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Z49『岡し11大学法学会雑誌』第55巻第2号(20n6年1月) 債権というのは、その存在が法律的に認められれば、訴訟手続等におい というのが原則であるが、その履行期限が到来した後において債権者がこ ら一定期間経過後に時効が到来したとして、時効を援用したときには、もはや とができなくなる。これは、権利の上に眠る者は救わないという思想等から導か 債務が履行請求きれないまま一定の期間放置された状態が経過すれば、法律上、この れるということであり、債務者がこれを援用すれば、結果として、債務者は債務を履行し ある。しかし、債権者の立場になってみると、債務者からの回収が期待できるかぎり、その 求めていくべきであり、回収されないままに時効が援用されるというような事態は、回収のため Ⅰ はじめに 差押え等による時効中断およびそ

Ⅰ はじめに 差押え等による時効中断およびその取消 …ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/4/48725/...25一 差押え等による時効中断およぴその取消しの遡及効について

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Z49『岡し11大学法学会雑誌』第55巻第2号(20n6年1月)

債権というのは、その存在が法律的に認められれば、訴訟手続等において相手方に対して追及することができる

というのが原則であるが、その履行期限が到来した後において債権者がこれをそのまま放置しておくと、債務者か

ら一定期間経過後に時効が到来したとして、時効を援用したときには、もはや債権者は債務者に対して追及するこ

とができなくなる。これは、権利の上に眠る者は救わないという思想等から導かれるもので、債務者側から言えば、

債務が履行請求きれないまま一定の期間放置された状態が経過すれば、法律上、この放置された事実状態が尊重さ

れるということであり、債務者がこれを援用すれば、結果として、債務者は債務を履行しなくて済むということで

ある。しかし、債権者の立場になってみると、債務者からの回収が期待できるかぎり、その債権を行使して回収を

求めていくべきであり、回収されないままに時効が援用されるというような事態は、回収のための必要な行動を怠

Ⅰ はじめに

差押え等による時効中断およびその取消しの遡及効について

同 法(552)250

っているという判断をされるのではないかと思うっ したがって、このような事態は、債権者としては極力回避しな

ければならないと考えられる。

その意味で、債権者にとっては、自らの債権がいつ消滅時効にかかるかを管理すること、および消滅時効にかか

らないように時効を中断するための諸手続を適切に行なうことは非常に大切なことと言える。

ところで、民法一四七条によると、債権者が時効中断する方法として、①裁判上の請求をするか、②差押、え、仮

差押え又は仮処分 (以下、「差押え等」という。) の手続をとるか、③債務者の承認を得るかの三つの方法が認めら

れている。このうち、②の差押え等については、判例は、債権者がその儀権の弁済を受けるため自ら行うもので、

本来債務者に対する意思表示の方法となすものではないからこれを「請空と同一視すべきでほないと考えてい鞍

〓ソ㍉

また、仮差押は権利実行の一方法として請求以外に時効中断の事由となると説明されてい脊つまり、差押え等は、

裁判上の請求とは別の理由で時効中断事由として認められているのであるf

さらに、差押え等については民法一五四条と一五五条に規定があり、一五四条では、「差押え、仮差押え及び仮処

分は、権利者の冶求により叉は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じな

いごと規定されている。つまり、一五四条では、差押え等に時効中断の効果を認めながらも、それが取り消された

ときには時効中断の効力を否定しているのである。

言い換えると、この一五四条は、まず、債権者が時効中断の手続に着手したと認められる以上、着手したことは

尊重されなければならず、着手した時点から時効中断されることを前提にしている。したがって、いつから差押え

等による時効中断の効力を認めるかが重要となってくる。本稿での最初の論点として、これについてのいくつかの

判例を取り上げ検討することとしたい。

次に、民法一五四条では、差押え等が権利者の請求により、または法律の規定に従わないことにより取り消され

25一 差押え等による時効中断およぴその取消しの遡及効について

たときには、時効中断の効力が生じない。つまり、差押え等が取り消されたときには、差押え等がなかったものと

して、遡って時効が進行すると規定されている。確かに、実体上の権利が認められないという事由で、その手続が

取り消されたときなどには、初めからその権利行使を認めるべきではなかったのであるから、遡って時効が中断し

ていない取扱いにすべきであろう。このような事態が、民法一五四条の想定するケースであり、同条を文言どおり

読むとこのように解釈される。

しかし、権利行使として差押え等の手続が始まり実体上の権利が認められ、その後実体上の権利が否定されるの

ではなく、実体上の権利の戦痕等とは別の事由で差押え等の手続が取り消されたときには、取り消されるまでは時

効が中断されており、取り消された時点から時効が進行すると考えるべきであり、当該手続の初めに遡って時効が

中断していないと考えるべきではなかろう。逆に、実体上の権利も認められ、かつ、手続上も正当であるとして進

行しているものが、実体上の権利の暇症等とは別の原因により取り消された場合に、遡及的に時効中断がなかった

ものとすることは、当該債権者に不測の不利益あるいは損害を及ぼすことになる。最悪のケースでは、時効の起算

点が遡ることにより、取り消された時点においては、すでに時効期間が満了していて、債権者が他の時効中断手続

をとろうとしてもとることができなくなっていることも考えられる。このような結論は、法も要求していないこと

であろうし、実体上の権利が認められるときにおいては、(取消しによる遡及効は認めないで)取り消された時点ま

では時効中断を認め、取り消された時点から時効が進行すると考えるべきであろう。また、そのように考えても、

債務者に特段不利益はなく、衡平・妥当な結果が導かれるものと判断されるっ

そこで、本稿の二番目の論点として、どのようなときに民法一五四条のいう時効中断効が遡及的になくなるのか、

あるいは逆に、民法一五四条が適用されないで中断効は取り消される時点まで存続すると考えるのか。判例及び具

体的事例を検討することとしたい。

岡 法(552)252

一 億務者が差し押さえられるべき物を持っていなかったとき

動産執行において、債権者が差押え等の手続を開始したが、債務者に差し押さ、えられるべき物がなかったときは

‥3

どうなるのか。これについては、大判大正一五年三月二五日がある。

同判例の事案の概要は、次のようなものであるっ「Ⅹノ請求原因トンテ主張シタル事実ハⅩハ明治三十八年四月三

十日訴外A・Bトノ三名ノ連帯ヲ以テYヨリ金一千Hヲ利息年一割二分弁済期明治三十八年七月二十五日ノ定ニテ

借受ケ之二関スル公正証書ヲ作成セシメタリYハ該公正証書二基キ大止十一年五月三日Ⅹニ対シ其ノ元利金二付強

制執行ヲ為シタレトモYハ右弁済期後Ⅹニ対シ一回モ請求ヲ為サスシテ今日迄十年ヲ経過セルモノニシテ債権ハ既

二時効二因り消滅シタルモノナリ仮二時効ハYニ対シ中断セラレタリトスルモ連帯債務者ノ一人タルBニ対シテハ

差押え等による時効中断の効力は、いつから発生するのか。つまり、差押え等が着手された暗から時効中断の効

力が発生すると考えられるが、差押え等が着手されたと見られるのはどのようなときかが問題となる。具体的には、

① 債務者が差し押さえられるべき物を持っていなかったとき

② 債務者の所在か不明のとき

③ 時効の中断効が発生するのは、執行の申立てを行った暗か

④ 債権差押え等は第三債務者に対して時効を中断するのか

の論点を取り上げ、判例を見ながら検討することとしたいり

Ⅲ 差押等による時効中断の効力はいつから発生するのか

253 差押え等による時効中断およぴその取消しの遡及効について

2 債務者の所在が不明のとき

次に、差押えをしようとしたが、債務者の所在が不明のために執行不能になったときは、どうなるのであろうか。

(5し

これについては、最二小判昭和四三年三月二九日がある。同判決の事案は、上告人Ⅹが、債務名義に基づき、Yら

に対する差押えを執行官に委任し、該執行官において、債務名義表示のYらの住所に赴いたが、Yらが同所に居住

していなかったため執行不能に終ったケースである。

消滅時効完成セルヲ以テⅩハ同人ノ負担部分タル三分ノニー付債務ヲ免レタルモノナリ仇テ本訴ヲ提起シ本件公正

証書ノ執行カアル正本二基ク強制執行ハ之ヲ許サストノ判決ヲ求ムル次第ナリト謂フニ在り」。

これに対して、原審は、「強制執行ヲ為シタルモ差押フヘキ動産ナカリシ為執行不能三1リタル事実ヲ認メ此ノ場

合二於テハ時効中断ノ効力ヲ生スヘキモノニ非スト判断シ」たが、上告審である同判決は、「執達吏力債権者ノ委任

ヲ受ケ債務者ノ住所二臨ミ差押二着手シタルモ差押フヘキ物ナカリシタメ執行不能二終リタルトキハ現二差押手続

ハ之ヲ実施シタルモノナレハ之力為二強制執行ノ目的ヲ達スルコト能ハサリシトスルモ之二依り時効中断ノ効力ヲ

生スルモノト解スルヲ相当トス」と判示した。

っまり、動産執行において、差し押さえるべき物がなくても、強制執行手続に着手した以上は時効中断の効力が

・1 生じるという判断をしているゥ最高裁の判断は未だなされていないが、名古屋地判昭和四二年一月三一日は、「右認

定事実によると、訴外Aは原告の一般財産に対し滞納処分としての差押の着手をなしたが、たまたま差押うべき物

件がなかつたので右差押は執行不能に終つたものというべきである。しこうして、右のような差押に着手したとき

はたとえ差押うべき物がなく執行不能となつた場合でもなお時効中断の効力を生ずるものと解するのが相当である」

と述べ、上記大審院判決と同旨の見解をとっている。

開 法(55 Z)254

行使にあたる行為に出たと認められる時期、すなわち、裁判上の請求については権利者が裁判所に対し訴状を提出

3 時効の中断効が発生するのは、執行の申立てを行った時か

差押え等による時効の中断効が発生するのは、執行の申立てを行った暗か、あるいは執行決定正本が債務者に送

〓7・

達された暗か。これについては、畢二小判昭和五九年四月二四日がある。同判決は、次のように判示している。す

なわち、「民事執行法一二二条にいう動産執行による金銭債権についての消滅時効の中断の効力は、債権者が執行官

に対し当該金銭債権について動産執行の申立てをした時に生ずるものと解するのが相当である。けだし、民法一四

七条一号、二号が請求、差押え等を時効中断の事由として定めているのは、いずれもそれにより権利者が権利の行

使をしたといえることにあり、したがつて、時効中断の効力が生ずる時期は、権利者が法定の手続に基づく権利の

した時、支払命令を申し立てた時等であると解すべきであり (訴えの提起の場合につき最高裁昭和三六年㈹第八五

これに対して、同判決は、次のように判示して、Ⅹの請求を認めなかった。すなわち、「差押による時効中断の効

力が生ずるためには、執行債権者が執行吏に対し執行の委任をするだけでは足りず、執行吏において執行に着手す

ることを要するものと解すべきである。しかるところ、鹿審の確定するところによれば、執行債権者たるⅩから執

行の委任を受けた執行吏が、本件楓粛笥矧

ては、Ⅹ主張の時効中断の効力は生じないとした原審の判断は、正当である。」 (下線は筆者の挿入による) と。

つまり、動産執行につき、所在不明のため執行不能となったときは時効中断効は認められないという判断である。

己‖

これは、大審院時代にも明治四二年四月三〇Hの判例があり、上記判例は最高裁においても変更がないことを示し

たものといえる。

んだところ、債務者たるYらの所在不明のため執行不能に終ったというのであって、かかる事実関係のもとにおい

255 差押え等による時効中断およぴその取消しの遡及効について

る裁判所又は執行官に対し金銭債権について執行の申立てをした時であると解すべきであるからである (不動産執

行の場合につき大審院昭和二二年ミ第二一九号同年六月二七日決定・民集一七巻一四号一三二四頁)。なお、不動産

執行と動産執行とでは、手続を主宰する執行機関の点に差異はあるものの、執行手続としての基本的な目的・性格、

手続上の原理等において格別異なるところはなく、特に申立てがあると、その後の手続は、いずれも、職権をもつ

て進行され、原則として債権者の関与しないものであるから、不動産執行と動産執行とによって時効中断の効力が

生ずる時期を別異に解すべき理由はない。もつとも、動産執行の場合、その中立ての時に時効中断の効力が生ずる

ものと解すべきであるといっても、民法一四七条の規定の趣旨・目的から同条にいう差押えを債権者として権利の

行使にあたる行為に出たと認められる申立てをも含めた手続の意義に解釈するにすぎず、現実に差押えがされるこ

とを要することはいうまでもないのであるから、当該申立てが取り下げられ若しくは却下されたことにより、又は

債務者の所在不明のため執行が不能になったことにより、結局差押えがされなかった場合には、動産執行の申立て

によっていったん生じた時効中断の効力は、遡及して消滅することになるものと解すべきである (最高裁昭和四二

年㈹第一四一二号同四三年三月二九日第二小法廷判決・民集二二巻三号七二五頁参照)。」(下線は筆者の挿入による)。

つまり、動産執行による金銭債権の消滅時効中断の効力は、債権者が執行官に対し動産執行の申立てを行った時

に生じるとし、債務者の所在不明のため執行が不能になったことなどにより、結局差押えがされなかった場合には、

動産執行の申立てによっていったん生じた時効中断の効力は、遡及して消滅することになるものと解すべきである

としている。不動産執行については、この判決が引用するように、昭和二三年六月二七日の大審院決定がある。仮

差押え事件についても、下級審において、前述の最三小判昭和五九年四月二四日と同様に、時効中断の発生時期は

「8) 裁判所へ申請書を提出した時であると判示されてい告

五号同三八年二月一目第一一小法廷判決・裁判集民事六四号三六一頁参照)、差押えについてほ債権者が執行機関であ

岡 法(55 2)256

これに類似するケースとLて、第三者担保提供の不動産競売事件における債務者への送達があるが、最二小判平

八q∴

成八年七月一二計は、「債権者から物上保証人に対する不動産競売の申立てがされ、執行裁判所のした競売開始決定

による差押えの効力が生じた後、同決定正本が債務者に送達された場合には、民法一五五条により、債務者に対し、

当該担保権の実行に係る被担保債権についての消滅時効の中断の効力が生ずるが、右の時効中断の効力は、競売開

始決定正本が債務者に送達された時に生ずると解するのが相当であるし けだし、民法一五五条は、時効中断の効果

が当該時効中断行為の当事者及びその承継人以外で時効の利益を受ける者に及ぶべき場合に、その者に対する通知

を要することとし、もって債権者と債務者との間の利益の調和を図った趣旨の規定であると解されるところ、競売

開始決定正本が時効期間満了後に債務者に送達された場合に、債権者が競売の申立てをした時にさかのぼって時効

中断の効力が生ずるとすれば、当該競売手続の開始を了知しない債務者が不測の不利益を被るおそれがあり、民法

一五五条が時効の利益を受ける者に対する通知を要求した趣旨に反することになるからである。」と述べている。

すなわち、債務者は、第三者提供の不動産競売事件においては当事者とならないため、時効中断の効力はないが、

民法一五五条は当事者以外にも特別に効力が及ぶことを認めたものであり、そのためには債務者への送達が必要と

されるので、到達主義が採られているとするものである。したがって、債務者自身への執行の場合と物上保証人に

対する執行とは区別しておかなければならない。

つまり、執行手続の当事者である場合には、手続の申立暗から時効中断の効力が発生するが、物上保証人への執

行手続では、債務者は直接の当事者ではないため、民法一五五条により特別に時効中断の効力が及ぶものとなる。

したがって、民法一五五条が要求している通知が債務者に送達されるまでは時効中断の効力が発生しないのである。

257 差押え等による時効中断およびその取消Lの遡及効について

5 小 括

以上にみるように、差押え等においては、所在が分かってその場所に行ったが、押さえるべきものがなかったと

いう場合と、所在不明のため執行不能に終わった場合とは区別されなければならない。前者は着手があったと見ら

れ、時効中断効も発生するが、他方、後者は着手があったとは見られず、時効中断の効力は生じないということで

ある。なお、『所在不明』の場合は、たまたま『不在』であった場合と異なり、住所、居所が分からず、執行手続に

入れないケースである

また、時効中断の効力の発生時点は、当事者である場合には、債権者が手続の申立てを行ったときと解せられる

4 債権差押え等は第三債務者に対して時効を中断するのか

債権差押えあるいは仮差押えは、第三債務者に対して時効を中断するのかどうか。これについては、大判大正一

(川〕

○年一月二六日がある。同判決は、第三債務者に対する債権の差押えは時効中断の事由にはならない旨述べている。

2)

r〓)(1 最高裁の判断は未だ出ていない状況であり、また、その後の下級審においては、肯定例と否定例とに分かれていた

(‖〕

ところ、最近の下級審においては否定例が続いている。このうち、東京高判平成一六年六月二三日は、「債権仮差押

えにおける債権者の債務者に対する請求債権の在否は、裁判所による存否の判断を受け、いわば公の確証たる価値

を有しているが、債務者の第三債務者に対する被差押債権は、当該被差押債権が裁判所からその存在について、公

の確証たる価値を取得したとはいえず、あくまでも債権者の主張に従って、第三債務者に対し処分制限効をもたら

すものにすぎない」と判示している。思うに、当該事案によっては債権の差押え等をすることにより被差押債権の

存在が確認できるような事情もあろうが、特段の事情がない限り、債権の差押え等が被差押債権の存在について裁

判所が確認するものではないため、差押え等によっても被差押債権の時効中断までされるとはいえないであろう。

岡 法(552)258

それでは、いったん発生した差押え等が取り消された場合は、民法一五四条の文言どおり、時効中断がなされな

かったことになるのであろうか。前述のように、実体上の権利の存在が否定されたことにより取り消された場合は、

そのように解すべきであろうっ たとえば、

ア AがBに対して売掛債権をもっていると主張し債務名義を取得して差押えに及んだが、実際には、AとBとの

間では売買契約が成立していなかったとか、

イ A・B間で売買契約が成立したが、その代金についてはBが既に別途支払ったとか、

の場合においては、差押え等が取り消されれば時効中断が初めからなかったこととLて取り扱われるべきであろう。

しかし、そうでない事由により取り消された場合には、別の判断をすべきではないだろうか。そこで、まず判例

で取り上げられた次のような事例を検討し、次いでそれ以外の事例を検討することとしたい。

① 不動産への仮差押が、第三者の競売申立て後に競落されたことにより、その登記が抹消されたとき

② 仮差押解放令の供託により仮差押執行が取り消されたとき

③ 剰余が見込まれないために取り消されるとき

一〇

が、当事者でない場合 (物上保証のケートスにおける債務者の場合) には、通知が債務者に送達された暗から時効中

断の効力が発生すると解せられる。

さらに、債権差押え等の場合においては、特段の事情がない限り、被差押債権の時効中断までされるとはいえな

いであろう。

Ⅲ いったん発生した差押等による時効中断の効力と取り消しとの関係

259 差押え等による時効中断およびその取消しの遡及効について

の効力は、右仮差押の登記が抹消された暗まで続いていたものというべく、その後、被上告人が、昭利五二年八月

四日頃、上告人に対し、不動産強制競売の申立をしたことは前示のとおりであり、また、本訴において、上告人が

本件債権の不存在確認を請求しているのに対し、被上告人がその請求棄却を求めて争っていることが本件訴訟の経

過上明らかであるから、本件債権の消滅時効は、いまだ完成していないものというべきである。」 (下線は筆者の挿

入による) と。

ニの判決に後に出されたものであるが、最高裁は平成一〇年一一月二四日の第三小法廷の判決で「仮差押えによ

る時効中断の効力は、仮差押えの執行保全の効力が存続する間は継続すると解するのが相当である。……また、民

一一

④ 競売申立て老が追加予納金を納付しなかったことにより配当要求が取り消されたとき

⑤ 差押え等の申立て権者が取り下げたとき

⑥ 売却見込みがないことにより取り消されたとき

1 不動産への仮差押が、第三者の競売申立て後に競落されたことにより、その登記が抹消されたとき

まず仮差押がなされ、次いで第三者の競売申立てがされた後、当該不動産が競落されたことにより仮差押登記が

(1A∵

抹消された場合に、時効中断効はどうなるのか。これについては、最二小判昭和五九年三月九日がある。

同判決は、次のように述べて時効中断の効力が登記抹消の時まで存続しているとしている。すなわち、「前記認定

の事実によれば、本件仮差押の登記は、本件建物が競落されたため、旧民訴法七〇〇条一項第二の規定に基づいて

抹消されたというのであり、本件仮差押が、被上告人の請求によつて取り消されたのでないのはもとより、被上告

人が法律の規定に従わなかつたことによつて取り消されたものでもなく、本件仮差押の登記の抹消をもつて、民法

一五四条所定の事由があつたものとはいえないと解するのが相当である。したがつて、本件仮差押による時効中断

岡 法(55-2)260

おいても、なお継続するというべきである。けだし、民法一五七条一項は、中断の事由が終了したときは時効中断

の効力が将来に向かって消滅する旨規定しているところ、仮差押解放金の供託による仮差押執行の取消しにおいて

は、供託された解放金が仮差押執行の目的物に代わるものとなり、債務者は、仮差押命令の取消しなどを得なけれ

ば供託金を取り戻すことができないばかりでなく、債権者は、本案訴訟で勝訴した場合は、債務者の供託金取戻請

求権に対し強制執行をすることができる (大審院人正三年㈹第七七号同年一〇月二七日判決・民録二〇輯八巻八一

2 仮差押解放金の供託により仮差押執行が取り消されたとき

つぎに、仮差押解放金の供託により仮差押執行が取り消されたときはどうなるのであろうか。これについては、

最三小判平成六年六月二一目がある。同判決は次のように述べている。

すなわち、「所論は、要するに、仮差押解放金の供託により仮差押執行が取り消された場合は、仮差押えによる時

効中断の効力は将来に向かって消滅し、時効が新たに進行するというべきであるとし、これと異なる原審の判断は、

法令の解釈を誤ったものというにある。

一二

法一四七条が、仮差押えと裁判上の請求を別個の時効中断事由と規定しているところからすれば、仮差押えの被保

全債権につき本案の勝訴判決が確定したとしても、仮差押えによる時効中断の効力がこれに吸収されて消滅するも

のとは解し得ないっ」と述べている。

このようなケースにおいては、仮差押債権者がその実体上の権利を否定されたわけではなく、また上記最判平成

一〇年一一月二四日との整合性から鑑みても、時効中断の効力が登記抹消の時まで存続していると解すべきであろ

、「ノ

しかしながら、仮差押えによる時効中断の効力は、仮差押解放金の供託により仮差押執行が取り消された場合に

2引 差押え等による時効中断およびその取消Lの遡及効について

○頁、人審院昭和七年S第七八九号同年七月二六日決定・民集一一巻一六号一六四九頁、最高裁昭和四一一年囲第三

四二号同四五年七月一六日第一小法廷判決・民集二四巻七号九六五頁参照) ものであるから、仮差押えの執行保全

の効力は右供託金取戻請求権の上に存続しているのであり、いまだ中断の事由は終了したとはいえないからである。

本件において原審の適法に確定した事実関係によると、被上告人は、昭和五七年九月一七日、上告人の連帯保証

の下に、A社に対し一〇〇万円を弁済期同年一〇月一五日の約定で貸し付け、同月二一口、本件連帯保証債権を被

保全債権として、上告人所有の本件不動産に対する仮差押決定を得て、その執行をしたところ、その後、上告人が

仮差押解放金を供託したため、同五人年一二月一日に本件不動産に対する仮差押執行が取り消された、というので

あるから、仮差押えによる時効中断の効力は消滅することなくなお継続し、本件連帯保証債権の消滅時効は進行し

ていないというべきである。」 (下線は筆者の挿入による) と。

仮差押解放金の供託により仮差押執行が取り消されたとしても、この場A‖は仮差押権者のもつ実体上の権利が否

定されたわけではなく、単に仮差押執行の目的物に代わって仮差押解放令が供託されたにすぎない。つまり、仮差

押えの債務者が債権者の実体上の権利につき争い、裁判所がこれを認めたというものではない (この段階では、仮

差押債権者の実体上の権利を認めたということでもないが)。したがって、このような場合は、供託された仮差押解

放金が存続する限り時効中断の効力は継続していると考えられるn

これと同様に、仮処分解放金の供託による仮処分の執行の取消し(民事執行法二五条、五七条) の場合も時効中

断の効力は消滅することなく、継続するものと考、ろられる。

3 剰余が見込まれないために取り消されるとき

不動産の競売手続が申し立てられた後、不動産の最低売却価額で執行費用のうち共益費用であるもの及び差押債

一三

岡 法(55-2)262

.川

権者の債権に優先する債権を弁済して剰余を生ずる見込みがないと認めるときは、執行裁判所はその旨を差押債権

者に通知するとともに、その後差押債権者が一定の申し出等をしないと、競売の手続を取り消すこととなる (民事

執行法六二条)。これを「無剰余競売」という。ただし、平成一六年二月二六日に成立した「民事関係手続の改善

のための民事執行法等の一部を改正する法律」 (平成一七年四月一日施行) により、民事執行法の一部が改正され、

無剰余の判断のべ-スとなっていた「最低競売価額制度」は廃止された。これに代わり、不動産の売却の額の基準

なるべき価薇 (「売却基準価額」というJ が設けられ、買受けの申し出は「売却基準価額」からその一〇分の二に

相当する額を控除した額 (「買受可能価緬」 という。) 以上でなければならないことになった。

いずれにしても、無剰余であると判断された場合には取り消される可能性があり、差押債権者が二疋の申し出等

をしない限り、競売手続は取り消されることとなる (この点も、改正前は厳格に取り扱われていたが、買受可能価

触が手続費用 (執行費用のうち共益費用であるも讐 の見込額を上回り、かつ、優先債権(差押債権者の債権に優

先する債権) 者の同意があるときは、不動産の売却手続を実施できることなり、柔軟に対応できるように改正され

た)。このような場合に、時効中断の効力がどうなるのかが問題となる。

これについては、水戸地判平成七年七月一〇日がある。同判決は、次のように述べている。

すなわち、「被告は、本件競売の手続が取り消されたのであるから、主たる債務である本件求償債務の時効中断の

効力は生じない (民法一五四条) と主張する。

本件未完のような担保権の実行としての競売についても、差押えに準じて時効中断の効力が認められるから、同

条は、担保権の実行としての競売についても通用されると解すべきであるが、同条が時効中断の効力を生じないと

している趣旨は、権利者自らの請求によって又は法律の規定に従わなかったことによって差押え等の処分が取り消

されたときは、権利の実行行為の存在が否定されたと見るべきであるという点にあると解される。

263 差押え等による時効中断およびその取消しの遡及効について

ところで、本件競売の手続が取り消された理由は、単に剰余を生ずる見込みがないというに過ぎず、それにもか

かわらず、差押債権者としては民事執行法六三条二項の申出及び保証の提供をしてまで競売手続を続行すべき義務

はなく、むしろ、権利の実行行為の存在が否定されたとは見るべきでない場合であると言うことができる。

そうだとすれば、無剰余を理由として競売手続が取り消されたときは、同条の適用はないものと解するのが相当

であるご と。

本判決前にも、「差押物件を換価しても配当する剰余金を得る見込みがないために執行が取り消された場合(民事

執行法六三条) は、中断の効力は失われず、そのまま執行手続が終了し、そのときに中断の効力が確定すると解す

べきであろう。」と述べる学説があったが、公刊された判例としては初めてである。

本判決についての判例批評には次のようなものがあり、すべて好感的である。

①「無剰余取消しというのは、権利者としては競売手続を続行するつもりであっても、民事執行法の規定によって、

終結せぎるをえないという状態になるわけですから、これは権利者の意思によってそうなったわけではありません

20)

し、権利の実行行為の存在が否定されたとみるべき場合には当たらないと考えてよいのではないかと思います。」

②「私も、水戸地判の判断でよいのではないかと思います。これと似たような事例が、動産に対する執行の場合に

も起こりえます。動産を差し押さえたのだけれども売れないという例があるのですね。その場合、結局最後は取り

消されるのだろうと思いますが、時効中断効は取消し暗まで継続すると考えるべきであろうと思います。」

③「この無剰余による取消しの前提となる剰余主義の意義については、ご承知のとおり、学説上、議論のあるとこ

ろであります。先順位物権の保護でありますとか、無益執行の禁止ですとかの議論などがありますが、しかし、い

ずれを根拠とする場合でも、無剰余取消しは、申立人自身の権利について、その強制的実現資格を否定するもので

はなく、ただ先順位者の存在と最低売却価額との関係で、売却の実施を求めることが妨げられるにすぎないわけで

一五

l凋 法(55 2)264

l六

あります。そのことは、六三条の規定によりまして、申立人が手続費用と優先債権S見込額を超える額を定めて買

受けの申出をすることによって、売却の実施を求められる点に端的に示されております。

(中略)…‥・私はただいま申しましたような趣旨から、無剰余取消しがなされても、それは中断効に影響を与えな

堪一

いという理解をすべきものと考えます。」

④「無剰余取消しとは、前述のとおり、本来差押えとしては適法であるが、剰余部分がないことが判明したことに

よって、政策的・便宜的に取り消すこととしたに過ぎないものである。そうであるならば、無剰余取消制度も、競

売手続が取り消される場合の一態様であることには変わりがないが、法が無剰余取消しを認めた趣旨にかんがみれ

ば、競売申立て自体は適法になされたが、競売手続の進展の結果、無剰余となることが判明したことをもって「法

律ノ規定二従ワサル」場合に該当すると解すべきではないことになろトγ。」

このように、無剰余による取消Lの場合、取り消されるまで時効中断効があるとするのが学説においても通説で

1 あると言えるであろう。

4 競売申立て者が追加予納金を納付しなかったことにより配当要求が取り消されたとき

たとえば、Aが競売手続を申立て、他の債権者Bが債務名義を基に配当要求をしていたところ、Aが執行裁判所

に対して追加予納金を納付しなかったことにより、Aの競売手続が取り消され、結果としてBの配当要求も取り消

されたとき、Bの時効中断効は最初からなかったことになるのか、あるいは配当要求が取り消されるまで存続して

いることになるのか。これについては、畢二小判平成一一年四月二七日がある。同判決は、次のように述べている。

すなわち、「執行力のある債務名義の正本を有する債権者は、これに基づいて強制執行の実施を求めることができ

るのであって、他の債権者の申立てにより実施されている競売の手続を利用して配当要求をする行為も、債務名義

2

Z65 差押え等による時効中断およびその取消Lの遡及効について

を生ずる暗まで継続するものといわなければならない。」 (下線は筆者の挿入による) と。

つまり、このようなケースにおいては、配当要求自体がその実体上の権利を否定されたわけではないので、いっ

たん生じた時効中断効は、それが取り消される暗まで存続すると考えられる。

付を理由に競売手続が取り消された場合には、配当要求自体が不適法とされたわけでもなければ、配当要求債権者

要求による時効中断の効力は、取消決定が確定する暗まで継続すると解するのが相当である。なるほど、民法一五

四条は差押え等が取り消された場合に差押え等による時効中断の効力を生じない旨を定めており、また、競売手続

が取り消されればこれに伴って配当要求の効力も失われる。しかしながら、執有力のある債務名義の正本を有する

債権者による配当要求に消滅時効を中断する効力が認められるのは、右債権者が不動産競売手続において配当要求

債権者としてその権利を行使したことによるものであるところ、醐封矧劇画晶呵回付利剖偲樹仙骨叫血判叫刊山矧矧矧川副山椚

手続が取り消された場合において、右の取消決定がされるまで適法な配当要求が維持されていたときは、右の配当

から生じなかったものになると解するのは相当ではなく、配当要求により生じた時効中断効は右の取消決定が効力

が権利行使の意思を放棄したわけでもないから、いったん生じた時効中断の効力が民法一五四条の準用により初め

に基づいて能動的にその権利を実現しようとする点では、強制競売の申立てと異ならないということができるっ し

たがって、不動産競売手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、差押え (民法

一四七条二号) に準ずるものとして、配当要求に係る債権につき消滅時効を中断する効力を生ずると解すべきであ

る。

そして、右の配当要求がされた後に競売手続の申立債権者が追加の手続費用を納付しなかったことを理由に競売

一七

岡 法(55-2)266

一八

5 差押え等の申立て権者が取り下げたとき

いったん申し立てた差押え等につき、申立てた者が取り下げたときはどう判断すべきであろうかり 取り下げるこ

とにより、遡及的に時効中断効が消滅するのか、あるいは、取り下げる暗まで時効中断効が存続し時効はその時点

6

2」

から進行すると考えるのか。これについては、最一小判平成一一年九月九日がある。同判決は、次のように述べて

いる。

第一点日として、「債権者が、根抵当権の極度額を超える金額の被担保債権を請求債権として当該根抵当権の実行

としての不動産競売の申立てをし、競売開始決定がされて同決定正本が債務者に送達された場合、被担保債権の消

滅時効中断の効力は、当該極度額の範囲にとどまらず、請求債権として表示された当該被担保債権の全部について

生じると解するのが相当であるごと述べ、第二点目として(本稿のテーマに関しての部分)、「債権者から物上保証

人に対する根抵当権の実行としての競売の申立てがされ、執行裁判所が、競売開始決定をした上、同決定正本を債

務者に送達した場合には、時効の利益を受けるべき債務者に差押えの通知がされたものとして、民法一五五条によ

り、債務者に対して当該根抵当権の実行に係る被担保債権について消滅時効の中断の効力を生ずる (最高裁昭和四

七年㈹第七二三号同五〇年二月二一日第二小法廷判決▲民集二九巻一〇号一五三七頁参照〉り しかし、債権者が根

抵当権の実行としての競売を申し立て、競売開始決定正本が債務者に送達されても、根抵当権の被担保債権につい

て催告 (同法一五二条) としての効力が生ずるものではないと解すべきである (最高裁平成七年㈹第一九一四号同

八年九月二七日第二小法廷判決・民集五〇巻八号二三九五頁参雌)。そして、物上保証人に対する不動産競売におい

て、債務者に対する同法一五五条による被担保債権の消滅時効中断の効力が生じた後、債権者が不動産競売の申立

てを取り下げたときは、右時効中断の効力は、差押えが権利者の請求によって取り消されたとき (同法一五四条)

に準じ、初めから生じなかったことになると解するのが相当である。」 と述べている。

267 差押え等による時効中断およびその取消しの遡及効について

6 売却見込みがないことにより取り消されたとき

動産執行の場合において、売却見込みがないとの理由で取り消されたときはどのように考えるべきであろうか。

前掲東京高判平成七年一二月二一日は、傍論であるが、「右の事実によれば、差押物件の売却の見込みがなかったと

認められるから、執行官は、民事執行法ハ三〇条に基づき差押えを取り消すことができたものであり、執行官が同

条に基づいて差押えを取消しておれば、本件動産執行の申立てによる消滅時効中断の効力は消滅しなかったものと

一九

7

2′

大審院時代においても、大判昭和一七年六月二三日は、競売開始決定があり差押えの効力を生じた後においても

競売申立ての取下げがあるときは、時効中断の効力を生じない旨判示していた。このほか下級蕃である東京高判平

〔調)

成七年一二月二一日は、裁判所のほうから取り下げを進めたケースであるにもかかわらず、債権者か差押え等を取

9

2) り下げたときには、時効中断効はなくなるとすることで一貫している。

しかし、たとえば、裁判所の書記官が無剰余で取り消すべきところを、債権者から自主的に取り卜げることにし

て欲しいとの申入れに応じて、債権者が取下げしたところ、時効中断効が遡ってなかったことになり、その結果、

時効が成立したことにより債務者が債務を免れることができ、債権者がもはや債権回収を事実上できなくなったと

きのようなケースにおいては、国家賠償請求を含めて、国に対して不法行為責任を追及することがあり得るのでは

ないかと思料される。

とはいうものの、債権者としては、上述のようなケースにおいては、時効中断の措置を別途行なっていない限り 、

裁判所から取消しをしてもらうべきであり、自ら取り下げるべきではなかろう。そのような観点から考えると、任

意処分の話がまとまって競売手続を取り下げる際には、残債権につき時効を中断するため、債務の承認を債務者に

別途とる必要がある。

同 法(55-2)268

について述べているので同法「六八条の三( の間違いと思われる) による強制競売の手続の取消しは取消しではあ

るが法律の規定に従わなかったことを理由とする取消Lではありませんから、一五四条にはあたらないゥしたがっ

て、元に戻って一四七条の差押えがあったということで、消滅時効は中断すると考えるべきだろうと思います。こ

の間題については、民事執行手続における当事者の行動が時効中断にあたるかどうかという議論と関連するように

思います。時効中断を認めるためには、二つの要素があって、lつは債権者の明確な権利行使であること、もう一

つは権利関係が確認されることです。そうすると差押えの申立てをするところで、権利行使が行なわれております

し、取り消されたことによって、権利の存在が否定されたということではありませんので、このように考えてもー

消サレタル」 と書いてありますから、民事執行法六三条の一二 (筆者注=ここでは、売却の見込みのない場合の措置

7 三度の競売入札で落札されないことにより取り消されたとき

平成一〇年一二月一六日施行の 「競売手続の円滑化を図るための関係法律の整備に関する法律」において、売却

見込みのない場合の措置が追加された。これによると、執行裁判所は入札等の方法による売却を三回実施しても買

受けの申し出がなかったときに、客観的な事情から見て、これは無理もないという場合に、強制競売の手続を停止

して、差押債権者自身が売却を実施させるような形で申し出をしてくれば売却を実施するが、そうでなければ手続

を取り消してしまうというものである。このような取消しがなされた場合に、時効中断効はどうなるのであろうか。

判例には見当たらないが、山田誠一教授は、「一五四条を素直に解釈すれば、「法律ノ規定二従ワサルニ因リテ取

二〇

解される。」と述べて、売却見込みのない場合に取り消されたときは、取り消される時点まで時効中断効がある告示

している。このような場合も、実体上の権利が不=走されているわけではないので、この判決のように、取り消され

る時点まで時効中断効があると解すべきであろう。

269 差押え等による時効中断およぴその取消しの遡及効について

8 その他のケース

以上のケースと同様に、その他のケースにおいても、いったん認められた実体上の権利が否定されているのかど

うかという点を判断し、否定されている場合には、時効中断は民法一五四条の規定どおり当初に遡って効力が消滅

するものと考えぎるを得ない。しかしながら、実体上の権利が否定されていないのであれば、取り消されるまでは

時効中断効が存続し、取り消された時点から時効が進行するものと考えるべきであろう。

そのような観点から、その他のケースを分類すると、次のように整理でき脊

∧実体上の権利が否定され、時効中断効が遡及的に消滅するものV

A-① 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、すでにした執行処分が

取り消されるとき (民事執行法三七条)

A-② 強制執行を停止しなければならない次の文書が提出されたことにより執行処分が取り消されるとき(同法

四〇条、三九条一項二号~四号)

ア 債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載Lた執行力

のある裁判の正本

二一

五四条にはあたらないということでいいのではないかと思います。」と述べられており、筆者も同様に考える。

つまり、このような取消しは、いったん認められた実体上の権利を否定するものではなく、既に権利があること

は確認されているので、取り消されたとしても、遡及的に時効中断の効力が消滅するのではなく、取り消される暗

まで時効中断の効力が存続するものと考えられる。

開 法(55-2)Z70

∧実体上の権利が否定されておらず、時効中断効が取り消し時点まで存続するものV

B-① いったん予納された執行費用では不足するため、追加的に執行費用を求められたが、これを予納しなかっ

たために、執行手続申立てが取り消されるとき (民事執行法一四条)

BI② 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えがあった場合において、異議のため主張した事情等か

する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書

工 強制執行をしない旨又はその中立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解若し〈は調停の調書の正本又は労

働審判法一条四項の規定により裁判上の和解と同一の効力を有する労働審判の審判書若しくは同法二〇条七項の

調書の正本

AI③ 不動産担保権の実行の手続を停止しなければならない次の文書が提出されたことにより執行処分が取り消

されるとき (民事執行法一八三条二項、同条一項言†~国号)

ア 担保権のないことを証する確定判決の謄本

イ 担保権の存在を証する確定判決若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がない

ことを宣言し、または担保権の登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本

り 担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によって担保される債権の介

折を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本

工 拒保権の登記の抹消に関する登記事項証明書

ウ イ

二二

債務名義に係る和解、認諾、調停又は労働審判の効力がないことを宣言する確定判決の正本

同法二二条二号から四号の二までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失ったことを証

271差押え等による時効中断およびその取消Lc′)遡及効について

ら、終局判決における裁判をするまでの間、担保を立てさせるなどして、すでにした執行処分が取り消されるとき

(同法三六条)

B-③ 第三者異議の訴えにより執行処分が取り消されるとき (同法三八条)

これは、第三者の権利が優先する等により異議を述べるものであり、債権者の権利そのものを否定するものでは

ないと考えられる。

Bl④ 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書が提出されたことにより執行処分が取り消される

とき (同法四〇条、三九条一項五号)

これは、仮差押解放令の供託がされたときと同様に考えられる。

B-⑤ 差押禁止動産又は差押禁止債権の範囲につき変更があった場合に取り消されるとき(同法一三二条、一五

三条)

B-⑥ 不動産の強制競売ないし担保不動産競売において、不動産の滅失その他売却による不動産の移転を妨げる

事情が明らかとなったことにより取り消されるとき (同法五三条、一八八条)

B-⑦ 不動産の強削管理ないし担保不動産収益執行において、執行停止となった各債権者の債権及び執行費用の

全部を弁済できる金額の供託がされたことを理由に手続が取り消されるとき (同法一〇四条、三九条、一八八条)

B-⑧ 不動産の強制管理ないし担保不動産収益執行において、配当等に充てるべき金銭を生ずる見込みがないこ

とを理由に手続が取り消されるとき (同法一〇六条、一八八条)

Bl⑨ 不動産の強制管理ないし担保不動産収益執行にぉいて、各債権者が配当等に上りその債権及び執行費用の

全部の弁済を受けたことを理由に手続が取り消されるとき (同法二〇条、一八八条)

B-⑲ 不動産の強制管理ないし担保不動産収益執行において、その対象物件が併行した強制競売等により債務者

二三

岡 法(55〉2)272

二四

が所有権を失い、そのために手続が取り消されるとき (同法一一一条、五三条、一八八条)

B-⑪ 船舶の強制執行において、保証が提供されたことにより手続が取り消されるとき(同法一一七条)

B-⑲ 船舶の強制執行において、船舶国籍証書等の取上げができないことを理由に手続が取り消されるとき(同

法一二〇条)

B-⑩ 保全異議の申立てにより、保全異議の裁判がなされるまでの間、担保を立てさせるなどして保全執行が取

り消されるとき (民事保全法二七条)

これは、B-②と同様である。

BI⑭ 本案の訴えの不提起等、事情の変更、あるいは特別の事情により保全取消しがなされるとき (民事保全法

三七条、二八条、三九条)

これらは、いずれも保全命令が出された時の権利を右‖完するものではないり

∧実休上の権利が否定されるか否定されないかは個別に判断されるものV

C-① 強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の止本が提出されたことにより執行処分

が取り消されるとき (同法四〇条、三九条一項六号)

これは、取消しの原因が債権者の実体上の権利を否定するかどうか、これだけでは不明なので、個別にその原因

を検討しなければ結論が出ない。その原因が、実体上の権利を否定するものであれば、遡及的に時効中断の効力も

消滅するが、否定するものでなければ、取消し時点まで時効中断が存続するものとして扱われるべきである。

C-② 不動産担保権の実行の手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本が提出されたこ

とにより執行処分が取り消されるとき (同法一入三条二項、同条山項五号)

273 差押え等による時効中断およぴその取消しの遡及効について

民法一五四条の規定を制限的に理解することは以前よりなされている。たとえば、「同条が予定している取消しと

は、差押え・仮差押えが民法などの実体法または民事執行法などの手続法に違背した (差押債権者の作為または不

′J」

作為が違法であると評価される)場合についての取消しをいうものと解される。」と述べられたり、「そうしますと、

手続上、または実体上、なんらかの法律上の障害があることを理由とする取消しは一五四条に当たるが、事実上も

しくは物理上の障害による不動産競売手続の終結はこれには触れないというように解釈すべきではないかっ無剰余

というのは、まさに事実上高くは売れないという障害要因です‖ 同様に、不動産の滅失や動産差押えのときの売却

見込みがないときの取消しなどは、一五四条の適用があるとみるべきではないというような一般的基準をもって臨

3

むべきであると思いますごと述べられたりしているじ

しかし、「民法などの実体法または民事執行法などの手続法に違背した」や「事実上もしくは物理上の障害」とい

〈、HJ うのは、理由付けとして正確性を欠く表現であ告

伊藤眞教授は、これについて、「差押えが中断事由のlつとされる根拠は、すでに申し上げましたように、差押債

権について、強制的実現を図るための手続が開始されることに求められます。したがって、民法一五四条の規定の

意味は、なんらかの事情によって当該権利についての強制的実現が許されないこととされた場合に、中断効が消滅

二五

これも、C-①と同様である。

C-③ 保全異議の申立てにより保全執行が取り消されるとき (民事執行法三二条)

これも、C-①と同様である。

Ⅳ 検討およびまとめ

岡 法(55一-2)Z74

二六

することを規定していると理解すべきものです。

たとえば、民事執行法一八三条二項が定める競売手続の取消事由についてみますと、競売の基本となる担保権の

不存在などがあげられておりますがいずれも、被担保債権の実現を図るための担保権の存在を否定するものでござ

いまして、実現されるべき権利の関係でその強制的実現が許されないことが取消しの理由になっているわけであり

ます。

それに対しまして、不動産の滅失その他売却による不動産の移転を妨げる事情が明らかとなったときは、民事執

行法五三条に基づいて差押えが取り消されますが、これは競売の基本となっている当該担保権および被担保債権に

ついて、その強制的実現資格を否定する趣旨の取消しではありません。むしろ目的物の滅失などの理由によりまし

て、当該目的物の関係で強制的実現が不可能になったことを示すにすぎないと考、えられます。

これと比較しまして、無剰余による取消し、民事執有法六三条二項、二項に関連の規定がありますが、これにつ

いては次のように考えられます。

この無剰余による取消しの前提となる剰余主義の意義については、ご承知のとおり、学説上、議論のあるところ

であります。先順位物権の保護でありますとか、無益執行の禁止ですとかの議論などがありますが、しかし、いず

れを根拠とする場合でも、無剰余取消しは、申立人白身の権利について、その強制的実現資格を否定するものでは

なく、ただ先順位者の存在と最低売却価額との関係で、売却の実施を求めることが妨げられるにすぎないわけであ

ります。そのことは、六三条の規定によりまして、申立人が手続費用と優先債権の見込箱を超える額を定めて買受

けの申出をすることによって、売却の実施を求められる点に端的に示されております。

(中略)……私はただいま申しましたような趣旨から、無剰余取消しがなされても、それは中断効に影響を与えな

5

3

いという理解をすべきものと考えます。」リ

275 差押え等に上る時効中断およびその取消しの遡及効について

これと同趣旨のことを山田誠一教授は、(三度の入札によっても買受けがなく取り消されるケースをテーマにして)

「この問題については、民事執行手続における当事者の行動が時効中断にあたるかどうかという議論と関連するよ

うに思います。時効中断を認めるためには、二つの要素があって、一つは債権者の明確な権利行使であること、も

う一つは権利関係が確認されることです。そうすると差押えの申立てをするところで、権利行使が行なわれており

ますし、取り消されたことによって、権利の存在が否定されたということではありませんので、このように考えて

6

3

も一五四条にはあたらないということでいいのではないかと思いますU」と端的に述べられている∩

以上のように、権利行使として差押え等の手続が始まり実体上の権利が認められ、その後実体上の権利が否定さ

れるのではなく、実体上の権利の槌兢等とは別の事由で差押え等の手続が取り消されたときには、取り消されるま

では時効が中断されており、取り消された時点から時効が進行すると考えるべきであり、当該手続の初めに遡って

時効が中断していないと考えるべきではなかろう。

この問題につき、判例は、個々の幾つかの事案についてはそれぞれ妥当と思われる結論を出しているが、一般的

な結論を出していないように思える。本稿では、この問題を統一的に理解するため、ひと通り考、ろられるケースに

つき検討してきた。今後も法改正が進む中で、本条の通関が問題となるケースが出てこないとはいえず、その場合

には、本稿での理解をべ-スに適否を判断していこうと思う次第である。

5 4 3 2 1

大判大正三年一〇月一九臼民録二〇輯七七七頁。

大判昭和三年七月二一日民集七巻五六九頁。

民集五巻ニー川盲禁

訟務月報一三巻四号四九〇頁。

民集二二巻三号七二五頁、判例時報五一七号五」ハ頁、判例タイムズ二二一号二一九頁、金融法務事情五一二号川二頁。

二七

岡 法(552)276

二八

(6) 民録一五輯拘三九頁=

(7) 民菓三八巻六号六八七頁、裁判所時報八八八ロケ一束、判例時報一一一六号五八頁、判例タイムズ五二六号一三八頁、金融法

務事情一〇六四号六一頁、金融・商事判例六九」ハ号三貞。

(8) 札幌高判昭和三一年七月九旦局裁民集九巻六号四一七頁、判例時報八二号二二一五頁(一九頁)、大阪地判昭和凶二年二月一

凶日判例時報四九八号四六頁り

(9) 民集五〇巷七号一九〇一頁、裁判所時報一一七五号七頁、判例時報一五八〇号…〇八東、判例タイムズ九二】号一一四頁、

金融法務事情一四六九号六〇頁、金融・商事判例一〇〇四号三頁。

(10) 民録二七輯膚〇九頁っ

「11) 大阪地裁岸和田支判昭和三九午一二月一七日判例時報四〇一号五五頁、東京高判昭和五一年二月一三日刊例時報八二ハ号五

五頁、横浜地裁川崎支判昭和五卯年二月一五日判例タイムズ三九二日ケ一二〇頁等。

(ほ) 東京高判昭和四四年一二月二五日束高時報二〇巻▲二号二八三頁、金融法務事情五七国号三〇頁、束京地判昭和五〇年九月

九日判例タイムズ三三三号二川五頁、束京高判昭和五山年六月二九日判例時報・八三一号四四頁、東京地判昭和五四年五月二九

日判例タイムズ三九国号九四頁、東京地判昭和五六年九月二八日刊例時報一〇川○号七〇頁、福岡高判昭利六二年二一月一C

口判例時報n二七人ロワ八八頁、東京地判平成.五年一二月二ハロ金融・摘事判例一一八三口ざr六頁等。

(13) 金融・商事判例一一九五ロヱハ頁。なお、同判決の判例批評に、黄光昭「仮差押えと被差押頂権の時効中断の有無」銀行法務

21-六三六号二六頁、谷本誠司「債権に対する仮差押えは被差押頂権の消滅時効を中断しないとされた事例」銀行法務21J六

四四号五五頁、加藤敬介「仮差押えと被差押債権の消滅時効中断」法律時報七七巻六号一二二頁等がある。

(14) 裁判集民事一四二号二八七頁、判例時報二 二四号四二頁、判例タイムズ五二五号九八頁、金融法務事情一〇人三号三八頁、

金融・商事判例六九五号九頁り

(ほ〕 民集五二巻八号一七三ヒ頁、裁判所時報一二三二号二〇頁、判例時報一六五九号五九百へ、判例タイムズ九九C号一二七頁、

金融法務事情一五三五号五五頁、金融・商事判例一〇五八号一三頁。

差押え・仮差押え・仮処分による時効中断の効力は、大審院時代においても、その手続が終了するまで存続することを認め

ていた (大判大正■○年六月四じ民録二七輯一〇六叫頁、大判昭和三年七月二一日民集七巻五六九頁、大判昭和八年一〇月二

八臼法律新聞三六六四号七頁)。

本判決の前には、下級審において反村の説をとるものが幾つかあり (東京高判平成四年一〇月二八R判例時報一四四一号七

九頁、金融法務事情一三」ハ○号三八頁、東京地判平成五年二月一七日金融法務事情一三八八号三九頁、京都地判平成六年一

277 差押え等による時効中断およびその取消しの遡及効について

月一三日判例時報山五三五号一二四頁、大阪高判平成七年二月二八日金融法務事情一四一九号三七頁等)、学説においても同調

者が散見されたが、本判決により仮差押えの時効中断の効力の継続をめぐる議論は実務上決着が付けられたものと思われる。

本判決の判例批評とLて、小野憲一「用仮差押えによる時効中断の効力の継続、脚本案の勝訴判決の確定と仮差押えによる

時効中断の効力」ジュリスト二五一号二七頁、中田裕康「仮差押えに」・芸時効中断の効力」平成一〇年度重要判例解説(ジ

ュリスト臨時増刊一一有七号) 六一頁、中含寛樹「仮差押えによる時効中断の終了時期」私法判例リマークス一九号一八頁、

並木茂「㈲仮差押えによる時効中断の効力の継続、脚本実の勝訴判決の確定と仮差押えにトナる時効中断の効力」金融法務事情

一五五一号一六東、石川明「侶仮差押えによる時効中断の効力の継続、脚本案の勝訴判決の確定と仮差押えによる時効中断効」

判例時報一六七六号一八七頁、円谷峻「仮差押えによる時効中断の効力の継続および本案の勝訴判決の確定と仮差押えによる

時効の効力」判例タイムズ一〇〇二号五〇頁、片岡宏一郎「不動産仮差押えによる時効中断の効力」判例タイムズ一〇〇四号

八〇頁、書出光碩「仮差押えによる時効中断の効力と確定判決の取得」銀行法務21-五六一号二(∪頁、村田利害弥「不動産収

差押えと時効中断効」銀行法務21-五六〇号六〇頁、拙稿「仮差押による時効中断の効力の継続」バンキング一九九四-七月

号七二頁等があるり

(16) 民集四八巻四宮こ〇二見、裁判所時報二二五号一頁、判例時報一五一三号一〇九頁、判例タイムズ八六五号一三一頁、

金融法務事情一四〇六号一三頁、金融∵商事判例九五九号三頁。

本判決の判例批評として、中柑裕康「仮差押解放金の供託による仮差押えの執行取消しと時効中断の効力」平成六年度重要

判例解説 (ジュリスト臨時増刊一〇Lハ八号) 六三頁、松岡久和「仮差押解放金の供託による仮差押執行の取消しと時効中断の

効力」金融法務事情一四二八号二五頁、莱悶隆「仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消しと時効中断の効力」判例

時報一五四〇号ニー〇頁、春光昭「仮差押解放金の供託による仮差押の執行の取消と時効中断の効力」NBL五六九号六八頁

等がある。

{、17) 同旨‥金山直樹「民法一五四条をめぐる解釈上の諸問題--差押等の取消をめぐって ー 」銀行法務二一1五六五号一五頁。

(18) 金融法務事情一四四七号五五頁。

(19) 篠原弘志「各種時効の中断事由と中断の効力の発生および消滅の時期」手形研究四七五号一二八糞‖ 同旨を述べるものとし

て、上野隆司「不動産競売手続における時効中断」鈴木正和先生古林記念ア債権回収の法務と問題点』T一一二六頁、峯崎二郎1寵

売が無剰余を理由に取り消されたときの時効中断の効力の帰趨」金融法務事情l一二九号二八頁、酒井廣幸「時効の管理」八

六頁、拙稿「差押え・仮差押えと時効中断‥競売の無剰余取消しと時効中断効」金融法務事情二二九八号八六頁等。

(空 佐久問弘道「∧座談会∨不動産競売と時効管理をめぐる実務上の留意占ご金融法務事情一四六九号三四頁での発弓

二九

開 法(55-2)278

による時効中断の効力は、遡及的に消滅するか」保険公庫月報一九九六-閃号五」ハ頁、五七頁等がある。

(25) 民集五一一.巻四ロワ八川○頁、裁判所時報一二四二号一頁、判例時報一六七五号七三頁、判例タイムズ一〇〇二号一二三頁、金

融法務事情一五五二号四〇頁、金融・商事判例〓〓六八号▲七頁。

本判決の判例批評とLて、孝標宏「伸不動産戯売手続において執有力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求

と時効の中断㈲執行力のある債務名義の正本を有する債権者が配当要求をLた後に不動産競売の申立債権者か追加の手続背面

を納付しなかったことを理由に競売手続が取り消された場合における右配当要求による時効中断の効力」ジュリスト一二ハ五

号一∩九頁、松久二四彦「不動軽競売における配当要求と時効中断効」平成一一年度重要判例解説(ジュリスト臨時増m一‥

六五号) 六五頁、梶山玉香「不動産親売における配当要求の時効中断効」法学教室二二〇号一一C頁、峯崎.一郎「配当要求と

時効中断効」金融法務事情一五八二号一七六翠 西尾信二 「川不動産超克手続において執行力のある偵務名義の正本を有する

債権者がする配当要求と時効の中断仏教行力のある債務名義の正本を有する債権者が配当要求をLた後に不動産競売の申立債

権者が追加の手続常用を納付しなかったことを理由に競売手続が取り消きれた場合における右配当要求による時効中断の効力」

銀有法務211五六五号七二見、片岡宏一郎「不動産髄売における配当要求と消滅時効の中断」金融法務事情一有五六号三八頁

等があり、概ね好感的である。ただし、前掲▲松久は、本判決が、「配当要求自体が不適法とされたわけでもなければ、配当要

求債権者が権利行使の意思を放棄したわけでもない」場合というのは、執行手続の取消しにもかかわらず確定的時効中断効を

認める基準としては射程距離が広くなりすぎるように思われる、と述べられている。

(26) 裁判所時報一二五一号一頁、判例時報一六八九旨七四百ハ、判例タイムズ一〇一四号一七.東、金融法務事情一五六六号五二

頁、金融・商事判例一〇八二号八貝。

本判決の判例批評として、生熊長幸「根抵当権の実毎による時効中断の範囲と極度額」私法判例リマークス二言ヱ○頁、

菅原胞治「根抵当権実行と極度額超過額の時効中断および競売取下げと中断効の帰趨」銀行法務21-五七七号五四頁、小野秀

誠「仙極度砥を超える合板の披担保債権を請求債権とする根抵当権の実行がされた場合に披担保債権について消滅時効中断の

効力が生じる範囲、榔不動産競売の申立ての取下げがされた場合における被担保債権の消滅時効中断の効力の帰すう」金融・

商事判例一C九九号五三頁、片岡宏一郎「極度額を超える金額の被担保債権を請求債権とする根抵当権の実行と時効中断の効

24 23 22 21

三〇

塩崎勤・前掲座談会注(20〕での発言(三関頁)。

伊藤眞「∧シンポジウム∨民事執行手続と消滅時効中断効」金融法研究一五号一ヒ頁~一八頁での発言。

浅野謙一「競売の無剰余取消しと時効中断効」金融法務事情二凶七六号二一兵。

このほか、本判決の判例批評とLて、上野隆司=高山満「不動産競売手続が無剰余を理由に取り消された場合、競売申立て

279 差押え等による時効中断およぴその取消しの遡及効について

あると主張していたが (拙稿「差押え・仮差押えと時効中断‥競売の無剰余取消しと時効中断効」金融法務事情一三九八号八

六貞二 説を改めて判例と同諸に立つこととする。

(墾 「∧座談会∨サーピサ一法の制定と新しい校地当・競売制度」 ジュリスト一一五二号‥二三頁での撃弓レ

(31) 金山・前掲注(17〕一四頁以下参照。

(32) 浅野・前掲往(23∵一一頁り 上野・前璃注(19)三二六頁参照。

(33) 山野日章夫∴別掲座談会注(20)での′発言 二二四頁)。

(34) 同旨‥伊藤∴別掲注(22)一人頁、金山・前掲注(17〓二頁。

(空 前掲注(22)一七頁~‥八頁。

(36) 前掲注(墾二一三頁。

【注で掲げた以外の参考文献】

川島武宜編「往釈民法 (5)」 l一三頁仁二七頁 [川井健]

29 28 27

力」判例タイムズ一〇三上号六五頁、松久三四彦「被担保債権が極度蔚を超える根抵当権の実行と消滅時効中断の範囲」金融

法務事情一五-八八号二一頁等があるハニのうち、前鴇∵菅原と前掲∴松久は、本判決の射程範囲が広すぎる旨コメントされて

いる。

民集ニー巻七一大頁。

判例時報一五五九号四九頁、判例タイムズ九C四号一三〇兵、金融・商事判例10〇一号三四頁。

筆者は、以前、裁判所からの勧めで債権者が取り下げたようなケースにおいては、取下げまでは時効中断効を認めるべきで

三一

開 法(55-2)Z80

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民法一五四条の適否

[別表1] 差押、仮差押、仮処分の着手がされたか否か

[別表2=いったん差押等が開始となった後、取り消された場合の民法一五四条の適否

28t 差押え等による時効中断およびその取消しの遡及効について

8 7 6 5 4 3 2

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開 法(55~2)282

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283 差押え等による時効中断およぴその取消しの遡及効について

21 20 19 18 17 16

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