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沖縄におけるスポーツ産業クラスター 形成に関する調査事業 アビームコンサルティング株式会社 平成29年11月30日

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沖縄におけるスポーツ産業クラスター形成に関する調査事業

アビームコンサルティング株式会社

平成29年11月30日

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 1

目次

第1章 本調査の概要 P2

1.本調査の目的 P3

2.本調査のプロセス P4

3.調査前提条件の整理 P5

第2章 ターゲット顧客の整理 P6

1.ターゲットの設定 P7

2.沖縄MICEの動向 P8

3.富裕層のターゲット地域選定 P9

第3章 観光の高付加価値化におけるコンセプト検討 P10

1.コンセプト検討の概要 P11

2.【BtoB】企業研修への応用 P12

3.【BtoB】企業の健康経営促進 P15

4.【BtoC】高収入世帯における訪沖観光の特徴 P17

5.【BtoC】訪沖観光客の属性、訪沖時の活動 P18

6.【BtoC】サイクルツーリズム P19

7.【BtoC】ゴルフツーリズム P21

8.【BtoC(国外富裕層)】ウェルネスツーリズム P22

9.【BtoC(国外富裕層)】医療ツーリズム P28

10.コンセプト設定の仮説軸 P33

第4章 社会的課題の解決におけるコンセプト検討 P34

1.ターゲット設定 P35

2.市場動向 P36

第5章 関係者ヒアリングからの示唆 P39

1.関係者ヒアリングの実施概要 P40

2.関係者ヒアリングの結果(概要) P41

3.チームビルディングの価値向上 P42

4.発地側と連携した送客スキーム強化(健康経営促進) P43

第6章 コンセプト取りまとめ P44

1.コンセプトの一覧 P45

2.【コンセプト1】MICE誘客型スポーツ・ヘルスケア P46

3.【コンセプト2】インバウンド向け医療スポーツツーリズム P47

4.【コンセプト3】ウェルネスツーリズム P48

5.【コンセプト4】スポーツ保育・教育 P49

6.コンセプト実現に向けた現状と課題の整理 P50

7.コンセプトの実現による各産業への波及効果の創出 P51

第7章 参考資料 P52

1.沖縄観光ステップアップ戦略2017の概要 P53

2.(参考)富裕層ツーリズムの特徴 P54

3.(参考)スポーツキャンプ・合宿の高度化の検証 P57

4. 関係者ヒアリング先一覧(再掲) P59

5.ヒアリング議事 P60

6.(参考)運営会議付議資料 P77

第1章 本調査の概要

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1.1.本調査の目的

沖縄県内のこれまでの取組や沖縄の強み、関連市場の動向、他地域での事例などを踏まえて、

沖縄県におけるスポーツ産業クラスター形成に資するコンセプトを導出する。

沖縄県のスポーツを取り巻く環境

スポーツ産業集積に向けた調査

1. 沖縄におけるスポーツを核とした地

域振興と産業創出調査(H27年度)

2. 沖縄におけるスポーツ産業クラスタ

ー形成に関する調査(H28年度)

沖縄観光ステップアップ戦略2017

(H29年5月)

沖縄スポーツ産業クラスターの形成

⁃協議会の組成

⁃シェルパ会合(異業種交流会)

⁃地域経済牽引企業への支援

⁃スマート・べニューの創出

⁃オープンイノベーションを誘発する

イベント

⁃スポーツサイエンスの拠点

⁃スポーツ経営人材育成

本調査の目的内閣府沖縄総合事務局のこれ

までの主な取組

外部環境

• 日本再興戦略「スポーツの成長産

業化」

• 2020年のオリパラに向けた取組

• スポーツ庁創設によるスポーツの

成長産業化の推進機運の高まり

内部環境 (沖縄県)

• スポーツキャンプの積極的な誘致

による経済効果の創出

• スポーツコミッション沖縄の設置に

よるスポーツアイランド構想の推進

• 奥武山公園の新スタジアムや、新ア

リーナ構想の推進

• スポーツキャンプなどは冬~

春季に集中するため、年間を通じた

経済効果が生まれにくい構造

沖縄県の特性を踏まえたスポーツ

産業クラスターの仮説策定

市場調査に基づく需要の見極め

先行事例の分析による

コンセプトへの示唆出し

沖縄スポーツ産業クラスターの

形成に向けた核となる

コンセプト具体化・最適化

本調査の背景と目的

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1.2.本調査のプロセス

ターゲットの

設定

前提条件の

整理

ヒアリング・

コンセプト修正

コンセプトの

取りまとめ

【第1章】本調査を進めるにあたって考慮すべき前提事項を整理

【第2章】左記の前提条件を踏まえた上で、周辺環境を整理し、ビジネスモデルの仮説(コンセプト仮説)を検討

【第5章】業界関係者や有識者へのヒアリングを通じてコンセプトの実現性等を検証・具体化し、課題を抽出

【第6章】これまでの調査を踏まえて産業クラスター形成に資するコンセプト(ビジネスモデル)を取りまとめ

コンセプト

概要

顧客ニーズ

コンセプト

スキーム

提供価値

• どのようなコンセプト(ビジネス

モデル)か

• 想定される顧客が抱える課題、

ニーズなど

• 顧客に対してどのようなスキー

ムで価値を提供するか

• 顧客に対する提供価値、

訴求ポイント

本調査は以下のプロセスで実施する。

本調査のプロセス コンセプトとして取りまとめる内容

コンセプトの

検討

【第3~4章】ターゲット顧客にニーズ・シーズがある、一定の顧客ボリュームがある、沖縄で実現可能性があるコンセプトを検討

想定顧客層• そのコンセプトが想定する顧客

層(個人、企業、国内外)

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1.3.調査前提条件の整理

検討するコンセプトは「沖縄観光の高付加価値化」と「社会的課題の解決」の実現に寄与するものとし、

調査する上で以下の6つの前提条件を設定する。

ヘルスケア

を重視

スマートベニ

ューは除く

市場ニーズ

「観光ステップアップ戦略2017」にもある、スポーツとヘルスケアの組み合わせを重視する。

スマートベニューは既に沖縄県や沖縄市で計画を策定・実行中であることから、本調査の対象外とする。

市場規模やニーズがあることを重要視する。そのため、顕在化している市場であっても県内での伸び代がある場合は対象とする。(新規ビジネスに拘らない)

収益性人材(担い手)育成などの、ビジネスの前提となる(直接的な利益を生まない)投資事業は調査対象外とする。また、事業者間の「ネットワーク形成」も、ビジネスのコンセプトを検討する本調査の趣旨と異なることから対象外とする。

既存の資源

を活用公共投資を前提とした新規の大規模なハード整備事業は、実現性や収益性の観点から対象外とする。一方で、これまでの政策効果を発揮できるようなコンセプトは重要視する。

本調査における前提条件

スポーツノウ

ハウの活用「するスポーツ」だけでなく、それを支えるような医学等のノウハウ(ヘルスケア等)も、市場ニーズがあれば対象として裾野を広く設定する。

調査の前提条件

目標

沖縄観光の

高付加価値化

社会的課題

の解決

内閣府沖縄総合事務局がこれまで取り組んできた施策として、「沖縄観光の高付加価値化」がある。

この実現にアプローチできるようなコンセプトを構築することを目指す。

スポーツには、観光の活性化という経済的な観点だけでなく、社会的な観点でも寄与できることがあると考え、

社会的課題の解決に資するコンセプトを構築することを目指す。

第2章 ターゲット顧客の整理

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2.1.ターゲットの設定

MICE参加者

国内外の富裕層

県内子ども

(その保護者)

目的

• 沖縄県では、「沖縄MICE振興戦略」(2017年7月)を

作成し、大型MICE施設の建設などMICE誘致を推進

• インセンティブ旅行などのMICEで人気がある沖縄の

強みを活かしたスポーツ関連産業の振興を検討

• 内閣府沖縄総合事務局では、「沖縄観光の高付加価値

化に向けた取組」を展開しており、アジアを中心としたイ

ンバウンド観光の消費単価の向上を企図

• 第5次沖縄県観光振興基本計画改訂版(平成29年3月

では、新たなターゲットとして欧米を含む富裕層を定義

• 沖縄県では、「子どもの貧困」対策が急務となっており、

沖縄県、内閣府ともに重要課題と位置づけ。「全国学

力・学習状況調査」も全国最下位が続いた(※)

• 「沖縄県子どもの貧困対策計画」においても、子どもの

通塾率の低さや、貧困層における健康への影響などが

指摘されており、これらに対してスポーツ・健康のノウハ

ウを活用して課題解決の策を検討

顧客属性

沖縄観光の

高付加価値化

社会的課題

の解決

目的や社会的ニーズなどからターゲットを以下のように設定し、これらを実現するコンセプトを検討する。

法人・団体

(B to B)

個人

(B to C)

これまでの取組や社会的ニーズなど ターゲット設定

※県教育庁では、「学力向上推進室」を設置するなど、小学校の学力向上に一定の成果を上げている

ターゲットの設定プロセス

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2.2.沖縄MICEの動向

沖縄県では、「沖縄MICE振興戦略」を策定し、チームビルディングなどを含むMICEの振興を推進

している。

MICEを起点とした訪沖は増加すると予想され、これを機会と捉えたコンセプトが重要である。

インセンティブ

ビジネス目的の

国内来訪者数

県外・海外からの参加者が300人

以上のインセンティブ旅行件数

「仕事」目的の来訪者数

「会議・研修」目的の来訪者数

17 件

92 万人

66 万人

40 件

144 万人

120 万人

MICE共通 1,000人以上の催事件数 85 件 134 件

区分 指標基準年

(2016年)

目標

(2021年)

135.3 %

56.5 %

81.8 %

57.6 %

増加率

目標

目標

参考

沖縄MICE振興戦略(2017年)に掲げる誘致目標等

市場規模拡大

沖縄の市場として

の魅力が向上

有望なターゲット

として設定し、

県の施策と連動

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760 万世帯

380 万世帯

380 万世帯

2.3.富裕層のターゲット地域選定

※富裕層:家計資産100万米ドル以上

※2017年10月30日調査時点

北米

西欧

アジア・太平洋

(日本以外)

日本

中東・アフリカ

120 万世帯

80 万世帯

50 万世帯

20 万世帯

中南米

東欧

富裕層の64%は欧米諸国に存在 アクセス面から、需要国はアジアが中心

世界の富裕層世帯数:2016年 那覇空港国際線到着便

• 欧米諸国は所得高いが

アクセス悪い

• 直近のターゲットは、

日本・アジアだが、

将来的には欧米も視野

出所:ボストンコンサルティンググループ「Global Wealth 2017」、那覇国際空港HP

沖縄へのアクセスを考えると、直近はアジア地域をターゲットとすることが妥当であると考えられる。日

本にも多くの富裕層がいることから、アジア・日本の個人に訴求できるコンセプトが重要になる。

一方、那覇空港第2滑走路供用開始後は、欧米からの直行便も見込まれるとともに、距離の長い旅行ほど

消費支出が高くなる傾向があるため、中長期的なターゲットとして視野に入れる。

国・地域 都市 到着便数

台湾 台北 6台中 1高雄 6

韓国 ソウル 2釜山 3大邱 1

中国 上海 3北京 2天津 1杭州 2西安 1南京 1

香港 香港 1タイ バンコク 3

第3章 観光の高付加価値化におけるコンセプト検討

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3.1.コンセプト検討の概要

以下のような社会的ニーズに対して、昨今の国内外の動向及びその市場にスポーツやヘルスケアを組み合

わせてアプローチすることで、沖縄でのビジネスモデル及びスポーツを核とした産業クラスター形成の可

能性を検討する。

健康志向の高まりコミュニケーション

の希薄化

モノ消費から

コト消費へ

法人:BtoB

(MICE)

個人:BtoC

(主に富裕層)

社会的ニーズの例(コンセプトの検討材料)

従業員の健康やコミュニケーション

を促進できるようなコンセプトで

企業向けに魅力を訴求

健康を増進できるものや、それらに

パーソナライズされた体験を加える

ことで魅力を訴求

ターゲット区分とコンセプト検討軸の整理

スポーツ体験、あるいは

スポーツに関するノウハウ等を

活用してニーズを充足

ターゲット区分

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大いに思う

28%

やや思う

46%

どちらとも

いえない15%

やや思わない

9%

思わない

2%

n=229

5,460

6,0206,130

6,210

5,000

5,200

5,400

5,600

5,800

6,000

6,200

6,400

2011年度 15 16(予) 17(予)

(億円)

3.2.【BtoB】企業研修への応用(チームビルディング)

各企業は、生産性の向上を目的として人材研修への投資を加速させている。

また、コミュニケーションに課題を抱えている企業が多いことから、従業員間のコミュニケーションを

促進するチームビルディングを実施する企業が多く存在する。

企業研修サービスの市場規模

+10%

※公開プログラム、個別カスタマイズプログラム、通信教育、eラーニング、診断・その他の全ての研修サービスの合計。

コミュニケーション促進のニーズチームビルディング研修の市場

• コーチング、モチベーションを向上

させる研修は100億円程度

• チームビルディングは85社以上の

企業がプログラムとして提供

チームビルディディング提供社数(※)

強いニーズを背景に、

一定の市場規模が存在

• コミュニケーションのIT化や、事業の

分業化などを背景に、コミュニケーション

に関する企業の課題意識は高い

コミュニケーションに課題を感じているか

出所:矢野経済研究所「2016 企業向け研修サービス市場の実態と展望」、ABeam Consulting調べ(2017年8月時点)、HR総研「社内コミュニケーションに関する調査」(2016年)

7割以上の企業が

課題として認識

企業研修サービスの市場規模

• 企業の人材への投資は活発

85社以上

ニーズ

(※)宿泊施設など自社でプログラム

を開発・提供していない事業者除く

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(平均値)

社内結束力

高い 高くない

直近期の売上高 2.37 1.88

営業利益率 2.27 1.82

製品・サービスの品質 2.72 2.22

事業の効率性(生産性等) 2.39 1.96

販売・営業能力 2.44 1.95

情報収集・分析力 2.46 1.92

環境変化への対応スピード 2.52 2.00

人材育成能力 2.40 1.83

  ・低い = 1、ほぼ同じ = 2、高い = 3

競争力指標

※同業他社と比べた自社の競争力に関する回答を下記で計算。

※数値が高い→経営者が、自社の競争力を高いと認識。

40.5

11.2

56.4

7.3

89.4

31.0

3.10.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

国内旅行 海外旅行 新入社員

歓迎会・

退職者送別会

スポーツ

観戦・観劇

新年会・花見・

BBQ大会、

忘年会などの

飲み会

運動会、

ボーリング・

ゴルフなどの

スポーツ大会

その他

(%) n = 358

3.2.【BtoB】企業研修への応用(チームビルディング)

チームビルディングは企業の競争力に直結することから、多くの企業で重要視している。

そのための手法として国内旅行やスポーツ大会の実施が一般的に行われており、報償旅行に人気の地で

ある沖縄にもポテンシャルが高いと想定される。

出所:大阪府「企業競争力強化のための社内コミュニケーション形成に関する調査」(2017年) ※上記の2つの図表は、何れも大阪の企業を対象とした調査

コミュニケーションと企業競争力の関係

• 社内結束力と競争力は密接に関係

• 社内結束力が高い企業は競争力も高い

社内結束力が高い企業と高くない企業の

競争力指標に対する関係

企業が行う社員親睦のイベント

最近3年間に社員の親睦のために開催したイベント

• 国内旅行やスポーツ大会によるチームビルディングは一定数の企業が実施

• これらを組み合わせることで、沖縄での実施に繋げられる可能性

旅行やスポーツ大会に需要

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3.2.【BtoB】企業研修への応用(チームビルディング)

都市圏を中心に、スポーツを活用したチームビルディングのプログラムも開発されてきている。

これらの多くは賃料や運営スタッフの人件費などが主なマネタイズ項目であるが、一般的な研修と同様に

有識者・講師のノウハウを提供することで差別化できる可能性がある。

出所:各種公表資料、事業者HPよりABeam Consulting作成

運動・スポーツを活用したチームビルディングの例

• 様々なスポーツ・運動を活用した体験型のチームビルディング

チームビルディングプログラムを提供する事業者例

ジャパンスポーツコ

ミュニケーションズ

• 運動会によるチームビルティング

• 従業員の親睦を深めるため、福利厚生

の意味合いも大きい

• 年間200社以上を受け入れ。

リソル生命の森• アスレチック、多目的施設などのフィー

ルドを活用したチームビルディングプロ

グラムを個別に構成して提案

ワンピースインク…• キャニオニングによるチームビルディン

グプログラムを提供

スポーツフォーライ

フジャパン(コーポ

レートゲームス)

• 企業対抗による各種競技を実施

• 大会やそれまでの練習を通じて、交流、

チームビルディングを促進

事業者名 概要

事例から見える傾向

旅行会社の

関与

旅行会社の法人営業が、企業向け福利厚生の一

環として提案するケースが増えている

イベント会社

の連携

スポーツイベントとなるため、イベント会社が関与

するケースが見られる

場所や運営

でマネタイズ

特定の体験型プログラムを実施する場所を提供

し、当日の運営を支援する形の企画が多い

沖縄県内でも、ホテル事業者がプライベートビーチなどをチーム

ビルディングに活用できるとアピールする例が複数見られる

場所

スタッフ備品

マネタイズの主な項目

お題を与えて体験してもら

う形式が主であり、講師に

よる研修費を取る例は多く

ない(インストラクター代を

取る例はある)

スポーツの体験型チームビルディングの傾向

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2,176

440

2,768

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

特定健診対象

(万人)

3.3.【BtoB】企業の健康経営促進(市場ニーズ)

経済産業省「健康経営銘柄」法人認定制度など、従業員の健康増進が企業戦略として重要性が増している。

政府は健康寿命の延伸を重要政策と位置付け、特定健診の実施率向上などの取組を促進している。

現在は特定健診などの実施率も低く、政策効果が出ればこれらをターゲットとした市場拡大が期待される。

出所:厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」、政府・厚生労働省の各種資料よりABeam Consulting作成

政策的な健康寿命の延伸・健康経営の促進

• 健康寿命の延伸に向けて、様々な施策や目標設定を実施

施策としての保健指導の実施率向上とターゲット規模

• 特定健診、保健指導の実施率向上は、企業の財政面にも影響

日本再興

戦略

(2013年)

I - 1.健康寿命の延伸⁃ 全ての健康保険組合に対して、「データヘルス計画」を

策定し公表することを義務付け

⁃ 策定する計画には、健康診査、保健指導の実施率の

向上なども盛り込む

未来投資

戦略

(2017年)

I - 1.健康寿命の延伸

• 保険者・経営者による「個人の行動変容の本格化」⁃ 予防・健康づくり等に向けた加入者の行動変容を

促す保険者の取組を推進するため、保険者に対する

インセンティブを強化

第3期特定

健康診査等

実施計画

(2016年)

特定健診・保健指導の保険者全体の目標

項目 H26年度実績H35年度までの

保険者全体の目標

特定健診実施率 48.6% 70%

特定保健指導実施率 17.8% 45%

成果目標メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率(H20年度比)

3.2% 25%

実施目標

• 後期高齢者支援金の納付負担を下げるために

改善が求められる人は3,000万人以上の規模

<インセンティブ強化>

⁃ 保険者が国に納付する後期高齢者支援金の加減算の率を引き上げ⁃ 従来の特定健診・保健指導の実施率に加え、

特定健診・保健指導の実施率の上昇幅などもインセンティブ設定

従業員の健康意識、健康状態を向上

→健保の財政負担が減る

※逆に取組が芳しくなければ国への

後期高齢者支援金の納付負担が、

これまで以上に大きくなる(ペナルティ)

特定健診・保健指導対象者

(平成26年度)

特定健診の未受診者

受診者のうち保健指導対象

受診者のうち保健指導対象外

(改善不要)

受診率の向上

実施率の向上

対象者の減少

後期高齢者支援金の負担を減らすために

必要な措置

これを支援する

ビジネスに需要

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• 観光資源や沖縄の食事(健康長寿に関する食)を活かせるのではないか

• 県外から誘客する場合は、旅程・費用が課題のため、それをクリアできるプログラムが必要

3.3.【BtoB】企業の健康経営促進(近年の取組からの示唆)

企業が従業員の健康を戦略的に推進するために投資をし始めている。

そのなかでも、宿泊型は観光資源や食事を含めたプログラムであり、沖縄の強みが活かせる可能性がある。

従業員の健康促進のアプローチにおける変化

• 企業が従業員の健康を経営戦略と位置付け、積極的に介入

ハイリスクアプローチ

ポピュレーションアプローチ

従来の取組 近年の取組

• 健康診断の実施

• 福利厚生の一環として、

フィットネスなどの法人契約

• 面談型の保健指導など

• 福利厚生ポイント付与による

インセンティブ(歩行キャンペ

ーンなど)

• 体験型プログラム

• スマホアプリやIoTの

活用が進む

• 働き方改革も推進

• 宿泊型や遠隔型保健指導

• レセプトデータの分析

⇒ 社員の福利厚生 ⇒ 経営戦略

上山市ひまわり

生命

損保ジャパンひまわり生命

費用を補助(一部自己負担)

全社員(3200名)がクアオルトを実施

宿泊の割引や一部無償化など

クアオルト(上山市)

宿泊型新保健指導の導入

• 通常の保健指導では改善が見られ

ない社員に、1泊2日の宿泊プログラ

ムと6か月の継続支援で行動変容

• 専門家による観光資源等を活用した

運動や食生活の「体験型」指導

先行事例

出所:記事検索、各種公表資料よりABeam Consulting作成

Point

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3.4.【BtoC】高収入世帯における訪沖観光の特徴(国内客)

海水浴・マリンレジャー

ダイビング

ゴルフ

釣り

スパ・エステ

スポーツ大会等

22.5 %

20.9 %

48.0 %

20.7 %

33.2 %

15.5 %

活動別

世帯年収1,000万円

以上の割合(※)

活動の

目的度

ゴルフやスパ・エステは顧客の世帯収入が高い傾向があり、観光の高付加価値化を狙う上で重要である。

活動の目的度が高い「ゴルフ」はゴルフ愛好者に対する付加価値を、「スパ・エステ」は保養や食事も

含めたトータルでの付加価値を提供することが求められる。

※活動の目的度合い:沖縄県「観光統計実態調査」より、活動別のクロス集計における各活動実施率を合計したものを、活動別に比較。数値が低い=他にあまり多くの活動を行っていないと仮定し、目的度「高」に設定している。例として「スパ・エステ」を行った人は、観光やマリンアクティビティ、保養・休養など様々な活動を行っていることから、目的度「低」としている。

スポーツキャンプ見学

17.0 % 高

出所:平成28年度「沖縄県観光統計実態調査」、観光庁実証事業の調査報告書よりABeam Consulting作成

日本人の訪沖観光における活動別の特徴

ゴルフを主目的とする人へのアプローチ

スパ・エステを「付加要素」としたアプローチ

活動別のアプローチ方法の検討

• ゴルフ、スパ・エステを行う人は、比較的高収入の人が多い

• ゴルフ=「主目的」、スパ・エステ=「主目的以外」になる傾向

• この特性を踏まえてアプローチ策を以下のように検討

【例】⁃ゴルフをする人に対して、温泉やエステを提供⁃ゴルフアカデミーなどのスクールツアー

⁃富裕層向けにリニューアルしたホテルと名門ゴルフコース。コンベンションセンター隣接でMICEによる宿泊客も多い。プロゴルファーによるアカデミーもある。※但し、観光庁のファムトリップでは、インバウンド向けのクリニック事業には課題も見られている

参考:フェニックスシーガイアリゾート(宮崎市)

【例】⁃各種アクティビティのあとの癒し、コンディションとして、スパやエステを提供。リラクゼーション。⁃美容や減量、健康食など女性向けに総合サービスを提供。

(※)同統計調査では、「所得1,000万円以上の世帯」を国内客の収入帯の最高値として設定している。

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香港

韓国

中国

台湾

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1

6.4

21.5

17.3

16.2

年収600万円

以上の割合

泊数

平均 5泊以上

3.65 泊

3.12 泊

4.28 泊

3.98 泊

17.5 %

4.8 %

35.4 %

17.6 %

訪沖中の活動(%)

8.2 4.2 1.710.3

1 2 3 4

35.7

10.81.3 3.0

1 2 3 4

10.5 5.0 3.7

29.3

1 2 3 4

9.7 3.9 1.3 2.31 2 3 4

保養・休養 スパ・エステ ゴルフ サイクリング

N=404

N=376

N=589

N=633

3.5.【BtoC】訪沖観光客の属性、訪沖時の活動(外国人)

出所:平成28年度「沖縄県観光統計実態調査」よりABeam Consulting作成

年収600万円以上の人が多く訪れ、平均泊数や中期滞在も多い香港はターゲットとして重要である。

サイクリングは香港、スパ・エステ(美容系)は韓国に需要が高い。ゴルフは、実施率が低いものの伸び

代はあると考えられる。

訪沖外国人観光客の年収・泊数・訪沖中の活動の特徴(国籍・地域別)

ウェルネスツーリズム サイクル

ツーリズム

(※)

(※)同統計調査では、「年収600万円以上」を外国人観光客の収入帯の最高値として設定している。

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3.6.【BtoC】サイクルツーリズム(各国の動向)

日本だけでなく台湾や香港などサイクリングは多くの国・地域で人気であり、ツーリズムとしてのポテン

シャルは高い。

台湾

香港

タイ • 健康志向の高まりなどを受けて自転車がブーム• 欧米・日本の自転車メーカーが続々進出。外国人観光客のサイクリングも• 3000kmに及ぶ自転車専用道の整備構想なども検討

シンガポール • 国立公園を巡る自転車道の整備(Park Connector Network)• ロードバイクも売れており、シマノの展示施設も開業(2014年)

• 街中での自転車はあまり多くなかったものの、郊外でのサイクリストが増加• 都市部での「香港サイクロソン」も一大イベントとして認知されてきている

• 自転車で台湾を1周する映画「練習曲」(2007年)以降にブーム• 台湾一周ロードの整備やアジア最大の見本市(台北国際自転車展覧会)• 電動アシスト付きなどへ需要移行中

日本 • 通勤のほか、各地でのサイクリングロード整備、健康需要などからロードバイクの需要が活発化

• 大阪の一等地にも続々と専門店進出

欧米諸国 • ツールドフランスなどロードバイクレースが一般的に認知• 健康志向の高まりや環境への配慮から自転車のニーズ高まり

出所:記事検索、各種公表資料、GetYourGuide掲載情報、北海道のサイクルツーリズム推進に向けた検討委員会資料よりABeam Consulting作成

各国で自転車は一般的であり、サイ

クルツーリズムも進められている

既に沖縄でも需要が顕在化している

台湾や香港だけでなく、韓国やタイ、

シンガポールなどの国からも需要を

取り込める可能性

中国はサイクリングよりもシェア自転

車などでの移動手段が一般的

中国 • シェア自転車が街中に普及• サイクリングよりも移動手段としての需要が大きい

韓国 • 自転車専用道路や駐輪場が整備され、サイクリストも多い• サイクリングが文化としても定着しており、自動車との通行ルールも明確

サイクリングに関する国・地域別の動向

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3.6.【BtoC】サイクルツーリズム(インバウンド誘致の取組)

国内の取組を見ると、台湾や香港はサイクリスト向け、欧米は都市観光などが人気の傾向がみられる。

沖縄はスポーツコンベンションとしてサイクリスト向けの取組が従来より行われており、これらを踏まえ

た上で付加価値メニュー等を検討する。

沖縄のポジショニング各地のインバウンドへの取組

出所:記事検索、各種公表資料、GetYourGuide掲載情報、北海道のサイクルツーリズム推進に向けた検討委員会資料よりABeam Consulting作成

• サイクリスト向けと、少人数の街中観光が主流• 現在は街中観光が欧米系により人気

四国一周サイクリングロード

⁃しまなみ街道を活用し、プロ監修で四国一周(1000km)のコースを設定

北海道サイクリングロード

⁃広い道路でロードバイクに向いている⁃台湾などへプロモーション強化

飛騨里山サイクリング

⁃専属ガイドのもと飛騨を自転車観光

Kyoto Cycling Tour【民間】⁃自動車では入りづらい京都の様々な

文化を少人数のグループで巡る

Tokyo Great Cycling Tour【民間】⁃少人数で東京の街並みを巡る⁃口コミサイトでも人気を博しており、

年間2000人の外国人でにぎわう

• 沖縄はサイクリスト向き• それにあわせたコンディションサービスなどに

需要がある可能性

⁃都市部で人気の自転車観光は、沖縄県ではあまり需要がない

⁃そのため、サイクリスト向けでのマネタイズが重要

街中観光

長距離

サイクリスト

久米島、宮古島、北部など

⁃ JTB「Let’sサイクリング」の掲載ルート

ツールドおきなわ

⁃ ロードバイクの大規模大会⁃海外からの参加者が1割

本島一周ロード

⁃県主導。85箇所のサイクルセンター

サイクルツーリズムのポジショニング

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0

500

1000

1500

2000

2500

3000

0

20000

40000

60000

80000

100000

120000

平成

元年

4年 7年 10年 13年 17年 20年 23年 26年 27年 28年

利用者数(左軸)

うち非課税利用者数(左軸)

ゴルフ場数(右軸)

千人 箇所

3.7.【BtoC】ゴルフツーリズム(国内動向とインバウンド誘致)

国内のゴルフ人口が減少するなか、各地で海外からの誘客を強化する動きが出ている。

海外のゴルフツーリズム先進地には沖縄と共通する強みも多く見られており、沖縄でのポテンシャルは

引き続き高いと考えられる。そのため、これに付随したサービスの開発により魅力向上も期待できる。

インバウンド誘致と国外事例国内のゴルフ利用動向

• 利用者数は底打ち感があるものの、長期トレンドでは減少• ゴルフ場の年間利用者約8,600万人のうち、沖縄県は130万人強。ゴルフ場は全国で2282箇所、沖縄県は34箇所(平成28年度)。

• 非課税となる70歳以上(18歳未満)の利用が6分の1を占める

ゴルフ場数と利用者数の推移

• 国内の各地でアジアのゴルファーを取り込む動き

(例)北海道ゴルフ観光協会、日本ゴルフツーリズム推進協会、各地での「インバウンドゴルフセミナー」など

インバウンドに活路

人気の理由

雨季のない温暖な天候、高いホスピタリティ、スパやビーチ、レストラン、五つ星ホテル、ショッピングなどのリゾートに必要な要素

沖縄にも通じる強み

海外客にも人気のゴルフディスティネーション(タイ)

出所(一社)ゴルフ場経営者協会、LAGTOのHP、観光庁「訪日外客消費動向調査」、記事検索、各種公表資料よりABeam Consulting作成

パタヤ ホアヒン

⁃ バンコクから約150kmのビーチリゾート⁃ 年間50万人の外国人ビジターと200

万人以上の観光客⁃ 著名ゴルフ大会の開催や、産業界・

行政との連携

⁃ タイ屈指のリゾートでありゴルフリゾート⁃ 冬季のピーク時は地域の人口を遥

かに超える訪問者⁃ 年中温暖な気候であり、海外から

の移住者も多い

ゴルフを目的として訪日する人(推計値)

主目的 最大約13万人

実施 最大約36万人

どう呼び込むか

韓国が中心。訪日客の増加ととも

に増加が期待

※訪日外国人消費動向調査の回答率を訪日外国人数に乗じて推計。「最大」としているのは、回答の選択肢が「その他

スポーツ(ゴルフなど)」とあり、サイクリングなどのゴルフ以外が含まれるため。

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3.8.【BtoC(国外富裕層)】ウェルネスツーリズム(定義)

ウェルネスツーリズムの定義は以下のとおり。ウェルネスを主目的とするツーリズムと、他の目的に付随

してウェルネス体験を行うツーリズムに大別される。

出所:Global Wellness Institute

Primary Purpose Wellenss Tourists Secondary Purpose Wellness Tourists

ウェルネスを主たる目的や動機として、旅行、目的地

の選定を行う旅行者

ウェルネスを主たる目的としない旅行中に、ウェルネス

の維持増進やウェルネス体験などを行う旅行者

• Canyon Ranch, Rancho La Puerta, Chiva Som, Ananda, Gwingnna, Lanserhofのようなディスティネーションスパへの滞在

• アシュラム(ヒンドゥー教の修養場)での瞑想・静養

• ストレス軽減などのためのスパ

• ウェルネスセンターでのヘルスチェック

• スパやエステなどのウェルネス増進をウリとするクルーズ船の利用

• ECOスパやジャングルスパリゾートなどへの1週間程度の滞在

• 健康食や瞑想などが含まれたヨガ治療への参加

• 旅行中に健康増進ができる施設、食事、フィットネスなどのオプショ

ンを求めるビジネスやレジャー旅行者

• 旅行中にスパやサロンに短期間・短時間訪れる行楽客

• 大きなスパ施設や美容、フィットネスなどの設備のある船を選ぶクル

ーズ船旅行

• 長い期間に渡るハイキングなどのアドベンチャートラベル後にECOスパに訪れる旅行

• 団体ツアーの一環としてのタイマッサージや足つぼ治療、公衆浴場

ウェルネスツーリズムの例

ウェルネスツーリズムの定義・例

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95.3 116.0

491.2575.0

0

100

200

300

400

500

600

700

2013 2015

(mil lions)

3.8.【BtoC(国外富裕層)】ウェルネスツーリズム(市場動向)

ウェルネスツーリズム市場は、旅行者数、市場規模ともに拡大しており、有望な市場となっている。

海外へのウェルネスツーリズムも増加しており、金額ベースで全体の約3分の1を占める。

他のツーリズムにウェルネス体験を付随させる「Secondary-Purpose」が市場の80%以上となっている。

巨大市場であり約32%は海外へのツーリズム

• ウェルネス旅行市場 : 5,630億ドル(2013-2015 14%UP)

• 2020年には8,080億ドル(約92兆円)にまで増加するとの予測も

• ウェルネスを主目的に海外へ旅行する人は、全体の5%、

副次目的としてのウェルネスツーリズムは27%(=顕在市場)

ウェルネスツーリストは拡大傾向

• ウェルネス旅行者数 : 6.91億人/年(2013-2015 17.8%UP)

→旅行市場全体の伸び率(6.9%)を大きく上回る)

• ウェルネスを主目的に海外へ旅行する人は、全体の2%、

副次目的としてのウェルネスツーリズムは15%(=顕在市場)

Wellness Tourism RevenuesWellness Tourism Travelers

+17.1%

156.3 187.1

337.8376.1

0

100

200

300

400

500

600

700

2013 2015

(US$ bi l lions)

+21.7%

+11.3%

+19.7%

Domestic Domestic

International

Types of Wellness Tourism

(2012)

International

Primary -Purpose

Secondary -Purpose

11% 72%

2% 15%

Types of Wellness Tourism

(2012)

Primary -Purpose

Secondary -Purpose

9% 59%

5% 27%

出所:Global Wellness Institute、SRI International

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0

250

500

750

1000

1250

1500

1750

2000

2250

AverageInternatl.Tourist

Internatl.Primary

WellnessTourist

Internatl.SecondaryWellnessTourist

AverageDomesticTourist

DomesticPrimary

WellnessTourist

DomesticSecondaryWellnessTourist

($)

3.8.【BtoC(国外富裕層)】ウェルネスツーリズム(市場動向)

他の旅行形態と比較して旅行消費単価が高く、特に海外へのツーリズムは大きな単価となっている。

消費単価が上がりやすい「ディスティネーション・スパ」などのほか、比較的顧客数を狙いやすい

複合型ウェルネスツーリズムの両面からのアプローチを検討する。

ウェルネス目的の顧客は消費単価高く、

複合型はボリュームを出しやすい

• ウェルネスを主たる目的として海外旅行をする人の

消費単価は平均で1,613ドル(2015年)

• 旅行者は欧州、北米が中心

• 近年は中国を中心に新興国でも大きく増加

ウェルネスツーリズム(特に海外)は消費単価が高い

• 全旅行平均と比較して、ウェルネスツーリズムの場合は、

海外旅行者:61%、国内旅行者:164% も消費単価が高い

• 狙うべき海外旅行の単価は、国内旅行の2~3倍

出所:Global Wellness Institute、SRI International

Primary -Purpose

Secondary -Purpose

AverageSpending

The Numberof Tourists

×

ディスティネーション・

スパなどは、ボリューム

は出ないが顧客単価が

高くなる

実現性の観点では、

他コンテンツと合わせた

複合型ウェルネスが有利

Expenditure per Trip(2015)+ 61 %

$ 1,613

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3.8.【BtoC(国外富裕層)】ウェルネスツーリズム(市場動向)

欧州・北米諸国は、国内需要、海外からの需要(旅行の目的地)ともに大きい。アジアでは、日本や中国

が需要国となり得る。

需要国をターゲットとして誘客するため、海外からの需要が大きい目的地のベンチマークが重要である。

中国、韓国、欧米諸国がターゲット候補

• 国内旅行者が大きい国は、国民のウェルネスへの

関心が高いと想定。ターゲットの候補になり得る。

ウェルネスツーリズムに関する各国の需給状況

• 欧米諸国で盛ん。アジアでは、タイが多くの外国人を受け入れている。

• 日本は国内旅行では盛んだが、外国からの受入数は多くない。

出所:Global Wellness Institute

Intl./Inbound Wellness Arrivals(2012)

米国 7103.2フランス 6900.3オーストリア 5675.0ドイツ 5623.4スイス 5101.8メキシコ 4615.6イギリス 3633.6タイ 3090.8スペイン 2602.7カナダ 2560.9トルコ 2065.7中国 2064.4ギリシャ 1835.1韓国 1578.4イタリア 1566.3

Domestic Wellness Trips(2012)

米国 134265.2ドイツ 43631.4日本 33243.7中国 21516.6フランス 20355.5インド 20032.3カナダ 19038.9韓国 16965.0イギリス 14203.9ロシア 8686.0スペイン 7351.6メキシコ 6772.2イタリア 6514.7オーストリア 5614.1ブラジル 5196.2

000s 000sインバウンド

受入数

国内旅行

者数

大 小

小 大

特徴

該当国の例

オーストリア、スイ

ス、タイ、メキシコ

など

日本、インド、ロシ

アなど

目的地 需要国

大 大 〇欧州・北米諸国、

中国、韓国など〇

各国の特徴の整理

アクセスの良い中国、韓国などが有望。

日本は大きな市場。欧米も市場としては大きい。

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3.8.【BtoC(国外富裕層)】ウェルネスツーリズム(スパ・ツーリズム)

スパ施設の類型

出所:International SPA Association (2010) 、Global Wellness Institute、荒川雅志「ウェルネスツーリズム-サードプレイスへの旅-」(2017)P43

ウェルネスツーリズムのなかでも、スパ・ツーリズムが約4割を占めており、スパの存在は重要である。

特に、メディカル要素も含むディスティネーションスパは、成功すれば観光の高付加価値化に大きく寄与

することが期待される。

ウェルネスツーリズムの41%はスパ・ツーリズム

• 海外へのスパ・ツーリズムも全体の

16%を占める

ディスティネーションスパ構成要素

• 健康チェックから始まり、運動や治療、食事も重要

な要素。日本では温泉も強み。

• リゾート地である沖縄の強みも活かせるディスティネー

ションスパは、観光の高付加価値化ポテンシャルあり

<ディスティネーションスパの構成要素><スパ施設の類型>

手技療法

運動

水治療法

自然療法

休息

食事

その他療法

その他サービス

オイルトリートメント

アロマテラピー

あんまマッサージ指圧

伝統療法・その他

フィットネス

ヨガ

ウォーキング・その他

温浴入浴

タラソテラピー

その他入浴プログラム

気候療法

ヘルシーメニュー

制限メニュー

健康チェック

エステティック・その他

施設類型 定義

デイデイユースが中心で、フェイシャルやボディトリートメントを含む。

リゾート・ホテル

リゾート/ホテルのスパで、フィットネスやウェルネスサービス、料理などを宿泊と合わせて提供。

ディスティネーション

長期滞在を中心とし、個人に合わせた健康的なライフスタイルへと導くことが目的。スパ、運動、ウェルネス教育、健康料理などを個別に組み合わせて提供。

メディカル

ヘルスケアの専門家が、スパサービス、伝統療法や他の治療法などを組み合わせて、総合的な医療とウェルネスケアを提供。スタッフの資格の範囲内で、美容やコスメ、予防、ウェルネスを含む。

クラブフィットネスを主目的とした施設。スパとされるのは、サウナやスチーム・ジェットバスなどのサービスを明示するもの。

温泉天然ミネラルや熱、海水の源泉で、水治療法を行うもの。

コスメスタッフの資格の範囲内で、化粧品や予防などを主目的とするサービスを提供。

Share of Spa Tourism

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3.8.【BtoC(国外富裕層)】ウェルネスツーリズム(ディスティネーションスパ)

ディスティネーション・スパの代表例であるチバソムでは、医師などの専門家によるカウンセリングや、

多種多様なプログラムを個別にアレンジして提供し、欧米人などの富裕層のリピーターを獲得している。

高級感溢れる施設に、評価の高い料理などウェルネスを追及するソフトサービスを提供している。

ディスティネーション・スパの代表的事例:チバソム(タイ)

概要 タイの高級リゾート地「ホアヒン」に所在。元タイ副首相の故ロジャナスティ氏が設立。

施設 7エーカーの土地に58室のゲストルームと、宿泊部屋を上回る72室(2016年)のトリートメントルーム。宿泊は3泊~で、16歳以下は宿泊不可。また、プライバシー保護などから、共用エリアでの携帯電話やタブレット等は使用不可。

• バンコクの空港から

は、専用の高級車

(BMW)で送迎

データ 2,500~2,750人程度/年、平均1週間程度滞在、1泊10~20万円程度~(スイートルームまで幅広く価格設定)

送迎 到着後 目的別リトリート(下記は2015年の一例)

• 医師、自然療法士などの専門家によるカウンセリング

→200種類以上のプログラムから個別のカスタマイズ

• ゲストIDの発行、全スタッフがゲストの達成目標を共有

• 血液検査やベーシックスクリーニングなどのメディカルトリートメントも可能

特徴 ディスティネーション(目的指向型)スパで、目的別のコースを申し込んで実施。「ホリスティック・ウェルビーイング」の実践。インドのアーユルヴェーダ、中国古来の気内臓療法、チ・ネイ・サン、腸内洗浄、日本の霊気なども取り入れ、未病の状態を改善。スパ・キュイジーヌ(3食/日は基本メニュー)はヘルシーながら美味で、多くのシェフが研修に訪れる。

エターナル・ユース⁃ スキンコンサルテーションでゲストの

顔撮影、3D画像によるスキン分析、バイオプラズマ・クレンジングやピーリングなどで外見の美を引き立たせる

フィットネス⁃ 体組成測定などのアセスメント、

パーソナルトレーニング、ピラティス、タイボクシング、可動域を高めるトレーニングなどで体内外を引き締め

ナチュラル・ヒーリング⁃ 自然療法コンサルテーションにより、

生活習慣や食生活の見直し、チネイ・サンや霊気、フローティングなどのホリスティック・セラピーを実施

オプティマル・パフォーマンス⁃ トリートメントとフィットネス、フィジオ・

セラピーを組み合わせ、身体能力向上のほか、疾病、事故、スポーツの怪我などから回復も目指す

引用元:チバソム公式HP

• 目的別にコース設定。(減量や美容などの未病予防)

<サービスの流れ(一例)> 日常でも続くメニューを提案、パーソナルデータは管理し、リピーター育成に

出所:チバソム公式HP、荒川雅志「ウェルネスツーリズム-サードプレイスへの旅-」(2017)P85~88、その他各種公表情報よりABeam Consulting作成

主たる目的はウェルネスの増進(観光や文化体験はメインではない)

美容・減量・生活習慣の改善など、顧客の目的に合わせたプログラムパッケージを多数保有

これをリゾートでのリラクゼーション、高いロイヤリティと掛け合わせてディスティネーション化

スタッフには世界中から優秀な人材を抜擢。各国の著名なスタッフを期間限定で登用

長期滞在でも飽きない、食事の種類の豊富さなどの工夫がある

Point

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211,218

266,501296,889

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

2013 2014 2015

(人)

3.9.【BtoC(国外富裕層)】医療ツーリズム(需要の動向)

タイや韓国などのアジア圏で、安価で高度な医療サービスを目的とした外国人患者の誘客が激化している。

民間病院の取組を中心に政府が支援することで誘客を強化しており、大きな市場を形成している。

各国の医療ツーリズムの動向

出所:韓国観光公社、McKinsey Quarterly、JCIのHP、JETRO調査報告等よりABeam Consulting作成

韓国の事例

6,694億

ウォン

32%

12%

54%

韓国への医療ツーリスト数推移 診療収入の国別割合

(2015年)

中国や欧米からが多く、背景に、待ち時間短縮や高度医療(主に

中国)、医療コストの低廉化(主に米国)など。UAEからの富裕層な

ども受け入れている。タイ • 民間病院が他国にブランチを作って送客

• 政府の大規模プロモーション。YouTubeにも多くのプロモーションムービー。安価で高度な医療や、高いホスピタリティをアピール

• 61もの病院がJCI認証を取得(※)• 観光を含めたツーリズムがあり、スパ等と連携• 大手病院では患者の6割以上が外国人の事例も

韓国 • 病院が患者を勧誘• 整形技術が高く、美容系の患者ニーズが強い• 29の病院がJCI認証を取得• VISIT MEDICAL KOREAというサイトから、多言語で

医療観光の情報発信。メディカルスパを含めたウェルネス戦略も

受入:

130~180万人

(2015年)

受入:29.6万人

(2015年)

(※)JCI認証:医療の質と安全において国際標準を満たすことを示す、米国の国際医療機能評価機関(JCI)の認証。国際的に認められた病院であることを示すことができる。

医療ツーリズム先進国の取組

海外への医療渡航者の動機

(〇の数字は%)

最先端医療技術短い

待ち時間安価な

医療コスト優れた治療・医療サービス

40 32 15 13

VISIT MEDICAL KOREAのHP

• 医療観光の専用サイトを開設

• 韓国医療のメリットや医療機関、

観光地情報などが掲載

• 多言語で情報発信

• 仁川空港内に医療観光カウンター

を設置し、医療観光を支援

n=49,980

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3.9.【BtoC(国外富裕層)】医療ツーリズム(中国の需要動向)

中国では、国内医療への待ち時間の長さなどから、海外へ渡航する人が急増。渡航先としての日本は非常

に需要が大きい。日本では検診、韓国は整形などが人気で、アンチエイジングの分野も需要が大きい。

富裕層が中心となっていることもあり旅行消費額は高く、観光の高付加価値化に重要な市場と考えられる。

中国の医療ツーリズムの動向

Ctrip(中国の大手OTA)によると、医療観光は急増。

医療ツーリズムの渡航先として日本が一番人気で

あり、ポテンシャルが大きい。

出所:Ctrip「2016 China Tourism Report」、各種記事・公表資料よりABeam Consulting作成

50万人

2015 2016

海外医療ツーリスト数

(Ctrip経由)

1 日本

2 韓国

3 米国

4 台湾

5 ドイツ

6 シンガポール

7 マレーシア

8 スウェーデン

9 タイ

10 インド

渡航先ランキング

医療ツーリズムの旅行単価

1. PET 早期がん検診・予防 と 血液検査, 2人、5日 (日本).

2. 最先端のがん治療,3日 (日本).3. PET-CT がん検診 と 胸部スキャン、腫瘍

のスキャンなどの医療サービス (日本).4. ジェネリックテスト, 9日 (米国).5. フルメディカルサービス, 4日 (韓国).6. PET スキャン と フルメディカルサービス,

4日 (日本).7. プラセンタ アンチエイジング と 温泉旅行

(日本).8. 生細胞アンチエイジング医療ツアー

(スウェーデン).9. 生細胞のエクストリームセラピー, 9日

(ドイツ).10. C型肝炎治療, 5日 (インド).

人気の商品と国・地域

3,741US$

7,200US$

旅行

(欧州)

医療ツー

リズム

2,590US$

旅行

(アジア)

医療ツーリズムの旅行単価

(欧州・アジア旅行との比較)

通常の旅行より圧倒的に高い単価

各種報道より、現在は富裕層が牽引役

日本では、PET/CT検査、韓国では

整形などが人気。プラセンタなどの

美容と、温泉の組み合わせも人気。

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3.9.【BtoC(国外富裕層)】医療ツーリズム(訪日医療の動向)

日本へ渡航しての医療需要は、訪日外国人の増加に伴い今後も増加することが見込まれる。

一方で、外国語対応などが課題。そのため、政府や各省庁では受入体制の整備を促進している。

※インバウンド医療ツーリズム実施者の統計はないため、観光庁「訪日外国人動向調査」

より、「治療・検診を実施」「次回来日時に治療・検診を実施したい」と回答した割合を訪日外

客統計に乗じて推計。

訪日による医療観光は今後も増加の見込み

平成28年の検診・治療実施者はおよそ29万人(推計)。

再訪時には、中国を中心にその3倍以上の人が受診意向。

訪日外国人観光客の伸び率に概ね比例して増加と想定。

治療・検診

目的渡航者

治療・検診

実施者

次回、治療・

検診をしたい

2015

2016

20

24

276

288

770

938(+21.8%) (+4.4%) (+21.8%)

出所:観光庁「訪日外客消費動向調査」、各種公表資料よりABeam Consulting作成

Medical

Excellence

JAPAN

医療渡航支援企

業(UMTAC)

外国人患者受入

れ医療機関認証

制度(JMIP)

各省庁は受入体制整備に施策を展開

国際医療交流コ

ーディネーター

• 日本で治療、検診等を希望する渡航受診者の受入を促進するため、渡航受診者の受入に意欲と体制・取組みのある病院を推奨

• 全国35件(沖縄1件)が推奨(2017年7月時点)

• 医療目的の訪日外国人(渡航受診者)に対し、訪日前から帰国後に渡る受入に関わる一連の支援サービスを業として行う事業者

• 多言語による診療案内や、異文化・宗教に配慮した対応など、外国人患者の受入れに資する体制を第三者的に評価

• 全国29件(沖縄1件)が認証(2017年11月時点)

• 医療滞在ビザの取得や医療通訳の手配、滞在先の確保などを一括で行える会社を、経済産業省・外務省で認定

• 50社が認定(2017年11月時点)

上記のほか、訪日患者の受入マニュアル「外国人患者の受入参考書」

(経済産業省)を整備するなどして、インバウンド医療の受入体制を整備

インバウンド医療に関する主要施策

専門機関の認証や情報発信などでインバウンドの受入を促進

訪日医療ツーリスト(推計)

単位:千人

一方で、外国語などが課題

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3.9.【BtoC(国外富裕層)】医療ツーリズム(訪日医療観光の流れ)

民間事業者は、医療と観光を組み合わせたインバウンド医療観光を商品化している。

中国の富裕層などを中心に高額な商品が売れており、各病院でも受入体制を強化している。

訪日医療観光の流れとプレーヤーの一例

数十万~百数十万円のものが多く、国内のプレーヤーは拡大中。中国人の富裕層が中心で、北海道ではロシア人の受入もある。

パッケージ商品のようなものでなく、顧客の要望に細かく応えてカスタマイズするスタイルが一般的。

医療ツーリズム希望者

内容

プレーヤー例

旅行・施設予約 移動・観光 医療サービス

• 待ち時間の短縮

• 医療コストの抑制

• プライバシーの保護(検診結果を国内関係者に伝えない)

• 先端医療サービスの享受

などの動機で渡航検討

■訪日需要国・地域

中国、台湾・香港、ロシア、ベトナム、カンボジア、ミャンマー等

(米国、欧州など)

• セカンドオピニオンの取次、滞在ビザ、提携病院の手配、ドック当日の通訳者、送迎、診断書翻訳の手配などの旅行手配支援

■Ctrip(上海)×MICE JAPAN×マーソ(人間ドック等検索大手)の提携

■中国内の富裕層向けツアー会社

■JTB、EAJといった医療渡航支援企業など

飛行機:ファーストクラスなど

宿:五つ星ホテル、高級旅館食事:ミシュランレストランなど

その他:送迎、専用観光ガイド、ゴルフツアー、温泉など

■ANAセールス:中国人富裕層向けの医療観光商品

■高島屋:病院と提携した買物消費の促進 等

• PET/CT、MRI等の検診のほか、腸内フローラ改善のような美容分野も需要高まる

• ホテル並みの清潔感と接客

• 価格は診療報酬の1~3倍程度

• JCI認証病院が人気(※)

■聖路加メディローカス:海外ビジネスをターゲット。JCI認証

■湘南鎌倉総合病院:国際医療支援室を開設。JCI認証、ハラル認証

■亀田メディカルセンター:国内初のJCI認証。高島屋と提携

商品の一例

(※)国内で24の病院が取得(2017年11月時点)。海外の保険会社から、「保険加入者が日本を訪れた際に診療が必要になった時は受入れてほしいという問合せが増加」した例も。

出所:記事検索、各種公表資料、経済産業省「国内医療機関による外国人患者受入の促進に関する調査」、大阪観光局「複合ウェルネスツーリズムの推進について」(H29.6)よりABeam Consulting作成

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 32

3.9.【BtoC(国外富裕層)】医療ツーリズム(沖縄県内の取組)

県内でも複数の事業者がインバウンドの受入を実施しているが、事業者単位での実施が主となっている。

医療と観光の連携強化などを進めることで、増加する需要に応じた市場拡大を目指すことが重要である。

沖縄県内の外国人医療ツーリズムの動向

南部徳洲会病院

【検診・健診】

【リハビリ】

タピック

【検診・健診】

【リハビリ】

• JCI、JMIPを取得

• 国際医療支援室を設置し、多言語対応などを進め

てインバウンドの受入を促進

• 沖縄県「ウェルネスツーリズム構築推進事業」によ

る補助も受けてプロモーションや視察等を実施

• がん検診や透析などに強み

• グループで運営するホテルと病院の連携

• ユインチホテル南城(南城市)の新館をオープンさ

せ、インバウンドの受入を推進

• 2018年には敷地内に診療所を設置予定。人間ドッ

クや健康診断などを受けられるようにして外国人

の医療観光を強化

• リハビリテーションセンター(沖縄市)にも強み

豊見城中央病院

【検診・健診】

中部徳州会病院

県内の主な外国人患者受入病院

(JTB Medical&Healthcare掲載病院:2017年11月)

• 南部徳洲会やタピックでは、既に多くの受入実績を保有

• 検診やリハビリなどそれぞれの強みあり。中国では日本のがん検診が信頼されており、需要は大

きい。また、リハビリにおいても中国国内のノウハウの不足や高齢化に伴うリハビリ需要の増加な

どでニーズが高まると考えられる

• 今後は中国のエージェントとの連携強化や認知度の向上に加えて、観光との更なる連携による魅

力の向上が求められる

Point

出所:JTB Medical&Healthcare HP、沖縄県「平成28年度ウェルネスツーリズム構築支援事業報告書」、記事検索、各種公表資料よりABeam Cousulting作成

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 33

3.10.コンセプト設定の仮説軸

これまでの調査結果をもとに、コンセプト設定の軸(方向性)を以下に整理する。

各コンセプトに対して、スポーツやそれに関するノウハウを組み合わせることで、ターゲットへの

訴求力を向上させることを狙う。

BtoB

(MICE)

BtoC

(富裕層)

チームビルディング

⁃豊富なスポーツ施設やビーチを活用した

企業向けチームビルディング

メンタル・ヘルスケア

⁃美容・ストレス軽減などを目的とした軽度の

運動、ヨガ、スパなどの総合リラクゼーション

⁃保健・運動指導、健康マネジメントなどの

健康経営支援

医療ツーリズム

⁃検診を中心とした医療サービスを希望する

人への医療+ツーリズムの提供

ウェルネスツーリズム

⁃未病予防や健康増進、美容・減量など、

個々のニーズに合わせたウェルネスの

サービス提供

コンセプトの方向性 スポーツの活用 資源・ノウハウ等の活用

サイクリング⁃香港や台湾、欧米で人気

のあるサイクリング

⁃沖縄の強みでもあり、メニ

ューとして組み込み

ゴルフ⁃中国などで需要旺盛

⁃沖縄には恵まれたゴルフ

施設があり、強みの一つ

スポーツによるチームビ

ルディング⁃複数のスポーツ×チーム

ビルディングのプログラム

があり、企業向け福利厚生

(報奨旅行等)の付加価値

向上メニューとしても提供

されている

コンディショニング⁃食事やヨガなどのウェルネス

に、整体などのコンディショニ

ングメニューを付加し、ウェ

ルネス体験を向上

レッスン型メニュー⁃パーソナライズされたメニュ

ーとするためスポーツレッス

ンなどを提供

第4章 社会的課題の解決におけるコンセプト検討

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 35

4.1.ターゲット設定

少子化に伴い、子供一人当たりの教育投資単価(お稽古・習い事等含む)は上昇傾向にある。同市場にお

いては、特に子供向けのスポーツ教室が堅調である。子供の運動能力低下を背景とした健康増進や、スポ

ーツを通じていわゆる非認知能力(協調性、目標達成志向など)を身につけることを目的とする保護者の

ニーズは底堅い状況にある。

一方、沖縄県内においては、子供の貧困問題対策など、幼少期における教育水準向上が喫緊の課題となっ

ており、スポーツの持つ力の活用が求められている。

• 同市場において、子供向けのスポーツ教室が堅調に推移している。

• 子供の運動能力低下を背景とした健康増進や、スポーツを通じて礼

儀、協調性、社交性などを身につけることを目的とする保護者のニー

ズは底堅い状況にある。

お稽古・習い事に関する市場規模推計(一般消費者全体)出所:矢野経済研究所 お稽古・習い事市場に関する調査(2016 年)に関するプレスリリース

主たるターゲットの考察 沖縄において取り組む意義

• 沖縄県においては、相対的子どもの貧困率は29.9%と、全国平均(13.3%)を大き

く上回っている状況である。(平成26年 沖縄県調べ)

• 内閣府では、沖縄振興計画期間中(平成33年度まで)を集中対策期間とし、子ど

もの貧困対策に要する予算確保・積極的な施策推進を実施している。

• 所得に起因する健康格差やスポーツ実施率の格差は様々な調査研究でも言及

されている。

• 沖縄県においては、生活習慣病の発症率も高く(メタボリックシンドローム該当

者・予備軍の割合は全国ワースト)、健康長寿の復活が大命題である。これには、

子供のころからの運動習慣や生活習慣の改善・定着化が重要とされている。

• スポーツによる(またはスポーツが持つ力を活用した)教育水準の向上や健康格

差の解消は、沖縄において取り組むべき意義が高いといえる。

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 36

4.2.市場動向

沖縄県においては、高水準の合計特殊出生率を維持するとともに、人口動態は社会増(県外からの転入超

過)を維持しており、他県と比して少子高齢化の進行は緩やかであるといえ、教育市場としてのポテンシ

ャルは高いと言える。

一方、所得格差に起因する通塾率の低さなどが課題として認識されており、安価で質の高い教育プログラ

ムが求められていると言える。

沖縄県の合計特殊出生率は高水準であり、

年少人口割合は高い

【合計特殊出生率の比較(2015年)】

出所:厚生労働省「人口動態統計」

1.24 1.96

0

0.5

1

1.5

2

2.5

東京都 沖縄県

全国平均

1.42

沖縄県の人口動態

1

1.1

1.2

1.3

1.4

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2

-6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0

合計

特殊

出生

社会増減率

【合計特殊出生率と社会増減率の分布(2015年)】

沖縄県

東京都

社会増も維持しており、少子高齢化の進行は相対的に

緩やか

愛知県

沖縄県の通塾率

出所:沖縄県子どもの貧困対策計画

「平成27年度全国学力・学習状況調査」(国立教育政策研究所)

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 37

4.3.市場動向(スポーツを活用した教育メニュー)

文部科学省では、こどもの体力、運動能力の低下を受けて、平成24年に幼児期運動指針を策定した。

こうした公的な指針や前述の保護者ニーズをとらえ、多くのフィットネス企業や学習塾企業などがスポー

ツ×教育市場に参入している。

特に、スポーツを活用した非認知能力向上は近年注目が高まっており、多くの民間企業が取り組んでいる。

幼児期運動指針

(文部科学省)

政府の取組

藤枝市

×

ティップネス

• ファシリティマネジメントの一環で、PPPのスキームによる公共施

設のリノベーションを実施(れんげじスマイルホール キッズパー

ク)

• 子育て×スポーツ×ヘルスケアの総合施設として年間20万人以

上を集客。「スポーツ保育」を提唱する静岡産業大と連携し、幼児

向け指導プログラムを提供

• 施設が所在する公園内にスターバックスも進出し、エリア全体で

の集客を推進

学研HD• “子どもたちの運動神経を育てる” ことを主眼においた「リトルア

スリートクラブ」を展開。

• フィットネスクラブと連携し、主に首都圏で事業展開。

事業者名 概要

スポーツクラブNAS• スポーツや英語教育を包括的なパッケージにした保育事業を展

・幼児期における運動の在り方(獲

得しておくことが望ましい基本的な

動き、生活習慣及び運動習慣)につ

いて、指針を策定

・全国の教育委員会、幼稚園等に

おける普及を啓蒙

民間企業の取組

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 38

4.3.市場動向(スポーツ教育領域の官民連携)

従来は公的セクション(自治体、学校等)が担っていた、小中学生向けの放課後教育メニューについても、

民間への委託(民間企業の参入)事例ができつつある。

昨今は教員の働き方改革も国の重要テーマとなっており、文部科学省では学校教育法施行規則を改正し、

外部の人材が部活動を指導・引率できる部活動指導員を制度化した。

従前から学校教育が担っていた機能の民間シフトが、今後加速することが推察される。

行政

(教育委員会)

放課後教育メニュー(杉並区の例) 沖縄県内における事例

学校

(中学校)

部活動指導員

(民間・元アスリート)

予算化・契約・委託

生徒

顧問と連携

技術指導

• 杉並区では、行政が年間3,000万円ほどの予算を確保し、区内の中学校のう

ち、19校43の部活に指導員(コーチ)を派遣。

• 技術指導のほか、大会への帯同も実施。ただし、中体連等の規定により、引

率は顧問(教員)が実施。

• 地域での人材確保・財源確保が課題

• うるま市では、民間企業のスポンサーシップのもと、コーチングプロの派遣を

実現している。

地元企業

学校

(中学校)

民間企業

(プロチーム・元アスリート)

スポンサーシップ

生徒

顧問と連携

技術指導

第5章 関係者ヒアリングからの示唆

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 40

5.1.関係者ヒアリングの実施概要

以下のような事業者にヒアリングし、沖縄でのコンセプト実現にあたっての具体化や課題の抽出を行った。

(※)上記のヒアリングのほか、「健康アライアンス勉強会」に参加して情報収集を実施している。

ヒアリング対象者 ヒアリング観点

検証・具体化する主な対象コンセプト

健康経営促進チームビル

ディングウェルネスツーリズム

医療ツーリズム

スポーツ教育・保育

公益財団法人保健指導・スマートライフステイの先駆者であり、

行動変容などの実行上の観点等 〇 - - - -

フィットネス関連民間企業

スポーツリゾートやCCRCなどの多角的な事業を

手掛けており、沖縄版の事業モデルに対する示唆

〇 〇 〇 - 〇

行政・フィットネス関連民間企業

子育て支援施設を運営しており、スポーツを活用し

た保育ニーズや企画の示唆等 - - - - 〇

エンターテイメント企業

スポーツとエンタメを融合した多角的な事業を展開

しており、各分野に関するニーズやアイデアなどの

示唆等

- 〇 - - 〇

スポーツアカデミー運営企業

沖縄県内でゴルフアカデミーを運営しており、スポー

ツ教育(競技者養成)のニーズや教育の効果等 - 〇 - - 〇

NPO法人スポーツ(運動会)によるチームビルディングやレク

リエーションを行っており、本領域のニーズ等 〇 〇 - - -

旅行会社

法人向けの報償旅行や研修旅行を企画・実行して

おり、企業側のニーズやポテンシャルのある領域へ

の示唆等

〇 〇 - - 〇

県内宿泊事業者(2社)

滞在型プログラムにスポーツや健康の観点からコン

テンツ開発をした際のニーズや留意点、インバウン

ドの動向・ニーズ等

〇 〇 〇 〇 -

健保運営企業企業の福利厚生・健康経営を支援しており、それら

の動向や企業ニーズ、ビジネスモデルの示唆等 〇 〇 〇 - -

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 41

5.2.関係者ヒアリング結果(概要)

各分野の関係者から、下記のような示唆を得た。

コンセプト健康経営促進チームビルディングリコンディショニング 他

インバウンド医療ツーリズムウェルネス

スポーツ教育・保育

ヒアリング

結果

• 健康経営に関するプログラムは、複数の社

員で実施することからチームビルディング

要素も付加できる

• チームビルディングを兼ねたプログラムは、

福利厚生や報奨旅行で実施することも多い

• 社員のコミュニケーションを活性化するプ

ログラムに需要あり

• 沖縄までの旅行コストを回収できるような

プログラム価値を提供する必要がある

• 着地でプログラムを完結するのではなく、

発地へ戻った後も継続フォローができると

良い

• スポーツとエンタメの融合も訴求力向上に

寄与する

• 沖縄で実施するための体制(特に人材)を

どう整えるかが重要

• 都市圏のフィットネス企業などは、沖縄に

送客することで、発地に戻ってから自社の

顧客として成長するなどのメリットがある

なら連携したい

• 医療ツーリズムも需要があると考え

られるが、コンテンツとなる病院の

ブランド力や提携スキームの確立が

課題

• リコンディションはニーズがあるが、

温泉施設などのハード面の充実も必

• スパの専門施設(ディスティネーシ

ョンスパ)も需要はあると思うので、

閑散期などの喚起策として検討する

余地はあるかも知れない

• ただし、沖縄までスポーツやリコン

ディションなどを主目的にツーリズ

ムをする人は少ないと思うので、付

加要素としたい

• 海外の顧客は、ハード・ソフトでの

投資と強力なブランド力が必要

• 子どもの体力低下などの課題にア

プローチ

• 就学前児童へスポーツ保育は有効

• 保護者が同伴するプログラムが重

要。

保護者の子育て意識の向上にもつ

ながる

• 学校施設の有効活用により、費用

を低廉化。スポーツやその他の教

育プログラムを提供し、受益者負

担によりマネタイズ

• 県外の生徒向けでも、修学旅行の

プログラムは差別化しづらいため、

特徴的なプログラムは訴求力あり

関係者ヒアリングの結果概要

出所:関係者ヒアリングよりABeam Consulting作成

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 42

5.3.チームビルディングの価値向上

チームビルディング研修の多くは、研修企業が行う座学や簡単なグループワーク形式のものである。

一方で、スポーツクラブのチームビルディングノウハウや、芸人などのファシリテート能力は企業向けに

も活用が可能であり、これらを組み合わせることでプログラム訴求力の向上が図れると考える。

出所:関係者ヒアリング結果よりABeam Consulting作成

チームビルディングのプログラム価値向上策

チームビルディング

(講習型)

チームビルディング

(グループワーク)

エンタメ・お笑い

(ファシリテートなど)

プロスポーツ

(組織マネジメントなど)

都市圏等で一般的な内容

エンタメやプロスポーツ

が持つ優れたノウハウ

を企業研修に活用

これらを沖縄ならでは

の環境(豊富なスポー

ツ施設、ビーチなど)で

行うことで企業への訴

求力を向上

プログラム価値向上策

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 43

非日常体験

5.4.発地側と連携した送客スキームの強化(健康経営促進)

国内客をターゲットとした場合に、発地側のフィットネス施設と連携して、日常と非日常を循環させる

ことによる訴求力の向上が考えられる。

沖縄訪問時に、日常で行えるプログラムを提案し、発地側での運動習慣向上を促進することが重要。

スポーツ・

フィットネス

クラブ

ディスティ

ネーション

気候 自然

食事 文化

【発地】

都市圏

【着地】

沖縄

観光地要素 宿泊地要素

ソフトハード

発地側と連携した日常と非日常の循環

出所:関係者ヒアリング結果よりABeam Consulting作成

• 健康意識の向上

• 運動習慣の向上

→フィットネス施設の

利用増加

• 着地側でのウェルネスプログラムの実施により健康意識が向上し、発地側(日常)での行動に。

発地側と連携した送客スキーム

日常での実践

メニューの提案

• 着地側と連携した

商品開発やプロモーション

• 実績ができれば、

都市圏での顧客網の

獲得に寄与

第6章 コンセプト取りまとめ

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 45

インバウンド向

け医療スポー

ツツーリズム

6.1.コンセプトの一覧

MICE誘客型

スポーツ・ヘ

ルスケア

ウェルネス

ツーリズム

スポーツ保育

・教育

コンセプト概要

• チームビルディングなどでMICE客を誘致しマネタイズ

• 健康経営に関心の高い企業には保健指導などを組合せ

• アフターMICEではゴルフなどのスポーツのほか、スパ・エステ等を

組み合わせたウェルネスツーリズムへの誘導も実施

• 中国人を主たるターゲットとして、医療ツーリズムを提供

• 観光と融合させることで、医療以外の魅力を訴求

• ゴルフなどのスポーツと合わせたプログラムを完全パーソナライズし、

高付加価値メニューとして提供

• ゴルフなどのスポーツと、検診等の医療を組み合わせた医療スポー

ツ観光や、サイクリストにスパ・エステ等のウェルネスを組み合わせ

たウェルネス観光

• パーソナルデータ蓄積やリコンディションなどで差別化

• スポーツと教育を融合させ、非認知能力(目標達成意欲、協調性等)

などを向上させるプログラムを受益者負担により提供

• 放課後預かり保育やスポーツ実施環境などの環境充実を図るととも

に、沖縄県の教育水準の向上に寄与する

• ハード面は学校施設などの既存施設を活用(安価に貸与)し、そこに

民間事業者がソフトコンテンツを提供することで官民連携でのマネタ

イズを図る

観光の高付加価値化

社会的課題の解決

コンセプト

調査結果を踏まえて、以下の4つのコンセプトを策定する。

想定顧客

BtoB

⁃国内企業

⁃特に沖縄に支社やデータセンターがある

全国展開の企業など

BtoC

⁃中国の特に富裕層(上海など都市圏)

⁃将来的には中間層に拡大も期待

BtoC

⁃国内高収入世帯

⁃中国、韓国、香港などのアジア圏

⁃欧米諸国も視野

BtoC

⁃子ども(未就学児、小中学生)の教育環

境の向上や運動能力の強化などに対し

て関心のある保護者

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6.2.【コンセプト1】MICE誘客型スポーツ・ヘルスケア

MICEとして企業の社員を送客してもらい、チームビルディングやヘルスケアメニューを提供。

チームビルディングでは、プロスポーツやエンタメ企業のノウハウを活用して差別化。

コンセプトイメージ図

旅行会社

人材育成

企業

エンタメ

企業

イベント企業

MICEチームビルディング

プロスポ

ーツ

宿泊施設

運動指導

送客

クライアント企業

スパ・

エステ

タラソ

テラピーヨガ

フィット

ネス

継続フォロー

スマート

ライフステイ

ヘルスケア

琉大・OIST等食事や健康でのエビデンス強化

概要

• チームビルディングなどでMICE客を誘致しマネタイズ。

• 健康経営に関心の高い企業には保健指導などを組合せ。

• アフターMICEではゴルフなどのスポーツのほか、スパ・エステ等を

組み合わせたウェルネスツーリズムへの誘導も実施。

ターゲット

顧客

【各企業】チームビルディング等を訴求

※沖縄にデータセンター等の拠点がある全国展開企業など

【健康経営企業】従業員への投資としての健康を訴求

提供価値

(差別化)

チームビルディング

⁃ プロスポーツとの共同商品により、企業にプロスポーツのチーム作りの

ノウハウを提供(プロスポーツとの連携)

⁃ 豊富なスポーツ施設やビーチの活用(都市圏では会議室で行うことも多い)

健康経営

⁃ 高リスクアプローチだけでなく、未病予防も対象にしたポピュレーション

アプローチ。

⁃ 複数従業員がいることを活かしたチームビルディングの組み合わせ

⁃ 海岸を活用した運動やタラソテラピーなどを盛り込んだプログラム

⁃ 海洋療法の研究や国際医療拠点構想を推進している琉球大学、健康疾病

治療への有効成分を含む沖縄県の産物等を研究する沖縄科学技術大学院

大学による効果検証・エビデンス強化

⁃ ヨガやフィットネスなどで、ヘルス+メンタルケア

組み合わせ

観光コンテンツ

コンセプト概要

顧客

ニーズ

チームビルディングによるコミュニケーション活性化

⁃ コミュニケーションの促進による生産性向上

⁃ リテンション対策(休職・離職率改善)

健康増進・メンタルケアによる従業員の生産性向上

⁃ ストレス軽減によるリテンション対策、従業員の生産性向上

健康への動機付け

⁃ 健診や保健指導の実施率向上(将来の健保財政負担の軽減)

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中国

6.3.【コンセプト2】インバウンド向け医療スポーツツーリズム

訪沖外国人観光客を対象とした医療ツーリズムに、スポーツ+コンディショニングプランを追加。

医療に観光まで含めたパーソナルプログラムを開発し、高付加価値メニューとして提供。

パーソナルデータ蓄積

→スポーツ実施時の

動作指導等へ活用

リコンディ

ショニング

スポーツ 医療検診・人間

ドックなど専用車移動

健康(食事)

OIST等の研究結果

をエビデンスに健康

食を提供スパ・

エステ

タラソ

テラピーヨガ

フィット

ネス

コンセプトイメージ図 コンセプト概要

ゴルフ

レッスンなど

概要

• 中国人を主たるターゲットとして、医療ツーリズムを提供

• 観光と融合させることで、医療以外の魅力を訴求

• ゴルフなどのスポーツと合わせたプログラムを完全パーソナ

ライズし、高付加価値メニューとして提供。

ターゲット

顧客

【中国富裕層】がんなどの検診・健診を中心に今後はリハビリ

需要も。受診者本人に加えて、その家族もターゲット。

提供価値

(差別化)

先端医療の提供

⁃ 従来までのがん検診と、高齢化に伴い需要が増すリハビリ技術を

県内で全て提供できること

⁃ 東アジアを中心に増加する糖尿病などの生活習慣病にも対応

高付加価値リゾートウェルネス

⁃ 都市部の医療ツーリズムは外資系ホテルなどが中心だが、

沖縄ではリゾートへの宿泊が可能

⁃ 検診以外に、ゴルフやスパなどのコンディションメニューを提供

⁃ 健康食の効果のエビデンス提供やデータ活用で高付加価値化

顧客

ニーズ

先端医療の享受

⁃ 国内医療では発見できないがんの早期発見、治療など

⁃ 高齢化とともに国内技術が不足しているリハビリも需要開拓

特別な(パーソナライズされた)観光への需要

⁃ 検診だけでなく、それに加えて観光をしたい人の需要

⁃ 富裕層を中心に、個々の顧客専用に作られたプログラム需要

健康・美容の増進

⁃ 検診に加えてウェルネス体験をしてもらうことで、健康を増進

⁃ 食事まで含めた健康増進への需要

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国内観光

6.4.【コンセプト3】ウェルネスツーリズム

ディスティネーションとしての魅力を向上させ、単価の高いウェルネスツーリズムを実践。

国内やアジア圏の周遊型観光客には、スポーツアクティビティへの付加要素を提供して差別化。

パーソナルデータ蓄積

→スポーツ実施時の

動作指導等へ活用

リコンディ

ショニング

スポーツ

健康(食事)

OIST等の研究結果

をエビデンスに健康

食を提供スパ・

エステ

タラソ

テラピーヨガ

フィット

ネス

カウンセリング

~処置

医師、アスレティック

トレーナー、理学療

法士、セラピストな

どの専門家

アジア・欧米

コンセプトイメージ図 コンセプト概要

ゴルフ

レッスンなど

概要

• ゴルフなどのスポーツと、検診等の医療を組み合わせた医療

スポーツ観光や、サイクリストにスパ・エステ等のウェルネス

を組み合わせたウェルネス観光。

• パーソナルデータ蓄積やリコンディションなどで差別化。

ターゲット

顧客

【中国】ゴルフ人口が伸びる。周辺観光にも需要。

【香港・台湾・タイ】サイクリングに需要。ウェルネスでも訴求。

【韓国】ゴルフに需要。スパ・エステなどの美容にも関心高い。

【欧米】サイクリングに関心があるほか、ウェルネスツーリズム

も一般的。

提供価値

(差別化)

ウェルネスツーリズム

⁃ リゾートウェルネスの提供。スポーツの疲れを癒す

⁃ 海洋療法や食事療法なども併用し、健康増進をトータルサポート。

科学的アプローチ

⁃ 食事は、OISTの研究成果による健康メニューなど

⁃ スポーツも、例えばフォーム診断やケガ予防などのアナリティクス

を加えて付加価値化

顧客

ニーズ

スポーツ×景勝地

⁃ サイクリングなどもスポーツそのものでなく、観光の一環として実施

⁃ 特徴的な自然などを案内することで魅力訴求

ウェルネス体験

⁃ 高齢化やストレス過多などからウェルネス需要が増加

⁃ 健康志向の取込ができれば、マーケットへのアプローチが可能

健康・美容の増進

⁃ 検診に加えてウェルネス体験をしてもらうことで、健康を増進

⁃ 食事まで含めた健康増進への需要

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6.5.【コンセプト4】スポーツ保育・教育

スポーツを活用した教育プログラム(非認知能力向上など)や通常学習メニューを包括的に提供し、

子どもの貧困対策や教育水準向上に貢献。

学校施設

民間企業(NPO、総合型クラブ等)などによる一体運営

未就学児・小中学生

スポーツコンテンツ

スポーツ保育、競技

指導、トレーニング・

コンディショニング

教育コンテンツ

学習塾、英会話、プ

ログラミング、音楽、

ダンス など

ヘルスケアコンテンツ

健康指導 など

ソフトコンテンツ

公共施設 教育施設

既存ハード

ワンストップでの

サービス提供対価の支払い

施設所有者(行政)によるサポート

コンセプトイメージ図 コンセプト概要

概要

• スポーツと教育を融合させ、非認知能力(目標達成意欲、協

調性等)などを向上させるプログラムを受益者負担で提供。

• 放課後預かり保育やスポーツ実施環境などの環境充実を図

るとともに、通常の学習メニューもワンストップで提供すること

で沖縄県の教育水準の向上に寄与する。

• ハード面は学校施設などの既存施設を活用(安価に貸与)し、

そこに民間事業者がソフトコンテンツを提供することで官民

連携でのマネタイズを図る。

ターゲット

顧客

子ども(未就学児、小中学生)の教育環境の向上や運動能力

の強化などに対して関心のある保護者

提供価値

(差別化)

総合的な教育メニューの提供

⁃ 科学的なメソドロジーにもとづく、非認知能力向上など、付加価値

の高いプログラムの提供

官民連携

⁃ 官民連携による提供コストの低減

顧客

ニーズ

未就学児

⁃ スポーツを活用して非認知能力や運動能力を向上

⁃ 英語教育など、認知能力向上もワンストップで享受

小中学生

⁃ スポーツを取り入れた、放課後教育・部活動メニューによる運動能

力向上

⁃ 英語教育など、認知能力向上もワンストップで享受

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 50

インバウンド向

け医療スポー

ツツーリズム

6.6.コンセプト実現に向けた現状と課題の整理

MICE誘客型

スポーツ・ヘ

ルスケア

ウェルネス

ツーリズム

スポーツ保育

・教育

現状

• 県がMICE振興戦略を策定し、誘客方針を明確化

• 個々のホテルで、都市圏の旅行会社と連携したチーム

ビルティングの事例あり

• 宿泊型新保健指導は、厚労省の実証実験を実施

課題

• 旅程・費用面の課題をクリアするためのプログラム価

値の提供。そのために、スポーツチームなどと連携す

ることや、プログラム効果の立証などが重要

• 健康経営促進では、現地の医療スタッフ(運動指導士、

保健師など)の確保・育成。コスト対効果の明示

• 事業者の枠を越えた連携が必要

• 一部の事業者で実施しており、県のウェルネスツーリ

ズム構築支援事業などと連携。沖縄振興開発金融公

庫による融資なども実施

• 数次ビザ発給開始時に、万国津梁医療協議会で国外

PRを実施

• ブランド力のある医療機関と、ホテルなどの観光事業

者との連携

• 医師会との協調(全国的に、地域医療の優先、非営利

性確保のため、医師会が外国人の積極受入に反対)

• 国外での認知度の向上や連携強化(現地エージェント

の影響力が強い)

• 琉球大学、沖縄県を中心に数年に渡って事業推進

• モデル事業が県内で複数実施されている

• 県内のリゾートでもスパ・エステを売りにしているところ

が多くある。また、タラソテラピーなどの専門施設を保

有する施設も複数あるが、県外客の利用が伸びてい

ないケースも見られる。認知度の向上も必要

• ブランド力のあるラグジュアリーリゾートホテルとの連携

• パーソナライズされたプログラムの造成とそれを実施す

る優秀なスタッフ確保(平成28年度に沖縄県では外国人

セラピストの受入に関する特区制度を国に提言)

• 食事までを含めた徹底したメニュー造成とその効果を立

証するエビデンスの強化、及びプロモーション強化

• うるま市における部活動サポートは民間企業のスポン

サーシップにより成立しており、行政の関与や受益者

負担のケースはそれほど多くない

• 内閣府の子どもの貧困対策施策では、子どもの居場

所づくりや学習支援などに重点的にアプローチしてい

• 学校・自治体をはじめとする、公共施設保有者との連

携体制の確立(初期費用提言や集客に重要)

• 付加価値の高いプログラムを提供し、納得感のある対

価での受益者負担スキームの確立(行政による補助も

視野に入れる)

• 県内事業者にノウハウが少ないと推察されるため、必

要な知見・スキルの蓄積

観光の高付加価値化

社会的課題の解決

コンセプト

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6.7.コンセプトの実現による各産業への波及効果の創出

コンセプト1~3の「観光の高付加価値化」に資するコンセプトを実現することで、下表のような多くの

分野に経済効果が波及することが期待できる。

特に、医療・ウェルネス分野では有資格者が求められるケースも多く、沖縄の雇用の多様化も期待できる。

コンセプトの実現により経済効果が波及する主な産業分野

MICE誘客型スポーツ・ヘスルケア

インバウンドメディカル・スポーツ

ウェルネスツーリズム

医療 →

健康・保健指導

運動・フィットネス → アスレティックトレーナーなど

食事・栄養 → 管理栄養士、料理人など

エステ・リラクゼーション → エステティシャン、セラピストなど

旅行会社

宿泊

飲食

交通

エンタメ・レジャー

スポーツ施設

スポーツチーム → アスリート(セカンドライフ)など

イベント

行政

研究機関 → 医学、栄養学、観光学などの専門家

コンセプト

医師、看護師、カウンセラー、理学療法士、健康運動指導士、健康運動実践指導者など

必要となる有資格者、専門家等

医療・健康・ウェルネス

ツーリズム

連携機関

主な関連分野

【表の見方】コンセプトごとの欄で、色付きが各コンセプトに関連する主な分野。また、色が濃くなっているものは、関連するコンセプトの中でも、

比較的そのコンセプトに特化した関連性の強い(大きな波及効果が期待できる)と想定されるもの。

第7章 参考資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 53

7.1.沖縄観光ステップアップ戦略2017の概要

内閣府沖縄担当部局では、沖縄観光関連の取組を更に加速させ、沖縄県の掲げる目標値の達成を後押しす

るためのアクションプランとして「沖縄観光ステップアップ戦略2017」を策定した。

重点化アクションと選定背景2017年度のアクション

のポイント沖縄の観光振興 へ

期待する効果

① 新「大航海時代」の創出に向けた受入環境 整備

(選定背景)

2016年のクルーズ船寄港数が対前年77%増(387回)、都道府県別 で全国1位(外航寄港数は全国の1/4が沖縄に集中)。沖縄県は「沖縄県観光振興基本計画」における目標値を上方修正 (クルーズ客25万人→200万人)(H29.3)。「官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾」(国交省)に 本部港、平良港が選定(全国6港)(H29.1)さ

れ、クルーズ船観光 客の誘致に向けた国の取組も一層強化の方向。 これらクルーズ船観光客の満足度を高めリピートに繋げ、観光客 数・観光収入の底上げに取り組む。

• クルーズ船の 新たな 受入体制の 構築

• 観光客の満足 度及び安全性 の向上 ・着地型観光の 実現

② スポーツ・ヘルスケアを軸とした沖縄観光の新展開

(選定背景)

「日本再興戦略2016」にて、スポーツ市場規模を5.5兆円(2015)→15兆円(2025)へ拡大する目標設定。スポーツビックイベント開催(ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会)に

よりスポーツ産業への注目度が高揚。沖縄県でのスポーツコンベンションの開催件数は近年増加、沖縄県発祥の空手が2020年東京オリンピックの

正式種目に選定(H28.8)。温暖な気候などの沖縄のポテンシャルを活かし、トップアスリートだけではなく、一般の方のリハビリや健康増

進を含めたスポーツ・ヘルスケア産業の高付加価値化に取り組む。

• 「沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会」の組成

• 県内スポーツ関連事業者のネットワーク強化による新ビジネスやサービスの創出促進

• スポーツ・ヘルスケアツーリズムの拡大

• 沖縄の強みを生かした新たなインバウンドの開拓

• 滞在日数の長期化• 目的型観光における選

択肢の多様化

③ 新たな体験型観光の開発・回遊性向上に向けた交通モードの多様化

(選定背景)

「やんばる国立公園」の指定(H28.9)や世界遺産登録に向けた動きなど、「海洋博記念公園基本計画」の改訂(H29.3)、本部港及び平良港の「官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾」選定(H29.1)等、本島北部地域や離島の観光に係る取組が活発化、今まさに本島北部や離島観光の振興を戦略的に進めるべきタイミング。「沖縄の道路渋滞対策と新たな交通環境を考える有識者懇談会」の中間とりまとめ(H28.11)において、渋滞対

策は国際観光競争力の増進にも資するものと位置づけ。渋滞緩和や自動運転も活用した交通環境の改善、各地域や関係機関による新たな体験型観光の開発の取組

を踏まえた本島北部地域や離島への交通モードの多様化(高速船、小型飛行機等)を実現することにより、沖縄観光の魅力を高め、観光客数・観光収入の底上げに取り組む。

• 自動運転の実証実験の実施

• その他の交通モードにおける実証実験等の実施に向けた検討

• 豊かな観光資源を持つ本島北部地域や離島へのアクセス向上

• 移動手段自体の観光要素化

• 観光客が利用しやすい交通環境の創出

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7.2.(参考)富裕層ツーリズムの特徴

富裕層旅行の一般的な傾向 富裕層旅行を取り巻くビジネスモデル

富裕層の旅行に関する一般的傾向富裕層旅行ビジネスモデル

出所:各種記事検索、沖縄県「平成28年度ラグジュアリートラベルビジネス調査事業」よりABeam Consulting作成

富裕層は、ホテル等のハード面だけでなく、徹底したパーソナライズや体験を求める傾向。

これらをターゲットとした商談会や代理店ビジネスも広く展開されている。

ハード面

ソフト面

• 五つ星の高級リゾートホテル

• 一部の高級旅館(京都の俵屋旅館など)や

ヴィラ(鹿児島県の天空の森など)

• 日本では温泉は人気

• 民泊大手も富裕層向け施設を多様化

• ホテル側も頻繁にリニューアル

• プライベートを過ごせる落ち着いた空間

• 土地に紐づく文化を背景にした食材やストー

リーを語ってくれる文化体験

• 有名シェフ、ミシュラン星ありのレストラン

• 徹底したパーソナライズ(パッケージ的な売り

方ではない)。専用送迎やガイドなども

• ハードとソフトの両面を兼ね備えることが重要

• その土地でしか味わえない「本物体験」や徹底的なパーソナライ

ズが求められる

富裕層旅行者

富裕層旅行

代理店

交通

航空

食事

アクティビティ

食事ホテル

サプライヤー

顧客紹介

• サプライヤーへの直接手配が一番多いが、富裕層専門の旅行代理店も

多く活用されている

ILTM JAPAN(商談会)⁃ラグジュアリー旅行専門の商談会の日本開催

⁃北米や欧州からのバイヤー参加が多い

プライベートトラベルデザイナー⁃個人で年間数人の顧客を担当し、顧客のバカンスの手配を実施

富裕層旅行代理店⁃国内では、JTBロイヤルガード銀座など

関連プレーヤー例

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7.2.(参考)富裕層ツーリズムの特徴

沖縄県における富裕層の誘客実績と今後の誘客目標を以下に示す。

スポーツ

ツーリズム

MICE

(万人)

H25年度(実績)

H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33H33

(改訂)

沖縄への観光客合計 658 690 745 800 814 828 840 920 1,000 1,200

国内市場(空路) 592 607 642 677 684 691 697 747 797 797

スポーツ(大会・キャンプ等) 17 17 18 20 20 20 20 21 23 23

会議・研修 43 44 46 49 49 50 50 54 57 57

仕事 83 85 90 95 96 97 98 105 112 112

トランジット外国客 6 6 10 14 19 24 28 34 40 40

富裕層 1 1 1 1 2 4 6 7 8 8

国内市場(海路) 3 3 3 3 3 3 3 3 4 4

海外市場(空路) 44 59 78 97 103 110 116 145 175 200東アジア地域(台湾・韓国・中国本土・香港)

40 53 67 81 84 86 88 96 100 114東アジア地域(タイ・シンガポール・マレーシア等)

1 3 7 12 13 13 14 21 30 34

欧米等リゾート需要(欧・米・露・豪等) 2 2 3 4 6 9 11 24 40 46

富裕層等 0 0 0 0 1 2 3 4 5 6

海外市場(海路) 19 21 22 23 24 24 25 25 25 200

※数値は、沖縄観光推進ロードマップ【改訂版】(平成28年3月)より抜粋※H33(改訂)は「第5次沖縄観光振興基本計画」の改訂に伴い、観光客数を上方修正したもの。但し、改訂版における「国内市場」の目標数値は、空路・海路合計で800万人であり、当初計画と大きな変更が無いことからこれまでの数値を転記した。また、海外市場(空路)については、各地域の目標数値の内訳が公開されていないことから、平成33年度時点の各地域の空路全体に対する割合を改訂版の数字に乗じて算出したため、実際の目標数値と異なることがある。

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7.2.(参考)富裕層ツーリズムの特徴

沖縄を訪れる国内観光客の活動別の世帯収入のクロス集計表を分析結果を以下に示す。

「ゴルフ」や「スパ・エステ」は、人数は多くないものの比較的高収入の世帯が実施していると考えられ

る。

23.9 23.5 20.9

48.0

20.733.2

15.50%

20%

40%

60%

80%

100%

保養・休養 海水浴・マリ

ンレジャー

ダイビング ゴルフ 釣り スパ・エステ スポーツ

大会等

ゴルフやスパ・エステは、人数は多くないものの、比較的高収入の世帯の人が実施

世帯年収1,000万円以上の人の割合

(※)世帯収入1,000万円以上の人の活動別実施率は、回答数が公表されていないため正確な数字が積算できないが、「保養・休養」が46~47%、「ゴルフ」が10%程度、

「スパ・エステ」が5~6%程度、「スポーツ大会等」が1%程度である。なお、訪沖時の活動で、「会議・研修」、「仕事」、「帰省・親戚等への訪問」を除く。

出所:沖縄県「観光統計実態調査」よりABeam Consulting作成

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7.3.(参考)スポーツキャンプ・合宿の高度化の検証

出所:沖縄県「スポーツコンベンション開催実績」 、国土地理院「電子国土Web」よりABeam Consulting作成

プロスポーツで進められている、VRやドローン等を活用した高度な練習をスポーツキャンプに訪れるプロ

チーム及びアマチームに提供することでスポーツ合宿の先進地としての地位を確立できるかを検証。

沖縄の優位性マクロ動向

• 日本再興戦略「スポーツの成長産

業化」で、スポーツとITの融合・拡大

を推進

• サッカーや野球、ラグビーなどのプ

ロスポーツでは、練習・トレーニング

にドローンやVR(仮想現実)を活用

する動きが活発化

• 合宿を中心としたスポーツコンベ

ンションが盛んで認知度が高く、

海外チームからも問合せあり

• 東京などの都市部は人口密集地

に該当するため、ドローンを活用

したトレーニングが困難

【需要】 市場の動向(外部環境等)

スポーツ合宿時にドローンを飛行させ、使用料等を徴収。プロスポ

ーツも、新たな視点からキャンプ観戦ができることを集客の強みに。

一部施設にはVR機器を導入し、高度トレーニングが可能として認知

度を向上、これをトリガーにトップアスリート等の需要を喚起。

スポーツとICTを融合させる動きが加速。また、ドローンは東

京などでは法規制上、飛行が困難なことから、スポーツコン

ベンションが盛んな沖縄に強みがあると考えられる。

コンセプト仮説のスキームのイメージ

ベンチマーク事例

概要

ラグビー日本代表 • ドローンによる空撮で、地上からは見えな

い視点でのフォーメーション確認等を実施

• 柏レイソルや読売ジャイアンツなどでドロ

ーン導入の動きが活発化

• VRを活用した例では、DeNAベイスターズ

や楽天ゴールデンイーグルスがある

6,598 10,439 8,309 13,331 9,283 11,730

219248

276

314292

351

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

H22 H23 H24 H25 H26 H27

スポーツ合宿開催実績人 件

件数(右軸)

人数(左軸)

東京周辺の人口密集地、航路周辺図

これらの地域はドローン飛行規制があるが、

東京都はほぼ全域が指定

ドローンやVR

環境を提供

使用料を徴収

スポーツキャンプ・合宿の高度化の検証結果概要

スポーツチーム

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7.3.(参考)スポーツキャンプ・合宿の高度化の検証

出所:関係者ヒアリングよりABeam Consulting作成

関係者ヒアリングの結果、実現性・収益性の観点から観光・スポーツツーリズムの高付加価値化に資する

ものでは無いと判断。

スポーツキャンプ・合宿の高度化の検証結果

関係者ヒアリングの結果概要

【プロ・アマのスポーツキャンプを多く受け入れているホテルのキャ

ンプ・合宿誘致担当者】

• アマチームは予算が少なく、1泊3食付で7,500円程度が相場

• 例えば、疲労回復増進やフォーム矯正などの付加メニューを提供

しても、無料なら受け入れられるがマネタイズすることは難しい。

従って、事業者単位での投資はビジネスモデルとしては成立しづ

らい

• プロチームは、中国のチームは要望に応えればかなりの支出を

するケースもあるが、その要望がかなりイレギュラーなものも多い

(食事の事前変更など)

• ただし、特に中国のチームはオリンピックやワールドカップなどの

国際大会で通用する国の「ブランド力」を意識している。そのため

、仮に日本がコンディション調整などの技術力が高くても、それだ

けを信じてお金を出してくれるとは限らない

• プロ選手は温泉があることが宿泊地選定に重要。これも追加的な

投資は容易ではない

• 沖縄市の運動公園には酸素カプセルがあり、アスリートに需要は

あるが市民利用が多く県外アスリートはしづらいと聞く

結論

• キャンプ・合宿地としての魅力を向上させるためのICT機器の導

入や、コンディショニングのための温泉施設などは導入コストが課

• 一方で、それが整ったとしてもアマチームからはマネタイズは難し

く、採算性が悪い(他県のスポーツ合宿受入地でも同様の指摘あ

り)

• マネタイズの可能性がある国外(特に中国)のチームは、強力な

ブランド力を求められるため、現状では日本の技術力を売りとし

たコンディションメニューでのマネタイズは容易ではない可能性

• 上記を踏まえると、本コンセプトを実現するにはハード整備と強力

なブランディングが必要であり、またボリュームゾーンであるアマ

チームからのマネタイズも難しい。

実現性・収益性の観点から、本コンセプトは、沖縄

における観光・スポーツツーリズムの高付加価値化に

大きく寄与するものでは無いと判断

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7.4.関係者ヒアリング先一覧(再掲)

以下のような事業者にヒアリングし、沖縄でのコンセプト実現にあたっての具体化や課題の抽出を行った。

(※)上記のヒアリングのほか、「健康アライアンス勉強会」に参加して情報収集を実施している。

ヒアリング対象者 ヒアリング観点

検証・具体化する主な対象コンセプト

健康経営促進チームビル

ディングウェルネスツーリズム

医療ツーリズム

スポーツ教育・保育

公益財団法人保健指導・スマートライフステイの先駆者であり、

行動変容などの実行上の観点等 〇 - - - -

フィットネス関連民間企業

スポーツリゾートやCCRCなどの多角的な事業を

手掛けており、沖縄版の事業モデルに対する示唆

〇 〇 〇 - 〇

行政・フィットネス関連民間企業

子育て支援施設を運営しており、スポーツを活用し

た保育ニーズや企画の示唆等 - - - - 〇

エンターテイメント企業

スポーツとエンタメを融合した多角的な事業を展開

しており、各分野に関するニーズやアイデアなどの

示唆等

- 〇 - - 〇

スポーツアカデミー運営企業

沖縄県内でゴルフアカデミーを運営しており、スポー

ツ教育(競技者養成)のニーズや教育の効果等 - 〇 - - 〇

NPO法人スポーツ(運動会)によるチームビルディングやレク

リエーションを行っており、本領域のニーズ等 〇 〇 - - -

旅行会社

法人向けの報償旅行や研修旅行を企画・実行して

おり、企業側のニーズやポテンシャルのある領域へ

の示唆等

〇 〇 - - 〇

県内宿泊事業者(2社)

滞在型プログラムにスポーツや健康の観点からコン

テンツ開発をした際のニーズや留意点、インバウン

ドの動向・ニーズ等

〇 〇 〇 〇 -

健保運営企業企業の福利厚生・健康経営を支援しており、それら

の動向や企業ニーズ、ビジネスモデルの示唆等 〇 〇 〇 - -

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7.5.ヒアリング議事 ①-1

ヒアリング先 :公益財団法人Aヒアリング日時・場所 :2017年9月5日 同法人にてヒアリング理由 :保健指導の専門家であり、厚生労働省「生活習慣病予防のための宿泊を伴う効果的な保健指導プログラムの

開発に関する研究」を実施するなど、宿泊型新保健指導(スマートライフステイ)の普及促進を主導しており、健康経営のコンセプト仮説に対する検証及び専門的助言を受けることが可能。

【コンセプト全体】•特定健康診査の実施後に特定保健指導の対象となった人に対する行動変容を促進。•特定保健指導と福利厚生の大きな違いは、強制力があるかどうか。コンセプトが福利厚生を目的とするのであれば健康関心層に、特定保健指導のような強制力を持たせるのであれば無関心層にもアプローチすることが考えられる。強制力を持たせる場合は、プログラムの実施による効果に関するデータでのエビデンスが求められる。

【ターゲッティング】•スマートライフステイなどは、健康経営に関心がある(あるいは、従来の面談型の保健指導に効果が薄いと感じている)企業の人事やその健康保険組合からニーズがあると感じる。

【プログラム・提供価値】•スマートライフステイは、宿泊時の一次的な数値の変化を成果とするのではなく、そこでの体験をキッカケとして継続的に健康増進に取組んでもらえる(=行動変容)ようなフォローアップが重要となる。

•同一企業の従業員が同じ時間、場所に拘束される環境を活かしてチームビルディングの要素を取り入れると良いかも知れない。管理職向けには、健康マネジメントの研修要素があると良い。

•スポーツの位置づけとしては、レクリエーションや気付きを与える「遊び」としての役割と、日常生活に戻った際に何をすべきかという「自己管理」の観点から必要になると考えられる。

•参加者の特性に応じたプログラムを提供するために、体力テストを行って参加者の体力を測定することは有効。そうしないと、指導内容も一般的な事項にとどまってしまいかねない。

ヒアリング内容

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 61

7.5.ヒアリング議事 ①-2

【実施スキーム】•プログラムに送客側の保健師を帯同させるとトータルコストが高くなり商品の訴求力に影響する。•実施後のアフターフォローまでを考えると、受入側(沖縄)だけでプログラムを完結するのではなく、送客側の事業者・保健師等とも連携した体制が肝要となる。また、プログラムも基本パッケージは用意しつつも送客側のニーズに合わせてカスタマイズできる柔軟性が必要である。

•体力テストを行ってパーソナライズされたプログラムを提供するためにも健康スポーツ医、運動指導士などの有資格者が必要。•観光資源と保健を組み合わせるにあたって、ウォーキングなどの簡単な健康プログラムなどは現地宿泊施設などの受入体制側だけでできるようにスキルを移転していくことが継続性の観点からも必要かも知れない。

【留意点・その他】•プログラム実施費用は、企業側から見れば初期投資であり、その後の健康増進による医療費削減等が利益となる。そのため、次年度以降の疾病予防による効果などを見せることができると良い。

•プログラムは屋外が中心になるが、その際に暑さ対策と雨天対策を実施しないと満足度が高いプログラムにならない。•県外からの送客も必要だが、沖縄県自体の健康を底上げするような取組にしていかないといけない。食生活や生活習慣などを含めて、沖縄に健康というイメージが無ければ送客のインセンティブが働きづらいのではないか。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ②

ヒアリング先 :フィットネス関連民間企業ヒアリング日時・場所 :2017年9月5日 同社にてヒアリング理由 :健康経営やシニア向けCCRCの運営、スポーツリゾート施設の運営など、スポーツを活用した様々なサービス

を生み出しており、事業者視点での示唆を得ながら事業のニーズや実現性などを検証することが可能

【コンセプト全体】•ヘルスケアに加えて、メンタルケアの要素があると企業向けには訴求力が高まるのではないか。沖縄はあまり健康的なイメージが強い土地でもないと感じるので、健康だけで訴求するのではなく、メンタルケアも組み合わせることが良いと考える。

•スマートライフステイなどは複数の従業員が同時に参加するので、チームビルディング的な要素を入れると良いのではないか。•例えば、「沖縄=スポーツと健康の島」のようなイメージを定着させられることができれば継続性が高まる。こうした強力なイメージを付けられることが重要。

【ターゲッティング】•健康経営とした場合に、保健指導の対象者のみをターゲットとするとマーケットが狭まるため、ポピュレーションアプローチを採用することも検討すべき。

•企業健康保険組合よりも企業人事をターゲットとする方が効果的ではないか。•健康経営であれば、指導が必要な本人だけではなく、例えば健康マネジメントが必要とされる幹部層などもターゲットになり得ると考える。

【プログラム・提供価値】•沖縄は、送客コストが掛かるため、トータルでそれを上回る価値を提供する必要がある。•CCRCは、日本の文化に馴染んでいない部分もあり、運営の難しさを感じる。また、移住はハードルが高いので、例えば短期移住型CCRCなども検討の余地があるのではないか。例として、1週間のリフレッシュをしてもらう場として、健康診査や看護師からの説明などのメンタルヘルスケアのほか、ホテルでのエイサー教室などの文化を学ぶ機会の提供などが考えられる。

【実施スキーム】•スマートライフステイの実施中の改善データを見せるだけでは不十分。その後の継続的な改善を担保する仕組みづくりが必要。

【留意点・その他】•メンタルヘルスケアの効果は短期的なものではない一方で、企業側からすれば初期投資が負担になり得る。そのため、例えば成功報酬型の仕組みがあると投資をしやすいのかもしれない。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ③-1

ヒアリング先 :行政及びフィットネス関連民間企業ヒアリング日時・場所 :2017年9月7日 同市保有施設にてヒアリング理由 :公園に隣接する旧体育館をリノベーションし、子育て支援施設としてオープン。

幼少期の子どもに対して、「スポーツ保育」の考え方を取り入れた施設をPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)スキームで運営し、子育てのまちとして魅力向上につなげており、スポーツと保育のビジネスポテンシャル等の検証が可能

【コンセプト全体】•同施設は、子育てのまちを標榜する同市が旧体育館のリノベーションとして子育て支援施設を設置するとなった際に、スポーツ(サッカー)が盛んな街であり、子どもの体力低下という背景があること、さらには他市の施設との差別化を図ることを考えた際に、スポーツと保育の組み合わせによる事業化が検討されたことがキッカケである。

•事業を市で企画し、ノウハウを持つ民間で運営するスキームを検討した。•施設は、「プレイゾーン」(子どもが保護者同伴で遊ぶエリア)と「スポーツゾーン」(スポーツ教室などを行うエリア)に分かれており、プレイゾーンは無料で利用することが可能。

【ターゲッティング】•プレイゾーンは、0~12歳の子どもが施設利用の対象となっており、利用の際は保護者同伴が条件となる。•スポーツゾーンは、有料のスポーツ教室やセミナーなどを実施するエリアである。•年間で130万人超が訪れる蓮華寺池公園の集客力を活用して、公園利用と施設利用を組み合わせるケースも多く見られる。•利用者の50%超が市外からの利用者であり、子育てのまちとしての市の魅力発信にもつながっている。•オープン当初に市の広報やフリーマガジンなどを活用してプロモーションを行ったことからSNS等を通じて子育て世代への認知度は高まったと感じる。一方で、タクシー運転手などの子育て世代以外の人達への認知度向上は今後に取組むべき事項である。

【プログラム・提供価値】•遊具の選定などの施設コンセプトは連携する大学の「スポーツ保育」の考え方に則っており、子どもの心身の能力向上に資する設計となっている。特に、「ペリー修学前プロジェクト 」でも示されたとおり、就学前の児童に対する非認知能力の向上が重要であるが、それにも寄与するものになる。保護者が必ず子どもに同伴する必要がある点もポイントである。

•保育士資格者が常駐しており、保育の相談などを通じて保護者同士のコミュニティが生まれるという副次効果も見られる。•また、運営2年目に入り、母親だけでなく父親の姿が目立つようになり、父親の育児参加への意識向上にもつながっている可能性が伺える。

•フィットネス業界は、スポーツと教育をあわせる動きを加速させており、都心部では、英会話教室とフィットネスクラブの提携も始まっている。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ③-2

【実施スキーム】•施設リノベーション費用は「社会資本整備総合交付金」を活用して市が財源を捻出、運営は「子ども・子育て支援交付金」を活用して委託費用を確保している。

•運営事業者は、市からの委託費用とスポーツ教室の収入をもとに施設運営を行っている。運営スタッフは民間企業にて採用。•保育士が常駐しているが、施設の開館時間が保育所よりも出勤しやすい時間帯であることなどから、人員確保は比較的スムーズに行うことができた。

【留意点・その他】•地域の保育士の雇用確保にもつながる取組である。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ④-1

ヒアリング先 :エンターテイメント企業ヒアリング日時・場所 :2017年9月12日 同社にてヒアリング理由 :エンターテインメント全般に精通しておりニーズを掴む、あるいは創り出す高いノウハウを有するほか、

アスリートのセカンドキャリア支援などスポーツ分野にも積極進出しており、各コンセプトに対する示唆を得ることが可能。

【コンセプト全体】•沖縄は、観光産業など就職先が限られてしまうので、域内で人材を雇用していけるような産業の裾野が広がるコンセプトが望ましいのではないか。

•スポーツとエンタメを融合しており、スポーツでは競技力の向上やセカンドキャリア支援、エンタメでは地域貢献などが上げられる。

• 2020年のオリパラが終了した後に、スポーツ関係のエンタメにどこまでの需要があるかは分からない。そのとき、アスリートの能力を生かせる場としてメディカル分野のニーズは大きくなるのではないか。現在はアスリートを目指す人はいても、トレーナーなどを最初から目指す人は少ないように感じる。こうしたアスリートを支える仕事の価値が高まれば、産業としても拡張性があるように思う。

【ターゲッティング】•沖縄県民向けのBtoCは多少リスクを感じる。どの程度の消費をしてくれるかが読みづらい。そのため、県外から集客できるコンテンツのほうがマネタイズはしやすいかもしれない。

•修学旅行生などもターゲットになり得るかもしれない。

【プログラム・提供価値】•同社ではファシリテーターを派遣し、人材育成のワークショップを行っている。企業側のニーズは高い。•沖縄の場合は旅費を払ってでも行きたいと思えるコンテンツが必要になる。•アクティブシニア向けでは、スポーツが認知症予防になるかも知れないということで研究を進めてる機関もあると聞く。•スポーツ大会を行った事例もあるが、例えば、アジア諸国の代表チームと日本の大学、Jリーグユースなどが試合をする大会のように、面白いコンテンツを作れれば、放映権ビジネスなども大きくなる可能性がある。

•現在、沖縄の修学旅行はある程度のパターンが決まっているが、例えば海外チームなどとの大会への参加(国際交流)や、それに加えて座学などの教育要素、さらにはアスリートのセカンドキャリアについての講和も入れると訴求力が高まるのではないか。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ④-2

【実施スキーム】•例えば、スポーツアカデミーを作ろうと考えた場合に、まずは建物の規模や仕様が決まらないと構想が進まない。それが決まれば、多様なコンテンツがあるためニーズを創出することが可能だと考える。(ただし、こうした強力なコンテンツを持つことが必要)

•スポーツキャンプの事例では、現地に用具が揃っていることがキャンプ地選定の決め手になるケースもある。スポーツ合宿の誘致をする際には、それに加えて、データの活用などのサイエンスの要素があると面白いのではないか。

•ナショナルトレーニングセンターは稼働率が高く、アスリートが自由に使える環境ではない場合もあると聞く。アスリートが快適に集中してトレーニングできる環境が整えば、需要はあるのではないか。

【留意点・その他】•自治体からの委託による運動会での子どもたちへの運動の動機付けやコミュニティ形成の支援のほか、ショッピングモールと提携した健康促進事業などを展開している。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ⑤

ヒアリング先 :スポーツアカデミー運営企業ヒアリング日時・場所 :2017年9月14日 同法人にてヒアリング理由 :沖縄県内でゴルフアカデミーを運営しており、スポーツ教育(競技者養成)のニーズや教育の効果等を検証。

【ターゲッティング】•現在は、トッププロ育成、トップアマ育成をアカデミーとして展開。(一般受入は実施していない)• 8割が県内児童・生徒であるが、県外・国外あわせて2割程度。県外・国外からの生徒は、特に上のレベルを目指す層になっている。•この事業自体で収益化は想定しておらず、現在は地域・社会貢献の位置づけている。•ゴルフ人口自体が増えている実感はそれほどないが、女子ゴルフについては県出身のトッププロの活躍もあり、今後伸びていく。•アマプレイヤーも比較的裕福な方が多いので、市場としては大きいと感じる。

【事業内容】•ゴルフの競技力向上、人材輩出を目的としたアカデミーを実施。•英語トレーニングも取り入れ、国際人材の輩出を目的としている。また、ジュニアの大会も開催している。

【スキーム・その他】•ツーリズムやチームビルディング・人材育成については、現時点ではあまり考えがなかったが、スポーツ産業クラスターの動きが出てくれば、関連するプレイヤーとの連携は出てくるのではないか。

•ゴルフについては、トッププロがオフシーズンにキャンプに来る。キャンプの高度化のニーズもあるかも知れない。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ⑥-1

ヒアリング先 :NPO法人ヒアリング日時・場所 :2017年9月19日 同法人にてヒアリング理由 :企業向けチームビルディングや福利厚生(レクリエーション)として、企業運動会を実施しており、

年間200社を超える企業との取引実績がある。企業のニーズや事業実施に関しての課題等をヒアリングし、コンセプト検討のインプットとする。

【コンセプト全体】•運動会はチームビルディングではなく、社員への福利厚生を主たる目的とするケースが多い。

【ターゲッティング】•福利厚生を目的とすると、取引相手は人事の福利厚生担当となる。仮に研修となる場合は各部署が持つ研修予算が企業側の支出元となるため、全社イベントになりづらいと考えられる。

•顧客企業は大企業から中小企業まで幅広く存在するが、傾向としては参加者が200~300人程度になることが多い。

【プログラム・提供価値】•研修(チームビルディング等)の場合は平日実施、会議室などの座学やグループワーク形式が基本であり、運動会のような福利厚生の場合は土日実施、大きな会場を借りての実施が基本形となる。

•当該法人が実施する運動会はリピーターが多い。理由としては、社長の満足度が高い(社員の活き活きとした姿を見れることなどが要因と推察)こと、従業員の満足度が高いこと、ケガなどのリスクが小さい(安全管理を実施)こと、社員旅行に比べてコストが小さいことなどが考えられる。

•会場として選ばれやすい場所は、バスで行ける範囲(人数が多いため)であること、温泉があること、宿のキャパシティが大きいこと(宿泊型の場合)などが傾向として上げられる。

•報奨旅行などのMICEの一環として行うことも多い。•健康経営やストレス改善の観点からの運動会は需要が大きいと感じる。当該法人では医学的なエビデンスを出すことは難しいが、従業員の意識改善の動機付けとして活用されるケースがある。

•運動会は広場があれば出来る種目である。ただし、雨天リスクは考慮が必要である。•運動会のシーズンは春・秋が多い。夏は暑いことから主催者側に熱中症などのリスクがあるため避けられる傾向にある。一方で、沖縄であればその時期以外でも開催できるのであれば強みになるかもしれない(気候や施設の良さを活用)。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ⑥-2

【実施スキーム】•プログラムの問合せは企業から直接来ることが多い。一度実施した企業の取引先やグループ企業からの引き合いが来ていると考えられる。

•旅行会社が自社提案の差別化戦略として、運動会を提案したいという依頼が増えている。•当該法人は、受注後に会場現地のパートナーへ連絡し、会場へ運動会に使用する器具を発送する。運営のレクチャーを受けている現地パートナーとアルバイトで当日を運営する形式。現地パートナーの育成なども手掛けており、それにより受注から運営までを自社で自走化した企業もある。

• 200~300人程度の参加規模で、10~30人程度のスタッフがいれば運営が可能。•運動会の運営自体は準備に大きな時間を要しない。むしろ、顧客企業で社内の調整(役員の日程確保、社内での周知、参加者募集、チーム分けなど)に時間を要する。

【留意点・その他】•沖縄で行う理由をどうするかが重要である。例えば、工場や支社が沖縄にあるなどの場合は沖縄開催の理由の一つになるかもしれない。

•人事向けの展示会でPRを行ったところ反響が大きかった。ニーズとしては確実にあると感じる。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ⑦-1

ヒアリング先 :旅行会社ヒアリング日時・場所 :2017年9月29日 アビームコンサルティング株式会社本社会議室ヒアリング理由 :法人向けに福利厚生や社員研修を目的とした旅行商品の企画・提案を行っており、企業向けのツーリズム

商品のニーズ調査及び関連コンセプトの事業性の検証が可能

【コンセプト全体】•企業向けに健康増進やチームビルティングをプログラム化したツーリズムの需要は大きい。•従来は福利厚生の一環として社員旅行を行い社員同士のコミュニケーションを促進していた企業が、報償費(成績連動奨励金等)や個人での福利厚生プログラムの提供へと変わっていった。しかし、IT化の進展等に伴いコミュニケーションが希薄化したことへの課題意識として、再度社員の結束を高めるような取組へのニーズが高まっていると考えられる。

•社内運動会の需要は高いが、その理由として、参加人数が増えれば一人当たりコストが低くなりトータルで安いこと、従業員の家族を呼びやすいことなどが考えられる。

•沖縄での運動会は開催実績がないが、宝さがしやマリンアクティビティなどの通常の観光以外のコンテンツは需要があると考えられる。特に、過去に複数回、沖縄を訪れている企業ではアクティビティを織り交ぜることが増える傾向にある。

【ターゲッティング】•沖縄では、MICE施設を活用して社員表彰式を行うようなインセンティブ旅行が比較的多い。実施している業種としては、金融系や不動産などの営業成績が数字で現れる業種が多くなる傾向である。

•沖縄は送客コストが掛かるので、毎年同じように開催するかは企業次第。例えば、10周年の記念などの際に、予算を積み増して沖縄へ旅行をするケースもある。

•全国展開をしている企業がインセンティブ旅行の開催地として沖縄を選ぶには、自社データセンターが沖縄県内にあるなどの場合は理由付けがしやすい。

•新入社員研修の会場は本社周辺が需要として大きいものの、特に都市部は他企業と開催時期が被るなどで予約が取りづらいため、閑散期のスキー場などのオフシーズン価格でコストが抑えられる場所ならば多少地方でも問題ないと考えるケースが見られる。一方で、幹部研修ではスクランブル対応にも備えて、比較的短期間で開催し、かつ短時間で本社(勤務地)へと戻れる場所で実施されることが多い。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ⑦-2

【プログラム・提供価値】•体験型の企業研修はニーズがある。担当者がプログラムの内容に共感してくれるかが成約へのポイントとなる。特に新入社員の絆作りや意識改革などへの活用はニーズが大きいと考えられ、企業も研修費として予算を支出することが可能である。

•修学旅行は、競合他社(旅行会社)とのプログラムでの差別化が難しい。従って、特徴的な教育コンテンツがあれば旅行会社としては積極的に営業したい。特に、旅行後も継続フォローができるスキームがあるとより魅力的なものとなる。

•修学旅行では、東京開催の例では体験型プログラムの反響が非常に大きかった。単なる観光に終わらせないというニーズは大きいと考えられる。

【実施スキーム】•運動会は同日に集まる必要があるため、沖縄開催を想定すると、飛行機での移動となるため大人数での開催は難しい。一方で通常のMICEでは、日程をずらすなどしてかなりの規模で送客するケースも見られる。

•修学旅行生は、受入企業としても将来の顧客になってもらえることも想定されるため、稼動していない施設や繁忙の時間帯を避けたサービスを安価に提供することもある。例えば、ある企業が自社の社員食堂を修学旅行生向けに安価に開放することもあった。

【留意点・その他】•沖縄県(那覇空港)は、全国の空港から直行便があるため、全国展開をしている企業のインセンティブ旅行の開催地としてのポテンシャルはあると考えられる。

•着地型観光 は、現状はモニターツアー中心の実施となっており、自走化している例はあまりない。そのため、着地型のプログラムを商品化する場合は、ニーズ調査だけでなく自走化のスキームまで含めた検討が必要。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ⑧-1

【コンセプト全体】•医療ツーリズムには可能性を感じている。宮古島では新空港が開港し、アジアからの直行便もできる予定のため、アジア圏からの医療ツーリストは一定のポテンシャルがあると考えられる。

•宮古島ではトライアスロンに参加する人が多いが、参加者へのケアとしてリコンディショニングは可能性があるかも知れない。ただし、プロ野球のキャンプ受入でも温泉があることが大きな訴求要素となっており、こうした設備を備えるためのハード面での投資が必要。

•企業向けのチームビルディングは積極的に受け入れたい。特に閑散期にはそうした需要が掘り起こせると良い。

【ターゲッティング】•宮古島では、トライアスロン大会の参加者を顧客として呼び込みたい。•ゴルフツーリズムは韓国からのインバウンドが多い。•スポーツ団体の合宿は1泊3食で7~8千円程度がベースとなっており、高付加価値メニューでのマネタイズはしづらいと感じる。•リタイア後のアクティブシニアは長期滞在の人も多い。ただし、長期滞在は予算も必要なためウィークリーマンションなどで過ごす例も多い。

【プログラム・提供価値】•医療ツーリズムは可能性を感じるが、ネームバリューがある病院の存在及び提携が必須となるため、簡単ではない。•スポーツツーリストの集客に力を入れているホテルでは、食事メニューに気を使っている事例が多い。•沖縄県内でも、医療法人のグループが運営するホテルがあり、そこではウェルネスツーリズムにも注力している。医療法人との連携が重要。

•スパへ特化したホテルにも需要があると考えられる。ただし、一般的にスパは高く大きな集客ができるものではないので、閑散期対策への活用がメインになると感じる。

•夕日やオーシャンビューでのヨガなども需要があるかも知れない。

ヒアリング先 :県内宿泊事業者1ヒアリング日時・場所 :2017年10月3日 同社にてヒアリング理由 :全国でホテルを含む施設の企画や設計、運営を手掛けており、ツーリズムへの知見を豊富に有する。

また、宮古島市にアクティブツーリストをターゲットとしたホテルを開業する計画を持っており、スポーツツーリズムを含む本事業に有効な示唆を得ることが可能。

ヒアリング内容

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7.5.ヒアリング議事 ⑧-2

【実施スキーム】•医療ツーリズムの実施には、病院との連携(報酬面や実施体制など)が課題となる。また、インバウンド受入には言語の違いが大きな課題となる。

【留意点・その他】•ホテルのフィットネスは稼働率が低くなりがちで、リコンディショニングなども、あまりそこを目的にツーリズムを行う人はいないと考えられる。

•特に、外資系の高級ホテルは会員の利用も多く、各種プログラムの利用ではなく、そのホテルに泊まって上質なサービスを受けることを目的としている場合も多い。

ヒアリング内容

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 74

7.5.ヒアリング議事 ⑨-1

【コンセプト全体】•チームビルディングや健康経営などのコンセプトは全て実施したいと思っている内容であり、可能性があると感じている。•健康経営では、観光客向けだけでなく、自社の従業員へのサービス提供の視点も必要である。また、乳がん検診の実施率を上げるために病院とホテル事業が連携している事例もある。ドクター側も、こうしたコンセプトには関心があるのではないか。

•チームビルディングは主にインセンティブ旅行が対象になると思うが、沖縄市は充実した運動施設があるため優位性はあると考えている。

•アスリート向けのリコンディショニングは、2020年のオリパラに向けて沖縄県内でもキャンプを誘致する動きがあり、それらとリンクする取組ではないか。ただし、これを主目的としてのツーリズムはあまり無いと考えられる。

•スポーツ教育では、4~6月や10、11月に受入が盛んになる修学旅行向けに展開が可能と考える。また、沖縄県内はラグビーのレベルが比較的高いので、例えば修学旅行等で訪れた学生、生徒との交流試合をするなども考えられるのではないか。

【ターゲッティング】•アマチュアチームは予算規模が小さいため、合宿での高付加価値サービスの提供でマネタイズするのは難しい。一方で、中国などの海外チームは予算を持っていることも多くマネタイズは可能だが、要求が多いケースもありオペレーションは工夫する必要がある。

【プログラム・提供価値】•プロチームのキャンプ誘致では、食事メニューのバリエーションがあることも重要な要素となる。一方で、優位性を高めるには酸素カプセルや温泉などのハード面の投資が必要となる。しかしながら、これらの投資は初期費用が大きいため、一事業者の取組としては難しいと感じる。

•沖縄市には県総合運動公園に酸素カプセルがあるが、住民向けの利用で予約が埋まっており観光客やスポーツツーリズムの宿泊者が利用することが難しい。

•過去に欧州の強豪チームとのコラボレーションでサッカー教室を行った際はかなりの集客ができた。特に子どもが参加すれば家族も帯同するため、宿泊人数は増加する。

ヒアリング先 :県内宿泊事業者2ヒアリング日時・場所 :2017年10月3日 同社にてヒアリング理由 :沖縄本島でホテル事業を行っており、スポーツツーリズムの受入にも積極的であることから、ホテル事業者

の視点から各コンセプト仮説の検証や有益な示唆を得ることが可能。

ヒアリング内容

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 75

7.5.ヒアリング議事 ⑨-2

•アジア圏のチームへのリコンディショニングサービスは、需要はあるかも知れないが、欧州など世界トップクラスのアスリート向けへの実績があることが大きな訴求ポイントになる。そのため、国内で優れているサービスというだけでは訴求として弱く、ネームバリューが求められることがある。

•沖縄ではオーシャンビューがあり、景色は良いが、それを活かせるようなフィットネス空間はあまり無い。しかし、良い景色のなかでの運動は需要があるかも知れない。

【実施スキーム】•サッカーチーム等とのコラボを行う場合でも、ホテル事業者としては宿泊施設を提供するだけであるため、企画部分での収益化は難しい。そのため、旅行代理店等との連携が必要になる。

【留意点・その他】•ホテルのフィットネスは稼働率が低い。観光がメインで訪れる人が多いため、あまりスポーツや運動を主目的として来る人はボリュームが大きくないかもしれない。

•オーナーシップ制による客室の分譲によりホテル運営の収益を賃料として還元する「ペイバックシステム」を採用したリゾートでは、冬季のゴルフツーリズムで訪れるオーナーが多い。ただし、これらの人達は訪問目的が決まっており、リコンディショニング等の付帯サービスを提供しても利用するかは不明である。

ヒアリング内容

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 76

7.5.ヒアリング議事 ⑩

ヒアリング先 :健保運営企業ヒアリング日時・場所 :2017年10月26日 同社にてヒアリング理由 :健康管理のアウトソーシングなどを行っており、健康経営に関するソリューションを豊富に有している。

また、カフェテリアポイントなどの福利厚生に関するソリューションも有しており、従業員の行動傾向や健康経営の潮流などをヒアリングすることが可能。

【コンセプト全体】•健康経営の市場は伸びているが、実態としてはインセンティブを与えるカフェテリアポイントなどが中心となっている。•企業側も特定の従業員を対象としたプログラムはあまり手を付けておらず、全社員を対象としたようなものが多い。•特に、企業側から見れば健康状態が良い人が求められるので、健康状態がよくない人への投資は積極的になりづらいのではないか。

【ターゲッティング】•健保は財政状況が良くなかったり、自身で独創的な取組をすることも少ない。また、健保の上層部には人事系の幹部がいることが多く、新たな試みも人事側から提案することの方が自然な流れと考えられる。

•健保は予算を使う場合には費用対効果も企業側にかなり求められる。あまり普及していない取組を進めるならば、人事側へのアプローチの方が可能性があるかも知れない。

【プログラム・提供価値】•宿泊型人間ドックは、補助が減らされた影響もあり市場は縮小している。また、従業員も大きな自己負担をしてプログラムに参加することも考えづらい。宿泊型であってもせいぜい5,000円程度の自己負担に押さえないと従業員側から参加したいとはならないのではないか。

•宿泊型の健康指導プログラムで沖縄まで行くことは、市場としてはあまり大きくないと考えられる。やはり保養のイメージが大きいこと、自己負担をするプログラムに従業員が積極的に参加することも考えづらいことが上げられる。

ヒアリング内容

沖縄におけるスポーツ産業クラスター形成に関する調査事業- 簡易調査報告資料 -

アビームコンサルティング株式会社

平成29年8月7日

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会

第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 78

目次

1.コンセプト仮設の概要 P2(79)

1.コンセプト仮説の仮設定 P3

2.コンセプト仮説の設定 P4(81)

1.保険者・経営者による行動変容促進 P5

2.アクティブシニアマーケット P7

3.スポーツを活用したチームビルド P9

4.リコンディショニング P11

5.スポーツキャンプの高度化 P13

6.スポーツを活用した教育 P15

3.今後の進め方 P17(94)

1.今年度業務の実施スケジュール P18

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

※()内の数字は本報告書におけるページ番号です。

1.コンセプト仮説の概要

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 80

1.1.コンセプト仮説の仮設定

前年度成果及び昨今の社会動向をふまえ、以下の6つのコンセプト仮説を仮設定しました。

概要 主な想定顧客

取り組む意義

①.行動変容促進 従業員(及びその家族)の健康増進、生活習慣病予防等を目的として、運動指導(フィットネス)や栄養指導を包括的に行える滞在型プログラムを提供する。

BtoB ・スマートライフステイに代表される滞在型商品の開発・健康寿命延伸や医療費削減への貢献

②.アクティブシニア CCRC構想や二地域居住など、アクティブシニアの首都圏から地方への人の流れをとらえ、シニア向けのフィットネス・医療・介護予防等が一体となったサービスを提供する。

BtoC ・シニアマーケットをターゲットにしたビジネススキームの確立・プラチナ社会実現への貢献

③.チームビルド 企業の人材育成研修に、スポーツを活用したプログラムを開発し提供する。(例.チームビルティングなど)

BtoB ・企業の人材育成投資市場を狙った商品開発・我が国の人材育成への貢献

④.リコンディショニング

ホテル滞在客向けの高付加価値メニューとして、人間ドックとフィットネス空間を活用したリコンディショニングやコンディション維持を目的とした滞在型プログラムを提供する。

BtoC ・高級リゾート滞在客向けの商品開発・健康寿命延伸、健康経営への貢献

⑤.スポーツキャンプ高度化

スポーツ合宿にICTの活用やリコンディショニングなどの付加価値をもたらすことで、アスリートの合宿需要を喚起し、スポーツコンベンション開催地における沖縄のプレゼンスを向上する。

BtoB ・スポーツコンベンション地としての差別化・競技力向上

⑥.スポーツ教育 県内のスポーツクラブ企業と施設オーナーが連携し、県内の青少年向け教育プログラムを開発・提供する。さらにここで培うノウハウを活用し、修学旅行・サマーキャンプ等受入先とも提携、来訪者向けマネタイズも実施する。

BtoC ・スポーツと教育を組み合わせた新たなコンテンツ開発・こどもの健全育成

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

2.コンセプト仮説の設定

コンセプトイメージ・関連データ等

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 82

2.1.保険者・経営者による行動変容促進(概要)

従業員の行動変容への関心が高い企業健保・企業人事

特定健診(40代以上)の受診者を送客対象と想定想定顧客

従業員(及びその家族)の健康増進、生活習慣病予防等を目的として、運動指導や栄養指導を包括的に行える滞在型プログラムの

提供コンセプト仮説

医療・保険の動向産業界の動向

• 政府の未来投資戦略2017にお

いて、健康寿命延伸に向けた保

険者・経営者による従業員の行

動変容の促進を主要項目に位

置づけ

• 健康経営銘柄や健康経営優良

法人の認定を推進するとともに、

企業の健康投資状況をスコアリ

ング

• 保険者と企業本体が連携して従

業員及びその家族の健康増進

に取り組むコラボヘルスを強力

に推進

• 特定健診・保健指導の実施率

を後期高齢支援金に反映させ

るインセンティブ制度を強化

• 特定保健指導の量から質へ

の転換により、保険者の負担

の軽減を進めるとともに、宿泊

型保健指導(スマートライフス

テイ)など、指導メニューを多

様化

• 健診・健康支援サービスの市

場規模は600億程度と推定(矢

野経済研究所)

【需要】 市場の動向(外部環境等)

国民の健康寿命延伸に向けて政府主導での制度設計と民

間企業主体の投資拡大余地。概要

コンセプト仮説のスキームのイメージ

ベンチマーク事例(損保ジャパン日本興亜ひまわり生命)

• 健康経営銘柄

• 健康経営優良法人

(ホワイト500)

• その他、行動変容に

関心の高い企業

• 沖縄ならではの資源(マリンアクティ

ビティ、海洋資源、温暖な気候等)を

活かし、企業人事・健保に明確なエ

ビデンスを示せるプログラムを造成

• 企業人事や健保組合に対して、セ

ールスプロモーション

企業の福利厚生費や企業

健保の給付費を財源とし

た送客

福利厚生アウトソーサーと

連携したセールス

• 全社員にウェアラブルデバイスを配布

• 2017年度は全社員がクアオルトプログ

ラムに参加

企業から年間3,200人を送客

• 科学的根拠に基づく健康ウォー

キングプログラムと観光を組み

合わせた滞在型メニューを提供

社会関係資本

人工資本

自然資本

人的資本

想定顧客

県外

海外

県内

BtoB ○ ○

BtoC

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

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4,4044,651

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

受診者 未受診者

(千人)

2.1.保険者・経営者による行動変容促進(関連データ)

特定健康診査の対象者は約5,000万人であり、保健指導対象者は

未受診者も含めて900万人程度と推定

平成26年度の特定健診の未実施率は51.4%で、今後に実施率が向

上すれば市場拡大の余地は大きい

特定健診・保健指導の対象者をターゲットとした場合、潜在需要も含めてかなりの顧客規模が想定されます。

また、政府が特定健診の実施率向上を掲げて様々な施策を展開するなど市場の拡大が見込まれることから、この層にリーチ

できる本コンセプトは有効であると考えられます。

357395

430 450 470 490520

572

0

100

200

300

400

500

600

700

2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年

(予測)

(億円)

市場は拡大傾向にあり、2016年で572億円程度

政府は特定健診・特定保健指導の実施率向上を目指しており、

様々な政策を実行。日本再興戦略でも健康寿命延伸を掲げる

インセンティブ制度の導入などにより実施率の向上に期待

出所:矢野経済研究所調査よりアビームコンサルティング作成

保健指導対象

26,16327,684

保健指導の潜在的対象

保健指導の潜在的対象(推定)(4,651千人)=

特定健診未受診者数(27,684千人)×受診者のうち保健指導対象の割合(16.8%)

出所:厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」より作成

健診サービス市場は拡大傾向市場の規模・拡大余地ともに大きい

【健診・健康支援サービスの市場規模】【特定健診・保健指導対象者(ターゲット規模)】

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 84

2.2.アクティブシニアマーケット(概要)

自身の健康増進やフィットネス向上に関心が高く、かつ、比較的可処分所得の高い層想定顧客

CCRC構想や二地域居住など、アクティブシニアの首都圏から地方への人の流れをとらえ、シニア向けのフィットネス・医療・介護予防

等が一体となったサービスを提供コンセプト仮説

業界・プレーヤー動向シニア層を取り巻く動き

• CCRCや二地域居住など、都市

から地方への人の流れ(沖縄に

おいても石垣市で誘致の動き)

• 沖縄県の人口動態として、10

代・20代を除いては転入超過傾

• 人口構成におけるボリュームゾ

ーンとなっており、消費意欲も旺

盛。モノ消費からコト消費に移っ

てきており、健康、旅行、生涯学

習などへの投資意欲が高い

• シニア向けフィットネス市場は

急拡大。女性専用やパーソナ

ルトレーニングなど、サービス

も多様化。

• 介護予防や医療を組み合わ

せた複合サービスについても

普及段階。

【需要】 市場の動向(外部環境等)

シニア市場は少子高齢化が進む国内においては、有望市場。

モノ消費からコト消費へのシフトも進む。概要

CCRCなどの移住者や地域住民が利用するコミュニティ拠点を形成

し、フィットネス(運動指導)、介護予防、リハビリなどを一体的にサ

ービス提供。

コンセプト仮説のスキームのイメージ

ベンチマーク事例(富山アピアスポーツ)

商業施設に併設し、日常生

活の”ついで利用”を促進• 介護保険適用のフィットネスプログラムの適用

• 運動指導だけでなく、会員間の交流など、地域

の拠点として展開

出所:アピアスポーツクラブHP

想定顧客

県外

海外

県内

BtoB

BtoC ○ ○

介護予防

フィットネス

リハビリ

医療

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 85

2.2.アクティブシニアマーケット(関連データ)

出所:RESAS

15~24歳を除いては、転入超過傾向を維持

CCRC誘致や二地域居住が進めば、この傾向が保たれるこ

とが想定

沖縄では幅広い年代で人口の転入超過となっており、CCRCなどの施策が展開されれば、今後も現在の商圏規模が維持・

拡大することが想定されます。

シニア向けのフィットネス市場は全国的に好調であるものの、沖縄県内ではまだ市場開拓が進んでいないと見られることか

ら、今後の市場創出に期待が掛かります。

44%

56%

50代

以上

40代

以下

9471,673

2,851

5,412

7,170

4,784

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

(円/年)

平均:4,722

【年間スポーツクラブ利用料(世帯主年代別)】 【大手クラブの会員構成例】

スポーツクラブ利用支出額は、50代以上から大きく上昇

某大手フィットネスクラブでは、会員の過半数が50代以上。リタイア後に入会する

例も多く、シニア世代の会員は増加傾向

業界全体の傾向としても、パーソナルトレーニングなどの高付加価値トレーニン

グはその多くをシニア世代が占める

※ 二人以上世帯、1世帯あたりの支出額

※ 世帯主が必ずしもスポーツクラブを利用しているとは限らないこ

とに留意

出所:総務省「家計調査」よりアビームコンサルティング作成

※ 都内に所在する全国展開のフィットネスクラ

ブの会員構成

※ 詳細内訳は、20代以下:12.8、30代:12.9、

40代:17.9、50代:18.7、60代:20.8、70代以

上:16.9(いずれも%)

出所:矢野経済研究所

シニア向けフィットネス市場は好調沖縄はシニアを含む幅広い世代で転入超過

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 86

業界・プレーヤー動向

2.3.スポーツを活用したチームビルド(概要)

想定顧客

県外

海外

県内

BtoB ○ ○

BtoC

企業の人材育成研修に、スポーツを活用したプログラムを開発し提供(例.チームビルティングなど)コンセプト仮説

企業の従業員教育(特に、新入社員など横のつながりを強める必要性が高い層)への関心が高い企業想定顧客

市場のマクロ動向

• 新人研修の需要が旺盛、その

領域を扱う事業者は軒並み好調

• 中小企業の人材投資の意欲が

活性化するなど、予算も増加傾

• 研修の市場規模は6,000億円程

度、人材投資に意欲的な企業が

増えるなか安定的に増加傾向

• チームビルティングのプログラ

ムを提供している事業者は、

ウェブ上に公開されているもの

で85社を超える(弊社調べ)

• スポーツを活用したものも複

数あり、ビジネスとして成り立

つ可能性は十分あり

【需要】 市場の動向(外部環境等)

企業の研修費による送客。旅行代理店とのタイアップも選択肢。

企業側にメリットがある内容(コミュニケーションの活発化など)を、

沖縄の独自性を活かしたコンセプトで提供する必要あり。

人材投資は好調。チームビルティングの領域も多数のプレー

ヤーが参入、市場規模も安定拡大中で需要が見込める。

コンセプト仮説のスキームのイメージ

企業

代理店

沖縄で受入

ベンチマーク事例

概要

Work2(わくわく)運動会

出所:NPO法人ジャパンスポーツコミュニケーションズHP

• 従業員のコミュニケーション不足に対して、

運動会をツールとして事業展開

• 全国の大手企業でも採用実績あり

【金額】

30人:30万円~ 50人:50万円~

100人:100万円~ 300人:200万円~

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 87

2.3.スポーツを活用したチームビルド(関連データ)

企業規模問わず、人材確保・育成のための研修市場は拡大傾向

モチベーション・コーチング系の事業者数は60社超、市場規模は90~

100億円規模と想定される

チームビルディングは都心部を中心に多くの事業者が提供しています。また、スポーツを活用したものも複数あります。

人材育成やコミュニケーションの重要性が高まるなか、チーム力向上につながるチームビルディングにスポーツを活用する

ことで、新たな市場の創造・拡大につながると考えます。

人材育成研修の市場は拡大チームビルディング事業者数

5,460

5,640

5,7905,890

6,020

6,1306,210

5,000

5,200

5,400

5,600

5,800

6,000

6,200

6,400

2011年度 12 13 14 15 16(予) 17(予)

(億円)

※(予)とあるのは、予測数値

出所:矢野経済研究所

【人材育成研修の市場規模】

企業・団体向けのチームビルティング事業を展開する事業者は85社超

なかにはスポーツを活用したものも複数あり

85社超

【チームビルディング提供社数】

ジャパンスポーツコミュニケーションズ(Work2運動会)

運動会形式

ザ・コーポレートゲームス実行委員会

複数企業による大会形式

出所:アビームコンサルティング調べ

ワンピースインク…株式会社

キャニオニングを活用

サービス提供者 概要

Example

【参考】 Googleが社員の生産性を向上させるために実施した研究プロジェクト「Project Aristotle」

のなかでも、チームビルディングの重要性が示唆されている。

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 88

事業者の動向

2.4.リコンディショニング(概要)

人間ドックとフィットネス空間を活用したリコンディショニングやコンディション維持を目的とした滞在型プログラム

ホテル滞在客向けの高付加価値メニューとして提供コンセプト仮説

ビジネスパーソンやアクティブシニア等の個人想定顧客

マクロ動向

• フィットネス市場は増加傾向に

あり、過去最高を記録

• 特に、シニア層の需要が旺盛で、

市場は拡大傾向

• 運動療法(指導分が医療費控

除対象)施設が全国に209か所

あり、県内にも4か所

• リゾート人間ドック市場も拡大傾

• シニアをターゲットにしたパー

ソナルトレーニングなどが活発

化(コナミスポーツなど)

• ビジネスパーソンを対象に、ア

スレティックトレーナーなどを

擁してリコンディショニングサ

ービスを展開する事業者も

• 県内でもアジアの富裕層向人

間ドックを展開(徳洲会)

【需要】 市場の動向(外部環境等)

フィットネス市場は拡大傾向。主な顧客層がシニア層となっ

ており、今後も需要は拡大が見込まれる。

事業者もヘルスケア領域を融合させて、需要を囲い込み。

コンセプト仮説のスキームのイメージ

ベンチマーク事例(聖路加メディローカス)

概要

R-body

お金と時間に余裕のある高齢者向けのパーソナルトレーニング

フィットネスにメディカル機能や介護機能を付帯して高付加価値化

エグゼクティブクラスのリコンディションニングを専門的見地からアシスト

フィットネス事業者のサービス多様化

出所:R-body HP

メディカルを含めたパ

ーソナルトレーニング

• 健診(人間ドック)と運動療法や栄養指導

を組み合わせた年間プログラムを少人数

会員制サービスとして提供

アクティブシニアやビジネスパーソン向けのフィットネスサービスをリ

ゾートホテルの高付加価値メニューとして提供

人間ドッククリニックと提携することで包括的なサービス提供

理学療法士などの専門的トレーニングを提供できる人材が必要

想定顧客

県外

海外

県内

BtoB

BtoC ○ ○

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 89

4,090

4,240

4,390

3,500

3,700

3,900

4,100

4,300

4,500

2011年 2013年 2015年

(億円)

2.4.リコンディショニング(関連データ)

出所:社会生産性本部「スポーツ白書2016」

健康増進を目的とした市場は各地で拡大の動きを見せています。また、リゾートと医療を合わせたコンセプトの施設・プロ

グラムも見られ、今後もこうした動きは続いていく可能性があります。

フィットネス市場も拡大傾向を見せています。沖縄県は全国と比べてスポーツクラブへの支出額が大きくありませんが、観

光に強みを持つことから、フィットネスを組み合わせた医療・リゾートの市場を創出・拡充できる素地はあると考えます。

フィットネス市場は拡大傾向メディカルフィットネスなどの関連市場は全国に点在

健康志向などを受けて、フィットネス市場は活況

近年ではパーソナルトレーニングなどの高付加価値商品も人気

過去最高

を更新

指定運動療法施設

209施設

運動型健康増進施設

336施設

医療費控除の対象となる「指定運動療法施設」は全国209箇所

沖縄県内には、運動型健康増進施設が7箇所、うち指定運動療法施設

が4箇所所在

全国的には、フィットネスや食事などを含めた「医療リゾート施設」が増加 【フィットネス市場規模】

医療リゾートの動きも

シンワメディカルリゾート(千葉県)

⁃ 医療法第42条で定められた医療法人によるメディカルフィットネスや、スパ、健診などを提供

日光医療センター(栃木県)

⁃ 温泉宿泊型人間ドックを実施。人間ドックを終了した後は、提携している鬼怒川温泉の旅館へ送客

福岡山王病院(福岡県)

⁃ 高級ホテルのような内装の病院で1泊2日の人間ドックを実施

⁃ ワンフロアで健診を終了させるレイアウトで受診者の負担を軽減

⁃ フィットネスクラブも設置※平成29年8月3日時点

出所:厚生労働省

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

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沖縄の優位性

2.5.スポーツキャンプの高度化(概要)

想定顧客

県外

海外

県内

BtoB ○ 〇 ○

BtoC

スポーツ合宿にICTの活用やリコンディショニングなどの付加価値をもたらすことで、アスリートの合宿需要を喚起

し、スポーツコンベンション開催地における沖縄のプレゼンスを向上コンセプト仮説

アマスポーツキャンプや学生を中心とした部活動等のスポーツ合宿実施チーム想定顧客

マクロ動向

• 日本再興戦略「スポーツの成長産

業化」で、スポーツとITの融合・拡大

を推進

• サッカーや野球、ラグビーなどのプ

ロスポーツでは、練習・トレーニング

にドローンやVR(仮想現実)を活用

する動きが活発化

• 合宿を中心としたスポーツコンベ

ンションが盛んで認知度が高く、

海外チームからも問合せあり

• 東京などの都市部は人口密集地

に該当するため、ドローンを活用

したトレーニングが困難

【需要】 市場の動向(外部環境等)

スポーツ合宿時にドローンを飛行させ、使用料等を徴収。プロスポ

ーツも、新たな視点からキャンプ観戦ができることを集客の強みに。

一部施設にはVR機器を導入し、高度トレーニングが可能として認知

度を向上、これをトリガーにトップアスリート等の需要を喚起。

出所:沖縄県「スポーツコンベンション開催実績」

スポーツとICTを融合させる動きが加速。また、ドローンは東

京などでは法規制上、飛行が困難なことから、スポーツコン

ベンションが盛んな沖縄に強みがあると考えられる。

コンセプト仮説のスキームのイメージ

キャンプ実施チーム

ベンチマーク事例

概要

ラグビー日本代表 • ドローンによる空撮で、地上からは見えな

い視点でのフォーメーション確認等を実施

• 柏レイソルや読売ジャイアンツなどでドロ

ーン導入の動きが活発化

• VRを活用した例では、DeNAベイスターズ

や楽天ゴールデンイーグルスがある

6,598 10,439 8,309 13,331 9,283 11,730

219248

276

314292

351

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

H22 H23 H24 H25 H26 H27

スポーツ合宿開催実績人 件

件数(右軸)

人数(左軸)

東京周辺の人口密集地、航路周辺図

これらの地域はドローン飛行規制があるが、

東京都はほぼ全域が指定

出所:国土地理院「電子国土Web」

ドローンやVR

環境を提供

使用料を徴収

• アスリートのこうした練習

風景を見たい人を集客

• 普段の草野球等でも需要

一般客

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 91

2.5.スポーツキャンプの高度化(関連データ)

県内では以下のように、各地でスポーツキャンプを受け入れています。

既に多くの実績を有するなか、スポーツ医学・科学を活用した付加価値を提供することで、スポーツキャンプ開催地として

の沖縄のプレゼンス、プリファレンスを高めることができると考えます。

北部 中部

南部 離島

沖縄県内のスポーツキャンプ受入実績(平成27年度)

出所:沖縄県「スポーツコンベンション開催実績一覧」

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

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2.6.スポーツを活用した教育(概要)

子どものスポーツ教育に関心を持つ、保護者。または、教育機関。想定顧客

県内のスポーツクラブ企業と施設オーナーが連携し、県内の青少年向け教育プログラムを開発・提供。ここで培うノウハウを活用し、

修学旅行・サマーキャンプ等受入先とも提携、来訪者向けマネタイズも実施。コンセプト仮説

業界・プレーヤー動向スポーツ教育

• こどもの体力、運動能力の低下

をうけて、H24年に幼児期運動

指針を策定(文科省)

• 沖縄県は依然として出生率が

高く、年少人口の減少は全国に

比べて緩やかで、教育市場とし

てのポテンシャル大

• 修学旅行、サマーキャンプ、ス

ポーツ合宿などで訪れる児童生

徒向けコンテンツとしても有望

• 左記指針を受け、教育・学習

企業やフィットネス企業が運動

指導に多数参画

• 幼少期に加え、小中学生のス

ポ―ツ教室の需要が、拡大

• 園の施設を借りて正課・課外

活動を行う事業者と、スポーツ

施設や公民館等で体育教室を

行う事業者に大別

• 一部で、英会話等の教育をパ

ッケージ化する動きも

【需要】 市場の動向(外部環境等)

少子化に伴い、子供一人当たりの教育投資単価は上昇傾向。

スポーツ分野にも多くのプレイヤーが参画。概要

コンセプト仮説のスキームのイメージ

ベンチマーク事例(藤枝市)

競技力向上に加え、スポーツを通じたコミュニケーション能力向上な

ど、人間力向上に資するプログラムを提供。修学旅行等受け入れ

先とも連携し、体験型コンテンツとしても提供

県内クラブ企業 修学旅行等受入先

提携

来訪者地域の青少年

行政がファシリティマネジメントの一環で、体育館をリノベーション 子育て×スポーツ×ヘルスケアの総合施設として年間20万人以上

を集客 施設が所在する公園内にスターバックスも進出し、相互送客を図る。

施設の運営

プログラム開発

相互送客による活性化発

想定顧客

県外

海外

県内

BtoB ○

BtoC ○ ○

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 93

207

393431 438 436 442

0

100

200

300

400

500

(千人)

2.6.スポーツを活用した教育(関連データ)

沖縄県の合計特殊出生率は高水準

幼稚園・保育園の入園者獲得に向けた差

別化策としての需要も見込める

高い合計特殊出生率

子ども一人あたりの教育費上昇や運動能力の低下などを受けて、幼児向けの体育指導市場の需要は拡大しています。

沖縄県は生活習慣病患者が多く、これらの予防に繋がる幼少期の体育指導は潜在需要があると考えられます。市場としても

少子化の進行が緩やかであり一定の規模が見込めます。

また、旺盛な修学旅行需要に対応したワンタイム利用なども検討が可能と考えます。

【合計特殊出生率の比較(2015年)】

出所:厚生労働省「人口動態統計」

【幼児体育指導の市場規模】

子ども一人当たりの教育費上昇や、運動

能力の低下などを受けて、市場は拡大

近年は、運動指導ではなく、スポーツ保育

の考え方による取組も注目(藤枝市など)

市場規模は拡大

18,600

19,000

19,600

18,000

18,200

18,400

18,600

18,800

19,000

19,200

19,400

19,600

19,800

2012年度 2014年度 2016年度

(百万円)

出所:矢野経済研究所

年間440千人超と高水準を維持

これらをターゲットとすることで、観光消費

の拡大を図る

旺盛な修学旅行需要

【年間の修学旅行入込数】

出所:沖縄県「修学旅行入込状況調査」

外部マクロ動向 県内外のターゲット規模の動向

1.24 1.96

0

0.5

1

1.5

2

2.5

東京都 沖縄県

全国平均

1.42

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

3.今後のスケジュール

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料

© 2017 ABeam Consulting Ltd. 95

3.1.今年度業務の実施スケジュール

本調査事業の実施スケジュールは以下のとおりです。

6月 7月 8月 9月

マイルストーン

想定顧客とそのニーズに力点を置いたコンセプト仮説の策定

コンセプト仮説に関する簡易調査

生活者ニーズに関する調査(キーパーソンインタビュー)

コンセプトの取りまとめ

スポーツ産業クラスターにかかる波及効果に関する検討

報告書の作成

▲キックオフ

仮説設計

有識者ヒアリング

統計数値・文献調査

ポテンシャル評価

需給調査

需給調査取りまとめ

形成するクラスターの最終化

経済効果・波及効果分析

報告書作成

統計資料調査効果測定設計

▲協議会立ち上げ

本日の報告範囲

7.6.(参考)沖縄スポーツ産業クラスター推進協議会 第1回運営会議付議資料