Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
Ver1.0
1
30分でわかる物理
いや、どうすりゃいいのさ 30分って・・・いいよ、わかったよ、説明してやるよ!!
□3 回路
えー3学期の初めは、回路のお話から入ろうと思います。
たとえば左の図のように、導線があったとします。マイナスの自由電子が動くんですが、
それがどんどん導線の端に溜まってマイナスに帯電するわけですね、これだと電流が続き
ません。
「回路」というのは、電流が流れる経路のことを言うのですが、そのスタートとゴール
が一緒なんですね。つまり繋がってるということです、右の図のように。さっきとは違っ
て自由電子が溜まらないから、電流が継続するわけですね?
(1)回路図
JIS規格に定められている記号をまとめてみました。
Ver1.0
2
○直流と交流
電気に2種類あるのは皆さん知ってますね?直流(DC)は乾電池や車のバッテリー、交
流(AC)は家庭用電源などに使われます。グラフを見てみるとその違いがわかるかと。
直流・・・電圧が常に一定である。
交流・・・一定の周期で電圧が変動する。
(2)キルヒホッフの法則
はいまず、↑の人名 3回言いましょうね!絶対噛みますから。噛みまみた。・・・ゴホン
ゴホン。では最初におおもとの法則を言っておきましょう。
「分岐が無ければ電流はどこでも同じ大きさ(強さ)」
つまり左下の図みたいになります。当たり前のことだからといって、さらっと流すのは、
よくないですよ。
I1 = I2 = I3
○キルヒホッフ第1法則
これも大事ですね。まあ右上の図みて考えればわかると思います。
「分岐点の流入電流の和と流出電流の和は等しい」
理由として、電気は溜まらないし発生・消滅しない、ということがありますね。
I1 + I2 = I3 + I4
Ver1.0
3
○キルヒホッフ第2法則
「回路1周分の電位の上下(昇降)の合計は0になる」
みなさん、「電位差」覚えてますか?「電圧」と同じ意味でしたね。そして、直流電源の
+側が高電位、-側が低電位でした。つまり、直流電源の-から+へいくと、電位が下が
るわけです。逆の+から-だと、もちろん電位は上がります。ちなみに流れている電流が
抵抗を通過しても電位が下がります。
ではそれを踏まえて図を見てみましょう。電流は矢印の通りに流れています。左下を始
点と決めて、そこの電位を V0 = 0[V]とおきます。すると、左上の電位はいくつでしょうか。
左下から左上にいくまでに、V1[V]の電池を-から+にたどりますね。だから、電位はそ
の分だけ増えます。左上の電位は V0 + V1 = V1[V]というわけです。
では左上から右上へはどうでしょう。この間には抵抗があるので、電流の流れている方
向に向かって電位は下がっていきます。流れている電流が I1[A]、抵抗の大きさが R1[Ω]な
ので、オームの法則(V = IRです、覚えてましたか?)により電位は I1R1[V]だけ下がってい
ます。右上の電位は V1 - I1R1 [V]ですね。
さてこんな風に見てきたのですが、結局何が言いたいのかというと・・・1周すると元
に戻る!ってことです。今始点から時計回りに見てきましたが、最後までやると始点に戻
りますよね。その値は
V1 - I1R1 - V2 + I2R2
となるはず。これが始点 V0と等しいわけです。要するに
V1 - I1R1 - V2 + I2R2 = V0
だから
V1 - I1R1 - V2 + I2R2 = 0
つまり、どこでもいいから1周すると電位がどう変化するか調べて、それを全部足すと綺
麗に0になるんです!便利ですねこれは。
Ver1.0
4
○第1法則と第2法則を併用すると・・・
例えばこんな感じのめんどくさそうな回路があったとしますね・・・。解き方を見てみ
ましょう。ちなみに、電流が直流電源に-から+へ流れると放電、+から-に流れると充
電、をそれぞれ意味します。
①第1法則を用いて電流の文字設定
この時、文字数をできる限り少なく抑えるのが鉄則です。というわけで I1[A]と I2[A]をと
りあえずおいてみました。そうすると合流してるところがわかります、当然 I1 + I2 [A]でご
ざいます。これで回路中の全ての電流の大きさが表せました。
②第2法則を用いて独立な方程式を作る
まず第2法則を使うためには、回路が1周している部分を見つけなければいけません。
この場合だと、3つあるのはすぐわかると思いますが。まあそのうち、10Ωと 5Ωの抵抗を
通るもの(青)と、10Ωと 20Ωの抵抗を通るもの(赤)について考えてみましょうか。
左下を始点として、それぞれ方程式をたててみると、
-I1[A]・10[Ω] + 14[V] - 5[V]+ I2[A]・5[Ω] = 0
-I1[A]・10[Ω] + 14[V] - 15[V] - (I1 + I2)[A]・20[Ω] = 0
こうなりますよね。あとはこれを解いてやればいいんです。つまり答えは
I1 = 0.5[A]、I2 = -0.8[A] となりますね。
これを踏まえて、もし回路の分岐点がもっと増えたらどのような計算をすればいいでし
ょうか。前の図では分岐点の数、電流の設定に使った文字の数、独立した方程式の数は全
て 2個だったはずです。では次の図のように分岐が 4つ、あるいは 6つあったら・・・
Ver1.0
5
こんな感じで分岐点の数を増やしていくとどうなるのか、表にまとめると
分岐点の数 0 2 4 6 ・・・ 2n
電流設定に使う文字数 1 2 3 4 ・・・ n+1
独立な方程式の数 1 2 3 4 ・・・ n+1
こうなることはもうおわかりいただけたでしょうか。
(3)対称性
次のように、立方体の形をした抵抗がつなが
った回路があるとします。この時の I[A]の値が
どうなるか考えてみましょう。太くなぞってあ
る部分を1周としてみます。
☆の地点で 3つの分岐がありますが、どこに
行っても等しい 1[Ω]の抵抗があるので、第1法
則により電流は 3等分されます。つまり I/3[A]
ですね。その次の分岐は 2つなので、半分の
I/6[A]になります。 そのあとは合流して I/3[A]、
I[A]と戻っていくのは明らかでしょう。
電流の大きさが分かったところで、第2法則で方程式をたててみると
12[V] - I/3[A]・1[Ω] - I/6[A]・1[Ω] - I/3[A]・1[Ω] = 0
これを解いて
I = 14.4[A] です。
(4)合成抵抗
合成抵抗とは、回路に複数の抵抗を繋いだ時の「全体」の抵抗のことをいいます。
例えば(3)の回路では、12[V]の電圧に対して 14.4[A]の電流が流れていたので合成抵
抗は、
12[V] / 14.4[A] ≒ 0.833[Ω] です。
では次の 2つの図における合成抵抗を、それぞれ R1[Ω]、R2[Ω]とおいてみましょう。
Ver1.0
6
抵抗を直列につないだ時は、単純にそれらを足し算すればその回路の合成抵抗になりま
す。キルヒホッフ第2法則を使うと
-I1[A]・1[Ω]・4 + V1[V] = 0 となり、
R1 = V1[V] / I1[A] = 4[Ω] ですね。
並列に繋いだ時は、それぞれの抵抗に流れる電流が分散されるので
-I2 /4[A]・1[Ω] + V2[V] = 0
となり、
R2 = V2[V] / I2[A] = 1/4[Ω] と全然違う値が出てきます。
□4 ジュール熱
(1)電流による仕事
えーと、電位の定義に使った式覚えてますか皆さん・・・僕は忘れましたよ、はい。
電圧[V] = 仕事[J] / 電荷[C]
電荷[C] = 電流[A]・時間[s]
らしいですね。まあ詳しいことは 2学期にやったので省略します。
では本題に入りましょうか。次の図のように R[Ω]の電気抵抗があったとしますね。その
中には5個の自由電子がいて、それらが持つ位置エネルギーを U[J]とします。
t[s]経ったとしましょう。すると、自由電子が少し左に移動しました。どのくらい動いた
かというと、-I[A]・ t[s] = -It[C]のはずです。
ここで右側に注目してみます。0[V]の電位の場所から-It[C]の電荷が抵抗に入ってくるの
で、0[V]・(-It[C]) = 0[J]増えることになります。
では左側はどうでしょう。V[V]の電圧の場所から-It[C]の電荷が出ていくので、V[V] ・
(-It[C]) = -ItV[J]だけエネルギーが減ります。
つまり、右側 0[V]のところの位置エネルギーは U[J] + 0[J]、左側 V[V]のところの位置エ
ネルギーは U[J] - ItV[J]となりますね。これらの差をとると、位置エネルギーの減少分がわ
かるわけです。
(U[J] + 0[J]) - (U[J] - ItV[J]) = ItV[J]
結局どういうことかというと、I[A]の電流が V[V]の電位差を持つ抵抗を t[s]だけ通ると、
ItV[J]エネルギーが減少するわけです。
Ver1.0
7
○ジュールの法則
さっきのことをまとめたのが、ジュールの法則です。もちろんジュールさんが発見しま
した。
Q[J] = I[A]・V[V]・t[s]
例えばこういうことです。左下の図のような抵抗を、電流が 3分間流れた時に生み出さ
れるエネルギーQ[J]を求めてみると、
Q = 0.20[A]・1.5[V]・3・60[s] = 54[J] となるわけですね。
○仕事率
仕事率とは、時間あたりの仕事量のことをいいますね。つまり
仕事率[W] = 仕事[J] / 時間[s]
これを電流について言い換えるとこうなります。
(消費)電力P[W] = Q[J] / t[s] = I[A]・V[V]
例えば右上の図のように 100Vの抵抗に、0.60Aの電流が流れていたときの電力を P[W]
とすると、
P = 100[V]・0.60[A] = 60[W] というわけです。
そしてここまでの知識で、また新たな公式を作ることができます。
V[V] = I[A]・R[Ω] ・・・電圧
P[W] = I[A]・V[V] ・・・仕事率(消費電力)
でしたね。これを組み合わせると
P = I^2・R = V^2 / R
つまり電力は、電流の2乗かける抵抗、電圧の2乗わる抵抗、にそれぞれ等しいという
ことになります。
Ver1.0
8
○(消費)電力量
電力を時間でかけたものを電力量といい、電流による仕事量を表します。
仕事量[J] = 電力[W]・時間[s]
仕事量[Wh(W時)] = 電力[W]・時間[h]
例えば、教室にある蛍光灯は 40Wで、34本あります。これが1時間点灯した時の電力量
はいくらかというと、
40・34[W]・1[h] = 1360[Wh] = 1.36[kWh] となります。
ちなみにWhはワットアワー、kWhはキロワットアワーと読みます。まあ kWhがWh
の 1000倍の単位であることはすぐわかるでしょう。
(2)電流による温度上昇
ジュールはある日(っていつだよ?)実験をしました。左下の図のように水M[g]の中に
入れた羽根車に糸を巻き、それをmg[N]のおもりに繋ぎます。おもりを重力の力で x[m]引
いて羽根車を回すと、水の温度が T[℃]上昇しました。
この時おもりを引っ張る重力の仕事は、mg[N]・x[m] = mgx[J]です。つまりmgx[J]の仕
事で、M[g]の水の温度が T[℃]上がったわけです。
そこで、この温度上昇に使われた熱を、水の温度と質量の積であらわすことにしました。
これを熱量といい、単位は calでカロリーと読みます。
熱量[cal] = 質量[g]・温度[℃]
ちなみに、1[cal] ≒ 4.2[J]、1[J] ≒ 0.24[cal]です。
そういうわけで、この問題での温度上昇で使われた熱量は
M[g]・T[℃] = MT[cal] となるわけですね。これはmgx[J]と等しいです。
では右のほうの図で、5.0分間電流を流しました。ただし電流による仕事は全て水の温度
上昇に使われるとします。水は何℃上昇するでしょうか。
Ver1.0
9
電流による仕事 Q[J]は普通に計算できますよね。
Q = 0.60[A]・100[V]・5.0・60[s] = 18000[J] = 18000・0.24[cal]
上昇した温度を T[℃]とすると、
18000・0.24[cal] = 200[g]・T[℃]
これを解いて T = 22[℃] 有効数字忘れないでくださいね~今回は2桁です。
この問題を利用すれば、カロリーを計算する公式が作れますね。
Q[cal] = 0.24・I[A]・V[V]・t[s]
□5 磁場
ついに最後の話になってしまいました・・・少しさみしいですね;;
(1)磁石
鉄にくっつくあの磁石、5000年前にはもうあったのではないかといわれてます。
ところで、磁石にはNとSの2つの磁極がありますよね。このことを磁気双極子といい
ます。では、N極だけの磁石、S極だけの磁石(磁気単極子)ってあるのでしょうか・・・?
いや、さすがにないですね。現在ではそのようなものは発見されてないらしいです。
あ、あと図のように磁石を2つに割ってやると新しい極ができるのも知ってますよね。
磁気双極子だから絶対にN極とS極ができます。
(2)磁場の定義
磁場とは、磁極に力を及ぼす空間のゆがみのことです。・・・はい?よくわかりませんね、
すいません。
例えばあるN極は、他のN極が来るとそのN極に斥力を及ぼしますよね。それを、下の
ように線や矢印で表そう、という話になったみたいなんです。まあ書き方はいろいろある
ので特にどうというわけでもないです。
Ver1.0
10
○向きの定義
「N極が受ける力と同じ向きを、その点の磁場の向きとする」
つまり図のようになります。まあそんなに難しくないですね。N極からは外向きの磁場
が働き、S極は逆に内向きの磁場が働く、というのもわかるでしょう。
ではこれを利用して、棒磁石の磁場を書いて見ましょう。結論から書いてしまうとまあ
こんな感じです。方位磁石をおくと、N極がこの矢印の向きと同じになるはずです。
ある一点での磁場の向きも、中2の知識でわかります。N極からの磁場、S極からの磁
場をまず書きますよね。近いほど強く、遠いほど弱くなるので矢印がその通りになるよう
に書きましょう。そして、それらを力の合成というやつでまとめてしまうといいわけです。
平行四辺形を書いてみてください。
さて話は変わりますが、鉄はなぜ磁石にくっつくのかというと、鉄は磁石に近づくと、
その磁極の影響を受けて引力がはたらくような磁極を発生させるからです。図のように磁
石がN極だとすれば、反対の極になるわけですね。もちろん、鉄と磁石を遠ざければ鉄の
磁極は消えます。
Ver1.0
11
(3)電流による磁場
これは言葉で説明するより、アンペールさんが考えた右手の法則を使えば一瞬です。
ではでは右手の親指を上にたててください。はいそれでおkですw親指の向きが電流の
向き、他の指の向きが磁場の向きです。ちなみにこれは右ねじを使っても同じです。
これを使えば円形電流(左図)やソレノイドコイル(右図)の磁場の向きもわかると思
います。空洞部分の磁場が、それぞれ手前から奥、左から右とわかるでしょう。
(4)電流が磁場から受ける力
○フレミング左手の法則
今度は左手の、親指、人差し指、中指がそれぞれ垂直になるように広げてみてください。
すると、人差し指が磁場、中指が電流、親指が電流の受ける力になります。
Ver1.0
12
○モーター
モーターは、磁場が電流に及ぼす力を利用した回転装置です。上から見た図と、横から
見た図をそれぞれ書いておきます。
まず、磁石があるので磁場が左から右に発生しますね。電流は左の図の、黒い矢印のよ
うに流れています。
ここで左手の登場です。磁場と電流の向きを合わせてみてください。オレンジの矢印の
方向に力がかかることがわかると思います。つまりこのコイルは、反時計回りに回るとい
うことです。
○整流子とブラシ
次の図もモーターですが、さっきのよりは複雑な構造をしています。整流子は円に穴が
あいた感じの構造になっていて、これが交互にブラシと接触するんですね。これを使うと、
コイルが半周するごとに電流の向きが変わるので、より効率的にコイルを回すことができ
ます。
基本的な構造は同じです。下の図に矢印を書いておいたので、左手を使って確認してみ
てください。
Ver1.0
13
(5)電磁誘導
○フレミング右手の法則
えーとまた右手ですね・・・今度は「起電力の向き」がわかります。回路と起電力があ
れば、電流が流れます。
右手を、左手と同じように開いてもらうと、人差し指が磁場、親指が速度、中指が起電
力になるはずです。つまり中指の向いている向きに電流が流れる、というわけです。
では、先程のモーターを使い、発電することを考えてみましょう。今回はモーターに、
電源ではないものを繋ぎます。
手でコイルを回すと、速度が発生しますね。それが親指にあたるわけです。磁場は当然、
磁石によって発生しています。ここで右手を使うと、電流がどっち向きに流れているかわ
かるはずです。電流の向きはオレンジ色で書いておきました。
Ver1.0
14
○最後!
次の図のように、導線が2つあります。それぞれに、フレミングの左手・右手の法則が
あてはまっているのを確認してください。
では突然ですが、電子の気持ちになりましょう(!?)
まず左の導線について。電子には当然左向きの力がかかっていますよね。また、電子は
電流と反対向きに動くはずなので、下に動きます。つまり下向きの速度がかかっているの
です。
では右は・・・。起電力によって電流が流れるので、電子は逆方向の左に行きます。つ
まり左方向に力がかかるわけですね。もちろん速度は下向きです。
あれ・・・?同じじゃね・・・?
「すべての現象をひとつの考え方で説明する」
さすがM山先生だ!最後の授業けっこう感動しましたよ。
あとがき:
もーりーの口調を真似しようと思ったんですがけっこう難しかったので途中から僕丸出
しになってしまいましたwすいません。というか、30 分で全部やるのはけっこうきつかっ
たかもな・・・まあ皆さん、頑張って読んでくださってありがとうございました!