26
373 第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。 ( i ) ポンプ諸数値 使 数:n 台(並列運転台数) 主ポンプ吐出し量( 1台当たり)Q n m 3 /min程:H n m度:N n min -1 率: n (小数点表示) 力:P n =0.163Q n H n / n kW............ (8.6) ク:M n =9,550・P n /N n Nm............... (8.7) 主原動機出力(主電動機):PkW主ポンプ回転体のはずみ車効果:(GD 2 1 ≒(GD 2 2 × 0.1(Nm 2 .......... (8.8) 主原動機回転体のはずみ車効果:(GD 2 2 Nm 2 )(図-8.19-参図-8.23-参 参照) 〔参 考〕電動機回転体のはずみ車効果 図-8.19-参 巻線形電動機 GD 2 線図( 6 kV 級) ) GD 2 (Nm 2 ) 電動機出力(kW注 1)水撃作用検討の結果、対策の要否が 微妙な場合には、使用する電動機の GD 2 を入手し検討する必要がある。 2)2P~12P は電動機極数を示す。

373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

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Page 1: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

373

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

③ 計算手順

以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

(i) ポンプ諸数値

使 用 台 数:n 台(並列運転台数)

主ポンプ吐出し量( 1台当たり) :Qn(m3/min)

主 ポ ン プ 全 揚 程:Hn(m)

主 ポ ン プ 回 転 速 度:Nn(min-1)

主 ポ ン プ 効 率:n(小数点表示)

主 ポ ン プ 軸 動 力:Pn=0.163・Qn・Hn /n(kW) ............ (8.6)

主 ポ ン プ ト ル ク:Mn=9,550・Pn /Nn(N・m) ............... (8.7)

主 原 動 機 出 力 ( 主 電 動 機 ):P(kW)

主ポンプ回転体のはずみ車効果:(GD 2)1≒(GD

2)2 × 0.1(N・m2) .......... (8.8)

主原動機回転体のはずみ車効果:(GD 2)2(N・m2)(図-8.19-参~図-8.23-参 参照)

〔参 考〕電動機回転体のはずみ車効果

図-8.19-参 巻線形電動機 GD

2 線図( 6 kV 級)

電動機出力(kW)

GD

2(

N・

m2)

G

D2(

N・

m2)

電動機出力(kW)

注 1)水撃作用検討の結果、対策の要否が

微妙な場合には、使用する電動機の

GD

2を入手し検討する必要がある。

2)2P~12P は電動機極数を示す。

Page 2: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

374

技 術 書・ポ ン プ 場

図-8.20-参 巻線形電動機 GD

2 線図( 3 kV 級)

図-8.21-参 かご形電動機 GD

2 線図(6kV 級)

注 1)水撃作用検討の結果、対策の要否が

微妙な場合には、使用する電動機の

GD2を入手し検討する必要がある。

2)2P~12P は電動機極数を示す。

電動機出力(kW)

GD

2(

N・

m2)

注 1)水撃作用検討の結果、対策の要否が

微妙な場合には、使用する電動機の

GD

2を入手し検討する必要がある。

2)2P~12P は電動機極数を示す。

電動機出力(kW)

GD

2(

N・

m2)

Page 3: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

375

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

図-8.22-参 かご形電動機 GD

2 線図( 3 kV 級)

図-8.23-参 かご形電動機 GD

2 線図(200、400V 級)

注 1)水撃作用検討の結果、対策の要否が

微妙な場合には、使用する電動機の

GD

2を入手し検討する必要がある。

2)2P~12P は電動機極数を示す。

GD

2(

N・

m2)

電動機出力(kW)

注 1)水撃作用検討の結果、対策の要否が

微妙な場合には、使用する電動機の

GD

2を入手し検討する必要がある。

2)2P~8P は電動機極数を示す。

GD

2(

N・

m2)

電動機出力(kW)

Page 4: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

376

技 術 書・ポ ン プ 場

フライホイールのはずみ車効果:(GD

2)3=G・g 2

+ 22

21 DD .................... (8.9)

G:フライホイールの質量( kg )

G= 4

・(D2

2-D12)・B・m

........................ (8.10)

D1 : フライホイールの内径(m)

フライホイール断面形状 B は、D1=0 とする

D2 : フライホイールの外径(m)

D2は、許容周速 Ua を超えないように決定する。

周速 U=602 nND

≦Ua

材質:SC…Ua=65m/s SF…Ua=80m/s

B : フライホイールの幅(m)

m : 単位質量 = 7,800 kg/m3(材質:SC 又は SF 相当)

g : 重力の加速度(9.8m/s2)

回転部分の全はずみ車効果 GD

2=(GD

2)1+(GD

2)2+(GD

2)3 .................... (8.11)

(ii) 主ポンプの慣性係数(K )

K=n

n

NGD

M

・ 3752

........................................................ (8.12)

注) 主ポンプの慣性係数は、従来図式解法の便宜上、K 値の係数を 187.5 とし、上記値の 1/2 の値として扱っている文

献があるので注意のこと。

(iii) 管路内流速(Vn )

・送水管路の内径、管厚及び管種が一様な場合

Vn=2

・4

D

Q(m/s) ................................................ (8.13)

Q:管路流量=n・Qn(m3/s)

D:管路内径(m)

・送水管路の管内径、管厚及び管種が一様でない場合

各々の管路内流速

Vi=2

・4

iD

Q(m/s) ................................................. (8.14)

Vn=

i

ii

L

V L

(m/s) ................................................ (8.15)

添字の i は管内径、管種が異なるごとに算出する。

L:管路の長さ(m)

(付属する場合のみ)

(Li・Vi)

Li

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377

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

(iv) 圧力波の伝播速度(a)

・送水管路の管内径、管厚及び管種が一様な場合

a= 21

・1+

1,425

t

D

E

k(m/s) ............................................. (8.16)

k : 水の体積弾性係数 k=2.03×109(N/m2)

E : 管材料の縦弾性係数 (N/m2)

鋼管

ダクタイル鋳鉄管

鋳鉄管

PC 管

ヒューム管

硬質塩化ビニル管

強化プラスチック複合管

E=2.06×1011(N/m2)

E=1.57×1011(N/m2)

E=1.08×1011(N/m2)

E=3.92×1010(N/m2)

E=1.96×1010(N/m2)

E=0.29×1010(N/m2)

E=1.13~2.26×1010(N/m2)

D : 管路内径(m)

t : 管材の厚さ(m)

・送水管路の管内径、管厚及び管種が一様でない場合

各々の圧力波の伝播速度

a i= 21

1+

1,425

i

i

t

D

E

k・

(m/s) ........................................... (8.17)

a=

i

i

i

aLL

 (m/s) .................................................. (8.18)

( v ) 管路定数(2)

2=n

n

Hg

Va

・ ......................................................... (8.19)

g:重力の加速度=(9.8m/s 2)

(vi) 圧力波の所要往復時間( )

=a

L2・(s) ...................................................... (8.20)

(vii) K・ の値

K・ .............................................................. (8.21) ④ 低圧力勾配線図の作成

( i ) 送水管路縦断図を作成する。

(ii) 送水管路損失を、式(8.22)から計算し、前記②項簡易計算図表のうち、送水管路損失の

近い図表を選ぶ。ただし、送水管路損失が二つの計算図表の中間に相当する場合は、前後の

計算図表から数値を読取って補間法により求めるが、送水管路損失の大きい方の計算図表を

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378

技 術 書・ポ ン プ 場

適用とすると、施設等に対し安全側の数値となる。

送水管路損失= (全揚程)

(送水管路損失水頭)

nH

H ・100(%) ...................... (8.22)

(iii) 前項で求めたポンプ直後における圧力低下と送水管路途中地点の圧力低下の値を、 低

吸込水位を基準に送水管路縦断図に記入する。

(iv) 低圧力の値と 高吐出し水位の間をスムーズな曲線で結ぶと、送水管路の 低圧力勾

配線図を作成することができる。

注 1) この負圧が大気圧(約 10m)になると水柱分離が発生する。よって、管路全般にわたって正圧が望ましい。

2) 負圧を許容する場合、その許容値はおおむね下記のとおりとなるよう対策を講じる。

送水管路中心高において 500mm 以下 :-7m

1,000mm 未満 :-6m

1,000mm 以上 :-5m

図-8.24 低圧力勾配線図

⑤ 概略 高圧力勾配線図の作成

高圧力勾配線図は、 低圧力勾配線図を 高吐出し水位を中心に対称の位置に描く。

すなわち、 高吐出し水位からみた 低圧力の値(たとえば、-H0、-H1/2 L、-H3/4 L)を 高

吐出し水位を基準にプラス側に加算(たとえば、+H0、+H1/2 L、+H3/4 L )して、各圧力点を求め

て曲線で結ぶと、 高圧力勾配線を作成することができる。

上記までの 低及び 高圧力勾配線は送水管路内圧力の概略値を求める方法を示したもので、

送水管路の詳細設計を行う場合には、実際の主ポンプ特性、弁特性、さらには正確に送水管路の

境界条件等を入れてコンピュータ等を利用して正確に圧力変動を求めることが望ましい。

図-8.25 概略 高圧力勾配線図

Hℓ(送水管路損失水頭)

Hn(全揚程)

ポンプ直後(H%)×Ha

標高(m)

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379

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

(2) 定常流での弁閉鎖時に生ずる圧力上昇

① 弁の急閉鎖( T < 2 L/a)による圧力上昇

管内の流れが定常である管路において、下流側にある弁を T < 2 L/a で、急に閉鎖すると、弁の

ところに異常な圧力上昇を生ずる。この圧力上昇値は、ジューコフスキー( Joukowsky )の式に

よって求められる。

H= 0Vg

a ・ .............................................................. (8.23)

ただし、T < 2 L/a

H: 高圧力上昇水頭(m)

a :圧力波の伝播速度(m/s)

g :重力の加速度(9.8 m/s2)

V0 :弁閉鎖前の管内平均流速(m/s)

T :弁閉鎖時間(s)

L :管長(m)

② 弁の緩閉鎖( T > 2 L/a)による圧力上昇

均等に弁を閉じる場合の弁のところでの 大上昇水頭( 高圧力上昇値)は、Ray S. Quick の

水撃線図(図-8.28)から求めることができる。

すなわち、管路定数

=aHg

V a

・・20

・ ........................................................... (8.24)

並びに、=2・L/a なる時間間隔で測った弁の閉鎖時間を利用して、時間定数 N を求める。

N=

T =

L

aT

・2

......................................................... (8.25)

次に、式(8.25)と図-8.28 から K の値を読取り、 高圧力上昇水頭を、式(8.26)から求める。

H=2・・K・Ha ....................................................... (8.26)

H : 高圧力上昇水頭(m)

Ha :実揚程(実落差)(m)

H :Ha+ H、 大水撃圧(m)

V0 : 初期管内平均流速(m/s)

a : 圧力波の伝播速度(m/s)

g : 重力の加速度(9.8 m/s2)

T : 弁の閉鎖時間(s)

L :管長(m)

K :水撃圧係数

N :時間定数

図-8.26 弁閉鎖時に生ずる圧力上昇線図

a・V0

2・g・Ha

Page 8: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

380

技 術 書・ポ ン プ 場

注) 弁の開閉中の流速は、弁の特性や管路の摩擦損失のため直線的

には 変化しないので、注意を要する。

図-8.27 弁閉鎖時に生ずる 高圧力線図

図-8.28 均等に弁を操作する場合の Ray S. Quick の水撃線図

Page 9: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

381

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

(3) コンベンショナルサージタンクの簡易計算

コンベンショナルサージタンクを採用する場合の基本的な注意事項は、次のとおりである。

① 主ポンプの始動や停止等による管内の流量変動に対して水面変動が大きくならない十分な

断面積を有すること。

② 負圧発生防止のためには、負圧発生予想位置近くに設ける。

③ サージタンクは溢流しない十分な高さにするか、越流路を設ける。

④ 作動の過程でサージタンクが空になったり、送水管路中に空気が入らない十分な容量とする。

主ポンプ急停止時のダウンサージ(水面降下)量及び主ポンプ急始動時のアップサージ(水面

上昇)量はヤコブソン(R.S.Jacobson)の線図(図-8.31(a)、(b))によって求められる。

サージタンクの容量は、次により求める。

サージタンクの設置点において 大水面変動(降下)時に送水管路内に空気を吸い込むこと

のない SA を与え、図-8.31(a)から断面積 F ( m2 )を求める。

制水口サージタンクは、同図のバランスデザインカーブすなわち 大水位変動 SA がサージ

タンクの絞り損失 Hf 1 に等しい曲線から求めれば、必要な経済寸法が得られる。コンベンショ

ナルサージタンクは同図において、 0=1

2

f

f

H

Hの曲線から求める。

また、排水ポンプ場における主ポンプ急始動・急停止時の吐出し水槽のサージング検討について

も、図-8.31(a)、(b)を利用して行うことができる。

図-8.29 コンベンショナルサージタンクを持つ主ポンプ・管路系

図-8.30 排水ポンプ場における主ポンプ・管路系

Hf 2

Hf 1

𝑉2

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382

技 術 書・ポ ン プ 場

図-8.31(a) 主ポンプ急停止の場合のサージタンク 大水面変動

図-8.31(b) 主ポンプ急始動の場合のサージタンク 大水面変動

Page 11: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

383

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

(4) ワンウェイサージタンクの簡易計算

ワンウェイサージタンクを採用する場合は、次の事項に注意しなければならない。

① サージタンクと本管との接続管にある逆止め弁は重要な機器であるので、1 個が故障しても

安全なように、2 個の逆止め弁を並列に設置する。

② 主ポンプの急停止によりサージタンクがいったん働いた後、主ポンプが再始動したとき、次

の急停止に備えてサージタンクはなるべく速く満水にしておかなければならない。本管からサ

ージタンクへの補給水管は十分な容量をもたせ、フロート弁は確実に働くものであることが必

要である。

ワンウェイサージタンクの概略容量は、式(8.27)の剛体理論式で求めるものとする。正確

には、コンピュータ等を用いて、弾性理論によって求める必要がある。

Vav=

11

1

22

22

・-

・・

2 HA

L

HA

L

g

Q・ ............................................. (8.27)

ここに、Vav :ワンウェイサージタンクの有効容量(m3)

Q :送水管路の運転時流量(m3/s)

H1 :吸込水槽水面とサージタンク水面間の実揚程(水位差)(m)

H2 :サージタンク水面と吐出し水槽水面の実揚程(水位差)(m)

A1 :送水管路(主ポンプ~ワンウェイサージタンク間)の断面積(m2)

A2 :送水管路(ワンウェイサージタンク~吐出し水槽間)の断面積(m2)

L1 :送水管路(主ポンプ~ワンウェイサージタンク間)の長さ(m)

L2 :送水管路(ワンウェイサージタンク~吐出し水槽間)の長さ(m)

g :重力の加速度(9.8m/s2)

:安全係数 ≒ 2~2.5

図-8.32 ワンウェイサージタンクを持つ主ポンプ・管路系

(5) 圧力水槽(エアチャンバ)の簡易計算

圧力水槽は圧力降下の防止とともに圧力上昇に対しても効果があるので、比較的小規模の設備で

圧力水槽を利用して主ポンプを自動運転しているような場合には、この圧力水槽による圧力上昇の

防止効果を検討する必要がある。

圧力水槽には付属品として空気圧縮機、排気電磁弁、水位検出器、水位計及び安全弁が必要であ

る。

L2

A2・H2 L1

A1・H1 -

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384

技 術 書・ポ ン プ 場

① 簡易計算図表

圧力水槽の容量又は圧力上昇及び圧力降下の防止効果は、エバン・クロフォード( W. E. Evan

and C. C. Crawford )による簡易計算図表(図-8.34(a)、(b)、(c)、(d))を用いて計算すること

ができる。

ただし、簡易計算図表は次のような条件で図式解法を行った結果である。

( i ) 圧力水槽は主ポンプに近接して設けてある。

(ii) 主ポンプと圧力水槽間にある逆止め弁は主ポンプ急停止後に急閉する。

(iii) 圧力水槽内の圧縮空気の圧力と容量との関係は、H *・ C

1.2= 一定とする。

(iv) 圧力水槽の基部にある絞りの損失は、同一流量が流入時と流出時とでは、2.5 対 1 の割合と

する。K・H0*

は Q0 に対して逆流が絞りを通過するときの損失と管路の摩擦損失との和である。

圧力水槽の大きさとしては、送水管路内が 低圧力になったときにも圧力水槽内の空気が送水

管路内に入らないことが必要であるので、圧力水槽の所要 小容積 C'は、式(8.28)によって求

める。

C'=C0・

1.21

0

minH

H≒

min

H

HC 00・ ............................................... (8.28)

ここに、 C' :圧力水槽内全容積(圧縮空気と水)(m3)

C0 :圧力水槽内における圧縮空気の初期の体積(m3)

圧力水槽の特性(簡易計算図表の横軸座標)L

aC

0

02

Qの値より逆算する。

H0* :圧力水槽内の初期絶対圧力水頭(m)

( X 点の管内圧力水頭 = Hn±Hs1 )+10.33

( Hs1は押込みの場合 +、吸上げの場合- )

H

*min :主ポンプ直後に生ずる 低圧力水頭(m)

: H0*-( 主ポンプ直後の 大降下水頭 =-HX max )

Hf :送水管路損失(m)

a :圧力波の伝播速度 (m/s)

Q0 :送水管路の初期流量 (m3/s)

L :送水管路長さ (m)

2* :管路定数 = 0

0

Hg

Va

V0 :送水管路内における初期流速 (m/s)

g :重力の加速度 (9.8m/s2)

K :流量 Q0 が圧力水槽に流入する場合の全損失が K・H0*

で表されるよう

な損失係数

H0*

H*min C0・H0

*

H*min

2・C0・a

Q 0・L

a・V0

g・H0*

Page 13: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

385

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

図-8.33 圧力水槽を持つ主ポンプ・管路系

② 圧力水槽の容量計算手順

( i ) 主ポンプ直後( X 点)における 高上昇圧力水頭+HX max =・H0*、送水管路中間点( Y

点)における 大降下圧力水頭-HY max =-・H0*

の 、(いずれも小数点)を設定する。

すなわち、HX max、HY max がおのおの・H0*、・H0

* 以内となるような圧力水槽の全容積

C'を決定することである。

(ii) 簡易計算図表(図-8.34(a)、(b)、(c)、(d))より上記①の条件を満足する K と'≦、 '

≦となるように 'を決定し、 ・

・・2

0

0

L

aC

Q、''、 '、 '' を読取り、主ポンプ直後( X 点 )の上

昇圧力水頭+HX max =+'・H0*、降下圧力水頭-HX max =- '・H0

* 及び送水管路中間点(Y

点 )の上昇圧力水頭+HY max =+''・H0*、降下圧力水頭-HY max = - ''・H0

* を計算する。

(iii)  ・

・・2

0

0

L

aC

Q= m から C0= a

・ 2

・・ 0 Lm Q にて C0 を計算する。

(iv) 圧力水槽の所要 小容積 C'を、次式で計算する。

C'≒min

H

HC 00・ = -1 0C

ここに、H *min = H0

*-HX min

= H0

* ( 1- ')

( v ) 次に、圧力水槽の基部につける絞りの損失を求める。Q0の流量が圧力水槽内に流入すると

きのオリフィスで生ずべき損失は、次により求める。

損失水頭 = K・H0*- Hf

2・C0・a

Q 0・L

2・C0・a

Q 0・L

m・Q 0・L

2・a

C0・H0*

H*min

C0

1- '

Hn 全揚程

Hs1吸込揚程

Page 14: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

386

技 術 書・ポ ン プ 場

注 1) 曲線のそばの数字は 2* の値を示す。

2) は主ポンプ直後、 は送水管路中間点。

図-8.34 圧力水槽容積の簡易計算図表

Page 15: 373...373 第8章 吸込管及び吐出し管の設計 ③ 計算手順 以下に、簡易計算図表を用いた計算の手順を示す(フライホイール対策の計算も本手順で行う)。

387

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

〔参 考〕

参考 1.単純管路系水撃作用の計算例

(1) 設計条件

① 計 画 揚 水 量 120m3/min (1 台当たり:60m3/min)

② 水 位 吸 込 水 位 EL 25.00m

吐出し水位 EL 60.00m

③ 実 揚 程 60.00-25.00 = 35.00m

④ 主ポンプ台数 2 台

⑤ 送 水 管 路 管 径 1,200mm

管 路 長 1,000m

管 種 鋼管 (SS400)

管 厚 12mm

⑥ 電 源 50Hz、6 kV、1回線受電

⑦ 主ポンプ仕様 形 式 横軸両吸込単段渦巻ポンプ

口 径 700mm

吐 出 し 量 60m3/min

全 揚 程 48m

回 転 速 度 730min-1

ポンプ効率 85.6%

⑧ 台数と運転状態 大並列台数 2 台

大吐出し量 120m3/min (Q=2.0m3/s)

⑨ 主原動機の種類 形 式 巻線形三相誘導電動機

出 力 630kW

回 転 速 度 730min-1(8 P)

周 波 数 50Hz

電 圧 3,000V

⑩ 送水管の縦断図 図-8.35-参のとおりである。

図-8.35-参 送水管路の縦断図

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388

技 術 書・ポ ン プ 場

(2) 計 算

① 主ポンプ諸数値

運 転 台 数 n = 2 台

主 ポ ン プ 吐 出 し 量 Qn = 60m3/min(1台当たり)

主 ポ ン プ 全 揚 程 Hn = 48m

主 ポ ン プ 回 転 速 度 Nn = 730min-1(8 P)

主 ポ ン プ 効 率 n = 0.856

主 ポ ン プ 軸 動 力 Pn = 0.163・Qn・Hn /n=0.163×60×48/0.856

= 548.4kW

主 ポ ン プ ト ル ク Mn = 9,550・Pn /Nn=9,550×548.4/730=7,174N・m

電 動 機 出 力 P = 630kW

主電動機のはずみ車効果 図-8.20-参 から、(GD 2)2=1,300N・m2

主ポンプのはずみ車効果 (GD 2)1≒(GD

2)2×0.1≒1,300×0.1=130N・m2

全 は ず み 車 効 果 GD 2 =(GD

2)1+(GD 2)2=130+1300

=1,430N・m2

② 主ポンプの慣性係数

K=n

n

NGD

M

375・2 =

730×1,430

7,174×375=2.58

③ 管内流速

Vn=2・

4D

Q

=21.2×

4

2.0

=1.768 m/s

④ 圧力波の伝播速度

a= 21

・1+

1,425

tD

Ek

= 21

11

9

12

1,200×

10×2.06

10×2.031+

1,425

=1,011.3 m/s

⑤ 管路定数

2 =n

n

Hg

Va

・=

48×9.8

1.768×1,011.3=3.8

⑥ 圧力波の所要往復時間

=a

L2・=

1,011.3

1,000×2=1.98s

⑦ K・ 値

K・ =2.58×1.98=5.11

375・Mn

GD2・Nn

a・Vn

g・Hn

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389

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

(3) 低圧力勾配線図の作成

① 送水管路損失%

送水管路損失%=n

l

H

H・100=

48

48-35×100=27.1%

ここに、Hℓ=主ポンプ全揚程-実揚程

図-8.15(送水管路損失:20%)と、図-8.16(送水管路損失:40%)から読取り、補間法によ

り求める。

② 低圧力の計算

( i ) 図-8.15 及び図-8.16 の(a)、(b)、(c)から、2=3.8 及び K・=5.11 により、H %を

読取る。

場 所 送水管路損失 20% 送水管路損失 40% 送水管路損失 27.1%

ポンプ直後 1/2 L 点 3/4 L 点

-11% -15% -7%

-13% -23% -19%

-11.7% -17.8% -11.3%

(ii) 低圧力

ポンプ直後 Hn・H % =48.0×(-0.117)=-5.6m

1/2 L 点 48.0×(-0.178)=-8.5m

3/4 L 点 48.0×(-0.113)=-5.4m

これを縦断図に 低吸込水位を基準にプロットし、スムーズな曲線で結ぶと、図-8.36-参

のようになり、送水路のほぼ全域で負圧 10m以上( 大負圧はポンプ場から 650m 付近で

29m)となり、水柱分離を生じ、負圧に対する対策が必要となる。

(4) 高圧力勾配線図の作成

(3)②(ii)で作成した 低圧力勾配線を、 高吐出し水位を基準に対称に描くと、 高圧力勾配線

図(図-8.36-参)となる。

(5) 負圧対策としてフライホイールを設ける場合

① 送水管路内の 低圧力を-5m 以内(1,000mm 以上の場合)に維持するように、フライホイ

ールを付加するものとする。この場合に、送水管路の 500m 付近で 低圧力を-3.5m になるよ

うにフライホイールを設計する。そのためには、1/2 L 地点の 低圧力を14.5mにすればよい。

このときの 低圧力の割合は、

H %= 100×48

14.5 =100・

21 n

L

H

H≒30%

図-8.15(b)(送水管路損失:20%)と、図-8.16(b)(送水管路損失:40%)において、2=

3.8 及び H %=30%により各々K・ 値を読取り、補間法により送水管路損失 27.1%の K・

値を求める。

送水管路損失 20% 送水管路損失 40% 送水管路損失 27.1%

K・ 0.8 0.5 0.7

Hℓ

Hn

Hn

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390

技 術 書・ポ ン プ 場

② 低圧力の計算

( i ) 図-8.15 及び図-8.16 の(a)、(b)、(c)から 2=3.8 と K・=0.7 より H %を読取る。

場 所 送水管路損失 20% 送水管路損失 40% 送水管路損失 27.1%

ポンプ直後

1/2 L 点

3/4 L 点

15%

35%

50%

12%

24%

38%

13.9%

31.1%

45.7%

(ii) 低圧力

ポンプ直後 Hn・H % =48.0×0.139 = 6.7m

1/2 L 点 48.0×0.311 = 14.9m

3/4 L 点 48.0×0.457 = 21.9m

これを縦断図に、 低吸込水位を基準に図-8.24、図-8.25 に従ってプロットすると、図-

8.36-参のようになり、ポンプ場から350m付近で負圧が約3.5mとなり、水柱分離は生じない。

(iii) フライホイールの大きさ算定

K・=0.7 から

K = 0.35=1.98

0.7=

0.7

よって、全はずみ車効果は、式(8.12)から

GD 2=730×0.35

7,174×375=

375・

n

n

NK

M=10,529 N・m2

フライホイールのはずみ車効果

(GD2)3=GD2-(GD2)1-(GD2)2

=10,529-130-1,300=9,099N・m2

ポンプ設備の規模により付加されるフライホイールの大きさが制限されることもあるので、

別途負圧対策を考慮する必要がある。

図-8.36-参 送水管路の圧力勾配線

375・Mn

K・Nn

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391

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

a)軸継手兼用形フライホイール

軸継手にて兼用する方法は、JIS の軸継手の外径側にフライホイールを設けるもので、必

要となるフライホイールのはずみ車効果(GD2)が比較的小さい場合に採用することができ

る。表-8.6-参に、軸継手兼用形フライホイールの選定範囲を示す。

本表は、GD2の値と伝達トルクからの目安を示しており、軸継手型番は、JIS B 1452 の型

式を示している。

なお、軸継手兼用形フライホイールを採用に当たっては、主原動機の軸径、許容軸端荷重

などの確認を行う必要がある。

軸継手詳細(例)

表-8.6-参 軸継手兼用形フライホイールの選定範囲の目安

伝達トルク M (N・m)

軸継手型番 (JIS 相当)

はずみ車効果(GD2値)の 大値(N・m2 )

フライホイール寸法 概略質量 (kg) 外径 D(mm) 幅 B(mm)

110

160

250

390

620

980

1,600 2,500

160 180 200 224 250 280 315 355

50 100 160 200 310 490 490 980

475 560 600 630 710 750 750 850

37

37

45

45

45

56

56

66

50

70

100

110

145

200

205

320

注 1) フライホイールの外径(D 寸法)によっては、主ポンプ軸心高さ(H2寸法)の確認が必要である。

なお、伝達トルク M は式(8.29)により算出される。

M = K×Mn ........................................................................................................................................... (8.29) M :伝達トルク(N・m) K :荷重係数(表-8.7-参による)

Mn :主ポンプトルク(N・m)式(8.7)による

2) フライホイール幅は、各型番のボス長さ寸法以下で決められる。

3) 外径 D は、許容周速 Ua を超えないこと。式(8.10)を参照する。

表-8.7-参 荷重係数

主原動機

運転条件(h/日) 電動機 ディーゼル機関

10 以下 10 超

1.0 1.5

2.0 2.5

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392

技 術 書・ポ ン プ 場

b)別置形フライホイール

負圧対策として、主ポンプにフライホイールを外部軸受にて装備する場合、概略下図のよ

うになり、 L 寸法分だけ全長が長くなる。

また、フライホイールを装備する際には、必要となる始動トルクが大きくなるため、主原

動機の始動方式に留意する必要がある。

L = 1,000~1,500mm

(概略計画時は 1,500mm を採用する)

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393

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

参考 2.コンベンショナルサージタンクの計算例

(1) 設計条件

① 主ポンプの仕様 形 式 横軸両吸込単段渦巻ポンプ

口 径 700mm

吐 出 し 量 60m3/min

回 転 速 度 580 min-1

実 揚 程 8.0m

全 揚 程 14.0m

原動機出力 180kW

台 数 1 台

② 送 水 管 路 口 径 800 mm

延 長 1,000m

③ 水 位 吸 込 水 位 EL 5.00m

吐出し水位 EL 13.00m

④ サージタンクの位置 主ポンプ直後

⑤ そ の 他 ① 本計算例はポンプ室内の管路損失を送水管路の損失に含めて取扱

っている。

② 主ポンプのはずみ車効果は少ないものとし、主ポンプは停電と同時

に急停止するものとする。

③ 主ポンプの吐出し側には逆止め弁があって、急停止後は主ポンプの

中を通って逆流する水はないものとする。

(2) 計 算

① 主ポンプ急停止の場合

急停止時の水位低下量を、SA=9.0m と仮定する。

( i ) サージタンクと吐出し水槽間の損失

Hf 1=14.0-8.0=6.0m

(ii) サージタンクから流出するときの損失

Hf 2=0m

(iii) 絞 り 比

0=6.0

0=

1

2

f

f

H

H

(iv) サージ比

1.50=6.0

9.0=

1f

A

H

S

( v ) サージタンクの断面積:F

図-8.31(a)中の絞り比とサージ比の関係から、b0=0.95 を読取る。この b0と設計条件により

サージタンクの断面積を求める。

Hf 2

Hf 1

SA

Hf 1

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394

技 術 書・ポ ン プ 場

図-8.31(a)より、 b0=2

1

0

1 ・・

AL

gFH f Q

の関係から

2

2

2

2

1

00

=5.09

4

0.8××9.8

1,000×

6.0

1.0×0.95=

・・

m

Ag

L

H

b F

f

Q

∴ サージタンクの直径は約 2.5m となる。

② 主ポンプ急始動の場合

急始動時の水位上昇量を、SB=9.0m と仮定する。サージタンクと吐出し水槽間の損失、サージ

タンクから流出するときの損失、絞り比及びサージ比は①と同様。

( i ) サージタンクの断面積

図-8.31(b)から、絞り比とサージ比の関係から b=0.72 を読取る。この b と設計条件により

サージタンクの断面積を求める。

図-8.31(b)より、2

1

・・=

AL

gF

e

Hb f

Q1 の関係から

2

2

2

2

1

00

=2.92

4

0.8××9.8

1,000×

6.0

1.0×0.72=

・・

m

Ag

L

H

b F

f

Q

∴ サージタンクの直径は約 2.0m となる。

③ 結 論

本計算例は、主ポンプ急停止時の水位低下量(SA=9.0m)と主ポンプ急停止時の水位上昇量(SB

=9.0m)から必要なサージタンクの直径を求めたものであるが、サージタンクの直径は 低水位

から要求される直径の方が大きくなるので、この条件からサージタンクの直径は 2.5m と決定さ

れる。この場合には、始動時の水位上昇は②と同様の計算を行うと水位変動は 7.2m となり、上昇

水位は EL20.20 m となる。

b0・Q 0

Hf 1 L

g・A

=5.09m2

b・Q e

Hf 1 L

g・A

=2.92m2

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395

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

参考 3.ワンウェイサージタンク計算例

(1) 設計条件

単純管路系水撃作用の計算例と同じ。

(2) 単純管路系水撃作用の計算例の結果から、主ポンプから 350m 付近にワンウェイサージタンク

を設けるものとする。このときのタンクの有効高さを 2.5m として諸数値を決定すると、図-8.37-

参のようになる。

(3) 容量計算

32

11

1

22

22

6.78≒2×18×1.13

350-

17×1.13

650×

9.8×2

2.0=

・・

-・

・2

m

HA

L

HA

L

g Vav

Q

(4) タンクの概略寸法

タンクの直径

m 1.9≒2.5×

4×6.78=

4・=

2

1

2

1

hV D av

D =1.9m ただし、h=2.5m

図-8.37-参 送水管路縦断図

Q 2

2g

≒6.78m3

≒1.9m

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396

技 術 書・ポ ン プ 場

参考 4.圧力水槽の計算例 (1) 設計条件

単純管路系水撃作用の計算例と同じとする。ただし、吸込揚程を Hs1=3.0m とする。

(2) 計 算

① 諸 数 値 圧力水槽内の初期絶対圧力水頭

H0*= Hn-Hs1+10.33(吸上げの場合、Hs1は-)

= 48.0-3.0+10.33 = 55.33m 送 水 管 路 損 失 Hf = 48.0-35.0=13.0m

送水管路の初期流量 Q0 = 2.0m3/s

送 水 管 路 長 さ L = 1,000m

送水管の初期流速 V0 = 1.768m/s

圧力波の伝播速度 a = 1,011.3m/s

② 基本構想

上昇圧力及び降下圧力をフライホイールによる対策と同等又はそれより小さいことを目標と

し、図のように仮定する。

③ 、 の設定

・主ポンプ直後(X 点)における 高上昇圧力

+HX max = ・H0*

∴= 0.30=55.33

16.5=

0

max

H

HΔ X

・管路中間点(Y 点)における 大降下圧力

-HY max = ・H0*

∴= =0.5255.33

29.0=

0H

HΔ Ymax

管 路 定 数 2* =55.33×9.8

1.768×1,011.3=

0

0Hg

Va=3.3

-HY max

H0*

+HX max

H0*

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397

第 8 章 吸込管及び吐出し管の設計

④ 図-8.34 を使用して '、 'が③で設定した、 の値より小さくなるように K を決定し、 '

≦、 '≦ の条件からL

C

・・2

0

0

Qa、 ''、 '、 ''を読取る。

ここでは、K=0.3 とし、2*≒3.3 で、図-8.34(b)から '=0.3(≦ )として、

'=0.30(≦ )、L

C

・・2

0

0

Qa=34、 ''=0.17、 ''=0.20 を読取る。

⑤ 上昇圧力水頭、降下圧力水頭の計算

主ポンプ直後(X 点)

上昇圧力水頭 +HX max= '・H0*= 0.30×55.33 ≒16.6m

降下圧力水頭 -HX max=- '・H0*=-0.30×55.33 ≒-16.6m

管路中間点(Y 点)

上昇圧力水頭 +HY max= ''・H0*= 0.17×55.33 ≒ 9.4m

降下圧力水頭 -HY max=- ''・H0*=-0.20×55.33 ≒-11.1m

⑥ 圧力勾配線の作成

⑤で算定された上昇及び降下圧力水頭を縦断図にプロットすると、図-8.38-参のようになり、全

線にわたり負圧は生じない。

図-8.38-参 送水管路の圧力勾配線

⑦ 圧力水槽内における圧縮空気の初期の体積は、④から

3

0

0

=33.61,011.2×2

1,000×2.0×34 =

・2

・・34=

m

L

aC

Q

⑧ 圧力水槽内 小容量

C'=1-0.30

33.6=

β- 10

'

C=48m3

2・C0・a

Q 0・L

34・Q 0・L

2・a

=33.6m3

2・C0・a

Q 0・L

C0

1- '

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398

技 術 書・ポ ン プ 場

⑨ 圧力水槽基部の損失水頭

H(オリフィス)=K・H0*-Hf

=0.3×55.33-13.0

=3.6m

⑩ 圧力水槽概略寸法を右図に示す。

注) 道路の輸送制限などの関係から圧力水槽の径を小さくする

必要がある場合は、圧力水槽を 2 個とすることも検討する。