12
9 9 2.防災操作 ※一般の方に分かりやすい用語の使用とするため、 「洪水調節」から「防災操作」に項目名を改めた。

2.防災操作9 9 2.防災操作 ※一般の方に分かりやすい用語の使用とするため、 「洪水調節」から「防災操作」に項目名を改めた。10 10

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99

2.防災操作

※一般の方に分かりやすい用語の使用とするため、「洪水調節」から「防災操作」に項目名を改めた。

1010

洪水調節による貯留量

計画高水流量(700m3/s)

洪水調節量(580m3/s)

計画最大放流量(150m3/s)

(m3/s)

流入量

放流量

時間

計画降雨量(346.6mm)※3日雨量:計画規模1/100

ピーク流入時のダム地点放流量(120m3/s)

自然調節放流

防災操作1

札内川ダムは、ダム地点の計画高水流量700m3/sに対して120m3/s(計画最大150m3/s)を放流し、最大580m3/sの防災操作を行う。

◆ダム地点防災操作模式図

札内川ダムの防災操作計画

◆十勝川流量配分図

茂岩

帯広

● ●

浦幌十勝川(1,500)1,500

(4,600)

3,900

(1,600)

1,500

(15,200)13,700

(3,200)

2,700

(11,100)10,100

(4,200)3,400

(1,700)

1,700

(6,800)6,100

(1,000)

1,000

(1,100)

1,100

:上段 基本高水流量:下段 計画高水流量

: (単位 m3/s)

佐幌川

芽室川

美生川

札内川

猿別川

太 平 洋

浦幌十勝導水路

利別川

音更川

然別川

十勝ダム

(1,700)

1,700

(1,7

00)

1,700

芽室太●

千代田●

札内川ダム

南帯橋●

十勝川

1111

・十勝川流域では、平成28年8月~9月に北海道に連続して上陸・接近した台風・低気圧に伴う降雨により、洪水が連続して発生した。

・平成28年8月28日~31日の総雨量は戸蔦別観測所が532mm、札内川ダム観測所が471mmであり、既往の主要洪水を大きく上回る雨量を記録した。

札内川ダム建設後の洪水被害防災操作2

<平成28年8月洪水における札内川の被災箇所> 札内川・戸蔦別川合流点付近

札内川KP40.8L付近

1212

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

最大

流入量

(m3

/s)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

2011(H23)-09-03

2003(H15)-08-10

2005(H17)-09-08

2001(H13)-09-11

1999(H11)-07-31

1998(H10)-08-28

2002(H14)-08-09

1998(H10)-10-15

2002(H14)-10-02

2008(H20)-07-23

1998(H10)-05-02

1999(H11)-09-25

2010(H22)-07-27

1998(H10)-10-18

2003(H15)-05-08

2010(H22)-08-12

1999(H11)-10-02

1998(H10)-09-16

2001(H13)-08-23

1998(H10)-04-13

2000(H12)-07-09

2010(H22)-08-01

1998(H10)-09-23

2008(H20)-05-20

2010(H22)-05-07

2006(H18)-05-11

2010(H22)-07-29

2009(H21)-11-01

2011(H23)-09-05

2004(H16)-05-04

2002(H14)-11-12

2011(H23)-09-22

2004(H16)-08-31

2000(H12)-09-03

2006(H18)-08-19

2004(H16)-05-14

2007(H19)-09-06

2003(H15)-04-30

2009(H21)-05-18

2002(H14)-10-07

2016(H28)-08-31

2014(H26)-08-11

2013(H25)-09-05

2016(H28)-08-17

2017(H29)-09-18

2015(H27)-10-02

2016(H28)-09-09

2013(H25)-09-16

2016(H28)-08-23

680

680

674

674

563

563

441

441

391

391

384

384

383

383

377

377

368

368

320

320

271

271

269

269

266

266

264

264

260

260

245

245

238

238

234

234

229

229

227

227

223

223

219

219

213

213

213

213

211

211

197

197

194

194

193

193

193

193

179

179

177

177

174

174

172

172

171

171

170

170

169

169

169

169

166

166

165

165

154

154

725

725

536

536

478

478

390

390 356

356

289

289 267

267

267

267

225

225

停滞

前線

台風

10号

台風

14号

台風

15号 低気

前線

前線

前線

台風

21号 低気

圧 低気

台風

18号

気圧

の谷

台風

10号

前線

低気

低気

台風5号

台風

11号

低気

台風

3号

前線

台風

7号

低気

融雪

低気

圧・

融雪

低気圧

低気

停滞

前線

低気

圧・

融雪

低気

停滞

前線

台風

16号

前線

低気

低気

前線

によ

る降

前線

低気

圧・

融雪

低気圧

台風

10号

台風

11号

前線

と低

気圧

台風

7号

台風

18号

台風

11号

温帯

低気

圧(台

風12号

)

台風

18号

台風

9号

最大流入量最大流入量

気象要因

気象要因

最大流入量最大流入量

対象期間の洪水調節実績 H25(2013)~H29(2017)

管理開始以降の洪水調節実績

防災操作3

・札内川ダムは平成10年の管理開始から20年間で49回の防災操作を行っている。・平成25年~29年の5年間で9回の防災操作を行っており、平成28年8月31日には管理

開始以降、最大流入量となる725m3/sの洪水に対して防災操作を実施した。

既往洪水における防災操作実績

◆札内川ダム管理開始以降の防災操作実績

H28(2016).8.31(台風第10号)725m3/s

1313防災操作4

平成28年8月洪水時の降雨状況

・8月17日~23日の1週間に台風第7号、第11号、第9号が連続して北海道に上陸し、道東を中心に大雨により河川の氾濫や土砂災害が発生した。

・8月29日から31日には台風第10号が北海道に接近したことに伴い、札内川ダムの流域平均雨量は394mmに達し、記録的な大雨となった。

「気象庁台風位置表」を基に作成

平成28年8月~9月に北海道へ上陸・接近した台風の経路

気象庁レーダ合成雨量(平成28年8月29日0時~31日23時)

1414

ダム洪水量150m3/s

0

50

100

150

200

250300

350

400

450

500

550

600

650

700

750

800

流量(m3/s)

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 142016-08 2016-09

洪水貯留準備水位EL466.0m

洪水時最高水位EL484.0m

455

460

465

470

475

480

485

490

貯水位(EL.m)

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 142016-08 2016-09

0

10

20

30

40

雨量(mm/hr)

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 142016-08 2016-09

0

100

200

300

400

累積雨量(mm)

ダム流入量

ダム放流量ダム放流量

既往最大流入量約725m3/s

台風12号に伴う次期出水に備え放流量を増加し、貯水位を低下

台風第7号 台風第11号 台風第9号 台風第10号温帯低気圧

(台風第12号)

平成28年8月豪雨による流域平均総雨量約730mm

台風12号に伴う次期出水に備え放流量を増加し、貯水位を低下

8月30日20時20分非常用洪水吐きから越流8月30日20時20分非常用洪水吐きから越流

洪水調節洪水調節 洪水調節 洪水調節

防災操作5平成28年8月豪雨における防災操作

・平成28年8月~9月に北海道に連続して上陸、接近した台風・温帯低気圧に伴う洪水に対して、計4回の防災操作を実施した。

・この間の8月31日には既往最大流量725m3/sの洪水が流入した。防災操作によりダムの治水容量を使い切り、非常用洪水吐きからの越流が生じた。

・台風12号に伴う次期出水に備え、放流量を増加し貯水位を低下する操作を行った。

1515

ダム流入量

ダム放流量

ダム洪水量150m3/s

0

50

100

150

200

250300

350

400

450

500

550

600

650

700

750

800

流量(m3/s)

12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 182016-08-29 2016-08-30 2016-08-31

洪水貯留準備水位EL466.0m

洪水時最高水位EL484.0m

455

460

465

470

475

480

485

490

貯水

位(EL.m)

12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 182016-08-29 2016-08-30 2016-08-31

0

10

20

30

40

50

雨量(mm/hr)

12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 182016-08-29 2016-08-30 2016-08-31

0

100

200

300

400

500

累積

雨量(mm)

降水量

ダム流入量

ダム放流量ダム放流量

最大流入量約725m3/s

最大約530m3/sの流量を低減最大約530m3/sの流量を低減

8月30日20時20分 非常用洪水吐きから越流8月30日20時20分 非常用洪水吐きから越流

総降雨量351.2mm総降雨量351.2mm

防災操作6平成28年8月31日洪水における防災操作実績

・平成28年8月~9月の連続した洪水において、8月31日には札内川ダムでピーク流入量約725m3/sを伴う過去最大の洪水が流入した。

・札内川ダムの防災操作により、ダム下流への放流量を最大約530m3/s低減した。当該洪水では防災操作により洪水調節容量を使い切り、非常用洪水吐きからの越流が生じた。

非常用洪水吐きからの越流

1616防災操作7

平成28年8月31日洪水における水位低減効果①

・平成28年8月~9月の連続した洪水において、8月31日には札内川ダムの防災操作により上札内地点の水位を約0.5m低減した。

・ダムの防災操作により、氾濫注意水位に到達する時間をダムがない場合と比較して約11時間遅らせる効果を得た。

・ダムの防災操作により、河道水位が高い時間を短縮したことで、低水護岸及び堤防の負担を減じる効果を得た。

◆上札内地点における水位低減効果(平成28(2016)年8月31日洪水)

ダムがない場合EL249.91mダムがない場合EL249.91m

ダムによる洪水調節EL249.44mダムによる洪水調節EL249.44m

計画高水位(HWL)EL250.37m計画高水位(HWL)EL250.37m

246

247

248

249

250

251

252

253

254

標高(EL.m)

246

247

248

249

250

251

252

253

254

標高(EL.m)

00 03 06 09 12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 18 21 002016-08-30 2016-08-31

水防団待機水位EL248.8m水防団待機水位EL248.8m

氾濫注意水位EL249.3m氾濫注意水位EL249.3m

ダムがない場合上札内水位観測所横断図:河道測量41.8k ダム洪水調節後

氾濫注意水位に到達する時間約11時間遅らせる効果

上札内

1717

98

99

100

101

102

103

104

105

106

107

108

109

標高(EL.m)

98

99

100

101

102

103

104

105

106

107

108

109

標高(EL.m)

00 03 06 09 12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 18 21 002016-08-30 2016-08-31

計画高水位(HWL)EL104.96m計画高水位(HWL)EL104.96m

水防団待機水位EL102.2m水防団待機水位EL102.2m

氾濫注意水位EL102.8m氾濫注意水位EL102.8m

避難判断水位EL103.5m避難判断水位EL103.5m

氾濫危険水位EL104.2m氾濫危険水位EL104.2mダムによる洪水調節EL104.50mダムによる洪水調節EL104.50mダムがない場合EL104.50mダムがない場合EL104.50m

ダムがない場合第二大川橋水位観測所横断図:河道測量20.6k ダム洪水調節後

避難判断水位に到達する時間約9時間遅らせる効果

防災操作8平成28年8月31日洪水における水位低減効果②

・平成28年8月~9月の連続した洪水において、8月31日には札内川ダムの防災操作により第二大川橋地点の水位を低減した。

・ダムの防災操作により、避難判断水位に到達する時間をダムがない場合と比較して約9時間遅らせる効果を得た。

・ダムの防災操作により、河道水位が高い時間を短縮したことで、低水護岸及び堤防の負担を減じる効果を得た。

◆第二大川橋地点における水位低減効果(平成28(2016)年8月31日洪水)

第二大川橋

1818

計画高水位(HWL)EL79.31m計画高水位(HWL)EL79.31m

水防団待機水位EL76.6m水防団待機水位EL76.6m

氾濫注意水位EL77.4m氾濫注意水位EL77.4m

72

73

74

75

76

77

78

79

80

81

82

83

標高

(EL.m)

72

73

74

75

76

77

78

79

80

81

82

83

標高

(EL.m)

00 03 06 09 12 15 18 21 00 03 06 09 12 15 18 21 002016-08-30 2016-08-31

※水位計流失のため欠測

氾濫注意水位に到達する時間約4時間遅らせる効果

ダムがない場合EL79.53mダムがない場合EL79.53m

ダムによる洪水調節EL79.47mダムによる洪水調節EL79.47m

ダムがない場合南帯橋水位観測所横断図:河道測量15.0k ダム洪水調節後

防災操作9平成28年8月31日洪水における水位低減効果③

・平成28年8月~9月の連続した洪水において、8月31日には札内川ダムの防災操作により南帯橋地点の水位を低減した。

・ダムの防災操作により、氾濫注意水位に到達する時間をダムがない場合と比較して約4時間遅らせる効果を得た。

・ダムの防災操作により、河道水位が高い時間を短縮したことで、低水護岸及び堤防の負担を減じる効果を得た。

◆南帯橋地点における水位低減効果(平成28(2016)年8月31日洪水)

南帯橋

南帯橋水位局は平成28(2016)年8月31日3時から平成29(2017)年4月19日10時まで欠測

1919防災操作10

副次的効果(流木等流出抑制効果)

札内川ダムにおいて流木等が捕捉されたことで、ダム下流域の災害防止に貢献した。

◆流木の有効利用・近隣の自治体と有効利用に関する協定を締結

・ダム下流の流木処理施設に運搬して、リサイクル処理

・粉砕後の流木を家畜の敷き藁等に利用

家畜の敷き藁への利用チップ化処理状況

◆流木回収量の推移 ◆流木の回収・網場で捕捉した流木を小型船で曳航

・陸揚げした後、集積してトラックに積み込み運搬

小型船による曳航 陸揚げ、集積

H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

流木回

収量(m3)

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

660760

200

1500

1040

3500

820

1810

540

280

530 571486

1400

600

806

1490

680

1000

1330

札内川ダム

2020防災操作11 防災操作のまとめ◆防災操作のまとめ

項目 まとめ

防災操作実績

●平成25年~29年の5年間で9回の防災操作を実施した。

●平成28年8月~9月に北海道に連続して上陸、接近した台風・低気圧に

伴う洪水に対して、計4回の防災操作を実施した。

●平成28年8月~9月の連続した洪水において、8月31日には既往最大流量725m3/sの洪水が流入した。札内川ダムの防災操作により洪水量を最大約1,320m3/s低減する防災操作を実施した。

●当該洪水では、ダムの洪水調節容量を使い切り、洪水時最高水位を超過する恐れがあるため、異常洪水時防災操作へ移行した。

防災操作の効果

●平成28年8月~9月の連続した洪水において、8月31日には札内川ダムの防災操作により上札内地点の水位を約0.5m低減した。

●当該洪水ではダムの防災操作により、上札内地点では氾濫注意水位に到達する時間をダムがない場合と比較して約11時間遅らせる効果を得た。

●当該洪水ではダムの防災操作により、河道水位が高い時間を短縮したことで、低水護岸及び堤防の負担を減じる効果を得た。

●平成28年8月~9月の洪水で発生した流木を貯水池の網場で捕捉し、下流での流木による被害の軽減に寄与している。

◆今後の方針

今後も引き続き、防災操作機能を適切に発揮できるように管理していく。