128
1578 第3章 有効性評価 3.1 研究概要 我が国で二酸化炭素地中貯留の有効性を評価するために、平成 17 年度に発生源、回収、 輸送、貯留層、圧入等から構成される類型化された貯留システムについてコストの算出を 行い、貯留ポテンシャル、投入エネルギー、二酸化炭素削減効果などを加えて総合経済モ デルを用いて二酸化炭素地中貯留の有効性検討を行った。さらに、得られた定量的シナリ オをもとにわが国での地中貯留の実現に向けてのロードマップを作成した。 平成 18 年度は特に大規模排出源の主たるものである火力発電所に絞って分離回収設備 を設置したときの詳細なプロセス検討およびコスト検討を実施した。また、昨年度の有効 性評価モデルをより妥当であると考えられる新しいデータに更新し、二酸化炭素地中貯留 技術の有効性の再評価を行った。 (火力発電所における最適二酸化炭素分離回収の調査) 微粉炭火力、LNG コンベンショナル、および LNG コンバインドサイクルの3種の火 力発電所について、発電効率の低下が出来る限り小さくなるような熱統合のあり方を「発 電システム熱効率解析汎用プログラム(EgWin) 」を用いて求め、さらに熱統合が進んだ火 力発電所での二酸化炭素分離回収の経済性検討を行った。 (地中貯留の有効性に関する定量評価) 昨年度までに開発したモデルにおいて、将来人口、化石燃料価格、原子力発電利用の上 限シナリオ、および、二酸化炭素排出削減シナリオという二酸化炭素地中貯留技術の有効 性評価に影響が大きいと考えられる前提条件について、現状において、より妥当であると 考えられる新しいデータに更新を行い、改めて二酸化炭素地中貯留技術の有効性の評価を 実施した。

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1578

第3章 有効性評価

3.1 研究概要

我が国で二酸化炭素地中貯留の有効性を評価するために、平成 17 年度に発生源、回収、

輸送、貯留層、圧入等から構成される類型化された貯留システムについてコストの算出を

行い、貯留ポテンシャル、投入エネルギー、二酸化炭素削減効果などを加えて総合経済モ

デルを用いて二酸化炭素地中貯留の有効性検討を行った。さらに、得られた定量的シナリ

オをもとにわが国での地中貯留の実現に向けてのロードマップを作成した。

平成 18 年度は特に大規模排出源の主たるものである火力発電所に絞って分離回収設備

を設置したときの詳細なプロセス検討およびコスト検討を実施した。また、昨年度の有効

性評価モデルをより妥当であると考えられる新しいデータに更新し、二酸化炭素地中貯留

技術の有効性の再評価を行った。

(火力発電所における最適二酸化炭素分離回収の調査)

微粉炭火力、LNG コンベンショナル、および LNG コンバインドサイクルの3種の火

力発電所について、発電効率の低下が出来る限り小さくなるような熱統合のあり方を「発

電システム熱効率解析汎用プログラム(EgWin)」を用いて求め、さらに熱統合が進んだ火

力発電所での二酸化炭素分離回収の経済性検討を行った。

(地中貯留の有効性に関する定量評価)

昨年度までに開発したモデルにおいて、将来人口、化石燃料価格、原子力発電利用の上

限シナリオ、および、二酸化炭素排出削減シナリオという二酸化炭素地中貯留技術の有効

性評価に影響が大きいと考えられる前提条件について、現状において、より妥当であると

考えられる新しいデータに更新を行い、改めて二酸化炭素地中貯留技術の有効性の評価を

実施した。

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1579

3.2 火力発電所における最適二酸化炭素分離回収の調査

3.2.1 調査の目的と調査内容

二酸化炭素の分離回収・貯留(CCS)は短期的に効果が期待できる現実的な二酸化炭素削

減対策として世界的に注目を集めている。RITE では平成 17 年度にわが国での地中貯留実

施時のコストとコスト削減のための技術課題について検討し、次の結論を得た。

A わが国での現状の CCS アボイテッドコスト(二酸化炭素削減工程で発生する二酸化

炭素も考慮した正味の二酸化炭素削減量コスト)は5千円~1万数千円/t-CO2 であ

る。新設石炭火力発電所から二酸化炭素を回収し、25km 離れた深度 1,000mの帯水

層にパイプライン輸送し、ERD(大偏距掘削)法で圧入するときのコストは 7,300

円/t-CO2程度と推測される。

B 分離回収・昇圧工程の全 CCS コストに占める割合が大きい。その理由として、火

力発電所からの主要な二酸化炭素分離回収法である化学吸収法のエネルギー消費が

大きいため発電量が大きく低下することがあげられる。新設石炭火力の分離回収・

昇圧コストは 4,200 円/t-CO2程度と推測される。

C エネルギー消費の小さな吸収液やプロセスの開発とともに、火力発電プロセスと

分離回収プロセスとの熱統合を進め、可能な限り発電ロスを小さくすることが必要

であり、それによって分離回収・昇圧コストを半減できる可能性がある。

火力発電所から二酸化炭素の分離回収を行うとき、化学吸収法が主要なプロセスとなる

が、本法はエネルギー消費が大きく、そのエネルギーを発電システムから供給する場合に

は、発電量が大きく低下するという欠点を有している。そこで、エネルギー消費の小さな

吸収液やプロセスの開発とともに、火力発電プロセスと分離回収プロセスとの熱統合を極

力進め、可能な限り発電ロスを小さくすることが必要である。しかし、平成 17 年度の検

討では各プロセスの消費エネルギーや設備費を求めコスト計算を実施したが、熱統合につ

いては過去の文献を参考に、熱統合の程度を示す「発電ロス率(二酸化炭素分離回収時の

発電ロス/分離回収に必要な熱量)」を現状値 0.052、将来目標 0.04kWh/MJ と設定すると

どまり、その詳細検討は行わなかった。

そこで、今年度はこの発電ロス率の仮定の妥当性について検討した。第一に、国内外の

熱統合に関する文献を調査し、発電プロセスから分離回収プロセスへの熱供給・熱統合の

方法と発電ロス率および熱効率についてまとめた。第二に (財)電力中央研究所で開発され

た「発電システム熱効率解析汎用プログラム(EgWin)」を用いてこれらの熱統合の効果を

計算し、効果的な熱統合手法を求めた。最後に、熱統合の進んだ系について分離回収・昇

圧のアボイデッドコストを算出した。

本検討にあたっては、電力会社からなる「火力発電所における最適二酸化炭素分離回収

の調査検討会」を設置し、進め方および検討内容に関して助言を受けた。

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1580

3.2.2 火力発電所からの二酸化炭素分離回収システム

(火力発電所からの二酸化炭素分離回収システム)

火力発電所からの二酸化炭素分離回収システムとしては、燃焼後回収、燃焼前回収、純

酸素燃焼の3つの方法がある。このうち、燃焼前回収は IGCC などの化石燃料のガス化を

含むプロセスであり、純酸素燃焼は化石燃料の燃焼を空気の代わりに純酸素で行うプロセ

スである(図 3.2-1)。両プロセスは新しい発電プロセスであるため、まだ実施例は少ない。

そこで、本検討では従来から実施されている微粉炭火力発電、LNG コンベンショナル、

LNG コンバインドサイクルなどの燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する「燃焼後回収」に

絞ることとした。

PCボイラー

PCボイラー

純酸素燃焼 (Oxy-Fuel)(B)

H2O

酸素分離

CO2,H2O,O2

酸素酸素 空気空気

石炭

CO2回収(冷却分離)

燃焼前回収 (Pre-Combustion De Carbonization)

ガスタービン

酸素分離

CO,CO2,H2,H2O CO2,H2 H2H2O

酸素酸素

石炭空気空気

(C)

(A) 燃焼後回収 (Post-Combustion Capture)

H2O,N2,O2

CO2,H2O,N2

空気石炭

脱塵 脱硝 脱硫

PCボイラ

PCボイラ

脱塵 (脱硝) 脱硫 冷却

脱塵・脱硫 シフト反応 CO2分離

CO2回収(化学吸収法)

CO2回収(物理吸収)

ガス化炉

CO2分離

図 3.2-1 火力発電所からの二酸化炭素の分離回収プロセス

(燃焼後回収)

燃焼後回収では化学吸収法による分離が中心となる(図 3.2-2)。化学吸収法では煙道ガ

スを吸収塔に通してアミン系の化学吸収液によって処理した後、二酸化炭素を吸収した吸

収液を再生塔に移送し、加熱昇温することで二酸化炭素を再生するプロセスである。加熱

はリボイラで行われ、その熱源としては通常は発電所の蒸気が使用される。

(火力発電所の蒸気システム)

一般的な微粉炭火力の蒸気システムを図 3.2-3 に示す。ボイラーで発生した高温、高圧

の蒸気で高圧タービンを駆動させ、つぎに再昇温して中圧タービンを駆動、さらにその排

気で低圧タービンを駆動する。復水器で凝縮した水はタービンおよびその周辺から抜き出

した蒸気によって順次加熱されたのち、ボイラーへ戻る。

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1581

アミン吸収のプロセスフローアミン吸収のプロセスフロー

C.W.

C.W.

Steam

Reboiler

C.W.

ABSORBER

Flue GasCooler

CO2

Flue Gas Outlet

Flue Gas

STRIPPER

Purity : 99.9 %

図 3.2-2 化学吸収法のプロセス

HP IP LPHP IP LP

Condenser

1234567

Steam abstractionfrom LP turbin

6 Deaerator

Boiler

図 3.2-3 発電所の蒸気システムの例(微粉炭火力)

(蒸気システムからの抽気と発電ロス)

分離回収プラントのリボイラに発電所の蒸気システムから蒸気を供給する。この蒸気は

タービンを駆動し発電に用いられていたものであるから、抽気を行うと発電量が減少し、

発電効率が低下する(図 3.2-4)。リボイラでの必要熱量Qを発電システムから蒸気として

供給するときの発電端での出力ロスをΔPとするとき、ΔP/Q を発電ロス率と定義する。

発電ロス率は発電所と分離回収プラント間の熱統合の程度を表す数であり、値が小さいほ

ど熱統合が進んでいることを示す。

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発電プラント CO2分離プラント

リ ボイラ加熱蒸気

その他排熱回収

燃料 CO2

所内動力

リボイラ必要熱量Q(MJ)

発電端での発電ロス

ΔP(kWh)

図 3.2-4 発電システムからの抽気と発電量の減少

3.2.3 国内外の熱統合に関する文献調査

(1) 調査方法 二酸化炭素の回収・貯留に関する IPCC 特別報告書(2)の第3章の分離回収の章には燃

焼排ガスからの二酸化炭素の分離回収のプロセスと回収コストについて詳しく記載されて

いる。燃焼後回収での経済性検討に関する文献をまとめた特別報告書の表 3.7-3.9 に記載

されている 14 の文献について、分離回収設備と発電所本体との熱統合の観点で整理した。

対象の発電所は微粉炭火力、天然ガスコンバインドサイクルとした。

調査した 14 の文献は以下である。

A DOE/NETL, 2002:Advanced Fossil Power Systems Comparison Study

B Persons Infrastructure & Technology Group, Inc. 2000: Evaluation Of

Innovative Fossil Fuel Power Plants with CO2 Removal. Sponsored by EPRI,

DOE/Office of Fossil Fuel and DOE/NET

C Persons Infrastructure & Technology Group, Inc. 2002:Updated Cost and

Performance Estimates for Fossil Fuel Power Plants with CO2 Removal.

Sponsored by EPRI, DOE/Office of Fossil Fuel and DOE/NETL

D IEA Green House R&D Programme (IEA/GHG) 2004: Improvements In

Power Generation With Post Combustion Capture of CO2 Report PH4/33,

Nov. 2004

E Edward S. Rubin, Anand B. Rao and Chao Chan, 2005: Comparative

Assessments of Fossil Fuel Power Plants with CO2 Capture and Storage.

Proceedings of 7th International Conference Greenhouse Gas control

Technologies, Volume 1, Elsevier Science, Oxford, UK, 285-294.

F Robert Stobbs & Paul Clark, 2005:Canadian Clean Power Coalition: The

Evaluation of Options for CO2 Capture From Existing and New Coal-Fired

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1583

Power Plants. Proceedings of 7th International Conference on Greenhouse

Gas Control Technologies. Volume II: Elsevier Science, Oxford, UK, 1187-1192

G Parsons Infrastructure & Technology Group Inc. (2002): Evaluation of

Fossil Fuel Power Plants with CO2 Recovery. Sponsored by DOE/NETL

H Alstom Power Inc. / ABB Lummus Global Inc. and American Electric Power,

2001:Engineering Feasibility And Economics Of CO2 Capture On An Existing

Coal-Fired Power Plant. Report No. PPL-01-CT-09. Sponsored by Ohio

Department of Development and DOE/NETL

I Anand B. Rao & Edward S. Rubin 2002: A Technical, Economic, And

Environmental Assessment Of Amine-Based CO2 Capture Technology For

Power Plant Greenhouse Gas Control. Environmental Science and Technology,

Vol.36 No. 20, 2002. Page 4467-4475

J D. Singh, E. Croiset, P. L. Douglas & M. A. Douglas 2003:Techno-Economic

Study Of CO2 Capture From An Existing Coal-Fired Power Plant: MEA

Scrubbing Vs. O2/ CO2 Recycle Combustion. Energy Conversion and

Management, 44, p. 3073-3091

K J.R. Gibbins, R. I. Crane, D. Lambropoulos, C. Booth, C. A. Roberts, and M.

Load 2005:Maximizing The Effectiveness Of Post-Combustion CO2 Capture

Systems. Proceedings of the 7th International Conference on Greenhouse

Gas Control Technologies. Volume I, Elsevier Science, Oxford, UK, 139-146

L N. Nsakala, J. Marion, C. Bizzuto, G. Linjedahl, M. Palkes, D. Vogel, J.

Gupta, M. Guha, H. Johonson, and S. Plasynski. 2001: Engineering

Feasibility Of CO2 Capture On An Existing US Coal-Fired Power Plant.

Presentation at the first national conference on Carbon Sequestration, May

15-17, 2001, Washington DC

M 三村富雄、薩美七朗 1998:化学吸収法による炭酸ガス分離に伴うタービン出力

低下量の計算評価。 化学工学論文集第 24 巻第 4 号(1998) P546~551.

N Mimura, T., H. Simoyoshi, et al. 1997:Development Of Energy Saving

Technology For Flue Gas Carbon Dioxide Recovery In Power Plants By

Chemical Absorption Method And Steam System. Energy Conversion and

Management 38 (Suppl): P57-62

(2) 調査結果 14 件の調査対象文献のうち、一般論を論じておりプラントについてまったく記述のな

い文献が 2 件、他の文献と内容が同一の文献が 2 件あり、分離回収システムと火力発電所

を統合した場合の熱効率・経済性の検討結果を記載しているのは 10 件である。

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この 10 文献のうち、詳細な検討結果の記述があるのは 6 文献で、最終結果しか提示さ

れていないのが 4 文献である。なお、文献 B、C、および G は、同一の著者が同一の仮定

の下で行なった検討である。従って、大別すると文献 A、文献 B・C・G、文献 D、文献 H

の 4 バリエーションがある。

二酸化炭素の回収量については、全ての文献が全量の二酸化炭素を分離回収プラントに

導入する検討を行っていた。回収率は 85-95%(微粉炭火力)、85-90%(NG コンバインド

サイクル)であった。

リファレンスプラント(比較する二酸化炭素の分離回収設備を設置しない発電設備)と

回収付きプラントで、燃料使用量を同じにするケース(A、B、一部 D、一部 H)、発電端

出力を同じにするケース(D)がある。ルールが不明なものもあった(C、G、H)。

大半が新設プラントについての検討であるが、文献 Hは既設改造を扱っていた。表 3.2-1

に 14 の文献の概要を示す。

表 3.2-1 調査文献の概要

亜臨界圧

超臨界圧

超超臨界圧

A ○ ○ ○ ○ ○

B ○ ○ ○ ○ ○ ○

C ○ ○ ○ ○ ○

D ○ ○ ○ ○ ○ ○

E ○ ○ ○ ○ ○

F ○ ○ ○ ○

G ○ ○ ○ ○

H ○ ○ ○ ○ ○

I ○ ○ ○ ○ ○

J ○ ○ ○ ○

K ○

L ○ ○

M ○ ○ ○ ○

N ○ ○ ○ ○

言語 建設方式 発電プラント形式

文献番号

英文

日本文

新設

既設改造

PC コンバインド

CO2吸収剤

MEA

アミン

その他

ガスタービンはGE-7FとGE-7Hの二形式につき検討。

文献Bの続編である。

FlourのMEAシステムとMHIのKS-1システムにつき検討。効率改善が良く考えられ、システムが構成されている。

プロジェクトの中間報告書

文献B,Cと完全に同じ手法を用いた分析。

背圧タービンからの蒸気をリボイラ加熱に使用している。

CO2分離回収システムへの硫黄分の影響について論じたもの。

既設改造の方が回収CO 2量当たりの建設費が低くなる。

化学吸収法よりもO 2燃焼法の方が経済的と結論しているが?

一般論。良く出来ている。結論はDにも一部反映されている。

文献Hを学会発表用に纏めたものである。

スタディしたプラントは文献Mと同じ。

コメント亜臨界圧

超臨界圧

超超臨界圧

A ○ ○ ○ ○ ○

B ○ ○ ○ ○ ○ ○

C ○ ○ ○ ○ ○

D ○ ○ ○ ○ ○ ○

E ○ ○ ○ ○ ○

F ○ ○ ○ ○

G ○ ○ ○ ○

H ○ ○ ○ ○ ○

I ○ ○ ○ ○ ○

J ○ ○ ○ ○

K ○

L ○ ○

M ○ ○ ○ ○

N ○ ○ ○ ○

言語 建設方式 発電プラント形式

文献番号

英文

日本文

新設

既設改造

PC コンバインド

CO2吸収剤

MEA

アミン

その他

ガスタービンはGE-7FとGE-7Hの二形式につき検討。

文献Bの続編である。

FlourのMEAシステムとMHIのKS-1システムにつき検討。効率改善が良く考えられ、システムが構成されている。

プロジェクトの中間報告書

文献B,Cと完全に同じ手法を用いた分析。

背圧タービンからの蒸気をリボイラ加熱に使用している。

CO2分離回収システムへの硫黄分の影響について論じたもの。

既設改造の方が回収CO 2量当たりの建設費が低くなる。

化学吸収法よりもO 2燃焼法の方が経済的と結論しているが?

一般論。良く出来ている。結論はDにも一部反映されている。

文献Hを学会発表用に纏めたものである。

スタディしたプラントは文献Mと同じ。

コメント

(3) 考察 (熱効率の低下)

火力発電所に分離回収設備を設置し、発電所の蒸気システムからの蒸気供給を受ける際

の発電効率の低下および発電ロス率についての報告をまとめると表 3.2-2 のようになる。

発電ロス率は微粉炭火力で 0.042~0.074 kWh/MJ、NG コンバインドサイクルで 0.056~

0.076kWh/MJ となり、NG コンバインドサイクルではやや熱統合性が劣る結果であった。

また、発電効率の低下は吸収液の種類によって異なり、新吸収液使用時の発電端および送

電端の効率低下はモノエタノールアミン(MEA)使用時の 6 割程度に抑えられていた。

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表 3.2-2 発電効率の低下(絶対値、発生二酸化炭素の全量処理のケース)

0.056~0.076

0.042~0.074

発電ロス率

kWh/MJ

5.5-7.52.7-3.9新吸収液

7.2-10.94.3-6.8MEANGCC

7.7-8.84.4-4.8新吸収液

10.8-11.86.9-8.1MEA微粉炭

送電端効率差

%絶対値

発電端効率差

%絶対値吸収液発電方式

0.056~0.076

0.042~0.074

発電ロス率

kWh/MJ

5.5-7.52.7-3.9新吸収液

7.2-10.94.3-6.8MEANGCC

7.7-8.84.4-4.8新吸収液

10.8-11.86.9-8.1MEA微粉炭

送電端効率差

%絶対値

発電端効率差

%絶対値吸収液発電方式

(設備費)

分離回収を行わない場合の発電プラントの価格を 100 として分離回収付き発電プラン

トの設備費をまとめると表 3.2-3 の様になる。二酸化炭素の分離回収およびパイプライン

送液のための昇圧設備の設備費は微粉炭火力では発電プラントの 20 から 35%であるが、

NGCC では 43 から 60%と2倍程度の値となっている。これは NGCC では二酸化炭素濃

度が 3%程度と低いため、処理ガス量の増加に伴って回収設備が大きくなることに起因す

る。

表 3.2-3 建設費の増加

149-157124-133合計

43-6019-35CO2回収・昇圧

92-10597-107発電プラント

NGCC微粉炭火力

149-157124-133合計

43-6019-35CO2回収・昇圧

92-10597-107発電プラント

NGCC微粉炭火力

発生二酸化炭素の全量処理の場合、リファレンスの発電プラント価格=100

(抽気ポイント)

図 3.2-1 に文献で検討されている発電所の蒸気システムからの抽気ポイントをまとめ

た。大別すると(A)中圧タービン(IPT)の排気、(B)低圧タービン(LPT)からの抽気、(C)

中圧タービン(IPT)の排気+背圧タービンの設置の3種類がある。

抽気にともなう発電端効率の低下(Δη)は(3.2-1)式の様に表現できる。

Δη=1000×α×β×γ×ηgen×F3 (3.2-1)

ここで、

α:単位燃料入熱当たりの発生二酸化炭素量(kg/MJ)

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図 3.2-5 抽気ポイント

β:分離回収プラントでの二酸化炭素回収率

γ:発生二酸化炭素量当たりのリボイラ所要熱量(MJ/kg)

ηgen:発電機効率(通常 0.985 強)

F3:(3.2-2)式で与えられる常数

である。

F3= (HSTM − Hcond) ÷(HSTM − Hdrain) (3.2-2)

ここで、

HSTM:リボイラ加熱蒸気抽気点の比エンタルピー(kJ/kg)

Hdrain:リボイラドレンの比エンタルピー(kJ/kg)

Hcond:低圧タービン出口蒸気の比エンタルピー(kJ/kg)

である。

また、F3 は(3.2-3)式のような実験式で表現され、F3 は抽気圧力の関数となる。

F3=0.200+0.0609×ln(PSTM)+0.0000316×ln(PSTM)×TSTM

+0.0000761×TSTM−0.665×PCond (3.2-3)

ここで、

PSTEM:抽気蒸気の圧力(kg/cm2A)

Pcond:復水器圧力(kg/cm2A)

IP LPIPT LPT

CO2回収

リボイラー(A)

IP LPIP LPIPT LPT

CO2回収

リボイラー(B)

背圧タービン

ンンン

CO2回収

リボイラーIPT LPT

(C)

IPTの排気から抽気文献B,C,D,G

LPTから抽気文献M,AのNGCC

IPT排気から抽気+背圧タービン文献A.H

IP LPIPT LPT

CO2回収

リボイラー(A)

IP LPIPT LPT

CO2回収

リボイラー(A)

IP LPIP LPIPT LPT

CO2回収

リボイラー(B)

IP LPIP LPIPT LPT

CO2回収

リボイラー(B)

背圧タービン

ンンン

CO2回収

リボイラーIPT LPT

(C)

ンン

背圧タービン

ンンンン

CO2回収

リボイラーIPT LPT

(C)

IPTの排気から抽気文献B,C,D,G

LPTから抽気文献M,AのNGCC

IPT排気から抽気+背圧タービン文献A.H

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TSTEM:抽気蒸気の温度(℃)

である。

抽気蒸気の圧力から (3.2-1)~ (3.2-3)式を用いて求めた発電端出力差を (3.2-4)式で発電

ロス率に変換し、文献値とともに図 3.2-6 に示した。抽気圧力が小さくなるほど発電ロス

は小さくなる。抽気圧力のみを考慮した計算値よりも、文献値の発電ロス率が小さくなっ

ている。これは、後述の様々な熱回収が考慮されているためと考えられる。

ε=∆η×P0/(Q CO2×M CO2×η0) (3.2-4)

ここで、

ε:発電ロス率(kWh/MJ)、Δη:発電端効率の差、

P0:リファレンスの発電出力(kW)、η0:リファレンスの発電端効率

Q CO2:単位二酸化炭素当たりの消費熱量(MJ/t-CO2)

M CO2:単位時間当たりの二酸化炭素処理量(t-CO2/h)

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0 1 2 3 4 5 6

抽気圧力(kg/cm2)

発電

ロス

率(kW

h/MJ)

計算値

Ⅰ(文献A, H)

Ⅱ(文献B,C,D,H)

Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ(文献D)

図 3.2-6 文献にみる抽気圧力および熱統合手法(Ⅰ~Ⅳ)と発電ロス率

リボイラで必要な蒸気温度は 130℃程度である。図 3.2-5(A) の中圧タービン排気部で

は蒸気圧力が高いため、発電ロス率が大きくなる。(C)の様に背圧タービンを設置すると抽

気蒸気のエネルギーを回収できるため、発電ロス率を小さくできる。低圧タービンからの

低圧蒸気の抽気(B)も発電ロス率を小さくできる有効な方法である。

さらに図 3.2-5 の3つの抽気方法について、大量処理および部分負荷運転の面からも有

効性を比較した(表 3.2-4)。中圧タービンから低圧タービンへの蒸気配管は太く、大量抽

気に適している。一方低圧タービン途中から大量に抽気することはタービンの設計上非常

に難しいため、二酸化炭素の処理量が大きい場合には困難になると考えられる。

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表 3.2-4 抽気方法とその有効性

×

×

部分負荷

○○C

○×B

×○A

Eロス大量処理ケース

×

×

部分負荷

○○C

○×B

×○A

Eロス大量処理ケース

現実の発電所では一日のうちに相当の負荷変動がある。負荷量が低下すると抽気する蒸

気の温度が下がるため、下流の分離回収プロセスに十分な温度の蒸気を供給できなくなる。

これを防止するためには負荷変動を十分吸収できる抽気システムである必要がある。この

観点から評価すると、(A)(B)は抽気が固定的であるため、負荷変動への対応ができない。

一方、(C)は背圧タービン設置により負荷変動の吸収が可能である。

(熱回収)

文献では表 3.2-5 に示すような様々な熱回収を実施している。それぞれの方策実施によ

って期待される発電ロス率の減少効果も合わせて記載した。

表 3.2-5 文献にみる熱統合手法と効果

番号 内容 文献発電ロス率減少効果

(kWh/MJ)

Ⅰ 背圧タービン設置 A, H 圧力によって異なる

Ⅱリボイラドレン:復水器に回収せず、ほぼ同じ温度の復水系統に戻す

B, C, D, H 0.005~0.007

Ⅲ コンプレッサー等廃熱回収:復水で熱回収 D 0.005

Ⅳリボイラ加熱用蒸気の減温:復水器出口復水ではなく、リボイラドレンで冷却

D 0.002

Ⅴリボイラ加熱用蒸気の減温:高温給水の過熱に使用

K 0.005

これらの熱統合手法を全て取り入れている文献はないが、2.5kg/cm2 の蒸気を抽気し、

かつ全ての熱回収を実施(ただし、ⅣとⅤは同時に採用できないのでⅤを採用、よってⅡ

+Ⅲ+Ⅴ)すれば、微粉炭火力での発電ロス率は 0.04 kWh/MJ 程度の値(0.06-0.007-

0.005-0.005=0.043)になると予想される。

3.2.4 発電所の蒸気システムからの抽気方法と熱効率に関する検討

(1) 解析の概要 発電ロス率の設定の妥当性について検討するために、微粉炭火力、LNG コンベンショ

ナルおよび LNG コンバインドサイクルを対象に、抽気ポイントや熱統合の効果を計算し

た。発電所の出力は 100 万 kW 級とし、3 ケースの二酸化炭素回収量(100、200 万 t-CO2/

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1589

年および排出二酸化炭素の全量処理)について検討した。また、現状技術とともに先進的

な吸収液および吸収プロセスの開発を想定した長期目標についても検討した。

(2) 解析の前提条件 ① 対象システム 微粉炭火力、LNG コンベンショナル、および LNG コンバインドサイクルを対象とした。

微粉炭火力および LNGコンベンショナルについては文献(3)に記載の 100万 kW火力の

熱平衡線図(図 3.2-16、図 3.2-17)を用いた。なお、文献(3)には、設計ベースの燃料流量

や熱効率が記載されていないため、送電端熱効率が石炭火力では 40%、LNG コンベンシ

ョナルでは 38.58%となる量の燃料を投入するものとした。

LNG コンバインドサイクルについては文献(4)に記載の9FA を用いたシステムの熱平

衡線図(図 3.2-18)を使用した(送電端熱効率 49.3%)。なお、同文献に記載の数値では

マスバランスが合わない点があるため、できるかぎり文献の値を用いつつ、バランスの合

う値を算出した。また、図 3.2-18 の LNG コンバインドサイクルの発電端出力は 400MW

なので、図に示す系統 3 系列で合計 120 万 kW のプラントを想定した。

② 燃料 (石炭) 燃料としては表 3.2-6 に示す豪州炭(Hunter Valley 炭)を用いるものとした。

表 3.2-6 燃料炭の性状 (4)

Hunter Valley 炭

高位発熱量 kcal/kg 6800

水分 wt% 9

灰分 wt% 13.5

揮発分 wt% 34

固定炭素 wt% 50

全硫黄 wt% 0.6

灰融点 ℃ 1560

HGI 50

C wt% 70.8

H wt% 4.4

O wt% 9.1

N wt% 1.6

元素分析値

(無水ベース)

S wt% 0.5

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1590

(LNG) 燃料としては都市ガス 13A を用いることとした。燃料性状を表 3.2-7 に示す。

表 3.2-7 燃料ガス性状 成分 組成(mol%) メタン 88.0 % エタン 6.0 % プロパン 5.0 % ブタン 1.0 %

③ 二酸化炭素回収量 100、200 万 t-CO2/年および最大限回収(排ガス中二酸化炭素の 90%)の3ケースについ

て解析を行った。

④ 発電システムの熱物質収支(出力、熱効率など)の解析方法 発電システムの熱効率解析には「発電システム熱効率解析汎用プログラム(EgWin)」を

用いた。なお、水・蒸気の熱物性値には IAPWS-IF97 を用い、ガス成分の熱物性値には文

献(5)の式を用いた。

表 3.2-8 蒸気要求量、スペック 石炭火力 LNG コンベンショナル

項目 現状 短期 長期 現状 短期 長期

熱量原単位

MJ/t- CO2 3,000 2,500 1,800 3,200 2,700 2,000

動力原単位

kWh/t- CO2 26.8 18 10 33.0 20.95 10

冷却熱量原単位

MJ/t- CO2 3,310 2650 2,000 5,958 5,027 3,724

必要蒸気温度℃ 136.8 130 130 136.8 130 130

蒸気エンタルピー

MJ/t-steam 2,153.8 2173.7 2173.7 2,153.8 2173.7 2173.7

LNG コンバインドサイクル 項目

現状 短期 長期

熱量原単位

MJ/t- CO2 3,200 2,700 2,000

動力原単位

kWh/t- CO2 73.2 49.2 27.3

冷却熱量原単位

MJ/t- CO2 5,926 5,000 3,704

必要蒸気温度℃ 136.8 130 130

蒸気エンタルピー

MJ/t-steam 2,153.8 2173.7 2173.7

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1591

⑤ 二酸化炭素回収システムの諸元 二酸化炭素回収システムの諸元は、平成 17 年度に検討した現状技術での二酸化炭素回

収の諸元(現状)と将来の目標値(長期)を用いた (1)。また、現状と長期の中間値を短期

の目標諸元とした。(表 3.2-8) (3) 抽気と発電ロス率 ① 微粉炭火力 (抽気ポイント)

微粉炭火力のプラントでは、給水加熱のための抽気など、蒸気の取出し点が多いが、二

酸化炭素回収設備で必要な蒸気の圧力が現状で 0.33MPa、長期の設定でも 0.27MPa 以上

であるため、これ以上の圧力となる以下の3点を選択して抽気ポイントとした。

a) 中圧タービン(IPT)抽気(461.6℃、21.91ata)

b) 中圧タービン(IPT)排気(362.6℃、11.11ata)

c) 低圧タービン(LPT)抽気(271.6℃、5.51ata) (熱回収)

二酸化炭素回収型の場合、回収設備などからの廃熱利用の方法に応じて、様々な構成が

考えられる。まず、廃熱利用を最小限とした下記のケース1と2の場合について抽気ポイ

ントの影響解析を実施し、次に廃熱を最大限活用したケース3についてその効果を確認し

た。

ア) ケース1(熱回収なし) 抽気ポイントの蒸気は高温・高圧であるため、脱気器入口の給水を分岐してスプレーし、

リボイラで必要な温度の飽和蒸気にしてから二酸化炭素回収設備に供給する。さらに、リ

ボイラドレンを復水器に戻す。(図 3.2-19)。

イ) ケース2(リボイラドレンの熱のみ回収)(表 3.2-5 のⅡ) リボイラドレンは飽和水であり温度が 130℃程度以上あるため、このドレンを低圧第 3

給水加熱器へ供給する(図 3.2-20)。

ウ) ケース3(最大限熱回収) 下記の動力回収及び熱回収を全て含む(図 3.2-22)。

・ 抽気蒸気を必要な圧力まで背圧タービンで膨張させて動力回収する(表 3.2-5 のⅠ)

・ 背圧タービン出口蒸気が飽和温度になるまでの顕熱分を給水ポンプ出口給水の過熱

および脱気器入口給水の過熱に用いる(表 3.2-5 のⅢ)

・ ケース 2 と同様リボイラドレンを低圧第 3 給水加熱器に供給する

・ 圧縮機中間冷却器の排熱及びコンデンサの排熱を給水加熱に利用する(表 3.2-5 の

Ⅴ)

(その他)

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1592

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0 5 10 15 20 25

抽気圧力(ata)

発電

ロス

率(kwh/MJ)

ケース1

ケース2

ケース3

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0 5 10 15 20 25

抽気圧力(ata)

発電

ロス

率(kwh/MJ)

ケース1

ケース2

ケース3

プラントの改造を最小限にして抽気を行う場合には後述の様に熱・圧力バランスの変化

が生じるため、熱物質収支の解析にはプラントの制御系も含めた詳細な解析が必要となる。

そこで、本解析では、抽気ポイント以後の設備を改造し(低圧タービンロータ交換等)、抽

気ポイントの圧力が設計値と等しくなるものとして解析した。

(抽気ポイントの影響解析)

図 3.2-7 に IPT 抽気、IPT 排気および LPT 抽気時の蒸気圧力と発電ロス率との関係を

示す。ケース1,2では抽気ポイントの圧力が低いほど、発電ロス率が小さくなる。最大

限の熱回収を行ったケース3では発電ロス率は極めて小さな値となる。また、背圧タービ

ンによって動力回収しているため、抽気ポイントによる差はみられない。

一方、ハードウェア面から考察すると、リボイラ用蒸気の抽気流量は 100 万 t-CO2/年

回収(回収率 20%)のケースでもベースシステムの IPT 抽気や LPT 抽気流量の 1.7 倍以

上が必要となり、最大限回収(回収率 90%)のケースでは中圧タービン入口流量の 3 分の

1 以上が必要となる。このような大量の蒸気をタービンの途中から抜き出すことは、ター

ビンの設計上非常に難しいため、抽気ポイントとしては IPT 排気が最も適当であると考え

られる。

図 3.2-7 微粉炭火力での抽気ポイントの違いと発電ロス率(現状技術) (a:二酸化炭素回収量 100 万 t-CO2/年、b:発生二酸化炭素の全量処理)

ケース1 :熱回収なし、ケース2 :リボイラドレンのみ熱回収、ケース3 :最大限熱回収

(熱統合の影響解析)

リボイラドレンの熱回収(Ⅱ)を行うと(ケース2)、微粉炭火力および LNG コンベ

ンショナルでは発電ロス率を熱回収の無いケース1に比べ、現状技術で 0.007kWh/MJ 低

下させることができる。さらに背圧タービン設置(Ⅰ)、分離回収プロセスからの廃熱回収

(Ⅲ)、および高温給水加熱プロセスでの抽気蒸気減温(Ⅴ)を行うケース3では、二酸化

炭素回収量が 100 万 t-CO2/年(回収率 20%)の場合には平成 17 年度の長期目標設定値で

(a) (b)

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1593

ある 0.04 をはるかに下回る 0.028kWh/MJ まで発電ロス率を低下できることがわかった

(図 3.2-7)。

(二酸化炭素の回収量と発電ロス率)

熱回収の程度が小さい場合には発電ロス率は二酸化炭素処理量によって変化しないが、

最大熱回収時では二酸化炭素処理量が増加すると発電ロス率が大きくなる(図 3.2-8)。熱

回収は熱回収を行おうとする排水を相当する温度の給水加熱系にリサイクルすることによ

って行われる。二酸化炭素回収量が増加すると、発電プロセスで利用できる廃熱量に限界

があるため発電ロス率は増加し最大二酸化炭素回収時(回収率 90%)では微粉炭火力で

0.055 kWh/MJ まで発電ロス率が増加してしまう。

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

0.08

0.09

0.1

0 1000 2000 3000 4000 5000

CO2回収量(千t/年)

発電

ロス

率(kWh/MJ)

ケース1

ケース2

ケース3

図 3.2-8 微粉炭火力における二酸化炭素の回収量と発電ロス率

(現状技術、中圧タービン排気からの抽気)

② LNG コンベンショナル(LNG 汽力) (抽気ポイントおよび熱回収)

微粉炭火力と同様の3つの抽気ポイントおよびケース1~3の熱回収について検討し

た。

(抽気ポイントの影響解析)

図 3.2-9 に IPT 抽気、IPT 排気および LPT 抽気時の蒸気圧力と発電ロス率との関係を

示す。微粉炭火力の場合と同様、ケース1,2では抽気ポイントの圧力が低いほど、発電

ロス率が小さくなる。最大限の熱回収を行ったケース3では発電ロス率は極めて小さな値

となる。また、背圧タービンによって動力回収しているため、抽気ポイントによる差はみ

られない。

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図 3.2-9 LNG コンベンショナルでの抽気ポイントの違いと発電ロス率(現状技術) (a:二酸化炭素回収量 100 万 t-CO2/年、b:発生二酸化炭素の全量処理)

ケース1:熱回収なし、ケース2:リボイラドレンのみ熱回収、ケース3:最大限熱回収

(二酸化炭素の回収量と発電ロス率)

微粉炭火力と同様、熱回収の程度が小さい場合には発電ロス率は二酸化炭素処理量に

よって変化しないが、最大熱回収時では二酸化炭素処理量が増加すると発電ロス率が大き

くなる(図 3.2-10)。二酸化炭素回収量が 100 万 t-CO2/年(回収率 30%)の場合には

0.030kWh/MJ まで発電ロス率を低下できることがわかった。しかし最大二酸化炭素回収

時(回収率 90%)では 0.052 kWh/MJ まで発電ロス率が増加してしまう。

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

0.08

0.09

0.1

0 1000 2000 3000 4000

CO2回収量(千t/年)

発電

ロス

率(kWh/MJ)

ケース1

ケース2

ケース3

図 3.2-10 LNG コンベンショナルにおける二酸化炭素の回収率と発電ロス率

(現状技術、中圧タービン排気からの抽気)

(時間当たりの抽気熱量と発電ロス率)

十分な熱統合を行った微粉炭火力および LNG コンベンショナルでの、時間当たりの抽

気熱量と発電ロス率の関係は図 3.2-11 の様になる。時間当たりの抽気熱量が増加すると昇

圧プロセスで発生する廃熱の未回収割合が増加するために発電ロス率が増加するが、背圧

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0 5 10 15 20 25

抽気圧力(ata)

発電

ロス率

(kwh/MJ)

ケース1

ケース2

ケース3

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0 5 10 15 20 25

抽気圧力(ata)

発電

ロス率

(kwh/MJ)

ケース1

ケース2

ケース3

(a (b

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1595

タービン設置やリボイラ熱回収は有効であるため 0.055kWh/MJ あたりで増加は頭打ちに

なる。

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0 500 1000 1500 2000

時間当たりの抽気熱量(千MJ/hr)

発電

ロス

率(kWh/

MJ)

図 3.2-11 時間当たりの抽気熱量と発電ロス率

(微粉炭火力、LNG コンベンショナル)

(文献との比較)

本計算結果と既往の文献の比較を図 3.2-12 に示す。100 万 t-CO2/年回収時には、発電

ロス率は文献および昨年の目標設定(現状:0.052、長期目標:0.04kWh/MJ)に比べては

るかに小さい値となるが、回収量が大きくなるとほぼ文献値なみの 0.05kWh/MJ まで増大

する。

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0 5 10 15 20 25

抽気圧力(kg/cm2)

発電

ロス

率(kWh/MJ)

熱回収なし

Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ+Ⅴ(100万t-CO2/年回収)

Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ+Ⅴ(200万t-CO2/年回収)

Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ+Ⅴ(Full回収)

Ⅰ(文献A,H)

B(文献B,G)

Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ(文献D)

図 3.2-12 微粉炭火力、LNG コンベンショナルの発電ロス率の文献との比較

③ LNG コンバインドサイクル (抽気ポイント)

コンバインドサイクルでは、復水は燃焼排ガスと熱交換されるため、給水加熱系が無く

蒸気タービンからの抽気が無い。このため、蒸気の取出しが可能なのは排気との熱交換を

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1596

行っている HRSG(Heat Recovery System Generator)側の蒸発器出口および各タービ

ンの出入り口のみである(図 3.2-23)。蒸気条件として最も無駄が無いのは低圧蒸発器出

口であるが、流量が 36.8t/h と少ないため、中圧タービン出口(低圧タービン入口)を抽気ポ

イントとした。しかし、本抽気ポイントでの蒸気圧力は 6kg/cm2と高いため発電ロス率は

0.09 と大きな値となった(表 3.2-9)。

(熱回収)

同様に給水加熱系が無いため、温排水をリサイクルできず、熱回収は実施できない。

(二酸化炭素回収量と発電ロス率)

発電ロス率は二酸化炭素回収量にかかわらず一定の値となった(表 3.2-9、表 3.2-10)。

表 3.2-9 LNG コンバインドサイクル解析結果(現状技術)

回収量 Mt/年 0 1000 2000 最大限発電端出力 MW 1171.286 1129.796 1088.306 1056.594発電端出力低下 MW 41.49002 82.98004 114.6918送電出力 MW 1150.203 1085.817 1021.432 972.2211送電出力低下 MW 64.38527 128.7705 177.9816送電端効率 49.30% 46.54% 43.78% 41.67%熱量 GJ 0 456.621 913.242 1262.247発電ロス率 kWh/MJ 0.090863 0.090863 0.090863

表 3.2-10 LNG コンバインドサイクル解析結果(長期目標)

回収量 Mt/年 0 1000 2000 最大限発電端出力 MW 1171.286 1145.355 1119.423 1099.603発電端出力低下 MW 25.93126 51.86253 71.68235送電出力 MW 1150.203 1107.926 1065.649 1033.336送電出力低下 MW 42.27686 84.55371 116.8668送電端効率 49.30% 47.49% 45.67% 44.29%熱量 GJ 0 285.3881 570.7763 788.9046発電ロス率 kWh/MJ 0.090863 0.090863 0.090863

(文献との比較)

図 3.2-13 に発電ロス率の文献との比較を示す。本検討では部分負荷運転を考慮して

HRSG を変えずに抽気することとした。使用した熱平衡線図では中圧タービン出口が抽気

ポイントであり、蒸気圧力が 6kg/cm2と高いため発電ロス率は 0.09 と大きな値となった。

文献では発電ロス率をより低くするため、最初から抽気がある事を前提にして熱交換シス

テムを最適化し、より低圧での抽気が行われている。ただし、これらの文献では部分負荷

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1597

運転は全く考慮されていない。部分負荷を含めるには非常に高度な制御システムを組む必

要があり、詳細な検討が必要である。

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

0.08

0.09

0.1

0 2 4 6 8

抽気圧力(kg/cm2)

発電

ロス

係数

(kW

h/MJ)

本検討

文献A

文献B

文献D

図 3.2-13 LNG コンバインドサイクルの発電ロス率の文献との比較

(4) 十分な熱回収実施時の抽気による送電端効率の低下 微粉炭火力および LNG コンベンショナルについて十分な熱回収実施時(システム3)

の抽気による送電端効率の低下を図 3.2-14 に示した。送電端効率には発電ロス率、吸収液

再生時の消費熱量(MJ/t-CO2)、および分離回収プラントの消費動力が関係する。二酸化

炭素処理量によって発電ロス率が変化するため、グラフは直線にならず、処理量の増大と

ともに送電端効率の低下がより大きくなる(図 3.2-15)。一方、コンバインドサイクルで

は処理量によって発電ロス率が変わらないため、送電端効率は二酸化炭素処理量とともに

直線的に低下する。

長期目標の場合には送電端効率の低下は小さく抑えられる。100 万 kW 級微粉炭火力か

ら年間 100 万/t-CO2の二酸化炭素を回収したケースでは、送電端効率低下を 0.8%(絶対

値)程度に抑えることが可能である。

30

32

34

36

38

40

42

0 1000 2000 3000 4000 5000

CO2回収量(千t/年)

送電

端効

率(%

微粉炭火力、現状

微粉炭火力、長期目標

LNGコンベンショナル、現状

LNGコンベンショナル、長期目標

図 3.2-14 二酸化炭素回収量と送電端効率の関係(微粉炭火力、LNG コンベンショナル)

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1598

41

42

43

44

45

46

47

48

49

50

0 1000 2000 3000 4000 5000

CO2回収量(千t/年)

送電

端効

率(%

LNGCC、現状

LNGCC、長期目標

図 3.2-15 二酸化炭素回収量と送電端効率の関係(コンバインドサイクル)

(5) 抽気に伴って生じるおそれのある問題 新設の場合は設備が最適化されるので問題は起こらないが、既存の設備を改造して抽気

を行う場合には二酸化炭素の回収量が増大するにつれて以下の問題が生じるおそれがある

ため、何らかの対策が必要である。二酸化炭素回収量が 100 万 t-CO2/年程度であれば問題

はないと予想される。

1) 設備の改修を行わずに抽気を行うと、抽気ポイント以後の蒸気流量が減少すること

で、抽気ポイントの圧力が設計値よりも下がるため、システム全体の圧力・流量のバ

ランスが変化する。

2) また、低圧タービン排気流量の減少により、特に低負荷時において、ターンアップ

損失が増加する領域(参考図の左側の流速の減少により急激に損失が増大する領域)に

入ると、排気室の加熱などを引き起こす恐れが生じる(図 3.2-24)。

① 負荷変動の影響 ここまでの解析は全て定格負荷時のものであるが、ここでは部分負荷運用に関する考察

を加える。

a リボイラ蒸気条件(圧力)及び流量の確保: 定格時に背圧タービンを用いてリボイラで必要な圧力まで膨張させる設計とした場

合、部分負荷時にはそれ以下の圧力となってしまうため、背圧タービンをバイパスす

るライン(およびそのラインの圧力を調節する流量調整弁と背圧調整弁)を設ける必要がある。

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1599

1L-FWH1L-FWH2L-FWH2L-FWH3L-FWH3L-FWH4L-FWH4L-FWH

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2246533.0 kg/h

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2246533.0 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2246533.0 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2246533.0 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2246533.0 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2246533.0 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

112052.5 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

112052.5 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

218274.8 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

218274.8 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

315463.3 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

315463.3 kg/h

InPortInPort

* 25.0 ℃* 20.60 ata* 0.0 kg/h

* 25.0 ℃* 20.60 ata* 0.0 kg/h

3H-FWH3H-FWH 2H-FWH2H-FWH 1H-FWH1H-FWH

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.5 kg/h

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.5 kg/h* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.5 kg/h

* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.5 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

DEADEA

PumpPump

ガスガス

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.5 kg/h

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.5 kg/h* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.5 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.5 kg/h

HPTHPT IPTIPT

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata

* 16421.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata

* 16421.0 kg/h

2

1 296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 3327.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 3327.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h

461.6 ℃* 21.91 ata

113677.7 kg/h

461.6 ℃* 21.91 ata

113677.7 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

2

1

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342642.1 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342642.1 kg/h

2

1

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091882.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091882.0 kg/h

CONDCOND

CPCP

GCGC

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

183.6 ℃ 11.11 ata

2721.0 kg/h

183.6 ℃ 11.11 ata

2721.0 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1682187.6 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1682187.6 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1832989.6 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1832989.6 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1832989.6 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1832989.6 kg/h

35.7 ℃ 12.00 ata

1832989.6 kg/h

35.7 ℃ 12.00 ata

1832989.6 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

補給水補給水

* 25.0 ℃* 1.03 ata 0.0 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata 0.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1832989.6 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1832989.6 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

94231.2 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

94231.2 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

94231.2 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

94231.2 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

97188.5 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

97188.5 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

97188.5 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

97188.5 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

106222.4 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

106222.4 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

106222.4 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

106222.4 kg/h

* 271.6 ℃* 5.51 ata

112052.5 kg/h

* 271.6 ℃* 5.51 ata

112052.5 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

112052.5 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

112052.5 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

一次発電機出力(MW): 563.762857 二次発電機出力(MW): 436.286515

石炭石炭

空気空気

122.9 ℃* 1.03 ata

3399995.1 kg/h

122.9 ℃* 1.03 ata

3399995.1 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 300000.0 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 300000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3100000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3100000.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.5 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.5 kg/h* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.5 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.5 kg/h

発電端出力(MW): 1000.049373

発電端効率(%、HHV): 42.179565

所内率(%): 5.000000

送電端効率(%、HHV): 40.070587

図 3.2-16 微粉炭火力ベースシステムのヒートマスバランス

Page 23: 第3章 有効性評価 - rite.or.jp · PDF fileLNG コンバインド ... H Alstom Power Inc. / ABB Lummus Global Inc. and American Electric Power, 2001:Engineering Feasibility

1600

1L-FWH1L-FWH2L-FWH2L-FWH3L-FWH3L-FWH4L-FWH4L-FWH

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2246533.0 kg/h

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2246533.0 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2246533.0 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2246533.0 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2246533.0 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2246533.0 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

112052.5 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

112052.5 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

218274.8 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

218274.8 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

315463.3 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

315463.3 kg/h

* 25.0 ℃* 20.60 ata* 0.0 kg/h

* 25.0 ℃* 20.60 ata* 0.0 kg/h

3H-FWH3H-FWH 2H-FWH2H-FWH 1H-FWH1H-FWH

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.5 kg/h

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.5 kg/h* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.5 kg/h

* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.5 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

DEADEA

BFPBFP

ガスガス

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.5 kg/h

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.5 kg/h* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.5 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.5 kg/h

HPTHPT IPTIPT

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata

* 16421.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata

* 16421.0 kg/h

2

1 296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 3327.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 3327.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h

461.6 ℃* 21.91 ata

113677.7 kg/h

461.6 ℃* 21.91 ata

113677.7 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

2

1

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342642.1 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342642.1 kg/h

2

1

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091882.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091882.0 kg/h

CONDCOND

CPCP

GCGC

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

183.6 11.11

2721.0

183.6 11.11

2721.0

33.0 ℃ 0.051 ata

1682187.6 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1682187.6 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1832989.6 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1832989.6 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1832989.6 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1832989.6 kg/h

35.7 ℃ 12.00 ata

1832989.6 kg/h

35.7 ℃ 12.00 ata

1832989.6 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

補給水補給水

* 25.0 ℃* 1.03 ata 0.0 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata 0.0 kg/h

BFPTBFPT

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1832989.6 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1832989.6 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

94231.2 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

94231.2 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

94231.2 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

94231.2 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

97188.5 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

97188.5 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

97188.5 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

97188.5 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

106222.4 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

106222.4 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

106222.4 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

106222.4 kg/h

* 271.6 ℃* 5.51 ata

112052.5 kg/h

* 271.6 ℃* 5.51 ata

112052.5 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

112052.5 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

112052.5 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

一次発電機出力(MW): 563.762857 二次発電機出力(MW): 436.286515

13A13A

空気空気

124.7 ℃* 1.03 ata

3368000.0 kg/h

124.7 ℃* 1.03 ata

3368000.0 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 168000.0 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 168000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3200000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3200000.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.5 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.5 kg/h* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.5 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.5 kg/h

発電端出力(MW): 1000.049373

発電端効率(%、HHV): 39.369984

所内率(%): 2.000000

送電端効率(%、HHV): 38.582584

図 3.2-17 LNGコンベンショナルベースシステムのヒートマスバランス

Page 24: 第3章 有効性評価 - rite.or.jp · PDF fileLNG コンバインド ... H Alstom Power Inc. / ABB Lummus Global Inc. and American Electric Power, 2001:Engineering Feasibility

1601

CompressorCompressor

CombustionAirCombustionAir

FuelGasSupplyFuelGasSupply

CombustorCombustor

TurbihneTurbihneGenerator

262.098 MW

Generator

262.098 MW

StackStack

* 25.0 ℃* 1.0 bar

* 2366.3 t/h

* 25.0 ℃* 1.0 bar

* 2366.3 t/h

434.0 ℃ 17.2 bar

2366.3 t/h

434.0 ℃ 17.2 bar

2366.3 t/h

* 1275.0 ℃ 16.4 bar

2417.8 t/h

* 1275.0 ℃ 16.4 bar

2417.8 t/h

Fuel Gas HeaterFuel Gas Heater

燃料ガス

* 25.0 ℃ 1.1 bar 51.6 t/h

燃料ガス

* 25.0 ℃ 1.1 bar 51.6 t/h

203.0 ℃ 19.2 bar 51.6 t/h

203.0 ℃ 19.2 bar 51.6 t/h

CPCP

FW_ECOFW_ECO* 101.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

* 101.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

39.9 ℃ 15.4 bar 405.7 t/h

39.9 ℃ 15.4 bar 405.7 t/h

33.2 ℃* 15.4 bar 367.6 t/h

33.2 ℃* 15.4 bar 367.6 t/h

IP_ECOIP_ECO

HP_ECOHP_ECO

LP_EVALP_EVA

2

1

2

1

* 158.0 ℃ 15.4 bar 405.7 t/h

* 158.0 ℃ 15.4 bar 405.7 t/h

158.0 ℃ 15.4 bar 286.0 t/h

158.0 ℃ 15.4 bar 286.0 t/h

158.0 ℃ 15.4 bar* 36.8 t/h

158.0 ℃ 15.4 bar* 36.8 t/h

158.3 ℃* 32.5 bar 82.9 t/h

158.3 ℃* 32.5 bar 82.9 t/h

159.8 ℃* 136.0 bar 286.0 t/h

159.8 ℃* 136.0 bar 286.0 t/h

180.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

180.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

12

251.6 ℃ 1.0 bar

604.5 t/h

251.6 ℃ 1.0 bar

604.5 t/h

256.3 ℃ 1.0 bar

1813.4 t/h

256.3 ℃ 1.0 bar

1813.4 t/h

209.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

209.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

613.0 ℃* 1.0 bar

2417.8 t/h

613.0 ℃* 1.0 bar

2417.8 t/h

IP_EVAIP_EVA

2

1

* 231.6 ℃ 31.6 bar 82.9 t/h

* 231.6 ℃ 31.6 bar 82.9 t/h

231.6 ℃ 31.6 bar* 38.2 t/h

231.6 ℃ 31.6 bar* 38.2 t/h

255.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

255.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

HP_ECOHP_ECOLP_SHLP_SHIP_SHIP_SH

* 231.6 ℃ 136.0 bar 286.0 t/h

* 231.6 ℃ 136.0 bar 286.0 t/h

* 159.0 ℃* 6.0 bar 36.8 t/h

* 159.0 ℃* 6.0 bar 36.8 t/h

* 236.0 ℃* 31.0 bar 44.5 t/h

* 236.0 ℃* 31.0 bar 44.5 t/h

346.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

346.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

342.2 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

342.2 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

285.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

285.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

HP_EVAHP_EVA 350.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

350.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

HP_SH1HP_SH1HP_SH2HP_SH2

* 450.0 ℃ 130.0 bar 284.6 t/h

* 450.0 ℃ 130.0 bar 284.6 t/h

RH2RH2 581.5 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

581.5 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

RH1RH1

* 450.0 ℃ 29.3 bar 319.9 t/h

* 450.0 ℃ 29.3 bar 319.9 t/h

524.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

524.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

552.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

552.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

341.5 ℃ 30.3 bar 319.9 t/h

341.5 ℃ 30.3 bar 319.9 t/h

610.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

610.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h 469.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

469.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

* 320.0 ℃* 30.3 bar 44.5 t/h

* 320.0 ℃* 30.3 bar 44.5 t/h

* 331.0 ℃* 130.0 bar 284.6 t/h

* 331.0 ℃* 130.0 bar 284.6 t/h

* 104.4 ℃* 15.4 bar 38.2 t/h

* 104.4 ℃* 15.4 bar 38.2 t/h

2

1

2

1

* 330.0 ℃ 136.0 bar 286.0 t/h

* 330.0 ℃ 136.0 bar 286.0 t/h

HP Drum Blow Down & LeakageHP Drum Blow Down & Leakage IP Drum Blow DownIP Drum Blow Down

330.0 ℃ 136.0 bar* 1.4 t/h

330.0 ℃ 136.0 bar* 1.4 t/h

231.6 ℃ 31.6 bar* 0.22 t/h

231.6 ℃ 31.6 bar* 0.22 t/h

Generator

140.208 MW

Generator

140.208 MW

HTHT ILTILT

550.0 ℃ 127.5 bar 3.8 t/h

550.0 ℃ 127.5 bar 3.8 t/h

* 552.0 ℃ 130.0 bar 284.6 t/h

* 552.0 ℃ 130.0 bar 284.6 t/h

550.0 ℃* 127.5 bar* 284.6 t/h

550.0 ℃* 127.5 bar* 284.6 t/h

560.0 ℃* 27.0 bar 319.9 t/h

560.0 ℃* 27.0 bar 319.9 t/h

* 562.0 ℃ 28.4 bar 319.9 t/h

* 562.0 ℃ 28.4 bar 319.9 t/h

* 345.0 ℃* 30.3 bar* 275.4 t/h

* 345.0 ℃* 30.3 bar* 275.4 t/h

* 288.0 ℃ 6.0 bar 36.8 t/h

* 288.0 ℃ 6.0 bar 36.8 t/h

2

1Steam To Vac SystemSteam To Vac System

347.5 ℃ 31.9 bar 280.8 t/h

347.5 ℃ 31.9 bar 280.8 t/h 347.5 ℃

31.9 bar 5.4 t/h

347.5 ℃ 31.9 bar 5.4 t/h

CondenserCondenser2

1

From Vac SystemFrom Vac System

Make-up WaterMake-up Water

33.0 ℃* 0.050 bar* 367.6 t/h

33.0 ℃* 0.050 bar* 367.6 t/h

Steam lossesSteam losses

32.9 ℃* 0.050 bar 360.5 t/h

32.9 ℃* 0.050 bar 360.5 t/h

32.9 ℃ 0.050 bar 0.36 t/h

32.9 ℃ 0.050 bar 0.36 t/h

* 32.8 ℃* 0.050 bar* 5.2 t/h

* 32.8 ℃* 0.050 bar* 5.2 t/h

* 15.0 ℃* 3.5 bar 2.3 t/h

* 15.0 ℃* 3.5 bar 2.3 t/h

図 3.2-18 LNGコンバインドサイクルベースシステムのヒートマスバランス

Page 25: 第3章 有効性評価 - rite.or.jp · PDF fileLNG コンバインド ... H Alstom Power Inc. / ABB Lummus Global Inc. and American Electric Power, 2001:Engineering Feasibility

1602

1L-FWH1L-FWH2L-FWH2L-FWH3L-FWH3L-FWH4L-FWH4L-FWH

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2281866.2 kg/h

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2281866.2 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2281866.2 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2281866.2 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2281866.2 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2281866.2 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

113655.4 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

113655.4 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

221556.4 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

221556.4 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

320280.7 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

320280.7 kg/h

InPortInPort

* 25.0 ℃* 20.60 ata* 0.0 kg/h

* 25.0 ℃* 20.60 ata* 0.0 kg/h

3H-FWH3H-FWH 2H-FWH2H-FWH 1H-FWH1H-FWH

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.4 kg/h

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.4 kg/h* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.4 kg/h

* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.4 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

DEADEA

BFPBFP

ガスガス

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.4 kg/h

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.4 kg/h* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.4 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.4 kg/h

HPTHPT IPTIPT

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata

* 16421.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata

* 16421.0 kg/h

2

1 296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 3327.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 3327.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

2

1

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342641.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342641.0 kg/h

2

1

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

CONDCOND

CPCP

GCGC

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

183.6 ℃ 11.11 ata

2721.0 kg/h

183.6 ℃ 11.11 ata

2721.0 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1348951.7 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1348951.7 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1861938.4 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1861938.4 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1861938.4 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1861938.4 kg/h

35.7 ℃ 12.00 ata

1861938.4 kg/h

35.7 ℃ 12.00 ata

1861938.4 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

BFPTBFPT

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1861938.4 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1861938.4 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

95798.0 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

95798.0 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

95798.0 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

95798.0 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

98724.3 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

98724.3 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

98724.3 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

98724.3 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

107901.0 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

107901.0 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

107901.0 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

107901.0 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

113655.4 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

113655.4 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

一次発電機出力(MW): 563.762798 二次発電機出力(MW): 359.966818

石炭石炭

空気空気

122.9 ℃* 1.03 ata

3399995.1 kg/h

122.9 ℃* 1.03 ata

3399995.1 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 300000.0 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 300000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3100000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3100000.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.4 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.4 kg/h* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.4 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.4 kg/h

発電端出力(MW): 923.729616

発電端効率(%、HHV): 38.960590

所内率(%): 5.000000

送電端効率(%、HHV): 37.012561

2

1

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091881.0 kg/h* 760.5 kcal/kg

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091881.0 kg/h* 760.5 kcal/kg

362.6 ℃ 11.11 ata

1765031.4 kg/h

362.6 ℃ 11.11 ata

1765031.4 kg/h

2

1

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h* 151.9 kcal/kg

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h* 151.9 kcal/kg

DEA入口給水からの抽水

136.8 ℃ 3.36 ata

* 35333.2 kg/h

DEA入口給水からの抽水

136.8 ℃ 3.36 ata

* 35333.2 kg/h

リボイラリボイラ

* 136.7 ℃ 3.36 ata

362184.8 kg/h

* 136.7 ℃ 3.36 ata

362184.8 kg/h

231.8 ℃* 3.36 ata

362184.8 kg/h

231.8 ℃* 3.36 ata

362184.8 kg/h

2

1

2

1

中圧排気からの抽気

362.6 ℃ 11.11 ata

* 326849.6 kg/h

中圧排気からの抽気

362.6 ℃ 11.11 ata

* 326849.6 kg/h

低圧抽気からの抽気

271.6 ℃ 5.51 ata* 1.0 kg/h

低圧抽気からの抽気

271.6 ℃ 5.51 ata* 1.0 kg/h

* 271.6 ℃* 5.51 ata

113656.4 kg/h

* 271.6 ℃* 5.51 ata

113656.4 kg/h

271.6 ℃ 5.51 ata

113655.4 kg/h

271.6 ℃ 5.51 ata

113655.4 kg/h

中圧抽気からの抽気

461.6 ℃ 21.91 ata* 1.0 kg/h

中圧抽気からの抽気

461.6 ℃ 21.91 ata* 1.0 kg/h

461.6 ℃* 21.91 ata

113678.7 kg/h

461.6 ℃* 21.91 ata

113678.7 kg/h

461.6 ℃ 21.91 ata

113677.7 kg/h

461.6 ℃ 21.91 ata

113677.7 kg/h

図 3.2-19 二酸化炭素回収型微粉炭火力のヒートマスバランス(二酸化炭素回収設備ドレンからの熱回収なし)

Page 26: 第3章 有効性評価 - rite.or.jp · PDF fileLNG コンバインド ... H Alstom Power Inc. / ABB Lummus Global Inc. and American Electric Power, 2001:Engineering Feasibility

1603

1L-FWH1L-FWH2L-FWH2L-FWH3L-FWH3L-FWH4L-FWH4L-FWH

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2281866.2 kg/h

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2281866.2 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2281866.2 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2281866.2 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2281866.2 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2281866.2 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

559792.3 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

559792.3 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

642258.9 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

642258.9 kg/h

* 0.0 kg/h* 0.0 kg/h

3H-FWH3H-FWH 2H-FWH2H-FWH 1H-FWH1H-FWH

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.4 kg/h

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.4 kg/h* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.4 kg/h

* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.4 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

DEADEA

BFPBFP

ガスガス

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.4 kg/h

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.4 kg/h

* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.4 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.4 kg/h

HPTHPT IPTIPT

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 16421.0 kg/h* 16421.0 kg/h2

1 296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 3327.0 kg/h* 3327.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

2

1

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342641.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342641.0 kg/h

2

1

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

CONDCOND

CPCP

GCGC

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

183.6 ℃ 11.11 ata

2721.0 kg/h

183.6 ℃ 11.11 ata

2721.0 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1409443.6 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1409443.6 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1560245.6 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1560245.6 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1560245.6 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1560245.6 kg/h

36.2 ℃ 12.00 ata

1560245.6 kg/h

36.2 ℃ 12.00 ata

1560245.6 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

BFPTBFPT

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1560245.6 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1560245.6 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

75512.7 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

75512.7 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

75512.7 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

75512.7 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

82466.6 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

82466.6 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

82466.6 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

82466.6 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

83952.1 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

83952.1 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

83952.1 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

83952.1 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

113655.4 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

113655.4 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

一次発電機出力(MW): 563.762798 二次発電機出力(MW): 365.535776

石炭石炭

空気空気

122.9 ℃* 1.03 ata

3399995.1 kg/h

122.9 ℃* 1.03 ata

3399995.1 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 300000.0 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 300000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3100000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3100000.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.4 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.4 kg/h* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.4 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.4 kg/h

発電端出力(MW): 929.298574

発電端効率(%、HHV): 39.195475

所内率(%): 5.000000

送電端効率(%、HHV): 37.235701

2

1

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091881.0 kg/h* 760.5 kcal/kg

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091881.0 kg/h* 760.5 kcal/kg

362.6 ℃ 11.11 ata

1765031.4 kg/h

362.6 ℃ 11.11 ata

1765031.4 kg/h

2

1

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h* 151.9 kcal/kg

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h* 151.9 kcal/kg

DEA入口給水からの抽水

136.8 ℃ 3.36 ata

* 35333.2 kg/h

DEA入口給水からの抽水

136.8 ℃ 3.36 ata

* 35333.2 kg/h

リボイラリボイラ

231.8 ℃* 3.36 ata

362184.8 kg/h

231.8 ℃* 3.36 ata

362184.8 kg/h

2

1

2

1

中圧排気からの抽気

362.6 ℃ 11.11 ata

* 326849.6 kg/h

中圧排気からの抽気

362.6 ℃ 11.11 ata

* 326849.6 kg/h

低圧抽気からの抽気 271.6 ℃ 5.51 ata* 1.0 kg/h

* 717.8 kcal/kg

低圧抽気からの抽気 271.6 ℃ 5.51 ata* 1.0 kg/h

* 717.8 kcal/kg

* 271.6 ℃* 5.51 ata

113656.4 kg/h

* 271.6 ℃* 5.51 ata

113656.4 kg/h

271.6 ℃ 5.51 ata

113655.4 kg/h

271.6 ℃ 5.51 ata

113655.4 kg/h

中圧抽気からの抽気 461.6 ℃ 21.91 ata* 1.0 kg/h

* 807.8 kcal/kg

中圧抽気からの抽気 461.6 ℃ 21.91 ata* 1.0 kg/h

* 807.8 kcal/kg

461.6 ℃* 21.91 ata

113678.7 kg/h

461.6 ℃* 21.91 ata

113678.7 kg/h

461.6 ℃ 21.91 ata

113677.7 kg/h

461.6 ℃ 21.91 ata

113677.7 kg/h

* 136.7 ℃ 3.36 ata

362184.8 kg/h

* 136.7 ℃ 3.36 ata

362184.8 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

113655.4 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

113655.4 kg/h

図 3.2-20 二酸化炭素回収型微粉炭火力のヒートマスバランス(二酸化炭素回収設備ドレンからの熱回収あり)

Page 27: 第3章 有効性評価 - rite.or.jp · PDF fileLNG コンバインド ... H Alstom Power Inc. / ABB Lummus Global Inc. and American Electric Power, 2001:Engineering Feasibility

1604

図 3.2-21 二酸化炭素回収型 LNGコンベンショナルのヒートマスバランス(二酸化炭素回収設備ドレンからの熱回収あり)

1L-FWH1L-FWH2L-FWH2L-FWH3L-FWH3L-FWH4L-FWH4L-FWH

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2293296.5 kg/h

* 66.6 ℃ 11.17 ata

2293296.5 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2293296.5 kg/h

* 93.5 ℃ 10.95 ata

2293296.5 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2293296.5 kg/h

* 121.9 ℃ 10.73 ata

2293296.5 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

266337.6 kg/h

* 99.1 ℃ 2.27 ata

266337.6 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

363457.3 kg/h

72.1 ℃ 0.87 ata

363457.3 kg/h

* 0.0 kg/h* 0.0 kg/h

3H-FWH3H-FWH 2H-FWH2H-FWH 1H-FWH1H-FWH

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.4 kg/h

* 214.0 ℃ 301.31 ata

2890518.4 kg/h* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.4 kg/h

* 253.7 ℃ 265.34 ata

2890518.4 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 259.3 ℃ 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

* 219.6 ℃ 44.60 ata

417919.7 kg/h

DEADEA

BFPBFP

ガスガス

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.4 kg/h

180.9 ℃* 10.44 ata

2890518.4 kg/h

* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 191.9 ℃ 20.60 ata

532549.4 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.4 kg/h

* 186.3 ℃* 309.67 ata

2890518.4 kg/h

HPTHPT IPTIPT

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

2685292.5 kg/h

* 16421.0 kg/h* 16421.0 kg/h2

1 296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2701713.5 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 3616.0 kg/h

* 3327.0 kg/h* 3327.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 2124.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 296.0 ℃* 46.00 ata

* 2976.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 341.5 ℃* 66.17 ata

172610.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata* 2892.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 952.0 kg/h* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

* 538.0 ℃* 247.00 ata* 308.0 kg/h

2

1

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342642.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2342642.0 kg/h

2

1

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

362.6 ℃ 11.11 ata

250760.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

* 362.6 ℃* 11.11 ata

* 2976.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

362.4 ℃ 46.00 ata

6943.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

353.1 ℃ 46.00 ata

5100.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

358.0 ℃ 46.00 ata

5408.0 kg/h

CONDCOND

CPCP

GCGC

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 1814.0 kg/h

183.6 ℃ 11.11 ata

2721.0 kg/h

183.6 ℃ 11.11 ata

2721.0 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1681505.3 kg/h

33.0 ℃ 0.051 ata

1681505.3 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1832307.3 kg/h

33.0 ℃* 0.051 ata

1832307.3 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1832307.3 kg/h

33.1 ℃* 12.00 ata

1832307.3 kg/h

35.7 ℃ 12.00 ata

1832307.3 kg/h

35.7 ℃ 12.00 ata

1832307.3 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

8384.0 kg/h

BFPTBFPT

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

* 146267.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

337.9 ℃ 11.11 ata

* 3849.0 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1832307.3 kg/h

Pipe1* 36.4 ℃* 11.40 ata

1832307.3 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

93682.9 kg/h

* 69.4 ℃* 0.31 ata

93682.9 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

93682.9 kg/h

* 68.0 ℃* 0.29 ata

93682.9 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

97119.7 kg/h

* 96.9 ℃* 0.92 ata

97119.7 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

97119.7 kg/h

* 95.2 ℃* 0.87 ata

97119.7 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

105349.3 kg/h

* 180.0 ℃* 2.41 ata

105349.3 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

105349.3 kg/h

* 179.8 ℃* 2.27 ata

105349.3 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

114224.8 kg/h

* 271.0 ℃* 5.18 ata

114224.8 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

361.7 ℃ 11.11 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

* 360.6 ℃* 10.44 ata

111436.0 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

461.3 ℃ 21.91 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

* 462.3 ℃* 20.60 ata

114629.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

* 294.7 ℃* 44.60 ata

242417.8 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

343.2 ℃ 66.17 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

* 339.8 ℃* 62.20 ata

175502.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

121.1 ℃ 1.03 ata

146267.0 kg/h

一次発電機出力(MW): 563.762852 二次発電機出力(MW): 436.286047

124.7 ℃* 1.03 ata

3368000.0 kg/h

124.7 ℃* 1.03 ata

3368000.0 kg/h* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.4 kg/h

* 538.0 ℃* 247.03 ata

2890518.4 kg/h* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

* 566.0 ℃* 41.40 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

296.8 ℃ 46.00 ata

2459295.7 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.4 kg/h

* 277.7 ℃ 260.03 ata

2890518.4 kg/h

発電端出力(MW): 1000.048900

発電端効率(%、HHV): 39.369965

所内率(%): 2.000000

送電端効率(%、HHV): 38.582566

2

1

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091882.0 kg/h* 760.5 kcal/kg

* 362.6 ℃* 11.11 ata

2091882.0 kg/h* 760.5 kcal/kg

362.6 ℃ 11.11 ata

2091882.0 kg/h

362.6 ℃ 11.11 ata

2091882.0 kg/h

2

1

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h* 151.9 kcal/kg

* 150.7 ℃* 10.44 ata

* 2246533.0 kg/h* 151.9 kcal/kg

DEA入口給水からの抽水

136.8 ℃ 3.36 ata

* 46763.5 kg/h

DEA入口給水からの抽水

136.8 ℃ 3.36 ata

* 46763.5 kg/h

リボイラリボイラ

136.8 ℃* 3.36 ata

46763.5 kg/h

136.8 ℃* 3.36 ata

46763.5 kg/h

2

1

2

1

中圧排気からの抽気

362.6 ℃ 11.11 ata* 0.0 kg/h

中圧排気からの抽気

362.6 ℃ 11.11 ata* 0.0 kg/h

低圧抽気からの抽気 271.6 ℃ 5.51 ata* 0.0 kg/h

* 717.8 kcal/kg

低圧抽気からの抽気 271.6 ℃ 5.51 ata* 0.0 kg/h

* 717.8 kcal/kg

* 271.6 ℃* 5.51 ata

114224.8 kg/h

* 271.6 ℃* 5.51 ata

114224.8 kg/h

271.6 ℃ 5.51 ata

114224.8 kg/h

271.6 ℃ 5.51 ata

114224.8 kg/h

中圧抽気からの抽気 461.6 ℃ 21.91 ata* 0.0 kg/h

* 807.8 kcal/kg

中圧抽気からの抽気 461.6 ℃ 21.91 ata* 0.0 kg/h

* 807.8 kcal/kg

461.6 ℃* 21.91 ata

113677.7 kg/h

461.6 ℃* 21.91 ata

113677.7 kg/h

461.6 ℃ 21.91 ata

113677.7 kg/h

461.6 ℃ 21.91 ata

113677.7 kg/h

* 136.7 ℃ 3.36 ata

46763.5 kg/h

* 136.7 ℃ 3.36 ata

46763.5 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

114224.8 kg/h

* 127.6 ℃ 5.18 ata

114224.8 kg/h

空気空気

13A13A

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 168000.0 kg/h

* 25.0 ℃* 1.03 ata

* 168000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3200000.0 kg/h

* 15.0 ℃* 1.03 ata

* 3200000.0 kg/h

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1605

1L-FWH1L-FWH2L-FWH2L-FWH3L-FWH3L-FWH4L-FWH4L-FWH

59595656

5454 55553H-FWH3H-FWH 2H-FWH2H-FWH 1H-FWH1H-FWH

23232222

2828 3030

DEADEA

BFPBFP

ガスガス

2626

3232

HPTHPT IPTIPT

33

772

1

1515

1010

88

99

1111

2(HPT抽気)2(HPT抽気)

55 44

66

2

1

1919

2

1

3535

34342020

1212

1313 1414

CONDCOND

CPCP

GCGC

5050

5151

6767

4848

6666

6565

6464

4949

BFPTBFPT

3636

5252

4747

46464545

3838

313129292727

3737

石炭石炭

空気空気

1(主蒸気)1(主蒸気)

17(再熱蒸気)17(再熱蒸気)

1616

2121

2

1

4141

4242

リボイラリボイラ

2

1

2

1

4343

4444

1818

3333

6868

7171

7272

81818282

9191

9292

Q1Q1 Q2Q2 Q3Q3

Q1Q1

Q2Q2

Q3Q3

2

15757 5858

6262

6161

73,83,9373,83,93 74,84,9474,84,94

75,85,9575,85,95

76,86,9676,86,96

5353

40403939

25252424

6060

6363

7878

77,87,9777,87,97

図 3.2-22 熱利用を最大限行うシステム(微粉炭火力及び LNGコンベンショナルのヒートマスバランス)

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1606

CompressorCompressor

CombustionAirCombustionAir

FuelGasSupplyFuelGasSupply

CombustorCombustor

TurbihneTurbihneGenerator

262.098 MW

Generator

262.098 MW

StackStack

* 25.0 ℃* 1.0 bar

* 2366.3 t/h

* 25.0 ℃* 1.0 bar

* 2366.3 t/h

434.0 ℃ 17.2 bar

2366.3 t/h

434.0 ℃ 17.2 bar

2366.3 t/h

* 1275.0 ℃ 16.4 bar

2417.8 t/h

* 1275.0 ℃ 16.4 bar

2417.8 t/h

Fuel Gas HeaterFuel Gas Heater

燃料ガス

* 25.0 ℃ 1.1 bar 51.6 t/h

燃料ガス

* 25.0 ℃ 1.1 bar 51.6 t/h

203.0 ℃ 19.2 bar 51.6 t/h

203.0 ℃ 19.2 bar 51.6 t/h

CPCP

FW_ECOFW_ECO* 101.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

* 101.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

39.9 ℃ 15.4 bar 405.7 t/h

39.9 ℃ 15.4 bar 405.7 t/h

33.2 ℃* 15.4 bar 367.6 t/h

33.2 ℃* 15.4 bar 367.6 t/h

IP_ECOIP_ECO

HP_ECOHP_ECO

LP_EVALP_EVA

2

1

2

1

* 158.0 ℃ 15.4 bar 405.7 t/h

* 158.0 ℃ 15.4 bar 405.7 t/h

158.0 ℃ 15.4 bar 286.0 t/h

158.0 ℃ 15.4 bar 286.0 t/h

158.0 ℃ 15.4 bar* 36.8 t/h

158.0 ℃ 15.4 bar* 36.8 t/h

158.3 ℃* 32.5 bar 82.9 t/h

158.3 ℃* 32.5 bar 82.9 t/h

159.8 ℃* 136.0 bar 286.0 t/h

159.8 ℃* 136.0 bar 286.0 t/h

180.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

180.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

12

251.6 ℃ 1.0 bar

604.5 t/h

251.6 ℃ 1.0 bar

604.5 t/h

256.3 ℃ 1.0 bar

1813.4 t/h

256.3 ℃ 1.0 bar

1813.4 t/h

209.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

209.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

613.0 ℃* 1.0 bar

2417.8 t/h

613.0 ℃* 1.0 bar

2417.8 t/h

IP_EVAIP_EVA

2

1

* 231.6 ℃ 31.6 bar 82.9 t/h

* 231.6 ℃ 31.6 bar 82.9 t/h

231.6 ℃ 31.6 bar* 38.2 t/h

231.6 ℃ 31.6 bar* 38.2 t/h

255.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

255.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

HP_ECOHP_ECOLP_SHLP_SHIP_SHIP_SH

* 231.6 ℃ 136.0 bar 286.0 t/h

* 231.6 ℃ 136.0 bar 286.0 t/h

* 159.0 ℃* 6.0 bar 36.8 t/h

* 159.0 ℃* 6.0 bar 36.8 t/h

* 236.0 ℃* 31.0 bar 44.5 t/h

* 236.0 ℃* 31.0 bar 44.5 t/h

346.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

346.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

342.2 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

342.2 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

285.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

285.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

HP_EVAHP_EVA 350.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

350.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

HP_SH1HP_SH1HP_SH2HP_SH2

* 450.0 ℃ 130.0 bar 284.6 t/h

* 450.0 ℃ 130.0 bar 284.6 t/h

RH2RH2 581.5 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

581.5 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

RH1RH1

* 450.0 ℃ 29.3 bar 319.9 t/h

* 450.0 ℃ 29.3 bar 319.9 t/h

524.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

524.1 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

552.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

552.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

341.5 ℃ 30.3 bar 319.9 t/h

341.5 ℃ 30.3 bar 319.9 t/h

610.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

610.0 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h 469.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

469.8 ℃ 1.0 bar

2417.8 t/h

* 320.0 ℃* 30.3 bar 44.5 t/h

* 320.0 ℃* 30.3 bar 44.5 t/h

* 331.0 ℃* 130.0 bar 284.6 t/h

* 331.0 ℃* 130.0 bar 284.6 t/h

* 104.4 ℃* 15.4 bar 38.2 t/h

* 104.4 ℃* 15.4 bar 38.2 t/h

2

1

2

1

* 330.0 ℃ 136.0 bar 286.0 t/h

* 330.0 ℃ 136.0 bar 286.0 t/h

HP Drum Blow Down & LeakageHP Drum Blow Down & Leakage IP Drum Blow DownIP Drum Blow Down

330.0 ℃ 136.0 bar* 1.4 t/h

330.0 ℃ 136.0 bar* 1.4 t/h

231.6 ℃ 31.6 bar* 0.22 t/h

231.6 ℃ 31.6 bar* 0.22 t/h

Generator

140.208 MW

Generator

140.208 MW

HTHT ILTILT

550.0 ℃ 127.5 bar 3.8 t/h

550.0 ℃ 127.5 bar 3.8 t/h

* 552.0 ℃ 130.0 bar 284.6 t/h

* 552.0 ℃ 130.0 bar 284.6 t/h

550.0 ℃* 127.5 bar* 284.6 t/h

550.0 ℃* 127.5 bar* 284.6 t/h

560.0 ℃* 27.0 bar 319.9 t/h

560.0 ℃* 27.0 bar 319.9 t/h

* 562.0 ℃ 28.4 bar 319.9 t/h

* 562.0 ℃ 28.4 bar 319.9 t/h

* 345.0 ℃* 30.3 bar* 275.4 t/h

* 345.0 ℃* 30.3 bar* 275.4 t/h

* 288.0 ℃ 6.0 bar 36.8 t/h

* 288.0 ℃ 6.0 bar 36.8 t/h

2

1Steam To Vac SystemSteam To Vac System

347.5 ℃ 31.9 bar 280.8 t/h

347.5 ℃ 31.9 bar 280.8 t/h 347.5 ℃

31.9 bar 5.4 t/h

347.5 ℃ 31.9 bar 5.4 t/h

CondenserCondenser2

1

From Vac SystemFrom Vac System

Make-up WaMake-up Wa

33.0 ℃* 0.050 bar* 367.6 t/h

33.0 ℃* 0.050 bar* 367.6 t/h

Steam lossSteam loss

32.9 ℃* 0.050 bar 360.5 t/h

32.9 ℃* 0.050 bar 360.5 t/h

32.9 ℃0.050 bar 0.36 t/h

32.9 ℃0.050 bar 0.36 t/h

* 32.8 ℃* 0.050 bar* 5.2 t/h

* 32.8 ℃* 0.050 bar* 5.2 t/h

* 15.0 ℃* 3.5 bar 2.3 t/h

* 15.0 ℃* 3.5 bar 2.3 t/h

12

to Reboilerto Reboiler

図 3-2-23 二酸化炭素回収型 LNGコンバインドサイクルのヒートマスバランス

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1607

表 3.2-11 微粉炭火力解析結果一覧(熱回収なしのケース)

技術 回収量 中圧抽気 中圧排気 低圧抽気 DEA給水 発電端出力 回収動力 送電出力 出力低下 送電端効率 熱量 発電ロス率

万t/年 t/h t/h t/h t/h MW MW MW MW % MJ/h kWh/MJ

現状 100 151.64 0.00 0.00 47.12 955.78 3.82 901.96 44.27 38.04 428082 0.1034現状 200 303.28 0.00 0.00 94.24 911.49 7.65 853.84 88.56 36.01 856164 0.1034現状 MAX 671.18 0.00 0.00 208.56 804.02 16.93 737.10 196.03 31.09 1894771 0.1035短期 100 124.66 0.00 0.00 39.45 963.65 2.85 910.79 36.40 38.41 356735 0.1020短期 200 249.32 0.00 0.00 78.91 927.22 5.71 871.51 72.83 36.76 713470 0.1021短期 MAX 551.77 0.00 0.00 174.63 838.84 12.63 776.21 161.21 32.74 1578976 0.1021長期 100 89.76 0.00 0.00 28.41 973.85 1.43 922.42 26.20 38.91 256849 0.1020長期 200 179.51 0.00 0.00 56.81 947.62 2.85 894.77 52.43 37.74 513699 0.1021長期 MAX 397.27 0.00 0.00 125.74 883.98 6.32 827.67 116.07 34.91 1136862 0.1021現状 100 0.00 163.42 0.00 35.33 961.53 3.82 907.70 38.52 38.28 428082 0.0900現状 200 0.00 326.85 0.00 70.67 922.98 7.65 865.33 77.07 36.50 856164 0.0900現状 MAX 0.00 723.35 0.00 156.39 829.45 16.93 762.53 170.60 32.16 1894771 0.0900短期 100 0.00 134.35 0.00 29.77 968.37 2.85 915.52 31.68 38.61 356735 0.0888短期 200 0.00 268.70 0.00 59.53 936.67 5.71 880.96 63.38 37.16 713470 0.0888短期 MAX 0.00 594.65 0.00 131.75 859.74 12.63 797.11 140.31 33.62 1578976 0.0889長期 100 0.00 96.73 0.00 21.43 977.25 1.43 925.82 22.80 39.05 256849 0.0888長期 200 0.00 193.46 0.00 42.86 954.42 2.85 901.57 45.63 38.03 513699 0.0888長期 MAX 0.00 428.15 0.00 94.86 899.04 6.32 842.72 101.01 35.54 1136862 0.0889現状 100 0.00 0.00 175.76 23.00 967.55 3.82 913.72 32.50 38.54 428082 0.0759現状 200 0.00 0.00 351.51 46.00 935.02 7.65 877.37 65.03 37.01 856164 0.0760現状 MAX 0.00 0.00 777.93 101.81 856.09 16.93 789.17 143.96 33.29 1894771 0.0760短期 100 0.00 0.00 144.49 19.63 973.32 2.85 920.46 26.73 38.82 356735 0.0749短期 200 0.00 0.00 288.97 39.26 946.56 5.71 890.85 53.49 37.57 713470 0.0750短期 MAX 0.00 0.00 639.52 86.88 881.64 12.63 819.01 118.41 34.54 1578976 0.0750長期 100 0.00 0.00 104.03 14.13 980.81 1.43 929.38 19.24 39.20 256849 0.0749長期 200 0.00 0.00 208.06 28.27 961.55 2.85 908.69 38.50 38.33 513699 0.0750長期 MAX 0.00 0.00 460.45 62.55 914.80 6.32 858.49 85.25 36.21 1136862 0.0750

表 3.2-12 微粉炭火力解析結果一覧(リボイラドレンからの熱回収を行ったケース) 技術 回収量 中圧抽気 中圧排気 低圧抽気 DEA給水 発電端出力 回収動力 送電出力 出力低下 送電端効率 熱量 発電ロス率

万t/年 t/h t/h t/h t/h MW MW MW MW % MJ/h kWh/MJ

現状 100 151.64 0.00 0.00 47.12 958.84 3.82 905.01 41.21 38.17 428082 0.0963現状 200 303.28 0.00 0.00 94.24 917.60 7.65 859.95 82.45 36.27 856164 0.0963現状 MAX 671.18 0.00 0.00 208.56 817.55 16.93 750.62 182.50 31.66 1894771 0.0963短期 100 124.66 0.00 0.00 39.45 966.17 2.85 913.32 33.88 38.52 356735 0.0950短期 200 249.32 0.00 0.00 78.91 932.27 5.71 876.56 67.78 36.97 713470 0.0950短期 MAX 551.77 0.00 0.00 174.63 850.01 12.63 787.38 150.04 33.21 1578976 0.0950長期 100 89.76 0.00 0.00 28.41 975.66 1.43 924.24 24.39 38.98 256849 0.0949長期 200 179.51 0.00 0.00 56.81 951.25 2.85 898.40 48.80 37.89 513699 0.0950長期 MAX 397.27 0.00 0.00 125.74 892.03 6.32 835.71 108.02 35.25 1136862 0.0950現状 100 0.00 163.42 0.00 35.33 964.58 3.82 910.76 35.47 38.41 428082 0.0828現状 200 0.00 326.85 0.00 70.67 929.09 7.65 871.44 70.96 36.76 856164 0.0829現状 MAX 0.00 723.35 0.00 156.39 842.98 16.93 776.05 157.07 32.73 1894771 0.0829短期 100 0.00 134.35 0.00 29.77 970.89 2.85 918.04 29.16 38.72 356735 0.0817短期 200 0.00 268.70 0.00 59.53 941.71 5.71 886.00 58.34 37.37 713470 0.0818短期 MAX 0.00 594.65 0.00 131.75 870.91 12.63 808.28 129.14 34.09 1578976 0.0818長期 100 0.00 96.73 0.00 21.43 979.07 1.43 927.64 20.98 39.13 256849 0.0817長期 200 0.00 193.46 0.00 42.86 958.05 2.85 905.20 42.00 38.18 513699 0.0818長期 MAX 0.00 428.15 0.00 94.86 907.08 6.32 850.76 92.97 35.88 1136862 0.0818現状 100 0.00 0.00 175.76 23.00 970.60 3.82 916.78 29.45 38.67 428082 0.0688現状 200 0.00 0.00 351.51 46.00 941.13 7.65 883.48 58.92 37.26 856164 0.0688現状 MAX 0.00 0.00 777.93 101.81 869.62 16.93 802.69 130.43 33.86 1894771 0.0688短期 100 0.00 0.00 144.49 19.63 975.84 2.85 922.99 24.21 38.93 356735 0.0679短期 200 0.00 0.00 288.97 39.26 951.61 5.71 895.90 48.44 37.79 713470 0.0679短期 MAX 0.00 0.00 639.52 86.88 892.81 12.63 830.18 107.24 35.01 1578976 0.0679長期 100 0.00 0.00 104.03 14.13 982.63 1.43 931.20 17.42 39.28 256849 0.0678長期 200 0.00 0.00 208.06 28.27 965.18 2.85 912.33 34.87 38.48 513699 0.0679長期 MAX 0.00 0.00 460.45 62.55 922.85 6.32 866.53 77.20 36.55 1136862 0.0679

Page 31: 第3章 有効性評価 - rite.or.jp · PDF fileLNG コンバインド ... H Alstom Power Inc. / ABB Lummus Global Inc. and American Electric Power, 2001:Engineering Feasibility

1608

表 3.2-13 LNG コンベンショナル解析結果一覧(熱回収なしのケース) 技術 回収量 中圧抽気 中圧排気 低圧抽気 DEA給水 発電端出力 回収動力 送電出力 出力低下 送電端効率 熱量 発電ロス率

万t/年 t/h t/h t/h t/h MW MW MW MW % MJ/h kWh/MJ

現状 100 161.75 0.00 0.00 50.26 952.83 4.71 928.12 47.22 36.54 456621 0.1034現状 200 323.50 0.00 0.00 100.52 905.58 9.42 876.16 94.47 34.49 913242 0.1034現状 MAX 481.69 0.00 0.00 149.67 859.37 14.02 825.35 140.68 32.49 1359830 0.1035短期 100 134.63 0.00 0.00 42.61 960.73 2.99 937.74 39.32 36.92 385274 0.1020短期 200 269.27 0.00 0.00 85.22 921.39 5.98 895.41 78.66 35.25 770548 0.1021短期 MAX 400.94 0.00 0.00 126.90 882.91 8.90 854.01 117.14 33.62 1147356 0.1021長期 100 99.73 0.00 0.00 31.56 970.93 1.43 949.51 29.12 37.38 285388 0.1020長期 200 199.46 0.00 0.00 63.13 941.79 2.85 918.94 58.26 36.18 570776 0.1021長期 MAX 296.99 0.00 0.00 94.00 913.29 4.25 889.04 86.76 35.00 849893 0.1021現状 100 0.00 174.32 0.00 37.69 958.96 4.71 934.25 41.09 36.78 456621 0.0900現状 200 0.00 348.64 0.00 75.38 917.84 9.42 888.42 82.21 34.98 913242 0.0900現状 MAX 0.00 519.13 0.00 112.24 877.63 14.02 843.60 122.42 33.21 1359830 0.0900短期 100 0.00 145.10 0.00 32.15 965.83 2.99 942.84 34.22 37.12 385274 0.0888短期 200 0.00 290.19 0.00 64.29 931.59 5.98 905.61 68.46 35.65 770548 0.0888短期 MAX 0.00 432.10 0.00 95.73 898.10 8.90 869.20 101.95 34.22 1147356 0.0889長期 100 0.00 107.48 0.00 23.81 974.71 1.43 953.28 25.34 37.53 285388 0.0888長期 200 0.00 214.96 0.00 47.63 949.35 2.85 926.49 50.70 36.47 570776 0.0888長期 MAX 0.00 320.07 0.00 70.91 924.54 4.25 900.29 75.51 35.44 849893 0.0888現状 100 0.00 0.00 187.47 24.54 965.38 4.71 940.67 34.67 37.03 456621 0.0759現状 200 0.00 0.00 374.95 49.07 930.68 9.42 901.26 69.37 35.48 913242 0.0760現状 MAX 0.00 0.00 558.30 73.07 896.74 14.02 862.72 103.31 33.96 1359830 0.0760短期 100 0.00 0.00 156.04 21.20 971.18 2.99 948.19 28.87 37.33 385274 0.0749短期 200 0.00 0.00 312.09 42.40 942.28 5.98 916.30 57.77 36.07 770548 0.0750短期 MAX 0.00 0.00 464.70 63.13 914.02 8.90 885.11 86.03 34.85 1147356 0.0750長期 100 0.00 0.00 115.59 15.70 978.67 1.43 957.24 21.38 37.68 285388 0.0749長期 200 0.00 0.00 231.18 31.41 957.26 2.85 934.41 42.79 36.79 570776 0.0750長期 MAX 0.00 0.00 344.23 46.76 936.33 4.25 912.08 63.72 35.91 849893 0.0750

表 3.2-14 LNG コンベンショナル解析結果一覧

(リボイラドレンからの熱回収を行ったケース)

技術 回収量 中圧抽気 中圧排気 低圧抽気 DEA給水 発電端出力 回収動力 送電出力 出力低下 送電端効率 熱量 発電ロス率

万t/年 t/h t/h t/h t/h MW MW MW MW % MJ/h kWh/MJ

現状 100 161.75 0.00 0.00 50.26 956.09 4.71 931.38 43.96 36.67 456621 0.0963現状 200 323.50 0.00 0.00 100.52 912.10 9.42 882.68 87.95 34.75 913242 0.0963現状 MAX 481.69 0.00 0.00 149.67 869.08 14.02 835.06 130.97 32.87 1359830 0.0963短期 100 129.65 0.00 0.00 41.03 964.81 3.57 941.25 35.24 37.06 371005 0.0950短期 200 259.29 0.00 0.00 82.07 929.55 7.13 902.42 70.50 35.53 742009 0.0950短期 MAX 386.09 0.00 0.00 122.20 895.07 10.62 864.44 104.98 34.03 1104862 0.0950長期 100 99.73 0.00 0.00 31.56 972.95 1.43 951.53 27.10 37.46 285388 0.0950長期 200 199.46 0.00 0.00 63.13 945.83 2.85 922.97 54.22 36.34 570776 0.0950長期 MAX 296.99 0.00 0.00 94.00 919.30 4.25 895.05 80.75 35.24 849893 0.0950現状 100 0.00 174.32 0.00 37.69 962.22 4.71 937.51 37.83 36.91 456621 0.0829現状 200 0.00 348.64 0.00 75.38 924.36 9.42 894.94 75.69 35.23 913242 0.0829現状 MAX 0.00 519.13 0.00 112.24 887.33 14.02 853.31 112.72 33.59 1359830 0.0829短期 100 0.00 139.72 0.00 30.96 969.73 3.57 946.16 30.32 37.25 371005 0.0817短期 200 0.00 279.44 0.00 61.91 939.38 7.13 912.24 60.67 35.91 742009 0.0818短期 MAX 0.00 416.10 0.00 92.19 909.70 10.62 879.07 90.35 34.61 1104862 0.0818長期 100 0.00 107.48 0.00 23.81 976.73 1.43 955.30 23.32 37.61 285388 0.0817長期 200 0.00 214.96 0.00 47.63 953.39 2.85 930.53 46.66 36.63 570776 0.0818長期 MAX 0.00 320.07 0.00 70.91 930.55 4.25 906.30 69.50 35.68 849893 0.0818現状 100 0.00 0.00 187.47 24.54 968.64 4.71 943.93 31.41 37.16 456621 0.0688現状 200 0.00 0.00 374.95 49.07 937.20 9.42 907.78 62.85 35.74 913242 0.0688現状 MAX 0.00 0.00 558.30 73.07 906.45 14.02 872.43 93.60 34.35 1359830 0.0688短期 100 0.00 0.00 150.27 20.41 974.87 3.57 951.31 25.18 37.45 371005 0.0679短期 200 0.00 0.00 300.53 40.83 949.67 7.13 922.54 50.38 36.32 742009 0.0679短期 MAX 0.00 0.00 447.49 60.79 925.02 10.62 894.40 75.03 35.21 1104862 0.0679長期 100 0.00 0.00 115.59 15.70 980.69 1.43 959.26 19.36 37.76 285388 0.0678長期 200 0.00 0.00 231.18 31.41 961.30 2.85 938.45 38.75 36.94 570776 0.0679長期 MAX 0.00 0.00 344.23 46.76 942.34 4.25 918.09 57.71 36.14 849893 0.0679

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図 3.2-24 蒸気損失曲線

通常の

運転範囲

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表 3.2-15 熱効率解析結果一覧(最大限熱利用、現状技術レベル)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

抽気ポイント ベース ベース ベース回収量 kt/年 0 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 0 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 0 1000 2000 最大限燃料投入量 t/h 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 154.7 154.7 154.7 154.7燃料入熱 MW 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2333.2 2333.2 2333.2 2333.2CO2発生量 kt/年 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3071.5 3071.5 3071.5 3071.5CO2回収量 kt/年 0.0 1000.0 2000.0 4426.1 1000.0 2000.0 4426.1 1000.0 2000.0 4426.1 0.0 1000.0 2000.0 2955.7 1000.0 2000.0 2955.7 1000.0 2000.0 2955.7 0.0 1000.0 2000.0 2764.3CO2排出量 kt/年 4917.9 3917.9 2917.9 491.8 3917.9 2917.9 491.8 3917.9 2917.9 491.8 3284.1 2284.1 1284.1 328.4 2284.1 1284.1 328.4 2284.1 1284.1 328.4 3071.5 2071.5 1071.5 307.1

回収CO2流量 t/h 0.0 142.7 285.4 631.6 142.7 285.4 631.6 142.7 285.4 631.6 0.0 142.7 285.4 421.8 142.7 285.4 421.8 142.7 285.4 421.8 0.0 142.7 285.4 394.5熱量原単位 MJ/t-CO2 3000.0 3000.0 3000.0 3000.0 3000.0 3000.0 3000.0 3000.0 3000.0 3000.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0 3200.0

MJ/t-CO2 3310.0 3310.0 3310.0 3310.0 3310.0 3310.0 3310.0 3310.0 3310.0 3310.0 5958.0 5958.0 5958.0 5958.0 5958.0 5958.0 5958.0 5958.0 5958.0 5958.0 5926.0 5926.0 5926.0 5926.0kW/(t/h) 919.4 919.4 919.4 919.4 919.4 919.4 919.4 919.4 919.4 919.4 1655.0 1655.0 1655.0 1655.0 1655.0 1655.0 1655.0 1655.0 1655.0 1655.0 1646.1 1646.1 1646.1 1646.1

動力原単位 kW/(t/h) 26.8 26.8 26.8 26.8 26.8 26.8 26.8 26.8 26.8 26.8 33.0 33.0 33.0 33.0 33.0 33.0 33.0 33.0 33.0 33.0 73.2 73.2 73.2 73.2圧縮動力 kW/(t/h) 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2IC冷却熱 kW/(t/h) 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5

GJ/h 0.0 428.1 856.2 1894.7 428.1 856.2 1894.7 428.1 856.2 1894.7 0.0 456.6 913.2 1349.6 456.6 913.2 1349.6 456.6 913.2 1349.6 0.0 456.6 913.2 1262.2MJ/s 0.0 118.9 237.8 526.3 118.9 237.8 526.3 118.9 237.8 526.3 0.0 126.8 253.7 374.9 126.8 253.7 374.9 126.8 253.7 374.9 0.0 126.8 253.7 350.6

蒸気流量 kg/s 0.0 55.2 110.4 244.4 55.2 110.4 244.4 55.2 110.4 244.4 0.0 58.9 117.8 174.1 58.9 117.8 174.1 58.9 117.8 174.1 0.0 58.9 117.8 162.870.7 141.3 195.4

CO2回収量 kg/s 0.0 39.6 79.3 175.4 39.6 79.3 175.4 39.6 79.3 175.4 0.0 39.6 79.3 117.2 39.6 79.3 117.2 39.6 79.3 117.2 0.0 39.6 79.3 109.6IPT抽気から抽気 kg/s 0.0 55.2 110.4 244.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 58.9 117.8 174.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0IPT排気から抽気 kg/s 0.0 0.0 0.0 0.0 55.2 110.4 244.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 58.9 117.8 174.1 0.0 0.0 0.0 0.0 58.9 117.8 162.8LPT抽気から抽気 kg/s 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 55.2 110.4 244.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 58.9 117.8 174.1中間冷却熱+コンデンサ kW 0 142404 284809 630301 142404 284809 630301 142404 284809 630301 0 247364 494727 731135 247364 494727 731135 247364 494727 731135 0 246095 492191 680287GT出力 MW 786.3 786.3 786.3 786.3HPT出力 MW 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 84.0 84.0 84.0 84.0IPT出力 MW 275.9 266.3 256.8 233.5 276.2 276.4 277.0 276.2 276.4 277.1 275.9 265.7 255.5 245.7 276.2 276.5 276.7 276.2 276.5 276.7 116.1 116.1 116.1 116.1LPT出力 MW 439.3 412.8 371.1 270.1 412.6 370.8 269.3 422.5 390.5 313.0 439.3 410.0 365.6 323.1 409.8 365.2 322.6 420.3 386.3 353.7 214.8 172.2 129.7 97.1背圧タービン MW 0.0 23.8 47.6 105.4 14.5 29.1 64.3 4.6 9.2 20.3 0.0 25.4 50.8 75.1 15.5 31.0 45.8 4.9 9.8 14.5 0.0 0.0 0.0 0.0発電端出力 MW 1000.0 987.5 960.2 893.8 988.0 961.2 896.0 988.1 961.3 896.3 1000.0 985.7 956.5 928.7 986.2 957.6 930.2 986.3 957.7 930.4 1171.3 1129.8 1088.3 1056.6

発電端出力低下 MW 0.0 12.5 39.8 106.2 12.0 38.8 104.0 11.9 38.7 103.7 0.0 14.3 43.5 71.4 13.8 42.4 69.8 13.7 42.3 69.6 0.0 41.5 83.0 114.7熱量 MJ/h 0 428082 856164 1894749 428082 856164 1894749 428082 856164 1894749 0 456621 913242 1349639 456621 913242 1349639 456621 913242 1349639 0 456621 913242 1262247発電ロス率 kWh/MJ 0.029 0.047 0.056 0.028 0.045 0.055 0.028 0.045 0.055 0.031 0.048 0.053 0.030 0.046 0.052 0.030 0.046 0.052 0.091 0.091 0.091

発電端効率 42.18% 41.65% 40.50% 37.70% 41.67% 40.54% 37.79% 41.68% 40.55% 37.80% 39.37% 38.81% 37.66% 36.56% 38.83% 37.70% 36.62% 38.83% 37.70% 36.63% 50.20% 48.42% 46.64% 45.29%所内動力 ベース kW 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 20000.1 19714.1 19130.7 18573.0 19724.6 19151.6 18604.0 19726.1 19154.6 18608.4 21083.1 21083.1 21083.1 21083.1 CO2回収 kW 0.0 3824.2 7648.4 16926.4 3824.2 7648.4 16926.4 3824.2 7648.4 16926.4 0.0 4708.9 9417.8 13918.2 4708.9 9417.8 13918.2 4708.9 9417.8 13918.2 0.0 10445.2 20890.4 28873.9 CO2圧縮 kW 0.0 12450.0 24900.1 55105.6 12450.0 24900.1 55105.6 12450.0 24900.1 55105.6 0.0 12450.0 24900.1 36798.7 12450.0 24900.1 36798.7 12450.0 24900.1 36798.7 0.0 12450.0 24900.1 34415.9 小計 kW 50000 66274 82549 122032 66274 82549 122032 66274 82549 122032 20000 36873 53449 69290 36884 53470 69321 36885 53473 69325 21083 43978 66874 84373

送電端出力 MW 950.0 921.3 877.6 771.8 921.7 878.6 774.0 921.8 878.8 774.3 980.0 948.8 903.1 859.4 949.3 904.1 860.9 949.4 904.3 861.1 1150.2 1085.8 1021.4 972.2 年間 GWh 6657.6 6456.2 6150.4 5408.7 6459.6 6157.3 5423.9 6460.1 6158.3 5426.1 6867.9 6649.4 6328.8 6022.4 6653.0 6336.0 6033.0 6653.5 6337.0 6034.6 8060.6 7609.4 7158.2 6813.3送電端効率 40.07% 38.86% 37.02% 32.55% 38.88% 37.06% 32.64% 38.88% 37.06% 32.66% 38.58% 37.35% 35.55% 33.83% 37.37% 35.59% 33.89% 37.38% 35.60% 33.90% 49.30% 46.54% 43.78% 41.67%

LNG-CCシステム

冷却熱原単位

必要熱量

No.LNGコンベンショナル

IPT抽気 IPT排気 LPT抽気IPT抽気 IPT排気 LPT抽気微粉炭

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表 3.2-16 熱効率解析結果一覧(最大限熱利用、短期目標)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

抽気ポイント ベース ベース ベース回収量 kt/年 0 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 0 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 0 1000 2000 最大限燃料投入量 t/h 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 154.7 154.7 154.7 154.7燃料入熱 MW 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2333.2 2333.2 2333.2 2333.2CO2発生量 kt/年 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3071.5 3071.5 3071.5 3071.5CO2回収量 kt/年 0.0 1000.0 2000.0 4426.1 1000.0 2000.0 4426.1 1000.0 2000.0 4426.1 0.0 1000.0 2000.0 2955.7 1000.0 2000.0 2955.7 1000.0 2000.0 2955.7 0.0 1000.0 2000.0 2764.3CO2排出量 kt/年 4917.9 3917.9 2917.9 491.8 3917.9 2917.9 491.8 3917.9 2917.9 491.8 3284.1 2284.1 1284.1 328.4 2284.1 1284.1 328.4 2284.1 1284.1 328.4 3071.5 2071.5 1071.5 307.1

回収CO2流量 t/h 0.0 142.7 285.4 631.6 142.7 285.4 631.6 142.7 285.4 631.6 0.0 142.7 285.4 421.8 142.7 285.4 421.8 142.7 285.4 421.8 0.0 142.7 285.4 394.5熱量原単位 MJ/t-CO2 2500.0 2500.0 2500.0 2500.0 2500.0 2500.0 2500.0 2500.0 2500.0 2500.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0 2700.0

MJ/t-CO2 2650.0 2650.0 2650.0 2650.0 2650.0 2650.0 2650.0 2650.0 2650.0 2650.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0 2850.0kW/(t/h) 736.1 736.1 736.1 736.1 736.1 736.1 736.1 736.1 736.1 736.1 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7 791.7

動力原単位 kW/(t/h) 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 18.0 50.0 50.0 50.0 50.0圧縮動力 kW/(t/h) 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2IC冷却熱 kW/(t/h) 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5

GJ/h 0.0 356.7 713.5 1579.0 356.7 713.5 1579.0 356.7 713.5 1579.0 0.0 385.3 770.5 1138.8 385.3 770.5 1138.8 385.3 770.5 1138.8 0.0 385.3 770.5 1065.0MJ/s 0.0 99.1 198.2 438.6 99.1 198.2 438.6 99.1 198.2 438.6 0.0 107.0 214.0 316.3 107.0 214.0 316.3 107.0 214.0 316.3 0.0 107.0 214.0 295.8

蒸気流量 kg/s 0.0 45.6 91.2 201.8 45.6 91.2 201.8 45.6 91.2 201.8 0.0 49.2 98.5 145.5 49.2 98.5 145.5 49.2 98.5 145.5 0.0 49.2 98.5 136.159.1 118.2 163.3

CO2回収量 kg/s 0.0 39.6 79.3 175.4 39.6 79.3 175.4 39.6 79.3 175.4 0.0 39.6 79.3 117.2 39.6 79.3 117.2 39.6 79.3 117.2 0.0 39.6 79.3 109.6IPT抽気から抽気 kg/s 0.0 45.6 91.2 201.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 49.2 98.5 145.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0IPT排気から抽気 kg/s 0.0 0.0 0.0 0.0 45.6 91.2 201.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 49.2 98.5 145.5 0.0 0.0 0.0 0.0 49.2 98.5 136.1LPT抽気から抽気 kg/s 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 45.6 91.2 201.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 49.2 98.5 145.5中間冷却熱+コンデンサ kW 0 116244 232487 514510 116244 232487 514510 116244 232487 514510 0 124171 248342 367014 124171 248342 367014 124171 248342 367014 0 124171 248342 343249GT出力 MW 786.3 786.3 786.3 786.3HPT出力 MW 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 84.0 84.0 84.0 84.0IPT出力 MW 275.9 268.0 260.1 240.9 276.1 276.3 276.8 276.1 276.4 276.9 275.9 267.4 258.8 250.7 276.2 276.4 276.6 276.2 276.4 276.6 116.1 116.1 116.1 116.1LPT出力 MW 439.3 419.1 385.6 302.2 419.0 385.4 301.6 427.1 401.7 337.7 439.3 417.3 380.1 344.6 417.1 379.8 344.2 425.9 397.4 370.2 214.8 179.2 143.6 116.4背圧タービン MW 0.0 19.7 39.3 87.0 12.0 24.0 53.1 3.8 7.6 16.8 0.0 21.2 42.5 62.8 13.0 25.9 38.3 4.1 8.2 12.1 0.0 0.0 0.0 0.0発電端出力 MW 1000.0 991.4 969.7 914.9 991.8 970.5 916.7 991.9 970.6 917.0 1000.0 990.5 966.1 942.8 990.9 967.0 944.1 991.0 967.1 944.3 1171.3 1136.6 1101.9 1075.4

発電端出力低下 MW 0.0 8.6 30.3 85.1 8.2 29.5 83.3 8.1 29.4 83.0 0.0 9.5 33.9 57.2 9.1 33.0 55.9 9.0 32.9 55.7 0.0 34.7 69.4 95.9熱量 MJ/h 0 356735 713470 1578958 356735 713470 1578958 356735 713470 1578958 0 385274 770548 1138758 385274 770548 1138758 385274 770548 1138758 0 385274 770548 1065021発電ロス率 kWh/MJ 0.024 0.042 0.054 0.023 0.041 0.053 0.023 0.041 0.053 0.025 0.044 0.050 0.024 0.043 0.049 0.023 0.043 0.049 0.090 0.090 0.090

発電端効率 42.18% 41.82% 40.90% 38.59% 41.83% 40.93% 38.66% 41.83% 40.94% 38.68% 39.37% 38.99% 38.03% 37.12% 39.01% 38.07% 37.17% 39.01% 38.07% 37.17% 50.20% 48.71% 47.23% 46.09%所内動力 ベース kW 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 20000.1 20000.1 20000.1 20000.1 20000.1 20000.1 20000.1 20000.1 20000.1 20000.1 21083.1 21083.1 21083.1 21083.1 CO2回収 kW 0.0 2568.5 5137.0 11368.5 2568.5 5137.0 11368.5 2568.5 5137.0 11368.5 0.0 2568.5 5137.0 7591.7 2568.5 5137.0 7591.7 2568.5 5137.0 7591.7 0.0 7134.7 14269.4 19722.6 CO2圧縮 kW 0.0 12450.0 24900.1 55105.6 12450.0 24900.1 55105.6 12450.0 24900.1 55105.6 0.0 12450.0 24900.1 36798.7 12450.0 24900.1 36798.7 12450.0 24900.1 36798.7 0.0 12450.0 24900.1 34415.9 小計 kW 50000 65019 80037 116474 65019 80037 116474 65019 80037 116474 20000 35019 50037 64391 35019 50037 64391 35019 50037 64391 21083 40668 60253 75222

送電端出力 MW 950.0 926.4 889.7 798.4 926.8 890.5 800.2 926.9 890.6 800.5 980.0 955.5 916.1 878.4 955.9 916.9 879.7 956.0 917.1 879.9 1150.2 1095.9 1041.7 1000.2 年間 GWh 6657.6 6492.1 6234.9 5595.5 6495.0 6240.5 5608.1 6495.4 6241.4 5609.9 6867.9 6696.0 6419.8 6155.8 6699.0 6425.9 6164.9 6699.5 6426.8 6166.2 8060.6 7680.3 7300.0 7009.3送電端効率 40.07% 39.07% 37.52% 33.68% 39.09% 37.56% 33.75% 39.09% 37.56% 33.76% 38.58% 37.62% 36.06% 34.58% 37.63% 36.10% 34.63% 37.63% 36.10% 34.64% 49.30% 46.97% 44.65% 42.87%

No.LNGコンベンショナル

IPT抽気 IPT排気 LPT抽気IPT抽気 IPT排気 LPT抽気微粉炭 LNG-CCシステム

冷却熱原単位

必要熱量

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1612

表 3.2-17 熱効率解析結果一覧(最大限熱利用、長期目標)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

抽気ポイント ベース ベース ベース回収量 kt/年 0 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 0 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 1000 2000 最大限 0 1000 2000 最大限燃料投入量 t/h 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 300.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 168.0 154.7 154.7 154.7 154.7燃料入熱 MW 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2370.9 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2540.1 2333.2 2333.2 2333.2 2333.2CO2発生量 kt/年 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 4917.9 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3284.1 3071.5 3071.5 3071.5 3071.5CO2回収量 kt/年 0.0 1000.0 2000.0 4426.1 1000.0 2000.0 4426.1 1000.0 2000.0 4426.1 0.0 1000.0 2000.0 2955.7 1000.0 2000.0 2955.7 1000.0 2000.0 2955.7 0.0 1000.0 2000.0 2764.3CO2排出量 kt/年 4917.9 3917.9 2917.9 491.8 3917.9 2917.9 491.8 3917.9 2917.9 491.8 3284.1 2284.1 1284.1 328.4 2284.1 1284.1 328.4 2284.1 1284.1 328.4 3071.5 2071.5 1071.5 307.1

回収CO2流量 t/h 0.0 142.7 285.4 631.6 142.7 285.4 631.6 142.7 285.4 631.6 0.0 142.7 285.4 421.8 142.7 285.4 421.8 142.7 285.4 421.8 0.0 142.7 285.4 394.5熱量原単位 MJ/t-CO2 1800.0 1800.0 1800.0 1800.0 1800.0 1800.0 1800.0 1800.0 1800.0 1800.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0

MJ/t-CO2 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2000.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0 2200.0kW/(t/h) 555.6 555.6 555.6 555.6 555.6 555.6 555.6 555.6 555.6 555.6 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1 611.1

動力原単位 kW/(t/h) 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 27.3 27.3 27.3 27.3圧縮動力 kW/(t/h) 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2 87.2IC冷却熱 kW/(t/h) 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5 78.5

GJ/h 0.0 256.8 513.7 1136.8 256.8 513.7 1136.8 256.8 513.7 1136.8 0.0 285.4 570.8 843.5 285.4 570.8 843.5 285.4 570.8 843.5 0.0 285.4 570.8 788.9MJ/s 0.0 71.3 142.7 315.8 71.3 142.7 315.8 71.3 142.7 315.8 0.0 79.3 158.5 234.3 79.3 158.5 234.3 79.3 158.5 234.3 0.0 79.3 158.5 219.1

蒸気流量 kg/s 0.0 32.8 65.6 145.3 32.8 65.6 145.3 32.8 65.6 145.3 0.0 36.5 72.9 107.8 36.5 72.9 107.8 36.5 72.9 107.8 0.0 36.5 72.9 100.843.8 87.5 121.0

CO2回収量 kg/s 0.0 39.6 79.3 175.4 39.6 79.3 175.4 39.6 79.3 175.4 0.0 39.6 79.3 117.2 39.6 79.3 117.2 39.6 79.3 117.2 0.0 39.6 79.3 109.6IPT抽気から抽気 kg/s 0.0 32.8 65.6 145.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 36.5 72.9 107.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0IPT排気から抽気 kg/s 0.0 0.0 0.0 0.0 32.8 65.6 145.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 36.5 72.9 107.8 0.0 0.0 0.0 0.0 36.5 72.9 100.8LPT抽気から抽気 kg/s 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 32.8 65.6 145.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 36.5 72.9 107.8中間冷却熱+コンデンサ kW 0 90480 180959 400474 90480 180959 400474 90480 180959 400474 0 98407 196814 290862 98407 196814 290862 98407 196814 290862 0 98407 196814 272029GT出力 MW 786.3 786.3 786.3 786.3HPT出力 MW 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 297.9 84.0 84.0 84.0 84.0IPT出力 MW 275.9 270.2 264.5 250.7 276.1 276.2 276.6 276.1 276.2 276.6 275.9 269.6 263.3 257.2 276.1 276.3 276.4 276.1 276.3 276.4 116.1 116.1 116.1 116.1LPT出力 MW 439.3 425.5 404.9 344.8 425.4 404.7 344.4 431.3 416.4 370.4 439.3 423.8 399.4 373.1 423.7 399.2 372.8 430.2 412.2 392.1 214.8 188.4 162.1 141.9背圧タービン MW 0.0 14.2 28.3 62.7 8.6 17.3 38.2 2.7 5.5 12.1 0.0 15.7 31.5 46.5 9.6 19.2 28.4 3.0 6.1 9.0 0.0 0.0 0.0 0.0発電端出力 MW 1000.0 994.6 982.4 942.9 994.9 982.9 944.2 994.9 983.0 944.4 1000.0 993.7 978.7 961.5 994.1 979.4 962.4 994.1 979.5 962.6 1171.3 1145.6 1119.9 1100.3

発電端出力低下 MW 0.0 5.4 17.6 57.1 5.1 17.1 55.8 5.1 17.0 55.6 0.0 6.3 21.3 38.5 5.9 20.6 37.6 5.9 20.5 37.4 0.0 25.7 51.4 71.0熱量 MJ/h 0 256849 513699 1136849 256849 513699 1136849 256849 513699 1136849 0 285388 570776 843524 285388 570776 843524 285388 570776 843524 0 285388 570776 788905発電ロス率 kWh/MJ 0.021 0.034 0.050 0.020 0.033 0.049 0.020 0.033 0.049 0.022 0.037 0.046 0.021 0.036 0.045 0.021 0.036 0.044 0.090 0.090 0.090

発電端効率 42.18% 41.95% 41.43% 39.77% 41.96% 41.46% 39.82% 41.96% 41.46% 39.83% 39.37% 39.12% 38.53% 37.85% 39.13% 38.56% 37.89% 39.14% 38.56% 37.89% 50.20% 49.10% 48.00% 47.16%所内動力 ベース kW 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 50000.2 20000.1 19874.6 19575.0 19229.6 19881.2 19587.9 19248.8 19882.1 19589.8 19251.5 21083.1 21083.1 21083.1 21083.1 CO2回収 kW 0.0 1426.9 2853.9 6315.8 1426.9 2853.9 6315.8 1426.9 2853.9 6315.8 0.0 1426.9 2853.9 4217.6 1426.9 2853.9 4217.6 1426.9 2853.9 4217.6 0.0 3895.5 7791.1 10768.5 CO2圧縮 kW 0.0 12450.0 24900.1 55105.6 12450.0 24900.1 55105.6 12450.0 24900.1 55105.6 0.0 12450.0 24900.1 36798.7 12450.0 24900.1 36798.7 12450.0 24900.1 36798.7 0.0 12450.0 24900.1 34415.9 小計 kW 50000 63877 77754 111422 63877 77754 111422 63877 77754 111422 20000 33752 47329 60246 33758 47342 60265 33759 47344 60268 21083 37429 53774 66268

送電端出力 MW 950.0 930.7 904.6 831.5 931.0 905.2 832.8 931.0 905.3 833.0 980.0 960.0 931.4 901.2 960.3 932.1 902.2 960.3 932.1 902.3 1150.2 1108.2 1066.1 1034.0 年間 GWh 6657.6 6522.3 6339.5 5827.1 6524.4 6343.6 5836.1 6524.7 6344.2 5837.4 6867.9 6727.5 6527.4 6315.9 6729.8 6531.8 6322.4 6730.1 6532.5 6323.4 8060.6 7766.0 7471.4 7246.2送電端効率 40.07% 39.25% 38.15% 35.07% 39.27% 38.18% 35.12% 39.27% 38.18% 35.13% 38.58% 37.79% 36.67% 35.48% 37.81% 36.69% 35.52% 37.81% 36.70% 35.52% 49.30% 47.50% 45.69% 44.32%

LNG-CCシステム

冷却熱原単位

必要熱量

No.LNGコンベンショナル

IPT抽気 IPT排気 LPT抽気IPT抽気 IPT排気 LPT抽気微粉炭

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1613

b 低圧タービン出口条件: 発電プラントの熱効率は負荷の低下とともに下がる。したがって、負荷を下げたと

きには、燃料流量の低下以上に、発電出力が低下する。つまり、発電出力あたりの二

酸化炭素発生量は増加する。このため、主流の流量に対する抽気流量の割合が大きく

なり、主流側の流量低下が一層大きくなる。このため、特に低圧タービン出口の排気

環状速度の低下によってターンアップ損失の急増する領域に入らないよう、注意が必

要である。(図 3.2-24)

c その他: 部分負荷時には二酸化炭素発生量自体は減るので、発電設備側から上記のような問

題の起きない範囲の抽気量を求め、その抽気量で回収可能な二酸化炭素だけを回収す

るという考え方も可能と考えられる。

3.2.5 熱統合が進んだ火力発電所での二酸化炭素分離回収の経済性の解析 第 3.2.4 節で述べたプロセス計算の結果に基づき、二酸化炭素分離回収・昇圧コストを

算出した。

(1) コストの算出方法 微粉炭火力および LNG コンバインドサイクルについては発電単価が公表されている。

この公表値をリファレンスプラントの発電単価とし、分離回収設備などの設備については、

平成17年度の検討結果を用いてコスト算出を行った。

(前提とする発電単価)

総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委員会の試算(平成 16 年 1

月)による下記の値を用いた。

微粉炭火力(90 万 kW) 燃料価格 35.5 ドル/t (121.98 円/ドル)

15 年償却の場合 7.2 円/kWh、40 年償却の場合 5.7 円/kWh

LNG 火力(150 万 kW) 燃料価格 28,090 円/t

15 年償却の場合 7.0 円/kWh、40 年償却の場合 6.2 円/kWh

なお、本試算は平成 14 年度運転開始ベースであり、LNG 火力は全て LNG コンバイ

ンドサイクルであると考えられる。そこで、LNG コンベンショナルについては油火力

のコストと LNG 火力のコストの中間の値を用いることとした。

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表 3.2-18 各発電システム(ベースシステム)の発電単価

微粉炭火力 5.7, 7.2 円/kWh (4.8 円/kWh も併記)

LNG コンベンショナル 8.5, 9.6 円/kWh (9.4 円/kWh も併記)

LNG コンバインドサイクル 6.2, 7.0 円/kWh (7.7 円/kWh も併記)

なお、括弧内の数値は、建設費、年経費率及び燃料費を表 3.2-19 に示すように設定し、

設備利用率を 80%として求めた発電単価である。なお、表中の燃料費については平成 18

年 7 月~9 月基準燃料価格を用いた。

表 3.2-19 各発電システムの発電単価試算条件

微粉炭火力 LNG コンベンショナル LNG コンバインド

建設費単価 15 万円/kW 10 万円/kW 12 万円/kW

年経費率 12.5% 13.5% 11.5%

燃料費 7,159 円/t 43,727 円/t 43,727 円/t

(現状技術での分離回収設備の設備費)

コスト計算に用いた諸元を表 3.2-20 にまとめた。

(燃料費等)

以下を用いた。

○ 燃料費

平成 18 年 7 月~9 月基準燃料価格

石炭 7,159 円/t

LNG 43.727 円/t

○吸収液費用

回収二酸化炭素 100 万 t-CO2あたり 431 百万円

(年平均利用率)

微粉炭火力、LNG コンベンショナル、LNG コンバインドサイクルともに 80%とした。

(年経費率)

13%を中心に 11、15%について感度分析を行った。

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1615

表 3.2-20 コスト計算の前提

項目 内容 中心値 感度分析

微粉炭:5.7 円/kWh 4.8, 7.2

LNG コンベンショナル:

8.5 円/kWh 9.4,9.6 リファレンスプラ

ントの発電単価

総合資源エネルギ

ー調査会電気事業

分科会コスト等検

討小委員会試算

(40 年償却) LNG コンバインドサイクル:

6.2 円/kWh 7.0,7.7

分離回収:平成 17

年度検討結果をも

とに 0.9 乗則で補

微粉炭:7,561 百万円

×(二酸化炭素回収量(t-CO2/h)/127)0.9

LNG コンベンショナル:8,130 百万円

×(二酸化炭素回収量(t-CO2/h)/158)0.9

LNG コンバインドサイクル:10,569 百万円

×(二酸化炭素回収量(t-CO2/h)/127)0.9

昇圧:平成 17 年度

検討結果をもとに

0.75 則で補正

1,951 百 万 円 × ( 二 酸 化 炭 素 回 収 量

(t-CO2/h)/118)0.75

設備費(現状)

追加費用(背圧ター

ビン、配管等)

分離回収+圧縮の 30% 0, 15%

設備費(短期目標) 現状値×ファクター ファクター:80%

設備費(長期目標) 現状値×ファクター ファクター:60%

年経費率 設備費×ファクター ファクター:13% 10,15%

(コストの計算法)

最大限熱利用をするシステムについて、発電コスト、回収コスト、アボイデッドコスト

を算出した。コストの算出式は以下の通りである。

○アボイデッドコストの算出

Cost of CO2 Avoided (円/t-CO2)

= [(COE)capture – (COE)ref] / [(CO2/kWh)ref–(CO2/kWh)capture] (3.2-4)

○回収コストの算出

Cost of CO2 Captured (円/t-CO2)

= [(COE)capture – (COE)ref] / (CO2, captured/kWh) (3.2-5)

ここで、COE :レベル化された発電単価(円/kWh)である

(注)アボイデッドコストの式は以下の様に変形できる。

分子 = (COE)capture ‒ (COE)ref

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= (Expense)capture / (kWh)capture – (Expense)ref /( kWh)ref

= (Expense)capture – (Expense)ref × (kWh)capture/ (kWh)ref

分母 =(CO2/kWh)ref-(CO2/kWh)capture

= (CO2)ref×(kWh)capture / (kWh)ref – (CO2)capture

すなわち、分子では分離回収型プラントと同じ送電端出力となる時のリファレンスプ

ラントの費用を計算した上で分離回収型プラントとの差を算出し、分母では同じく送

電端出力を合わせたときの、二酸化炭素排出量の差を計算している。すなわち、燃料

一定の想定で検討を実施しても、本式で送電端出力一定のコストに変換されることに

なる。

(2) 経済性解析結果 表 3.2-23~表 3.2-25 に解析結果の一覧を示す。微粉炭火力から最大限回収を行ったケー

ス(現状技術レベル)で見ると、年間経費総額の増加は 1.16~1.30 倍であるが、年間発電電

力量の減少によって発電コストの増加は 1.44~1.59 倍となり、追加する設備費及び経費の

増加よりも発電電力量の低下のほうが発電コストへの影響が大きい。

① 二酸化炭素の回収量と現状技術の分離回収コスト 最大限熱利用、現状技術での 100 万 t-CO2/年回収時の二酸化炭素回収・昇圧アボイデ

ッドコストは微粉炭火力が 3,934円/t-CO2、LNGコンベンショナルが 4,364円/t-CO2、LNG

コンバインドサイクルが 6,754 円/t-CO2と微粉炭火力<LNG コンベンショナル<LNG コ

ンバインドサイクルの順に高くなった。

微粉炭火力では二酸化炭素回収量が 100 万 t-CO2/年(回収率 20%)の時、発電ロス率が

0.028kWh/MJ と昨年の想定の 0.052 kWh/MJ よりはるかに小さくなるために、アボイデ

ッドコストも 3,934 円/t-CO2と、昨年度の 4,200 円/t-CO2より小さな値となった。二酸化

炭素回収量が増加すると発電ロス率が大きくなるためアボイデッドコストが増加し、最大

回収時(回収率 90%)では 4,413 円/t-CO2となる。LNG コンベンショナルも同様の傾向

を示す。一方、廃熱回収のない LNG コンバインドサイクルでは 100 万 t-CO2/年回収量時

(回収率 33%)が 6,754、最大回収時(回収率 90%)が 6,420 円 /t-CO2であり、処理量と

ともに発電ロス率が変わらないため、規模増大に伴う処理量あたりの設備単価減少の効果

が現れてアボイデッドコストが低下した。(図 3.2-25)。

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0

1000

2000

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6000

7000

8000

0 1000 2000 3000 4000 5000

CO2回収量(千t-CO2/年)

キャプ

チャー

コス

ト(円

/t-

CO 2)

微粉炭火力

LNGコンベンショナル

LNGコンバインドサイクル

0

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7000

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0 1000 2000 3000 4000 5000

CO2回収量(千t-CO2/年)

アボ

イデ

ッドコス

ト(円

/t-

CO2)

微粉炭火力

LNGコンベンショナル

LNGコンバインドサイクル

図 3.2-25 二酸化炭素回収量と分離回収・昇圧コスト(a)キャプチャー,(b)アボイデッド

条件:ベース発電コスト 微粉炭=5.7 円/kWh、LNG コンベンショナル=8.5 円/kWh

LNGCC=6.2 円/kWh、年経費率 13%

② 二酸化炭素回収量と現状技術の発電単価 二酸化炭素の分離回収と昇圧を考慮したときの発電単価を図 3.2-26 に示す。発電単価

は二酸化炭素回収量とともに直線的に増加する。発電単価の値は微粉炭火力<LNG コンバ

インドサイクル<LNG コンベンショナルの順に大きくなり、これはベースの発電単価の順

である。

0

2

4

6

8

10

12

0 1000 2000 3000 4000 5000

CO2回収量(千t-CO2/年)

発電

単価

(円

/kW

h)

微粉炭火力

LNGコンベンショナル

LNGコンバインドサイクル

図 3.2-26 二酸化炭素回収量と発電単価(分離回収・昇圧のみ考慮)

条件:ベース発電コスト 微粉炭=5.7 円/kWh、LNG コンベンショナル=8.5 円/kWh

LNGCC=6.2 円/kWh、年経費率 13%

③ 技術レベル向上 吸収液の改良による分離回収の消費エネルギーの低減および設備のコンパクト化に

よる設備費の低下を見込んだ分離回収・昇圧コストを図 3.2-28~図 3.2-29 に示した。長期

(a) (b)

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0

1000

2000

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6000

7000

8000

0 1000 2000 3000 4000 5000

CO2回収量(t-CO2/年)

アボ

イデ

ッドコス

ト(円

/t-

CO2)

現状

短期目標

長期目標

0

1000

2000

3000

4000

5000

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7000

8000

0 1000 2000 3000

CO2回収量(t-CO2/年)

アボ

イデ

ッドコス

ト(円

/t-

CO 2)

現状

短期目標

長期目標

目標が達成されれば大幅なアボイデッドコストの削減が可能で、100 万 kW 級微粉炭火力

から 100 万 t-CO2/年(回収率 20%)の二酸化炭素を分離回収・昇圧する場合のアボイデッ

ドコストは 2,500円/t-CO2程度となった。昨年の検討に比べて値が大きくなっているのは、

今年度の検討では背圧タービンおよび配管等の追加費用として分離回収および圧縮設備費

の 30%を見込んだことによる。

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

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8000

0 1000 2000 3000 4000

CO2回収量(t-CO2/年)

アボ

イデ

ッドコス

ト(円

/t-

CO2)

現状

短期目標

長期目標

図 3.2-28 技術レベル向上と微粉炭火力 からの分離回収・昇圧コスト

図 3.2-29 技術レベル向上と LNG コンバインドサイクルからの分離回収・昇圧コスト

条件:ベース発電コスト LNGCC=6.2 円/kWh、年経費率 13%

④ 二酸化炭素排出係数と CCS 実施時の発電単価 以上の結果に基づいて、CCS 実施時の二酸化炭素排出係数と発電単価を微粉炭火力、

LNG コンベンショナル、および LNG コンバインドサイクルで比較した(図 3.2-30)。発

電単価には分離回収・昇圧までの発電単価に輸送と貯留分を加えたものを用いた。輸送+

貯留コストを現状では 3,100 円/t-CO2、長期目標では 1,000 円/t-CO2として計算した。

図 3.2-27 技術レベル向上と LNGコンベンショナルからの分離回収・昇圧コスト

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1619

同じ排出係数でみると LNG コンバインドサイクルがもっとも発電単価が小さく、続い

て微粉炭火力、LNG コンベンショナルの順となる。

現状技術では LNG コンバインドサイクルと微粉炭火力の間に大きな差があり、LNG

コンバインドサイクルを新設し、そこから CCS を実施することが有利であることを示し

ている。長期目標においてはその差は小さくなり、LNG の価格如何では CCS 付きの微粉

炭火力が有利になる可能性を示している。

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

0 200 400 600 800

CO2排出係数(kg-CO2/kWh)

発電

単価

(円

/kW

h)

微粉炭火力

LNGコンベンショナル

LNGコンバインドサイクル

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

0 200 400 600 800

CO2排出係数(kg-CO2/kWh)

発電

単価

(円

/kW

h)

微粉炭火力

LNGコンベンショナル

LNGコンバインドサイクル

図 3.2-30 二酸化炭素排出係数と発電単価

(a)現状技術:輸送+貯留コスト=3,100 円/t-CO2

(b)長期目標:輸送+貯留コスト=1,000 円/t-CO2

条件:ベース発電コスト 微粉炭=5.7 円/kWh、LNG コンベンショナル=8.5 円/kWh

LNGCC=6.2 円/kWh、年経費率 13%

本解析ではベースの発電単価として、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト

等検討小委員会の試算を用いている。CCS 付きの発電単価はベースの発電単価の影響を大

きく受けるので、CCS 付きの新設発電所として LNG コンバインドサイクルおよび微粉炭

火力のいずれが有利であるかを判断するためには、燃料価格を変化させた詳細な検討が必

要である。

⑤ 感度分析 (発電単価)

ベースとなる発電システムの発電単価の影響を図 3.2-31~図 3.2-33 に示す。ベースと

なるシステムの発電単価が上昇すると発電コスト、回収コスト共に上昇することが分かる。

また、二酸化炭素回収量が多くなるほど、ベースとなる発電システムの発電単価の影響を

強く受けることが分かる。

(a) (b)

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1620

0.0

1000.0

2000.0

3000.0

4000.0

5000.0

6000.0

4.0 5.0 6.0 7.0 8.0

ベース発電コスト(円/kWh)

回収

コスト(円

-t-CO

2)

4 .0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

発電

コスト(円

/kWh)

100万t- /年回収 Capture Cost

100万t- /年回収 Avoided Cost

200万t- /年回収 Capture Cost

200万t- /年回収 Avoided Cost

最大限回収 Capture Cost

最大限回収 Avoided Cost

100万t- /年回収 発電コスト

200万t- /年回収 発電コスト

最大限回収 発電コスト

図 3.2-31 ベース発電単価の影響

(微粉炭火力中圧排気、現状技術レベル、年経費率 13%)

0.0

1000.0

2000.0

3000.0

4000.0

5000.0

6000.0

8.0 8.5 9.0 9.5 10.0

ベース発電コスト(円/kWh)

回収

コスト(円

-t-CO

2)

4 .0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

発電

コスト(円

/kWh)

100万t- /年回収 Capture Cost

100万t- /年回収 Avoided Cost

200万t- /年回収 Capture Cost

200万t- /年回収 Avoided Cost

最大限回収 Capture Cost

最大限回収 Avoided Cost

100万t- /年回収 発電コスト

200万t- /年回収 発電コスト

最大限回収 発電コスト

図 3.2-32 ベース発電単価の影響

(LNG コンベンショナル中圧排気、現状技術レベル、年経費率 13%)

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

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0.0

1000.0

2000.0

3000.0

4000.0

5000.0

6000.0

7000.0

8000.0

6.0 6.5 7.0 7.5 8.0

ベース発電コスト(円/kWh)

回収

コスト(円

-t-CO

2)

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

発電

コスト(円

/kW

h)

100万t- /年回収 Capture Cost

100万t- /年回収 Avoided Cost

200万t- /年回収 Capture Cost

200万t- /年回収 Avoided Cost

最大限回収 Capture Cost

最大限回収 Avoided Cost

100万t- /年回収 発電コスト

200万t- /年回収 発電コスト

最大限回収 発電コスト

図 3.2-33 ベース発電単価の影響

(LNG コンバインドサイクル、現状技術レベル、年経費率 13%)

(年経費率)

図 3.2-34~図 3.2-36 に年経費率の影響を示す。年経費率ベース発電単価を固定した場

合、年経費率が発電単価に与える影響は小さいが、回収コストに与える影響は大きい。

0.0

500.0

1000.0

1500.0

2000.0

2500.0

3000.0

3500.0

4000.0

4500.0

5000.0

10% 11% 12% 13% 14% 15% 16%

年経費率

回収

コスト(円

-t-CO

2)

4 .0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

発電

コスト(円

/kWh)

100万t- /年回収 Capture Cost

100万t- /年回収 Avoided Cost

200万t- /年回収 Capture Cost

200万t- /年回収 Avoided Cost

最大限回収 Capture Cost

最大限回収 Avoided Cost

100万t- /年回収 発電コスト

200万t- /年回収 発電コスト

最大限回収 発電コスト

図 3.2-34 年経費率の影響

(微粉炭火力中圧排気、現状技術レベル、ベース発電単価 5.7 円/kWh)

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

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0.0

1000.0

2000.0

3000.0

4000.0

5000.0

6000.0

10% 11% 12% 13% 14% 15% 16%

年経費率

回収

コスト(円

-t-CO

2)

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

発電

コスト(円

/kWh)

100万t- /年回収 Capture Cost

100万t- /年回収 Avoided Cost

200万t- /年回収 Capture Cost

200万t- /年回収 Avoided Cost

最大限回収 Capture Cost

最大限回収 Avoided Cost

100万t- /年回収 発電コスト

200万t- /年回収 発電コスト

最大限回収 発電コスト

図 3.2-35 年経費率の影響

(LNG コンベンショナル中圧排気、現状技術レベル、ベース発電単価 8.5 円/kWh)

0.0

1000.0

2000.0

3000.0

4000.0

5000.0

6000.0

7000.0

8000.0

10% 11% 12% 13% 14% 15% 16%

年経費率

回収

コスト(円

-t-CO

2)

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

発電

コスト(円

/kW

h)

100万t- /年回収 Capture Cost

100万t- /年回収 Avoided Cost

200万t- /年回収 Capture Cost

200万t- /年回収 Avoided Cost

最大限回収 Capture Cost

最大限回収 Avoided Cost

100万t- /年回収 発電コスト

200万t- /年回収 発電コスト

最大限回収 発電コスト

図 3.2-36 年経費率の影響

(LNG コンバインドサイクル、現状技術レベル、ベース発電単価 6.2 円/kWh)

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

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(設備改造費)

図 3.2-37~図 3.2-42 に設備改造費の影響を示す。設備改造費が発電単価に与える影響は

小さいが、回収コストに与える影響は大きい。

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

0 15 30

改造費 分離回収+昇圧に対する百分率(%)

アボ

イデ

ッドコスト(円

/t-CO

2)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

発電

単価

(円/kW

h)

100万t- /年回収回収コスト

200万t- /年回収回収コスト

最大限回収 回収コスト

100万t- /年回収発電単価

200万t- /年回収発電単価

最大限回収 発電単価

図 3.2-37 設備改造費の影響 (微粉炭火力、現状技術レベル、ベース発電単価 5.7 円/kWh、年経費率 13%)

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

0 15 30

改造費 分離回収+昇圧に対する百分率(%)

アボ

イデ

ッドコスト(円

/t-CO

2)

0

2

4

6

8

10

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14

16

18

20

発電

単価

(円

/kW

h)

100万t- /年回収回収コスト

200万t- /年回収回収コスト

最大限回収 回収コスト

100万t- /年回収発電単価

200万t- /年回収発電単価

最大限回収 発電単価

図 3.2-38 設備改造費の影響 (微粉炭火力、長期目標レベル、ベース発電単価 5.7 円/kWh、年経費率 13%)

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

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0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

0 15 30

改造費 分離回収+昇圧に対する百分率(%)

アボ

イデ

ッドコスト(円

/t-CO

2)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

発電

単価

(円

/kW

h)

100万t- /年回収回収コスト

200万t- /年回収回収コスト

最大限回収 回収コスト

100万t- /年回収発電単価

200万t- /年回収発電単価

最大限回収 発電単価

図 3.2-39 設備改造費の影響

(LNG コンベンショナル、現状技術レベル、ベース発電単価 8.5 円/kWh、年経費率 13%)

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

0 15 30

改造費 分離回収+昇圧に対する百分率(%)

アボ

イデ

ッドコスト(円

/t-CO

2)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

発電

単価

(円

/kW

h)

100万t- /年回収回収コスト200万t- /年回収回収コスト最大限回収 回収コスト100万t- /年回収発電単価200万t- /年回収発電単価最大限回収 発電単価

図 3.2-40 設備改造費の影響

(LNG コンベンショナル、長期目標レベル、ベース発電単価 8.5 円/kWh、年経費率 13%)

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

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0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

0 15 30

改造費 分離回収+昇圧に対する百分率(%)

アボ

イデ

ッドコスト(円

/t-CO

2)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

発電

単価

(円

/kW

h)

100万t- /年回収回収コスト

200万t- /年回収回収コスト

最大限回収 回収コスト

100万t- /年回収発電単価

200万t- /年回収発電単価

最大限回収 発電単価

図 3.2-41 設備改造費の影響

(LNG コンバインドサイクル、現状技術レベル、ベース発電単価 6.2 円/kWh、年経費率 13%)

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

0 15 30

改造費 分離回収+昇圧に対する百分率(%)

アボ

イデ

ッドコスト(円

/t-CO

2)

0

2

4

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8

10

12

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16

18

20

発電

単価

(円

/kW

h)

100万t- /年回収回収コスト

200万t- /年回収回収コスト

最大限回収 回収コスト

100万t- /年回収発電単価

200万t- /年回収発電単価

最大限回収 発電単価

図 3.2-42 設備改造費の影響

(LNG コンバインドサイクル、長期目標レベル、ベース発電単価 6.2 円/kWh、年経費率 13%)

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

CO2

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3.2.6 結論及び今後の予定

微粉炭火力、LNG コンベンショナルおよび LNG コンバインドサイクルの排ガスから

化学吸収法による二酸化炭素回収を行った場合の発電ロス率、熱効率及び経済性の解析を

行った。この結果、微粉炭火力および LNG コンベンショナルについては二酸化炭素回収

設備からの廃熱を最大限に活用することで、発電ロス率を二酸化炭素処理量が小さい場合

には大幅に低減できることを示した。また、今後の二酸化炭素回収技術開発によって吸収

液再生時の消費熱量の低下や吸収・再生の効率化による設備費の低減が達成されれば、100

万 kW 級微粉炭火力から年間 100 万 t-CO2の二酸化炭素を回収(回収率 20%)したケース

で、送電端効率の低下を 0.8%(絶対値)程度に抑えることが可能で、分離回収・昇圧のア

ボイデッドコストを 2,000 円/t-CO2台にできる可能性があることを示した(表 3.2-22)。

なお、本経済性の検討は新設の発電所に適用できるものであるが、既設発電所の改造に適

用するためにはコスト計算の考え方を含めて更なる検討が必要である。

参考文献

1) (財)地球環境産業技術研究機構、平成 17 年度 二酸化炭素固定化・有効利用技術等対

策事業「二酸化炭素地中貯留技術研究開発」成果報告書(平成 18 年 3 月)

2) IPCC ,”Special Report on Carbon dioxide Capture and Storage”

(http://arch.rivm.nl/env/int/ipcc/pages_media/SRCCS-final/IPCCSpecialReportonC

arbondioxideCaptureandStorage.htm)

3) 梅沢、篠宮:「ヒートバランス解析法による火力発電所の熱効率診断」火力原子力発電

学会誌 Vol.51 No.4 Apr. 2000

4) “Improvement in power generation with post-combustion capture of CO2”, IEA

Greenhouse gas R&D programme, report number PH4/33, Nov.2004

5) 火力原子力発電必携改定第 5 版第 4 刷、Oct. 1998

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1627

表 3.2-21 現状技術での分離回収・昇圧アボイデッドコスト

平成17年度微粉炭火力

発電所スケール kW 830,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,171,300 1,171,300 1,171,300年平均利用率 % 85 80 80 80 80 80 80 80 80 80CO2回収量 千t-CO2/年 1,000 1,000 2,000 4,426 1,000 2,000 2,956 1,000 2,000 2,764CO2回収率 % 23 20 41 90 30 61 90 33 65 90

発電ロス率 kWh/MJ 0.052 0.028 0.045 0.055 0.030 0.046 0.052 0.091 0.091 0.091送電端効率(REF) % 41.70 40.07 40.07 40.07 38.58 38.58 38.58 49.30 49.30 49.30

送電端効率(CAP) % 39.37 38.88 37.06 32.65 37.36 35.56 33.84 46.54 43.78 41.67CO2排出係数(REF) kg-CO2/MWh 781 738.7 738.7 738.7 478.2 478.2 478.2 381.0 381.0 381.0CO2排出係数(CAP) kg-CO2/MWh 640 606.5 473.9 90.7 343.4 202.8 54.5 272.2 149.7 45.1

設備費合計 百万円 9,914 13,841 25,289 50,563 12,568 22,913 32,167 18,184 33,393 44,372発電単価(REF) 円/kWh 4.97 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2発電単価(CAP) 円/kWh 5.6 6.2 6.8 8.6 9.1 9.8 10.6 6.9 7.7 8.4

発電単価増 円/kWh 0.6 0.5 1.1 2.9 0.6 1.3 2.1 0.7 1.5 2.2Cost Avoided 円/t-CO2 4,256 3,934 4,294 4,413 4,364 4,824 4,950 6,754 6,521 6,420

発電所

平成18年度検討年度微粉炭火力 LNGコンベンショナル LNGコンバインドサイクル

表 3.2-22 長期目標の分離回収・昇圧アボイデッドコスト

平成17年度微粉炭火力

発電所スケール kW 830,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,171,279 1,171,279 1,171,279年平均利用率 % 85 80 80 80 80 80 80 80 80 80CO2回収量 千t-CO2/年 1,000 1,000 2,000 4,426 1,000 2,000 2,956 1,000 2,000 2,764CO2回収率 % 23 20 41 90 30 61 90 33 65 90

発電ロス率 kWh/MJ 0.040 0.020 0.033 0.049 0.021 0.036 0.045 0.090 0.090 0.090送電端効率(REF) % 41.70 40.07 40.07 40.07 38.58 38.58 38.58 49.30 49.30 49.30

送電端効率(CAP) % 40.24 39.27 38.18 35.13 37.80 36.68 35.49 47.50 45.70 44.32設備費合計 百万円 5,949 8,305 15,173 30,338 7,541 13,748 19,300 10,910 20,036 26,623

発電単価(REF) 円/kWh 4.97 5.7 5.7 5.7 8.500 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2発電単価(CAP) 円/kWh 5.32 6.0 6.4 7.505 8.88519 9.347 9.840 6.67342 7.153 7.539

発電単価増 円/kWh 0.4 0.3 0.7 1.8 0.4 0.8 1.3 0.5 1.0 1.3

Cost Avoided 円/t-CO2 2,261 2,518 2,616 2,758 2,776 3,009 3,143 4,142 4,011 3,954

発電所

平成18年度検討年度微粉炭火力 LNGコンベンショナル LNGコンバンドサイクル

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1628

表 3.2-23 経済性解析結果一覧(現状技術レベル)

1 5 6 7 11 15 16 17 21 22 23 24

抽気ポイント ベース ベース ベースCO2回収量 百万t/年 0.000 1.000 2.000 4.426 0.000 1.000 2.000 2.956 0.000 1.000 2.000 2.764送電端出力 MW 950.0 921.7 878.6 774.0 980.0 949.1 903.3 859.5 1150.2 1085.8 1021.4 972.2CO2 回収量 kg/MWh 0.0 154.8 324.8 816.0 0.0 150.4 316.0 490.7 0.0 131.4 279.4 405.7CO2排出原単位 kg/MWh 738.7 606.5 473.9 90.7 478.2 343.4 202.9 54.5 381.0 272.2 149.7 45.1回収設備 百万円 0.0 8396.9 15669.2 32029.0 0.0 7417.6 13841.8 19672.5 0.0 11737.5 21903.0 29309.3圧縮設備 百万円 0.0 2249.8 3783.8 6865.4 0.0 2249.8 3783.8 5071.6 0.0 2249.8 3783.8 4823.3追加費用 百万円 0.0 3194.0 5835.9 11668.3 0.0 2900.2 5287.7 7423.2 0.0 4196.2 7706.0 10239.8合計 百万円 0.0 13840.8 25288.9 50562.8 0.0 12567.7 22913.2 32167.4 0.0 18183.5 33392.7 44372.4吸収液費用 億円/年 0 4.31 8.62 19.077 0 4.31 8.62 12.739 0 4.31 8.62 11.914年経費 億円/年 0.0 18.0 32.9 65.7 0.0 16.3 29.8 41.8 0.0 23.6 43.4 57.7ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 401.8 421.0 464.3 583.8 604.4 622.2 638.3 499.8 527.7 551.8 569.4発電コスト 円/kWh 5.7 6.2 6.8 8.6 8.5 9.1 9.8 10.6 6.2 6.9 7.7 8.4capture cost 円/t-CO2 3359.1 3500.7 3504.8 3907.4 4206.0 4274.8 5592.4 5399.0 5315.2avoided cost 円/t-CO2 3934.6 4294.2 4413.5 4359.3 4826.7 4951.3 6753.5 6520.1 6418.9ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2年経費合計 億円/年 479.3 501.7 520.8 564.2 659.3 680.0 697.7 713.9 564.2 592.2 616.3 633.8発電コスト 円/kWh 7.2 7.8 8.5 10.4 9.6 10.2 11.0 11.9 7.0 7.8 8.6 9.3capture cost 円/t-CO2 3656.1 3875.9 3922.9 4145.9 4501.8 4589.1 5953.3 5760.0 5676.2avoided cost 円/t-CO2 4282.6 4754.5 4940.0 4625.3 5166.1 5315.4 7189.4 6956.0 6854.8ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7年経費合計 億円/年 319.6 341.9 361.1 404.4 645.6 666.2 684.0 700.1 620.7 648.6 672.7 690.3発電コスト 円/kWh 4.8 5.3 5.9 7.5 9.4 10.0 10.8 11.6 7.7 8.5 9.4 10.1capture cost 円/t-CO2 3180.8 3275.5 3254.0 4102.5 4448.1 4531.9 6269.2 6075.9 5992.1avoided cost 円/t-CO2 3725.9 4018.0 4097.7 4576.9 5104.4 5249.2 7570.9 7337.4 7236.2年経費 億円/年 0.0 15.2 27.8 55.6 0.0 13.8 25.2 35.4 0.0 20.0 36.7 48.8ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 399.0 415.9 454.2 583.8 601.9 617.6 631.9 499.8 524.1 545.1 560.5発電コスト 円/kWh 5.7 6.2 6.8 8.4 8.5 9.0 9.8 10.5 6.2 6.9 7.6 8.2capture cost 円/t-CO2 3082.2 3247.8 3276.4 3656.0 3976.9 4057.1 5228.7 5065.1 4994.2avoided cost 円/t-CO2 3610.4 3984.0 4125.8 4078.9 4563.7 4699.2 6314.3 6116.8 6031.2ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2年経費合計 億円/年 479.3 498.9 515.8 554.0 659.3 677.5 693.1 707.4 564.2 588.6 609.6 625.0発電コスト 円/kWh 7.2 7.7 8.4 10.2 9.6 10.2 10.9 11.7 7.0 7.7 8.5 9.2capture cost 円/t-CO2 3379.3 3623.0 3694.4 3894.5 4272.7 4371.4 5589.7 5426.1 5355.2avoided cost 円/t-CO2 3958.3 4444.2 4652.3 4344.9 4903.2 5063.3 6750.3 6552.7 6467.1ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7年経費合計 億円/年 319.6 339.1 356.0 394.3 645.6 663.7 679.4 693.7 620.7 645.0 666.0 681.4発電コスト 円/kWh 4.8 5.2 5.8 7.3 9.4 10.0 10.7 11.5 7.7 8.5 9.3 10.0capture cost 円/t-CO2 2904.0 3022.6 3025.5 3851.1 4218.9 4314.3 5905.5 5741.9 5671.0avoided cost 円/t-CO2 3401.6 3707.8 3809.9 4296.5 4841.5 4997.1 7131.7 6934.1 6848.5年経費 億円/年 0.0 20.8 37.9 75.8 0.0 18.9 34.4 48.3 0.0 27.3 50.1 66.6ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 404.6 426.0 474.4 583.8 606.9 626.8 644.8 499.8 531.3 558.5 578.2発電コスト 円/kWh 5.7 6.3 6.9 8.7 8.5 9.1 9.9 10.7 6.2 7.0 7.8 8.5capture cost 円/t-CO2 3635.9 3753.6 3733.3 4158.8 4435.2 4492.4 5956.0 5733.0 5636.3avoided cost 円/t-CO2 4258.9 4604.4 4701.3 4639.7 5089.6 5203.4 7192.7 6923.3 6806.6ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2年経費合計 億円/年 479.3 504.4 525.9 574.3 659.3 682.5 702.3 720.3 564.2 595.8 623.0 642.7発電コスト 円/kWh 7.2 7.8 8.5 10.6 9.6 10.3 11.1 12.0 7.0 7.8 8.7 9.4capture cost 円/t-CO2 3932.9 4128.8 4151.4 4397.2 4731.0 4806.8 6317.0 6093.9 5997.3avoided cost 円/t-CO2 4606.8 5064.7 5227.8 4905.7 5429.1 5567.5 7628.6 7359.2 7242.5ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7年経費合計 億円/年 319.6 344.6 366.1 414.5 645.6 668.7 688.6 706.6 620.7 652.3 679.4 699.1発電コスト 円/kWh 4.8 5.3 5.9 7.6 9.4 10.1 10.9 11.7 7.7 8.6 9.5 10.3capture cost 円/t-CO2 3457.7 3528.4 3482.4 4353.9 4677.2 4749.6 6632.9 6409.8 6313.1avoided cost 円/t-CO2 4050.1 4328.2 4385.4 4857.4 5367.3 5501.3 8010.1 7740.7 7623.9

LNGコンベンショナルIPT排気IPT排気

微粉炭 LNG-CCシステムIPT排気

出力

等及

び設

備費

等年

経費

率13

%年

経費

率11%

年経

費率

15%

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表 3.2-24 経済性解析結果一覧(短期目標技術レベル)

1 5 6 7 11 15 16 17 21 22 23 24

抽気ポイント ベース ベース ベースCO2回収量 百万t/年 0.000 1.000 2.000 4.426 0.000 1.000 2.000 2.956 0.000 1.000 2.000 2.764送電端出力 MW 950.0 926.8 890.5 800.2 980.0 955.9 916.9 879.7 1150.2 1095.9 1041.7 1000.2CO2 回収量 kg/MWh 0.0 154.0 320.5 789.2 0.0 149.3 311.2 479.4 0.0 130.2 274.0 394.4CO2排出原単位 kg/MWh 738.7 603.2 467.6 87.7 478.2 341.0 199.8 53.3 381.0 269.7 146.8 43.8回収設備 百万円 0.0 6717.6 12535.4 25623.2 0.0 5934.1 11073.4 15738.0 0.0 9390.0 17522.4 23447.4圧縮設備 百万円 0.0 1799.9 3027.0 5492.4 0.0 1799.9 3027.0 4057.3 0.0 1799.9 3027.0 3858.6追加費用 百万円 0.0 2555.2 4668.7 9334.7 0.0 2320.2 4230.1 5938.6 0.0 3357.0 6164.8 8191.8合計 百万円 0.0 11072.6 20231.1 40450.2 0.0 10054.1 18330.5 25733.9 0.0 14546.8 26714.2 35497.9吸収液費用 億円/年 0 4.31 8.62 19.077 0 4.31 8.62 12.739 0 4.31 8.62 11.914年経費 億円/年 0.0 14.4 26.3 52.6 0.0 13.1 23.8 33.5 0.0 18.9 34.7 46.1ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 398.2 414.4 451.1 583.8 601.1 616.2 630.0 499.8 523.0 543.1 557.8発電コスト 円/kWh 5.7 6.1 6.6 8.0 8.5 9.0 9.6 10.2 6.2 6.8 7.4 8.0capture cost 円/t-CO2 2797.4 2934.7 2970.6 3173.3 3500.8 3584.4 4680.2 4525.5 4458.5avoided cost 円/t-CO2 3179.3 3469.2 3601.5 3452.0 3914.5 4044.4 5473.4 5292.5 5214.1ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2年経費合計 億円/年 479.3 498.1 514.3 551.0 659.3 676.7 691.8 705.5 564.2 587.5 607.6 622.3発電コスト 円/kWh 7.2 7.7 8.2 9.8 9.6 10.1 10.8 11.4 7.0 7.6 8.3 8.9capture cost 円/t-CO2 3041.3 3247.6 3326.3 3359.0 3743.9 3846.1 4984.4 4829.8 4762.7avoided cost 円/t-CO2 3456.5 3838.9 4032.7 3654.1 4186.2 4339.6 5829.2 5648.3 5569.9ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7年経費合計 億円/年 319.6 338.3 354.5 391.2 645.6 663.0 678.0 691.8 620.7 643.9 664.0 678.7発電コスト 円/kWh 4.8 5.2 5.7 7.0 9.4 9.9 10.6 11.2 7.7 8.4 9.1 9.7capture cost 円/t-CO2 2651.0 2747.0 2757.2 3325.3 3699.7 3798.5 5250.7 5096.0 5029.0avoided cost 円/t-CO2 3012.9 3247.3 3342.7 3617.3 4136.8 4285.9 6140.6 5959.7 5881.3年経費 億円/年 0.0 12.2 22.3 44.5 0.0 11.1 20.2 28.3 0.0 16.0 29.4 39.0ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 396.0 410.4 443.1 583.8 599.1 612.6 624.8 499.8 520.1 537.8 550.7発電コスト 円/kWh 5.7 6.1 6.6 7.9 8.5 8.9 9.5 10.1 6.2 6.8 7.4 7.9capture cost 円/t-CO2 2575.9 2732.4 2787.9 2972.2 3317.5 3410.3 4389.2 4258.3 4201.6avoided cost 円/t-CO2 2927.6 3230.0 3379.9 3233.3 3709.5 3847.9 5133.1 4980.1 4913.7ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2年経費合計 億円/年 479.3 495.8 510.2 542.9 659.3 674.7 688.1 700.4 564.2 584.6 602.2 615.2発電コスト 円/kWh 7.2 7.6 8.2 9.7 9.6 10.1 10.7 11.4 7.0 7.6 8.3 8.8capture cost 円/t-CO2 2819.8 3045.2 3143.5 3157.9 3560.6 3671.9 4693.5 4562.6 4505.9avoided cost 円/t-CO2 3204.8 3599.8 3811.1 3435.3 3981.3 4143.1 5489.0 5335.9 5269.6ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7年経費合計 億円/年 319.6 336.1 350.4 383.1 645.6 660.9 674.4 686.6 620.7 641.0 658.7 671.6発電コスト 円/kWh 4.8 5.2 5.6 6.8 9.4 9.9 10.5 11.1 7.7 8.3 9.0 9.6capture cost 円/t-CO2 2429.6 2544.7 2574.5 3124.2 3516.4 3624.4 4959.7 4828.8 4772.1avoided cost 円/t-CO2 2761.2 3008.1 3121.1 3398.6 3931.9 4089.5 5800.3 5647.3 5580.9年経費 億円/年 0.0 16.6 30.3 60.7 0.0 15.1 27.5 38.6 0.0 21.8 40.1 53.2ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 400.4 418.5 459.2 583.8 603.2 619.9 635.1 499.8 525.9 548.4 564.9発電コスト 円/kWh 5.7 6.2 6.7 8.2 8.5 9.0 9.6 10.3 6.2 6.8 7.5 8.1capture cost 円/t-CO2 3018.8 3137.0 3153.4 3374.4 3684.1 3758.6 4971.1 4792.6 4715.3avoided cost 円/t-CO2 3431.0 3708.3 3823.1 3670.8 4119.4 4240.9 5813.6 5604.9 5514.5ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2avoided cost 億円/年 479.3 500.3 518.3 559.1 659.3 678.7 695.4 710.7 564.2 590.4 612.9 629.4発電コスト 円/kWh 7.2 7.7 8.3 10.0 9.6 10.1 10.8 11.5 7.0 7.7 8.4 9.0capture cost 円/t-CO2 3262.7 3449.9 3509.1 3560.1 3927.2 4020.2 5275.4 5096.9 5019.5avoided cost 円/t-CO2 3708.2 4078.1 4254.3 3872.8 4391.2 4536.1 6169.5 5960.8 5870.3ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7圧縮設備 億円/年 319.6 340.5 358.5 399.3 645.6 665.0 681.7 696.9 620.7 646.8 669.4 685.8発電コスト 円/kWh 4.8 5.2 5.7 7.1 9.4 9.9 10.6 11.3 7.7 8.4 9.2 9.8capture cost 円/t-CO2 2872.5 2949.4 2940.0 3526.3 3883.0 3972.6 5541.6 5363.1 5285.8avoided cost 円/t-CO2 3264.6 3486.4 3564.3 3836.1 4341.8 4482.4 6480.8 6272.1 6181.7

システム 微粉炭 LNGコンベンショナル LNG-CCIPT排気 IPT排気 IPT排気

年経

費率

13%

年経

費率

11%

年経

費率

15%

出力

等及

び設

備費

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1630

表 3.2-25 経済性解析結果一覧(長期目標技術レベル)

1 5 6 7 11 15 16 17 21 22 23 24

抽気ポイント ベース ベース ベースCO2回収量 百万t/年 0.000 1.000 2.000 4.426 0.000 1.000 2.000 2.956 0.000 1.000 2.000 2.764送電端出力 MW 950.0 931.0 905.2 832.8 980.0 960.2 931.6 901.4 1150.2 1108.2 1066.1 1034.0CO2 回収量 kg/MWh 0.0 153.3 315.3 758.4 0.0 148.6 306.3 467.9 0.0 128.8 267.7 381.5CO2排出原単位 kg/MWh 738.7 600.5 460.0 84.3 478.2 339.4 196.7 52.0 381.0 266.7 143.4 42.4回収設備 百万円 0.0 5038.2 9401.5 19217.4 0.0 4450.6 8305.1 11803.5 0.0 7042.5 13141.8 17585.6圧縮設備 百万円 0.0 1349.9 2270.3 4119.3 0.0 1349.9 2270.3 3043.0 0.0 1349.9 2270.3 2894.0追加費用 百万円 0.0 1916.4 3501.5 7001.0 0.0 1740.1 3172.6 4453.9 0.0 2517.7 4623.6 6143.9合計 百万円 0.0 8304.5 15173.3 30337.7 0.0 7540.6 13747.9 19300.4 0.0 10910.1 20035.6 26623.4吸収液費用 億円/年 0 4.31 8.62 19.077 0 4.31 8.62 12.739 0 4.31 8.62 11.914年経費 億円/年 0.0 10.8 19.7 39.4 0.0 9.8 17.9 25.1 0.0 14.2 26.0 34.6ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 394.6 407.8 438.0 583.8 597.9 610.3 621.6 499.8 518.3 534.4 546.3発電コスト 円/kWh 5.7 6.0 6.4 7.5 8.5 8.9 9.3 9.8 6.2 6.7 7.2 7.5capture cost 円/t-CO2 2270.2 2312.3 2380.0 2592.2 2765.0 2863.6 3675.9 3559.9 3509.6avoided cost 円/t-CO2 2518.1 2615.7 2758.1 2776.6 3008.9 3143.7 4140.7 4010.1 3953.4ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2年経費合計 億円/年 479.3 494.5 507.7 537.9 659.3 673.4 685.8 697.1 564.2 582.7 598.9 610.8発電コスト 円/kWh 7.2 7.6 8.0 9.2 9.6 10.0 10.5 11.0 7.0 7.5 8.0 8.4capture cost 円/t-CO2 2470.1 2547.9 2658.4 2745.0 2951.4 3068.5 3911.6 3795.6 3745.3avoided cost 円/t-CO2 2739.9 2882.2 3080.7 2940.3 3211.7 3368.6 4406.2 4275.6 4218.9ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7年経費合計 億円/年 319.6 334.7 347.9 378.1 645.6 659.7 672.1 683.4 620.7 639.2 655.3 667.2発電コスト 円/kWh 4.8 5.1 5.5 6.5 9.4 9.8 10.3 10.8 7.7 8.2 8.8 9.2capture cost 円/t-CO2 2150.3 2171.0 2212.9 2717.2 2917.5 3031.3 4117.8 4001.8 3951.5avoided cost 円/t-CO2 2385.1 2455.9 2564.5 2910.6 3174.8 3327.7 4638.5 4507.9 4451.2年経費 億円/年 0.0 9.1 16.7 33.4 0.0 8.3 15.1 21.2 0.0 12.0 22.0 29.3ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 392.9 404.8 431.9 583.8 596.4 607.5 617.7 499.8 516.1 530.4 541.0発電コスト 円/kWh 5.7 6.0 6.4 7.4 8.5 8.9 9.3 9.8 6.2 6.6 7.1 7.5capture cost 円/t-CO2 2104.1 2160.6 2242.9 2441.4 2627.6 2733.0 3457.7 3359.6 3317.0avoided cost 円/t-CO2 2333.9 2444.1 2599.2 2615.1 2859.3 3000.3 3895.0 3784.4 3736.5ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2年経費合計 億円/年 479.3 492.8 504.7 531.8 659.3 671.9 683.1 693.3 564.2 580.6 594.9 605.4発電コスト 円/kWh 7.2 7.6 8.0 9.1 9.6 10.0 10.5 11.0 7.0 7.5 8.0 8.4capture cost 円/t-CO2 2304.0 2396.1 2521.3 2594.2 2814.0 2937.9 3693.4 3595.2 3552.7avoided cost 円/t-CO2 2555.6 2710.5 2921.9 2778.8 3062.1 3225.3 4160.4 4049.9 4002.0ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7年経費合計 億円/年 319.6 333.0 344.9 372.0 645.6 658.2 669.3 679.5 620.7 637.0 651.3 661.9発電コスト 円/kWh 4.8 5.1 5.4 6.4 9.4 9.8 10.3 10.8 7.7 8.2 8.7 9.1capture cost 円/t-CO2 1984.2 2019.3 2075.8 2566.4 2780.1 2900.7 3899.6 3801.5 3758.9avoided cost 円/t-CO2 2200.9 2284.2 2405.7 2749.0 3025.2 3184.4 4392.8 4282.2 4234.3年経費 億円/年 0.0 12.5 22.8 45.5 0.0 11.3 20.6 29.0 0.0 16.4 30.1 39.9ベース発電コスト 円/kWh 5.7 5.7 5.7 5.7 8.5 8.5 8.5 8.5 6.2 6.2 6.2 6.2発電設備年経費 億円/年 379.5 379.5 379.5 379.5 583.8 583.8 583.8 583.8 499.8 499.8 499.8 499.8年経費合計 億円/年 379.5 396.3 410.9 444.1 583.8 599.4 613.0 625.5 499.8 520.4 538.4 551.6発電コスト 円/kWh 5.7 6.1 6.5 7.6 8.5 8.9 9.4 9.9 6.2 6.7 7.2 7.6capture cost 円/t-CO2 2436.3 2464.1 2517.1 2743.0 2902.5 2994.2 3894.1 3760.3 3702.3avoided cost 円/t-CO2 2702.3 2787.4 2917.0 2938.2 3158.5 3287.0 4386.5 4235.8 4170.4ベース発電コスト 円/kWh 7.2 7.2 7.2 7.2 9.6 9.6 9.6 9.6 7.0 7.0 7.0 7.0発電設備年経費 億円/年 479.3 479.3 479.3 479.3 659.3 659.3 659.3 659.3 564.2 564.2 564.2 564.2avoided cost 億円/年 479.3 496.1 510.7 543.9 659.3 674.9 688.6 701.0 564.2 584.9 602.9 616.1発電コスト 円/kWh 7.2 7.6 8.1 9.3 9.6 10.0 10.5 11.1 7.0 7.5 8.1 8.5capture cost 円/t-CO2 2636.2 2699.6 2795.5 2895.8 3088.9 3199.1 4129.8 3996.0 3937.9avoided cost 円/t-CO2 2924.1 3053.8 3239.6 3101.9 3361.3 3512.0 4652.0 4501.3 4435.9ベース発電コスト 円/kWh 4.8 4.8 4.8 4.8 9.4 9.4 9.4 9.4 7.7 7.7 7.7 7.7発電設備年経費 億円/年 319.6 319.6 319.6 319.6 645.6 645.6 645.6 645.6 620.7 620.7 620.7 620.7圧縮設備 億円/年 319.6 336.3 350.9 384.1 645.6 661.2 674.8 687.3 620.7 641.3 659.3 672.5発電コスト 円/kWh 4.8 5.2 5.5 6.6 9.4 9.8 10.3 10.9 7.7 8.3 8.8 9.3capture cost 円/t-CO2 2316.4 2322.7 2350.0 2868.0 3055.0 3161.9 4336.0 4202.2 4144.2avoided cost 円/t-CO2 2569.3 2627.5 2723.4 3072.1 3324.4 3471.1 4884.3 4733.6 4668.2

システム 微粉炭 LNGコンベンショナル LNG-CCIPT排気 IPT排気 IPT排気

年経

費率

13%

年経

費率

11%

年経

費率

15%

出力

等及

び設

備費

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1631

3.3 地中貯留の有効性に関する定量評価

3.3.1 はじめに

昨年度(平成 17 年度)は、H16 年度までに構築した日本を対象にした 2050 年までの二

酸化炭素地中貯留技術の評価が可能な数理計画モデル 1-5)において、二酸化炭素回収貯留コ

ストおよび貯留ポテンシャルを最新知見に基づいて更新し、地中貯留の有効性の評価を行

った。

本年度は、将来人口、化石燃料価格、原子力発電利用の上限シナリオ、および、二酸化

炭素排出削減シナリオという二酸化炭素地中貯留技術の有効性評価に影響が大きいと考え

られる前提条件について、現状において、より妥当であると考えられる新しいデータに更

新を行って、改めて二酸化炭素地中貯留技術の有効性の評価を実施した。

3.3.2 二酸化炭素地中貯留経済性評価モデルの主な前提条件の更新 昨年度までに開発したモデルにおいて、以下の項目について、より新しいデータを元に、

モデル前提条件の更新を実施した。他の条件については、昨年度 5)同様である。

(1) 将来人口の想定

平成 18 年 12 月に国立社会保障・人口問題研究所は新しい将来人口推計を発表した 6)。

そこで本評価の前提条件の一つとなる将来人口を、この新しい中位推計値 6)(日本全体で

2050 年 9,500 万人)を利用することに変更した。ただし、都道府県別の推計は現時点では

まだ新しい推計が発表されていないため、H14 年の都道府県別統計 7)を元に都道府県別に

比例配分を行った。なお、昨年までの評価で用いた H14 年中位推計 8)では、2050 年の人

口は 10,000 万人であり、今回の推計では 5%程度下方修正されたこととなる。

なお、将来の基準最終エネルギー需要(特段の二酸化炭素排出抑制を想定しないときの

最終エネルギー需要であり、二酸化炭素排出抑制を想定する場合には、価格弾性値を介し

て最終エネルギー需要はここで想定したものよりも抑制される)は、人口、一人当り GDP

成長率、GDP 当りの燃料種別最終エネルギー需要の変化率を用いて推計しているため、将

来人口想定を変更すると、将来の最終エネルギー需要シナリオも変更される。

図 3.3-1、図 3.3-2 に本年度更新を行った人口および最終エネルギー需要の想定を示す。

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0

20

40

60

80

100

120

140

2000 2010 2020 2030 2040 2050

Pop

ulat

ion

(milli

on p

eopl

e)

昨年度まで利用した中位推計

本年度想定した中位推計

本年度想定した低位推計

図 3.3-1 将来人口の想定

0

100

200

300

400

2000 2010 2020 2030 2040 2050

Fina

l ene

rgy

dem

and

(Mto

e/yr

)

電力需要

都市ガス需要

LPガス需要

ガソリン需要

軽質油需要

重質油需要

石炭需要

図 3.3-2 本年度想定した基準最終エネルギー需要シナリオ

(2) 化石燃料価格

原油、LNG、石炭の CIF 価格は、2000 年については実績値 9)(それぞれ、28 $/bbl、

251 $/t、35 $/t)と、それ以降については、世界エネルギーシステムモデル DNE21 の基

準ケースにおける計算結果 10)の CIF 価格の変化分に比例するように想定した。なお、LPG

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1633

は石油価格に連動するものと仮定した。2050 年における原油、LNG、石炭の想定 CIF 価

格は、それぞれ、57 $/bbl、452 $/t、63 $/t である。

図 3.3-3 に本年度更新を行った化石燃料 CIF 価格(原油、LPG、LNG、石炭共に US$/

石油換算トンに換算)の想定を示す。

0

100

200

300

400

500

2000 2010 2020 2030 2040 2050

CIF

pric

e (U

S$/

toe) Oil

LPG

LNG

Coal

図 3.3-3 化石燃料価格(CIF 価格)の想定

(3) 原子力発電の上限シナリオ

原子力発電についてはコスト条件以外の要因もその導入において大きく影響すると考

えられるため、その導入上限シナリオを設定している。昨年度までは、総合資源エネルギ

ー調査会による平成 13 年度の見通し 11)である 6,185 万 kW としていたが、本年度は、同

じく総合資源エネルギー調査会の平成 17 年度の標準シナリオにおける 2030 年の推定値

5,798 万 kW12)を 2050 年までの設備容量上限とした。なお、後述のように感度解析におい

ては、平成 17 年度の高位シナリオの値 6,795 万 kW12)を上限シナリオとして想定したケー

スについても検討を行った。

(4) 二酸化炭素排出削減シナリオの想定

現時点では京都議定書が定める 2008~2012 年までの排出削減しか決まっていない。し

かも、この期間であっても、京都メカニズムが利用できるため、実際に国内でどれだけ削

減すべきかは、国内のみを対象とした本モデルでは評価できない。本年度も昨年度同様、

標準ケースとして、GDP あたりの二酸化炭素排出量を 2050 年に 2000 年比で 1/2 にする

と想定した。ただし、昨年度と異なり、2010 年については、日本政府による京都議定書目

標達成計画 13)の値である 1,056 Mt-CO2/yr(エネルギー起源の二酸化炭素排出量)を想定

し、2050 年に至る期間は年率一定で削減するものと仮定した。

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3.3.3 ケース想定と分析・評価結果

(1) シミュレーションケースの想定

上記のような前提条件に更新し、昨年度までに構築した混合整数計画問題として定式化

した数理モデルを用いて、地中貯留の経済性の評価を行った。第 3.3.2 節で記した今年度

更新を行った前提条件以外については、昨年度の「ケース1-A」と同様の想定を行った。

なお、前提条件の違いによる地中貯留の経済性への影響を見るために、表 3.3-1 のように

複数のケースを想定して評価を行った。

表 3.3-1 経済性評価における感度解析のためのシミュレーションケースの想定

ケース名 ケースの詳細

ケース0 特段の二酸化炭素排出削減は想定しない

ケース1 エネルギー需要:人口は低位推計(2050年 9,500万人)6)を利用。一人当たり GDP

は年率+1.5%を仮定。2000~2050年の間の GDP成長率は年率+0.92%相当

二酸化炭素排出削減シナリオ:2050年時点の GDPあたりの二酸化炭素排出量を

2000 年比で 1/2 にするシナリオ。なお、2010 年は、日本政府による京都議定書

目標達成計画 13)の値である 1,056 Mt-CO2/yr(エネルギー起源の二酸化炭素排出

量)を達成するものとした。

原子力利用:原子力発電の設備容量の上限を 5,798万 kW12)と想定

最終エネルギー需要部門における省エネ:電力および非電力の長期価格弾性値を

それぞれ‒0.2、‒0.3と想定 14)

CCS:利用有り。二酸化炭素分離・回収コストのコスト低減想定

ケース2 低エネルギー需要:人口は低位推計(2050年 9,000万人)6)を利用。一人当たり

GDPは年率+1.0%を仮定。2000~2050年の間の GDP成長率は年率+0.32%相当

ケース3 高二酸化炭素排出削減シナリオ:2050年時点の GDPあたりの二酸化炭素排出量

を 2000年比で 1/3にするシナリオ(文献 15)と同様のシナリオ)

ケース4 高原子力利用:原子力発電の設備容量の上限を、総合エネルギー調査会の High

ケースである 6,795万 kW12)と想定

ケース5 省エネ促進:電力および非電力の長期価格弾性値をそれぞれ–0.4、–0.6と想定(ケ

ース1の2倍)

ケース6 二酸化炭素分離・回収コストの低減なし:二酸化炭素分離・回収コストが現状レ

ベルから低減しないと仮定

ケース7 CCSの利用なし:二酸化炭素地中貯留、海洋隔離ともに利用しないと仮定

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1635

(2) 分析・評価結果

以上の前提条件の下で、構築した数理モデルを用いて最適化計算を行い、二酸化炭素地

中貯留の経済性を評価した。

図 3.3-4 に「ケース1」における二酸化炭素排出量と対策技術別の二酸化炭素削減量を

示す。ここからは、昨年度までの分析同様、各種の技術の組み合わせが重要であり、近い

時点では特に省エネルギー、その後、燃料転換、そして、原子力、CCS が重要になること

がわかる。「ケース1」での二酸化炭素地中貯留は、 2020 年時点で 39Mt-CO2/yr

(11Mt-C/yr)、2030 年時点で 64Mt-CO2/yr(17Mt-C/yr)、2050 年時点で 168Mt-CO2/yr

(46Mt-C/yr)程度の利用が経済的と推定された。

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000 2010 2020 2030 2040 2050Year

年間

CO

2排出

量と削

減量

(百

万t-C

O2) 省エネルギー

化石燃料間の燃料転換

原子力への燃料転換

再生可能エネルギーへの燃料転換

CCS-二酸化炭素地中貯留

CCS-二酸化炭素海洋隔離

正味の二酸化炭素排出量

正味の二酸化炭素排出量

排出抑制を行わない場合の二酸化炭素排出量

図 3.3-4 ケース1における二酸化炭素排出量と技術別の削減効果

次に、図 3.3-5、図 3.3-6、図 3.3-7 に、各ケースにおける一次エネルギー供給、二酸化

炭素分離・回収量、累積二酸化炭素地中貯留量をそれぞれ示す。

2020 年時点では、二酸化炭素地中貯留の利用量は比較的少なく、省エネルギーや燃料転

換がコスト効率的なオプションとして排出量の削減に大きく寄与していることが図 3.3-5

からも理解できる。一方、2050 年時点になると、二酸化炭素地中貯留による削減が大きく

なるため、省エネルギー分が二酸化炭素地中貯留に要するエネルギーで相殺される傾向が

見られ、多くのケースで、二酸化炭素排出削減を行わないケース0とあまり変わらない一

次エネルギー消費量となっている。また、図 3.3-7 からは、最終エネルギー需要を小さく

想定したケース2を除けば、ケース1をはじめ多くのケースで、想定した貯留可能量 52

億 t-CO2の半分程度は 2050 年までにコスト効率的なオプションとなる。図 3.3-6 からは、

2020 年時点では、ケース3を除けば、二酸化炭素分離・回収の大部分が、石炭火力からの

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0

100

200

300

400

500

600

700

Case0

Case1

Case2

Case3

Case4

Case5

Case6

Case7

2020年

Prim

ary

ener

gy c

onsu

mpt

ion

(Mto

e/yr

)化学吸収法による回収が占めることがわかる。2050 年になると、石炭火力からの化学吸収

法による分離・回収自体も増加するが、酸素燃焼発電による回収や IGCC からの物理吸収

法による回収などもコスト効率的となっている。なお、ケース3では、比較的大規模な海

洋隔離の利用もコスト効率的であるために、二酸化炭素の分離・回収量も大きくなってい

る。

最後に、図 3.3-8 に二酸化炭素限界排出削減費用を示す。ケース1では 100 $/t-CO2程

度まで上昇するが、その後、想定した技術進歩による二酸化炭素分離・回収費用の低減の

影響もあり、2050 年には 54 $/t-CO2程度になっている。一方、二酸化炭素分離・回収コ

ストの低減を見込まないケース6では、2050 年の限界排出削減費用は 82 $/t-CO2程度と

高くなる。また、CCS を利用しないと想定したケース7においては、2050 年で 200 $/t-CO2

程度にまで上昇する結果となった。日本における二酸化炭素排出削減における CCS の重

要性が強く示唆される。

0

100

200

300

400

500

600

700

Case0

Case1

Case2

Case3

Case4

Case5

Case6

Case7

2050年

Prim

ary

ener

gy c

onsu

mpt

ion

(Mto

e/yr

) 太陽光

風力

原子力

地熱

水力

LNG

LPG

石油

石炭

図 3.3-5 2020 年と 2050 年における各ケースの一次エネルギー供給量

注)原子力、水力、地熱、風力、太陽光は、1Mtoe=0.086÷0.33TWh で一次換算している。

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0

10

20

30

40

50

60

70

80

Case1

Case2

Case3

Case4

Case5

Case6

2020年

CO

2 cap

utre

(MtC

O2/y

r)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

2000 2010 2020 2030 2040 2050Year

Cum

ulat

ive

geol

ogic

al s

tora

ge o

f CO

2

(MtC

O2)

Case 1

Case 2

Case 3

Case 4

Case 5

Case 6

想定した地中貯留貯留可能量(カテゴリーA2)

図 3.3-6 各種ケース別の帯水層への累積貯留量推移の比較

0

100

200

300

400

500

600

Case1

Case2

Case3

Case4

Case5

Case6

2050年

CO

2 cap

utre

(MtC

O2/y

r)

ガス化プラントにおける物理吸収

酸素燃焼発電(ガス)

酸素燃焼発電(石炭)

CO2回収付IGCC(物理吸

収)

LNG発電から

の化学吸収

石油発電からの化学吸収

石炭発電からの化学吸収

図 3.3-7 2020 年と 2050 年における各ケースの二酸化炭素分離回収量

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0

50

100

150

200

250

2000 2010 2020 2030 2040 2050Year

Mar

gina

l cos

t of C

O2 e

mis

sion

s

redu

ctio

ns ($

/CO

2 )Case 1

Case 2

Case 3

Case 4

Case 5

Case 6

Case 7

図 3.3-8 各ケースにおける二酸化炭素排出削減限界費用(CO2シャドープライス)

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1639

3.3.4 まとめ

本研究では昨年度までに構築した、コストおよびポテンシャルの双方を踏まえつつ、他

の温暖化対策オプションとの経済的競合を整合的に評価できる数理計画モデルについて、

一部の前提条件データを最新のデータに反映させた上で、日本における二酸化炭素地中貯

留の経済性の評価を感度解析も含めて実施した。

その分析・評価結果を総括すると、昨年度までの結論と同様、日本においてもコスト効

率的な二酸化炭素排出削減のためには様々なオプションを適切に組み合わせることが重要

である。そしてその中にあって、ほとんどの条件下において、二酸化炭素地中貯留もコス

ト効率的なオプションの一つであることが改めて示された。

今後の二酸化炭素排出削減を考えた場合、日本においても、二酸化炭素地中貯留が高い

経済性を有することが今年度までの分析・評価によって示されたが、特に次の点が要検討

課題として残っている。1つ目は、ポスト京都の枠組み・目標の動向である。京都議定書

は 2012 年までの削減目標しか規定しておらず、今後1、2年の間に、2013 年以降の枠組

みをどのようにするかの国際的な議論が集中すると見られる。二酸化炭素削減における二

酸化炭素地中貯留の役割は大きいため、日本としてポスト京都の枠組みを考える際にも、

二酸化炭素地中貯留をどのように位置づけるかも含めた枠組みの設計・提案が必要である。

2つ目は、石油増進回収などの機会がほとんど存在しない日本においては、地中貯留技術

は、あくまで二酸化炭素排出削減に特化した技術であるという点である。このために、本

技術の日本での適用は二酸化炭素排出規制により大きな影響を受けることとなる。本分析

では、単純に、日本全体での二酸化炭素排出原単位(GDP あたりの二酸化炭素排出量)を

低減させることを想定し、その下で経済性の評価を行った。しかし、実際にはどういった

政策手段によってそれを実現するのかの難しい問題は残っている。政策手段の選択は、排

出削減をどの程度進めるべきかとも無関係ではあり得ず、この点からもポスト京都の削減

枠組み・目標の議論を含めて検討していくべき課題である。そして、最後に、日本におけ

る地中貯留は、欧米などと異なり、石油増進回収などの機会がほとんど存在しないため、

企業にとって初期導入の障壁が極めて高く、また、油ガス採掘とは別に実施することにな

るため、受容性の面でも海外よりも障壁が高い可能性があるという特殊性に配慮した技術

戦略が必要である点を強調しておく。

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1640

参考文献

1) NEDO/RITE、「二酸化炭素地中貯留技術研究開発 成果報告書」、(2002)

2) RITE、「二酸化炭素地中貯留技術研究開発 成果報告書」、(2003)

3) RITE、「二酸化炭素地中貯留技術研究開発 成果報告書」、(2004)

4) RITE、「二酸化炭素地中貯留技術研究開発 成果報告書」、(2005)

5) RITE、「二酸化炭素地中貯留技術研究開発 成果報告書」、(2006)

6) 国立社会保障・人口問題研究所、「日本の将来推計人口-平成 18年 12月推計-」、(2006)

7) 国立社会保障・人口問題研究所、「都道府県別将来推計人口-平成 14 年 3 月推計-」、

(2002)

8) 国立社会保障・人口問題研究所、「日本の将来推計人口-平成 14 年 1 月推計-」、(2002)

9) 日本エネルギー経済研究所計量分析部編、「エネルギー・経済統計要覧」、(2006)

10) K. Akimoto, T. Tomoda, Y. Fujii, K. Yamaji: Assessment of Global Warming

Mitigation Options with Integrated Assessment Model DNE21. Energy Economics,

26 (2004), 635–653.

11) 経済産業省資源エネルギー庁編 、「みつめよう!我が国のエネルギー―エネルギー環

境制約を超えて―」、(2002)

12) 総合資源エネルギー調査会 需給部会、「2030 年のエネルギー需給展望」、(2005)

13) 日本政府、「京都議定書目標達成計画」、(2006)

14) 日本エネルギー経済研究所計量分析部編、「エネルギー・経済データの読み方入門」、

(2001)

15) 経済産業省、「技術戦略マップ(エネルギー分野)-超長期エネルギービジョン-」、

産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会 (2005).

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3.4 まとめと今後の課題

本章ではこれまで述べてきた検討結果をまとめるとともに今後の課題を整理する。

(火力発電所における最適二酸化炭素分離回収の調査)

微粉炭火力、LNG コンベンショナルおよび LNG コンバインドサイクルの排ガスから

化学吸収法による二酸化炭素回収を行った場合の熱効率及び経済性の解析を行った。微粉

炭火力および LNG コンベンショナルについては回収設備からの排熱を最大限に活用する

ことで、熱効率の低下を大幅に低減できることを示した。また、今後の二酸化炭素回収技

術開発によって長期目標が達成されれば、100 万 kW 級微粉炭火力から年間 100 万 t-CO2

を回収したケースで、送電端効率の低下を 0.8%(絶対値)程度に抑えることが可能で、

分離回収・昇圧のアボイデッドコストを 2,000 円/t-CO2台にできる可能性があることを示

した。

(地中貯留の有効性に関する定量評価)

将来人口、化石燃料価格、原子力発電利用の上限シナリオ、および、二酸化炭素排出削

減シナリオという二酸化炭素地中貯留技術の有効性評価に影響が大きいと考えられる前提

条件について、現状において、より妥当であると考えられる新しいデータに更新を行い、

改めて二酸化炭素地中貯留技術の有効性の評価を実施した。その分析・評価結果を総括す

ると、昨年度までの結論と同様、日本においてもコスト効率的な二酸化炭素排出削減のた

めには様々なオプションを適切に組み合わせることが重要である。そしてその中にあって、

ほとんどの条件下において、二酸化炭素地中貯留もコスト効率的なオプションの一つであ

ることが改めて示された。

今年度の検討によって、昨年度示した二酸化炭素地中貯留のコストが精緻化され、さら

にモデルによる有効性シナリオの解析についてもより妥当なものとなった。一方、火力発

電所から二酸化炭素回収については、新設の発電所を中心とした検討となっているため、

本既設発電所の改造に適用するためにはコスト計算の考え方を含めて更なる検討が必要で

ある。また、モデル計算の結果は貯留層のポテンシャルによって大きく左右されるため、

貯留ポテンシャルの今後の見直しにともない更新していく必要がある。

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1642

第4章 周辺関連調査

4.1 研究概要

現在、世界における二酸化炭素地中貯留のプロジェクトは、研究開発でも商業ベースでも実施ケース

が増えている状況にある 1)。周辺関連調査では、諸外国において二酸化炭素地中貯留の技術開発、政策

的位置づけがどのように行われているのかについて国際動向調査を実施した。また、二酸化炭素地中貯

留が有する温暖化対策技術としての重要性や技術確立への期待が認識され、国際的に容認されたと見な

される動向(例えば、COP7において二酸化炭素回収・貯留に関する IPCC特別報告書の作成が要請さ

れ、2005 年 COP11・COP/MOP1 でその報告がなされた等)がある一方で、一般の人々は二酸化炭素

地中貯留をどのように捉えるのか、またその受容向上にどのような方策があり得るのかについて把握す

る必要があり、これまでの検討をまとめた。さらに、別の国際的容認の一つに、ロンドン条約 1996 年

議定書の改正が採択されたことがあげられる。昨年度に引き続き、本条約についての動向調査、および

関連する国内法について動向調査を実施した。

4.2 国際動向調査

4.2.1 米国におけるCCS関連法規 連邦国家である米国には、連邦レベルと州レベルの法規制が存在する。

現在、連邦の環境保護庁(US-EPA)は、二酸化炭素及びその他のGHG排出をClean Air Act対象の汚

染物質とは考えていない。また、その他の連邦法においても、CCSの回収、輸送、注入、注入後の4つ

の各段階を対象としたものはない。

一方で、州間(Inter-states)パイプライン、有害廃棄物並びに地下注入井における活動及びその管理を対

象とした連邦法が存在し、これらはCCSに適用できる可能性がある(IEA, 2005)。

4.2.2 米国炭素隔離プログラムの位置付け

DOE化石エネルギー局は、1997年に温室効果ガス排出量の管理に関する調査研究資金及び評価結果

の整理統合を実施して炭素隔離プログラムを立ち上げた。以来、二酸化炭素回収・貯留のための技術や

手法に関する研究、評価及び現地での限定的な調査を続けてきているが、2002年 2月にブッシュ大統領

が地球規模気候変動イニシアチブ(GCCI)を発表したことで、これらの活動がいっそう重視されるこ

とになった。同イニシアチブでは、2012年までに米国経済の炭素集約度(GDP当たりの二酸化炭素排

出量)を 18%低下させるように要求している。

この炭素隔離プログラムは、DOE化石エネルギー局に代わってNETLが管理しており、GCCIの最終

目標の達成上重要な技術上の選択肢の開発を追求している。

DOEは本プログラムの目標を「2012年までに、90%の二酸化炭素を回収し、99%の永続性で貯留し、

かつエネルギー供給コストの上昇を 10%以下に抑えられるような化石燃料利用システムを開発するこ

と」としている。

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1643

4.2.3 豪州The National Greenhouse Strategy (NGS; 1998) NGSは、1998年 11月に連邦、州、関連政府機関によって、地方自治体、産業界、地域の意見を取り

入れながら整備された。これは、温室効果ガス問題を解決し、本問題に対する国民の関心や理解を深め、

温室効果ガスの排出抑制を実施し、温室効果ガスのシンク容量を増大させ、適応反応を高めることを目

的としている。具体的なアクションプランとしては、以下の 8つが挙げられている。ただし、特に二酸

化炭素貯留について記述したものはない。.

1. 全国温室効果ガス排出の解析

2. 気候変動とその影響の理解とその普及活動

3. 政府、産業界、地域社会の連携

4. 効率的および持続可能なエネルギーの利用と供給

5. 効率的な輸送と持続可能な都市開発

6. 温室効果ガスシンクおよび持続可能な土地管理

7. 産業プロセスおよび廃棄物管理における温室効果ガスベストプラクティス

8. 気候変動への適応反応

4.2.4 豪州エネルギー戦略白書(Energy strategy White Paper, Securing Australia's Energy Future; 2004)

本白書では、エネルギーの安定供給と環境問題への対策を記載している。この中で、二酸化炭素地中

貯留は化石燃料からのGHG排出低減のための重要な技術として位置づけられている。

本白書は、エネルギーが競争力のある価格で供給され、エネルギー資源の価値が最適化され、環境問題

が適切に管理されることを目的に包括的な対策を示したものであり、化石燃料からの温室効果ガス排出

を削減する重要な手法として二酸化炭素地中貯留を扱っている。また、二酸化炭素地中貯留と連携した

石炭発電等の商業的に有効な低コストの軽減技術の開発促進に対して、5億 AUDの投資を行うとして

いる。本白書において、エネルギーと環境問題に対処するために打ち出された主要な対策は、以下のと

おりである。

・ 2012~2013年において、家計や企業から総額 15億AUD(オーストラリアドル)を減税する

包括的な燃料税の見直し

・ 低排ガス技術の開発及び実証に 5億AUDの投資

・ エネルギー市場構造改革の重要性と緊急性の強調

・ 都市部における太陽光活用実験への 7500万AUDの予算確保

・ 再生可能エネルギー商業化の課題克服のために 1.3億AUDの予算確保

・ 2004~2005年予算における沖合地域における石油探査への予算確保

・ 企業への排ガス管理への新要求事項の整備

・ 大規模エネルギー消費者の定期的エネルギー効率評価及び情報公開

二酸化炭素地中貯留は、「8 章 気候変動とエネルギー」において、化石燃料からの GHG 排出低減の

ための重要な技術として取り上げられている。

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4.2.5 豪州Gorgon計画とそのCCS事業 ゴルゴン開発計画は、GJVによる、オーストラリア西オーストラリア州のゴルゴン地域における沖合

ガス田開発である。このガスに含まれる二酸化炭素は、バロー島において分離され、地下の帯水層

(Dupuy貯留層)に貯留される予定である。

生産量 500万 t/年のLNG施設 2基と同 300 TJ/日の国内用ガス施設を建設し、2007年後半から施設

稼動を開始、5 年かけて稼動負荷を増大させていく仮定で二酸化炭素排出量を推計すると、地中貯留実

施を前提とした場合、計 3.3 Mt-CO2/年(LNG施設:3.2 Mt-CO2/年、国内用ガス施設:0.1 Mt-CO2/

年)と推計される。一方、地中貯留を実施しない前提での二酸化炭素排出量は、8.1 Mt-CO2/年と推計さ

れる。

なお、ゴルゴン開発計画によって、オーストラリアのGHG排出量は約 0.7%増加すると推計されてい

る。

4.2.6 欧州大規模CCS事業プロジェクト 京都議定書の枠組みの中で積極的に温室効果ガス対策を講じている欧州では、二酸化炭素地中貯留に

関わる動向が活発化している。その中でも、発電施設から二酸化炭素を回収・貯留する大規模プロジェ

クトに関する動きが目立つ。

最近では、欧州委員会にて提案された「Energy Policy for Europe」にて、火力発電所(石炭・ガス)

における二酸化炭素の回収・貯留に関して言及している。

発電施設から二酸化炭素を回収・貯留する大規模プロジェクトの具体例としては、2006年 3月、大手

石油メジャーのシェルグループがノルウェーの公営石油メジャーであるスタットオイルと共同で、世界

最大規模の二酸化炭素を活用した EOR プロジェクトの実施を発表した。本プロジェクトは、スライプ

ナーやスノービットにおける地中貯留に関するスタットオイル社の実績と EOR に関するシェルグルー

プの経験を組み合わせた、商業規模の火力発電所から二酸化炭素を回収・貯留する大規模プロジェクト

である。

また、2006年 10月には、ノルウェー環境省が、ノルウェー政府とスタットオイルが世界最大級の炭

素回収・貯留施設の建設に関して合意したことをプレスリリースした。本プロジェクトは、前述したEOR

プロジェクトと同様、火力発電所(熱電併給発電所)から二酸化炭素を回収・貯留する大規模プロジェ

クトである。

4.2.7 中国GreenGenプロジェクト GreenGenプロジェクトは、石炭ガス化、水素製造及び二酸化炭素隔離システムの実証を行い、石炭

火力発電の効率を飛躍的に増加させ、二酸化炭素を含むニアゼロエミッションを達成することを目的と

している。

計画では、2020 年までに発電効率 55~60%、20mg/Nm3未満の SOx、NOx 排出を可能とする

400MWの大型実証プラントを完成させることとしている。

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プロジェクト実施者は中国神華集団が中心となっている。2005年 12月にGreenGen有限公司の発起

人協議書調印式が行なわれた。プロジェクト参加メンバーは中国5大電力と石炭会社など8社(出資の

内 51%が華能集団)である。

4.2.8 ベトナムホワイトタイガー油田二酸化炭素回収貯留プロジェクト(CDM理事会に提出されたCCSに関するPDDより)

ベトナムのフーミー工業団地における、天然ガスによる複合サイクル発電所から発生する二酸化炭素

を約 144kmのパイプラインによって輸送し、ベトナムのブンタオ沖合約 110 kmに位置するホワイトタ

イガー油田に貯留する。本プロジェクトにより、およそ 770万 t-CO2/年の二酸化炭素を永久的に貯留層

に貯留することができる。

本プロジェクトでは、正味でおよそ 3万 t-CO2/日(フェーズ 1では 9千 t-CO2/日、フェーズ 2ではさ

らに 21,000t-CO2/日まで増加予定(年間330日稼動予定))の二酸化炭素を貯留し、平均 5万バレル/日

の原油を回収する。

4.2.9 マレーシア液化天然ガス CCSプロジェクト(CDM理事会に提出された CCSに関するPDDより)

本プロジェクトの目的は、マレーシア、ビンツールにあるペトロナス天然ガス液化プラントから排出

される二酸化炭素を回収し、サワラク州沿岸の海底下にある帯水層に圧入することである。

本プロジェクトでは、現在の LNG プラントに回収した二酸化炭素の圧縮設備を増設し、超臨界まで

圧縮した上でパイプラインによって新たな海底施設に輸送し、プディナフィールドにある地下帯水層に

圧入し、安全、頑丈で安定した状態の地下の地理的構造に貯留することによって、二酸化炭素の大気放

出量を削減するものである。

このプロジェクトにより、300万 t-CO2/年の二酸化炭素の大気への放出を削減することができる。

4.2.10 米国FutureGenプロジェクト ブッシュ大統領が 2003年 2月 27日、地球温暖化政策およびエネルギー安全保障政策における大きな

柱となる新たな施策として、世界初のゼロエミッション大規模石炭火力発電の研究開発に 10年間で 10

億ドルを投じる「FutureGen計画(FutureGen Project)」を打ち出した。同計画で建造が予定されてい

る次世代型石炭発電プラント FutureGen では、石炭ガス化技術を用いて石炭から水素を取り出し、こ

の水素を反応させることで、年間 275MWの電力を効率的に発電することができる。同時に、発電工程

で排出される二酸化炭素を地中に隔離することで地球温暖化を大幅に抑制することが可能になる。

現在、サイトの選定、環境影響評価及び技術設計などの実施段階にある。

サイトの選定については、サイトの提案依頼書が 2006年 3月 20日、24日に公開され、5月 4日の

提出締切までに、12箇所の提案が受理された。その後、FutureGen産業同盟によって評価が実施され、

7月 21日、12箇所のうち 4箇所がFutureGenを設置するサイトとして適地であると公表された。(イ

リノイ州-Mattoon、イリノイ州―Tuscola、テキサス州―Heart of Brazos、テキサス州―Odessa)以後、

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これらの 4箇所は次の選考のステップに進み、詳細な技術審査が実施される。この審査では、エネルギ

ー省による国家環境政策法(NEPA)による評価と、サイトに関する詳細な特性調査が行われる。エネ

ルギー省の国家エネルギー研究所(National Energy Technology Laboratory:NETL)は、4 箇所の

FutureGen 候補地の周辺で、一般市民を対象とした会合を開催し、利害関係者から、FutureGen 発電

施設の環境影響評価説明書の範囲及び内容に関するコメントを受ける。

これらと同時並行して、発電設備設計が進められる。2007 年の後半に、エネルギー省による NEPA

のレビュー実施後、同盟は最終的にサイトを選定し、建設段階に入る。2012年中には施設の全面稼動が

計画されている。

4.3 社会システムのあり方に関する調査および検討

4.3.1 社会的受容向上の方策に関するまとめ

二酸化炭素地中貯留は地球温暖化防止の対策技術の一つとして有望であり、研究開発や商業ベースで

の実施が現在多くの国で行われている。海洋への廃棄物投棄を禁止するロンドン条約では、二酸化炭素

地中貯留の必要性が認められた結果、二酸化炭素の海底下地中貯留を許認可の対象とする改正が採択さ

れた(詳細は4.4節を参照されたい)。しかしながら、Reinerら 2)が言うように、一般社会ではまだ二酸

化炭素地中貯留に馴染みがない。貯留された二酸化炭素の漏洩やその影響など潜在的リスクが存在する

ため、社会に受容されることは二酸化炭素地中貯留普及の重要課題の一つとされている 3)。

ここでは、質問紙調査の積み重ねによって得られたこれまでの分析結果を基に二酸化炭素地中貯留の

社会的受容向上の方策に関してまとめる。なお、質問紙調査の手続や分析手法などの詳細については過

去の報告書を参照されたい。

(1) 社会的受容評価 どのような技術にもリスクは伴うものであるが、より大きな便益を求めて、そのトレードオフの関係

を認識しつつ人々はこれまでも多くのリスクを受け入れてきている。二酸化炭素地中貯留においても、

リスクや便益(ベネフィット)がどの程度なのかを科学的・経済学的に調査・研究されるのが重要であ

ると共に、リスク低減や便益の増大を図るための技術開発の推進が重要である。一方で、社会に受け入

れられなければ技術が無用になりかねないため、貯留のような新しい技術が社会に導入されることに対

して、一般の人々は二酸化炭素地中貯留をどのように認識するのか、どの程度受容するのか、というよ

うな反応を把握することが重要である。またその社会的受容はどのような要因によって構成されるのか、

どのような情報が受容性の向上に影響を及ぼすのかについても知っておくことが重要である。

一般に、人々はリスクを個々人の価値観、経験、文化的な要因など多様な要因に影響され、リスク認

知という直感的なイメージとして捉えると言われている 4)。また、一般の人々はリスク評価に拠らずに

リスクの判断をしていることから、リスクの専門家と一般市民との間でリスクの考えについて違いがあ

ることも明らかとなっている 5)。しかし、何らかの技術が社会的に受容される時、その要因となってい

るのは、リスク認知だけでなく、ベネフィットや、他の要因があることも知られている 6)。そこで、二

酸化炭素地中貯留の社会的受容性を評価するにあたり、社会的受容性とそれを構成する要因、情報提供

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による影響について評価を行った。

(2) 地球温暖化対策技術としての二酸化炭素地中貯留の社会的受容 確認的因子分析を用いて、二酸化炭素地中貯留と他の温暖化対策技術などとの相対比較において、ま

ず初期1の社会的受容、リスク認知とベネフィット認知を評価した結果を示す(図 4.3-1)。リスク認知は、

正の値が大きいほどリスクを大きく捉え、ベネフィット認知も同様に、正の値が大きいほどベネフィッ

トを大きく捉えていることを表す。また、円が大きいほど社会的受容が大きいことを表す。社会的受容

を構成する要因としてリスク認知とベネフィット認知の2要因が大きく寄与し、それぞれの相関係数が

-0.34と 0.90で、受容の 92%を説明することが明らかとなった。とりわけベネフィット認知が社会的受

容に大きな影響を及ぼすことを示している。

温暖化対策技術のなかでも特に、再生可能エネルギーである風力発電、太陽光発電、二酸化炭素の大

規模吸収源である植林などは、ベネフィット認知が高く、社会的受容性を示す円の大きさが他と比較し

て大きく、受け入れられやすい技術であることが示されている。一方、二酸化炭素地中貯留は、遺伝子

組み換え食品や地球温暖化よりはベネフィット認知が高く、受容性も高いが、再生可能エネルギーと比

較すると小さいことが示された。

-3.0

-2.0

-1.0

0.0

1.0

-2.5 -1.5 -0.5 0.5 1.5 2.5

リスク認知

ベネ

フィット認

地球温暖化

喫煙

アルコール飲料

自転車

風力発電

産業廃棄物処分場

原子力発電

鉄海洋施肥

遺伝子組み換え食品

HLW

CO2地中貯留

大規模緑化

CO2海洋隔離

ごみ発電 水力発電

太陽光発電

植林燃料電池自動車

ガソリン自動車

火力発電

図 4.3-1 リスク―ベネフィット認知地図

また、リスク認知についてもこれまでの研究例 4,5,7)に倣い、探索的因子分析を用いて評価した(図

4.3-2)。リスク認知は、恐ろしさと未知性の 2要因で 79%が説明されることが明らかとなった。恐ろし

さとは、感情的に反応するほど恐ろしく、将来世代への悪影響が懸念され、死をもたらすそのリスクは

1 温暖化問題に関心はあるものの、二酸化炭素地中貯留を知らない被験者の割合が 64%を占めているため、この段階での被験者の二酸化炭素地中貯留の認知レベルは初期とみなす。その被験者に対する二酸化炭素地中

貯留の説明は「二酸化炭素地中貯留:二酸化炭素削減のため、二酸化炭素を地下深くの地層へ直接、封じ込め

る。」という文字によるものだけで、質問紙への回答を求めた。

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ますます増加しており、制御が難しいといった認識からなり、他方、未知性とは、目に見えず、リスク

にさらさている人自身にわからず、悪影響は遅れてあらわれ、新しく、科学的によくわかっていないリ

スクといった認識からなるとされている。

二酸化炭素地中貯留は恐ろしく未知的なリスクであると捉えられていることを表す第一象限に位置し

ている。原子力発電は恐ろしさが高いが、未知性は相対的には中程度で、古くてよく知られているリス

クと捉えられている。恐ろしさが高いリスクとしては他に、放射性廃棄物地中処分(HLW)、地球温暖

化が示されている。原子力発電と比較して二酸化炭素地中貯留は、恐ろしさは低いが特に未知性が高い。

一方、第 3象限に位置している再生可能エネルギーや植林は、恐ろしくなく、また良く知られていると

捉えられている。

-2.5

-1.5

-0.5

0.5

1.5

2.5

-2.5 -1.5 -0.5 0.5 1.5 2.5

恐ろしさ

未知

性CO2地中貯留

HLW鉄海洋施肥

CO2海洋隔離

原子力発電

地球温暖化

産業廃棄物処分場

大規模緑化

水力発電

燃料電池自動車

喫煙

自転車

アルコール飲料

太陽光発電

ガソリン自動車

植林

火力発電

遺伝子組み換え食品

ごみ発電

風力発電

図 4.3-2 リスク認知地図

次に、二酸化炭素地中貯留と地球温暖化に関する情報提供によって、二酸化炭素地中貯留の認知にど

のような影響を及ぼしたかについて、図 4.3-3、図 4.3-4にそれぞれ示す。

図 4.3-3 リスク―ベネフィット認知地図(情報提供後) 図 4.3-4 リスク認知地図(情報提供後)

-2.5

-1.5

-0.5

0.5

1.5

2.5

-2.5 -1.5 -0.5 0.5 1.5 2.5

恐ろしさ

未知

CO2地中貯留HLW鉄海洋施肥

CO2海洋隔離

原子力発電

地球温暖化

産業廃棄物処分場

大規模緑化

水力発電

燃料電池自動車

喫煙

自転車

アルコール飲料

太陽光発電

ガソリン自動車

植林

火力発電

遺伝子組み換え食品

ごみ発電

風力発電

-3.0

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0.0

1.0

-2.5 -1.5 -0.5 0.5 1.5 2.5

リスク認知

ベネ

フィット認

地球温暖化

喫煙

アルコール飲料

自転車

風力発電

産業廃棄物処分場

原子力発電

鉄海洋施肥

遺伝子組み換え食品

HLW

CO2地中貯留

大規模緑化

CO2海洋隔離

ごみ発電水力発電

太陽光発電

植林燃料電池自動車

ガソリン自動車

火力発電

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情報提供によって明らかなように、二酸化炭素地中貯留のベネフィット認知および社会的受容の増大

が大きいことが示された(図 4.3-3)。社会的受容を構成する要因としてベネフィット認知の寄与が大き

いことからも示唆されるように、この研究において提供した情報に二酸化炭素地中貯留のベネフィット

を伝える内容が含まれていたことにより、ベネフィット認知を向上させ、またそれを介して社会的受容

を向上させた事が明らかとなった。二酸化炭素地中貯留の社会的受容の向上にはベネフィット認知の向

上が重要で、したがってベネフィットに関する情報発信が重要である。

リスク認知に関しては、情報提供によって二酸化炭素地中貯留の恐ろしさが低減した(図 4.3-4)。こ

の研究において提供した情報には、二酸化炭素貯留のメカニズムや貯留された二酸化炭素が大気に戻る

潜在的リスクなどが含まれていた。しかし未知性は、提供した情報によってもほとんど変化を示さない

ことが明らかとなった。未知性が高いということは、リスクの観察が不可能である、リスクの科学的な

知見がない等と認識されていることを意味している。したがって、未知性を低減するためには、科学的

解明が持つ役割が大きく、例えば二酸化炭素モニタリング技術の研究開発や、二酸化炭素漏洩に関する

リスク評価など、これらの情報を発信していくことが重要であることが示唆された。

(3) 二酸化炭素地中貯留の社会的受容の要因 他の温暖化対策技術などと合わせて横断的に、社会的受容を構成する要因として、リスク認知とベネ

フィット認知の 2要因で評価した場合、受容の説明率が 92%と高いことは既に述べたとおりである。し

かしながらこの場合、個人から得られた値を統合して分析しているため、個人レベルの受容あるいは認

知の多様性を隠してしまっている。そして、統合した値と個人レベルの受容との説明率を比較した場合、

個人レベルの方が一貫して説明率が低くなる事が指摘されている 8)。実際に、個人レベルでの二酸化炭

素地中貯留の社会的受容の説明率は 69%であった。したがってこの分析において社会平均として社会的

受容を見た場合、リスク認知とベネフィット認知が支配的となるものの、個人レベルでの受容にはそれ

以外の認知なども大きな影響を及ぼし得ることを示している。そこで、二酸化炭素地中貯留の社会的受

容に影響を及ぼす要因について、共分散構造分析を用いてリスク認知およびベネフィット認知を含めそ

の他の要因の評価、また情報提供による影響について評価した。

二酸化炭素地中貯留の社会的受容を構成する要因として、リスク認知、ベネフィット認知、信頼、二

酸化炭素地中貯留に関する環境価値観、地球温暖化に関する環境価値観の 5 要因で評価した結果を図

4.3-5 に示す。結論から述べるとこの分析において、説明率は 83%が得られ、これらの要因の社会的受

容への寄与は大きいことが明らかとなった。

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R2=0.83GFI=0.81CFI=0.84

社会的受容社会的受容

信頼信頼環境価値観環境価値観(CO2(CO2地中貯留地中貯留))

ベネフィットベネフィット認知認知

リスク認知リスク認知

.72-.16

.61-.18

.28

-.33

安全性

結果の深刻さ

地震の影響

CO2漏洩(地表環境)

CO2突発的噴出

CO2漏洩(地表環境)

CO2漏洩(数千年後)

設備の破壊(地震)

設備の破壊(腐食)

地盤環境への影響

個人的な受容 場所による受容社会の受容将来世代の受容推進の程度

社会の便益

将来世代の便益

個人的な必要性

社会への貢献

個人の便益

人間の立ち入りの是非

自然摂理への適合性

自然のコントロール

組織への信頼

情報の公開

組織の能力

.83

.80

.78

.76

.68

.62

.54

.54

.53

.40.73

.57

.16

.84

.84

.75

.72

.69

.88

.88

.84

.87 .82 .60 .49 .50

環境価値観環境価値観((地球温暖化防止地球温暖化防止))

自然摂理への適合性文明発展のツケ 防止の積極性

.52.70.72

-.39

.25 .33

図 4.3-5 二酸化炭素地中貯留の社会的受容に影響を及ぼす要因

この分析においても、ベネフィット認知は寄与が大きい傾向が示された。したがって二酸化炭素地中

貯留の社会的受容を高めるためには、二酸化炭素地中貯留のベネフィットを適切に伝えることが有効と

いえる。信頼は、ベネフィット認知、リスク認知に影響し、間接的に社会的受容に影響する傾向が示さ

れた。すなわち地中貯留を実施する組織への信頼が高いほど、ベネフィット認知を向上させ、リスク認

知を低減させる。したがって二酸化炭素地中貯留のベネフィットをより有効に認知されるようにするに

は、実施主体となる組織の信頼を高める事も重要である。なお、実施主体者が明確でない現状において、

被験者は自由に組織を想定して回答した。被験者がどのような組織を想定したかは不明であるが、いず

れの組織であっても信頼が高い場合にはベネフィット認知を向上させ、低い場合には低減させるという

傾向は一致するということを示している。次に、二酸化炭素地中貯留の実施に対して環境保全の意識が

強い、すなわち地中貯留の実施に関して人間による介入が強いと認識する価値観は、リスク認知を強く

捉え、また社会的受容は低い傾向があることが明らかとなった。一方で、地球温暖化を防止すべきとす

る環境価値観は、二酸化炭素地中貯留の社会的受容に直接に効かず、地中貯留のベネフィット認知を通

じて間接的に社会的受容に働くことが明らかとなった。地球温暖化の防止は重要であるという認識の向

上は、二酸化炭素地中貯留の受容よりもむしろ、二酸化炭素地中貯留にベネフィットがあるという認識

に結びつく傾向があることを示している。

また、各々の要因と観測変数(矩形)との関連については、例えばリスク認知の場合、地表環境への

二酸化炭素漏洩との間の係数が最も大きく、次に海洋環境への二酸化炭素漏洩、地震の影響と続いてお

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り、これはリスク認知を強く捉えるほど、特に二酸化炭素漏洩や地震に関して心配するということを示

している。すなわち、このような懸念の低減がリスク認知を低減し、結果として社会的受容を向上させ

ることを示唆している。同様にして、二酸化炭素貯留の社会への貢献の増大は、ベネフィット認知を増

大させ、結果として社会的受容の向上へとつながり得る。

次に、情報提供の内容別による影響2の評価結果を認知地図によって示す。本研究で提供した情報3は、

二酸化炭素地中貯留の実証事例あるいは天然類似例に関する情報のどちらかである。二酸化炭素リスク

認知、ベネフィット認知の変化を図 4.3-6 に、リスク認知、二酸化炭素地中貯留の実施に関する環境価

値観の変化を図 4.3-7にそれぞれ示す。なお二酸化炭素地中貯留の社会的受容は地図上で、第 3軸とし

て直径の大きさで受容の程度を示した。

Risk Perception

Ben

efit

Perc

eptio

n

After providing information(Field Demonstration)

After providing information(Natural Analogue)

0 1

0.10

0.1

- 0.1

Initial(Introdactory informationprovided)

Risk PerceptionEn

viro

nmen

tal V

alue

Initial(Introductory informationprovided)

After providing information(Field Demonstration)

After providing information(Natural Analogue)

0 0.1

0.1

- 0.1

Perc

eptio

n

図 4.3-6 リスク―ベネフィット認知地図 図 4.3-7 リスク認知 ―環境価値観(二酸化炭素地中貯留)

図 4.3-6 に示すように、両情報ともベネフィット認知の増大には影響を及ぼさなかった。二酸化炭素

地中貯留の概要に関する情報提供前の認知については調査しなかったため、その情報による影響がどの

程度あったかは定かでないが、同じ情報を用いた先の研究からは、ベネフィット認知を著しく増加させ

る情報であったことが明らかとなっている。そのため、二酸化炭素地中貯留の実証事例および天然類似

例に関する情報が提供される前に、ベネフィット認知は十分に増大していたと考えられる。とりわけ天

然類似例に関する情報は、リスク認知の低減および社会的受容の向上に効果的であった。自然界に存在

する二酸化炭素貯留や二酸化炭素移行、二酸化炭素浸出が管理可能であるというような情報が、リスク

認知の低減と社会的受容の向上に働いた。

2 情報提供前の認知は、二酸化炭素地中貯留と地球温暖化に関する概要を説明した情報が提供された後の認知

である。これらの情報は先の研究で用いたものと同じ内容であり、被験者の貯留に関する知見をある程度揃え

るようにした。 3 どのような情報が、社会的受容やその要因にどのような影響を及ぼすのかを評価することことを目的として

いる。したがって、本研究で用いた情報の内容は限定的であることに留意されたい。

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一方で、図 4.3-7 に示すように実証事例に関する情報は、二酸化炭素地中貯留の実施は人間による環

境への介入であるという価値観を強めさせ、社会的受容の向上にはほとんど効果がなかった。提供した

情報には、実証事例の概念図などが含まれていたが、二酸化炭素地中貯留による二酸化炭素排出削減の

効果や、貯留された二酸化炭素の潜在的な漏洩リスクについてのリスク評価やリスク管理に関する情報

は含まれていなかった。

(4) 二酸化炭素地中貯留の社会的受容に関する研究例 二酸化炭素地中貯留の社会的受容に関する調査研究がいくつか報告されているので、以下に記す。

① 英国の例 炭素回収・貯留(CCS)に対する一般の人々の認知を調査するために、フォーカス・グループ・イン

タビューおよび個別インタビューを実施した例がある 9)。この調査結果によると、太陽光発電、風力発

電、気候変動問題に取り組むための生活様式の変化などが含まれたポートフォリオが一般に好まれる傾

向があり、CCS に関しては、初め疑わしいあるいはやや否定的な反応を示していた。しかしながら、

CCSに関する基礎的な情報を提示した後では CCSを支持する意見へと若干の変化があった。なお、こ

の支持は、気候変動のリスクに関する理解や、温室効果ガス削減に対する支持、大幅な二酸化炭素排出

削減の必要性への理解を条件とするものである。また、CCSに対する最大の懸念事項として、二酸化炭

素漏洩およびCCS開発が他の対策技術の開発を遅らせ得るといった点があげられた。

② オランダの例 De Best-Waldhoberら 10)は、専門家による選択されたCCS関連情報を一般の人々に提示し、その上

でオランダが実施すべき CCS オプション(6 種類:石炭火力発電+CCS、天然ガスへの転換+CCS、

石炭火力による水素ステーション+CCS、など)について、人々の選択肢を調査した。この方法は、被

験者に必要な情報を与えることによって、被験者が情報を持った意見として質問に答えることが意図さ

れている。調査結果によると、6種のCCSオプションのそれぞれの実施について賛成する傾向があるこ

とが明らかとなった。

③ カナダの例 Sharpら 11) はフォーカス・グループ・インタビューおよびインターネット調査を、約 1200人を対象

に実施し、CCSの社会的受容性を評価した。この調査結果によると、カナダでは気候変動は起こってい

て、それに対して何らかの取り組みがなされるべきと思われているが、他の国内問題との重要性の比較

では、順位が低いことが明らかとなった。また、CCS に関する公衆の知識は低いものの、CCS のベネ

フィットやリスクを含め技術の情報を提供したところ、やや CCS を支持するという結果が得られた。

CCSの最も重要なベネフィットは、ブリッジテクノロジー(つなぎの技術)の一つとして有効であると

の見方であった。しかし、CCSの未知的な将来影響や地下水の汚染、二酸化炭素漏洩のリスク、動植物

への損害について、何より懸念していることも明らかとなった。

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④ 米国の例 気候変動およびCCSへの態度について、アメリカ国民約 1200人を対象にインターネット調査を実施

した例がある 12)。気候変動については、他の国内問題と比較して重要性が低いという結果が得られた。

CCSについて聞いた事があるとする調査対象者は 4%以下しかなく、CCSが環境問題に取り組む技術で

あることを認識したのは 0.5%にすぎなかった。また、気候変動対策技術として重要であると評価された

技術は、太陽光発電、エネルギー効率(向上)、風力発電である一方、CCS はほとんど支持を得られな

かった。しかしながら、再生可能エネルギーや原子力発電、火力発電、CCSを伴う火力発電の利用にか

かるコストについての情報を提供したところ、再生可能エネルギーへの支持が減少し、CCS支持が増加

するという結果も得られた。

⑤ 日本の例 受容性に関する調査研究は、本研究開発以外でも実施している例がある。Itaokaら 13)は、東京都と札

幌市に在住の約 1000人を対象に訪問調査を実施した。その調査によると、約 31%の人々はCCSを知っ

ていたとの結果が得られた。CCSを気候変動の政策ポートフォリオとしてもやや肯定的であり、20%以

下が根本的にCCS技術に反対を示した。

⑥ 国際比較の例 米国、英国、スウェーデン、日本を比較するため、特に CCS に対する態度に重点をおきつつ、主に

エネルギー、環境についての考えを調査した 2)。いずれの国においてもCCSに関する認識レベルが低い

ことが明らかとなっている。

(5) NIMBY傾向 しかしながら、二酸化炭素地中貯留は社会的受容が得られても、NIMBY(Not In My Back Yard)傾

向を示すことが明らかとなっている(図 4.3-8)。二酸化炭素地中貯留に対する初期の認知では、総論反

対・各論反対を表す第 1象限に位置しているが、二酸化炭素地中貯留の概要を説明する情報の提供によ

って、第 2象限への変化を示した。社会での必要性を認めて総論としては賛成するものの、それでも自

分の家の傍では抵抗があることを示す各論反対を意味している。このような心理は誰にでもあるもので

ある。

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海洋隔離

鉄海洋施肥

産廃処理

HLW

自転車

原子力発電

火力発電水力発電

太陽光発電

風力発電

ゴミ発電

地中貯留

植林

大規模緑化

ガソリン自転車

燃料電池自転車

遺伝子組み換え食品

喫煙

アルコール飲料

地球温暖化

地球温暖化(後)

地中貯留(後)

社会の受容(小)

場所

の受

容(小

)

図 4.3-8 NIMBY傾向

オランダで行った調査でも、二酸化炭素地中貯留が NIMBY 傾向を示すことが明らかとなっている。

De Coninckら 14)は、ガス田の上部に居住する 112人に対して調査を実施した。CCSやその潜在的なリ

スク、政府や産業界、環境 NGOの見解などについて簡単な情報を提示し、CCSに対する住民の認識、

態度、感情、CCS のリスク認知、ベネフィット認知について調査した。その結果、CCS については住

民のほとんどが知らなかったとのことであり、CCS実施が適切かどうかについては、どちらとも言えな

いから肯定的な見解を示した。しかしながら、住民らの近隣での二酸化炭素貯留に関しては、どちらと

も言えないから否定的な見解を示すという、いわゆるNIMBY傾向を示した。

例えば、NIMBY施設とされるHLWや廃棄物処分施設の立地受け入れに関する要因の研究では、立

地の受容には、ベネフィット認知よりもリスク認知の方が重要と示唆されている 15,16)。廃棄物処分設備

建設用地としての干潟埋め立てに関する環境アセス事例の研究では、地元住民は、環境影響評価に関し

て広域にわたる影響ではなく立地周辺の特定関心場所についての評価結果を望んでいることを明らかに

している 17)。また、施設受け入れの合意形成プロセスに関する研究では、廃棄物処分施設立地に関する

アセス事例において、政策段階、計画段階、事業段階(立地)の各段階において合意が必要であり、意

思決定に住民がどれだけ関与するかが重要であることの主張 18)や、事業説明について事業の理解を深め

てもらうためには文書だけではなく、口頭説明、意見交換、質疑・応答等の方式の導入が必要であると

いった主張 19)もある。

NIMBY は、特に陸域での二酸化炭素貯留サイトにおいて直面する問題であり、これらの問題に取り

組み、受容向上や合意形成を得るためには、NIMBY 施設の事例を参考にしつつ、異なる角度からの研

究が必要と考えられる。

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4.4 法的側面の検討 4.4.1 ロンドン条約およびロンドン条約 1996年議定書の動向 20) 二酸化炭素については、過去のロンドン条約(London Convention: LC)上では地中貯留よりも海洋

隔離について議論が先行し、また二酸化炭素が廃棄物か否かが論点となっていた。最近では、2003 年

10月に開催されたロンドン条約第 25回締約国会合にて二酸化炭素地中貯留に関する議題の提供が英国

からなされたことに始まり、議論が活発化している。同第 26回締約国会合(2004年 11月)では、英

国から、海洋環境での二酸化炭素貯留(sequestration)に関して、LC およびロンドン条約 1996 年議

定書(London Protocol: LP)における問題について議論するためのワーキンググループ(CO2貯留WG)

設置の提案が行われ、WG設置が決定、27回締約国会合(2005年 11月)ではCO2貯留WGにて、LC

および LP の法解釈について合意に達するか、あるいは適当な改正について合意を得るのが得策であろ

うとの見解に至っており、同WGから締約国会合に対して議定書の明確化(必要なら改正)や条約の検

討を含めて、海底下二酸化炭素地中貯留の促進および/または規制のオプションの検討を行うことが望ま

しいと決定すること等を勧告した。このように二酸化炭素地中貯留に関する議論は、急速な展開を示す

状況にあった(LCおよびLPに関する概要、また本条約上における二酸化炭素に係るこれまでの議論に

ついては、昨年度の成果報告書 21)を参照されたい)。

2006年はさらに、二酸化炭素地中貯留の実施が条約上可能となる展開を示した。それは、LPの発効

およびLP(付属書Ⅰ)の改正である。以下では 2006年の動向について経緯を追ってまとめる。

(1) ロンドン条約 1996年議定書(London Protocol: LP)の発効(2006年 3月) LC は海洋投棄の禁止および許可を規定するというブラックリストによる方式をとる条約である。一

方、LPはLCの改正版であり、大きな改正点の一つとして、LPは海洋投棄の原則全面禁止を前提にす

るという「リバースリスト」方式へ変更した点があげられる。すなわち、附属書Ⅰに掲載の物質のみ、

海洋投棄が検討できる物質とした。

本LPが、発効の要件である批准国数 26カ国に達したのを受けて、2006年 3月 24日に発効した。

LPでは、付属書Ⅰに記された物質に該当するもの以外は海洋投棄をすることができないのであって、

海底下地層に二酸化炭素を処分(貯留)する場合には、その二酸化炭素が付属書Ⅰ掲載のいずれかに該

当するか、付属書Ⅰを改正して二酸化炭素を記載する必要があり、これまで議論がなされてきた。二酸

化炭素貯留に関する議論は、先に少し触れたようにLCおよびLPの双方についてなされてきたが、LP

が発効したことによって情勢が変わった。

(2) ロンドン条約/ロンドン条約 1996年議定書の動向 ① 科学者グループ会期間WG会合および法的関連事項WG会合(2006年 4月) 法律の側面と科学的側面の両面から二酸化炭素地中貯留についての検討を促進すべく、ロンドン条約

において臨時の会合が行われた(本条約では、締約国会合と科学グループ会合とがそれぞれ年に1回定

期的に開催されている)。科学的事項については以前より、二酸化炭素貯留に伴う漏洩など潜在的リスク

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の評価と管理について適切な枠組みが必要とされる背景があり、本会合にて、LP 附属書Ⅱ(廃棄物評

価の枠組み)を満たすため二酸化炭素に関する廃棄物評価ガイドライン(Waste Assessment Guideline:

(通称)CO2-WAG)の作成が有益であるとの認識に至った。

また、法的関連事項の会合では、LP 附属書Ⅰ(リバースリスト)に二酸化炭素を盛り込むことが適

当との結論に至った。具体的には次のような改正案が合意された。またこの改正案はほぼそのまま、正

式にオーストラリア提案、フランス、ノルウェー、イギリス共同提案として、LP 第1回締約国会合に

向けて提出された。

改正案(概要)

② 第 29回科学者グループ会合(2006年 6月) 定期的に開催されている本会合では、4月の会合に引き続きCO2-WAGの検討が行われた。アメリカ

から提示された草案に基づき議論がなされ、最終的にCO2-WAG各章ごとに担当国を割り当て、作成作

業を分担した。各国に持ち帰った後の作業は、電子メールでのやりとりとなり、2007年春開催のLC第

30回およびLP第 1回科学者グループ会合にてCO2-WAGの最終案が協議されることとなっている。

③ ロンドン条約第 28回締約国会合(LC28)および 1996年議定書第 1回締約国会合(LP1)(2006年 11月)

2006年 10月から 11月に開催されたLC28およびLP1では、提案されたLP附属書Ⅰの改正案につ

いて議論・検討が行われた。決議は、LP の締約国のみで改正が可能な状況であり、最終的に出席した

LP締約国 17カ国のうち、賛成 12カ国、保留 5カ国にて改正が採択された。

(3) LPの改正(2007年 2月) LP第 22条 4項の規定により、附属書の改正は採択の後 100日目に発効することになっており、2007

年 2月 10日国際発効となった。

・ 海洋投棄を検討できるよう、附属書Ⅰに、「貯留用に回収したCO2 stream」をリストアップさせる。

・ ただし、投棄を可能とするのは、以下の場合に限定される。

海底下の地層への投棄(into a sub-seabed geological formation)

圧倒的にCO2からなる二酸化炭素(overwhelmingly of carbon dioxide)で、原料に起因し、

回収プロセスの途中で混入する不純物を含むことがある。

意図的に廃棄物その他の物が付加されていない二酸化炭素

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4.4.2 国内法整備に関する調査

国際法は当該法を担保する国内法に反映されるため、動向調査が重要となる。前述の通り、ロンドン

条約 1996年議定書(LP)付属書の改正に伴い、日本も国内法整備の検討がなされたので、これを整理

する。この検討は環境省中央環境審議会地球環境部会に設置された専門委員会によってなされた。なお、

LP 改正に伴う国内法整備が進められるが、本委員会でも報告骨子に明記されたように、今後の検討が

必要とされる事項がいくつかあり、現時点での課題として整理する。

(1) 中央環境審議会 地球環境部会(平成 15年)

まず、日本のLP批准に向けた準備のため、LP発効より前の平成 15年に開催された地球環境部会「海

洋環境専門委員会」における検討があった。本委員会の最終報告書である「今後の廃棄物の海洋投入処

分等の在り方について」において、制度化へ向けた考え方として主に以下のような点があげられた。

・ 汚染者負担の原則を考慮し、海洋投入処分許可の申請主体は「排出事業者」とする。

・ 許可の審査主体は「国」とする。

・ 廃棄物等の特性を明らかにしなければ海洋投入処分を許可しない仕組みとする。

・ 廃棄物の排出事業者は、海洋投棄の予定海域の現況把握を行うとする。

・ 廃棄物の排出事業者は、投棄によって生じると予想される潜在的影響の仮説を設定するとともに、

影響を予測し、監視計画を立案する。

・ 監視について、排出事業者が監視活動を実施すること、併せて国は、海洋環境保全全般について

責任を有すことから独自に海域の調査・監視を実施する。

本最終報告書を受けて、LP を担保する国内法の一つとして、海洋汚染等及び海上災害の防止に関す

る法律(略称:海洋汚染防止法)の法整備が主に進められ、同改正法は平成 19年 4月 1日より施行さ

れる。

(2) 中央環境審議会 地球環境部会(平成 18年) 現時点において、日本はLPを批准するために法整備を進めたが、批准するよりも先に、LPが発効し、

さらにLP改正が行われたという状況にある。

今回設置された地球環境部会「二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会」は、LP 改正(二酸

化炭素地中貯留用に分離回収された二酸化炭素を附属書Ⅰに追加して掲載)に伴う国内法整備の検討を

目的としている。本委員会における配布資料、議事録などの記録は、環境 Web ページ 22)にて入手でき

る。以下は本委員会での検討内容の概略である。なお、多くの点でCO2-WAGの検討等、制度設計に関

係し得る動きが現時点で進展中であり、制度設計にあたってはこのような国際的な動向を勘案しつつ検

討が継続されるものがあることを留意する必要がある。

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「地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方につ

いて(案)」

・ 二酸化炭素海底下地層貯留にかかる許可の申請主体は「貯留行為を行う事業者」とする。(なお、

排出行為を行う者と貯留行為を行う者とが異なる場合については検討が必要。)

・ 二酸化炭素海底下地層貯留の許可の主体は「国」とする。

・ 二酸化炭素流の処分量等に関する削減努力及び処分方法に関する検討。

・ 貯留される二酸化炭素流の特性についての把握、及び行動基準(処分される有害物質に係る判定

基準)を設ける。

・ 事業者による二酸化炭素流の貯留地点の選択。

・ 貯留される二酸化炭素流による潜在的影響の評価(主として、①圧入された二酸化炭素の海底下

地層中での挙動の予測、②二酸化炭素が海底から漏洩したと仮定した場合における海洋環境への

影響予測、の 2段階に分けて考えることが適切とする)。

・ 監視(監視の主体は、貯留に係る許可を受けた事業者とする。監視対象は、①二酸化炭素流の圧

入圧力、貯留層内の圧力、②貯留した地層内における二酸化炭素の挙動、③海水中の二酸化炭素

濃度及びpH等、④海洋生物への影響、について科学技術の進展、監視の実施に伴う環境への影響

を考慮し、適切な手法を選択する。監視期間は、二酸化炭素流の圧入期間中および圧入終了後の

相当期間とする。)

・ 海洋環境への影響のおそれが生じた場合、対応措置を講じる(圧入行為の中止、貯留層内の圧力

解放等の措置、および監視の強化等)。

・ 許可の有効期間を最長 5年程度とし、定期的に更新していくこととする。

・ 国は貯留に係る許可発給にあたり、国民の意見提出の機会を確保する。

さらに、貯留の実施にあたっては、貯留地点周辺の海域及び貯留予定の地層に係る既存権益(特に、

鉱業権、漁業権)との調整を図る必要性が生じる可能性がある点については、事業者において、既存の

権益との調整を図っておく必要があるとされた。

環境省は今後、上記の二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会(以下、専門委員会)における

検討を踏まえ、海洋汚染防止改正による国内法整備を図っていくこととなる。なお、海洋汚染防止法改

正の法律案については環境省Webページ 23)にて入手可能である。

(3) 今後の検討事項 海洋環境保全を主目的とするロンドン条約 1996 年議定書の改正によって、海底下における二酸化炭

素地中貯留が国際法上合法化された。これに伴い、日本は海洋汚染防止の観点から二酸化炭素地中貯留

に係る法整備、具体的には海洋汚染防止法の改正の実施となった。

一方で、二酸化炭素地中貯留は、操業の観点から見れば石油産業における油・ガス田掘削技術の応用

が可能であり、現在、諸外国において実施されている二酸化炭素地中貯留に関する研究開発や、商業ベ

ースでの天然ガス随伴二酸化炭素の地中貯留は、主に石油業や鉱業に関する法律の適用、いわゆる事業

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法によって実施されている 16)。本研究開発事業における二酸化炭素地中貯留の実証試験も鉱業法(経済

産業省所管)を適用している。また二酸化炭素地中貯留に、より類似的な技術である CO2-EORは石油

業あるいは鉱業に関する法的枠組みにおいて実施されてきている。海外では二酸化炭素地中貯留を石油

業・鉱業に関する事業の一環として、当該法的枠組みにおいて実施することはあり得、後述するように

実際、石油業・鉱業に関する法律の改正を検討している国もある。したがって、鉱業法等は二酸化炭素

地中貯留に関する法制度の構築にあたって参考となる点は多いと考えられる。

ここでは、日本における二酸化炭素地中貯留を合理的に実施するために必要な今後の検討について項

目ごとに課題を整理する。また、まとめを表 4.4-1に示す。

① 法令化の目的 海洋汚染防止法の目的が、海洋投棄の規制による海洋環境の保全、人・財産の保護であるため、本法

による二酸化炭素地中貯留に係る法整備は、海洋の環境規制の観点から行われる。

一方、事業として二酸化炭素地中貯留を合理的に推進するためには、地下資源を開発する点で二酸化

炭素地中貯留と利害が対立する可能性があり得る鉱業との調整や、二酸化炭素地中貯留に係る責任範囲

等を明示することによって事業参入を促進するといった貯留に係る条項の必要性も考えられる。海洋汚

染防止法改正案においてはこの旨の明確な条項は見当たらないが、同法以外の法整備も現時点で考えに

くい。したがって、既存法において上記目的の解釈が可能な条項の有無について検討が必要である。あ

るいは、将来、事業の合理的推進を目的とした法令化の必要性が高まれば、適切な対応が求められる。

② 許可 海洋汚染防止法改正案では、「特定二酸化炭素ガスの海底下投棄をしようとする者」が許可申請者であ

り、環境大臣が許可発給者である。例えばEORやECBM等によるCO2貯留に関し、海洋汚染防止法

以外の許可が必要とされる場合には、当然それに対応した許可発給者が必要となる。

③ 許可の基準 海洋汚染防止法改正案では、以下の主旨の許可基準を規定している。

1) 海底下廃棄をする海域および方法が省令で定める基準に適合し、かつ、海洋環境保全に障害を及ぼす

おそれがないこと

2) 海底下廃棄以外に適切な方法がないこと

3) 申請者の能力が監視を的確に、かつ、継続して行うに足るものとして省令で定める基準に適合する

こと

上記いずれの許可基準も今後具体的な内容を適切に定めていく必要がある。

なお、専門委員会で検討されたように、許可に際して、二酸化炭素特性把握、判定基準への適合、適

切な貯留地点の選択、貯留される二酸化炭素の潜在的影響の評価、監視計画等が義務付けられる見込み

である。いずれも 96年議定書に即した規定である。なお、EORやECBM等によるCO2貯留に関し、

海洋汚染防止法以外の許可が必要とされる場合には当然それに対応した許可基準が必要となる。

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④ 許可の期間 許可については、現行の海洋汚染防止法に準拠して最長 5年程度の期間として、許可更新が求められ

る見込みである(専門委員会より)。これに関しては、数十年間継続することを想定している地中貯留に

対して 5年間は短いとの意見もある。

さらに、二酸化炭素圧入後も、監視を実施することが義務付けられることに関連して、圧入後の許可

は何に対する許可なのか、いつまで許可更新を行うのか、というような許可のあり方に関する課題が残

ると考えられる。

⑤ 鉱業権との優先度・権利調整 地下資源開発を目的とする鉱業は、法律(鉱業法)で明示されているとおり、その権利を国が賦与す

るという事業である。二酸化炭素地中貯留も深地下を利用するため、二酸化炭素貯留の適地と鉱業のよ

うな既存権益が確保されているサイトとが重複する可能性が考えられる。

海洋汚染防止法改正案では、二酸化炭素地中貯留が行われた海域を「指定海域」とし、この指定海域

内において行為を行おうとする者に、届出の義務を課している。この措置は、何らかの行為によって二

酸化炭素地中貯留が行われているサイトへの侵入を防ぐ点で、効力を発揮する可能性がある。また、同

改正案において、指定海域の台帳の保管および台帳の閲覧を可能としていることから、貯留事業の企画

検討の段階で、サイト候補地に関する情報が入手できるといった効力がある。しかしながら、これらの

措置はいずれも二酸化炭素地中貯留を実施中あるいは実施後の情報を提供し、権利調整に一定の効果を

もたらす可能性があるものの、鉱業や漁業のような既存権益との事前の調整規定ではない。専門委員会

では、貯留海域に鉱業権が設定・出願されている場合、漁業権が設定されている等の場合、事業者にお

いて、権益との調整を図る、と報告するにとどまっている。

しかしながら、二酸化炭素地中貯留の適地の多くは鉱区設定済みと想定される。豪州でもこの点が指

摘されている。一方で、鉱業も二酸化炭素地中貯留も国として重要事業であり、優先順位付けは困難か

つどちらに優先権を与えるかは個別サイトの諸事情によっても異なると予想される。そのため、両者の

権利調整を規定することが必要となることも考えられる。例えば、同じサイトに二酸化炭素を貯留する

権利と鉱業権の同時設定を可とするか、一方のみとするか、あるいは優先度はサイトの状況により決定

可能であるとするか等の対応が考えられる。また、不要となった鉱区設定の解除や鉱業権の返還につい

て規定することによって、潜在的な二酸化炭素貯留サイトとの利害衝突を回避できることも考えられる。

権利調整が既存法により円滑に実施可能かあるいは新規の規定が必要か否かも含めた検討が、必要とな

ろう。

なお、鉱業法については表中で法律名および条項を示すように、関連法律と作用しつつ、他権益との

調整方法が規定されており、参考になる。

⑥ 事業計画および保安に関する事項 海洋汚染防止法改正案によると、二酸化炭素地中貯留の許可を受けようとする者は、環境大臣の許可

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を受けなければならず、許可を受けようとする者は、実施計画、海域の監視計画等を記載した申請書を

提出しなければならないこととなっている。

しかしながら、二酸化炭素回収・輸送に関しては規定されない見込みであり、回収・輸送に関する許認

可が必要ないか、あるいは二酸化炭素回収・輸送・圧入全体を包含した事業として捉えた「事業計画」

の許認可の必要性を含め検討の余地がある。

また、保安に関しては、目的の違いもあり海洋汚染防止法改正案では基本的に規定されない見込みで

ある。二酸化炭素回収・輸送に関しては、高圧ガス保安法の保安規定が適用される可能性がある。排出

源が発電所の場合は電気事業法の適用についても検討の余地があると考えられる。また、二酸化炭素圧

入に関しては、鉱山保安法あるいは高圧保安法の保安規定が適用される可能性がある。

⑦ 監視(モニタリング) 二酸化炭素圧入期間中、および圧入完了後であっても、二酸化炭素貯留状態の検証や二酸化炭素長期

挙動の予測評価、環境に影響を与えるような二酸化炭素漏洩がないかどうか等の検証が必要であり、監

視の実施は二酸化炭素貯留事業における法的要件として、以前から重要 20)であるとされている。

専門委員会における報告書によると、監視の主体は、二酸化炭素地中貯留の許可を受けた事業者とさ

れており、二酸化炭素圧入時および圧入完了後の相当期間において監視を実施し、その結果を環境大臣

に報告することにしている。詳細な規定は今後の法整備の中で明らかとなっていくと思われる。

例えば、科学的根拠が要求される面でもあるが、二酸化炭素地中貯留の予測評価結果の確度が高まれ

ば、それらの予測に頼ることによって監視の頻度低減、終止が可能と考えられ、二酸化炭素地中貯留の

実態に即した判断が可能となるような基準もあり得る。そのため、監視を不要とする時期やその判断に

ついて、基準を設ける必要があると考えられる。

なお、モニタリング手法、計画についてガイドラインとして多方面で推奨される可能性が高いソフト

ウェアに、IEA-GHG作成の「Monitoring Selection Tools」24)がある(Web上で操作)。二酸化炭素貯

留事業を行うとしている人(組織)向けに、具体的なモニタリング手法を示すことによって、モニタリ

ング計画の策定を手助けするものである。また参考情報として、各地で実施されている貯留プロジェク

トにおけるモニタリング実例を紹介している。

⑧ 事業責任 海洋汚染防止法においては、法の範疇外でもあるため、事業責任に関して明記はない。

例えば鉱業法の場合、責任は鉱業権者が負うこととなっており、無期責任、無過失責任、また賠償責

任制度も明確である。

二酸化炭素地中貯留の場合、事業実施が長期にわたるため、潜在的リスクである二酸化炭素漏洩は数

百年、数千年後になって明るみに出る可能性もゼロではない。しかしながら、そのようなリスクが明る

み出た場合、二酸化炭素貯留の責任を負う事業者はもはや事業を行っていない可能性がある。長期リス

クに悩まされるこれらの事業者が、将来の被害者や損害賠償を見出すのは困難で、たとえ被害者が確定

されても、具体的な因果関係を特定することは困難であるかも知れない。米国における現行制度の検討

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例では、CCSで可能性のある不法行為として、不法侵入、迷惑行為、過失責任、無過失責任などをあげ

ており、不法行為制度の殆どは時効があるため、CCSの場合遠い将来の被害者が訴訟を起こせるかどう

かも問題となるということを指摘している 25)。また事業者が全ての法的責任を負う場合、際限のない法

的責任は CCS普及を妨げる可能性も考えられる。さらに、CCSは政府の二酸化炭素排出抑制の政策無

しに実施し得ないことも一つの課題であり、したがって法的責任の枠組みにおいて政府は何らかの責任

を負うべきとの考えもある 25)。なお、二酸化炭素貯留事業の終了後、責任は国家に移転するという提案

はいくつかの文献でなされている 25,26,27,28)。また、損害賠償金について、事業期間中とモニタリング期

間中は事業者が負い、その後、国が負う(基金は、保険プールなどから調達)としている。責任移行の

適時性については監視(モニタリング)終了の判断とも関連し得る。

いずれにしても、二酸化炭素地中貯留の場合、民間組織の存続不確実性も考慮し、長期貯留に伴うリ

スクが発現した場合の損害補償制度について、その必要性を含め検討が必要と考えられる。

⑨ 事業環境の整備 海洋汚染防止法の規定外の内容であるが、温暖化対策として国別二酸化炭素排出インベントリガイド

ライン適用環境を整備し二酸化炭素地中貯留の有効性を明確にすることや、経済的インセンティブを働

かせる事業環境の整備が課題として残っている。

例えば、二酸化炭素地中貯留の事業責任とも関連するが、二酸化炭素漏洩のリスクという環境面の責

任を負担しつつも経済的CCSインセンティブを与える仕組みとして、企業がCCSボンドを購入すると

いう市場メカニズム活用の提案もある(二酸化炭素漏洩が起こることで CCS ボンドの価値が下がるた

め、この脅威はCCSの安全性を高める役割もある)。

国際的な動向を追いつつ、二酸化炭素貯留の環境整備の検討を継続する必要があると考えられる。

(4) まとめ ロンドン条約 1996年議定書(LP)の改正で、附属書Ⅰに二酸化炭素が追記されたことにより、海底

下における二酸化炭素地中貯留は国際法上で合法化された。また、海洋環境への影響評価に関する枠組

み(LP附属書Ⅱ関連のガイドライン)は、2007年締約国会合において承認される見込みであり、二酸

化炭素地中貯留を取り巻く環境は国際的にも大きな進展を見せた。一方、日本では、改正された LP 批

准のため、地球温暖化対策としての二酸化炭素地中貯留の法整備、具体的には海洋汚染防止法の改正が

進められている。同法の改正により、多くのことが法的に明確になったが、課題としてとりわけ、二酸

化炭素貯留サイトに関連して、二酸化炭素貯留と他産業、特に鉱業との利害調整についての検討、およ

び二酸化炭素長期貯留にともなう長期的責任(事業の責任主体、期間、賠償等)についての検討が残さ

れていると考えられる。今後も国際的な動向を考慮し、解決に向けてどのような措置があり得るのかさ

らなる検討を要する。

4.4.3 諸外国における国内法整備に関する調査

二酸化炭素地中貯留は、実証試験、商業ベースに関わらずその実施にあたっていずれの国も、石油・

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ガス産業、鉱業、パイプライン、輸送など操業管理に関する法規制、また環境影響評価に関する法規制

などの既存法が適用されている。二酸化炭素地中貯留に特化した法規制ではなく、さまざまなギャップ

も指摘されており(例えばCSLF法規制ワークショップ 29)、法整備の検討が各国で行われている。以下

では 2006年 10月に行われた第2回法的側面に関する IEA/CLSFワークショップ 30)で議論された諸外

国における国内法整備に関する検討をまとめる。

(1) オーストラリア 2005年、豪州政府によってCCS法規制指針が承認された。本指針では、評価および許可手続き、ア

クセス権および所有権、輸送関連事項、モニタリングおよび検証、法的責任および圧入終了後の責任、

財政関連事項を対象としている。

その中で、アクセス権および所有権のための法規制策定において、沖合い CCS 実施を可能とするた

めにOffshore Petroleum Act (OPA)(沖合い石油事業を統治する主要な法律)の改正が提案されている。

二酸化炭素の輸送、圧入、貯留に関する技術が石油産業の技術と類似している点が考慮されてのことで

ある。OPAはまた、沖合いでの石油事業と新たなCCS事業間における既存の権利と消滅を規定する可

能性があり、オーストラリア政府は2007年第一四半期までにOPA改正を国会に提出したい狙いである。

また、CCS事業に必要な日常の操業に関する法規制指針(モニタリングおよび検証、データの蓄積およ

び保管、環境計画の要件および許可申請の評価基準などが示されている)の作業は、第三四半期までに

終了する見込みで、最初のCCS適地探査を 2008年に解放することを目的としている。

石油事業の許可申請の形式を応用して、CCS事業の実施が可能となるが、石油関連の既存の所有権が

存在する場合のCCS適地探査に対する許可(アクセス権)など、CCSに特有の適用がある。OPA改正

では、これらのことが考慮されている。例えば、CCS適地探査に際し、既存の石油所有権がある場合と

ない場合とで異なる許可手続きを設け、規制当局による直接の権限行使によって、石油事業と CCS 事

業の両方の推進を可能とする仕組みになっている。これによって石油事業の既存権利があるサイトでも

CCS実施を可能としている。しかしながら、実際問題として、ほとんどの CCS適地は石油所有権が存

在しているか近隣であることが見込まれており、規制当局者は慎重な検討が必要であるとのことである。

(2) カナダ カナダは 10州 3準州からなり、政策、法規制に関しては、連邦政府と州政府とで専属管轄権あるい

は共通管轄、および責任によって統治されている。CCSに係る法規制の適用についても同様となる。

CCSは州の実状を反映して、州政府によって異なった位置付けとなり得る。例えば重要な化石燃料生

産地であるアルバータ州は、電力を石炭火力発電から得ており、また恵まれた堆積盆地は大規模な二酸

化炭素貯留可能量を有する。他方、ケベック州は、必要電力は水力発電から得ており、排出二酸化炭素

の半分は輸送や民生部門が占め、二酸化炭素貯留可能量は限定的である。また、アルバータ州、ブリテ

ィッシュコロンビア州、サスカチュワン州は、EOR、EGR、ECBM に関連した二酸化炭素貯留につい

ての法規制がよく整備されている。またアルバータ州、ブリティッシュコロンビア州では帯水層や枯渇

ガス田に硫化水素や二酸化炭素などの酸性ガスを処分する法規制もある。

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CCS 実施は、おそらくエネルギー産業の管轄省庁の監督下に入り、そこでは二酸化炭素回収、輸送、

圧入工程が対象となる。また、地下水保全に関連する規制は、環境保護庁の管轄であるなど、他の規制

当局との連携でも実施し得る。なお、既に二酸化炭素貯留(CCS でなく、EOR などにおける二酸化炭

素貯留)を対象とする法的枠組みで、許認可や操業、操業終了を扱っており、CCSに対してもこれらの

法規制が適用され得るが、モニタリング、緊急措置を含め恒久的な貯留や廃坑後を対象とするよう適用

拡大が必要となる。それでも、地下の所有権、財政、責任、アクセス権、第三者への相続など検討を要

する重要課題が残っている。

(3) オランダ 2003年鉱業法は、地下深度 100メートル以上において物質を貯蔵(storage)することを規制してい

る法律で、如何なる物質も許可なしに貯蔵することを禁止している。二酸化炭素は物質として定義され、

ゆえに CCS 事業には許可が必要である。本法では、貯蔵許可が既に設定されているサイトでは、貯蔵

許可を取得することは出来ないという排他的な意義を持っている。また、探査や採掘許可が設定されて

いるサイトでも貯蔵許可を取得する事はできないとされている。

二酸化炭素貯留(storage)の場合、貯留計画に基づいて実施されなければならない。貯留計画は規制

当局(経済省)によって評価、許可され、貯留される物質の量、組成、地層の詳細データなどの事項を

含む。また、貯留を終了する場合も閉鎖の計画が必要であり、これは規制当局の許可を要する。

現在、現行制度の範疇における二酸化炭素貯留の可能性や潜在的問題について、議論している最中で

ある。

オランダには、枯渇ガス田や、生産は終わっているものの採掘許可を有したままのガス田が相当量、

存在している。このようなガス田であっても二酸化炭素を貯留するためには貯留許可が必要であるが、

前述のように既に採掘許可が設定されているようなサイトでは、許可取得はできない。CCSを実施した

いと考える当事者は許可取得の申請ができない。そのため、二酸化炭素貯留をより促進し、既存の問題

を解決するために、近い将来オランダ政府は鉱業法を改正する予定である。

(4) ノルウェー 世界で最初に、商業ベースで大規模な二酸化炭素地中貯留を実施したのが、スライプナー(Sleipner)

プロジェクトで、1996年から実施されている。二酸化炭素貯留は、スライプナーガス田のガス生産活動

の一環であり、石油業法によって規制されている。石油業法は、スライプナーでの CCS について、ス

ライプナーガス田の開発・操業計画に対して石油エネルギー省の許可を条件としている。また、いずれ

ガス田が枯渇した時には、閉鎖計画を石油エネルギー省に提出することが定められている。提出された

計画に基づいて、操業停止の期限、施設の廃棄などガス田閉鎖に関して政府決定がなされる。この決定

の一つとして、貯留層に圧入された二酸化炭素のモニタリング、責任の期限に関する条件が設けられる

こととなる。また、二酸化炭素貯留から生じるいかなる汚染も含め、石油事業からのいかなる汚染損害

も無過失責任が適用される。その他には操業の安全面や、周辺環境への損害防止のために払われる適切

な予防措置が要件とされている。

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さらに、スライプナーガス田での二酸化炭素貯留には汚染禁止を主目的とする汚染法が適用されてお

り、二酸化炭素の漏洩についてモニタリングすることを要件としている。

(5) イギリス CCS に関する法規制検討のため、2004 年から非公式協議を開催し、貿易産業省(DTI)によるギャ

ップ分析および、環境省食料農林省(Defra)による既存の沖合い法規制の分析を行ってきた。そして、

CCSに係る法規制の策定と実施のための選択肢を調査するために作業部会が立ち上げられた。この作業

部会では国内法規制のみを検討し、気候変動および海洋酸性化の問題に取り組むための対策の一つであ

る CCS の開発と実施を促進および規制することを目的としている。具体的に、沖合い二酸化炭素貯留

サイトと活動の許可、緊急措置と貯留関連施設の廃棄、二酸化炭素貯留終了後の長期責任、陸上施設の

許可と規制に関して、既存法の明確化およびその適用性、ギャップの特定と新たな規制の必要性、必要

なら新たな規制の策定を探ることとしている。

(6) アメリカ 米国では、石油・ガス生産、天然ガス貯蔵など地下に係る法規制における州の管轄、経験、知識から

して、CCS の法規制は州が重要な役割を担う。CCS の操業に関連する法規制のほとんどが、既に州に

存在する。そこで、2002年 10月、IOGCC(Interstate Oil and Gas Compact Commission)が作業部

会を発足し、二酸化炭素貯留の安全性や有効性に関して技術、政策、法規制の面から課題を検討するこ

ととした。この作業部会では、予備調査の段階で“A Regulatory Framework for Carbon Capture and

Geological Storage”という報告書を出している(2005年 1月)。また二酸化炭素地中貯留に関する法規

制および州の準備のための詳細なガイダンスを 2007 年末までに作成することを主目的に次フェーズが

開始している。

報告書では、二酸化炭素回収については、既に十分な法規制によって対処されていることから州の法

規制は必要ないと結論付けた。二酸化炭素輸送については、十分に確立した既存の法規制およびパイプ

ライン構造や材料規格によって適切に対処され得る。二酸化炭素圧入については、以前から法規制の検

討がなされているUnderground Injection Control(UIC)プログラムに基づいて規制し、適用される井

戸のクラス(Class)については、EOR とは目的と異なる CCS の二酸化炭素貯留用に、再分類か新た

な分類が必要で、ただしClassⅠあるいはClassⅤは適当でないとしている。また、現在、CO2-EORや

天然ガス貯蔵、酸性ガス圧入に用いられているモニタリング規制は、二酸化炭素貯留のモニタリングや

検証には適切ではなく、改正されるべきとしている。二酸化炭素圧入完了後についても、二酸化炭素モ

ニタリングや検証、漏洩時の対策、長期負債や責任の終了を対象とする法的枠組みが必要であるとして

いる。

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表 4.4-1 海底下二酸化炭素地中貯留に係る法的枠組みに関する進展中の対応と今後の検討事項 (平成19年3月30日) 進展中の対応および今後の検討事項 参考情報

主な検討課題 改正海防法案および予想される政省令等の規定 今後の検討事項 鉱業法・鉱山保安法等

1.法令(化)の目的 海防法の目的は「海洋投棄の規制による海洋環境の保全、

人・財産の保護」と規定されている。

海防法の目的は環境保全、人・財産の保護に限られている

が、権利調整や保安面など二酸化炭素貯留事業を合理的

に推進することが既存法において担保されているか否か検

討が必要。 また、その場合、当該法の目的規定も確認が必

要。

「鉱業法」

鉱物資源の合理的開発による公共の福祉の増進(1条)

「鉱山保安法」

鉱山労働者に対する危害を防止するとともに鉱害を防止し、鉱物資

源の合理的開発を図る(1条)

2.許認可

(1)許可申請、

許可発給

「海防法改正案」

許可申請者:特定二酸化炭素ガスの海底下投棄をしようと

する者

許可発給者:環境大臣

例えばEORやECBM等によるCO2貯留に関し、海洋汚染防

止法以外の許可が必要な場合には、それに対応した許可

発給者が必要となる。

「鉱業法」

・鉱業権の設定

-許可申請者:日本国民または日本国法人(17条)

-許可発給者:経済産業局長(21条)

・施業案の認可(63条)

-認可申請者:採掘権者

-認可者:経済産業局長

(2)許可基準 「海防法改正案」

許可の基準:

①海底下廃棄をする海域及び海底下廃棄の方法が、環境

省令に定める基準に適合するものであり、かつ、海洋環

境の保全に障害を及ぼすおそれがないこと

②海洋底下廃棄以外に適切な処分方法がないこと

③申請者の能力が特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄に関

する実施計画及び汚染状況の監視に関する計画に従っ

て二酸化炭素ガスの海底下廃棄汚染状況の監視を的確

に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定

める基準に適合すること

なお、許可に際して

・二酸化炭素の特性把握、判定基準への適合

・適切な貯留地点の選択

・貯留される二酸化炭素の潜在的影響の評価

・監視計画

等が義務付けられ,許可発給にあたっては、国民からの意

見聴取が必要とされる見込み。 (専門委報告)

例えばEORやECBM等によるCO2貯留に関し、海洋汚染防

止法以外の許可が必要な場合には、それに対応した基準

が必要となる。

「鉱業法」

鉱物資源を合理的に開発するという観点からの許可基準を規定

主要な許可基準:

・経済的に価値がある(35条)

・一般公益や他産業を害さない(35条)

・他人の鉱業を妨害しない(34条)

・既に設定されている鉱区と重複しない(29条、30条)

(3)許可の期間 現行の海防法に準拠して最長5年程度とし、許可更新が求

められる見込み(専門委報告)

海洋汚染防止法以外の許可が必要な場合には、改正海防

法規定との整合も考慮する必要有。

なお、閉鎖後の許可更新については、何に対する許可か、

いつまで許可更新を行うか等の課題がある。後者について

は例えば、モニタリング結果と予測計算の結果との比較等を

考慮して個別に判断することが考えられる。

「鉱業法」

鉱業権(鉱区)を取得後、試掘権は延長可能(通算8年保有可)、採

掘権は無期限の権利(18条)

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進展中の対応および今後の検討事項 参考情報 主な検討課題

改正海防法案および予想される政省令等の規定 今後の検討事項 鉱業法・鉱山保安法等

3.二酸化炭素地中

貯留の権利

(1)鉱業権との優先

度・権利調整

「海防法改正案」

指定海域の指定等

・特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄がされた海域であっ

て、海底及びその下の形質の変更が行われることにより

当該特定二酸化炭素ガスに起因する海洋環境の保全上

の障害が生ずるおそれがあるものとして政令で定めるも

のを指定海域として指定

・指定海域内において海底及びその下の形質の変更をしよ

うとする者は、原則として環境大臣に届出

専門委報告には、他の権益との調整は事業者が図っておく

ことと記載。

海防法改正案の指定海域の指定は、権利調整に一定の効

果を持つ可能性があるが、貯留許可申請に際した事前の権

利調整は大きな課題である。

特に貯留行為と鉱業権との権利調整が必要となることが予

想されるが、現行の鉱業法において対応が可能か検討が必

要。

「鉱業法」(15条、52-55条)、「公害等調整委員会設置法」(4

条)、「鉱業等に係る土地利用の調整手続き等に関する法

律」(2章)等に基づき、地中貯留と鉱業の調整が法的に担

保されていると解釈できる可能性もある。

また、不要となった鉱区の返還について規定しておくことに

よって、潜在的な貯留サイトとの利害衝突を回避できることも

考えられる。

貯留実施後の権利調整については、海防法改正案の規定

以外にも、「鉱業法」第35条の解釈で、鉱業権の出願を許可

してはならないサイトとして調整が法的に担保されているとも

考えられる。

「鉱業法」

採掘権と試掘権を鉱業権として設定(11条)

鉱区設定(14条)

鉱区に関する制限(15,16条)

鉱区の取り消し等(52-55条)

鉱区取得に先願主義の規定(27条)

他権益との調整方法を規定(「公害等調整委員会設置法」、「鉱業

等に係る土地利用の調整手続等に関する法律」)

「鉱業等に係る土地利用の調整手続き等に関する法律」

鉱区禁止地域の指定およびその解除(2章)

「公害等調整委員会設置法」

所掌事務及び権限(4条)

「鉱業法」

鉱業原簿への登録(59条)

(鉱業権の設定、期間の延長、消滅等を掲載)

「鉱業法」

不許可(35条)

(2)他法令等との

調整

同上 同上

他の海域利用、沿岸地域利用との調整が必要となることも考

えられる。現行法での対応が基本になると思われる。

同上

「海岸法」

・海岸保全区域における占用(7条)

・海岸保全区域における行為の制限(8条)

「港湾法」

・港湾区域内の工事の許可(37条)

・臨港地区内における行為の届出(38条の2)

・分区内の規制(40条)

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1668

進展中の対応および今後の検討事項 参考情報 主な検討課題

改正海防法案および予想される政省令等の規定 今後の検討事項 鉱業法・鉱山保安法等

4.事業計画 「海防法改正案」

許可の申請書:

・特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄に関する実施計画

・特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄をする海域の特定二

酸化炭素ガスに起因する汚染状況の監視に関する計画

・その他環境省令で定める事項

二酸化炭素回収・輸送に関しては、規定されない見込み

二酸化炭素回収・輸送について「事業計画」の許認可は必

要ないか、あるいは、二酸化炭素回収・輸送・圧入全体を包

含した事業として捉える必要はないか。

「鉱業法」

・施業案の認可(63条)

・鉱区所在地、面積

・鉱物の名称

・試採掘に関して、地質の状態、構造

・試採掘の方法、期間等

・油・ガスの輸送方法

・操業上の危害予防(作業の安全、油・ガス噴出時対策、鉱害

防止等)

5.保安に関する事項 基本的に保安に関する事項は規定されない見込み。

二酸化炭素圧入期間中、圧入終了後において、モニタリン

グを実施することと規定される見込み。

(専門委報告)

但し二酸化炭素が漏洩した場合の措置として、圧入の中

止、圧力の解放、モニタリングの頻度の増加等が規定される

見込み。

(専門委報告)

二酸化炭素回収・輸送に関しては、規定されない見込み。

二酸化炭素回収・輸送に関しては、高圧ガス保安法の保安

規定が適用される可能性あり。但し、排出源が発電所の場

合は電気事業法の適用に関しても検討の余地有り。

圧入に関しては、鉱山保安法あるいは高圧ガス保安法の保

安規定が適用される可能性有り。

「鉱山保安法」

・保安の定義(3条)

-人に対する危害の防止

-鉱物資源の保護

-鉱山の施設の保全

-鉱害の防止

・施設、機械、器具の技術基準適

合義務(11、12条)

・工事計画の届出(13条)

・使用前検査、定期検査(14、16条)

・保安規定の届出(19条)

「高圧ガス保安法」

・製造、貯蔵、移動の技術基準適合義務(11条、15条、23条)

・危害予防規程(26条)

・保安教育(27条)

・保安検査(35条)

・危険時の措置及び届出(37条)

・緊急措置(39条)

「電気事業法」

・技術基準への適合(39~41条)

・保安規程(42条)

・工事計画および検査(47~55条)

6.モニタリング 監視計画(モニタリング)

・監視主体は許可事業者

・圧入時および閉鎖後の相当

期間において監視を実施し、

結果を環境大臣に報告

することと規定される見込み。

(専門委報告)

閉鎖後モニタリングを不要とする判断やその時期について

基準を設けておくのが適切ではないか。

(特段の規定はないが、廃坑時に漏洩がないことを確認して終了)

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1669

進展中の対応および今後の検討事項 参考情報 主な検討課題

改正海防法案および予想される政省令等の規定 今後の検討事項 鉱業法・鉱山保安法等

7.事業責任

(1)責任の主体・

期間

「許可申請者は特定二酸化炭素ガスの海底下投棄をしようと

する者」の規定があるのみ

貯留事業者と排出者が異なる場合の排出責任をどう考える

か。

圧入期間中およびその後の相当期間は事業者が責任を負

担するとし、いずれは国の責任とすることも考えられる。

移行の適時性についてはモニタリング終了の判断とも関連

すると考えられる。

無期責任

(2)損害補償 規定されない見込み 二酸化炭素のリークによる放出責任(人・財産に対するに対

する被害、排出量の事後追加あるいは排出権の事後獲得)

に対する補償制度を考える必要があるか。

その場合、基金、保険制度(貯留実施主体が多数なければ

基盤が整わない)などの方法が考えられる。

「鉱業法」

賠償責任のための担保を供託(117~120条)

8.その他

(1)二酸化炭素排出

インベントリにお

ける扱い

規定無し IPCC 2006インベントリガイドラインの適用環境の整備

(2)事業の経済性に

関する枠組み

規定無し 官民のコスト分担、支援策(補助金、優遇税制等)、資金調

達の仕組み等が検討課題

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1670

4.5 情報発信

二酸化炭素地中貯留技術の有効なる信頼構築(Confidence Building)を目的とした情報発信を行なうた

めにはその現状における周辺環境調査は不可欠である。特に国際的なアップデートな情報を入手し、研

究関係者に提供することは効率的かつ効果的な成果に繋げるための重要な要因ともなる。

国際連携の場における日本の地中貯留研究開発動向の情報提供についても、米国がリーダーシップを

とって起こした国際協力イニシアチブCSLF(Carbon Sequestration Leadership Forum)や「クリーン

開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(APP:日本、米国、豪州、韓国、中国、インドが

参加)会合に政策立案サイドのオブザーバーあるいはタスクフォースメンバーとして参加し、各方面(商

業・実証プロジェクトの動向、技術開発動向等)の情報を収集すると共に、長岡プロジェクトの成果等

の発表等により適確な情報提供を実施した。

一方で二酸化炭素地中貯留に関する適確な情報提供による国内における理解促進を図るために 2007

年 2月に関西文化学術研究都市のけいはんなプラザ(京都)に於いて2日間に亘り CCSワークショッ

プ 2007 を開催した。海外より主要な政策及び技術開発に携わる実務者3名を招聘し、世界的動向等を

紹介すると共に RITE における CCS 研究開発の現状を長岡プロジェクトを含め、報告した。参加者は

200 名にのぼり、その関心はアンケート回収者の4割が二酸化炭素地中貯留の実施の必要性を感じてい

るとしている等、非常に高いことが判明した。

また、2006年 6月にノルウェイトロンハイムで開催されたGHGT-8においては、会場ブースを利用

して、関連文献コピーの参加者への提供、アンケート実施を通じて各国の研究者との情報交流を図った。

IEAGHGR&D プログラムによりサイト掲載されている CCS プロジェクトデータベースの日本語版

を目標に試行版の作成を実施した。

既述の海外動向調査の詳細内容と合わせ、今後、適宜、信頼性構築のための情報発信機能の整備を行

っていく。

4.6 まとめと今後の課題

国際動向調査では、昨年度に引き続き米国その他、諸外国における CCS 関連のプロジェクト動向を

調査した。中国など、アジア諸国においては京都メカニズムの一つであるCDMを通して、CCSプロジ

ェクトに関与していることが明らかとなった。今後もますます技術開発やプロジェクト参加の増加が見

込まれ、国際動向の調査は重要性である。

社会的受容向上の方策に関しては、二酸化炭素地中貯留のベネフィットを適切に伝えることが重要で、

またベネフィットをより有効に認知されるようにするには、実施主体となる組織の信頼を高める事も重

要である。温暖化防止に関する環境価値観が地中貯留のベネフィット認知を通じて間接的に社会的受容

に働くことから、地球温暖化の防止の必要性に関する認識の向上も重要である。これらの見解は、海外

において実施されている研究結果とも一致しており、とりわけ情報を提供することによって二酸化炭素

地中貯留を支持する傾向が強まる点や、一方で、リスクとして二酸化炭素漏洩が懸念事項であるという

結論は、重要な示唆を得ていると考えられる。

法的側面の検討では、ロンドン条約 1996 年議定書の改正が採択されたことによって、海底下におけ

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る二酸化炭素地中貯留が合法化された。またこれに伴い、本条約に関連する国内法整備が、急速な進展

を見せた。国内法整備が進んだため、二酸化炭素地中貯留に係る多くのことが明確になったが、貯留サ

イトに関連する権利調整や、事業責任についてはまだ明示的な措置がなされていないことも明らかとな

った。今後も解決に向けてどのような措置があり得るのか、条約や国際動向も考慮しつつさらなる検討

を要する。

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参考文献

1) www.ieagreen.org.uk/

2) Reiner, D., Curry, T., De Figueiredo. M., Herzog. H., Ansolabehere, S., Itaoka, K., Akai, M.,

Johnsson, F., Odenberger, M., “An international comparison of public attitudes towards carbon

capture and storage technologies”, in: Proceedings of the 8th International Conference on

Greenhouse Gas Control Technologies (GHGT-8), 19–22 June 2006, Trondheim, Norway, (2006)

3) OECD/IEA, “Legal aspects of storing CO2”, Paris, OECD/IEA, (2005)

4) P. Slovic, “Perception of risk”, Science, 236, 280-285, (1987)

5) Slovic, P., Fischhoff, B., Lichtenstein, S., 1985. Characterizing perceived risk, in: Kates, R.W.,

Hohenemser, C., Kasperson, J.X. (Eds.), Perilous progress: managing the hazards of technology,

Westview, pp. 91–125.

6) C.Starr,“Social benefit versus technological risk”, Science, 165, 1232-1238,(1969)

7) Kleinhesselink, R., & Rosa, E.A., “Cognitive representation of risk perceptions: A comparison of

Japan and the United States ”,Journal of Cross-Cultural Psychology, 22, 11-28,(1991)

8) Sjöberg, L., “Are received risk perception models alive and well?”, Risk Analysis, 22(4), 665–670,

(2002)

9) Shackley, S., McLachlan, C., Gough, C., “The public perceptions of carbon capture and storage in

the UK: results from focus groups and a survey”, Climate Policy, 4, 377-398, (2005)

10) De Best-Waldhober, M., Daamen, D., “Public perceptions and preferences regarding large scale

implementation of six CO2 capture and storage technologies”, Centre for Energy and

Environment Studies, Leiden University, Working paper, (2006)

11) Sharp, J., “Public attitudes towards geological disposal of carbon dioxide in Canada”, School of

Resource and Environmental Management, Report number 384, Simon Frazer

University,(2005)

12) Curry, T., Reiner, D.M., Ansolabehere, S., Herzog, H.J., “How aware is the public of carbon

capture and storage?”, in: Rubin, E.S., Keith, D.W., Gilboy, C.F. (Eds.), Proceedings of the 7th

International Conference on Greenhouse Gas Control Technologies (GHGT-7), 5–9 September

2004, Vancouver, Canada, pp. 1001–1009, (2004)

13) Itaoka, K., Saito, A., Akai, M., “Public acceptance of CO2 capture and storage technology: a

survey of public opinion to explore influential factors”, in: Rubin, E.S., Keith, D.W., Gilboy, C.F.

(Eds.), Proceedings of the 7th International Conference on Greenhouse Gas Control

Technologies (GHGT-7), 5–9 September 2004, Vancouver, Canada, pp. 1011–1019, (2004)

14) De Coninck, H.C., Huijts, N.M.A., “Carbon dioxide capture and storage: public perception, policy

and regulatory issues in the Netherlands”, in: Wilson, M., Morris, T., Gale, J., Thambimuthu, K.

(Eds.), Proceedings of the 7th International Conference on Greenhouse Gas Control

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1673

Technologies (GHGT-7), 5–9 September 2004, Vancouver, Canada, pp. 2491–2495, (2004)

15) 田中豊,“高レベル放射性廃棄物地層処分場立地の社会的受容を決定する心理的要因”,

10(1),45-52,(1998)

16) 秋山貴,原科幸彦,大迫政浩,“廃棄物処理施設に対する住民の迷惑感と距離の関係”,廃棄物学会論

文誌,16(6),429-440,(2005)

17) 日野明日香,佐藤仁,“環境アセスメントにおける「客観性」―藤前干潟埋め立て事業を例として―”,

環境情報科学論文集,15,101-106,(2001)

18) 原科幸彦,“環境アセスメントと住民合意形成”,廃棄物学会誌,13(3), 151-160, (2002)

19) 趙公章,松本安生,原科幸彦,“環境アセスメントのスコーピング段階における情報交流方式に関す

る実験的研究”,環境情報科学論文集,15,113-118,(2001)

20) http://www.londonconvention.org/ 参照

21) 二酸化炭素地中貯留技術研究開発 平成17年度報告書参照

22) http://www.env.go.jp/council/06earth/yoshi06-08.html 参照

23) http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8131 参照

24) http://www.CO2captureandstorage.info/CO2monitoringtool/index.php

25) M. Figueiredo, et al, “The liability of carbon dioxide storage”, in: Proceedings of the 8th

International Conference on Greenhouse Gas Control Technologies (GHGT-8), 19–22 June 2006,

Trondheim, Norway, (2006)

26) J. Pearce, et al, “The objective and design of generic monitoring protocols of CO2 storage”, in:

Proceedings of the 8th International Conference on Greenhouse Gas Control Technologies

(GHGT-8), 19–22 June 2006, Trondheim, Norway, (2006)

27) M. Figueiredo, et al, “Framing the long-term in situ liability issue for geologic carbon storage in

the United States”, Mitigation and Adaptation Strategies for Global Change, 10, 647-657, (2005)

28) IEA-GHG, “Overview of long term framework for CO2 capture and storage”, (2004)

29) http://www.cslf.org/ 参照

30) 2nd IEA/CSLF Workshop on legal aspects of carbon capture and storage

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第5章 安全評価関連調査

5.1 研究概要

二酸化炭素地中貯留の実適用に向けては、それらに係わる要素技術の確立と同様に、

技術を社会的に受容してもらうための環境整備が求められる。事業者、或いは周辺住

民の立場から安全の確保を求める声に応える、つまり技術の必要性と内容を平易に提

供する説明性の確保は本技術の実適用に向けて重要な課題の一つと言える。安全評価

関連調査では研究初年度である平成 12 年度から昨年度にかけて、事業規模の二酸化炭

素地中貯留として火力発電所などから排出される二酸化炭素を想定し、二酸化炭素を

地下深部塩水層に圧入した場合の安全性評価を中心に取り組んできた。

主たる取り組み内容としてまず、関係事象の洗い出し及び整理を行った。過去の知

見から、二酸化炭素地中貯留が取ると考え得る状態、状態変化をもたらす要因事象お

よび状態変化プロセスについてその概略を整理し、その中から安全に影響を与える可

能性のある事象を「極端ケース」として選び出してシミュレーションにより影響評価

を行った。検討対象は圧入層に地層水流が存在した場合、地震等により万が一上部へ

の浸透性を持つ経路が発生した場合及び操業後に廃坑した坑井を通して、万が一圧入

した二酸化炭素が上部に移行した場合に発生する周辺影響であり、その結果、想定下

での影響は軽微であり、海底ないしは坑内の圧力監視などにより事前の状況変化を把

握し得ることを確認した。

しかしながら、本研究分野における技術的知見の蓄積は少なく、これまでの検討は

必ずしも十分な科学的根拠を持ったケース設定とは言えなかった。このため、地中貯

留に係るシナリオの網羅的抽出方法として Weyburn プロジェクトで使用され国際標

準とも言える FEP データベースを基本に、これを改良して我が国における地中貯留シ

ナリオを網羅的に抽出することとし、仮想サイトを対象に安全性評価上で重要となる

シナリオ抽出に取り組み、その機能確認及び主たるリスクシナリオを抽出した。また、

同シナリオ評価上の目安として末端事象をエンドポイントと捕らえ、それらへの影響

を外部情報により調査することにより陸域植物等への二酸化炭素の影響を調査すると

共に海生生物への影響をモデル化して海域環境への影響検討に取り組んだ。併せて、

今年度発足した IEA GHG Risk Assessment Network 及び IEA GHG Weyburn CO2

Monitaring & Storage Project Phase2 に参画し、海外での関連動向調査を開始した。

平成 18 年度は、安全評価関連調査のもう一つの研究項目である「安全指針」に関し

て、国際的に急速な進展を見たロンドン条約付属書改正 (二酸化炭素流他の追加 )を中心

に、「指針」の具備すべき内容について検討を実施すると共に課題の抽出を行った。又、

安全評価手法に関しては、上記の仮想サイトを用いてリスクシナリオを定性的に評価

すると共に、定量評価を実施するための準備として、科学的根拠を持ったパラメータ

の設定を目指して、特に「断層」について定量評価に必要な物性データと評価手法の

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現状を調査し、断層の厚さや浸透率等の物性データを整理した。さらに、環境影響評

価の一つとして、二酸化炭素地中貯留の対象となる地下深部での生物影響である、同

部微生物の存在状況 との相互影響について、既存知見を整理し、実適用時における考

慮事項の充実を試みた。

5.2 安全指針の内容に関する検討

5.2.1 はじめに

(1) これまでの研究概要

平成 12 年度の調査において、国内で二酸化炭素地中貯留を大規模実施した場合に関

連する法律の抽出と整理を行った。その結果、貯留工程における二酸化炭素の扱いを

明記したものは無いが、「分離・回収・貯蔵に最も関連する法律は高圧ガス保安法」で

且つ「既存法律を遵守すれば実施の可能性がある」こと、及び「ロンドン条約付属書

上での取扱」と「環境影響評価法との関連」が今後の課題であることを明らかにした。

平成 13 年度に安全管理に関する参考にするため、類似事業としてフランスとドイツ

における帯水層への天然ガス地下貯蔵事業を海外調査し、適地選定のための事前調査

と圧入操業中の観測を重視していることを明らかにした。

平成 17 年度は、先行する海外主要プロジェクトである Weyburn,Sleipner 両プロジ

ェクトでの安全管理状況を調査し、類似事業である天然ガス地下貯蔵に係る規格を参

考としていることを明らかとした。この規格と国内関連法規を精査し、安全管理に反

映すべき内容の抽出を行った。

(2) 平成 18 年度研究の位置づけ 平成 18 年度においては、ロンドン条約付属書改正 (二酸化炭素流他の追加 )に伴う、

関連国内法規 (海洋汚染防止法 )の検討が本格化し、安全に関する法的整備が進行しつつ

ある。これらの動向を踏まえ、今後事業の安全指針を作成する際に盛り込むべき内容

として、既に提案されているロンドン条約付属書のガイドラインや既存法(鉱山保安

法、高圧ガス保安法)にどのような規定がなされているか調べると共に、追加すべき

内容等課題について考察した。

5.2.2 二酸化炭素地中貯留関連法的整備及び安全規制の現状 ロンドン条約付属書改正では「二酸化炭素流の追加」に併せて、その実行上のガイ

ダンスとして環境影響評価を主眼とする WAG(Waste Assessment Guideline)が今秋

制定に向け検討段階にあり、これを受けた国内法として海洋汚染防止法の整備並びに

付随する技術指針の検討が行われている。この評価ガイドラインはロンドン条約 1996

年議定書附属書Ⅱ (投棄を検討出来る廃棄物 )の海洋投棄許可に係るものであり、現在ま

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1676

でに第 2 次ドラフトが作成されており、本秋に採択の見込みで、今後海洋汚染防止法

改正に伴う指針等に反映されるものと思われる。議定書の体系を概略図 5.2-1 に示す。

本議定書は次の 8 項目に分割される。安全指針に関連する 4 及び 6~8 について、若

干の補足を記す。

1. 序

2. 廃棄物防止評価

3. 廃棄物管理手法についての検討

4.化学的、物理的及び生物的特質

二酸化炭素流特性把握の必要性と

把握すべき事項

5.行動基準

6.処分場の選択及び特性把握

(1)海底下地層の特性把握

(2)海底下地層の収容量

(3)検討対象地域の特性把握

(4)潜在的影響の評価

7.潜在的影響の検討

二酸化炭素漏洩の潜在的影響評価の検討事項

(人の健康、生物種や群集等 )及び包括的評価

8.監視

監視項目 (注入率、注入圧等 )と測定の考え方及

び監視結果の評価

又、安全に関する既存国内法としては、鉱山保安法、高圧ガス保安法が適用される

可能性があり、今後事業が具体化される中で詳細検討がなされていくと思われる。

5.2.3 二酸化炭素地中貯留安全確保に向けた対応 (1) 安全指針における必要事項

安全指針の目的は「公共と作業の安全確保」であり、個別要求事項は以下の様に考

えられる。

① 公共の安全確保

a.公害防止…周辺環境への影響防止、影響測定方法の指定

b.対象物質の特性把握…貯留対象物質及び混入物の特性把握

c.サイト選定…適正な貯留サイトの選定

96年議定書本文目的:陸上発生の廃棄物による海洋汚染の防止

附属書Ⅰ投棄を検討出来る廃棄物等

(リバースリスト)

附属書Ⅱ投棄を検討出来る廃棄物その他のものの評価の枠組(廃棄物評価フレームワーク,WAF)

一般WAG投棄を検討出来る廃棄物その他のものの一般的な

評価ガイドライン

品目WAG個別品目毎の評価ガイドライン

96年議定書本文目的:陸上発生の廃棄物による海洋汚染の防止

附属書Ⅰ投棄を検討出来る廃棄物等

(リバースリスト)

附属書Ⅱ投棄を検討出来る廃棄物その他のものの評価の枠組(廃棄物評価フレームワーク,WAF)

一般WAG投棄を検討出来る廃棄物その他のものの一般的な

評価ガイドライン

品目WAG個別品目毎の評価ガイドライン

図 5.2-1 1996 年議定書概念

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1677

d.影響評価…周辺環境への潜在的影響の評価

e.監視…圧入時及び完了後の監視手法

② 作業安全の確保

a.危害の防止・危害時の措置・緊急措置

…作業者の安全確保措置、災害発生防止の応急措置、危険時の措置

b.技術基準…技術基準の設定

c.保安規程・危害予防規程…保安規程の制定と届出

d.保安統括者・保安管理者…保安関係者の選任と届出、管理者の職務と必要資格の

指定

e.保安教育…保安教育計画の作成と実施

f.工事計画・使用前・定期検査

…工事計画届出、使用前検査(完成検査)の実施と記録、定期検査(定期自主検査)

の実施と記録

(2) 関連法規類と安全指針必要事項との関連

表 5.2-1 二酸化炭素地中貯留安全確保に関連した法規類一覧* 必要事項 鉱山保安法 1) 高圧ガス保安法 1)** WAG

公害防止 公害防止(第 8 条) - - 特性把握 - - 4.化学的・物理的及

び生物的特質 サイト選定 - - 6.処分場の選択及

び特性把握 影響評価 - - 7.潜在的影響の検

保 監視 - - 8.監視 危害の防止

等 鉱業権者の義務 (第 5 条 ) 危険時の措置及び届出

等(第 36,37,39 条) -

技術基準 技術基準に適合した機

械、器具等の使用 (第 11条 )

技術基準に適合した製

造施設・方法 (第 11~14条 )

保安規程等 保安規程の作成・届出 (第 19 条 )

危害予防規程の作成・

届出 (第 26 条 ) -

保安統括者

等 保安統括者等の選任

(第 22 条 ) 保安統括者等の選任

(第 27 条 ) -

保安教育 保安教育の実施 (第 10 条 )

保安教育計画の作成と

実行 (第 27 条 ) -

保 工事計画等 工事計画 (第 13 条 )

使用前検査 (第 14 条 ) 定期検査 (第 16 条 )

変更許可 (第 14 条 ) 完成検査(第 20 条) 保安検査定期

及び自主検査 (第 35 条 )

*:詳細内容は施行規則等による、**:高圧ガスの「製造」関連事項を表記

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1678

前述の鉱山保安法、高圧ガス保安法及び WAG(Waste Assessment Guideline)は、

上記必要事項を概ね包含していると思われる(表 5.2-1)。但し、詳細内容を別途検討

する必要があり、以下では「公共の安全確保」を対象に、安全指針に盛り込むべき内

容として WAG(第 2 次ドラフト)の記載を整理して示し、課題を抽出した。

(3) 「公共の安全確保」における必要事項 ① 化学的・物理的及び生物的特質

[課題] 二酸化炭素流の把握した特性 (例:組成、化学的特質、毒性、持続性等 )に関

し、有害性を考慮した判定基準(設定の必要性を含め)を検討する必要があ

る。

② 処分場の選択及び特性把握 a 海底下地層の特性把握

[課題] 「地層の長期貯留の完全性」については、より具体的な記載が望まれるが、

下記の天然ガス海外規格が一つの参考となる。

EN-1918-1(1998)(ヨーロッパ天然ガス地下貯蔵規格 )3)4) キャップロックの存在及び連続性の確認 (determination of the caprock

suitability) 1.鉱物組成を含めた特性 the nature of the formation which forms the rock 2.水理特性(特に ,毛管限界圧力 ,透水性 ) the hydraulic characteristics of the

caprock 3.地質特性(構造 ,厚さ ,水平的な広がり等) its geometrical characteristics

WAG(Waste Assessment Guideline)2) 把握すべき特性には必要に応じて以下の事項を含むものとする。

1.起源、総量、形態及び平均的な組成 2.物理的、化学的、生化学的、及び生物学的特性 3.毒性、持続性、蓄積性 4.二酸化炭素流中の組成間の潜在的相互作用及び /又は海底堆積物中における生体内変化

WAG(Waste Assessment Guideline)2) 以下の点は、二酸化炭素回収工程から二酸化炭素流を処分するための海底下地

層の選択に際して、重要な検討事項である。 1.地層の収容量と注入性 2.地層の長期貯留の完全性 3.周辺の地質 4.二酸化炭素流の経年的な移動・漏洩の潜在的経路及び漏洩による潜在的影響 5.監視要件 6.経済的及び運用上の実行可能性

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1679

b 海底下地層の収容量

[課題 ] 収容量の算定方法について基本的な考え方を定める必要がある。

c 検討対象地域の特性把握

[課題 ] WAG の対象は海域サイトであり、陸域サイトで貯留を行う場合には別の特

性把握が必要となる。これについては、昨年度調査を行った次の海外規格が

参考となる。

[課題 ] なお、サイト選定に当たっては、「地域の特性」よりも「地層の特性」の方

CSA Z341(カナダ炭化水素の地下貯蔵規格)5) 1.近隣の人口集中地域及び産業施設

proximity to populated areas and concentrated industrial facilities 2.一般大衆が行き来する近隣のインフラ施設 proximity to public rights-of-way 3.隣接する施設からのリスク risk from adjacent facilities ⇒ 海域サイト選定にも

適用され得る 4.近隣の土地や隣接行政区域の現在及び将来の開発計画

present and predicted development of adjacent properties and municipal boundaries 5.現場の地理的条件 topography of the site

6.貯留操作で発生する塩水の取扱及び廃棄 handling and disposal of brine produced by stotage operations

7.河川等の地域における排水先 regional drainage, such as creeks, rivers, and ravines 8.近隣の帯水層、水源、湿地等の環境高感度地域

proximity to aquifers, bodies for fresh water, or environmentally sensitive areas such as wetlands

9.緊急時対応の実行しやすさ acess for emergency response 10.地域の気象 local climate

WAG(Waste Assessment Guideline)2) 特定の場所の位置を決定するに際しては、次の重要なアメニティー、生物学的

特徴及び海の使用に考慮しなければならない。 1.海岸線及び砂浜 2.景観地または著しく文化的または歴史的に重要な地域 3.保護区域のように特別な科学的または生物学的重要性のある地域 4.漁場 5.産卵、育成、加入水域 6.回遊経路 7.季節的及び重要な生息場 8.航路 9.軍事演習地域 10.鉱業、海底ケーブル、淡水化及びエネルギー転換所を含む海底の工業的使用

WAG(Waste Assessment Guideline)2) 海底下地層の収容量及び注入性は、以下の理由から重要な検討項目である。 1.二酸化炭素流を海底下地層内に留めるためには、収容量及び注入性は、予定する二酸化炭素流の全容量及び注入率と比較して、十分に大きくなければな

らない。 2.収容量の推定及び実証は認知された方法に基づき行うものとする。

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1680

がはるかに重要な要素であり、指針においてもそのような位置づけとして

扱われることが望まれる。

d 潜在的影響の評価

③ 潜在的影響の検討

[課題 ] 影響評価のスケール (時間及び空間 )について何らかの指針化が望まれる。

④ 監視

[課題 ] 海底下地層監視の具体的内容(項目、頻度、監視の継続期間、海洋環境の

監視の必要性等)を明確化する必要がある。

WAG(Waste Assessment Guideline)2) 影響評価は可能な限り包括的であるべきである。・・・合理的な程度に保守的な仮

定に基づいて、予測される影響の自然的、時間的、空間的規模、及び持続期間を明

らかにするべきである。

WAG(Waste Assessment Guideline)2)

二酸化炭素流の海底下地層への貯留のための測定は4つに分類出来る。 1.注入された二酸化炭素流が、想定された海底下地層内にどれだけ適切に留まっているかを測定する、性能監視

2.意図された海底下地層内及び外への二酸化炭素流の移動を検知及び測定するための、周辺地層の監視

3.二酸化炭素流の海洋環境への漏洩を検知及び測定するための、海底及びその上層水塊の監視。ここでは、海底下地層を分断する廃坑井及び断層、又は注入後の封じ

込めの安全性に対する全ての変化 (断層、亀裂、地震活動 )に対して特に留意するべきである。

4.二酸化炭素流の漏洩が海洋生物に及ぼす影響を検知及び測定するための、 (底生性及び水柱の )海洋生物群集の監視。

WAG(Waste Assessment Guideline)2) 海底下地層からの潜在的移動及び漏洩経路には、以下のものを含む。

1. 注入坑井及び /又は廃坑、あるいは同じ地層にある使用中の坑井 2. 浸透岩が海底表面に達する地域(例:海底露頭) 3. キャップロック中の透過性の割れ目、又は、浸透性の部分 4. 低浸透性のキャップロックの間隙システム(二酸化炭素流がキャップロックに進入する毛細管圧が上昇した場合、あるいは地層水の酸性化によりキャッ

プロックの機能が低下した場合) 5. キャップロックが局所的に存在しない場合 6. 遊離又は溶解した二酸化炭素の、貯留層の岩石に沿った水平移動(例:貯留構造上の spill point を超えて入れ過ぎた場合)

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1681

5.2.4 まとめ

(1) 鉱山保安法、高圧ガス保安法及び WAG(Waste Assessment Guideline)第 2 次ドラ

フトを地中貯留の安全指針関連法規類と考え、同指針の必要事項の検討を行った

ところ、概ねこれらの法規類に記載されている項目で包含されていることを確認

した。

(2) しかしながら、公共の安全確保の観点から WAG の内容を精査したところ、更に

具体化あるいは明確化すべき課題が多々あることが示された。このうち一部には、

海外の類似事例である天然ガス等の地下貯蔵で用いられる規格も参考として活用

し得ることを確認した。

参考文献

1) 法令データ提供システム (http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi)

2) 1996 年議定書科学者会合にて検討している CO2 に関する品目 (CO2-WAG)第二次

草案

3) EN1918-1 Gas supply systems-Underground gas storage-Part1:Functional

recommendations for storage in aquifers

4) EN1918-5 Gas supply systems-Underground gas storage-Part5:Functional

recommendations for surface facilities

5) Z341 Series-02 Storage of Hydrocarbons in Underground Formation

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1682

5.3 定量的安全性評価の検討

5.3.1 はじめに

(1) これまでの研究概要

研究初年度に当たる平成 12 年度は、事業規模での二酸化炭素地中貯留の圧入部分の

安全性に関する過去の知見について調査し、安全性評価に関係する事象の洗い出し及

び整理を行い、安全性に影響を与える可能性のある事象「極端ケース」について、シ

ミュレーションにより影響評価を行う事とした。

平成 13 年度は、その準備段階として、100 万 kW 級規模の火力発電所を想定して、

二酸化炭素を帯水層に圧入した場合に、圧入方法や地質条件が圧入層圧力や圧入二酸

化炭素の分布等に与える影響について感度分析を行った。その結果、圧入方法として

水平井を用いる手法は垂直井と比較して坑底圧を低く保つことが可能であること、及

び、坑井はキャップロックから出来るだけ距離を置いて仕上げることが望ましく、地

質条件としては圧入層の連続性と浸透性が重要であることを示した。

平成 14 年度から 16 年度に掛けて、「極端ケース」として地層水流、仮想移行経路及

び廃坑でのセメント劣化の影響を評価した。地下深部での地層水流に関する統計デー

タは得られていないが、平成 14 年度は万が一の存在を想定して、圧入層中の地層水流

が圧入操業中および圧入完了後の二酸化炭素貯留状況におよぼす影響について感度分

析を実施した。想定地質構造の場合、地層水流の流速が 0.5m /年では圧入完了後数年

までに総圧入量の 13%程度が流出し、その後の流出はほとんどないこと、超臨界二酸

化炭素は 1.0m/年程度でも圧入層上部に移行することを示した。また、日本では圧入層

に地層水流が存在する可能性は低いが、その存在時は二酸化炭素地中貯留への影響が

考えられるため、個別評価が望ましいことを示した。

平成 15 年度は、万が一上部への浸透性を持つ経路が発生した場合に、圧入した二酸

化炭素が仮想移行経路を経て上部へ移行する挙動として大規模な仮想移行経路が圧入

層から海底まで垂直に貫通するという極端な設定での二酸化炭素の上部移行挙動を検

討した。その結果、二酸化炭素の上部への移行は移行経路の傾きに大きく影響され、

傾斜した移行経路での二酸化炭素の移行速度や流出量は、傾きを垂直とした場合と比

較して抑制されたものとなること、極端な場合でも、圧入層から流出した二酸化炭素

は上方へゆっくりと移行するため、上部帯水層の地層圧監視を行うことで二酸化炭素

が万が一上部へ移行しても早期に検知できる可能性があること等を示した。 平成 16 年度は、操業後に廃坑した坑井を通して、万が一圧入した二酸化炭素が上部

に移行した場合に、二酸化炭素が海底へ流出する挙動について安全性の面から検討し

た。その結果、二酸化炭素を含む地層水が長期間セメントに接触しても変質に至る部

位は少なく、廃坑を経由した流出の可能性は低い上に、同事象を敢えて仮定した場合

も最大で 1 日当り数m 3に収まる事を示した。

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1683

平成 16 年度までの研究において、以下の課題が明確化された。この背景には、本研

究分野の歴史が浅いことから必ずしも十分な知見が蓄積されていない現状がある。

①より科学的根拠を有する、可能性のある事象の抽出、すなわち影響評価を行うケ

ースの設定

②より科学的根拠を有する、事象の影響評価を行う際のパラメータの設定

平成 17 年度は、上記①の課題を踏まえ、安全性に影響を与える可能性のある事象 (シ

ナリオ )として、これを網羅的に抽出し安全面へ及ぼし得る影響を評価する手法を検討

した。具体的には、Weyburn プロジェクトで使用された FEP データベースを改良し

て、我が国における二酸化炭素地中貯留におけるリスクシナリオを網羅的に抽出可能

な形態とした。213 の FEP について、断層及び深部夾炭層を有する仮想サイトについ

て、エキスパートジャッジメントにより海底への漏洩の起点となり得る可能性を評価

し、以下の重要 4 FEP 及びこれを基点とする 24 通りのシナリオを抽出した。

①断層 Fault zone、②圧入井シール不良 Seal Failure

③人間侵入 Human intrusion、④未検出断層 Undetected fault

本結果はシナリオを網羅的に抽出する機能を付与している点で、従来の重要シナリ

オ抽出を前進させたものと言える。

(2) 平成 18 年度研究の位置づけ 平成 18 年度は先ず、平成 17 年度に抽出した重要4FEP についてそれぞれ重要シナ

リオを抽出すると共に、シナリオへの対処方法について検討を加えた。

更に、重要シナリオに関する影響評価シミュレーションを行う前段として、前記課

題②を踏まえたパラメータに関する調査・検討を実施した。具体的には、重要なパラ

メータとして「断層」を取り上げ、定量評価に必要な物性データと評価手法の現状を

調査し、断層の厚さや浸透率等の物性データを整理した。

≪参考≫

FEP データベースとは (二酸化炭素地中貯留の )安全性を検討する上で関連のある

総ての項目を Feature(特質 )物理的要因 -岩石 ,Event(事象 )比較的短時間に作用する

因子 -隕石 Process(プロセス )長期に作用する因子 -地下水流で分類表現したデータベ

ース。各項目内容をエキスパートが評価することで安全評価上、重要なものを抽出

出来る。

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1684

5.3.2 重要シナリオの検討

(1) 断層 Fault zone を起点とする漏洩シナリオ

0

-200

-400

-600

-800

-1000

-1200

-1400

m

F断層f 断層群

C層

D層

G層

Q層

A

B

C

D

EF

G

EE

D

D

CC

BB

AA

X Y注入井(背斜,層序との関係を考慮し本断面上に図示)

超臨界CO2

キャップロック岩盤特性への影響

  シナリオa       シナリオb,c

構造トラップへの影響

キャップロック

帯水層

地下水(CO2)

図 5.3-1 断層 Fault zone を起点とする漏洩シナリオ概念と FEP 連鎖

FEP で抽出されたシナリオは、平成 15 年度にシミュレーションを実施した新規断

層の発生ではなく、既存断層による影響を考慮するものである。圧入計画時には周辺

地質を詳細に確認することを考慮すると、シナリオ a に該当する臨界二酸化炭素の移

動を促すほど透水性の高いキャップロック部位の存在は想定しにくく、F 断層の派生

断層等により構造トラップに影響が及び、地下水(二酸化炭素溶解)が移動し海底へ

放出する上記 b・c を基本シナリオと考える方向が妥当と言える。

a. 断層⇒岩盤特性⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 b. 断層⇒構造トラップ⇒地下水(二酸化炭素溶解)移動⇒地下水密度⇒水頭圧⇒地下水水理場⇒海底放出

c. 断層⇒構造トラップ⇒地下水(二酸化炭素溶解)移動⇒地下水密度⇒浮力⇒水頭圧⇒地下水水理場⇒海底放出

貯留量 3,000 万 t-CO2 (100 万 t-CO2/年×30 年 )

F 断層;主断層、f断層;副断層、A 層;夾炭層

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1685

(2) 圧入井シール不良 Seal Failure を起点とする漏洩シナリオ

0

-200

-400

-600

-800

-1000

-1200

-1400

m

F断層f 断層群

B層

C層

D層

F層

G層

Q層

A

B

C

D

EF

G

EE

D

D

CC

BB

AA

X Y注入井(背斜,層序との関係を考慮し本断面上に図示)

超臨界CO2

地下水(CO2)

保有性への影響

        シナリオa      シナリオb~e

間隙水圧への影響

キャップロック

帯水層

図 5.3-2 圧入井シール不良 Seal Failure を起点とする漏洩シナリオ概念と FEP 連鎖

平成 16 年度に「セメントの長期挙動」として、代表的なセメント鉱物である Ca(OH)2

(ポルトランドタイ)の下記化学反応による漏洩の可能性を検討している。

大きな粒子である Ca(OH)2が溶解し、CaCO3が埋めるために、空隙形状は一旦緻密

化し空隙率が低下するが、時間スケールが長期にわたる場合、CO32-のプラグ内拡散が

継続し、更に pH が低下すると生成した CaCO3が溶解して最終的に空隙率は増加する。

100 年間の変性は 7m 程度と推測され (図 5.3-3 右、オレンジ一点鎖線 )、通常の廃坑処

置では数十 m の厚みでセメント処置を行うことを勘案するとセメント全体が変質して

漏洩シナリオとなるには、極めて長い時間を要すると考えられる。

a. シール不良⇒保有不良⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 b. シール不良⇒間隙水圧分布*⇒二酸化炭素物理性状⇒超臨界二酸化炭素移動

⇒地下水水理場⇒海底放出 c. シール不良⇒間隙水圧分布⇒二酸化炭素相状態⇒超臨界二酸化炭素移動

⇒地下水水理場⇒海底放出 d. シール不良⇒間隙水圧分布⇒浮力⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場

⇒海底放出 e. シール不良⇒間隙水圧分布⇒水頭圧⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場

⇒海底放出

Ca(OH)2 + CO32-(地層水 )- + 2H+ ⇒ CaCO3 + 2H2O

CaCO3 + 2H+ ⇒ Ca2+ + H2CO3

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図 5.3-3 セメントプラグの変質イメージと空隙率経時変化

(3) 人間侵入 Human intrusion を起点とする漏洩シナリオ 平成 16 年度に極端ケースとして「将来の偶発的な人間侵入の影響」を検討しており、

抗径 9 5/8B(内径 220.5mm)の抗井でセメントプラグ浸透率 1,000d を想定して、漏洩

量を算出し、ピーク時で 600m3/日の結果を得ている。

本シナリオは数値の詳細検討よりも、対策検討を優先すべきものと考えられる。

人間侵入ボーリング孔

0

-200

-400

-600

-800

-1000

-1200

-1400

m

F断層f 断層群

A層

B層

C層

D層

E層

F層

G層

Q層

0 5km

A

B

C

D

EF

G

EE

D

D

CC

BB

AA

X Y注入井(背斜,層序との関係を考慮し本断面上に図示)

超臨界CO2

地下水(CO2)

キャップロック岩盤特性への影響

  シナリオa     シナリオb   ボーリング孔⇒キャップロック   シナリオc   シナリオd~g ボーリング孔⇒超臨界CO2 シナリオh~i    ボーリング孔⇒地下水(CO2)

構造トラップへの影響 キャップロック

帯水層

保有性への影響

間隙水圧への影響

構造トラップへの影響

図 5.3-4 人間侵入 Human intrusion を起点とする漏洩シナリオ概念と FEP 連鎖

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 長さ(m)

空隙率(-)

2y 20y 100y 200y 400y 1000y

a.人間侵入⇒応力特性⇒岩盤特性⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 b.人間侵入⇒構造トラップ⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 c.人間侵入⇒保有不良⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 d.人間侵入⇒間隙水圧分布⇒浮力⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 e.人間侵入⇒間隙水圧分布⇒水頭圧⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 f.人間侵入⇒間隙水圧分布⇒二酸化炭素物理性状⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理

場⇒海底放出 g.人間侵入⇒間隙水圧分布⇒二酸化炭素相状態⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場

⇒海底放出 h.人間侵入⇒構造トラップ⇒地下水(二酸化炭素溶解)移動⇒地下水密度⇒水頭圧⇒地

下水水理場⇒海底放出 i.人間侵入⇒構造トラップ⇒地下水(二酸化炭素溶解)移動⇒地下水密度⇒浮力⇒水頭圧

⇒地下水水理場⇒海底放出

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(4) 未検出断層 Undetected fault を起点とする漏洩シナリオ 事前に検出されなかった断層の影響が岩盤特性ないしは構造トラップまで及ぶもの

で、断層 Fault zone を起点とするシナリオと類似した部分が多い。そのため、定量化

に当たっては前述の「断層 Fault zone を起点とする漏洩シナリオ」の検討結果を参考

とすることも考えられる。

0

-200

-400

-600

-800

-1000

-1200

-1400

m

F断層f 断層群

C層

D層

G層

Q層

A

B

C

D

EF

G

EE

D

D

CC

BB

AA

X Y注入井(背斜,層序との関係を考慮し本断面上に図示)

超臨界CO2

キャップロック岩盤特性への影響

  シナリオa~d     シナリオe シナリオf~g

構造トラップへの影響(地下水CO2)

キャップロック

帯水層

構造トラップへの影響(超臨界CO2)

地下水(CO2)

図 5.3-5 未検出断層 Undetected fault を起点とする漏洩シナリオ概念 FEP 連鎖

5.3.3 断層 Fault zone に関するパラメータ情報の調査 (1) 定量評価に必要な物性データ他:

漏洩量の定量化に当たり必要と思われるデータを表 5.3-1 に示す。このうち、太字デ

ータが未入手である。また、定量化の際に、二酸化炭素の土壌粒子間隙通過時に作用

する毛管圧力の影響を加味することも必要である。

a.未検出断層⇒岩盤特性⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 b.未検出断層⇒岩盤特性⇒浮力⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 c.未検出断層⇒岩盤特性⇒追加シール⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海

底放出 d.未検出断層⇒応力特性⇒岩盤特性⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底

放出 e.未検出断層⇒構造トラップ⇒超臨界二酸化炭素移動⇒地下水水理場⇒海底放出 f.未検出断層⇒構造トラップ⇒地下水(二酸化炭素溶解)移動⇒地下水密度⇒水頭圧

⇒地下水水理場⇒海底放出 g.未検出断層⇒構造トラップ⇒地下水(二酸化炭素溶解)移動⇒地下水密度⇒浮力

⇒水頭圧⇒地下水水理場⇒海底放出

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1688

表 5.3-1 漏洩量定量化に必要なデータ案 必要データ

操業条件 圧入速度、期間、圧入井戸(数量・位置)

構造トラップ

帯水層…温度、圧力、岩質・面積・形態・厚さ・深度・孔隙率・浸

透率

キャップロック…岩質、面積・形態・厚さ・深度・孔隙率・浸透率

派生断層 形態(傾き)・厚さ・深度・孔隙率・浸透率

F 断層(主断層) 形態(傾き)・厚さ・深度・孔隙率・浸透率

(2) 断層の形態 (傾き )・厚さ ① 断層の形態 (傾き )に関する報告は、現在までのところ見つかっていない。

② 断層の厚さに関しては田中、井上により古生代・角礫質にて 10~15m の破砕帯幅

が報告されている 1)。Sperrevik らは砂岩断層において、鉛直ずれと厚さとの相関

から最大で 100m の厚さを確認しているが、これは 1,000m を超える「鉛直ずれ」

に相当するもので、同 100m 以内の場合は、最大でも 20m 以内の厚さに収まる結

果となっている (図 5.3-6)2)。日比谷らが久慈石油備蓄基地建設の際に測定した結

果 (40 試料 )では、断層最大幅 9m で、多くは 1~5m 程度に分布している 3)。

図 5.3-6 断層の鉛直ずれと厚さの関係 (Sinai & Northumberland)

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(3) 断層の孔隙率・浸透率 ① 断層の孔隙率に関する報告は、現在までのところ見つかっていない。 ② 浸透率 (砂岩 ): 砂岩の断層浸透率は多くの数値が報告されている。Rasoul らは 322 試料を粒径、層

厚、混入物等から 7 通りに分類し浸透率を求めており、その多くは 1×102md 以下にあ

る (図 5.3-7)。また、母岩と断層部の浸透率相関から、母岩浸透率を元に幅のある数値

ながら断層部浸透率の推算も可能としている 5)。主要な数値を表 5.3-2 に集約する。

図 5.3-7 fault-rock 322 浸透率測定値 5)

表 5.3-2 砂岩断層浸透率一覧

出典 浸透率 (md) 備考

5~1×105 角礫質 木下 (地層科学研究所 HP)4)

1.9×10~3×103 粘土質

103 角礫質 (水殿 ) 10-3(cm/sec) 田中、井上 1)

102~103 粘土質 (水殿及び一つ瀬 )

Rasoul Sorkhabi, et al5) 7×10-8~5×104 fault-rock 322 試料

詳細は図 7 参照

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1690

③ 浸透率 (泥岩 ):

泥岩は砂岩と比較しデータ数が少なく、傾向を論ずるのは難しい状況にある。

並木らは、地下ダム建設に伴う浸透流解析に上記数値を用いている。秀島らはダム

建設に伴う浸透率を 2 地点で測定し、上記数値を得ている。廣瀬らは間隙水圧上昇に

よる断層の強度低下を解析するため断層周辺 3 地点での測定を行っている。

表 5.3-3 泥岩断層浸透率一覧

(4) その他: ① Sperrevik ら砂岩断層における粘土混入割合と浸透率との外挿から、粘土 100%で

は砂岩本来の浸透率に比較して 4~6 桁の低下が推定されるとしている 2)。

② Sperrevik5)らは、深度 2,500m~3,500m を中心にした測定結果から、深度の増加

に伴う浸透率の低下を確認し、粘土含有量を含めて以下の推算式を提示している。

(5) 漏洩に対する毛管圧力影響の反映 Rasoul5)らは 244 の既存データから断層における浸透率と毛管圧力との関係を整理

している (図 5.3-8)。当該部の浸透率より、毛管圧を求めることが可能であり、平成 15

年度の断層漏洩解析で考慮出来なかった毛管圧力の影響を反映した検討が可能とな

る。

出典 浸透率 (md) 備考

並木ら 6) 1×102 母岩 島尻泥岩

秀島ら 7) 7~2×10 沼田 (北海道 )

廣瀬、早坂 8) 1.6×10-3~

1.2×10-1

丹波帯、超丹波帯 1.6×10-18~

1.2×10-16(m2)

Kf=aexp{-[bCCR + cZmax + (dZf – e)(1-CCR)7〕 }

Kf:fault-rock permeability, CCR: clay content ratio

Zmax:maximum subsurface depth of the fault-rock under consideration

Zf:depth at the time of faulting

a:80,000, b:19.4, c:0.00403, d:0.0055, e:12.5

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1691

図 5.3-8 浸透率と毛管圧力の相関 5)

(6) 断層 Fault zone を起点とする漏洩シナリオ定量評価対応例 ① Schweinrich(ドイツ、CO2 STORE Project)での定量化 9):GHGT-8(2006)

a. 面積:100km2、潜在容量 (計算値 ):500~840Mt-CO2、injection 地点:地下 1,600m

程度、貯留層:Lower Jurassic 層~Upper Triassic 層 (多孔質砂岩 270~380m)

b.上記サイトでのリスク評価の中で、断層を経由した漏洩量を試算し 0.00025~

0.62t-CO2/年 /m2の範囲に収まり、これは欧州や豪州での natural analogs に近い

ものであるとしている。但し、浅部地下水中の二酸化炭素濃度が最大 4%となり、

植物に有害と言われる 5%に近いこと及びモデルの支持者や浸透率データは不明

確で、追加データが必要との見解も述べている (図 5.3-9)。

図 5.3-9 断層漏洩シナリオに基づく表層二酸化炭素の 3 次元モデル

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1692

② 仮想モデルでの定量化 10):GHGT-8(2006) 大規模な natural analogs のモデル化を志向し、下図の仮想断層モデル (幅、浸透率

不明 )にて、漏洩量算出。Joule-Thompson 効果の確認を主眼に漏洩地点からの距離が

異なる 2 箇所 (X-1m,175m)各々で、最大 15~16×10-3kg-CO2/秒 /m2程度の漏洩量とな

り、同効果による温度降下の影響を確認した。

③ Latrobe Valley (Australia、CO2 CRC)における断層リスク評価 11): IEA GHG Risk Assessment Network(2006)

a.石炭発電及び海上部の石油田発生の二酸化炭素を対象。 3 サイトに最大で合計

5,000 万 t-CO2/年の貯留を計画。

b.断層シナリオをイメージしているが、物性・幾何学データの両面で苦慮している。

(石油田側サイトでは、廃坑の存在を最重視しているが、その存在状況の把握や管

理が不十分であることもリスク評価上の問題点と認識している )。

5.3.4 まとめ

(1) 仮想サイトを対象に抽出した 4 つの重要 FEP のそれぞれについて重要シナリオ

を抽出すると共に、シナリオについて考察を加えた。及びこれを起点とする 24 通

りのシナリオの中から、既存検討結果等を考慮して、既存の断層に沿った二酸化

炭素の漏洩を優先的に検討すべきシナリオと評価した。

(2) 重要シナリオの影響評価における重要なパラメータとして断層の厚さ、浸透率、

毛管圧力などに関する知見を収集・整理した。砂岩断層については一定の浸透率

データを収集することができたが、泥岩断層については現状では殆どデータが得

られていない。断層データ取得の困難性として、断層性状は発生箇所及びそのプ

ロセスが一様でないことを考慮すると、浸透率等の物性値を一貫した法則性で整

図 5.3-10 断層二酸化炭素漏洩量

(左 :断層モデル、右 :2 地点での二酸化炭素漏洩量推算)

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1693

理すること、CCS 対象の地下深部では、形態を含め正確な情報を得ることも難し

いと思われることがあげられる。今回の調査では、入手した数値データの幅が極

めて大きいものであった。

(3) 海外では、断層による漏洩の定量評価事例が僅かながらあるが、その検討事例に

おいても、数値データや漏洩機構の両面から、断層漏洩を十分に定量評価出来る

段階に至ってはいない。

参考文献

1) 田中 和広、井上 大栄、断層の定義、考え方 ,土と基礎、Vo.43,No.3,P11~14、

199543

2) Susanne Sperrevik, et al, 2002,Empirical estimation of fault rock

properties,Hydrocarbon seal quantification,11,P109~125

3) 日比谷 啓介、断層破砕帯の工学的取扱い-地下空間の建設を中心として-、土

と基礎、Vo.43,No.3,P21~24、1995

4) 地層科学研究所 HP、http://www.geolab.jp/

5) Rasoul Sorkhabi, et al ,The Place of Faults in Petroleum Traps,Faults,Fluid

Flow,& Petroleum Traps(AAPG Memoir 85),P1~31,2005

6) 並木 和人ら、地下ダム建設における琉球石灰岩の 3 次元水理地質解析、大林技

術研究所報、No.56,P101~106,1998

7) 秀島 好昭ら、沼田ダムの断層破砕帯処理と挙動観測、土と基礎、Vo.43,No.3,P25

~28、1995

8) 廣瀬 丈洋、早坂 康隆、西南日本内帯先白亜紀のナップ境界断層帯の内部構造

と 透 水 性 ― 丹 波 帯 ‐ 超 丹 波 帯 境 界 に お け る 解 析 例 ― 、 地 質 学 会 誌 、

Vol.111,No.5,P300~307,2005

9) Eric Kreft, et al, “The Schweinrich structure”, a potential site for industrial

scale CO2 storage and a test case for a safety assessment in Germany, Paper

GHGT8

10) Jens Brikholzer, et al, Large release from CO2 storage reservoirs: analogs,

scenarios, and modeling needs, Paper GHGT8

11) Cooperative Research Centre for Greenhouse Gas Technologies, The Latrobe

Valley CO2 Storage Assessment, CO2 CRC Report No:RPT05-0220,November

2005

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5.4 環境影響調査(地下深部微生物)

5.4.1 はじめに

(1) これまでの研究概要

研究初年度の平成 12 年度に、二酸化炭素地中貯留システムに関する安全性評価研究

の具体的な方針を検討するために、事業規模の操業完了後、数千年以上の超長期まで

の時間を想定し、安全性に関連する評価手法と知見について過去の論文等を調査した。

その結果に基づき、圧入された二酸化炭素が取ると考え得る状態、状態変化をもたら

す要因事象および状態変化プロセスについてその概略を整理した。 平成 17 年度は二酸化炭素地中貯留が周辺環境へ影響を及ぼし得る側面に関する情

報の整理を行った。本作業は二酸化炭素濃度増加の結果、影響を受けると想定される

人間、地表生物、その他を評価対象となるエンドポイントとして抽出し、それぞれの

エンドポイントに対する影響を類似事例、学術文献等によって調査し、その結果を整

理集約したもので、二酸化炭素地中貯留に関連する現状の周辺技術情報を評価し、我

が国への適用を検討するに当たり、安全上で考慮すべき事項の明確化を図った。

(2) 平成 18 年度研究の位置づけ 平成 18 年度は、従来評価対象として未検討であった地下深部での生物影響に着目

し、深部微生物の存在状況と二酸化炭素地中貯留との相互影響についての既存知見を

整理し、貯留実行時の考慮事項の充実を試みた。

5.4.2 地下深部微生物の存在量及び特性

(1) 生物界上における微生物の位置づけ: 微生物とは、肉眼で構造を判別出来ない微小生物を指す一般名称であるが、大きさ

の範囲は明確に定義されておらず、1 から数 µm の細菌から始まり、カビの様に肉眼的

にコロニーを作るものも、構成単位が顕微鏡的なものは通常、微生物に含まれる。具

体的には原核生物、ウイルス等の極小型の生物で、生物分類上は、現在の主流である

ホイタッカーの 5 界説 (1959 年 )中、モネラ界、原生生物界及び一部の菌界に該当すると

考えられている。

表 5.4-1 ホイタッカーの 5 界説に基づく生物分類 界 特徴 代表生物

モネラ界 細胞核を有しない (原核細胞から構成 ) 古細菌、真正細菌

原生生物界

真核生物 (細胞核を持ち、核膜で区切られている )のうち、菌界、植物界、動物界に属さない

藻類、鞭毛虫

菌界 植物界に近いが、独自の生物群として認識 酵母、カビ、キノコ

植物界 - - 動物界 - -

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(2) 微生物の地下深部存在量 ① バクテリア:細胞壁を持つ原核生物。モネラ界の一部。 バクテリアは深度の増加とは逆に、減少の傾向を示し、Chester らは、海底下 500m

でバクテリアの平均数は 2.76×106/cm3となって、地表部の 97%程度減少が見られると

している 1)。同様に R.John Parkes らは日本海を含む 14 海域の深部を調査した結果

(Ocean Drilling Program,1986-96)、バクテリアは深度と共に減少し、海底下 500m で

は平均的に表層部の 10%程度に減少するとしている (図 5.4-1)1)。

図 5.4-1 バクテリアの深度別分布 図 5.4-2 腐植土層を含む堆積層での (Ocean Drilling Program 14 海域 バクテリアの深度別分布状況 (地中海 ) 実線、破線は各回帰式による )

一方、深度の増加に伴うバクテリアの減少傾向は一様ではなく、R.John Parkes ら

有機物質の多く含まれる地層 (腐植土 )では、バクテリアの増加を確認している (図

5.4-2)。同様に栄養源周辺に偏在する傾向は、日本海のハイドレート層にも認められる

(Cragg ら ) 1)。

② 原核生物:細胞に核を持たない生物。モネラ界の別称。 William B.らは海底下 400~600m での原核生物数を 7.6×106/cm3と推算しており、

地表部の 97%程度減少に該当する 4)としており、バクテリアと同様の傾向を示す。

また、表層での存在量を陸域植物と比較(炭素換算)した場合、その半分程度であ

ることから地下深部での存在量は相対的に極めて少ないものと推定される (表 5.4-2)。

バクテリア総数 バクテリア総数 (対数 )

腐植土層

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表 5.4-2 生態系炭素量一覧(総炭素量:単位 t)

植物 原核生物 (表層 )

陸域 5.6×1011 0.22~2.15×1011

海域 1.8×1011 3.03×1011

(3) 地下深部微生物の特性 ① 石油地帯の代表的属:

Orphan, V.J らは、California 石油地帯の深部 (約 1,500~4,000m)地下水からバクテ

リアの測定を行っている 2)3)。また、RITE では新潟県見附市の油井(約 1,600m)か

ら採取した地下水で同様の測定を行っている 8)。双方で確認された代表的属とその概

略を下表に示す。

表 5.4-3 石油地帯地下水中微生物 7) 属 特徴

Thermococcus 有機物質、特に硫黄の存在下に生息 (硫化水素還元 )、真正・他給栄養で、属中には多くの分離体を有する。多数の鞭毛を有し、運動性

が高い。 Thermotoga (Petrotoga)

周囲に細胞膜を有する典型的な棒状細胞。高温下でも活発で、

Thermotogales は特に安定なため化学、食品等の分野で活用されている。 Petrotoga mexicana は新規の嫌気性高熱バクテリアで、活動的且つ棒状。メキシコ湾の石油井から分離された。

Methanoculleus 日本の南海トラフ深海部で Methanoculleus submarinus の新種である methanogen が発見された。これはメタンハイドレートのメタン供給機能を有すると考えられている。

Desulfovibrio 嫌気性雰囲気で生長する棒状バクテリアで活動的。硫黄還元性を有

する。金属腐食性を持つことから健康、産業安全の観点の関心を集

めている。土壌汚染物を嫌気的に処理する潜在能力を有している。

図 5.4-3 顕微鏡写真(左より Thermococcus chitonophagus、 Thermotoga maritima、Methanogens、Desulfovibrio sapovorans)

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② 深部地下水中の微生物 T.C.Onstott ら は 、 地 下 深 部 の 微 生 物 を 嫌 気 性 の 4 タ イ プ ー メ タ ノ ゲ ン

(mathanogens)、硫黄還元バクテリア (sulfate or sulfur reducing bacteria)、発酵性嫌

気性生物 (fermentative anaerobes)、鉄還元バクテリア (Fe(Ⅲ ) bacteria)に大別出来る

とし、地下水中の酸化還元反応を自由エネルギーの観点から検討し、二酸化炭素と微

生物の相互影響を論じているが 4)、現時点で両者に特筆すべき関係は認められていな

い 6)。主だった関係は以下の 2 点である。

a. 二酸化炭素は主な生物反応 (酢酸発酵等 )を促す効果がある一方、地下水 pH を低

下させ、多くの微生物反応を阻害する一面もあり、促進効果が発現するには pH が

回復するまで時間を要する。

b.長期的には鉄還元バクテリア (Fe(Ⅲ ) bacteria)が促進する反応で pH が増加し、炭

酸塩の析出が促される。これが、(細孔を閉塞し )浸透率の低下に繋がる可能性があ

る。

③ 地中メタン生成菌との相関 RITE では、琵琶湖湖岸地域地下 200m 以浅での地中メタン生成菌を調査し、その遺

伝子配列が深度地下古土壌(paleosol)やメタンハイドレートを含む深海底泥で見つか

ったものと高い類似性を示すと報告している 9)。

5.4.3 IEA GHG R&D Program Risk assessment Network での取組 二酸化炭素漏洩は人間・動物健康、穀物成育及び生態系等の様々な分野に影響を及

ぼし得るが、現在は生態系と言っても対象となる種や目安となる漏洩の限度が定まっ

ておらずデータも殆んどない状態であることが世界の共通認識となっている。平成 17

年 7 月に発足した CO2 GeoNet Joint Research Project(BGS,BGR 等 6 機関)では、

長期間の潜在リスクの評価モデル開発、実行 FS 等に取り組み始めた段階である(2 年

間、予算 400,000ユーロ)。現在の取組は Latera, Laacher See等での natural analogue

や植物への影響検討 (Nottingham 大 )等を手掛けている状況にあり、地下深部の生物 (微

生物 )影響に言及する状況にはない。

5.4.4 まとめ

(1) 二酸化炭素地中貯留実行対象となる地下深部においても、バクテリア、原核生物

等の微生物は存在するが、その量は地表部に比べ大幅に減少する。

(2) 地下深部で二酸化炭素地中貯留と微生物との関連は、研究途上にあり、現時点で

は短期間で相互に直接大きな影響を及ぼしあう知見は得られていない。

(3) 地下深部の原核生物について、陸域植物との存在量を比較すると、極めて少数で

ある。

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(4) 二酸化炭素地中貯留の影響評価に当たり、地下深部微生物を優先的に対象とする

必然性は低いと言える。

参考文献

1) Parkes R.J., et al, 2000,Recent studies on bacterial populations and processes

in subseabedfloor sediments:A review, Hydrogeology Journal, 8(1),11-28

2) Orphan, V.J, et al, 2000, Culture-dependent and culture-independent

characterization of microbial assemblages associated with high temperature

petroleum reservoirs, Applied and Environmental Microbiology, 66(2), 700-711

3) D’Honndt,S., et al, Metabolic activity of subsurface life in deep sea

sediments,Science,295,2067-2070

4) Whiteman W.B., et al, Prokaryotes: The unseen majority, Proceeding of the

National Academy Science U.S.A.,95(12),6578-6583

5) Onstott,T.,2005:Impacts of CO2 injections on deep subsurface microbial

ecosystems and potential ramifications for the surface biosphere, Carbon

Dioxide Capture for Storage in Deep Geologic Formations-Results from the CO2

Capture Project,vol2,Geologic Storage of Carbon Dioxide with Monitoring and

Verification, S,M,Bebson(ed.), Elesvier Science,London,pp.1217-1250

6) Intergovernmental Panel on Climate Change, IPCC Special Report on Carbon

Dioxide Capture and Storage, 2005,34~35

7) MicrobeWiki, http://microbewiki.kenyon.edu/index.php/MicrobeWiki

8) RITE、プログラム方式二酸化炭素固定化・有効利用技術開発 深度地下微生物生

態系による二酸化炭素固定化のための基盤技術の開発 成果報告書 , 2006 年 3

月、P27~33

9) RITE、プログラム方式二酸化炭素固定化・有効利用技術開発 地中メタン生成菌に

よる二酸化炭素からメタン再生のための基盤技術の開発 成果報告書 , 2004年 3

月、P69~72

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1699

5.5 海外動向調査

5.5.1 はじめに

(1) これまでの研究概要 平成 13 年度に安全性に関する考え方を参考にするため、類似事業としてフランスと

ドイツにおける帯水層への天然ガス地下貯蔵事業を海外調査し、適地選定のための事

前調査と圧入操業中の観測を重視していることを明らかにした。

平成 14 から 16 年度に掛けては、 IEA GHG Weyburn CO2 Monitaring & Storage

Project Phase1のスポンサーのひとつとして参画し、二酸化炭素地中挙動に関する技

術的側面、社会的側面の研究に関与し、同プロジェクト関係者間で進捗状況、運営管

理及び計画を協議する Project Coordination Meeting(PCM)に参加して、現地での情

報を収集した。 平成 17 年度は正式発足した IEA GHG Risk Assessment Network に参画し、リス

ク評価、データ管理等のリスク評価周辺分野でのネットワーク活動を開始した。また、

IEA GHG Weyburn CO2 Monitaring & Storage Project Phase2 にスポンサー参画

し、安全管理を中心に現地での情報収集を行った。

(2) 平成 18 年度研究の位置づけ 平成 18 年度は、IEA GHG Risk Assessment Network 及び IEA GHG Weyburn CO2

Monitaring & Storage Project Phase2 の活動を通して、安全管理に関する海外での動

向調査を継続した。

5.5.2 IEA GHG Risk Assessment Network (1) ネットワーク概要

図 5.5-1 IEA GHG Risk Assessment Network 組織

運営委員会

データ管理WG

リスク評価 WG

環境影響評価WG

法規類相関WG

コミュニケーションWG

事務局

データセッ

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1700

表 5.5-1 IEA GHG Risk Assessment Network 業務概要

データ管理 WG リスク評価データの目録整備及び主要プロジェクトで

のリスク評価ベンチマークの検討

リスク評価 WG リスク評価手法、ガイドラインの目録整備及び共同活

用の検討

環境影響評価 WG 生態系及び人間健康を中心とした環境影響情報の集約

法規類相関 WG 現行法規の整理とリスク評価に基づくガイドラインの

整備

コミュニケーション WG WG 成果の広報普及

二酸化炭素地中貯留実用化に向けては、技術の安全性と環境影響範囲を示すことが

必要であり、且つ、生態系及び健康への影響について理解を得ることも同様に必要で

ある。そのためには、オープンで透明性の有るリスク評価手法が求められるとの認識

に立ち、昨年 8 月から 5 年間を目途に 5 つの WG からなるネットワーク活動を発足さ

せた。その組織概要及び業務を上図及び表に示す。

(2) 主たる活動(2nd MEETING,10/5-6, Lawrence Berkeley National Laboratory, California より) 1)

① 環境影響評価関連…陸域生態系への潜在的影響活動 (Jonathan Pearce, BGS) 二酸化炭素漏洩は人間・動物健康、穀物成育及び生態系等の様々な分野に影響を及

ぼすが、現在は生態系と言っても対象となる種や目安となる漏洩の限度が定まってお

らずデータも殆んどない状態である。生態影響・プロセスが解明されることで、リス

ク評価の信頼性は向上する。陸域・海域への生態系影響評価を主眼に IEA GHG R&D

Programme の基金を得て、CO2 GeoNet Joint Research Project を立ち上げて(平成

17 年 7 月より 2 年間、予算 400,000 ユーロ、BGS,BGR 等 6 機関による)、長期間の

潜在リスクの評価モデル開発 (Quintessa 社 )、実行 FS 等を行っている。現在の取組は

Latera, Laacher See 等での natural analogue や植物への影響検討 (Nottingham 大 )

等である。

② 信用構築関連…国際協調概略プラン(重富 則夫 , 三菱総研) CCS 推進に必要な信用構築に向けて、サイト選定の基準・ガイダンスやモニタリン

グ、操業、修復などのガイドラインが必要である。国際協調の考え方を中心に東京で

関連のワークショップ開催を計画し、実施した (1/24-25)。

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1701

③ その他 EPA での法規制に向けた取組、実行ないしは計画段階にある各国 project 及び統計

データ、法規制について 10 ヶ国の規制者・実行者を対象とした調査結果の各紹介、法

規制フレームワークの考え方、リスク評価全般紹介及び 4 プロジェクトでのリスク評

価事例紹介 (Latrobe Valley- CO2 CRC, Andy Rigg、Mountaineer– Battelle, Neeraj

Gupta、Weyburn– PTRC, Malcolm Wilson.、Schweinrich - TNO, Rob van Eijs,and

Vattenfall, Sara Eriksson)を行った。Latrobe Valley プロジェクトでは主要なリスク

として本来が油田であることから、サイト内の廃坑の存在を最重視しているが、その

存在状況の把握や管理が不十分であることを主たる弱みと認識している。その他、時

間や予算の関係から FEP等によらない評価となっている点や断層や井戸からの漏洩速

度に関する (一般に受け入れられ易い )権威あるデータが不足していることなどが弱み

と認識している。彼等のリスクシナリオの一つに断層からの漏洩が上げられており、

物性・幾何学データの両面を主要な問題点と認識していた。彼等の断層対応は「一定

の距離を置いて注入する」、「その距離はシミュレーションにより推算する」とのコメ

ントであった。

5.5.3 IEA GHG Weyburn CO2 Monitaring & Storage Project Phase2 (1) プロジェクト概要

Weyburn では平成 12 年 9 月より EOR(Enhanced Oil Recovery)による二酸化炭

素地中貯留を行っており、二酸化炭素地中貯留技術で長期間に亘るフィールド規模で

のデータを持つ数少ないサイトの一つである。 IEA GHG Weyburn CO2 Monitoring &

Storage Project PhaseⅡ (以下、PhaseⅡ )では「貯留開発及び操作に関する実践マニュ

アル作成」を目標に Phase1(2000~2004 年)での継続検討 (キャップロックに関する

詳細検討、希ガスを用いた漏洩経路の確認 )及び収集した地質データのデータベース

化、リスクアセスメントモデルの作成を行っている。又、これに並行して ITC CO2

Capture Phase 2 では二酸化炭素分離回収技術の経済性改善を主眼に、アミン系溶剤

(含む、開発品)を用いた詳細コスト試算、パイロット装置を用いたデータ、発電設備

への設置検討、材料腐食・溶剤劣化のデータ収集等を実施している。

主たるスポンサーは Natural Resources Canada, Sask Industry and Resources,

United States Dept. of Energy, ChevronTexaco, Nexen Canada, SaskPower, Total,

TransAlta Utilities Corp, nab.等 (ITC CO2 Capture Phase 2 のスポンサーは Natural

Resources Canada, Saskatchewan Industry and Resources, Saskatchewan Power

Corporation, The University of Regina, Alberta Energy Research Institute 等 )。

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1702

(2) プロジェクト実施内容 ① IEA GHG Weyburn CO2 Monitaring & Storage Project PhaseⅡ 2) a 土壌ガス測定

図 5.5-2 資料採取地点

図 5.5-3 土壌ガス分布経年変化(左上 :CO2、左下 :O2,右上 :Rn、右下 :Tn)

(青線:2005 年、黒実線:2004 年、黒波線:2001~2003 年)

プロジェクトスタートに当たり、初期データ採取の一環として Phse1 と同一範囲で

の試料採取・分析を行った。土壌ガス組成分析では二酸化炭素濃度経年変化が認めら

れ、地表下 2m では二酸化炭素と酸素濃度が逆相関を示す点、気温、地下水位等の関

連から、土壌ガスへの生物活動影響の示唆が報告されている (Rn,Tn の無機物濃度は

これに係り無くほぼ一定濃度を示す )。その他、地下水測定等、以下の 6 項目は、採取

データの整理及び解析中途にある。

土壌ガス

採取地点

(左図 青線内、

全 360 点 )

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1703

b 地下水測定と経年変化測定 c 貯留層の地球化学測定 (水、ガス、イオンの各測定 ) d 原油性状、組成の測定 e 地震探査 f ナチュラル・アナログ (サスカチュワン州南西部 )データ測定 g プロジェクトデータの管理

② ITC CO2 Capture Phase 23) a 溶剤試験

Phase1 で開発した MEA 及び MDEA 混合系吸収剤の改善及び実用化を主眼に、性能

評価・操業条件検討を行った。5:2MEA/MDEA は MEA 単独に比べて同一熱量下での吸

収能力が高く、半年間での性能低下は認められない。同 4:2 は 4:1 より高性能を示す。

又、石炭発電所からの排ガス吸収液には天然ガス発電所からと比較して、硫黄化合

物、アルコール類等の多様な同伴物が含まれ、再生時の障害となり、溶剤劣化に繋がり

易いデータを得ており、更に知見を集積する中途にある。その他、プロセスの経済性

及び反応条件は溶剤データの収集と並行して検討中にある。

(3) 今後のプロジェクト計画 ① IEA GHG Weyburn CO2 Monitaring & Storage Project PhaseⅡ

a.地質の完全性 (サイト選定、亀裂・断層の影響評価等 )

b.廃坑の完全性 (廃坑施工、修復、監視ポイント他 )

c.モニタリング手法

d.リスク評価と貯留メカニズム

図 5.5-4 CO2 production 比較

図 5.5-5 CO2 production,Heat Duty 溶剤比較

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1704

② ITC CO2 Capture Phase 2

a.システム解析(集積知見の融合)

b.既存発電施設への適用試験

c.詳細コスト計算

d.操業問題点の対応 (腐食のモニタリング、溶剤の劣化 )

5.5.4 まとめ

(1) 平成 17 年に発足した IEA GHG Risk Assessment Network では環境影響評価及

び信頼性構築関連を中心に活動が進んでいる。

(2) IEA GHG Weyburn CO2 Monitaring & Storage Project Phase2は初期データの

採取・分析を行い、土壌ガス組成分析では二酸化炭素濃度経年変化から、土壌ガ

スへの生物活動影響の示唆が報告されている。 ITC CO2 Capture Phase 2 では、

Phase1 で開発した MEA 及び MDEA 混合系吸収剤の実用化に向けたデータ採取及

びプロセス検討を実施中である。

参考文献

1) IEA GHG Risk Assessment Network Final Report

(http://www.co2captureandstorage.info/networks/networks.htm)

2) Petroleum Technology Research Center, IEA GHG Weyburn-Midale CO2

Monitoring and Storage Project, Project Progress Summary, August 8 , 2006

3) The International Test Center for CO2 Capture, Activities at Boudary Dam CO2

Capture Demonstration Plant & Multi-Purpose Technology Development Plant

at the University of Regina, August 2006

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5.6 まとめと今後の課題

鉱山保安法、高圧ガス保安法及び WAG(Waste Assessment Guideline-ロンドン条約

1996 年議定書附属書Ⅱ評価ガイドライン )を二酸化炭素地中貯留の安全指針関連法規

類と考え、同指針の必要事項との比較を行ったところ、これを満足することを確認し

た。しかし、WAG を主に公共の安全確保に必要な内容を精査したところ、実用化に当

たり明確化すべき内容が 6 項目に上り、このうち 2 項目は、海外の類似事例である天

然ガス等の地下貯蔵で用いられる規格を参考として、活用し得ることを確認した。 仮想サイトを対象に抽出した 24 通りの重要シナリオの評価では、従来の検討結果等

を考慮して、既存断層に沿った二酸化炭素の漏洩を優先的に検討すべきシナリオと評

価した。漏洩量の定量評価に備え、そのモデル化及び断層の諸物性値を調査したが、

断層は発生箇所及び生成プロセスが一様でないため、浸透率等の物性値を一定の法則

性で整理することが難しい。また、CCS 対象の地下深部では、形態を含め正確な情報

を得ることも難しいと思われる。今回の調査では、入手し得る数値データの幅が極め

て大きいものであった。関連した海外の検討事例においても、数値データや漏洩機構

の両面から、断層漏洩を十分に定量評価出来る段階に至ってはいない。

二酸化炭素地中貯留における貯留対象になる地下深部への影響として、バクテリア、

原核生物等の微生物への影響を調査した。その存在量は地表部に比べ大幅に減少し、

陸域植物との存在量(炭素量)を比較すると、極めて少数である。二酸化炭素地中貯

留と微生物との関連は、研究途上にあり、現時点では短期間で相互に直接大きな影響

を及ぼしあう知見は得られていない。二酸化炭素漏洩の生態系影響は目安となる漏洩

データが、全般に不足しており、現時点で二酸化炭素地中貯留の影響評価に当たり、

地下深部微生物を優先的に対象とする必然性は低いと言える。

安全管理を巡っては国際的に情報交換及び共通化が促進されており、既存プロジェ

クトの動向と併せて海外の情報収集に努める必要があり、現行の Weyburn プロジェク

ト・スポンサーとしての参画等を活用し、スポンサー、メンバーとして動向調査を継

続することが重要である。安全指針案はロンドン条約付属議定書の改正に伴い、国際

的に実現に向かう方向にあり、国内外の状況に併せた対応が求められる。定量的安全

評価を行う上で、断層に沿った漏洩の評価は避けることの出来ない問題であるが、今

年度の結果から明らかなように周辺データの明確化には限界があり、サイト選定条件

の厳格化や突発時の修復手法の確定等の別の切り口からの安全確保を検討する必要が

あろう。海域環境影響調査では、更に様々なケースについて評価を行うことが重要で

あり、前年度の検討結果から実サイトに近い条件での影響検討等、化学物質の生態影

響評価によく利用される予測無影響濃度を、二酸化炭素影響評価により適した指標と

する枠組みを含めて今後の課題と考えられる。