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1 事業掘り起こし 「災害に強い街を目指す提案書」 地震による津波災害避難場所等の整備について 平成23年3月 宗谷建設青年会

2p}c hHfsokenkai.jp/archives/bousai_teian.pdf · 2011. 2. 8. · Title Microsoft Word - 2p}c hHf .doc Author: Administrator Created Date: 2/8/2011 9:08:57 AM

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    事業掘り起こし

    「災害に強い街を目指す提案書」

    地震による津波災害避難場所等の整備について

    平成 23 年 3 月

    宗 谷 建 設 青 年 会

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    1. 始めに

    「事業掘り起こしの新たな視点 」

    事業掘り起こしは、平成 17 年に当会と稚内土木現業所との「仕事づくり」をテーマに意見交換会を開催したことが始まりです。

    当時は 37 ヶ所の整備提案 。その後、平成 18 年に稚内建設協会内に「事業掘り起こし委員会」が設置され、100 ヶ所 174 項目の整

    備提案を行いました。

    これまでの提案は、「より使いやすく」とか、「ここを直して」というような、既存の社会基盤の整備提案をしてきました。

    今後、新たな視点で提案できないかを検討し、「防災」をテーマに取り組みました。

    ◆我々地域建設業の存在意義は、よく言われますが「地域の安心安全を担保している」ことにあります。

    例えば、異常気象時の見回り、災害時の初期出動、等々、機械力と行動力、組織力があります。

    ◆防災という視点からのアプローチが少なかった。

    防災については管理者や、設置者の範ちゅうとの考え方があったからです。

    しかし、我々も地域に住んでいる住人です。また、他の地域を訪れる来訪者ともなります。そんな視点から、提案ができないか。

    我々の新たな役割になるのではないかと期待しています。

    ◆そのための活動は。

    先進地を学ぶ(視察研修等) 実態の把握(現地調査など) 整備の提案(仕事づくり)つながればと期待しています。

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    2. 先進地視察

    先進地として釧路地方を選定しました 。

    現在「全国地震動予測地図」がインターネット上で観ることができます。 これは 2004

    年に発生したスマトラ沖の大地震被害から、「地震の知識をもっと広く多くの方に伝え

    たい」という想いから 2004 年 12 月に地震情報と防

    災知識を伝えるホームページが開設されています。

    その中で釧路地方は「今後 30 年間に震度 6 弱以上

    の揺れに見舞われる確率」が高い地域です。また、

    多くの地震により津波災害等を経験している地域で

    もあり、ここを視察地に選定しました。

    平成 22 年 6 月 17 日に、会員 13 名で釧路市総務部総務課佐々木信裕防災危機

    管理主幹に講話と、市内の防災施設の説明を行っていただきました。

    当日は釧路市議会開催中にもかかわらずご協力いただき感謝しております。

    釧路支庁(釧路市) : 高い。

    千島海溝沿いの沈み込んだ

    太平洋プレート内のやや深い

    地震・やや浅い地震の影響度

    が高くなっています。また、十

    勝沖・根室沖の地震の影響度

    も高くなっています。

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    地震防災に関する法律体系

    大きな震災、東海地震、東南海・南海地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震については、それぞれ特別処置法が制定されてお

    り、釧路市はその中の、表中ほどにある日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の特別処置法に基づき防災計画を進めております。

    宗谷管内は右側にある地震防災対策特別処置法が対象になります。稚内港等の耐震岸壁の工事はこの法律の活用です。

    観測体制観測体制観測体制観測体制 特別特別特別特別なななな応急対策応急対策応急対策応急対策 防災設備整備防災設備整備防災設備整備防災設備整備 災害全般災害全般災害全般災害全般へのへのへのへの対対対対

    策策策策のののの基本基本基本基本

    ○災害対策基本法(S36)~防災組織・災害予防・災害応急対策・災害復旧等~

    ○大規模地震対策特別処置法

    (S53)

    ○地震財特法

    (S55)

    ○地震防災対策特別処置法

    (H7)

    警戒宣言後の住民避難や各種機

    関の応急対策活動・防災計画を

    あらかじめ計画

    直前の予知の可

    能性がある大規

    模地震対策

    (東海地震) 地震予知に資するため

    の観測・測量体制の強

    直前予知を前提とした警戒避難

    体制

    ・避難地等 17 施設等の整

    備を促進・消防施設・社会

    福祉施設・公立小中学校

    等事業については国庫補

    助率の嵩上げ

    ○東南海・南海地震に係る地震対策の推進に関する特別処置法(H14)

    ○日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震対策の推進に関する特別処置法(H16)

    東南海・南海地

    震対策

    日本海溝・千島

    海溝周辺海溝型

    地震対策

    観測・測量施設等の整

    備努力

    防災施設の整備、津波からの円

    滑な避難等をあらかじめ計画

    財政上及び金融上の配慮

    全国における地

    震対策

    避難地等 29 施設等の整備を促

    9 施設等の事業については国庫

    補助率の嵩上げ

    消防施設

    社会福祉施設

    公立小中学校

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    日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震大綱の柱

    ◆ 津波防災対策の推進

    � 迅速・的確な津波避難体制の整備(防災無線整備等)

    � 沿岸地域の孤立危険性への対応(7/10 に防災訓練で海上輸送訓練を実施予定)

    � 漂流物による災害等の二次災害の防止(津波スクリーンなど)

    � 広域的な津波防災対策(防災マップの旅行者への配布)

    ◆ 揺れに強いまちづくりの推進

    ◆ 積雪・寒冷地特有の問題への対応

    釧路市の津波対策

    ◆ 津波ハザードマップの作成(500 年間隔地震津波)

    ◆ 津波緊急一時避難施設の指定

    ◆ 防災行政無線(固定系)の整備

    ◆ 防災総合訓練の実施(年 1 回)

    ◆ 広報紙での啓発活動(防災特集号を年 1 回発行)

    ◆ 防災の出前講座の開催

    ◆ 市民防災センターを活用した啓発活動

    避難場所の選定

    ◆ 積雪寒冷地の問題から避難所は冬に外で避難できな

    い、屋内型の避難所が必要になる。

    � 暖かい

    � 横になれる

    � 障害者用のトイレ

    � 津波が引くまで概ね 6 時間滞在できること

    ◆ 歩いて行ける

    � 500m程度のところに設置

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    いくつか具体的な説明をいただきました

    釧路市の津波ハザードマップです。赤いラインが避難勧告を出す地域で、対象者は 4,567 人となります。

    この対象者数が備蓄品の算出根拠となります。

    水一人 3 リットル 3 日分、食料も一人三食 3 日分。

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    津波緊急一時避難施設

    24 時間、出入りができる、人がいる。3階以上の鉄筋コ

    ンクリート構造物。

    7つのホテルが指定されていました。

    防災行政無線

    ◆ 津波浸水予想地域を中心に屋外拡声子局 119基設置

    マップで赤い拡声器のマークの場所で、景観にも配慮されており、

    茶色で目立たなくなっています。

    整備費は3年間で6~7億円(中継局も含めて)

    毎日チェック(音楽を流す)

    15年で更新、改修が必要とのことでした。

    津波緊急一時避難施設津波緊急一時避難施設津波緊急一時避難施設津波緊急一時避難施設((((協定先協定先協定先協定先ホテルホテルホテルホテル))))

    釧路ロイヤルイン

    釧路東急イン

    釧路プリンスホテル

    釧路全日空ホテル

    釧路キャッスルホテル

    釧路シーサイドホテル

    ラスティングホテル

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    津波スクリーン

    ◆ 漂流物による災害の二次災害防止

    支柱とワイヤーで構成されており、漂流物を捕捉することを目的としています。 舟が陸上に落ちあげられるのを防ぐとともに、車など

    が、津波で流出するのを防ぐ施設です。 今回の施設は景観にも配慮し、天幕を配しています(クジラのイメージ) 。

    市民防災センター

    ◆ 市民防災センターの啓発活動

    消防署に設置されおり、震度 7 の地震体験や、消火活

    動のシミュレーションができます。

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    インターネットで隣町の白糠町のマップです。

    避難経路や、避難場所の写真が載っており、大変見やすくわかりやす

    いものですので、紹介します。

    国道の表示物

    国道 38号の表示です。

    左側の写真が、道路の標高を示しています。

    右側の写真は、避難場所までの誘導標識です。

    車の中から撮影したのですが、大きくて大変見やすく、旅

    行者にとっても分かりやすいものだと思います。

    2 月に起きたチリ沖の地震の際、大津波警報が発令され

    た時、国道38号が閉鎖されました。これを頼りに避難場

    所へ向かった来訪者もいたと思います。

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    3. 宗谷地域の現状把握

    同じく「全国地震動予想地図」で観ると、黄土色の部分が多くを占めています。

    「今後 30 年間に震度 6 弱以上の揺れに見舞われる確率」は 0.1%~3%と、やや

    高い地域になっています。

    「今後30年間にその値以上の揺れに見舞われる確率が 3%となる震度」

    震度5強が黄色です。

    宗谷支庁(稚内市) : やや高い。

    主要活断層帯以外の活断層に発生す

    る地震の影響度が最も高くなっていま

    す。活断層が特定されていない場所で

    発生する地震の影響度も高くなってい

    ます。

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    表層地盤増幅率

    揺れやすい地盤を示しています。震度1でも赤い地域は2倍の揺

    れを感じるということです。

    赤い地帯は西海岸一帯と、富岡周辺、猿払沿岸に広がっているの

    が分かります。

    北海道では津波のシミュレーションをした浸水予想図を作成している

    対象津波(6つ)

    ○北海道北西沖(沖 側)の地震に伴う津波

    ○北海道北西沖(沿岸側)の地震に伴う津波

    ○留萌沖の地震に伴う津波

    ○神威岬沖の地震に伴う津波

    ○北海道南西沖地震に伴う津波

    ○青森県西方沖の地震に伴う津波

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    北海道日本海沿岸に係る津波浸水予想図(H22.6.11北海道ホームページ掲載)

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    津波来襲時イメージ

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    稚内市の津波被害に係る避難場所

    地域防災計画 (平成19年8月7日改訂)より

    「「「「北海道地域防災計画北海道地域防災計画北海道地域防災計画北海道地域防災計画」」」」(H22.1(H22.1(H22.1(H22.1))))

    1. 避難所の選定要件

    (1) 救援、救護活動を実施することが可能な地域であること。

    (2) 津波、浸水等の被害のおそれがないこと。

    (3) 給水、給食等の救助活動が可能であること。

    (4) 地割れ、崖くずれ等が予想されない地盤地質地域であること。

    (5) 耐震構造で倒壊、損壊などのおそれがないこと。

    (6) その他被災者が生活する上で当該市町村が適当と認める場所であること。

    №№№№ 名称名称名称名称

    1 富士見 1丁目バス停裏山裏山裏山裏山

    2 稚内市総合体育館裏山裏山裏山裏山

    3 富士見団地裏山裏山裏山裏山

    4 ウロンナイ神社裏山裏山裏山裏山

    5 稚内西小中学校裏山裏山裏山裏山

    6 泉宅裏山裏山裏山裏山

    7 マタルナイ地区裏山裏山裏山裏山

    8 道道稚内天塩線

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    稚内市指定避難場所(抜粋)

    � 1.富士見 1丁目バス停裏山裏山裏山裏山 (稚内市の雪捨て場)

    冬季間は雪捨て場となるため、車両での避難は容易。高台に建物がなく、長時間の避難場所に適していない。

    � 2.稚内市総合体育館裏山裏山裏山裏山 (グランド横を通る)

    車両一台が通るのがぎりぎりで、冬季間は除雪されていない。高台に建物がなく、長時間の避難場所に適していない。

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    � 4.ウロンナイ神社裏山裏山裏山裏山

    車両一台が通るのがぎりぎりで、冬季間は除雪されていない。高台に建物がなく、長時間の避難場所に適していない。

    � 5.稚内西小中学校裏山裏山裏山裏山

    車両一台が通るのがぎりぎりで、冬季間は除雪されていない。高台に建物がなく、長時間の避難場所に適していない。

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    � 6.泉宅裏山裏山裏山裏山

    車両一台が通るのがぎりぎりで、冬季間は除雪されていない。岩肌が見え、崖くずれ等が予見される。高台に建物がなく、長時間

    の避難場所に適していない。

    � 8.道道稚内天塩線

    夕陽丘パーキングを避難場所に指定した方が良いのではないかと考える。

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    4. 整備提案

    現状からみて、稚内市西海岸における津波災害に係る指定避難場所は、以下の北海道の定めた「北海道地域防災計画」(H22.1)の

    避難所の選定要件に合致していないと考えます。

    救援、救護活動を実施することが可能な地域であること。

    ① 津波、浸水等の被害のおそれがないこと。

    ② 給水、給食等の救助活動が可能であること。

    ③ 地割れ、崖くずれ等が予想されない地盤地質地域であること。

    ④ 耐震構造で倒壊、損壊などのおそれがないこと。

    ⑤ その他被災者が生活する上で当該市町村が適当と認める場所であること。

    よって以下の事項を提案いたします。

    � 積雪寒冷地である当地においては、冬季間の避難を想定した屋内型の避難場所の指定、並びに整備計画の策定

    � 来訪者を指定避難場所まで誘導する道路、看板等の整備

    � 浸水予想地域内への速やかな連絡体系となる行政防災無線の整備

    5. 災害に強い街を目指して

    津波を伴う地震は発生しないかもしれない。しかし、発生しない保証はない。防災の視点を持つことが必要であると考えます。

    我々、宗谷に軸足を置く建設業は、地域の住民の目線と来訪者の目線で、真に必要な公共事業を今後とも提案していきたいと考え

    ます。 我々は地域に必要とされる企業として、地域を守っていくことが生業と考え、平時の活動として、安心・安全をいかに作り出す

    かを検討することが必要だと考えます。 今回の提案は、緊急を要する提案ではないかもしれませんが、着実に進めなければならな

    い「真に必要な社会基盤」と考えます。