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527日アンケート結果 サウンドチャンネルが興味深かった サウンドチャンネルが興味深かった 地衡流の図がわかりやすかった 地衡流の図がわかりやすかった 式が判りづらい、説明が足りない、温位が全く判らなかっ 式が判りづらい、説明が足りない、温位が全く判らなかっ たなど たなど 近似、考え方、概念はきちんと理解しなければ 近似、考え方、概念はきちんと理解しなければ この授業のテストってどんなテスト? この授業のテストってどんなテスト? 海面の高さがかなり狭い範囲でもかなりの差が有ること 海面の高さがかなり狭い範囲でもかなりの差が有ること に驚いた。 に驚いた。 位置で速度が判ってしまうのが不思議 位置で速度が判ってしまうのが不思議

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5月27日アンケート結果

•• サウンドチャンネルが興味深かったサウンドチャンネルが興味深かった

•• 地衡流の図がわかりやすかった地衡流の図がわかりやすかった

•• 式が判りづらい、説明が足りない、温位が全く判らなかっ式が判りづらい、説明が足りない、温位が全く判らなかったなどたなど

•• 近似、考え方、概念はきちんと理解しなければ近似、考え方、概念はきちんと理解しなければ

•• この授業のテストってどんなテスト?この授業のテストってどんなテスト?

•• 海面の高さがかなり狭い範囲でもかなりの差が有ること海面の高さがかなり狭い範囲でもかなりの差が有ることに驚いた。に驚いた。

•• 位置で速度が判ってしまうのが不思議位置で速度が判ってしまうのが不思議

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Potential Temperature (温位)

海水の圧力を断熱的に基準圧力(大気圧)に変化させたときの温度

海水は小さくは有るが圧縮する。深海では、圧力が高いので(10mあたり1気圧、1000mで100気圧)、圧縮し、その結果温度が上昇する。←圧力による仕事

圧縮による温度上昇の効果を取り除くために、仮に海水を断熱的に表層(1気圧)まで持っていったときの温度を“温位”と呼び、この式から求める。

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温位と現場観測した温度の差は大気ではもっと顕著

低い圧力 

低い圧力場での温度 

高い圧力 

高い圧力場での温度 

; ; ; ;

0

0

286.000

PTPT

PP

TT

=

地表(大気圧1000hPa)での温度を“温位”と呼び、上の公式から

次のように求められる

観測現場での圧力 

観測現場での温度 

での温度)温位( 

; ;

1000hPa ;

1000 286.0

PT

PT

Θ

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地衡流、力学高度、Steric Heightの復習

yhg

yDfu

xhg

xDfv

∂∂

=∂∂

=

∂∂

=∂∂

=− D: 力学高度=gh

h: Steric Height

h

での密度: 

0)無流面の深度(流速は 

psuSCT

z

dzpSTh

r

z

zr

35,0

:

),,(

0

0

0

==

−≡ ∫

ρρρ

0℃、35psu T, S

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Steric Heightを求めてみよう

z1ρ1

( )( ) ( )0

1120

0

01

),,(1

ρρρρ

ρρρ

Hzzz

dzzyxh

r

z

zr

−∆+−−=

−= ∫

H(x,y)

z12 ρρρ −=∆1 ½層モデルx,y

0

さらに x, yの関数でない項を無視するとρ2

NO MOTION),(),(

0

yxHyxhρρ∆

−=zr

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どういうこと?

),(),(0

yxHyxhρρ∆

−=x,y

0z1

ρ1

H(x,y)

zh(x,y)

表層では、steric heightは海面の

変位に他ならない。

=+

xH

xH

xh

or

xxHx

xHx

xh

∂∂∆

−≈∂∂∆

−=∂∂

∂∂

−=∂∂

−∂∂

01

211

ρρ

ρρ

δρδρδρ

ρ2

NO MOTION zr

海面変位の傾きと、密度躍層の傾きは逆!振幅は数百倍(ρ0/∆ρ)

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実際のデータを見てみよう-大西洋

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メキシコ湾流

北赤道海流

北大西洋海流

赤道反流

力学高度

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太平洋

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力学高度 - 単位 m2s-2 流速を見積もってみよう

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力学高度、Steric Heightから流量を見積もる

yhg

yDfu

xhg

xDfv

∂∂

=∂∂

=

∂∂

=∂∂

=−

( ) ( )ABAB

B

A

B

A

B

A

B

A

B

An

hhfgDD

f

dyyh

fgdy

yD

f

udydyudluM

−=−=

∂∂

=

∂∂

=

===

∫∫

∫∫∫

ρρ

ρρ

ρθθ

ρρ

1

sinsin

B

A

un

Mass flux: kg m-1 s-1

これを鉛直方向に積分し密度で割ると、VolumeFluxを得る。

Volume flux: m3s-1

106 m3s-1 = 1 SvSv: スベルドロップ

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力学高度、Steric Heightから流量、流速を見積もる

B:24 m-1s-1

A:23 m-1s-1

un

M=1000 kg m-3 / (10-5 s-1) * (24 – 23) m2s-2=108 kg m-1 s-1

A-Bの距離が100 kmであるとすると、A‐B間の平均流速は U=108 kg m-1s-1/(1000 kg m-3)/(100,000 m)=1 ms-1

流れの深度を100mとするとΨ=M*100m/ (1000 kg m-3)=107 m3s-1=10 Sv

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表層では、海面の変位とStericHeightはほぼ等しい

では、直接海面の変位を測定すれば流量、流速などがわかるのでは無いだろうか?

検潮所のデータを見てみよう

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SV 黒潮の流量

検潮所のデータの時系列

それぞれの検潮所のデータを見ると、はっきりしたことは判らない。<=流れが

複雑だから。

経験的にこれらの潮位データを組み合わせることで黒潮の流量が推定できる。

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沿岸の流れはともかく、世界中の検潮所のデータを使っても、外洋の海流の様子を探ることは難しそうだ。

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衛星で海面の高さは測れないか? 衛星海面高度計(altimeter)

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海面力学高度は、海面とジオイドの差

ジオイド:海面付近の重力の等ポテンシャル面海に流れが無ければ、海面の形状はジオイド面と一致する

最大85m、最小-106m ← 回転楕円体からの偏差

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残念ながら、ジオイドを正確に把握するのは難しい。そこで、海面の回転楕円体からの距離を海面高度とし、その平均値からの偏差を衛星海面高度計からの海流の情報として利用する。

Anomalyに平均値を足す。平均値はT、S観測データ

から求める(力学高度)。

←せいぜい1m程度しか変わらない。GEOIDの精度が重

要な理由。

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衛星海面高度計と現場観測による温度、塩分濃度データとを組み合わせて求められた、力学海面高度。地衡流の時間発展を追える。

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簡単そうに見えるが、実際は衛星の軌道はまばらなので、時空間で均一な海面高度偏差を求めるのは、いろいろな工夫が必要となる。潮汐によるエリアシングを避けるために、角度(66度)、サンプリング間隔(10日)などが決められた。

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一方で、衛星海面高度計から求めた海面の形状は、ジオイドに近いはずなので、そのデータと、水深の情報をあわせることで、全球での海底地形を求めることも可能となった。

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しかし、いずれにしても、海面高度計から海流を求めるのには、正確なジオイドを把握する必要があった。

GRACE(Gravity Recovery and Climate Experiment)

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どうやって重力を宇宙から測るの?

RGMV

RVm

RGmM

=∴

=2

2

陸地の上では重力が大きいので、先頭の衛星は加速する。

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まとめ1993年のTOPEX・POSEIDON衛星の打ち上げにより、全球で

の海面高度モニタリングが可能になった。

これは、それまでの現場観測塩分、温度測定、流速測定など点、線の測定に頼っていた海洋学に革命をもたらした。

さらに、2基目のJASONが2001年に打ち上げられ、現在TOPEX、JASONがタンデムで海面高度をモニタリングしている。

その衛星高度計の精度は、ジオイドを直接測ることの出来る衛星(GRACE)の出現で(2002年打ち上げ)さらに向上するであろう。

←通常の年 エルニーニョ→