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5G ネットワーク・アーキテクチャ 展望の概要 ファーウェイ・ホワイト・ペーパー 2016 7

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要ファーウェイ・ホワイト・ペーパー •2016年7月

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

Contents

1つの物理インフラで多様な業種に対応できるE2Eのネットワークを実現 ................................................03

RANをクラウドで再構築 .................................................06

クラウドネイティブの新しいコア・アーキテクチャ .............10

俊敏性の高いセルフサービスのオペレーション .................14

結論: ................................................................................16

A. 通信速度と信頼性の鍵を握るマルチコネクティビティ

B. MCE

A. C/Uプレーンの分離でよりシンプルなコア・ネットワークを実現

B. 柔軟なネットワーク・コンポーネントで多様なサービス要件に対応

C. 一元的なデータベース管理

クラウドネイティブのアーキテクチャが5Gイノベーションの基礎となる

5Gは通信エコシステムを豊かにする ...............................02A. ネットワーク・アーキテクチャ変革の原動力

B. サービス主導の5Gアーキテクチャ

多様なサービス要件を実現する鍵はクラウドネイティブな5Gアーキテクチャ ...........................01

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

持続的な努力と決意を持って、通信事業者はより優れたデジタル世界を構築するためのデジタル・トラ

ンスフォーメーションを進めています。企業と個人の双方に「リアルタイム、オンデマンド、オールオンライン、

DIY、ソーシャル」(ROADS)体験を提供するためには、各段階において、アジャイルで、自動的で、イン

テリジェントなオペレーションを実現するエンド・ツー・エンド(E2E)の協調型のアーキテクチャが必要です。

ネットワーク、運用システム、サービスの包括的なクラウド化は、待望のデジタル・トランスフォーメーショ

ン実現において必要不可欠となります。

「オール・クラウド」戦略は、ハードウェアのリソース・プール、分散型ソフトウェア・アーキテクチャ、自動

展開に焦点を当てています。

通信事業者はデータセンター(DC)ベースのネットワーク・アーキテクチャを利用してネットワークを変革

し、クラウドDC上ですべての機能とサービス・アプリケーションが稼働するクラウドネイティブなアーキテ

クチャの構築を目指しています。

5G時代では、たった1つのネットワーク基盤によって多様なサー

ビス要件を満たすことができます。クラウドネイティブなE2Eのネッ

トワーク・アーキテクチャには以下のような特長があります。

• 1つのネットワーク基盤上で論理的に独立したネットワーク・

スライスを提供することで、多様なサービス要件に対応する

ことができます。また、DCベースのクラウド・アーキテクチャ

を提供することで、さまざまなアプリケーション・シナリオ

に対応できます。

• CloudRANベースの無線アクセス・ネットワーク(RAN)を再

構築することで、複数の通信規格による大量接続に対応し、

5Gで求められるRAN機能のオンデマンドな展開を実現で

きます。

• コントロール・プレーンとユーザー・プレーンの分離、機能の

コンポーネント化、一元的なデータベース管理により、ネッ

トワーク機能をオンデマンドに構成できるシンプルなコア・

ネットワーク・アーキテクチャを実現できます。

• ネットワークのアジャイルなO&Mによって、各種サービスに

対するネットワーク・スライス・サービスの生成から、保守、

終了までを自動化することで運用コストを削減できます。

多様なサービス要件を実現する鍵は クラウドネイティブな5Gアーキテクチャ

1

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

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新しく刺激的な5G時代において、新しい通信要件が既存のネットワークに対してテクノロジーやビジネ

ス・モデルの課題を提示します。次世代のモバイル・ネットワークは、多様な要求に応えなければなりません。

国際電気通信連合( ITU)は、5Gのモバイル・ネットワーク・サービスとして、eMBB(enhanced Mobile Broadband:高度モバイル・ブロードバンド)、uRLLC(Ultra-reliable and Low-latency Communications:超高信頼低遅延通信)、そして、mMTC(Massive Machine Type Communications:大量のマシン通信)

の3つのカテゴリーに分類しています。eMBBはデジタル・ライフを求める人々 の要求に応じることを目的と

して、高解像度(HD)ビデオ、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)といった帯域に対する要件が高いサービ

スに重点を置いています。uRLLCは、要求の高いデジタル産業の期待に応えることを目的として、運転支

援および自動運転、遠隔管理といった、遅延の影響を受けやすいサービスに重点を置いています。mMTCはさらに発展するデジタル社会の要求に応じることを目的として、スマート・シティやスマート農業といった、

接続密度に関して高い要件が求められるサービスに重点を置いています。

モバイル・ネットワークのサービス範囲の拡大は、通信ネットワークのエコシステムを豊かにします。自動車、

ヘルスケア、エネルギー、官公庁のシステムといった従来からの産業の多くがこのエコシステムの構築に取

り組んでいます。5Gはデジタル化を促進するための出発点であり、個人で楽しむエンターテインメントか

ら社会的な相互接続まで網羅します。デジタル化はモバイル通信業界に計りしれない商機をもたらします

が、同時にモバイル通信技術に厳しい課題も提示します。

5Gは通信エコシステムを 豊かにする

10Gbps高度モバイル・ブロードバンド

3D動画UHD画面

仕事も遊びもクラウドで

拡張現実

産業オートメーション

ITU-R WP5D

基幹業務

アプリケーション

スマート・ホーム/スマート・ビル

スマート・シティ

自動運転車

超高信頼低遅延通信

大量のマシン通信

100万/km2 1ミリ秒

将来のIMT

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

• サービス、通信規格、基地局タイプが異なる複雑なネットワーク

5Gネットワークでは、KPIが異なる多様なサービスを提供し、複数の通信規格(5G、LTE、Wi-Fi)の共存を

実現し、さまざまな種類の基地局(マクロ、マイクロ、ピコ基地局)間の協調能力を備えている必要があります。

異なる通信規格の接続要求に対応し、こうした柔軟性を備えたネットワーク・アーキテクチャを構築するとい

う設計課題を満たすためには、とてつもない労力が必要です。

• 複数の通信テクノロジー間の協調

5Gでは、長期間、LTE、Wi-Fiと共存しながら、マルチコネクティビティ技術と新しい5G無線インターフェー

スが導入されることが予想されます。十分な通信速度とシームレスなモバイル接続を実現するには、複数の通

信技術をユーザー機器のトラフィックとモビリティ条件に基づいて協調させていく必要があります。

• サービス・アンカーのオンデマンドな配置

5Gネットワーク・アーキテクチャは、アクセス・サイトと3層のDCに基づいて設計されます。各種サービス要件、

ファイバ /光ケーブルの可用性、ネットワーク・リソースの割り当て状況に基づいて、リアルタイム /非リアルタイ

ムのRANリソースを基地局上またはアクセス・クラウド側で配置することができます。さらに、これには、サー

ビス・ゲートウェイの場所をアクセス・クラウド上、または、コア・ネットワーク側に配置する必要があります。

• ネットワーク機能の柔軟なオーケストレーション

サービス要件によってネットワークに求められる機能が異なります。eMBBでは、スケジューリングのために高

いスループットが求められます。uRLLCでは、超低遅延と高信頼性が求められます。ネットワークでは、サー

ビスの特性を考慮しながらネットワーク機能を柔軟にオーケストレートする必要があります。これによって、ネッ

トワーク機能を大幅に簡素化し、ネットワークの効率性を向上できます。

• サービス展開までのリードタイムを短縮

さまざまなサービスによって、モバイル・ネットワークのエコシステムが拡大し、ネットワーク展開が複雑さを

増しています。新しいサービスを迅速に展開するには、ネットワーク設計、サービス展開、O&Mに関するライ

フサイクル管理プロセス全体の改善が必要です。

A. ネットワーク・アーキテクチャ変革の

原動力

既存のモバイル・ネットワーク・アーキテクチャは、

音声および従来のMBBサービスの必要条件を満

たすように設計されています。しかし、このような

構成は、3GPPバージョンの度重なる更新、多数

のネットワークエレメント、複雑なインターフェース

により、多様な5Gサービスをサポートするための

柔軟性が不足しています。ネットワーク・アーキテ

クチャ変革の原動力には、以下のような側面があ

ります。

3

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

eMBB uRLLC mMTC

リソース管理スライシング管理E2E管理プレーン

イネーブル・プレーン

RANリアルタイム

RAN非リアルタイム

cRRC cRRM AC

アプリケーション

SDNコントローラGW-UマルチRAT

アクセス管理

モバイル・クラウド・エンジン(MCE)

CloudRAN

ネットワーク・サービス・イネーブラ 複雑なイベント・プロセス 分析

統一データベース

構成可能なコントロール機能(CP)サービス・コントロール

GW-U GW-U GW-U GW-U

サービス指向コア(SOC)

ユーザー・データ

eGTP

セキュリティ管理 ポリシー管理

プログラマブル・データ・フォワーディング(UP)

コンポーネント...

MM SM

ポリシー・データ

サービス...

コントロール・プレーン・サービスサービス・コンポーネント

B. サービス主導の5Gアーキテクチャ

サービス主導の5Gネットワーク・アーキテクチャは、多様なモバイル・サービス要件に柔軟かつ効率的

に対応することを目指すものです。下位層の物理インフラを支えるSDN(Software Defined Networking)とNFV(Network Functions Virtualization)によって、5Gはアクセス、伝送、コア・ネットワークを包括的

にクラウド化することができます。クラウド化することで、5Gの多様なサービスへのよりスムーズな対応が

可能となり、ネットワークのE2Eのスライシング、サービス・アンカーのオンデマンドな配置、ネットワーク

機能のコンポーネント化といった重要なテクノロジーを実現できます。

CloudRANは、基地局とモバイル・クラウド・エンジン(MCE)から構成されます。CloudRANでは、多

くのコンピューティング・リソースを必要とするRANリアルタイム・リソースのさまざまな基地局タイプにお

いて、異なる通信規格で運用される複数のサービスを協調させることができます。マルチコネクティビティ

を導入することで、RANの非リアルタイム・リソースのオンデマンドなネットワーク展開を実現できます。ネッ

トワークは、ダイナミック・ポリシー、セミスタティック・ユーザー、コア・ネットワーク側の一元的なデータ

ベースに保存されているスタティックなネットワーク・データを使用してポリシー管理を実施します。コンポー

ネント・ベースのコントロール・プレーンとプログラマブルなユーザー・プレーンでは、ネットワーク機能の

オーケストレーションが可能となり、サービス要件ごとに対応するコントロール・プレーンとユーザー・プレー

ンの機能を選択できます。伝送ネットワークは、SDNコントローラと下位層の転送ノードから構成されます。

SDNコントローラは、ネットワーク・トポロジとサービス要件に基づき、個別に一連のデータ転送パスを生

成します。イネーブリング・プレーンは、ネットワーク機能を抽出 /分析することで、ネットワークの最適化

やAPI経由でのネットワーク機能のオープン化を実現できます。ネットワーク・アーキテクチャの上位層では、

E2Eの自動スライシングおよびネットワーク・リソース管理が実行されます。

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

eMBBスライシング

uRLLCスライシング

mMTCスライシングMCE

物理インフラ

LTE

LTE

LTE

RAN-RT

RAN-RTRAN-NRT

RAN-RT

RAN-NRT

RAN-NRT

スイッチスイッチ

キャッシュ

キャッシュAC

RAN-NRT

CP

CP

CP

CP

IOTサーバ UP

UP

MCE

MCE

5G

5G

5G

WIFI

WIFI

RAN 局側 DC ローカル DC リージョナル DC

E2Eのネットワーク・スライシングは、多様な5Gのサービスに対応するための基礎であり、5Gネットワー

ク・アーキテクチャの進化への鍵となります。NFVとSDNに基づき、将来のネットワーク・アーキテクチャ

の物理インフラは、基地局と3層のDCから構成されます。基地局では、マクロ基地局、マイクロ基地局、

ピコ基地局で複数の通信規格(5G、LTE、Wi-Fiなど)をサポートして、RANリアルタイム機能を実現します。

RANリアルタイム機能では、コンピューティング能力とリアルタイムのパフォーマンスに対して高い要件が

求められ、個別に専用ハードウェアの導入が求められます。3層のクラウドDCは、コンピューティングおよ

びストレージ・リソースから構成されます。最下層には、相対的に基地局に最も近い場所に位置する局側

のDC、中間層にローカルDC、最上位層にリージョナルDCが配置されます。これら各層のDCは、伝送ネッ

トワーク経由で接続されます。

多様なサービス要件に従って、ネットワークは1つの物理インフラ上でNFVを使用して対応するサービス・

タイプごとのネットワーク・トポロジと一連のネットワーク機能(ネットワーク・スライス)を生成します。各ネッ

トワーク・スライスは1つの物理ネットワーク・インフラから生成されるため、通信事業者は将来的にネット

ワーク構築コストを大幅に削減できます。ネットワーク・スライスは論理的に構成することが可能で、各ス

ライスを個別のスライスとして構成できるため、サービス機能の大幅なカスタマイズや独立したO&Mが可

能です。

1つの物理インフラで多様な業種に 対応できるE2Eのネットワークを実現

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

上の図に示すように、eMBB、uRLLC、mMTCは、1つの物理インフラ上で個別に実現できます。eMBBスライス

では、ローカルDCのモバイル・クラウド・エンジンにおい

てキャッシュを配置するために、帯域幅に関する高い要件

が求められますが、ユーザー近傍で高速サービスを提供し、

バックボーン・ネットワークの帯域幅要件を軽減できます。

uRLLCスライスには、自動運転、運転支援、リモート管理

などのアプリケーション・シナリオにおいて厳しい遅延要件

が求められます。RANのリアルタイム /非リアルタイム処理

機能装置は、ユーザーに近い基地局側に配置する必要が

あります。

V2X(Vehicle-to-X)サーバとサービス・ゲートウェイは局

側DCのモバイル・クラウド・エンジンに展開し、コントロー

ル・プレーン機能のみをローカルDCおよびリージョナルDCに展開する必要があります。多くのmMTCシ

ナリオでは、mMTCスライシングで少量の相互通信と低頻度のシグナリング処理が発生します。このように、

モバイル・クラウド・エンジンはローカルDCに配置し、その他の追加機能およびアプリケーション・サー

バはリージョナルDCに配置することで、局側のリソースを解放して、運用コストを低減できます。

2020年のRANへ向けた進化の過程において、CloudRANアーキテクチャをRAN側で採用することで、

RANリアルタイム機能、非リアルタイム・リソースのオンデマンドな配置、コンポーネント・ベースの機能、

フレキシブルな協調、RANスライスを実現できます。MCEによって、CloudRANは各サービス要件と伝送

リソース構成に基づいて、RANリアルタイム機能および非リアルタイム機能の柔軟なオーケストレーション

により、RANのクラウド化を実現します。

RANをクラウドで再構築

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

モバイル・クラウド・エンジンキャッシュ ……

GW ACRAN非リアルタイム

RANリアルタイムマクロセル(5GとLTE) スモールセル

IP IP IPIP

WiFi AP

RRU RRU AAU

RANリアルタイム

RANリアルタイム

クラウドBB

さまざまなテクノロジやレイヤにわたる共通のネットワーク・アーキテクチャ

RANリアルタイム機能には、アクセス・ネットワークのスケジューリング、リンク適応、電力制御、干渉

調整、再送信、変調、符号化が含まれます。これらの機能では、高いリアルタイム・パフォーマンスとコン

ピューティング負荷処理能力が求められます。基地局の配置においては、アクセラレータの高い処理スペッ

クとパフォーマンスを備えた専用のハードウェアが必要であり、同時にサービス近傍に配置する必要があり

ます。RAN非リアルタイム機能には、セル間ハンドオーバ、セル選択、再選択、ユーザー・プレーン暗号化、

複数接続の集約が含まれます。これらの機能では、最小限のリアルタイム・パフォーマンス、数十ミリ秒の

遅延要件が求められ、集中型の展開に適しています。ユニバーサル・プロセッサは、膨大なサービス要件

によってMCEまたは基地局に配置することができます。

MCEは、領域内時間、周波数バンド、空間に基づく複数の処理能力を協調すると同時に、複雑な管理

を実現できます。こうした管理システムの更新により、CloudRANは4G、4.5G、5G、Wi-Fiをサポートして、

マクロ、マイクロ、ピコの各基地局タイプの協調 /スケジューリングを実現できます。ネットワーク機能を無線、

バックボーン、またはコアの集約ノードで展開することで、ネットワーク効率の最大化とさらなる能力向上

が可能になります。

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

マルチコネクティビティは、将来のネットワー

ク・アーキテクチャ展開を支える基本的な構成

として高い評価を得ています。

CloudRANは統一のネットワーク・アーキテ

クチャ上でシームレスに展開することができま

す。これは、無線ネットワーク展開における大

きな飛躍といえます。現在の断片化したネット

ワークでは、速度を改善し、遅延を短縮する

ことで、ユーザー体験を向上させることができ

ますが、1つの周波数バンドや標準的な接続で

は、信頼性の高い高速データ通信は実現でき

ません。ヘテロジニアスなネットワークにおいて、

マルチコネクティビティは、高周波数帯の広帯

域、低周波数帯のネットワーク・カバレッジや

信頼性の高いモビリティ、さらにはアクセス可

能なWi-Fiリソースといった、LTEおよび5G能

力に基づく最適なユーザー体験を提供できま

す。広帯域やシームレスな接続が必要な場面

では、ユーザーは複数の通信規格に同時に接

続する必要があります。たとえば、広帯域化に

は、5G、LTE、Wi-Fiの複数規格の通信を束

ねる必要があります。

ユーザーが5Gの高周波数帯スモール・セル

に接続後にシームレスな接続を維持するため

に、LTEネットワーク接続が必要となります。

複数の通信技術が利用されているシナリオで

は、CloudRANはデータ通信のアンカーとなる

ことで、代替的な通信を大幅に低減できます。

データ通信のアンカーとして基地局を統合する

従来のアーキテクチャでは、LTE、5G、Wi-Fiのデータは特定の通信規格の非リアルタイム処

理モジュールに集約されてから、各アクセス・

ポイントに転送されます。CloudRANアーキテ

クチャでは、異なる通信規格のアクセス・ポイ

ントにおける非リアルタイム処理機能モジュー

ルはMCEに統合され、データ通信のアンカー

となります。データ・フローはMCE経由で各ア

クセス・ポイントに送られるため、代替的な通

信が避けられ、通信への投資を15%削減し、

遅延を10ミリ秒短縮できます。

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A. 通信速度と信頼性の鍵を握るマルチコネクティビティ

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

MCEはCloudRANのための集中制御と管理のための論理要素であり、RAN非リアルタイム機能、Wi-Fi AC、分散型ゲートウェイ、サービス関連アプリケーション分散型要素(アプリ)、キャッシュが統合され

ています。RAN非リアルタイム機能には、マルチコネクティビティと新たなテクノロジーの展開を容易にす

る一般的なコントロール・プレーン(cRRC)と、ヘテロジニアスなネットワークにおいてリソースの効率的

な調整を可能にする集中リソース管理モジュール(cRRM)が含まれます。クラウド・ベースのSON(cSON)

を導入することで、ネットワーク容量、カバレッジ、通信リソースを向上させ、広大なエリアをカバーし、ス

ライス管理の実現を成功させることができます。

MCEは、クラウドOSとCOTSベースのクラウド・インフラ上に展開

される一般的なCOTSプラットフォームと、専用プラットフォームとで

実行されます。MCEは、キャリアグレードのディザスタリカバリ能力、

クラウドネイティブのアーキテクチャに基づくオンデマンドな展開、柔

軟なスケールイン/アウト機能、独立した機能アップグレードが可能に

なります。

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B. MCE

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

メッシュ

MME

GW-C GW-C GW-C GW-C

GW-UGW-UGW-UGW-U

PCRF AAA DHCPツリー

SOC-CP

SOC-UP

SOC-UP

SOC-UP

SOC-UP

既存のネットワーク・ゲートウェイでは、ユーザー・プレーンとコントロール・プレーン機能の一部が統合

されています。5G時代においては、遅延に対して高い要件が求められる多くのサービスで、ゲートウェイ

をローカルDCまたは局側DCの下に配置する必要があります。そのためには、ゲートウェイのノード数を現

在より20倍から30倍に増設する必要があります。通信事業者が既存のゲートウェイ・アーキテクチャを採

用した場合、ゲートウェイのサービス構成が複雑化することによって、設備投資や運用コストが大幅に増加

します。これに加えて、コントロール・プレーンがロケーションとRAT情報を収集した場合、サイト、分散

型ゲートウェイ、ネットワークのコントロール・プレーン間で大量のシグナリングが発生します。多数のゲー

トウェイを分散配置することで、中央コントロール・プレーンのNEに対するインターフェース接続負荷とハ

ンドオーバによるシグナリング負荷が高くなります。

クラウドネイティブの新しいコア・アーキテクチャ

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A. C/Uプレーンの分離でよりシンプルな

コア・ネットワークを実現

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

外部インタフェース機能

CPサービス・コントローラ

サービス管理フレームワーク データ・サービス

ユーザー・データ管理

セキュリティ管理

ベアラ管理

ポリシー管理

CPコンポーネント・サービス

サービス指向コントロール機能

コンポーネント(...)

MMサービス

CPサービス構成

SMサービス

サービス(LCS...)

ゲートウェイのC/Uプレーンの分離によって、複雑な制御ロジック機能を分離してコントロール・プレー

ンに集約することで、分散型ゲートウェイの展開コスト、インターフェース負荷、代替信号経路数などを減

らすことができます。これに加えて、コントロール・プレーンとユーザー・プレーンの分離によって、フォワー

ディング・プレーンとコントロール・プレーンのスケーリングが可能となることで、ネットワーク・アーキテク

チャの柔軟性のさらなる向上、制御ロジック機能の集中化、そして多様な産業アプリケーションに対するネッ

トワーク・スライスの容易な実現が可能になります。この分離手法では、コントロール・プレーンとフォワーディ

ング・プレーンを分離して、コントロール・プレーンの進化に伴うフォワーディング・プレーンの頻繁なアップ

グレードを回避します。コントロール・プレーンとユーザー・プレーンを分離するには、2つのタスクを完了

しなければなりません。1つ目のタスクは、複雑な制御ロジック機能を分割するために軽量な機能を実装

することです。2つ目は、プログラマブルかつスケーラブルなフォワーディング・プレーンを実現するために、

フォワーディング・プレーンのためのオブジェクト指向インターフェースを完備した汎用テンプレート・モデ

ルを定義することで、コア機能モデルを構築することです。

コントロール・プレーンとユーザー・プレーンの分離後、関連するリンク接続を提供しているインターフェー

スは高度GTPプロトコル経由で動作します。加入者アクセス・タイプとサブスクリプション・データに基づ

いて、コントロール・プレーンはサービス・オブジェクトとアトミック・アクションのオーケストレーションを

開始して、リクエストを高度GTPインターフェース経由でフォワーディング・プレーンに送信します。次にフォ

ワーディング・プレーンは、サービス・ベースのイベント受領確認通知でコントロール・プレーンに応答します。

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B. 柔軟なネットワーク・コンポーネントで 多様なサービス要件に対応

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

5G時代において、モバイル・ネットワークは多様なサービスを提供します。

eMBB、uRLLC、mMTCでは、ネットワーク管理機能に求められる要件が異なり

ます。既存のモバイル・ネットワークではサービス・タイプごとに制御機能をカスタ

マイズすることはできず、多様なサービスに対し1つの論理制御機能しか提供できま

せん。密結合の制御機能と複雑なインターフェースによって、サービス展開とO&Mは

ますます難しくなります。柔軟でカスタマイズ可能な制御機能コンポーネントは、

次世代モバイル・ネットワークの中核を成す基本的な要素となります。

サービス指向の5Gネットワーク・アーキテクチャでは、論理制御機能を独立した

機能コンポーネントとして抽出することで、サービス要件に応じて柔軟に統合する

こともできます。ネットワーク機能の各コンポーネントは、コンポーネント間で論

理的に分離しているため、中立のインターフェースをサポートし、同一のネット

ワーク・インターフェース・メッセージを実行してサービスを他のネットワーク

機能利用者に提供することができます。結合した複数のインターフェースを、

1つのインターフェースに集約することができます。

ネットワーク機能の管理フレームワークでは、ネットワーク登録、

識別、管理が可能です。各機能を独立させることで、ネットワーク

機能の追加やアップグレード実施時にも、既存のネットワーク・

サービスに影響を与えることはありません。

密結合のネットワーク制御機能と比べると、コントロー

ル・プレーン要素のアーキテクチャでは、柔軟な

オーケストレーションとプラグ&プレイ展開に

よって、新しいサービスの開発や展開が

大幅に簡素化され、5GのE2Eの

ネットワーク・スライスのための

強固な基盤を形成します。

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

加入者/ポリシー・データコンテキスト/ネットワーク・データ

ユーザー・データ

ポリシー・データ

CPノード

CPノード

ビッグ・データ分析

DB

IPネットワーク

DB

データ・センター データ・センター

DB

DB

マイクロDC

CPノード

C. 一元的なデータベース管理

機能の仮想化後のネットワーク信頼性要件を満

たすために、ネットワーク・データのステータス情

報(データセンター間で共有されるユーザー・デー

タとポリシー・データなど)に対する迅速な障害復

旧が求められます。N+1バックアップに基づく従来

のディザスタリカバリメカニズムは、個別の信号通

信によってステータス情報の同期を実行するため、

システムの効率性が低く、異なるベンダーの製品

間で複雑な相互通信が発生します。

データと制御ロジックを分離することで、ネットワーク・ステータス情報を一元的なデータベースに集約

することができます。すべてのネットワーク機能は標準インターフェース経由でメタデータ・モデルにアクセ

スすることができ、ダイナミックなユーザー・データをローカルに格納することができます。分散したデー

タベース間の同期によって、ネットワーク・ステータス情報は、データセンター間でリアルタイムなバックアッ

プを実行することができます。サービス管理フレームワークを利用したデータベースの一元化によって、コ

ンポーネント・ベースのコントロール・プレーンによって導入されるネットワーク情報取得機能の手続きを簡

素化することで、データ同期のために必要な信号オーバヘッドを減らすことができます。

13

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

俊敏性の高いセルフサービスの オペレーション

ネットワーク・アーキテクチャの進化における目標と原動力の1つは、モバイル・ネットワーク

を使用して多様なサービスを提供することです。この目標を達成するための基礎となるテクノロ

ジーがE2Eのネットワーク・スライシングです。5G時代には、1つのネットワークに複数の論理

的に分離したネットワークのスライスが含まれるようになります。各スライスは、特定のネットワー

ク・トポロジ、ネットワーク機能、リソース割当モデルを備えています。ネットワークのプランニ

ングと展開を手動で行っている場合、通信事業者のO&Mシステムは大きな難題に直面する可

能性があるでしょう。

5Gネットワークでは、セルフサービスで俊敏なオペレーション能力を提供できます。ネットワー

ク・スライシング・サービスは、サービス要件に応じて自動的に生成 /維持 /終了することができ

るため、運用コストを大幅に削減できます。サードパーティの垂直産業は、運用基盤にモバイル・

ネットワーク・スライシング要件をインプットすることができます。通信事業者は、現在のネットワー

ク状態に基づいてお客様の要件を分析できます。

SLA(サービスレベルに関する合意)が完了したら、通信事業者はネットワーク要件にさまざま

なサービス条件をマッピングし、複数のネットワーク機能コンポーネントを選択して、ネットワー

ク・スライスを生成します。サービス機能とデータセンターの展開に応じて、通信事業者は論理ネッ

トワーク機能展開ノードを決定し、接続関係、すなわちソフトウェア定義のトポロジ(SDT)を定

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5G 5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

音声

サービス・オーダー

サービス・リクエスト モビリティセッションアクセス

スライス 3

スライス 2

スライス1

課金QOS

CO LDC RDC

NFVO OSS SOC CRAN

ネットワーク・リクエスト

NG EMS(NEデータ構成) ネットワーク・スライスの展開 NFVO(仮想リソースの展開)

設計書

機能と特徴

uMTCスライス

SONAC

RAN

局側 DC

スイッチ ローカルDC リージョンDC

物理インフラ

mMTCスライス eMBBスライス

義します。ネットワーク・スライシング・トポロジを定義したら、E2Eのプロトコル、すなわちソフトウェア

定義のプロトコル(SDP)を定義します。サービス要件に応じて、論理トポロジ、すなわちソフトウェア定義

のリソース割当(SDRA)において、論理接続に対してネットワーク・リソースを割り当てます。SDT、SDP、SDRAは、サービス指向のネットワーク自動生成(SONAC)に必要となる重要な機能群です。

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5Gネットワーク・アーキテクチャ展望の概要

結論: クラウドネイティブのアーキテクチャが5Gイノベーションの基礎となる

既存のネットワークでは、通信事業者がSDN

とNFVを使用してICTネットワーク・ハードウェ

アの仮想化を徐々に進めてきましたが、従来か

らの運用モデルとソフトウェア・アーキテクチャ

も保持しています。5Gネットワークでは、ネット

ワーク機能のカスタマイズ、オンデマンドのネッ

トワーク定義、実装、自動O&Mの実現に向けて、

クラウド化を通じた継続的なイノベーションが求

められます。

物理ネットワークはDCベースで構築して、

(RANおよびコア・ネットワーク装置の一部を含

む)ハードウェア・リソースをプール化することで、

リソースを最大限に活用できます。これに加え、

E2Eのネットワーク・スライスによって、多様な

サービスに対して論理的に分離された仮想ネッ

トワーク・スライスを提供できるため、特定のサー

ビス専用のネットワーク構築を大幅に簡素化で

きます。

CloudRANは、MCEに基づいて構築されます。

マルチコネクティビティは、複数のRAT、周波

数バンド、基地局タイプのアクセス能力を集約し

て、ネットワーク効率を最大化します。ネットワー

ク機能の柔軟な展開により、ネットワークをカス

タマイズして多種多様なサービスに対応可能で

す。CloudRANによって、通信事業者は課題に

対処し、先の読めない将来に対応することがで

きます。

コントロール /ユーザー・プレーンの分離に基

づく5Gコア・ネットワークでは、コンポーネント・

ベースのコントロール・プレーン、プログラマブ

ルなユーザー・プレーン、一元的なデータベース

を用いてシグナリングを簡素化し、分散型ゲート

ウェイの展開が可能になります。ネットワーク機

能をカスタマイズすることで、通信事業者はよ

り加入者のニーズを満たす柔軟なネットワーク・

スライスを提供することができます。SONACは

SDT、SDP、SDRAを使用して5Gのオートメー

ションを実現し、サービス展開の自動化、リソー

スのスケジューリング、詳細なネットワーク・デー

タ分析に基づく障害復旧を実現します。

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