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感染性胃腸炎 魚沼基幹病院 感染管理認定看護師 目崎 1 感染予防対策リーダー養成研修会 30101

30年度感染予防リーダー養成研修 NO3-1 感染性胃腸炎 · 家庭内での感染性胃腸炎発生状況を確認する。 感染性胃腸炎症状のある人がいたら要注意。

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Page 1: 30年度感染予防リーダー養成研修 NO3-1 感染性胃腸炎 · 家庭内での感染性胃腸炎発生状況を確認する。 感染性胃腸炎症状のある人がいたら要注意。

感染性胃腸炎

魚沼基幹病院

感染管理認定看護師

目崎 恵

1

感染予防対策リーダー養成研修会 30.10.1

Page 2: 30年度感染予防リーダー養成研修 NO3-1 感染性胃腸炎 · 家庭内での感染性胃腸炎発生状況を確認する。 感染性胃腸炎症状のある人がいたら要注意。

感染性胃腸炎に備える

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本日の内容

1. ノロウイルスとは何か知る

2. ノロウイルスの感染対策

3. 施設内で集団発生させないために考えておかなければならないこと

4. 吐物処理の実際を体験

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ノロウイルスとは何か

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1.特徴

乳幼児から成人までの幅広い年齢層に起

こすウイルス

冬季(毎年11月~翌年の4月ごろ)にかけて流行するが年間を通して発生している。

感染力が非常に強い。

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2. 感染経路

「食中毒型」と「二次感染型」

食中毒型・ノロウイルスに汚染された牡蠣などの二枚貝を生食または加熱不十分での喫食・感染した調理者等を介して汚染された食品等からの感染二次感染型

・感染者の糞便、吐物などから、直接または間接的に、手や環境表面、物品を介して感染

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3. ノロウイルスに感染した時の症状

体内にウイルスが入ってから12時間~48時間の間に、激しい嘔吐、下痢、腹痛が出現。

時に、発熱、頭痛、筋肉痛を伴う。

症状は1~3日続く。ウイルスは、症状が消失した後も3日~7日程は便中に排泄される。

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4. 診断と治療【診断】

医療機関でないと実施できない。

電子顕微鏡によるウイルス粒子の観察、ウイルス粒子中の核酸検出、ウイルス表面の抗原の検出。

検査は通常、保険適応外となる(3歳未満、65歳以上、免疫抑制剤内服中、移植後などは保険診療で可)

【治療】

対症療法(脱水になったら補液等)のみ

下痢止めは使用しない。

ウイルスに効果のある薬はない。8

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5.消毒

熱に強い

85℃で1分以上の加熱が必要。

第四級アンモニウム塩やアルコールは効果が不十分で、次亜塩素酸ナトリウム液による消毒が効果的。

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ノロウイルスの感染対策

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1.手指衛生

ノロウイルスに汚染された手指を介して感染が

拡大する。(どこにノロウイルスがいるかわからない)

排泄物の処理のあと、調理や食事の前、トイレの後

には必ず流水と石けんで手を洗う。

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2.適切な吐物処理

①必ず使い捨ての防護具を着用して行う

② 吐物をしっかり物理的に除去する。③ 吐物の除去後は、0.1%次亜塩素酸ナトリウム液を含ませたペーパータオルでしっかり清拭し拭き取る。

④ 使用した個人防護具、ペーパータオルは密閉しすべて廃棄する。

⑤ 防護具を脱ぐときは、順番を守り、自分が汚染しないように脱ぐ。

⑥ 必ず石けんと流水による最終手洗いを行う。

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3. 器具や環境消毒

器具や調理器具は十分に洗浄し、熱湯消毒(85℃1分間)、または0.02%次亜塩素酸ナトリウム液に30~60分間浸漬消毒する。

トイレやドアノブ、手すりなどは0.02~0.05%次亜塩素酸ナトリウム液で清拭消毒する。

便や嘔吐物が付着した箇所を消毒する場合は、

0.1%次亜塩素酸ナトリウム液を使用する。

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4. リネン類の取り扱い

汚物をしっかり除去する

(汚物除去時は、手袋、マスク、エプロンを着用する)

熱水洗濯する(80℃10分以上)あるいは

0.05%次亜塩素酸ナトリウム液に60分間浸漬消毒する。

その後、他のものと分けて最後に洗濯する。

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次亜塩素酸ナトリウム溶液について

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消毒剤の計算方法

0.02%次亜塩素酸ナトリウム液を5000mL作りたい1%次亜塩素酸ナトリウム液○○mL必要?

○○=100mL1%次亜塩素酸ナトリウム液○○mL必要?

○○=16.7mL0.1%次亜塩素酸ナトリウム液を500mL作りたい(ハイターは5%)

0.1×500 = 5×○○mL○○=10mL

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0.02×5000 1%×○○mL

0.02×5000 6%×○○mL

(ミルトン1%、ピューラックス6%、ハイター5~6%)

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1000mLの溶液を作成する!

濃度 1%(ミルトンなど) 5%(ハイター) 6%(ピューラックス)

0.01% 100ppm 10mL 2mL 1.7mL

0.02% 200ppm 20mL 4mL 3.3mL

0.05% 500ppm 50mL 10mL 8.3mL

0.1% 1000ppm 100mL 20mL 16.7mL

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感染性胃腸炎なのかどうか?

標準予防策ってなんだっけ?

湿性生体物質は感染性のあるものとして取り扱う考え方。

ノロウイルス(感染性胃腸炎)だから対応する、そうでないから対応しない、のではだめ。

吐物や便はすべて、感染性がある!!と考える。

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施設内で集団発生させないために考えておかなければならないこと

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持ち込みさせない、持ち込まない

ノロウイルスによる感染がいきなり施設内で発生することは、通常考えられない。

なぜ?牡蠣などの二枚貝を生で食べますか?

誰かがウイルスを持ってこない限り通常発生しない。

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利用者の持ち込みを避ける

家庭内での感染性胃腸炎発生状況を確認する。

感染性胃腸炎症状のある人がいたら要注意。

施設内に入る時には、手洗いをしっかりしてもらう。

症状をよく観察する。

家庭内の状況を把握していれば、何かいつもとおかしいと感じたときに、すぐに対応ができる。

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演習

吐物処理の実際

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こんなときどうすればいいの?

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畳やカーペット、マットレスが吐物で汚染した

ノロウイルス

•85℃で1分の熱消毒•次亜塩素酸ナトリウムで消毒ペットシーツを使用する方法

1. 吐物を十分取り除いた後で、汚染箇所の上をペットシーツ(吸水面は上に向ける)で覆う。

2. ペットシーツの吸水面に沸騰したお湯をかける。

3. 充分な量の湯を注ぎ終わったら、ペットシーツをレジャーシートで素早く覆い、その上からタオルを2枚重ねてかけ、しばらく放置する。

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