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R1 後-071A01-表紙 令和元年度 後期 ビジネス・キャリア検定試験 経営情報システム分野 2級 経営情報システム(情報化企画) 試 験 問 題 (21ページ) 1.試験時間 110分 2.注意事項 (1) 試験問題は、係員の指示があるまで開かないでください。 (2) 試験問題は、40題あります。 (3) 試験問題の配点及び合格基準は、次のとおりです。 (配 点)問題1~問題40 各2.5点 合計100点 (合格基準)試験全体として概ね60%以上の正答。 (4) 関係法令、会計基準、JIS等の各種規格等に基づく出題については、問題文中に 断りがある場合を除き、令和元年11月1日時点で施行されている内容に基づくもの とします。 (5) マークシート(解答用紙)には、①試験区分名、②氏名、③座席番号、④受験番号、 ⑤生年月日を正確に記入してください。 なお、受験番号の最後の桁は、アルファベットですので、数字と間違えないように 注意してください。 (6) マークシートにマークする際には、HB又はBの黒鉛筆又はシャープペンシルのい ずれかで、はっきりとマークしてください。それ以外は使用しないでください。 なお、訂正する場合は、採点の際にマークシートの誤読の原因となることがあり ますので、きれいに消してください。 (7) マークシートには、所定の事項以外は絶対に書き込まないでください。 なお、計算等が必要な場合は、問題用紙の余白又は裏面を使用してください。 (8) マークシートにはア~オまでマークする欄があります。問題番号及び問題文に従っ て正解と思われるものを1つだけ選んで間違えないようにマークしてください。 (9) 試験問題の内容に関する質問には、一切お答えできません。 (10) 試験中にトイレへ行きたくなった場合は、黙って手を挙げて係員の指示に従ってく ださい。 (11) 試験終了時刻前に解答が済み、退出する場合は、黙って手を挙げて係員の指示に 従ってください。ただし、試験開始後30分間及び終了前10分間は、退出できません。 なお、退出する場合は、周りの受験者に配慮して、静かに退出してください。 (12) 試験終了の合図があったら速やかに筆記用具を置き、係員の指示に従ってください。 (13) 試験終了後、マークシートを必ず提出してください。ただし、試験問題は、持ち帰 ることができます。 なお、マークシートが提出されていない場合は、失格となります。 (14) 試験問題の転載、複製などを固く禁じます。 禁転載複製 「中央職業能力開発協会編」

2級 経営情報システム(情報化企画)...オ.VRIO分析は、自社環境の分析を踏まえて自社がもつ内在価値を探るフレーム ワークで、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、会

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R1 後-071A01-表紙

令和元年度 後期 ビジネス・キャリア検定試験

経営情報システム分野

2級 経営情報システム(情報化企画)

試 験 問 題 (21ページ)

1.試験時間 110分

2.注意事項

(1) 試験問題は、係員の指示があるまで開かないでください。

(2) 試験問題は、40題あります。

(3) 試験問題の配点及び合格基準は、次のとおりです。

(配 点)問題1~問題40 各2.5点 合計100点

(合格基準)試験全体として概ね60%以上の正答。

(4) 関係法令、会計基準、JIS等の各種規格等に基づく出題については、問題文中に

断りがある場合を除き、令和元年11月1日時点で施行されている内容に基づくもの

とします。

(5) マークシート(解答用紙)には、①試験区分名、②氏名、③座席番号、④受験番号、

⑤生年月日を正確に記入してください。

なお、受験番号の最後の桁は、アルファベットですので、数字と間違えないように

注意してください。

(6) マークシートにマークする際には、HB又はBの黒鉛筆又はシャープペンシルのい

ずれかで、はっきりとマークしてください。それ以外は使用しないでください。

なお、訂正する場合は、採点の際にマークシートの誤読の原因となることがあり

ますので、きれいに消してください。

(7) マークシートには、所定の事項以外は絶対に書き込まないでください。

なお、計算等が必要な場合は、問題用紙の余白又は裏面を使用してください。

(8) マークシートにはア~オまでマークする欄があります。問題番号及び問題文に従っ

て正解と思われるものを1つだけ選んで間違えないようにマークしてください。

(9) 試験問題の内容に関する質問には、一切お答えできません。

(10) 試験中にトイレへ行きたくなった場合は、黙って手を挙げて係員の指示に従ってく

ださい。

(11) 試験終了時刻前に解答が済み、退出する場合は、黙って手を挙げて係員の指示に

従ってください。ただし、試験開始後30分間及び終了前10分間は、退出できません。

なお、退出する場合は、周りの受験者に配慮して、静かに退出してください。

(12) 試験終了の合図があったら速やかに筆記用具を置き、係員の指示に従ってください。

(13) 試験終了後、マークシートを必ず提出してください。ただし、試験問題は、持ち帰

ることができます。

なお、マークシートが提出されていない場合は、失格となります。

(14) 試験問題の転載、複製などを固く禁じます。

禁転載複製 「中央職業能力開発協会編」

R1後-071A01-1

問題1 経営戦略に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.企業環境を分析するに際し、外部環境は、企業に与える影響が大きいため、外部環

境を優先して分析し、内部環境とは別個に分析する必要がある。

イ.リクルート政策は、人事・労務に関する事項であるが、経済情勢全般に関係するた

め、内部環境・外部環境の両方に属すると考える必要がある。

ウ.経営理念は、経営戦略の出発点であるため、経営計画に基づき職場ミーティングな

どによって組織の末端まで浸透させることが必要である。

エ.多くの事業分野を有する大企業の事業ドメインは、事業分野ごとの複数のドメイン

を有することになる。

オ.事業コンセプトを考える場合は、ドメインの定義と同様に対象とする「顧客軸」

「機能軸」「技術軸」を明確にすることが必要である。

問題2 情報化戦略策定に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.情報化戦略の策定に当たって最も考慮する必要があるのは、自社の経営戦略の実現

であるが、ライバルの情報化戦略、現行情報システムとの整合性、最新の情報技術

動向なども考慮する。

イ.経営戦略に含まれている販売戦略や財務戦略などを効果的に推進するには、情報技

術の活用が重要である。情報化戦略は、他の戦略を実現するインフラとしての役割

も要求される。

ウ.ITガバナンスとは「情報技術を統治すること」であり、法令によるIT内部統

制を行い、法規、規則やマニュアルに従った運用を遵守することである。

エ.販売システムや資材調達システム、会計システムなどで扱われる商品コード、取引

先コード、売上時期などは、情報化戦略に適合するよう一貫した考え方や体系で作

成され、運用される必要がある。

オ.CIOの役割では、IT予算、人材、機材の確保、組織体制、情報システムの効率

的な運営、管理などから経営戦略を達成するための情報化戦略の立案と実現が重視

される。

R1後-071A01-2

問題3 企業環境の分析手法に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.PEST分析は、政治( Politics)、経済( Economy)、社会( Society)、技術

(Technology)の4分野からマクロ環境を分析する手法で、内部環境と外部環境が

もたらす自社への影響を分析する手法である。

イ.バリューポートフォリオは、事業再構築を考えるためのフレームワークであり、自

社の経営資源の強みとROIの高低で4つのセル(象限)に分け、その分析結果か

ら自社の経営資源をどの事業に集中させるか考える手法である。

ウ.ファイブフォース分析は、自社の外部環境である業界に影響を与える5つの力を分

析する手法で、その内容は、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売

り手の交渉力、競合の独自能力からなる。

エ.サービス・プロフィット・チェーンは、従業員満足・顧客満足・業績の関係性を表

したモデルで、内部環境である自社の従業員に満足を提供することで、外部環境で

ある顧客に良いサービスが提供できるという考え方を基本としている。

オ.VRIO分析は、自社環境の分析を踏まえて自社がもつ内在価値を探るフレーム

ワークで、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、会

社の運営方法(Operation)がそろえば競争優位を持続できるとする考え方である。

問題4 A社では、情報化戦略目標を策定することになり、情報化ビジョンを取りまと

めることになった。情報化ビジョンの策定手順に関する記述として適切なものは、

次のうちどれか。

ア.情報化ビジョンは、経営ビジョンを考慮することなく、独立したものとして策定す

る。

イ.情報化ビジョンは、企業の情報化成熟度を分析した後に策定する。

ウ.情報化ビジョンは、現状の経営環境及びビジネス上の制約条件を与件として策定す

る。

エ.情報化ビジョンは、KGI(Key Goal Indicator)を設定する前に策定する。

オ.情報化ビジョンは、ビジネスモデルとは切り離して策定する。

問題5 下表のロジスティクス戦略とその戦略で重視される戦略目標の例の組合せとして

不適切なものは、次のうちどれか。

ロジスティクス戦略 重視される戦略目標の例

ア. 物流コスト改善による利益率向上 コストの削減

イ. 多頻度少量化及びリードタイムの短縮 物流サービスレベルの向上

ウ. サプライチェーンシステムの導入 ROAの向上

エ. 需要予測精度向上による返品の削減 欠品率の削減

オ. サスティナビリティの向上 顧客満足の向上

R1後-071A01-3

問題6 Y社では、経営理念に基づいてビジネス戦略を策定し実行することにした。以下

の図における①~⑤に入る語句の組合せとして適切なものは、次のうちどれか。

ア.①ビジネス環境の分析 ②戦略目標の仮決定 ③KPIの設定

④戦略目標の決定 ⑤CSFの設定

イ.①戦略目標の仮決定 ②CSFの設定 ③戦略目標の決定

④ビジネス環境の分析 ⑤KPIの設定

ウ.①ビジネス環境の分析 ②CSFの設定 ③戦略目標の決定

④戦略目標の仮決定 ⑤KPIの設定

エ.①戦略目標の仮決定 ②ビジネス環境の分析 ③戦略目標の決定

④CSFの設定 ⑤KPIの設定

オ.①ビジネス環境の分析 ②戦略目標の仮決定 ③戦略目標の決定

④KPIの設定 ⑤CSFの設定

問題7 企業におけるIT投資案件を評価するための、評価ポイントと評価項目に関する

記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.企業戦略に対するIT投資を評価するため、評価ポイントを「企業戦略目標への貢

献度」とし、評価項目を「企業収益の拡大」として設定した。

イ.システム資産価値を評価するため、評価ポイントを「業務のIT化の度合い」とし、

評価項目を「開発アプリケーションプログラム数」として設定した。

ウ.ITによる顧客価値向上を評価するため、評価ポイントを「見込み顧客の発掘」と

し、評価項目を「新規提案書の提出数」として設定した。

エ.ITによる人材のスキル価値の向上を評価するため、評価ポイントを「ITリテラ

シーの向上」とし、評価項目を「ITを活用した問題解決数」として設定した。

オ.ITによるビジネスパートナーとのシナジー効果を評価するため、評価ポイントを

「パートナー満足度の向上」とし、評価項目を「パートナーのロイヤリティ(忠誠

度)」として設定した。

問題8 CMMI(Capability Maturity Model Integration)における成熟度レベルに

おいて、「レベル4」に該当する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.ソフトウェア成果物の品質に関して、定量的な品質目標が存在している。

イ.ほとんどのプロセスは定義されておらず、個人の努力に依存する状態である。

ウ.プロセスからの定量的フィードバックによって、継続的なプロセス改善が行われて

いる。

エ.プロセスは、組織の標準ソフトウェアプロセスとして標準化され、定義されている。

オ.アプリケーションの開発プロジェクトでは、以前の成功経験を踏襲した基本的なプ

ロセス規律がある。

① ② ③ ④ 実行計画書 ⑤

R1後-071A01-4

問題9 ITリスクマネジメントに関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.リスクの発見:

組織にあるリスクを様々な角度から洗い出してリストアップし、分類・整理する。

組織の情報資源、業務の観点等から網羅的に行う必要がある。

イ.リスクの算定:

事態が現実になる発生確率と発生した場合の影響の大きさを見積もる。発生確率

は定量的に把握し、影響度は損失額など金額で見積もる必要がある。

ウ.リスクの評価:

発生した場合の関連経費、ステークホルダーへの影響等、あらかじめ決めておい

たリスク基準を参照し、算定したリスクの重大性を判定する。

エ.リスク対応:

リスク対応を機能面で分けると、「リスクコントロール」と「リスクファイナン

ス」に分けられ、これらを組み合わせて効果的なリスク対応を行う。

オ.リスク対策の評価とフィードバック:

対策の実施結果を評価し、その時点でリスクがどのように変化したかの再評価、

さらに実施対策の改善を検討する。

問題10 経営指標に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.KGIは、企業における全体最適の観点から、特定のKGIに絞り込むことなく、

できるだけ多くのKGIを目標として設定することが必要である。

イ.KPI(Key Performance Indicator)は、KGIが時に定性的な指標として設定

されることがあるため、KPIも定性的な指標として設定する場合もある。

ウ.KPIは、企業目標の達成に向けて行われる活動の実行状況を計測するために設定

する指標である。

エ.CSF(Critical Success Factor)は、関係する各部門相互の理解と協力を得る

ためにも、各部門にまたがるCSFを含め、もれなく掲げることが必要である。

オ.KGIの設定に当たっては、KGIと対応するCSFを1対1で対応させることが、

目的の明確化につながる。

R1後-071A01-5

問題11 システム開発で活用される業務分析に関する記述として最も不適切なものは、次

のうちどれか。

ア.業務分析手法のひとつに現場調査がある。この調査は、実際に現場を見ながら、業

務処理量、業務処理時間、品質などの数値データを取得して、現状を明確にするた

めの調査手法である。

イ.業務分析には、経営の仕組みを業務機能の視点で構造的に整理して、現状の業務フ

ローを作成するだけではなく、問題点の明確化及び改善策の立案、さらには業務改

善の実施計画なども含まれる場合がある。

ウ.業務分析で使用されるUMLダイアグラムには、ユースケース図、クラス図などが

あり、それらのダイアグラムは、システム設計だけでなく組織の構造を表現する場

合にも使用される。

エ.業務分析で使用するアクティビティ図は、誰(Who)を表す「ロール」とロール

が何(What)を実行するかを表す「アクティビティ」から構成され、ある事象

の開始から終了までの機能を実行される順序にしたがって記述する。

オ.オブジェクト図は、システムの動的な振る舞いを表現する図で、オブジェクト間の

相互作用を示したもので、内部設計に用いることを目的に作成される。

問題12 生産工程において、ボトルネックを解消して全体を効率化する手法として、よく

利用される「TOC(制約理論)」の継続的改善に関する記述として不適切なもの

は、次のうちどれか。

ア.ボトルネックとなっている工程や設備を見つける。一般的に他の工程よりも時間を

要していたり、仕掛品が滞留している工程や設備がそれに当たる。

イ.ボトルネックとなっている工程や設備を最大限に生かす方法を考える。ボトルネッ

クとなっている工程でなくてもよい作業を外したり、その設備にかける前に不良品

チェックを加えたりする。

ウ.ボトルネック工程や設備に引きずられないように、他の工程や設備が遊ばない方法

を考える。先行できる作業や別の仕掛品製造を事前に行うことで、ボトルネック解

消時の挽回策を検討する。

エ.ボトルネックが解消されない場合には、その工程や設備の能力増強を行う。増員、

交代勤務、設備の追加・改造など費用をかけて効率を上げる。

オ.能力増強により、需要よりも供給過多になればボトルネックが解消したことになる。

さらに、他の工程にボトルネックが移っていないか確認し、改善を繰り返す。

R1後-071A01-6

問題13 業務上発生するインシデント(業務において発生する出来事や事象のこと)の捉

え方として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.人的なインシデントには、内部従業員の不正により情報流出するような、人に起因

する事故がある。

イ.情報システムのインシデントには、パブリッククラウドや外部委託サービスの不具

合や障害は含まれない。

ウ.取引先のインシデントには、取引先の体制変更や取引先の情報システムの改変によ

り、対応を余儀なくされる事象がある。

エ.競合企業のインシデントには、競合企業が特許を取得したり、取引先のM&A等で、

自社の生産・販売に制限がかかるような出来事がある。

オ.法改正などのインシデントには、法規制の改正により自社事業に制限がかかったり、

変更・追加対応を余儀なくされる事象がある。

問題14 現状調査に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.アンケート調査では、多くの人の意見を効率的に収集することが可能であるととも

に、事前に想定していなかった項目を質問することができる。

イ.アンケート調査では、回答者の時間に合わせて回答ができるため、質問は多く用意

しておくほどよい。

ウ.ヒアリング調査では、案件の担当者の意見を直接聞くことにより、業務の詳細が把

握可能となるとともに、展開に応じて、質問を柔軟に変えることができる。

エ.ヒアリング調査を行う場合には、カメラやレコーダー等を使用して内容を正確に記

録することにより、回答者は安心して意見を述べやすくなる。

オ.資料調査では、可視化された情報を収集することにより、常に最新の情報を詳細か

つ効率的に調査・分析できる。

R1後-071A01-7

問題15 X社では、製品やサービスの品質向上のための検討を、下記に示すQFD(品質

機能展開)の手順で行うこととした。A~Cに当てはまる用語の組合せとして適

切なものは、次のうちどれか。なお、品質要素とは品質達成のための項目、企画

品質とは品質達成の基準、要求品質とは品質として要求する内容をそれぞれさす。

QFD(品質機能展開)手順

ア.A:品質要素 B:企画品質 C:要求品質

イ.A:企画品質 B:品質要素 C:要求品質

ウ.A:要求品質 B:品質要素 C:企画品質

エ.A:品質要素 B:要求品質 C:企画品質

オ.A:要求品質 B:企画品質 C:品質要素

1.原始データの作成

2.[ A ]のカード化とグルーピング

3.[ A ]展開表の作成

4.重要度、緊急度などの付与

5.[ B ]設定表の作成

6.[ C ]の抽出

7.[ C ]のカード化とグルーピング

8.[ C ]展開表の作成

9.活動計画表の作成

R1後-071A01-8

問題16 以下の<事例>に基づき、プロジェクトの判断として最も適切なものは、次のう

ちどれか。

<事例>

機械部品の製造販売会社である中堅企業のX社は、顧客への短納期対応と売上高増

大のために、営業部門の各支店で在庫を保有している。製造部門でも営業部門の要

望に対応するため、工場倉庫に在庫を保有している。その結果、X社は同業他社の

約1.5倍の在庫量を抱え込むことになった。

この状況を改善するために業務改善プロジェクトを立ち上げ、顧客への短納期対応

を維持しつつ、在庫を削減するための活動を開始した。

ア.在庫量の多い現状を改善するための対策として、全品目が一律の在庫月数になるよ

うに、在庫水準を設定した。

イ.在庫が多くなる原因として、在庫責任が不明確なことが挙げられた。在庫責任を明

確にする対応策が多々挙げられたが、製造部と営業部の利害関係が絡むため両部長

間で決めてもらうことにした。

ウ.プロジェクトの目的を達成するために、在庫量を他社と同じ水準に変更すること及

び倉庫作業の効率化を目指す改善の実施を最優先テーマとして取り組むことにした。

エ.在庫削減のためにSCM手法を用いて、受注から納品までのリードタイムを短縮す

ることになった。そこで、受注から納品までの一連の社内外活動を調査し、ボトル

ネックを洗い出して対策を策定した。

オ.物流センターを作って在庫の一括管理をする解決案が出された。この案は、在庫削

減効果が大きく投資効率もよいと想定されるものの、センター設立の場所選定と投

資額の算出に時間がかかるため、今後の課題として検討の優先順位を下げた。

問題17 情報システムの導入や運用に関するガイドラインを、政府の各府省・独立行政法

人・一般社団法人・業界団体などが発行している。これらのガイドラインに関す

る記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.政府が発行するガイドラインは法令と同じ扱いのため、遵守しない場合には罰則が

適用される。

イ.政府の情報システム整備に参画する際には、政府共通ルールとして定める「デジタ

ル・ガバメント推進標準ガイドライン」に従わなければならない。

ウ.独立行政法人IPA(情報処理推進機構)や一般社団法人JISA(情報サービス

産業協会)が発行しているガイドラインは、会員でなければ入手できない。

エ.独立行政法人IPAが発行する「共通フレーム2013」は、ソフトウェア業界標準の

ソフトウェア開発方法論とし、導入手順や手法を規定している。

オ.一般社団法人JISAは「情報サービス産業における適正な業務委託契約運用のた

めのガイドライン」にて、ソフトウェア開発・運用の適正な業務委託契約方式を推

奨している。

R1後-071A01-9

問題18 以下の<事例>に基づき、当プロジェクトの目標設定に関する記述として最も不

適切なものは、次のうちどれか。

<事例>

グローバル企業A社は、決算の早期化を目的とした会計システム再構築のプロ

ジェクトを企画している。また、このプロジェクトを通じて、全社員が一般経費

データを自らが直接入力できるレベルのPC操作リテラシー向上も狙っている。

ア.決算早期化の目標として、「現行の決算終了時期よりもxx日間の短縮」と具体的

な数値を掲げ、ステークホルダーの合意をとった。

イ.PC操作リテラシー向上については、定量的な目標設定が困難なため、社員が現状

よりもどの程度スキルを向上させたいかを自ら設定し、自己申告させる方式とした。

ウ.目標の達成度評価をする時期、評価者、評価項目などは、プロジェクト計画段階で

検討することとした。

エ.海外拠点を含む決算早期化の実現には時間がかかるため、国内拠点だけを対象とし

た短期目標をマイルストーンとして設定した。

オ.決算早期化の目標値は、取引先との請求・支払業務などの調整が難航し、目標レベ

ルに到達しない可能性もあるため、プロジェクト途中で見直すことを認めることに

した。

問題19 X社とY社は競争関係にあり、X社がX1、X2、X3戦略を、Y社がY1、Y

2、Y3戦略を取った場合の組合せによるX社の利益は、下の表のようになって

いる。下の表を基にしたX社が取るべき戦略の記述として不適切なものは、次の

うちどれか。

(単位:億円)

ア.X社のマクシマックス(最大利益の最大化)戦略は、X1である。

イ.X社のマクシミン(最小利益の最大化)戦略はX3である。

ウ.Y社のミニマックス(最大利益又は最大被害の最小化)戦略は、Y3であるとする

と、X社が取るべき戦略は、X3である。

エ.Y社がY1、Y2、Y3の戦略を取る確率を3分の1ずつとすると、X社が取るべ

き戦略はX3である。

オ.Y社がY1、Y2、Y3の戦略を取る確率をそれぞれ30%、40%、30%とすると、

X社が取るべき戦略はX2である。

Y社

Y1 Y2 Y3

X社

X1 60 20 10

X2 30 50 20

X3 40 40 30

R1後-071A01-10

問題20 業務改善は可視化と定量化が重要である。自社で研究開発から製造販売まで行う

企業における業務プロセスに関するKPIの設定として最も不適切なものは、次

のうちどれか。

ア.研究部門は、研究成果を幅広く求めるために、実験回数をKPIに設定した。

イ.購買部門は、調達リードタイム改善のために、サプライヤー納期遵守率をKPIに

設定した。

ウ.生産部門は、製造コスト削減のために、製造品質不具合件数をKPIに設定した。

エ.営業部門は、売上高向上のために、品切れ率をKPIに設定した。

オ.物流部門は、物流費削減のために、倉庫ごとの安全在庫月数をKPIに設定した。

問題21 ERPを前提にした情報システム構築プロジェクトの責任者として、プロジェク

ト関係者に対する基本方針や留意事項に関する記述として不適切なものは、次の

うちどれか。

ア.ユーザー部門:ユーザー部門の代表者は、ERP機能と業務のFit&Gap分析におい

て、適切な判断ができ、かつユーザー部門への影響力がある人材が担当してほしい

旨要請する。

イ.SI事業者:初めてのERP導入で社内に経験者がいない場合、SI事業者は、十

分な経験がある事業者を選定し、中核部分の多くを任せる。

ウ.CIO:新システムと中長期情報化計画との擦り合わせやITガバナンスの観点な

ど、プロジェクト計画立案に際して十分な合議を重ねる必要がある。

エ.ERP製品ベンダー:ERPの選定は、機能面や価格面だけでなく、業界のシェ

アーやベンダーの姿勢なども考慮し、製品の長期的な成長の可能性も重視する。

オ.社内プロジェクト要員:情報システムに対する適性や将来希望なども、ある程度考

慮したうえで、技術的な能力だけでなく、プロジェクトマネジメント能力の育成に

も配慮する。

R1後-071A01-11

問題22 日本企業の情報システム部門が共通的に抱えていると言われる問題、課題に関す

る記述として最も不適切なものは、次のうちどれか。

ア.情報システムの開発時は、システム要員のピークカット対策として外部にリソース

を求める傾向が強い。このため情報システム部門自身が技術力の空洞化を招きやす

い。

イ.情報システム部門は専門性が強いので、情報システム子会社として独立させるケー

スがある。しかし親会社にとっては、ユーザー連携、業務スキル向上、攻めのIT

システム構築といった面でマイナスに作用することが多くなる。

ウ.情報システム部門のガバナンスが弱いと、ユーザー部門とベンダーだけで部門シス

テムを導入することが多くなる。これをシャドーITと呼ぶが、後々システムの保

守や運用が立ち行かないので、情報システム部門に支援要請を求めることが多い。

エ.デジタルトランスフォーメーション時代を迎えるには、日本企業の情報システムは

「2025年の崖」を克服する必要があると経済産業省が研究会レポートで報告した。

これは頻発するサイバー攻撃に対して、早急に対策を講じるよう警告した内容であ

る。

オ.情報システム部門は属人性の強い業務なので、部門責任者はシステムの安定的な維

持を考えると、部員の積極的ローテーションはしにくい。このため長く在籍する部

員が多くなり、モチベーションの維持に苦労する。

問題23 A社では、従来からシステム開発はウォーターフォール型で行い、一部をSI事

業者に請負契約で委託してきた。このたび、基幹業務システムの再構築を行うこ

ととなり、アジャイル開発手法の適用を検討している。下記のアジャイル開発に

関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.要求定義から実装まで増減が少ない一定の要員数で賄うことができるため、ウォー

ターフォール型に比べて工数ベースの見積りが正確に行える。

イ.ユーザー要求や設計要件は全て口頭あるいはメモで指示を行うため、ドキュメント

を作成する必要がない。

ウ.開発プロジェクトの要員スキルは、ユーザーとの折衝能力よりもプログラミング能

力の方がより要求される。

エ.一手法としてペアプログラミングがあるが、通常のプログラミングに比べて2倍の

工数が必要となる。

オ.外部に委託する場合には、繰返し回数、検収期間、検収方法、最終納期等の作業条

件を明確にすることにより契約上のトラブルを避けることができる。

R1後-071A01-12

問題24 情報システムの開発プロセスと開発モデルに関する記述として不適切なものは、

次のうちどれか。

ア.ERPなどの大型パッケージ利用は、基幹業務等に適用される。まずFit&Gap分析

を実施してパッケージの標準プロセスを当てはめるのが基本である。

イ.個別開発(スクラッチ開発)は、企業固有の戦略的ビジネスモデル支援や個別の

ニーズに沿ったシステムなどに適用される。この開発モデルは業務の機能要件を十

分に検討し、確定したうえでシステムの開発に取り掛かるなど手順を重視すること

が重要である。

ウ.多数の企業で共通性のある業務は、クラウドのSaaSを選択することが多い。導

入に際しては最適なソリューションを選択する能力と既存システムとの整合性の配

慮がポイントである。

エ.情報共有、データウェアハウスなど、情報系システムは、企業の各種業務で利用さ

れる。開発プロセスで注力すべきことは、データ中心アプローチ手法によるデータ

ベース設計と、ウォーターフォールモデルによる段階的な開発である。

オ.リバースエンジニアリング手法は、情報システム再構築の開発手法のひとつである。

リバース情報の精度や活用は、リバースツールの機能や性能に影響されるのでツー

ル選択が重要である。

問題25 アジャイル開発に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.アジャイル開発は、開発の途中で仕様の変更や追加が予想されるプロジェクトに向

いている手法である。最初に厳密な仕様を決定しないため、途中変更の多いプロ

ジェクトと相性が良いといえる。反面、既に作るべき機能が明確に決まっているシ

ステムの場合には、アジャイル開発よりもウォーターフォール開発が適している。

イ.アジャイル開発のメリットは、不具合が発覚した際に戻る工数が少ないことである。

従来のウォーターフォール開発の場合には、間違いがあれば戻る工数が大きく、時

間やコストが膨大に膨らむ可能性があった。しかしアジャイル開発の場合は、小さ

な単位で計画から設計、実装、テストを繰り返すので、戻る分の工数も少ない。

ウ.アジャイル開発のデメリットは、計画段階で厳密な仕様を決めていないため、開発

の方向性がぶれやすい事である。そしてアジャイル開発では計画を詳細に立案しな

いため、スケジュールや進捗具合が把握しにくく、チームごとに小単位で開発を繰

り返すため、全体を把握しきれずに、納期に間に合わないということも発生する。

エ.アジャイル開発の特徴は、イテレーション(iteration)と呼ばれるサイクルを繰

り返して開発を進める。イテレーションとは「反復」という意味で、小さな単位に

分けられた開発を計画、設計、実装、テストを行いながら、機能のリリースを繰り

返す。

オ.アジャイル開発の中には、いくつかの考え方に基づいた開発モデルがある。その中

でも代表的なモデルは、スパイラルモデル、インクリメンタルモデル、プロトタイ

ピングモデルと言われていて、チームの編成方法や、開発対象のソフトウェアに

よって使い分ける。

R1後-071A01-13

問題26 最近よく使われているシステム開発やソフトウェア開発の言語に関する記述とし

て適切なものは、次のうちどれか。

ア.C++は、C言語を基にしたオブジェクト指向言語で、ゲームやゲームエンジン、デ

スクトップアプリ、モバイルアプリ、Webアプリにも使用されている。また、オブ

ジェクト指向言語なので高い保守性を持っている。

イ.Javaは、WebアプリケーションやAI開発の際に使用され、シンプルであるこ

とが言語の特徴である。また標準として備えているライブラリーが豊富であること

も知られている。

ウ.Rubyは、サーバー側のスクリプト言語で、Rubyのコードで何をするか概念化が容易

なため初心者向けの言語と考えられている。この言語はWeb向けに特化されているの

で、多くのWebサイトはRubyで構築されている。

エ.Pythonは、汎用性のある言語としてAndroidアプリ、デスクトップアプリやゲーム

に使用されている。また企業のバックエンドの開発にも使用されている。

オ.RPGは、かなり早い時期から使われている手続き型言語である。ビジネス用のシ

ステムに向いていて英語表記で書きやすい特性から現在でも使われている。

R1後-071A01-14

問題27 以下の<DFD>で示すシステムについて、ファンクションポイント法により規

模を見積もることとなった。表に示すインタフェース数での重み付けにより、3

つのプロセスの開発規模を見積もる場合の記述として適切なものは、次のうちど

れか。

<DFD>

[表]

外部媒体 インタフェース数による重み

入力ファイル 2

マスタ参照 1

出力ファイル 4

入力画面 6

出力画面 5

ア.プロセスAとプロセスBの開発規模は同じである。

イ.プロセスAはプロセスBよりも開発規模が小さい。

ウ.プロセスBはプロセスCよりも開発規模が大きい。

エ.プロセスAはプロセスCよりも開発規模が大きい。

オ.プロセスAとプロセスCの開発規模は同じである。

入力画面1

プロセスC

プロセスB

プロセスA

エンティティ1

マスター

エンティティ2

エンティティ3

エンティティ4

出力画面1

入力画面2 出力画面3

エンティティ5

エンティティ6

出力画面4

出力画面2

入力画面3

R1後-071A01-15

問題28 携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの携帯情報端末を企業内システムに

適用する際のユーザーインタフェース設計に関する記述として最も適切なものは、

次のうちどれか。

ア.携帯情報端末では、標準的なスクリーンタッチやキーボードレスなどに対応した画

面設計標準を作成すべきである。

イ.携帯情報端末には、多種多様な機種があり、それぞれに対応したインターフェース

設計が必要となる。そのため、より多くの機種対応ができる開発体制の整備が必要

となる。

ウ.携帯電話とスマートフォンとで操作性をそろえるため、画面のデザイン(レイアウ

ト)を統一すべきである。

エ.企業内システムとしての機密保護の観点から、直感的な操作はできないような設計

とすべきである。

オ.在庫更新など外出先での携帯情報端末からのデータベース更新処理は、インター

ネット接続の切断などを考慮し、照会機能にとどめるべきである。

問題29 ファイル編成方式は、大きく分けると「順編成ファイル」「索引順編成ファイル」

「直接編成ファイル」「区分編成ファイル」「VSAMファイル」の5つに分類さ

れる。そのうちの「VSAMファイル」の特徴に関する記述として適切なものは、

次のうちどれか。

ア.5種類のファイル編成方式のうち、記憶媒体の利用効率が最も良い。

イ.ファイルの中は、制御インターバル (CI) と制御域 (CA) で構成される。

ウ.1つのディレクトリと複数のメンバーから構成される。

エ.レコードの物理的な位置を指定する方式であるため、レコードの投入順を常に意識

する必要がある。

オ.索引順編成ファイルと同等のアクセスをVSAMファイルで実現する方式は、「E

SDS」と呼ばれる。

R1後-071A01-16

問題30 以下の<事例>において、問題を防止するためにとるべきであったA氏の行動と

して最も適切なものは、次のうちどれか。

<事例>

A氏は自社の情報共有ポータルの開発プロジェクトにてPM(プロジェクトマ

ネージャー)として任命された。開発リーダー3名は社内のA氏の部下である。総

工数は120人月であるが、法規制への対応も含まれているため、6カ月後に稼働させ

ることが必須要件であった。

プロジェクトを開始して要件定義を実施したが、エンドユーザー側の意見がまと

まらず、要件定義工程終了時点で計画よりも1カ月遅延していた。

設計工程に入ったところで、A氏は、PMの交代が検討されているという噂を耳

にした。A氏は開発リーダーに、プロジェクトが破綻の危機にあることを伝え、危

機感をあおった。

上層部やエンドユーザーからは進捗遅れに関する質問が相次いでいたが、自分の

立場に不安を感じていたA氏は、それらに全て回答する方針としたため、開発リー

ダーやプロジェクトメンバーは残業や徹夜での対応を余儀なくされた。

結果としてA氏はPMの地位にとどまったものの、遅延は解消せず、メンバーの

離脱も相次いだことで、予定通りの稼働はできなかった。

ア.要件定義工程終了時点で、稼働時期を延伸すべく、プロジェクト計画の見直しを行

うべきであった。

イ.設計段階に入ったところで、開発要員を追加して、メンバー各自の負荷を減らすよ

うに体制を見直すべきであった。

ウ.噂を耳にした時点で、上層部に自分の交代は不当である旨訴えて、開発リーダーた

ちの不安を解消するべきであった。

エ.自分のPMとしての能力を冷静に判断し、速やかに他のPMへの交代を上層部へ申

し出るべきであった。

オ.エンドユーザーからの意見に全て対応するのではなく、きちんと問題分析と対応策

を策定した上で、自らの意思をステークホルダーに示すべきであった。

問題31 情報システムのテスト体制に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.受入テストとは、システム開発の依頼があった部門への納入時に、開発部門が行う

テストの事である。

イ.運用テストとは、ユーザー部門が実際の運用と同じ条件で、システム性能要求を満

たすことを確認するテストである。

ウ.テスト結果判定基準は、テストが終了したかを判断するものであり、テスト実施者

が、テスト計画書に記入する。

エ.テストは、ソフトウェアが安心して使えることを保証するものであり、バグがない

ことを証明するものでもある。

オ.テストの体制を開発組織から分離した第三者テストを行うケースにおいては、開

発の進捗に遅れが生じても、テスト要員の手待ちにならない工夫が必要になる。

R1後-071A01-17

問題32 以下の<事例>に基づき、システム移行に関する記述として不適切なものは、次

のうちどれか。

<事例>

K社では、部門ごとに導入されていた営業システム、資材システム及び会計シス

テムを統合して、新しいシステムを再構築し、実運用に移行することとした。

ア.移行計画は、営業・資材・会計等の業務部門に対し、その内容を周知しておくとと

もに、適切なマニュアルの作成、教育等を含めた十分な準備が必要である。

イ.現在稼働中のシステムと新システムとを並行して運用することは、情報化資源を二

重に管理することとなり、負担が大きくなるが、新システムに要求された品質を確

保するには有効な方法である。

ウ.移行作業は営業・資材・会計部門が主導で行い、システム開発部門はサポート要員

として移行を遂行する。しかし、移行後はシステム開発部門が主体的に動かなければ

ならない。

エ.移行作業がうまくいかない場合に備えて、現行システムの最新データのバックアッ

プを取っておくことが重要である。

オ.移行においては、業務手順・ルールの変更等の業務の移行と、アプリケーションプ

ログラムやデータ等のシステムの移行が行われることから、移行計画では、時間、予

算、人材に余裕を持たせておくことが必要である。

R1後-071A01-18

問題33 以下の<事例>に基づき、この作業項目を実施すべき順番に並べたものとして適

切なものは、次のうちどれか。

ただし、a~gには今回の調達においては必須ではない項目が含まれているの

で、それを除いた順番とすること。

<事例>

中堅流通業A社では、5年前に開発した既存の基幹業務システムを改修して使い

やすくするために、開発作業を外部委託することにした。その調達の責任者となっ

たB氏は、調達計画を立案するために、必要と思われる作業項目を以下のa~gの

通り列挙した。

<B氏の考えた作業項目>

a.RFP(Request For Proposal)を発行する。

b.RFI(Request For Information)を発行する。

c.適用できそうなパッケージソフトのカタログを集める。

d.開発ベンダーを選定する委員会のメンバーを決める。

e.今回の調達における概算の予定価格を設定する。

f.開発ベンダーからの提案に対する評価基準書を作る。

g.新聞に今回の調達の公告を載せて提案ベンダーを募る。

ア.e → f → d → a → ベンダーからの提案書を受領

イ.e → a → b → g → ベンダーからの提案書を受領

ウ.b → c → f → a → ベンダーからの提案書を受領

エ.c → d → b → f → ベンダーからの提案書を受領

オ.a → e → f → g → ベンダーからの提案書を受領

問題34 運用サービスに求められる要件と運用業務に関する記述として不適切なものは、

次のうちどれか。

ア.いつでも使えるという高可用性の実現のため、ネットワーク機器・サーバーなど資

源の使用状況と各種エラーログの監視を行う。

イ.ストレスを感じることのない良好な応答時間の確保のため、リアルタイムでの性能

監視を行う。

ウ.ITサービスを効果的・安定的に提供するのに必要なハードウェアやソフトウェア

の構成管理を行うためには、それらすべてに個別識別番号を付与することが必要で

ある。

エ.セキュリティの確保のため、リアルタイムでのモニタリングと発生イベントへの対

応、及びログの解析とレポートの作成を行う。

オ.サービスレベルの適正な管理のため、サービスレベル項目ごとの目標値の監視・評

価とベースになる問題管理、変更管理、キャパシティ管理を行う。

R1後-071A01-19

問題35 情報化資源の調達先の選定に関する記述として最も適切なものは、次のうちどれ

か。

ア.情報化資源調達における評価基準を作成する際、定量的評価が難しい項目は入れな

い方がよい。

イ.情報化資源調達においては、選定計画書の作成時に、委託先候補の選定基準を明確

にしておく方がよい。

ウ.情報化資源調達においては、IT専門用語が多く使用されるため、評価委員はIT

知識の豊富さを基準に選定する方がよい。

エ.情報漏えいのおそれがあるため、情報化資源調達の選定から漏れたベンダーに対し

ては、評価結果の詳細は通知しない方がよい。

オ.情報化資源調達において、一旦、選定委員会が選定した結果は覆すことはできない

ので、期限にこだわらずに慎重に検討する方がよい。

問題36 物流センター業を営むA社では、物流KPIシステムを導入することになった。

物流KPIシステムに関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.物流KPIシステムは、入荷検品、ピッキング、出荷検品などの物流業務における

各作業実績データを取得し、各指標を分析することにより、物流業務の状況を可視

化するシステムである。

イ.物流KPIシステムでは、現場の業務プロセスを、KPIによってモニタリングす

るため、PLAN、DO、CHECK、ACTIONのマネジメントサイクルを回

すことが必要である。

ウ.物流KPIシステムでは、各種のKPIを設定することが可能であるが、物流KPI

のひとつである納期遵守KPIは、作業管理項目ごとの納期遅延を把握し、顧客

サービスの向上に活用できる指標である。

エ.物流KPIのひとつである配送KPIは、倉庫内のピッキング作業の実績データを

把握して、在庫品目別に重要度や優先度を明らかにし、最適な在庫管理方法を検討

する際の指標であり、ABC分析とともに活用される。

オ.物流KPIシステムでは、ハンディ・ターミナルから実績データを取得し、WMS

(Warehouse Management System)に入力し、目標とするKPIと比較・分析すること

により、物流現場のビジネスプロセスを可視化することが可能となる。

R1後-071A01-20

問題37 ファームバンキングに関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.金融機関のコンピュータと法人顧客の専用端末、パソコンなどを通信回線で結び

データの送受信を行うサービスとインターネットを利用する個人向けサービスを含

めた総称をファームバンキングと呼ぶ。

イ.金融機関側のメリットとして、通信回線を介して、振込などのデータを直接システ

ムで処理できるため、各営業店舗における経理事務が合理化され処理効率が向上す

る。

ウ.法人顧客側のメリットとして、金融機関の訪問や郵便などで問合せがなくなるため、

資金管理に携わる工数だけでなく回収及び支払事務の効率化が図れる。

エ.ファームバンキングは、個別の金融機関が提供するデータ通信サービスであるが、

複数の金融機関が同様のサービスを提供し運用を共同化するために設けたのが共同

CMSセンターである。

オ.金融機関と法人顧客間で送受信できるデータとして、金融機関から法人顧客へは、

口座への入金情報、入出金明細、残高など、一方、法人顧客から金融機関へは、従

業員の給与振込、支払振込、口座振替などがある。

問題38 生産、マーケティング、物流などのプライマリー部門におけるパッケージソフト

の選定と活用のポイントとして不適切なものは、次のうちどれか。

ア.対象顧客が継続的な取引がある法人企業中心か、一元的な個人顧客中心であるかは、

パッケージソフト選択の考えに大きな差はないので、BtoB型であるのか、BtoC

型であるのかを考慮する必要はない。

イ.IoTを導入し生産の高度化と生産性向上を実現させるためには、より詳細な管理が

求められ、製造実行管理システム(MES:Manufacturing Execution System)の導

入を検討する。

ウ.販売形態が、製造販売系であるのか、商品仕入販売系であるのかでは、パッケージ

ソフト選択の考えが異なるので、その点を考慮し自社に最適なパッケージソフトを

選択する。

エ.生産販売部門での取引先との密なデータ交換やマーケティング部門での不特定な

データ収集と分析のため、今後はWebとの連携が欠かせない点を考慮し、パッケージ

を選択する必要がある。

オ.物流現場では、モノの状態に応じた細かな管理、荷姿や日付の管理、その特性に応

じた置き場所の管理が必要になり、その対応をスムーズにするため、倉庫管理シス

テム(WMS)の導入を検討する。

R1後-071A01-21

問題39 以下の<事例>に基づき、SaaSを効果的に利用するためにS社側で検討する

事項に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

<事例>

国内携帯電話メーカーに部品を納入してきたS社は、最近海外からの引合、注文が

増加してきたため、SaaS(Software as a Service)を利用して新たな業務シス

テムを構築することになった。インターネットでサービスを提供するSaaS提供

者の選択やSLA(Service Level Agreement)を検討している。

ア.SaaSは大企業の情報システムにも負けない高度な業務処理サービスの提供も可

能であるが、導入するSaaSが自社の経営の成熟度に適合しているものかどうか

検討する。

イ.IT環境に関しては、まず自社の利用量に見合った高速かつ安定したインターネッ

ト接続環境の整備、社内ネットワークの構成を検討する。

ウ.SaaSを利用する場合は、端末機のOSやWebブラウザなどのシステム環境につ

いて検討する必要はないが、インターネットを活用するリスクや情報漏えい等につ

いての教育を検討する。

エ.SaaS利用に関して、例えばデータ入力については、「送信」ボタンを押すまで

は入力内容が反映されないなどWebアプリケーションの特徴についての教育を検討す

る。

オ.SaaSに支障があった場合の業務プロセスへの影響を分析し、SLAへの反映や

リスク対策を検討する。

問題40 マルウェアに関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.トロイの木馬は、何らかの有用なソフトウェアなどを装って導入や実行を促し、起

動すると利用者に気付かれないよう、秘密裏にデータ漏えいや遠隔操作などの有害

な動作を行うソフトウェアである。

イ.ワームは、ソフトウェアの脆弱性や利用者の誤認などを悪用してコンピュータ内に

自身を複製して感染し、他のプログラムの動作を妨げ、利用者の意図に反する有害

な作用を及ぼすためのプログラムで、感染機能や自己拡散機能を持つ。

ウ.スパイウェアは、ユーザーの恐怖心をあおるための警告メッセージ(PCから違法

動画やウイルスが検出された等)を表示し、問題を解決するためには所定の金額を

支払うようにと脅すプログラムである。

エ.マルウェアとしてのボットは、感染したコンピュータに常駐して、攻撃者からの指

令により、他のコンピュータやネットワークへの攻撃や、サーバーからのファイル

の盗み出しなど有害な動作を行うプログラムである。

オ.ランサムウェアは、コンピュータをロックし重要なファイルを暗号化して読めなく

するなどして被害者を困らせ、指定された方法で金品を送れば元に戻すと脅迫する

プログラムである。