9
4.1 はじめに 本稿では,レーザーアブレーションプラズマの発生装 置およびレーザーアブレーションプラズマの計測方法を 概観する.レーザーアブレーションプラズマの生成を実 験技術としてみたとき,キーになる構成要素は,レー ザー光源,ターゲット,基板(薄膜作成の場合),および ターゲット周りの雰囲気である.もちろん,それぞれに 選択および工夫の余地があるが,慨してみれば,レー ザーアブレーションプラズマを生成する装置は,放電プ ラズマを生成する装置に比べて構造が単純であり,経験 (ノウハウ)に依存する要素が少ないと言える.もしも, 装置および経験をまったく持たない研究者が限られた予 算の範囲で何でもいいからとにかくプラズマを作りたい という状況にあったとすれば,放電プラズマを生成しよ うとするよりレーザーアブレーションプラズマを生成し ようとするほうが早道であろう.一方,レーザーアブ レーションプラズマの計測は放電プラズマの計測より困 難であると言える.これは,レーザーアブレーションが 通常パルスレーザーによって駆動される過渡現象であ り,ターゲットから放出される粒子の密度などはダイナ ミックな時空間変化を有するためである.本稿では, レーザーアブレーションプラズマの計測技術を取り上 げ,これまでに試みられている方法を説明する.強い時 空間変化を有するレーザーアブレーションプラズマの計 測には画像計測による可視化診断技術が特に有効である ので,その実例のいくつかを紹介する. 講座 レーザーアブレーションの物理と応用 4.レーザーアブレーションの実験技術 -計測技術を中心として- 佐々木 (名古屋大学大学院工学研究科電子工学専攻) Experimental Techniques of Laser Ablation with Emphasis on Diagnostics SASAKI Koichi Department of Electronics, Nagoya University, Nagoya 464 -8603, Japan (Received 29 August 2003) Abstract Experimental techniques of laser ablation are reviewed with the emphasis on diagnostic methods. The cur- rent trend of laser sources for ablation experiments is the use of short-wavelength lasers and femtosecond la- sers. In addition, several innovations have been tried in the selection of ambient medium of laser ablation. Be- cause of significant spatial distributions with transient properties, the diagnostics of laser ablation plasmas are more difficult than those of discharge plasmas. It is shown that visualized diagnostics are especially use- ful for the diagnostics of laser ablation plasmas. Keywords: experimental aspects of laser ablation, laser sources, ambient medium, diagnostics of laser ablation plasmas, optical spectroscopy, mass spectrometry, visualized diagnostics author’s e -mail: [email protected] J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003)1269‐1277 1269

4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

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Page 1: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

4.1 はじめに本稿では,レーザーアブレーションプラズマの発生装

置およびレーザーアブレーションプラズマの計測方法を

概観する.レーザーアブレーションプラズマの生成を実

験技術としてみたとき,キーになる構成要素は,レー

ザー光源,ターゲット,基板(薄膜作成の場合),および

ターゲット周りの雰囲気である.もちろん,それぞれに

選択および工夫の余地があるが,慨してみれば,レー

ザーアブレーションプラズマを生成する装置は,放電プ

ラズマを生成する装置に比べて構造が単純であり,経験

(ノウハウ)に依存する要素が少ないと言える.もしも,

装置および経験をまったく持たない研究者が限られた予

算の範囲で何でもいいからとにかくプラズマを作りたい

という状況にあったとすれば,放電プラズマを生成しよ

うとするよりレーザーアブレーションプラズマを生成し

ようとするほうが早道であろう.一方,レーザーアブ

レーションプラズマの計測は放電プラズマの計測より困

難であると言える.これは,レーザーアブレーションが

通常パルスレーザーによって駆動される過渡現象であ

り,ターゲットから放出される粒子の密度などはダイナ

ミックな時空間変化を有するためである.本稿では,

レーザーアブレーションプラズマの計測技術を取り上

げ,これまでに試みられている方法を説明する.強い時

空間変化を有するレーザーアブレーションプラズマの計

測には画像計測による可視化診断技術が特に有効である

ので,その実例のいくつかを紹介する.

講座レーザーアブレーションの物理と応用

4.レーザーアブレーションの実験技術

-計測技術を中心として-

佐 々 木 浩 一

(名古屋大学大学院工学研究科電子工学専攻)

Experimental Techniques of Laser Ablation with Emphasis on Diagnostics

SASAKI Koichi

Department of Electronics, Nagoya University, Nagoya 464 -8603, Japan

(Received 29 August 2003)

Abstract

Experimental techniques of laser ablation are reviewedwith the emphasis on diagnostic methods. The cur-rent trend of laser sources for ablation experiments is the use of short-wavelength lasers and femtosecond la-sers. In addition, several innovations have been tried in the selection of ambient medium of laser ablation. Be-cause of significant spatial distributions with transient properties, the diagnostics of laser ablation plasmasare more difficult than those of discharge plasmas. It is shown that visualized diagnostics are especially use-ful for the diagnostics of laser ablation plasmas.

Keywords:

experimental aspects of laser ablation, laser sources, ambient medium, diagnostics of laser ablation plasmas,optical spectroscopy, mass spectrometry, visualized diagnostics

author’s e-mail: [email protected]

J. Plasma Fusion Res. Vol.79, No.12 (2003)1269‐12771269

Page 2: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

4.2 レーザーアブレーション装置レーザーアブレーションによる薄膜作製(Pulsed La-

ser Deposition; PLD)装置の構成をFig. 1 に模式的に示

す.レーザー光源,ターゲット,および基板からなるシ

ンプルな装置構成である.ただし,ターゲットおよび基

板は真空容器内に納められる場合がほとんどである.薄

膜作製技術としてのPLDの特長は,本講座の第5章にお

いて述べられている.ここでは,PLD装置を念頭におい

て説明を進めるが,PLD以外の場合には,Fig. 1 の装置

構成から基板が除去されると考えておおむね正しい.以

下,Fig. 1 の装置の構成要素ごとに説明を加える.

4.2.1 レーザー光源

レーザーアブレーションに用いるレーザー光源は,

ターゲットを気化するに足る強度を持つ必要がある.金

属板の切断加工では,波長 10.6 µmの CO2 レーザーが広く用いられ,工業的にも実用化されている.一方,微細

加工および PLD応用では,短波長・短パルス幅のレー

ザーを光源に用いた方が良好な結果が得られる.短波長

がよい結果をもたらすのは,レーザー光に対するター

ゲットの吸収係数が一般に短波長ほど増大するためであ

る.レーザーパワーの吸収領域が狭い範囲(深さ)に集

中すると,非アブレーション領域におけるターゲットの

変質を抑制できる.また,短パルス幅のレーザーを用い

ると,レーザー照射領域周辺部分への熱の拡散が抑制で

き,熱的影響によるターゲットの変質および形状変化を

緩和できる.このような観点から,微細加工および PLD

応用では,エキシマレーザーおよびQスイッチYAG

レーザーを使用するのが一般的である.これらのレー

ザーのパルス幅は典型的に 10 ns である.

エキシマレーザーには,XeCl(308 nm),KrF(248

nm),ArF(193 nm)などがあるが,最近では,F2 レー

ザー(157 nm)を用いたアブレーションに関する研究が

活発になっている[1].F2 レーザーは,現在商用的に入

手できるレーザーの中で最も短波長である.真空紫外波

長域での発振のため,レーザーとターゲットの間の光路

を真空(またはガスパージ)にしなければならないとい

う不便さはあるものの,他のレーザーにない加工・アブ

レーション特性を有している.

QスイッチYAGレーザーの発振波長は1.06 µmであるが,非線形光学結晶により高次高調波を発生させれば,

可視・紫外域(2倍高調波 532 nm,3倍高調波 355

nm,4倍高調波 266 nm)のレーザーとして使用できる.

エキシマレーザーと比較して,YAGレーザーは価格面

で魅力がある.4倍高調波発生器まで含んだYAGレー

ザーでも,エキシマレーザーより安価に入手できる.し

かし,高次高調波発生を伴うため発振パルスのショット

ごとの再現性がエキシマレーザーより劣り,結果とし

て,アブレーションプラズマ生成の再現性もエキシマ

レーザーより劣る傾向がある.

エキシマレーザーやYAGレーザーを用いたアブレー

ションをナノ秒レーザーアブレーションと総称すること

がある.これに対し,最近急速に開発が進み,実用的な

Fig. 2 Density distribution of ambient gas in a laser ablation ex-periment visualized by laser-induced fluorescence imag-ing spectroscopy. The targetmaterial and theambientgasare graphite and C4F8, respectively. Laser-induced fluo-rescence imaging spectroscopy detects CF2 which areproduced by dissociation of C4F8. A compact plasmasource installed near the observation area is used for dis-sociation of C4F8.

Fig. 1 Schematic illustrationof laser ablation (pulsed laserdepo-sition).

Journal of Plasma and Fusion Research Vol.79, No.12 December 2003

1270

Page 3: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

装置が商用に供されているフェムト秒レーザーを用いた

アブレーションが注目を集めている[2].フェムト秒

レーザーの特徴は,極めて短いパルス幅と極めて大きな

瞬時パワーである.これにより,極めて短時間に大きな

エネルギーをターゲットに注入でき,熱的影響の少ない

アブレーションが実現できる.ナノ秒レーザーアブレー

ションでは,レーザーパルスの持続時間内にレーザーエ

ネルギーは熱に変換され,ターゲットは加熱されて溶融

状態になる.これに対し,フェムト秒レーザーのパルス

幅は,レーザーパワーがターゲットに吸収されて熱に変

換される時定数より短い.そのため,ナノ秒レーザーア

ブレーションと異なる過程によってアブレーションが生

じると報告されている(Fig. 5 参照)[3].

4.2.2 ターゲット

作製しようとする薄膜と同じ材料がバルク材料として

存在する場合には,それをターゲットに用いる.作製し

ようとする材料と同じ材料が存在するが,粉末などの形

態でしか入手できない場合には,焼結処理によってター

ゲットを作製する.このあたりの事情は,同じ PVD

(Physical Vapor Deposition)プロセスであるプラズマス

パッタリングに類似している.なお,焼結ターゲットを

高密度に作製するとデブリ(薄膜に混入する巨大微粒子)

が低減されると言われている.一般に,ターゲットと薄

膜の間の元素組成ずれが小さいことが PLDの特長と言

われており,作製しようとする薄膜と同じ材料をター

ゲットに用いるシンプルな方法により目的の成膜が可能

な場合も多い.組成ずれが問題になる場合には,1)ター

ゲットの組成を調整して不足する元素を補う,2)円板

状ターゲットのある部分をストイキオメトリックな組

成,残りを不足する元素とし,これを回転しながらアブ

レーションする,3)不足する元素を雰囲気ガスとして

供給する,などの方法がとられる.また,特殊な例とし

て,常温ではガスである材料(N2 など)を冷却して固化

し,ターゲットに用いている研究もある[4].なお,レー

ザー照射によってターゲットは局所的にエッチング(エ

ロージョン)されるので,PLDでは,ターゲットを回転

させるなどしてレーザー照射位置を分散させるのが通常

である.

4.2.3 基板

基板に関しては,プラズマスパッタリングと共通する

ポイントが多い.PLDが得意とする酸化物薄膜形成で

は,酸素雰囲気に耐える加熱機構を備えた基板が必要で

ある.PLDでは,ターゲット基板間の距離は極めて重要

なパラメータである.また,デブリの抑制のためには,

距離のみでなく,ターゲットと基板の間の位置関係にも

工夫がなされる.

4.2.4 雰囲気

PLDでは,薄膜で不足する元素の供給や反応性アブ

レーション(ターゲットから放出される粒子と雰囲気の

化学反応を利用してターゲットと異なる材料を合成する

方法)における反応場の提供のために,雰囲気が重要な

役割を果たしている.また,微粒子作製などでは真空容

器内を希ガスで満たすが,これは,ターゲットから発生

した粒子を冷却し,その膨張を抑制して粒子間の衝突に

よるクラスター生成反応を促進するためである.一方,

レーザーアブレーションでは,ターゲットから短時間に

高密度・高圧力の粒子群が雰囲気内に供給されるため

に,雰囲気内に衝撃波が駆動される.衝撃波のダイナ

ミックスは,PLDにおける気相化学反応や微細加工にお

ける加工形状に著しく影響する.Fig.2 に,後で述べる2

次元レーザー誘起蛍光法によって雰囲気の密度分布を可

視化した例を示す.ターゲットから放出された粒子群に

よって雰囲気が押しのけられ,その周りに雰囲気密度が

圧縮された層が存在することが明瞭に見てとれる.

これまでに行われてきたPLDの研究では,雰囲気は真

空またはガスであった.これに対し,これらと異なる雰

囲気でのレーザーアブレーションによる新規材料の創製

が注目され始めている.例えば,反応性レーザーアブ

レーションで新規材料薄膜を合成するとき,雰囲気がガ

スだと化学反応性が不足する場合がある.このとき,雰

囲気をプラズマを用いて分解すれば,ラジカルおよびイ

オンなどが存在する雰囲気でレーザーアブレーションが

行なえるので,ガス雰囲気を超える化学反応性が期待で

き,新規材料合成に有利である[5].Fig. 3 は,窒素ガス

雰囲気,窒素プラズマ雰囲気(投入電力 600 Wおよび 1

kW),および,窒素ラジカル雰囲気(窒素プラズマのア

フターグロー)で炭素ターゲットをレーザーアブレー

ションし,気相に存在するCNラジカル(反応生成物)の

総数を2次元レーザー誘起蛍光法で測定した結果を示し

ている.プラズマ雰囲気が最も高い化学反応性を持ち,

ラジカル雰囲気の化学反応性がこれに続いて高く,ガス

雰囲気より多くの反応生成物が得られていることがわか

る.さらに,最近では,液体中でのレーザーアブレー

ションが注目され始めている[6,7].液体雰囲気はガス

雰囲気に比べて格段に濃厚であり,ガス雰囲気にない化

学反応性が期待できる.また,このプロセスは真空装置

を必要としないので,極めて安価に装置を構築できる点

も大変魅力的である.さらに,微細加工の研究でも,液

Lecture Note Experimental Techniques of Laser Ablation with Emphasis on Diagnostics K. Sasaki

1271

Page 4: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

体中のアブレーションにより興味深い結果が得られてい

る[8].このように,今後はこれまで用いられなかった雰

囲気でのレーザーアブレーションに関する研究が活発化

するものと考えられる.

4.3 レーザーアブレーションプラズマの計測計測対象としてのレーザーアブレーションプラズマの

特徴は,ダイナミックな時空間変化を有する過渡現象で

あることである.このような対象を計測するとき,計測

方法には高い時間分解能と空間分解能が求められる.ま

た,仮に計測法が十分な時空間分解能を有していても,

空間的なある1点である1時刻のデータを取得しただけ

では,全体像を把握するという目的からはまったく不十

分な結果しか得られない.

時空間変化を有する対象を計測する時の方法には,飛

行時間型の計測法と画像計測法がある[9].飛行時間型

の計測法は,空間内のある1点に計測器を固定し,その

位置における測定量の時間変化をデータとして取得する

方法であり,空間分布を得るには,計測位置を順次移動

させる必要がある.画像計測法は,空間分布をもつ測定

対象の全体を一度に画像データとして取得する方法で,

時間変化に関する情報を得るには,画像取得の時間幅

(ゲート幅)を測定対象の時間変化より十分短くし,ゲー

ト開放時刻を順次ずらしてデータを取得する必要があ

る.それぞれに一長一短があるが,レーザー照射の繰り

返し周波数として典型的に 10 Hz 以上が期待できるレー

ザーアブレーション実験の場合,画像計測法の方がデー

タ収集効率が高いと言える.また,画像計測法によって

可視化された実験データは,現象の物理を理解する上で

大変に役立つものである.本稿では,これまでにレー

ザーアブレーションプラズマの計測に用いられている方

法を概観した後,画像計測法のいくつの実例を紹介す

る.筆者ら以外の研究は,主に,レーザーアブレーショ

ン国際会議(Conference on Laser Ablation; COLA)の過

去2回のプロシーディングス[10,11]から引用した.

4.3.1 レーザーアブレーションプラズマの計測法

ターゲットにレーザーが照射されてしばらく(�1 µs)時間が経過した後では,ターゲットから放出された粒子

の挙動が主な興味の対象となる.幸いなことに,最近15

年程度の間の努力により,様々な反応性プラズマ(化学

反応性を有する低温プラズマ)計測法が開発されており,

これらの方法は,レーザーアブレーションプラズマの計

測にも威力を発揮する.

代表的な方法は分光計測法である.発光分光法[12‐

17]は,簡便・安価であり,気相に存在する粒子種に関す

る情報を得るのに役立つ.レーザーアブレーションプラ

ズマの発光スペクトルから逆にターゲットの元素組成を

評価する方法は,レーザーブレイクダウン分析法[18‐

21]と呼ばれている.また,発光分光法は画像計測化との

相性がよく[22,23],イメージインテンシファイアを備

えたCCDカメラの前に干渉フィルタを置くことで,特定

の粒子からの発光画像を容易に取得できる(ただし,視

線方向には空間分解されない).しかしながら,レーザー

アブレーションプラズマが発光するのは,レーザー照射

直後の短時間(<10 µs)に限られるので,それ以降の時刻における情報を得るのに発光分光法は使用できない.

各種の吸収分光法もレーザーアブレーションプラズマ

に適用されている[24,25].この方法は,粒子密度の絶対

値を求めることができ,非発光状態のプラズマの計測に

も使用できるので有用であるが,光源の光軸に沿った平

均密度しか求まらない欠点がある.半導体レーザーなど

を光源に用いると吸収スペクトル線の形状を詳細に計測

でき,その結果から,電子密度などが評価されている

[26].

検出光学系の視線が計測用レーザービームと交差する

散乱計測法の配位を用いると,高い空間分解能を有する

計測を実現できる.代表的な方法は,共鳴散乱現象を利

用したレーザー誘起蛍光法[27‐32]である.この方法は,

非常に感度が高く,10 ns 程度(計測用パルス波長可変

レーザーのパルス幅程度)の時間分解能,および,0.1

mm程度(波長可変レーザービームと観測光学系のイ

メージビームが交差するサイズ)の空間分解能が容易に

得られる.原子状ラジカルおよび3原子分子程度までの

Fig. 3 Total number of CN radicals synthesized by reactive la-ser ablationof a graphite target inN2gas (Gas),N2plasma(Plasma), and the afterglow of N2 plasma (Radical).

Journal of Plasma and Fusion Research Vol.79, No.12 December 2003

1272

Page 5: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

分子状ラジカルの密度が測定できる.一方,微粒子につ

いても,それがフォトルミネッセンスを示せば,レー

ザー誘起蛍光法と同様に検出できる[33].微粒子がフォ

トルミネッセンスを示さない場合には,レーリー散乱光

[34]やミー散乱光を検出することで微粒子密度が求めら

れている.また,気相の微粒子にレーザー光を照射して

分解し,生成された粒子を検出する方法も試みられてい

る[35‐37].レーザー誘起蛍光法に代表される散乱計測

法は,後に述べるように画像化との相性が非常によい.

分光計測法だけでなく,粒子計測法もレーザーアブ

レーションプラズマに適用されている.代表的なのはラ

ングミュアプローブ[38,39]であるが,レーザーアブ

レーションプラズマに対してラングミュアプローブを使

用するためには放電プラズマの場合とは異なる配慮が必

要と考えられる.また,質量分析法による粒子種の診断

も広く行なわれている.四重極質量分析器をレーザーア

ブレーションプラズマに用いた研究もあるが,ナノ秒以

下のレーザーアブレーションでは,レーザーエネルギー

が注入される時間幅が短いので,飛行時間型質量分析法

[40‐44]との相性がよい.Fig. 4 に,ポリマーのレーザー

アブレーションで生成された炭素クラスターイオン種を

電場反射型飛行時間質量分析器を用いて調べた例を示

す.レーザーアブレーションと飛行時間型質量分析器を

組み合わせた方法は,レーザーマイクロプローブ法など

と呼ばれ,ターゲットの元素組成などの分析方法として

広く利用されている.また,ターゲットがたんぱく質な

どの生体物質の場合には,その分子構造をできるだけ破

壊せずにイオン化して飛行時間質量分析したい場合があ

る.この場合には,マトリックスと呼ばれる物質に生体

物質を混ぜたものをターゲットに用いる[45].この研究

にノーベル賞が授与されたことは記憶に新しい.

アブレーションレーザー照射直後(<1 µs)におけるターゲットの溶融過程や衝撃波駆動の様子を調べるため

には,別の光学的方法が用いられている.代表的なのは,

シュリーレン法やシャドウグラフ法である[46‐49].こ

れらの方法は画像化して行なわれるのが一般的であり,

その例を次節で示す.また,シャドウグラフ法の光学配

置に光学パスを追加することにより干渉計を構成し,

レーザーアブレーションプラズマの屈折率の分布を求め

ている研究もある[50,51].なお,雰囲気またはその一部

をレーザー誘起蛍光法によって検出可能な粒子にすれ

ば,2次元レーザー誘起蛍光法を用いて雰囲気のダイナ

ミックスを研究することも可能である(Fig. 2 参照).

4.3.2 画像計測の例

ターゲットの溶融過程の計測には,Fig. 5(a)に示すよ

うな簡単な方法が用いられている[52,53].この例[52]

では,フェムト秒レーザーの出力が二つに分けられ,一

方がアブレーションに,他方(プローブビーム)が表面

溶融状態の計測に使用されている.ターゲット表面で反

射したプローブビームを ICCDカメラで撮影する装置で

ある.プローブビームの光路はディレイラインとなって

おり,その長さを変えることによりアブレーションレー

ザービーム照射後の任意の時刻でフェムト秒の時間分解

能でストロボ写真が撮影される.GaAs をターゲットに

用いた場合の結果の例をFig. 5(b)に示す[3].レーザー照

射によりターゲット表面が溶融状態になると,反射率が

増加してプローブビームが明るく撮影される.Fig. 5(b)

の結果を見ると,アブレーションレーザーの強度が強い

中心部では反射率の増加が 0.6 ps で生じており,周辺部

での反射率増加は数 100 ps 経過後に生じている.0.6 ps

は,レーザー光のエネルギーによりターゲットが加熱さ

Fig. 4 An example of time-of-flightmass spectra observed by la-ser ablation of a polymer (PVDF) target.

Lecture Note Experimental Techniques of Laser Ablation with Emphasis on Diagnostics K. Sasaki

1273

Page 6: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

れる現象の時定数より短いので,ビーム中心部では加熱

を伴わないアブレーション(Electronic melting)が生じ

ていると報告されている.

ターゲットが溶融して飛散する過程を撮影した実験の

例をFig. 6 に示す[54].これは空気中での実験である.

光学顕微鏡にターゲットを設置し,アブレーション領域

をサブナノ秒の色素レーザーで照らす.光学顕微鏡に

CCDカメラを設置して,レーザーが照射されたターゲッ

ト前面を拡大して撮影する.時間分解は色素レーザーの

パルス幅(サブナノ秒)となる.Fig. 6(b)は,Fig. 6(a)の

(iii)の配位で色素レーザー光を照射した時に得られた画

像である.ターゲットからプルームが噴出する様子が明

瞭に撮影されている.

シャドウグラフ法の典型的な実験装置の構成と撮影さ

れた画像をFig. 7 に示す[55].レーザー光をバックライ

トとしてアブレーション領域を照らす比較的簡単な装置

である.Fig. 7(b)に示すように,衝撃波によって雰囲気

が密になった領域が伝播する様子が明瞭に観測されてい

る.Fig. 8 は,同様の方法によって,カーボンナノチュー

ブの合成雰囲気を可視化した結果を示している[56].グ

(a)

(a)

(b)

Fig. 6 (a) Schematic of fastmicroscopyapparatus for investigat-ing the expansion process of target materials by laser ab-lation and (b) snapshots of the expansion process of thetarget material [55].

(b)

Fig. 5 (a) Experimental apparatus for investigating the meltingprocess of target materials by laser ablation [52], and (b)temporal change in the optical reflectivity of the target sur-face [54].

Journal of Plasma and Fusion Research Vol.79, No.12 December 2003

1274

Page 7: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

ラファイトターゲットから生成した粒子群が煙状になり

ながら広がる様子が可視化されている.

画像化されたレーザー誘起蛍光法は,レーザーアブ

レーションプラズマ中の化学活性種の振る舞いを調べ,

その kinetics を明らかにするために最も有効な方法であ

る.典型的な装置構成をFig.9 に示す.プラズマ全域か

らのレーザー誘起蛍光を画像として得るために,励起に

用いる波長可変レーザーのビーム形状をシート状にして

入射する.シート状レーザービーム上に形成されるレー

ザー誘起蛍光像を,干渉フィルターで分光した後 ICCD

カメラで撮影する.アブレーションレーザーと波長可変

レーザーの照射のタイミングを順次変えることで,活性

種粒子密度分布の時間変化を容易に取得できる.Fig. 10

に,0.25 Torrの酸素雰囲気で金属チタンをレーザーアブ

レーションした際に,Fig. 9 の装置を用いて観測された

Ti,Ti+,およびTiOの密度分布を示した.それぞれの図

における密度の最大値(白色で表示)を図下に数値で示

した.この数値は,同じ粒子種の時間変化に関しては比

較可能である.時間の経過に伴う密度分布および最大密

度の変化が示されている.また,測定対象粒子が2原子

分子であれば,いくつかの回転線励起で得られるレー

ザー誘起蛍光像の強度から,粒子の回転温度分布を求め

ることも可能である[57].Fig. 11 に,ヘリウム雰囲気で

グラファイトをアブレーションした時に観測されたC2

ラジカルの回転温度空間分布を示す.プルーム先頭部に

温度の高い層が存在することが明瞭に観測されている

が,これは,衝撃波による加熱現象を反映した結果と考

えられる.

(a)

(b)

Fig. 7 (a) Typical experimental apparatus of shadowgraphic im-aging, and (b) images of a shockwave in ambient gas in-duced by laser ablation [56].

Fig. 8 Shadowgraphic images of laser ablation for the synthesisof carbon nanotubes [56].

Lecture Note Experimental Techniques of Laser Ablation with Emphasis on Diagnostics K. Sasaki

1275

Page 8: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

4.4 おわりにレーザーアブレーションの実験装置の全体像とキーと

なる構成要素に関して簡単な説明を加えた後,レーザー

アブレーションプラズマの計測技術に関して解説した.

反応性プラズマの分野では,特に半導体プロセッシング

(ULSI の製造)の高度化を動機として反応性プラズマ計

測に対する期待と要求が高まり,著しく研究が進展した

という過去の歴史がある.レーザーアブレーションプラ

ズマは放電プラズマよりも複雑で多様であり,その計測

技術に対する潜在的な需要は反応性プラズマ以上のもの

があると考えられる.今後,レーザーアブレーションに

よる材料プロセス技術が高度化し,産業的な重要度が高

まるにつれて,計測技術への要求が増すものと考えられ

る.

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Fig. 11 Distribution of the rotational temperature of C2 in laserablation carbon plume measured by laser-induced fluo-rescence imaging spectroscopy.

Fig. 9 Typical experimental apparatus of laser-induced fluores-cence imaging spectroscopy [32].

Fig. 10 Density distributions of Ti, Ti+ and TiO in laser ablationTi plasmasmeasured by laser-induced fluorescence im-aging spectroscopy. The target material and the ambi-ent gas are metal Ti and oxygen, respectively.

Journal of Plasma and Fusion Research Vol.79, No.12 December 2003

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Page 9: 4.レーザーアブレーションの実験技術1269 J.PlasmaFusionRes.Vol.79,No.12(2003) 1269‐1277 4.2 レーザーアブレーション装置 レーザーアブレーションによる薄膜作製(PulsedLa-serDeposition;PLD)装置の構成をFig.1に模式的に示

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さ さ き こう いち

佐々木 浩 一

1991年名古屋大学大学院工学研究科博士課

程後期課程修了.工学博士.現在,名古屋

大学大学院工学研究科電子工学専攻助教

授.主な研究分野は,反応性プラズマの生成,計測,制御,お

よび応用に関する研究,レーザーアブレーションプラズマに

関する研究.プラズマ・核融合学会,応用物理学会,電気学

会,レーザー学会各会員.健康管理のため,帰宅途中(夜中)

にスポーツクラブ(プール+サウナ)に立ちよる.

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