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Moe suzurimi,katsumi ishii,takeharu hasegawa 第63回(2019年度) 北海道開発技術研究発表会論文 平成30年に発生した北海道胆振東部地震におけ る石狩放水路の災害復旧について ―被災要因から復旧工法まで― 札幌開発建設部 札幌河川事務所 第 1 工務課 〇硯見 もえ 石井 克己 長谷川 武春 平成309637分、胆振地方中東部を震源(深さ約37km)とするマグニチュード6.7の地 震が発生した。厚真町で震度7を記録したほか、石狩市でも震度5弱の揺れを観測し、これによ り直轄管理の河川の石狩放水路・茨戸川においても堤防亀裂や護岸のはらみだし等、液状化等 による被害が生じた。本報告では、直轄河川における石狩放水路の被災状況と被災メカニズム 及び対策工の検討について報告する。 キーワード:自然災害、災害復旧、液状化、大規模地震、地震災害 1. はじめに 平成30 9 6 3 7 分に胆振地方中東部を震源とする 地震が発生した。この地震により厚真町で北海道では初 めてとなる震度7 を記録したほか、安平町で震度6 強、日 高町および平取町で震度6 弱の揺れを観測した。今回の 地震では、死者44名、重軽傷者785名といった人的被害 のほか、建物では、住家全壊479 棟、半壊1,736棟、一部 損壊22,741棟という甚大な被害に見舞われた。札幌開発 建設部管内でも地震により、家屋の倒壊等の被害を受け、 直轄河川である石狩放水路・茨戸川では堤防亀裂や護岸 のはらみだし等、液状化等による変状が発生した。 本報告では、被災状況が大きかった石狩放水路に着目 して、被災要因や対策工の検討について報告する。 2. 被災概要 (1) 地震の概要 平成30 9 6 日に発生した地震により、厚真町で北海 道では初めての震度7 、安平町で震度6 強、日高町および 平取町で震度6 弱、石狩市で震度5 弱の揺れを観測したほ か、道内の一部地方で震度1 6強を観測した(図- 1)。 96日の最初に発生した地震以降も余震が発生し、9 6日から920 日までに震度1以上の地震が計測された (図- 2)。 図- 1 震度分布図 図- 2 時間別地震回数(9/6~9/20) (2) 河川管理施設の被災状況 石狩放水路周辺の花川地震観測所、花畔地震観測所に おいて9 6 日に発生した地震の震度が5 弱を観測し、1 次点検を実施した結果、管理用道路の沈下(写真-1 )、 法覆ブロックの崩落及びはらみだし(写真-2 )、鋼矢板 護岸の傾倒(写真-3 )等の変状を確認した。 被災箇所 別紙-2

―被災要因から復旧工法まで―...損壊22,741棟という甚大な被害に見舞われた。札幌開発 建設部管内でも地震により、家屋の倒壊等の被害を受け、

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  • Moe suzurimi,katsumi ishii,takeharu hasegawa

    第63回(2019年度) 北海道開発技術研究発表会論文

    平成30年に発生した北海道胆振東部地震における石狩放水路の災害復旧について

    ―被災要因から復旧工法まで―

    札幌開発建設部 札幌河川事務所 第 1 工務課 〇硯見 もえ

    石井 克己

    長谷川 武春

    平成30年9月6日3時7分、胆振地方中東部を震源(深さ約37km)とするマグニチュード6.7の地震が発生した。厚真町で震度7を記録したほか、石狩市でも震度5弱の揺れを観測し、これにより直轄管理の河川の石狩放水路・茨戸川においても堤防亀裂や護岸のはらみだし等、液状化等

    による被害が生じた。本報告では、直轄河川における石狩放水路の被災状況と被災メカニズム

    及び対策工の検討について報告する。

    キーワード:自然災害、災害復旧、液状化、大規模地震、地震災害

    1. はじめに

    平成30年9月6日3時7分に胆振地方中東部を震源とする地震が発生した。この地震により厚真町で北海道では初

    めてとなる震度7を記録したほか、安平町で震度6強、日高町および平取町で震度6弱の揺れを観測した。今回の地震では、死者44名、重軽傷者785名といった人的被害のほか、建物では、住家全壊479棟、半壊1,736棟、一部損壊22,741棟という甚大な被害に見舞われた。札幌開発建設部管内でも地震により、家屋の倒壊等の被害を受け、

    直轄河川である石狩放水路・茨戸川では堤防亀裂や護岸

    のはらみだし等、液状化等による変状が発生した。 本報告では、被災状況が大きかった石狩放水路に着目

    して、被災要因や対策工の検討について報告する。

    2. 被災概要

    (1) 地震の概要 平成30年9月6日に発生した地震により、厚真町で北海道では初めての震度7、安平町で震度6強、日高町および平取町で震度6弱、石狩市で震度5弱の揺れを観測したほか、道内の一部地方で震度1~6強を観測した(図- 1)。

    9月6日の最初に発生した地震以降も余震が発生し、9月6日から9月20日までに震度1以上の地震が計測された(図- 2)。

    図- 1 震度分布図

    図- 2 時間別地震回数(9/6~9/20)

    (2) 河川管理施設の被災状況 石狩放水路周辺の花川地震観測所、花畔地震観測所に

    おいて9月6日に発生した地震の震度が5弱を観測し、1次点検を実施した結果、管理用道路の沈下(写真-1)、

    法覆ブロックの崩落及びはらみだし(写真-2)、鋼矢板

    護岸の傾倒(写真-3)等の変状を確認した。

    被災箇所

    別紙-2

  • Moe suzurimi,katsumi ishii,takeharu hasegawa

    また、詳細な被災状況確認のため2次点検を実施し、

    現場状況の保持や降雨等に備えるため、ブルーシートと

    土のうによる応急対策を実施した。

    写真- 1 管理用道路の沈下

    写真- 2 ブロックの崩落及びはらみだし

    写真- 3 鋼矢板護岸の傾倒

    3. 被災後の調査

    (1) 文献調査 被災箇所の一帯は石狩川河口付近に堆積する砂丘地帯

    に位置し(図- 3)、石狩放水路は砂丘地帯に人工的に

    造成されたものである。国土地盤情報検索サイト

    「Kunijiban」で公開されている調査地周辺のボーリング柱状図では、細粒分質な細粒砂が地表面からGL-20m付近まで連続しているものが多く見られる。

    図- 3 広域地質図

    (2) 現地調査 被災要因を究明するための基礎資料として、被災後に

    石狩放水路の左岸4か所、右岸3箇所の計7か所でボーリング及び室内土質試験を実施した(図- 4)。

    図- 4 調査位置図

    表- 1 土質試験一覧表

    砂As1-1

    砂As1-2

    シルト混じり砂

    As1-3シルト質砂

    As2粘性土

    Ac1計

    密度(g/cm3)

    含水比(%)

    細粒分含有率

    Fc(%)

    No.1 5.50 6.50 3.00 6.85 3.15 25.0 As1-1 2.732 15.8 1.1~15.8

    No.2 4.50 8.45 2.06 6.50 3.50 25.0 As1-2 2.732 26.4 2.0~12.7

    No.3 3.50 6.65 3.30 6.15 3.40 23.0 As1-3 2.741 38.0 5.3~31.7

    No.4 2.50 8.30 1.20 7.50 3.50 23.0 As2 2.771 33.3 5.7~31.3

    No.5 4.50 8.20 3.00 6.05 3.25 25.0 Ac1 2.716 45.1 67.2~98.7

    No.6 7.50 5.00 2.00 6.50 4.00 25.0 ※上表は、各地層の平均値を示す。

    No.8 2.50 7.90 2.10 6.50 4.00 23.0

    計 30.50 51.00 16.66 46.05 24.80 169.0

    地点機械ボーリングφ66mm (m) 室内試験結果

    地質

    室内土質試験の結果、左右岸で同様な地層で厚い砂層

    を確認した(表- 1、図- 5)。砂地盤のN値は1~22を呈し、特に、As1-1層のN値は小さい(N値は6程度)(図- 6)。さらに地下水位は高いため、地震時の液状化が生

    じやすい地盤特性を有する。

    図- 5 地質横断図(鋼矢板護岸傾倒箇所)

    平均N値

    12

    15

    6

    16

    As1-1

    As1-2

    As1-3

    As2

    0 5 10 15 20 25 30 35N値

    図- 6 N値分布図

    鋼矢板護岸が傾倒した区間では、液状化による噴砂が

    確認されている。この噴砂は、粒度分布から上部砂層と

    同程度であることを確認した。(図- 7)

    As2(シルト質砂層)

    As1-3(シルト混じり砂層)

    As1-1(砂層)As1-2(砂層)

    Ac1(粘性土層)

    H30-No.5 H30-No.6

    H30-No.8

    H30-No.4

    H30-No.3

    2工区

    1工区

    H30-No.1

    H30-No.2

    2工区

    1工区

    被災箇所

    砂丘

    現海浜砂 砂

    石狩砂丘砂 砂

    ba

    Ids

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    図- 7 粒土分布図(噴砂と上部砂層)

    4. 被災のメカニズム

    (1) 工区分割 被災状況から下記工区に分割した。 ・1工区(下流側): 盛土法面の崩壊、鋼矢板護岸の傾倒が生じた区間 ・2工区(上流側): 盛土法面、道路天端の沈下が生じた区間

    (2) 1工区(下流側) 変状箇所は、鋼矢板護岸天端から砂層が厚く分布して

    いる。この砂層が地震の影響で液状化が発生し、鋼矢板

    護岸背面地盤の沈下~側方流動が生じた。砂の流動圧に

    より鋼矢板護岸が傾倒に至ったと推定される(図- 8)。

    図- 8 1工区(下流側)被災メカニズム

    (3) 2工区(上流側) 2工区は鋼矢板護岸の変状が生じておらず、管理用通

    路部の沈下や法面部からのはらみ出しが確認された(図

    - 9)。基礎地盤は1工区と2工区で概ね同じ層厚の砂

    層が確認されており、鋼矢板護岸は同じ規格(鋼矢板Ⅳ

    型)であることから、変状の違いは外力の差異によるも

    のと考えられる。ここで、背面土の高さに着目すると、

    2工区は3m程度と1工区(7m程度)の半分程度であ

    る。このため、鋼矢板護岸に変状が生じなかった理由は、

    背後地盤の形状の違いによる土圧の差と推定される。

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000

    通過

    質量

    百分

    率(%

    )

    粒径(mm)

    シルト質砂層(As2)

    0.005 0.075 0.250 0.850 2 4.75 19 75 300

    粘 土 シルト 細 砂 中 砂 粗 砂 細 礫 中 礫 粗 礫 粗 石 巨 石

    As2

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000

    通過

    質量

    百分

    率(%

    )

    粒径(mm)

    砂層(As1-1)

    0.005 0.075 0.250 0.850 2 4.75 19 75 300

    粘 土 シルト 細 砂 中 砂 粗 砂 細 礫 中 礫 粗 礫 粗 石 巨 石

    As1-1

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000

    通過

    質量

    百分

    率(%

    )

    粒径(mm)

    砂層(As1-2)

    0.005 0.075 0.250 0.850 2 4.75 19 75 300

    粘 土 シルト 細 砂 中 砂 粗 砂 細 礫 中 礫 粗 礫 粗 石 巨 石

    As1-2

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000

    通過

    質量

    百分

    率(%

    )

    粒径(mm)

    シルト混じり砂層(As1-3)

    0.005 0.075 0.250 0.850 2 4.75 19 75 300

    粘 土 シルト 細 砂 中 砂 粗 砂 細 礫 中 礫 粗 礫 粗 石 巨 石

    As1-3

    噴砂の粒度は上部の砂層(As1-1、As1-2)と同程度

    黒:ボーリング調査の粒度赤:噴砂の粒度

    噴砂

    推定水位線

    鋼矢板

    フェンス

    法覆ブロック

    管理用道路

    擁壁

    控H形鋼

    防風林

    緊張材

    海砂主体の地盤(不飽和)

    海砂主体の地盤(飽和)液状化層

    笠コンクリート

    推定水位線

    管理用道路

    擁壁

    防風林

    推定水位線

    側方流動

    沈下 沈下

    地震による液状化の発生(砂の流動化)

    噴砂はらみ出し

    推定水位線

    管理用道路

    擁壁

    防風林

    推定水位線

    法面土塊の崩壊

    液状化に伴う沈下、流動化

    護岸の傾倒、噴砂、法面崩壊

  • Moe suzurimi,katsumi ishii,takeharu hasegawa

    図- 9 2工区(上流側)被災メカニズム

    5. 対策工の検討

    被災要因、既設護岸形状をもとに、各工区の対策工の

    基本方針、基本諸元の設定の考え方を以下に整理した。 (1) 1工区(下流側) 1工区の対策工は、重要構造物である水門に近接して

    いるため、規格の変更は行わない原形復旧+再度災害防

    止を基本方針として設定した。法覆工は原形復旧で大型

    連節ブロックとした。鋼矢板護岸は原形復旧で控え式を

    基本として、新設矢板の諸元は、矢板規格(普通矢板、

    ハット形)と控え杭のピッチをパラメータに比較した結

    果、経済性に有利となる「ハット形(45H、L=17m)、控え杭2.7mピッチ」を採用した。原型復旧は、レベル1対応が基本となるが、現地盤のままで復旧して液状化す

    ると、控え杭の地盤バネ定数が低減して変状が生じるこ

    とが懸念される。このため、鋼矢板背面の置換土は、再

    度災害防止の観点から控え杭の地盤バネが作用する範囲

    を購入土(砕石)とした(図-10)。 (2) 2工区(上流側) 2工区の対策は、控え式鋼矢板護岸が変状していない

    ため、既設矢板を残置して管理用道路盛土法面の変状に

    対して再度災害防止を基本方針として設定した。道路盛

    土は、砂地盤を礫質土(非液状化材)で置き換え、現状

    の道路線形を前出しすることで、安定勾配を盛土するこ

    とができる。これにより、旧施設の材質を変更すること

    が可能となり、管理用道路の機能を確保しつつ、復旧す

    ることができる。再度災害防止の対応は、地盤の緩み範

    囲(1m程度)と健全な緊張材に干渉しないことを条件に置換範囲を1mと設定した(図-11)。

    図-10 1工区(下流側)対策工標準断面図

    図-11 2工区(上流側)対策工標準断面図

    対策後のすべり安全率は、地震時の設計震度Kh=0.2を条件に1.0以上、常時は1.2以上確保することを確認した(図-12)。

    図-12 2工区(上流側)の安定計算結果

    Fs=0.84・・・NG

    Fs=1.50・・・OK

    現況

    対策後(置換え)

    〇掘削形状

    ・数量算出要項の「砂」の

    標準勾配

    ・既設土留矢板を利用

    〇法覆工

    ・原形復旧(大型連節ブロック)

    〇控え式鋼矢板護岸

    ・原形復旧

    ・盛土の範囲は、控H 形鋼の受動

    崩壊面より深度4.0m と設定

    〇法覆工

    ・植生工

    〇掘削形状

    ・数量算出要項の「砂」の標準勾配

    ・既設土留矢板を利用

    推定水位線

    鋼矢板

    フェンス

    法覆ブロック管理用道路

    擁壁

    控H形鋼

    防風林

    緊張材

    海砂主体の地盤(飽和)液状化層

    笠コンクリート

    海砂主体の地盤(不飽和)

    法覆ブロック

    推定水位線

    推定水位線

    はらみ出し

    管理用道路

    擁壁

    防風林

    沈下

    液状化に伴う舗装、擁壁、法面の沈下、はらみ出し

  • Moe suzurimi,katsumi ishii,takeharu hasegawa

    6. 現場対応

    災害復旧工事は、平成31年1月に左岸側を先行して開始した。工事前に地下埋設物の確認を含めて放水路背面

    の試掘調査を実施したが、想定外の事象が生じたため以

    下に補足する。 (1) 試掘による現場状況 左岸工区の施工前に現地の試掘調査を実施した。 a) 既設矢板の構造 既設控え杭箇所の試掘から構造が計画時点の仕様と異

    なることが判明した。また、山側からの湧水も確認され

    た。(図-13)。 ・計画時点:鋼矢板Ⅳ型、控え杭

    ・施工実績:鋼矢板Ⅳ型、控え矢板

    図-13 現地で確認された仕様(控え矢板式)

    b) 湧水 既設鋼矢板護岸は、タイロッドが控え矢板から外れた

    状態である。矢板も破損状況がひどく隙間があいている

    可能性がある。このため、湧水は河川側と山側から発生

    していることが確認された(図-14)。排水処理は、一

    般工事用のポンプでは困難と推定された。

    図-14 既設鋼矢板護岸~控え矢板間の試掘調査時の状況

    (2) 湧水処理 既設矢板側と控え矢板背面の両側から地下水や河川水

    が供給される状態で、湧水量が非常に多く発生している。

    原計画の開削後に新設矢板設置の手順では施工困難とな

    り、対応策として、下記3案(図-15)を比較した結果、

    「②地盤改良工」案が最も安価となった。

    ① 手順を変えずにディープウェル工法(排水処理)を追加した案

    ② 現地盤を施工基面として新設矢板(川側の止水)を先行して設置。その後に基礎置換(山側の止水を兼

    ねて地盤改良工)を施工する案 ③ 上記②の基礎置換を砕石置換(水中施工を想定)と

    した案

    図-15 湧水処理方法の比較案

    既設矢板の隙間等から放水路の

    河川水が流入。

    控え矢板側で外れた既設タイ

    ロッドが地中に埋もれている。

    控え杭に矢板(Ⅳ型)

    を使用

    既設タイロッド推定

    位置(控え矢板から

    外れている状態)

    ②地盤改良工案

    ③砕石置換案

    当初:既設矢板は傾倒しているが止水機能を有していると判断し、開削後に新設矢板施工

    変更:既設矢板は破損して河川水が流入するため、ディープウェルを追加

    ①原施工手順+排水処理案

  • Moe suzurimi,katsumi ishii,takeharu hasegawa

    (3) 施工方法 地盤改良工は現場条件より「中圧噴射機械撹拌工法

    (MITS工法-CMS)」を採用した。 ・ 中深度を改良する⇒深層混合処理工法が必要 ・ 新設矢板に近接し施工ヤードが狭い⇒噴射・撹拌の

    併用で変位抑制。小型の機械で施工可能 ・ 地下水位が高く湧水量も多い⇒海域や河床への施工

    実績あり

    (4) 施工仕様 「河川堤防の液状化対策の手引き(H28.3)」等を参考に設定した(図-16)。

    図-16 湧水処理計画図(地盤改良工平面図)

    7. おわりに

    本報は、平成30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震に伴う石狩放水路の被災状況、調査や対策工検討につ

    いて現場対応とあわせてまとめたものである。 工事は湧水対応により当初計画より工期を要したが、

    令和2年1月に完成している。 最後に本地震により亡くなった方や被災された方も多

    く、いまだ復旧に向けた道半ばである。亡くなった方々

    のご冥福をお祈り申し上げるとともに、今回の調査復旧

    工事に御協力頂いた関係者の皆様に感謝を申し上げる。