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平成 30 年度 情報工学コース卒業研究報告要旨 長尾 研究室 卒業研究題目 仮想空間におけるミーティングの効果的なインタ フェースおよび記録手法 近年, Virtual Reality(VR) はエンターテインメントに限らない様々な分野で活用が進め られており,VR 内でリアルタイムかつマルチユーザで体験できる,共有された空間に価 値が見出されている.その一例として VR を利用したミーティングが行われるようになっ てきたが,その多くは単なるテレワークの延長に留まっている.. また,,3D オブジェクト の表示のみでは不十分であり,アニメーションの作成にもコストが大きいという問題があ る.そこで,本研究では仮想空間におけるミーティングシステムとその利用法を提案する. 本システムでは, Head Mounted Display である VIVE Pro VR 内に手の位置と指の曲 げを反映させるハンドトラッカー,Nintendo 社が製造販売している Joy-Con を使用する. ユーザはあらかじめ Web を通してミーティングの開催や参加,必要な資料の登録を行い, それらをミーティング開始時にダウンロードする.本システムはユーザの使用するクライ アントシステムとその他複数のサーバで構成されており,ミーティング中の操作はサーバ を通して通信され,スライド・ポインタ等の操作情報を各ユーザ間で共有する (1)2 に示したハンドトラッカーは物体の位置を VR 内に反映させるための VIVE トラッ カーと指の曲げを反映させるための曲げセンサで構成されており,このデバイスを用いる ことで指の曲げの動作と視覚的な当たり判定から VR 内のキーボードやボタンを操作でき る.また,VIVE トラッカーから位置を得ることで,ジェスチャ等の腕の動きを VR 内に 反映させることができる.また,ハンドトラッカーのみの操作では煩雑になってしまう場 合があるので,ONOFF のような 2 値的な操作の場合は Joy-Con を使用して操作を簡略 化している. VR 内で 3D オブジェクトやコンテンツを表示するために VRec を用いる.VRec 3D オブジェクトの動きを記録するためのライブラリであり,本システムではユーザが事前に VRec を用いて記録した動作を再生することで 3 次元的な動きの時間軸での再生が可能で ある.また,ミーティングの議事録の作成の際にも VRec を用いている.既存手法では VR 内でのミーティングにおける記録方法は画像や一方向からの動画であったが,既存手法で はミーティング全体の雰囲気を十分に伝達できないだけでなく,3D オブジェクトを表示 できるという VR の利点を生かせない. VRec を用いて議事録を作成することで, VR 内の すべての状態をミーティングの時間軸で再生することが可能になり,多視点からの議事録 の閲覧が可能になる. ユーザビリティなどの有効性を確かめ,改善を行うために本システムでミーティングを 行ってもらい,アンケートを実施した.その結果をもとに考察と改善を行った. 1 ミーティング中のユーザ画面 2 ハンドトラッカー

平成30年度情報工学コース卒業研究報告要旨平成30年度情報工学コース卒業研究報告要旨 長尾研究室 氏 名 久門 香穂 卒業研究題目 仮想空間におけるミーティングの効果的なインタ

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Page 1: 平成30年度情報工学コース卒業研究報告要旨平成30年度情報工学コース卒業研究報告要旨 長尾研究室 氏 名 久門 香穂 卒業研究題目 仮想空間におけるミーティングの効果的なインタ

平成 30年度 情報工学コース卒業研究報告要旨

長尾 研究室 氏 名 久 門 香 穂

卒業研究題目仮想空間におけるミーティングの効果的なインタ

フェースおよび記録手法

近年,Virtual Reality(VR)はエンターテインメントに限らない様々な分野で活用が進められており,VR内でリアルタイムかつマルチユーザで体験できる,共有された空間に価値が見出されている.その一例としてVRを利用したミーティングが行われるようになってきたが,その多くは単なるテレワークの延長に留まっている..また,,3Dオブジェクトの表示のみでは不十分であり,アニメーションの作成にもコストが大きいという問題がある.そこで,本研究では仮想空間におけるミーティングシステムとその利用法を提案する. 本システムでは,Head Mounted DisplayであるVIVE ProとVR内に手の位置と指の曲げを反映させるハンドトラッカー,Nintendo社が製造販売している Joy-Conを使用する.ユーザはあらかじめWebを通してミーティングの開催や参加,必要な資料の登録を行い,それらをミーティング開始時にダウンロードする.本システムはユーザの使用するクライアントシステムとその他複数のサーバで構成されており,ミーティング中の操作はサーバを通して通信され,スライド・ポインタ等の操作情報を各ユーザ間で共有する (図 1). 図 2に示したハンドトラッカーは物体の位置をVR内に反映させるためのVIVEトラッカーと指の曲げを反映させるための曲げセンサで構成されており,このデバイスを用いることで指の曲げの動作と視覚的な当たり判定からVR内のキーボードやボタンを操作できる.また,VIVEトラッカーから位置を得ることで,ジェスチャ等の腕の動きをVR内に反映させることができる.また,ハンドトラッカーのみの操作では煩雑になってしまう場合があるので,ON・OFFのような 2値的な操作の場合は Joy-Conを使用して操作を簡略化している.  VR内で 3Dオブジェクトやコンテンツを表示するために VRecを用いる.VRecは 3Dオブジェクトの動きを記録するためのライブラリであり,本システムではユーザが事前にVRecを用いて記録した動作を再生することで 3次元的な動きの時間軸での再生が可能である.また,ミーティングの議事録の作成の際にもVRecを用いている.既存手法ではVR内でのミーティングにおける記録方法は画像や一方向からの動画であったが,既存手法ではミーティング全体の雰囲気を十分に伝達できないだけでなく,3Dオブジェクトを表示できるというVRの利点を生かせない.VRecを用いて議事録を作成することで,VR内のすべての状態をミーティングの時間軸で再生することが可能になり,多視点からの議事録の閲覧が可能になる. ユーザビリティなどの有効性を確かめ,改善を行うために本システムでミーティングを行ってもらい,アンケートを実施した.その結果をもとに考察と改善を行った.

図 1 ミーティング中のユーザ画面 図 2 ハンドトラッカー