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留学状況報告 3月 3 日 岩手大学教育学部4年 和野 彩月 留学先:オーストラリア 1月 28 日から新年度が始まりました。主に、日本語の授業、Humanity(Business)の授 業、Kindy、After School Care でお世話になっています。 〇日本人留学生 日本の1つの高校から6名、また別の学校から1名、1学期の間だけの留学生が来てい ます。彼らのことをインターナショナル担当の先生から任されています。留学生には基本 的に、学校生活を送る上でのキーパーソンとしてバディをつけます。時間割はバディの時 間割を元にして、自習や ESL(English as a Second Language)が入り込みます。その時間 割調整やバディとの関係調整をしたりしていました。日本人同士でいるとどうしても日本 語を話してしまっているので、あなた達が日本語を話している時、周りからしたらとても 閉ざされてバリアを張っているように感じて、周りは会話に入りたくても入れないよ、英 語を学びに来ているのだから英語で話すように努めようという話をしました。日本人同士 でいる時も英語での日常会話練習をしている姿を見るようになりました。 ホームステイに関する懸念ごとがあった時に、ESL の先生を通してその問題に対する訴 えかけがありました。ホストファミリーがフィリピン人で、友人との集まりによく行くけ れど、タガログ語で話している。英語を勉強しに来たのだから英語を話したいというもの でした。フィリピン人はほぼ例外なく英語を話すことができるということを先生方も私も 知っていました。話を聞くと、ホストファミリーに英語を勉強したいから英語で話してほ しいということを頼んでいないということでした。周りにアクションを求めるよりまず、 自分でやろう。異国の地で労力のいる挑戦的なことだということは分かるけれど、あなた 自身が変わる機会でもあるのだから。それでも改善が見られないようであればまた相談に おいで。という話をしました。 語学学校にいた時、日本人同士で固まって日本語を話し、結局英語が伸び悩む人達を見 ました。ここでも同じです。comfort zone を脱しきれなければ、折角の留学のチャンスを 無為に過ごすでしょう。勇気がいることなので、周りからの後押しが必要ならばその役目 を担うのも教師なのかと思いました。 〇日本語クラス 日本語の授業では、昨年度末の落ち着きの無さを生かし、7,8 年生に対しては初回の授業 でクラスルールを自分達で作る時間を設けました。小学生に対するような気もしますが、

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Page 1: 3 28...留学状況報告 3月3 日 岩手大学教育学部4年 和野 彩月 留学先:オーストラリア 1月28 日から新年度が始まりました。主に、日本語の授業、Humanity(Business)の授

留学状況報告

3月 3 日

岩手大学教育学部4年

和野 彩月

留学先:オーストラリア

1月 28 日から新年度が始まりました。主に、日本語の授業、Humanity(Business)の授

業、Kindy、After School Care でお世話になっています。

〇日本人留学生

日本の1つの高校から6名、また別の学校から1名、1学期の間だけの留学生が来てい

ます。彼らのことをインターナショナル担当の先生から任されています。留学生には基本

的に、学校生活を送る上でのキーパーソンとしてバディをつけます。時間割はバディの時

間割を元にして、自習や ESL(English as a Second Language)が入り込みます。その時間

割調整やバディとの関係調整をしたりしていました。日本人同士でいるとどうしても日本

語を話してしまっているので、あなた達が日本語を話している時、周りからしたらとても

閉ざされてバリアを張っているように感じて、周りは会話に入りたくても入れないよ、英

語を学びに来ているのだから英語で話すように努めようという話をしました。日本人同士

でいる時も英語での日常会話練習をしている姿を見るようになりました。

ホームステイに関する懸念ごとがあった時に、ESL の先生を通してその問題に対する訴

えかけがありました。ホストファミリーがフィリピン人で、友人との集まりによく行くけ

れど、タガログ語で話している。英語を勉強しに来たのだから英語を話したいというもの

でした。フィリピン人はほぼ例外なく英語を話すことができるということを先生方も私も

知っていました。話を聞くと、ホストファミリーに英語を勉強したいから英語で話してほ

しいということを頼んでいないということでした。周りにアクションを求めるよりまず、

自分でやろう。異国の地で労力のいる挑戦的なことだということは分かるけれど、あなた

自身が変わる機会でもあるのだから。それでも改善が見られないようであればまた相談に

おいで。という話をしました。

語学学校にいた時、日本人同士で固まって日本語を話し、結局英語が伸び悩む人達を見

ました。ここでも同じです。comfort zone を脱しきれなければ、折角の留学のチャンスを

無為に過ごすでしょう。勇気がいることなので、周りからの後押しが必要ならばその役目

を担うのも教師なのかと思いました。

〇日本語クラス

日本語の授業では、昨年度末の落ち着きの無さを生かし、7,8 年生に対しては初回の授業

でクラスルールを自分達で作る時間を設けました。小学生に対するような気もしますが、

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今のところうまく機能しているように思います。押しつけられたルールでなく、自分たち

で決めたルールだからこそ、自分たちで守る責任が生まれています。

今年の Year8 は、去年なかなか落ち着かない難しい学年でした。日本語は今年選択授業

で、選択した責任が伴うためか、モチベーションを高くもっているように思います。reading

のテストがあり、終わった人から各自自習に入りました。去年であればテストが終わった

途端にコントロールが効かなかったでしょうが、今年の彼らは最後まで静寂を保ちました。

驚くべき姿です。テストで自分が読めなかったひらがなの振り返りをしたり、学習用サイ

トに行って自習をしたりしていました。去年の終わりからは想像できない成長ぶりです。

Year7 は speaking のテストがありました。少し難しいかな、と思っていた 3 人の子がお

り、普段から気を付けて見ていました。こちらの読みに反し、熱心に発音を聞いてきて、

私の発音を手本に繰り返し練習し、「テストして!」と自ら何回も挑戦し、他の子達よりも

良いパフォーマンスができたようでした。

〇社会科での生徒補助

Year8 の Humanity(Business)のクラスで補助につかせてもらっています。私の専門外の

ことなので、勉強をしなければ私がまず分かりません。日本語で私が理解している知識と

付き合わせて、十分なところもあれば不十分なところもあるので、日本語でサーチをかけ

て新たに知識を整理しています。その上で、英語で簡単な表現に言い換えて伝えたり、例

を出しながら理解を深めたりするようにしています。生徒が文章を書く時に、簡単な表現

で伝えること、文法が正しくなるように文法の確認をすることをしています。私が習って

いた経済とは少し違うのでなかなかに大変です。経済セクター、家計セクター、財政セク

ター、政府セクター、国際セクターそれぞれの役割と、それぞれの役割に関する専門用語

など、勉強です。詐欺の種類とどうしたら防ぐことができるのかというような消費者の問

題も扱っています。社会は私自身の苦手科目であったため、正直しんどいなと感じるとこ

ろです。learning support の先生は専門外の教科も補助するので、その教科固有の知識を備

えていることに加え、噛み砕いて易しく伝えるということをしているので素晴らしいと思

います。

〇After School Care

After School Care では、Vacation Care よりも子どもが少ないですが、かといって楽では

ありません。自分が使ったものを自分の責任で片付けるということを、どうしたらできる

ようになるかなぁと今色々と考えています。先生方は素敵な方々ですが、自分たちで最後

までやるということに甘いなぁと少し思ってしまうことがあります。片付けを我々でやっ

てしまうことは easy だけれど、彼らが自分達の環境を自分達で整えるということを学ぶ機

会を逸してしまいます。教室の配置、どの遊びにどれを使っていいのか、環境整備の自省

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の促し方などスタッフ同士で話し、整えていけたらと思います。

※After School Care で植物の苗を植えている様子。他の遊びを置いて集まって夢中になっ

ていました。

他人が関わることに関しては、信頼関係ができるまで結果が出るのに時間がかかるのだ

なぁと思うこの頃です。思わぬ形で自分が築いていた関係を実感できた時、とても嬉しい

ものです。

After School Care の子の中に2月一杯で転校する子がいました。いたずらっ子で、「~し

てちょうだい」に対して「いやだ!」としか言わず、しかし天真爛漫でとても可愛い、そ

んな子でした。その子にとって私の影響力は毛ほどもないと思っていましたが、最終日に

いつもはしない afternoon tea の片付けのお手伝いをしてくれ、更に 3 人いた大人のうち私

にだけお手紙をくれました。拙い言葉で、「help me してくれたから help you したんだよ」

と書いてありました。自分のしたことは自分に返ってくるんだなぁと実感した出来事でし

た。

他にも、昨年から関わっている生徒達は、先生にだけでなく、私にもよく質問をするよ

うになり、信頼を寄せ始めてくれているのを感じます。嬉しい変化です。

※ノースクイーンズランドの学校が集まってチェス大会が開催されました。関わりのある

子ども達がゲームの合間に対戦の結果報告をしに来てくれたりしました。

〇ビーチの清掃活動

3月1日に Parley for the Oceans という団体主催のビーチのゴミ拾いに参加してきまし

た。

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一見そんなにゴミに溢れては見えないビーチでしたが、ビーチを歩くと思うよりも沢山

ゴミがありました。タバコの吸殻、お菓子のパッケージ、傘、靴、釣り糸、アルミ缶、ペ

ットボトルのキャップなどなど。

マイクロプラスチックというものを知っているでしょうか。海に流されてしまったプラ

スチックは水のはたらきで小さく小さく分解され、海の生き物たちが誤って食べてしまい

ます。サンゴはこのプラスチックを本来光合成すべき器官に取り入れてしまうため、光合

成ができなくなり死んでしまうというのを日本にいる時にテレビで見ました。サンゴの白

色化の要因としてこのことは大きく関わっているでしょう。また、小さいお魚がマイクロ

プラスチックを食べ、そのお魚たちを大きなお魚が食べ、そのお魚たちを私達が食べるの

で、私たち人間はかなりの量のプラスチックを摂取しているのではないでしょうか。先程

とはまた意味が違いますが、自分のしたことは自分に返ってきます。

今日知ったことですが、タバコ製品にはプラスチックが含まれています。タバコをポイ

捨てする人がとても多いですが、プラスチック汚染に大いに貢献しています。責任あるス

モーカーになりましょう。

友達とは、私たちがやったことは小さなことでしかないけど、私たちが今日やらなけれ

ば誰もこのゴミを拾わなかった。ほんの少しだけどマイクロプラスチックの削減に貢献で

きたよねと話しました。

コロンビアの友人から誘いを受け、私もまた別の友達を誘って 3 人で参加しました。彼

女は、「1 人が変われば周りの人も影響を受けて変わっていく。だから誘ってみたよ。ほら、

こうして1人だったはずが3人で参加しているでしょう。」と言っていました。

帰りは Uber というタクシーのようなものを使って帰ろうと思っていましたが、親切な方

に乗せていただきました。初めての人に対しても躊躇なく話して親切にしてくれるのはオ

ーストラリア人の素敵なところだと思います。