40
機密性1 クラウドサービス産業の現在と 今後の予想に いて 今後の予想にいて 2012年6月6日 経済産業省大臣官房情報システム厚生課 経済産業省大臣官房情報システム厚生課 情報システムリスク研究官 堀田博幸 堀田博幸

【講義用スライド】クラウドサービス産業について

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Page 1: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

クラウドサービス産業の現在と今後の予想に いて今後の予想について

2012年6月6日

経済産業省大臣官房情報システム厚生課経済産業省大臣官房情報システム厚生課

情報システムリスク研究官

堀田博幸堀田博幸

Page 2: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

本資料及び講義での見解について:

本資料及び講義での見解は執筆者個人の責任で発

表するものであり、経済産業省としての見解を示すもの

ではありません。

2

Page 3: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

本日の内容

0.はじめのはじめ

1 はじめに1.はじめに

2.クラウドサービスとは

3.クラウドサービスを支える技術

4 日本におけるクラウドサービス利用4.日本におけるクラウドサ ビス利用

5.政府のクラウドコンピューティングに対する取り組みについて

6.クラウドに関する米国政府の取り組みについて

7.クラウドサービス産業とは(まとめ)クラウドサ 産業とは(まとめ)

8.クラウドサービス産業の今後の3つの方向性(個人的な見解)

ク ウド ビ 産業 今後 関する デ カ

3

9.クラウドサービス産業の今後に関するフリーディスカッション

Page 4: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

0.はじめのはじめ

「『クラウド』 サービス産業」ってなんだろう? クラウドって何?「『クラウド』 サ ビス産業」ってなんだろう? クラウドって何?

cloud(雲)? crowd(群衆)?

「クラウドサービス産業」の「クラウド」って、語源はl d (雲)なんですcloud (雲)なんです。

それでは 何で雲なの?それでは、何で雲なの?

クラウドサービスの背景には クラウドコンピューティング(cloud computing )という技術があります。それは「インターネットの雲」の中のコンピュータを使う技術です。

4

クラウドサービスは、多くの人は知らず知らずのうちに使っています。

Page 5: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

0.はじめのはじめ

これらのサービスにはみんな、クラウドコンピューティング技術が使われてます 利用者から見 ク ウドサ ビ すいます。利用者から見て、クラウドサービスです。

どれも(基本的に)WEBブラウザ(インターネットエクスプローラー、サファリなど)を使ってアクセスしますね(evernoteのようにアプリケーションをダウン

5

など)を使ってアクセスしますね(evernoteのようにアプリケ ションをダウンロードする場合あり) 。

でもWEBブラウザを使うからといって、クラウドとは限りません。

Page 6: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

0.はじめのはじめ

これらのサービスはWEBブラウザを使ってアクセスしますが、利用者か

ら見えるサービス内容はクラウドサービスではありません(システムの、利者から見えな と ろ ク ウド ピ グ技術を使 るかも用者から見えないところでクラウドコンピューティング技術を使っているかも

知れませんが…)。

6

つまり、WEBブラウザを使うからといって、クラウドサービスを利用しているとは限りません。

Page 7: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

0.はじめのはじめ

それでは クラウドサービス クラウドコンピューティング技術 インそれでは、クラウドサ ビス、クラウドコンピュ ティング技術、イン

ターネットの雲、って何でしょう?

なぜ、クラウドって最近こんなに注目を集めているのでしょう。なぜ、クラウドって最近こんなに注目を集めているのでしょう。

ぼそれを説明するためには、コンピュータの歴史までさかのぼる必要

があります。

それをこれから始めます

7

それをこれから始めます。

Page 8: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

1950年代~1960年代

1.はじめに①商用コンピュータの変遷

1950年代~1960年代メインフレーム 高額(~100万ドル)。専用の部屋(大きい物置き

くらい)に隔離され、スペシャリストが運用。(スタンドアローンで集中処理)(スタンドアロ ンで集中処理)

1960年代~70年代ミニコンピュータ 家庭用冷蔵庫くらいの大きさ。比較的安価(~10万ドル)。

一般社員(プログラマー)が利用可能に。(回線は高価かつ低速なので処理はまだ単体)

1970年代後半~パーソナルコンピュータの普及(Microsoftの誕生(1975年))

ネットワークでつながれた クライアント/サーバシステム しかしネットワ クでつながれた、クライアント/サ バシステム。しかしまだネットワーク料金は高く容量が小さいので、個々のPCにインストールするか、社内のローカルネットワーク(LAN)での利用が中心(個々のクライアントPCか社内ネットワークでの分散処理)。2000年頃 中心(個々のクライアントPCか社内ネットワ クでの分散処理)。2000年頃~

インターネットの帯域幅が拡大し、機器の所在地は重要でなくなる(遠隔のデータセンターを安価に利用可能に)。また異機種のコンピュータを接続可能に。

(デ タセンタ で集中処理)(データセンターで集中処理)

1996年 7月 Hotmailサービス開始(5GBから段階的に無料。有料版あり)2004年 4月 Gmailサービス開始(当初1GB、現在は7GBまで無料。有料版あり)

か ては自社でしか供給できなか た ピ タサ ビ を 明確な料金の下 「サ ビ

出所:「クラウド化する世界」(ニコラス・カー)を元に作成

かつては自社でしか供給できなかったコンピュータサービスを、明確な料金の下、「サービス」として購入(無料利用の場合もあるが)できるようになった。

8

Page 9: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性11.はじめに②主な電気通信サービスの開始年

日本では2000年前後から、ブロードバンド(ADSL、FTTH)が普及開始、 、 普

出所:総務省 電気通信サービス

現状調査報告の現状調査報告書(2006年3月)より

ISDN: Integrated Service Digital Network (各家庭に配線されている銅線電話回線を利用し、交換機・中継回線・加入者線まで全てデジタル化されたたデジタル通信サービス。64Kbps)

DSL:Digital Subscriber Line (電話回線(メタル回線)でネットワークに接続するアクセスサービス(ADSL等)。1~50Mbps)FWA:Fixed Wireless Access (固定された利用者端末を無線でネットワークに接続するアクセスサービス。数Mbps~数十Mbps)FTTH:Fiber To The Home (光ファイバー回線でネットワークに接続するアクセスサービス(集合住宅内等において、一部に電話回線を利用するVDSL等を含む

100Mbps - 1Gbps)IMT-2000:International Mobile Telecommunication 2000 (第3世代携帯電話通信システム。FOMAなど。)

9

Page 10: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性11.はじめに③ADSLとFTTHの料金推移

日本では ブロードバンドは 競争原理で接続料金が安くなるとともに 普及していった

(消費者向け)ADSLの料金推移

日本では、ブロ ドバンドは、競争原理で接続料金が安くなるとともに、普及していった。

(消費者向け)FTTHの料金推移

参考:企業向けは、例えば、NTT東日本のフレッツ光ネクストビジネスタイプ(下り最大1Gbps)の料金は月額43 155円 プロバイダ37 800円額43,155円、プロバイダ37,800円程度~で、あわせて80,955円/月程度から。

専用線(帯域保証)であれば、1Gbpsで1,260.000円/月~(KDDI)と高額。

出所:総務省 平成23年度情報通信白書より 10

「ブロードバンド」とは、高速インターネットアクセスを可能とする加入者系ネットワークを意味し、「高速大容量通信が可能」、「常時接続」、「双方向性」という一般的特性を有するものをいう。(2005年7月総務省「次世代ブロードバンド構想2010」(全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会最終報告))

Page 11: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性11.はじめに

④ブロードバンドサービスの契約数などの国際比較

ブロードバンドサービス利用は国際的に見ても、2000年以降、着実に増加している

8,57210,000 

固定ブロードバンド契約者数(2010年)

35 738.1  37.9  37.7

35 34045

固定ブロードバンド普及率(2010年)

8,572 

3,404 2,135 1,958 1,719 

1,014633 539 5272 0003,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 

万契約

27.6 26.9 

34.0 31.6 

35.7 

29.8 24.2 22.7 

31.5 31.9  29.9 

37.7 35.3 

28.6 24.9 

152025303540

1,014 633 539 527 337 299 291 211 209 172 153 127 ‐

1,000 2,000 

nited States

Japan

France

ed Kingdom

orea (R

ep.)

Canada

ethe

rlands

Australia

n, Province …

Belgium

Swed

en

Switzerland

Kong, China

Den

mark

Norway

Finland

Singapore

05

10

主要な国での固定ブロードバンド普及率推移

Un

Unite Ko N

Taiwan S

Hon

g K

主要な国での固定ブロードバンド普及率推移

20

30

40

%30

40

50

0

10

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

0

10

20

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

出所:ITU(http://www.itu.int/ITU-D/ict/statistics/)のデータを元に堀田が作成 11

Hong Kong, China Japan Korea (Rep.)

Singapore United States

Denmark France Netherlands Norway United Kingdom

Page 12: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性11.はじめに⑤コンピュータを構成する主な部品の価格推移

10,000 

ハードディスクとSSDの1GBあたりの最安価格の推移

25.0 

DRAMの1MBあたりの最安価格の推移

(消費者向け)コンピュータを構成する主要部品は、この10年で劇的に安価に。特にハードディスク、DRAMは顕著。

10

100 

1,000 

円/GB5.0 

円/MB

10 

0.2 

1.0 

6末 2末 6末 2末 6末 2末 6末 2末 6末 2末 6末 2末 6末 2末 6末 2末 6末 2末 6末 2末 6末 2末 4/5

ハードディスク SSD 2001

/620

01/12

2002

/620

02/12

2003

/620

03/12

2004

/620

04/12

2005

/620

05/12

2006

/620

06/12

2007

/620

07/12

2008

/620

08/12

2009

/620

09/12

2010

/620

10/12

2011

/620

11/12

2011

/4

円/ドルレートの推移

18.0 

CPUの1MHzあたりの最安価格の推移

60708090

8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 

円/MHz

90100110120130140

円/ドル

0.0 2.0 4.0 6.0 

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

/6末

12末

12出所:Akiba PC Hotline などのデータをもとに堀田が作成

参考:4月13日現在のSSD価格の一例として、秋葉原では512GBが58780円(115円/GB)であるのに対して、サーバ向けの「インテル SSD 910」(R/Wともに4倍の早さ)は400GBで1929ドル(400円/GB)

2001

/20

01/1

2002

/20

02/1

2003

/20

03/1

2004

/20

04/1

2005

/20

05/1

2006

/20

06/1

2007

/20

07/1

2008

/20

08/1

2009

/20

09/1

2010

/20

10/1

2011

/20

11/1

Pentium4 Celeron Core2 AMD64(Athron64)

Page 13: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

1.はじめに⑥ブロードバンドサービス利用の拡大と安価になったPCを使って起きたこと⑥ブ ド ンドサ ビス利用の拡大と安価になった を使って起きた と

ブロードバンドサービス利用の拡大により、それまでに比べて、安価で広帯域(データの通信速度が早い)なインターネットのネットワーク利用が可能に。また、PCが安価になったことにより、大量のPCサーバを使ったサービス(データセンタ)が安価に実施可能に。この結果、ネットワーク越しに行われるコンピュータ・サービスが現実的になり 各種(クラウド)サ ビスが開始されるようになるなり、各種(クラウド)サービスが開始されるようになる。

2006年 6月設立2006年 7月サービス開始

1996年 7月サービス開始(HoTMaiL)

1997年Hotmailに名称変更

2007年設立2008年 9月サービス開始

年 名称変更

1997年 9月サービス開始2008年 4月米国で検索エンジ

ン・シェアトップに(2位は

2004年 2月設立2006年 9月一般サービス開始

2007年 8月サービス開始

シ ア ッ ( 位yahoo!)

2006年 9月 般サ ビス開始2008年 6月サービス開始

2008年10月発表

2004年 4月Gmailサービス開始(β版)年

2008年10月発表2010年 6月サービス開始

2006年10月Google Apps For Educationサービス開始

2007年 2月Google Appsサービスへの登録を一般公開開始 2012年4月24日発表、

13

2005年 2月設立2005年12月サービス開始

出所:Wikipedia、comScore など

サービス開始

Page 14: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性11.はじめに

⑦クラウドサービスの今後に関する有識者の言葉

挑発的な意見になるかもしれないが,10年後に,自社で独自に管理するサーバーで,

データを保持したり,トランザクションを実行したりする企業は無くなるだろう。ほとんどのトランザクションやアプリケーション,システム管理機能が,インターネット上のコンピュータ・クラウドからもたらされるはずだ。

(米Microsoftのスティーブ・バルマーCEO、2011年11月8日、都内のコンファレンスにて)(出所:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071108/286733/)

世界にコンピュータは5つあれば足りる。一つはグーグル、2つ目はマイクロソフト、そして、ヤフー、アマゾン、イーベイ、セールスフォース・ドットコムだ(米Sun Microsystemsのグレッグ・パパドポラスCTO 2006年11月 自身のブログにて)(米Sun Microsystemsのグレッグ・パパドポラスCTO、2006年11月、自身のブログにて)

(出所:クラウドの衝撃 城田真琴)

コンピュータ処理はクラウド上のデータセンタに向かう(集中処理)

再びコンピュータ利用のパラダイムシフト

14

再びコンピュ タ利用のパラダイムシフト(分散から集中へ、コンピュータ資産を持たないスタイル)

Page 15: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性11.はじめに⑧現状の具体的なクラウドサービス利用のメリットの例

(1) (初期)コストが非常に小さくてすむ (Gmailは10GBまで無料、Google Driveは5GBま

で無料。わずか6,000円/年で25GBへ。)

マイクロソフトオフィスは一本あたり2.5万円くらい

(2) 継続的に使用する場合もコストは使った分だけ(必要なときに必要な分だけ。スケーラビリティがあるので拡張も縮小も容易。グーグルでは有料サービスを使えば16TBラビリティがあるので拡張も縮小も容易。グ グルでは有料サ ビスを使えば16TBまで拡張可。 )

(3) サービスの迅速性 (Amazon Web Servicesは、数分~数時間位で利用開始が可能)

オーダーメイドのコンピュータを買うと納期は3日間くらいから

(4) 撤退が容易(利用開始が早いのと同じこと)

ピ タや トウ のような資産を購入すると耐用年数ま 使コンピュータやソフトウェアのような資産を購入すると耐用年数まで使わないと損(税金がかかる。廃棄すれば別だが損金になってしまう…)

このように、ブロードバンドと部品の価格が安価で利用が手軽になったので、高性能なコンピュータサービスを遠隔で受けることが可能となり、最近、クラウドサービス提供が本格化し、注目されるよう

15

になっている。

Page 16: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性12.クラウドサービスとは①インターネットの仕組み

インターネットでは 多数の「ルーター」と呼ばれる機器が バケツリレーによりデータの通信を中継インタ ネットでは、多数の「ル タ 」と呼ばれる機器が、バケツリレ によりデ タの通信を中継。

インターネットは厳密に言えば、一般に思われているような、「世界中の全コンピュータをつなげたネットワーク」ではない。「世界中のネットワークをルーターでつなげたネットワーク」である。

インターネットに接続された「個々の機器」には、識別するための番号として「IPアドレス」が割り当てられる(電話番号に相当)話番号に相当)

IPアドレス

送信先:192.130.5.11送信先:192.130.5.11情報はパケットに

分割されて伝送

ルータルータ

Internet Service Provider (ISP) A社

ISP B社

IPアドレス

210.130.137.80

ルータ

ルータルータ

Provider (ISP) A社

ISP D社ISP D社

ISP C社 ISP E社

送信先:192.130.5.11送信先:192.130.5.11

送信先:192.130.5.11

ルータ

ルータ

ISP F社

192 130 5 11

IPアドレス

16

ISP G社

192.130.5.11

192.130.5.12

全てのルータが互いにつながっているのではなく、近隣のルータ同士が協調して伝送ルートを把握している出所:「インターネットのつながるしくみ」に加筆

Peer to Peerというつながり方

Page 17: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性12.クラウドサービスとは

②クラウドコンピューティングのイメージ図

インターネットはネットワークのネットワーク。IPアドレスさえわかれば通信ができるので、どのように

ルーター、コンピューターが繋がっているか、わからなくても良い。そこで、慣例的に「雲」(クラウド)のような形であらわすことをしてきた。

組織内ネットワークの一例

インターネット

ルーター

ファイヤーウォール

DMZ

WEBサ バ メ ルサ バ DNSサ バWEBサーバー メールサーバー

内部LAN

DNSサーバー

17ファイルサーバー クライアントPC クライアントPC クライアントPC クライアントPC

Page 18: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性12.クラウドサービスとは

③クラウドコンピューティングへの最初の(と言われる)言及

インターネットの「雲」の中のコンピュータを利用することを「クラウド・コンピューティング」と呼んだのは、前グーグルCEOのエリック・シュミットが最初と言われている。

(今では、私たちは雲の中に住んでいる。私たちは、特定のプロセッサやシリコンラックというよりは、サイバースペースの拡散した雰囲

(出所:WEB版 Economist http://www.economist.com/より)

(今では、私たちは雲の中に住んでいる。私たちは、特定のプロセッサやシリコンラックというよりは、サイバ ス スの拡散した雰囲気の中でホストされる情報やアプリケーションとともに、 「クラウド」コンピューティングの時代に向かって動いている。 ネットワークは真の意味でコンピュータとなるのだ。(仮約))

18

Page 19: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

2.クラウドサービスとは④米国NISTにおけるクラウド定義

「クラウド・コンピューティング」の定義は人によって様々にされてきたが、今では米国NISTによる定義(SP 800-145, Sep 2011)が一般的に使われている。

19(出所:総務省 スマートクラウド研究会参考資料より)

Page 20: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

2.クラウドサービスとは⑤クラウドのサービスタイプと事例について

その他

SaaS、PaaS、IaaSでサービスされている具体的なサービスにはGmailやevernoteなどがある。

その他

Gmail、Google cloud

evernote

Dropbox

NIFTY

(Java or Python) (Apex)(仮想マシンの運用管理ツール)

cloud

(出所:総務省 スマートクラウド研究会資料を元に作成)20

Page 21: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

2.クラウドサービスとは⑥大手クラウドサービスのイメージ図

クラウドサービスの提供に当たって、サービス提供者はデータセンターを用意する(または、データセンターを借りる)。データセンターの実態はコンピュータ(サーバ)の集合体であり、大規模に設備を用意することで、スケールメリットにより、安価に設備を用意できるので、安価なサービスが可能となる。

21(出所:PC Online http://pc.nikkeibp.co.jp/ より)

Page 22: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

2.クラウドサービスとは⑦データセンターはサーバの数が増え、大規模になるとコストが安くなる

データセンタは、大規模なほどスケールメリットにより、コンピュータ(サーバ)やネットワークそれ自体の運用に関する単位コストを下げることができる。

22(出所:PC Online http://pc.nikkeibp.co.jp/ より)

Page 23: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

2.クラウドサービスとは⑧日本で利用可能な主なクラウドサービスとその利用料金

アマゾンの利用料、0.085ドル/時間は、約6,000円/月に相当。しかも初期費用は無料。それに比べて、日本のベンダーが提供するサービスは、概して高額で初期費用を要し、しかも月額が多い。

提供事業者名 サービス名 提供形態 提供開始年月 利用料 初期費用 SLA

米Amazon Web Srevices LLC Amazon EC2 仮想マシンの貸し出し 2006年8月 0.085ドル/時間~ なし 99.95%

グーグル Google App Engine(β版)アプリケーション実行環境の貸し出し

2008年4月 無料~ 無償 非公開

セ ルスフォ ス ド ト ム Fアプリケーション実行環境

2007年9月 6000円/月/ ザ 無償 個別に公開セールスフォース・ドットコム Force.comアプリケ ション実行環境の貸し出し

2007年9月 6000円/月/ユーザ~ 無償 個別に公開

マイクロソフト(株) Windows Azure Platformアプリケーション実行環境の貸し出し

2010年1月 11.76円~ 無償99.95%(仮想サー

バ)

(株)IDCフロンティア NOAHプラットフォームサービス 仮想マシンの貸し出し 2009年6月 2万6565円/月~ 5万2500円 99.99%

仮想マシンを実装済みのKDDI KDDIクラウドサーバサービス

仮想マシンを実装済みのサーバの貸し出し

2009年6月 31万5000円/月~ 21万円 非公開

NEC RIACUBE 仮想マシンの貸し出し 2008年3月 2万2500円/月~ 12万6000円 99%~99.95%

NTTコミュニケーションズBizホスティング エンタープライズ

仮想マシンの貸し出し 2007年11月 70万円/月~ 150万円 個別対応

(株)インターネットイニシアティブ IIJ GIOコンポーネントサービス 仮想マシンの貸し出し 2009年11月 8000円/月~ 1万6000円~ 7つの視点で定義

(株)サーバーワークス Cloudworks 仮想マシンの貸し出し 2009年7月基本料:1万5000円/月、仮想

サーバの利用料360円/日無償 99.95%

ソフトバンクテレコム(株)ホワイトクラウド シェアードHaaS スタンダード

仮想マシンの貸し出し 2010年4月 4500円/月 無償 -

ニフティ(株) ニフティクラウド 仮想マシンの貸し出し 2010年1月 7500円/月~ 無償 99.99%

日本アイ・ビー・エム(株)IBMマネージド・クラウドコンピューティング・サービス

仮想マシンの貸し出し 2009年10月 5万円/月~ 個別見積もり 個別取り決め

(株)日立製作所 ビジネスPaaSソリューション 仮想マシンの貸し出し 2009年7月 9万3450円/月~ 無償 個別契約

富士通(株)オンデマンド仮想システムサービス

仮想マシンの貸し出し 2010年10月 31円/時間~ 無償 99.99%

(出所:みてわかるクラウドマガジン vol.1より作成)23

Page 24: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

3.クラウドサービスを支える技術①データセンタ(ビル型)について

従来からある「データセンタ」とは、ビルを建設し、その中にサーバ、冷却装置、管理装置などを設置するもの。サーバを利用する企業の近くに設置する(ネットワーク遅延をできるだけ小さくするためなど)「都市型」が多い。

注1.2000年~2010年頃までのデータセンターは、初期のインターネットの唯一の結節点である東京・大手町に近いことと、主なユーザーである大企業の情

報システム部門がいざという時に駆けつけやすいことなどから、まずは東京都心部、次に首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)への立地となった。その結

(出所:各種ホームページ上の写真・図より)24

注2.19インチラック(全高1800mm~2000mm、~45U)(EIA・JIS規格)一つにおおよそサーバなど30~35台(併せて60A程度に抑える)を搭載)ラック使用料は、だいたい 52,500円~/ラック

報システム部門がいざという時に駆けつけやすいことなどから、まずは東京都心部、次に首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉) の立地となった。その結果、全国のデータセンターの60~70%は首都圏に集中していると言われている。

Page 25: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

3.クラウドサービスを支える技術②データセンタ(郊外型、コンテナ型)について

東日本大震災の経験から、企業のBCPの観点で、データセンターの首都圏立地から地方への分散化を図る動き。その結果、地方の広大な土地を利用した「郊外型」データセンタの設置が進展。また、新たな形として、輸送用のコンテナにサーバを詰め込んで、冷却効率を上げることにより、省エネルギーを目指した新しいタイプの「コンテナ型データセンタ」も見られるタセンタ」も見られる

さくらインターネット 石狩データセンタ IIJ 松江データセンターパーク

注.敷地は東京ドームの約1.1倍。最終的には60万台以上のサーバが稼働する予定

注.商用として国内初の外気冷却コンテナユニットによるデータセンター(2011年4月開設)。これは、 2011年3月の建築基準法の規制緩和により、コンテナ型

データセンタは建築物として取り扱わないこととなり、屋外での設置が可能となったもの。

(出所:さくらインターネット、IIJのHP)

25

Page 26: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

3.クラウドサービスを支える技術③データセンタ(コンテナ型)について(マイクロソフトの事例)

マイクロソフトを始め、グーグル、アマゾンは積極的にコンテナ型データセンタによる大規模データセンターの建設を行っている。そこでは、経費削減が徹底されている。

密閉したコンテナに設置しているのは、冷却効率を高めるため。建屋内にそのまま設置した場合には、建屋全体を冷却する必要がある。一方、コンテナ内に集約しておけば、その内部を冷却するだけで済む。コンテナは水冷。エアコンと比べて、水冷では冷却のための消費電力が少なくて済むという(水冷のコンテナ型データセンターを使っているのはマイクロソフトだけではなく、多くのクラウド事業者が採用)。また、マイクロソフトのシカゴのデータセンター(最大40万台)では、一人あたり5000台のサーバを管理しているとされており、総投資額は500億円程度(参考.東京都内に5カ所のデータセンターを持つ「アット東京」の売却額は1500億円との報道あり)。

26(出所:PC Online http://pc.nikkeibp.co.jp/ などより)

Page 27: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

3.クラウドサービスを支える技術④その他の海外事業者の動向と日本の状況(サーバ数の規模感)

○ 年 月 は ゾ は 台 サ バを運用 た

グーグル、ヤフーも大規模データセンターを整備している。日本のデータセンターの規模とは比べものにならない。したがって、稼働率などは別としても、安価なサービスを提供可能に。

○2012年3月にはアマゾンは、45万台のサーバを運用していた。- Huan Liu氏(アクセンチュアテクノロジーラボ研究員)がサーバラックへのIPアドレスの割り

当てパターンから推定(March 12, 2012)。

○2010年にはグーグルは、90万台のサーバを運用していた。- Rich Miller氏(Data Center Knowledge (DCK)編集者)がグーグルの電力エネルギーの消

費状況から推定(August 1st, 2011)費状況から推定(August 1st, 2011)

(出所:http://www.datacenterknowledge.com/archives/2011/08/01/report-google-uses-about-900000-servers/)

○米国ヤフーは2010年2月に、米国ネブラスカ州にサーバ台数最大10万台のデータセンターを建造 (出典:クラウド大全 第2版)

○IDC Japan(株)の2012年2月1日の発表によれば、日本の大規模DC(IT機器設置スペース○IDC Japan(株)の2012年2月1日の発表によれば、日本の大規模DC(IT機器設置ス スの面積が500㎡以上) 1サイト当たりの平均サーバー設置台数は約3,700台。また、国内のサーバー設置台数(2011年末時点)は、276万8,120台。

(出所:http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20120201Apr.html)

(ノークリサーチの調査によれば、2009年度の日本国内サーバ出荷台数は50万4,306台)

(出所:http://www.norkresearch.co.jp/pdf/2011pcserver2_rel.pdf)。27

Page 28: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性14.日本におけるクラウドサービス利用

①クラウドサービス利用実績の日米比較

クラウドサービスは、日本でも導入企業は増加しつつあるが、米国に比べれば、まだ限られており、大企業が中心。特に中小企業での導入が少ない。

(出所:総務省 平成23年度版情報通信白書より)28

Page 29: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

4.日本におけるクラウドサービス利用②企業のIT責任者に聞いたクラウドサービスの導入に伴う不安

日本、海外においても、クラウドサービスの利用に当たって、「データやインフラのセキュリティ」に不安を覚える企業は多いが、日本では他の観点よりも際だって多い。

(2011年5月トレンドマイクロ調査。調査対象は、国内企業のIT責任者200人および海外5カ国のIT責任者1000人(米、英、ドイツ、カナダ、インドそれぞれ200人)。導入を検討している企業だけではなく、既に導入している企業も含む。)

29(出所:PC Online http://pc.nikkeibp.co.jp/ より)

Page 30: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性15.政府のクラウドコンピューティングに対する取り組みについて(政策提言その1)

○新たな情報通信技術戦略(平成22年5月11日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)○新たな情報通信技術戦略(平成22年5月11日、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)Ⅱ.3つの柱と目標

1.国民本位の電子行政の実現2.地域の絆の再生3 新市場の創出と国際展開3.新市場の創出と国際展開

○ 環境・エネルギー、医療・介護、観光・地域活性化等の分野において、クラウドコンピューティング等の新しい情報通信技術の導入や関連する規制の撤廃等を進め、アジア市場の取り込みも視野に入れつつ、2020年までに約70兆円の関連新市場を創出する。

○ 2013年までに 新世代 光ネットワ ク 次世代ワイヤレス クラウドコンピ ティング (略)ソフトウ アエン○ 2013年までに、新世代・光ネットワーク、次世代ワイヤレス、クラウドコンピューティング、(略)ソフトウェアエン

ジニアリング等の戦略分野における産学官連携での集中的な研究開発を進め、我が国の情報通信技術企業が主要海外市場における知的財産権及び国際標準の戦略的な獲得、国際展開を可能とする。

Ⅲ 分野別戦略Ⅲ.分野別戦略1.国民本位の電子行政の実現

(1) 情報通信技術を活用した行政刷新と見える化○ 電子行政推進の実質的な権能を有する司令塔として政府CIOを設置し、行政刷新と連携して行政の効率化を

推進する その前提として これまでの政府による情報通信技術投資の費用対効果を総括し 教訓を整理す推進する。その前提として、これまでの政府による情報通信技術投資の費用対効果を総括し、教訓を整理する。その教訓にもとづき、上記施策を含め、電子行政の推進に際しては、費用対効果が高い領域について集中的に業務の見直し(行政刷新)を行った上で、共通の情報通信技術基盤の整備を行う。クラウドコンピューティング等の活用や企業コードの連携等についても、その一環として行う。

ⅴ)政府の情報システムの統合 集約化ⅴ)政府の情報システムの統合・集約化

政府情報システムについて、徹底した業務改革をした上で、費用対効果を踏まえたシステムの構築・刷新を進める。この一環として、クラウドコンピューティング技術を活用した「政府共通プラットフォーム」により、各府省別々に構築・運用している政府情報システムの統合・集約化を進める。

30

注.高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部:高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に基づき、平成13年1月に内閣に設置。本部長は内閣総理大臣、副本部長・本部員は全ての国務大臣と有識者

Page 31: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性15.政府のクラウドコンピューティングに対する取り組みについて(政策提言その2)

○新たな情報通信技術戦略(平成22年5月11日、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)Ⅲ.分野別戦略Ⅲ.分野別戦略

1.国民本位の電子行政の実現(1) 情報通信技術を活用した行政刷新と見える化ⅵ)全国共通の電子行政サービスの実現

地方自治体における電子行政について、利用者の負担軽減、行政効率化の観点から、クラウドコンピュー地方自治体における電子行政について、利用者の負担軽減、行政効率化の観点から、クラウドコンピュティング技術を活用した情報システムの統合・集約化を進める。

2.地域の絆の再生(3) 教育分野の取組

文部科学省は、2010年度中に教育の情報化の基本方針を策定し、その中で情報通信技術の活用が教育の文部科学省は、2010年度中に教育の情報化の基本方針を策定し、その中で情報通信技術の活用が教育の

現場にもたらす変革についてのビジョンを示した上で、当該ビジョンを実現するために、児童生徒1人1台の各種情報端末・デジタル機器等を活用したわかりやすい授業、クラウドコンピューティング技術の活用も視野に入れた教職員負担の軽減に資する校務支援システムの普及、(略)家庭及び地域における学習支援等、ハード・ソフト・ヒューマンの面から関係府省と連携して、総合的に情報通信技術の活用を推進する。ド ソフト ヒ ンの面から関係府省と連携して、総合的に情報通信技術の活用を推進する。

3.新市場の創出と国際展開(2) 我が国が強みを持つ情報通信技術関連の研究開発等の推進

今後、世界的な成長が期待され、我が国が強みを有する技術分野(新世代・光ネットワーク、次世代ワイヤレス、クラウドコンピューティング、(略)ソフトウェアエンジニアリング等)を特定して集中的に研究開発を行うとレス、クラウド ンピ ティング、(略)ソフトウ ア ンジ アリング等)を特定して集中的に研究開発を行うとともに、国際的なパートナーシップの下で国際標準(デジュール及びデファクト)の獲得や知的財産の活用につながる知的財産マネジメントを推進する。

(4) クラウドコンピューティングサービスの競争力確保等○ 国民利便性向上及びユーザー産業の高次化に資するクラウドコンピューティングサービスの競争力確保の○ 国民利便性向 及び ザ 産業 高次化 資するクラウ ン ティングサ 競争力確保

ため、データ利活用による新産業創出、データセンターの国内立地の推進、関連技術の標準化等の環境整備を集中的に実施する。

次世代クラウドコンピューティング技術の開発、複数のクラウドコンピューティングサービス間における相互接続・運用性の確保、クラウド利用のためのガイドライン等の利用環境の整備、データセンターの立地環境整接続 運用性の確保、クラウド利用のためのガイドライン等の利用環境の整備、デ タセンタ の立地環境整備等について、関係府省が連携して推進する。特に、高効率なデータセンターの国内立地促進のため、特区制度の創設も視野にコンテナ型データセンターの設置に係る規制の緩和などを2010年度中に検討する。

31

Page 32: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

6.クラウドに関する米国政府の取り組みについて

初代連邦政府CIOであるVivek Kudra氏による取り組み

Vivek Kudra氏は34歳にして、2009年3月にオバマ大統領より、初代の米国連邦政府CIOに任命され、2011年

8月まで、その任にあった(前職はワシントンDCのCTO)。

その間、「連邦政府ITマネジメント刷新のための25の実行計画(2010年12月発表)」の策定、各省が業務用の

クラウド コンピ ティング システムを導入する際のポ タルサイトであるA の創設などを行 たクラウド・コンピューティング・システムを導入する際のポータルサイトであるApps.govの創設などを行った。

「25の実行計画」の中では、「連邦政府は過去10年間で6,000億ドルをITに投資したが、民間並の投資対効果

を達成できていない」と指摘し、「納期の遅延や予算超過、そして機能不全を起こしやすい連邦政府機関のITプロを達成できていない」と指摘し、 納期の遅延や予算超過、そして機能不全を起こしやすい連邦政府機関のITプ

ジェクトを見直す必要がある」としている。

「25の実行計画」においては、

(1)2015までに800あるデータセンターの統合計画を作る

(2)連邦政府専用データセンタのオンライン調達サイトの立ち上げ

(3)”Cloud First” policyにシフトする

(4)連邦政府機関共通のSaaSによるメールサービスの導入

などの計画が実施期限 担当省庁を明示して示されているなどの計画が実施期限、担当省庁を明示して示されている。

(出所:http://www.cio.gov/documents/25-Point-Implementation-Plan-to-Reform-Federal%20IT.pdf など)32

Page 33: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

7.クラウドサービス産業とは(今までのまとめ)

「クラウドコンピューティング」とは、データセンターなど外部のコンピュータ群に存在する抽象化された巨大なITリソースを、広帯域なインターネットを通じて、高度な拡張性をもって 計測可能な(利用料金を計算可能な)サービスとして提供(利用)すると性をもって、計測可能な(利用料金を計算可能な)サ ビスとして提供(利用)するというコンピュータの利用形態。

それは安価な広帯域回線と安価なコンピュータを活用した大規模なデータセンターにそれは安価な広帯域回線と安価なコンピュータを活用した大規模なデータセンターによって成立している、コストと効率を極限にまで追求したコンピューティングモデルであり、利用者から見れば、インターネットそのものが計算処理を担うように見える(利用しているサ バを意識する必要がない)用しているサーバを意識する必要がない)。

そのようなサービスを提供する企業など全般を「クラウドサービス産業」と呼ぶこととすする。

日本政府も米国政府も、クラウドコンピューティングを推進。

ただし「利用しているサーバを意識する必要がない」というクラウドの性格上、自分がクラウドを利用しているのかどうか、どこにあるクラウドか、などわかりにくい面もあ

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クラウドを利用しているのかどうか、どこにあるクラウドか、などわかりにくい面もある。

Page 34: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

8.クラウドサービス産業の今後の3つの方向性(個人的な見解)①コンテンツ、ハードウェアのクラウド化①コンテンツ、ハ ドウェアのクラウド化

1) 消費者向けコンテンツのクラウド化

( ) i l d ( l ) クラウドプレ ヤ (A ) のような進化(a) i-cloud (apple)、クラウドプレーヤー(Amazon) のような進化

写真や音楽、動画などのコンテンツはクラウドに保存する、クラウドで聴く、クラウド

で見る、と言う形に

スマートテレビ →

(b) コンテンツの販売形態の変化(Google TV)(日本での対応未定)

(日本での対応未定)

(Apple TV)(日本で発売中)

DVDセル(店舗) →DVDレンタル(店舗) →DVDレンタル(ネットで予約。

郵送宅配)(DMMなど)

→ ダウンロード販売(楽天ダウンロードなど)

→ ストリーミング配信販売 (hulu、在京キー局各社のサービスなど)

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Page 35: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1(参考)

コンテンツ配信にかかる日本でのクラウドサービス類型とそ リ ク 考え方 例にそのリスクの考え方の一例について

(日本においてバラ色の未来があるわけではない)

注 弁護士の話を元に クラウドサービスの抱えるリスクをasahi comに掲載 ○は適法 ×は著作権侵害のリス注.弁護士の話を元に、クラウドサービスの抱えるリスクをasahi.comに掲載。○は適法、×は著作権侵害のリス

クが大きい、△はグレーゾーンであり、単純に権利侵害とは判断しにくい事例、という判断。実際にはグレーゾーンが広く、事例により異なる。 出所:http://www.asahi.com/digital/digitre/TKY201105260380.html

日本の現行の著作権法上 権利者(著作権者 著作隣接権(送信可能化権等)者)の許諾なく コンテンツを公衆向けに配信すること日本の現行の著作権法上、権利者(著作権者、著作隣接権(送信可能化権等)者)の許諾なく、コンテンツを公衆向けに配信することは権利侵害(刑事罰の対象)に該当するため、権利者の許諾を得たか否かを逐一確認することが困難な配信サービス、例えば動画投稿・配信サービスを国内サーバを利用して実施することは配信事業者にとって極めてリスクが高いと考えられる。

一方、米国では、米国著作権法により、配信事業者が権利者の許諾なく投稿された情報を排除すべく権利侵害を未然に防止する一定の努力をしている場合には、配信事業者がその事実を知らずに権利者の許諾のない情報を配信したとしても配信事業者の刑事責任が免責

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免責されている。(出所:「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化に関する検討会」報告書、2010年3月)

Page 36: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

8.クラウドサービス産業の今後の3つの方向性(個人的な見解)①コンテンツ、ハードウェアのクラウド化①コンテンツ、ハ ドウェアのクラウド化

2) ハードウェアのクラウドデバイス化

(a) 情報家電のクラウド化による性能競争の陳腐化

ストリーミング配信のようにオンデマンドな配信が本格的に普及すれば、

ハードディスクレコーダーの記憶容量やチューナー数の性能競争は無意味に。

(b) 日本の主要産業である情報家電産業への影響

日本の情報家電(録画テレビ、ハードディスクレコーダーなど)は、構成部

品の高機能、高信頼性を売りにしていたが、ストリーミング配信を受けるだけな機

ら、高機能でなくても良い。

高いノートパソコンから安価なネットブックに需要が(一部)シフトしたように、高いノ トパソコンから安価なネットブックに需要が( 部)シフトしたように、

情報家電もシンプルな構造(シンクライアント家電。必要な機能は後からソフト

をダウンロードして追加)に 日本の家電メーカーの優位が崩れるをダウンロードして追加)に。日本の家電メーカーの優位が崩れる。

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Page 37: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性18.クラウドサービスの今後の3つの方向性(個人的な見解)

②クラウドサービスのインフラであるデータセンタの日本パッシング

海外ベンダーの大規模データセンタは、アジアではシンガポール、中国での立地を指向

(出所 htt // ikk i / より 2011年2月末現在の状況)

1) 日本でのデータセンタ利用の空洞化

(出所:http://www.nikkei.com/ より。2011年2月末現在の状況)

注.この他Googleが、香港とシンガポール、台湾に2013年中の稼働を目指してデータセンタを建設中

安価で利用しやすいサービスは海外データセンタへ。国内データセンターは国内でなければ

ならない用途や高品質なサービス(タイム・ディレイのため、海外のセンター利用が向かない金

融系など)に使用が限定されていくおそれ。それにより、大規模データを利用した新しいビジネ

スの創出やデータ分析のエンジニアの育成が難しくなるおそれ。

2) データの国外移転に関する法的対応

(a) 個人情報保護法

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(b) ASP、SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン

(c) データセンター運用に関する準拠法、裁判管轄

Page 38: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

8.クラウドサービスの今後の3つの方向性(個人的な見解)③クラウド技術の標準化③クラウド技術の標準化

クラウド間のデータ連係プロトコルなど相互利用に関する検討はいろいろなところで行われているが、概ね、本格

的な検討が始まったばかり。日本は出遅れないようにする必要がある。一例は以下のとおり。

(a) CSA (セキュリティ標準の観点)

・ Cloud Controls Matrix (クラウド利用、運用に関して、守るべきセキュリティ事項を記載した表)

国際的に情報セキュリティの面でのハーモナイズをしないと、例えば日本の基準で見て、個人情報の保護が

十分なされないおそれ。

(b) GITCF (Global Inter-cloud Technology Forum) (クラウドシステム間の連携インタフェースやネットワークプロト

コル(通信方式)の標準化の観点)コル(通信方式)の標準化の観点)

・ クラウド間連携のためのインターフェース仕様案の策定など

「現状、各事業者が独自仕様で構築しつつあるクラウドシステムについて、システム間の連携インタフェースや

ネ トワ クプロト ルなどの標準化を推進し 国際的なクラウドシステム間の連携を進める ことを目指していネットワークプロトコルなどの標準化を推進し、国際的なクラウドシステム間の連携を進める」ことを目指してい

る。データ連係仕様等に関して日本の意見を反映できないと、日本のクラウドインターフェース仕様がガラパゴス

化するおそれ。

今は、ローカルドライブやGoogle Drive、Dropbox、iCloud、Windows Live、Evernote といろいろなサービスを

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使っているうちに、データが分散してしまう可能性があるが、あたかも、インターネットにアクセスする際、どこのW

EBサーバにアクセスしているか意識しなくてもいいように横断検索ができるかも…。

Page 39: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

9.クラウドサービス産業の今後に関するフリーディスカッション

皆さんは今後のクラウドサービスってどうなると思いますか?皆さんは今後のクラウドサ てどうなると思 ますか

検索エンジンでGが一人勝ちしているように、国産のクラウドサービスは淘汰されてしまうのでしょうか?汰されてしまうのでしょうか?

コンテンツ産業はどうなるでしょうか。

また、データセンター産業は内需(の一部)に向くしか無いのでしょうか。

自由な発想で意見をください。

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Page 40: 【講義用スライド】クラウドサービス産業について

機密性1

e-mail: [email protected] @ g jp

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