 7.5%

32.5% 30.0%25.0%

11.3%14.5%

21.0%24.2%

21.0%

8.1%

0%

20%

40%

なし 1個 2個 3個 4個 5個

有給休暇増加した(n=40) 変わらない(n=62)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

21

図表 2-2-12 取得増加の有無によるトップコミットメントの状況

⑥ 取得の増加の有無グループ別の取得増加のために取り組んだ業務関連の活動

次に、有給休暇の取得促進を支える、業務関連の活動について、「増加した」グループ、「変わらない」

グループ別に確認する。 具体的には、「業務効率化の取組」、「情報通信技術(ICT)の活用」、「人員の補充、維持の取組」の 3

つの分野において、有給休暇の取得促進のために、新たな取組を行ったかどうか確認した。 これらの設問は、有給休暇が取得された場合、職場で部分不在が発生するため、普段から 1 人当たり

の仕事量を削減したり、業務の効率化を図る等の対策をしておく必要があり、その施策の有無を確認した

ものである。逆に言えば、これらの対策が行われていなければ、従業員等が休暇を取得したくても、部分

不在に対応できない職場環境のため、休暇の取得がしにくいことを想定している。 その結果、回答では、質問した 3 つのいずれの分野においても、「増加した」グループが、「変わらない」

グループより取組を行っていること、また導入している施策の数が多いことがわかった。取組の内容につ

いては、サンプル数が少ないため参考値となるが、おおむねどの施策においても「増加した」グループの

方が多く取組を行っていることがわかる。

77.5%

40.0%27.5%

10.0%

41.9%33.9%

6.5% 1.6%0%

20%

40%

60%

80%

100%

コミットメン

トある

施策

1~

3個

4~

6個

7~

8個

有給休暇増加した(n=40) 変わらない(n=62)

回答数 構成比 回答数 構成比コミットメントある 31 77.5% 26 41.9%

施策1~3個 16 40.0% 21 33.9%4~6個 11 27.5% 4 6.5%7~8個 4 10.0% 1 1.6%

有給休暇増加した(n=40)

変わらない(n=62)

トップコミットメントの有無、導入した施策の数

トップコミットメントに関して導入した施策(複数回答)

回答数 構成比 回答数 構成比1.有給休暇取得を促進するという方針の決定 22 71.0% 9 34.6%2.有給休暇取得の数値目標の設定 21 67.7% 7 26.9%3.施策の計画策定 8 25.8% 1 3.8%4.人員体制、業務改善等、業務の効率化の指示 8 25.8% 7 26.9%5.対外発信媒体(CSR報告書等)での公表 6 19.4% 1 3.8%6.顧客など社外関係者からの休暇への理解獲得 1 3.2% 0 0.0%7.休暇制度の導入・拡充の指示 13 41.9% 5 19.2%8.取得しやすい雰囲気の醸成 18 58.1% 16 61.5%9.管理職、非管理職向けの研修、意識啓発の指示 8 25.8% 4 15.4%10.管理職が率先して休暇を取得 10 32.3% 4 15.4%11.休暇取得の評価制度への反映 1 3.2% 2 7.7%

有給休暇増加した(n=31)

変わらない(n=26)

※施策ごとの数はサンプル数が少

ないため、参考データである

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

22

図表 2-2-13 取得増加の有無による業務効率化の取組

図表 2-2-14 取得増加の有無による情報通信技術(ICT)の取組

※施策ごとの数はサンプル数が少ない

ため、参考データである

業務効率化の取組の有無、導入した施策の数

業務効率化に関して導入した施策(複数回答)

回答数 構成比 回答数 構成比業務プロセスの変更、削減 26 86.7% 21 72.4%組織内部向け業務の削減、圧縮 23 76.7% 18 62.1%1人当たり業務量の削減 20 66.7% 16 55.2%組織間業務配分改善(人員の偏在の解消) 23 76.7% 18 62.1%業務明文化(与えすぎ、やりすぎの防止) 19 63.3% 17 58.6%属人化を防ぐ業務マニュアルの整備 21 70.0% 19 65.5%複数人で担当するチーム制 20 66.7% 17 58.6%1人が複数の業務を担当する多能工化 18 60.0% 17 58.6%情報の集約化(キャビネットの一元化等) 18 60.0% 19 65.5%スケジュールの見える化、業務の計画化 25 83.3% 21 72.4%

効率化に関して新たに導入した施策(複数回答)有給休暇増加

した(n=30)変わらない

(n=29)

75.0%

15.0% 12.5% 22.5% 25.0%

46.8%

11.3% 12.9% 14.5% 8.1%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

効率化の取組

ある

施策

1~

3個

4~

6個

7~

9個

10個

有給休暇増加した(n=40) 変わらない(n=62)

77.5%

40.0%27.5%

10.0%

41.9%33.9%

6.5% 1.6%0%

20%

40%

60%

80%

100%

ICTの取

組ある

施策

1~

3個

4~

6個

7~

9個

有給休暇増加した(n=40) 変わらない(n=62)

※施策ごとの数はサンプル数が少ない

ため、参考データである

情報通信技術(ICT)の取組の有無、導入した施策の数

情報通信技術(ICT)に関して導入した施策(複数回答)

回答数 構成比 回答数 構成比手作業のデジタル化、自動化 25 92.6% 15 68.2%稟議申請、承認など意思決定のスピード化 19 70.4% 11 50.0%他部署と連動した連絡、問い合わせ作業の効率化 18 66.7% 10 45.5%テレワークによる職場以外での勤務 12 44.4% 5 22.7%タブレット、通信端末などによる移動時間の削減 23 85.2% 11 50.0%ウェブ会議システムなどによる、出張などの削減 21 77.8% 16 72.7%情報のペーパーレス化などによる、電子共有 23 85.2% 14 63.6%社内掲示板等のコミュニケーションの円滑・活発化 20 74.1% 16 72.7%

ICTに関して新たに導入した施策(複数回答)有給休暇増加

した(n=27)変わらない

(n=22)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

23

図表 2-2-15 取得増加の有無による人員の維持・増加の取組

⑦ 取得の増加の有無グループ別の人材に関する状況

先行調査でも指摘されているように、有給休暇の取得促進にあたっては、人材確保への効果があると

されている。これに関し、「正規雇用者比率」、「正規雇用者の採用 3 年後の平均在籍率」について、「増

加した」グループ、「変わらない」グループ別に確認した。 その結果、「正規雇用者比率」、「採用 3 年後の平均在籍率」ともに、「増加した」グループの方が高い

ことがわかる。このことから、有給休暇の取得促進の取組によって、人材確保に対する効果も一定程度認

められる。人材の確保ができれは、人員配置に無理をする必要が少なくなるため、休暇取得による部分

不在も吸収しやすくなる。この点で、「増加した」グループで有給休暇の取得率が、「変わらない」グルー

プより高いことを裏付ける結果になっていると考えられる。 また、「人材教育の積極的な取組」についてもたずねたところ、「増加した」グループの方が、より積極的

に実施している。人材教育は、業務への専門性を高めることによって、企業の付加価値向上にも貢献し、

企業の競争力が高まることになる。この点は、既述のように「増加した」グループで売上高等の業績向上

が良い点とも整合している。また同時に、人材教育は、業務への習熟化が図られる点で効率化につなが

る取組であり、この点も前項の「業務関連の活動」において「増加した」グループの方が取組の内容が多

かったこととも整合していると考えられる。

75.0%

15.0% 12.5%22.5%

46.8%

11.3% 12.9% 14.5%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

人員維持増加

の取組ある

施策

1~

3個

4~

6個

7~

9個

有給休暇増加した(n=40) 変わらない(n=62)

※施策ごとの数はサンプル数が少ない

ため、参考データである

人員の維持・増加の取組の有無、導入した施策の数

人員の維持・増加に関して導入した施策(複数回答)

回答数 構成比 回答数 構成比離職者再雇用 8 40.0% 4 22.2%定年延長 14 70.0% 12 66.7%正社員配置転換 7 35.0% 7 38.9%非正社員配置転換 5 25.0% 2 11.1%正社員化 11 55.0% 5 27.8%正社員新規雇用 14 70.0% 14 77.8%非正社員新規雇用 13 65.0% 15 83.3%出向者活用 4 20.0% 4 22.2%アウトソーシング 9 45.0% 8 44.4%

人員の維持・増加に関して新たに導入した施策(複数回答)

有給休暇増加した(n=20)

変わらない(n=18)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

24

図表 2-2-16 取得増加の有無による人材に関する状況

⑧ 取得の増加の有無グループ別の旅行の促進に関する取組

次に、本業務の目的に関連して、旅行の促進に関する取組の有無を「増加した」グループ、「変わらな

い」グループ別に確認した。 その結果、「増加した」グループでは、「旅行を支援する取組がある」が 55.0%で、「変わらない」グルー

プが 25.8%となっているが、この点でも取組が多い。旅行を支援する取組自体は、業務や有給休暇の取

得促進に直接関係はないものの、従業員等にとって、企業等からの取得を促進するメッセージとして受け

止められることを示唆している。

図表 2-2-17 取得増加の有無による旅行の促進に関する取組

⑨ 取得の増加の有無グループ別の従業員が休暇を取得しない心理的要因

ここまで、有給休暇取得促進に関する取組をみてきたが、企業等からみて、従業員等が有給休暇を取

得しない心理的な要因をどのように考えているのかを「増加した」グループ、「変わらない」グループ別に

確認した。 その結果、2 つのグループを比較した傾向はほとんど同じである。最も多かった従業員等の心理的要

人材教育の積極的な取組

正規雇用者比率 正規雇用者の採用 3 年後の平均在籍率

旅行に行くことを支援する取組の有無 旅行促進の取組の内容

※施策ごとの数はサンプル数が少ないため、参考データである

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

25

因は、「仕事を抱えている」ことである。そのほか、「職場に取得しにくい雰囲気がある」、「休暇より仕事を

優先する」、「休まないことが勤勉だと考えている」の回答が多かった。 一方で、「休むと評価に影響する」については回答が少なかった。 このことから、「変わらない」グループとしては、「増加した」グループと同様に休暇促進が進まない要因

について理解はしているものの、それを解決するための対策が十分にとられていないことが問題であると

考えられる。 これは、「変わらない」グループの方が、有給休暇を「職場に取得しにくい雰囲気がある」と回答する割

合が高いことからも、有効な対応ができていないことが想定される。

図表 2-2-18 取得増加の有無による従業員等が休暇を取得しない心理的要因

(4)企業等郵送アンケート調査のまとめ

企業等対象郵送アンケート調査では、定量的な側面からの有給休暇の状況や取組について確認した。 今回は、回答数が大規模組織の比率が高かったことから、回答者が企業等全体を代表しているとは言

えないが、おおむねの傾向を把握する目的は果たせていると考えられる。また、回答者の業種ごとに有給

休暇取得率に差があるが、その傾向も統計と近似であることから、回答内容は一定の信頼性があると想

定される。 本郵送アンケート調査から得られた結果を以下のようにまとめた。

① 休暇の状況

回答者企業での週休制度は、「完全週休 2 日制、完全週休 2 日制より多い制度」、「土曜、日曜休み」

がそれぞれ 8 割強となった。このことから、土日に休日がある企業等が大部分であり、宿泊業の週内の観

光需要の平準化には、有給休暇の取得促進が果たす役割が大きいと想定される。 ② 業種、規模による有給休暇の平均取得率の違い

有給休暇の平均取得率は、業種別に異なっており、その傾向はほぼ統計と同様である。すなわち、製

造業が高く、建設業や卸売業、小売業等で低くなっている。 これは、有給休暇の取得のしやすさ等は、個々の企業の努力もあるが、業種ごとの特性、商慣習など

によって制約を受けていることを示唆している。 また、組織規模が大きい方が平均取得率が高く、小さい方が取得率が低い結果となった。規模による

差は、休暇の代替人員の確保のしやすさや、制度整備のための経営資源の豊富さなどが要因になって

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

26

いるものと想定される。 ③ 「有給休暇が増加した」企業等の取組の特徴

取組の有効性を調べるために、「有給休暇取得促進の取組の結果、有給休暇の取得は増加したか」と

の設問で、「増加した」グループ、「変わらない」グループで比較した。その結果、以下のことがわかった。 民間企業では、「増加した」グループにおいて、過去 3 年間の業績推移として売上高と営業利益

が増加したとの回答が多かった。 「増加した」グループでは、「変わらない」グループより積極的に休暇制度を導入し、また導入して

いる施策数が多い。なお、「増加した」、「変わらない」グループともに最も多かった有給休暇の施

策は、半日、時間単位などの部分取得である。 「増加した」グループでは、有給休暇取得に関するトップコミットメントがあったと回答した割合が多

かった。また、トップコミットメントに関連して実施された施策の数も多かった。 「増加した」グループでは、取得増加のために取り組んだ業務関連の活動が多い結果となった。

具体的には、業務効率化、ICT の活用、人材の維持、補充の取組のいずれの項目においても、

取組が多い結果となった。 人材に関する状況においても、「増加した」グループでは、「正社員・正職員比率」、「採用 3 年後

の平均在籍率」ともに多かった。また、「人材教育の積極的な取組」も多いことから、業務への専門

性を高め、企業の付加価値向上にも貢献し、業務効率化を図っているといえる。 「増加した」グループは、旅行を支援する取組も多い。旅行を支援する取組自体は、業務や有給

休暇の取得促進に直接関係はないものの、従業員等にとって、企業等からの取得を促進するメッ

セージとして受け止められることを示唆している。 企業が想定する従業員が有給休暇を取得しない要因は、「増加した」グループと、「変わらない」グ

ループではそれほど差がないが、実際に増加したグループでは、取得しにくい要因への対応を行

っている。

④ 業種による有給休暇取得のためのハードルを越える要素

「有給休暇が増加した」グループには、有給休暇の平均取得率が低い業種である、建設業や、卸売業、

小売業が含まれていた。逆に「変わらない」グループには、取得率が高い製造業等が含まれていた。それ

にも関わらず、「増加した」グループにおいて、有給休暇取得の実現に効果があったと考えられるのは、

「増加した」グループ、「変わらない」グループで、差が大きかった要素である。 それは、本郵送アンケート調査から、休暇制度の整備、トップコミットメント、業務の支援の 3 つにまとめ

られる。 有給休暇の取得を促進する上では、休暇制度の整備のみが注目されやすいが、調査の結果からは、

トップコミットメント、業務の支援のいずれの点においても、取組の差がはっきりと出た。 これらの要素は、業種による区別なく、どのような企業等においても取り組むべき課題であると考えられ

る。すなわち、休暇制度だけを整備しても、休暇取得を実現する組織内の環境が整っていなければ、従

業員等の休暇取得の行動につながらないということである。 実際に、個別企業において新たに取組を実施する際には、休暇制度の整備、トップコミットメント、業務

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

27

の支援のそれぞれにおいて、企業等の個別の事情(従業員構成等)や、業種や商慣習等の制約事項等

を踏まえた具体策が必要になると思われる。また、取組を担当するのは、人事・労務部門だけではなく、

社内の多岐にわたる部門が関連することになるため、一朝一夕には成果が見えにくい可能性がある。 この点で、こういった組織内の取組を推進する上でトップコミットメントの果たす役割は大きいといえ、休

暇制度の整備、トップコミットメント、業務の支援の 3 つを連動して取り組むことの重要性が明らかになった

と言える。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

28

2-3 調査結果 従業員等ネットアンケート調査

(1)調査の概要

従業員等を対象としたネットアンケート調査の概要を以下の図表にまとめた。 調査対象は、ネット調査会社のモニターをサンプルとし、民間企業の従業員と行政機関の職員のうち、

それぞれ管理職を除く、正規雇用者を対象とした。 なお、回答者の指定にあたっては、性別、年代のみを均等割付とし、それ以外の属性については割付

の指定を実施していない。

図表 2-3-1 従業員等ネットアンケート調査の概要

調査方法 ネットアンケート、無記名式

調査対象 調査会社のモニターから以下の属性を選定し、合計回収数 1,000 とした。 民間企業正規雇用者(管理職を除く) 計 800 内訳 20~50 代、性、年代均等割付 公務員正規雇用者(管理職を除く) 計 200 内訳 20~50 代、性、年代均等割付

調査期間 調査開始:2017 年 1 月 18 日 最終回答回収:2017 年 1 月 25 日

(2)回答者の属性

① 回答者の性年代等

回答者の性別、年代は、あらかじめ割付を設定して回収したため、指定通りの均等な構成になっている。 家族形態において、未既婚の別では未婚者の比率がやや高くなっている。家族構成では 1 人暮らし

が最も多く 24.9%である。また、未就学児、小学生、中学生以上の子供を含む家族の合計は約 3 割とな

っている。 家族人数では、4 人以下が大勢を占め、回答者を含めた平均家族人数は 2.64 人である。

図表 2-3-2 回答者の性年代等

② 回答者の勤務先の状況

回答者の勤務先の状況としては、民間企業の業種では、全体に業種が分散している。多い業種として

は製造業、卸売業・小売業の比率が高くなっている。

回答者の性別

回答者の年代

回答者の未既婚

回答者の家族構成

回答者の家族人数

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

29

回答者の勤務先の組織規模は、1,000人以上が 27.5%、1,000人未満が 66.9%となっている。中小企

業庁の発表による常用雇用者の中小企業における割合は 62.5%4、厚生労働省の調査における、民間

企業の従業員 1,000 人未満の企業の従業員の比率は 63.3%5と、おおむね 3 分の 2 が中小規模の企

業における従業員といえる。この点で、本ネットアンケート調査の回答者は、中小規模の組織で勤務して

いる人の割合が高くなっているが、これらの統計の比率に近い状態である。 回答者の職種としては、最も多いのが一般事務・受付・秘書で、全体の約 3 割を占める。次いで、総

務・人事・経理等、技術系専門職(研究開発・設計・SE等)、営業・販売となっている。 週休制度では、週休 2 日制以上が 80.1%である。また、土曜、日曜の両方を休みと回答したのは、

68.6%である。このことから、本ネットアンケート調査では正規雇用者のみを対象としているが、それを前

提とすれば、全体の約 7 割が、土曜、日曜を休日として過ごしていることがわかった。

図表 2-3-3 回答者の勤務先の状況

(3)有給休暇取得を同僚と比較した多寡による比較

本ネットアンケート調査では、従業員等が、有給休暇の取得の多寡で行動や意識の違いがあるかどう

かを確認した。 企業等対象郵送アンケート調査では、有給休暇の取得率は、業種、規模別に大きく異なることから、取

4 中小企業庁ホームページ「中小企業・小規模事業者の数等(2014 年 7 月時点)の集計結果(2016 年 1 月 29 日発

表) 」 http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/2016/160129chukigyocnt.html 5 厚生労働省「平成 28 年就労条件総合調査」

回答者の勤務先の業種

回答者の勤務先の組織規模(従業員・職員数)

回答者の勤務先での職種

回答者の勤務先での週休

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

30

得率の絶対値を基準に比較を行うと、業種の特性、景況等によって、取組の効果が見えにくい恐れがあ

ったことから、有給休暇取得の増加の有無で回答者を 2 グループに分け、取組を比較した。 同様の理由で、従業員等対象ネットアンケート調査でも、業種や規模の違いによらないための工夫をし

た。具体的には、「同じ職場の人と比較したときに、あなたは有給休暇を多く取っている方だと思いますか」

という質問を設定した。 つまり、この質問では回答者が主観的に、有給休暇を同僚より多く取っているかと質問しており、実際

に取得率が高いかどうかを明らかにはしていないことに留意されたい。 この設問への回答は、有給休暇が同僚より「多い」と思うとしたのは 22.7%、「同じ程度」だと思うが

44.9%、「少ない」と思うが 32.4%となった。 回答者の大半は「同じ程度」と回答しているが、分析を進める上で、特に「多い」と「少ない」グループを

比較して傾向をみていく。

図表 2-3-4 有給休暇の取得の多寡を同僚と比較した結果

① 有給休暇取得の多さを同僚と比較したグループ別の属性、業種構成、規模

同僚より有給休暇が多いかどうかたずねたグループごとに、属性の傾向を確認する。 性別では、有給休暇が同僚より「多い」と思う、「同じ程度」だと思うグループでやや女性の比率が高く、

「低い」と思うグループでは明らかに男性の割合が高くなっている。 年代の構成では、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループが、年代が低いほど高い傾向にあり、「少

ない」と思うグループでは、逆に年代が高いほど多い傾向にある。 家族形態では、未既婚の別は、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループがほぼ同数だったのに対し、

「同じ程度」、「少ない」と思うグループでは、未婚の割合が高くなっている。 家族構成では、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループで、「子供(未就学児)を含む家族」の割合

が高くなっている。 このことから、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループの特徴として、若い世代の女性で、子供(未就

学児)が家族にいる人が多い傾向があることが読み取れる。

7.0 15.7

44.9

12.1 20.3

0

10

20

30

40

50

職場の人

より

かなり多い

やや多い

同じ程度

やや少ない

少ない

%

全体(n=1,000)

「同僚より多い」と思う 「同じ程度」だと思う 「少ない」と思う (n=227) (n=449) (n=324)

問 「同じ職場の人と比較したときに、あなたは有給休暇を多く取っている方だと思いますか」

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

31

図表 2-3-5 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる性別、年代等属性

次に職場の状況を確認する。業種では「多い」と思うグループに行政機関が多く、「少ない」と思うグル

ープでは、卸売業・小売業が多い。組織規模では「多い」と思うグループで大規模組織が多く、「少ない」

と思うグループでは小規模組織が多い。職種では、「多い」と思うグループで総務・人事・経理、一般事

務・受付・秘書が、「少ない」と思うグループでは営業・販売が多い。 以上のように、属性においては、グループ分けを「有給休暇を多く取っている方だと思うか」という主観

的な回答によっていたにも関わらず、「多い」と思うグループ、「少ない」と思うグループで違いが出る結果

となった。

同僚と比較した多さによる性別 同僚と比較した多さによる年代

同僚と比較した多さによる未既婚

同僚と比較した多さによる家族構成

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

32

図表 2-3-6 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる勤務先の業種構成、規模

② 有給休暇取得の多さを同僚と比較したグループ別の休日の状況

同僚より有給休暇が多いかどうかたずねたグループごとに、休日の状況について確認する。 まず、週休制度について、土曜、日曜の両方が休みだと回答したのは、有給休暇が同僚より「多い」と

思うグループが最も高く 74.0%で、「少ない」と思うグループの 61.1%より、10 ポイント以上高い。 また、付与された有給休暇の日数であるが、「多い」グループで、20 日、21 日以上の合計で約 6 割あ

るのに対し、「少ない」グループでは約 3 割にとどまる。 一方、有給休暇が同僚より「少ない」グループで、10 日以下が 16.0%と他のグループより多い。 本調査では、勤続年数について質問を設定しなかったが、法定による有給休暇日数は、「雇い入れか

ら 6 か月を経過し、かつその期間の全労働日の8割以上出勤すると、最低 10 日」であり、「6 年 6 ヶ月以

降で最大 20 日」の付与となる。このことから、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループでは、勤続年数

が長い人が多く、「少ない」と思うグループでは勤続年数が短い人が多く含まれる可能性がある。 ただし、同じ設問で、「付与された日数はわからない、忘れてしまった」という選択肢を設けて質問したと

同僚と比較した多さによる勤務先の業種

同僚と比較した多さによる勤務先での職種

同僚と比較した多さによる勤務先の組織規模

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

33

ころ、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループでは、回答が 27.3%だったのに対し、「少ない」と思うグ

ループでは 44.8%」と半数近くが該当している。このことから、「少ない」と思うグループは、自分が付与さ

れている有給休暇への関心が低く、そのために付与日数について正確な情報を把握していない恐れが

示唆される。

図表 2-3-7 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる休日の状況

次に、有給休暇取得日数を確認する。有給休暇が同僚より「多い」と思うグループでは、実際に有給休

暇を取得した日数が多い傾向にあり、「少ない」と思うグループでは、取得した日数が少ない傾向にある。 有給休暇を 10 日以上取得した割合は、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループで 56.8%となって

いるが、「少ない」グループではわずか 12.9%にとどまる。また、「少ない」と思うグループでは、有給休暇

の取得日数を、0 日と回答したものが、14.2%存在する。 以上のことから、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループは、「少ない」と思うグループより実際に多く

有給休暇を取得していることがわかる。 しかし、「同じ程度」、「少ない」と思うグループで「わからない/忘れてしまった」と回答する割合が高い。

取得日数は、付与日数より記憶されているものの、それでも全体の約 4 割が、有給休暇を何日取得した

か判明しない状態である。これと比較すれば、「多い」と思うグループは、有給休暇の日数を意識して取得

をしていることが推察される。 このことから、有給休暇の取得促進の観点からは、従業員等に対して付与日数、取得済みの日数につ

いての意識付けを行う啓発が必要であると考えられる。

同僚と比較した多さによる勤務先の週休

同僚と比較した多さによる有給休暇付与日数

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

34

図表 2-3-8 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる有給休暇取得日数

③ 有給休暇取得の多さを同僚と比較したグループ別の仕事の効率

ここで、同僚より有給休暇が多いかどうかたずねたグループごとに、休日の状況と、仕事の効率性につ

いて確認する。これは、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループが、単に休日を多く取得しているだけ

なのか、それとも休暇を取得する一方で、仕事は効率良く行っているのかを明らかにするものである。企

業等にとっては、有給休暇を多く取得しても、効率的に仕事が進む従業員等が多いのであれば、取得促

進を行う動機付けとなると想定される。 ただし、実際に効率的な仕事をしているかどうかは、効率性の定義や、職種の特性によって異なること

から、厳密な測定結果を導き出すのはかなり困難だと想定される。そのため、今回は、「同じ職場の人と比

較したときに、仕事のやり方は効率が良い方だと思うか」という設問で、回答者が同僚と比較した効率性の

良さを質問した。 その結果、有給休暇が同僚と「同じ程度」、「少ない」と思うグループでは、効率は「同じ程度だと思う」と

回答したものが最も多かったのに対し、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループでは、効率が「やや良

いと思う」と回答したものが最も多くなった。さらに、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループの効率が

「かなり良いと思う」、「やや良いと思う」を合算すると、約 3 分の 2 と大部分を占める。 対照的に、有給休暇が同僚より「少ない」と思うグループでは、効率が「良くないと思う」と回答したもの

が 18.2%あり、有給休暇取得の多さと、本人が考える効率性との間には、相関があることが明らかになっ

た。 なお、有給休暇が同僚より「少ない」と思うグループで、効率が「良くないと思う」と回答したものが多い

理由としては、有給休暇付与日数の項で言及したように、勤続年数が短く、業務に習熟していない可能

性があることも想定される。ただし、本調査で効率性が低い理由については質問していないことから、この

点は新しい仮説として指摘するにとどめる。

7.2 10.6 11.9 13.5 9.4 8.3 1.0

38.1

0

20

40

0日

1~4日

5~9日

10~14日

15~19日

20日

21日以上

日数はわからな

い。あるいは忘

れてしまった。

%

全体(n=1,000)

14.2 19.1

14.5 10.2

1.5 1.2 0.0

39.2

0

20

40

%少ないと思う(n=324)

4.7 6.5 12.9 15.6

9.4 8.0 0.7

42.3

0

20

40

%同じ程度だと思う(n=449)

2.2 6.6 6.2

14.1 20.7 18.9

3.1

28.2

0

20

40

%有給休暇同僚より多いと思う(n=227)

56.8%

12.9%

33.6%

32.2%

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

35

図表 2-3-9 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる仕事の効率

次に、同じく仕事の効率性について、有給休暇を取得した後の変化について確認する。これは、休暇

取得によって心身ともにリフレッシュし、普段の業務に良い影響を与えることを想定したものである。 結果は、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループで、「とても仕事がはかどる」、「少し仕事がはかどる」

と回答したものが、57.7%と過半数を占めたのに対し、「少ない」と思うグループでは、「いつもと変わらな

い(わからない)」が 60.2%と多くなっている。 すなわち有給休暇が同僚より「多い」と思うグループは、休暇取得によって仕事の効率を高める割合が

高いのに対し、「低い」と思うグループでは低くなっている。この点でも、有給休暇取得の多さと、本人が考

える効率性との間には、相関があると言える。 図表 2-3-10 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる休暇取得後の仕事の効率

本調査では、効率性と同時に、休暇取得後の仕事への集中力、やる気について確認した。

9.7 24.7

49.3

9.4 6.9

0

20

40

60

効率は職場の人

よりかなり良い

と思う

やや良いと思う

同じ程度だと思

やや良くないと

思う

良くないと思う

%

全体(n=1,000)

11.1 19.8

36.7

14.2 18.2

0

20

40

60% 少ないと思う(n=324)

2.4

20.3

69.7

6.9 0.7 0

20

40

60% 同じ程度だと思う(n=449)

22.0

40.5 26.9

7.5 3.1 0

20

40

60%

有給休暇同僚より多いと思う(n=227)

11.1

28.7

60.2

0

20

40

60

休暇後にとても

仕事がはかどる

(例えば、いつも

より1割ほど早

く仕事が終えら

れる等)

少し仕事がはか

どる(例えば、い

つもよりは短く

なると感じる

等)

いつもと変わら

ない(わからない

を含む)

%

少ないと思う

(n=324)

23.3 34.4

42.3

0

20

40

60% 有給休暇同僚よ

り多いと思う(n=227)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

36

結果は、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループで、集中力ややる気が「とても上がる」、「少し上が

る」と回答したものが、約 3 分の 2 となったのに対し、「少ない」と思うグループでは、「いつもと変わらない

(わからない)」が 59.6%と多くなっている。 この傾向は、休暇取得後の仕事の効率性と同じであり、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループの

方が、休暇を仕事に生かす割合が高いことを示している。 図表 2-3-11 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる休暇取得後の仕事への集中力

④ 有給休暇取得の多さを同僚と比較したグループ別の休暇の取得しやすさ

同僚より有給休暇が多いかどうかたずねたグループごとに、職場での有給休暇に関する整備状況を確

認する。

図表 2-3-12 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる有給休暇の取得しやすさ

13.3 27.2

59.6

0

20

40

60

休暇後に

集中力、やる気

とても上がる

少し上がる

いつもと変わら

ない(わからない

を含む)

%

少ないと思う

(n=324)

31.3 34.4 34.4

0

20

40

60%

有給休暇同僚よ

り多いと思う(n=227)

49.8

28.6 21.6

0

20

40

60

希望するときに

いつでも取得で

きる

どちらともいえ

ない

取得しにくい

%

全体(n=1,000)

33.3 30.6 36.1

0

20

40

60% 少ないと思う

(n=324)

51.7

32.7

15.6

0

20

40

60%

同じ程度だと思う

(n=449)

69.6

17.6 12.8

0

20

40

60% 有給休暇同僚より

多いと思う(n=227)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

37

職場での有給休暇の取得のしやすさについては、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループで約 7 割

が「いつでも取得できる」と回答している。これに対し、「低い」と思うグループでは「いつでも取得できる」

は 33.3%にとどまる。むしろ、「取得しにくい」が 36.1%と、若干だが高くなっている。 次に、職場で整備されている休暇制度について確認する。 選択肢に挙げた休暇制度については、「図表 2-2-10 アンケート調査で質問した休暇制度の説

明」にて解説をしている。 整備されているもので、最も多かったのは、有給休暇の半日、時間単位などの「部分取得」である。 選択肢は、企業等対象郵送アンケート調査と一部変更してあるものの、上記の傾向は整合していること

がわかる。 この中で、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループの方が、「同じ程度」、「少ない」と思うグループよ

り、ほとんどの制度で整備されているとの回答が多い。 一方、「少ない」と思うグループでは、選択肢の中で整備されているものはないとの回答が 41.0%と、高

い割合を占めている。 なお、年末年始休暇、夏季休暇については、特別休暇として設定する場合と、有給休暇を使って取得

させる場合があることから、本ネットアンケート調査では、年末年始、夏季休暇を特別休暇として取得して

いるかどうかについて確認した。その結果、特別休暇が充てられているとの回答は、回答者全体で26.1%であった。全体で 3 割に届かない結果であったことは、有給休暇による取得の企業等が多いことを示唆し

ている。しかし、特に年末年始については、申請によって休みを取る休暇ではなく、企業等が定める休日

である可能性がある。今回は、休日については設問を設けておらず、年末年始、夏季に実際に勤務を休

んでいる割合については明らかではない。それでも特別休暇の設定の程度が 3 割弱であったことは、い

つでも取得が可能な有給休暇によって、観光需要を分散できる可能性があることを示していると言える。

図表 2-3-13 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる職場での休暇制度(複数回答)

50.7

11.3

32.2 26.1

7.0 16.4 10.5

33.4 25.4

0

20

40

60

半日、時間単位

の取得

計画的付与制度

病気休暇、看護

休暇、介護休暇

年末年始・夏季

特別休暇

誕生日休暇、授

業参観休暇等

リフレッシュ休

暇、ボランティア

休暇等

年次有給休暇の

連続取得の奨励

翌年に繰越でき

この中で整備さ

れている制度は

ない

%

全体(n=1,000)

37.0

7.1

26.5 18.5

6.5 12.3 5.9

27.2 41.0

0

20

40

60%

少ないと思う(n=324)

51.2

12.7

32.1 28.3

7.8 16.9 11.8

32.1 22.3

0

20

40

60%

同じ程度だと思う(n=449)

69.2

14.5

40.5 32.6

6.2 21.1 14.5

44.9

9.3

0

20

40

60%

有給休暇同僚より多いと思う(n=227)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

38

次に、職場における、有給休暇取得を支える取組に関して確認した。 その結果、全体として「会社の幹部が有給休暇の取得促進を宣言」というトップコミットメントが最も高か

った。 選択肢は、企業等対象郵送アンケート調査と一部変更してあるものの、この傾向も整合していることが

わかる。 また、このトップコミットメントについては、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループと、「少ない」と思う

グループで最も差が出た項目でもある。 以上のことから、トップコミットメントは、従業員の有給休暇取得に大きな役割を果たしているものと考え

られる。 なお、「少ない」と思うグループでは選択肢の中で「整備されているものはない」との回答が約 3 分の 2

に上っている。このことは、前項の休暇制度とも共通する傾向といえる。 「整備されているものはない」の回答が高いのは、本当に制度や、職場環境の整備が行われていない

のかもしれないが、存在していても、そのような施策があることを知らないだけという可能性が考えられる。

しかし本調査では、実際の職場での施策を確認できないため、その仮説を検証できない。ただし、有給休

暇の取得を促進するにあたって、企業等の側から従業員等に対し、導入している施策を組織内に十分に

情報発信することは、重要であるといえる。 図表 2-3-14 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる有給休暇に関する職場の状況

(複数回答)

⑤ 有給休暇取得の多さを同僚と比較したグループ別の仕事への取り組み方

同僚より有給休暇が多いかどうかたずねたグループごとに、仕事に対する意識に関連した項目につい

21.0 10.3 16.0 18.1 12.0 8.6

48.4

0

20

40

60

会社の幹部が、

有給休暇の取得

促進を宣言

業務内容の見直

しやICTによる

効率化

他の人が代わり

に仕事ができる

体制

休暇の予定がわ

かる体制

上司や、役職者

の積極的な有給

休暇取得

有給休暇の取得

日数、取得率の

目標

この中にあては

まるものはない

%

全体(n=1,000)

10.8 5.2 11.1 14.2 6.8 6.2

64.2

0

20

40

60%

少ないと思う(n=324)

22.5 10.7

20.0 19.6 13.4 10.9

43.7

0

20

40

60%

同じ程度だと思う(n=449)

32.6 16.7 15.0 20.7 16.7

7.5

35.2

0

20

40

60%

有給休暇同僚より多いと思う(n=227)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

39

て確認する。質問には、所定外労働(残業)等、働き方全般に関するものを含めた。 その結果、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループの方が、「少ない」と思うグループより、「定時まで

に仕事が終わるように、計画を立てたり、時間の使い方を工夫する」、「自分の仕事が終わったら、他の人

が残業していても帰る」という質問に「当てはまる」と回答したものの割合が高かった。すなわち、有給休暇

が同僚より「多い」と思うグループでは、残業についてもなるべくしないようにしていることがわかる。

図表 2-3-15 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる仕事への意識(残業)

次に、「仕事は丁寧であればあるほど良い」との質問では、「当てはまる」と回答は、有給休暇が同僚よ

り「多い」と思うグループの方が、「少ない」と思うグループよりやや高い結果となった。すなわち、「多い」と

思うグループは、有給休暇の取得をし、残業をしないが、それでも仕事を丁寧にしているということになる。

むしろ、この質問では、有給休暇が同僚より「少ない」と思うグループで、「仕事は丁寧である方が良い」と

の質問に「当てはまらない」とする回答が多いことが注目される。この結果は、有給休暇が「少ない」と思う

グループは、仕事を過剰に丁寧に行うなどして、業務を抱え込んでいるというのではないことを示唆して

いる。 図表 2-3-16 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる仕事への意識(丁寧に仕事をする)

21.9

46.3

19.4 12.3

0

20

40

60

自分の状況に当

てはまる

どちらかといえ

ば当てはまる

どちらかといえ

ば当てはまらな

自分の状況に当

てはまらない

%

少ないと思う

(n=324)

30.4

51.1

14.5 4.0

0

20

40

60

%有給休暇同僚

より多いと思う(n=227)

定時までに仕事が終わるように、計画を立てたり、

時間の使い方を工夫する 自分の仕事が終わったら、他の人が残業していても

帰る

22.5

36.4 27.8

13.3

0

20

40

自分の状況に当

てはまる

どちらかといえ

ば当てはまる

どちらかといえ

ば当てはまらな

自分の状況に当

てはまらない

%

少ないと思う

(n=324)

34.8 42.7

16.3 6.2

0

20

40

%有給休暇同僚

より多いと思う(n=227)

仕事は丁寧であればあるほど良い

9.3

44.4 35.2

11.1

0

20

40

60

自分の状況に当

てはまる

どちらかといえ

ば当てはまる

どちらかといえ

ば当てはまらな

自分の状況に当

てはまらない

%

少ないと思う

(n=324)

15.4

48.5

28.2

7.9

0

20

40

60% 有給休暇同僚より

多いと思う(n=227)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

40

仕事への士気に関しては、「職場で自分自身の能力が発揮できているか」という質問に対し、有給休暇

が同僚より「多い」と思うグループでは、「発揮できている」との回答が 55.0%だったが、「低い」と思うグル

ープでは 31.8%にとどまった。 これらのことから、有給休暇が同僚より「多い」グループでは、仕事に対して前向きに取り組み、自分の

能力が十分に発揮できていると考え、士気が高い状態であるが、これに対して「低い」と思うグループでは、

仕事はしているものの士気が相対的に低い状態であることが想定される。

図表 2-3-17 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる能力の発揮

このような仕事への姿勢や、実績が企業等でどのように評価されているかについて、年収での比較を

行った。一般的に年収は、年齢が上がるにつれて上昇する傾向があること、民間企業と行政機関では評

価と年収との関係性が異なると想定されることから、同じ条件になりやすい属性に絞って比較を行った。 具体的には、民間企業の 20~30 代の属性において比較した。 その結果、民間企業の 20~30 代の回答者全体では、最も多いのは「300 万円以上 400 万円未満」で

あり、その傾向はすべてのグループで同様であった。しかし、「多い」と思うグループでは、「200 万円以上

300 万円未満」の割合がやや少なく、「400 万円以上 500 万円未満」の割合がやや高くなっている。すな

わち、全体と比較すれば、やや年収が高い回答者の割合が多い傾向にある。 実は、「多い」と思うグループの属性は、他のグループより、女性が占める比率が高い。一方で、厚生労

働省「賃金構造基本統計調査」によれば、男性は女性よりすべての年代において賃金の水準が高い。 年収が決定される要因は多岐にわたると推定されるが、それでも女性の比率が高い「多い」と思われる

グループであっても年収がやや高い傾向にあるのは、特筆すべき点であると考えられる。

8.2

28.6 41.2

13.2 8.8

0

20

40

60

能力を十分発揮

できている

どちらかといえ

ば発揮できてい

職場の人と同じ

程度

どちらかといえ

ば発揮できてい

ない

ほとんど発揮で

きていない

%

全体(n=1,000)

4.9

26.9 32.7 16.4 19.1

0

20

40

60%

少ないと思う

(n=324)

5.8

25.4

54.1

11.4 3.3

0

20

40

60%

同じ程度だと思う

(n=449)

17.6

37.4 27.8

12.3 4.8

0

20

40

60%

有給休暇同僚より

多いと思う(n=227)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

41

図表 2-3-18 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる年収の状況(民間企業 20~30代)

図表 2-3-19 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる性年代属性(民間企業)

図表 2-3-20 (参考)性年代による賃金の状況

出所:厚生労働省「平成 28年賃金構造基本統計調査」

7.5

23.0 28.8

18.8

8.0 4.8 3.8 5.5

0

20

40

200万円

未満

200万円~

300万円~

400万円~

500万円~

600万円~

700万円~

800万円~

%

全体(n=400)

10.7

24.0 26.4 17.4

8.3 3.3 2.5

7.4

0

20

40

%少ないと思う(n=121)

4.9

24.0 32.8

18.0

6.6 4.9 4.4 4.4

0

20

40

%同じ程度だと思う(n=183)

8.3

19.8 24.0 21.9

10.4 6.3 4.2 5.2

0

20

40

%有給休暇同僚より多いと思う(n=96)

平成28年

賃金(千円)

対前年増減率 (%)

年齢階級間賃金格差(20~24歳=100)

賃金(千円)

対前年増減率 (%)

年齢階級間賃金格差(20~24歳=100)

年齢計 335.2 0.0 160.3 244.6 1.1 122.6

20~24歳 209.1 2.0 100.0 199.5 1.5 100.0

25~29 245.8 1.0 117.6 225.1 1.6 112.8

30~34 286.9 1.5 137.2 243.4 2.1 122.0

35~39 323.8 0.8 154.9 253.6 1.8 127.1

40~44 360.7 0.3 172.5 261.4 -0.5 131.0

45~49 401.3 -1.1 191.9 268.0 0.5 134.3

50~54 425.7 -1.0 203.6 269.5 1.0 135.1

55~59 411.8 0.0 196.9 259.6 1.8 130.1

60~64 291.3 -0.2 139.3 218.2 -1.6 109.4

65~69 270.7 2.3 129.5 212.1 -5.3 106.3

年齢(歳) 43.0 40.7

勤続年数(年) 13.3 9.3 注:年齢計には、上掲の年齢階級に限らず、全ての年齢の者を含む。

年齢階級

男 女

一般労働者(短時間労働者以外の労働者)の賃金(月額)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

42

⑥ 有給休暇取得の多さを同僚と比較したグループ別の休暇に対する意識

最後に、同僚より有給休暇が多いかどうかたずねたグループごとに、休暇に対する意識について確認

する。 まず、有給休暇の複数の使い方のうち、優先順位が最も高いもの一つを選択してもらった。選択肢は、

「年末年始、お盆、ゴールデンウィークなどの時期により長く休むために使う」、「休日や祝日と組み合わ

せて、より長く休むために使う」、「休日や祝日と関係なく、2 日以上まとめて使う」、「休日や祝日と関係な

く、1 日単位で使う」の 4 種類である。 この結果、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループでは、既存の休日等と組み合わせてより長く取得

することを優先するのに対し、「少ない」と思うグループでは、1 日単位での取得を優先する傾向にあること

がわかった。 このことは、既に有給休暇を多く取得している、「多い」と思うグループの方が、長い休暇を好み、あまり

休暇を取得していない「少ない」と思うグループでは短い休暇への意向が強いことを示している。 図表 2-3-21 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる優先順位が高い有給休暇の使い方

一方で、心理的な阻害要因として、「職場の人が働いている日に休んで、旅行やレジャーに行くことに

罪悪感がある」という質問については、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループ、「少ない」と思うグルー

プとも、「当てはまらない」、「どちらかといえば当てはまらない」方が、「当てはまる」、「どちらかといえば当

てはまる」より多い。 有給休暇が同僚より「多い」グループであっても、罪悪感があるに「当てはまる」との回答が 15.4%あるこ

とは、有給休暇の取得促進で、観光需要を拡大していく上でのハードルになると想定される。この点で、

企業等向け郵送アンケートで、有給休暇取得が「増加した」グループが、社内で旅行の促進を実施してい

ることは、平日の休暇を旅行に使うための心理的なハードルを下げる点で重要な取組であると言える。

14.8 25.3

7.4

52.5

0

20

40

60

年末年始、お

盆、ゴールデン

ウィーク等で、

より長く休むた

めに使う

休日や祝日と組

み合わせて、よ

り長く休むため

に使う

休日や祝日とは

関係なく、2日

以上まとめて使

休日や祝日とは

関係なく、1日

単位で使う

%

少ないと思う

(n=324)

24.2 34.8

6.6

34.4

0

20

40

60

%有給休暇同僚

より多いと思う(n=227)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

43

図表 2-3-22 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる休暇への意識(罪悪感)

次に、有給休暇が 3 日増加したと想定した場合の使い道に関して質問を行った。3日と設定した理由

は、第1章の「業務の目的」にあるように、経済界から有給休暇の取得を年 3 日増加させる方針が表明さ

れたことから、現実的な目標だと想定したことによる。

図表 2-3-23 有給休暇取得を同僚と比較した多さによる有給休暇が 3日増加した場合の

使い道(複数回答)

使い道については、旅行だけではなく、それ以外の使い道の選択肢を準備した。また、旅行について

も、宿泊をともなうもの、日帰り、海外旅行を含めた選択肢とした。これを、3 日連続で使用しないことも想

定し、複数回答で利用意向を質問した。 その結果、最も多い使い道は、「1 泊以上の国内旅行」、次いで「自宅での休養等」となった。「1 泊以

51.9

21.4 20.9 20.0 32.5

11.1 9.3 3.4 13.2

0

20

40

60

国内旅行(1泊

以上)

国内旅行(日帰

り)

海外旅行

旅行以外のレ

ジャー(趣味やス

ポーツなど)

自宅で休養、近

隣の買物・食事

等日常的な行動

家事・育児・介護

など、家族のた

めの時間

通院、入院、人

間ドックなど自

身の健康維持

それ以外の用事

取得できたとし

ても、これ以上

使わない

%

全体(n=1,000)

46.0

18.2 18.2 16.4 30.6

11.1 9.6 4.0

23.1

0

20

40

60%

少ないと思う

(n=324)

53.7

19.4 20.9 21.6 32.5

9.8 7.8 3.6 9.4

0

20

40

60%

同じ程度だと思う

(n=449)

56.8

30.0 24.7 22.0 35.2

13.7 11.9 2.2 6.6

0

20

40

60%

有給休暇同僚より

多いと思う(n=227)

職場の人が働いている日に休ん

で、旅行やレジャーに行くことに罪

悪感がある

13.6

27.5 35.8

23.1

0

20

40

自分の状況に当

てはまる

どちらかといえ

ば当てはまる

どちらかといえ

ば当てはまらな

自分の状況に当

てはまらない

%

少ないと思う

(n=324)

15.4 24.2

29.1 31.3

0

20

40

%有給休暇同僚より

多いと思う(n=227)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

44

上の国内旅行」が最多となったことは、有給休暇の取得促進によって、国内の観光需要を押し上げる基

礎となると考えられる。 本調査では、国内旅行、海外旅行合わせて「旅行」に行くと回答した割合は、有給休暇が同僚より「多

い」と思うグループが、「少ない」と思うグループより高い。すなわち、既に有給休暇を多く取得している「多

い」と思うグループの方が、旅行に行くことに積極的であることがわかる。 またこの結果では、有給休暇が同僚より「少ない」と思うグループで、「有給休暇を取得できたとしてもこ

れ以上使わない」との回答が、23.1%あることに注目すべきである。すなわち、「少ない」と思うグループの

約 4 人に 1 人は、有給休暇を積極的に使わないと想定される。この点も、今後有給休暇の取得を、観光

需要につなげていくためのハードルの一つになると考えられる。 なお、「1 泊以上の国内旅行」が、回答者全体で 51.9%となった値は、「1-4 先行調査」で挙げた調

査 6の類似の質問で近似の値となっており、信頼性は高い結果であると想定される。 さらに、有給休暇が 3 日増加した場合に、「1 泊以上の国内旅行」に行くと回答した人のみに、そのうち

何日を 1 泊以上の国内旅行に使う意向か質問した。3 日休暇が増加した場合に、3 日すべてを旅行に使

うのか、一部を残すのかを確認するためである。 その結果、有給休暇が同僚より「多い」と思うグループでは3日ともすべて旅行に使うとの回答が43.4%

だったのに対し、「少ない」と思うグループでは、32.9%にとどまった。全体的に、「少ない」と思うグループ

では、「多い」と思うグループより、休暇日数を残しておきたい意向が伺える。このことは、先にみた「優先

順位が高い有給休暇の使い方」において、「少ない」と思うグループは短い休暇を取得する傾向があるこ

とと整合する結果といえる。

図表 2-3-24 「国内旅行(1泊以上)」の回答者のみ 「国内旅行(1泊以上)」に使う日数

(4)従業員等対象ネットアンケート調査のまとめ

従業員等対象ネットアンケート調査では、仕事、休暇に対する行動、意識について定量的に確認した。

対象者は、中小規模企業に勤務している割合が多く、実態に近い結果になっていると想定される。 本ネットアンケート調査から得られた結果を以下のようにまとめた。

6 「労働時間管理と効率的な働き方に関する調査、労働時間や働き方のニーズに関する調査」独立行政法人労働政策研

究・研修機構(2016 年)

32.9

51.0

16.1

0

20

40

60

3日分全て

2日分

1日分のみ

%

少ないと思う

(n=149)

43.4 45.0

11.6

0

20

40

60% 有給休暇同僚より

多いと思う(n=129)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

45

① 休暇の状況

回答者の週休制度は、完全週休 2 日制、完全週休 2 日制より多い制度で、約 8 割であった。また、土

曜休みが約7割、日曜休みが約 8 割、土日両方休みが約 7 割であった。回答者の属性は中小規模の組

織の割合が 3 分の 2 とかなり実態に近い。そのため、土日に休日がある従業員等が大部分であることは、

宿泊業の週内の観光需要の平準化には、有給休暇の取得促進が果たす役割が大きいと想定される。

② 「職場の人より有給休暇を多く取得している」従業員等の特徴

有給休暇の取得の多い属性の特徴を調べるために、「同じ職場の人と比較したときに、あなたは有給

休暇を多く取っている方だと思うか」との設問で、「多い」と思う、「同じ程度」だと思う、「少ない」と思うグル

ープ分けをして回答を比較した。その結果、以下のことがわかった。 1)属性 本人、家族に関する属性では、「多い」と思うグループで女性、既婚の比率が他のグループより高

い。年代では、「多い」と思うグループが低い年代である傾向にあり、「少ない」と思うグループで高

い傾向にある。特に、家族構成では、「多い」と思うグループで「未就学児を含む家族」が多かった。 職場に関する属性の傾向が異なる。 業種では「多い」と思うグループの行政機関が多く、「少な

い」と思うグループでは、卸売業・小売業が多い。組織規模では「多い」と思うグループで大規模組

織が多く、「少ない」と思うグループでは小規模組織が多い。職種では、「多い」と思うグループで

総務・人事・経理、一般事務・受付・秘書が、「少ない」と思うグループでは営業・販売が多い。 休日の状況では、有給休暇については、「多い」グループで、付与日数も取得日数も多い。一方

で、「少ない」と思うグループでは、有給休暇の付与日数も取得日数も少ない。しかし、「同じ程度」、

「少ない」と思うグループで「わからない/忘れてしまった」と回答する割合が高い。これを比較すると、

「多い」グループは、有給休暇の日数を意識して取得をしていることが伺える。また「多い」と思うグ

ループは土日休みが多い。 2)仕事への取り組み方、職場の状況 仕事の効率については、有給休暇取得の多さと、本人が考える効率性との間には、ある程度相関

がある。「同じ職場の人と比較したときに、仕事のやり方は効率が良い方だと思うか」という設問に、

「多い」と思うグループで、「効率が良いと思う」と回答した割合が高い。有給休暇を取得した後の

仕事効率性についても「多い」と思うグループは、休暇取得によって仕事の効率が高まるとする割

合が高い。さらに、有給休暇取得後の仕事への集中力、やる気についても、「多い」と思うグルー

プの方が、「少ない」と思うグループより集中力、やる気が「とても上がる」、「上がる」と回答する割

合が高かった。 職場での有給休暇の取得しやすさでは、「多い」と思うグループの方が「低い」と思うグループより

「取得しやすい」と回答している。また、職場の休暇制度の整備も「多い」と思うグループの方が施

策の数が多い。これは企業等郵送アンケート調査の結果と同じ傾向である。組織内の取組におい

ても、「多い」と思うグループでトップコミットメントがある割合が高く、業務の見直しや ICT による効

率化等、全体的に取組の割合が高い。 仕事への意識は、「多い」と思うグループは、残業を少なくする一方で、仕事を大切に考えている。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

46

「職場で自分自身の能力が発揮できているか」という問についても「発揮できている」との回答が高

い。 3)休暇への意向 休暇に関しては、有給休暇が 3日増加したと想定した場合、「1泊以上の国内旅行」が「多い」と思

うグループ、「少ない」と思うグループとも最多で、約半数となった。ただし、3 日のうち旅行に使う

日数は、「少ない」と思うグループで旅行以外の過ごし方に残しておきたい傾向がある。 休暇に対する意識では、既に有給休暇を多く取得している「多い」と思うグループの方が、長い休

暇を、あまり休暇を取得していない「少ない」と思うグループでは短い休暇を取得する意向が強い。 しかし、「職場の人が働いている日に休んで、旅行やレジャーに行くことに罪悪感がある」という質

問には、「多い」と思うグループ、「少ない」と思うグループとも「当てはまる」との回答が約 6 人に 1人いる。

③ 有給休暇の取得増加による観光需要の可能性

有給休暇が 3 日増加した場合に 1 泊以上の国内旅行に行く意向は高く、有給休暇の取得促進

は、観光需要の拡大につながると想定される。 有給休暇を多く取得している人は、仕事の効率が高く、士気も高く仕事をしている。ただし、業種

や企業規模、職場の施策によって有給休暇の取得のしやすさに差がある。組織の特性に合わせ

た改善を行った上で、従業員等に対しても有給休暇を多く取得している人の行動、意識に合わせ

た啓発、教育の対応が必要である。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

47

2-4 調査結果 企業等ヒアリング調査

(1)対象企業の取組概要

本調査では、10 社、1 機関において、人事担当者、広報担当者、または経営者に休暇取得促進の取

組に関してヒアリング調査を行った。 企業等選定にあたっては、本ヒアリング調査は有給休暇取得の先進的な取組を実施している企業及び

行政機関を対象とし、有効な取組の内容について調査することを目的とし、有給休暇取得が進まない背

景には、業種・組織規模等によって特有の事情が存在すると推測されるとの理由により、以下 3 点を条件

とした。 有給休暇取得率が、おおむね平均より高いこと 有給休暇取得促進、休暇施策に関する何らかの取組を行い効果が確認されていること 業種、組織規模が様々な企業から選定すること ヒアリング調査においては、施策そのものに関する質問に加え、施策を実現性の高いものにするには

休暇を取得しやすくする職場環境の整備が必要であり、さらに、休暇を取得することに心理的な抵抗があ

る従業員の内面への働きかけ、休暇取得の動機付けを行う必要があるとの仮定に基づいて、以下 3 つの

観点からヒアリング調査を行った。 施策に関して(導入の背景、内容詳細、効果) 休暇取得を可能とする職場環境の整備 休暇の積極的な活用への動機付け

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

48

図表 2-4-1 対象企業の取組概要(一覧)

組織名 株式会社ダッ

ドウェイ 中外医薬生産

株式会社 拓新産業株

式会社 株式会社お

佛壇のやまき

日本システ

ムウエア株

式会社 兼松株式会社

所在地 神奈川県 三重県 福岡県 静岡県 東京都 東京都

分類 子供服製

造・小売 医薬品製造 建設機材レ

ンタル 仏壇、墓石

販売 システム開発 総合商社

従 業 員 ・ 職

員数 302 名 83 名 75 名 30 名 1,561 名 816 名

男女比 男性 21% 女性 79%

男性 43% 女性 57%

男性 60% 女性 40%

男性 53% 女性 47%

男性 90% 女性 10%

男性 68% 女性 32%

男女別平均

年齢

男性 37 歳

女性 36 歳 全社平均

36 歳 男性 42 歳

女性 39 歳 男性 48 歳

女性 48 歳 男性 42 歳

女性 38 歳 男性 41 歳

女性 38 歳 有給休暇取

得率・日数 72.7% 28.7% 89.9% 100.0% 68.0% 59.7%

※補足 繰越分を含

めた取得率

のため、単

年度ではほ

ぼ倍になる

有給休暇等

の取組

特 別 休 暇

「ハッピーホ

リデー」従来

夏季特別休

暇だった制

度を、時期を

問わずいつ

でも取得で

きるように変

更(年4日付

与)

計 画 的 付

与、半日単

位での取得

「完全週休 2日制・有給

休暇の完全

消化・残業

ゼロ・休日出

勤ゼロ 」を目標にした

取組

「ファミリー休

暇制度」旅

行等、家族

行事に有給

休暇と週休

等で 5 日以

上の連続休

暇をとった場

合、家族イ

ベント手当(3万円)を支給

特 別 休 暇

「NSW ホリ

デ イ 」 土 曜

日・日曜日と

合わせて 9日間の連続

休暇が取れ

る制度で 、

取得を義務

付け

「ブロンズウ

ィーク」飛び

石連休の中

日、3 連休の

前後で 1 日

有給休暇を

取得し、4 連

休以上の連

続休暇取得

を推奨する

取 得 目 標

/KPI

「ハッピーホ

リデー」の取

得率 90%

有給休暇の

完全消化 有給取得率

100% 2017年度有

給休暇取得

率 70%

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

49

組織名 オリックス株式会

社 株式会社リクル

ートキャリア イケア・ジャパ

ン株式会社 株式会社東急

ホテルズ 横浜市

所在地 東京都 東京都 千葉県 東京都 神奈川県

分類 金融サービス 人材紹介 小売 ホテル経営 地方公共団体

従業員・職

員数 3,524 名 3,341 名 約 2,800 名 184 名 27,179 名

男女比 男性 58% 女性 42%

男性 44% 女性 56%

男性 36% 女性 64%

男性 76% 女性 24%

男性 64% 女性 36%

男女別平均

年齢

男性 44 歳 女性 39 歳

男性 32 歳 女性 32 歳

男性 36 歳 女性 38 歳

男性 51 歳 女性 37 歳

男性 42 歳 女性 35 歳

有給休暇取

得状況 64.9% 54.2% 84.0% 73.0% 平均取得日数

13.9 日 ※補足 繰越分を含め

た計算 10 日以上の

取 得 割 合

69.3% 有給休暇等

の取組

5 営業日以上

の連続休暇取

得に対して、

役職に応じて

3〜5万円の

奨励金を支給

する

*「アニバー

サリー休暇」4日以上の有給

休暇連続取得

で 6 万円を支

給 * 特 別 休 暇

「リフレッシュ

休暇」3 年ごと

に連続 5 日間

の休暇を取得

で、24 万円支

企業風土の徹

底した教育 失効した有給

休暇積立ての

取得条件を、

本人の疾病以

外にも、2親等

以内の家族の

介護、看護、

妊婦の通院に

も拡大

「 2+5 (ニッコ

リ)休暇」 有

給休暇 2 日と

夏季休暇 5 日

を組み合わせ

て長期休暇を

取得しようとい

う呼びかけ

取 得 目 標

/KPI

2018 度有給

休 暇 取 得 率

80%

2019 年度、

10 日以上の

有給休暇取得

率 100%

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

50

(2)企業等にとっての休暇取得促進の位置づけ

各企業・機関とも、それぞれの業種・業態、求められる従業員の働き方、社風に適合した各種の施策を

導入し成果を出しており、他の企業・機関にとって休暇制度そのものが画一的な処方箋にはならない。し

かし、休暇取得を可能とする職場環境改善の成功要因には、多くの企業に共通するものがあると思われ

る。ヒアリング調査結果から検討すると、次のようなポイントが挙げられる。 導入のきっかけは、経営上の問題意識であり、休暇取得促進の取組は、経営課題を解決するた

めの企業(組織)戦略として位置づけられ、休暇取得促進そのものが単独の目標、取組とされるの

ではなく、所定外労働時間削減、ワークライフバランスなど、他の働きやすさの改善、職場環境改

善の取組と連動して実施されている。 導入のプロセスでは、現場の実情にあった使い勝手の良い施策に設計するために、従業員のニ

ーズを丁寧に集め、施策設計に反映させている。一方で、反対意見への対応、変革をともなう施

策導入には経営トップの強いリーダーシップが発揮されている。 職場の現状に合わせた、休暇を取得しやすくするための各種の施策が導入されている。①休暇

制度、②その制度の実効性を高めるための、休暇取得を徹底させる施策、さらには、③休暇取得

しやすい雰囲気の醸成のための施策、④休暇取得への動機付けのための施策が導入されている。 次に、休暇そのもの以外の職場環境を改善する複数の取組を行うことで、休暇取得を可能にして

いる。それらの取組は、主に①業務効率化、②部分不在への対応、③人員の補充・維持の 3 つの

観点から行われている。 上記の取組によって、導入のきっかけとなった経営課題の解決以外にも、複数の副次的効果がで

ている点でも共通している。 次に、上記の共通点に関して、具体的な企業・機関の取組を検証していく。

図表 2-4-2 企業等にとっての休暇取得促進の位置づけ

(3)取組を実施するきっかけ

休暇取得促進の取組は、人材確保、新たなアイデア創出の促進、事業のグローバル化にともなうグロ

ーバル人材の採用、生産性の向上など、経営全般に係る問題意識がきっかけとなっている。 縮小する労働市場において優秀な人材を確保するには、あらゆるライフステージにある女性、外国人

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

51

等も含めた多様な人材が働きやすい環境を提供する必要があり、休暇取得促進への取組はその一環と

して行われている。ダッドウェイでは、従業員の約 80%が女性であり、家庭と仕事を両立できる職場環境

の整備を進めた。拓新産業では、中途採用の離職率の高さ、新卒者の採用の難しさに直面し、若い層の

求める働きやすい環境を整備すべく休暇取得促進に取り組んだ。 新しい価値をうみだすことで成長を続けているオリックス、リクルートキャリアでは、長期連続休暇の活用

によりリフレッシュし、社外での見聞を広げることにより新しいアイデアが出やすい環境整備を目的として

休暇取得促進に取り組んでいる。 事業のグローバル展開を続けるオリックスでは、外国人を含んだグローバル人材にとって魅力ある会社

とすべく休暇取得促進をしている。 お佛壇のやまきでは、縮小する市場環境の中で、有給休暇取得率が高い従業員の方が良い営業成

績を上げているとの分析結果に基づいて、生産性を上げる手段のひとつとして、休暇取得促進に取り組

んでいる。兼松では、各人が生き生きと働ける環境の整備が企業成長に必須ととらえ、ワークライフバラン

スの実現を人事の中期ビジョンの一つに掲げ、休暇取得促進に着手した。 イケア・ジャパン、ダッドウェイではライフスタイルを重視する企業コンセプトを体現すべく、休暇が取りや

すい企業文化が醸成されている。 政令指定都市最大の人口を抱える横浜市では、複雑・高度化する政策課題等に対応すべく、増加傾

向にある女性職員や時間的制約を抱える職員も、最大限に力を発揮できる組織づくりを進めており、その

一環として、休暇を取りやすい職場環境の整備に組織一丸となって取り組んでいる。

図表 2-4-3 休暇取得促進の取組のきっかけ

(4)施策導入プロセス

兼松では、労働組合の協力を得て「強制なら休みやすい。」、「休みに柔軟性を持たせたい。」という相

対する従業員からの意見を把握し、課単位で年に最低 4 回(各回 1 日)の有給休暇取得日を設定し、そ

の候補日から個人が最低 2 回以上を選択する制度とし、双方の意見をバランスした制度にした。 ダッドウェイでは、中小企業であるという規模のメリットを生かし、社長と従業員の活発なコミュニケーショ

ンから意見を抽出したり、従業員から上司への相談内容を参考として、子供が生まれてから成長するまで

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

52

の間に、どんな支援が必要かの社員ニーズを整理した。この結果に基づいて、休暇制度を含めた人事制

度を設計した。 導入時のみならず、導入後も社員のニーズに合わせて変更を加え、より使い勝手を良くする努力がみ

られる。中外医薬生産では、製造部門を 2部門に分け(A製剤部門(+事務、品質管理) B包装部門)、

日にちをずらして一斉休暇と定めていたが、「同じ工場の中で、計画有給休暇中の部門のエリアは電気

が消えて真っ暗となり、その横で仕事をするのは、休日出勤しているようで、士気が下がる。」との従業員

の声を反映して、 ①生産系部門と ②販売管理部門に 2 つに分けて、業務事情にあった期間に休むと

いう制度に変更した。製造部門を製剤と包装に分けて休暇を取る方が、工場の生産性は高いが、社員の

要望を優先している。 日本システムウエア、ダッドウェイでは、施策導入時は、夏季の期間限定だった特別休暇取得時期を、

プロジェクトの状況、顧客の事情により、夏季限定では休みにくいとの社員の声を反映して、取得時期を

定めない特別休暇へと変更している。オリックスでは、トライアルとして昨年「夏季休暇取得奨励金制度」

を導入し、現場の声を反映し、期間の制限をなくして、本格導入することとなった。 一方で、経営トップの強いリーダーシップも、特に中小企業では、重要である。中外医薬生産、拓新産

業においては、「部下が休むと、上司にしわ寄せがくる。」「計画的付与では、好きな時に休むことができ

ない。」等の反対意見があったが、社長の強いリーダーシップで説得している。 オリックスでは、経営トップ直轄の「職場改革プロジェクト」立ち上げ、さまざまな事業分野、職種、年齢

層の社員で構成された委員会を発足し、より働きがいのある職場づくりに関して経営トップに提言を行い、

それに基づき施策を設計するというボトムアップの方式をとっている。多くの事業を抱えるオリックスにおい

て、事業特性に応じた施策をつくろうとの試みである。一方で、社員からの提言に先行して、会社から取

得奨励金をともなう有給休暇取得制度の導入、複数の労務に関する制度の変更を発表することによって、

経営トップが、働き方改革に本気であるというメッセージを発している。

図表 2-4-4 取組導入時点での反対意見

図表 2-4-5 反対意見への対応

(5)休暇を取得しやすくするための取組

① 休暇制度の設計

休暇を取得しやすくするため、業務の特色、従業員のニーズに応じて、複数の制度を整備している。 半日、時間単位の細かい単位で有給休暇を取得できる制度にすることで、使い勝手を良くしているの

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

53

は、ダッドウェイ、中外医薬生産、日本システムウエア、横浜市、東急ホテルズである。特にダッドウェイ、

中外医薬生産では、子育て中の女性に多く活用されており、子供の学校行事、通院、送り迎え等に活用

されている。日本システムウエア、横浜市では、業務の調整ができれば、理由を問わず休暇が取得でき、

半日休暇を取得し、自己のリフレッシュにも活用されている。東急ホテルズでは、本社でのみ導入されて

いた半日休取得制度を全社に導入し、行政機関や病院へ行くなどの理由で活用されている。 中外医薬生産、お佛壇のやまきでは、有給休暇の計画的な付与を行うことで、周囲に気を使わずに休

める仕組を構築している。中外医薬生産では部門ごとに付与パターンを変え、業務効率への影響を少な

くしている。お佛壇のやまきでは、繁忙期であるお盆の後に休むことで業務への影響を抑えている。東急

ホテルズでは、従業員をいくつかのグループに分けて、取得日を決め、1 年に 1 回の計画取得日をシフト

に組み込み、公休と合わせて 2~3 日の連続休暇を取得させる計画取得を 2017 年度より導入予定であ

る。 兼松では、飛び石連休の中日、3 連休の前後で 1 日有給休暇を取得し、4 連休以上の連続休暇取得

を推奨している。また、会社一斉ではなく、部門ごとの繁閑に合わせて、この日程を決めることで、業務へ

の影響を最小限にしている。 特別休暇制度により、休暇取得を促進している企業も複数ある。日本システムウエアでは、「NSW ホリ

デイ」により、取得期間を限定しない連続 5 日間の特別休暇が付与されて、原則取得が義務とされており、

通年 90%の以上の取得率となっている。ダッドウェイでは、特別休暇の「ハッピーホリデー」が年 4 日付与

される。年間を通していつでも取れる休みであり、連続で使っても、1 日単位で使ってもよい。横浜市では、

6~9 月に夏季特別休暇5日に有給休暇を組み合わせて取得しようという働きかけを各部局で行っており、

ある部局では「2+5(ニッコリ)休暇」とネーミングした呼びかけを行うなど、長期での休暇取得も促している。

リクルートキャリアでは、「リフレッシュ休暇」制度により 3 年ごとに連続した 5 営業日の特別休暇を取得で

き、手当 24 万円が支給される。 失効した有給休暇の積立制度は、従業員やその家族が病気になり休暇が必要な場合等に活用できる

ようにすることで、自身や家族が病気になった時のために有給休暇を残しておく必要がなくなるという効果

がある。兼松では、年 5 日を限度に 60 日間まで積み立てることができ、傷病休暇として活用するこが可

能である。傷病休暇取得には、連続して 15 日以上休み、且つ医師の診断書の提出をするという条件が

ある。オリックスでは、40 日まで積み立てることができる。これまでは、有給休暇をすべて取得し、さらに病

気や家族の介護などで連続して 10 営業日以上の休暇が必要となった場合のみ積立休暇の取得が可能

であったが、2017 年 4 月より有給休暇消化後すぐに適用されるように、適用条件を変更することで、急な

病気のために有給休暇を使わずに残す必要がなくなる。東急ホテルズでは、2 年以内の分を 30 日まで

積立可能である。また適用条件を、本人の疾病以外にも、2 親等以内の家族の介護、看護、妊婦の通院

にも拡大し、有給休暇のリフレッシュでの活用の促進をしている。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

54

図表 2-4-6 休暇の取得しやすさ(休暇制度の設計)

② 休暇取得を徹底させる取組

さらに、休暇取得を徹底させる取組を行うことで、休暇制度の実効性を上げている。 取得率、取得目標を公表することで、休暇取得を徹底させているのは、拓新産業、横浜市、リクルート

キャリアである。拓新産業では、1989 年から「完全週休 2 日制・有給休暇の完全消化・残業ゼロ・休日出

勤ゼロ 」を目標に取り組むことを宣言した。導入時は3か月に1回、全員の有給休暇取得率を発表した。

社長が本気で有給休暇を取得させたいと考えていることを、社内に徹底させるためである。それを約 3 年

続け、ほぼ取得しやすさは徹底したが、現在も 4 か月に 1 回発表している。新入社員に、社風として徹底

させるためと、取得期限間際になってから、仕事の都合で取得できないということを未然に防ぎ、計画的

に取得してもらうためである。横浜市では、10 日以上の有給休暇取得を目標としており、部局によっては、

毎月の進捗管理として各部署の取得状況を一覧にして共有している。また、勤怠管理システムのデータ

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

55

を取り込むと自動的に取得状況のグラフが表示される職員自主製作のツールが、イントラネットで共有さ

れており、各部署で活用できるようになっている。リクルートキャリアでは、年度末の駆け込み有給休暇取

得が部門内で重ならないよう、計画的な取得を呼びかけている。 休暇取得を徹底させる取組には、複数の企業・機関で、上司が重要な役割を担っていることが確認さ

れた。お佛壇のやまき、横浜市では、部下の有給休暇取得率が上司の評価項目に加えられているため、

上司は部下が休めるような業務と人員の管理をしなければならない。横浜市では、管理職に職場のワー

クライフバランス推進につながる目標設定を義務付けており、年次休暇の取得促進もそのひとつに含まれ

る。特に、設定した目標に対し具体的にどのような対策を講じてきたかが評価される。拓新産業では、管

理職の早朝出社を辞めさせることによって、「社長が長く働くことを期待していない」というメッセージを示し

た。システム開発を行う日本システムウエアでは、プロジェクトマネージャである上司の裁量で、納期の後、

繁忙期の前後等で部下が休暇を取れるよう調整を行っている。また、横浜市では、ゴールデンウィークや

お盆の時期に連続休暇が取得しやすくなるよう、庁内の会議等の開催を自粛するよう呼びかけている。 従業員・職員の意識改革のために、イケア・ジャパンでは、イケアバリューの浸透を目的としたトレーニ

ングを行い、その一部として「休むことは良いことである。」との考えを浸透させている。横浜市でも、職務

の階級に応じて、ワークライフバランスの重要性を学ぶ研修を繰り返し行っている。 拓新産業では、顧客へのイレギュラーな対応をなくすことで、業務の効率化を図り、休暇を取得できる

状況をつくった。ダッドウェイでも、仕事に従業員のスケジュールを合わせるのではなく、従業員のスケジ

ュールに仕事を合わせるという選択をする場合もあり、個人のスケジュールを優先できる状況をつくってい

る。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

56

図表 2-4-7 休暇の取得しやすさ(休暇取得を徹底させる取組)

③ 休暇取得しやすい雰囲気の醸成

日本システムウエア、兼松、リクルートキャリアでは、社内報や社内掲示板に、同僚の旅行や、ボランテ

ィア活動等の休暇活用方法を掲載することにより、前向きに休暇を有効活用し、リフレッシュしたり、社外

で見分を広めたり、自己啓発を行ったりするアイデアを紹介している。他の従業員がこの情報をみて、刺

激を受け「自分も旅行へ行ってみよう。」というような動機付けになっている。また、社員同士の休暇に関す

るコミュニケーションのきっかけにもなっている。 イケア・ジャパン、ダッドウェイでは、休暇を楽しむという姿勢が浸透しているため、休暇を利用しての活

動や、次の休暇の予定などが日常的な会話となっている。 上記のように、休暇についての会話が日常的に行われることで、休暇を取得しやすい雰囲気が醸成さ

れている。 また、ヒアリングを行った全企業、機関において、上司が積極的に休暇を取得することが、部下が休暇

を取得しやすい雰囲気につながっているとの声が聞かれた。従業員等対象ネットアンケート調査におい

ても同様の結果がみられており、整合していると言える。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

57

図表 2-4-8 休暇の取得しやすさ(取得しやすい雰囲気の醸成)

④ 休暇取得への動機付け

オリックス、お佛壇のやまき、リクルートキャリアでは、連続休暇取得に対して奨励金を支給して、従業

員への休暇取得の動機付けを行っている。また、奨励金が出ることで、従業員の「旅行へ行ってみよう。」、

「何かを学んでみよう。」といった前向きな休暇活用の促進にもつながっている。 お佛壇のやまきにおける、手当を支給する基本の考えは、「がんばって休暇を取った。」ことへのねぎら

いである。心理的に休みにくいことへの対応として、複数の手段で有給休暇が取得できる制度を実施して

いるが、有給休暇取得 100%を達成したときの手当は、中小企業で人数が少ないと従業員には休むこと

が負担だと考えての導入であり、手当には、会社から休んで大丈夫であるメッセージの意味を込めている。 また、ファミリー休暇での手当を受領するには、休暇の活用方法に関して簡単な報告書を提出する条

件がある。内容は、子供の運動会でも、介護のための帰省でも、必ずしもレジャーに関するものである必

要はない。リクルートキャリアでも、手当の支給には報告書の提出が必要である。 従業員等ネットアンケート調査において、有給休暇取得率が高い従業員でも「休むことに罪悪感があ

る。」という結果があった。休暇を取得しやすい雰囲気の醸成、休暇取得への動機付けに関する施策は、

このような従業員の心理に有効であるということが言える。

図表 2-4-9 休暇の取得しやすさ(奨励金等による動機付け)

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

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(6)休暇を取りやすい職場環境の整備

① 業務効率化の取組

業務量が多く休めないという状況を回避するため、多くの企業・機関で、業務の効率化への取組が行

われている。 ダッドウェイでは、社長と副社長が発起人となり、横浜市から派遣された社会保険労務士をアドバイザ

ーとして加え、全社的な取組として業務改善プロジェクトを実施した。全社的に働き方を見直し、複数の

取組を行い、結果として売上高を上げながら、残業時間 40%の削減に成功している。 ダッドウェイでは、業務を明確化し、仕事の質・量と時間管理を意識づけることで生産性向上に役立て

ている。「朝晩メール」で、朝の出社時にその日の予定、退社時に振り返りを上司にメールする、「夕礼の

活用」によって、職場ごとに朝礼時に目標設定した業務進捗を報告するとともに、超過勤務が必要な場合

は、内容と終了予定時刻を申告し、課長・係長の確認・指示を受けるといった仕組みを導入している。横

浜市では、職場ごとに朝礼や夕礼を行い、業務の予定や進捗状況をチーム内で共有しているほか、特に

夕礼では、超過勤務が必要な場合に、その理由と終了予定時刻を上司に申告し、指示を受けるといった

取組を行い、日常的に業務の見える化や時間管理を意識づけている。 ダッドウェイでは、業務効率向上のため、毎日 13 時 30 分〜15 時を「がんばるタイム」とし、立ち歩かな

い、私語をしない、内線電話をかけないようにし、集中して自分の仕事を行っている。 業務量自体を削減するために、例えば、複数部署にまたがる内部事務の集約化、内部の打合せ等で

用いる資料の簡略化などが、横浜市、オリックスなどで行われている。また、横浜市では、毎年度、全事業

を点検・検証し、事務の効率化・適正化や事業の質を高めるといった視点で、事業見直しを行っている。 業務効率化のために、多くの企業で ICT が活用されている。特にリクルートキャリアでは、ICT を積極

的に活用している。①ルーチン業務については自動化するなどして、②メールではなくチャットを活用し

て、③社内会議はテレビ会議や電話会議などを利用して、業務効率化を推奨している。 業務を遂行する場所に柔軟性を持たせることで、業務の効率化を図っている企業もある。リクルートキ

ャリアでは、在宅勤務やサテライトオフィスでも勤務できるリモートワーク制度を活用しながら業務効率化を

進めている。オリックスでは、営業職従業員が出先から、モバイル端末によって、関連部門に情報を発信

することによって、情報を受けた部門が、営業職従業員の帰社を待たずに作業が始められている。 上記のように、ヒアリング調査を行った企業・機関において業務効率化に関して様々な工夫・努力がな

されており効果を出している。企業等郵送アンケート調査で、従業員等が休暇を取得しない心理的要因

で最も多い回答は、「仕事を抱えている。」であることからも、業務効率化への取組は休暇取得促進の最も

有効な取組の一つであると言える。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

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図表 2-4-10 業務の効率化の取組

② 部分不在への対応の取組

「自分がいなければ仕事が進まないから休めない」という状況を回避するための、部分不在への対応の

取組も多くの企業で確認できた。 中小企業である拓新産業、お佛壇のやまきでは、少ない人数で、休暇中の社員の業務をカバーする

ために、人事異動、マニュアルの整備、トレーニングの充実により、社員のマルチタスク化を図っている。

マルチタスク化の過程で、様々な人の視点で業務をチェックできたことから、業務フローの改善、効率化

の向上にもつながった。 イケア・ジャパンの店舗では、トレーニングにより誰でも同じ業務ができる体制を整備している。 拓新産業、ダッドウェイには、部門を超えた柔軟な応援体制があり、少人数でも不在社員の業務をカバ

ーできている。 休暇を取ることを前提とした働き方がされている日本システムウエア、リクルートキャリアでは、特定のル

ールはないが、“顧客に迷惑をかけない”、“おたがい様”という大前提のもと、同僚への業務引き継ぎ、関

連部署への事前連絡等、通常のビジネスルールにのっとって、社員の裁量により引き継ぎが行われてい

る。 情報の共有化も部分不在への対応として重要視されている。ダッドウェイでは「業務の見せる化」をマニ

ュアル作成等ですすめている。オリックスでは情報共有のために ICT を活用しており、名刺管理ソフトの

活用、共有フォルダーへの資料の保存、データベースでの営業記録、顧客情報の共有等を行っている。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

60

図表 2-4-11 部分不在への対応の取組

③ 人員の維持・補充の取組

人手不足によって休めない状況を回避するための、人員の維持・補充等の取組についても複数の企

業で確認できた。 ダッドウェイでは、家庭を持った女性従業員の短時間勤務等の様々な働き方を組み合わせて、労働力

を確保し、休めない状況がおこならいようにしている。また、小売部門での店舗では、時給制のアルバイト

から、地域限定の正社員への社員登用を行う制度があり、店舗勤務の非正規社員のモチベーションアッ

プにつながっており、勤務年数の長い従業員が多い。拓新産業では、産休、育休対応の前提として、必

要な人員に余裕を持たせた採用を行っている。これにより、代替要員を確保しやすい状況を整備した。 中外医薬生産では、社長が従業員全員に対し、年 1 回個別面談を実施し、特に子育て世代となる女

性従業員に対し、各種休暇制度を活用して、とにかく勤務を長年継続して欲しいという意向を訴えること

で、従業員の退職防止に努めている。 イケア・ジャパンでは、従業員は、大学生など短時間勤務の従業員も含めて、全員正社員化した。海外

では一般的に行われている取組であるが、日本では労働力の安定化につながり、定着率が高まる効果が

あった。また、「スタッフプランナー」という店舗の経営資源の投入を決定する担当が、繁忙期であっても

来客が少ない時間帯を分析し、その時間のシフトを減らす等、過不足ない配置をして無駄を省いている。 日本システムウエアでは、ソフト開発という業務の特性上、優秀な従業員に業務が偏りがちなため、シ

ステム開発技術だけでなく、顧客とのコミュニケーション能力も含めたスキルアップを目的とした社員教育

を行い、従業員全体の能力の底上げを行っている。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

61

人手不の業界は、 求人をしても応募がないなどの問題があり、職場環境の改善が進まない状況がみられる。これ

に対し、神奈川県の旅館では勤務体制の見直しを行って、十数年ぶりに高校の新卒が採用でき

た例がある。では、顧客の嗜好に合わせ、接客係がチェックインからチェックアウトまで同じ

顧客を対応することが慣習となっており、そのため勤務形態は、午後から翌日昼までの中で、

夜間を休憩時間とする「中抜け」という制度を導入していることが多い。この勤務形態では、

休日は、勤務終了日の午後半日、翌日、翌々日の午前半日と 2 日あることになる。しかし、若

い世代からは「休んだ気がしない」、「友達と休みが合わない」などと敬遠されがちである。こ

の旅館でも、ハローワークから「中抜けがなければ、若い求人が来る。中抜けをなくせないの

か」と打診されていた。そこで新卒採用向けに、新たに夜間の「中抜け」がない勤務形態を整

備した。 具体的には、接客係に早番、遅番という 2 つの勤務時間を設定し、同じ日に勤務開始、勤務終

了ができるようにした。ただし、旅館業は、昼間に顧客が不在であるため、接客係の仕事だけ

では仕事がなくなる。そこで、その時間を、旅館の実務をささえる内務係とのマルチタスクを

行う体制を構築した。これに合わせて、従業員の教育システムも整備し、旅館の業務に精通し

て、高い接客水準を目指せる仕組みを新たに人手不足の業界は、求人をしても応募がないなど

の問題があり、職場環境の改善が進まない状況がみられる。これに対し、神奈川県の旅館では

勤務体制の見直しを行って、十数年ぶりに高校の新卒が採用できた例がある。 旅館業では、顧客の嗜好に合わせ、接客係がチェックインからチェックアウトまで同じ顧客を

対応することが慣習となっており、そのため勤務形態は、午後から翌日昼までの中で、夜間を

休憩時間とする「中抜け」という制度を導入していることが多い。この勤務形態では、休日

は 勤務終了日の午後半日 翌日 翌々日の午前半日と 2 日あることになる しかし 若い世

拓新産業では、マルチタスク化できない業務はアウトソースすることにし、主力業務に集中した体制構

築を行った。 「中抜け」がない勤務形態を整備し、十数年ぶりに高校の新卒採用に成功した旅館 人手不足の業界は、求人をしても応募がないなどの問題がある。 これに対し、神奈川県の旅館では勤務体制の見直しを行って、十数年ぶりに高校の新卒が採用できた

例がある。 旅館業では、顧客の嗜好に合わせ、接客係がチェックインからチェックアウトまで同じ顧客を対応するこ

とが慣習となっており、そのため勤務形態は、午後から翌日昼までの中で、夜間を休憩時間とする「中抜

け」という制度を導入していることが多い。この勤務形態では、休日は、勤務終了日の午後半日、翌日、

翌々日の午前半日と 2 日あることになる。しかし、若い世代からは「休んだ気がしない」、「友達と休みが合

わない」などと敬遠されがちである。この旅館でも、ハローワークから「中抜けがなければ、若い求人が来

る。中抜けをなくせないのか。」と打診されていた。そこで新卒採用向けに、新たに夜間の「中抜け」がな

い勤務形態を整備した。 具体的には、接客係に早番、遅番という 2 つの勤務時間を設定し、同じ日に勤務開始、勤務終了がで

きるようにした。ただし、旅館業は、昼間に顧客が不在であるため、接客係の仕事だけでは仕事がなくなる。

そこで、その時間を、旅館の実務を支える内務係とのマルチタスクを行う体制を構築した。これに合わせ

て、従業員の教育システムも整備し、旅館の業務に精通して、高い接客水準を目指せる仕組みを新たに

導入することにした。 これらの、業務体制全体の変更によって中抜け対策をし、その結果、2 年連続での新卒採用が実現で

きた。今では、高校側から採用の問い合わせを受けるほどになり、人手不足は緩和しつつある。しかし、

社内体制の変革をともなうことから、徐々に見直しを行いながら制度の整備を進めているところである。

人手不足への対応の参考事例

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

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図表 2-4-12 人員の維持・補充の取組

(7)休暇取得促進の効果

休暇取得促進の取組は、複数の企業で導入時の目的以外にも様々は効果をもたらしている。 中外医薬生産は、製薬業者として、特に、知財保護の観点からも、できるだけ人材流出を避けたい。ま

た、大企業と異なり、社内保育所の開設のように、大きな投資を必要とする待遇改善は難しいが、社員、

特に女性社員が求める休暇制度やその他の福利厚生を充実させることで、人材流出を防ぎ、定着率の

向上を図っている。このような特徴は、高卒者採用において、高校訪問の際は、進路指導教師に対して、

中外医薬生産という企業の姿勢を示す良い材料となっている。また、製薬業の特性から、神経を使う細か

な業務が多く、衛生管理の非常に厳しい環境下での勤務となるため、ときには職場を離れてリフレッシュ

による気分転換が生産性の向上につながっている。 オリックスでは、有給休暇取得促進の取組がマスコミ等で取り上げられることにより、「オリックスは働き

やすそうな会社だ。」と興味を持って、オリックスを知る一つのきっかけになると考えている。 拓新産業では、上司が休暇で不在の間、部下が自分で判断しなければならない事項が増えることから、

成長の機会になる。いわゆる「指示待ち人間」にはなりにくく、上司が有給休暇を取得する利点は複数あ

ると考えている。 生活や、生き方に関連した商品を扱うイケア・ジャパン、ダッドウェイ、お佛壇のやまきでは、休暇を利

用して旅行等で得たインスピレーション、経験が業務に役立っていると考えている。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

63

図表 2-4-13 休暇取得促進による副次的なメリット

(8)企業ヒアリング調査のまとめ

本ヒアリング調査では、企業等対象郵送アンケート調査、従業員等対象ネットアンケート調査において、

定量的に得られた知見が、実際の企業等の活動において、どのように実現されているのか確認した。 その結果、先進的な取組を行う企業等では、定量的に得られた結果をほぼ支持する取組を行っている

ことが明らかになった。 このことを、定性的に実際の取組内容を確認したところ、業種や規模、個別の企業等の戦略によって、

選定される施策が異なったり、また複数の施策を同時に実施したりするなどの違いがみられた。 また、休暇取得促進の取組だけではなく、取組を実現する契機、実施にあたっては阻害要因や、それ

を克服した方法など、試行錯誤の経緯について確認することができた。 この中から、今後有給休暇の取得促進の取組を進める企業等で重要だと考えられる点について、以下

のように整理した。

① 強いトップコミットメントと経営課題としての認識

本ヒアリング調査では、休暇取得促進を目標に設定するという、強いトップコミットメントがある企業等が

ほとんどであった。その契機は、事業拡大のための採用をしやすくする、休暇取得によって新しいアイデ

アが創出されることを期待するなど、企業等によって異なっている。しかし、「なぜ休暇の取得促進が必要

なのか。」について、経営者等が十分に納得をし、その上で、社内外にトップコミットメントを発信している

点が共通している。特に中小企業では、社長自らが施策実施の陣頭指揮をとっている。 さらに、経営者等自身が、率先して休暇を活用しロールモデルになることも期待される。これにより、職

場での休暇を取得しやすい雰囲気をつくる効果が生まれると考えられる。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

64

② 休暇制度だけではなく、効率化等の同時対応

取得促進のためには、「〇〇休暇」などの、休暇制度そのものだけが注目がされがちである。しかし、休

暇制度の点では、取得目的や時季を限定せず、従業員等に付与される有給休暇だけを活用して長期連

続休暇を実現している企業もある。 このことから、休暇制度の整備は重要であるが、それだけではなく、休暇取得を可能にする業務効率化、

部分不在への対応の仕組み等の整備が、取得率向上へのカギであると言える。ただし、これらの具体的

な対応方法については、業種や規模の特性によって異なっている。これに対し、組織外からコンサルタン

トを入れて対策した企業もあった。このように効率化の対応が組織内だけで難しければ職場の環境整備

について、外部資源を活用していくという方策もある。

③ 休暇活用好循環への働きかけ

また、特別休暇を、休暇施策の中核においている企業もみられた。このような特別休暇の取得率は、ほ

とんどすべての企業等で目標管理されており、特別休暇の取得率が高い場合には、有給休暇も積極的

に活用されているという傾向が確認された。 特別休暇の導入により、企業側では休暇取得を可能とする職場環境の整備がされ、従業員側では休

暇取得を前提とした働き方ができるようになる。また同時に、従業員が休暇を取得することにより休暇がも

たらすリフレッシュ効果や、知見の広がりを体験し、さらに休暇を積極的に活用するようになるという好循

環が生まれるからであると推測される。特別休暇制度の有無にかかわらず、休暇を前向きに活用する姿

勢が文化として浸透している企業では、同様の状況になっており有給休暇が積極的に、前向きに活用さ

れていると推測する。 したがって、休暇の活用が積極的に行われていない企業では、有給休暇取得目標の設定や、計画的

付与等を活用して従業員に休暇を取ることを経験させることが、企業側も従業員側も休暇取得を前提とし

た働き方の好循環に導く最初の一歩になりえると考察する。

④ 前向きな休暇活用への働きかけ

従業員のなかには、「休んでも何をしていいかわからない。」という意見も聞かれる。企業側が期待をす

るリフレッシュ効果、新しいアイデアの創出、自己啓発等の効果を得るためには、休暇制度の整備、休暇

を取得しやすい雰囲気の醸成などの取組と同時に、さらに一歩進んで、旅行、自己啓発などの前向きな

休暇活用を促進するための、奨励金支給や休暇の過ごし方の情報共有等の企業からの働きかけも求め

られる。前述の休暇を体験してもらう取組と、前向きな休暇活用への働きかけの双方の効果が発揮される

ことで、休暇取得促進とその効果を活かした企業経営の促進が加速されると考察する。

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

65

2-5 本章の分析、考察

本章では 3 つの調査を実施し、企業等、従業員等の双方の側面から、有給休暇に関する状況を確認

した。 その結果、有給休暇取得の取組を行っている企業で業績が良く、また有給休暇を多く取得していると

考える従業員の方が業務を効率的に行っているという結果になった。 そもそも、有給休暇取得を促進することは、単純に労働量の観点だけでとらえるなら、職場における人

数が同じ場合には投入される労働量が減少することになり、産出される成果も減少することを意味する。

すなわち、一定の経営資源から成果を最大化することが求められる経営者等にとっては、積極的に取り

組むインセンティブは働かない取組ということになる。 それでも、本調査の結果から、有給休暇の取得を推進する方が、業績が良く、また従業員等に良い影

響があることは、今後の有給休暇の促進を進める上で、重要な知見といえる。 しかし、有給休暇の取得の必要性は、これまでも多方面で訴えられてきたものの、飛躍的に増加するま

でには至っていない。取組への対応策について以下のように考察した。

① 有給休暇の取得促進には、トップコミットメントと休暇を実現するための社内体制の整備の

必要性

有給休暇の取得推進への取組内容は、業種、規模、現在の有給休暇取得率の水準などによって異な

るものの、本調査では、実際に取得増加が実現した組織には共通点があることが明らかになった。 その第一の特徴が、有給休暇取得促進に対するトップコミットメントの存在である。取得増加が実現した

組織では、トップコミットメントがある割合が高く、またトップコミットメントに関して採用している施策の数が

多かった。そもそも、有給休暇の取得促進は、単純に労働量の観点のみでとらえるなら、職場の人数が同

じ場合には投入される労働量が減少することになり、産出される成果も減少することを意味する。したがっ

て、組織のトップとして積極的に取り組むインセンティブは働かないことになる。 しかし、本調査で明らかにしたように、有給休暇取得を促進する企業等で業績が良い状況であることは、

単純な労働量の減少によらない、組織経営上の対応がとられていると考えられる。 本ヒアリング調査では、有給休暇取得促進のきっかけについては、組織の成長に合わせて人材を確保

するため、休暇によって新しい発想を得ることで商品開発、サービスの向上を図るといった、組織の課題

を解決するための手段としてとらえられていたことがわかった。すなわち、有給休暇取得促進の先進的な

取組を実施している組織では、トップが、単に有給休暇取得促進を掛け声だけに終わらせるのではなく、

組織の課題を解決するという強い意志で取組を行い、その結果、有給休暇の取得促進が図られていた。

この点で、組織トップが、「なぜ有給休暇の取得促進を行うのか」という強い動機と、それに対応する経営

課題を解決するための強い経営力が不可欠であると言える。 第二の特徴としては、有給休暇取得を実現するための組織内体制の整備である。有給休暇の取得促

進にあたっては、休暇制度の整備だけにとどまらず、休暇中の業務の引き継ぎ、少ない人数で業務を行

うための効率化などの対策が必要となる。また、有給休暇の取得は、職場の人員が不足している状態で

は休みにくいことから、人材維持の取組も必要になる。企業等郵送アンケート調査によれば、有給休暇取

得が増加した企業等では、業務効率化、ICT の活用、人材維持の取組について、いずれも取組が多く行

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

66

われていた。 以上のことから、トップコミットメントと休暇を支える社内体制の整備が、有給休暇取得促進のための重

要な要素といえる。 ② 休暇制度の整備と、旅行等の使用に罪悪感があることの払拭

有給休暇は、その制度から、取得の目的は問わずに取得できる。しかし、実際には、休暇の目的や、

職場の状況によっては、「有給休暇」の制度としては使い勝手が悪い場合がある。そのため、実態に合わ

せて、いくつかの施策を整備しておくことが望ましい。

本郵送アンケート調査では、有給休暇取得が増加した企業等の方が、休暇制度に採用している施策

の数が多いことがわかった。

採用している施策で最も多かったのは、有給休暇の半日あるいは時間単位での取得である。短時間の

取得は、役所への手続きや子供の授業参観など、1 日は必要ない用事で活用しやすい。部分不在等へ

の対応は、職場、取得する側双方ともに負担が少なく、また整備にあたって、特別な費用が不要であると

いった導入のしやすさも、採用されやすい理由であると言える。

その他、本調査では、休暇施策については、職場の状況に応じて設定、開発されていることが明らか

になった。有給休暇取得率が低かった企業では、職場に取得しにくい雰囲気があることから、職場で一斉

に取得することで、休暇を取得しやすくした。

一方で、計画的付与制度の強制力は活用したいが、自由な時期に取得できないという声に対応して、

部署ごとに取得日の選択肢を設ける中間的な制度を開発した企業がある。

休暇制度は、従業員に子育て世代が多いか否かなど、性別や年代の構成によっても、必要とされる施

策は異なってくると考えられる。業種や職場の状況、従業員等の多岐にわたる家族構成に対応するため

には、なるべく多様な施策を揃える方が、従業員等の利便性が高まると考えられる。

この際、留意すべき点は、整備した制度を十分に周知することである。本調査では、有給取得が少な

いと考える従業員等の職場が整備する施策数は少なかった。これは、実際に少ないことが考えられるが、

知らないために活用ができていない可能性もある。

さらに、制度の整備は、休暇制度だけではなく、従業員等の心理的な側面にも対応すべきである。

まず、有給休暇取得が少ないと考える従業員は、自分の有給休暇の付与日数、取得日数がわからな

い割合が高い。このため、まずは有給休暇の状況を告知、周知する取組が必要である。

また、有給休暇をさらに取得できるとしてもこれ以上取得するつもりがないと回答する人が多かった。本

ヒアリング調査でも、「休んでも何をしたらいいかわからない。」ことを理由に休暇を取得しない従業員等の

存在が指摘されている。これに対しては、有給休暇の取得率を目標値として設定する等、有給休暇取得

が組織の目標であると理解してもらう方策等があった。これはトップコミットメントと連動して、職場での強い

メッセージが必要である。また、このような従業員でも、休暇取得が習慣化されることで、休暇の過ごし方

を習得するとのことである。

さらに、休暇を旅行に使うことについては、本調査では一番多い使い道である一方で、職場の人が働

いているときに休むのは罪悪感があるという人も一定数存在する。これは既に有給休暇を取得している人

でも同様の傾向であり、意識としては根強いものがある。

しかし、本ヒアリング調査では、休暇で旅行にいくことを気軽に話題することが一般的となっている企業

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第2章 企業等による有給休暇取得の増加の取組

67

もある。このような社風は一朝一夕にはできないかもしれない。しかし、本調査で、有給休暇が増加した組

織では、企業等による旅行の推奨を行う割合も高かった。このことは、有給休暇を旅行やレジャーに活用

して良いという強いメッセージになると想定される。

③ 業種、企業規模、従業員構成に応じた取組方法に関する情報提供

統計でも業種や企業規模ごとに有給休暇取得率は異なっているが、本調査においても、同様の傾向

は明らかになった。業種間の差異については業種特有の勤務形態や景況、規模間の差異については、

代替要員の確保のしやすさなどがあると想定される。これらの要因による取得率の違いは、個別企業の努

力だけでは克服しにくいと考えられる。

また従業員等側としても、有給休暇取得率の違いにより、希望する休暇の取り方は異なっている。例え

ば、有給休暇取得率が低い従業員等は、1 日単位等の短い休暇の要望が高いのに対し、有給休暇取得

率が高い従業員等は、長期休暇の要望が高い等である。

本ヒアリング調査では、多様な業種を対象としたが、製造工程、取引先との関係などから、週休の設定

等は多岐にわたっていることが確認できた。すなわち、有給休暇を週休や国民の祝日と組み合わせた取

得方法は、すべての企業で取得しやすい休み方とは言えないということである。さらに、また子育て中の

従業員等が多い職場と、そうでない職場では、休み方のニーズが異なるという意見もあった。

以上のことから、有給休暇の取得を増加させるための取組には、どの企業等でも効果がある、万能薬

はなく、業種、規模や、現在の有給休暇取得率の水準等に合わせた対策が必要になると考えられる。

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

68

第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

3-1 調査の目的

本章では、企業等の有給休暇取得促進の取組の結果、増加する有給休暇によって、観光産業にどの

程度の経済効果が見込まれるのかを明らかにする。具体的には、国内旅行需要の規模とその経済効果

を推計する。

また、有給休暇の取得が増加した場合、実際にその休暇を国内宿泊旅行で過ごすことになるが、増加

した国内宿泊旅行需要が、地域のホテル・旅館等の稼働率、生産性、正規雇用率といった、運営・経営

状況に、どのような影響を与える可能性があるかを調査する。 3-2 調査の概要

(1)調査の全体像

本章では、次の図の通り、従業員等の有給休暇の取得日数の増加によって、新たに創出される国内宿

泊旅行需要の大きさと、その経済効果を推計、また、その需要が宿泊業の運営・経営に与える影響につ

いて調査する。

図表 3-2-1 第 3章の調査の全体像

(2)調査のロジック

本章では、経済効果の推計と宿泊業の状況を把握する 2 つの目的に対し、ぞれぞれ対応する 2 つの

調査から構成される。 ① 有給休暇の増加によって創出される国内宿泊旅行需要の調査

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

69

企業等の取組によって、従業員・職員が取得する有給休暇の日数が増加し、その一部または全部が

国内宿泊旅行に使われた場合、新たに創出される国内宿泊旅行需要の規模とその経済効果を、本業務

による調査結果、及び、その他の統計データを基に、推計する。

② 国内宿泊旅行需要と宿泊業の運営・経営への影響に関する調査

本業務における宿泊施設へのアンケート調査結果を基に、従業員・職員が取得する有給休暇の日数

の増加により創出される国内宿泊旅行需要が、地域のホテル・旅館等の運営・経営状況にどのような影響

を与える可能性があるかを調査する。

3-3 調査結果 有給休暇の増加によって創出される国内宿泊旅行需要

(1)国内宿泊旅行需要

企業等の取組によって、従業員・職員が取得する有給休暇の取得日数が増加し、それにより新たに創

出される国内宿泊旅行需要を、次のように推計する。

① 国内宿泊旅行に行く従業員等の割合

本調査にて実施した従業員等ネットアンケート調査(第 2 章 2-3)の結果より、有給休暇の取得日数が

増加した場合に、国内宿泊旅行に使うという回答者の割合は、51.9% であった。

図表 3-3-1 有給休暇の取得日数増加分を国内宿泊旅行に使う回答者の割合

② 延べ旅行者数の推計

①のように調べた国内宿泊旅行に使う従業員等の回答者の割合を、日本の総人口のうち、正規職員・

従業員にあたる人数を母集団として当てはめ、延べ旅行者数を推計する。 ただし、本調査では意向を確認したのみであるため、実際の行動に移すかどうかを考慮する必要があ

る。ここでは、先行調査の結果より、実際に回答通りに行動する確率を推定し、行動確率を 74.8%7と設定

し、回答者の割合に乗じて、比率を低減した。

7 行動確率の推定値の算出:観光庁「ゴールデンウィークにおける観光旅行の動向」調査(2010 年)において、ゴ

ールデンウィーク前の「国内宿泊旅行」の意向は、27.0%であったのに対し、実際のゴールデンウィークの旅行

実施状況では「国内宿泊旅行」実施の割合が、20.2%であったことから、当調査における、アンケート調査の回

答通りに、実際に行動する想定確率を 74.8%(20.2% / 27.0%)とした。

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

70

以下のように、従業員・職員の有給休暇の取得日数の増加にともない、国内宿泊旅行を実施する際の、

延べ旅行者数を推計した。

また、従業員・職員が有給休暇を取得して観光・レクリエーション目的の国内宿泊旅行を実施する際に、

家族や友人などの「同行者」8がいると想定され、その人数を次のように算出した。なお、算出にあたり、同

行者が、正規職員・従業員の場合、重複換算となるため、正規職員・従業員以外の割合 69.6%9を乗じて、

同行者の重複分を控除した。

したがって、正規職員・従業員とその同行者を合わせ、企業等の取組によって、従業員・職員が取得す

る有給休暇の日数が増加し、それにより創出される国内宿泊旅行の延べ旅行者数は、推計 3,254 万人と

なる。

③ 延べ宿泊者数の推計

続いて、②の推定にて算出した、延べ旅行者数 3,254 万人より創出される「宿泊需要」(延べ宿泊者数)

を算出する。 本調査にて実施した従業員等ネットアンケート調査(第 2 章 2-3)の結果より、以下のように、有給休暇

の増加分を「国内旅行(1 泊以上)」に使う日数(Q20)と、その有給休暇をどのように使うか(Q21)の回答の

組合せに応じて、回答パターンごとの「想定泊数」を設定の上、それぞれの回答パターンが全体に占める

8 「同行者」平均人数の算出:観光庁「旅行・観光動向調査」 第 4 表より、国内旅行-宿泊旅行-観光・レクリエーション目的

に該当する延べ旅行者の同行者の平均人数(本人を除く)を算出。計算にあたっては、「団体」は対象外とし、「5人以上」

の区分は「5人」(本人含む)とした。(2016 年 1~3 月、4~6 月、7~9 月(いずれも確報)、10~2 月(速報)の数値を集

計。) 9 「正規職員・従業員以外の割合」の算出:総務省統計局 労働力調査 2016 年より、総人口に占める正規職

員・従業員の比率の逆数を求め、正規職員・従業員以外の割合とした。

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

71

構成比による加重平均を行った。なお、泊数の想定にあたって、「上記以外」の回答は、国内旅行(1 泊

以上)の「回数」も「日数」も「増やさない」との意から、この回答者層は、これまで、所定の休日(例えば、週

休や大型連休等)に実施していた国内旅行(1 泊以上)を、この有給休暇を取得して「旅行時期をずらす」

層と想定し、その場合は、宿泊需要の新規創出にはあたらないため、想定泊数は「0 泊」とした。 加重平均による集計の結果、増加した有給休暇を「国内旅行(1 泊以上)」に使う回答者の平均泊数は、

1.70 泊/人と算出された。

図表 3-3-2 「国内旅行(1泊以上)」に使う回答者の平均泊数

また、本調査の主旨は、創出される宿泊需要の経済効果や、宿泊業への影響の把握であることから、

国内宿泊旅行における宿泊場所のうち、観光庁 宿泊旅行統計の対象となる宿泊施設(旅館業法の登

録対象となるホテル・旅館等)を利用する宿泊需要を推計の対象とする。該当の宿泊施設を利用する旅

行者の割合は、観光庁 旅行・観光動向調査の結果を基に、86.3%10とした。 下記の通り、従業員・職員が取得する有給休暇の取得日数増加により、新たに創出される国内宿泊旅

行の宿泊需要量として、次のように、延べ宿泊者数は推計 4,774 万人泊となる。

新たに創出される宿泊需要(推計 4,774 万人泊)の規模を、現在の国内宿泊需要(2016 年)と比較す

10 ホテル・旅館等に宿泊する割合の算出:観光庁「旅行・観光動向調査」第 4 表より、国内旅行-宿泊旅行-観光・レクリエ

ーション目的に該当する延べ旅行者の利用した宿泊施設タイプ別の比率を基に、ホテル・旅館等(旅館業法の登録対象と

なる主な宿泊施設タイプ)を利用する旅行者の割合を算出した。 算出に当たり、便宜上、以下を「主に旅館業法の登録対象となる宿泊施設タイプ」とした: ホテル、旅館、ペンション・民宿・

貸別荘、保養所・研修所、会員制の宿泊施設(2016 年 1~3 月、4~6 月、7~9 月(いずれも確報)、10~12 月(速報)の

数値を集計。)

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

72

ると次のようになる。 国内年間延べ宿泊者数 (日本人・外国人含む)の 10%11

うち観光目的の国内旅行者による延べ宿泊者数(推計)12の 19%に相当する。 また、参考値として、外国人旅行者による延べ宿泊者数の 67%13の規模に相応する。

④ 平均客室稼働率の上昇分の推計

さらに、前項にて算出した延べ宿泊者数を、1 室あたりの平均宿泊者数 14を基に、利用客室数に置き

換え、新たに創出される宿泊需要による、利用客室数を次のように推計した。 新たに創出される宿泊需要による利用客室数は、2,932 万室となり、この利用客室数の増加により、日

本全体の平均客室稼働率は、2016 年(速報値)の 60.0%より、5.8 ポイント上昇することになる。

(2)創出される需要による経済効果

前項にて算出した、有給休暇の取得日数増加によって創出される国内宿泊旅行需要量(延べ宿泊者

数)より、観光産業への経済効果として、消費額を推計する。 推計においては、1 人当たりの平均単価を、観光庁 旅行・観光動向調査より、宿泊費 5,942 円/人・

泊 15(食事代等は含まない)、旅行消費額 56,086 円/人・回 16として、総消費額を算出する。 旅行消費額については、これまでと国内旅行(日帰りを含む)の回数が変わらない場合は、交通費等

の追加出費額が少ないと思われるため、旅行回数をこれまでよりも増やす層の旅行消費額を、新たに創

出される需要による消費と想定する。「旅行回数をこれまでよりも増やす層」の算出は、従業員等アンケー

ト調査結果より、有給休暇の取得日数の増加によって国内旅行(1 泊以上)の「回数を増やす」「回数も増

やし、日数も延長する」と答えた回答者の割合の合計、50.5%を引用した。 次の通り、年間の消費額は、宿泊費のみで総額2,837億円、交通費・飲食代等含めた旅行消費額は、

総額 9,213 億円と推計される。

11 観光庁「宿泊旅行統計」2016 年速報値 延べ宿泊者数 4 億 9,418 万人泊に対する比率 12 観光庁「宿泊旅行統計」2016 年速報値 国内旅行者による延べ宿泊者数 4 億 2,330 万人泊に、観光庁「旅行・観光動

向調査」第 6 表より算出した国内旅行者の延べ泊数に占める観光・レクリエーション目的の比率 60.1%を乗じ、観光目的の

国内旅行者による延べ宿泊者数は、2 億 5,447 万人泊と推計した。 13 観光庁「宿泊旅行統計」2016 年速報値 外国人延べ宿泊者数 7,088 万人泊に対する比率 14 観光庁「宿泊統計調査」2016 年速報値 第4表の延べ宿泊者数と第7表の利用客室数より求めた。 15 観光庁「旅行・観光動向調査」(2015 年 1~12 月期(確報)) 第 17 表 旅行消費額-国内旅行 観光・レクリエーション

目的の宿泊旅行宿泊費の総額、第 5 表 国内旅行 観光・レクリエーション目的の延べ泊数を基に算出。 16 観光庁「旅行・観光動向調査」(2015 年 1~12 月期(確報)) 第 1 表 国内旅行 観光・レクリエーション目的の宿泊旅

行の旅行単価を適用。

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

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参考値として、訪日外国人旅行者による消費額(2016 年速報値)と比較すると、 宿泊費総額 2,837 億円は、訪日外国人による旅行消費額 宿泊料金 1 兆 140 億円 17の 28%に、 旅行消費額 9,213 億円は、訪日外国人による旅行消費額 総額 3 兆 7,476 億円 18の 25%に相当す

る。

17 出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査」平成 28 年 10-12 月期の調査結果(速報)及び平成 28 年年間値(速

報)プレスリリース 18 出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査」平成 28 年 10-12 月期の調査結果(速報)及び平成 28 年年間値(速

報)プレスリリース

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

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3-4 調査結果 国内宿泊旅行需要と宿泊業の運営・経営への影響

(1)調査の概要

地域のホテル・旅館等の運営・経営状況に関するアンケート調査の概要を、以下に記す。

図表 3-4-1 宿泊業アンケート調査の概要

調査方法 郵送アンケート、無記名式

調査対象 日本全国の宿泊施設 宿泊業界の複数の業界団体のホームページより、その団体が公表する、会員宿泊施設のリスト

等から無作為抽出した。 ビジネス客、外国人客が主要層と思われる地域(東京都心部、大阪市中心部、名古屋市な

ど)、及び、2016 年中に発生した自然災害の影響が大きいと思われる熊本県、大分県、鳥取県

を除外した。

調査期間 調査票発送: 2017 年 1 月 4 日 回答締切: 2017 年 1 月 31 日

発送 合計:500

回収数 回収数:126 回収率 25.2% うち有効回答数:124 *有効回答の中でも、設問により未回答の場合もあるため、各設問の有効サンプル数は、各設問、

項目ごとに表記する。

調査項目 宿泊施設の属性(所在地、宿泊施設タイプ、客室数、定員など) 営業状況(主要客層、稼働率、繁閑時期と差、休業日など) 雇用状況(従業員・正規雇用者数、採用意向など) 業績(売上高、利益率など)

(2)回答宿泊施設の属性

① 回答施設の所在地(地方ブロック)、施設タイプ、客室数 回答施設の所在地は、都道府県で質問したものを、地方ブロック別に集計したした結果、地域的には

ほぼ偏りなく、地方により若干の差はあるものの、全体としては、国内の宿泊施設数の構成に近いものと

なった。 宿泊施設タイプ 19は、「旅館」「リゾートホテル」「ビジネスホテル」「シティホテル」「簡易宿所」「会社・団

体の宿泊所」の 6 つのタイプより、「最も近いもの」を質問したところ、すべての宿泊施設が、「旅館」「リゾ

ートホテル」「ビジネスホテル」「シティホテル」の 4 つの施設タイプのいずれかに回答し、「簡易宿所」「会

社・団体の宿泊所」の回答はなかった。本郵送アンケート調査は、主として旅館、ホテル等が加盟する宿

泊業の業界団体登録施設を対象としたため、このような結果となった。 回答のあった 4 つの施設タイプにおける構成比では、6 割近く(58%)は「旅館」、18%を占めるリゾート

ホテルと合わせて、主に観光地に存在する宿泊施設タイプが 4 分の 3 を占める。この 4 タイプにおける国

19 宿泊施設のタイプは、実情が旅館業営業許可上の分類や名称と異なることもあり、事業者の申告(回答)によるが、一般

的には次のように定義される。旅館:和式の構造や設備を主とする施設で簡易宿所以外 ホテル:様式構造や設備を主と

する施設で簡易宿所以外 以下3つのタイプに分類される リゾートホテル:行楽地や保養地に建てられ、主に観光客を対

象とする ビジネスホテル:主にビジネス客を対象とする シティホテル:先の2タイプ以外の都市部に立地するもの 簡易宿

所:多数の人で共有する構造、設備を主とする施設

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

75

内の宿泊施設数の構成では、「ビジネスホテル」が 6%と、観光庁 宿泊統計調査の結果(23%)と比較し

て低いが、本郵送アンケート調査は、余暇旅行を目的とする国内旅行者による需要創出の効果等の検証

が主目的であることから、調査対象の抽出において、ビジネス客が主要客層と考えられる宿泊施設は除

外しているため、このような構成となっている。 客室数では、19 室未満の小規模施設(18%)と 20~49 室の施設(35%)を合わせて 53%、100 室以上

の大規模な施設が 22%を占める。施設タイプ別では約 6 割が「旅館」ある点を踏まえると、施設規模は小

規模(19 室未満)、中規模(20~49 室)、大規模(50~99 室)、超大規模(100 室以上)と偏りの少ない構

成となった。

図表 3-4-2 回答施設の所在地、施設タイプ、客室数

② 宿泊客の主な客層

宿泊客の主な客層について「観光・レクリエーション目的の国内旅行者」「出張・業務目的の国内旅行

者」「外国人(目的問わず)」の 3 つの客層のおよその構成比をたずねたところ、各客層の平均値による構

成比は、国内の観光客(観光レクリエーション(国内))が約 7 割を占め、外国人旅行者(観光・業務等、目

的問わず)の割合は 9%であった。 観光・レクリエーションを目的とする国内旅行者(以下、「国内観光客」)が占める割合が 80%以上の宿

泊施設が、全体の約 6 割、50%~80%未満の宿泊施設(18%)と合わせて、全体の 76%を占める。このこ

とから、回答宿泊施設の主要客層は、従業員等の有給休暇取得日数の増加にともなう宿泊需要を受け

入れる可能性が高い宿泊施設といえる。

所在地(地方ブロック) 宿泊施設タイプ

客室数

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

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図表 3-4-3 主な宿泊客の客層

(3)回答宿泊施設の営業状況

① 休業日の有無と休業日の日数(n=121)

43%の宿泊施設は、休業日を設けず、通年営業するが、残りの 57%の宿泊施設は、何らかの理由で

休業日を設けている。うち、全体の約 2 割は、休業日の日数が 6 日以下と限定的であるが、8%がおよそ

1 か月から 2 か月分程度に相当する 25~59 日の休業日を、6%が 2 か月分以上に相当する 60 日以上

休業すると回答した。

図表 3-4-4 休業日の設定状況

② 休業日を設ける一番の理由(n=67)

休業日を設ける一番大きな理由は、「修繕・メンテナンスのため」が最も多く、休業日を設ける宿泊施設

の 45%にあたる。続いて、「閑散期で営業に見合う需要が見込めない」が 25%、「従業員の休日確保のた

め」19%が、理由として多く挙げられ、需要が少ない、もしくは、従業員数が足りないといった事情で、やむ

を得ず、休業する宿泊施設が少なくないとみられる。

休業日なし, 43% 1~6日, 19% 7~24日, 24%

25~59日, 8%

60日以上, 6%

主な客層の平均構成比(n=123) 国内観光客が宿泊客に占める割合

全体の

76%

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

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図表 3-4-5 休業日を設ける一番の理由

(注)回答項目後の()内の数値は回答数

③ 年間平均客室稼働率(n=104)

回答宿泊施設の年間の客室稼働率の平均は、61.3%であった。年間平均客室稼働率レンジごとの分

布では、稼働率 60%以上の施設が、全体の 6 割近くを占めるが、一方で、稼働率 40%未満という施設が

12%存在する。

図表 3-4-6 年間客室稼働率レンジごとの分布

④ 年間平均客室稼働率 - 宿泊施設タイプ別

次に、年間平均客室稼働率の分布を宿泊施設タイプ別に確認した。ビジネスホテルはサンプル数が特

に少ないため、シティホテルとの合算によりビジネス/シティホテルとした。分布は、旅館、リゾートホテルで

は、半数近く(順に、49%、47%)が、年間客室稼働率 60%未満なのに対し、ビジネス/シティホテルでは、

60%未満の宿泊施設は約 4分の 1(24%)のみである。リゾートホテルは、サンプル数が少ないため、参考

値であるが、大まかな傾向として、都市に位置するビジネス/シティホテルと比較して、観光客が主要客層

となる2つのタイプの宿泊施設の客室稼働率が低い傾向が伺える。

12%

30%

40%

18%

0%

10%

20%

30%

40%

40%未満 40~60%未満 60~80%未満 80%以上

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

78

図表 3-4-7 宿泊施設タイプ別 年間客室稼働率レンジごとの分布

⑤ 月間平均客室稼働率の繁閑差(n=111)

年間の繁閑差を把握するため、1 年間で、月間平均客室稼働率が最も高い月と最も低い月、及び、そ

れぞれの月の平均客室稼働率を質問したところ、最も稼働率が高い月は「8 月」に集中し(51%)、最も低

い月は、2 月、1 月の順に多く、合わせて、全体の半数(52%)を占めた。

16%

33%

47%

5%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

構成比

12%

35%

24%29%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

構成比

(37)

3%

21%

38% 38%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

40%未満 40~60%未満 60~80%未満 80%以上

構成比

年間客室稼働率

旅館 (n=58)

リゾート ホテル (n=17)

ビジネス/

シティ

ホテル

(n=29)

49%

47%

24%

(27)

(3)

(19)

(9)

(6)

(5) (4)

(6)

(2)

(11)

(1)

(11)

(注)各値後の()内の数値は回答数

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

79

図表 3-4-8 月間平均客室稼働率の最も高い月・最も低い月の構成比

また、最も客室稼働率が高い月、低い月のそれぞれの平均値は以下の通りであり、その差(繁閑差)は、

34.7%であった。

図表 3-4-9 月間客室稼働率の最も高い月・最も低い月の平均と差

月間平均客室稼働率(%)

最も高い月 最も低い月

78.5% 43.8% 34.7%

月間の繁閑差の分布は、次のように、最も高い月・低い月の客室稼働率の差が大きい(40%以上)の宿

泊施設が 41%を占める。

図表 3-4-10 月間平均客室稼働率 繁閑差レンジ別の分布

19%

40%35%

6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

20%未満 20~40%未満 40~60%未満 60%以上

25%27%

7%3%2%

13%4%

0%4%

0%5%

11%

0% 20% 40%最も低い月

0%3%

1%3%2%1%

3%51%

1%14%

19%4%

0%20%40%

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

最も高い月

全体の

52%

41%

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

80

⑥ 曜日別平均客室稼働率の繁閑差

月間平均客室稼働率に続き、曜日別平均客室稼働率が最も高い曜日と最も低い曜日、及び、それぞ

れの曜日の平均客室稼働率を質問したところ、最も客室稼働率が高い曜日は「土曜」が圧倒的に多い

(89%)のに対し、最も客室稼働率が低い曜日は、多い順に「日曜」「火曜」(いずれも 28%)、「月曜」「水

曜」(いずれも 18%)と、日曜から水曜日の4つの曜日に分かれた。

図表 3-4-11 曜日別客室稼働率の最も高い曜日・最も低い曜日

また、曜日別平均客室稼働率が最も高い曜日、低い曜日のそれぞれの平均値は以下の通り、1 週間

の繁閑差は 45.2%となり、月間の繁閑差(34.7%)と比較しても、曜日別の繁閑差が大きいことがわかる。

図表 3-4-12 曜日別客室稼働率の最も高い曜日・最も低い曜日の平均と差(n=65)

曜日別平均客室稼働率(%)

最も高い曜日 最も低い曜日

84.3% 39.0% 45.2%

曜日別客室稼働率の繁閑差の分布は、次のように、最も高い曜日・低い曜日の稼働率の差が大きい

(40%以上)宿泊施設が 3 分の 2(64%)を占める。

n=95 n=93

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

81

図表 3-4-13 曜日別客室稼働率 繁閑差レンジごとの分布(n=65)

(注)各値後の()内の数値は回答数

(4)雇用の状況

① 従業者数(n=123)

従業者(家族従事者、非正規雇用者、派遣労働者、出向者を含む)は、49 名以下の宿泊施設が 52%を、100 名以上の宿泊施設が 22%を占める。

図表 3-4-14 従業者数による構成比

② 正規雇用率(n=122)

従業者に正規雇用者が占める比率(正規雇用率)が、50%未満の宿泊施設は、半数強の 56%を占め

る。正規雇用率が 75%以上の宿泊施設は 10%である。

図表 3-4-15 正規雇用率による構成比

③ 正規雇用率 – 宿泊施設タイプ別(n=122)

正規雇用率の分布を宿泊施設タイプ別にみると、旅館では正規雇用率が比較的高い(50% 以上)宿

泊施設が半数(53%)を占める。一方、その他の宿泊施設タイプでは、リゾートホテルは、サンプル数が 22と少数のため、参考値となるが、正規雇用率が比較的低い(50%未満)が、半数以上を占める。ビジネス/シティホテルタイプでは、8 割近く(77%)が、正規雇用率が 50%未満である。この傾向の違いには、それ

ぞれの宿泊施設タイプにおいて、提供するサービスの内容の違いも、影響していると考えられる。

12%

23%

35%29%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

20%未満 20~40%未満 40~60%未満 60%以上

19名以下, 21% 20~49名, 31% 50~99名, 26% 100名以上, 22%

25%未満, 13%25~50%未満,

43%50~75%未満, 34% 75%以上,

10%

(23)

(19)

(15)

(8)

64%

52%

56%

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

82

図表 3-4-16 宿泊施設タイプ別 正規雇用率

(注)各値後の()内の数値は回答数 ④ 正規雇用者の採用状況(n=115、複数回答式)

正規雇用者の採用状況として、73%の宿泊施設で必要に応じて「不定期」に採用、半数近く(46%)が

「定期採用」を実施している。一方で、正規雇用者の募集をしているが、「適切な人材が採用できず、欠員

が発生している」との回答も半数近くの 44%に上り、採用難の厳しい状況が伺える。

図表 3-4-17 正規雇用者の採用状況

⑤ 非正規雇用者の採用理由(n=112、複数回答式)

非正規雇用者を採用する理由として、「特定の時間帯に必要な業務」が最も多く 66%、続いて「特定の

46%

73%

6%

4%

44%

0% 20% 40% 60% 80%

定期的に正規雇用者を採用

欠員補充が必要な場合に、不定期に

事業拡大において必要な場合

正規雇用者を採用するつもりはない

正規雇用者の募集しているが、欠員発生

旅館 (n=70)

リゾート ホテル (n=22)

ビジネス

/シティ

ホテル

(n=30)

10%

37%43%

10%

0%

20%

40%

60%

構成比

14%

41%

27%18%

0%

20%

40%

60%

構成比

20%

57%

20%

3%0%

20%

40%

60%

25%未満 25~50%未満 50~75%未満 75%以上

構成比

正規雇用者比率

53%

55%

77%

(7) (7)

(26) (30)

(3)

(9) (6)

(4)

(6) (6)

(17)

(1)

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

83

時期に必要な人材確保」との回答(54%)が続く。時間帯や時期により、業務量が異なる状況に対応するた

めに、非正規雇用者を活用する宿泊施設が多いと考えられる。

また、「正規雇用者の確保が困難なため」との回答が 41%と、ここでも、全般的な人手不足による採用難

の影響がみられる。

図表 3-4-18 非正規雇用者を採用する理由

⑥ 正規雇用者の増員を考えるきっかけ(n=113、複数回答式)

正規雇用者の実質的な増員(非正規雇用からの切り替えを含む)を、積極的に考えるきっかけとなりう

る状況について質問したところ、「売上高の増加」とともに、「閑散期の稼働率上昇」が「とてもあてはまる」、

または「少しあてはまる」と回答した宿泊施設が最も多く、いずれも、83%にのぼる。続いて、「年間稼働率

の上昇」が「とてもあてはまる」、または「少しあてはまる」の回答が合計で 77%であった。稼働率については、

「繁忙期」よりも、「閑散期」や「年間」の稼働率の上昇が、正規雇用者の増員に、より大きく影響するとみら

れる。

図表 3-4-19 正規雇用者の増員を考えるきっかけ

(5)有給休暇取得促進の取組の営業面での影響

政府や民間企業による有給休暇取得促進の動きが、回答者の宿泊施設において影響があるかどうか

については、「年間稼働率の上昇」へ「大いに/多少影響がある」と考える回答者が、合わせて 65%と、最も

47%

33%

39%

23%

47%

26%

22%

13%

36%

32%

38%

37%

36%

33%

29%

32%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

売上高の増加営業利益率の改善年間稼働率の上昇

繁忙期稼働率の上昇閑散期稼働率の上昇

地域への来訪者の増加の見込み非正規雇用者の確保困難な状況

補助金活用の機会

とてもあてはまる 少しあてはまる

66%41%

19%54%

20%11%

0% 20% 40% 60% 80%

特定の時間帯に必要な業務に正規雇用者の確保が困難なため高いスキルが必要のない業務に特定の時期に必要な人材確保

正規雇用者の一時的不在を補完今後の事業の見通しが分からない

77%

83%

83%

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

84

多く、続いて、「売上高の増加」との回答が多かった(62%)。

図表 3-4-20 有給休暇取得促進の取組による影響

(n=122)

(6)客室稼働率と正規雇用率

ここでは、アンケートで回答された客室稼働率や、従業員数、正規雇用者数を基に、客室稼働率の高

低や月間、または曜日別客室稼働率の繁閑の差と、正規雇用率の相関関係の有無を確認する。

年間客室稼働率の高さと正規雇用率の高さには、下記の散布図の通り、年間客室稼働率が高い施設

が、正規雇用率も高いという、相関関係がみられた。

図表 3-4-21 年間客室稼働率と正規雇用率の関係 【全施設タイプ】(n=100)

この傾向は、主に観光地に位置することが多い宿泊施設タイプ(旅館、リゾートホテル)に限ると、特に

強くみられた。 この結果と、先の「⑥正規雇用者の増員を考えるきっかけ」において、「年間稼働率の上昇」が正規雇

用者の増員を考えるきっかけになるとの回答が多かった結果とも傾向が一致しており、有給休暇の取得

日数の増加により宿泊需要が増加し、宿泊施設の年間客室稼働率が上昇した場合、正規雇用者の増員

14%

12%

13%

11%

9%

7%

48%

38%

52%

37%

43%

53%

0% 20% 40% 60% 80%

売上高の増加

営業利益率の改善

年間客室・定員稼働率の上昇

繁忙期の稼働率の上昇

閑散期の稼働率の上昇

地域への来訪者の増加

大いに影響 多少影響

0%

20%

40%

60%

80%

100%

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

正規

雇用

年間客室稼働率(%)

62%

65%

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

85

により、宿泊施設の正規雇用率も上昇する可能性があるといえる。 この結果より、年間客室稼働率と正規雇用率の関係の比例定数を算出すると、比例定数は 0.17 となり、

年間客室稼働率が 1%上昇すると、正規雇用率が 0.17%上昇する関係にあることになる。

図表 3-4-22 年間客室稼働率と正規雇用率の関係【旅館、リゾートホテル】(n=73)

なお、月間または曜日別平均客室稼働率の繁閑の差の大きさと、正規雇用率の関係は、回答宿泊施

設全体においても、宿泊施設タイプ別においても、明らかな傾向は確認できなかった。

(7)客室稼働率と生産性

ここでは、客室稼働率の高低や月間または曜日別客室稼働率の繁閑の差の大きさが、宿泊業の生産

性に与える影響を確認するため、客室稼働率に関する指標と利益率に関する指標の相関関係の有無を

確認する。なお、本調査では宿泊施設の「生産性」を示す指標として、宿泊施設の不動産所有形態に関

わらず、宿泊業の運営そのものの効率性を反映した値とされることから、GOP 比率(Gross Operation Profit、運営総利益または減価償却前利益とも呼ばれる)を利益率の指標として採用する。 • GOP比率とは

本郵送アンケート調査においては、GOP 比率の計算方法を示し、GOP 比率の数値、もしくは、GOP比率の計算に必要な業績指標(総売上高、営業利益・損失、減価償却費、もしくはその比率)のいずれか

の回答を求め、回答の数値を基に、GOP 比率を算出して、分析に採用している。 年間客室稼働率、月間客室稼働率の繁閑の差(最高月と最低月の%差)、曜日別客室稼働率の繁閑

の差(最高曜日と最低曜日の%差)と利益率(GOP 率)の高低の差に、いずれも相関関係はみられなかっ

た。なお、宿泊施設タイプ別に分けても、同様であった。参考までに、年間客室稼働率と GOP 比率の相

関関係を確認した散布図を示す。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

正規雇用率

年間客室稼働率(%)

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

86

図表 3-4-23 年間客室稼働率とGOP比率の関係 (n=73)

本郵送アンケート調査の結果では、年間客室稼働率の高さや、月間、曜日別客室稼働率の繁閑差の

大きさが、利益率の高低とは、直接結びつかない。その理由として、利益率には、稼働率の高さや繁閑差

だけではなく、人件費や販売促進費の有効活用度、粗利幅を決める価格設定など、様々な要因が影響

を与えている。例えば、客室単価を大幅に下げると、客室稼働率は高い水準になるが、利益率は低下す

る。または、繁閑の差が少なくても、そもそも、効率的な人材管理・活用ができていなければ、人件費率が

高い水準となり、利益率は低い、といった状況が発生することが考えられる。

(8)旅館の規模による違い

これまでの分析では、傾向の差異には、宿泊施設のタイプが影響している場合が多いことから、この項

目では、回答宿泊施設において最も多いタイプであり、国内観光需要の影響が大きい、「旅館」に絞り、

規模別の状況の違いを明らかにする。

① 旅館の回答施設数と規模の定義

この項目においては、旅館の施設規模について、下記のように分類し、規模別の傾向の違いを分析す

る。なお、分析項目ごとに規模別の有効サンプル数を示す。

図表 3-4-24 旅館の客室数による規模別分類と有効サンプル数

客室数 有効サンプル数 小規模旅館 25 室未満 28 中規模旅館 25 – 50 室未満 25 大規模旅館 50 室以上 19

② 雇用の状況

平均従業者数、正規雇用率を以下に示す。正規雇用率は、小規模、中規模旅館では、ほとんど差は

ないが、大規模旅館の比率は、小・中規模旅館と比較して、約 12%高い。

-10

0

10

20

30

40

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

GOP比

率(%

)

年間客室稼働率(%)

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

87

図表 3-4-25 旅館規模別 平均従業者数と正規雇用率

平均従業者数 正規雇用率(%)

小規模旅館(n=28) 16.8 名 46.5% 中規模旅館(n=25) 56.4 名 46.1% 大規模旅館(n=19) 93.7 名 58.4%

なお、参考までに、全国の宿泊施設の規模構成は、下記の通り、従業者数 30 名未満の施設が 90%と、小規模宿泊施設が市場の大部分を占める。

図表 3-4-26 日本の宿泊施設の従業者数別施設数と構成比

従業者数 宿泊施設数 構成比 0-9 人 37,186 76%

10-29 人 7,043 14% 30-99 人 3,854 8%

100 人以上 1,025 2% 出所:観光庁「宿泊旅行統計調査 20」、2017年

③ 年間平均客室稼働率、月間・曜日別平均客室稼働率の繁閑差

次の図の通り、小規模・中規模旅館の順に、年間客室稼働率が低く、かつ、月間や曜日別稼働率の繁

閑の差が大きい傾向がみられる。

図表 3-4-27 旅館規模別 客室稼働率、繁閑差

④ 年間休業日 休業日の平均日数では、小規模旅館 29.4 日と、中・大規模旅館(順に 9.4 日、6.6 日)と平均日数に

20 出所:観光庁「宿泊旅行統計調査」 平成 28 年 1~12 月(年の速報値)、第 1 表(1 月)より、WBA 作成

50.1

58.661.9

42.338.7

31.4

54.3

48.2

42.4

20

30

40

50

60

70

小規模旅館 中規模旅館 大規模旅館

年間客室稼働率(%)

月間客室稼働率の繁閑差(%)曜日別客室稼働率の繁閑差(%)

(23)

(21)

(14)

(16)

(21)

(14)

(9)

(24) (9)

()内の数字は

サンプル数

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

88

違いが顕著にみられる。

図表 3-4-28 旅館規模別 休業日の平均日数 小規模旅館

(n=26) 中規模旅館

(n=15) 大規模旅館

(n=19) 休業日平均日数 29.4 9.4 6.6

年間休業日の日数の分布をみると、中・大規模旅館は、6 割以上が休業日 6 日以内(「休業日なし」を

含む)であるのに対して、小規模旅館では、7 割以上が 7 日以上の休業日を設けており、年間 25 日以上

休業する宿泊施設も 34%存在する。

図表 3-4-29 旅館規模別 休業日の設定状況

さらに、休業日を設ける一番の理由は、中・大規模旅館では「修繕・メンテナンスのため」が 58%と最も

多いのに対して、小規模旅館は、「閑散期で需要が見込めない」が 42%と最も多い。また、小規模旅館の

21%が「従業員の休日確保」を休業の理由に挙げている。 このようなことから、小規模旅館の休業日が多い背景として、閑散期の需要減少や、人手不足のため、

やむを得ず、休業日を設けている可能性も考えられる。 (サンプル数が少ないため、中・大規模旅館の結果は、合算して掲載する。)

15%

28%

21%

12%

36%

42%

38%

16%

37%

15%

20%

0%

19%

0%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

小規模

中規模

大規模

休業日なし 1~6日 7~24日 25~59日 60日以上

(n=26)

(n=15)

(n=19)

34%

25 日以上休業

休業日 6 日以内

休業日 6 日以内

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

89

図表 3-4-30 旅館規模別 休業日の設定状況の構成比

旅館の規模別の状況の違いとして、小規模旅館が、中・大規模旅館と比較して、より、閑散期(平日を

含む)の需要獲得に苦労している状況が伺える。一般的には、昨今の個人旅行が主体の旅行市場では、

インターネットの活用により低コストで、直接消費者に客室を販売できる環境にあり、資本力・人的資本の

少ない小規模宿泊施設でも、より規模の大きな宿泊施設と比較して、不利になりにくい状況となってきて

いるはずである。しかし、本項目の結果から、小規模旅館が、中・大規模旅館と比べて、稼働率水準が低

く、繁閑差が大きいのは、繁閑の差に応じた魅力的な価格設定やインターネット等を活用した効果的、効

率的、自立的な販売力が弱く、変化した市場の需要に対応した販売ができていない可能性がある。 有給休暇取得促進による宿泊需要が増加した際に、その需要をどれだけ取り込めるかは、各地域、各

宿泊施設の努力によるが、地域での経済効果をより高めるには、小規模宿泊施設等が、繁閑の差に応じ

た魅力的な価格設定や、販売におけるインターネット等の有効活用が可能となるよう、マーケティングの

知識や分析力、ICT 活用スキル等を強化するための支援策も有効と考えられる。

(9)宿泊業を対象とするアンケート調査結果に関する考察

124 件のサンプル数に基づく本郵送アンケート調査は、宿泊施設タイプ別のクロス集計など項目によっ

ては、少数の母集団を対象とした分析となったが、結果の傾向は、観光庁 宿泊統計調査を始めとする、

他の統計調査結果や、宿泊業の運営・経営の情報に接する機会が多い専門家の認識と類似する点が多

く、大まかな傾向としては、概ね実情を反映していると考えられる。

① 客室稼働率と繁閑の状況

本調査は、観光需要平準化、すなわち時期による需要の繁閑差縮小を図ることを目的としているため、

本郵送アンケート調査では、月間、及び、曜日別の最高、最低客室稼働率についての設問を含め、繁閑

の差が発生する時期の傾向や、繁閑差の大きさ(客室稼働率が最も高い/低い月・曜日の差)の傾向を確

認した。回答の結果からは、年間における繁閑差といえる月間平均客室稼働率の差(34.7%)よりも、週

間における繁閑差、曜日別平均客室稼働率(45.2%)の差が大きいことが判明した。さらに、月間客室稼

働率が最も高い月は、51%の宿泊施設が「8 月」と回答し、曜日別客室稼働率では、最も高い曜日は、ほ

とんど(89%)の施設において、「土曜日」との回答であることから、国内観光客の需要が繁閑の差に大き

42%

33%

4%

21%

0%

0%

19%

58%

0%

13%

6%

3%

0% 20% 40% 60%

閑散期で需要が見込めない

修繕、メンテナンスのため

関連施設の定休日に合わせて

従業員の休日確保のため

従業員の研修のため

その他

小規模(24)

中・大規模(31)()内は、有効サンプル数

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

90

く起因していると推測される。有給休暇の取得による宿泊需要の多くは、平日に発生すると予想され、そ

の新たな需要は、繁閑差の緩和に貢献するものと思われる。

② 雇用状況に関する課題

本郵送アンケート調査の分析より、有給休暇取得日数の増加が影響を与えると思われる「年間稼働率」

や「閑散期の稼働率」の上昇、「売上高の増加」が、正規雇用者の増加につながる可能性が判明したが、

一方で、正規雇用者の採用にあたっての課題もみられた。正規雇用者の採用状況や、非正規雇用者の

採用理由、休業日を設ける一番の理由の設問に対する回答において、正規雇用者の欠員が発生してい

る施設が少なくない状況が確認された。 この理由は、現在、業種を限らず日本国内でみられている人手不足に起因するものと考えられるが、人

口減少、過疎化が進む地方においては、より深刻と予想される。第 2 章において、新卒者の採用が少な

い中小規模旅館で、勤務形態を変えることで新卒者の採用が実現した事例がみられたが、従来のやり方

や固定観念に縛られず、施設の運営方法や雇用条件を見直す、柔軟な対応を検討することも、求められ

る。

③ 宿泊施設タイプによる違い

旅館、リゾートホテルといった宿泊施設タイプごとのサービスの内容や主要客層の違いは、運営、経営

状況とも大きく関係することから、一部の項目で宿泊施設タイプ別の結果の分析を行った。 年間客室稼働率については、主として都市部に位置し、旅館やリゾートホテルと比較して、ビジネス客

の利用や季節性の影響を受けにくい観光資源が多いと思われるビジネスホテルやシティホテルでは、平

均値(61.3%)と同程度か高い水準(年間客室稼働率 60%以上)にある施設が多く(76%)、観光地に位

置することが多い旅館やリゾートホテルでは、逆に、平均値以下(年間客室稼働率 60%未満)にあたる

施設が半数近くを占め、観光庁の宿泊統計調査と同様の業態による高低差が確認された。 また、正規雇用率については、ビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテルの 3 つのホテル業態では、

正規雇用率が低い(50%未満)施設が多く(ビジネス/シティホテル 77%、リゾートホテル 55%)、旅館で

は正規雇用率が 50%以上の施設が半数強(53%)であった。 この2つ結果から、施設タイプ別にみると、年間客室稼働率の高低と、正規雇用率の高低が逆転する

傾向がみられるが、これは、夕食の客室配膳や顧客の属性、要望に応じたパーソナルな対応が求められ

る旅館と、特に、客室数の多いビジネス/シティホテルでは、サービスの均質化・簡素化、分業制により、非

正規雇用者を活用しやすいといった事情の違いがあると推測される。 一方、各施設の年間客室稼働率、正規雇用率の値からの散布図による分析では、逆に、客室稼働率

が高い施設は、正規雇用率が高い、という相関関係が確認され、特に、旅館とリゾートホテルに限った場

合に、さらにその傾向が強く現れていた。このことから、宿泊施設タイプごとの正規雇用率の水準の違い

はあるものの、施設タイプ別のグループの中で見ると、年間客室稼働率が高い施設のほうが、正規雇用

率が高い傾向があることが確認できた。この傾向からも、有給休暇の取得による宿泊需要の増加により、

観光地にある宿泊施設の年間客室稼働率が上昇した場合には、正規雇用率が上がる、正規雇用者が増

加する可能性があると言える。

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

91

3-5 本章の分析、考察

本章では、企業等の有給休暇取得促進の取組の結果、増加する有給休暇によって、観光産業にどの

程度の経済効果が見込まれるのか、また増加した国内宿泊旅行需要が、地域のホテル・旅館等の運営・

経営状況に、どのような影響を与える可能性があるかを調査した。 経済界が目標とする、従業員等の有給休暇の取得日数の年間 3 日分の増加を想定した「有給休暇の

使い方」の質問には、約半数の 51.9%が国内旅行(1泊以上)に行くとの意向があった。これを、その旅行

の同行者も合わせて、延べ宿泊者数に換算すると、2016 年の国内の宿泊需要全体の 10%にあたる、年

間延べ 4,774 万人泊の宿泊需要が創出されると推計された。 この新規の宿泊需要は消費額に換算して、宿泊費のみで 2,837 億円、旅行費用の総額では 9,213 億

円の経済効果が創出されるとみられる。 また、この宿泊需要の増加により、国内の宿泊施設の平均客室稼働率は、2016 年の水準 60.0%21よ

り、5.8 ポイント上昇することになる。 「3-4 調査結果 国内宿泊旅行需要と宿泊業の運営・経営への影響」からは、有給休暇の取得日数

増加による宿泊需要が影響を与えると思われる「年間稼働率」や「閑散期の稼働率」が上昇することにより、

正規雇用者の採用が増加し、正規雇用率が上昇する可能性があることを示した。ただし、人手不足により、

正規雇用者の採用が難しい雇用環境にあることが、正規雇用者増加の阻害要因となりうるため、雇用環

境の改善への対応策が求められるといえる。また、年間客室稼働率と正規雇用率には相関関係があり、

今回の統計データからは、年間客室稼働率が 1%上昇すると、正規雇用率は 0.17%上昇する関係にあっ

た。 ここで、3-3、3-4、双方の調査結果をふまえて、「3-3 調査結果 有給休暇の増加によって創出

される国内宿泊旅行需要」で得られた、有給休暇の取得促進による宿泊需要の増加は、国内の宿泊施

設の平均客室稼働率の 5.8%上昇に相当するという推計結果を、3-4の年間客室稼働率と正規雇用率

の比例定数に当てはめると、有給休暇の取得促進による宿泊需要の増加がもたらす平均客室稼働率の

上昇により、宿泊施設の平均正規雇用率は、およそ 1%上昇するという推計結果が得られる。 この 2 つの調査結果、分析、考察をまとめると、次のようになる。

21 観光庁「宿泊統計調査」2016年速報値

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第3章 国内旅行需要の増加と宿泊業への経済効果

92

図表 3-5-1 第 3章の調査結果全体からの分析、考察

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第4章 交通機関の取組状況

93

第4章 交通機関の取組状況

4-1 業務の手順

(1)業務フロー

本章では、交通機関における観光需要の平準化につながる柔軟な価格設定などの取組の内容を確認

する。交通機関において、既に閑散期や平日に実施している割引などの柔軟な価格設定に関する取組

について情報収集を行い、観光需要の平準化につながる要因等について調査する。

(2)調査の手法

本章の調査は、交通機関企業 4 社に対しヒアリング調査を行った。

(3)調査企業の選定

ヒアリング調査業種は、国内宿泊旅行に占める交通費の割合が多いことから、「旅行・観光消費動向調

査」観光庁(2015 年)において、旅行消費額ベースでみた場合の、国内宿泊旅行のうち、観光レクリエー

ションを目的とするものにおける「最長交通機関」の上位 3 機関から選定した。最長交通機関は 1 位自家

用車(34.7%)、2 位飛行機(21.7%)、3 位新幹線(20.9%)である。そこで、自家用車の主要路となる高速

道路会社の中から 1 社、航空会社(飛行機)から 2 社、鉄道会社(新幹線)から 1 社選定した。なお航空

会社はフルサービスキャリア(以下 FSC)とローコストキャリア(以下 LCC)における取組を比較するため、

FSC1 社と LCC1社を選定した。さらに、それぞれの区分の中で、平日や閑散期における割引施策事例

が多い企業を選定した。 ヒアリングを実施した企業は以下の通りである。

区分 企業名 所在地 高速道路会社 東日本高速道路株式会社 (NEXCO 東日本) 東京都千代田区 鉄道会社 東日本旅客鉄道株式会社 (JR 東日本) 東京都渋谷区 航空会社(FSC) 日本航空株式会社 東京都品川区 航空会社(LCC) ジェットスター・ジャパン株式会社 千葉県成田市

4-2 高速道路会社の取組

ヒアリング調査を実施した東日本高速道路株式会社の概要は以下の通りである。 企業名 東日本高速道路株式会社(NEXCO 東日本) 本社 東京都千代田区霞が関 3-3-2 新霞ヶ関ビルディング(15F) 設立 2005 年 10 月 1 日 事業内容 新潟県および長野県の一部を含む関東以北から北海道までの高速道路の管理運

営事業、建設事業、サービスエリア事業および高速道路関連ビジネス 代表者 代表取締役社長 廣瀨 博 従業員数 2,216 人 (2016 年 3 月 31 日現在) 代表的割引施策 「ドラ割」 事前申込型の高速道路料金割引周遊パス

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第4章 交通機関の取組状況

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① 割引施策の内容 「ドラ割」は事前申込型の高速道路料金割引サービスで、高速道路を ETC で利用する料金車種区分

上の普通車および軽自動車等(バイク含む)に該当する自動車を対象としている。使い方によっては通行

料金が大幅に割引になることに加え 、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)での特典や、各地域

の観光施設や旅行会社等、他業態との連携による多様なサービス・特典を組み合わせた、企画提案割

引施策である。 「ドラ割」のタイプとしては①往復タイプ ②周遊タイプ(乗り放題)③往復+周遊タイプがある。例として

は、①往復タイプ:関越・上信越ウィンターパス 2016-2017、②周遊タイプ:新潟・北信濃・会津フリーパ

ス、 ③往復+周遊タイプ:信州めぐりフリーパス、などがある。 利用日数は、周遊タイプは 2~3 日間、往復+周遊タイプは基本的に 3~4 日間である。利用を日本

人観光客と想定しており、その旅行の動向に合わせて、長期間の設定はない。あらかじめ指定された高

速道路の区間や地域、期間中において、利用日を自社ホームページで事前申込のうえ ETC で高速道

路を利用する。料金所通過時は通常の料金が表示されるが、事前申込の情報をもとに、後刻「ドラ割」利

用であることを確認し、申込プランに応じた金額を請求する。代金は通常の ETC の利用同様、実際の通

行後にクレジットカード会社を通じて決済される。

② 発売時期 商品のテーマに応じた時期や季節に発売されている。閑散期のみの発売ではない。

③ 料金の決定方法と規制

企画割引は届出制となっている。ただし、高速道路通行料金は許可制であり、通行料金は建設費の償

還原資となるため、これに影響を及ぼす割引はできない。

④ 施策の利用者/主要ターゲット

ターゲットを絞っているわけではないが、若者の車離れもあり、結果的にシニア層の利用が多くなって

いるという状況である。

⑤ 自治体や地域等との協働の状況

自治体と連携した販促活動を行っているが、各地域を横断してお客様を送り込む働きはしていない。

地域側では、実際の送客効果について効果を測定するためのデータは何らかの形で入手可能であると

思うが、地域側でどのような統計を取っているのかは把握されていない。 リピート販売している周遊パスの地域では、ドラ割で使える優待施設数が増加しているため、提携する

ことの一定の効果は見られると思われる。

⑥ マーケティング活動 レンタカー会社やフェリー会社と提携したパスも販売している。例えば、レンタカー業者と提携した施策

では、ETC カードは、運転者の持参のものを使ってもらう前提で、ドラ割を申し込むとレンタカー代も割引

になるというものである。レンタカー利用拡大につながるという意図で、提携が実現している。顧客利便性

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第4章 交通機関の取組状況

95

の問題としては、レンタカーの決済やフェリーの決済と ETC カードは決済が別になるためワンストップで

の申込ができていない状況である。 利用後アンケートにより、利用者の属性や訪問地域情報等を入手しており、商品づくりに活用している。

また、ホームページによる販売告知を行っているが、販売店舗をもたないため、チラシなどの販促物を置

く場所が観光案内所やサービスエリア内など限定的である。

⑦ 割引施策の与える消費者旅行行動への影響

エリア内定額で高速道路を利用可能なため、従来は料金を気にして一般道を利用するような比較的短

い区間であっても、乗り降りが促進されている状況である。そのことから、今まで訪れなかった地域まで足

を伸ばす人が多く、新しい観光地訪問の増加や主要観光地以外の地域への送客効果がある。

⑧ 観光需要平準化における問題点・課題

観光需要とビジネス需要の切り分けが困難である。ドラ割を利用可能な車種を、普通車、軽自動車等

に限定し、物流トラックなどは利用できないようになっているが、車種ごとに料金設定が行われるため、観

光需要のみ増加させることは工夫を要する。例えば観光バスは大型トレーラーと同じ大型車の扱いになる

ため、観光バスのみ割引を行うことができない。 高速道路料金は、償還原資であり、ビジネス客など通常の料金で利用する予定だった層にも割引を行

うと、期待する収益が見込めなくなるため、簡単には割引を行えない状況である。また、マーケティング活

動として観光地への送客効果測定の検証と改善などの分析が不足している状況である。

⑨ 現在行っている問題点への対応

土日は観光需要が多いが、平日はビジネス需要のほうが多い。平日利用可能な商品は、スキーなどの

リフト券や宿泊施設の割引などの特典と組み合わせている。料金設定は、通行料自体の割引を大きくす

るのではく、特典の割引が高くなるようにしている。具体的には、短期間利用の往復タイプでスキー場リフ

ト券が割引になるウィンターパスを発売している。スキー場を利用する観光客に限定可能である。

4-3 鉄道会社の取組

ヒアリング調査を実施した東日本旅客鉄道株式会社の概要は以下の通りである。 企業名 東日本旅客鉄道株式会社 本社 東京都渋谷区代々木二丁目 2 番 2 号 設立 1987 年 4 月 1 日 事業内容 運輸業(鉄道事業を中心とした旅客運送事業および鉄道車両製造事業)、駅ス

ペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他 代表者 代表取締役社長 冨田哲郎 従業員数 58,550 人(2015 年 4 月 1 日現在) 代表的割引施策 大人の休日倶楽部パス(「大人の休日倶楽部」会員のみ購入可能な周遊フリー

パス、入会 50 歳以上、年会費あり)

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第4章 交通機関の取組状況

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① 割引施策の内容

「大人の休日倶楽部パス」は、新幹線を含む JR 東日本全エリアが年 3 回程度、期間限定で乗り放題

となる周遊パスである。4 日間乗り降り自由で、価格は 15,000 円が主で、JR 北海道のみ利用できるパス

(5 日間、16,250 円)や、JR 東日本と JR 北海道両方のエリアが利用できるパス(5 日間、26,000 円)、ま

た、北海道新幹線開業一周年記念として、2017 年 4 月 10 日から 4 月 19 日に利用できるパスなどがあ

る。「大人の休日倶楽部パス」を購入するためには、50 歳以上のみ入会可能である「大人の休日倶楽部」

の会員であることが必要である。 「大人の休日倶楽部」は 50 歳からの旅と暮らしを応援する会員組織である。JR 東日本および JR 北

海道の運賃・料金が割引になるほか、会員限定きっぷの販売や各種特典のサービスを受けることができ、

趣味の講座の活動の場の提供も行われている。クレジットカードである「大人の休日倶楽部カード」への

入会が必須であり、会員割引のきっぷは大人の休日倶楽部カードでの決済となる。

② 発売時期

春、夏、秋冬の閑散期中心(年3回程度) ③ 料金の決定方法と規制

鉄道運送事業者は旅客の運賃および料金の上限を定め、または変更する場合は国土交通大臣の認

可を要する。また、今回対象となる大人の休日倶楽部パスのように、その上限の範囲内で運賃および料

金の設定・変更を行う場合は事前の届出を要する。

④ 施策の利用者/主要ターゲット 50 歳以上の「大人の休日倶楽部」会員。時間とお金に余裕のあるシニア層は魅力的な市場である。会

員以外には、青春 18 きっぷや週末利用可能な割引切符を販売している。 ⑤ 自治体や地域等との協働の状況

パス発売時期に合わせたお出迎えイベントを企画するなど、自治体と協働した活動を行っている。 ⑥ マーケティング活動

「大人の休日倶楽部パス」は周遊フリーパスであり、利用者が訪問した地域を把握することができない

ため、事後アンケートにより、訪問地域を確認している。 ⑦ 割引施策の与える消費者旅行行動への影響 エリア内定額のため、より遠くの駅まで行こうとし、今まで訪れなかった地域まで足を伸ばす人が多い。

移動距離の伸長(宿泊日数増加のインセンティブ)や新規観光地訪問の増加(主要観光地域外への送

客効果)といった影響がある。 ⑧ 観光需要平準化における問題点・課題 若い世代をターゲットとした、新幹線を利用可能な 3~5 日間の周遊パスや割引きっぷ等の商品は発

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第4章 交通機関の取組状況

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売されていない。ビジネス需要と観光需要の区別が難しく、観光需要のみを喚起することが難しいからで

ある。客単価が高いビジネス需要が見込まれる平日の観光需要の増加に対し、割引インセンティブは低

い状況である。 ⑨ 現在行っている問題点への対応

割引周遊パスの発売自体が、閑散期の需要増加につながっている。

4-4 航空会社の取組

航空会社は、FSC と LCC を 1 社ずつ調査した。 (1)FSC

ヒアリング調査(FSC)を実施した日本航空株式会社の概要は以下の通りである。 企業名 日本航空株式会社 本社 東京都品川区東品川 2-4-11 野村不動産天王洲ビル 設立 1951 年 8 月 1 日 事業内容 定期航空運送事業及び不定期航空運送事業、航空機使用事業、

その他附帯事業 代表者 代表取締役社長 植木義晴 従業員数 11,224 人(2016 年 3 月 31 日現在) 代表的割引施策 「先得」 早期購入割引運賃

① 割引施策の内容

「先得」は、早めに購入することを条件に、価格が安く設定されている早期購入割引運賃である。予約・

購入から搭乗までの日数により、タイプが4つに分かれる。75 日前までの予約「ウルトラ先得」、55 日前ま

での予約「スーパー先得」、45 日前までの予約「先得割引タイプ B」、28 日前までの予約「先得割引タイ

プ A」である。ほとんどの路線で「先得」が設定されている。予約変更は不可である。「先得」は、現時点に

おける便の最終的な混み具合の予測値である予測残席数に連動した運賃となっており、予測の変動によ

り、購入後により安いタイプの運賃に空席が出る場合もある。 ② 発売時期

基本的には予約から搭乗日までの日数で割引タイプが決められており、ゴールデンウィーク、お盆、年

末年始といったハイシーズンも、割引率が小さくなるものの、先得運賃の適用がある。閑散期や平日のみ

利用可能な設定ではない。 ③ 料金の決定方法と規制

割引運賃は、国土交通省への届出制となっている。需要や競争環境に応じて割引運賃を決定し、随

時新しい運賃の届け出を行っている。

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第4章 交通機関の取組状況

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④ 施策の利用者/主要ターゲット

施策の利用者は、観光、帰省、友人・知人訪問を行う目的で、計画的に利用するタイプの旅客である。

なお、一部商用目的の利用があることも確認している。一般的には商用の旅客は、予約を行うのは搭乗

時期の直前であるため、予約変更可能な設定を好むという特性があり、観光目的の旅客については、早

い時期に予約を行うことが多い。予約変更不可の設定である代わりに高い割引率の運賃を提供している。

⑤ 自治体や地域等との協働の状況 地方自治体と協働し、地域活性化に向けた取組を行っている。例えば、奄美群島の世界自然遺産登

録に向けての観光基盤づくりに、奄美群島航空・航路運賃軽減協議会と協働した取組を行っている。割

引運賃を提供すると同時に、当社ホームページの旅情報サイト、「旅プラスなび」で、美しい島の様子や

観光スポットを紹介しており、旅行に行きたくなる気持ちを喚起している。

⑥ マーケティング活動

「先得」のプロモーション媒体としては、主にテレビコマーシャルや新聞、交通広告などの媒体に加えて、

Facebook や LINE などの SNS も利用しており、幅広い年齢層に響くような取組を行っている。また、地

方のデスティネーションの魅力をひきだすプロモーションや、地域復興支援として観光需要を増加させる

取組も行っている。

⑦ 割引施策の与える消費者旅行行動への影響

早い時期の予約・購入が必要ではあるが、搭乗日まで 4 段階の日数設定があるため、じっくり念入りに

計画を立てて行動する旅客から、旅行を比較的間際で決める、思い立ったら行動するタイプの旅客まで

対応しており、新規需要創出効果がある。

⑧ 観光需要平準化における問題点・課題

価格を下げることによって、閑散期の需要を喚起することは可能だが、地域にはそれぞれ旅行シーズ

ンがあるため、需要の引き上げには一定の限界がある。例えば沖縄であれば、夏の沖縄をイメージし夏に

旅行したくなる人が多いからである。観光需要の創出に重要なのは、魅力的な運賃の提示と、そのデステ

ィネーション自体の魅力である。安い運賃を提示するだけでは足りず、その地域に行ってみたいという気

持ちを引き起こすことが必要である。

⑨ 現在行っている問題点への対応

需要のピークをずらすために、平日の需要が少ない便の価格を下げ、需要を喚起している。交通機関

が自治体と協力し、地域の情報発信をしていくことで観光需要創出につながると考えている。

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第4章 交通機関の取組状況

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(2)LCC

ヒアリング調査(LCC)を実施したジェットスター・ジャパン株式会社の概要は以下の通りである。 企業名 ジェットスター・ジャパン株式会社 本社 千葉県成田市 設立 2011 年 9 月 5 日 事業内容 定期航空運送事業、航空機使用事業、その他附帯事業 代表者 代表取締役会長 片岡優 従業員数 776 名(2015 年 6 月末現在) 代表的割引施策 セール

① 割引施策の内容

割引価格ととらえられがちであるが、厳密には割引ではない。同一路線に異なる運賃を何十種類も届

出をしており、販売しているのは、すべて届出を出した運賃である。したがって、販売している価格のすべ

てが定価であると言え、定価から割引した価格で販売しているわけではない。 ② 発売時期

閑散期中心ではあるが不定期に行われている。 ③ 料金の決定方法と規制 料金は届出制である。航空運賃が、2000 年に認可制から届出制に変わったことにより、同一路線で複

数の価格を届出しやすくなった。通常時期の価格、セールに使う価格は、その中から選定している。届出

は、夏期期間、冬期期間、1年などのように期間を設定して行う。届出をした運賃は最長1年有効である。

④ 施策の利用者/主要ターゲット

観光需要、価格に敏感な若者である。シニア層は利便性や提供サービス内容に価値を求め、当社の

方針とは異なるため、積極的取込みは行っていない。

⑤ 自治体や地域等との協働の状況 積極的かつ戦略的に自治体と協働した活動を行っており、新規需要を創出している。例えば、じゃらん

net で若年層などターゲットを絞った情報発信や、るるぶでの LCC 版小冊子作成などがある。

⑥ マーケティング活動

販売状況確認、施策効果測定などを密に行い、戦略的にマーケティング活動を行っている。ターゲット

の若者はクチコミを重視することから SNS への対応を行っている。また、若者は車を運転しないことも多

いことから、空港から観光地まで安価に移動できるようなアクセス手段を提供する対策を行っている。

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第4章 交通機関の取組状況

100

⑦ 割引施策の与える消費者旅行行動への影響

価格が安いため、消費者が思い立ったら旅行に出る行動に移しやすいことにより、新規需要創出と旅

行頻度を上げることに寄与している。

⑧ 観光需要平準化における問題点・課題

戦略的なマーケティング活動を行い、需要を喚起する取組を行っている状況である。しかしながら当社

便の全体の7割を占めている成田空港のアクセスについて、競合となる同じ首都圏にある羽田空港に比

べて不便であるため、二次交通の整備が必要である。

⑨ 現在行っている問題点への対応

航空機は空港間を結んでいるが、旅客の目的は空港ではなく観光地に行くことにある。空港間だけで

なく、その先、観光地までの二次交通までも網羅すべく、例えばバス事業者と業務提携を行い、航空券と

バス乗車券をどちらも自社ホームページにて購入できるようにするなど、消費者の利便性を図っている。

それにより、自社の得意とする若年層を含め、旅客が少しでも旅行に行きやすい環境づくりを目指してい

る。 4-5 本章の分析、考察

本調査では、高速道路会社、鉄道会社(新幹線)、航空会社(FSC、LCC)における割引施策を確認し

た。旅行消費に占める交通手段にかかる費用の割合は大きく、交通機関の料金の柔軟性が需要創出に

果たす役割は大きいと考えられる。しかしながら、交通機関の事業は、観光目的の旅客だけを対象にして

いるわけではなく、商用目的も含めた幅広い利用者を輸送する高い公共性を前提としている。今回調査

対象の事業者はいずれも民間企業ではあるが、公共性と表裏一体の要素として、料金が認可性あるいは

届出制となっている。この点で、柔軟な料金設定を実施するためには一定の制約がある。 その中で、それぞれの事業者では、割引料金の設定等を行っている。各割引制度の詳細は本文中に

記載したが、本調査で想定している、料金を安価にすることで需要が増加することは、複数の事業者にお

いて確認できた。これら割引制度等に関する取組の特徴は、以下の点に整理される。 ① 観光目的の旅客だけを割引対象にする必要性とその工夫

幅広い利用者のうち、観光目的の旅客と商用目的の旅客では、特性、ニーズが異なっている。 そのため、柔軟な料金設定によって需要を創出することは可能である。しかし、割引がなくても利用す

る商用目的の旅客まで割引料金が適用されてしまうと、事業者の収益が少なくなってしまう。 この対策としては、航空会社(FSC) では、商用の旅客は、予約が搭乗の直前で、予約変更可能な設

定を好むという特性を基に、観光目的の旅客については早い時期の予約、予約変更不可の割引料金と、

複数の料金体系を設定することで、利用者のニーズへの対応と収益性の双方をバランスさせている。 しかし、高速道路の通行料金では、このような予約時期の違いなどの手法は使えない。そのため、事前

に登録することでスキー場のリフト券が割引になる等、通行料金と観光地での消費を組み合わせて割引

することで、商用利用者が割引料金を利用しにくい仕組みをとっている。 観光目的の旅客だけを対象にするための工夫は、交通機関の特性に応じて、設定の方法には多様な

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第4章 交通機関の取組状況

101

手段がある。 ② 顧客動向をとらえ需要を創出するためのマーケティング活動

実際に有給休暇を取得した人に対し、交通機関が安価であるという情報が行き渡るためには、既存の

販促チャネルの活用や、増強が必要になっている。 本調査の対象企業では、販促の規模、内容はそれぞれ異なっている。 航空会社(LCC)では、旅客全体のターゲットを若年層と明確にしている。LCC は FSC が複数の料金

体系を設けていることに対し、料金体系は一つにして、それを低い料金設定にするビジネスモデルとなっ

ている。そのため、直前の予約でも安価に利用できる。若年層は仕事、学校などの予定があることから、シ

ニア層より直前に旅程が決まる場合が多く、LCC のビジネスモデルは、若年層に適応しやすいためと考

えられる。このようにターゲットが明確であることから、価格訴求の告知は、若年層にアピールする、キャッ

チコピーや告知媒体を活用している。 鉄道会社(新幹線)では、会員組織にして会員誌などで告知するという手法を採用している。 一方、高速道路会社では、インターネットを活用したり、チラシを作成したりなどの手法をとっているもの

の、販促の規模はそれほど大きくはない。 本ヒアリング調査の対象企業では、すべて顧客に関するアンケート調査等を実施しており、顧客属性等

の把握は行っていた。しかしながら、高速道路会社や鉄道会社(新幹線)では、定額周遊フリーパスタイ

プの割引施策を行っていることから、利用者が訪問した地域を把握する材料が不足していることがわかっ

た。受け入れ地域側では、実際の送客効果測定データは何らかの形で入手可能であると推測されるが、

地域側でどのような統計を取っているのかは把握されていない状況である。 販促施策をより効果的に実施するためには、顧客動向を把握可能なデータ収集をすすめ、送客効果

測定検証と改善などのデータ分析を行うべきである。また、これらの情報からのターゲット設定、情報の訴

求方法については、既存の販促チャネルの活用や、増強が望まれる。 ③ 地域との連携及び二次交通の整備

本調査の対象企業では、すべて何らかの形で観光地を有する地方公共団体、観光協会等との連携を

行っている。観光地側にとって交通機関との連携は、割引施策や販促の機会に露出を高め、実際に誘客

をする点で、効果がわかりやすい施策といえる。 鉄道会社(新幹線)の例では、閑散期に実施している割引期間中に、観光地側では、駅でお出迎え行

事を実施する事例があった。このような観光地側の受け入れ態勢の整備を組み合わせることにより、観光

客の満足度が向上されることが想定される。 航空会社(FSC)では、観光基盤づくりのため協議会と協働し、割引施策に加えて、地域の魅力を自社

ホームページの旅行情報サイトで紹介する事例があった。地域には適切な旅行シーズンがあり、低価格

施策だけでの需要の引き上げには一定の限界がある点で、顧客の旅行行動誘因となる地域の魅力向上

策は需要創出に適した取組といえる。また、LCC では、空港から観光地までの二次交通を、バス会社と

提携して整備している事例があった。 このように、交通機関の特性によって内容は異なるが、地域との連携を行うことで旅行者の満足度や利

便性を高める施策が行われており、これは交通機関、地域双方にとって利点がある取組といえる。

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第4章 交通機関の取組状況

102

以上の、各社割引施策の取組状況、問題点と課題を、次の図表にまとめた。

図表 4-5-1 各社割引施策の取組状況

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第4章 交通機関の取組状況

103

図表 4-5-2 各社割引施策取組の問題点と課題

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

104

第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

5-1 調査の目的

観光需要平準化に向けては、特に閑散期における需要創出に取り組むことが重要であると考えられる

ため、その取組にあたって参考に資する、海外の先進事例を調査する。

5-2 調査の概要

(1)諸外国の観光需要平準化の状況について

本章では、観光需要平準化に向けた閑散期の需要創出に関する、諸外国における取組の先進事例を

収集するにあたり、諸外国での観光需要平準化にまつわる状況を確認した。 1975 年に BarOn の論文 22により、観光地の季節変動と政策に関して発表されて以

降、”Seasonality”(以下、季節変動とする)に関して様々な、記事、研究報告書、ケーススタディな

どが、発表されている。23 現在でも、世界各地の観光地で同様の問題が認識されており、国連世界観光機関(以下、

UNWTO とする)では、2014~15 年にかけて、3 回にわたり、季節変動の対応に関する国際会議

を開催し、各国の先進事例の発表や、関係者、研究者による意見交換がなされた。24 宿泊業では、1980 年代終盤から 1990 年代初頭にかけて、航空業界で一般的に行われている収

益を最大化する管理手法であるイールド・マネジメントに倣い、価格を変動させ、様々な客層のニ

ーズや時期を踏まえた商品販売を行う「レベニュー・マネジメント」(収益管理)といわれる手法を取

り入れている。25 諸外国では、以下のような状況から、観光地の宿泊施設における、土曜日と平日の曜日繁閑差は、

日本ほど大きくないと推測される。 平均国内旅行日数が、最も短い韓国で 2.7 泊、欧米諸国では 3~5 泊と、日本(2.0 泊)と比

較して、長い。26 有給休暇に関しても、日本と比較して、付与日数も多く 27、取得率も総じて高い国が多い 28。

また、国民の祝日は日本よりも少ない国が多く 29、特定期間に需要が集中しにくい。

22 出所:BarOn, R. V. “Seasonality in Tourism - A Guide to the Analysis of Seasonality and Trends for Policy Making”、 1975 年、The Economist Intelligence Unit Ltd.、Technical, Series No. 2 23 出所:Nicoke Koenig and Eberhard E. Bischoff “SEASONALITY RESEARCH: THE STATE OF THE ART”、2004 年 24 出所:UNWTO 公式ホームページ URL: http://affiliatemembers.unwto.org/event/3rd-unwto-conference-overcoming-seasonality 閲覧日 2017 年 3 月 17 日 25 出所:Hanks, Richard D., Robert G. Cross, and R. Paul Noland “Discounting in the hotel industry: A new approach”Cornell Hotel and Restaurant Administration Quarterly 33 (1): 15-23.)、1992 年 26 出所:国土交通省観光庁「旅行環境に関する国際比較調査・分析、報告書 表 1-3 調査対象国の基本情報」、2010年) 27 同上 28 出所:エクスペディア プレスリリース 2016 年 12 月 15 日「世界 28 ヶ国 有給休暇・国際比較調査 2016」 日本の

有休消化率、2013 年以来 3 年ぶりに最下位に」URL: https://welove.expedia.co.jp/press/23513/ 閲覧日 2017 年 3月 17 日 29 出所:国土交通省観光庁「旅行環境に関する国際比較調査・分析、報告書 表 1-3 調査対象国の基本情報」、2010年)

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

105

(2)事例の選定方法

① 事例選定にあたっての前提

観光需要の不均衡が起こる要因として、天候、気候などの観光地(受入)側によるものと、旅行者が旅

行可能な時期や動機といった発地(需要)側の要因に大きく分けられる。したがって、観光需要の平準化

を図るためには、観光地側から閑散期に潜在的な旅行者を惹きつける「需要喚起策」、あるいは発地側

から潜在的旅行者に行動を促す「旅行促進策」の、いずれかの観点から取組が行われる。 観光地側からの「需要喚起策」としては、以下の 5 つのタイプが考えられる。施策によっては、2 つ以上

のタイプの特性を備える場合もある。需要喚起策の取組の主体となるのは、主に地域の DMO(Destination Marketing/Management Organization)、観光局・観光協会、地方自治体、または宿

泊施設をはじめとする観光産業の事業者である。

施策タイプ 取組例

a) マーケティング活動 潜在的旅行者とのコミュニケーションにより、情報提供、動機付け b) (既存、新規)観光資源の

価値向上 既存の観光資源の付加価値を高める 地域内の何らかの資源を旅行者が利用可能なかたちに整備し、

観光資源とする c) 交通利便性の向上 新たな移動手段(新規路線)の提供

頻度の増加、移動時間短縮 d) 魅力的な価格の提示 既存商品の価格割引 e) 新規顧客層の開拓 これまでは来訪していない、少なかった客層への販売やマーケ

ティング活動による誘客、ニーズへの対応 また、発地側で、潜在的な旅行者に旅行を促す可能性があるのは、主に行政機関や企業などである。 これらの関係性を以下の図に示した。

図表 5-2-1 観光需要平準化を図る取組の主体と方策

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

106

② 事例選定方針

前項の前提に基づき、本文献調査では、以下の方針の下、海外事例を選定した。

図表 5-2-2 海外事例選定の方針

文献の言語 英語で記述されたもの。 文献のタイプ 出所や筆者が明確であり、記述内容が信頼たるものである限り、学術論文に限定

しない。

また、特定の地域の活動について記述したケーススタディ式または特性の共通す

る複数の観光産業の事業者の取組を調査し、統計的に分析したもの、いずれの形

式も問わないが、偏りがないように選定する。 文献の内容 主に閑散期の観光需要創出を図る具体的な取組で、当該文献内または後続の文

献や外部の統計データ等より、一定の効果が確認できるもの。 取組事例の主体 主に地域(DMO、観光協会、地方自治体など)や民間企業(宿泊施設、観光施設

など)にて取組可能なものを中心に、政府や公的機関によるものも、1~3件程度、

含める。 取組地域 日本国内の地域、特に大都市圏以外の、資源の限られた中小規模の観光地の参

考となるような取組を中心に、観光資源や施策のタイプに偏りがないように、選定

する。 取組地域の主要

顧客層

国内観光旅行者を主要顧客層とする地域を原則として対象とするが、欧州や北米

など、地域によっては、地理的環境や出入国制度上の制約が少ない場合など、近

隣の外国からの観光旅行者を国内観光旅行者と、同様の商圏範囲としてとらえる

可能性がある。 参照文献数 原則として、1 事例につき、1 件の文献を参照、引用する。

ただし、主とする参照文献を補足する形で、必要に応じて、2 件以上の文献を参

照、引用する。 5-3 事例の概要(一覧)

本調査では、前項の基準に従い、以下の 10 の事例を選定した。また、各事例が前項で説明した、どの

施策タイプに該当するのかを一覧にした。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

107

図表 5-3-1 選定した海外事例

事例

地域 事例タイトル

文献 タイプ

施策タイプ

地域側 送客側

ケーススタディ

統計分析

a )

マーケテ

ィング活動

b )

観光資

源価値向上

c )

交通利便

性の向上

d )

魅力的

な価格設定

e )

新規顧客

層の開拓

閑散期の

旅行促進

1 タスマニア、 オーストラリア

閑散期に特化した包括的マーケティング活動

〇 〇

2 スロベニア 顧客ニーズへの対応とブランド力の向上による、閑散期の競争力強化

〇 〇 〇

3 スコットランド、

英国 イベント開催や近隣圏客層による季節変動への対応

4 アルガルベ、 ポルトガル

LCC や旅行会社との提携による需要回復策

〇 〇

〇 〇

5 イタリア LCC 就航による季節変動緩和の効果

〇 〇 〇

6 全世界 景気低迷期に有効なホテルの販売施策

〇 〇

7 オーランド、

米国

観光地における MICE 需要の可能性と観光振興の財源確保

〇 〇 〇

8 ハイデルベルグ、

ドイツ 地域特性を活かした会議誘致による需要平準化

〇 〇 〇

9 カナダ 客層の多様化による、季節変動の緩和

10 ハンガリー 福利厚生レクリエーションカード発行による季節変動対応策

なお、本章にて、外国通貨による金額表記がある場合は、参考として、日本円に換算した金額を併記し

た。日本円への換算において、適用した通貨換算レート 30は、以下の通りである。

図表 5-3-2 事例における為替レート

外貨 換算レート(円) (1 通貨単位当たり)

換算レート(円) (100通貨単位当たり)

米ドル 113.19 - 英ポンド 140.04 - ユーロ 119.53 - オーストラリアドル 86.64 - ハンガリーフォリント 0.3879 38.79

5-4 事例詳細

(1)事例1 タスマニア、オーストリア:閑散期に特化した包括的マーケティング活動

30 換算レートは、「関税定率法第4条の7に規定する財務省令で定める外国為替相場 適用期間:平成 29 年 3 月 12 日

から平成 29 年 3 月 18 日まで」を適用した。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

108

タスマニア州では、季節変動の課題を重視し、政府から割り当てられる予算のほとんどを繁忙期以外の

需要喚起のためのマーケティング活動に投入している。繁忙期にはマーケティング活動を行わなくても誘

客ができるため、メリハリをつけた活動を行うことで、観光平準化を図っている。 また、マーケティング活動の取組自体も、オーストラリアは観光先進国であることから、施策の内容は参

考になるものが多い。具体的には、閑散期の3シーズンそれぞれのキャンペーンを実施する、キャンペー

ンの対象を年代や性別、出身地といったデモグラフィック属性ではなく、ライフスタイル属性で設定する、

インターネット媒体を活用する点などである。 その結果は、キャンペーン実施前より、需要の季節変動が緩やかになったといえる。

① 事例の概要

対象地域、国 タスマニア州、オーストラリア 取組主体 地方観光局 関与・連携した

組織

地域の観光事業者、旅行会社、航空会社、州政府、観光産業業界団体

観光地タイプ 山岳地帯、湖、野生動物などの自然観光資源、歴史的建造物 対応手段 マーケティング活動 事例のポイント 広告(印刷媒体、オンライン)、パブリシティ、SNS、ホームページ、旅行会社などの

様々なチャネルを、それぞれの特性を生かして、総合的に活用した、教科書的なマ

ーケティング活動で、閑散期の季節ごとのキャンペーンを実施、マーケティング活動

の利点を十分に生かすことで、効果を最大化している事例である。 主な課題 夏の観光シーズンのイメージが強く、観光需要が夏期に偏る。 主な取組 観光局のマーケティング活動を、閑散期の需要喚起に集中させる。

広告や PR、SNS を活用し、同時期に並行して季節キャンペーンを実施する。 旅行会社や航空会社とも提携し、同時にプロモーションを実施し、相乗効果を

図る。 取組の効果 観光局の SNS アカウントフォロー数やホームページのアクセス数、動画閲覧数は、

活動にともない増加した。 市場調査の結果、広告により、旅行意向がかきたてられ、10~40%と高い割合で、

消費者が、旅行購買またはそれにつながる行動をとった。 キャンペーン開始後、繁忙期と閑散期の旅行者数比率の差が縮小した。

主要参照文献 タイトル(原題):Tourism Tasmania Annual Report 2015-16 (和訳: タスマニア州観光局 年次報告書 2015-16 年) 執筆者:Tourism Tasmania(タスマニア州観光局) 発行元:同上 発行年:2016 年

② 地域の概要

タスマニア州(島)の面積: 北海道よりも少し小さい。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

109

交通: オーストラリア本土、主要都市から、航空便で 1-3 時間である。 観光資源としては17の国立公園、世界文化遺産に登録された囚人遺跡群などがある。

③ 取組の背景

タスマニア州では、1990 年代末より閑散期の需要減少の課題を認識し、2000 年代前半には

「Tourism Tasmania – Winter Challenge 21」という戦略を立て、閑散期となる冬場の観光資源の開

発などに、広範囲に取り組んでいた 31。 しかし、2008-09年、州都ホバート周辺の宿泊施設の月間客室稼働率の推移 32をみると、春から秋(10

月から翌年 3 月)にかけては、稼働率が 80%を超え、最も需要が多い 1 月には 100%近いが、冬(7 月か

ら 9 月)は 60%を下回り、依然として、季節ごとの需要変動がみられる。

図表 5-4-1 ホバート都市圏の宿泊施設の月別客室稼働率(2008-09)

出所:タスマニア州観光局、“Research Snapshot Accommodation Supply

and Demand in Greater Hobart, 2010-2017” 、2010年

④ 事例の詳細

主要参照文献に基づき、本事例の取組の詳細を以下に示す。枠内の情報は、原則としてすべて、主

要参照文献からの引用であるが、出所が異なる場合は、その都度明記する。 (ア) タスマニア州の観光産業概要

観光産業の従業者数:36,700 名(関連産業含む、州全体の 15.3%、オーストラリア全州の中

で、最も比率が高い) 観光産業の事業者数:1880 社 観光産業の経済効果:25.5 億豪ドル(約 2,209 億円)(間接効果含む、州全体の 9.9%) 州外からの旅行者、外国人旅行者合計:119 万人(クルーズ寄港者は除く、2015 年度) 旅行者の平均泊数:8.9 泊、1 人当たりの平均消費額 1,740 豪ドル(約 150,754 円)

31 出所:Christine Lee 他 ”SEASONALITY IN THE TOURISM INDUSTRY Impacts and Strategies”、 CRC for Sustainable Tourism Pty Ltd.、2008 年 32 出所:タスマニア州観光局 “Research Snapshot Accommodation Supply and Demand in Greater Hobart, 2010-2017”、2010 年

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

110

旅行者の構成:観光客 48%、家族、友人訪問 26%、商用 17%など 全体の 30%は初回訪問者、70%は 2 回目以上の訪問者 国内旅行者 85% : 外国人旅行者 15%

(イ) 取組の主体者 : タスマニア州観光局

タスマニア州政府の観光マーケティング組織として、州成長部(経済、産業振興担当部)や州

内4つの地方観光局と協力し、マーケティング活動による観光振興と、その経済効果を最大化

する役割を担う。 7 名の役員は、観光産業運営の要職経験者、マーケティング専門家、ICT 専門家、地元実業

家などから構成される。 年間 2600 万豪ドル(約 22 億 5,000 万円)(2015 年度)の活動資金の 98%は州政府からの

出資による。 (ウ) 取組の概要

政府から割り当てられる年間 1,500 万豪ドル(約 13 億円)の予算を元に、主要な活動として、

国内旅行者向けには、「Go Behind the Scenery 秋」、「Go Behind the Scenery 春」の2つ

の大きな施策と、それよりも小規模な冬のキャンペーン「Season of Curious」の3つを実施してい

る。秋、春、冬の閑散期の 3 シーズン、それぞれのキャンペーンを実施するが、ホテルの稼働が

非常に高い夏は、キャンペーンは実施しない。 1. 国内市場 ターゲット客層

マーケティング調査に基づいて、「Lifelong learners」(学び続ける人たち)と称した層をターゲ

ット客層として設定している。 市場調査の結果より、この層は、「主にオーストリア東部沿岸の大都市に在住、探求心と学習意

欲があり、前向きで、休暇旅行には、見知らぬ土地の発見や地元の人との出会い、その人たちと

過ごす時間を思い出として作ることを求める」人々と定義している。 また、この層は、①ツーリングを楽しむ 40 代以上のカップル、夫婦、②短期休暇に行く 25~39

歳のカップル、夫婦の主な2つのグループに多いことが判明している 33。 2. 「Go Behind the Scenery 秋/春」キャンペーン

2012 年より、他の観光地との差別化、タスマニアの観光地イメージの明確化を目指して、“Go Behind the Scenery”(あの風景の向こうへ 34))というブランド名を付けた、秋、春の季節ごとのキ

ャンペーンを実施している 35。 3. キャンペーン実施概要

(1)実施地域 ビクトリア(州都メルボルン)、ニューサウスウェールズ(州都シドニー)、クイーンズランド(州都ブ

リスベン)の、オーストラリア 3 大都市を要する 3 州 (2)主要販促コンテンツ

地元の有名人を起用した、ストーリー性のあるビデオクリップを、SNSなどで容易に共有可能な

かたちで提供した。コンテンツでは、ツーリング、体験型観光、食とワイン、遺産散策、芸術文化な

33 出所:タスマニア州観光局 ”Go Behind the Scenery Autumn 2016 Tourism Campaign Fact sheet”、2016 年 34 キャンペーンタイトルの邦訳は WBA による。 35 出所:タスマニア州観光 ”Tourism Tasmania Annual Report 2012-13”

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

111

どの観光資源をアピールし、特に州内の遠隔地への旅行促進を図った。 様々なアクティビティと、そこに携わる情熱的な人物をメインで起用し、「地元の人が語るストーリ

ー」として体験を紹介することで、ブランドテーマ「Go Behind the Scenery(あの景色の向こう

へ)」を表現している。 (3)広告

テレビ、印刷媒体、映画館などのメディア広告と合わせて、動画サイトや Instagram、

Facebook 広告などのオンライン広告にも投資した。 (4)専用ホームページ(www.gobehindthescenery.com.au)

前シーズンの 2015 年春より、消費者行動の調査結果をふまえて、下記のように改善した。 ホームページの閲覧時間の長期化を狙い、観光情報コンテンツの充実 専用ホームページから、航空券とホテルの予約機能を備えた大手旅行会社のホームページ

への導線を設置。 過去の旅行者の要望を踏まえて選定・造成した 14 のモデルコースを紹介し、提携する大手

旅行会社で、そのまま予約可能となっている。また、一部のコースは、州内の複数の観光局が

協力し、エリアをまたがる日程を作成した。 地元に精通した案内(Insiders’ Guide) 地元住民や旅行ブロガー、写真家、多数のフォロワーを有する Instagram 投稿者などが

様々なソーシャルサイトで発信する、タスマニア旅行の体験を集め、第三者の視点から紹介す

るページを作成した。 4. 旅行会社、航空会社との連携

タスマニア州観光局の活動と並行し、提携する旅行会社、航空会社、州内の地方観光局で

も、それぞれマーケティング活動を行った。 主要 3 航空会社(カンタス航空、ジェットスター、ヴァージン・オーストラリア)とのそれぞれと提

携キャンペーンを実施したが、中には、テレビの旅行番組と提携したものもある。 旅行会社スタッフ向けに、タスマニア旅行に関する、オンライン講座を提供しているが、当年

度は、151 名が講座を修了した。提携関係の強い、大手旅行会社向けには、キャンペーン

の概要を周知するための専用の研修を実施した。 5. パブリシティとSNSの活用

メディアで取り上げられた例としては、Three Capes Track(プレミアムな岬巡り絶景スポットの

散策コース)の開業がある。 パブリシティ:多数の大手メディア、ガイドブックなどで紹介された。 オリジナル動画:有名ガイドブック ロンリープラネットと共同で動画を製作、ロンリープラネット

がその動画シリーズを SNS で共有したことで、再生回数 64 万を超えた。 散策コースを撮影した一般人の動画を観光局の SNS で共有し、観光局の Instagram、

Facebook、Twitter アカウントだけで 20 万人が閲覧した。 パブリシティや SNS の活用により、公園運営者が策定した 3 年間の入場者数の目標 3,700

人を、最初の 5 か月で 6,876 人と大幅に上回った。 6. 話題性のあるコンテストの開催

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

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企業のトップの役職に使用される”C(Chief)”をもじって、「CWO(Chief Wombat Cuddler)、赤ちゃんウォンバット(オーストラリアにのみ生息する哺乳類動物)の子守役募集」のコンテストを実

施した。ユニークな企画が、国内メディアだけでなく、CNN や BBC をはじめとする海外の有名メ

ディアにも取り上げられた。 7. 州政府による「Access 2020」戦略の支援

タスマニア州政府では、本土から離れたタスマニアの季節変動の解消には、空海路の運行量

と頻度の確保、及び、手ごろな料金による販売等が不可欠との認識から、政府が航空会社への

増便、クルーズ船誘致への働きかけや、空港、海港の整備などに取り組んでいる。タスマニア州

観光局は、統計資料の提供や活動への協力を行っている。 8. 広告、販売促進費用配分

財務報告書によれば、タスマニア州観光局の広告・販売促進費は、これまでに記載した施策等

に、次のように割り当てられた。経費の約半分に当たる 52%は、直接旅行者にアピールするオン

ラインまたはメディア広告に、30%は旅行会社などとの提携プロモーションに割り振られた。 また、このうち、海外市場向けの予算は、260 万豪ドル(約 2 億 2,500 万円)であった。

図表 5-4-2 タスマニア州観光局 広告・販促費の内訳 (単位:千豪ドル)

内訳 2016 年度の費用 比率

オンライン広告 4,571 千豪ドル(約 3 億 9600 万円) 35% メディア広告 2,259 千豪ドル(約 1 億 9500 万円) 17% 提携プロモーション 3,096 千豪ドル(約 2 億 6800 万円) 24% 旅行業界向けプロモーション 821 千豪ドル(約 7,100 万円) 6% 来訪者参加型プロモーション 628 千豪ドル(約 5,400 万円) 5% 海外事務所経費 636 千豪ドル(約 5,500 万円) 5% その他 1,109 千豪ドル(約 9,600 万円) 8% 合計 13,120 千豪ドル (約 11 億 3700 万円)

出所:タスマニア州観光局、” Tourism Tasmania Annual Report 2015-16”、2016年

を基に、WBA作成

⑤ 取組の成果

1)広告の効果 各キャンペーンの実施後に、キャンペーンの効果確認として、市場調査を行い、キャンペーンや広告の

認知度、旅行意欲増加への効果を測定している。 2015 年 8 月~10 月に実施された Go Behind the Scenery 春のキャンペーン後の、キャンペーン実

施地域で行われたアンケート調査の結果 36によると、下記のグラフのように、印刷媒体、オンラインそれぞ

れのキャンペーン広告を認識した消費者は、「6~12 か月以内にタスマニアに行くか」の問いに対して、

「かなりそう思う」「そう思う」の回答者の比率が合わせて、印刷媒体広告認識層、オンライン広告認識層、

いずれも 75%以上と、全体平均の同割合 40%と比較して、タスマニアへの旅行意欲が非常に高い。また、

36 出所:タスマニア州観光局 ”Go Behind the Scenery Autumn 2016 Tourism Campaign Fact sheet”、2016 年

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

113

これまでに、タスマニア州観光局の広告を認識した層と比べても、割合が高く、これまでの広告よりも、効

果が高かったといえる。

図表 5-4-3 タスマニアへの 6-12か月以内の旅行意向 (単位:%)

出所: タスマニア州観光局 “Go Behind the Scenery Autumn 2016 Tourism Campaign

Fact sheet” を基に、WBA作成(項目などを和訳)

年度後半の 2016 年 2 月~4 月に実施された、Go Behind the Scenery 秋のキャンペーン後の同様

の調査 37においては、下記のように、キャンペーン広告による需要喚起が、消費者の旅行に向けての行

動につながったとの結果が示された。特に、「Google などで検索した」(42%)、「ツーリング/ドライブの日

程をチェックした」(34%)、「フライトの空席や価格をチェックした」(25%)、「観光局のサイトをチェックした」

(17%)、「フライトセンター(提携旅行会社)に電話または訪問した」(16%)といった、旅行購買に向けて

の具体的な行動だけでなく、「タスマニアへの旅行を予約した」回答者も 10%いた。

37 出所:タスマニア州観光局 ”Go Behind the Scenery Tourism Tasmania Campaign Fact Sheet July 2016”

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

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図表 5-4-4 広告を見た後の行動(単位:%)

注記: 「フライトセンター」はタスマニア州観光局が提携した大手旅行会社の名称

出所:タスマニア州観光局 “Go Behind the Scenery Tourism Tasmania Campaign

Fact Sheet July 2016”を基に、WBA作成(選択肢を和訳)

また、ターゲット層である Lifelong learners(学び続ける人たち)層については、「6~12 か月以内の訪

問意向」(「かなりそう思う」、「そう思う」)は、2015 年春のキャンペーン後は、図表 5-4-4 の通り、63%であ

ったが、2016 年春のキャンペーン後は、81%と、さらに大幅に増加した 38。 2)オンライン上の存在感 タスマニア州観光局の Facebook, Twitter, Instagram の SNS アカウントのフォロワー数は合計で 53

万人と、前年より 68%増加した 39。特に Instagram は、28 万人のフォロワーがおり、オーストラリア全州

の観光局のアカウントで、最もフォロワー数が多い 40。 また、個別の施策の成果として、「CWO、赤ちゃんウォンバットの子守役募集」のコンテストの開催が国

内外の多くのメディアで紹介されたことにより、Go Behind Scenery のホームページの 1 日の平均アクセ

ス数は、7,500 から 1 万へと、25%増加した 41。 ⑥ 本事例に関する考察

1)旅行者数の実績 旅行者の行動に影響を与えるのはマーケティング活動だけに限らず、景気、社会情勢などの外部環境

を含め、様々な要因があるため、最終的な旅行者数や延べ宿泊者などの業績結果へのマーケティング

活動の影響を正確に把握することはできないが、ここで過去 5 年間のタスマニア州の旅行者の四半期ご

との動向を統計データにより、確認した。 総旅行者数、延べ宿泊者、総観光客数、いずれも、Go Behind the Scenery のキャンペーンを開始

38 出所:タスマニア州観光局 ”Go Behind the Scenery Tourism Tasmania Campaign Fact Sheet July 2016” 39 出所:タスマニア州観光局 ”Tourism Tasmania Annual Report 2015-16” 40 出所:タスマニア州観光局 ”Tourism Tasmania Annual Report 2015-16” 41 出所:タスマニア州観光局 ”Tourism Tasmania Annual Report 2015-16”

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

115

した 2012 年以降、キャンペーン前年の 2011 年と比較して、繁忙期にあたる 1~3 月の割合がそれぞれ

低下しており、需要の季節変動が緩やかになった。2015 年の総観光客数については、2011 年と同じ水

準(39%)に再び上昇しているが、全般的には、季節変動は、わずかながら改善または過去と同水準のレ

ベルに保たれているといえる。(タスマニア州の総旅行者数に占める外国人比率は、例年 15%前後で大

きく変動していない)。なお、2015 年の総旅行者数は、2011 年と比較して、5 年間に 34%増加している

中で、そのまま構成比が保たれていることと、市場調査の結果を踏まえると、キャンペーンの効果はそれ

なりに有効に作用したと考えられる。

図表 5-4-5 2011-2015年タスマニア州の総旅行者数、延べ宿泊者数

出所:タスマニア州観光局 “Tasmanian Visitor Snapshot 2011-2015” にて、

公表のデータを基に、WBA作成

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

116

図表 5-4-6 2011-2015年タスマニア州の総観光客数

出所:タスマニア州観光局 “Tasmanian Visitor Snapshot 2011-2015” にて、

公表のデータを基に、WBA作成

2)マーケティング活動の奏功 この事例で、着目すべき点の 1 つ目は、季節変動の課題を重視し、マーケティング予算を繁忙期以外

の 3 シーズンに投入し、秋、春、冬と 3 シーズンのサイクルで、メリハリをつけて、計画的に取り組んでいる

ことである。 広告やPR活動の結果としてメディアやソーシャルメディア等、複数のチャネルから、並行して発信され

る情報により、潜在的な旅行者が興味を持ち、インターネットや旅行会社でさらに情報収集をする。その

潜在的な旅行者を、購買につなげるための窓口となる観光局ホームページや旅行会社の受入体制(商

品知識や予約機能)が充実し、一貫性をもって、スムーズに対応できる仕組みを、時間と手間をかけて、

確立していることが、功を奏している。認知⇒検索⇒情報収集⇒購買⇒共有と流れる、昨今のインターネ

ットを活用した消費行動の流れを熟知し、旅行会社などオフラインのチャネルも活用しながら、各過程に

おいて、潜在的な旅行者との接点を持つ場所や方法をふまえて、必要なマーケティング活動を、一貫性

を保ちながら、包括的に実施した結果である。その成功の裏には、観光局の幹部として、マーケティング

や ICT の専門家が中心となって携わっていることも付け加えておく。 3)マーケティング予算 マーケティング活動の成功の背景には、地方の観光局でありながら、1,500 万豪ドル(約 13 億円)とい

う潤沢なマーケティング費用がある。州政府がこのように多額の費用を観光振興に配分するのは、事例の

冒頭で述べた通り、観光産業は、州の重要産業であり、間接効果も含めて、州の GDP の 1 割に該当す

る年間 26 億豪ドル(約 2,200 億円)の経済効果があり、従業者の 15.3%を占めるためであり、観光産業

の経済効果(2,200 億円)、そして事業者等からの税収を獲得するための「投資」という観点であると推測

される。マーケティング活動予算は総額で 2,600 万豪ドル(22 億円)と、経済効果総額のおよそ 1%と、投

資額としては妥当ともとれる。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

117

経済効果の 1%の予算規模について、日本に置き換えてみると、例えば、観光庁の訪日外国人市場は、

2016 年の直接の経済効果、訪日外国人による総消費額の推計が約 3 兆 7,500 億円 42であり、タスマニ

ア州の出資比率水準の1%に相当する額は375億となる。JNTO(日本政府観光局)への交付金は2017年度 78 億円 43(訪日旅行市場の経済効果の 0.2%)、観光庁の予算の総額でも 256 億円 44(訪日旅行

市場の経済効果の 0.7%)と、経済効果の 1%には満たない。都道府県単位では、県の観光関連の予算

額が特に大きいとされている鹿児島県で、2015 年の観光消費額(国内・外国人合計)2,837 億円 45に対

して、2017 年度の鹿児島県の観光振興に関する予算が総額約 17 億円 46(経済効果の 0.6%)である。

また、鹿児島県よりも観光産業の経済規模は大きいが、予算規模が 10 億円以下の都道府県もある。 また、多額の投資をともなうのであるから、その費用対効果を検証する必要がある。この事例では、キャ

ンペーンの実施にあたっては、取組の効果として記載したように、消費者アンケート調査により、広告の認

知度や訪問意向の変化を一般消費者にたずね、施策の効果測定を定期的に実施している。費用対効果

の確認とともに、結果の要因を分析し、キャンペーンの内容の改善をしている点にも、着目したい。 (2)事例2 スロベニア:顧客ニーズへの対応とブランド力の向上による、閑散期の競争力強化

マウンテンバイク・コース場は、スキー場のオフシーズンの資源活用策としても可能であることもあり、成

長する市場を見越して、欧州では各地に整備されてきている。 本事例のスキー場では、マーケティングの専門性を有する主導者が、マウンテンバイク場利用者のニ

ーズ調査し、その上で、地域内の関係者が、利用者ニーズに合わせたサービスの向上を図った点、同時

に、当該スキー場のブランド力の向上に取り組んだ結果、欧州内で有数のマウンテンバイク・コースとなっ

た点に着目した。 繁忙期しか活用されない既存施設を閑散期に活用するにあたって、単に設備を整備するだけにとどま

らず、マーケティング活動として具体的に取り組むべき内容について、参考に資すると考えられる。

① 事例の概要

対象地域、国 マリボール、スロベニア共和国 取組主体 スキー場・マウンテンバイク・コース運営会社 関与・連携した

組織

スポーツ・ツーリズム専門コンサルティング会社 観光産業に関わる地域の事業者(交通機関、ホテル、飲食店など)

観光地タイプ スキー場、山岳地帯 対応手段 観光資源の価値向上、マーケティング活動 事例のポイント 欧州で競技人口の増加により、マウンテンバイク・コース場も増加し、競争が激しくな

ったが、マーケティングの専門性を有する主導者により、マウンテンバイク場利用者

のニーズをふまえ、地域内の関係者それぞれが、ニーズに合わせたサービスの向上

42 観光庁 「訪日外国人消費動向調査 平成 28 年 10-12 月期の調査結果(速報)及び平成 28 年年間値(速報)」2017年 43 観光庁 平成 29 年予算の概要(平成 29 年 1 月 20 日発表) 44 観光庁 平成 29 年予算の概要(平成 29 年 1 月 20 日発表) 45 鹿児島県 「平成 27 年 鹿児島県の観光の動向 ~鹿児島県観光統計~」、2016 年 46 鹿児島県 平成 29 年度当初予算(案)の概要(平成 29 年 2 月 10 日発表)

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

118

に取り組むと同時に、ブランド力の向上に取り組み、欧州内で有数のマウンテンバイ

ク・コースとなった点に着目した。 スキー場におけるオフシーズンの資源活用方法の参考例でもある。

主な課題 スロベニア第 2 の都市マリボール郊外(中心地から 3 キロほどの距離)に位置するポ

ホリエ・スキーリゾートは、スキーシーズン以外は、マウンテンバイク・コースとして営業

しており、UCI マウンテンバイク・ワールドカップなどの国際大会でも使用されている

が、欧州諸国各地でマウンテンバイク・コースの開発が増加し、競争激しくなってお

り、集客力の強化が求められた。 主な取組 マウンテンバイク・コース利用者のニーズや要望を、他の観光地の成功事例な

どから情報収集。 利用者のニーズに基づいたコース整備や付帯サービスの充実。 関係者を巻き込み、観光地全体としての価値向上に取り組んだ。

取組の効果 マウンテンバイク・コース入場者数が増加、特に、欧州のマウンテンバイク愛好家(欧

州有名コース場の年間フリーパス保有者)の利用が大幅に増加した。 主要参照文献 タイトル(原題):Overcoming Seasonality with Development of Mountain

Biking Tourism - a case study of the Pohorje Ski Resort in Slovenia (和訳:マウンテンバイク・ツーリズムによる季節変動克服策 – スロベニア ポホリエ・

スキーリゾートの事例) 執筆者:Andrej Žigon, Managing Director, Alliance -Action Sports Experts (地元スポーツ・ツーリズム専門のコンサルタント会社の共同経営者) 発行年:2014 年 発表の経緯:2014 年 10 月、アルバニアにて開催された UNWTO「観光産業の季

節変動への対応」に関する国際会議での、本事例のマウンテンバイク・コース場の環

境整備、ブランド力強化に携わった専門家による発表内容。 ② 事例の詳細

主要参照文献に基づき、本事例の取組の詳細を以下に示す。枠内の情報は、原則としてすべて、主

要参照文献からの引用であるが、出所が異なる場合は、その都度明記する。 (ア) 取組の主体者: Bike Park Pohorje(スキー場を活用したマウンテンバイク・コース場)

(イ) 取組の背景

1. マウンテンバイク・コースとしての課題

マウンテンバイク・コース利用者は、一般の観光客とはニーズが異なるが、受け入れ側が知識

や理解不足により、ニーズに対応ができていない 47。 (ウ) 取組の概要

1. 取組にあたっての主導者の考え 48

47 出所:Andrej Žigon “Mountain Bike destination Branding”、2015 年、スロベニア大学経済学部 The 4th Economic and Business Review Conference における発表内容 48 出所:Andrej Žigon “Mountain Bike destination Branding”、2015 年、スロベニア大学経済学部 The 4th Economic and Business Review Conference における発表内容

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

119

マウンテンバイク・ツーリズムの競争が激しくなる中で、設備の整ったコースが増加している。観

光地として成功するには、マウンテンバイク利用者のニーズを十分に理解し、ニーズに対応した

環境整備や、魅力を向上させブランド力を強化することの必要性を感じた。 また、旅行者の視点では、観光は複数の個別商品から構成される総合的な消費体験であるた

め、観光地のブランド化をすすめるには、異なる利害を追求する地域の関係者の合意形成が求

められる。 2. マウンテンバイク・ツーリズムの先進事例調査を実施 49

3. マウンテンバイク・コースの整備

4. マウンテンバイク・ツーリズムに適した付帯サービスの充実

5. マウンテンバイク・コースとしてのブランド力向上

(エ) 取組による効果

入場者数の増加: 取組を始めて、2012 年 10,978 名より、2013 年 12,369 名と、13%増加し

た。 (オ) 受入側による体験の重要性

主導者は、経営するスポーツ・ツーリズム専門のコンサルティング会社のブログにて、「スポーツ

観光の開発を手掛ける際には、そのスポーツを全く経験したことがないと、競技者のニーズが理

解できない。活動的なスポーツは若い世代に参加者が多いが、幼少時からインターネットやコン

ピューターゲームがある世の中で育ってきた若者は、年配者とは全く考え方が異なる。マーケティ

ングの方法も全く違う。」50と説明し、顧客のニーズを深く理解するために、自らも当該スポーツを

始めることを強く勧めている。

③ 本事例に関する考察

1)成功要因 この事例が成功したのは、以下の 2 つの要素があるからだと考えられる。 主導者の専門性とリーダーシップ 主導者は、16 年間、スポーツ観光に携わる専門家である。参考文献とした会議での発表内容や、

Alliance Action Sports Experts ホームページ 51に掲載されたスポーツ観光に関する情報やアドバイス

は、論理的であると当時に、この分野への主導者の高い専門性と、単に仕事としての必要性から携わる

域を超えた、強い熱意を感じる。この主導者の高いマーケティングの専門性、スポーツ観光の経験、地元

でのマウンテンバイク・ツーリズムへの熱意と、それらの強みを基にしたリーダーシップが、成功の要因の

一つであるといえる。 地域全体で、顧客ニーズに応える取組 主導者の下、マウンテンバイク・ツーリズムの顧客のニーズや行動特性を、先進事例や現場での経験

から深く理解し、そのニーズに答える取組を実践したこと。また、地域の関係者を巻き込んで、観光地全

49 出所:Andrej Žigon “Mountain Bike destination Branding”、2015 年、スロベニア大学経済学部 The 4th Economic and Business Review Conference における発表内容 50 出所:Alliance Action Sports Experts “Do you speak the language of action sports?” 公式ホームページ URL:http://www.enteralliance.com/b/do-you-speak-the-language-of-action-sports 2017 年 3 月 17 日閲覧 51 URL: http://www.enteralliance.com

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

120

体として、総合的にターゲット客層のニーズに答えることで、マウンテンバイク利用に適した観光地として

の知名度、魅力が向上し、競争力を備えることができた。 スキー場のオフシーズン対策としてのマウンテンバイク・ツーリズムの可能性のみでなく、スポーツ観光

に限らず、地域において新たな観光資源の開発にあたり、マーケティングの視点を持ち、ターゲット客層

のニーズに答えることが成功につながった事例として、日本の観光関係者にとっても参考となる。

2)マウンテンバイク・ツーリズムの日本における適用可能性 Alliance Action Sports Experts ホームページ 52によると、マウンテンバイクの競技人口が多い国で

は、例えば米国で 850 万人、英国 550 万人、ドイツ 350~400 万とされており、それぞれ総人口の 3~9%と非常に高い比率である。日本ではマウンテンバイク競技人口のデータは存在せず、これらの国々と比較

すると、大幅に少ないとみられる 53。また、マウンテンバイク・コースは日本でも、スキー場のオフシーズン

アクティビティとして、山梨県や新潟県などで、すでに導入されている地域があるが、まだ数は少ない。し

かし、この事例で紹介されたような、欧米先進国における競技人口数の規模や ICT 業界従事者、経営者

が多いという競技者の客層が、「日常では味わえない、自然の中でスリルのある体験」に魅力を感じている

ことなどを考えると、マウンテンバイク・ツーリズムに対する潜在的な需要は、これまで国内旅行に積極的

に出かけていない層も含めて、日本でも存在する可能性があると考えられる。マウンテンバイクは 2020 年

東京オリンピック・パラリンピックの競技種目となっており(会場は静岡県伊豆マウンテンバイク・コース)、ま

た世界的なマウンテンバイクの競技大会(UCI マウンテンバイク・ワールドカップ)には自転車メーカーとし

て世界的に有名な日本企業(㈱シマノ)がトップスポンサーとなっているなど、競技人口の増加を後押しう

る要素もあり、国内のスキー場でオフシーズンの資源活用策としてマウンテンバイクコースを設置する施

設が増加することにより、新たなスポーツの市場を開拓でき、欧米諸国のように、それにより観光需要変動

の緩和に貢献する可能性もある 54。 (3)事例3 スコットランド、英国:イベント開催や近隣圏客層による季節変動への対応

英国北部に位置するスコットランドは、秋から春(主に 10 月~3 月)にかけてが閑散期であり、地域へ

の一般観光客の需要が大幅に減少するという課題がある。 この閑散期には、観光施設(歴史・文化遺産、城、博物館など)においてイベントを実施している場合が

あることから、これらの施設に対し、閑散期の営業状況と季節変動の関係を調査した。 これらの調査結果は、観光施設と大都市圏との距離に関する要素が含まれるものの、閑散期における

イベントの実施と、イベントの効果を高めるための位置づけについて示唆を得ることができる。 調査の対象は、観光施設であったが、我が国においては、観光地でイベントを開催する組織(観光協

会、宿泊施設など)にも参考となる事例である。

① 事例の概要

52 URL: http://www.enteralliance.com/benefits-of-mtb-tourism 53 出所:http://daiki-freeride.air-nifty.com/daiki/2013/12/mtb-0626.html カナダを拠点とする日本人マウンテンバ

イクプロライダーの高橋大喜氏は、自身のブログで日本のマウンテンバイク文化(普及度)は海外と比較して「20 年遅れて

いる」と述べている。 54 出所:http://daiki-freeride.air-nifty.com/daiki/2013/12/mtb-0626.html 前述の高橋氏は同じブログの記事の中

で、日本でのマウンテンバイク普及度の遅れの理由として、マウンテンバイク・コースの少なさを挙げている。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

121

対象地域、国 スコットランド全域(英国) 調査対象 スコットランド各地の観光施設(歴史・文化遺産、城、博物館など) 関与・連携した

組織

各取組により、イベント専門業者

観光地タイプ 歴史・文化地区、自然観光資源など様々 対応手段 観光資源の価値向上、新規顧客層の開拓 事例のポイント スコットランド(英国北部)全域の観光施設を対象に、閑散期の営業状況と季節変動

の関係を調査し、イベント開催による入場者数や売上増加の効果や、近隣住民の顧

客としての重要性、イベント成功・失敗要因について確認をした。 また、大都市圏からの距離という地理的な要因や客層構成の多様化と季節変動の

関係についても分析結果を紹介している。 調査の対象は、観光施設であったが、観光地でイベントを開催する組織(観光協

会、宿泊施設など)にも参考となる事例である。 主な課題 秋から春(主に 10 月~3 月)にかけての閑散期に地域への一般観光客の需要が大

幅に減少する。 主要参照文献 タイトル(原題):Visitor attractions and events: Responding to seasonality

(和訳:観光施設、イベント:季節変動への対応) 執筆者:Joanne Connell(エクセター大学ビジネススクール、英国)、 Stephen J. Page(ボーンマス大学観光学部、英国)、Denny Meyer(スウィンバー

ン工科大学健康科学・スクール、オーストラリア) 掲載誌:Tourism Management 46, P.283-298 発行年:2015 年

② 本事例に関する考察

この論文の調査は、観光施設を対象としたものだが、閑散期のイベント開催による効果や、季節変動と

イベント開催や地域住民の存在の関係などを検証しており、観光施設に限らず、季節変動の課題を抱え

る地方自治体、地域の観光協会や宿泊施設などにとっても、参考となる結果である。 1)閑散期のイベント開催による効果 閑散期に入場者数の増加を図るためにイベントを開催するだけでなく、追加収入の増加を狙ってイベ

ントを企画する施設も少なくない 55との結果であった。観光地では一般的に、集客数(旅行者数、入場数

など)に注目しがちだが、閑散期は、客数の増加だけでは限界があるという前提で、滞在中の消費額の増

加を図るための仕掛けにも取り組み、収入増加により、繁忙期と比較した客数の少ないレベルを補う方法

も検討すべきであることを、この事例から学ぶことができる。 イベント開催の成否は、何をやるかではなく、どのように実行するかであるとの示唆も得られた。イベント

開催で成果を上げるためのヒントは、日本の観光地でのイベント開催においても言えると思われる。

55 出所:J. Connell, S. Page, D. Meye “Visitor attractions and events: Responding to seasonality”、2015 年、

Tourism Management 46 (2015) 283-298

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

122

2)地域住民の重要性 閑散期に地域住民が来訪することで、季節変動が緩和されるため、地域住民を観光客の減少を補完

する客層と認識し、重要視する傾向 56が確認できた。また、時期を選ばずアクセスしやすい地域住民は、

混雑する繁忙期を避けて、閑散期に訪れる傾向を認識しているとの意見 もあったが、閑散期のイベント

開催において、地域住民を意識した内容としたり、「混雑なく、ゆっくりと利用できる」メリットをうたうことも閑

散期の集客を成功させるポイントとして示唆が得られた。

3)季節変動と客層 季節変動の大きさと外国人比率の関係性について検証しているが、どこの地域においても外国人が多

いと季節変動が大きいというわけではなく、特定の客層に偏ると、季節変動が大きくなることを示している。

スコットランドでは、外国人観光客が主要層であるため、地域住民など他の客層が増加することで、季節

変動が緩和されることを示している。逆に、日本に多くみられるように、国内観光客が主要層で、外国人

観光客が少数派の場合は、外国人客層がこれまでよりも増加することで、客層の多様化により、季節変動

が緩和される可能性がある。 (4)事例4 ポルトガル:LCCや旅行会社との提携による需要回復策

ビーチ・リゾートにおいて、冬期の需要喚起を実施した事例である。 当該地域では、冬期の閑散期に需要が落ち込んだが、その原因を調査したところ、就航する LCC の

路線が減少していることが明らかになった。これを契機として、需要を回復すべく取組を行った。 具体的には、「誰に、何を、どのように」の 3 つの要素を満たすマーケティング活動が実施された。まず、

ターゲットの選定と新たに市場を分析し、ターゲットとすべき地域を選定した上で LCC に閑散期の運航

継続を働きかけた。次に、冬期の訪問動機となる差別化されたテーマを設定することとし、観光資源や客

層を 3 分類して選定を行った。そして、販売促進としては、ターゲットとする地域に対して適切なプロモー

ション・パートナーを選定して、冬期用のパッケージ商品企画などが販売された。 この事例では、閑散期の需要を増加させるために、販売促進として単に広告の露出量を増やすという

だけではなく、ターゲットの設定、差別化されたテーマの設定、適切なプロモーション・パートナーを選定

するという、総合的な取組を実施した点が、我が国における閑散期の誘客のための参考になると考えられ

る。

① 事例の概要

対象地域、国 アルガルベ、ポルトガル 取組主体 政府観光局 関与・連携した

組織

ツアーオペレーター57、航空会社

観光地タイプ ビーチ・リゾート

56 出所:J. Connell, S. Page, D. Meye “Visitor attractions and events: Responding to seasonality”、2015 年、

Tourism Management 46 (2015) 283-298 57 旅行業者の中で、観光地のサービス事業者と直接取引をし、パッケージツアーを造成し、代理店などに卸すことを主と

する業態

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

123

対応手段 マーケティング活動、魅力的な価格の提示、交通利便性の向上 事例のポイント 閑散期の需要落ち込みの要因を、統計データに基づき、分析をした上で、需要回復

策にむけた、ターゲット市場国と誘客方法の戦略を立て、理論的に行動した結果

が、成功につながった点に着目した。 主な課題 冬期の観光客減少、滞在日数短期化、航空便減便 主な取組 地域ごとの市場状況からターゲット市場国を選定。

認知度等を踏まえ、差別化のための観光テーマを選定。 ターゲット市場国へのアプローチに最適なパートナー(ツアーオペレーターや

航空会社)と提携。 ターゲット市場国に合わせた観光テーマに基づき、販促コンテンツを作成し、オ

ンライン広告で販売促進。 取組の効果 世界的な景気後退期となった 2008-09 年以来、冬期の旅行者数や延べ宿泊者数

が減少を続けていたが、落ち込みに歯止めがかかり、需要回復した。 主要参照文献 タイトル(原題):Combating Seasonality: The Algarve Case Study

(和訳:季節変動と戦う: アルガルベの事例) 執筆者:Gavin ECCLES, Route Development Director, Portuguese National Tourism Authority (ポルトガル政府観光局 ルート開発部長) 発行年:2014 年 発表の経緯:2014 年 10 月、アルバニアにて開催された UNWTO「観光産業の季

節変動への対応」に関する国際会議において発表された。

② 事例の詳細

主要参照文献に基づき、本事例の取組の詳細を以下に示す。枠内の情報は、原則としてすべて、主

要参照文献からの引用であるが、出所が異なる場合は、その都度明記する。 (ア) 地域の概要

ポルトガル南部の風光明媚なビーチ・リゾート 冬期(11 月~3 月)は、気候は温暖だが、最高気温が 20 度を下回り、海水浴には不向き 年間宿泊需要の 80%以上は、繁忙期に集中 2007 年/2012 年の比較で、冬期の外国人旅行者は、4 万人(9%)減少、延べ宿泊者数は 40

万人(16%)減少 (イ) 取組の主体者 : ポルトガル政府観光局

(ウ) 取組の背景

冬場は閑散期で、もともと需要が少ないうえ、LCCを利用したダイナミック・パッケージ 58の利用

者が多く、滞在日数が短いため、年間の旅行者数、延べ宿泊者数減少の一因となっている。 (エ) 取組の概要

宿泊者数の減少を食い止めるため、2つの目標を掲げ、以下に述べる分析から戦略を立案し、

58 ダイナミック・パッケージ:インターネットで販売される、航空券と宿泊の組み合わせパターンや、購入時期、空き状況、フ

ライト・スケジュール等による、細かな価格変動が特徴の価格訴求型の旅行商品パッケージ

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

124

実行した。 目標① ツアーオペレーターとの取引再開(延べ宿泊者数増加のため)

目標② 航空便運行本数の増加(航空機利用による旅行者増加のため)

1. 市場の分析

2. 戦略 1:航空便ルートの開拓

3. 戦略 2:プロモーション・パートナーの選定

4. 戦略 3:冬期の訪問動機となる差別化テーマの選定

5. 戦略 4:パートナーと連携したプロモーション

(オ) 取組による効果と今後の展望

1. 2013/14 年冬期の結果

いずれの市場においても、対前年比で旅行者数または延べ宿泊者数を増加させることができ

た。 2. 冬期(11~3 月)の結果の推移

旅行者数は、最盛期の水準に回復し、延べ宿泊者の下落を阻止することができた。 3. 次年以降の取組予定

ターゲットの国別に新しいテーマを設定し、それに基づいた対策を実施する。

③ 本事例に関する考察

航空会社や旅行会社との提携プロモーションや、インターネット広告は珍しい方法ではないが、これま

での落ち込みの要因や各市場の状況を、科学的データに基づいて分析し、戦略的にターゲット市場を決

定、連携するパートナーの選定を行い、アピールすべき観光テーマを特定するといった、販促プロモーシ

ョンの一連の流れを、戦略に基づき、一貫性をもって実施したことで、需要回復、落ち込み阻止の成果に

結びついたと考えられる。

(5)事例5 イタリア:LCC就航による季節変動緩和の効果

イタリアの南部や島嶼部は、南北に長い地形の関係上、イタリア各地からの交通機関の路線網や運航

頻度に関して利便性が高いとはいえない地域である。しかし、これらの地域では、2000 年以降、欧州主

要都市からの LCC が就航し、外国人旅行者が増加することで、季節変動が緩和された。 我が国も南北に長い地形であって、島嶼部があるなど、イタリアと立地面で類似するところがあり、同様

の環境にある観光地は少なくない。これら遠隔地で、国内ではなく近隣国からの外国人旅行者を誘客す

ることで季節変動を緩和する可能性を検討する参考のために取り上げた事例である。

① 事例の概要

対象地域、国 イタリア南部 調査対象 2000 年以降欧州主要都市からの LCC が就航したイタリア南部の観光地、3 都市 関与・連携した

組織

LCC、地元自治体

観光地タイプ 大都市から離れた遠隔地にある観光地(島、地中海でのアクティビティ、古い町並

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

125

み、田園風景など) 対応手段 交通利便性の向上、魅力的な価格の提示、新規顧客層の開拓 事例のポイント これまでは、国内旅行者の夏期休暇シーズン滞在が主であったイタリアの地方の観

光地が、欧州主要都市からの LCC 就航により、交通利便性が大幅に向上し、閑散

期の外国人需要が増加、観光産業の季節変動が縮小したことを、地方空港の月別

旅客数の変動から、科学的データに基づき検証している。 主な課題 観光需要が、夏期に大きく偏る。 主な取組 近隣国大都市と地域を結ぶ足となる LCC の誘致 取組の効果 閑散期の外国人旅行者による宿泊需要が増加し、季節変動が縮小した。 主要参照文献 タイトル(原題):The effect of low-cost air transportation on the local economy:

Evidence from Southern Italy (和訳:LCC の地元経済への効果: 南イタリアにおける事例) 執筆者:Matteo Donzelli (イタリア経済開発省 公共投資評価部) 掲載誌:Journal of Air Transport Management, Volume 16, Issue 3, May 2010, Pages 121–126 発行年:2010 年

② 本事例に関する考察

イタリア南部や島嶼部は、地形の関係上、イタリア各地からも運行頻度や路線網に関して利便性が高

いとはいえない地域であるが、日本国内でも、同様の環境にある観光地は少なくない。遠隔地において、

LCC の就航により、近隣国からの外国人旅行者が増加し、季節変動が緩和された事例であった。 1) LCC による近隣地域からの誘客効果 この事例で紹介されているイタリア南部都市と LCC が就航した欧州の主要都市との位置関係は、飛行

時間 3 時間前後の距離間にあり、日本の観光地に置き換えた場合、国内でも遠方にある都市や近隣ア

ジア諸国との地理的関係が類似する。実際に、日本でも、静岡空港が東アジア諸国からの航空便の運行

本数の増加にともない、外国人旅客数が大幅に増加した例 59がある。 この事例で LCC が就航したイタリア南部の観光地は、欧州域内の外国人にとって、冬場の温暖な気

候や、各州・地域独特の観光資源など、観光地に関する知識やイメージが、予め、ある程度、備わってい

た、もしくは、インターネットの検索などで、容易に入手可能であったと思われる。日本の観光地の閑散期

にある観光資源には、日本人よりも、外国人にとって、より魅力が大きく感じられるものも少なくないかもし

れないが、それ以前に、観光地の知識やイメージを持っていないと、魅力的な価格で直行便によるアクセ

スがあったとしても、「ぜひ、行きたい」という強い願望をいだきにくい。特に、国際線の LCC 就航地の場

合は、潜在的な観光客に、観光地にどのような観光資源があり、魅力がどれだけあるのかを認識してもら

う必要があり、LCC 就航による新規需要創出を図るには、LCC を誘致するだけでなく、同時に地域の観

光資源のアピールも求められる。

59 出所:静岡空港の国際線乗降客数は、2013 年度 16 万 5 千人から 2015 年度 39 万人(出所:国土交通省「暦年・年度

別空港管理状況調書」2016 年)へと倍以上に増加し、同時期外国人延べ宿泊者数は、2013 年(暦年)56 万人泊から

2015 年(暦年)174 万人泊(出所:観光庁「宿泊旅行統計調査」2016 年)へ 3 倍近く増加した。この間に、静岡空港と中

国を中心に 10 都市以との国際線路線が就航した。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

126

2)長期的な成功への課題 欧州の LCC は時期や時間帯によっては、ときには 1 区間日本円で 1,000~2,000 円(大人 1 人の片

道航空運賃、空港使用料を除く)程度の衝撃的な価格を提示した広告をはじめとする販促活動で、潜在

顧客の関心を引き、旅行需要の新規創出を図ることで、閑散期の座席の稼働率を上げる一方、直前の予

約や繁忙期に比較的高価格で販売することで、極端な低価格によるプロモーション期間と、年間でバラン

スをとって、収支のやりくりをしているのが一般的である。また、継続的に、一定の需要量が見込めない路

線は撤退もありうる。現に、この事例に取り上げられたラメーツィア テルメ国際空港は、この論文における

調査当時 2006 年は、「LCC の就航により外国人旅行者数が増加した 60」とされるオーストリアとフランス

との路線については、現在は、LCC の直行便は運行していない 61。LCC 就航から数年の期間は、イン

パクトのある価格の魅力で、観光客の新規需要を喚起できるかもしれないが、そのような需要の継続性(リ

ピート)や拡大の度合いは、当該観光地自体が、旅行者をどれだけ惹きつけられるか、魅力の大きさによ

る。誘致をする地域側としては、乗客数の減少による路線撤退や減便といったリスクを認識し、そのような

状況を回避するために、路線就航後も、絶えず、観光地としての魅力向上に努める必要がある。 (6)事例6 全世界: 景気低迷期に有効なホテルの販売施策

閑散期の需要喚起に向けて、価格の値下げ以外の施策について、示唆が得られる事例である。 一般的に、閑散期の需要喚起にあたっては、価格の柔軟な設定という観点から、価格の値下げを行う

場合が多いと考えられる。しかし、やみくもな価格の値下げは、ホテルのブランドイメージを損なう、競合施

設との価格競争に陥るなどのリスクをともなう。したがって、価格以外の面に着目した手法も含め、単純な

価格の値下げ以外の方法で需要喚起し、需要低迷期を乗り切ることが望ましい。 本事例では、2008 年に発生した世界同時不況という深刻な需要減退期において、ホテルが実際に採

用した対策を見ることで、我が国おける宿泊業が閑散期の需要喚起で取りうる施策の参考にできると考え、

取り上げた。

① 事例の概要

対象地域、国 全世界(欧州、アジア太平洋、南北アメリカ、中東、アフリカ) 取組主体 宿泊施設、ホテル・チェーン本部 関与・連携した

組織

施策により、旅行予約サイト、レンタカー会社、航空会社など

観光地タイプ 世界各国、都市、リゾートすべて含む 対応手段 魅力的な価格の提示、マーケティング活動 事例のポイント 宿泊施設での、価格による需要減退期の喚起策の実施は、イメージ棄損や競合との

価格競争のリスクをともなう中で、どのような施策を実施し、効果を実感できたか、取り

組み担当者へのアンケート調査という形で、世界中の数多くの宿泊施設の取組を統

60 出所:Matteo Donzelli “The effect of low-cost air transportation on the local economy: Evidence from Southern Italy”、2010 年 61 2017 年 3 月 24 日 skyscanner URL: https://www.skyscanner.net による調べ。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

127

計データとして示している。 主な課題 世界的な景気低迷による深刻な需要減退期に、各国のホテルは、イメージを損なう

ような価格設定や、競合施設との価格競争に陥ることを避けつつ、需要を喚起するこ

とが求められた。 主要参照文献 タイトル(原題):Successful Tactics for Surviving an Economic Downturn:

Results from an International Study (和訳:景気停滞期を生き抜く成功戦術:全世界からの調査結果) 執筆者:Sheryl E. Kimes, Ph.D.(コーネル大学ホテル経営学部 教授) 掲載誌:Cornell Hospitality Report, 10(7), P6-14 発行年:2010 年

② 本事例に関する考察

欧米のホテル業界では、本章の始めに「5-2(1)諸外国の観光需要平準化の状況について」で触れ

た「レベニューマネジメント」の手法の導入により、稼働率だけでなく、客室単価を反映させた RevPAR62

(Revenue Per Available Room、販売可能客室平均売上)といわれる業績指標を活用し、収益性を確

認しながら、販売価格の設定やプロモーションを実施しているが、このような需要減退期の厳しい局面で

こそ、このような指標を意識して、価格を下げるだけでなく、収益性も踏まえた、販売戦略を練ることを忘れ

てはならないという教訓が、本事例の結果より得られた。どこの地域でも、需要の減退期は稼働率だけに

目が行きがちだが、冷静に、業績への影響と長期的な事業を意識して、やみくもな値下げではなく、イメ

ージや収益性を意識した価格戦略を考えるべきであるといえる。 一部の施策で採用率や効果が、ホテルのカテゴリーや地域により異なっていたように、どのようなパッケ

ージ商品や施策を採用するかは、ターゲット客層、ホテルのカテゴリー、サービスの特性により、取るべき

施策は異なる。どこでも同じ施策で成功できるわけではなく、自社の客層や施設の特性などを踏まえ、適

切な施策や価格設定を検討すべきである。 (7)事例7 オーランド、米国:観光地における MICE需要の可能性と観光振興の財源確保

観光地であっても、商用需要である MICE63の誘致を行う効果について紹介した事例である。 当該地域は、1971 年に大型レジャーランドが開業し、観光地として多くの誘客があったが、季節変動

の大きさや、オイルショックなどの景気低迷によって、地域の宿泊施設では稼働率が低い時期の対策に

迫られた。そのため、DMO を新設し、MICE 需要を取り込むことで、季節変動を緩和させることに成功し

た。 またこの事例では、MICE 実施にあたって整備したコンベンションセンターを、地方政府の一般財源で

はなく、特別目的税と地方債の仕組みによって調達した点についても参考にできると考えられる。

① 事例の概要

62 宿泊施設の平均客室単価 x 客室稼働率により算出される、客室販売における収益性を表す業績指標。諸外国の多く

のホテルにおいて採用されている。 63 Meeting, Incentive, Conference, Event の頭文字をとっている。企業や各種団体による様々な規模の会議や各種イ

ベント、展示会開催や報奨旅行など、大型催事をともなう法人旅行需要の総称。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

128

対象地域、国 オーランド、米国 取組主体 地方自治体(郡)、コンベンション施設 関与・連携した

組織

DMO、観光産業全体(宿泊業、テーマパークなど)

観光地タイプ 温暖な気候の避寒リゾート、テーマパーク 対応手段 新規顧客層の開拓、マーケティング活動、観光資源の価値向上 事例のポイント 世界有数の観光地においても、観光需要の繁閑差や、景気後退による影響はある。

オーランドでは観光需要の繁閑差の解消のため、1980 年代から大型コンベンション

センターを建設し、MICE ビジネスの取り込みを行ってきた。現在は、テーマパーク

観光の中心地としてだけでなく、会議開催の場としても、全米でトップの地位を誇る。

一見、レジャー市場客層しか可能性がないような観光地でも、ビジネス関連の需要を

平日に創出、獲得できる可能性を示した事例である。 また、コンベンションセンターの建設や観光振興のためのマーケティング活動の資金

として、特別目的税の導入により、財源を確保している点も、マーケティング活動のた

めの財源が求められる地方自治体にとって、参考となる。 主な課題 観光需要が、夏期や週末に偏る。 主な取組 大型コンベンションセンターの建設による MICE の誘致。

DMO による、マーケティング活動。 取組の効果 大型コンベンションセンターを活用した MICE の誘致により、客層が多様化した。

コンベンションセンターにおける MICE ビジネスから、年間 22 億ドル(約 2,490 億

円)に相当する観光産業の需要が創出された。 主要参照文献 タイトル(原題):Reviewing Tourism Funding Model for Public Infrastructure

and Destination Marketing Organizations: A Case of Orlando (和訳:観光公共インフラ、DMO 運営における資金調達モデルの考察: オーランド

の事例) 執筆者:Tadayuki Hara Ph.D.(セントラルフロリダ大学 教授) 掲載誌:Journal of Tourism Economics, Policy and Hospitality Management: Vol. 1: Iss. 1, Article 3. 発行年:2013 年

② 事例の補足

オレンジ郡コンベンションセンターが公表する情報によれば、現在の施設の状況は、次の通りである。 1)-1 オレンジ郡コンベンションセンターの概要 64

現在は、西館と北/南館の2つの主要施設から構成されるコンベンションセンターの、規模と施設概要を

以下に示す。

64 出所: Orange County Convention Center “Orange County Convention Center Media Fact Sheet Available” URL: http://www.occc.net/PDF/OCCC%20Media%20Facts.pdf

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

129

図表 5-4-7 オレンジ郡コンベンションセンター 施設概要

エリア面積 700 万平方フィート 施設面積 展示会場:205 万平方フィート

各種会議用スペース:48 万平方フィート 主な会議施設

会議室(74 室)、大宴会場(6.2 万平方フィート)、劇場(2,643席)、講義ホール(200 席)

付帯サービス施設 駐車場(6,227 台)、フードコート(全 8 か所) 出所:Orange County Convention Center “Orange County Convention Center Media

Fact Sheet”、2016年を基に、WBA作成 1)-2 コンベンションセンター 利用状況(2014~15 年)65 1)-2-1 施設利用目的別の比率(全 176 件、2014 年度) オレンジ郡コンベンションセンターの利用目的別、開催件数の比率は、展示会・見本市が最も多く半数

を占め、続いてカンファレンス・会議、消費者向けのイベントの順に多い。

図表 5-4-8 オレンジ郡コンベンションセンター 利用目的内訳

出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-

2015 Annual Report”を基に、WBA作成

1)-2-2 過去 3 年間の来場者数

図表 5-4-9 オレンジ郡コンベンションセンター 来場者数

2014 年 141 万人 2013 年 136 万人 2012 年 126 万人

出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-

2015 Annual Report”を基に、WBA作成 65 出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-2015 Annual Report”、2015 年

展示会・見本市

50%

カンファレンス、会議

34%

消費者向けイベント

16%

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

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1)-3 コンベンションセンターの MICE 業界における位置づけ 66 1983年に開業後、オレンジ郡コンベンションセンターは、米国におけるMICE需要の拡大とともに、先

述の通り、施設の拡大を続け、現在は、米国第 2 位の規模を誇る。下記は、受賞歴の一例であるが、米

国のみでなく、世界有数のコンベンション会場として、MICE 業界関係者からも高い評価を受けている。 1986 年

1997 年 2003 年 2005 年 2012 年 2013 年 2016 年

コンベンションセンター開業から 3 年で、オーランドは、Business Travel News の米国

内コンベンション開催地人気ランキング 13 位にランク センターの拡張、設備増加を続けるも、空室不足のため、利用を断る「機会損失」が多数

発生していることが、アンケート調査から判明(同年 北/南館が開業) 1 月に来場者 27 万人を記録 Business Review USA にて「トップ・コンベンションセンター」に選出される International Association of Congress Center より、「ワールド・ベスト・コンベンション

センター」に選出される International Association of Venue Managers 第 88 回年次大会にて、 Venue Excellence Award を初受賞 Cvent 米国におけるミーティング開催地ランキング第 1 位に、2015 年に引き続き、選出さ

れる 67 2) 観光振興のための資金調達 観光開発税による税収は 2014 年度には、2 億 2620 万ドル(約 256 億円)68であったが、その使途内

訳は、次の図の通りである。地方債の償還や利息に 26%、コンベンションセンターの運営費に 4%と、3割

がコンベンションセンターに関する出費に充当されている。一方、全体の半数は、マーケティング活動に

充てられた。

66 出所:Orange County Convention Center “History of the Orange County Convention Center 1969-2013”、2013 年 67 出所:Cvent “Cvent’s Top 50 Meeting Destinations in the United States” URL: http://www.cvent.com/en/supplier-network/top-50/2016-top-destinations-us.shtml 閲覧日 2017 年 3 月 17 日 68 出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-2015 Annual Report”、2015 年

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

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図表 5-4-10 オレンジ郡観光開発税 使途内訳構成比

出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-2015 Annual

Report”を基に、WBA作成

③ 取組結果

1) 観光地オーランドの現状 2015 年のオーランドへの延べ旅行者数が 6,610 万人となり、米国内で最も来訪者数の多い観光地と

なった 69。1995 年の 3240 万人から、20 年間で倍増したことになる。その間、ホテルの客室数は、37%増加し、117,000 室に、オーランド国際空港の乗客数は 72%増加し、3,880 万にとなった 70。

オーランド市圏の宿泊施設の平均客室稼働率の 2013~16 年の月別推移のグラフ 71をみると、年々、

繁閑の差が縮小していることがわかる。2016 年では、客室稼働率の最低月が新年度にあたる 9 月で

67.9%、最高月は 3 月で 86.9%と月間の差は約 19%である。2013 年には最高月、最低月で、およそ

30%の開きがあったところから、年々、縮小している。 なお、この統計データには、ディズニー社所有、運営ホテル、及び、コンドミニアムなどのホテル以外の

業態の宿泊施設は含まれていない。

69 出所:Visit Orland “Press release: Orlando Welcomed 66 Million Visitors in 2015 Doubles Visitation over Past Two Decades” 2016 年 5 月 2 日投稿記事, URL: http://media.visitorlando.com/pressrelease/index.cfm/2016/5/2/Orlando-Welcomed-66-Million-Visitors-in-2015/ 閲覧日 2017 年 3 月 17 日 70 出所:Visit Orland “Press release: Orlando Welcomed 66 Million Visitors in 2015 Doubles Visitation over Past Two Decades” 2016 年 5 月 2 日投稿記事, URL: http://media.visitorlando.com/pressrelease/index.cfm/2016/5/2/Orlando-Welcomed-66-Million-Visitors-in-2015/ 閲覧日 2017 年 3 月 17 日 71 出所:Visit Orland “Board Highlight 2016 4th Quarter” URL: http://www.visitorlando.com/includes/content/images/media/docs/Board%20Highlights%204th%20Quarter.pdf 閲覧日 2017 年 3 月 17 日

Visit Orlando、他マーケティン

グ活動50%

コンベンションセンター運営費

4%

地方債償還、利息26%

内部留保20%

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

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図表 5-4-11 オーランド市圏のホテル月別客室稼働率 2013~16年推移

出所:Visit Orland,“Board Highlight 2016 4th Quarter”

2)コンベンションセンターの経済効果(2014~15 年)72 コンベンションセンターがもたらす経済効果は、波及効果も含めて年間 22 億ドル(約 2,490 億円)と推

計されている。(会議出席者による総消費額 1 人当たり 1,970 ドル(約 22 万 2 千円)、25,600 名の雇用

創出などが含まれる) また、1983 年の開業からの合算した、経済効果は 354 億ドル(約 4 兆円)と推計されている。

2)-1 特に大規模な会議の例 オレンジ郡コンベンションセンターで 2014 年度に開催された大規模会議について、入場者数上位 3 件

を順に、来場者数とその経済効果をを以下に示す。

図表 5-4-12 オレンジ郡コンベンションセンター 大規模会議の実績

開催会議名 来場者数 経済効果

NPE (National Plastics Exposition) (製造業展示会)

65,810 名 1 億 2,960 万ドル (約 147 億円)

PGA Merchandise Show (ゴルフ関連商品展示会)

42,000 名 8,270 万ドル (約 94 億円)

InfoComm (AV 機器展示会)

39,105 名 7,710 万ドル (約 87 億円)

出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-2015 Annual Report”

を基に、WBA作成

2)-2 会議出席者による観光産業サービス需要 73

72 出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-2015 Annual Report”、2015 年 73 出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-2015 Annual Report”、2015 年

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

133

コンベンションセンターの来場者が、コンベンションセンター以外にも、地域内の宿泊業や飲食業、観

光施設などを利用することで、波及の経済効果を創出している。

図表 5-4-13 オレンジ郡コンベンションセンター 会議出席者の消費傾向

同行者 0.4 人/1 人(出席者の 4 割に、1 名同行者がつく) 平均泊数 2.8 泊 消費額 1,970 ドル(約 22 万 2 千円)/1 人 ホテル滞在割合 87% 滞在中の活動 会食 24%

テーマパーク訪問 18% ショッピング 15% 友人・知人訪問 10% ナイトライフ 9%

出所:Orange County Convention Center “Fiscal Year 2014-2015 Annual Report”

を基に、WBA作成

④ 本事例に関する考察

オーランドは、20 世紀初頭から、リゾート地としての変遷を遂げ、1971 年のウォルト・ディズニー・ワー

ルド開業後は、テーマパーク・リゾートとしてのイメージがメインになったが、取組の結果にて触れた通り、

直近 20 年間でも、旅行者数が約 3,000 万人増加し 74、2 倍、観光地としてもコンベンション開催地として

も、米国トップの地位を築いた。日本と同様、消費者市場が成熟している米国において、旅行者数 3,000万人の増加は並のことではなく、このような目覚ましい成長は、大手とはいえ、地元を拠点とするテーマパ

ーク産業の魅力だけで実現できるものではなく、潤沢な財源のもとマーケティング活動や MICE の誘致

に努める DMO やコンベンションセンターによる貢献も、少なからずあったと思われる。 1) 観光地における MICE の可能性

日本では、観光に特化した地域にて、商談会、見本市、会議などのビジネス活動を行う例は少ないた

め、観光地とビジネス需要の結びつきを想定していないかもしれないが、海外のリゾート地やレジャー施

設では、平日の需要増加に貢献する新たな顧客層として、企業の利用を想定したサービスやプロモーシ

ョンを仕掛ける例がよく見られる。 例えば、オーランドとも関係が深いディズニーリゾートは、「ディズニー・ミーティング」75という専用サイト

を開設し、米国、香港、フランスのディズニーリゾートにおける企業向けの会議、イベント開催のニーズに

答えるための情報やサービスを紹介している。 ビジネス活動を、観光地として魅力が高い場所で開催地することで、見本市や展示会などでは、参加

者が旅行に家族を同伴し、家族サービスも同時にできることから、来場者の増加を図ることができる、会議

などでは、非日常的な空間で議論をすることで、出席者が型にはまることなく、柔軟な発想がしやすい、リ

フレッシュできる環境で、ストレスなく課題に集中できる、といったメリットが、会議主催者にもあるとされて

74 出所:Visit Orland “Press release: Orlando Welcomed 66 Million Visitors in 2015 Doubles Visitation over Past Two Decades” 2016 年 5 月 2 日投稿記事, URL: http://media.visitorlando.com/pressrelease/index.cfm/2016/5/2/Orlando-Welcomed-66-Million-Visitors-in-2015/ 閲覧日 2017 年 3 月 17 日 75 URL: https://www.disneymeetings.com/

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

134

いる。 2)観光マーケティング活動のための財源確保 オーランド市の属するオレンジ郡で導入した観光開発税(特別目的税)は、現在はその収入の半分は、

観光振興のマーケティング活動の資金源として、充てられており、その豊富な資金源を元手にした Visit Orlando(DMO)等による米国内外で展開する誘客活動が、功を奏して、米国内の観光地でも最多の旅

行者を惹きつけている。 充実したマーケティング活動を行うためには、多額の資金が必要であるが、人口の少ない地方自治体

では一般の税収からは、多額の資金を確保できることが少ない。そうでなくても人口減少とともに、財政状

況も厳しくなり、観光振興の必要性を感じていても、資金の確保が難しい地域は少なくないと思われるが、

東京都などで導入されている、旅行者から徴収する特別目的税による財源の確保の一つの方法として、

参考になる例である。

(8)事例8 ハイデルベルグ、ドイツ:地域特性を活かした会議誘致による需要平準化

中小規模の観光地において、大型のコンベンションセンターなどを設置することなく、ニッチな MICE市場を対象とすることで、季節変動を緩和させた事例である。

地元のハイデルベルグ大学は、ドイツ最古の大学として、14 世紀からの歴史があるが、それを強みとし

て、研究や高等教育分野というニッチ市場に絞り、会議誘致のマーケティング活動を行った。 販促活動は、市のマーケティング局によるパンフレット等作成の他、ハイデルベルク大学学術界のネッ

トワークを活用し、教授陣に会議開催を呼びかけ、会議受入サービス専門の部署が、会議を仕切る教授

をサポートする取組を行った。 その結果、年間会議開催数は 10 年間 4 倍に増加し、観光の繁忙期を除き、年間を通じて、会議が開

催されている。 さらに近年では、地域外からの旅行者を対象とした、地元の先進企業や研究機関の訪問(セミナー提

供や視察)を手配するサービスを実施ている。 MICEや企業訪問のようなビジネス・サービスは、主として平日に開催されることが多いため、観光地の

宿泊施設で一般の商談目的のビジネス需要が多く見込めない地域でも、平日の稼働率の増加に貢献す

ることも十分に考えられるため、取り上げた。

① 事例の概要

対象地域、国 ハイデルベルグ、ドイツ 取組主体 地方観光局、市営会議場 関与・連携した

組織

宿泊業、大学、研究所、劇場

観光地タイプ 古都、歴史的建造物 対応手段 新規顧客層の開拓、マーケティング活動、観光資源の価値向上 事例のポイント 典型的な欧州の歴史的観光地が、高名な地元の大学や複数の科学研究所を擁す

る学究都市でもある点を活かして、学会、会議の誘致に取り組み、一般観光客の減

少する観光の閑散期でも、会議需要の増加を図り、季節変動の緩和に取り組んだ点

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

135

が参考になると思われる。 先述の米国オーランドの事例とは異なり、中規模の都市で、活動資金が限られてい

る場合でも、得意分野に特化し、中小規模の MICE を中心に誘致を図ることで、

MICE 需要獲得のチャンスがあることを示す事例である。 主な課題 一般観光需要だけでは、夏期に需要が偏る。 主な取組 地域特性を生かし、特定分野に絞って会議を誘致。

地域の大学や研究機関と連携して、会議開催機会を増加。 取組の効果 年間会議開催数 10 年間で 4 倍に増加。

観光の繁忙期を除き、年間を通じて、会議が開催されている。 主要参照文献 タイトル(原題):All-season tourism: Analysis of experience, suitable products

and clientele: Heidelberg and the conference market(P25) (和訳:通年型観光:適切な商品と客層、経験に基づく分析) 執筆者:FITZPATRICK ASSOCIATES(経済コンサルタント会社) 発行元:Office for Official Publications of the European Communities 発行年:1993 年 発表の経緯:ヨーロッパ共同体(EU の前身組織)委員会に対する、欧州各国の季節

変動とその緩和に向けた取組みの調査結果の報告書として作成されたもの。

1) 地域の概要 地方都市であり、日本人のドイツ観光周遊ツアーでも訪れることが多い、ファンタスティック街道にある

古都。地元のハイデルベルグ大学は、ドイツ最古の大学として、14 世紀からの歴史がある。 ② 事例の詳細

主要参照文献に基づき、本事例の取組の詳細を以下に示す。枠内の情報は、原則としてすべて、主

要参照文献からの引用であるが、出所が異なる場合は、その都度明記する。 (ア) 取組の主体者 : ハイデルベルク市マーケティング部(現在は、法人化)、市営会議場

(イ) 取組の概要

1. 活用した資源

市内のホテル等にて提供可能な、様々なサイズ、グレードの会議場、会議室 市のランドマークでもある市営会議場(収容人数 1200 名) 2. 取組内容

(1)会議の誘致 市営会議場

地元ハイデルベルク大学の協力を得て、その強みを生かせる研究や高等教育分野というニッ

チ市場に絞り、会議誘致のマーケティング活動を行った。 ハイデルベルク市マーケティング局

市営会議場と類似分野の会議を、市内の大型ホテルの会議ホールにも誘致に努めた 市内の会議場を紹介する、会議主催者向けのパンフレットを作成した

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

136

「教育と研究」の中心地として、広く認知度向上を図った ハイデルベルク大学学術界のネットワークを活用し、教授陣に会議開催を呼びかけた 会議受入サービス専門の部署が、会議を仕切る教授をサポートした

(2)報奨旅行ビジネスの獲得 目的: 市内中小規模宿泊施設の利用増加

ターゲット客層となる企業や公的機関の科学者、研究者に観光案内所作成のパンフレッ

トを送付 報奨旅行を専門とする旅行会社にもアプローチ

(3)その他の閑散期需要喚起に関する活動 市営会議場は、100年以上前に建てられた歴史ある、市のランドマークでもあり、会議だけでは

なく、音楽コンサート等、文化イベントも誘致し、年間を通じて会場の稼働率を高めた。 (ウ) 取組の成果

市営会議場での会議開催は、1980 年 217 件から、1990 年 873 件に大幅増加した 会議開催時期も、特定時期に偏らず、分散している。 1990 年、会議場の稼働率は 9 月は 100%、3、5、6 月は 80%に達した(一方、観光のメイン

シーズンの 7,8 月は会議場利用の需要は少ない。) 2006 年におけるハイデルベルグでの国際会議開催回数は 7 回であり、日本の都市では、幕

張メッセのある千葉市(7 回)、名古屋市(8 回)と同程度である 76。

③ 現在の取組

この事例は、文献が執筆された時期から長年経過しているため、現在の状況をハイデルベルグ観光局

(ハイデルベルグ・マーケティング)のホームページ(英語)77にて確認した。 1) トップページ 観光局のホームページの最も目につきやすいタブエリアの中央上段に、「コンベンションセンター

(Convention Center)」「ビジネス・サービス(Business Service)」と書かれたタブがあり、現在でも、この

分野に注力していることがわかる。また、通常の観光地のホームページではあまり見られない「科学

(Science)」「健康都市(Health City)」というタブも、目立つ場所に設置されている。 2)「ビジネス」ページ

「科学都市」という単語がキャッチコピーとして画面中央部に表示され、イメージ形成を図っている。この

ページでは、様々な大きさやタイプの会議場、会議にともなう付帯的サービス(食事、イベントなど)など、

会議開催に必要な情報を紹介している。

3)「科学」ページ 大学病院、がんセンターなどの研究機関や、地元企業や大学などで、セミナー講師派遣や視察などの

手配ができるテーマを紹介している。 76 出所:International Congress and Convention Association “Statistic Report The International Association Meetings Market”、2006 年 77 URL: http://www.heidelberg-marketing.de/en/

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

137

テーマは、エネルギー、廃棄物処理、リサイクル、環境マネジメントなど、いずれも、他国や他地域と比

較して、ドイツ、あるいはハイデルベルグにおける、先進的な事例があると思われる分野である。

4)その他の取組 2016 年 9 月には、「ハイデルベルグは、ドイツでも医療先進地である」として、メディカル・ツーリズムの

パンフレットを紹介するプレスリリース 78を発信した。特に、中東やロシアからの旅行者が増加していること

を受け、パンフレットは英語の他に、アラビア語とロシア語が用意されている。 ④ 本事例に関する考察

1)中小規模 MICE の可能性 MICE というと大規模な国際会議場での国際会議や展示会を想像しがちだが、2008~12 年に ICCA

(International Congress and Convention Association)のデータベースに登録され、全世界で開催

された会議のうち、出席者1000名以上の大規模な会議は全体のわずか8%であり、半数以上(56%)は、

出席者 250 名未満の小規模なものである 79。その程度の規模であれば、日本で既存の公共施設を整備

したり、宿泊施設の会議場で受け入れ可能な地域も少なくないと思われる。

2)地元企業・研究機関によるセミナーや視察の手配サービス 現在、ハイデルベルグ観光局のホームページで紹介されているような、地域外からの旅行者を対象とし

た、地元の先進企業や研究機関の訪問(セミナー提供や視察)を手配するサービスは、企業や学術機関

の研修・視察ツアー、見本市・展示会訪問、グローバル企業の社内会議などで、ドイツまたはハイデルベ

ルグを訪れる外国人にとって、興味のある業界やテーマであれば、要望があがる可能性は十分にある。 日本の地方都市においても、観光地でありながら、高度な技術を持つ製造業や研究所、学術機関が

近隣に存在する地域はある。そのような組織や施設は、観光産業とは無関係と思われがちであるが、特

に、商用や研修目的の訪日外国人の利用や、産業観光といわれる工場・施設見学を観光資源として生

かす可能性を検討できるであろう。 このような一般的な観光以外の地域の資源は、MICE 需要の獲得においても、地域の特性を生かした

付帯的な魅力としてアピールすることができ、特に会議のテーマと関連する分野の企業や研究機関など

がある場合には、他の開催候補地との差別化が可能となり、誘致にも有効に作用する。 また、このような MICE や企業訪問のようなビジネス・サービスは、主として、平日に開催されることが多

いため、観光地の宿泊施設で、一般の商談目的のビジネス需要が多く見込めない地域でも、平日の稼働

率の増加に貢献することも十分に考えられる。

(9)事例9 カナダ: 客層の多様化による、季節変動の緩和

新たな需要を喚起するにあたり、ターゲット層を 2~3 種類の客層の組み合わせることで、季節変動が

78 出所:Heidelberg Marketing GmbH “Medical tourism has economic weigh”、2016 年、公式ホームページ

URL: http://www.heidelberg-marketing.de/en/press/archive/news/detail/News/medical-tourism-has-economic-weight.html 閲覧日 2017 年 3 月 17 日 79 出所:International Congress and Convention Association “A Modern History of International Association Meetings, 1963-2012”、2012 年

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

138

緩和される可能性があることを紹介した事例である。 客層により季節変動のパターンが異なるため、組み合わせや構成比により、季節変動緩和の効果が異

なる。 本事例では、金融分野における投資のリスク軽減手法を観光地の分析に適用して、季節変動を最小

化する、客層セグメンテーションの望ましい構成を特定した分析を紹介している。 これにより、季節需要の緩和のためには、ターゲット層の設定をどのように考えるべきかとの示唆が得ら

れると考えられる。

① 事例の概要

対象地域、国 カナダ 調査対象 カナダへの旅行経験があるフランス居住者 関与・連携した

組織

カナダ観光委員会、米国商務省 国際通商局旅行業部門の共同事業

観光地タイプ 自然資源、歴史・文化的都市など全般 対応手段 新規顧客層の開拓 事例のポイント 1 つの客層に依存するよりも、季節変動パターンの異なる、複数の客層を取り込むこ

とで、季節変動が緩和されることを、統計的に証明している。 主な課題 観光需要が、夏期に大きく偏る. 主な取組 客層の多様化 取組の効果 季節変動パターンの異なる複数の客層の最適な組み合わせとその比率が、特定さ

れた。 主要参照文献 タイトル(原題):MITIGATING TOURISMSEASONALITY, A Quantitative

Approach (和訳:季節変動の緩和 統計的アプローチ) 執筆者:SooCheong (Shawn) Jang, PhD(カンザス州大学 准教授) 掲載誌:Annals of Tourism Research, Vol. 31, No. 4, pp. 819–836, 2004 発行年:2004 年

② 本事例に関する考察

金融ポートフォリオは、購入商品と購入量を投資家が決められるが、観光産業では、地域の観光振興

組織や企業が理想の客層構成に合わせてマーケティングの予算を配分しても、実際の集客は、様々な

要因が影響し、思い通りにいかないという限界はある。 とはいえ、少なくとも、この分析結果は、次のことを実証している。

1 つの客層に依存するよりも、2~3 種類の客層の組み合わせにより、季節変動が緩和される可能性

がある。 客層により季節変動のパターンが異なるため、組み合わせや構成比により、季節変動緩和の効果が

異なる。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

139

地域や観光産業の企業においても、現在は、国内の一般観光客層の比率が高いところが多いが、外

国人やビジネス需要、特定の属性グループなど、変動パターンが異なる客層を開拓することで、季節変

動緩和を目指す可能性の示唆が得られる内容であった。

(10) 事例10 ハンガリー 福利厚生レクリエーションカード発行による季節変動対応策

ハンガリー全体の宿泊需要は 7、8 月に年間の約 3 割が集中する。繁忙期を延長する程度では、季節

変動による収益性、持続可能性、雇用面での課題は解決できないとのことから、年間を通じた観光需要

促進を図り、「新たな観光シーズン」を創造し、かつ、観光産業の様々な事業者が恩恵を受ける制度が求

められた。 ハンガリーでは、ホリデー・バウチャー制度が 1997 年から導入されたが課題が多かったため、2011 年

から新制度である「福利厚生レクリエーションカード」で運用している。 この事例では、「福利厚生レクリエーションカード」の制度と、需要創出効果について紹介する。

① 事例の概要

対象地域、国 ハンガリー 取組主体 ハンガリー政府 関与・連携した

組織

ハンガリー国内経済省、国内の宿泊施設、レジャー施設等の観光産業事業者全般

観光地タイプ 歴史的建造物、温浴施設、国立公園など 対応手段 閑散期の旅行促進 事例のポイント 企業の福利厚生特典付与の機会を活用した、政府による旅行促進策として、民間企

業、その従業員、観光産業の事業者、いずれのステークホルダーにも明確なメリット

をもたらす制度設計が、成功のカギであったと思われる。閑散期に利用を促進する

仕組みも、上手く考えられている。 主な課題 他の欧州諸国同様の観光地の季節変動があり、観光業の収益性、持続可能

性、雇用維持などの課題を抱えている。 従来の「ホリデー・バウチャー制度」は、手続きの煩雑さ、流通の不透明性、運

営会社の高額な手数料等、問題があった。 主な取組 従業員への福利厚生特典として企業が提供するレクリエーションカードの仕組

みを法整備し、利用の利便性、透明性を高めた。 企業には、金銭報酬と比較して、レクリエーションカードの従業員への供与にあ

たり節税インセンティブを設けることで、カードの利用を促進した。 取組の効果 60%が閑散期に利用され、閑散期のレジャー施設の利用客増加等、閑散期の

観光産業の需要創出につながった。 週末の家族旅行が大幅に増加した。 閑散期の利用者向けに割引プランやイベント開催などが増加した。

主要参照文献 タイトル(原題):SzRC a Good Practice from Hungary (和訳:ハンガリーでのベストプラクティス SzRC)

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

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執筆者:Oliver FODOR, Head of Section, Tourism and Catering Department, Ministry for National Economy (ハンガリー 国内経済省 観光・料飲部 課長) 発行年:2014 年 発表の経緯:2014 年 10 月、アルバニアにて開催された UNWTO(国連世界観光

機関) 「観光産業の季節変動への対応」に関する国際会議での、ハンガリー国内経

済省による発表内容。

② 地域の状況

ここでは、ハンガリーの観光産業、宿泊業に関する概要を、”Tourism in Hungary 2015”(ハンガリー

政府観光局発行の統計資料、ハンガリー政府観光局発行、2016 年)を基に、記す。 ハンガリーは中央ヨーロッパに位置し、面積約 9 万 3 千平方キロメートル(日本の約 4 分の 1) 人口約 1,000 万人、うち首都のブタペストには約 176 万人が在住 観光産業が GDP に占める割合 5.8%、雇用に占める割合 9.2% 外国人旅行者数 1,563 万人(日帰り約 600 万人を含む) 国内宿泊旅行者数 延べ 1,179 万人(対前年比 1.9%増)

1)国内の宿泊に関する状況 ハンガリーの宿泊施設の業態(「ホテル」「ホテル以外の宿泊施設」)別、施設数、延べ宿泊者数、平均

泊数は以下の表の通りである。

図表 5-4-14 宿泊施設の実績

ホテル ホテル以外の宿泊施設 施設数 1,051 軒 2,216 軒 延べ宿泊者数 877 万人泊

(外国人と合わせた市場

全体の約 45%) 対前年比+7.3%

1,285 万人泊 (外国人と合わせた市場

全体の約 50%) 対前年比+6.4%

平均泊数 2.3 泊 2.4 泊 出所:ハンガリー政府観光局 “Tourism in Hungary 2015”、2016年

を基に、WBA作成

延べ宿泊者数に占める国内旅行者と外国人需要の比率は、首都ブタペスト周辺では、外国人の占め

る割合が 80%以上と非常に高いが、それ以外の地域では、国内宿泊客が 60~80%を占める主要顧客

層である。 宿泊業の経済規模 総売上高 2,135 億フォリント(約 828 億円)

うち、国内旅行者による消費は 818 億フォリント(約 317 億円)(全体の 38%、対前年比+13.8%)

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

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国内旅行者の目的別構成比では、ビジネス需要はごくわずかで、短期宿泊(3 泊以内)の旅行者

の 2.8%を占めるのみ。それ以外は、家族・友人訪問(57.7%)や校外学習(0.7%)も含め、観光関

係の需要から成る。

2)宿泊施設平均客室稼働率 ハンガリーの宿泊施設の施設タイプ別平均客室稼働率は、以下の通り、スパホテルタイプが最も高く

60%代を維持、ホテルはそれに続き 54%、全タイプの平均は 45.1%である。

図表 5-4-15 宿泊施設タイプ別 客室稼働率

宿泊施設タイプ 稼働率 ホテル 54.0% スパホテル 61.7% ボーディング・ハウス (ハンガリーの宿泊施

設の 3 分の 1 を占める業態) 27.9%

全宿泊施設タイプ平均 45.1% 出所:ハンガリー政府観光局 “Tourism in Hungary 2015”、

2016年、項目は WBAによる和訳

3)宿泊需要の季節変動 ハンガリー全体の宿泊需要は 7、8 月に年間の約 3 割が集中する。国内、外国人需要ともほぼ同じ変

動パターンだが、若干、外国人需要変動が緩やかである。

図表 5-4-16 月別延べ宿泊者数の分散状況

出所:ハンガリー政府観光局 “Tourism in Hungary 2015”、2016年、

項目は WBAによる和訳

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

142

③ 事例の詳細

主要参照文献に基づき、本事例の取組の詳細を以下に示す。枠内の情報は、原則としてすべて、主

要参照文献からの引用であるが、出所が異なる場合は、その都度明記する。 (ア) 取組の主体者: ハンガリー政府

(イ) 取組の背景

1. ホリデー・バウチャー制度

1997 年に導入されたホリデー・バウチャー制度 80には、以下のような様々な問題点があったた

め、より効率的な現行制度が政府の主導により、2010 年に法律が制定、2011 年より導入した。 2. 観光産業における季節変動

他の欧州諸国と同様、観光産業には、季節変動による収益性、持続可能性、雇用面での課題

があるが、繁忙期を延長する程度では課題は解決できない。年間を通じた観光需要促進を図り、

「新たな観光シーズン」を創造し、かつ、観光産業の様々な事業者が恩恵を受ける制度が求めら

れた。 (ウ) 取組の概要

1. SzRC(Szechenyi Recreation Card、セーチェニー・カード)カードについて

“Szechenyi”は、紙幣にも肖像画が描かれる 19 世紀のハンガリーを代表する偉大な政治家、

Istvan Szechenyi 伯爵の名前に由来。 カードの仕組みは、企業が発行会社より購入し、従業員へ福利厚生特典として付与する。 従業員は国内旅行において、カードを利用してサービスを受ける。 サービスを提供した観光業者は、カード発行会社へ支払請求する。 2. 導入企業への節税インセンティブ

企業にとって、金銭による報酬と比較し、税制優遇があるため導入による節税インセンティブが

ある。金銭報酬の場合 手取り 100 フォリント(約 39 円)の報酬につき、企業の負担は 196 フォ

リント(約 76 円)、非金銭報酬の場合 同額の手取り報酬に対し、企業の負担は 135.7 フォリント

(約 53 円)となる。

図表 5-4-17 セーチェニー・カードの概要

カード発行方法 電子カード式、 1年に1回、カードの口座に特典利用額が送金される

福利厚生特典の券

面額(上限)

宿泊代金 Eur750(約 9 万円) / 飲食代 Eur500(約 6 万円) / レジャーサービス Eur250(約 3 万円)、合計 Eur1500(約 18 万

円) 利用用途 宿泊代金:旅行パッケージにも利用可能

飲食代:レストラン、食堂の利用代金 レジャーサービス:音楽コンサートや博物館入場料などの文化施

設、フィットネスセンター、スキー場、スポーツ用品レンタルなどの

スポーツ関連サービス、遊園地、動物園、一部の医療サービスな

どに利用可能 ハンガリーの主要観光資源である、スパや温浴施設は、総額の範

80 ハンガリーでは、従来より従業員へ充実した福利厚生特典を付与する伝統があり、観光産業への支援の意図もあり、

1997 年にホリデー・バウチャー制度が導入された(OECD “OECD Tourism Trends and Policies 2014” p95)

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

143

囲内で利用可能 出所:Oliver Fodor “SzRC a Good Practice from Hungary” 2014年を基に、WBA

作成

3. 旅行促進のための取組

国民へ、健康維持のため、レジャーにお金や時間を使い、観光アクティビティに参加する「短

期休暇」を奨励した。 (エ) 取組による効果

取組による効果として、セーチェニー・カードのこれまでの利用実績を示す。 1. 利用実績

2015 年には、セーチェニー・カードの付与対象者は、全人口の 13%になり、カード利用可能

施設数も 2014 年からの 1 年間で大幅に増加している。また、利用総額の年間の付与額に対す

る比率は、年 90%以上と利用率が高い。 ハンガリー政府観光局ホームページ(日本語版)の宿泊施設情報ページにおいても、「支払い

方法」の選択肢に「セーチェニー・カード」も含まれており、「セーチェニー・カード」による支払いを

条件に検索したところ、ホテルだけでなく、農村宿泊施設、ホリデーハウス(ゲストハウス)、キャン

プ場など、多様な宿泊施設、約 4,300 軒が表示された。 2. 2011 年導入~直近(2014 年夏)までの利用総額

2011 年の導入から 2014 年夏の 3 年ほどの間に、国内で利用された総額は、宿泊、飲食、レ

ジャーサービスを合わせて、総額 5 億ユーロ以上(643 億円)に上る。 3. 導入の効果

ハンガリー国内経済省では、需要創出、季節変動緩和の効果が確認できた。

④ 本事例に関する考察

福利厚生レクリエーションカードの利用額が発行額の 97%と、受給者の活用度が高く、また閑散期の

利用が 6 割と、観光産業の需要創出に貢献した成功例と言える。 制度により福利厚生特典を提供した民間企業、受給者(従業員)、SzRC カード利用により需要増の恩

恵を受ける観光産業と、すべてのステークホルダーがメリットをはっきりと感じられることが成功の要因と思

われる。特にカード受給者の従業員にとっては、利用可能な観光施設・サービスの選択肢の豊富さや利

用条件により、満足度が大きく変わると思われる。一方、受給者の利用の柔軟性を確保しつつ、政府や観

光産業において導入の効果を最大限に追求するには、閑散期の需要創出を図るための綿密な設計によ

る、条件等の設定が重要である。例えば、日本で仮にこのような制度を導入するとすれば、利用条件に制

限を設けないと、利用が土曜日の 1 泊や連休に集中し、宿泊需要の不均衡を助長してしまう可能性があ

るが、利用を 2 泊以上やピーク期間を適用除外などの条件とすることで、最も稼働率が低い曜日となるこ

とも多い日曜日や平日、閑散期の宿泊需要の増加が期待できる。

5-5 本章の分析、考察

(1)各事例からの学び

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

144

本章の冒頭で整理した、閑散期の需要喚起策として考えられる 5 つの施策タイプとその他の施策、発

地側での取組に分けて、各事例からの主な学びを、以下のように項目別に整理した。 施策タイプ 分類 該当事例

a) マーケティング

活動 (プロモーション、認

知度向上など)

専門性の高い

マーケティング

広告、PR、SNS、ホームページ、旅行会社など、複数のチ

ャネルで並行して、プロモーションを実施し、相乗効果を高

める(事例 1 豪州) マーケティング活動に、マーケティングの専門家の起用(事

例 1 豪州、事例 2 スロベニア)

関係機関・関

係者との連携

によるアプロー

地元出身の有名人のファン交流機会をつくり、施設の認知

度を向上(事例 2 スロベニア) 航空会社との共同プロモーションを実施(事例 1 豪州、事

例 4 ポルトガル) 旅行会社のスタッフへ、商品知識増加のためのオンライン

講座、知識検定制度実施(事例 1 豪州) 固定ファン層の集客が見込める、排他的業界グループへ

の加盟によるブランド力の向上(事例 2 スロベニア)

マーケティング

分析

キャンペーンの度に、広告の認知度や旅行意向の向上度

合いを市場調査で確認し、次回に生かす(事例 1 豪州) 需要落ち込みの原因を分析し、ターゲット市場やアプロー

チ方法の戦略をたてて取り組んだ(事例 4 ポルトガル)

活動資金確保

マーケティング予算を、閑散期のプロモーションに集中して

投入(事例 1 豪州) 需要が少ない時こそ、プロモーション活動のためのマーケ

ティング費用は削減せずに、確保する(事例 6 ホテル) 特別目的税の導入により、マーケティング活動のための資

金確保(事例 7 米国)

b) 観光 資源の価値

向上

これまでとは異

なる観光資源

の活用

既存の観光資源とは全く異なる、閑散期に限った新たな観

光資源を活用した(事例 2 スロベニア) メディカル・ツーリズムの提案(医療サービスに課題がある

国々の外国人の富裕層)(事例 8 ドイツ) 既存の観光資

源に、追加サ

ービスによる付

加価値の向上

閑散期のイベント開催(狙いを明確に、季節限定感のある

テーマで) (事例 3 英国、事例 8 ドイツ) 地域の事業者がまとまって取り組むことで、地域の魅力を

高める(事例 2 スロベニア、事例 3 英国)

特定の顧客層

に合わせた対

他地域の先進事例やこれまでの経験から、顧客のニーズを

深く理解し、ニーズに対応した付帯サービスや受入インフラ

を整備(事例 2 スロベニア) 閑散期に楽しめる観光資源の中で、ターゲット客層の興味

に合うものを選定し、販促のコンテンツに使用(事例 4 ポル

トガル)

c) 交通利便性の向上 閑散期も LCC の運航継続、頻度の確保(事例 4 ポルトガ

ル)

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

145

近隣の大都市圏からの LCC 誘致(事例 5 イタリア)

d) 魅力的な価格の提示

LCC の新規就航、増便(事例 4 ポルトガル、事例 5 イタリ

ア) 複数のサービスを組み合わせたパッケージ販売、長期滞在

割引など、顧客の価値を維持・向上させつつ、単価をわか

りにくくした形で値下げ販売(事例 6 ホテル) 「オパーク・サイト」での販売(事例 6 ホテル)

e) 新規顧客層の開

新たな観光資

源の 活用

MICE 誘致による、ビジネス客層の開拓 (事例 7 米国) 地域産業、特性に関連した分野に特化した中小規模の

MICE の誘致(事例 8 ドイツ) 地元の会議主催者の会議運営を支援(事例 8 ドイツ)

既存観光資源

の活用

地域住民や学校団体など、近隣圏の顧客層 (事例 3 英

国) 外国人旅行者(事例 5 イタリア) 規模が小さくても、価格にこだわらない客層を開拓する(事

例 6 ホテル)

客層構成 1 つの客層に依存するよりも、2~3 の異なる季節変動パタ

ーンの客層が存在することで、季節変動が緩和される(事

例 9 カナダ)

その他の施策: 季節変動への対応

消費額増加により、少ない客数で売上を確保する (事例 3英国、事例 6 ホテル) 営業時間の短縮、営業曜日の限定 (事例 3 英国、事例 6ホテル)

発地側における旅行促進の取組 企業に節税インセンティブを与えることで導入を促し、従業

員の閑散期の旅行を促進する、福利厚生カードの制度の

整備(事例 10 ハンガリー) 観光需要の平準化に向けて、求められる取組の全体像と、本文献調査の事例の対応関係は、以下の

図のようになる。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

146

図表 5-5-1 観光需要平準化の取組の全体像と事例の対応関係

(2)事例全体を通しての考察

過去の文献においても、「繁忙期は、プロモーションも比較的容易で、低コストで可能」81、「閑散期の

販売は、簡単な一時的なプロモーションだけでは不十分なこともある」82といった記述がみられるように、

人々が休暇旅行に行く動機や口実が多い繁忙期と比べて、魅力や動機が少ないとされる閑散期のプロ

モーションで成果を上げることは容易ではなく、費用、労力、時間を要することを覚悟しなくてはならないと

いえる。これまで、日本の地域プロモーションでも頻繁にみられたような、あるものを、ただそのままアピー

ルする「プロダクトアウト」の発想では、潜在的な顧客の心をとらえるのは難しい。顧客の視点に立って

(「マーケットイン」)、閑散期でも旅行を実施したくなる動機や要望を想起するような商品、サービス、誘客

のためのメッセージを発することが求められる。閑散期の誘客を限られた資源で、できるだけ早期に成果

を出すため、これまでにみた 10 事例では、特に以下のような工夫がみられた。 ① 科学的データをふまえた、戦略的なマーケティング活動

事例 1 豪州、2 スロベニア、4 ポルトガル、8 ドイツと、多くの事例で、閑散期の需要喚起において重視

されていたのは、マーケティング活動である。市場調査の結果や市場状況の分析、顧客の要望に関して

収集した情報等を踏まえ、論理的にターゲット客層を定め、ターゲット客層のニーズや嗜好に合わせた、

戦略的なマーケティング活動により、潜在顧客へのアプローチを実践していた。戦略を立てるだけでなく、

実行後に、市場調査や顧客アンケートなどから、実行した結果を検証し、さらに改善を重ねる、毎年、経

験を重ねて試行錯誤をする、というコメントも、事例 1 豪州、2 スロベニア、3 英国など、複数の事例でみら

81 出所:FITZPATRICK ASSOCIATES “All-season tourism: Analysis of experience, suitable products and clientele” Page 2 : Factors Influencing the Demand for Holiday-taking、1993 年 82 出所:Nicoke Koenig and Eberhard E. Bischoff “SEASONALITY RESEARCH: THE STATE OF THE ART、2004 年

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

147

れた。 ② 様々なチャネルを活用した包括的なマーケティング活動

さらに、マーケティング活動においては、一つの方法にて成功するよりは、複数の情報経路を通じて、

潜在的な顧客へアプローチをすることで、相乗効果により、成果を高めている。事例 1 豪州が顕著な例で

あるが、広告、パブリシティ、提携の旅行会社から、観光局のホームページや SNS など、従来型情報チャ

ネル、インターネットの双方を活用し、包括的な活動により成果を上げたとみられる。 より低コストで効率的にアプローチするため、公式ホームページや SNS などのインターネットを活用し

た広報活動や潜在顧客とのコミュニケーションも、ほぼ例外なく実践されていた。 ③ 地域関係者の連携による相乗効果

マーケティング活動の効果を高めるために、地方観光局単独ではなく、旅行会社や航空会社のような

ビジネスパートナーとの提携や、地域の事業者がまとまって取り組むことの重要性を示す事例も、事例 1豪州、2 スロベニア、3 英国、7 米国、8 ドイツと数多くあった。地域の複数の関係者が閑散期の需要喚起

に協力することで、マーケティングの相乗効果だけでなく、観光地において「活気を」もたらす効果もある。 また、地方自治体による地域振興支援の取組として、活動資金確保のための特別目的税の導入事例

7 米国が挙げられた。 ④ ターゲット客層のニーズに合わせたサービスの拡充

ターゲット客層にアプローチをするマーケティング活動と合わせて、ターゲット客層の好みやニーズに

合わせた付帯サービスの提供により、来訪動機の増加や、来訪確率、顧客満足度を高め、来訪者数を増

加させる取組も、事例 2 スロベニア、3 英国、8 ドイツなどでみられた。顧客(ステークホルダー)のニーズ

に合うものを提供したことで、成果を上げるという点は、事例 10 ハンガリーの発地側での需要喚起策につ

いてもいえる。 ⑤ 消費額の増加策

閑散期の需要喚起策は、様々な選択肢があるが、それでも、閑散期に獲得できる需要量は限定的で

あることから、そのことを前提とした季節変動の対応策として、消費額の増加を図り、少ない客数でも収益

性の確保を図るケースが複数確認できた(事例 3 英国、6 ホテル)。 ⑥ 新規顧客層の開拓

多くの事例で該当するもう一つの対応策として、新規顧客層の開拓の取組がある。旅行時期などの消

費パターンが異なる複数の主要顧客層が存在し、客層が多様化することで、季節変動の繁閑差を縮小で

きる可能性は、事例 9 カナダ、7 米国、8 ドイツ、6 ホテル、5 イタリアなどで示された。 具体的な、新規顧客層として、ビジネス需要の MICE(事例 7 米国、8 ドイツ)や地域住民(事例 3 英

国)、外国人(事例 5 イタリア)などが挙げられた。また、事例 2 スロベニアや 7 米国、8 ドイツの事例は、

新たな発想で、これまでとは全く異なる地域資源の活用により、これまでとは異なる顧客層を獲得できる可

能性も示していた。

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第5章 海外の観光需要平準化に関する事例

148

⑦ 運営の効率化による季節変動への対応

事例 3 英国、6 ホテルなど、複数の事例を通じて、日本ではあまり一般的とは言えないが、諸外国の観

光地では、旅行者数が落ち込む閑散期の間は、完全な休業や定休日の増加といった対応をする事業者

が多いことがわかった。このような方法は、閑散期の観光地の「賑わい」造成を阻害し、観光客の満足度

や旅行・消費意欲低下を招くことから、閑散期の需要喚起の観点からは望ましくないという意見も多いが、

一方で、特に遠隔地の観光地で、特に閑散期の中でも需要が極めて少ない時期で、需要喚起の可能性

に限界がある場合は、生産性の向上のため、このような営業時間・日数の削減による方法を選択肢の一

つとして、検討する必要性もあると考えられる。 ⑧ 遠隔地にある観光地の交通アクセスの課題

商圏人口が多い、大都市から離れた遠隔地や、陸路交通手段が及ばない、島しょ部の観光地では、

LCC などの利用しやすい交通手段によるアクセスの利便性が一つのカギとなることも判明した。事例 5 イ

タリアの事例で LCC の就航による効果が顕著にみられただけでなく、 事例 1 豪州や 4 ポルトガルの事

例において、航空会社との交渉が重視されていた他、3 英国の事例では、大都市圏からの近さと季節変

動の大きさの相関関係を示した。 LCC のように、価格面の魅力による需要を喚起も一つの方法だが、イメージやブランド力が重視される

サービス業においては、価格以外の要素による訴求を重視する企業が事例 6 ホテルの販売施策や 2 ス

ロベニアなどでみられた。 ⑨ 長期的な視点での取組

最後に、今回取り上げた 10 の事例以外も含め、観光需要平準化に関する諸外国の文献を通じて、長

年この課題に取り組んでいる地域でも、緩和はみられても、完全な解決をした例はない。この点を認識し

た上で、今後の観光振興の在り方を検討すべきであると思われる。 例えば、事例 7 米国では、1980 年代に大型コンベンション施設を開業し、レジャー目的の旅行者に加

えて、MICE によるビジネス需要の獲得に大きく成功しているが、他地域と比較すると幅は小さいものの、

依然として、時期による需要の変動は存在する。事例 1 豪州でも、1990 年代より、夏以外の季節の需要

喚起の必要性を認識し、これまで継続して課題に取り組んでいるが、改善はみられても、依然として需要

の季節変動は存在する。 このようなことから、統計数値として、需要変動の緩和の効果を確認できる段階まで実現することだけで

も、長期間にわたる取組の継続、相応の出費や保有資源の最大限の活用が求められると考えられる。ま

た、完全な解決は不可能という前提の下、需要変動を前提とした、より効率的な運営、資源配分等を地域

としても、事業者としても考える必要があると思われる。今回の事例の中から例を挙げると、マーケティング

活動の予算を閑散期に集中させる、追加収入の増加で、客数減少を補う、一時的な休業や営業時間短

縮などにより、効率的な人的資源の配分を行うといったことである。

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

149

第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

6-1 本調査からの知見

本調査では、有給休暇の取得が促進される結果として、以下のような利点があることが明らかになった。

① 宿泊業、観光産業で需要が創出され、宿泊需要の不均衡の緩和が期待される

本調査では、経済界から有給休暇の取得を年 3 日増加させる方針が表明されていることから、有給休

暇の取得が年 3 日増加した場合の経済効果について試算した。 その結果、有給休暇の取得増加にともない、推計延べ 3,254 万人の国内宿泊旅行者による、4,774 万

人泊の新たな宿泊需要(延べ宿泊者数)が創出されると推計された。これは、2016 年の外国人旅行者に

よる延べ宿泊者数(観光庁 宿泊旅行統計 2016 年速報値 7,088 万人泊)の 67%に相当する。この宿泊

需要を、客室数に置き換えると、2,932 万室となる。これにより宿泊施設の平均客室稼働率は、2016 年の

観光庁 宿泊旅行統計の数値(2016 年速報値)60.0%を基準とすると、65.8%に 5.8 ポイント上昇する。

この 5.8 ポイントの上昇率は、国内宿泊施設の平均客室稼働率の伸び率としては、過去 5 年間(2011~16 年)の年間客室稼働率の年間平均増加率 1.6%83の 3.5 倍に相当する。

この需要増加は、旅行消費額では、宿泊費のみで総額 2,837 億円、交通費・飲食代等含めた旅行消

費額は、総額 9,213 億円になると試算された。この新たに創出される国内旅行者による旅行消費額の規

模を、訪日外国人旅行者による旅行消費額と比較すると、宿泊費では 28%、旅行消費額では 25%に相

当する。 このように、有給休暇の取得日数が年 3 日分増加することによる、宿泊業、観光産業に与える経済効

果は大きいことが明らかになった。 有給休暇の取得による宿泊旅行は、現在、国内観光客を主要顧客層とする宿泊施設で、稼働率が低

い平日に実施されることが多いと予想される。平日の宿泊需要が増加すれば、特に土曜日に集中してい

る宿泊需要の不均衡が緩和する方向に作用するものと期待される。

有給休暇の取得が年 3日増加した場合の経済効果

延べ 3,254 万人の国内宿泊旅行者、4,774 万人泊の宿泊需要(延べ宿泊者数)が新たに創出さ

れる。これは、2016 年の外国人旅行者による延べ宿泊者数(観光庁 宿泊旅行統計 2016 年速

報値 7,088 万人泊)の 67%に相当する。 平均客室稼働率が 60.0%から 5.8 ポイント上昇する。 宿泊費のみで総額 2,837 億円、交通費・飲食代等含めた旅行消費額は総額 9,213 億円が新た

に創出される。これは、2016 年の訪日外国人旅行者による宿泊費の 28%、旅行消費額の 25%に相当する。

② 有給休暇取得増加の取組を行うと、業績に良い影響がある。また有給休暇を多く取得してい

る従業員等は、効率的に仕事をし、仕事への士気が高い

83 観光庁「宿泊旅行統計調査報告」(平成 27,26,25,24,23 年)及び、宿泊旅行統計調査 2016 年速報値を基に、WBAにて算出。

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

150

本調査では、有給休暇の取得の取組が、企業等、従業員等の双方にどのような影響を与えているのか

をアンケート調査で確認した。 その結果、企業では、取組によって有給休暇が増加したという企業は、有給休暇が変わらなかった企

業より、売上高や営業利益が増加していることがわかった。 また従業員等では、有給休暇を「職場の同僚より多く取得していると思う」従業員等は、「同じ程度だと

思う」、「少ないと思う」従業員等より、普段から仕事を効率的に行うと考えており、かつ休暇後には集中力、

やる気が上がり、仕事の効率が上がると感じている。さらに、仕事で能力を発揮できていると考える割合も

高い。 有給休暇が取得されることを単純に労働量の観点のみでとらえるなら、投入される労働量が減少し、産

出される成果も減少することを意味する。つまり、投入量が産出量に影響するという考え方では組織のトッ

プとしては、有給休暇の取得に積極的に取り組むインセンティブは働かないことになる。 しかし、本調査で明らかになったように、有給休暇の取得が増加している企業では、業績が良い傾向

にある。これは、必ずしも産出量は投入量に比例するのではなく、従業員等が効率的に仕事を行ったり、

やる気をもって仕事を行うことが要因になっていると考えられる。 これらのことから、企業等での取組を行い、有給休暇が増加することは、企業等にとって有益であると

言える。

有給休暇取得増加の業績等への影響

有給休暇取得促進の取組によって、実際に「有給休暇が増加した」企業では、「変わらない」企業

より業績が良く、売上高、営業利益が増加している。

有給休暇が「同僚より多いと思う」従業員等は、「同じ程度だと思う」、「少ないと思う」従業員等よ

り、仕事の効率が高いと思っており、休暇後に集中力、やる気が上がり、仕事の効率が上がると感

じている。また、能力を発揮できていると思っている割合も高く、仕事への士気が高い。

③ 宿泊業では正規雇用者の増加につながる

有給休暇の取得増加が図られることで、国内観光客を顧客とする宿泊施設には、売上高の増加や年

間稼働率の上昇等の影響があると考えられる。このような業績指標の向上は、正規雇用者の増加や正規

雇用率の上昇につなが可能性がある。正規雇用者の増加は、給与額の上昇による待遇改善だけでなく、

人材育成や、より質の高いサービスの提供により、付加価値の向上につながる。また、付加価値の向上に

より、宿泊施設に対する顧客満足度の上昇や、サービスの水準に見合った価格設定により、客単価の向

上、その結果として、業績がさらに向上するという、好循環を生み出す可能性も期待できる。 上記のように得られた知見から、企業等における有給休暇の取得促進は、企業等にとって有益である

だけでなく、観光需要の創出につながることから、推進すべき取組であると言える。

6-2 有給休暇取得促進と観光需要平準化の取組の関係

本調査においては、企業等の有給休暇取得促進の取組によって、観光需要が増加し、それが観光需

要の平準化に貢献することを確認した。調査は、企業等、従業員等、宿泊業、交通機関といった、一連の

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

151

経済効果に関連する複数の立場の関係者を対象に実施され、その結果では、それぞれの立場での実態、

取組、課題などが明らかになった。例えば、企業等での有給休暇取得促進の取組では、トップコミットメン

トが重要である、宿泊業では規模によって人手不足が深刻であるというものである。 関係者ごとの課題はそれぞれ独立したものであるが、課題の中には、有給休暇を旅行目的で取得促

進することによって、施策の相乗効果があると想定されるものもある。例えば、有給休暇が増加した企業

等では旅行に対する告知が多いことや、企業によっては旅行でリフレッシュしてくることで気分転換となる

ことを重視していることである。また有給休暇の取得を促進することでアイデアが生まれ、商品開発につな

がるという事例もあった。従業員等では、有給休暇の取得によって、仕事への集中力や効率が上がるとい

う調査結果があった。 一方で、既に有給休暇を多く取得していると思う人であっても、同僚が働いている日に旅行やレジャー

等で休暇を取るのは罪悪感があるという人が約 6 分の 1 いる調査結果もあった。有給休暇の取得を促進

する上で、企業等が積極的に休暇で旅行に行くことを推奨することは、このような心理的阻害要因を払拭

するために効果があると考えられる。 すなわち、企業等が旅行を促進することは、単にレジャーとしての楽しみを提供するだけではなく、企

業等における有給休暇取得の促進や、付加価値向上につながるということである。 しかし、企業等での取組によって有給休暇の取得の増加分が、観光需要平準化に寄与するためには、

観光需要を受け入れる観光地や宿泊施設側でも努力が必要となる。本調査では、有給休暇の取得が増

加した場合に、その休暇は国内の宿泊旅行に利用してもらうことを前提に調査、分析を進めてきた。しか

し、実際には、休暇の使われ方は旅行以外にも多様なものがある。また、増加した観光需要が、すべての

観光地や宿泊施設で均等に増加するわけではなく、観光地や事業者により増加分を取り込めるところと、

そうでないところがでてくるものと考えられる。

したがって、観光地や宿泊業においては、有給休暇を取得する従業員等に対して、閑散期であっても

魅力ある商品づくり、誘客のためのプロモーションを行うなどの対策が必要である。 有給休暇を取得促進することで観光需要平準化を実現するという、一連の流れの中で、企業等、宿泊

業、交通機関においては、それぞれ抱える課題がある。しかし、これら関係者の役割において実施される

取組が有機的に連動することで、観光需要平準化は相乗効果が生まれると想定される。

有給休暇取得促進と観光需要平準化の取組の関係

企業等で、従業員へ有給休暇の過ごし方として旅行を奨励することは、単にレジャーとしての楽し

みを提供するだけではなく、有給休暇取得の促進につながる。さらに、従業員等が旅行等でリフ

レッシュすることにより、新しいアイデアが生まれるなど、企業等にとって付加価値向上、効率向上

につながることなどが期待される。

観光需要を受け入れる観光地や宿泊施設では、有給休暇の増加で生まれる消費を誘導するた

めに、観光地や宿泊施設の魅力ある商品づくり、誘客のためのプロモーションを行うなどの対策が

必要である。

有給休暇を取得促進することで観光需要平準化を実現するという一連の流れにおいて、企業等、

宿泊業、交通機関における取組が有機的に連動することで、観光需要平準化の相乗効果が生ま

れる。

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

152

6-3 企業等で有給休暇取得を促進する方策の考察

本調査では、第 1 章の業務の目的で触れた、経済界が有給休暇の取得を年 3 日増加させる方針にそ

って、増加する取得日数を年 3 日と仮定して、経済効果の試算を行った。年 3 日の増加で、大規模の宿

泊需要が創出される結果となった。しかし、年 3 日の有給休暇の取得増加は、現在の取得日数の水準を

鑑みれば、決して容易に実現できる目標ではない。 本調査では、有給休暇の取得を増加させた企業では、業績が良いという結果がわかったことから、その

情報を周知することは、企業経営者にとって取得促進の取組の動機付けとなると考えられる。 ただし、有給休暇の取得促進の取組には、休暇を実現するための組織内の整備をともなって実行する

必要があるため、整備にかかる実際の費用の他、時間といった見えない費用がかかる。また、有給休暇の

取得自体は、利益に直結する事業活動と結びつかないことから、業績が向上したとしても有給休暇取得

取組によるものかどうか、効果が直接的に見えにくいという側面がある。したがって、短期的な判断で、有

給休暇取得の取組を行わない方が、企業競争上有利だと考える企業はある程度存在すると想定される。 しかし、有給休暇の取得促進は、長期的に労働力人口が減少する中で、企業活動を継続的に行う上

では、必須の取組といえる。それは、有給休暇取得を実現するために、業務改善が実現できれば、同じ

人員で、付加価値が高く、効率的な運営が実現できることに加え、働きやすさを確保できれば、業務に必

要な人員が維持しやすいからである。特に、中小企業においては、既に後継者不足による廃業が問題と

なっているが、今後は従業員の維持、採用が困難となることで、人員不足によって廃業に追い込まれる可

能性がある。この観点からは、我が国における企業活動を維持、発展させていくために、有給休暇の取得

促進の取組こそが、業務の効率性を高め、職場環境の整備を行う最初の突破口になると考えられる。 企業等で実際に有給休暇の取得促進を図るためには、以下の対応が必要であると考えられる。また、

実際の取組にあたっては組織内の資源が不足したり、取組へのインセンティブが十分ではない場合が想

定されるため、多面的な支援が必要である。

① 各企業等で対応すべき取組

本調査では、有給休暇に関する制度が多く整備されていることが、休みやすさにつながる結果となった。

これは、従業員等には様々な家族構成、ライフスタイルがあり、それによって取得しやすい休暇制度は異

なることが理由であると考えられる。 しかし、有給休暇の取得を増加させるためには、休暇制度の充実だけでは不十分であり、同時に、休

暇取得を実現するための組織内における環境整備が必要であることが明らかになった。 実際に有給休暇の取得増加が実現した組織に共通点していたのは、トップコミットメントがある割合が

高く、またトップコミットメントに関して採用している施策の数が多かったことである。また、有給休暇取得が

増加した企業等では、業務効率化、ICT の活用、人材維持の取組といった、組織内体制の整備につい

て、いずれの取組の数も多いことがわかった。実際に有給休暇を取得しようとすれば、休暇中の業務の引

き継ぎ、休暇取得を見越した少ない人数で業務を行うための効率化、休暇取得を可能にする人員を維持

する取組が必要であるが、本調査の結果はそれを裏付けられたと言える。 企業等に実施したヒアリング調査からは、トップコミットメント、組織内体制の整備について、それぞれ実

際の取組内容や、取組の実施で乗り越えた困難などが明らかになった。これによれば、業務効率化、

ICT の活用、人材維持の取組という共通点はあるが、その取組の方向性や内容は、それぞれの企業等

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

153

が当時抱えていた課題、従業員の構成などの条件によって異なっていることがわかる。そして、これらの

新しい取組については、強いトップコミットメントの下で実行され、困難を克服してきていた。 これらのことから、個別の企業等においては、まず組織の最高責任者が有給休暇取得促進を行うという

強いトップコミットメントを持ち、有給休暇に関する休暇制度を充実させながら、同時に業務効率化、ICTの活用、人材維持の取組といった、休暇を取得しやすい職場環境の整備を行うことが必要である。

② 企業経営者に対する情報提供

有給休暇の取得促進を実際に行おうとすれば、業務の効率化等の取組も同時に実施しなければ実現

できない。このような組織全体にわたる業務を変革する取組は、労務、人事部門など、休暇制度の運用に

係る部門が単独に行うのではなく、経営者自らが関与し、指揮を執る必要がある取組になる。 したがって、有給休暇を取得促進するためには、何よりもまず、企業経営者が有給休暇の取得に対す

る必要性を認識する必要があるため、有給休暇の取得促進による利点について、情報提供が必要となる。 提供される情報は、有給休暇取得に関する利点の訴求が経営者にとっての動機付けとなると考えられ

るが、それに加え、経営者が実際に行動に移しやすくするための、具体的な取組方法を紹介するべきで

ある。 具体的な取組方法については、有給休暇の取得率が業種、組織規模で異なっており、また個別企業

においても、従業員の構成によって求められる施策が異なる。本調査では、調査の規模に制約があった

ことから、企業の多様性を網羅した調査はできなかったが、さらに事例を収集することで、企業が自社の

実態に近い取組を導入できるような情報提供を行う必要がある。

③ 取組を進める企業への支援

有給休暇の取得の取組は、組織内の整備など多岐にわたることから、容易なことではない。そのため、

取組を進める企業を支援する方策が求められる。支援には、取組を行う企業を奨励する方策と、取り組ま

ない企業を罰則する方策が想定される。 1)取組を行う企業への奨励 「有給休暇取得促進の取組を実施する企業の認定制度」 有給休暇の取得促進の取組について、一定の基準を設けて認定する制度である。類似の制度では、

厚生労働省の認定による、子育てサポート企業を対象とした「くるみん」、仕事と介護の両立支援企業を

対象とした「トモニン」、採用・継続就業・労働時間等の働き方・管理職比率・多様なキャリアコースの 5 項

目を評価する「えるぼし」などがある。 これらの認定と同様に、有給休暇の取得促進の取組を認定することで、求人の際にアピール材料にし

たり、公共事業への入札の際に評価するなどの対策をとることができる。 2)取組を行う企業への奨励 「業務効率化のための専門家の派遣」 企業ヒアリングでは、休暇制度整備に連動する業務効率化の取組の際に、専門家による支援を受けた

企業があった。有給休暇の取得促進では、休暇制度の整備と併せて、休暇を実現するための業務体制

の構築が必要になる。しかし、業務効率化に関して、社内の経営資源だけで対応ができるとは限らない。

そのため、希望する企業に対しては、専門家を派遣し、具体的に休暇が取得しやすい業務改善を行う支

援を行う。

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

154

3)取組を行う企業への奨励 「税制等の優遇策」 有給休暇の取得促進に取り組む企業には、制度整備や、業務効率化の取組に対し、税制等の優遇を

行う。有給休暇の取得促進は、本調査によれば、結果的に企業の業績が向上することになる。税制等の

優遇策は、取組を実施、継続させる企業にとって、強い誘因となると考えられる。 4)取組を行わない企業への罰則 「未消化の有給休暇について会計資料への表示の義務付け」 株式を公開する大企業向けの対策ではあるが、未消化の有給休暇について、会計資料への公開を義

務付けることも考えられる。 国際会計基準である IFRS(International Financial Reporting Standards)では、有給休暇引当

金の計上が求められている。有給休暇引当金とは、決算時にその年の労働者に付与された未消化の有

給休暇の日数を、日給、過去の取得率等によって金額に換算し、それを負債として計上する引当金のこ

とである。すなわち、有給休暇取得率が低い場合、財務上の負債が大きくなる。一般的に外資系企業で

有給休暇取得率が高いとされる理由は、欧米の休暇を重要視するという文化の影響の他にも、このような

会計制度上の理由もあると考えられ、IFRS導入企業では、従業員の有給休暇が増えることは、従業員の

チベーションの向上といった定性的な効果のほかにも、会計上の利点があることが推測される。 日本では、一般的に、有給休暇引当金は計上されておらず、有給休暇の買取も原則禁止されている

が、IFRS における未消化の有給休暇の引当は、買取を前提としたものではなく、有給休暇取得を促進さ

せるためのものであり、位置づけが異なっている。 この対策は、会計資料を公開している企業においては、有給休暇の取得促進を行う意思決定につな

がりやすいと考えられる

④ 有給休暇取得率が低い業種を特定して支援する対応

有給休暇の取得率は、業種による差が大きい。これらは、個別の企業の努力の有無というより、業種に

よる有給休暇の取得のしやすさが異なっていることに起因すると考えられる。 特に、取得率が相対的に低く、比較的産業構成比が大きい業種としては、建設業、卸売業・小売業、

宿泊業・飲食サービス業が挙げられる。 これらの業種では、それぞれに休暇の取得しにくい状況が異なっている。例えば、建設業では、天候

によって業務計画が左右されやすいことが要因の一つといえる。卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス

業においては、一般的に繁閑の差が大きく、通常期に合わせた人員体制では繁忙期に人手不足になる

こと、また顧客動向が読みづらいことが要因の一つと考えられる。 これらの業種においては、特に業種別の特性を踏まえた対策をとることが望まれる。 例えば、卸売業・小売業においては、一斉休業日を設定することなどが挙げられる。小売業の代表的

な業態である百貨店では、以前は毎週定休日があることが一般的であったが、近年では年中無休の店舗

が多くなっている。業界団体による資料では、年間平均総営業時間が 1990 年(平成 2 年)の 2,847 時間

から、2014 年(平成 26 年)には 3,553 時間と、約 25%増加している 84。営業時間の増加には、1 日の開

店時間の延長も含まれるが、定休日がなくなったことも要因になっている。本調査でヒアリングを実施した

84 「百貨店業界における ベンチマーク制度の検討状況について」 日本百貨店協会 2015 年 12 月

http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/sho_ene/koujo_wg/2015/pdf/003_03_03.pdf (2017 年 3 月 12 日調査)

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

155

企業からは、海外では小売業が一斉に休業する日を設定するなどにより、日本より休暇が取得しやすいと

いう意見があった。我が国でも、かつてあった定休日の復活や、一斉休業日を設定することで、卸売業・

小売業の取得率の向上を図ることは一つの方策だと考えられる。 対象とする業界については、個別企業の努力を推奨することに加えて、業界全体で、ビジネスモデル

や、事業の事情を踏まえた改善策を検討して、対策を実現していくことが望まれる。 企業等で有給休暇取得を促進する方策

企業等では、有給休暇制度を充実させ、それに加えて業務効率化、ICT の活用、人材維持の取

組といった、組織内体制を整備して、実際に休暇が取得できる環境づくりを行う。 企業経営者に対しては、有給休暇取得促進の取組を行う動機付けが必要である。そのために、

有給休暇取得促進をすることが業績に良い影響を与えることを、企業経営者に理解してもらうため

の情報提供をする。 有給休暇取得を実行する上で、企業等が取組しやすい支援を行う。具体的には、休暇制度の整

備と同時に実施すべき業務効率化を行うための専門家の派遣、有給休暇取得の取組を行ってい

る企業の認定制度である。 有給休暇取得率が低い建設業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業といった業種では、業

種の固有の状況によって取得促進が困難であると考えらえるため、業種別に対応策を検討、実施

する。

6-4 観光需要を受け入れる供給者側(宿泊業、交通機関等)の対応に関する考察

観光需要を受け入れる宿泊業や交通機関等が、供給者側の対応として必要と考えられることについて

以下のように考察をした。

① 閑散期の新規需要獲得のために日本版 DMOを活用したマーケティング活動

本調査では、有給休暇取得促進の取組の結果、年間客室稼働率が上昇するとの試算をしたが、取得

日数の増加の機会を最大限に生かし、新たに創出される観光需要の可能性を最大化するためには、各

観光地や観光事業者による、有給休暇が増加する従業員等に対する国内宿泊旅行への需要喚起や、

地域への来訪や各施設の利用を促す需要獲得のための販売促進といった「誘客」の努力が求められる。 閑散期における需要喚起、需要獲得は、繁忙期と比べて多大な努力が必要であるため、地域の関係

者が連携し、交通機関を含め、官民一体となった包括的なマーケティング活動を、長期間継続して行うこ

とが求められる。また、観光地では、得てして観光資源を前面に打ち出した販売促進を実施するが、これ

はいわゆる「プロダクトアウト」型のアプローチである。マーケティング活動としては、顧客目線で、潜在的

な旅行者の嗜好やニーズを踏まえた、「マーケットイン」型発想で観光資源・商品開発、観光地の旅行情

報の周知、伝達が必要である。この点において、2016 年から観光庁が取組を始めた日本版 DMO(Destination Management / Marketing Organization)が、その役目を担うことができると期待される。

海外文献調査でも、オーランド(米国)、タスマニア(豪州)などで、販促活動や MICE の誘致など、DMOによる取組が、閑散期の需要獲得に大きな役割を果たす事例がみられた。

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

156

② 交通機関における柔軟な価格設定

繁閑の差の大きさは、観光地の中でも、大都市圏の近郊など商圏人口の多い地域と、そうでない地域

や、自家用車や鉄道で比較的安価にアクセスがしやすい地域と、航空機でのアクセスが主となる島嶼部

などの遠隔地といった、観光地の立地による差があることが多い。そのため、特に遠隔地にある観光地の

需要喚起には、交通機関の費用面での施策が欠かせない。 調査対象の交通機関では、割引の取組は行われており、価格を安価にすることで、需要が創出される

ことが明らかになった。ただし、割引は、利用区間、時期・時間帯、客層ごと等、需要量をデータとして把

握し、データ分析に基づいた販売条件の設定を行っているわけではなく、そのようなデータも意識的に収

集していないところもある。そのため、割引による需要喚起の機会を逃すことによる機会損失や、不要な割

引販売による収益減が発生している可能性もある。また、国内旅行に利用される主要交通機関は、公共

性と表裏一体となっており、料金が認可制あるいは届出制のため、柔軟な料金設定には、一定の制約が

ある。さらに、交通機関の特性によって施策は異なり、例えば、高速道路では、観光目的の利用者だけを

対象とする料金設定をするには、商用利用者と区別するためのハード、ソフトの仕組みに課題があった。

本調査では、価格設定の事例の収集にとどまったが、交通機関の価格に関する取組についてはさらなる

考察が必要であると考えられる。

③ 閑散期に対応する宿泊施設の経営力向上のための支援

閑散期の需要喚起のためには、単に値下げをして販売するだけでは、集客や稼働率の上昇には成功

しても、収益性が低下してしまう危険性もある。閑散期は価格面の魅力を訴求しながらも、マーケティング

活動をすること、付加価値の高い商品の販売や、追加消費の増加、消費意欲の高い客層の顧客獲得、

需要量に応じた価格設定などにより、収益の最大化に努める必要がある。そのため、海外文献調査のホ

テル業の事例であったように、主に欧米の宿泊業ではレベニュー・マネジメントと呼ばれる収益管理手法

を導入し、需要予測に基づき、価格を下げるだけでなく、付帯サービスの追加収入を得る、繁忙期には価

格を上げるなどして、年間の収益性の確保を図っている。また、業績指標として、RevPAR(Revenue Per Available Room、販売可能客室 1 室あたりの収益)という、稼働率だけでなく、売上(客室単価)を反映

した業績指標を導入し、収益性を確認しながら、営業や販売促進に取り組んでいる。 また本調査では、宿泊業では、有給休暇の取得日数増加の効果として、売上高の増加や年間、または

閑散期における稼働率が上昇すれば、正規雇用率が上昇する可能性を示したが、一方で、人手不足の

ため、正規雇用者の採用における課題も明らかになった。本調査においては、これらの具体的な対応策

を考えることは、調査の対象外であったものの、宿泊業における人員の確保は、観光需要を拡大していく

上で、大きな課題なることが予想され、国内旅行促進と並行して、そのための対策を考える必要がある。 人口減少、過疎化が進む地方部や、経営資源の限られる小規模施設で特に人手不足の状況は、より

深刻であり、人手不足の要因の一つは、他業種と比較した労働条件にあると考えられる。閑散期の需要

獲得による、年間稼働率の上昇、売上の増加による業績向上に加え、業務の効率化により生産性を高め

ることで、さらに収益性を高め、賃金水準の向上を図ることも求められる。また、旅館においては、従来型

の拘束時間が長いシフト体制を見直し、雇用条件のハードルを下げるなど、これまでの慣例にとらわれず、

採用をしやすくするため取組の検討も必要と思われる。 以上のような宿泊業特有の経営環境への対応は、中小規模の旅館が大半の宿泊業においては、社内

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

157

の経営資源だけでは限界があり、対応する専門家派遣などを含めた経営支援を行う必要があると考えら

れる。

観光需要を受け入れる供給者側(宿泊業、交通機関等)の対応

閑散期の新規需要獲得のために日本版 DMO 等が主体となり、マーケティング活動を強化する。

これにより、地域の関係者が連携し、交通機関を含め、官民一体となって、一過性のイベントに終

わらない継続した取組を実施する。 宿泊業においては、、閑散期に対応するためのレベニュー・マネジメントや、人員確保の取組等

の対応が必要であるが、宿泊業では中小旅館が多数を占めることから、施設単独での経営改善

が困難であると考えられるため、経営力向上のための支援を行う。

図表 6-4-1 本調査によって明らかになった事項

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第6章 有給休暇促進と観光需要平準化に関する考察

158

図表 6-4-2 観光需要平準化に向けた対策

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第7章 参考資料

159

第7章 参考資料

収録資料

7-1 企業等郵送アンケート調査 調査票

7-2 企業等郵送アンケート調査 集計表

7-3 従業員等ネットアンケート調査 調査票

7-4 従業員等ネットアンケート調査 集計表

7-5 宿泊業アンケート調査 調査票

7-6 宿泊業アンケート調査 集計表

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第7章 参考資料

第7章 参考資料 7-1 企業等郵送アンケート調査 調査票

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経済産業省「平成28年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(観光需要平準化に関する調査)」のうち、

「企業、行政機関等における年次有給休暇の取得促進に関する調査」

問1 (企業の回答者のみ) 主たる業種は何ですか。(1つに○)

1.建設業

2.製造業

3.電気・ガス・熱供給・水道業

4.情報通信業

5.運輸業、郵便業

6.卸売業、小売業

7.金融業、保険業

8.不動産業、物品賃貸業

9.学術研究、専門・技術サービス業

10.宿泊業、飲食サービス業

11.生活関連サービス業、娯楽業

12.教育、学習支援業

13.医療、福祉

14.複合サービス業

(郵便局、協同組合等)

15.サービス業

(他に分類されないもの)

16.その他( )

(行政機関等の回答者のみ) 以下のどの機関にあてはまりますか。(1つに○)

17.都道府県庁 18.政令指定都市市役所

19.独立行政法人・国立研究開発法人 20.その他( )

問2 (企業の回答者のみ)直近期の業績(数値を記入)と過去3年間の業績推移を教えてください。(数値をそれぞれ1つに○)

大幅に増加

(15%以上)

増加

(5%以上 15%未満)

ほぼ横ばい

(5%未満の増減)

減少

(5%以上 15%未満)

大幅に減少

(15%以上)

不明

①売上高 百万円 1 2 3 4 5 6

②営業利益 百万円 1 2 3 4 5 6

問3 直近期の従業員・職員規模と、過去3年間の増減推移を教えてください。(それぞれ1つに○)

1.99人以下

2.100~299人

3.300~999人

4.1,000人以上

大幅に増加

(15%以上)

増加

(5%以上 15%未満)

ほぼ横ばい

(5%未満の増減)

減少

(5%以上 15%未満)

大幅に減少

(15%以上)

不明

1 2 3 4 5 6

問4 直近期の正社員・正規職員の状況に関する、下記の指標を教えてください。(数値を記入)

① 全体のうち、正社員・正規職員が占める割合 %

② 正社員・正規職員の入社3年後の平均在籍率 (新規に採用した正社員・正規職員に占める、3年以上勤めている人の割合)

%

問5 正社員・正規職員の所定の休日に曜日を指定していますか。複数のパターンがある場合には代表的なものをお答

えください。(1つに○)

1.土曜、日曜あるいはその両方を指定 2.それ以外の曜日を指定 3.指定していない

問6 正社員・正規職員の代表的な週休制度として、何を採用していますか。(1つに○)

1. 週休1日制又は週休1日半制

2. 完全週休2日制より休日日数が実質的に少ない制度

3. 完全週休2日制

4. 完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度

問7 直近期の正社員・正規職員の年次有給休暇の平均・最高・最低取得率を教えてください。(数値を記入) (年次有給休暇の取得率は、取得資格のある正社員・正規職員の取得した日数÷付与日数で算出。付与日数に、繰越日数は含めないでください)

平均 % 最高 % 最低 %

付問 年次有給休暇の取得率が30%以下だった正社員・正規職員は、全体のうちどれくらいでしたか。(1つに○)

1.2割未満

2.2割以上4割未満

3.4割以上6割未満

4.6割以上8割未満

5.8割以上

6.該当者なし

※月3日、隔週、月2回、月1回の週休2日制の他、

3動1休、4動1休等をいいます

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問8 年次有給休暇取得促進の制度のうち、以下の中から導入しているものがあれば教えてください。(該当すべてに○)

1.半日単位や時間単位での年休取得制度の導入

2.年次有給休暇の計画的な付与制度の導入

3.不測の事態に備えた特別休暇制度の拡充(病気休暇、看護休暇、介護休暇等)

4.長期休暇を可能とするような特別休暇(教育訓練休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇等)

5.年次有給休暇の連続取得を奨励(一定日数以上の休暇にネーミングし、取得を奨励する等)

6.その他( )

7.導入している制度はない

次に、年次有給休暇取得促進の施策と、同時に実施すると効果が高いと考えられる事柄についておたずねします。

年次有給休暇取得促進のための取組は、所定外労働(残業)時間の削減の取組と同時に実施されることが多いため、

回答には、年次有給休暇取得促進を単独の目的とするものだけではなく、所定外労働時間の削減の取組を兼ねてい

るものを含めて構いません。 問9 年次有給休暇取得促進のために、貴法人・団体のトップによる宣言、コミットメントはありましたか。(1つに○)

1.はい 2.いいえ ↓

付問 具体的に、トップによる行動として、以下のうち何が実施されましたか。(該当すべてに○)

1.年次有給休暇取得を促進するという方針の決定

2.年次有給休暇取得の数値目標の設定

3.取得を促進するための施策をいつ、どのように実施するかについての計画の策定

4.組織・人員体制の変更、業務改善の手法等、業務の効率化に関する具体的な指示

5.対外発信媒体(CSR報告書等)で、年次有給休暇取得の促進に関する公表

6.顧客等に対して通知、働きかけの実施による、社外関係者からの休暇への理解獲得

7.計画的な付与制度や特別休暇等の、休暇制度の導入・拡充の指示

8.トップから組織内への呼び掛け等による、取得しやすい雰囲気の醸成

9.取得の促進に向けた管理職、非管理職向けの研修、意識啓発の指示

10.管理職が率先して休暇を取得することの指示

11.管理職の人事評価に、部下の休暇取得達成度等を組み込む等、評価基準の変更の指示

12.その他( ) 問10 年次有給休暇取得促進のために、人員の補充や、人員の維持の取組を行いましたか。(1つに○)

1.はい 2.いいえ ↓

付問 以下のどのような方法で、補充、維持の取組を行いましたか。(該当すべてに○)

1.離職者(出産、育児、その他の理由)の再雇用

2.定年後の再雇用・勤務延長

3.社内人材(正社員・正規職員)の配置転換

4.社内人材(非正社員・非正規職員)の配置転換

5.非正社員の正社員化(非正規職員の正規職員化)

6.正社員・正規職員の新規採用

7.非正社員・非正規職員の新規採用

8.他社、外部からの出向者の受入れ

9.外注・アウトソーシングへの転換

10.その他( )

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問11 年次有給休暇取得促進のために、新たに業務の効率化の取組を行いましたか。(1つに○)

1.はい 2.いいえ ↓

付問 以下のどのような分野で取組を行いましたか。(数値をそれぞれ1つに○)

新たに取組を行なった 新たな取組はしていない

一 部 の部 署 で導入

おおむね全組織で導入

全組織で重点的に導入

① 業務内容の見直しによる、業務プロセスの変更、削減 1 2 3 4

② 組織内部向け業務の削減、圧縮

(組織内部向け資料の削減、会議時間の短縮等)

1 2 3 4

③ 適正な人員の確保・配置による1人当たり業務量の削減 1 2 3 4

④ 組織間、従業員・職員間の業務配分の見直し(人員の偏

在の解消)

1 2 3 4

⑤ 従業員・職員に担当させる業務について、職務分担の明

文化(仕事の与えすぎ、やりすぎの防止)

1 2 3 4

⑥ 仕事を属人化させないための業務マニュアルの整備 1 2 3 4

⑦ 1つの仕事(顧客)を複数人で担当するチーム制 1 2 3 4

⑧ 1人で複数の業務(地域、役割等)を担当する多能工化 1 2 3 4

⑨ 情報の集約化(キャビネットの一元化、顧客の統一した

データベースの作成等)

1 2 3 4

⑩ スケジュールの共有、見える化による業務の計画化 1 2 3 4

⑪ その他( ) 1 2 3 4

問12 年次有給休暇取得促進の取組として、新たに情報通信技術(ICT)の活用を増やしましたか。(1つに○)

1.はい 2.いいえ ↓

付問 以下のどのような分野でICTの活用を行いましたか。(数値をそれぞれ1つに○)

新たに取組を行なった 新たな取組はしていない

一 部 の部 署 で導入

おおむね全組織で導入

全組織で重点的に導入

① 手作業だった業務のデジタル化、自動化 1 2 3 4

② 稟議申請、承認など意思決定のスピード化 1 2 3 4

③ 部署ごとに独立していた業務を、他部署と連動させるこ

とによる、連絡、問い合わせ作業の効率化 (在庫確認、発注管理、経理管理など)

1 2 3 4

④ テレワークによる職場以外での勤務 1 2 3 4

⑤ タブレット、通信端末などにより、職場に立ち寄らずに

報告、取引処理を完了させることによる移動時間の削減

1 2 3 4

⑥ ウェブ会議システムなどによる、出張などの削減 1 2 3 4

⑦ 情報のペーパーレス化などによる、電子共有 1 2 3 4

⑧ 社内掲示板などによる、コミュニケーションの円滑・活発化 1 2 3 4

⑨ その他( ) 1 2 3 4 問13 貴法人・団体では、従業員・職員の人材育成に積極的に取り組んでいますか。(1つに○)

1.取り組んでいる

2.どちらかといえば取り組んでいる

3.どちらかといえば取り組んでいない

4.取り組んでいない

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問14 貴法人・団体の仕事の効率性(従業員・職員の一人当たりの付加価値、労働生産性)を、同じ業種・種類の他法

人・団体と比べた評価はどうですか。(1つに○)

1.高い

2.どちらかといえば高い

3.何とも言えない

4.どちらかといえば低い

5.低い

問15 ここまでに質問した年次有給休暇取得促進の取組の結果、年次有給休暇の取得数は実際に増えましたか。(1

つに○)

1.増えた 2.変わらない(よく分からないを含む)

問16 制度、環境を整えても年次有給休暇が完全に消化されないのは、従業員・職員のどのような心理が影響している

と考えられますか。以下の中から影響が大きいと思う理由を3つまで挙げてください。(3つまでに○)

1. 年次有給休暇の取得が労働者の権利であるとの認識が薄いこと

2. 職場に休暇を取得しにくい雰囲気を感じていること

3. 休むと人事評価が悪くなると考えていること

4. 自分でなければ対応できない仕事があると考えていること

5. 休暇をとることより、成果や業績の方が重要だと考えていること

6. 休まないことが勤勉だという意識があること

7. 休養やレジャー等のために休暇を取得するのは、罪悪感があること

8. その他( )

最後に、一般的に、従業員・職員の中には、「休養やレジャー等のために休暇を取得するのは、罪悪感がある」と考え

る人もいることに関連しておたずねします。

問17 年次有給休暇取得促進の中で、旅行に行くことを支援する取組を行っていますか。(1つに○)

1.はい 2.いいえ ↓

付問 具体的にどのような取組を行っていますか。(該当すべてに○)

1.自社・団体が保有する保養所、運動施設の提供

2.自社・団体が保有する以外の、宿泊施設、旅行の割引の提供

(福利厚生プログラムのアウトソーシングによるものを含む)

3.旅行に行く場合の助成(現金や旅行券など)

4.特別休暇等で、旅行を目的とした制度の導入(カフェテリア休暇等)

5.家族の休みと合わせた時期に取得しやすい制度の導入(学校の休みと合わせた休暇等)

6.交通機関、宿泊施設が混雑する正月、お盆休み等以外の時期に休暇を取得することの推奨

7.その他( )

質問は以上です。大変恐縮ですが、ご回答いただいた内容について、万一確認が必要な場合に備え、差し支え

なければ、ご記入された担当者の方のお名前、お電話番号をお知らせください。

ご記入者 お名前

ご連絡先 お電話番号

内線

ご回答いただき、誠にありがとうございました。

添付の返信用封筒(切手不要)へ入れ、平成 28 年 12 月 22 日(木)までにポストにご投函ください。

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第7章 参考資料

7-2 企業等郵送アンケート調査 集計表

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企業等郵送アンケート調査

Q1 主たる業種・機関は何ですか

業種単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 建設業 16 15.4 8 20.0 7 11.32 製造業 17 16.3 7 17.5 10 16.13 電気・ガス・熱供給・水道業 0 0.0 0 0.0 0 0.04 情報通信業 5 4.8 4 10.0 1 1.65 運輸業、郵便業 3 2.9 3 7.5 0 0.06 卸売業、小売業 25 24.0 9 22.5 15 24.27 金融業、保険業 0 0.0 0 0.0 0 0.08 不動産業、物品賃貸業 5 4.8 1 2.5 4 6.59 学術研究、専門・技術サービス業 1 1.0 1 2.5 0 0.0

10 宿泊業、飲食サービス業 4 3.8 2 5.0 2 3.211 生活関連サービス業、娯楽業 3 2.9 0 0.0 3 4.812 教育、学習支援業 1 1.0 0 0.0 1 1.613 医療、福祉 2 1.9 0 0.0 2 3.214 複合サービス業(郵便局、協同組合等) 0 0.0 0 0.0 0 0.015 サービス業(他に分類されないもの) 6 5.8 2 5.0 4 6.516 その他 2 1.9 1 2.5 1 1.617 都道府県庁 10 9.6 1 2.5 9 14.518 政令指定都市市役所 1 1.0 1 2.5 0 0.019 独立行政法人・国立研究開発法人 3 2.9 0 0.0 3 4.8

総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

12

Q2 (企業の回答者のみ)直近期の業績(数値を記入)と過去3年間の業績推移を教えてください。

(n=90) (n=38) (n=50)

Q2-1(企業の回答者のみ)売上高数値回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 100億円未満 14 15.6 2 5.3 12 242 100億円以上500億円未満 17 18.9 3 7.9 13 263 500億円以上1,000億円未満 11 12.2 6 15.8 5 104 1,000億円以上3,000億円未満 14 15.6 6 15.8 8 165 3,000億円以上1,000,000未満 14 15.6 9 23.7 4 86 1兆円以上 12 13.3 10 26.3 2 47 NA 8 8.9 2 5.3 6 12総計 90 100.0 38 100.0 50 100.0

(n=90) (n=38) (n=50)

Q2-2(企業の回答者のみ)売上高の変化単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 大幅に増加(15%以上) 13 14.4 4 10.5 9 18.02 増加(5%以上15%未満) 23 25.6 12 31.6 10 20.03 ほぼ横ばい(5%未満の増減) 30 33.3 13 34.2 16 32.04 減少(5%以上15%未満) 17 18.9 7 18.4 10 20.05 大幅に減少(15%以上) 5 5.6 1 2.6 4 8.06 NA 2 2.2 1 2.6 1 2.0総計 90 100.0 38 100.0 50 100.0

マーケティング建設コンサルタント

■全体(n=104)

■有給休暇が増加した(n=40)

■変わらなかった(n=62)

16.その他 自由記述

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(n=90) (n=38) (n=50)

Q2-3(企業の回答者のみ)売上高の変化単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 増加 36 40.0 16 42.1 19 0.42 ほぼ横ばい 30 33.3 13 34.2 16 0.33 減少 22 24.4 8 21.1 14 0.34 NA 2 2.2 1 2.6 1 0.0総計 90 100.0 38 100.0 50 100.0

(n=90) (n=38) (n=50)

Q2-4(企業の回答者のみ)営業利益数値回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 営業赤字 7 7.8 3 7.9 4 8.02 0円以上10億円未満 18 20.0 3 7.9 15 30.03 10億円以上30億円未満 20 22.2 5 13.2 14 28.04 30億円以上100億円未満 17 18.9 12 31.6 5 10.05 100億円以上1,000億円未満 13 14.4 7 18.4 5 10.06 1,000億円以上 7 7.8 6 15.8 1 2.07 NA 8 8.9 2 5.3 6 12.0総計 90 100.0 38 100.0 50 100.0

(n=90) (n=38) (n=50)

Q2-5(企業の回答者のみ)営業利益の変化単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 大幅に増加(15%以上) 31 34.4 12 31.6 17 34.02 増加(5%以上15%未満) 19 21.1 10 26.3 9 18.03 ほぼ横ばい(5%未満の増減) 13 14.4 5 13.2 8 16.04 減少(5%以上15%未満) 8 8.9 0 0.0 8 16.05 大幅に減少(15%以上) 15 16.7 8 21.1 7 14.06 NA 4 4.4 3 7.9 1 2.0総計 90 100.0 38 100.0 50 100.0

(n=90) (n=38) (n=50)

Q2-6(企業の回答者のみ)営業利益の変化単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 増加 50 55.6 22 57.9 26 52.02 ほぼ横ばい 13 14.4 5 13.2 8 16.03 減少 23 25.6 8 21.1 15 30.04 NA 4 4.4 3 7.9 1 2.0総計 90 100.0 38 100.0 50 100.0

(n=90) (n=38) (n=50)

Q2-7(企業の回答者のみ)営業利益率数値回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 マイナス 7 7.8 3 7.9 4 8.02 0%以上2%未満 17 18.9 8 21.1 9 18.03 2%以上4%未満 12 13.3 2 5.3 9 18.04 4%以上6%未満 15 16.7 8 21.1 6 12.05 6%以上8%未満 11 12.2 4 10.5 7 14.04 8%以上10%未満 10 11.1 6 15.8 4 8.05 10%以上 10 11.1 5 13.2 5 10.06 NA 8 8.9 2 5.3 6 12.0総計 90 100.0 38 100.0 50 100.0

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Q3 直近期の従業員・職員規模と、過去3年間の増減推移を教えてください。(n=104) (n=40) (n=62)

Q3-1従業員数単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 99人以下 13 12.5 3 7.5 10 16.12 100~299人 6 6.7 0 0.0 6 9.73 300~999人 13 14.4 5 12.5 8 12.94 1,000人以上 59 14.4 28 70.0 30 48.45 NA 13 65.6 4 10.0 8 12.9総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

(n=104) (n=40) (n=62)

Q3-2従業員数の変化単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 大幅に増加(15%以上) 4 3.8 1 2.5 3 4.82 増加(5%以上15%未満) 17 16.3 8 20.0 9 14.53 ほぼ横ばい(5%未満の増減) 77 74.0 28 70.0 47 75.84 減少(5%以上15%未満) 3 2.9 1 2.5 2 3.25 大幅に減少(15%以上) 0 0.0 0 0.0 0 0.06 NA 3 2.9 2 5.0 1 1.6総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

Q4 直近期の正社員・正規職員の状況に関する、下記の指標を教えてください。(数値を記入)(n=104) (n=40) (n=62)

正社員比率数値回答

1 10%未満 2 1.9 0 0.0 2 3.22 10%以上20%未満 8 7.7 3 7.5 5 8.13 20%以上30%未満 3 2.9 1 2.5 2 3.24 30%以上40%未満 5 4.8 0 0.0 4 6.55 40%以上50%未満 3 2.9 2 5.0 1 1.66 50%以上60%未満 2 1.9 1 2.5 1 1.67 60%以上70%未満 6 5.8 1 2.5 5 8.18 70%以上80%未満 9 8.7 4 10.0 5 8.19 80%以上90%未満 29 27.9 13 32.5 15 24.2

10 90%以上100%未満 25 24.0 13 32.5 12 19.411 100% 5 4.8 1 2.5 4 6.512 NA 7 6.7 1 2.5 6 9.7

総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0(n=104) (n=40) (n=62)

平均在籍率数値回答

1 10%未満 1 1.0 0 0.0 1 1.62 10%以上20%未満 2 1.9 1 2.5 1 1.63 20%以上30%未満 2 1.9 0 0.0 1 1.64 30%以上40%未満 2 1.9 1 2.5 1 1.65 40%以上50%未満 1 1.0 0 0.0 1 1.66 50%以上60%未満 2 1.9 0 0.0 2 3.27 60%以上70%未満 5 4.8 2 5.0 3 4.88 70%以上80%未満 10 9.6 5 12.5 5 8.19 80%以上90%未満 26 25.0 12 30.0 13 21.0

10 90%以上100%未満 29 27.9 16 40.0 13 21.011 100% 8 7.7 1 2.5 7 11.312 NA 16 15.4 2 5.0 14 22.6

総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

Q4-1回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q4-2回答数 % 回答数 % 回答数 %

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Q5お答えください。 (n=104) (n=40) (n=62)

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 土曜、日曜あるいはその両方を指定 88 84.6 35 87.5 51 82.32 それ以外の曜日を指定 5 4.8 1 2.5 4 6.53 指定していない 11 10.6 4 10.0 7 11.3総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

Q6 正社員・正規職員の代表的な週休制度として、何を採用していますか。

(n=104) (n=40) (n=62)

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 週休1日制又は週休1日半制 1 1.0 0 0.0 1 1.62 完全週休2日制より少ない制度 13 12.5 3 7.5 9 14.53 完全週休2日制 63 60.6 26 65.0 36 58.14 完全週休2日制より多い制度 27 26.0 11 27.5 16 25.8総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

Q7

付与日数に、繰越日数は含めないでください(n=104) (n=40) (n=62)有給休暇 平均取得率数値回答

1 10%未満 4 3.8 0 0.0 4 6.52 10%以上20%未満 5 4.8 2 5.0 2 3.23 20%以上30%未満 9 8.7 2 5.0 6 9.74 30%以上40%未満 16 15.4 5 12.5 11 17.75 40%以上50%未満 17 16.3 7 17.5 10 16.16 50%以上60%未満 20 19.2 12 30.0 8 12.97 60%以上70%未満 16 15.4 7 17.5 9 14.58 70%以上80%未満 6 5.8 3 7.5 3 4.89 80%以上90%未満 3 2.9 2 5.0 1 1.6

10 NA 8 7.7 0 0.0 8 12.9総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0平均 46.8 52.4 43.6

(n=104) (n=40) (n=62)有給休暇 最高取得率数値回答

1 10%未満 0 0.0 0 0.0 0 0.02 10%以上20%未満 1 1.0 0 0.0 1 1.63 20%以上30%未満 1 1.0 0 0.0 0 0.04 30%以上40%未満 0 0.0 0 0.0 0 0.05 40%以上50%未満 2 1.9 0 0.0 2 3.26 50%以上60%未満 1 1.0 0 0.0 1 1.67 60%以上70%未満 1 1.0 0 0.0 1 1.68 70%以上80%未満 2 1.9 0 0.0 2 3.29 80%以上90%未満 0 0.0 0 0.0 0 0.0

10 90%以上100% 3 2.9 2 5.0 1 1.611 100% 68 65.4 29 72.5 38 61.312 100%超 9 8.7 4 10.0 5 8.113 NA 16 15.4 5 12.5 11 17.7

総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

直近期の正社員・正規職員の年次有給休暇の平均・最高・最低取得率を教えてください。(年次有給休暇の取得率は、取得資格のある正社員・正規職員の取得した日数÷付与日数で算出。

%

Q7-1-2回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q7-1-1回答数 % 回答数 % 回答数

正社員・正規職員の所定の休日に曜日を指定していますか。複数のパターンがある場合には代表的なものを

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(n=104) (n=40) (n=62)有給休暇 最低取得率数値回答

1 0% 60 57.7 21 52.5 37 59.72 10%未満 11 10.6 6 15.0 5 8.13 10%以上20%未満 10 9.6 5 12.5 5 8.14 20%以上30%未満 5 4.8 2 5.0 3 4.85 30%以上40%未満 0 0.0 0 0.0 0 0.06 40%以上50%未満 1 1.0 1 2.5 0 0.07 50%以上60%未満 1 1.0 0 0.0 1 1.68 60%以上70%未満 0 0.0 0 0.0 0 0.09 70%以上80%未満 1 1.0 0 0.0 1 1.6

10 NA 15 14.4 5 12.5 10 16.1総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

(n=104) (n=40) (n=62)

年次有給休暇の取得率が30%以下だった正社員・正規職員は、全体のうちどれくらいでしたか。

単一回答1 2割未満 20 19.2 9 22.5 11 17.72 2割以上4割未満 17 16.3 8 20.0 9 14.53 4割以上6割未満 15 14.4 6 15.0 9 14.54 6割以上8割未満 14 13.5 3 7.5 9 14.55 8割以上 10 9.6 1 2.5 9 14.56 該当者なし 3 2.9 2 5.0 1 1.67 NA 25 24.0 11 27.5 14 22.6総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

Q8 年次有給休暇取得促進の制度のうち、以下の中から導入しているものがあれば教えてください。(n=104) (n=40) (n=62)

複数回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 部分取得 83 79.8 38 95.0 44 71.02 計画的付与 43 41.3 24 60.0 19 30.63 特別休暇拡充 78 75.0 33 82.5 44 71.04 長期休暇 59 56.7 26 65.0 31 50.05 連続取得促進 36 34.6 23 57.5 13 21.06 その他 7 6.7 1 2.5 6 9.77 導入なし 7 6.7 0 0.0 7 11.3

6.その他 自由記述12

3

456

年休に「アニバーサリー休暇」「子ども休暇」等の名称でも使用できるようにし、取得を奨励(「スマートホリディ」制度)

外勤(作業所勤務)社員に対して特別休暇を付与時間外労働時間を代休取得の権利に変換する制度あり

% 回答数 % 回答数

有休奨励日の設定夏季(7-9月)有給休暇取得推進活動連続5労働日、合計10日を目標に全社員が取得積立保険休暇制度

%

Q7-2

回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q7-1-3回答数

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Q9 年次有給休暇取得促進のために、貴法人・団体のトップによる宣言、コミットメントはありましたか。(n=104) (n=40) (n=62)

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 ある 58 55.8 31 77.5 26 41.92 ない 46 44.2 9 22.5 36 58.1総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

以下、「取組ある」回答者のみ (n=58) (n=31) (n=26)

コミットメントの内容

複数回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 有給休暇取得を促進するという方針の決定 31 53.4 22 71.0 9 34.6

2 有給休暇取得の数値目標の設定 28 48.3 21 67.7 7 26.9

3 施策の計画策定 9 15.5 8 25.8 1 3.8

4 人員体制、業務改善等、業務の効率化の指示

15 25.9 8 25.8 7 26.9

5 対外発信媒体(CSR報告書等)での公表 7 12.1 6 19.4 1 3.8

6 顧客など社外関係者からの休暇への理解獲得

1 1.7 1 3.2 0 0.0

7 休暇制度の導入・拡充の指示 16 31.0 13 41.9 5 19.2

8 取得しやすい雰囲気の醸成 35 60.3 18 58.1 16 61.5

9 管理職、非管理職向けの研修、意識啓発の指示

12 27.6 8 25.8 4 15.4

10 管理職が率先して休暇を取得 14 24.1 10 32.3 4 15.4

11 休暇取得の評価制度への反映 3 5.2 1 3.2 2 7.7

12 その他 2 3.4 2 6.5 0 0.0

1

2

Q10 年次有給休暇取得促進のために、人員の補充や、人員の維持の取組を行いましたか。(n=104) (n=40) (n=62)

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 1.ある 38 36.5 20 50.0 18 29.02 2.ない 66 63.5 20 50.0 44 71.0総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

以下、「取組ある」回答者のみ (n=38) (n=20) (n=18)

以下のどのような方法で、補充、維持の取組を行いましたか。

複数回答1 離職者再雇用 12 31.6 8 40.0 4 22.22 定年延長 26 68.4 14 70.0 12 66.73 正社員配置転換 14 36.8 7 35.0 7 38.94 非正社員配置転換 7 18.4 5 25.0 2 11.15 正社員化 16 42.1 11 55.0 5 27.86 正社員新規雇用 28 73.7 14 70.0 14 77.87 非正社員新規雇用 28 73.7 13 65.0 15 83.38 出向者活用 8 21.1 4 20.0 4 22.29 アウトソーシング 17 44.7 9 45.0 8 44.4

10 その他 0 0.0 0 0.0 0 0.0

Q9-1

賞与算定における事務所評価の評価項目にホームホリデー取得率を取り入れている(四半期に1日取得することを義務付けている)全国知事会において、全都道府県知事が共同でイクボス宣言を実施したことに伴い、働きやすい職場環境づくりの取組について今後検討。

%

Q10-1

12.その他 自由記述

回答数 % 回答数 % 回答数

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Q11 年次有給休暇取得促進のために、新たに業務の効率化の取組を行いましたか。(n=104) (n=40) (n=62)

単一回答1 ある 60 57.7 30 75.0 29 46.82 ない 44 42.3 10 25.0 33 53.2総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

以下、「取組ある」回答者のみ (n=60) (n=30) (n=29)取組①業務プロセスの変更、削減単一回答

1 取組あり:一部の部署 19 31.7 11 36.7 7 24.12 取組あり:おおむね全組織 19 31.7 10 33.3 9 31.03 取組あり:全組織で重点的に導入 10 16.7 5 16.7 5 17.24 取組なし 9 15.0 3 10.0 6 20.75 NA 3 5.0 1 3.3 2 6.9総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

(n=60) (n=30) (n=29)取組②組織内部向け業務の削減、圧縮単一回答

1 取組あり:一部の部署 15 25.0 8 26.7 6 20.72 取組あり:おおむね全組織 16 26.7 9 30.0 7 24.13 取組あり:全組織で重点的に導入 11 18.3 6 20.0 5 17.24 取組なし 12 20.0 4 13.3 8 27.65 NA 6 10.0 3 10.0 3 10.3総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

(n=60) (n=30) (n=29)取組③1人当たり業務量の削減単一回答

1 取組あり:一部の部署 20 33.3 11 36.7 8 27.62 取組あり:おおむね全組織 11 18.3 6 20.0 5 17.23 取組あり:全組織で重点的に導入 6 10.0 3 10.0 3 10.34 取組なし 19 31.7 8 26.7 11 37.95 NA 4 6.7 2 6.7 2 6.9総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

(n=60) (n=30) (n=29)

取組④組織間業務配分改善(人員の偏在の解消)

単一回答1 取組あり:一部の部署 21 33.9 12 40.0 8 27.62 取組あり:おおむね全組織 15 24.2 9 30.0 6 20.73 取組あり:全組織で重点的に導入 6 9.7 2 6.7 4 13.84 取組なし 16 26.7 7 23.3 9 31.05 NA 2 3.2 0 0.0 2 6.9総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

(n=60) (n=30) (n=29)取組⑤業務明文化(与えすぎ、やりすぎの防止)単一回答

1 取組あり:一部の部署 16 26.7 8 26.7 7 24.12 取組あり:おおむね全組織 12 19.4 6 20.0 6 20.73 取組あり:全組織で重点的に導入 9 14.5 5 16.7 4 13.84 取組なし 18 29.0 9 30.0 9 31.05 NA 5 8.1 2 6.7 3 10.3総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

%

Q11-3回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q11-5回答数 % 回答数 % 回答数 %

回答数 % 回答数 % 回答数

Q11-4

回答数 % 回答数 % 回答数

回答数 % 回答数 % 回答数 %

%

Q11-2回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q11-1

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(n=60) (n=30) (n=29)取組⑥属人化を防ぐ業務マニュアルの整備単一回答

1 取組あり:一部の部署 24 40.0 12 40.0 11 37.92 取組あり:おおむね全組織 12 20.0 7 23.3 5 17.23 取組あり:全組織で重点的に導入 5 8.3 2 6.7 3 10.34 取組なし 16 26.7 8 26.7 8 27.65 NA 3 5.0 1 3.3 2 6.9総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

(n=60) (n=30) (n=29)取組⑦複数人で担当するチーム制単一回答

1 取組あり:一部の部署 25 41.7 14 46.7 10 34.52 取組あり:おおむね全組織 12 20.0 5 16.7 7 24.13 取組あり:全組織で重点的に導入 1 1.7 1 3.3 0 0.04 取組なし 18 30.0 9 30.0 9 31.05 NA 4 6.7 1 3.3 3 10.3総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

(n=60) (n=30) (n=29)取組⑧1人が複数の業務を担当する多能工化単一回答

1 取組あり:一部の部署 25 41.7 14 46.7 10 34.52 取組あり:おおむね全組織 8 13.3 3 10.0 5 17.23 取組あり:全組織で重点的に導入 2 3.3 1 3.3 1 3.44 取組なし 22 36.7 11 36.7 11 37.95 NA 3 5.0 1 3.3 2 6.9総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

(n=60) (n=30) (n=29)取組⑨情報の集約化(キャビネットの一元化等)単一回答

1 取組あり:一部の部署 17 28.3 6 20.0 10 34.52 取組あり:おおむね全組織 14 23.3 7 23.3 7 24.13 取組あり:全組織で重点的に導入 7 11.7 5 16.7 2 6.94 取組なし 18 30.0 11 36.7 7 24.15 NA 4 6.7 1 3.3 3 10.3総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

(n=60) (n=30) (n=29)取組⑩スケジュールの見える化、業務の計画化単一回答

1 取組あり:一部の部署 10 16.7 3 10.0 6 20.72 取組あり:おおむね全組織 21 35.0 12 40.0 9 31.03 取組あり:全組織で重点的に導入 16 26.7 10 33.3 6 20.74 取組なし 9 15.0 5 16.7 4 13.85 NA 4 6.7 0 0.0 4 13.8総計 60 100.0 30 100.0 29 100.0

Q11-10回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q11-9回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q11-8回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q11-7回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q11-6回答数 % 回答数 % 回答数 %

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Q12 年次有給休暇取得促進の取組として、新たに情報通信技術(ICT)の活用を増やしましたか。

(n=104) (n=40) (n=62)

単一回答1 増加した 50 48.1 27 67.5 22 35.52 増加していない 54 51.9 13 32.5 40 64.5総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

以下、「ICT化ある」回答者のみ (n=50) (n=27) (n=22)取組①手作業のデジタル化、自動化単一回答

1 取組あり:一部の部署 15 30.0 9 33.3 5 22.72 取組あり:おおむね全組織 17 34.0 7 25.9 10 45.53 取組あり:全組織で重点的に導入 9 18.0 9 33.3 0 0.04 取組なし 7 14.0 1 3.7 6 27.35 NA 2 4.0 1 3.7 1 4.5総計 50 100.0 27 100.0 22 100.0

(n=50) (n=27) (n=22)取組②意思決定のスピード化単一回答

1 取組あり:一部の部署 6 12.0 3 11.1 3 13.62 取組あり:おおむね全組織 14 23.3 10 37.0 4 18.23 取組あり:全組織で重点的に導入 11 18.3 6 22.2 4 18.24 取組なし 15 25.0 6 22.2 9 40.95 NA 4 6.7 2 7.4 2 9.1総計 50 100.0 27 100.0 22 100.0

(n=50) (n=27) (n=22)取組③他部署との業務連動単一回答

1 取組あり:一部の部署 15 30.0 10 37.0 4 18.22 取組あり:おおむね全組織 10 20.0 4 14.8 6 27.33 取組あり:全組織で重点的に導入 4 8.0 4 14.8 0 0.04 取組なし 17 34.0 7 25.9 10 45.55 NA 4 8.0 2 7.4 2 9.1総計 50 100.0 27 100.0 22 100.0

(n=50) (n=27) (n=22)取組④テレワーク単一回答

1 取組あり:一部の部署 11 22.0 7 25.9 3 13.62 取組あり:おおむね全組織 3 6.0 3 11.1 0 0.03 取組あり:全組織で重点的に導入 4 8.0 2 7.4 2 9.14 取組なし 26 52.0 12 44.4 14 63.65 NA 6 12.0 3 11.1 3 13.6総計 50 100.0 27 100.0 22 100.0

(n=50) (n=27) (n=22)取組⑤通信端末等による移動時間の削減単一回答

1 取組あり:一部の部署 16 32.0 10 37.0 6 27.32 取組あり:おおむね全組織 10 20.0 5 18.5 5 22.73 取組あり:全組織で重点的に導入 9 18.0 8 29.6 0 0.04 取組なし 12 24.0 3 11.1 9 40.95 NA 3 6.0 1 3.7 2 9.1総計 50 100.0 27 100.0 22 100.0

Q12-5回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q12-4回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q12-3回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q12-2回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q12-1回答数 % 回答数 % 回答数 %

回答数 % 回答数 % 回答数 %

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(n=50) (n=27) (n=22)取組⑥ウェブ会議等による出張などの削減単一回答

1 取組あり:一部の部署 7 14.0 4 14.8 3 13.62 取組あり:おおむね全組織 16 32.0 9 33.3 7 31.83 取組あり:全組織で重点的に導入 15 30.0 8 29.6 6 27.34 取組なし 8 16.0 4 14.8 4 18.25 NA 4 8.0 2 7.4 2 9.1総計 50 100.0 27 100.0 22 100.0

(n=50) (n=27) (n=22)取組⑦情報のペーパーレス化単一回答

1 取組あり:一部の部署 12 24.0 6 22.2 5 22.72 取組あり:おおむね全組織 16 32.0 10 37.0 6 27.33 取組あり:全組織で重点的に導入 10 20.0 7 25.9 3 13.64 取組なし 8 16.0 2 7.4 6 27.35 NA 4 8.0 2 7.4 2 9.1総計 50 100.0 27 100.0 22 100.0

(n=50) (n=27) (n=22)取組⑧社内掲示板等のコミュニケーションの円滑化単一回答

1 取組あり:一部の部署 6 12.0 4 14.8 2 9.12 取組あり:おおむね全組織 11 22.0 4 14.8 7 31.83 取組あり:全組織で重点的に導入 20 40.0 12 44.4 7 31.84 取組なし 8 16.0 5 18.5 3 13.65 NA 5 10.0 2 7.4 3 13.6総計 50 100.0 27 100.0 22 100.0

Q13 貴法人・団体では、従業員・職員の人材育成に積極的に取り組んでいますか。(n=104) (n=40) (n=62)

単一回答1 取り組んでいる 71 68.3 33 82.5 37 59.72 どちらかといえば取り組んでいる 22 21.2 6 15.0 15 24.23 どちらかといえば取り組んでいない 6 5.8 1 2.5 5 8.14 取り組んでいない 2 1.9 0 0.0 2 3.25 NA 3 2.9 0 0.0 3 4.8総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

Q14他法人・団体と比べた評価はどうですか。 (n=104) (n=40) (n=62)

単一回答1 高い 6 5.8 3 7.5 3 4.82 どちらかといえば高い 12 11.5 6 15.0 6 9.73 何とも言えない 75 72.1 29 72.5 45 72.64 どちらかといえば低い 9 8.7 1 2.5 7 11.35 低い 2 1.9 1 2.5 1 1.6総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

貴法人・団体の仕事の効率性(従業員・職員の一人当たりの付加価値、労働生産性)を、同じ業種・種類の

%回答数 % 回答数 % 回答数

回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q12-8回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q12-7回答数 % 回答数 % 回答数 %

Q12-6回答数 % 回答数 % 回答数 %

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Q15(n=104) (n=40) (n=62)

単一回答1 増加した 40 38.5 40 100.0 0 0.02 変わらない 62 59.6 0 0.0 62 100.03 NA 2 1.9 0 0.0 0 0.0総計 104 100.0 40 100.0 62 100.0

Q16

(n=104) (n=40) (n=62)

複数回答(3つまで)1 権利意識が希薄である 15 14.4 4 10.0 11 17.72 職場に取得しにくい雰囲気がある 46 44.2 14 35.0 31 50.03 休みが評価に影響すると考えている 3 2.9 1 2.5 2 3.24 仕事を抱え込んでいる 74 71.2 30 75.0 43 69.45 休暇より仕事を優先する 34 32.7 18 45.0 16 25.86 休まないことが勤勉だと考えている 37 35.6 16 40.0 20 32.37 休養等で休暇を取得するのに罪悪感がある 14 13.5 5 12.5 9 14.58 その他 10 9.6 4 10.0 6 9.7

123 業務量が多い4 業務量が多いと感じている5 個人の考え方による6 時間外労働の代休取得が優先されている7 多忙8 1人1人に課せられる業務が多く有休を取得できるような環境ではない

Q17 年次有給休暇取得促進の中で、旅行に行くことを支援する取組を行っていますか。(n=104) (n=39) (n=55)

単一回答1 ある 38 36.5 22 56.4 16 29.12 ない 58 55.8 17 43.6 39 70.93 NA 8 7.7 0 0.0 0 0.0総計 104 100.0 39 100.0 55 100.0

以下、「取組ある」回答者のみ (n=38) (n=22) (n=16)具体的にどのような取組を行っていますか。(該当すべてに○)旅行の支援内容

複数回答1 保養所、運動施設の提供 15 39.5 10 45.5 5 31.32 宿泊施設、旅行の割引の提供 25 65.8 14 63.6 11 68.83 旅行に行く場合の助成(現金や旅行券など) 9 23.7 5 22.7 4 25.04 旅行を目的とした制度の導入(カフェテリア休暇等)

3 7.9 3 13.6 0 0.0

5 家族休暇と同時期の休暇 3 7.9 2 9.1 1 6.36 閑散期に休暇を取得することの推奨 5 13.2 3 13.6 2 12.57 その他 3 7.9 2 9.1 2 12.5

123

8.その他 自由記述

ここまでに質問した年次有給休暇取得促進の取組の結果、年次有給休暇の取得数は実際に増えましたか。

制度、環境を整えても年次有給休暇が完全に消化されないのは、従業員・職員のどのような心理が影響していると考えられますか。以下の中から影響が大きいと思う理由を3つまで挙げてください。

%

回答数 % 回答数 %

%

管理職層の取得率の低さ、不測の事態に備えて残している休んでもする事がないので会社に来たいという声がある。(≒5)

Q17-1

回答数 % 回答数 % 回答数

回答数 %

% 回答数 % 回答数

回答数 % 回答数 % 回答数 %

回答数

リフレッシュ休暇年休をレジャー等に使うことを奨励するチラシを作成している。

「スマートホリディ」休暇に「自分磨き休暇」として趣味、旅行等での取得を奨励7.その他 自由記述

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第7章 参考資料

7-3 従業員等ネットアンケート調査 調査票

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現在の回答状況 0%           

Q 1 あなたの勤務先の業種を教えてください。

建設業

製造業

電気・ガス・熱供給・水道業

情報通信業

運輸業、郵便業

卸売業、小売業

金融業、保険業

不動産業、物品賃貸業

学術研究、専門・技術サービス業

宿泊業、飲食サービス業

生活関連サービス業、娯楽業

教育、学習支援業

医療、福祉

複合サービス業(郵便局、協同組合等)

サービス業(他に分類されないもの)

行政機関(国、地方自治体、独立行政法人等)

その他

 

 

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現在の回答状況 3%           

Q 2あなたの勤務先の従業員数(正社員、非正規社員の合計)を教えてください。 はっきりわからない場合には、大体近いと思われるものをお選びください。

1,000人以上

300~999人

100~299人

99人以下

わからない

 

 

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現在の回答状況 7%           

Q 3 あなたご自身の業務の種類を教えてください。

総務・人事・経理等

一般事務・受付・秘書

営業・販売

接客サービス

調査分析・特許法務などの事務系専門職

研究開発・設計・SEなどの技術系専門職

医療・教育関係の専門職

現場の管理・監督

製造・建設の作業

輸送・運転

警備・清掃

その他

 

 

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現在の回答状況 11%           

Q 4あなたの勤務先では、1週間のうち以下のどれが休みになっていますか。 半日のみの休みも含めて構いません。あてはまるものをいくつでもお選びください。

日曜日

月曜日

火曜日

水曜日

木曜日

金曜日

土曜日

曜日は不定で週1日、1日半休み

曜日は不定で週2日休み

曜日は不定で週3日以上休み

1週間に何日という取り決めではなく休みが設定されている

 

 

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現在の回答状況 14%           

Q 5

あなたが、勤務先から与えられた昨年度1年間の有給休暇は何日でしたか。 ※昨年度とは、勤務先の年度が完了した1年を指します。 (例:勤務先が4~翌3月が事業年度の場合は、2015年4月~2016年3月のように、1年間が完全に終わった期間について記入してください) ※有給休暇の繰越制度によって繰越があった場合でも、繰越日数は含まず、新しく付与した日数を記載してください ※特別休暇(介護休暇などの目的が決まっている休暇、取得が期間限定の夏季休暇を除きます)

昨年度の有給休暇日数はわからない。あるいは忘れてしまった。

 

 

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現在の回答状況 18%           

Q 6 あなたは、昨年度、有給休暇を何日取得しましたか。

昨年度の有給休暇を取得した日数はわからない。あるいは忘れてしまった。

 

 

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現在の回答状況 22%           

Q 7 昨年度、あなたが、会社のお休みや国民の祝日を合わせて取った一番長い休みは何日でしたか。

2連休 3連休 4連休

5連休 6連休 7連休

8連休 9連休 10連休以上

連休は取っていない

 

 

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現在の回答状況 25%           

Q 8 以下の休暇に関する制度で、あなたの職場で整備されているものを教えてください。(いくつでも)

半日単位や時間単位で有給休暇を取得できる制度

年度初めに、有給休暇の取得時期をあらかじめ計画しておく制度

不足の事態に備えた特別休暇制度(病気休暇、看護休暇、介護休暇等)

有給休暇以外に、年末年始や夏季など、時期を指定して休暇が取得できる制度

記念日や特定の目的で取得できる特別休暇制度(誕生日休暇、授業参観休暇等)

長期休暇がとりやすい特別休暇制度(リフレッシュ休暇、ボランティア休暇等)

年次有給休暇を連続して取得することを奨励する制度

取得できなかった年次有給休暇の一部(あるいは全部)を翌年に繰越できる制度

以上の中で整備されている制度はない

 

 

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現在の回答状況 29%           

Q 9 あなたの職場では、希望するときにいつでも有給休暇が取れますか。

はい いいえ どちらともいえない

 

 

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現在の回答状況 33%           

Q 10 有給休暇取得に関して、あなたの職場の状況にあてはまるものをいくつでもお選びください。(いくつでも)

会社の幹部が、有給休暇の取得促進を宣言している

仕事が効率的にはかどるように、業務内容の見直しやICTの活用を行っている

誰かが休んでも影響が少ないように、他の人が代わりに仕事ができる体制がある

誰がいつ休むのかについて、あらかじめ計画を立てたり、スケジュールがわかる体制がある

上司や、役職者が積極的に有給休暇を取得している

職場に、有給休暇の取得の日数や、取得率の目標がある

上記の状況にあてはまるものはない

 

 

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現在の回答状況 37%           

Q 11 同じ職場の人と比較したときに、あなたは有給休暇を多く取っている方だと思いますか。

職場の人よりかなり多い

やや多い

同じ程度

やや少ない

少ない

 

 

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現在の回答状況 40%           

Q 12 同じ職場の人と比較したときに、あなたは仕事のやり方が効率が良い方だと思いますか。

職場の人よりかなり良い

やや良い

同じ程度

やや良くない

良くない

 

 

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現在の回答状況 44%           

Q 13 あなたは、職場で自分自身の能力が発揮できていると思いますか。

十分発揮できている

どちらかといえば発揮できている

職場の他の人と同じ程度である

どちらかといえば発揮できていない

ほとんど発揮できていない

 

 

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現在の回答状況 48%           

Q 14以下の仕事のやり方について、あなたはどのように考えますか。 それぞれについてあなたの考えに近いものを教えてください。(それぞれあてはまるもの1つずつ)

  自分の状況に当てはまる

どちらかといえば当てはまる

どちらかといえば当てはまらない

自分の状況に当てはまらない

効率の良い仕事の進め方がないかいつも工夫する

定時までに仕事が終わるように、計画を立てたり、時間の使い方を工夫する

自分の仕事が終わったら、他の人が残業していても帰る

仕事は丁寧であればあるほど良いと考えている

今日残業すると仕事のきりが良いところまで終わるなら、翌日に延ばさず今日やる

仕事のスケジュールは、なるべく顧客や関係者の都合を優先する

 

 

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現在の回答状況 51%           

Q 15以下の休暇に対する考え方について、あなたはどのように考えますか。 それぞれについてあなたの考えに近いものを教えてください。(それぞれあてはまるもの1つずつ)

  そう思う

どちらかといえばそう思う

どちらかといえばそう思わない

そう思わない

有給休暇を取得することは労働者の権利である

職場は、有給休暇が取得しにくい雰囲気である

休暇をたくさん取得すると、人事評価が悪くなると思う

自分でなければできない仕事があるので、休暇を取得すると周りに迷惑がかかる

休暇を取ることより、仕事の成果や会社の業績の方が重要である

なるべく休まずに働くことが勤勉さだと思う

職場の人が働いている日に休んで、旅行やレジャーに行くことに罪悪感がある

 

 

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現在の回答状況 55%           

Q 16 あなたは、有給休暇を取得した後に、仕事に対する集中力ややる気が上がると感じますか。

とても上がる

少し上がる

いつもと変わらない(わからないを含む)

 

 

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現在の回答状況 59%           

Q 17 あなたは、有給休暇を取得した後に、仕事の効率が上がると思いますか。

とても仕事がはかどる    (例えば、いつもより1割ほど早く仕事が終えられる、いつもより難易度が高い業務ができるなど)

少し仕事がはかどる     (例えば、時間はわずかだが、いつもよりは短くなると感じる、いつもより難易度が高い業務に取り組みやすくなるなど)

いつもと変わらない(わからないを含む)

 

 

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現在の回答状況 62%           

Q 18 以下の有給休暇の使い方のうち、あなたにとって最も優先順位が高い使い方を教えてください。

年末年始、お盆、ゴールデンウィークなどの時期に、より長く休むために使う

普段の休日や祝日と組み合わせて、より長く休むために使う

休日や祝日とは関係なく、有給休暇を2日以上まとめて使う

休日や祝日とは関係なく、1日(あるいは時間単位)で使う

 

 

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現在の回答状況 66%       現在、政府では『明日の日本を支える観光ビジョン』を策定し、2020年までに年次有給休暇の取得率向上を目標に掲げ、働き方・休み方改革を推進し、有給休暇取得家族が休暇をとりやすい制度の導入や、経済界とも連携して、有給休暇取得の促進を図っています。 

Q 19

あなたは、もし年間の有給休暇の日数が、今よりも1年で3日分増えるとしたら、 その有給休暇をどんなことに使うと思いますか。 以下の中からあてはまるものをいくつでもお答えください。 ※規定の有給休暇を全て消化している方は、付与される有給休暇が3日分増加する場合を、 規定の有給休暇を消化しきれていない方は、現在よりも、有給休暇を取得しやすい環境になって、3日多く休暇がとれることを想定してください。 ※この増加する有給休暇について、あなたが自由に取得できるものとして、考えてください。 (取得する時期や曜日、日にち、連続して取得するか、1日ごとに取得するかなどの条件は特にないものと想定してください)

国内旅行(1泊以上)

国内旅行(日帰り)

海外旅行

旅行以外のレジャー(趣味やスポーツなど)

自宅で休養、近隣での買い物・食事など、日常的な活動

家事・育児・介護など、家族のための時間

通院、入院、人間ドックなど自身の健康維持

上記以外の用事

取得できたとしても、これ以上、有給休暇を取得するつもりはない

 

 

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現在の回答状況 70%       Q19で「国内旅行(1泊以上)」を選択した方におたずねします。 

Q 20

年間の有給休暇の日数が3日分増えるとしたら、そのうち何日分を「国内旅行(1泊以上)」に使うと思いますか。 ※この増加する有給休暇について、あなたが自由に取得できるものとして、考えてください。 (取得する時期や曜日、日にち、連続して取得するか、1日ごとに取得するかなどの条件は特にないものと想定してください)

3日分全て

2日分

1日分のみ

 

 

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現在の回答状況 74%           

Q 21 「国内旅行(1泊以上)」の日数が増える場合、あなたが想定する状況に最もあてはまるものは以下のどれですか。

国内旅行(1泊以上)の回数を、これまでより増やす

予定している国内旅行(1泊以上)の旅行日数を、長くする

予定している国内旅行を、日帰りから、1泊以上の旅行に変更する

国内旅行(1泊以上)の回数を増やし、1回あたりの旅行日数も長くする

上記にあてはまるものはない

 

 

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現在の回答状況 77%       現在、「ハッピーマンデー制度」という、成人の日や海の日など、一部の国民の祝日が、土曜日・日曜日と合わせて3連休となるよう、特定週の月曜日に設定される「移動祝日」とする制度が導入されています。 次の質問は、この「ハッピーマンデー制度」についておたずねします。 

Q 22ハッピーマンデー制度による、土曜、日曜、祝日の3連休が、現在よりも増加するとしたら、 あなたの休日の過ごし方は、これまでと変わると思いますか。

変わると思う

変わらないと思う

わからない

 

 

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現在の回答状況 81%       Q22で「変わると思う」を選択した方におたずねします。  

Q 23ハッピーマンデー制度による、土曜、日曜、祝日の3連休が、現在よりも増加するとしたら、その3連休を旅行に使うと思いますか。 あなたが想定する状況にもっともあてはまるものをひとつだけお選びください。

国内旅行(1泊以上)に行く回数が増える

これまでは、国内旅行(日帰り)だったが、国内旅行(1泊以上)になる

国内旅行(1泊以上)の回数は変わらないが、旅行日数が長くなる

国内旅行(1泊以上)の回数が増え、旅行日数も長くなる

国内旅行(日帰り)に行く

海外旅行に行く

旅行以外に使う

 

 

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現在の回答状況 85%           

Q 24 あなたの同居している家族構成を教えてください。

一人暮らし(寮、シェアハウスの場合含む)

配偶者のみ(二人暮らし)

子供(未就学児)を含む家族(子供との二人暮らし含む)

子供(小学生)を含む家族(子供との二人暮らし含む)

子供(中学生以上)を含む家族(子供との二人暮らし含む)

配偶者、子供以外の家族と同居

上記以外の同居形態

 

 

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現在の回答状況 88%           

Q 25 あなたと同居している家族は何人ですか。あなたを含めた人数で教えてください。

 

 

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現在の回答状況 92%           

Q 26 あなたの年収は以下のどれにあてはまりますか。残業代や手当などを含めた手取り額で教えてください。

200万円未満

200万円以上300万円未満

300万円以上400万円未満

400万円以上500万円未満

500万円以上600万円未満

600万円以上700万円未満

700万円以上800万円未満

800万円以上900万円未満

900万円以上1,000万円未満

1,000万円以上1,500万円未満

1,500万円以上

 

 

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現在の回答状況 96%           

Q 27あなたの同居している家族の世帯年収は、以下のどれにあてはまりますか。 あなたの年収を含め、残業代や手当などを含めた手取り額で教えてください。

200万円未満

200万円以上300万円未満

300万円以上400万円未満

400万円以上500万円未満

500万円以上600万円未満

600万円以上700万円未満

700万円以上800万円未満

800万円以上900万円未満

900万円以上1,000万円未満

1,000万円以上1,500万円未満

1,500万円以上

わからない

 

 

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第7章 参考資料

7-4 従業員等ネットアンケート調査 集計表

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従業員等ネットアンケート調査

性別

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 男性 500 50.0 107 47.1 217 48.3 176 54.32 女性 500 50.0 120 52.9 232 51.7 148 45.7

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

年代単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 20代 250 25.0 65 28.6 114 25.4 71 21.92 30代 250 25.0 68 30.0 105 23.4 77 23.83 40代 250 25.0 43 18.9 122 27.2 85 26.24 50代 250 25.0 51 22.5 108 24.1 91 28.1

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

未既婚単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 未婚 547 54.7 114 50.2 250 55.7 183 56.52 既婚 453 45.3 113 49.8 199 44.3 141 43.5

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q1 あなたの勤務先の業種を教えてください。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 建設業 90 9.0 17 7.5 41 9.1 32 9.92 製造業 187 18.7 42 18.5 86 19.2 59 18.23 電気・ガス・熱供給・水道業 13 1.3 5 2.2 5 1.1 3 0.94 情報通信業 71 7.1 22 9.7 26 5.8 23 7.15 運輸業、郵便業 31 3.1 9 4.0 11 2.4 11 3.46 卸売業、小売業 103 10.3 15 6.6 50 11.1 38 11.77 金融業、保険業 42 4.2 3 1.3 26 5.8 13 4.08 不動産業、物品賃貸業 23 2.3 4 1.8 13 2.9 6 1.99 学術研究、専門・技術サービス業 22 2.2 3 1.3 10 2.2 9 2.8

10 宿泊業、飲食サービス業 16 1.6 3 1.3 10 2.2 3 0.911 生活関連サービス業、娯楽業 14 1.4 1 0.4 8 1.8 5 1.512 教育、学習支援業 22 2.2 8 3.5 7 1.6 7 2.213 医療、福祉 57 5.7 9 4.0 27 6.0 21 6.514 複合サービス業(郵便局、協同組合等) 12 1.2 5 2.2 2 0.4 5 1.515 サービス業(他に分類されないもの) 78 7.8 14 6.2 38 8.5 26 8.016 行政機関(国、地方自治体、独立行政法人

等)200 20.0 64 28.2 84 18.7 52 16.0

17 その他 19 1.9 3 1.3 5 1.1 11 3.4総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q2 あなたの勤務先の従業員数(正社員、非正規社員の合計)を教えてください。はっきりわからない場合には、大体近いと思われるものをお選びください。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 1,000人以上 275 27.5 81 35.7 132 29.4 62 19.12 300~999人 147 14.7 48 21.1 54 12.0 45 13.93 100~299人 132 13.2 30 13.2 64 14.3 38 11.74 99人以下 390 39.0 56 24.7 178 39.6 156 48.15 わからない 56 5.6 12 5.3 21 4.7 23 7.1

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

■少ないと思う

(n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=227)(n=1000) (n=449)

■総計 ■有給休暇が同僚より多いと思う

■同じ程度だと思う

属性1

属性2

属性3

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Q3 あなたご自身の業務の種類を教えてください

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 総務・人事・経理等 182 18.2 47 20.7 91 20.3 44 13.62 一般事務・受付・秘書 319 31.9 84 37.0 131 29.2 104 32.13 営業・販売 118 11.8 19 8.4 55 12.2 44 13.64 接客サービス 44 4.4 10 4.4 19 4.2 15 4.65 調査分析・特許法務などの事務系専門職 19 1.9 3 1.3 10 2.2 6 1.96 研究開発・設計・SEなどの技術系専門職 130 13.0 29 12.8 56 12.5 45 13.97 医療・教育関係の専門職 73 7.3 13 5.7 35 7.8 25 7.78 現場の管理・監督 25 2.5 5 2.2 12 2.7 8 2.59 製造・建設の作業 43 4.3 9 4.0 17 3.8 17 5.2

10 輸送・運転 11 1.1 2 0.9 5 1.1 4 1.211 警備・清掃 10 1.0 1 0.4 8 1.8 1 0.312 その他 26 2.6 5 2.2 10 2.2 11 3.4

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q4あてはまるものをいくつでもお選びください。

複数回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 日曜日 793 79.3 185 81.5 360 80.2 248 76.52 月曜日 15 1.5 7 3.1 4 0.9 4 1.23 火曜日 21 2.1 7 3.1 10 2.2 4 1.24 水曜日 25 2.5 10 4.4 9 2.0 6 1.95 木曜日 17 1.7 7 3.1 5 1.1 5 1.56 金曜日 15 1.5 6 2.6 3 0.7 6 1.97 土曜日 707 70.7 174 76.7 330 73.5 203 62.78 曜日は不定で週1日、1日半休み 15 1.5 4 1.8 6 1.3 5 1.59 曜日は不定で週2日休み 81 8.1 12 5.3 35 7.8 34 10.5

10 曜日は不定で週3日以上休み 1 0.1 0 0.0 1 0.2 0 0.011 1週間に何日という取り決めではなく休みが

設定されている59 5.9 10 4.4 24 5.3 25 7.7

Q5

直近1年の有給付与日数単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 10日以下 115 11.5 16 7.0 47 10.5 52 16.02 11~14日 49 4.9 9 4.0 29 6.5 11 3.43 15~19日 33 3.3 12 5.3 13 2.9 8 2.54 20日 375 37.5 117 51.5 157 35.0 101 31.25 21日以上 36 3.6 11 4.8 18 4.0 7 2.26 昨年度の有給休暇日数はわからない。ある

いは忘れてしまった。392 39.2 62 27.3 185 41.2 145 44.8

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q6 あなたは、昨年度、有給休暇を何日取得しましたか。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 0日 72 7.2 5 2.2 21 4.7 46 14.22 1~4日 106 10.6 15 6.6 29 6.5 62 19.13 5~9日 119 11.9 14 6.2 58 12.9 47 14.54 10~14日 135 13.5 32 14.1 70 15.6 33 10.25 15~19日 94 9.4 47 20.7 42 9.4 5 1.56 20日 83 8.3 43 18.9 36 8.0 4 1.27 21日以上 10 1.0 7 3.1 3 0.7 0 0.08 昨年度の有給休暇を取得した日数はわから

ない。あるいは忘れてしまった。381 38.1 64 28.2 190 42.3 127 39.2

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

(n=1000) (n=227) (n=449)あなたの勤務先では、1週間のうち以下のどれが休みになっていますか。半日のみの休みも含めて構いません。

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

あなたが、勤務先から与えられた昨年度1年間の有給休暇は何日でしたか。

(n=324)

(n=324)

(n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449)

(n=1000) (n=227) (n=449)

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Q7 昨年度、あなたが、会社のお休みや国民の祝日を合わせて取った一番長い休みは何日でしたか

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 2連休 40 4.0 10 4.4 16 3.6 14 4.32 3連休 100 10.0 21 9.3 41 9.1 38 11.73 4連休 87 8.7 15 6.6 40 8.9 32 9.94 5連休 185 18.5 41 18.1 88 19.6 56 17.35 6連休 138 13.8 36 15.9 58 12.9 44 13.66 7連休 122 12.2 32 14.1 57 12.7 33 10.27 8連休 31 3.1 6 2.6 19 4.2 6 1.98 9連休 109 10.9 27 11.9 60 13.4 22 6.89 10連休以上 94 9.4 27 11.9 42 9.4 25 7.7

10 連休は取っていない 94 9.4 12 5.3 28 6.2 54 16.7総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q8 以下の休暇に関する制度で、あなたの職場で整備されているものを教えてください。

複数回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 半日単位や時間単位で有給休暇を取得でき

る制度507 50.7 157 69.2 230 51.2 120 37.0

2 年度初めに、有給休暇の取得時期をあらかじめ計画しておく制度

113 11.3 33 14.5 57 12.7 23 7.1

3 不足の事態に備えた特別休暇制度(病気休暇、看護休暇、介護休暇等)

322 32.2 92 40.5 144 32.1 86 26.5

4 有給休暇以外に、年末年始や夏季など、時期を指定して休暇が取得できる制度

261 26.1 74 32.6 127 28.3 60 18.5

5 記念日や特定の目的で取得できる特別休暇制度(誕生日休暇、授業参観休暇等)

70 7.0 14 6.2 35 7.8 21 6.5

6 長期休暇がとりやすい特別休暇制度(リフレッシュ休暇、ボランティア休暇等)

164 16.4 48 21.1 76 16.9 40 12.3

7 年次有給休暇を連続して取得することを奨励する制度

105 10.5 33 14.5 53 11.8 19 5.9

8 取得できなかった年次有給休暇の一部(あるいは全部)を翌年に繰越できる制度

334 33.4 102 44.9 144 32.1 88 27.2

9 以上の中で整備されている制度はない254 25.4 21 9.3 100 22.3 133 41.0

Q9 あなたの職場では、希望するときにいつでも有給休暇が取れますか。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 はい 498 49.8 158 69.6 232 51.7 108 33.32 いいえ 216 21.6 29 12.8 70 15.6 117 36.13 どちらともいえない 286 28.6 40 17.6 147 32.7 99 30.6

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

(n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449)

(n=1000) (n=227)

(n=324)

(n=449)

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Q10 休暇取得に関して、あなたの職場の状況にあてはまるものをいくつでもお選びください。

複数回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 会社の幹部が、有給休暇の取得促進を宣言

している210 21.0 74 32.6 101 22.5 35 10.8

2 仕事が効率的にはかどるように、業務内容の見直しやICTの活用を行っている

103 10.3 38 16.7 48 10.7 17 5.2

3 誰かが休んでも影響が少ないように、他の人が代わりに仕事ができる体制がある

160 16.0 34 15.0 90 20.0 36 11.1

4 誰がいつ休むのかについて、あらかじめ計画を立てたり、スケジュールがわかる体制がある

181 18.1 47 20.7 88 19.6 46 14.2

5 上司や、役職者が積極的に有給休暇を取得している

120 12.0 38 16.7 60 13.4 22 6.8

6 職場に、有給休暇の取得の日数や、取得率の目標がある

86 8.6 17 7.5 49 10.9 20 6.2

7 上記の状況にあてはまるものはない484 48.4 80 35.2 196 43.7 208 64.2

Q11 同じ職場の人と比較したときに、あなたは有給休暇を多く取っている方だと思いますか。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 職場の人よりかなり多い 70 7.0 70 30.8 0 0.0 0 0.02 やや多い 157 15.7 157 69.2 0 0.0 0 0.03 同じ程度 449 44.9 0 0.0 449 100.0 0 0.04 やや少ない 121 12.1 0 0.0 0 0.0 121 37.35 少ない 203 20.3 0 0.0 0 0.0 203 62.7

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q12 同じ職場の人と比較したときに、あなたは仕事のやり方が効率が良い方だと思いますか。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 職場の人よりかなり良い 97 9.7 50 22.0 11 2.4 36 11.12 やや良い 247 24.7 92 40.5 91 20.3 64 19.83 同じ程度 493 49.3 61 26.9 313 69.7 119 36.74 やや良くない 94 9.4 17 7.5 31 6.9 46 14.25 良くない 69 6.9 7 3.1 3 0.7 59 18.2

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q13 あなたは、職場で自分自身の能力が発揮できていると思いますか。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 十分発揮できている 82 8.2 40 17.6 26 5.8 16 4.92 どちらかといえば発揮できている 286 28.6 85 37.4 114 25.4 87 26.93 職場の他の人と同じ程度である 412 41.2 63 27.8 243 54.1 106 32.74 どちらかといえば発揮できていない 132 13.2 28 12.3 51 11.4 53 16.45 ほとんど発揮できていない 88 8.8 11 4.8 15 3.3 62 19.1

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=227) (n=449) (n=324)

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Q14 仕事のやり方について、あなたはどのように考えますか。

効率の良い仕事の進め方がないかいつも工夫する単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 220 22.0 56 24.7 88 19.6 76 23.52 どちらかといえば当てはまる 579 57.9 128 56.4 285 63.5 166 51.23 どちらかといえば当てはまらない 145 14.5 37 16.3 59 13.1 49 15.14 自分の状況に当てはまらない 56 5.6 6 2.6 17 3.8 33 10.2

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

定時までに仕事が終わるように、計画を立てたり、時間の使い方を工夫する単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 232 23.2 69 30.4 92 20.5 71 21.92 どちらかといえば当てはまる 539 53.9 116 51.1 273 60.8 150 46.33 どちらかといえば当てはまらない 158 15.8 33 14.5 62 13.8 63 19.44 自分の状況に当てはまらない 71 7.1 9 4.0 22 4.9 40 12.3

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

自分の仕事が終わったら、他の人が残業していても帰る単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 243 24.3 79 34.8 91 20.3 73 22.52 どちらかといえば当てはまる 442 44.2 97 42.7 227 50.6 118 36.43 どちらかといえば当てはまらない 231 23.1 37 16.3 104 23.2 90 27.84 自分の状況に当てはまらない 84 8.4 14 6.2 27 6.0 43 13.3

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

仕事は丁寧であればあるほど良いと考えている単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 113 11.3 35 15.4 48 10.7 30 9.32 どちらかといえば当てはまる 488 48.8 110 48.5 234 52.1 144 44.43 どちらかといえば当てはまらない 326 32.6 64 28.2 148 33.0 114 35.24 自分の状況に当てはまらない 73 7.3 18 7.9 19 4.2 36 11.1

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

今日残業すると仕事のきりが良いところまで終わるなら、翌日に延ばさず今日やる単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 148 14.8 42 18.5 52 11.6 54 16.72 どちらかといえば当てはまる 487 48.7 92 40.5 251 55.9 144 44.43 どちらかといえば当てはまらない 276 27.6 69 30.4 121 26.9 86 26.54 自分の状況に当てはまらない 89 8.9 24 10.6 25 5.6 40 12.3

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

仕事のスケジュールは、なるべく顧客や関係者の都合を優先する単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 171 17.1 39 17.2 64 14.3 68 21.02 どちらかといえば当てはまる 560 56.0 129 56.8 271 60.4 160 49.43 どちらかといえば当てはまらない 206 20.6 47 20.7 92 20.5 67 20.74 自分の状況に当てはまらない 63 6.3 12 5.3 22 4.9 29 9.0

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

Q14-6

Q14-1

Q14-2

Q14-4

Q14-5

Q14-3

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Q15 以下の休暇に対する考え方について、あなたはどのように考えますか。それぞれについてあなたの考えに近いものを教えてください。有給休暇を取得することは労働者の権利である単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 430 43.0 119 52.4 180 40.1 131 40.42 どちらかといえば当てはまる 448 44.8 88 38.8 219 48.8 141 43.53 どちらかといえば当てはまらない 92 9.2 16 7.0 42 9.4 34 10.54 自分の状況に当てはまらない 30 3.0 4 1.8 8 1.8 18 5.6

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

職場は、有給休暇が取得しにくい雰囲気である単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 179 17.9 42 18.5 49 10.9 88 27.22 どちらかといえば当てはまる 328 32.8 64 28.2 162 36.1 102 31.53 どちらかといえば当てはまらない 320 32.0 74 32.6 151 33.6 95 29.34 自分の状況に当てはまらない 173 17.3 47 20.7 87 19.4 39 12.0

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

休暇をたくさん取得すると、人事評価が悪くなると思う単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 128 12.8 42 18.5 33 7.3 53 16.42 どちらかといえば当てはまる 328 32.8 70 30.8 152 33.9 106 32.73 どちらかといえば当てはまらない 375 37.5 82 36.1 179 39.9 114 35.24 自分の状況に当てはまらない 169 16.9 33 14.5 85 18.9 51 15.7

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

自分でなければできない仕事があるので、休暇を取得すると周りに迷惑がかかる単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 137 13.7 33 14.5 34 7.6 70 21.62 どちらかといえば当てはまる 409 40.9 94 41.4 188 41.9 127 39.23 どちらかといえば当てはまらない 329 32.9 70 30.8 169 37.6 90 27.84 自分の状況に当てはまらない 125 12.5 30 13.2 58 12.9 37 11.4

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

休暇を取ることより、仕事の成果や会社の業績の方が重要である単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 80 8.0 32 14.1 23 5.1 25 7.72 どちらかといえば当てはまる 309 30.9 56 24.7 144 32.1 109 33.63 どちらかといえば当てはまらない 417 41.7 91 40.1 198 44.1 128 39.54 自分の状況に当てはまらない 194 19.4 48 21.1 84 18.7 62 19.1

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

なるべく休まずに働くことが勤勉さだと思う単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 62 6.2 19 8.4 15 3.3 28 8.62 どちらかといえば当てはまる 292 29.2 68 30.0 135 30.1 89 27.53 どちらかといえば当てはまらない 403 40.3 80 35.2 194 43.2 129 39.84 自分の状況に当てはまらない 243 24.3 60 26.4 105 23.4 78 24.1

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

Q15-4

Q15-5

Q15-2

Q15-3

Q15-6

Q15-1

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職場の人が働いている日に休んで、旅行やレジャーに行くことに罪悪感がある単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 自分の状況に当てはまる 103 10.3 35 15.4 24 5.3 44 13.62 どちらかといえば当てはまる 287 28.7 55 24.2 143 31.8 89 27.53 どちらかといえば当てはまらない 344 34.4 66 29.1 162 36.1 116 35.84 自分の状況に当てはまらない 266 26.6 71 31.3 120 26.7 75 23.1

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q16 あなたは、有給休暇を取得した後に、仕事に対する集中力ややる気が上がると感じますか。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 とても上がる 198 19.8 71 31.3 84 18.7 43 13.32 少し上がる 312 31.2 78 34.4 146 32.5 88 27.23 いつもと変わらない(わからないを含む) 490 49.0 78 34.4 219 48.8 193 59.6

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q17 あなたは、有給休暇を取得した後に、仕事の効率が上がると思いますか。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 とても仕事がはかどる(例えば、いつもより1割ほど早く仕事が終えられる、いつもより難易度が高い業務ができるなど)

154 15.4 53 23.3 65 14.5 36 11.1

2 少し仕事がはかどる(例えば、時間はわずかだが、いつもよりは短くなると感じる、いつもより難易度が高い業務に取り組みやすくなるなど)

313 31.3 78 34.4 142 31.6 93 28.7

3 いつもと変わらない(わからないを含む) 533 53.3 96 42.3 242 53.9 195 60.2総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q18 以下の有給休暇の使い方のうち、あなたにとって最も優先順位が高い使い方を教えてください。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 年末年始、お盆、ゴールデンウィークなどの

時期に、より長く休むために使う184 18.4 55 24.2 81 18.0 48 14.8

2 普段の休日や祝日と組み合わせて、より長く休むために使う

321 32.1 79 34.8 160 35.6 82 25.3

3 休日や祝日とは関係なく、有給休暇を2日以上まとめて使う

84 8.4 15 6.6 45 10.0 24 7.4

4 休日や祝日とは関係なく、1日(あるいは時間単位)で使う

411 41.1 78 34.4 163 36.3 170 52.5

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q19

Q19 休暇が増加した場合の使い道複数回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 国内旅行(1泊以上) 519 51.9 129 56.8 241 53.7 149 46.02 国内旅行(日帰り) 214 21.4 68 30.0 87 19.4 59 18.23 海外旅行 209 20.9 56 24.7 94 20.9 59 18.24 旅行以外のレジャー(趣味やスポーツなど) 200 20.0 50 22.0 97 21.6 53 16.45 自宅で休養、近隣での買い物・食事など、日

常的な活動325 32.5 80 35.2 146 32.5 99 30.6

6 家事・育児・介護など、家族のための時間 111 11.1 31 13.7 44 9.8 36 11.17 通院、入院、人間ドックなど自身の健康維持 93 9.3 27 11.9 35 7.8 31 9.68 上記以外の用事 34 3.4 5 2.2 16 3.6 13 4.09 取得できたとしても、これ以上、有給休暇を

取得するつもりはない132 13.2 15 6.6 42 9.4 75 23.1

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

あなたは、もし年間の有給休暇の日数が、今よりも1年で3日分増えるとしたら、その有給休暇をどんなことに使うと思いますか。以下の中からあてはまるものをいくつでもお答えください。

Q15-7

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【Q19「国内旅行(1泊以上)」の回答者のみ】Q20 「国内旅行(1泊以上)」の日数が増える場合、あなたが想定する状況に最もあてはまるものは以下のどれですか。

宿泊旅行の増加日数単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 3日分全て 179 34.5 56 43.4 74 30.7 49 32.92 2日分 268 51.6 58 45.0 134 55.6 76 51.03 1日分のみ 72 13.9 15 11.6 33 13.7 24 16.1

総計 519 100.0 129 100.0 241 100.0 149 100.0

【Q19「国内旅行(1泊以上)」の回答者のみ】Q21 「国内旅行(1泊以上)」の日数が増える場合、あなたが想定する状況に最もあてはまるものは以下のどれですか。

宿泊旅行増加の形態単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 国内旅行(1泊以上)の回数を、これまでより増やす

220 42.4 59 45.7 100 41.5 61 40.9

2 予定している国内旅行(1泊以上)の旅行日数を、長くする

158 30.4 38 29.5 81 33.6 39 26.2

3 予定している国内旅行を、日帰りから、1泊以上の旅行に変更する

61 11.8 18 14.0 26 10.8 17 11.4

4 国内旅行(1泊以上)の回数を増やし、1回あたりの旅行日数も長くする

42 8.1 10 7.8 15 6.2 17 11.4

5 上記にあてはまるものはない 38 7.3 4 3.1 19 7.9 15 10.1総計 519 100.0 129 100.0 241 100.0 149 100.0

Q22

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 変わると思う 348 34.8 101 44.5 145 32.3 102 31.52 変わらないと思う 458 45.8 103 45.4 207 46.1 148 45.73 わからない 194 19.4 23 10.1 97 21.6 74 22.8

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

【Q22「変わると思う 」の回答者のみ】Q23

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 国内旅行(1泊以上)に行く回数が増える 158 45.4 46 45.5 66 45.5 46 45.12 これまでは、国内旅行(日帰り)だったが、国

内旅行(1泊以上)になる73 21.0 21 20.8 29 20.0 23 22.5

3 国内旅行(1泊以上)の回数は変わらないが、旅行日数が長くなる

20 5.7 5 5.0 10 6.9 5 4.9

4 国内旅行(1泊以上)の回数が増え、旅行日数も長くなる

19 5.5 5 5.0 11 7.6 3 2.9

5 国内旅行(日帰り)に行く 22 6.3 10 9.9 6 4.1 6 5.96 海外旅行に行く 23 6.6 6 5.9 10 6.9 7 6.97 旅行以外に使う 33 9.5 8 7.9 13 9.0 12 11.8

総計 348 100.0 101 100.0 145 100.0 102 100.0

(n=348) (n=101) (n=145) (n=102)

(n=519) (n=129) (n=241) (n=149)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=519) (n=129) (n=241) (n=149)

ハッピーマンデー制度による、土曜、日曜、祝日の3連休が、現在よりも増加するとしたら、その3連休を旅行に使うと思いますか。あなたが想定する状況にもっともあてはまるものをひとつだけお選びください。

ハッピーマンデー制度による、土曜、日曜、祝日の3連休が、現在よりも増加するとしたら、あなたの休日の過ごし方は、これまでと変わると思いますか。

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Q24 あなたの同居している家族構成を教えてください。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 一人暮らし(寮、シェアハウスの場合含む) 249 24.9 63 27.8 106 23.6 80 24.72 配偶者のみ(二人暮らし) 141 14.1 32 14.1 66 14.7 43 13.33 子供(未就学児)を含む家族(子供との二人

暮らし含む)127 12.7 51 22.5 47 10.5 29 9.0

4 子供(小学生)を含む家族(子供との二人暮らし含む)

59 5.9 10 4.4 30 6.7 19 5.9

5 子供(中学生以上)を含む家族(子供との二人暮らし含む)

115 11.5 23 10.1 49 10.9 43 13.3

6 配偶者、子供以外の家族と同居 175 17.5 25 11.0 96 21.4 54 16.77 上記以外の同居形態 134 13.4 23 10.1 55 12.2 56 17.3

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q25 あなたと同居している家族は何人ですか。あなたを含めた人数で教えてください。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 1人 261 26.1 67 29.5 106 23.6 88 27.22 2人 222 22.2 48 21.1 102 22.7 72 22.23 3人 259 25.9 64 28.2 129 28.7 66 20.44 4人 176 17.6 38 16.7 72 16.0 66 20.45 5人 56 5.6 6 2.6 29 6.5 21 6.56 6人 16 1.6 3 1.3 6 1.3 7 2.27 7人 7 0.7 0 0.0 5 1.1 2 0.68 8人 3 0.3 1 0.4 0 0.0 2 0.6

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q26 あなたの年収は以下のどれにあてはまりますか。残業代や手当などを含めた手取り額で教えてください。

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %1 200万円未満 67 6.7 16 7.0 19 4.2 32 9.92 200万円以上300万円未満 173 17.3 30 13.2 80 17.8 63 19.43 300万円以上400万円未満 218 21.8 44 19.4 101 22.5 73 22.54 400万円以上500万円未満 173 17.3 45 19.8 78 17.4 50 15.45 500万円以上600万円未満 130 13.0 32 14.1 55 12.2 43 13.36 600万円以上700万円未満 78 7.8 23 10.1 37 8.2 18 5.67 700万円以上800万円未満 57 5.7 12 5.3 30 6.7 15 4.68 800万円以上900万円未満 28 2.8 6 2.6 13 2.9 9 2.89 900万円以上1,000万円未満 18 1.8 3 1.3 11 2.4 4 1.2

10 1,000万円以上1,500万円未満 39 3.9 12 5.3 16 3.6 11 3.411 1,500万円以上 19 1.9 4 1.8 9 2.0 6 1.9

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

Q27

単一回答 回答数 % 回答数 % 回答数 % 回答数 %

1 200万円未満 42 4.2 12 5.3 10 2.2 20 6.22 200万円以上300万円未満 73 7.3 10 4.4 31 6.9 32 9.93 300万円以上400万円未満 115 11.5 23 10.1 40 8.9 52 16.04 400万円以上500万円未満 114 11.4 32 14.1 48 10.7 34 10.55 500万円以上600万円未満 120 12.0 30 13.2 57 12.7 33 10.26 600万円以上700万円未満 88 8.8 22 9.7 43 9.6 23 7.17 700万円以上800万円未満 77 7.7 15 6.6 36 8.0 26 8.08 800万円以上900万円未満 67 6.7 21 9.3 29 6.5 17 5.29 900万円以上1,000万円未満 42 4.2 9 4.0 19 4.2 14 4.3

10 1,000万円以上1,500万円未満 96 9.6 25 11.0 51 11.4 20 6.211 1,500万円以上 39 3.9 7 3.1 22 4.9 10 3.112 わからない 127 12.7 21 9.3 63 14.0 43 13.3

総計 1,000 100.0 227 100.0 449 100.0 324 100.0

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

あなたの同居している家族の世帯年収は、以下のどれにあてはまりますか。あなたの年収を含め、残業代や手当などを含めた手取り額で教えてください。

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

(n=1000) (n=227) (n=449) (n=324)

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第7章 参考資料

7-5 宿泊業郵送アンケート調査 調査票

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経済産業省「平成28年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(観光需要平準化に関する調査)」のうち、

「観光需要平準化が与えるホテル・旅館への経済効果に関する調査」

いずれの項目も、回答時点の数値・情報、または、2 年以内の把握できる範囲で、できるだけ 新の数値・情報をご記入

ください。正確な数値が得られない項目は、およその数値でも構いません。

また、回答に必要な情報が得られない項目、回答できない項目は、空欄のままでも構いません。

問1 貴社の宿泊施設の所在地の都道府県はどこですか。(文字を記入)

都道府県名

問2 宿泊施設タイプはどれにあてはまりますか。(最も当てはまるもの1つに〇)

1. 旅館

2. リゾートホテル

3. ビジネスホテル

4. シティホテル

5. 簡易宿所

6. 会社・団体の宿泊所

*民宿、ペンション、他、上記以外と思われる場合は、旅館業法に基づく許可証等の記載(ホテル、旅館又は簡易宿所)の

通りに記入してください。

問3 客室数、及び収容人数をお答えください。(数値を記入)

①客室数 室 ②収容人数 名

*回答日時点の、客室数及び通常の営業時に想定している収容人数を記入してください。

問4 従業者(従業員)数をお答えください。(数値を記入)

① 従業者(従業員)の人数 *個人経営者や家族従業者(無給)、正規雇用者(正社員)、パート・アルバイト、

臨時雇用者、他からの派遣労働者・出向者も含めて、記入してください。

② ①のうち、正規雇用者(正社員)の人数 名

問5 年間の宿泊者の宿泊目的のおよその割合をお答えください。(数値を記入)

観光レクリエーション、

その他 出張・業務

外国人 (観光・出張全て含む)

合計

% % % 100 %

観光レクリエーション、その他:帰省・知人訪問・冠婚葬祭、スポーツ団体、学生団体の合宿なども含まれます。

出張・業務:出張、業務、学会、企業研修、会議などが含まれます。

問6 年間の休業日について、お答えください。

① 年間の休業日の日数(数値を記入)

回答期限 2017 年 1 月 20 日(金) 調査へのご協力ありがとうございます。

添付の返信用封筒(切手不要)へ入れ、2017 年 1 月 20 日(金)までにポストにご投函ください。

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② 休業日を設ける一番の理由(最も当てはまるもの1つに〇)

1. 閑散期で営業に見合う需要が見込めない 4. 立地の季節性(スキー場、海水浴場周辺など)

2. 施設の修繕、メンテナンスのため 5. 従業員の休日確保のため

3. 関連施設の定休日に合わせて 6. 従業員の研修のため

7. その他( )

問7 年間の稼働率についておたずねします。(数値、文字を記入)

①年間客室稼働率 *休業日は除外 %

②年間定員稼働率 *休業日は除外 %

③月間客室又は定員稼働率の最も高い月・低い月とその稼働率

*客室稼働率を算出されている場合は客室稼働率、算出されていない場合は定員稼働率が、

最も高い・低い月についてお答えください。

客室/定員稼働率が 月 月間客室稼働率 月間定員稼働率

最も高い月 月 % %

最も低い月 月 % %

④曜日別客室又は定員稼働率の最も高い曜日・低い曜日とその稼働率

*客室稼働率を算出されている場合は客室稼働率、算出されていない場合は定員稼働率が、

最も高い・低い曜日についてお答えください。

客室/定員稼働率が 曜日 曜日別客室稼働率 曜日別定員稼働率

最も高い曜日 曜日 % %

最も低い曜日 曜日 % %

問8 年間の業績指標について、①、②、③のいずれかで、お答えください。(数値を記入)

*直近の決算書または確定申告書に基づいて、数値をご記入ください。ただし、複数の宿泊施設や付帯事業と合わせて経営されている

場合は、調査票の宛先となった宿泊施設 1軒について、記入してください。

①直近の決算書に記載の総売上高、営業利益または損失、減価償却費の金額

総売上高 千円 営業利益・損失 千円 減価償却費 千円

*「利益」・「損失」いずれかに〇

②直近の決算書に記載の総売上高、営業利益・損失、減価償却費に基づく営業利益率及び、減価償却費率

営業利益率(=営業利益・損失額÷総売上高 x 100) %

減価償却費率(=減価償却費÷総売上高 x 100) %

③直近の年間GOP(Gross Operation Profit)率(減価償却前営業利益率、運営総利益率)

GOP率(=(営業利益・損失額+減価償却費)÷ 総売上高 x 100) %

年間稼働率は、2 年以内で、把握している限り最新の数値で

あれば、1~12 月、4 月~翌年 3 月といった期間の区切り

方は問いません。開業後、1 年を経過していない場合は、10

か月以上の期間を 1 年分とみなして、ご記入ください。

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問9 正規雇用者の採用状況について、お答えください。(当てはまるもの全てに〇)

1. 新卒採用など、定期的に正規雇用者を採用している。

2. 欠員補充が必要な場合に、不定期に採用している。

3. 部門・施設の増設など、事業拡大において必要な場合に、不定期に採用している。

4. 当面、欠員が発生しても、正規雇用者を採用するつもりはない。

5. 正規雇用者の募集を実施しているが、適切な人材を採用ができず、欠員が発生している。 問10 非正規雇用者を採用する理由について、お答えください。(当てはまるもの全てに〇)

1. 特定の時間帯に必要な業務のため

2. 正規雇用者の確保が困難なため

3. 高いスキルが必要のない業務のため

4. 特定の時期に必要な人材確保のため

5. 正規雇用者の一時的不在を補完するため

6. 今後の事業の見通しが分からないため

7. その他 ( )

問11 貴社の宿泊施設において、次のような経営状況・環境の変化は、正規雇用者(正社員)の実質的な増員(非正規

雇用からの切替も含む)を積極的に考えるきっかけになると思いますか。

(項目ごとに、最もあてはまるもの1つに〇)

とても

あてはまる 少し

あてはまる どちらとも

いえない

あまり あてはまら

ない

全く あてはまら

ない

①売上高の継続的な増加 1 2 3 4 5

②営業利益率の改善 1 2 3 4 5

③年間稼働率の継続的な上昇 1 2 3 4 5

④繁忙期(ハイシーズン)の

稼働率の継続的な上昇 1 2 3 4 5

⑤閑散期(オフシーズン)の

稼働率の継続的な上昇 1 2 3 4 5

⑥地域への来訪者の継続的な

増加の見込み(注) 1 2 3 4 5

⑦非正規雇用者の確保が

困難な状況の継続 1 2 3 4 5

⑧雇用促進助成金など

補助金活用の機会 1 2 3 4 5

注: 例えば、航空便・鉄道の路線拡充による交通利便性向上、世界遺産登録や撮影ロケ地としての利用による観光資源のブランド

力の向上、企業・工場・大型集客施設等が進出するなど。

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政府は 2016 年 3 月に『明日の日本を支える観光ビジョン』を策定し、家族が休暇をとりやすい制度

の導入、休暇取得の分散化による観光需要の平準化を促進する取組を始めています。また、このよう

な政府の方針を踏まえ、経済界からも、政府の学校休業日の柔軟な設定等の取組みと併せ、有給休暇

の取得を年3日増加させる方針が表明され、民間企業へ年次有給休暇取得の促進を働きかけていま

す。

問12 上記のような政府や、民間企業による、年次有給休暇取得促進の動きは、貴社の宿泊施設に影響があると思い

ますか。(項目ごとに、最も当てはまるもの1つに〇)

大いに影響

すると思う 多少影響 すると思う

どちらとも

いえない、

わからない

あまり影響

ないと思う 全く影響は

ないと思う

①売上高の増加 1 2 3 4 5

②営業利益率の改善 1 2 3 4 5

③年間客室・定員稼働率の上昇 1 2 3 4 5

④繁忙期(ハイシーズン)の

稼働率の上昇 1 2 3 4 5

⑤閑散期(オフシーズン)の

稼働率の上昇 1 2 3 4 5

⑥地域への来訪者の増加 1 2 3 4 5 質問は以上です。大変恐縮ですが、ご回答いただいた内容について、万一確認が必要な場合に備え、差し支え

なければ、ご記入された担当者の方のお名前、お電話番号をお知らせください。

ご記入者 お名前

ご連絡先 お電話番号

内線

ご回答いただき、誠にありがとうございました。

添付の返信用封筒(切手不要)へ入れ、平成 28 年 1 月 20 日(金)までにポストにご投函ください。

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第7章 参考資料

7-6 宿泊業郵送アンケート調査 集計表

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宿泊業アンケート調査

所在地の都道府県はどこですか。(地方ブロックにて集計)

単一回答 回答数 %1 北海道 7 5.62 東北 19 15.33 関東 16 12.94 北陸信越 22 17.75 中部 15 12.16 関西 21 16.97 中国 6 4.88 四国 4 3.29 九州 7 5.6

10 沖縄 4 3.211 無回答 3 2.4

総計 124 100.0

宿泊施設タイプはどれにあてはまりますか。

*民宿、ペンション、他、上記以外と思われる場合は、旅館業法に基づく許可証等の記載(ホテル、旅館又は簡易宿所)の通りに記入してください。

単一回答 回答数 %1 旅館 72 58.12 リゾートホテル 22 17.73 ビジネスホテル 8 6.54 シティホテル 22 17.75 簡易宿所 0 0.06 会社・団体の宿泊所 0 0.0

総計 124 100.0

Q3 客室数、及び収容人数をお答えください。客室数数値回答 回答数 %

1 19室以下 22 17.72 20~49室 43 34.73 50~99室 32 25.84 100室以上 27 21.8

総計 124 100.0

収容人数数値回答 回答数 %

1 50名未満 11 8.92 50~150名未満 49 39.53 150~300名未満 40 32.34 300名以上 21 16.95 無回答 3 2.4

総計 124 100.0

Q1

Q2

Q3-1

Q3-2

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Q4 従業者(従業員)数をお答えください。従業者(従業員)の人数

*個人経営者や家族従業者(無給)、正規雇用者(正社員)、パート・アルバイト、臨時雇用者、他からの派遣労働者・出向者も含めて、記入してください。

数値回答 回答数 %1 19名以下 26 21.02 20~49名 38 30.63 50~99名 32 25.84 100名以上 27 21.85 無回答 1 0.8

総計 124 100.0

Q4-1のうち、正規雇用者(正社員)の人数

数値回答 回答数 %1 19名以下 56 45.22 20~49名 40 32.33 50~99名 16 12.94 100名以上 10 8.15 無回答 2 1.6

総計 124 100.0

Q5 年間の宿泊者の宿泊目的のおよその割合をお答えください。

Q5観光レクリエーション、その他*帰省・知人訪問・冠婚葬祭、スポーツ団体、学生団体の合宿なども含まれます。

数値回答 回答数 %1 20%未満 7 5.62 20~50%未満 22 17.73 50~80%未満 22 17.74 80%以上 72 58.15 無回答 1 0.8

総計 124 100.0

Q5出張・業務*出張、業務、学会、企業研修、会議などが含まれます。

数値回答 回答数 %1 10% 未満 68 54.82 10~30%未満 21 16.93 30~60%未満 16 12.94 60%以上 18 14.55 無回答 1 0.8

総計 124 100.0

Q5 外国人(観光・出張全て含む)数値回答 回答数 %

1 5% 未満 57 46.02 5~10%未満 25 20.23 10~30%未満 27 21.84 30%以上 14 11.35 無回答 1 0.8

総計 124 100.0

Q4-2

Q4-1

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Q6 年間の休業日について、お答えください。年間の休業日の日数数値回答 回答数 %

1 0日(休業日なし) 52 41.92 1~6日 23 18.53 7~24日 29 23.44 25~59日 10 8.15 60日以上 7 5.66 無回答 3 2.4

総計 124 100.0

(n=72)休業日を設ける一番の理由単一回答 回答数 %

1 閑散期で営業に見合う需要が見込めない 17 23.62 施設の修繕、メンテナンスのため 30 41.73 関連施設の定休日に合わせて 1 1.44 立地の季節性 2 2.85 従業員の休日確保のため 13 18.16 従業員の研修のため 3 4.27 その他 1 1.48 無回答 5 6.9

総計 72 100.0

Q7

年間客室稼働率数値回答 回答数 %

1 40%未満 12 9.72 40~60%未満 31 25.03 60~80%未満 42 33.94 80%以上 19 15.35 無回答 20 16.1

総計 124 100.0

年間定員稼働率数値回答 回答数 %

1 40%未満 36 29.02 40~60%未満 33 26.63 60~80%未満 16 12.94 80%以上 4 3.25 無回答 35 28.2

総計 124 100.0

Q6-1

Q6-2

年間の稼働率についておたずねします。

Q7-1

Q7-2

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月間客室又は定員稼働率の も高い月単一回答 回答数 %

1 1月 0 0.02 2月 3 2.43 3月 1 0.84 4月 3 2.45 5月 2 1.66 6月 1 0.87 7月 3 2.48 8月 57 46.09 9月 1 0.8

10 10月 15 12.111 11月 21 16.912 12月 4 3.213 無回答 13 10.5

総計 124 100.0

月間客室又は定員稼働率の も低い月単一回答 回答数 %

1 1月 28 22.62 2月 30 24.23 3月 8 6.54 4月 3 2.45 5月 2 1.66 6月 14 11.37 7月 5 4.08 8月 0 0.09 9月 4 3.2

10 10月 0 0.011 11月 6 4.812 12月 12 9.713 無回答 12 9.7

総計 124 100.0

Q7-3 月間客室稼働率(%)数値回答 平均値 中央値 回答数

1 も高い月 78.5 81.0 1042 も低い月 43.8 44.3 104

Q7-3 月間定員稼働率(%)数値回答 平均値 中央値 回答数

1 も高い月 60.2 60.0 802 も低い月 31.3 29.0 80

Q7-3

Q7-3

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曜日別客室又は定員稼働率の も高い曜日単一回答 回答数 %

1 月曜 0 0.02 火曜 1 0.83 水曜 3 2.44 木曜 3 2.45 金曜 3 2.46 土曜 85 68.57 日曜 0 0.08 無回答 29 23.4

総計 124 100.0

曜日別客室又は定員稼働率の も低い曜日単一回答 回答数 %

1 月曜 17 13.72 火曜 26 21.03 水曜 17 13.74 木曜 5 4.05 金曜 2 1.66 土曜 0 0.07 日曜 26 21.08 無回答 31 25.0

総計 124 100.0

Q7-4 曜日別客室稼働率(%)数値回答 平均値 中央値 回答数

1 も高い曜日 84.3 90.0 672 も低い曜日 39.0 35.0 65

Q7-4 曜日別定員稼働率(%)数値回答 平均値 中央値 回答数

1 も高い曜日 66.2 70.0 472 も低い曜日 28.9 24.0 46

年間の業績指標について、お答え下さい。

*年間GOPの値は、①総売上高、営業利益/損失、減価償却費の金額 ②営業利益率及び、減価償却費率 ③年間GOP(Gross Operation Profit)率(減価償却前営業利益率、運営総利益率)のうち、いずれかの方法で回答を求め、①、②の値による回答については、WBAにて③年間GOPを求めてから集計した。

数値回答 回答数 %1 0%未満 8 6.52 0~10%未満 28 22.63 10~30%未満 31 25.04 30%以上 10 8.15 無回答 47 37.9

総計 124 100.0

Q8

Q7-4

Q7-4

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(n=124)正規雇用者の採用状況について、お答えください。複数回答 回答数 %

1 新卒採用など、定期的に正規雇用者を採用 53 42.72 欠員補充が必要な場合に、不定期に採用 84 67.73 事業拡大において必要な場合に、不定期に採用 7 5.64 当面、正規雇用者を採用するつもりはない 5 4.05 募集を実施しているが、採用できず、欠員が発生 51 41.16 無回答 9 7.3

(n=124)非正規雇用者を採用する理由について、お答えください複数回答 回答数 %

1 特定の時間帯に必要な業務のため 74 59.72 正規雇用者の確保が困難なため 46 37.13 高いスキルが必要のない業務のため 21 16.94 特定の時期に必要な人材確保のため 60 48.45 正規雇用者の一時的不在を補完するため 22 17.76 今後の事業の見通しが分からないため 4 3.27 その他 3 2.48 無回答 12 9.7

Q11

売上高の継続的な増加単一回答 回答数 %

1 とてもあてはまる 53 42.72 少しあてはまる 41 33.13 どちらともいえない 11 8.94 あまりあてはまらない 5 4.05 全くあてはまらない 3 2.46 無回答 11 8.9

総計 124 100.0

営業利益率の改善単一回答 回答数 %

1 とてもあてはまる 37 29.82 少しあてはまる 36 29.03 どちらともいえない 29 23.44 あまりあてはまらない 6 4.85 全くあてはまらない 5 4.06 無回答 11 8.9

総計 124 100.0

年間稼働率の継続的な上昇単一回答 回答数 %

1 とてもあてはまる 44 35.52 少しあてはまる 43 34.73 どちらともいえない 20 16.14 あまりあてはまらない 3 2.45 全くあてはまらない 3 2.46 無回答 11 8.9

総計 124 100.0

次のような経営状況・環境の変化は、正規雇用者(正社員)の実質的な増員(非正規雇用からの切替も含む)を積極的に考えるきっかけになると思いますか。

Q10

Q11-1

Q11-2

Q11-3

Q9

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繁忙期(ハイシーズン)の稼働率の継続的な上昇単一回答 回答数 %

1 とてもあてはまる 26 21.02 少しあてはまる 42 33.93 どちらともいえない 28 22.64 あまりあてはまらない 12 9.75 全くあてはまらない 5 4.06 無回答 11 8.9

総計 124 100.0

閑散期(オフシーズン)の稼働率の継続的な上昇単一回答 回答数 %

1 とてもあてはまる 53 42.72 少しあてはまる 41 33.13 どちらともいえない 11 8.94 あまりあてはまらない 5 4.05 全くあてはまらない 3 2.46 無回答 11 8.9

総計 124 100.0

地域への来訪者の継続的な増加の見込み単一回答 回答数 %

1 とてもあてはまる 29 23.42 少しあてはまる 37 29.83 どちらともいえない 31 25.04 あまりあてはまらない 11 8.95 全くあてはまらない 5 4.06 無回答 11 8.9

総計 124 100.0

非正規雇用者の確保が困難な状況の継続単一回答 回答数 %

1 とてもあてはまる 24 19.42 少しあてはまる 32 25.83 どちらともいえない 41 33.14 あまりあてはまらない 11 8.95 全くあてはまらない 2 1.66 無回答 14 11.3

総計 124 100.0

雇用促進助成金など補助金活用の機会単一回答 回答数 %

1 とてもあてはまる 14 11.32 少しあてはまる 35 28.23 どちらともいえない 37 29.84 あまりあてはまらない 17 13.75 全くあてはまらない 7 5.66 無回答 14 11.3

総計 124 100.0

Q11-8

Q11-4

Q11-5

Q11-6

Q11-7

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Q12 政府や、民間企業による、年次有給休暇取得促進の動きは、貴社の宿泊施設に影響があると思いますか。売上高の増加単一回答 回答数 %

1 大いに影響すると思う 17 13.72 多少影響すると思う 59 47.63 どちらともいえない、わからない 32 25.84 あまり影響ないと思う 9 7.35 全く影響はないと思う 5 4.06 無回答 2 1.6

総計 124 100.0

営業利益率の改善単一回答 回答数 %

1 大いに影響すると思う 15 12.12 多少影響すると思う 46 37.13 どちらともいえない、わからない 47 37.94 あまり影響ないと思う 9 7.35 全く影響はないと思う 5 4.06 無回答 2 1.6

総計 124 100.0

年間客室・定員稼働率の上昇単一回答 回答数 %

1 大いに影響すると思う 16 12.92 多少影響すると思う 64 51.63 どちらともいえない、わからない 29 23.44 あまり影響ないと思う 8 6.55 全く影響はないと思う 5 4.06 無回答 2 1.6

総計 124 100.0

繁忙期(ハイシーズン)の稼働率の上昇単一回答 回答数 %

1 大いに影響すると思う 14 11.32 多少影響すると思う 45 36.33 どちらともいえない、わからない 38 30.64 あまり影響ないと思う 18 14.55 全く影響はないと思う 7 5.66 無回答 2 1.6

総計 124 100.0

Q12-2

Q12-3

Q12-4

Q12-1

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閑散期(オフシーズン)の稼働率の上昇単一回答 回答数 %

1 大いに影響すると思う 11 8.92 多少影響すると思う 53 42.73 どちらともいえない、わからない 40 32.34 あまり影響ないと思う 11 8.95 全く影響はないと思う 7 5.66 無回答 2 1.6

総計 124 100.0

地域への来訪者の増加単一回答 回答数 %

1 大いに影響すると思う 9 7.32 多少影響すると思う 64 51.63 どちらともいえない、わからない 32 25.84 あまり影響ないと思う 11 8.95 全く影響はないと思う 5 4.06 無回答 3 2.4

総計 124 100.0

Q12-5

Q12-6