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3. 作澪によるアサリ漁場環境改善技術

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- 85 -

3. 作澪によるアサリ漁場環境改善技術

3.1 技術の概要

作澪は、浅い砂泥域に澪を掘削して流速を増加させる工法で、海水交換を促進して二枚

貝類の餌となる植物プランクトンや酸素の供給を増加させたり浮泥などの堆積を防いだり

するために施工される 1)。

【解 説】

本ガイドラインにおける作澪の取り扱いと内容

作澪は、澪を掘ることにより、周辺の水の流動を促進させ、海水交換を活発にさせたり、

底質に対しての掃流力を増加させたりする技術である。

作澪の主な目的としては、(1)閉鎖性の強い内湾域で、海水交換を促すことによる水質

環境改善、および(2)砂泥域において生物の生息に好適な底質環境の改善(砂泥域における

漁場造成)があげられる。本ガイドラインでは、後者に相当する「砂泥域において生物の生

息に好適な底質環境改善」を目的とし、アサリの生息に好適となる底質改良工としての作

澪を取り扱う。

作澪の基本的な考え方や設計の手順などについては、「漁港・漁場の施設の設計の手引」1)

に、また、具体的な設計事例については、「漁港・漁場構造物設計計算例」2)に示されてい

る。このように、作澪は従来、公共事業として行われており、作澪の技術そのものは完成

されている。しかし、作澪の効果について、その持続性の検証がなされている事例はほと

んどない。

本ガイドラインでは、今後の作澪事業の実施の際の参考となるよう、作澪の効果の持続

性やアサリへの効果について、実証実験 3)で得た知見を示しながら、アサリ漁場造成にお

ける作澪の留意点を提示する。

技術の特徴と主な効果

干潟などの砂泥域には、周囲より地盤が低いことや、海水の流れが停滞することにより、

底質が細粒化しやすい場所がみられる。本技術は、このような場所を対象として作澪を行

うことにより海水の流動を促進し、アサリの生息に適した底質環境に改善するためのもの

である(図 3-1)。作澪を行うことにより、未利用域である場所でのアサリ漁場の造成や、

既に利用されているアサリ漁場での底質の改善が期待できる。

- 85 -

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- 86 -

図 3-1 技術の特徴

3.2 適用条件

本技術は、本来、アサリの生息に適した環境であるが、底質、特に細粒分の増加によっ

てアサリの生息環境が悪化している干潟域の底質の改善に適用される。

【解 説】

作澪の流動促進効果を得るためには、(1)流線方向に澪を掘ること、および(2)水深の浅

い場所に深い澪を掘ることが必要となる 4,5)。また、作澪の適用条件は、「漁港・漁場構造

物設計計算例」2)に示されているように、(1)浅海域・干潟域、および(2)潮汐流が大きい

場所に適用する。加えて、作澪によりアサリ漁場の環境改善を行う場合には、地盤高など

がアサリの生息環境としての適性に合致していることが必要である。

3.3 実施方法

3.3.1 計画

作澪によるアサリ漁場造成の計画は、「沿岸漁場整備開発事業増殖場造成計画指針」6)な

どを参考にする。また、事業効果を高めるように、作澪土の有効利用などについても事業

計画に含めることが望ましい。

【解 説】

アサリ漁場造成の計画の策定は、「沿岸漁場整備開発事業増殖場造成計画指針」6)の「第

3章 アサリ増殖場造成手法」に準ずる。

作澪の計画においては、例えば、自然に形成されている澪をさらに深く掘削する、また、

既存の澪と隣接するような配置とすれば、効果の向上が期待できる。また、有明海では、

ノリ養殖業も盛んであることから、流動促進による栄養塩供給とノリ品質向上効果につい

ても考慮し、事業効果の向上を図る。

海域 干潟域 陸域

低地盤域(窪地)

海水の滞留による底質の悪化

海域 干潟域 陸域

低地盤域(窪地)

海水の滞留による底質の悪化

作澪作澪

海域 干潟域 陸域

流動促進による底質の改善

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事業の効果をより高めるため、作澪で発生した土砂については、計画時にその有効利用

を検討する。例えば、土砂の底質がアサリの生息に適していれば、これを覆砂漁場の造成

に利用することや(コラム②参照)、嵩上げなどの利用を検討する。

コラム①「熊本県における作澪事業実施事例」

熊本県では、アサリ漁場における浮

泥の除去やノリの品質向上を目的とし

て、従来から事業として作澪が行われ

てきている。

平成16年から19年に実施された作

澪事業の概略の実施場所(赤丸で囲っ

た場所)を右図に示す(熊本県への聞き

取りによる)。熊本県の有明海沿岸の干

潟域では、北側に位置する荒尾市の地

先から、南側に位置する熊本市~宇土

市にまたがる緑川河口干潟に至る概ね

沿岸全域で作澪が行われてきた。緑川

の河口干潟では、通称「タオ」と称さ

れる自然の澪が形成されており、この

「タオ」を活用した作澪が実施された。

特に、広大な干潟を有し、潮流が大

きい熊本県有明海沿岸では、作澪はアサリ漁場の底質改善やノリの品質向上に有効な技術

といえる。

熊本県有明海沿岸における作澪事業の

実施場所(概略図)(熊本県への聞き取り)

島原市

熊本市

荒尾市

玉名市

大牟田市

宇土市

長洲町

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コラム②「作澪土砂のアサリ覆砂漁場造成への利用事例」

熊本県玉名市大浜地先で実施した作澪に関する実証実験 3)では、平成17年に行った作澪

で発生した土砂を覆砂し、翌年の平成18年から平成20年の間、毎年6月に覆砂域の周囲

の場所も含めて、アサリの着底について効果を調査した。その結果、覆砂した場所にアサ

リが着底し、その成長が確認された。作澪土砂がアサリの生息に適した底質であれば、そ

の覆砂利用による事業効果の向上が示された。

実証実験の実施場所 熊本県玉名市菊池川河口干潟域

菊池川河口に広がる干潟域(平成18年 7月の大潮干潮時に撮影)

0 50km

佐賀県

長崎県

福岡県

熊本県

2 km

菊池川

大浜

横島

※国土地理院数値地図使用

※国土地理院発行の2万5千分の1地形図使用

大浜漁港

実施場所

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作澪土覆砂による造成漁場周辺のアサリ個体数 (個体/m2)

作澪土覆砂による造成漁場のアサリの成長(殻長組成)

-150

-100

-50

050

0 100 200 300 400 500 600 700 800

700700

500500 33503350 5050 900900 850850 12001200 650650 32003200 400400 13001300 250250 78007800 100100

10501050 400400 00 100100 00 11001100 100100 200200 250250 650650 82508250 950950 200200

300300 00 650650 250250 600600 350350 350350 700700 100100 500500 42004200 16001600 12001200

50505050 850850 150150 5050 00 150150 550550 150150 150150 00 5050 700700

平成17年度覆砂域

-150

-100

-50

050

0 100 200 300 400 500 600 700 800

00

550550 350350 13501350 900900 400400 400400 150150 150150 300300 00 100100 350350 100100

500500 450450 250250 10501050 300300 250250 100100 00 700700 27502750 11501150 450450 5050

300300 300300 300300 250250 500500 400400 750750 11001100 450450 20002000 19001900 10501050 5050

48004800 13501350 600600 300300 00 750750 00 00 00 550550 100100 00

平成17年度覆砂域

平成18年度覆砂域

-150

-100

-50

050

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

12001200 750750 600600 10001000 850850 500500 100100 100100 00 00 5050 00 00 250250 50 50 5050

12501250 12501250 20002000 800800 5050 00 00 5050 5050 00 100100 00 00 00 0 0 00

10501050 400400 100100 00 00 00 800800 20002000 00 16001600

150150 5050 5050 350350 250250 100100 100100 550550 200200 5050

0

5

10

15

1~ ~10 ~20 ~30 40~

殻長(mm)

頻度

(%)

平成18年6月15日N=1045

0

5

10

15

1~ ~10 ~20 ~30 40~

殻長(mm)

平成19年6月19日N=617

0

5

10

15

1~ ~10 ~20 ~30 40~

殻長(mm)

平成20年7月5日N=377

平成 18年 6月 15日

平成 19年 6月 19日

平成 20年 7月 5日

(A)

(B)

(C)

平成 19年度覆砂域

(A) (B) (C)

距離(m)

距離(m)

距離(m)

距離(m)

: 0 :101 :102 :103

個体数(個体/m2)

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3.3.2 設計

作澪の設計においては、設計外力に対する安定性と機能を検討するものとする 1)。

【解 説】

作澪によって海水流動が促進されるメカニズムについては前述したとおりである 4,5)。さ

らに、計画段階から具体的な設計に進む考え方・手順についても、「漁港・漁場の施設の設

計の手引」1)と「漁港・漁場構造物設計計算例」2)にまとめられている。したがって、設計

はこれら既往の指針を参照しながら行う。

澪の設計は、漁場全体の改善を目的とする場合と、局所的改善を目的とする場合がある

(図 3-2)2)。図 3-1 に示したような低地盤域における底質改善を目的とした作澪において

は、局所的改善を対象とした澪筋の配置を検討する。

設計に際しては、設計条件の検討を手計算で行う場合もあるが、沿岸域における水理・

水質環境に関して、設計実務に耐え得る実用的な数値解析が可能となってきたことから、

数値シミュレーションが推奨される 2)。特に、留意すべき事項としては、砂泥域における

澪の設計では、地形の改変の後の平衡地形を予測することが望ましい 1)。

図 3-2 計算手順流れ図 2)

摘要範囲の検討

ミオ筋の配置

流れの集中箇所現況流線に沿った

葉脈状の配置

ミオ筋の規模の検討

① 浅海・干潟域か?② 潮位差が大きく、潮汐波が大か?

YES

NO

他の工法

漁場全体の改善 局所的改善

現地調査水理実験

数値シミュレーション

3.3.2 設計

作澪の設計においては、設計外力に対する安定性と機能を検討するものとする 1)。

【解 説】

作澪によって海水流動が促進されるメカニズムについては前述したとおりである 4,5)。さ

らに、計画段階から具体的な設計に進む考え方・手順についても、「漁港・漁場の施設の設

計の手引」1)と「漁港・漁場構造物設計計算例」2)にまとめられている。したがって、設計

はこれら既往の指針を参照しながら行う。

澪の設計は、漁場全体の改善を目的とする場合と、局所的改善を目的とする場合がある

(図 3-2)2)。図 3-1 に示したような低地盤域における底質改善を目的とした作澪において

は、局所的改善を対象とした澪筋の配置を検討する。

設計に際しては、設計条件の検討を手計算で行う場合もあるが、沿岸域における水理・

水質環境に関して、設計実務に耐え得る実用的な数値解析が可能となってきたことから、

数値シミュレーションが推奨される 2)。特に、留意すべき事項としては、砂泥域における

澪の設計では、地形の改変の後の平衡地形を予測することが望ましい 1)。

図 3-2 計算手順流れ図 2)

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コラム③「作澪の設計における数値シミュレーション検討の参考例」

数値シミュレーションによる澪の路線の検討手順 (参考例)

1.進め方

数値シミュレーションでは、干潟上の平面的な流動場が再現できる平面2次元流動モデ

ルと、沈降と巻上げ現象が再現できる平面2次元濁り拡散モデルが用いられる。具体的に

は、始めに澪の形状について数値シミュレーションを行う。次に、澪の配置についての数

値シミュレーションを行い、それらの結果をもとに設計する。

2.澪の形状の検討(1次元計算)

現地調査の結果より、流動モデルと、沈降・巻き上げ、侵食・堆積を考慮した濁り拡散

モデルを構築し、澪の勾配、延長、幅について、最適な澪の形状と、澪の設置前後におけ

る掃流効果を数値シミュレーションにより検討する。

数値シミュレーションの検討では、次に示す2次元計算と同様、現地観測結果のSS、お

よび流速・流向を用いる。数値シミュレーションで再現する潮時については、巻き上げ現

象が卓越する大潮期と、沈降減少が卓越する小潮期を対象とする。

3.澪の配置の検討(2次元計算)

澪の配置についての数値シミュレーションでは、流動モデル、沈降・巻き上げを考慮し

た濁り拡散モデルを用い、澪のフラッシュ対策における効果も考慮する。計画する作澪場

所を中心として、汀線に平行な方向と垂直な方向に計算領域を設ける。計算のメッシュサ

イズは通常10m程度であるが、計算規模に合わせて適宜決定する。

具体的な手法については、1 次元計算で決定された澪の形状を平面状に配置し、流速増

加および浮泥・細粒分の掃流効果について検討し、最適な澪の平面配置を決定する。

- 91 -

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- 92 -

3.3.3 施工

本技術における作澪の施工は、従来行われている作澪の工法ならびに手順に準ずる。

【解 説】

作澪を実施する際には、澪の深さや幅、法面の形状に応じてその工法を選択する。通常、

グラブ船を用いて施工されるが、底質の含水率が高い場合にはポンプ船や、澪の幅が細い

場合にはバックホウ台船による場合もある。また、航路浚渫の場合などと同様に、汚濁防

止膜の設置等の対策を検討するなど、周辺への影響に配慮する。

3.4 留意点

澪による底質改善とアサリへの効果については、その持続性に留意することが望まし

い。

【解 説】

持続性についての留意点

澪による底質の改善効果については、細粒分の低減効果を確認するため、底質調査を継

続的に行い、その持続性に留意することが望ましい(コラム④参照)。同様に、アサリへの

効果としては、密度、成長、生残、および身入りなどの調査を継続的に行い、その持続性

に留意することが望ましい(コラム⑤参照)。また、周辺に河川がある場合には、河川流量、

流域の降水量のほか、波浪、台風・低気圧の襲来など、澪の機能に影響を与える自然現象

についての記録を収集、確認することが望ましい。

澪の機能・効果を高めるために

一般に、作澪などの土木工事によって砂浜域の形状に変化を与えた場合、時間の経過と

ともにその形状は動的平衡状態に移行する 1)。澪の機能を長期的に持続するためには、そ

の平衡状態を予測したうえでの設計が望まれる。この予測には数値シミュレーションが用

いられるが、現状ではその状態を精度よく予測することは難しい。したがって、澪の機能

を長期的に維持するためには、そのような動的平衡状態を精度よく予測する技術が求めら

れる。

また、河川からの大量出水が発生した場合、周囲の土砂を澪が集積し、閉塞することが

想定される。その対策として、その閉塞を軽減する技術や、既に閉塞した澪の流動性を再

び高める技術の開発が求められる。

澪による流動の促進により、本来ある浮遊幼生の分布に影響を与えることが指摘されて

いる 7)。今後、アサリ漁場造成における澪の効果をさらに高めるためには、澪周辺の海水

流動がアサリの浮遊幼生の分布に与える影響や、浮遊幼生の着底への影響に関する研究が

望まれる。

- 92 -

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- 93 -

コラム④「澪の機能による底質の細粒分の低減効果についての継続調査事例」

熊本県玉名市大浜地先にて、低地盤域の底質の改善を目的とした作澪の実証実験を行っ

た 3)。作澪後の低地盤域の細粒分の変化について調査した結果を以下に示す。本実証実験

では、当地先におけるアサリの個体数と、底質の細粒分との関係から、作澪による底質の

改善目標を細粒分30%以下と定めた。

実証実験場所とした菊池川河口干潟では、菊池川からの大量出水により、細粒分に富ん

だ土砂が多量に堆積した(下図の例では平成18年 8月や20年 5月など)。大量出水が起き

た場合には、その直後に底質の細粒分の増加はみられるものの、澪の機能が持続している

ことにより、底質の細粒分の減少が確認された。

低地盤域の底質(礫分・砂分・細粒分)の変化(平成17年 7月~平成23年 11月)

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0%

20%

40%

60%

80%

100%-150-100-50050

0100

200300

400500

600700

800900

10001100

12001300

1400

Stn.B

場所凡例

Stn.3

Stn.4

Stn.C

7月 10 12 2 105 8 12 1 5 8 1 5 9 1 6 11 6 11平成17年 18年 19年 20年 21年 22年

C

4

3

B

礫分砂分

細粒分

623年

目標値 30%以下

8

未調査

未調査

未調

査未

調査

年月11

↓作澪箇所

- 93 -

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- 94 -

コラム⑤「アサリの個体数の継続調査事例」

熊本県玉名市大浜地先で実施した作澪の実証実験は 3)、低地盤域の底質とアサリの生息

環境の改善を目的に作澪を行った。本実験で、低地盤域のアサリの個体数を調査した結果

を以下に示す。

アサリの個体数は、最大で約1,400個体/m2観測された結果もあったが、概して個体数の

変動が大きかった。先のコラム④で示したように、作澪による底質の改善効果は確認でき

たが、アサリへの効果については確認できなかった。

低地盤域におけるアサリの個体数の推移(平成17年 7月~平成23年 11月)

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 10

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

個体

数(最

大・最

小)(個体

/m2) 作澪後

1月 23年

1月22年

1月21年

1月20年

1月 19年

1月 18年

7月 平成17年 年月

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Page 13: 3. 作澪によるアサリ漁場環境改善技術 - maff.go.jp500 450 250 1050 300 250 100 0 700 2750 1150 450 50 300 300300 250 500 400 750 1100 450 2000 1900 1050 50 4800 13501350

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<文 献>

1) 社団法人全国漁港漁場協会.漁港・漁場の施設の設計の手引 2003年版.東京.2003.

2) 社団法人全国漁港漁場協会.漁港・漁場構造物設計計算例 平成16年新刊.東京.2005.

3) 社団法人マリノフォーラム21,芙蓉海洋開発株式会社,五洋建設株式会社,日本ミク

ニヤ株式会社.平成23年度 有明海漁場造成技術開発事業 報告書.東京.2011.

4) 中村充,白石英彦.松島湾水質改良工法(ミオ筋工)に関する水理学的研究.農業土木試

験場技報 1971; B24: 131-144.

5) 農業土木学会水産土木研究部会.「水産土木ハンドブック’80版」緑書房,東京.1980.

6) 社団法人全国沿岸漁業振興開発協会.沿岸漁場整備開発事業 増殖場造成計画指針 ヒラ

メ・アサリ編 平成8年度版.(増殖場造成計画指針編集委員会編),東京.1997.

7) 水産庁.干潟生産力改善のためのガイドライン.東京.2008.

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